説明

抗菌性のピロロピリジン、ピロロピリミジン、及びピロロアゼピン

式(I)の化合物とその医薬的に許容される塩について記載されている。その製造方法、それらを含有する医薬組成物、医薬品としてのそれらの使用、及び細菌感染症の治療におけるそれらの使用についても記載されている。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗菌活性を示す化合物、それらの製造の方法、それらを有効成分として含有する医薬組成物、医薬品としてのそれらの使用、及び、ヒトのような温血動物における細菌感染症の治療に使用の医薬品の製造におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、ヒトのような温血動物における細菌感染症の治療に有用な化合物に、より具体的には、ヒトのような温血動物における細菌感染症の治療に使用の医薬品の製造における上記化合物の使用に関する。
【0002】
国際的な微生物学会は、抗生物質耐性の進むと現在利用可能な抗菌剤が効かない菌株が生じる可能性があるという深刻な懸念を表明し続けている。一般に、細菌病原体は、グラム陽性又はグラム陰性のいずれかの病原体として分類し得る。グラム陽性及びグラム陰性の両方の病原体に対して有効な活性がある抗生化合物は、一般に、広い活性スペクトルを有するとみなされる。本発明の化合物は、グラム陽性病原体とある種のグラム陰性病原体の両方に対して有効とみなされている。
【0003】
グラム陽性病原体、例えば、ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、及びマイコバクテリウムは、処置することが難しいだけでなく、ひとたび定着すると、院内環境から駆逐することも難しい耐性株の発現のために、特に重要である。そうした菌株の例は、メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、及び多剤耐性エンテロコッカス・フェシウムである。
【0004】
こうした耐性グラム陽性病原体の処置の最後の手段として、臨床的に有効な好ましい抗生物質は、バンコマイシンである。バンコマイシンは糖ペプチドであり、腎毒性が含まれる様々な毒性に関連している。さらに、そしてきわめて重要にも、バンコマシンや他の糖ペプチドへの抗菌耐性も出現しつつある。この耐性は、着実な速度で増加していて、グラム陽性病原体の処置において、これらの薬剤をますます無効にしている。また、H. influenzae 及び M. catarrhalis が含まれるある種のグラム陰性株によっても引き起こされる上気道感染症の治療に使用される、β−ラクタム、キノロン、及びマクロライドのような薬剤に対する耐性発現も増加しつつある。
【0005】
必然的に、広まった多剤耐性病原体の脅威を克服するために、新たな抗生物質、特に新規の作用機序及び/又は新たな薬作用発生基(pharmacophoric groups)のいずれかを含有するものを開発することに対する現在のニーズがある。
【0006】
デオキシリボ核酸(DNA)ジャイレースは、細胞中のDNAのトポロジー状態を制御するトポイソメラーゼのII型ファミリーのメンバーである(Champoux, J. J.; 2001. Ann. Rev. Biochem. 70: 369-413)。II型トポイソメラーゼは、アデノシン三リン酸(ATP)加水分解からの自由エネルギーを使用して、一過性の二本鎖切れ目をDNA中に導入し、切れ目の鎖通過を触媒して、DNAを再結合させることによって、DNAのトポロジーを改変する。DNAジャイレースは、細菌において必須の保存酵素であり、負の超らせんをDNAへ導入するその能力において、トポイソメラーゼの中で独特である。この酵素は、gyrA及びgyrBによりコードされる2つのサブユニットからなり、A四量体の複合体を形成する。ジャイレースのAサブユニット(GyrA)は、DNA切断及び再結合に関与して、鎖通過の間にDNAへ一過性の共有連結を形成する保存チロシン残基を含有する。Bサブユニット(GyrB)は、ATPの加水分解を触媒して、Aサブユニットと相互作用して、加水分解からの自由エネルギーを酵素中のコンホメーション変化へ翻訳して、鎖通過とDNA再結合を可能にする。
【0007】
トポイソメラーゼIVと呼ばれる、細菌中の別の保存された必須のII型トポイソメラーゼは、主に、複製時に産生される、連結した閉環状の細菌染色体を分離することに責任がある。この酵素は、DNAジャイレースに密接に関連して、GyrA及びGyrBに相同なサブユニットより形成される同様の四量体構造を有する。ジャイレースとトポイソメラーゼIVの間の全体的な配列同一性は、様々な細菌種において高い。故に、細菌のII型トポイソメラーゼを標的にする化合物には、既存のキノロン抗菌薬の場合のように、細胞中の2つの標的、DNAジャイレースとトポイソメラーゼIVを阻害するポテンシャルがある(Maxwell, A. 1997, Trends Microbiol. 5: 102-109)。
【0008】
DNAジャイレースは、キノロン類やクマリン類が含まれる、十分に検証された抗菌薬の標的である。キノロン類(例、シプロフロキサシン)は、該酵素のDNA切断及び再結合活性を阻害して、DNAと共有複合したGyrAサブユニットを捕捉する、広域スペクトル抗菌薬である(Drlica, K., and X. Zhao, 1997, Microbiol. Molec. Biol. Rev. 61: 377-392)。このクラスの抗菌薬のメンバーもトポイソメラーゼIVを阻害して、結果として、これら化合物の主要標的は、種間で異なる。キノロン類は成功した抗菌薬であるが、標的(DNAジャイレース及びトポイソメラーゼIV)中の突然変異により主に産生される耐性は、ブドウ球菌及び肺炎連鎖球菌が含まれる、いくつかの病原体においてますます問題となっている(Hooper, D. C., 2002, The Lancet Infectious Diseases 2: 530-538)。さらに、1つの化合物群であるキノロン類は、関節症を始めとする有毒な副作用が悩みであり、小児での使用が妨げられている(Lipsky, B. A. and Baker, C. A., 1999, Clin. Infect. Dis. 28: 352-364)。さらに、QT間隔の延長により予測される心毒性のポテンシャルは、キノロン類の懸念される毒性として特記されてきた。
【0009】
GyrBサブユニットへの結合についてATPと競合する、DNAジャイレースの天然産物阻害剤がいくつか知られている(Maxwell, A. and Lawson, D.M. 2003, Curr. Topics in Med. Chem. 3: 283-303)。クマリン類は、ストレプトマイセス属(Streptomyces spp.)より単離された天然産物であり、その例は、ノボビオシン、クロロビオシン、及びクメルマイシンA1である。これらの化合物はDNAジャイレースの強力な阻害剤であるが、それらの治療有用性は、真核生物における毒性とグラム陰性菌における乏しい透過のために限定されている(Maxwell, A. 1997, Trends Microbiol. 5: 102-109)。GyrBサブユニットを標的にする別の天然産物クラスの化合物は、Streptomyces filipensis より単離される、シクロチアリジンである(Watanabe, J. et al 1994, J. Antibiot. 47: 32-36)。DNAジャイレースに対する強力な活性にもかかわらず、シクロチアリジンは、一部の真性細菌種にしか活性を示さない、弱い抗菌剤である(Nakada, N, 1993, Antimicrob. Agents Chemother. 37: 2656-2661)。
【0010】
DNAジャイレースのBサブユニットとトポイソメラーゼIVに標的指向する合成阻害剤が当該技術分野で知られている。例えば、特許出願番号WO99/35155にはクマリン含有化合物が記載され、特許出願WO02/060879には5,6−二環系複素芳香族化合物が記載され、特許出願WO01/52845(米国特許US6,608,087)にはピラゾール化合物が記載されている。
【0011】
我々は、DNAジャイレースとトポイソメラーゼIVを阻害するのに有用である新たなクラスの化合物を発見した。
故に、本発明は、式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
[式中:
は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルカノイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、及びC3−6シクロアルキルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のハロ又はシクロプロピルにより置換されていてもよく;
は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルカノイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、及びC3−6シクロアルキルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のハロ又はC3−6シクロアルキルにより置換されていてもよく;
は、炭素上の置換基を表して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N−ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N−ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイル、C1−4アルカノイルオキシ、N−(C1−4アルキル)アミノ、N,N−(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルカノイルアミノ、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、N’−(C1−4アルキル)ウレイド、N’,N’−(C1−4アルキル)ウレイド、N−(C1−4アルキル)−N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1−4アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−4アルキル)スルファモイル、C1−4アルキルスルホニルアミノ、C1−4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N’−(C1−4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N’,N’−(C1−4アルキル)ヒドラジノカルボニル、カルボシクリル−R−、又はヘテロシクリル−R−より選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく、そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよい;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイル、C1−4アルカノイルオキシ、N−(C1−4アルキル)アミノ、N,N−(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルカノイルアミノ、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−4アルコキシカルボニル、N−(C1−4アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−4アルキル)スルファモイル、C1−4アルキルスルホニルアミノ、C1−4アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR15により置換されていてもよく、そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R16より選択される基により置換されていてもよい;
、R、R13、及びR14は、直結合、−O−、−N(R)−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R10)−、−S(O)−、−SON(R11)−、又は−N(R12)SO−より独立して選択され;ここでR、R、R10、R11、及びR12は、水素又はC1−4アルキルより独立して選択されて、pは0〜2である;
15は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、アセチルアミノ、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、又はN−メチル−N−エチルスルファモイルより選択され;
環Xは、X、X、X、及びXより選択される複素環式環であり;
は、
【0014】
【化2】

【0015】
であり、Xは、
【0016】
【化3】

【0017】
であり、Xは、
【0018】
【化4】

【0019】
であり、Xは、
【0020】
【化5】

【0021】
である;
Yは、フェニル、アゼチジニル、ピペリジニル、及びピロリジニルより選択され;ここで前記アゼチジニル、ピペリジニル、及びピロリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここでYは、炭素上で1又は2のハロ、C1−4アルキル、又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい;
環Aは、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;ここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R17より選択される基により置換されていてもよい;
mは、0〜4であり;ここでRのこの数値は、同じでも異なってもよい;
、R16、及びR17は、C1−4アルキル、C1−4アルカノイル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、及びフェニルスルホニルより独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0022】
本明細書において、用語「アルキル」には、直鎖と分岐鎖の両方のアルキル基が含まれる。例えば、「C1−4アルキル」には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びt−ブチルが含まれる。しかしながら、プロピルのような個別のアルキル基への言及は、直鎖バージョンだけに特定される。同様の慣例が他の一般基へ適用される。
【0023】
任意選択の置換基が1以上の基より選択される場合、この定義には、特定された基の1つより選択されるすべての置換基、又は特定された基の2以上より選択される置換基が含まれると理解されたい。
【0024】
「ヘテロシクリル」は、その少なくとも1つの原子が窒素、イオウ、又は酸素より選択される4〜12の原子を含有し、他に特定しなければ、炭素又は窒素で連結され得る、飽和、部分飽和、又は不飽和の単環又は二環系の環であり、ここで−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよく、環窒素及び/又は環イオウ原子は、酸化されてN又はS−オキシドを形成してもよい。本発明の1つの側面において、「ヘテロシクリル」は、その少なくとも1つの原子が窒素、イオウ、又は酸素より選択される5又は6の原子を含有し、他に特定しなければ、炭素又は窒素で連結され得る、飽和、部分飽和、又は不飽和の単環系の環であり、−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよく、環イオウ原子は、酸化されてS−オキシドを形成してもよい。本発明のさらなる側面において、「ヘテロシクリル」は、その少なくとも1つの原子が窒素、イオウ、又は酸素より選択される5又は6の原子を含有する、不飽和、炭素連結、単環系の環である。用語「ヘテロシクリル」の例と好適な意義は、モルホリノ、ピペリジル、ピリジル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、インドリル、キノリル、チエニル、1,3−ベンゾジオキソリル、チアジアゾリル、ピペラジニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、チオモルホリノ、ピロリニル、ホモピペラジニル、3,5−ジオキサピペリジニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダリジニル、イソオキサゾリル、N−メチルピロリル、4−ピリドン、1−イソキノロン、2−ピロリドン、4−チアゾリドン、ピリジン−N−オキシド、及びキノリン−N−オキシドである。用語「ヘテロシクリル」のさらなる例と好適な意義は、チアゾリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ピリミジニル、及びピリジルである。
【0025】
「カルボシクリル」は、3〜12の原子を含有する、飽和、部分飽和、又は不飽和の単環又は二環系の炭素環であり、ここで−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよい。特に、「カルボシクリル」は、5又は6の原子を含有する単環系の環、又は9又は10の原子を含有する二環系の環である。「カルボシクリル」に適した意義には、シクロプロピル、シクロブチル、1−オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、テトラリニル、インダニル、又は1−オキソインダニルが含まれる。「カルボシクリル」の具体的な例は、フェニルである。
【0026】
「C1−4アルカノイルオキシ」の例は、アセトキシである。「C1−4アルコキシカルボニル」の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n及びt−ブトキシカルボニルが含まれる。「C1−4アルコキシカルボニルアミノ」の例には、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n及びt−ブトキシカルボニルアミノが含まれる。「C1−4アルコキシ」の例には、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシが含まれる。「C1−4アルカノイルアミノ」の例には、ホルムアミド、アセトアミド、及びプロピオニルアミノが含まれる。「C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)」の例には、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、及びエチルスルホニルが含まれる。「C1−4アルカノイル」の例には、プロピオニル及びアセチルが含まれる。「N−(C1−4アルキル)アミノ」の例には、メチルアミノ及びエチルアミノが含まれる。「N,N−(C1−4アルキル)アミノ」の例には、ジN−メチルアミノ、ジ(N−エチル)アミノ、及びN−エチル−N−メチルアミノが含まれる。「C2−4アルケニル」の例は、ビニル、アリル、及び1−プロペニルである。「C2−4アルキニル」の例は、エチニル、1−プロピニル、及び2−プロピニルである。「N−(C1−4アルキル)スルファモイル」の例は、N−(メチル)スルファモイル及びN−(エチル)スルファモイルである。「N,N−(C1−4アルキル)スルファモイル」の例は、N,N−(ジメチル)スルファモイル及びN−(メチル)−N−(エチル)スルファモイルである。「N−(C1−4アルキル)カルバモイル」の例は、メチルアミノカルボニル及びエチルアミノカルボニルである。「N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル」の例は、ジメチルアミノカルボニル及びメチルエチルアミノカルボニルである。「N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル」の例は、メトキシアミノカルボニル及びイソプロポキシアミノカルボニルである。「N−(C1−4アルキル)−N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル」の例は、N−メチル−N−メトキシアミノカルボニル及びN−メチル−N−エトキシアミノカルボニルである。「C3−6シクロアルキル」の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル、及びシクロヘキシルである。「N’−(C1−4アルキル)ウレイド」の例は、N’−メチルウレイド及びN’−イソプロピルウレイドである。「N’,N’−(C1−4アルキル)ウレイド」の例は、N’,N’−ジメチルウレイド及びN’−メチル−N’−イソプロピルウレイドである。「N’−(C1−4アルキル)ヒドラジノカルボニル」の例は、N’−メチルヒドラジノカルボニル及びN’−イソプロピルヒドラジノカルボニルである。「N’,N’−(C1−4アルキル)ヒドラジノカルボニル」の例は、N’N’−ジメチルヒドラジノカルボニル及びN’−メチル−N’−イソプロピルヒドラジノカルボニルである。「C1−4アルキルスルホニルアミノ」の例には、メチルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、及びt−ブチルスルホニルアミノが含まれる。「C1−4アルキルスルホニルアミノカルボニル」の例には、メチルスルホニルアミノカルボニル、イソプロピルスルホニルアミノカルボニル、及びt−ブチルスルホニルアミノカルボニルが含まれる。「C1−4アルキルスルホニル」の例には、メチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、及びt−ブチルスルホニルが含まれる。
【0027】
、X、X、及びXの構造における破線は、X、X、X、及びXのそれぞれが分子の残りへ付く点を示す。例えば、環XがXであるとき、式(I)の構造は、以下の通りである:
【0028】
【化6】

【0029】
式(I)の化合物は、安定な酸性又は塩基性の塩を生成してよく、そのような場合、塩としての化合物の投与が適正である場合があり、以下に記載のような慣用の方法によって医薬的に許容される塩を作製してよい。
【0030】
好適な医薬的に許容される塩には、メタンスルホン酸塩、トシラート、α−グリセロリン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、及び臭化水素酸塩のような酸付加塩が含まれる。また適しているのは、リン酸及び硫酸と生成される塩である。別の側面において、好適な塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム又はマグネシウム)塩、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、tris−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−メチルd−グルカミン、及びリジンのようなアミノ酸)塩のような塩基性塩である。荷電官能基の数とカチオン又はアニオンの原子価に依存して、1より多いカチオン又はアニオンが存在する場合がある。好ましい医薬的に許容される塩は、ナトリウム塩である。
【0031】
しかしながら、製造の間の塩の単離を容易にするには、医薬的に許容されるかどうかに拘らず、選択される溶媒にさほど溶けない塩が好ましい場合がある。
本発明内では、式(I)の化合物又はその塩が互変異性の現象を明示する場合があること、そして本明細書内の式図が可能な互変異性型の1つしか表し得ないことを理解されたい。本発明にはDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVを阻害するどの互変異性型も含まれ、式図内で利用するどの1つの互変異性型にも限定されないと理解されたい。本明細書内の式図は、可能な互変異性型の1つしか表し得ず、本明細書には、本明細書で図示的に示すことが可能であった形態だけでない、図示化合物のすべての可能な互変異性型が含まれると理解されたい。同じことが化合物名に適用される。
【0032】
当業者には、式(I)のある化合物が不斉に置換された炭素及び/又はイオウ原子を含有し、それ故に光学活性及びラセミの形態で存在して、単離され得ることが理解されよう。多形を明示する化合物もある。本発明には、その型がDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害に有用な特性を保有する、あらゆるラセミ、光学活性、多形、又は立体異性の形態、又はこれらの混合物が含まれると理解され、光学活性型を(例えば、ラセミ型の再結晶技術による分割により、光学活性の出発材料からの合成により、キラル合成により、酵素分割により、生物的変換により、又はキラル定常相を使用するクロマトグラフィー分離により)製造する方法と、DNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害の効力を以下に記載の標準試験により定量する方法は、当該技術分野でよく知られている。
【0033】
また、式(I)のある種の化合物とその塩は、非溶媒和型だけでなく、例えば水和型のような溶媒和型で存在し得ることも理解されたい。本発明には、DNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVを阻害するすべてのそのような溶媒和型が含まれると理解されたい。
【0034】
本明細書に言及するある種の置換基及び基に具体的で適した意義を以下に続ける。これらの意義は、上記又は下記に開示する定義及び態様のいずれでも適宜使用してよい。疑念の回避のために言えば、それぞれ述べられる種は、本発明の具体的で独立した側面を表す。
【0035】
は、C1−4アルキルである。
は、メチルである。
は、ハロ又はシアノである。
【0036】
は、クロロ又はシアノである。
は、ハロである。
は、クロロである。
【0037】
は、シアノである。
環Xは、X、X、又はXより選択される複素環式環である。
環Xは、Xである。
【0038】
環Xは、Xである。
環Xは、Xである。
環Xは、Xである。
【0039】
Yは、フェニルであり;ここでYは、炭素上で1又は2のハロ、C1−4アルキル、又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。
Yは、アゼチジニルでありここで前記アゼチジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここで、Yは、炭素上で1又は2のハロ、C1−4アルキル、又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。
【0040】
Yは、ピペリジニルであり;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここで、Yは、炭素上で1又は2のハロ、C1−4アルキル、又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。
【0041】
Yは、ピロリジニルであり;ここで前記ピロリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここで、Yは、炭素上で1又は2のハロ、C1−4アルキル、又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。
【0042】
Yは、フェニル及びピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここで、Yは、炭素上で1のハロ又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。
【0043】
Yは、フェニル及びピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここで、Yは、炭素上で1のフルオロ又はメトキシにより置換されていてもよい。
【0044】
Yは、フェニル、3−フルオロピペリジニル、及び3−メトキシピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いている。
Yは、フェニル、(3S,4R)−3−フルオロピペリジニル、及び3−メトキシピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いている。
【0045】
環Aは、カルボシクリル又はヘテロシクリルである。
環Aは、フェニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリミジニル、又はピリジニルである。
【0046】
環Aは、フェニル、チアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、ピリミジン−4−イル、又はピリジン−2−イルである。
環Aは、カルボシクリルである。
【0047】
環Aは、フェニルである。
環Aは、ヘテロシクリルであり;ここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R11より選択される基により置換されていてもよい。
【0048】
環Aは、ヘテロシクリルである。
環Aは、チアゾリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ピリミジニル、又はピリジニルである。
【0049】
環Aは、チアゾール−2−イル、キノリン−4−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリジン−2−イル、又はピリジン−4−イルである。
は、炭素上の置換基を表して、ハロ、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;ここでRは、C1−4アルコキシより選択される。
【0050】
は、炭素上の置換基を表して、フルオロ、クロロ、カルボキシ、メチル、メトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はイソプロポキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;ここでRは、メトキシより選択される。
【0051】
は、炭素上の置換基を表して、フルオロ、クロロ、カルボキシ、メチル、メトキシ、メトキシカルボニル、メトキシメチル、エトキシカルボニル、又はイソプロポキシカルボニルより選択される。
【0052】
は、ハロ、カルボキシ、カルバモイル、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニル、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、又はN−(C1−4アルキル)−N−(C1−4アルコキシ)カルバモイルより選択される。
【0053】
は、カルボキシ、カルバモイル、C1−4アルコキシ又はC1−4アルコキシカルボニル、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、又はN−(C1−4アルキル)−N−(C1−4アルコキシ)カルバモイルより選択される。
【0054】
は、ハロ、カルボキシ、カルバモイル、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択される。
は、カルボキシ、カルバモイル、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択される。
【0055】
は、ハロ、カルボキシ、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択される。
は、カルボキシ、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択される。
【0056】
は、カルボキシ、カルバモイル、及びC1−4アルコキシカルボニルより選択されて、mは、1又は2である。
は、カルボキシ及びC1−4アルコキシカルボニルより選択されて、mは、1又は2である。
【0057】
mは、1又は2である。
mは、1である。
mは、2である。
【0058】
は、炭素上の置換基であり、ハロ、カルボキシ、カルバモイル、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;ここで
は、C1−4アルコキシ又はカルボシクリル−R−より選択され;そして
は、直結合である。
【0059】
は、炭素上の置換基であり、クロロ、カルボキシ、カルバモイル、メチル、メトキシ、N−(イソプロピル)カルバモイル、N−(メトキシ)カルバモイル、メトキシカルボニル、又はエトキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;ここで
は、メトキシ又はフェニル−R−より選択され;そして
は、直結合である。
【0060】
は、炭素上の置換基であり、クロロ、カルボキシ、カルバモイル、メチル、メトキシメチル、メトキシ、N−(1−メチル−1−フェニルエチル)カルバモイル、N−(メトキシ)カルバモイル、メトキシカルボニル、又はエトキシカルボニルより選択される。
【0061】
は、水素である。
mは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じでも異なってもよい。
故に、本発明のさらなる側面において、上記の式(I)[式中:
は、C1−4アルキルであり;
は、ハロ又はシアノであり;
環Xは、X、X、又はXより選択される複素環式環であり;
Yは、フェニル及びピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここで、Yは、炭素上で1のハロ又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい;
環Aは、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;
は、炭素上の置換基を表して、ハロ、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;ここでRは、C1−4アルコキシより選択される;そして
mは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じでも異なってもよい]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0062】
故に、本発明のさらなる側面において、上記の式(I)[式中:
は、メチルであり;
は、クロロ又はシアノであり;
環Xは、X、X、又はXより選択される複素環式環であり;
Yは、フェニル、3−フルオロピペリジニル、及び3−メトキシピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;
環Aは、フェニル、チアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、ピリミジン−4−イル、又はピリジン−2−イルであり;
は、炭素上の置換基を表して、フルオロ、クロロ、カルボキシ、メチル、メトキシ、メトキシカルボニル、メトキシメチル、エトキシカルボニル、又はイソプロポキシカルボニルより選択され;そして
mは、1又は2であり;ここでRのこの数値は、同じでも異なってもよい]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0063】
本発明の具体的な化合物は、「実施例」の化合物であり、そのそれぞれが本発明のさらに独立した側面を提供する。さらなる側面において、本発明はまた、「実施例」のどの2以上の化合物も含む。
【0064】
本発明の1つの態様では、式(I)の化合物を提供し、別の態様では、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩を提供する。
さらなる側面において、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法を提供する。
【0065】
このように、本発明はまた、式(I)の化合物とその医薬的に許容される塩が以下のような方法によって製造し得ることを提供する(ここで変数は、他に述べなければ、上に定義される通りである):
方法a)X=X、X、X、及びXである式(I)の化合物では;式(II):
【0066】
【化7】

【0067】
[式中、R=C1−4アルキル又は水素;W=−NC(O)N、−CH=CHNH−、−N=CH−NH−、又は−(CH−NH−]の化合物を(それぞれ)式(I)の化合物へ環化すること;又は
方法b)X=Xである式(I)の化合物では;式(III):
【0068】
【化8】

【0069】
[式中、R=−CHC(OCHCHO)]の化合物を式(I)の化合物へ変換すること;又は
方法c)Y=フェニルである式(I)の化合物では;式(IV):
【0070】
【化9】

【0071】
の化合物を式(V):
【0072】
【化10】

【0073】
[式中、XとXの一方は、置換可能基「L」であり、他方は、有機金属試薬「M」である]の化合物と反応させること;又は
方法d)Yが、環中の窒素を介して環Aへ連結するアゼチジニル、ピペリジニル、又はピロリジニルである式(I)の化合物では;式(VI):
【0074】
【化11】

【0075】
の化合物を式(VII):
【0076】
【化12】

【0077】
[式中、Dは、置換可能基である]の化合物と反応させること;
そしてその後必要であれば:
i)式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へ変換すること;
ii)あらゆる保護基を外すこと;
iii)医薬的に許容される塩を生成すること。
【0078】
Lは、置換可能基であり、Lに適した意義には、クロロ、ブロモ、トシル、及びトリフルオロメチルスルホニルオキシが含まれる。
Mは、有機金属試薬であり、Mに適した意義には、有機ホウ素及び有機スズ試薬、特にB(OR(ここでRは水素又はC1−6アルキルであり、例えばB(OH));及びSn(R(ここでRはC1−6アルキルであり、例えばSn(Bu))が含まれる。
【0079】
Dは置換可能基であり、Lに適した意義には、ハロ(クロロ及びブロモが含まれる)が含まれる。
上記反応の具体的な反応条件は、以下の通りである:
方法a)式(II)の化合物は、好適な溶媒、例えば、トルエン、N−メチルピロリジン、又はキシレンにおいて、加熱と好ましくは圧力を伴って、環化してよい。
【0080】
式(II)の化合物は、以下のスキームによって製造してよい:
【0081】
【化13】

【0082】
式(IIa)及び(IIb)の化合物は市販の化合物であるか、又はそれらは文献に知られているか、又はそれらは当該技術分野で知られた標準の方法によって製造してよい。
方法b)式(III)の化合物は、トルエンのような好適な溶媒とともに、メタンスルホン酸のような酸と加熱の存在下に環化してよい。ここでR=CH(−OCHCHO−)。
【0083】
式(III)の化合物は、以下のスキームによって製造することができる:
【0084】
【化14】

【0085】
式(IIIa)及び(IIIb)の化合物は、市販の化合物であるか、又はそれらは文献に知られているか、又はそれらは当該技術分野で知られた標準の方法によって製造してよい。
【0086】
方法c)式(IV)及び(V)の化合物は、適正な触媒を利用するカップリング化学によって一緒に反応させてよい。そのような反応は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Mが有機ホウ素基である場合、Pd(PPhと炭酸ナトリウムのような好適な塩基を利用することができる。Mが有機スズ試薬である場合、Pd(PPhを触媒として利用することができる。この反応は好適な溶媒中で起きて、発熱条件を必要とする場合がある。
【0087】
式(IV)の化合物は、以下のスキームによって製造してよい:
【0088】
【化15】

【0089】
式(IVa)、(IVb)、及び(V)の化合物は、市販の化合物であるか、又はそれらは文献に知られているか、又はそれらは当該技術分野で知られた標準の方法によって製造してよい。
【0090】
方法d)式(VI)及び(VII)の化合物は、好適な溶媒、例えばN−メチルピロリジン又はDMFにおいて、加熱と好適な塩基、例えばトリエチルアミン又はヒューニッヒ塩基とともに一緒に反応させてよい。
【0091】
式(VI)の化合物は、以下のスキームによって製造してよい:
【0092】
【化16】

【0093】
式(VIa)、(VIb)、及び(VII)の化合物は、市販の化合物であるか、又はそれらは文献に知られているか、又はそれらは当該技術分野で知られた標準の方法によって製造してよい。
【0094】
医薬的に許容される塩の生成は、標準技術を使用する通常の有機化学者の技量内にある。
本発明の化合物中の様々な環置換基のあるものは、上に述べた方法に先立って、又はそのすぐ後で、標準の芳香族置換反応により導入しても、慣用の官能基修飾により生成してもよく、それ自体が本発明の方法の側面に含まれると理解されよう。そのような環置換基を導入するために使用する試薬は、市販されているか、又は当該技術分野で知られた方法により作製する。
【0095】
置換基の環への導入により、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換してよい。そのような反応及び修飾には、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化、置換基の酸化、置換基のエステル化、置換基のアミド化、ヘテロアリール環の形成が含まれる。そのような手順の試薬及び反応条件は、化学の技術分野でよく知られている。芳香族置換反応の具体的な例には、アルコキシドの導入、ジアゾ化反応に続くチオール基、アルコール基、ハロゲン基の導入が含まれる。修飾の例には、アルキルチオのアルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルへの酸化が含まれる。
【0096】
熟練した有機化学者は、上記の参考文献とその中の付帯の実施例、そして本明細書の実施例に含まれて参考になる情報を使用及び採用して、必要な出発材料と生成物を入手することができよう。市販されていなければ、上記の手順に必要な出発材料は、標準の有機化学技術、既知の構造的に似た化合物の合成に類似した技術、又は上記の手順又は実施例に記載の手順に類似している技術より選択される手順によって作製してよい。上記のような合成法の出発材料の多くは、市販されている、及び/又は科学文献に広く報告されている、又は科学文献に報告された方法の適用を使用して、市販の化合物より作製することができることが注目される。読者には、反応条件及び試薬に関する一般的な手引書として『先端有機化学(Advanced Organic Chemistry)第4版』(Jerry March 著、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ出版、1992年)がさらに参考になる。
【0097】
本明細書に述べた反応の中には、化合物中の鋭敏な基を保護することが必要である/望ましい場合があることも理解されよう。保護化が必要であるか又は望ましい事例は、そのような保護化に適した方法と同様に、当業者に知られている。標準法に従って、慣用の保護基を使用してよい。例えば、『有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)』(T. M. Greene、1991)を参照されたい。
【0098】
ヒドロキシ基に適した保護基の例は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、トリメチルシリルのようなシリル基、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基、又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、トリメチルシリルのようなシリル基は、例えば、フッ化物によるか又は酸水溶液によって外してよく;又は、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒の存在下の水素化により外してよい。
【0099】
アミノ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基のようなアシル基、又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、又はリン酸、又はトリフルオロ酢酸のような好適な酸での処理により外してよく、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により、又はルイス酸、例えばtris(トリフルオロ酢酸)ホウ素での処理により外してよい。一級アミノ基に適した代替の保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン又は2−ヒドロキシエチルアミンでの、又はヒドラジンでの処理により外してよい。
【0100】
カルボキシ基に適した保護基は、例えば、エステル化基(例えばメチル又はエチル基であり、これは、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基での加水分解によって外してよい)、又は例えばt−ブチル基(例えば、酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸での処理により外してよい)、又は、例えばベンジル基(例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外してよい)である。
【0101】
保護基は、化学の技術分野でよく知られた慣用の技術を使用して、合成中のどの簡便な段階で外してもよく、また、それらは、後の反応工程又は後処理の間に外してもよい。
本発明の化合物の光学活性型が求められる場合、それは、光学活性の出発材料(例えば、好適な反応工程の不斉誘導により生成する)を使用して上記手順の1つを行うことによるか、又は標準手順を使用して化合物又は中間体のラセミ型を分割することによるか、又はジアステレオ異性体(生成される場合)のクロマトグラフィー分離により入手してよい。光学活性化合物及び/又は中間体の製造には、酵素技術が有用な場合もある。
【0102】
同様に、本発明の化合物の純粋な位置異性体が求められる場合、それは、純粋な位置異性体を出発材料として使用して上記の手順の1つを行うことによるか、又は標準手順を使用する位置異性体又は中間体の混合物の分割によって入手してよい。
【0103】
酵素力価試験法
化合物について、モリブデン酸アンモニウム/マラカイトグリーンをベースとするリン酸検出アッセイ(Lanzetta, P. A., L. J. Alvarez, P. S. Reinach, and O. A. Candia, 1979, 100: 95-97)を使用して、GyrB ATPアーゼ活性の阻害を試験した。アッセイは、マルチウェルプレートにおいて、50mM TRIS緩衝液(pH7.5)、75mM酢酸アンモニウム、5.5mM塩化マグネシウム、0.5mMエチレンジアミン四酢酸、5%グリセロール、1mM 1,4−ジチオ−DL−スレイトール、200nMウシ血清アルブミン、16μg/ml剪断サケ精子DNA、4nM E.coli(大腸菌)GyrA、4nM E.coli GyrB、250μM ATP、及び化合物をジメチルスルホキシドに含有する100μl反応液中で実施した。1.2mMマラカイトグリーン塩酸塩、8.5mMモリブデン酸アンモニウム四水和物、及び1M塩酸を含有する150μlのモリブデン酸アンモニウム/マラカイトグリーン検出試薬で反応液を急冷した。プレートを吸光度プレートリーダーにおいて625nmで読取り、ジメチルスルホキシド(2%)含有反応液を0%阻害として、そしてノボビオシン含有(2μM)反応液を100%阻害対照として使用して、阻害百分率の値を算出した。
【0104】
化合物について、100μl反応液が以下:20mM TRIS緩衝液(pH8)、50mM酢酸アンモニウム、8.5mM塩化マグネシウム、0.5mMエチレンジアミン四酢酸、5%グリセロール、5mM 1,4−ジチオ−DL−スレイトール、0.005% Brij−35、5μg/ml剪断サケ精子DNA、10nM E.coli ParC、10nM E.coli ParE、150μM ATP、及び化合物をジメチルスルホキシドに含有すること以外は、GyrBについて上記したようにして、トポイソメラーゼIV ATPアーゼ活性の阻害を試験した。化合物の力価は、10の異なる化合物濃度の存在下で実施した反応より定量されるIC50測定値に基づいた。
【0105】
本発明の化合物は、全般に、上記の片方又は両方のアッセイにおいて、200μg/ml未満のIC50値を有する。
細菌感受性試験法
化合物について、液体培地中の感受性試験によって抗微生物活性を試験した。化合物をジメチルスルホキシドに溶かして、10回の倍々希釈液において、感受性アッセイで試験した。アッセイに使用する微生物を好適な寒天培地上で一晩増殖させてから、その微生物の増殖に適した液体培地に懸濁した。この懸濁液を0.5マクファーランド(McFarland)として、同じ液体培地でさらに10倍希釈して、最終の微生物懸濁液を100μLで調製した。プレートを適切な条件下に37℃で24時間インキュベートしてから読み取った。増殖を80%以上抑制することが可能な最低の薬物濃度として最小阻止濃度を決定した。
【0106】
実施例22は、Streptococcus pneumoniae(肺炎連鎖球菌)に対して50nM/mlのMICを有した。
本発明のさらなる特徴により、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩をヒト又は動物の身体の療法による治療の方法における使用に提供する。
【0107】
我々は、本発明の化合物が細菌のDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVを阻害して、それ故に、その抗菌効果が興味深いことを見出した。本発明の1つの側面において、本発明の化合物は、細菌DNAジャイレースを阻害して、それ故にその抗菌効果が興味深い。本発明の1つの側面において、本発明の化合物は、トポイソメラーゼIVを阻害して、それ故にその抗菌効果が興味深い。本発明の1つの側面において、本発明の化合物は、DNAジャイレースとトポイソメラーゼIVをともに阻害して、それ故にその抗菌効果が興味深い。
【0108】
本発明の化合物は、限定されないが、市中肺炎、院内肺炎、皮膚及び皮膚構造の感染症、慢性気管支炎の急性増悪、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、カテーテル関連敗血症、熱性好中球減少症、骨髄炎、心内膜炎、尿路感染症、及び、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌、及びバンコマイシン耐性腸球菌のような薬剤耐性菌により引き起こされる感染症が含まれる細菌感染症を治療するのに有用であろう。
【0109】
本発明のさらなる特徴により、そのような治療の必要なヒトのような温血動物において抗菌効果を生じさせるための方法を提供し、該方法は、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0110】
本発明のさらなる特徴により、そのような治療の必要なヒトのような温血動物における細菌のDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害の方法を提供し、該方法は、上に定義されるような式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0111】
本発明のさらなる特徴により、そのような治療の必要なヒトのような温血動物において細菌感染症を治療する方法を提供し、該方法は、上に定義されるような式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0112】
本発明のさらなる特徴は、医薬品としての使用のための、式(I)の化合物とその医薬的に許容される塩である。好適には、医薬品は、抗菌剤である。
本発明のさらなる側面により、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物において抗菌効果を生じさせるのに使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0113】
本発明のさらなる側面により、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における細菌のDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害に使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0114】
従って、本発明のさらなる側面により、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における細菌感染症の治療に使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0115】
本発明のさらなる側面により、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩をヒトのような温血動物において抗菌効果の生じさせることにおける使用に提供する。
本発明のさらなる側面により、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩をヒトのような温血動物における細菌のDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害における使用に提供する。
【0116】
従って、本発明のさらなる側面により、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩をヒトのような温血動物における細菌感染症の治療における使用に提供する。
式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩(以下、医薬組成物に関する本節において「本発明の化合物」)をヒトが含まれる哺乳動物の療法(予防が含まれる)治療に、特に感染症を治療するのに使用するために、それは、標準の製剤実践に従って、医薬組成物として通常製剤化される。
【0117】
故に、別の側面において、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と医薬的に許容される希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明のさらなる側面により、上に定義される式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む医薬組成物をヒトのような温血動物において抗菌効果を生じさせることの使用に提供する。
【0118】
本発明のさらなる側面により、上に定義される式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む医薬組成物をヒトのような温血動物における細菌のDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害における使用に提供する。
【0119】
本発明のさらなる側面により、上に定義される式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む医薬組成物をヒトのような温血動物における細菌感染症の治療における使用に提供する。
【0120】
本発明の組成物は、経口使用に(例えば、錠剤、トローチ剤、硬又は軟カプセル剤、水性又は油性の懸濁液剤、乳剤、分散性の散剤又は顆粒剤、シロップ剤又はエリキシル剤として)、局所使用に(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、又は水性又は油性の溶液剤又は懸濁液剤として)、吸入による投与に(例えば、微細化散剤又は液体エアゾール剤として)、通気による投与に(例えば、微細化散剤として)、又は非経口投与に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内へ投薬する無菌の水性又は油性の溶液剤として、又は直腸投薬用の坐剤として)適した形態であってよい。
【0121】
本発明の組成物は、当該技術分野でよく知られている慣用の医薬賦形剤を使用する慣用の手順により入手してよい。従って、経口使用に企図される組成物は、例えば、1以上の着色剤、甘味剤、芳香剤及び/又は保存剤を含有してよい。
【0122】
錠剤製剤に適した医薬的に許容される賦形剤には、例えば、乳糖、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウムのような不活性希釈剤;コーンスターチ又はアルギン酸のような造粒剤及び崩壊剤;デンプンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような滑沢剤;p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような保存剤、及び、アスコルビン酸のような抗酸化剤が含まれる。錠剤製剤は、被覆しなくても、有効成分の胃腸管内での崩壊と後続の吸収を変化させる、又はその安定性及び/又は外観を改善するために被覆してもよく、いずれの場合でも、当該技術分野でよく知られている慣用のコーティング剤及び手順を使用する。
【0123】
経口使用の組成物は、不活性の固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと有効成分を混合する硬ゼラチンカプセル剤の形態であっても、水又は落花生油、流動パラフィン、又はオリーブ油のようなオイルと有効成分を混合する軟ゼラチンカプセル剤の形態であってもよい。
【0124】
一般に、水性懸濁液剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴムのような1以上の懸濁剤;レシチン、又は脂肪酸と酸化アルキレンの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、又は長鎖脂肪族アルコールと酸化エチレンの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような、脂肪酸及びヘキシトールより誘導される部分エステルと酸化エチレンの縮合生成物、又は、長鎖脂肪族アルコールと酸化エチレンの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような、脂肪酸及びヘキシトールより誘導される部分エステルと酸化エチレンの縮合生成物、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物より誘導される部分エステルと酸化エチレンの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートのような分散剤又は湿潤剤と一緒に、微細粉末の形態で有効成分を含有する。水性懸濁液剤はまた、1以上の保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような)、抗酸化剤(アスコルビン酸のような)、着色剤、芳香剤、及び/又は甘味剤(ショ糖、サッカリン又はアスパルテームのような)を含有してよい。
【0125】
油性懸濁液剤は、植物油(落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油のような)又は鉱油(流動パラフィンのような)に有効成分を懸濁することによって製剤化してよい。油性懸濁液剤はまた、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールのような濃化剤も含有してよい。口当たりのよい経口調製物を提供するために、上に示したような甘味剤と芳香剤を加えてよい。上記組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加により保存してよい。
【0126】
水の添加による水性懸濁液剤の調製に適した分散性の散剤及び顆粒剤は、一般に、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び1以上の保存剤と一緒に有効成分を含有する。好適な分散又は湿潤剤と懸濁剤は、すでに上記のものにより例示されている。甘味剤、芳香剤、及び着色剤のような追加の賦形剤も存在してよい。
【0127】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、オリーブ油又は落花生油のような植物油、又は例えば流動パラフィンのような鉱油、又はこれらのいずれかの混合物であってよい。好適な乳化剤は、例えば、アカシアゴムやトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、大豆、レシチンのような天然に存在するホスファチド、脂肪酸及び無水へキシトールより誘導されるエステル又は部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような、酸化エチレンと前記部分エステルの縮合生成物であってよい。乳剤は、甘味剤、芳香剤、及び保存剤も含有してよい。
【0128】
シロップ剤とエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテーム又はショ糖のような甘味剤とともに製剤化してよく、粘滑剤、保存剤、芳香剤及び/又は着色剤も含有してよい。
【0129】
本医薬組成物はまた、無菌で注射可能な水性又は油性懸濁液剤の形態であってよく、これは、上記した、1以上の適切な分散剤又は湿潤剤と懸濁剤を使用する既知の手順に従って製剤化してよい。無菌の注射可能な調製物はまた、非経口的に許容される無毒の希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液剤又は懸濁液剤、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液剤であってよい。
【0130】
吸入による投与用の組成物は、微細固形物を含有するエアゾール剤か又は液体の小滴として有効成分を調合するように配置された慣用の加圧エアゾール剤の形態であってよい。揮発性フッ素化炭化水素又は炭化水素のような慣用のエアゾール推進剤を使用してよく、エアゾールデバイスは、簡便には、目盛り量の有効成分を調合するように配置される。
【0131】
製剤に関するさらなる情報について、読者には、「医化学総覧(Comprehensive Medicinal Chemistry)」(Corwin Hansch; 編集長)ペルガモンプレス(1990)の第5巻、25.2章が参考になる。
【0132】
1以上の賦形剤と組み合わせて単一の剤形をもたらす有効成分の量は、治療される宿主と具体的な投与経路に依存して必然的に変化するものである。例えば、ヒトへの経口投与に企図される製剤は、一般に、例えば、0.5mg〜2gの活性剤を含有し、組成物全体の約5〜約98重量パーセントを変動し得る適正で簡便な量の賦形剤と複合される。単位剤形は、一般に、約1mg〜約500mgの有効成分を含有する。投与経路と投与方式に関するさらなる情報について、読者には、「医化学総覧(Comprehensive Medicinal Chemistry)」(Corwin Hansch; 編集長)ペルガモンプレス(1990)の第5巻、25.3章が参考になる。
【0133】
本発明の化合物に加えて、本発明の医薬組成物は、他の臨床的に有用な抗菌剤(例えば、マクロライド、キノロン、β−ラクラム、又はアミノグリコシド)及び/又は他の抗感染剤(例えば、抗真菌薬のトリアゾール又はアンホテリシン)より選択される1以上の既知の薬物を含有しても、それとともに(同時に、連続的に、又は別個に)投与してもよい。これらには、治療有効性を拡げるために、カルバペネム(例えば、メロペネム又はイミペネム)を含めてよい。本発明の化合物は、グラム陰性菌と抗微生物剤に抵抗性の細菌に抗する活性を向上させるために、殺菌性/透過亢進タンパク(BPI)産物又は流出ポンプ阻害剤を含有しても、それと同時投与してもよい。
【0134】
上記したように、具体的な疾患状態の療法又は予防治療に必要とされる用量のサイズは、治療される宿主、投与の経路、並びに治療される病気の重症度に応じて必然的に変動する。好ましくは、1〜50mg/kgの範囲の1日用量を利用する。しかしながら、この1日用量は、治療される宿主、具体的な投与経路、並びに治療される病気の重症度に応じて必然的に変動するものである。故に、最適投与量は、具体的な患者を治療している医療実施者により決定され得る。
【0135】
治療医薬品におけるその使用に加えて、式(I)の化合物とその医薬的に許容される塩は、新たな療法剤の探索の一部として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット、及びマウスのような実験動物におけるDNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害剤の効果の評価用の in vitro 及び in vivo 試験系を開発及び標準化するときの薬理学的ツールとしても有用である。
【0136】
上記の他の医薬組成物、方法、手法、使用、及び医薬品製造の特徴には、本明細書に記載の本発明の化合物の代わりの具体的な態様も適用される。
実施例
これから本発明を、以下の非限定的な実施例により例示する。ここで、他に述べなければ、以下のとおりである。
【0137】
(i)蒸発操作は、真空中のロータリーエバポレーションにより行って、残留固形物の濾過による除去の後で、後処理操作を行った。
(ii)反応は、通常は18〜26℃の範囲にある周囲温度で、他に述べなければ、又は当業者が他のやり方で不活性気体の下で作業しなければ、空気を排除せずに行った。
【0138】
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ法による)は、化合物を精製するために使用して、他に述べなければ、Merck Kieselgelシリカ(Art.9385)で実施した。
【0139】
(iv)収率は、例示のためにのみ示し、必ずしも達成可能な最大値ではない。
(v)一般に、本発明の最終生成物の構造は、NMR及び質量スペクトルの技術により確定した[プロトン磁気共鳴スペクトルを引用して、他に述べなければ、300MHzの磁場強度で作動するBruker DRX−300分光計を使用して、DMSO−dにおいて概して決定した。化学シフト(δスケール)を内部標準としてのテトラメチルシランから下方磁場の百万分率で報告して、ピーク多重度を以下のように示す:s,一重項;d,二重項;AB又はdd,二重項の二重項;dt,三重項の二重項;dm,多重項の二重項;t,三重項,m,多重項;br,ブロード];一般に、高速原子衝突(FAB)質量スペクトルデータは、Platform分光計(供給元:Micromass)をエレクトロスプレーで作動させて使用して入手し、適宜、陽イオンデータ又は陰イオンデータのいずれかを回収するか、又はSedex 75ELSDを取り付けたAgilent 1100シリーズLC/MSDをAPCIモードで作動させて使用して、適宜、陽イオンデータ又は陰イオンデータのいずれかを回収した。旋光度は、Perkin Elmer Polarimeter 341を使用して、20℃、589nmで決定した。
【0140】
(vi)各中間体は、後続の段階に求められる標準まで精製し、十分詳しく特性決定して、帰属した構造が正しいことを確かめた;HPLC、TLC、又はNMRにより純度を評価して、赤外分光法(IR)、質量分析法、又はNMR分光法により適宜同一性を決定した。
【0141】
(vii)以下の略語を使用した。
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
TLC 薄層クロマトグラフィー;
HPLC 高速液体クロマトグラフィー;
DMSO ジメチルスルホキシド;
CDCl 重水素クロロホルム;
MS 質量分析法;
APCI 大気圧化学イオン化;
EtOAc 酢酸エチル;
MeOH メタノール;
TFA トリフルオロ酢酸;
HATU N−[(ジメチルアミノ)−1H,2,3−トリアゾロ[4,5−b−]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウム・ヘキサフルオロリン酸塩N−オキシド;
THF テトラヒドロフラン;
EtOH エタノール;
DCM又はCHCl ジクロロメタン;
EtN トリエチルアミン;
DME ジメトキシエタン。
【0142】
(viii)温度は、℃として表示する。
(ix)GCMSは、質量分析計(モデル5973)[製造元:Agilent]を伴う気相クロマトグラフィー(モデル6890N)であり、製造業者の説明書に従って使用した。
【0143】
具体的の材料についての合成手順を示さない場合、その材料は、市販品であるか、又は既知の手順より合成することができる。
[実施例1]:2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル
6−メチル−2,4−ジオキソ−3−ピペリジン−4−イル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(中間体1)(35mg,0.128ミリモル)を乾燥DMF(4ml)に懸濁させた。トリエチルアミン(13mg,0.128ミリモル)と2−ブロモ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル(市販されている)(29mg,0.128ミリモル)を加えてから、この混合物を130℃のマイクロ波で30分間加熱した。この混合物を酢酸エチル(50ml)で希釈し、水(2x20ml)で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5%メタノール)により精製して、望まれる生成物(17mg)をオフホワイトの固形物として得た。MP>345℃(分解)。
【0144】
MS(ES):C1818Sに対して415.08(MH)。
1H-NMR δ: 1.67 (m, 2H); 2.36 (s, 3H); 2.64 (m, 2H); 3.32 (m, 2H); 3.75 (s, 3H); 4.07 (m, 2H); 5.04 (m, 1H); 7.87 (s, 1H); 11.81 (br, 1H); 12.80 (br, 1H)。
【0145】
[実施例2]:2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸エチル
実施例2は、中間体1と2−ブロモ−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸エチル(米国特許第5,770,758号に記載のように製造した)より、実施例1の手順に従って合成した。
【0146】
MS(ES):C2322Sに対して479.01(MH)。
1H-NMR (CDCl3+1滴のCD3OD) δ: 1.40 (t, 3H); 1.74 (m, 2H); 2.40 (s, 3H); 2.73 (m, 2H); 3.23 (t, 2H); 4.30 (m, 2H); 4.41 (q, 2H); 5.09 (m, 1H); 7.33 (t, 1H); 7.64 (d, 1H); 7.75 (d, 1H)。
【0147】
[実施例3]:2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸
実施例1で製造した2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル(12mg,0.029ミリモル)をTHF/メタノール/HOの混合物(2:1:1,4ml)に溶かした。NaOH(0.5ml,2M)を加えて、この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空で除去して、残る水溶液をpH=2へ酸性化し、精製した白い沈殿を濾過し、水で洗浄して、望まれる生成物(3mg)として採取した。
【0148】
MS(ES):C1716Sに対して401(MH)。
1H-NMR δ: 1.67 (m, 2H); 2.36 (s, 3H); 2.64 (m, 2H); 3.32 (m, 2H); 4.10 (m, 2H); 5.04 (m, 1H); 7.77 (s, 1H); 11.81 (br, 1H); 12.81 (br, 1H); 13.30 (br, 1H)。
【0149】
[実施例4〜5]
以下の実施例4〜5は、示した出発材料を使用して、実施例3と同様の手順により製造した。
【0150】
【表1】

【0151】
[実施例6]:4’−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボン酸
3−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−2,4−ジオキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(中間体4)(50mg,0.15ミリモル)、(3−エトキシカルボニルフェニル)ボロン酸(30mg,0.15ミリモル)、PS−PPh−Pd(樹脂、136mg,0.11ミリモル/g,0.015ミリモル)、及び炭酸カリウム(69mg,0.5ミリモル)をミクロ反応管においてDME/EtOH/HO(2:2:1,4ml)に懸濁した。この混合物をマイクロ波において120℃まで30分間加熱してから、室温へ冷やした。この反応混合物を濾過して、濾過ケークを水(5ml)で洗浄した。合わせた水性の濾液をジエチルエーテルで洗浄した。水層をpH=2へ酸性化(2M HCl)して、酢酸エチル(2x10ml)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、ジクロロメタン中15%メタノールで溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、望まれる生成物(32mg)をオフホワイトの固形物として得た。
【0152】
MS(ES):C2114に対して387(MH)。
1H-NMR δ: 2.40 (s, 3H); 7.38 (d, 2H); 7.67 (t, 1H); 7.80 (d, 2H); 7.96 (d, 2H); 8.24 (s, 1H); 12.05 (s, 1H); 12.96 (s, 1H); 13.12 (br, 1H)。
【0153】
[実施例7]
以下の実施例7は、示した出発材料を使用して、実施例6と同様の手順により製造した。
【0154】
【表2】

【0155】
[実施例8]:2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]イソニコチン酸エチル
3−クロロ−2−メチル−6−ピペリジン−4−イル−1,6−ジヒドロ−7H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−7−オン(中間体6)(40mg,0.133モル)、2−フルオロイソニコチン酸エチル(22.5mg,0.133ミリモル)、及びジイソプロピルエチルアミン(34.4mg,0.266ミリモル)をマイクロ波反応管においてN−メチルピロリドン(3ml)中で混合して、160℃まで加熱した。反応が完了したとき、この混合物を酢酸エチル(10ml)で希釈し、水(3x5ml)で洗浄し、有機層を濃縮し、ジクロロメタン中5%メタノールで溶出させるカラムクロマトグラフィーにより精製して、望まれる生成物(15mg)を固形物として得た。
【0156】
MS(ES):C2123ClNに対して415(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.33 (t, 3H); 2.0 (m, 4H); 2.42 (s, 3H); 3.06 (m, 2H); 4.30 (q, 2H); 4.60 (m, 2H); 5.30 (m, 1H); 6.52 (d, 1H); 6.92 (d, 1H); 7.10 (d, 1H); 7.30 (s, 1H); 8.30 (d, 1H); 12.02 (s, 1H)。
【0157】
[実施例9〜15]
実施例9〜15は、示した出発材料を使用して、実施例8と同様の手順により製造した。
【0158】
【表3】

【0159】
【表4】

【0160】
[実施例16〜23]
実施例16〜23は、示した出発材料を使用して、実施例3の記載に類似した手順により製造した。
【0161】
【表5】

【0162】
【表6】

【0163】
[実施例24]:2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸エチル
85mg(0.27ミリモル)の4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジニウムクロリド(中間体17)、(60mg,0.27ミリモル)の2−ブロモ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸エチル、及び0.14ml(0.8ミリモル)のEtNの3ml DMF溶液をマイクロ波反応器において130℃で1時間加熱した。この混合物を水へ注いだ。固形物を採取し、真空で乾燥させて、65mgの表題生成物を得た。
【0164】
MS(ES):(MH)C2025ClNSに対して437。
[実施例25〜28]
実施例25〜28は、示した出発材料を使用して、実施例24の記載に類似した手順により製造した。
【0165】
【表7】

【0166】
[実施例29]:2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸
65mg(0.15ミリモル)の2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸エチル(実施例24)と0.3mlの2N LiOHの3ml MeOH溶液をマイクロ波反応器において100℃で加熱した。この混合物を0.65ml 1N HClで酸性化した。溶媒を除去し、残渣を水で摩砕して固形物を得て、これを濾過し、水で濯ぎ、真空で乾燥させて、53mgの生成物を得た。
【0167】
MS(ES):C1821ClNSに対して409,411(MH)。
1H-NMR δ: 1.5-2.0 (m, 6H); 2.15 (s, 3H); 3.0-3.3 (m, 6H); 4.1 (m, 2H); 4.7 (m, 1H); 7.8 (s, 1H); 11.3 (s, 1H); 12.6 (s, ブロード, 1H)。
【0168】
[実施例30〜32]
以下の実施例30〜32は、示した出発材料を使用して、実施例29の記載に類似した手順により製造した。
【0169】
【表8】

【0170】
出発材料の製造
中間体1:6−メチル−2,4−ジオキソ−3−ピペリジン−4−イル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル
4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(中間体2,40mg)をメタノール(10ml)に溶かし、触媒量のパラジウム(10%)担持活性炭を加えて、この混合物を窒素と水素で満たして、室温で水素下に一晩撹拌した。次いで、この混合物を珪藻土に通して濾過して、濾過ケークをメタノールで洗浄した。濾液を濃縮乾固させて、望まれる生成物(20mg)として採取した。
【0171】
MS(ES):C1315に対して274(MH)。
中間体2:4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル
4−[({[4−シアノ−2−(メトキシカルボニル)−5−メチル−1H−ピロール−3−イル]アミノ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(中間体3,150mg,0.34ミリモル)と炭酸カリウム(47mg,0.34ミリモル)をメタノール(3ml)とともに混合した。この混合物をマイクロ波反応管に密封して、マイクロ波で150℃まで50分間加熱した。この混合物を室温へ冷やし、ジクロロメタン(10ml)で希釈し、水(6ml)で洗浄し、有機層を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製してから、ジクロロメタン中5%メタノールで溶出させた。望まれる生成物(45mg)をオフホワイトの固形物として得た。
【0172】
MS(ES):C2121に対して408(MH)。
1H-NMR δ: 1.55 (m, 2H); 2.36 (s, 3H); 2.88 (m, 2H); 3.32 (m, 2H); 4.09 (m, 2H); 4.92 (m, 1H); 5.10 (s, 2H); 7.35 (m, 5H); 11.79 (br, 1H); 12.79 (br, 1H)。
【0173】
中間体3:4−[({[4−シアノ−2−(メトキシカルボニル)−5−メチル−1H−ピロール−3−イル]アミノ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル
3−アミノ−4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル(Heterocycles, 1989, 28(1), 51 に記載のように製造した、695mg,3.88ミリモル)、4−イソシアナートピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(2000mg,7.68ミリモル)、及びEtN(0.1当量)を無水アセトニトリル(30ml)中で混合した。次いで、この混合物を3日間還流させた。室温へ冷却後、溶液より生成した沈殿を濾過により採取し、ジクロロメタンで洗浄し、高真空で乾燥させて、望まれる生成物(1.6g)を黄色がかった固形物として得た。
【0174】
MS(ES):C2225に対して440(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.40 (m, 2H); 1.95 (m, 2H); 2.45 (s, 3H); 2.94 (m, 2H); 3.86 (s, 3H); 3.88 (m, 1H); 4.14 (m, 2H); 5.11 (s, 2H); 7.36 (m, 5H); 7.89 (br, 1H); 8.64 (br, 1H); 9.60 (br, 1H)。
【0175】
中間体4:3−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−2,4−ジオキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル
3−({[(4−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル(中間体5)(600mg,1.59ミリモル)と炭酸カリウム(224mg,1.62ミリモル)をメタノール(15ml)とともに混合した。この混合物をマイクロ波反応管に密封して、マイクロ波で160℃まで50分間加熱し、室温へ冷やし、ジクロロメタン(20ml)で希釈して、水(20ml)で洗浄した。有機層を濃縮して、Gilson逆相(C−18)カラムクロマトグラフィー(HO,0.1% TFA中5%〜95% MeCN)により精製した。望まれる生成物(200mg)をオフホワイトの固形物として得た。
【0176】
MS(ES):C14BrNに対して345(MH)。
1H-NMR δ: 2.39 (s, 3H); 7.25 (d, 2H); 7.67 (d, 2H); 12.03 (s, 1H); 12.94 (s, 1H)。
【0177】
中間体5:3−({[(4−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル
3−アミノ−4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル(Heterocycles, 1989, 28(1), 51 に記載のように製造した、300mg,1.68ミリモル)、4−ブロモフェニルイソシアネート(498mg,2.51ミリモル)、及びトリエチルアミン(0.2ml)を無水1,2−ジクロロエタン(10ml)中で混合した。次いで、この混合物を一晩還流させた。室温へ冷却後、ヘキサン/ジクロロメタンを加えて、生じる沈殿を濾過することによって、望まれる生成物(620mg)を白い固形物として得た。
【0178】
MS(ES):C1513BrNに対して378(MH)。
中間体6:3−クロロ−2−メチル−6−ピペリジン−4−イル−1,6−ジヒドロ−7H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−7−オン
6−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−3−クロロ−2−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−7−オン(中間体7)(80mg,0.23ミリモル)と1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(0.23ミリモル)を乾燥ジクロロエタン(10ml)に溶かし、0℃へ冷やして、1−クロロエチルクロロホルメート(48mg,0.34ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で15分間撹拌してから、90℃まで2時間加熱した。室温へ冷却後、溶媒を真空で除去して、残渣をメタノール(10ml)に溶かした。この混合物を10分間還流させてから、濃縮乾固させた。生じる材料をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中10%メタノール)により精製して、望まれる生成物(42mg)を得た。
【0179】
MS(ES):C1316ClNOに対して266(MH)。
1H-NMR (CD3OD) δ: 0.78 (m, 2H); 0.90 (m, 2H); 1.89 (m, 2H); 1.96 (s, 3H); 2.22 (m, 2H); 3.77 (m, 1H); 5.26 (d, 2H); 5.83 (d, 2H)。
【0180】
中間体7:6−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−3−クロロ−2−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−7−オン
N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−N−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド(中間体8)(400mg,0.96ミリモル)をメタンスルホン酸(10ml)に溶かして、60℃で2日間撹拌した。次いで、この反応混合物を室温へ冷やし、水酸化ナトリウムの冷溶液(2M,30ml)へ注いで、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮してオイルとした。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中10%メタノール)による精製によって、望まれる生成物(80mg)を得た。
【0181】
MS(ES):C2022ClNOに対して356(MH)。
1H-NMR δ: 1.90 (m, 4H); 2.20 (m, 2H); 2.41 (s, 3H); 3.03 (m, 2H); 3.56 (s, 2H); 5.12 (m, 1H); 6.55 (d, 1H); 7.02 (d, 1H); 7.35 (m, 5H); 11.20 (s, 1H)。
【0182】
中間体8:N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−N−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド
4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(中間体23,319mg,2ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(460mg,2.4ミリモル)、N−メチルモルホリン(488mg,4.8ミリモル)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(324mg,2.4ミリモル)を無水ジクロロメタン(20ml)中に0℃で混合して、10分間撹拌した。1−ベンジル−N−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−アミン(中間体9)(552mg,2ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で12時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタン(20ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液と塩水で洗浄し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5%メタノール)により精製して、表題生成物(485mg)を得た。
【0183】
MS(ES):C2228ClNに対して418(MH)。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.75 (m, 2H); 1.95 (m, 2H); 2.05 (m, 2H); 2.24 (s, 3H); 2.98 (m, 2H); 3.52 (s, 2H); 3.64 (m, 2H); 3.86 (m, 2H); 4.00 (m, 2H); 4.30 (m, 1H); 5.08 (t, 1H); 6.47 (s, br, 1H); 7.22-7.31 (m, 5H); 9.41 (br s, 1H)。
【0184】
中間体9:1−ベンジル−N−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−アミン
(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミン(1.6g,15.5ミリモル)と1−ベンジルピペリジン−4−オン(2.94g,15.5ミリモル)を二塩化エチレン(30ml)に溶かし、2滴の酸性の酸を加えてこの混合物を室温で5分間撹拌して、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(4.93g,23.3ミリモル)の添加を続けた。生じる反応混合物を室温で一晩撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20ml)と塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5%メタノール)により精製した。望まれる生成物(4.4g)をオイルとして得た。
【0185】
GCMS:C1624に対して276(MW)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.41 (m, 2H); 1.85 (m, 2H); 2.01 (m, 2H); 2.48 (m, 1H); 2.82 (d, 2H); 2.86 (m, 2H); 3.49 (s, 2H); 3.88 (m, 2H); 3.99 (m, 2H); 4.97 (t, 1H); 7.22-7.31 (m, 5H)。
【0186】
中間体10:3−クロロ−6−[(3,4)−cis−3−メトキシピペリジン−4−イル]−2−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−7−オン
表題化合物は、(3,4)−cis−4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル(中間体11)より、1当量のヨウ化シリルトリメチルでの、環流で2時間の処理により合成した。定量的な収率。
【0187】
MS(ES):C1418ClNに対して296(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.52 (m, 2H); 2.36 (s, 3H); 2.75 (m, 2H); 3.11 (s, 3H); 3.25 (m, 2H); 3.39 (m, 1H); 5.19 (m, 1H); 6.44 (d, 1H); 7.22 (d, 1H); 11.63 (br s, 1H)。
【0188】
中間体11:(3,4)−cis−4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル
中間体11は、(3,4)−cis−4−[[(4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−イル)カルボニル](1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル(中間体12)より出発すること以外は、中間体7について記載の手順に類似した手順によって合成した。
【0189】
MS(ES):C1722ClNに対して368(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.30 (t, 3H); 1.63 (m, 1H); 1.77 (m, 2H); 2.44 (s, 3H); 2.94 (m, 2H); 3.25 (s, br, 3H); 3.54 (m, 1H); 4.19 (m, 2H); 4.24 (m, 1H); 5.30 (m, 1H); 6.52 (d, 1H); 7.26 (d, 1H); 11.44 (s, br, 1H)。
【0190】
中間体12:(3,4)−cis−4−[[(4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−イル)カルボニル](1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル
中間体12は、(3,4)−cis−4−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル(中間体13)より出発すること以外は、中間体8について記載の手順に類似した手順によって合成した。
【0191】
MS(ES):C1928ClNに対して430(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.27 (m, 3H); 1.65 (m, 2H); 1.89 (m, 1H); 2.25 (s, 3H); 2.81 (m, 2H); 3.20 (m, 1H); 3.30 (s, 3H); 3.54 (m, 2H); 3.86 (m, 2H); 4.00 (m, 2H); 4.16 (m, 2H); 4.37 (m, 1H); 4.61 (m, 1H); 5.08 (m, 1H); 6.58 (s, br, 1H); 9.99 (s, br, 1H)。
【0192】
中間体13:(3,4)−cis−4−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル
中間体13は、2−(ブロモメチル)−1,3−ジオキソランとcis(±)4−アミノ−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル塩酸塩(中間体26)より出発すること以外は、中間体16について記載の手順に類似した手順によって合成した。
【0193】
MS(ES):C1324に対して289(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.25 (t, 3H); 1.62 (m, 4H); 2.74 (m, 1H); 2.79 (m, 2H); 2.91 (m, 2H); 3.39 (s, 3H); 3.88 (m, 2H); 3.99 (m, 2H); 4.13 (m, 2H); 4.15 (m, 1H); 4.97 (m, 1H)。
【0194】
中間体14:3−クロロ−6−[(3S,4R)−3−フルオロピペリジン−4−イル]−2−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−7−オン
表題化合物は、(3S,4R)−4−[[(4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−イル)カルボニル](1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体15)より、中間体7の手順によって合成した。生じる沈殿を濾過により採取した。定量的な収率。
【0195】
MS(ES):C1315ClFNOに対して284(MH)。
中間体15:(3S,4R)−4−[[(4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−イル)カルボニル](1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
中間体15は、(3S,4R)−4−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体16)より出発すること以外は、中間体8について記載の手順に類似した手順によって合成した。
【0196】
MS(ES):C2029ClFNに対して446(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.47 (s, 9H); 1.78 (m, 2H); 1.95 (m, 1H); 2.24 (s, 3H); 2.88 (m, 2H); 3.71 (m, 1H); 3.86 (m, 2H); 4.00 (m, 2H); 4.39 (m, 2H); 4.60-4.93 (m, 2H); 5.08 (m, 1H); 6.62 (s, br, 1H); 9.96 (br s, 1H)。
【0197】
中間体16:(3S,4R)−4−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
(3S,4R)−4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体29)(820mg,3.78ミリモル)、2−ブロモメチル−1,3−ジオキソラン(630mg,3.78ミリモル)、及び炭酸カリウム(784mg,5.67ミリモル)を無水アセトニトリル(15ml)中で混合し、5日間還流させ、室温へ冷やして、水(50ml)で希釈した。生じる混合物をEtOAc(4x30ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中5% MeOH)により精製して、望まれる生成物(730mg)を得た。
【0198】
MS(ES):C1425FNに対して305(MH)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.45 (s, 9H); 1.78 (m, 2H); 2.76 (m, 2H); 2.88 (m, 2H); 3.86 (m, 2H); 4.00 (m, 2H); 4.36 (m, 2H); 4.55-4.81 (m, 2H); 4.97 (t, 1H)。
【0199】
中間体17:4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジニウムクロリド
10mlジオキサン中420mg(1.1ミリモル)の4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体18)の溶液へジオキサン中4M HCl溶液(4ml,16ミリモル)を加えた。この混合物を室温で3日間撹拌した。溶媒を除去し、生じる固形物を真空で乾燥させて、345mgの生成物を得た。
【0200】
MS(ES):C1420ClNS−HClに対して359(MH);
NMR δ: 1.6-1.75 (m, 2H); 1.9 (m, 3H); 2.15 (s, 3H); 2.6 (t, 2H); 3.0 (m, 2H); 3.2-3.4 (m, 5H); 4.7 (m, 1H); 7.8 (s, ブロード, 2H); 11.3 (s, 1H)。
【0201】
中間体18:4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
1.15g(2.7ミリモル)の4−({3−[4−クロロ−2−(エトキシカルボニル)−5−メチル−1H−ピロール−3−イル]プロプ−2−イン−1−イル}アミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体19)の溶液を230mgの酸化白金とともに大気圧で一晩水素化した。この混合物を珪藻土に通して濾過して、EtOAcで濯いだ。溶媒を除去して、残渣を6ml MeOHに溶かした。2N水酸化リチウムの溶液(2.7ml,5.4ミリモル)を加えて、この混合物を100℃で1時間加熱した。この混合物をMeOHで希釈して、4mlの1N HClを加えた。溶媒を除去して、残渣を追加のMeOHに溶かした。溶媒を再び除去して、残渣をTHFに溶かした。溶媒を除去して、残渣を30ml DMFに溶かした。EtN(0.75ml,5.4ミリモル)と1.0g(2.7ミリモル)のHATUを加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去して、残渣をEtOAcに溶かした。この混合物を水と塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフ処理(100% CHClからCHCl中60% EtOAcへの勾配溶出)して、420mgの生成物を固形物として得た。
【0202】
MS(ES):C1928ClNに対して382(MH);
NMR δ: 1.4 (s, 9H); 1.5 (m, 4H0, 1.85 (m , 2H); 2.1 (s, 3H); 2.6 (t, 2H); 2.8 (m, 2H); 3.2 (m, 2H); 4.0 (m, 2H); 4.6 (m, 1H); 11.3 (s, 1H)。
【0203】
中間体19:4−({3−[4−クロロ−2−(エトキシカルボニル)−5−メチル−1H−ピロール−3−イル]プロプ−2−イン−1−イル}アミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
2.5g(8ミリモル)の4−クロロ−3−ヨード−5−メチル−1H−ピロール−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチル2−エチル(中間体21)、2.2g(9.6ミリモル)の4−(プロプ−2−イン−1−イルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体20)、360mg(0.56ミリモル)のビス(ジフェニルホスフィノ)ジクロロパラジウム、98mgのヨウ化銅、及び529mgのトリフェニルホスフィンの30mlジエチルアミン溶液をN下に60℃で一晩加熱した。溶媒を除去し、残渣をCHClで希釈して、水と塩水で洗浄した。乾燥(MgSO)と溶媒の除去によりオイルを得て、これをシリカゲルでクロマトグラフ処理(100% CHClから100% EtOAcへの勾配溶出)して、1.15gの生成物を固形物として得た。
【0204】
MS(ES):C2130ClNに対して424,426(MH)。
NMR δ: 1.2 (m, 2H); 1.3 (t, 3H); 1.4 (s, 9H); 1.8 (m, 2H); 2.2 (s, 3H); 2.8-3.0 (m, 4H); 3.6 (s, 1H); 3.8 (m, 1H); 4.2 (q, 2H); 12.2 (s, 1H)。
【0205】
中間体20:4−(プロプ−2−イン−1−イルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
6.6g(33ミリモル)の4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル、2.4ml(37.5ミリモル)のプロパルジルアミン、及び10.5g(49.5ミリモル)のトリアセトキシホウ水素化ナトリウムの100ml CHCl溶液を室温で一晩撹拌した。この混合物を1N HClで急冷してから、飽和炭酸ナトリウム水溶液で塩基性にした後で、CHClで2回抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濃縮して、7.1gの生成物を白い固形物として得た。
【0206】
NMR δ: 1.0-1.2 (m, 2H); 1.4 (s, 9H); 1.6-1.8 (m, 2H); 2.6-2.9 (m, 2H); 3.0 (t, 1H); 3.3 (d, 2H); 3.7-3.9 (m, 2H)。
中間体21:4−クロロ−3−ヨード−5−メチル−1H−ピロール−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチル2−エチル
5.6g(18ミリモル)の4−クロロ−3−ヨード−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチル(中間体22)、5.1g(23.4ミリモル)の二炭酸ジt−ブチル、及び4.5ml(4.5ミリモル)のEtNの40ml THF溶液を環流で一晩加熱した。この溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液とEtOAcで希釈した。EtOAcを分離して、塩水で洗浄した。合わせた水層をEtOAcで再抽出して、これを塩水で洗浄した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥(MgSO)させ、乾燥して、濃縮した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフ処理(100%ヘキサンから100% CHClへの勾配溶出)して、6.8gの生成物を、ゆっくり固化するオイルとして得た。
【0207】
NMR δ: 1.3 (t, 3H) 1.5 (s, 9H); 2.4 (s, 3H); 4.3 (q, 2H)。
中間体22:4−クロロ−3−ヨード−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチル
3.5g(19ミリモル)の4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチル(中間体24)と3.5g(47ミリモル)の75%水酸化カリウムの20ml DMF溶液へヨウ素(5.4g,21ミリモル)を少量ずつ加えた。2時間撹拌後、この混合物を1N HClで酸性化して、水で希釈した。不溶性の固形物を濾過し、水で洗浄し、真空で一晩乾燥させて、5.5gの生成物を得た。
【0208】
MS(ES):CClINOに対して314,289(MH)。
NMR δ: 1.45 (t, 3H); 2.4 (s, 3H); 4.4 (q, 2H); 12.5 (s, 1H)。
中間体23:4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸
水酸化リチウム(2M,4ml)を50℃へ温めて、4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチル(中間体24;0.30g,1.60ミリモル)のMeOH溶液をそれへ加えた。この反応物を80℃まで加熱して、2時間撹拌した。MeOHを除去し、この水溶液を0℃へ冷やして、30% HClで酸性化した。沈殿した生成物(0.23g,92%)を濾過して、乾燥させた。
【0209】
MS(ES):CClNOに対して160(M+1)。
NMR (CDCl3): 2.25 (s, 3H); 6.85 (s, 1H); 8.98 (brs, 1H)。
中間体24:4−クロロ−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチル
5−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチル(0.65g,4.23ミリモル)のクロロホルム(20ml)溶液へN−クロロシクシンイミド(0.67g,5.08ミリモル)を加えた。この反応物を40℃へ温めて、4時間撹拌してから、2N NaOH(20ml)を含有するビーカーへ0℃で注いだ。層を分離させて、水層をクロロホルム(x3)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させて、濃縮した。生じるオフホワイトの固形物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc,16:1)により精製して、表題生成物(0.3g,38%)を白い固形物として得た。
【0210】
MS(ES):C10ClNOに対して188(M+1)。
NMR (CDCl3): 1.34 (t, 3H); 2.27 (s, 3H); 4.30 (q, 2H); 6.76 (s, 1H); 9.07 (brs, 1H)。
【0211】
中間体25:2−クロロ−4−(メトキシメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル
亜硝酸tert−ブチル(2.2ml,18.6ミリモル)と塩化銅(1.5g)を無水CHCN(100ml)に懸濁した。2−アミノ−4−(メトキシメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル(2.5g)(Kennedy, Alan R. et al. Acta Crystallographica, Section C: Crystal Structure Communications 1999, C55 (7) 2 に記載のように製造)を1分量で加えた。この混合物を室温で2時間撹拌して、温度を70℃まで1時間高めた。この混合物を室温へ冷やして、濾過した。濾液を6N HClへ注ぎ、EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥させ、濃縮して黒いオイルとした。シリカゲルでの勾配溶出(ヘキサン〜EtOAc)によるフラッシュ精製によって、生成物(0.82g)を黄色い液体として得た。
【0212】
NMR: 3.31 (s, 3H); 3.85 (s, 3H); 4.71 (s, 2H)。
中間体26:cis(±)4−アミノ−3−メトキシピペリジン−1−カルボン酸エチル塩酸塩
表題化合物は、Lee, C. et al. Synth. Comm. 2001, 31(7), 10881-10890 及び/又はWO94/12494に記載のように、又は以下の手順によって製造することができる;
1−ピペリジンカルボン酸、cis(±)3−メトキシ4−[ベンジルアミノ]−エチルエステル(Drug Development Research 1986, 8, 225-232;36.45g,125ミリモル)、及び10%パラジウム担持活性炭(50%湿性;ほぼ4g)のメタノール(250mL)撹拌溶液へ室温でNの雰囲気下にギ酸アンモニウム(31.50g,500ミリモル)を固形物として加えた。温度を70℃へ高めて;この反応物をこの温度でNの雰囲気下に一晩撹拌した。翌朝には、TLC(酢酸エチル中6%メタノール;DCM中15%メタノール及び30%アセトンの溶液において、Rf〜0.06)により完全な変換が示唆された。この反応混合物を珪藻土に通して濾過して、真空で濃縮した。残渣へほぼ50mLの水を加え;この混合物より、約3%メタノールのクロロホルム溶液(4x300mL)で粗生成物を抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させて、濃縮した。24.18g(96%)のオフホワイトの固形物を得た。
【0213】
MS(ES)MH:C18に対して202。
中間体27:cis(±)4−(ベンジルアミノ)−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
表題化合物は、Monique B. van Neil et al. J. Med. Chem., 1999, 42, 2087-2104 とその中の参考文献に記載のように製造した。
【0214】
NMR (CDCl3): 1.40 (s, 9H); 1.88 (m, 2H); 3.01 (m, 2H); 3.55 (m, 2H); 3.77 (m, 1H); 4.66 (d, 1H)。
中間体28:(3S,4R)−4−(ベンジルアミノ)−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルと(3R,4S)−4−(ベンジルアミノ)−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Chiralpak ADカラムでのキラルHPLC(溶出液:ヘキサン/MeOH/EtOH;90/2.5/2.5;0.1%ジエチルアミン)を使用して、cis(±)4−(ベンジルアミノ)−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体27)(2.2g)を表題化合物へ分離した。第一のクロマトグラフィーピーク((3S,4R)−4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル)に対応する分画を採取し、蒸発させて、表題化合物(942mg)を白い固形物として得た。第二のクロマトグラフィーピーク((3R,4S)−4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル)に対応する分画を採取し、蒸発させて、表題化合物(980mg)を白い固形物として得た。
【0215】
NMR (CDCl3): 1.40 (s, 9H); 1.88 (m, 2H); 2.05 (m, 2H); 3.01 (m, 2H); 3.55 (m, 2H); 3.77 (m, 1H); 4.66 (d, 1H); 7.55 (m, 5H)。
中間体29:(3S,4R)−4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
MeOH(10ml)中の(3S,4R)−4−(ベンジルアミノ)−3−フルオロピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体28;711mg)、ギ酸アンモニウム(582mg)、及び10% Pd/C(200mg)を50℃まで1時間加熱した。この反応混合物を室温へ冷やし、珪藻土に通して濾過し、減圧で濃縮して、表題化合物(503mg,定量的)を得た。
【0216】
NMR (CDCl3): 1.40 (s, 9H); 1.88 (m, 2H); 3.01 (m, 2H); 3.55 (m, 2H); 3.77 (m, 1H); 4.66 (d, 1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルカノイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、及びC3−6シクロアルキルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のハロ又はシクロプロピルにより置換されていてもよく;
は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルカノイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、及びC3−6シクロアルキルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のハロ又はC3−6シクロアルキルにより置換されていてもよく;
は、炭素上の置換基を表して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N−ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N−ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイル、C1−4アルカノイルオキシ、N−(C1−4アルキル)アミノ、N,N−(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルカノイルアミノ、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、N’−(C1−4アルキル)ウレイド、N’,N’−(C1−4アルキル)ウレイド、N−(C1−4アルキル)−N−(C1−4アルコキシ)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1−4アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−4アルキル)スルファモイル、C1−4アルキルスルホニルアミノ、C1−4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N’−(C1−4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N’,N’−(C1−4アルキル)ヒドラジノカルボニル、カルボシクリル−R−、又はヘテロシクリル−R−より選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく、そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよい;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイル、C1−4アルカノイルオキシ、N−(C1−4アルキル)アミノ、N,N−(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルカノイルアミノ、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−4アルコキシカルボニル、N−(C1−4アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−4アルキル)スルファモイル、C1−4アルキルスルホニルアミノ、C1−4アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR15により置換されていてもよく、そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R16より選択される基により置換されていてもよい;
、R、R13、及びR14は、直結合、−O−、−N(R)−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R10)−、−S(O)−、−SON(R11)−、又は−N(R12)SO−より独立して選択され;ここでR、R、R10、R11、及びR12は、水素又はC1−4アルキルより独立して選択されて、pは0〜2である;
15は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、アセチルアミノ、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、又はN−メチル−N−エチルスルファモイルより選択され;
環Xは、X、X、X、及びXより選択される複素環式環であり;
は、
【化2】

であり、Xは、
【化3】

であり、Xは、
【化4】

であり、Xは、
【化5】

であり;
Yは、フェニル、アゼチジニル、ピペリジニル、及びピロリジニルより選択され;ここで前記アゼチジニル、ピペリジニル、及びピロリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここでYは、炭素上で1又は2のハロ、C1−4アルキル、又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい;
環Aは、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;ここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R17より選択される基により置換されていてもよい;
mは、0〜4であり;ここでRのこの数値は、同じでも異なってもよい;
、R16、及びR17は、C1−4アルキル、C1−4アルカノイル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、及びフェニルスルホニルより独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
がC1−4アルキルである、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
がハロ又はシアノである、請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
環XがXより選択される複素環式環である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
環XがXより選択される複素環式環である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
環XがXより選択される複素環式環である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
環XがXより選択される複素環式環である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
Yがフェニル及びピペリジニルより選択され;ここで前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いていて;そしてさらにここでYは、炭素上で1つのハロ又はC1−4アルコキシにより置換されていてもよい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
環Aが、フェニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリミジニル、又はピリジニルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
が炭素上の置換基を表して、ハロ、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、又はC1−4アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;ここでRは、C1−4アルコキシより選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
mが1又は2であり;ここでRのこの数値は、同じでも異なってもよい、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
式(I):
【化6】

[式中:
は、メチルであり;
は、クロロ又はシアノであり;
環Xは、X、X、又はXより選択される複素環式環であり;
は、
【化7】

であり、Xは、
【化8】

であり、Xは、
【化9】

であり;
Yは、フェニル、3−フルオロピペリジニル、及び3−メトキシピペリジニルより選択され;ここで、前記ピペリジニル環のNは、環Aへ直接付いている;
環Aは、フェニル、チアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、ピリミジン−4−イル、又はピリジン−2−イルであり;
は、炭素上の置換基を表して、フルオロ、クロロ、カルボキシ、メチル、メトキシ、メトキシカルボニル、メトキシメチル、エトキシカルボニル、又はイソプロポキシカルボニルより選択され;そして
mは、1又は2であり;ここでRのこの数値は、同じでも異なってもよい]の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル;
2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸エチル;
2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸;
2−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸;
6−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]−2−メトキシピリミジン−4−カルボン酸;
4’−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボン酸;
4’−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−4−フルオロビフェニル−3−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]イソニコチン酸エチル;
2−[(3,4)−cis−4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−3−メトキシピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸エチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−4−(メトキシメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル;
2−[(3S,4R)−4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−3−フルオロピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸メチル;
2−クロロ−6−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボン酸メチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]イソニコチン酸;
2−クロロ−6−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−4−(メトキシメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[(3S,4R)−4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−3−フルオロピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸;
2−[3,4−cis−4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−3−メトキシピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−7−オキソ−1,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−6−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸エチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]イソニコチン酸イソプロピル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピル;
2−クロロ−6−[4−(7−シアノ−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボン酸メチル;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸;
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]イソニコチン酸;及び
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−8−オキソ−4,5,6,8−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−7(1H)−イル)ピペリジン−1−イル]−4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸
より選択される式(I):
【化10】

の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1に記載の式(I)[ここで可変基(variables)は、他に述べなければ、請求項1に定義される通りである]の化合物を製造する方法であって:
方法a)X=X、X、X、及びXである式(I)の化合物では;式(II):
【化11】

[式中、R=C1−4アルキル又は水素;W=−NC(O)N、−CH=CHNH−、−N=CH−NH−、又は−(CH−NH−]の化合物を(それぞれ)式(I)の化合物へ環化すること;又は
方法b)X=Xである式(I)の化合物では;式(III):
【化12】

[式中、R=−CHC(OCHCHO)]の化合物を式(I)の化合物へ変換すること;又は
方法c)Y=フェニルである式(I)の化合物では;式(IV):
【化13】

の化合物を式(V):
【化14】

[式中、XとXの一方は、置換可能基「L」であり、他方は、有機金属試薬「M」である]の化合物と反応させること;又は
方法d)Yが、環中の窒素を介して環Aへ連結するアゼチジニル、ピペリジニル、又はピロリジニルである式(I)の化合物では;式(VI):
【化15】

の化合物を式(VII):
【化16】

[式中、Dは、置換可能基である]の化合物と反応させること;
そしてその後必要であれば:
i)式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へ変換すること;
ii)あらゆる保護基を外すこと;
iii)医薬的に許容される塩を生成することを含む、前記方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と医薬的に許容される希釈剤又は担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
医薬品としての使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物において抗菌効果を生じさせるための医薬品の製造における使用。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における細菌DNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害に使用のための医薬品の製造における使用。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における細菌感染症の治療に使用のための医薬品の製造における使用。
【請求項20】
細菌感染症が、市中(community-acquired)肺炎、院内(hospital-acquired)肺炎、皮膚及び皮膚構造の感染症、慢性気管支炎の急性増悪、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、カテーテル関連敗血症、熱性好中球減少症、骨髄炎、心内膜炎、尿路感染症、及び薬剤耐性菌により引き起こされる感染症より選択される感染症である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む、ヒトのような温血動物において抗菌効果を生じさせることに使用の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む、ヒトのような温血動物における細菌DNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害に使用の医薬組成物。
【請求項23】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む、ヒトのような温血動物における細菌感染症の治療に使用の医薬組成物。
【請求項24】
細菌感染症が、市中肺炎、院内肺炎、皮膚及び皮膚構造の感染症、慢性気管支炎の急性増悪、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、カテーテル関連敗血症、熱性好中球減少症、骨髄炎、心内膜炎、尿路感染症、及び薬剤耐性菌により引き起こされる感染症より選択される感染症である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
そのような治療の必要な温血動物において抗菌効果を生じさせる方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
そのような治療の必要な温血動物における細菌DNAジャイレース及び/又はトポイソメラーゼIVの阻害の方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
そのような治療の必要な温血動物において細菌感染症を治療する方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項28】
細菌感染症が、市中肺炎、院内肺炎、皮膚及び皮膚構造の感染症、慢性気管支炎の急性増悪、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、カテーテル関連敗血症、熱性好中球減少症、骨髄炎、心内膜炎、尿路感染症、及び薬剤耐性菌により引き起こされる感染症より選択される感染症である、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2009−520785(P2009−520785A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546590(P2008−546590)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004760
【国際公開番号】WO2007/071965
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】