説明

抗菌物質

本発明は皮膚に適用することができる物質に関し、ここで好ましい物質は重合体、化粧品、洗浄調製物及び布地、パッド又は包帯である。好ましくは、自己接着特性を備え、抗菌効果をもつポリウレタンが重合体として好ましい。物質、特にポリウレタンのような重合体物質及び特定の銀含有ガラスの組み合わせ物は、創傷包帯の高度の製品安定性及び変色に対する高度の安定性を確保しながら、湿式創傷の治療を提供する。抗菌性銀含有ガラスは40〜75モルパーセントのP、35〜55モルパーセントのCaO、MgO、0〜5モルパーセントのNaO、KO、5〜20モルパーセントのSiO、Al及び0.1〜5モルパーセントのAgOを含んでなり、ここで百分率はガラス組成物に対する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物質、特に自己接着性そして抗菌性の創傷接触物質、化粧品、特に炎症緩和エマルジョン、消毒洗浄調製物並びに抗菌皮膚接触物質、パッド又は払拭物に関する。規定された(defined)銀含有ガラスとの、創傷接触物質としての、例えばポリウレタンのような物質の組み合わせ物は消毒性、皮膚緩和性又は抗菌性効果をもたらし、そして同時に高度の製品安定性及び外部の影響に直面する時の物質の高い変色安定性を確保する。
【背景技術】
【0002】
バクテリア汚染又は感染された皮膚又は創傷の処置及び治療は医薬及び自然科学に大きな課題を与える。とりわけ治癒の遅い創傷及び慢性の創傷にはしばしば、広範な微生物が蔓延し、それらが治癒の課程を著しく遅延させるか又は時々はそれを完全に妨げる。しかし、外傷、外科的介入又は単なる単純な怪我すらにより誘発される急性の創傷によってすら、病原性微生物の侵入はそれぞれの症例で無視することはできない。
【0003】
微生物による侵入の結果として、創傷にそれらがコロニーを形成する。10CFU/gを超えるコロニーを形成された創傷は感染創傷と呼ばれる(非特許文献1参照)。微生物による創傷環境の大規模なコロニー形成は治癒の経過に大規模な崩壊をもたらし、それが最終的には死亡に導く可能性がある。バクテリアによる創傷感染の頻繁な原因生物はシュードモナス属、ブドウ球菌属、クロストリジウム属及び、酵母菌及びカビのなかではカンジダ属及びアスペルギルス属に属する。多数の微生物を日和見病原体と見なすことができるので、いくつかの種に限定することは不可能である。
【0004】
創傷の汚染又は感染組織から微生物を除去しそして/又はその中の微生物を殺すための様々な方法が記載されてきた。先行技術に従うと、病原性微生物は抗生物質の経口投与を除き、消毒剤又は抗生物質の局所投与により除去することができる。更に、防腐剤及び抗生物質は細胞毒性であり、その上多数の病原性株は抗生物質に耐性になってきた。耐性は防腐剤に対してすらできることがある事実がトリクロサン耐性大腸菌(非特許文献2、3、4)につき報告された(非特許文献2、3及び4参照)。これらの症例の主要な重大な因子は石鹸、消臭剤、織物及びプラスチック中へのトリクロサン(Irgasan(R))の広範な予防的使用であった。汚染又は感染創傷の例えば、抗菌的及び/又は予防的治療のための周知の使用は、酸化剤(例えば、ヨウドチンキ)又は防腐剤(例えば、銀スルファジアジンを含む軟膏)のものである。この種の薬剤は抗菌性物質の又は抗菌剤を含浸された創傷接触物質及び創傷手当て物質の形態でも使用される。これに関連しては、銀含有ゼオライトの使用も知られている。先行技術の抗菌性の銀含有創傷手当て物質の概説は特許文献1に提供されている(特許文献1参照)。特許文献1は金属イオンを含有するゼオライトを含んでなる合成重合体物質からなる創傷接触物質を開示している。更に、特許文献2及び3から、抗菌活性を示す銀含有ガラスが知られる(特許文献2及び3参照)。しかし、これらは壁紙、まな板等のような様々な形態の家庭用品及び衛生部門の製品中に使用される熱可塑性重合体中に埋め込まれているだけである。
【0005】
抗菌活性の外に、例えばガーゼの圧迫によるもののような伝統的な乾燥した創傷処置と対照的に、創傷治癒の自然の経過に対し生理学的及び、従ってより良い状態を提供する湿った創傷環境の形成が、抗菌的創傷治療の開発の中心にある。
【0006】
特許文献4は、湿った創傷環境を許し、銀、銅及び亜鉛を含有する抗菌剤を含んでなる自己接着性ヒドロコロイド組成物からなる包帯物質を開示している(特許文献4参照)。
【0007】
イオン性銀の含浸により湿った創傷処置及び抗バクテリア効果を可能にする抗菌性ヒドロコロイドの包帯がColoplastから商品名Contreet−H(R)として市販されている。
【0008】
対応する包帯は特許文献5及び6及び更に特許文献7及び8に記載されている(特許文献5、6、7及び8参照)。特許文献7はその接着性マトリックス中にPTEの第IVグループからの少なくとも1元素を含んでなる銀含有複合物を含んでなる、抗菌性創傷接触物質につき記載している(特許文献7参照)。明記された好ましい元素はチタン、ハフニウム又はジルコニウムであり、ここで複合物は好ましくはホスフェート複合物を形成する。創傷接触物質1cm中0.01〜30mgの割合の銀イオンが、イオン溶液との接触時にのみ放出される。適切な接着剤は銀の放出又はその抗菌活性を減少しないもののみである。マトリックスの1例としてはポリウレタン発泡体が記載され、ここで発泡体の特徴は放出速度に対して不可欠である。
【0009】
特許文献8は創傷接触物質1cm当たり50〜10 000μgの銀を放出し、0.09g/cmを超える創傷滲出液の吸収能を有する抗菌性創傷接触物質につき記載している(特許文献8参照)。特許文献7におけるように、この場合の銀化合物はPTEの第4グループからの元素との複合物形態にある(特許文献7参照)。ここでも同様に、ジルコニウムホスフェート複合物が好ましい。
【0010】
特許文献8に示された非常に広範な放出速度も、同様に、既知の先行技術の銀含有抗菌性の、創傷接触物質により達成される範囲内に位置する(特許文献8参照)。
【0011】
特許文献9は銀及び銅、マグネシウム又は亜鉛を放出することができる水溶性ガラスを含んでなる創傷接触物質を包含する、創傷感染治療方法につき記載している(特許文献9参照)。特許文献10は特定の組成物中にCaO、ZnO、MgO、P、NaO及びKOを含んでなるガラスを含有する人工補形物質につき記載しており、ここでPの5モル%以下をAgO、FeO、CuO、TiO又はZrOにより置き換えることができる(特許文献10参照)。特許文献11は、更にまたAg、Cu及び/又はZnを含有することができる特定の組成物による抗菌、抗炎症、創傷治療ガラスにつき記載している(特許文献11参照)。
【0012】
しかし、先行技術から知られる、銀含有の前記の抗菌性包帯物質はすべて少なくとも1つの欠点を有する。銀含有包帯物質は一定の時間後に、元素の銀及び/又は酸化銀の形成により黒変を示す。黒変はとりわけ熱、水分、光線及び/又は放射線効果により促進される。更に、魅力的ではない暗褐色又は黒色の酸化銀はもはや何の殺菌効果をも残していないので、既知の包帯物質の活性の持続性が損なわれる。その結果、抗菌活性は短時間後に消失するか、又はこの種の製品に対しては高価で不便な密閉及び包装段階が必要である。これらの製品はとりわけ消費者の審美眼的要望を満足させない。
【0013】
従って、包帯物質として、とりわけ創傷接触物質として使用される時に、個々の既知の抗菌性包帯物質の有効な性質すべてを合わせ持ち、そして同時に前記物質の既存の欠点を回避する抗菌性重合体物質に対する要望が存在した。重合体物質はとりわけ、
−更なる固定物質の必要を回避するために好ましくは、自己接着性である、
−横たわった人々によっても複雑でなく取り扱うことができるように簡単な構造をもつ、−所望される場合は、湿った創傷環境を形成する、
−抗菌性であり、そして割合の非常に小さい活性物質によってすら抗菌性である、
−前記の性質からの減損を伴わずに貯蔵可能である、
−消費者側における審美的要望を充たす、そして
−光線、水分及び/又は放射線のような外部の影響に対し安定である、
べきである。
【0014】
抗菌性重合体物質はとりわけ、審美的要望を充たさねばならず、そして長期間後ですら変色してはならない。
【0015】
これが解決しなければならない一連の課題であった。
【0016】
皮膚、特に表皮はヒトの身体のバリヤー器官であり、従ってかなりの程度、外界への露出にさらされる。現代の科学的理解に従うと、皮膚は免疫応答性周辺区画であるため、全体として、身体の誘導的で有効でそして調整的免疫過程においてそれぞれの役割を果たす、免疫学的器官を表わす。従って、特にバクテリアの侵入に対する損傷されたあるいは処置されたヒトの皮膚のものを含む有効な防護が重要な役割を与えられる。バクテリアに対して活性な物質はかなり前から知られてきた。ペニシリンに関する最初の発見は1929年にさかのぼるが、すべての抗菌物質には適用することができない、例えば「抗生物質」の用語は1941年にさかのぼることができる。温血生物−言い換えると例えば、疾病患者−はしばしばまた、適用の経過中に何らかのその代謝機能の損傷を被るために、現代の意味の抗生物質はすべての医学的用途及び確実にすべての化粧品の用途に適さない。
【特許文献1】ドイツ特許第19958458号明細書
【特許文献2】欧州特許第1116698号明細書
【特許文献3】欧州特許第1116700号明細書
【特許文献4】欧州特許第1159972号明細書
【特許文献5】国際公開第00/09173号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5,681,575号明細書
【特許文献7】国際公開第02/062403号パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/078755号パンフレット
【特許文献9】米国特許第6,143,318号明細書
【特許文献10】ドイツ特許第2178422号明細書
【特許文献11】ドイツ特許第10213632号明細書
【非特許文献1】M.C.Robson”Clinical Research can improve the outcome of treatment of problem wounds(臨床研究が問題の創傷の処置の結果を改善することができる):Infection as a paradigm(パラダイムとしての感染症)”,8th Annual Meeting of the ETRS(ETRSの第8回年次例会),コペンハーゲン,DK,1998年、8月27〜30日
【非特許文献2】McMurry LM等(1998)FEMS Microbiol Lett 166(2):305−9
【非特許文献3】Cookson BD等、(1991)Lancet 337(8756):1548−9
【非特許文献4】Uhl S(1993)Lancet 342(8865):248
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この方向で当該技術分野の状態を充実させ、そして従って、とりわけ、それらを適用する個体の健康の許容できない低下と関連する物質の適用を伴わずに、抗菌性そして/又は消毒性である化粧品調製物を提供することが本発明の目的である。消毒性及び/又は抗菌性調製物は例えば、アクネの処置から知られる。ACNE CREAMは緩和に消毒性のクリームである。それは剥離処置を要するアクネの症例に適する。消毒及び抗炎症効果をもつ更なる知られた化粧品調製物は例えば、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン、・グルコネート、ハマメリス−酸化亜鉛、パンテノール、デクスパンテノール及び/又は純粋
な尿素のような活性物質を含む。
【0018】
しかし、これらの化粧品の欠点は、場合により、皮膚に対する刺激(赤化、剥離)及び更に特定の場合には、アレルギー反応である。
【0019】
従って本発明のもう1つの目的は刺激皮膚状態の緩和及び/又は皮膚の同時の手入れによる皮膚ホメオスタシスの再構築の支援を合わせ持つ化粧品調製物を提供することである。
【0020】
皮膚及び毛髪の化粧品による処置はまた、それらの洗浄を含む。洗浄とは望ましくない埃を除去し、すべての種類の微生物を排除するのみならずまた、心理学的及び身体的福利のレベルを高めることを意味する。洗浄の目的に挙げられる最初の候補物は界面活性剤調製物である。
【0021】
界面活性剤は有機非極性物質を水中に溶解する能力をもつ両親媒性化合物である。少なくとも1個の親水性部分及び1個の疎水性部分をもつそれらの特定の分子構造により、それらは水の表面張力の減少、皮膚の湿潤化、汚れ落とし及び溶解の容易化、容易な濯ぎ並びに−所望の場合には−泡の調整を確保する。
【0022】
界面活性剤分子の親水性部分は大部分、極性官能基であり、その例は−COO、−OSO2−、−SOであり、他方、疎水性成分は概括的に非極性炭化水素基である。界面活性剤は概括的に、親水性部分の同一性及び電荷に従って分類される。ここでは4群を区別することができる:
・アニオン界面活性剤、
・カチオン界面活性剤、
・両性界面活性剤及び
・非イオン性界面活性剤。
【0023】
石鹸のような抗菌性(antibacterial)洗浄調製物はしばしば、トリクロカルバン(TCC)、トリクロサン(Irgasan DP 300)又はクロロキシレノール(PCMX)を含む。これらの活性物質は一連のバクテリアを生残させるために必要な特定の酵素を遮断する。しかし、これらの活性物質の広範な蔓延の結果として、使用者側に耐性の発達が増加している。
【0024】
従って、抗菌効果及び/又は消毒効果及び更に皮膚緩和及び手当て効果をもつ洗浄調製物を提供することも本発明の目的である。
【0025】
これらの目的は主要請求項に明記された物質により達成される。付属請求項はその物質の有利な展開及びその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
組成
酸化銀を含まないガラスの総量に基づいて、
を30〜75モル%、
SiOを5〜50モル%、
Oを20〜55モル%、
Oを0〜5モル%、
Alを3〜20モル%及び、ガラスの総質量に基づいて
AgOを0.1%〜5重量%
の、抗菌性の銀含有ガラスを含んでなり、ここで
はCa、Mg、Zn及び/又はCuから選択され、そしてRはNa、K及び/又はLiから選択される、
皮膚に対する配置又は適用に適する物質、
が一連の課題を完全に解決すると考えられることは驚くべきことで、当業者により予知されなかった。
【0027】
モル%におけるガラス組成の記述は酸化銀を含まない構成物質を表わす。酸化銀の量は更に、その場合銀を含むガラスの総質量に基づく重量%において示される。
【0028】
特にガラス組成
を40〜60モル%、
Oを35〜55モル%、
Oを0〜5モル%、
SiO、Alを5〜20モル%、及び
AgOを0.1%〜5重量%
を有する物質並びに、ガラス組成
を45〜55モル%、
CaO、MgOを35〜50モル%、
NaO、KOを0〜5モル%、
SiOを0〜5モル%、
Alを5〜15モル%及び
AgOを0.5%〜3重量%
を有する物質並びに、更に好ましくは、ガラス組成
酸化銀を含まないガラスの総量に基づいて
を50モル%、
MgOを44モル%、
Alを6モル%及び、ガラスの総質量に基づいて
AgOを2重量%、
を有する物質、又は
ガラス組成
ガラスの総質量に基づいて
を73.35重量%、
MgOを18.33重量%、
Alを6.32重量%及び
AgOを2.0重量%、を有する物質、
が特に適用に好都合で、有効であることが判明した。
【0029】
本発明の物質はヒト又は動物の皮膚上に配置又は適用されることができるすべてを包含し、周囲の部分に対する銀の放出及び送達を確保することができる。これらの物質はとりわけ例えば、ポリウレタン、化粧品、特にエマルジョン基剤の化粧品調製物、消毒性洗浄調製物及び抗菌性皮膚接触物質、パッド又は払拭物のような重合体物質である。
【0030】
これらの物質は好ましくは、物質の総質量に基づいて0.001%〜40重量%、好ましくは0.05%〜1重量%の銀含有ガラスを含有する。
【0031】
これらの物質中に存在する抗菌又は消毒性銀は遊離銀イオンの形態で利用可能であり、ガラスの組成を書く方法に従ってのみ、酸化物AgOと特徴付けられる。
【0032】
本発明の物質の1つの好ましい態様は重合体物質を包含する。重合体物質は主としてヒトの皮膚に適用のための包帯物質として働く。包帯物質はまた、とりわけ、本発明の重合
体物質が創傷接触物質として有利に使用されることができるような創傷接触物質を含むと理解される。
【0033】
従って本発明はまた、合成重合体物質、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート、SIBS化合物、SEBS化合物、天然のゴム化合物及びキトサン、アルギネート、ヒドロゲル、ヒドロコロイド、しかし特にはポリウレタンのような創傷治療に使用される物質が、本発明の好ましい態様においては0.01%〜40重量%、特に好ましくは、0.05%〜1重量%で重合体物質中に取り込むことができる銀含有ガラスと組み合わされることを特徴とする、抗菌性を有する重合体物質を提供する。ここではマトリックスは、有効な銀放出のために先行技術で要求されるように、必ずしも発泡される必要はない。創傷接触物質の更なる縁の接着を防止するために自己接着性重合体物質を選択することが好ましい。本発明に従って特に強調に値するものは、湿った創傷治療のための湿式活性な創傷接触物質として使用することができる自己接着性ポリウレタンマトリックスの一部としての銀含有ガラスの使用である。例えば、国際公開第97/43328号パンフレットに記載されたような50〜2500g/mの質量適用重量をもつ弾性の架橋ポリウレタンを使用することが好ましい。
【0034】
概括的に言えば、ポリウレタンは特許、ドイツ特許第3103499号、ドイツ特許第3103500号、欧州特許第0 147 588号、欧州特許第0 665 856号又はドイツ特許第196 18 825号明細書に示されている既知の方法によるポリウレタン化学反応の既知の出発化合物から調製される。ポリウレタンは重合体物質の基剤として使用される。ポリウレタン(c)の調製はアルコール(a)のイソシアネート(b)との重合により達成される。
【0035】
【化1】

【0036】
ポリウレタン重合体マトリックス又はゲルマトリックスの決定的利点は、皮膚領域に重合体物質を固定する目的のための、マトリックスに対する接着層の更なる適用を回避するそれらの自己接着性である。そのもっとも単純な場合には、銀含有ポリウレタンマトリックスを、裏地層とも呼ばれる、それに固く固定されたカバー層と取り外し可能な剥離層との間に配置される。取り外し可能な剥離層の目的は接着層を確保し、そして移動時及び貯蔵時の安定性を改善することであり、それは皮膚に適用の前に取り外される。
【0037】
マトリックスとして適したポリウレタンはドイツ特許第196 18 825号明細書の主題であり、それは
a)2〜6個のヒドロキシル基、20〜112のOH数及び≧10重量%のエチレンオキシド(EO)含量を有するポリエーテルポリオール、
b)抗酸化剤、
c)触媒として、ポリオールa)に可溶性で、2〜18個の炭素原子を有するカルボン酸に基づくカルボン酸ビスマス(III)及び
d)少なくとも5.2のポリウレタン形成成分a)及びd)の官能価数の生成物を含む、ヘキサメチレン・ジイソシアネート、
[ここで,触媒c)の量はポリオールa)に基づき0.005%〜0.25重量%であ
り、抗酸化剤b)の量はポリオールa)に基づき0.1%〜1.0重量%の範囲内にあり、そして成分a)の遊離OH基に対する成分d)の遊離NCO基の比率(イソシアネート係数)は0.30〜0.70の範囲内に選択される]、
からなる親水性の、自己接着性ポリウレタンゲルを開示している。
【0038】
20〜112、好ましくは30〜56のOH数を伴う、3〜4個のヒドロキシル基、非常に好ましくは4−ヒドロキシル基を含むポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。本発明に従って使用されるポリエーテルポリオールの場合には、エチレンオキシド含量は好ましくは≧20重量%である。
【0039】
ポリエーテルポリオールはそれら自体は知られており、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール又は蔗糖のような少なくとも2個の反応性水素原子をもつ出発成分とともに、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランのようなエポキシドをそれら自体と重合することによりあるいはこれらのエポキシドの、好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの−適当な場合には相互との混合物として、又は別々に連続して−付加反応により調製される。使用することができる記述された比較的高分子のポリヒドロキシル化合物の代表は例えば、High Polymers(高分子重合体),第XVI巻,”Polyurethanes,Chemistry and Technology(ポリウレタン、化学及び技術工学)”(Saunders−Frisch,Interscience Publishers,New York,vol.1,1962,pp.32−42)中に挙げられている。
【0040】
使用されるイソシアネート成分は、モノマーの又はトリマー化ヘキサメチレン・ジイソシアネートあるいは、ビウレット、ウレットジオン及び/又はアロファネート基によりあるいは2個又は>2個の反応性H原子を有する既知の開始成分を基剤にしたポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリオールの混合物と、≦850の、好ましくは、100〜600のOH数をもつエチレンオキシド又はプロピレンオキシドのようなエポキシドとの前重合により変性されたヘキサメチレン・ジイソシアネートである。変性ヘキサメチレンジイソシアネート、特に200〜600のOH数を有するポリエーテルジオールとの前重合により変性されたヘキサメチレンジイソシアネートを使用することが好ましい。その残留モノマーのヘキサメチレンジイソシアネート含量が0.5重量%以下の、200〜600のOH数をもつポリエーテルジオールによるヘキサメチレンジイソシアネートの変性物が非常に特に好ましい。
【0041】
本発明のポリウレタンゲルに適した触媒は、無水ポリエーテルポリオールa)中に可溶性で、2〜18個の、好ましくは6〜18個のC原子を有する直線の、分枝の、飽和の又は不飽和のカルボン酸を基剤にしたカルボン酸ビスマス(III)である。2,2−ジメチルオクタン酸(例えば、ベルサチン酸(Versatic acid),Shell)のような第三級カルボキシル基をもつ分枝飽和カルボン酸のBi(III)塩が好ましい。これらのカルボン酸の過剰部分中でのこれらのBi(III)塩の調製物は著しく適する。際立つことが認められた溶液は、約17%のBiを含む、この酸3モルの過剰物中のベルサチン10酸(2,2−ジメチルオクタン酸)のBi(III)塩1モルの溶液である。
【0042】
触媒は好ましくは、ポリオールa)に基づいて0.03%〜0.1重量%の量で使用される。
【0043】
本発明のポリウレタンゲルに適する抗酸化剤にはとりわけ、立体障害性フェノール系安
定剤、例えばBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、Vulkanox BKF(2,2min−メチレン−ビスー(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(Bayer AG)、Irganox 1010(ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、Irganox 1076(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Ciba−Geigy)又はトコフェロール(ビタミンE)が含まれる。α−トコフェロール型のものを使用することが好ましい。抗酸化剤は好ましくは、ポリオールa)に基づいて0.15%〜0.5重量%の量で使用される。
【0044】
本発明のポリウレタンゲル組成物のイソシアネート係数(遊離OH基に対する反応中に使用される遊離NCO基の比率)は使用されるイソシアネート成分及びポリオール成分の官能価に応じて、0.30〜0.70の範囲内、好ましくは、0.45〜0.60の範囲内に位置する。ゲル形成に必要なイソシアネート係数は次の式:
【0045】
【数1】

【0046】
により非常に容易に算定することができる。
【0047】
ゲルの目標の粘性又は弾性に応じて、実際的使用のためのイソシアネート係数は計算された数値から±20%までずれる可能性がある。本発明のポリウレタンゲル組成物は例えば、Becker/Braun,Kunststoff−Handbuch,vol.7,Polyuretane,p.121 ff,Carl−Hauser,1983中に記載の通常の方法により調製される。
【0048】
更なる引用により、欧州特許第0 665 856 B1号明細書に開示の種類のポリウレタンゲルが使用される。従って親水性ポリウレタンは、
1.(A)高分子量マトリックスとして共有結合により架橋されたポリウレタンを、(A)及び(B)の合計量に基づいて25〜62重量%、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは40〜57重量%及び
(B)液体分散物として、二次的共有結合力によりマトリックス中で固く結合し、そして1000〜12000の間の、好ましくは1500〜8000、より好ましくは、2000〜6000間の平均分子量及び20〜112の間、好ましくは25〜84の間、より好ましくは28〜56の間の平均OH数をもつ1又は複数のポリヒドロキシル化合物を、(A)及び(B)の合計量に基づいて75〜38重量%、好ましくは70〜40重量%、より好ましくは60〜43重量%(ここで該分散物は適当な場合、800以下、好ましくは1000以下、より好ましくは1500以下、等の分子量をもつヒドロキシル化合物を実質的に含まない)、
(C)(A)及び(B)の合計量に基づいて0〜100重量%の充填剤及び/又は添加剤、
を含んでなり、そして
a)1又は複数のポリイソシアネート、
b)1000〜12000間の平均分子量及び20〜112間の平均OH数をもつ1又は複数のポリヒドロキシル化合物、
c)適宜、イソシアネート基とヒドロキシル基間の反応のための触媒又は促進剤並びに、適宜、
d)ポリウレタン化学からそれら自体は知られた充填剤及び添加剤
(ここで、この混合物は800以下の分子量をもつヒドロキシル化合物を実質的に含まず、ポリイソシアネートの平均官能価(F)は2〜4の間であり、ポリヒドロキシル化合物の平均官能価(F)は3〜6の間であり、そしてイソシアネート係数(K)は式
【0049】
【数2】

【0050】
[式中、X≦120、好ましくはX≦100、より好ましくは、X≦90、そして係数Kは15〜70の間の値にある]
に従い、分子量及びOH数の記載の平均値は数値の平均と理解される)、
の混合物を反応させることにより得ることができるポリウレタンゲル、
2.水吸収性物質及び/又は
3.非水性発泡剤
から得ることができる。
【0051】
優先的に自己接着性ポリウレタンを調製する際に、そうでないと、自己接着性ゲルよりむしろ粘性をもたない弾性ゲルが得られるので、ゲル形成成分を選択する時に、前記の条件に従うことを考慮に入れることが必要である。
【0052】
好ましいポリヒドロキシル化合物は前記に引用された公開明細書中に徹底的に明記された種類のポリエーテルポリオールである。
【0053】
適したポリイソシアネート成分には(環式)脂肪族のみならずまた、芳香族イソシアネートも含まれる。好ましい(環式)脂肪族ポリイソシアネートはヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート及び更にそのビウレット及び三量体及び水素化ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”)製品である。好ましい芳香族ポリイソシアネートは蒸留により得られるもの、例えば4,4’及び2,4’異性体のMDI混合物又は4,4’−MDI及び更にトリレンジイソシアネート(“TDI”)製品である。
【0054】
ジイソシアネートはとりわけ、例えば未変性芳香族又は脂肪族ジイソシアネートの群からあるいはアミン、ポリオール又はポリエーテルポリオールとの前重合により形成される変性生成物から選択することができる。
【0055】
包帯物質を製造するために使用される他の重合体に比較して、本発明のポリウレタンについて記述することができる利点には以下の点が含まれる:
・ポリウレタンは自己接着性又は非接着性マトリックスとして弾力的に提供することができる。
・自己接着性系として、特定の条件下では皮膚部分の浸軟、炎症、皮膚呼吸の減少、等のような副作用を与える更なる接着剤の添加なしで済ますことができる。
・ポリウレタンはアレルギーの可能性を含まないので、ポリアクリレート、ゴム、等のような他の接着性物質より極めて有利であることが判明する。
・ポリウレタンは非常に良好な水蒸気透過性を示す。これは長期間の適用の症例において、皮膚による水の放出による浸軟がないことを確実にする。
・ポリウレタンの酸素透過性は被覆された皮膚部位に対する酸素の良好な供給を確実にし、それにより組織に対する損傷を抑制する。
・ポリウレタンはアレルギーには中性であるので、適用後に身体の部分にアレルギー反応の可能性はない。
・例えばヒドロコロイド又はヒドロゲルのような他の物質と異なり、ポリウレタンは更に、創傷滲出液のような流体との長期の接触時に崩壊する傾向を示さない。その結果、創傷液との長期の接触時に、ポリウレタンから製造された創傷包帯は、更なる創傷の治癒を妨害する、創傷中への残留物を残さない。
・自己接着性ポリウレタンは液体との接触時にその接着性を喪失するので、新規に形成された組織への接着は防止され、そして更に創傷被覆物の無痛の剥離が確保される。
・本発明のポリウレタンの創傷接触物質は湿った創傷環境をもたらし、それがより早急な創傷治癒をもたらす。
が含まれる。
【0056】
好ましいポリウレタンマトリックスの外に、更に異なる基剤(basis)を有する重合体物質を使用することもできる。
【0057】
取り入れることができ、そして重合体マトリックスのそれぞれの基礎となる架橋反応を弱める銀ガラスは、必要な場合には、架橋反応又はマトリックスの形成後に、溶液又は化粧品エマルジョンの形態で、マトリックス中に導入することができる。
【0058】
銀ガラスを含有する特に有利な自己接着性マトリックスは以下の溶媒含有又は溶媒を含まない充填された又は未充填の、架橋の又は非架橋の、親水性又は疎水性マトリックス系から生成することができる:
ポリイソブチレン・マトリックス
銀ガラスから皮膚への銀イオンの制御された送達のための感圧性接着剤(PSA)マトリックスは(ここで、PSAマトリックスは鉱油及び粘着性付与樹脂を含まない)、
a)25%〜90重量%のポリイソブチレン基材の合成骨格重合体、
b)5%〜30重量%の非晶質ポリ−α−オレフィン、
c)0〜60重量%の不溶性、特に親水性充填剤、及び
d)0.005%〜10重量%の銀ガラス、
から構成される。
【0059】
マトリックスの1つの有利な態様において、ポリイソブチレンは5%〜55重量%の高分子量PIB及び20%〜60重量%の低分子量PIBからなる。
【0060】
従って、本発明の典型的PSAは以下の成分:
高分子量PIB 5%〜55%、好ましくは、25%〜45重量%
低分子量PIB 20%〜60%、好ましくは30%〜50重量%
非晶質ポリ−α−オレフィン 5%〜30%、好ましくは5%〜10重量%
親水性充填剤 0〜60%、好ましくは0〜30重量%
銀ガラス 0.005%〜10%、好ましくは0.01%〜5重量%
からなる。
【0061】
場合により、更にデシルオレエート、イソプロピルミリステート及びイソプロピルパルミテート(IPM及びIPP)のような透過促進剤(親油性溶解剤/促進剤)20重量%までを添加することができる。
【0062】
記述された式の構成成分は以下のように更に詳細に規定される:
高分子量PIBは:
300 000〜1 100 000、好ましくは650 000〜850 000の間の重量平均分子量(M)をもつポリイソブチレンを意味する。この種の重合体は例えば、商品名Oppanol B100又はVistanex MM−L80として市販されている。
【0063】
低分子量PIBは:
40 000〜300 000、好ましくは60 000〜100 000の間の重量平均分子量(M)をもつポリイソブチレンを意味する。この種の重合体は例えば商品名Oppanol B15又はVistanex LMMHとして市販されている。
【0064】
非晶質ポリ−α−オレフィンは:
エチレン及びプロピレン、ブチレン又は1−ヘキセン基材の非晶質共重合体を意味する。好ましい重量平均分子量(M)は5000〜100 000、好ましくは10 000〜30 000の間である。この種の重合体は例えば商品名Eastoflex(R)又はVestoplast(R)として市販されている。
【0065】
前記の重合体マトリックス中で、セルロース基材の不溶性の親水性粒子が親水性充填剤と考えられる。極めて均一な表面をもつ100μm以下の平均粉末度が好ましい。この種の物質は例えば商品名Avicel及びElcemaとして市販されている。
【0066】
PIBマトリックスは好ましくは、溶媒の添加を省略されて、溶融物中でPSAマトリックスのすべての成分を均一化する工程で生成される。特に好ましくは、すべての成分を100℃以下の温度で連続操作又はバッチ操作で処理される。
【0067】
使用することができるポリイソブチレンマトリックスの更に有利な態様はここで、本発明の開示内容の明白な一部である、公開公報ドイツ特許第100 56 010号又は第100 56 011号明細書から採ることができる。
ポリアクリル酸マトリックス
ポリアクリレートも同様に本発明のマトリックスの意味で有利である。本発明に従って有利なポリアクリレートはアクリレート−アルキルアクリレート共重合体、特にカーボマー又はカーボポール(Carbopol(R)はB.F.Goodrich Companyの登録商標である)として知られる製品の群から選択されるものである。本発明に従って有利な1又は複数のアクリレート−アルキルアクリレート共重合体はとりわけ、以下の構造を特徴としてもつ:
【0068】
【化2】

【0069】
この式中、R’は長鎖アルキル基であり、そしてx及びyは各コモノマーのそれぞれの化学量論的割合を表わす数値である。
【0070】
商品名Carbopol(R) 1382、Carbopol(R)981及びCarbopol(R)5984としてB.F.Goodrich Companyから市販のアクリレート共重合体及び/又はアクリレート−アルキルアクリレート共重合体、好ましくは等級980、981、1382、2984及び5984のCarbopolの群からのポリアクリレート、そしてより好ましくはカーボマー2001が本発明に従って特に好ましい。
【0071】
10−30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタアクリル酸あるいは、蔗糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルと架橋されているそれらのエステルの1又は複数のモノマーとの共重合体は更に有利である。
【0072】
有利な化合物はINCI名「アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー」をもつものである。B.F.Goodrich Companyから商品名Pemulen TR1及びPemulen TR2として入手できるものは特に有利である。
【0073】
有利な化合物にはINCI名アンモニウム・アクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドン・共重合体をもつものが含まれる。
【0074】
本発明に従って有利なことには、1又は複数のアンモニウム・アクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドン・共重合体は以下の統計的構造に対応する実験式[C16SO[CNO]を有する。
【0075】
【化3】

【0076】
本発明の意味で好ましい種類は、登録番号58374−69−9、13162−05−5及び88−12−0下にChemical Abstracts中に記載されており、会社Clariant GmbHから商品名Aristoflex(R)AVCとして入手できる。
【0077】
更に、会社Seppic S.A.からSimugel(R)EG又はSimugel(R)EGのようなアクリロイルジメチルタウレートを含んでなる共重合体/クロスポリマーは有利である。
【0078】
銀ガラス含有の本発明の好ましいポリアクリル酸マトリックスの場合に、ポリアクリル酸はポリビニルピロリドン(PVP)の助けにより架橋される。架橋はPVPの第四級ア
ンモニウム塩の形成を経て進行する。この種の架橋は有機塩をもたらし、それが既知の金属塩架橋剤と異なり、ポリアクリル酸分子のヒドロキシ官能基により結合される。金属塩の場合におけるように、反応は可逆的で、水又は酸を添加することにより逆行させることができる。生成されるゲルの粘度は架橋剤の量によるのみならずまた、PVPの分子量により制御されることができる。この関係において、高分子量は低い粘度をもつゲルをもたらし、低分子量は高粘度及び高結合力をもつゲルをもたらす。この種の架橋の利点は、その粘着性、密着性及び粘度を適用の特定の部位に対して個別に調整することができる、PVPの割合及びPVP分子量のパラメーターによる、ゲルマトリックスの、個別に適応される調製である。ゲルマトリックスの粘度及び結合強度に対するPVPの分子量の影響のこの効果は次の所見に起因させることができる:長鎖PVPの場合には、高分子1個当りのピロリドンのサブユニット数が短鎖PVPの場合より著しく多い。その結果、高分子は容易にそれら自体を配向して、束を形成することができるので、同一反応物の相互との反応の発生を増加する。これらの反応は2個以上のポリアクリル酸分子との結合点の形成をもたらさない。従って、他のポリアクリル酸分子に対してはごく僅かな架橋結合しか形成されず、従って、ごく僅かな大きい網目が結合される。この環境は低い粘度の比較的緩く結合したゲルをもたらす。それに対して、短鎖PVPの場合には、分子のより大きい移動性及びストランドへの配向を受けるより低い傾向のために、異なるポリアクリル酸分子に対する、より多数の結合が形成され、それがより狭い網目サイズをもたらし、ゲルの部分に対してはより低い柔軟性及び粘度をもたらす。ゲルの粘度は更に、他の因子によっても同様に制御されることができる。従って、例えばPVPの量はゲルの構造に関して共同決定部分を果たす。飽和点が超えられると、すでに架橋したものとの遊離PVP分子の競合反応が起る。これらの競合反応はポリアクリル酸及び過剰なPVP分子の未結合凝集物を優先して架橋点の破壊開裂をもたらす。この過飽和の結果は結合点の総数の減少及び従ってゲル粘度の減少である。ゲルの粘度を制御するために使用することができる更なる可能性は、プロトン性溶媒(例えば、水、アルコール、アミン、チオール)又は有機プロトン供与体(例えば、カルボン酸、サリチル酸)又は無機試剤(例えば、ルイス酸)の添加である。ここで第三級ポリアミン及びポリアミドの物質の群からの化合物は特に適当である。これらの場合にはそれぞれ、それらの試剤の添加がポリアクリル酸又はPVPのいずれかの上の配位部位を減少させる役割を果たす。その結果、ゲルの網目の形成のための可能な結合地点の数は低下し、それがゲルの粘度に対して直接的影響を有する。更に、マトリックスの生成されるゲル特性は使用されるポリアクリル酸の分子量、置換度及び架橋度により影響を受ける可能性がある。特定の性能の特性を形成するためには、ゲルマトリックスは適当な可塑化剤、溶解剤、浸透促進剤、充填剤及び/又は他の既知の添加剤と混合される。ゲル基剤として有利なポリアクリレートはアクリレート−アルキルアクリレート共重合体、特にカーボマー又はカーボポール(Carbopol(R)は実際にB.F.Goodrich Companyの登録商標である)として知られる製品群から選択されるものである。とりわけ、有利な1又は複数のアクリレート−アルキルアクリレート共重合体は次の構造を特徴としてもつ。
【0079】
【化4】

【0080】
この式中、R’は長鎖アルキル基であり、そしてx及びyは各コモノマーのそれぞれの化
学量論的割合を表わす数値である。
【0081】
商品名Carbopol(R) 1382、Carbopol(R)981及びCarbopol(R)5984としてB.F.Goodrich Companyから入手できるアクリレート共重合体及び/又はアクリレート−アルキルアクリレート共重合体、好ましくは等級980、981、1382、2984及び5984のCarbopolの群からのポリアクリレート、そしてより好ましくはカーボマー2001が本発明に従って特に好ましい。C10−30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸あるいは、蔗糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルと架橋されているそれらのエステルの1又は複数のモノマーとの共重合体は更に有利である。
【0082】
ポリアクリル酸及び/又はその共重合体は好ましくは、5%〜55重量%、より好ましくは5%〜30重量%の間の量で使用される。ここですべての百分率はその反対に何か明記されない限り、ゲルマトリックスの重量の割合に基づく。
【0083】
使用される架橋剤は好ましくは0.25%〜60重量%、より好ましくは、1%〜30重量%の量のポリビニルピロリドン(PVP)、例えばBASFからのLuviskolである。同様な程度に、いわゆるPVP架橋剤として、例えば、ビニルピロリドン−ビニルアセテート(ポビドンアセテート、Kollidon VA64)のようなPVP共重合体、ビニルピロリドン及びアクリル酸又はメタクリル酸及び/又はそれらのエステルを基とするターポリマー(Luviflex VBM35)、ビニルピロリドン及びビニルイミダゾリウム・メトクロリドの共重合体(Luviquat製品)を使用することもできる。
【0084】
更なるゲル成分として、好ましくは5%〜90重量%、より好ましくは5%〜45重量%の間の量の、1又は複数のポリアルコール、例えば1,2−プロパンジオール、グリセロール及び/又は水を使用することができる。
【0085】
ゲルマトリックスの更なる成分は、0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%の量の溶解剤、例えば、ポリエチレングリコール(BASFからのLutrol E400、E600)、0〜30重量%、好ましくは0〜15重量%の量の中和剤、例えば、トロメタモール、トリエタノールアミン及び/又はデクスパンテノール、0〜30重量%、好ましくは3〜15重量%の量の1又は複数の充填剤、例えば、シリカ、微細化セルロース及び/又はゼラチン並びに0〜35重量%、好ましくは0〜15重量%の量の1又は複数の天然の活性物質、例えば、メントール又はジョジョバ油、であることができる。
【0086】
銀ガラスを含有するこれらのポリアクリル酸マトリックスは市販の通常の配合装置又は適当な押し出し機中で、溶媒を伴わずに、好ましくは室温で生成される。
【0087】
銀ガラス含有マトリックスとしての使用のためのポリアクリル酸マトリックスの更なる有利な態様は特許出願DE101 42 918号明細書から採ることができ、それは明白に本発明の開示内容の一部である。
シリコーン・マトリックス
PSAマトリックスを含む化粧品又は製薬学的皮膚処置のための銀ガラス含有の水分吸収性シリコーンを基とするマトリックスは
a)シリコーン、
b)ゲル形成剤
c)適当な場合には、シリコーン樹脂
からなる。
【0088】
本発明の第1の有利な態様においてマトリックスは以下の組成:
a)シリコーン:55%〜80%、特に60%〜75重量%、
b)ゲル形成剤:20%〜40%、特に25%〜40重量%
c)銀ガラス:0.01%〜10%、特に0.5%〜5重量%
を有する。
【0089】
シリコーンは1成分又は2成分系として加工される。架橋は一般に、酢酸の除去による重縮合として又は白金触媒を使用する重付加として達成される。記載のマトリックスを生成するためには、ポリジメチルシロキサン(図を参照されたい)を含んでなる市販の通常の2成分系、すなわちDow CorningからのQ7−9600 A+B、を使用した。
【0090】
【化5】

【0091】
結合力を調整するために、場合により、シリコーン樹脂(PSA MD 74602,Dow Corningから)で架橋されたポリジメチルシロキサンを使用した。
【0092】
マトリックスの部分に対する水吸収性は、ゲル形成剤がマトリックスの表面から内部に向かって分子間架橋結合をもつことができるような量の、高い相対的表面積を有するゲル形成剤を取り入れることにより達成した。この種のゲル形成剤は例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル又は微細結晶セルロースである。Goodrich Corp.のCarbopolシリーズのポリアクリル酸製品を主として使用した。
【0093】
水吸収性を変えるためには、更に、例えばナトリウムポリアクリレート(StockhausenからのFavorsorb)のような低い相対的表面積をもつ強力なゲル形成剤を取り入れた。
【0094】
調製は市販の通常のミキサー中で室温で実施する。2成分系の場合には、最初に2種のシリコーン成分を相互に混合する。次に必要な場合には、シリコーン樹脂成分を撹拌混合し、次に1又は複数のゲル形成剤を取り入れ、そして最後に銀ガラスを混合撹拌する。マトリックスを裏地上にコートし、シリコーン樹脂成分の溶媒をマトリックスから蒸発させる。シリコーンマトリックスの架橋反応期間は温度の関数として調節することができる。マトリックスの粘着性側に剥離裏地を裏打ちする。
【0095】
取り入れることができる銀ガラスはまた、場合により、架橋反応後にゲル形成剤のチャンネルを介して、溶液の形態で又は化粧品エマルジョンで、導入することができる。
【0096】
銀ガラス含有マトリックスとしての使用のためのシリコーンマトリックスの更なる有利な態様は特許出願物DE101 14 382号明細書に認めることができ、それは明白に本発明の開示内容の一部である。
ゴム・マトリックス
PSAマトリックスを有する、化粧品又は製薬学的皮膚処置のための、銀ガラスを含有する水分吸収性のゴム基剤のマトリックスは
a)ゴム、
b)粘着性付与樹脂、
c)親水性、水分吸収性の、分散された固体、
d)老化防止系、
からなる。
【0097】
本発明の1つの有利な態様において、本マトリックスは以下の組成:
銀ガラス 0.1%〜10% 特に0.5%〜5重量%
a)ゴム 20%〜70% 特に30%〜50重量%
b)粘着性付与樹脂 10%〜50% 特に20%〜40重量%
c)充填剤 10%〜30% 特に12%〜20重量%
d)老化防止剤系 0.5%〜5% 特に1%〜3重量%
を有する。
【0098】
記載の形態のゴム接着剤は溶液中で加工される。使用されるゴムは天然源又は合成源のいずれかである。処方の混合物中の様々な等級の機械的特性がゴム接着剤の所望の骨格特性を生成する。使用される粘着性付与樹脂は必要な感圧性粘性(adhesion)又は粘着性(tack)を与える。鉱油のような可塑化剤は処方の機械的特性を微調整する役割をはたす。マトリックスの側の水吸収性は処方中の微細分散物中に親水性の水吸収性固体を分配することにより得られた。
【0099】
物質の1群として、植物の根の粉末及びデンプン粉が好ましくは使用され、更にセルロース及びそれらの誘導体及び更に他の水吸収性固体も可能である。水吸収性は親水性固体の本質及び量により影響を受けることができる。それらの化学構造のために、ゴム接着剤は酸化に敏感である。従ってそれらは適当な老化防止剤系を供給されなければならない。このシステムは抗酸化剤として機能するのみならずまた、生理学的に異議のないものでなければならない。
【0100】
生産は市販の通常のミキサー中で室温で実施される。ゴム成分を適当な溶媒に溶解し、次に、活性物質を含む残りの成分を添加する。組成物を裏地上にコートし、溶媒を組成物から蒸発させる。蒸発工程の期間は温度の関数として調節することができる。組成物の接着剤側に剥離用裏地を裏打ちする。
SBCホットメルト・マトリックス
皮膚への銀ガラスの制御された送達のためのPSAマトリックスの場合には、PSAマトリックスの骨格形成物質はスチレンブロック共重合体(SBC)により形成される。
【0101】
1つの有利なバージョンにおいて、ラテックスを含まないPSAは下記の組成:
5%〜90重量%の ブロック共重合体、
5%〜80重量%の 粘着性付与剤、例えば油、ワックス、樹脂及び/又はそれらの混
合物、好ましくは樹脂と油の混合物、
60重量%未満の 可塑剤、
15重量%未満の 添加剤、
5重量%未満の 安定剤、
10重量%未満の 銀ガラス含有添加剤、
を有する。
【0102】
粘着性付与剤として働く脂肪族又は芳香族油、ワックス及び樹脂は好ましくは、炭化水素基材の油、ワックス及び樹脂であり、ここで油(パラフィン系炭化水素油のような)又はワックス(パラフィン系炭化水素ワックスのような)はそれらに矛盾のないおかげで粘着性に対して有効な効果を有する。1つの特別な形態において、接着剤には少なくとも1種の脂肪族炭化水素樹脂及び少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂が含まれる。使用され
る可塑剤は中程度の鎖の又は長鎖の脂肪酸及び/又はそれらのエステルである。これらの添加は接着性及び安定性を調整する働きをもつ。適当な場合に、更なる安定剤及び他の補助剤を使用する。
【0103】
粘着力のある接着剤は鉱物充填剤、繊維及び中空又は固体の微細ビーズを充填することができる。
【0104】
更にまた、場合により、例えばデシルオレエート又はイソプロピルミリステート及びイソプロピルパルミテート(IPM及びIPP)のような親油性溶解剤として浸透促進剤を15重量%まで添加することもできる。マトリックスは好ましくは、溶媒の添加を省略して、溶融物中ですべてのPSAマトリックスの成分を均質化する工程により生成される。特に好ましくは、すべての成分を100℃以下の温度で連続操作又はバッチ操作で加工する。
PVA/PAA基材の湿式接着性重合体フィルム
銀ガラスからの銀イオンの消毒剤送達のための湿式活性化自己接着性重合体フィルムは20 000〜100 000g/モル、好ましくは28 000〜40 000g/モルの平均分子量及び80%〜95%、好ましくは、85%〜90%の加水分解度を有するポリビニルアルコール、並びに450 000〜4 000 000、好ましくは、1 300 000〜4 000 000g/モルの平均分子量を有するポリアクリル酸の均一混合物を含んでなり、ここで重合体フィルム中のポリアクリル酸に対するポリビニルアルコールの重量比は10:1〜1:1の範囲内に位置する。1つの有利な態様において、湿式活性化自己接着性重合体フィルムは0.001〜10%の銀ガラスを含有する。
【0105】
本発明のこの創傷包帯は、湿った創傷領域にのみ付着し、創傷治癒後に、自動的に無痛に剥離し、簡単な技術的手段により安価に製造することができる、合成重合体のポリビニルアルコール及びポリアクリル酸から形成される、溶媒を含まないマトリックス系を構成する。更に、該創傷包帯は空気及び水蒸気に透過性である。
【0106】
特に適切であることが判明した創傷包帯はフィルム中のポリアクリル酸に対するポリビニルアルコールの重量比が5:1〜3:1の範囲内にあるものである。
【0107】
湿式活性化自己接着性重合体フィルムは更に、創傷処置のための他の活性物質を備えることができる。従って改善された創傷治療のために、創傷包帯は創傷中への連続的放出のための有効な製薬学的及び/又は化粧品物質でドープすることができる。挙げることができる好ましい活性の製薬学的物質にはデクスパンテノール、リドカイン及び尿素が含まれ、挙げることができる好ましい活性化粧品物質には例えば、フラボノイド及びセリコシドの群が含まれる。創傷包帯中の活性物質の割合は有利には0.01%〜10重量%である。活性物質は既知の方法により、重合体形成の工程中に重合体マトリックス中に導入される。
【0108】
そのもっとも単純な態様において、創傷包帯は物理的被覆のためそして/又は感染に対する防御のための薄膜として適用することができ、ここで適用は表面の創傷を湿らせるように実施される。この場合は、フィルムの透明性のために通常の創傷包帯の場合におけるような創傷カバーを外すことなく、そして包帯の痛みを伴う剥ぎ取り及び新規の創傷包帯の適用の必要なしに経時的に創傷治癒の経過を観察することができる。
【0109】
創傷包帯の内部強度を増加するために、重合体フィルムを片面又は両面にエンボス加工することができる。同様に、合成又は天然繊維の挿入メッシュにより重合体フィルムに強化形態を与えることができる。適した布地の例には、1〜2mmの網目サイズをもつ木綿の網目地又は67%ビスコース及び33%ポリエステルの穴空き不織地が含まれる。
【0110】
更なる態様において、重合体マトリックスは片面上に裏地材料(織物、不織物、発泡体、プラスチック、等)で裏打ちして、複合フィルムとして適用する。これにより、使用される裏地材料に応じて、水蒸気透過性、創傷被覆物の強度、圧力に対する緩衝性及び創傷被覆物の他の物理的特性を調節することができる。
【0111】
重合体フィルムの共同決定性の利点は、湿った基礎上で自己接着性であるその特性であり、それが皮膚の領域中に創傷包帯を固定する目的のための、マトリックスに対する接着層の更なる適用を余分なものにさせる。この結果の1つは安価で簡単な製造法である。
【0112】
本発明の創傷包帯の湿った接着性の特定の特性はごく穏やかに親水性の、ポリビニルアルコールの網目中への親水性ポリアクリル酸の微細分割された取り込みにより説明される。それらのカルボン酸塩の官能性(function)により、本発明のポリアクリレートは水に対して強力な帯電親和性を有する。
【0113】
皮膚の表面上の創傷の症例では、接着性の特性のために必要なこの水分が、滲出液及び血液の形態で存在し、従って創傷包帯はそれ自体、ゲルの形成を伴って吸引により創傷に対して固く付着する。ポリビニルアルコールの実質的により低い親水性が重合体マトリックスにおける水分の均一な分配を確実にする。しかし、ポリビニルアルコールの欠乏したゲル形成能の結果として、マトリックスの強度は保持される。治癒進行のおかげで、創傷がもはや十分な水分を供給しないとすぐに、ポリアクリル酸のゲル部分が乾燥して、従ってマトリックスはその接着性を喪失する。
【0114】
本発明の有利なポリアクリレートは冒頭のポリアクリル酸マトリックス下に記載されたアクリレート−アルキルアクリレート共重合体である。
【0115】
本発明は同様に、本発明に従って記載された重合体フィルムを表面に備えた通常の創傷接触物質を含んでなる。従って、市販の通常のプラスターの創傷接触物質の結合/剥離特性を調節することができる。製造のためには対応する市販の通常の創傷接触物質をまだ水分を含有する重合体混合物で含浸し、その時に初めて乾燥する。
【0116】
湿式接着性フィルムを製造するためには、例えば20 000〜100 000g/モル、好ましくは28 000〜40 000g/モルの平均分子量及び80%〜95%、好ましくは、85%〜90%の加水分解度を有するポリビニルアルコール(HoechstからのMowiol 18/88)のような高い接着性のフィルム形成重合体を、450 000〜4 000 000g/モル、好ましくは1 300 000〜4 000
000g/モルの平均分子量を有する、例えば、GoodrichからのCarbopol 980のようなゲル形成ポリアクリル酸重合体と組み合わせ、ここでポリアクリル酸に対するポリビニルアルコールの重量比は10:1〜1:1の範囲内にある。双方の重合体を、例えば、配合装置のような強制混合を伴う撹拌装置中で60〜90℃で溶媒としての水中に溶解又は膨潤させ、相互に均一に混合する。その後、生成する粘性の塊を平坦に被覆し(coated)、次に乾燥するとフィルムを形成する。弾性のような、フィルムの物理的特性を変性するためには、混練操作中にポリエチレングリコール(BASFからのLutrol E400)、等のような対応する付加物を取り入れることができる。活性な製薬学的/化粧品物質として、マトリックス中に更に、創傷治癒促進剤、例えばデクスパンテノール及び/又は他の物質を取り入れることができる。
【0117】
60〜90℃でマトリックス中への取り入れを許さない感熱性活性物質は、最初に活性物質を含まないマトリックスを生成し、次にそれを乾燥することにより取り入れることができる。次に親水性溶媒中の溶液中のこれらの感熱性活性物質をマトリックス中の吸引に
より延伸することができる。次にマトリックスを再度、室温における溶媒の蒸発により又は凍結乾燥ユニット内で乾燥する。湿式接着性重合体フィルムの特に皮膚に適したpHを設定するためにそして/又は湿ったポリアクリル酸のゲル特性に影響を与えるために、同様にマトリックス中にトロメタモール、トリエタノールアミン、等のような対応するpH矯正剤を取り入れることもできる。
【0118】
配合機中の製造に対して、場合により、重合体フィルムはまた押し出し機中で連続的に製造することができる。
ヒドロコロイド
化粧品としての及び製薬学的に関連するヒドロコロイドの群は以下のように分類することができる:
・有機天然化合物、例えば、寒天、ヤハズツノマタ(カラゲーン)、トラガカントゴム、アラビアゴム、アルギネート、ペクチン、ポリオース、グア豆粉、イナゴマメ粉、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン、
・有機変性天然物質、例えば、カルボキシメチルセルロース及び他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース及び微細結晶セルロース、
・有機完全合成の化合物、例えば、ポリアクリル及びポリメタクリル化合物、ビニル重合体、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、
・無機化合物、例えば、ポリケイ酸、粘土鉱物(例えば、モンモリロナイト、ゼオライト、シリカ)。
【0119】
微細結晶セルロースは本発明のマトリックスのために有利なヒドロコロイドである。それは例えば、商品名Avicel(R)として”FMC Corporation Food and Pharmaceutical Products”から入手できる。本発明の目的に特に有利な製品は微細結晶セルロース89%及びナトリウムカルボキシメチルセルロース11%からなる変性微細結晶セルロースである、Avicel(R)等級RC−591である。このクラスの原料の更なる市販製品はAvicel(R)RC/CL、Avicel(R)CE−15及びAvicel(R)500である。
【0120】
更なる有利なヒドロコロイドは例えば、セルロースのメチルエーテルに対して使用される用語であるメチルセルロースである。それらは以下の構造式
【0121】
【化6】

【0122】
[式中、Rは水素又はメチル基であることができる]
を特徴としてもつ。
【0123】
主としてメチル基の外に、更に2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基又は2−ヒドロキシブチル基を含む、同様に一般にメチルセルロースとも呼ばれるセルロース混合エーテルは本発明のマトリックスの目的に特に有利である。(ヒドロキシプロピル)メチルセルロース、例えば、Dow Chemical Comp.から商品名Methocel(R)E4Mとして入手できるものが特に好ましい。
【0124】
構造式中のRが水素及び/又はCH−COONaであることができる、セルロースのグリコール酸エーテルのナトリウム塩である、ナトリウムカルボキシメチルセルロースもまた本発明に従って有利である。Aqualonから商品名Natrosol Plus
330 CSとして入手でき、更にセルロースガムとも呼ばれるナトリウムカルボキシメチルセルロースが特に好ましい。
【0125】
更に、通常、トウモロコシの糖から発酵により形成され、カリウム塩として単離されるアニオン性ヘテロ多糖類である、キサンタンガムとも呼ばれるキサンタン(CAS No.11138−66−2)は本発明のマトリックスの目的に好ましい。それは好気性条件下でキサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)および幾つかの他の種により産生され、2×10〜24×10の分子量を有する。キサンタンは側鎖をもつβ−1,4−結合グルコース(セルロース)を含んでなる鎖から形成される。サブ基の構造はグルコース、マンノース、グルクロン酸、アセテートおよびピルベートからなる。キサンタンは最初の微生物によるアニオンのヘテロ多糖類に与えられた名称である。それは好気性条件下でキサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)および幾つかの他の種により産生され、2〜15×10の分子量を有する。キサンタンは側鎖をもつβ−1,4−結合グルコース(セルロース)を含んでなる鎖から形成される。サブ基の構造はグルコース、マンノース、グルクロン酸、アセテートおよびピルベートからなる。ピルベート単位の数がキサンタンの粘度を決定する。キサンタンは使用される炭水化物に基づいて70〜90%の収率で2日間のバッチ培養物中で産生される。本工程では25〜30g/lの収率が達成される。培養物が死滅した後に、例えば2−プロパノールによる沈殿により後処理を実施する。次にキサンタンを乾燥し、粉砕する。
【0126】
本発明のマトリックスの目的に有利なゲル形成剤はまた、紅藻(Florideae)[(トチャカ(Chondrus crispus)およびギガルチナ・ステラタ(Gingartina stellata)]に属する北大西洋紅藻からの、寒天に類似の構造をもつ、ゲル−形成抽出物のカラゲーンである。
【0127】
カラゲーンの用語はしばしば乾燥寒天生成物に対して、そしてカラゲーナンはその抽出物に対して使用される。寒天の熱水抽出物から沈殿されるカラゲーンは100 000〜800 000の分子量範囲および約25%の硫酸塩含量を有する無色から砂色の粉末である。温水に非常に易溶性のカラゲーンは含水量が95〜98%である場合でも、冷却すると揺変性ゲルを形成する。ゲルの硬度はカラゲーンの二重らせん構造により影響を受ける。カラゲーナンの場合には、3種の主要成分が区別される:ゲル−形成性κ画分はD−ガラクトース4−スルフェートおよび、1,3−位および1,4−位に交互のグリコシド結合を有する3,6−アンヒドロ−α−D−ガラクトースからなる(それに対し、寒天は3,6−アンヒドロ−α−L−ガラクトースを含む)。非ゲル化λ画分は1,3−グリコシドにより結合されたD−ガラクトース2−スルフェートおよび1,4−結合されたD−ガラクトース2,6−ジスルフェート基から成り、冷水に易溶性である。1,3−結合におけるD−ガラクトース4−スルフェートおよび1,4−結合における3,6−アンヒドロ−α−D−ガラクトース2−スルフェートからなるτ−カラゲーナンは双方とも水溶性で、ゲル−形成性である。更なるカラゲーン等級も同様にギリシャ文字、α、β、γ、μ、υ、ξ、π、ω、χを使用して言及される。存在するカチオンの種類(K、NH、Na、Mg2+、Ca2+)もまたカラゲーンの溶解度に影響を与える。
【0128】
化粧品調製物中のキトサンの使用自体は知られている。キトサンは一部脱アシル化されたキチンである。この生重合体はなかでも、フィルム形成特性を有し、皮膚上へのシルキーな感触を特徴として与える。しかし欠点はとりわけ適用中に−一過性に−起る、皮膚上
のそのひどい粘つきである。その場合、個々の場合に、対応する調製物は消費者により許容されずそして/又は否定的に見なされるので、それらは市販することができない。知られているようにキトサンは例えば、毛髪手入れに使用される。それは、増粘剤または安定剤として、その基剤のキチンよりも幾分適切であり、重合体のフィルムの付着性および水抵抗性を改善する。先行技術に対する多数の文献引用物の代表は、H.P.Fiedler,”Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete”[Lexikon of Auxiliaries for Pharmacy,Cosmetics
and Related Fields],第3版 1989,Editio Cantor,Aulendorf,p.293,キーワード「キトサン」である。
【0129】
キトサンは下記の構造式
【0130】
【化7】

【0131】
[ここで、nは約10 000までの値を採り、そしてXはアセチル基または水素のいずれかである]を特徴としてもつ。キトサンは、構造式
【0132】
【化8】

【0133】
を特徴としてもつ、キチンの脱アセチル化および部分的解重合(加水分解)により形成する。キチンは節足類(例えば、昆虫、蟹、クモ)の外部骨格[’οχιτωυ=ギリシャ語:外皮]の本質的成分であり、他の生物(例えば、軟体動物、寒天、カビ)の支持組織中にも認められる。
【0134】
約pH<6の領域中で、キトサンは正に帯電し、そしてその領域内でそれはまた水系に可溶性である。それはアニオン性原料と非相容性である。このため、キトサン含有水中油エマルジョンを調製するためには、非イオン性乳化剤の使用が適する。これら自体は、例えば、欧州特許第0 776 657号明細書から知られる。
【0135】
本発明に従うと、>25%、とりわけ>55〜99%[H−NMRにより測定]の脱アセチル度を有するキトサンが好ましい。
【0136】
10 000〜1 000 000間の分子量をもつキトサン、とりわけ100 000〜1 000 000間の分子量[ゲル透過クロマトグラフィーにより測定]をもつキトサンを選択することが有利である。
寒天/PAA基剤のゲルマトリックス
水中でゲル形成性の重合体を含んでなる自己接着性重合体マトリックスは好ましくは、少なくとも1種のポリアクリル酸重合体、水、海草抽出物及びアルコール並びに更に皮膚又は創傷に銀イオンの消毒剤送達のための銀ガラスを含んでなる。該マトリックスは結合強度決定成分として、水中でゲル形成性の重合体、好ましくはポリアクリル酸ゲルからなる。使用される海草抽出物は好ましくは寒天である。使用されるアルコールはとりわけ、コンシステンシー因子として働く、1価又は多価アルコール、好ましくはグリセロールを含んでなる。寒天以外の、使用に好ましい海草抽出物はカラゲーナンである。カラゲーナンは熱水抽出、次に凍結及びその後の精製により、様々な紅藻、主としてトチャカ(Chondrus crispus)から得られる高分子の親水性多糖類である。カラゲーナンの構造は主として、硫酸塩及び非硫酸塩両者の形態の、反復するガラクトースと3,6アンヒドロガラクトース単位からなる。カッパ、イオタ及びラムダカラゲーナン間のもっとも重要な差は反復するガラクトース単位上のエステル硫酸基の数及び位置である。カラゲーナンはカチオンの存在下でのみゲルを形成することができる。カルシウムイオン(カッパ及びイオタ)並びにカリウム及びアンモニウムイオン(カッパのみ)の存在下でゲルを形成する、カッパ及びイオタカラゲーナンが本発明に従って好ましい。本発明のゲルマトリックス系を生成するために同様に使用されるポリアクリル酸は安定なゲルの形成のために中和を必要とするので、対応するカチオン水酸化物の使用が特に有利である。カラゲーナンは例えば、Gelcarin、Viscarin及びSeaspenの名称でLehmann & Voss & Co.から工業的に入手できる。
【0137】
本発明に従って特に好ましい、寒天のような海草抽出物は熱水抽出、次に凍結及びその後の精製により紅藻(Rhodophyceae)群の様々な海草から得られる、ゲル化アガロース及び非ゲル化アガロペクチンからなる、多糖類構造の親水性コロイドである。寒天は例えば、Riedel de Haen AGから工業的に入手できる。
【0138】
抽出物、特に寒天又はカラゲーナンは好ましくは、0.1%〜15重量%、より好ましくは、0.5%〜5重量%の量で使用される。ここですべての百分率は、その反対が記載されない限り、重合体マトリックスの重量画分に基づく。1価アルコール又は例えば、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)のような多価アルコールは、とりわけ、溶解剤又は加湿剤として広範に使用される製薬工業の補助剤である。1価アルコール又はグリセロールのような多価アルコールは好ましくは、1%〜85重量%、より好ましくは、5%〜45重量%の間の量で本発明に従って使用される。マトリックス中のポリアクリル酸ゲルのような、水中でゲル形成性の重合体の画分が粘着性を支配する。しかし、寒天と異なり、ポリアクリル酸は水及びアルコールの両者とゲルを形成するので、ポリアクリル酸画分により調製された粘着性はそれぞれのアルコールの割合と独立して一定に保持される。マトリックス中の銀ガラスの割合は好ましくは、0.001%〜10重量%である。
【0139】
本発明に従って有利なポリアクリレートは冒頭のポリアクリル酸マトリックス下で説明されたようにアクリレート−アルキルアクリレート共重合体である。
【0140】
10−30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸あるいは、蔗糖のア
リルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルと架橋されているそれらのエステルの1又は複数のモノマーとの共重合体は更に有利である。
【0141】
水中でゲル形成性の重合体、特にポリアクリル酸及び/又はその共重合体は好ましくは、2%〜55重量%、より好ましくは5%〜30重量%の間の量で使用される。
【0142】
重合体マトリックスは商業的な通常のミキサー/配合機中で又は適当な押し出し機中で連続的に、好ましくは、40〜95℃で有機溶媒の使用を伴わず生成される。水中でゲルを形成する他の重合体にはバオバブ粉が含まれる。このように、出発物質として水、水中でゲルを形成する重合体、海藻抽出物及び1価又は多価アルコールのみを使用して、銀ガラス含有パッチ剤、TTS、パップ又はパッドとしての生産及び使用のための基剤として、軟い、滑らかな自己接着性ヒドロゲルマトリックスを目標とする方法で生成することができる。特定の性能特性を生成するために、それらを添加することは強制的ではないが、重合体マトリックスを適当な可塑化剤、溶解剤、浸透促進剤、例えばトロメタモール(2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)、トリエタノールアミン(2,2’,2”−ニトリロトリエタノール)又はNaOHのような中和剤、充填剤及び/又は他の知られた添加剤と混合することができる。従ってゲルマトリックスは創傷治療又は皮膚の手入れのために、親水性活性物質であるいはまた、適当な溶解剤を与えられて疎水性活性物質でドープすることができる。疎水性活性物質の取り込みの場合には、封入(encapsulation)のためにシクロデキストリンを使用することが有益かも知れない。
【0143】
シクロデキストリン(シクロアミロース、シクログルカン)それ自体は化粧品および製薬学的調製物中に知られている。水性溶媒中のシクロデキストリンの存在下での低い溶解度の物質の溶解度を改善することは個々の物質に対して説明された。シクロデキストリン群との、ゲストとも呼ばれる物質の包接化合物−これに関しては1:1又は1:2の双方の複合物及び他のモル比をもつ複合物(ゲスト:シクロデキストリン)が可能である−およびその物理的混合物の双方が有利であることができる。シクロデキストリンはα−1,4−結合グルコース単位からなる環状オリゴ糖類である。概括的に、6〜8個のグルコース単位(α−、β−、又はγ−シクロデキストリン)が相互に結合されている。シクロデキストリンはデンプンをバチルス・マセランス(Bacillus macerans)により作用される時に得られる。それらは疎水性の内部および親水性の外側を有する。それらの構造のおかげで、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体は包接複合物を形成することができる。それらは活性物質の「分子封入」に適する(例えば、化粧品および製薬学的調製物中の感受性の分子の周囲の保護的封入物として)。これらの適用はまた、一連の特許(例えば、国際公開第98/55148号パンフレット、欧州特許第0 579 435号、第0 392 608号明細書)中に記載されている。しかし、これらの刊行物には通常、唯一の活性物質がシクロデキストリン(誘導体)により複合化されている。多成分包接複合物は実際、欧州特許第0 756 493号明細書に記載されているが、より詳細に検討すると、後者は塩に関連し、酸および塩基の2成分混合物には関連しない。
【0144】
用語「シクロデキストリン及び/又はその誘導体」は下記の、環分子中に異なる数のグルコース単位を有するシクロデキストリン及びこれらの化合物の誘導体双方を表わす。
【0145】
【化9】

【0146】
【化10】

【0147】
【化11】

【0148】
本発明に従うと、1又は複数のシクロデキストリンは好ましくは、化粧品又は皮膚科学的組成物中に0.0005%〜20.0重量%、とりわけ0.01%〜10重量%、そしてより好ましくは0.1%〜5.0重量%の濃度で使用される。
【0149】
天然のシクロデキストリンあるいは極性及び/又は非極性置換基をもつシクロデキストリンを使用することは本発明に従って有利である。これらには、限定するものではないが、好ましくは、例えばメチル−、特にランダム−メチル−β−シクロデキストリン、エチル−及び更にヒドロキシプロピル−シクロデキストリン(例えばHP−β−シクロデキストリン又はHP−γ−シクロデキストリン)が含まれる。本発明に従って特に好ましいシクロデキストリンの種類はγ−シクロデキストリン及び更にヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。
【0150】
更なる先行技術は以下の刊行物に含まれる:
K.Uekama等,Chemical Reviews,1998,98,2045−2076,”Cyclodextrin drug carrier systems(シクロデキストリン薬剤担体システム)”、
T,Loftsson,Int.J.Dermatology,1998,37,241−246,”Cyclodextrins:new drug delivery systems in dermatology(シクロデキストリン:皮膚科学における新規薬剤送達システム)”、
J.Zatz等、Cosmetics & Toiletries,1997,112,July,p.39ff,”Applications of cyclodextrins in skin products(皮膚製品中のシクロデキストリンの適用)”、
U.Citernesi,Cosmetics & Toiletries,1995,110,March,p.53ff,Cyclodextrins in functional dermocosmetics(機能的皮膚化粧品中のシクロデキストリン)。
【0151】
本発明で使用されるシクロデキストリン及び/又はシクロデキストリン−ゲスト包接複合物及び/又はシクロデキストリン物質混合物はポリマーマトリックス中に問題なく取り入れることができる。
【0152】
本発明に従って特に好ましい1態様において、ポリマーマトリックス又はゲルマトリックスは0〜35重量%、好ましくは0〜15重量%の量の、皮膚への(皮膚中への)制御された局所的又は全身的送達のための活性な製薬学的物質を含有する。使用することができる活性物質の例には精油が含まれる。精油により、天然の原料として主として香料および食品産業に使用され、多少とも揮発性化合物からなる植物由来の濃縮物(concentrates)を意味する。これらの化合物のうちで言及することができる例には1,8−シネオール、リモネン、メントール、ボルネオール及びカンファーが含まれる。「精油」の用語はしばしば、植物中に未だ存在する揮発性成分に対して使用される。しかし、それらの真の意味では、精油は植物原料から蒸気蒸留により調製される揮発性化合物の混合物であると理解される。精油はもっぱら、それらの沸点が概して150〜300℃の間にある揮発性成分からなる。それらには主として炭化水素又は単官能価化合物(例えばアルデヒド、アルコール、エステル、エーテルおよびケトン)が含まれる。親化合物はモノ−およびセスキテルペン、フェニルプロパン誘導体およびより長鎖の脂肪族化合物である。幾つかの精油においては1成分が主要であり(例えば、クローブ油中85%を超えるオイゲノール)、他方、他の精油は個々の成分の複雑な混合物を構成する。感覚刺激性(organoleptic)特性はしばしば、主成分によってではなく、例えばガルバヌム油中の1,3,5−ウンデカトリエン及びピラジンによるような補助的又は痕跡成分により決定される。商業的に重要な多数の精油中に同定された成分の数は何百にものぼる。非常に多数の成分がキラルであり、ここで非常にしばしば、例えばペパーミント油中の(−)−メントール又はラベンダー油中の(−)−リナリルアセテートのように、1エナンチオマーが優勢であるか又は独占的に存在する。
【0153】
挙げることができる好ましい精油にはユーカリ油、コショウ様ハッカ油、樟脳油、ローズマリー油、タイム油、シベリアマツ油及び野生マツ油並びにテルペン1,8−シネオール及びレボメタノールが含まれる。
【0154】
挙げることができる更なる精油には白モミ油、アニス油、橙の花油、バルガルモット油(oleum bargarmottae)、キンセンカ煎じ油、樟脳油、丁子油、カミツレ油、シナモンセロリ油、カンキツ油、シトロネラ油、イタリアイトスギ油、シンボポゴニス油(oleum cymbopogonis)、肝油、ラベンダー油、ニクズク花油、マジョラナ油(oleum majoranae),メラルーサの若木油、メリッサ油、野生ハッカ油、コショウ様ハッカ油、ノコギリソウ油、ミルラ油、ギンバイカ油、オレガノ油、シベリアマツ油、野生マツ油、サルビア油、ビャクダン油、精留テレビンチナ油、タイム油、吉草油、ショウガ油及び/又は茶ノ木油が含まれる。ペパーミント油は様々な種類のペパーミントの葉および花並びに更に時々は野生のハッカから、蒸気蒸留により得られる精油である。柑橘油は、しばしばアルグメン油とも呼ばれる、柑橘類(ベルガモット、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、オレンジ、レモン)の皮から得られる精油である。柑橘油は大部分、モノテルペン炭化水素、主としてリモネン(例外:ベルガモット油は約40%のみを含有する)からなる。メントールは例えば、軽い火傷の結果としての皮膚の刺激の症例に表面麻酔のために使用することができる。この方法で生成される製品は冷たい快感をもたらし、専門家の医学的処置を要しない軽度の火傷を冷却するために使用することができる。メントールは3個の非対称C原子を有し、従ってエナンチオマーの4種のジアステレオマー対(式を参照されたい:他の4エナンチオマーは対応する鏡像である)で存在する。
【0155】
【化12】

【0156】
蒸留により分離することができるジアステレオマーはネオイソメントール、イソメントール、ネオメントール[(+)型:日本ペパーミント油の一成分]およびメントールと呼ばれる。もっとも重要な異性体は強度なペパーミント様匂いをもつ輝くプリズムの(−)−メントール(レボメントール)である。
【0157】
リウマチ性疼痛、神経痛および炎症を処置するために、更なる活性物質として、マトリックスに例えばカンファーを添加することができる。カンファーにより2−ボルナノン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンを意味する;以下の図を参照されたい。
【0158】
【化13】

【0159】
しかし、ジョジョバ油又はアロエのような手入れ用物質と組み合わせても、本発明の重合体マトリックスを使用することができる。適用の定義に応じて、これらの組み合わせ物は薬品を化粧品に変え、従って承認期間の短縮のお蔭で商品化する期間を著しく短縮することができる。本発明のヒドロゲル/パップ剤の有利な態様として、更に、活性充血物質(例えばカヤンペッパーの天然の活性物質)又は合成の活性物質(例えばノニバミド、ニコチン酸誘導体、好ましくはベンジルニコチネート又はプロピルニコチネート)及び抗炎症剤及び/又は鎮痛剤を挙げることができる。
【0160】
例えば、カプサイシン
【0161】
【化14】

【0162】
[8−メチル−トランス−6−ノネノイン酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアミド)]、
ノニバミド
【0163】
【化15】

ニコチン酸ベンジルエステル
【0164】
【化16】

【0165】
を挙げることができる。
【0166】
しばしば集合的に「フラボン類」とも呼ばれる、フラボンおよびその誘導体はまた、本発明の意味において有利な添加剤である。それらは下記の基礎構造(置換位置が示されている):
【0167】
【化17】

【0168】
を特徴としてもつ。
【0169】
本発明の調製物中にも、好ましく使用することができる、より重要なフラボンの幾つかは下記の表に挙げられる:
【0170】
【表1】

【0171】
天然においては、フラボンは通常グリコシル化形態で存在する。
【0172】
本発明に従うフラボノイドは好ましくは一般構造式
【0173】
【化18】

【0174】
[式中、Z〜Zは相互に独立に、H、OH、アルコキシ−及び更にヒドロキシアルコキシ−からなる群から選択され、ここでアルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基はそれぞれ、分枝および非分枝であってよく、そして1〜18個のC原子をもつことができ、そしてGlyはモノ−およびオリゴグリコシド残基の群から選択される]
の物質の群から選択される。
【0175】
しかし、本発明に従うフラボノイドはまた有利には、一般構造式
【0176】
【化19】

【0177】
[式中、Z〜Zは相互に独立に、H、OH、アルコキシ−および更にヒドロキシアルコキシ−からなる群から選択され、ここでアルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基はそれぞれ、分枝及び非分枝であってよく、そして1〜18個のC原子をもつことができ、そしてGlyはモノ−およびオリゴグリコシド残基の群から選択される]
の物質の群から選択することができる。
【0178】
これらの構造物は好ましくは一般構造式
【0179】
【化20】

【0180】
[式中、Gly、Gly及びGlyは相互に独立に、モノグリコシド残基を表わすかあるいはGly及び/又はGlyがまた、個別に又は一緒に水素原子による飽和物を表わす]
の物質の群から選択することができる。
【0181】
Gly、GlyおよびGlyは好ましくは、相互に独立に、ヘキソシル基、特にラムノシル基およびグルコシル基の群から選択される。しかし、その他のヘキソシル基(例えば、アロシル、アルトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシル)も同様に、適当な場合には有利に使用することができる。ペントシル基を使用することも本発明に従って有利であるかも知れない。
【0182】
〜Zは有利には、相互に独立にH、OH、メトキシ−、エトキシ−および更に2−ヒドロキシエトキシ−からなる群から選択され、そしてフラボングリコシドは構造:
【0183】
【化21】

【0184】
を有する。
【0185】
特に有利になる本発明のフラボングリコシドは以下の構造:
【0186】
【化22】

【0187】
[式中、Gly、Gly及びGlyは相互に独立に、モノグリコシド残基又はオリゴグリコシド残基を表わす。Gly及び/又はGlyはまた、個別に又は一緒に水素原子による飽和物を表わすことができる]
により表わされる群からのものである。
【0188】
好ましくは、Gly、Gly及びGlyは相互に独立に、ヘキソシル基、特にラムノシル基及びグルコシル基の群から選択される。しかし、その他のヘキソシル基(例えば、アロシル、アルトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシル及びタロシル)も同様に、適当な場合には有利に使用することができる。ペントシル基を使用することも本発明に従って有利であるかも知れない。
【0189】
本発明の意味において、1もしくは複数のフラボングリコシドを、α−グルコシルルチン、α−グルコシルミリセチン、α−グルコシルイソクエルシトリン、α−グルコシルイソクエルセチン及びα−グルコシルクエルシトリンからなる群から選択することは特に有利である。
【0190】
α−グルコシルルチンが本発明に従って特に好ましい。
【0191】
更にナリンギン(アウランチイン、ナリンゲニン7−ラムノグルコシド)、ヘスペリジン(3’,5,7−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン7−ルチノシド、ヘスペリドシド、ヘスペレチン7−O−ルチノシド)、ルチン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン3−ルチノシド、クエルセチン3−ルチノシド、ソホリン、ビルタン、ルタビオン、タウルチン、フィトメリン、メリン)、トロキセルチン(3,5−ジヒドロキシ−3’,4’,7−トリス(2−ヒドロキシエトキシ)フラボン3−(6−(O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシド))、モノキセルチン(3,3’,4’,5−テトラヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシエトキシ)フラボン3−(6−(O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシド))、ジヒドロロビネチン(3,3’,4’,5’,7−ペンタヒドロキシフラボノン)、タキシホリン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラバノン)、エリオジクチオール−7−グルコシド(3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバノン7−グルコシド)、フラバノマレイン(3’,4’,7,8−テトラヒドロキシフラバノン7−グルコシド)及びイソクエルセチン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラバノン−3−(β−D−グルコピラノシド))も本発明に従って有利である。
【0192】
本発明のゲルマトリックスのための活性な製薬学的物質の更に好ましい群には、本発明の範囲内の完全性にどんな要求(any claim)をもせずに以下:
抗カビ剤(例えばナフィチン、アモロルフィン、トルナフテート、シクロピロックス)
非ステロイド性抗炎症剤(例えばグリコールサリチレート、フルフェナミン酸、イブプロフェン、エトフェナメート、ケトプロフェン、ピロキシカム、インドメタシン)、
抗掻痒剤(ポリドカノール、イソプレナリン、クロタミトン)、
局所麻酔剤(例えばリドカイン、ベンゾカイン)、
抗乾癬剤(例えばアンモニウムビツマスルホネート)、
角質溶解剤(例えば尿素)、
が含まれる。
【0193】
更なる態様において、適当な場合に、銀のみならずまた活性物質を含んでなる重合体マトリックスはそれに固く固定され、裏地層とも呼ばれる覆い層と、取り外し可能な剥離層間に配置することができる。取り外し可能な剥離層の目的は、粘着層を固定し、運搬安定性及び貯蔵安定性を改善することであり、そしてそれは皮膚への適用前に取り外される。
【0194】
重合体マトリックスは先行技術から知られるような裏地層又は裏地シートに適用されてきた可能性がある。裏地シートは、約10〜100μmの厚さを有する、空気及び水蒸気透過性であるが水不浸透性重合体層からなる。恐らく柔軟な裏地シートは好ましくは、ポリウレタン、PE、PP、ポリアミド、ポリエステル又はポリエーテル−エステルの重合体からなる。一般にプラスターの形態の本発明の創傷包帯は、水分の存在下で自己接着性
の本発明の活性物質の重合体マトリックス、適当な場合に活性物質に非透過性である裏地層及び、皮膚への適用前に取り外される、剥離可能な被覆層、を含んでなる。異なる使用分野に包帯を適応させ、そして適用相容性の包帯を提供するために、マトリックス中に、充填剤、安定剤、促進剤及び/又は化粧品補助剤のような更なる成分を取り入れることができる。最後に、マトリックスはシリコーン処理紙のような撥粘着剤裏地材料で裏打ちするか又は創傷接触物質又は緩衝物を提供することができる。後に皮膚に面するその水分自己接着性側上には、本発明の包帯は通常、使用時まで、撥粘着性裏地材料でその幅全体にわたり裏打ちされている。この物質がマトリックスの著しく皮膚相容性粘着剤を含んでなる自己接着層を被覆し、そして好ましくは移動法により適用され、更に製品全体を安定化する。裏地は単一体として又は好ましくは2部分として既知の方法でデザインすることができる。
【0195】
プラスターとしての適用のためには、本発明のゲルマトリックスは紙、等からできた剥離媒質に層として適用され、ここでこの適用は圧迫、回転、等により実施され、そして反対側には例えば、重合体シート、織物等のような任意の所望の裏地材を張り合わせる。本発明に従って特に好ましくは、ゲルマトリックスを計量ポンプにより裏地材に熱い状態で適用し、そして非常に特に好ましくは、圧縮機又は回転機構中で、三次元形態で対応するキャビティーにより実施される。生成されるプラスターの形態はキャビティーの形態により決定され、何の制約をも受けない、例えば、それは平らに伸びる縁をもつ長円形でもよく、又は例えば四角な装置(implementation)であってもよい。
【0196】
要約すると、適した裏地材には合成の及び天然の原料のすべての固い及び弾性のシート様構造物が含まれると述べることができる。それらが機能的包帯の特性を充たすような方法で使用することができる裏地材が好ましい。例えば、織物のような布地、ニット、重ね合わせ物、不織物、張り合わせ物、網、膜、発泡物及び紙が引用される。更に、これらの物質は前処理しそして/又は後処理をすることができる。一般的な前処理はコロナ及び疎水性化であり、通常の後処理はカレンダー仕上げ、熱状態調整、張り合わせ、打ち抜き及び被覆(enveloping)である。裏地材料が滅菌可能で、好ましくはγ−(ガンマ)滅菌可能であると特に有利である。
【0197】
粘着性重合体マトリックスによるスクリーン印刷又は同様な方法により点状に適用されたそして側部の縁で適用されたゲルマトリックスに外側で重なる、良好な酸素、空気及び水蒸気透過性を有する裏地材が、本発明に従って非常に特に好ましい。この形態に製造される本発明のマトリックスは、ヒドロゲル/パップの固有の粘着性が長期の適用にもはや十分でない場合に、肘又は膝関節のような強い機械応力を受ける身体部分に自己接着性に固定することができる。
【0198】
粘着性マトリックスの記述された特性はとりわけ、医療用品、特にプラスター及びパッチ剤、医療用固定物、創傷被覆物、整形外科的又は静脈学的包帯(bandages)及び包帯(dressings)のためのその有用性を示唆する。
【0199】
プラスター、ストリップ、創傷カバー及び/又は包帯中へのポリアクリル酸重合体、寒天、グリセロール及び水からなる自己接着性重合体マトリックスの使用はとりわけ、銀ガラスからの消毒性銀イオンによる創傷手当て及び/又は皮膚手入れのための極めて簡単な皮膚相容性の可能性である。このように準備されたプラスター、創傷カバー又は包帯は個別に調整できるコンシステンシー及び接着強度をもち、そして既知の医療材料と比較して極めて安価である。重合体マトリックスは単独で又は適切なコートされた裏地材と組み合わせて使用することができる。従って例えば、指又は肘のような動く身体部分上ですら使用することができる製品を製造することができる。更に皮膚に対する活性物質の制御された送達のための活性物質のパッチシステム又はTTSとして水溶性又は疎水性有効物をそ
の中に取り入れた重合体マトリックスの使用は特に適する。自己接着性重合体マトリックスの使用は有利には、とりわけ局所又は口腔内適用のための活性物質投与形態として、又はTTS、特にモノリスTTSの1成分としてとして見なすことができる。
【0200】
例えば、スクリーン印刷によりコートされた起毛材料上へのメントールの使用により、蒸発のおかげでメントール及び/又は水の送達が軽度の火傷の症例に冷却効果をもたらし、そして同時に、放出される銀イオンのおかげで損傷組織を消毒する重合体マトリックスを含んでなるプラスターを製造することができる。従って皮膚火傷の症例に適用のための活性物質として、銀ガラス及びメントールを含んでなる自己接着性重合体マトリックスの使用は好ましい。同様に、活性物質としての精油の使用は重合体マトリックスを風邪の症例においてそして更にアロマセラピーに対して使用させる。
【0201】
最後に、銀ガラスを含んでなるゲルマトリックスはシリコーン処理紙のような撥粘着剤裏地材料で裏打ちするか又は創傷接触物質又は緩衝材を提供することができる。後に皮膚に面するその自己接着性側上では、本発明のプラスターは使用されるまで、通常、撥粘着剤裏地材でその幅全体にわたり裏打ちされる。これは、好ましくは、移動法により適用されたゲルマトリックスの著しく皮膚相容性の粘着剤を含んでなる自己接着性層を被覆し、そして更に製品を全体として安定化する。裏地は既知の方法で1体に又は好ましくは2部にデザインすることができる。更なる態様は、マトリックスの裏側と、裏地の間に、溜めとして、より高い活性物質の溶解度を有する第2のマトリックスが存在するようなものであることができる。第2のマトリックス及び裏地の代わりに、これはまた、純粋な活性物質を含む、熱成形フィルムであることができる。更なる固定の目的のための、より高い接着強度を有するが、不十分な活性物質の溶解度をもつ第2のマトリックスは、マトリックスの粘着性側の一部(例えば、その縁)に配置される。活性物質を含まないマトリックスは2枚の非固定フィルム間に配置されて、固定のために使用される。銀ガラスを含んでなる活性物質を含まないマトリックスもまた、簡単なプラスター/粘着性プラスターのための接着層として(創傷接触物質とともに又はそれを伴わずに)働くことができると考えられる。
【0202】
医療用プラスターシステムとして、パッチ剤、パッド、創傷接触物質又は包帯としての銀ガラスを含んでなる重合体マトリックスの使用は特に0.2〜1000cmの総表面積をもつ2次元の態様において適する。その結果、例えば、皮膚の小領域(0.2〜2cm)又は、例えば、冷却の目的で広い領域(1000cmまで)が被覆される。
【0203】
更に、これに関しては、0.1〜1000g、とりわけ500gの重合体マトリックスの重量画分をもつ2次元又は3次元の態様における、銀ガラスを含んでなる自己接着性重合体マトリックスの使用も好ましい。この場合、形状は円形、楕円形又は四角形でもよく、あるいは皮膚の部分に合せてもよい。
【0204】
重合体マトリックス、とりわけポリウレタンマトリックスは発泡なしで、そして/又は一部又は全領域の発泡を伴なって、充填剤を伴わずに、又は例えば、高吸収剤、二酸化チタン、酸化亜鉛、可塑剤、染料、等のような更なる充填剤を伴って使用することができる。発泡物の形成により、使用者に対し有効な触覚感覚を有し、そしてより快適な包帯を製造させる比較的軟いマトリックス系を製造することができる。更に、発泡創傷接触物質は緩衝効果を与え、それは例えば、火傷によるような感圧性適用の症例で有利である可能性がある。しかし、本発明に従うと発泡特性は銀の放出には何の影響をももたないので、全重合体物質が非発泡で、そして顕著な適用性を有する事実もまた有利である。
【0205】
重合体マトリックスは適当な場合に、例えば、充填剤及び短い有機又は無機基剤の繊維、金属顔料、表面活性物質又は液体増量剤(例えば、150℃を越える沸点をもつ物質)
のような先行技術からそれら自体は知られる添加剤を含んでなることができる。無機充填剤としては例えば、重晶石、チョーク、石こう、キーゼル石、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化セリウム、石英砂、カオリン、カーボンブラック及び中空微細ビーズを挙げることができる。
【0206】
好ましいポリウレタンマトリックスに基づき0.01%〜2重量%の割合をもつ二酸化チタンの添加はとりわけ、例えば、使用者が包帯をとおして見苦しい何の血液をも見ることができないという意味で、銀含有包帯材料の美的特徴を高める。
【0207】
有機充填剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、尿素−ホルムアルデヒド及びポリヒドラゾジカルボンアミドを基剤にした粉末を使用することができる。適した短繊維には例えば、0.1〜1mmの長さのガラス繊維又は例えば、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維のような有機源の繊維が含まれる。ゲル形成に関しては、例えば、鉄、アルミニウム又は銅粉末のような金属粉末も同様に使用することができる。マトリックスに所望の色彩を与えるために、例えば、酸化鉄顔料又は酸化クロム顔料、フタロシアニン又はモノアゾ基剤の顔料のような、例えば、ポリウレタンの着色に関して、それら自体は知られている有機又は無機基剤の色素顔料又は染料を使用することができる。言及することができる界面活性物質の例には、セルロース粉末、活性炭及びシリカ製品が含まれる。銀含有ガラスを含んでなるマトリックスの変色が認められないので、これらの着色剤の添加は本発明に従って強制ではない。更なる物質による着色は例えば、それを幼児に魅力的にさせ、そして更に、例えば、皮膚の色のような環境のパラメーターに対する適応のために、完成重合体物質の個々のデザインのために役立つ。
【0208】
重合体マトリックスの接着性を変性するためには、適当な場合に、重合体マトリックス、特にポリウレタンの有利な特性を弱めることなく、重合体組成物の重量に基づき10重量%までの量の、重合体のビニル化合物、ポリアクリレート及び接着剤工学で通常の他の共重合体及び/又は天然物質基剤の接着剤を添加することができる。
【0209】
本発明に従うと、請求される組成物の銀含有ガラスは、有利にはポリウレタンからなり、そして自己接着性である重合体マトリックス中に挿入される。
【0210】
適当な場合には色彩を変化させる他の金属酸化物のような通常のガラス添加物又は、例えば、融点を低下するためのソーダ及びカリを、適宜更に添加することができる。
【0211】
使用することができるガラスは有利には無色である。
【0212】
特に有利であることが判明した前記の組成物の銀ガラスは0.1μm〜10μm間の容量に基づく粒径及び5%未満の残留水分含量を有するものである。特別に製造された抗菌性ガラスは例えば、Ishizuka Glass Co. Ltd.,Japanから入手できる。
【0213】
驚くべきことには、本発明の銀含有ガラスは、反応を破壊することなく、重合体基剤物質にガラスを混合することにより、重合体マトリックス中にそしてとりわけポリウレタンマトリックス中に取り入れることができ、そして重合体中への完全な取り込みにも拘わらず、それらの抗菌又は消毒作用を発生することができることが見いだされた。ガラスが重合体マトリックスの特性のどんな劣化にも寄与しないことは更に驚くべきことで、予知されなかった。
【0214】
本発明の物質、好ましくは重合体マトリックス中への銀ガラス、0.005%〜1重量%だけの量すらが抗菌活性を示すことも同様に極めて驚くべきことである。更に、その活
性は比較的長期間にわたり一定の高レベルにあるので、例えば、創傷接触物質の形態の物質は活性に関して減損せずに長期間にわたり皮膚上に装着することができる。これに関しては、とりわけ皮膚にやさしいポリウレタンマトリックスが相乗的作用をもち、そのため重合体マトリックスも同様に長期間の装着からの不都合のどんな観察ももたらさない。
【0215】
しかし、もっとも優れた、予知できなかった利点は、創傷接触物質として適した重合体物質の、抗菌ガラスとの本発明の組み合わせ物が変色に対する創傷接触物質の耐久性の安定度をもたらすことである。本発明の重合体物質は同時に、放射線、熱又は他の効果に対する変色安定性を示す。
【0216】
銀ガラスの量に応じて、本発明の銀含有重合体物質は50mgのAg/1kgの重合体までの銀の放出を示す。好ましい銀イオン放出速度は5〜30mg/kgであり、放出速度は銀ガラスの量によりあるいはまた重合体マトリックスに対する更なる適切な添加物により制御することができる。本発明の創傷接触物質の抗菌活性はまた、
・病原性大腸菌 IFO 3972
・黄色ブドウ球菌 IFO 12732、
に対するJIS(日本工業規格)2801:2000に従う比較的低い放出速度により示された。
【0217】
本発明の重合体物質からの抗菌性銀イオンの放出は2〜240時間、とりわけ10〜96時間にわたり認められ、それにより創傷接触物質による創傷の長期間の処置を確実にする。この利点は他の場合の、創傷接触物質を頻繁に交換する必要を回避する。
【0218】
重合体マトリックスは有利には、透明にすることができる。透明で、水蒸気透過性でそして粘着性であるので、ポリウレタンマトリックスはとりわけ、審美学及び適用相容性の特徴を充たす。これはポリアクリレート及びシリコーンゲル基剤のプラスター系との顕著な有利な相異を構成する。プラスターは通常、比較的長期間皮膚上に装着されることができるので、透明性は更に使用者の受容性を増加する。
【0219】
流体を貯蔵するために、好ましくは、重合体マトリックス中に粉末の形態の高吸収性重合体を取り入れることができる。これは皮膚領域中に放出された流体が結合されて(bound)、それにより包帯の浸軟及び早期剥離を抑制することを確実にする。更に、創傷分泌物の吸収増加及び病原微生物の関連した吸収増加の結果として、開放創傷の症例において多大な製品の利点が提供される。
【0220】
好ましい水分吸収物質は高吸収剤として知られるポリアクリレート及びそれらの共重合体の水分吸収性塩、特にナトリウム又はカリウム塩である。それらは非架橋でも又は架橋されてもよく、更に市販製品として入手できる。適切性はとりわけ、ドイツ特許第37 13 601号明細書に開示された種類の製品及び更に、乾燥により抽出することができる小部分の水分のみをもち、そして加圧下で高い膨潤能をもつ新世代の高吸収剤により与えられる。好ましい製品は、低い架橋度をもつアクリル酸/ナトリウムアクリレート基剤の重合体である。この種のナトリウムポリアクリレートはFavor 22−SK(Stockhausen & Co.KG.,Germany)として入手できる。更なる吸収剤例えば、カルボキシメチルセルロース及びカラヤも同様に適する。
【0221】
従って、重合体マトリックスの総質量に基づき0.01%〜40重量%、とりわけ0.5%〜30重量%、特には20重量%の量の高吸収剤又は高吸収剤重合体を重合体中に取り入れることは有利である。
【0222】
更なる好ましい態様は、重合体マトリックスの製造並びに銀ガラスの取り込み中に、水
分を含まない形態の元素のアルミニウム、亜鉛及び/又はマグネシウム及び/又はそれらの塩基性化合物(例えば、水酸化亜鉛又は塩化マグネシウム)を更に混合することを想定する。
【0223】
これは一方で大量の添加銀ガラスを、又は先行技術から知られるような抗菌性銀化合物(例えば、銀ゼオライト)の更なる添加を可能にする。アルミニウム、亜鉛又はマグネシウム及び/又はそれらの塩基性化合物の添加は更に、回避しなければならない通常の銀化合物の黒変を回避する。創傷又は周囲物を介する水分の侵入の結果として、銀は塩化銀又は酸化銀に転化し、それが前記のように醜い外観及び知られた銀含有包帯の活性の喪失をもたらすことができる。アルミニウム、亜鉛又はマグネシウムの添加は反応系
2AgCl+Zn,2/3Al,Mg →
2Ag+ZnCl,MgCl,2/3AlCl
の電気化学的ポテンシャルに従うと、抗菌性銀が再形成されることを可能にする。本発明に従うと、物質Al、Zn、Mg及び/又はそれらの塩基性化合物は、物質の総質量に基づき0.01%〜5重量%の量で使用することができる。従って変色に安定な銀ガラスに加えて、所望の作用及びとりわけ美観からの減損を受けることなしに、重合体物質中に変色に不安定な銀化合物を取り入れることもできる。
【0224】
創傷接触物質の厚さは約100〜2000μmの間、好ましくは400〜1500μm、とりわけ600〜1200μmの間であることができる。
【0225】
本発明の創傷接触物質が自己接着性である場合は、固定の更なる手段の必要はない。創傷接触物質が、覆わねばならない創傷上に包帯物質として直接配置され、その自己接着性特性のお蔭で創傷の周囲の皮膚に接着する。
【0226】
非常に大きな創傷の症例において、更なる接着性結合が所望されるか又は重合体マトリックスが自己接着性でない時は、創傷接触物質は縁層の接着系の付加により皮膚に接着させることができる。その場合、本発明の包帯物質は既知の創傷包帯に従って構成される。それらは一般的に、片面に自己接着層を備えた裏地材からなる。次に本発明の創傷接触物質をこの自己接着被膜の上に適用する。取り扱いの容易性を確保するために、自己接着性被膜を更に、被覆層−例えばシールペーパーで裏打ちする。
【0227】
更なる裏打ち材上の縁層の接着系に適する粘着剤はドイツ特許第27 43 979号明細書本文中に示されており、更に通常市販されているアクリレート基剤又はゴム基剤の感圧性接着剤を接着性被膜に対して好ましく使用することができる。
【0228】
必要な場合に粘着性付与樹脂、可塑剤、安定剤及び他の補助剤のような適当な補助剤とともに、天然及び合成ゴム基剤の並びに、アクリレート、メタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリエステル又はシリコーンのような他の合成重合体を基剤にした熱可塑性ホットメルト接着剤が特に好ましい。所望の場合は、UV又は電子ビーム放射による後架橋が適当であるかも知れない。
銀ガラスの取り込み
銀ガラスは重合体マトリックス中に均一に分配することができる。これは重合の出発成分の1種中に又は完成重合体混合物中のいずれかにそれを均一に分散させることにより達成される。これは溶液中であるいは−銀ガラスの良好な熱安定性のお陰で−融成物(押し出し機)中のいずれかで実施することができる。
【0229】
銀ガラスはまた、層の構成により、例えば表面上にマトリックス中に局所的に限定して分配することができる。この目的のためには、例えば、噴霧、押し出し又は成形により重合体マトリックスの表面に銀ガラスを含有する重合体溶液を適用することができる。
【0230】
銀ガラス添加重合体は均一な平坦性を伴って被覆することができる。生成される被膜は任意の所望の形状の創傷接触物質に打ち抜くことができる。均一な平坦性を伴って被覆された重合体はまた、所望に応じて厚さを変えることにより形態を変性することができる。例えば、創傷接触物質の中央を最初に被覆された厚さに残し、他方、縁を平坦にすることができる。重合体はまた、当初から平坦でなく被覆して、その代わりに任意の所望の形状に成形することができる。
【0231】
ディメンションは意図される使用分野(例えば、指上の比較的小さい切り傷、より大きい切り傷−例えば、擦傷)により支配され、自由に選択可能である。更なる縁の接着系を伴う又は伴わない本発明により装備される包帯物質は、通常の方法で創傷上に配置される。創傷接触物質は創傷滲出液と接触し、該滲出液を吸収し、その結果として重合体マトリックスが膨潤することが認められる。特に高吸収性物質が添加されたポリウレタンマトリックスを使用する時には特に、重合体マトリックス中の創傷滲出液の有利な吸収が認められる。その後、創傷治癒に本質的な2段階を確認することができる。次に一方では、滲出液と接触する微細粉砕ガラスから銀イオンが放出され、そして他方で創傷からの微生物が重合体マトリックス中に取り上げられることができる。滲出している創傷への適用後、銀ガラス含有の本発明の包帯は銀粒子との流体の接触のお蔭で、創傷流体中に存在する微生物を殺し、そして/又は微生物による創傷のコロニー形成及び恐らく感染を予防するであろう。両段階は、単独で又は一緒に相乗的に、微生物の生長の縮小及び/又は微生物の死滅をもたらす。従って本発明の抗菌性創傷接触物質は抗菌性包帯物質の目的に適った適用を許す、制菌性及び殺菌性特性の両方を有する。銀含有包帯を外すと、抗菌活性は停止する。一時的に前以て適用された抗生物質及び防腐剤を除くための創傷のその後の洗浄は不要である。
【0232】
従って、記載の本発明は、一緒に相乗効果を達成する、著しく吸収性の創傷接触物質と組み合わせた銀含有粒子の前記の抗菌活性に基づく。更に、例えば本発明のポリウレタン創傷接触物質のような創傷接触物質は、患者の創傷の縁を正常な皮膚に固定させる自己接着性をもつことができる。それは感染創傷を処置するために又は創傷の感染に対する予防的被覆のために使用することができる画期的な創傷接触物質に関する。これに関しては、該包帯は抗菌創傷接触物質との接触時に微生物を殺すことにより外部からの浸透を防止する、微生物に対するバリヤーを形成する。銀含有ガラス化合物との湿式活性ポリウレタン重合体物質の独特な組み合わせが消費者による製品の有利な受け入れ及び高レベルの製品の安定性を許す。とりわけ、見苦しく、末端使用者により受け入れられず、そして既知の銀含有物質により示されるような、とりわけ水分、光線又はγ線の結果として始まる暗い変色は著しく改善されるか、又は完全に回避されすらする。
【0233】
本発明に本質的な因子は、抗菌性銀ガラスがポリウレタンマトリックス中に容易に取り込み可能であり、そして従って実際、抗菌性創傷接触物質を提供することを可能にすることである。驚くべきことには、重合体中の銀ガラスの割合のみならずまた、重合体中のそれらの分布及び更なる添加物の割合を、示された利点に対して減損を示さずに、広範囲内で選択することができる。
【0234】
更に、有効な皮膚手入れ又は創傷治療物質を重合体マトリックス中に更に取り込むことができ、ここで、これらの物質は皮膚に適用されると皮膚再生を支援する。添加することができる活性物質にはビタミン(例えば、ビタミンE又はビタミンC)、精油、フラボン及びその誘導体又は抗炎症剤及び/又は鎮痛剤が含まれる。
【0235】
従って、本発明の銀含有重合体物質は自己接着性創傷接触物質として又は更なる縁接着系を伴う創傷接着物質として創傷の処置に使用することができる。更に、創傷治療におけ
る使用の外に、皮膚手入れにおける使用、皮膚保護物としての適用及び皮膚損傷に対する予防物としての使用が提案される。
【0236】
本発明の重合体物質及び創傷包帯は、それによりどんな方法でも本発明を限定することは望まれずに、多数の実施例に関する好ましい構成で以下に説明される。部分的データは別記されない限り、重合体物質の総質量に関する。
化粧品
本発明はまた銀ガラスを含んでなる化粧品、特にエマルジョン基剤の化粧品、製薬学的又は皮膚科学的調製物に関する。銀ガラスの抗菌及び/又は消毒活性のお蔭で、調製物はとりわけ、炎症性皮膚状態の予防及び処置のためそして/又は皮膚保護のために役立つ。
【0237】
銀ガラスを含んでなる調製物は概括的にエマルジョン又は水性ヒドロゲルであり、それらは、通常の加湿物質に加えて更に例えば、
・炎症緩和及び冷却物質、
・局所的麻酔剤及び/又は
・局所適用のための他の有効な化粧品、製薬学的及び/又は皮膚科学的物質、
のような特別の活性物質を含むことができる。
【0238】
例えば、植物由来の、炎症緩和性又は炎症抑制活性物質(例えばアズレン及びビスアボロール(カミツレ)、グリシルリジン(甘草の根)、ハマメリン(マンサク)あるいはアロエ又はカミツレからの総合的抽出物)が使用される。これらはより軽症の形態及び局所に限定された紅斑反応の症例で良好な効果を示す。同様に高濃度の精油又はパンテノールを含むクリームでも有効である。
【0239】
日光浴後の製品は例えば、日光浴後の皮膚を冷却し、そしてその加湿を高めることを意図され、そこで冷却効果の付与が中心的役割を果たす。この冷却効果は例えば、調製物が皮膚上に塗布される時に自然に蒸発する大量のエタノールにより達成される。ヒドロゲル、O/Wエマルジョン(ローション)又は水性懸濁液も、水相の蒸発による冷却のおかげで顕著な冷却効果を有する。炎症過程の予防のためにこの種の調製物を損傷組織の消毒のために銀ガラスと混合することができる。
【0240】
本発明の調製物はすべての点で極めて満足で、卓越した作用を特徴とする製品である。本発明に従って使用される、有効量の銀ガラスを含有する化粧品、皮膚科学的又は製薬学的調製物が適用されると、炎症性皮膚状態−アトピー性湿疹を含む−の有効な処置及び更に予防及び/又は、感受性であると決定されていた乾燥皮膚の症例における皮膚の保護が可能である。
【0241】
本発明は日光浴後に適用される局所的適用形態に限定されず、その代わりにもちろん、炎症緩和効果が望ましい又は有利であることができると考えらえるすべての化粧品、製薬学的及び皮膚科学的適用を包含することが認められるであろう。
【0242】
化粧品、製薬学的又は皮膚科学的調製物がそれぞれの場合に調製物の総重量に基づき0.001%〜10重量%、とりわけ0.05%〜5重量%、非常に特には0.1%〜2重量%の銀ガラスを含有する場合は、本発明に従って有利である。
【0243】
本発明の化粧品又は皮膚科学的調製物が1又は複数のアルコールを含んでなる場合は、特に調製物が日光浴後用製品の形態で存在し、特定の冷却効果を特徴とすることを意図される場合は本発明との関連で好ましい。
【0244】
本発明の化粧品、製薬学的及び皮膚科学的調製物が皮膚の有効な加湿を確保するために
0.1%〜30重量%、より好ましくは、2%〜10重量%の量のグリセロールを含有する場合は、本発明との関連で更に好ましい。
【0245】
本発明の目的のための化粧品、製薬学的又は皮膚科学的調製物は更に、1又は複数の油相に加えて、1又は複数の水相を含んでなることができ、そして例えば、W/O、O/W、W/O/W又はO/W/Oエマルジョンの形態にあることができる。この種のエマルジョンは好ましくは、更に、ミクロエマルジョン、ピッケリングエマルジョン又は噴霧可能なエマルジョンであることができる。この場合は、プラスター様の適用形態をこれらのエマルジョンで含浸することができると考えられる。この種のエマルジョンは引用により本明細書中にその全体に取り入れられている特許出願書ドイツ特許第101 21 092号明細書に、より詳細に記載されている。
【0246】
本発明の調製物又は投与形態は好ましくは、更に、更なる抗炎症物質(例えば、アラントイン、α−ビスアボロール、パントテン酸、パンテノール、ロイヤルゼリー、カミツレ抽出物、アズレン又はアロエ抽出物及び更にアボカド油又は大豆油の鹸化不可能な画分)、並びに刺激皮膚を緩和する他の物質を含んでなる。更なる有利な活性物質は収斂、抗炎症及び/又は分泌抑制効果をもつタンニンである。
【0247】
銀ガラスを含有する本発明の調製物の1つの好ましい態様において、それらはとりわけ日光浴後の皮膚手入れ製品としての使用を見いだす。
【0248】
本発明の調製物の適用の1つの特に好ましい分野は、手入れ及び装飾化粧品学の分野内にある。すなわち、装飾的目的のための固形、半固形又はスティック形態の化粧品調製物、すなわちメークアップ調製物又は手入れ調製物(例えば、同様に顕著な分散性を示し、そして更に抗菌及び/又は消毒及び手入れ効果をもつ口唇手入れスティック)を提供することもできる。
【0249】
スティック形態の装飾調製物の場合は、主として2種の調製物間で区別される。スティックは主として油物質を含むか又はより近年の調製物は無水であり、そしてその目的のために、例えば、ステアリルアルコール及び水素化ヒマシ油の混合物を基剤にした、及び天然の又は合成のワックスを基剤にした特定の増粘剤系を要する。
【0250】
無水の固形又は半固形調製物は、1又は複数の固形の粒状物質がビヒクル中に懸濁されていることを特徴とする。ビヒクルは少なくとも1又は複数の高度に揮発性の油、1又は複数の非揮発性皮膚軟化剤及び1又は複数の増粘剤からなる。
【0251】
しかし、とりわけ、銀ガラス含有調製物の特性は、刺激性皮膚状態の症例における緩和及び/又は同時の皮膚手入れ機能を伴う皮膚のホメオスタシスの再構築の支援を合せる、化粧品、製薬学的及び皮膚科学的製品中への使用を説明する。とりわけ、本発明の目的のためのメークアップ製品が本発明に従う調製物中に更に染料及び/又は色素顔料を取り入れることは有利である。
【0252】
銀ガラスを含んでなる本発明に従う適用形態の場合は、この種の調製物中に一般に使用されるような化粧品又は製薬学的補助剤、例えば、保存剤、染料、着色作用をもつ顔料、溶解剤、浸透促進剤、親水性充填剤、増粘剤、樹脂、保湿及び/又は加湿物質、脂肪、油、ワックスあるいは化粧品又は製薬学的調製物の他の通常の成分(例えば、アルコール、ポリオール、重合体、発泡安定剤、電解質、有機溶媒及び/又はシリコーン誘導体及び更に加湿剤)が存在することができる。
【0253】
増粘剤としては有利には、例えば変性又は未変性の天然に存在する又は合成のフィロシ
リケートの群からの無機ゲル形成剤を選択することができる。
【0254】
単一の成分を使用することは完全に好ましいが、更に、有利な方法で、異なる変性された及び/又は未変性のフィロシリケートの混合物を本発明の銀ガラス調製物中に取り入れることもできる。
【0255】
適用のためには、本発明の化粧品及び皮膚科学的調製物は通常の方法で、すなわち例えば、直接に−ビン、チューブ、ポット又は任意の他の容器からの取り出し後に−又は(含浸)払拭物を使用して、十分量を皮膚及び/又は毛髪に適用される。
【0256】
本発明の調製物の特別の利点は、銀ガラスが特にそれらの有利な微細分割性のお蔭で、通常の化粧品に比較して適用時に何の減損をももたらさないことである。本発明に従う利点は、貯蔵安定性及び従って比較的長期間にわたる活性及びとりわけ、熱又は日光のような外界の影響による変色に対する安定性にある。従って他の銀含有化粧品に対して、本発明の調製物は何の黒変又は黒ずみを示さない。
払拭物、パッド、皮膚接触物質
含浸払拭物は広範な種類の部門における日用品の製品として広範な使用を見いだす。なかでも、それらは特に(流)水の不在下で有効な皮膚にやさしい洗浄及び手入れを許す。使用される実際の製品は2成分:
a)紙及び/あるいは天然又は合成繊維の任意の非常に広範な混合物のような物質から構成される乾燥した布、及び
b)低粘度の含浸液、
からなる。
【0257】
従って本発明は更に化粧品、製薬学的又は皮膚科学的含浸溶液で湿らされ、そして銀ガラスを含んでなる、化粧品、製薬学的及び皮膚科学的払拭物を提供する。
【0258】
本発明に従って好ましい「乾燥した」布は不織物、特に水流強化及び/又は水流浮き彫り不織物からなる。
【0259】
この種の不織物は任意の所望のパターンの巨大印象をもつことができる。実施すべき選択は、第1に適用される含浸物により、第2にその後の払拭物が使用される使用分野により支配される。
【0260】
布地は35〜120g/m、好ましくは、40〜60g/m(20℃±2℃で、そして65%±5%の大気湿度で24時間測定された)の重量をもつことが有利であることが判明した。
【0261】
不織物の厚さは好ましくは、0.4mm〜2mm、特には0.6mm〜0.9mmである。
【0262】
布地の不織物のために使用することができる出発物質は概括的に任意の有機及び無機の天然の及び合成の繊維物質であることができる。例としては、ビスコース、木綿、セルロース、ジュート、麻、サイザル麻、絹、羊毛、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド、ナイロン、ポリビニル誘導体、ポリウレタン、ポリアクチド、ポリヒドロキシアルカノエート、セルロースエステル及び/又はポリエチレン並びに更に鉱物繊維(例えば、ガラス繊維又は炭素繊維)を挙げることができる。しかし、本発明は記載された物質に限定はされず、むしろ不織物を形成するために多数の更なる繊維を使用することができる。使用される繊維が水溶性でない場合に、本発明の目的には特に有利である。
【0263】
不織物の1つの特に有利な態様において、繊維は70%のビスコースと30%のPETの混合物からなる。
【0264】
ポリアミド、ポリエステル及び/又は高度に延伸されたポリエチレンのような高い強度の重合体から製造された繊維もまた特に有利である。
【0265】
更に、不織物の視覚的魅力を強調そして/又は増強させるために、繊維を着色することもできる。繊維は更にUV安定剤及び/又は保存剤を含んでなることができる。
【0266】
布地を形成するために使用される繊維は好ましくは、60mm/[10分](EDANA試験10.1−72により測定)を超える、とりわけ80mm/[10分]を超える水吸収速度を有する。
【0267】
布地を形成するために使用される繊維は更に、好ましくは、5g/g(EDANA試験10.1−72により測定)を超える、とりわけ8g/gを超える水吸収度を有する。
【0268】
含浸液に対する非含浸布地の重量比が2:1〜1:6の範囲から選択されることが、本発明の目的に有利である。
【0269】
本発明の説明の過程で言及された本発明の化粧品、製薬学的及び皮膚科学的処方物及び調製物は本発明の意味における化粧品及び皮膚科学的払拭物に有利な含浸液を構成する。
【0270】
本発明の含浸液が低粘度である、とりわけ噴霧可能で、そして例えば、2000mPa・s未満、とりわけ1500mPa・s未満(測定装置:25℃でHaake Viskotester VT−02)の粘度を有する場合に有利である。含浸液はまた、銀ガラスを含んでなる本発明の化粧品調製物に対応することができる。
洗浄調製物
本発明の洗浄調製物の例は浴用発泡剤及びシャワー製品、固形及び液体石鹸又はいわゆる「合成石鹸(syndets)」(合成石鹸)、シャンプー、手洗い用ペースト、私的洗浄物、幼児用特別洗浄製品、シャワーゲル、クレンザー、メークアップ落とし又は髭剃り用製品である。調製物は固体(石鹸)、低粘度、又はゲル様であることができ、僅かに又は強度に発泡することができ、そして/又は抗菌性すすぎ用調製物として使用することができる。洗浄製品は皮膚に非常に緩和であり、有利には審美的に透明である。ミクロエマルジョンとしてそれらはまた、前記のように使用者により湿らせて又は乾燥させて使用される布地(cloth)、織物(fabric)のための含浸媒体として使用することができる。
【0271】
化粧品又は皮膚科学的調製物及び洗浄製品はしばしば、1又は複数の水相に加えて1又は複数の脂肪相又は油相が存在する微細分散多相系の形態にある。これらの系のうちで、順次、実際のエマルジョンがもっとも一般的である。
【0272】
単純なエマルジョン中では、乳化剤の殻に囲まれた1相の微細分散液滴(W/Oエマルジョン中の水滴又はO/Wエマルジョン中の脂質小胞)が第2の相中に存在する。通常のエマルジョンの液滴の直径は約1μm〜約50μmの範囲内に位置する。更なる着色添加物不在のこのような「マクロエマルジョン」は乳白色で不透明である。その液滴直径が約10−1μm〜約1μmの範囲内に位置する、再度着色添加物を含まない、より微細な「マクロエマルジョン」は青白色で、不透明である。
【0273】
約10−2μmより小さい粒径をもつミセル及び分子溶液のみが澄んで透明に見える。
【0274】
それに対し、透明又は半透明なミクロエマルジョンの液滴直径は約10−2μm〜約10−1μmの範囲内に位置する。この種のミクロエマルジョンは概括的に低粘度である。O/W型の多数のミクロエマルジョンの粘度は水のものに匹敵する。
【0275】
ミクロエマルジョンの利点は、活性物質が「マクロエマルジョン」の分散相中よりも、分散相中により微細に分散された形態で存在することができることである。更なる利点は、それらの低粘度の結果としてそれらが噴霧可能であることである。
【0276】
本発明の化粧品及び皮膚科学的調製物並びに特に洗浄調製物は、これらの調製物中に一般に使用されるような化粧品補助剤、例えば、保存剤、殺バクテリア剤、香料、染料、着色作用をもつ顔料、増粘剤、湿潤及び/又は保湿物質、脂肪、油、ワックス又は、アルコール、ポリオール、重合体、気泡安定剤、電解質、有機溶媒もしくはシリコーン誘導体のような化粧品又は皮膚科学的調製物のその他の通常の成分、を含んで成ることができる。
【0277】
本発明の化粧品及び/又は皮膚科学的洗浄調製物は概括的に、本発明に従って使用される物質又はこれらの物質の準備的溶液を溶解しそして/又は分散し、次に均一に撹拌し、そして適当な場合には加熱するような、当業者に知られた通常の方法で製造される。本発明の銀ガラスは有利には、調製物の総質量に基づき0.005%〜10重量%の量で単に添加することができる。
【0278】
水とのその後の接触が銀イオンを放出し、それがそれらの消毒及び/又は抗菌効果を発生する。
【0279】
以下の実施例は本発明の物質を説明する。
【0280】
別記されない限り、すべての量、割合及び百分率は銀ガラスを含んでなる調製物の重量及び総量又は総重量に基づく。
[実施例1]
以下の組成:
ポリエーテルポリオール(Levagel) 16.50g
架橋剤(Desmodur) 1.70g
ビタミンE 0.10g
Favor T(高吸収剤) 2.05g
lonpure 0.10g
Coscat触媒 0.04g
20.50g
を有する銀ガラスを含んでなる重合体物質を製造した。
【0281】
Ishizukaからの銀含有ガラスlonopureはガラスの総質量に基づき以下の組成:
重量%
73.35
MgO 18.33
Al 6.32
AgO 2.00
を示す。
[実施例2]
実施例1で製造された重合体物質を使用して、0.9%濃度のNaCl溶液中へのAgイオンの放出を研究した。
【0282】
約800g/mの、単位面積当たりの重量をもつ前記の組成の、平らにコートされた標本A(0.9%濃度のNaCl溶液100ml当たり試料1g)は表1に示される、以下の量の銀イオンを放出した。
【0283】
これも先行技術からの、それらの抗菌活性が研究中に検出された銀ゼオライト(B)又は銀ジルコニウムホスフェート(C)を含む先行技術からの対照標本は、以下の量の銀イオンを放出した。
【0284】
【表2】

【0285】
[実施例3]
異なる量の銀ガラスを含む本発明の創傷接触物質の製造
標本D:
創傷接触物質を以下の組成(0.01重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 14.505g
架橋剤(Desmodur) 1.391g
ビタミンE 0.057g
Favor T(高吸収剤) 4.524g
lonpure 0.002g
Coscat 0.041g
20.520g
を伴って製造した。
標本E:
創傷接触物質を以下の組成(0.05重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 14.41g
架橋剤(Desmodur) 1.38g
ビタミンE 0.06g
Favor T(高吸収剤) 4.50g
lonpure 0.01g
Coscat 0.04g
20.39g
を伴って製造した。
標本F:
創傷接触物質を以下の組成(0.075重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 14.41g
架橋剤(Desmodur) 1.38g
ビタミンE 0.06g
Favor T(高吸収剤) 4.51g
lonpure 0.016g
Coscat 0.04g
20.41g
を伴って製造した。
標本G:
創傷接触物質を以下の組成(0.1重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 79.03g
架橋剤(Desmodur) 7.65g
ビタミンE 0.30g
Favor T(高吸収剤) 22.76g
lonpure 0.11g
Coscat 0.36g
110.22g
を伴って製造した。
標本H:
創傷接触物質を以下の組成(0.25重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 78.68g
架橋剤(Desmodur) 7.57g
ビタミンE 0.30g
Favor T(高吸収剤) 22.66g
lonpure 0.28g
Coscat 0.36g
109.86g
を伴って製造した。
標本I:
創傷接触物質を以下の組成(0.52重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 78.95g
架橋剤(Desmodur) 7.58g
ビタミンE 0.31g
Favor T(高吸収剤) 22.74g
lonpure 0.57g
Coscat 0.36g
110.51g
を伴って製造した。
標本J:
創傷接触物質を以下の組成(1.02重量%の銀ガラス):
ポリエーテルポリオール(Levagel) 79.16g
架橋剤(Desmodur) 7.55g
ビタミンE 0.30g
Favor T(高吸収剤) 22.91g
lonpure 1.14g
Coscat 0.36g
111.42g
を伴って製造した。
[実施例4]
生成された実施例3の標本D〜J(約800g/m)を以下に明記される方法に従い24時間後にそれらの銀イオンの放出につき研究した。30cmと測定される試料を等張塩化ナトリウム溶液100ml中に32℃で入れた。24時間後に、試料を取り出し、溶液を0.45μmの膜フィルターをとおして濾過し、黒鉛管AASによりその銀濃度を測定した。以下の表及び図1が銀放出の結果を要約する。
【0286】
【表3】

【0287】
[実施例5]
生成された試料D〜Jを
・病原性大腸菌IFO 3972
・黄色ブドウ球菌IFO 12732
につきJIS 2801:2000に従ってそれらの抗菌活性を研究した。
【0288】
試料の活性は以下の式(1):
【0289】
【数3】

【0290】
に従って計算する。
【0291】
従って、活性が>2である時、すなわち研究されたバクテリア数が100の桁だけ減少する時に、抗菌活性を推定することができる。表2に関しては、研究されたすべての標本が十分な抗菌活性をもつことを認めた。
【0292】
【表4】

【0293】
[実施例6]
本発明の創傷接触物質の変色安定性を比較するために、標本D〜Jを、銀ガラスの添加によるそれらの色彩の変化につき研究した。図2はb/wコピーとしての実施例3の創傷接触物質を示す。標本Hまでの非ドープ対照からは変化は明白でない。0.25重量%を超える銀ガラスの濃度においてのみ(標本H)、裸眼では識別が困難であるが、僅かな色彩変化を測定することができる。
[実施例7]
滅菌に対する銀ガラスの安定性を試験するために標本Jを26kGyでγ−滅菌した。図3から明白なように、γ−滅菌により色彩変化は起らない。既製のプラスターのγ−滅菌はJIS Z 2801:2000に従う抗菌活性に関しては何の減損をももたらさず、そして異例なことには、包帯物質のどんな変色をももたらさなかった。
[実施例8]
本発明の創傷包帯の老化安定性を試験するために、標本Gを50℃で6カ月間加速老化に暴露し、色彩安定性を観察した。この場合にも、少しの色彩変色も認められず、それはまた、図4のb/wコピーからでさえ明白である。
[実施例9]
重合体マトリックスの詳細
Iは特徴付けのための以下の特性(厚さ以外の)を提起する。
流体吸収: 0.5〜10g/g
好ましくは 1.0〜6g/g
より好ましくは 1.5〜3.5g/g
方法:
22mmの直径をもつ円形試料を切り抜き、23±2℃そして50±5%相対湿度で1時間調整する。試料を秤量し、23±0.5℃で生理食塩水中で3時間完全に浸漬する。試料を再秤量し、秤量された差から流体の吸収を計算する。
水蒸気透過性: 100〜5000g/(m・24時間)
好ましくは、 250〜2500g/(m・24時間)
より好ましくは、 300〜1500g/(m・24時間)
方法:
試験はASTM E 96(水の方法(water method))に従って実施され、以下の差を伴う。
【0294】
試験容器の口は804mmである。
【0295】
物質は23±2℃そして50±5%相対湿度で24時間調整する。
【0296】
試験容器中の水のレベルと試料間の距離は35±5mmである。
【0297】
試料を備えた試験容器の再秤量を24時間後に実施し、その間試験容器を37±1.5℃そして30±3%相対湿度の調整キャビネット中に貯蔵する。
[実施例10]
ポリイソブチレンマトリックス
Vistanex LM MH: 48.33重量%
Vistanex MM L80: 28.00重量%
Eastoflex PLS E1003D 10.00重量%
Cetiol V 13.17重量%
銀ガラス 0.50重量%
[実施例11]
ポリアクリル酸マトリックス
ポリアクリル酸 22.5重量%
ポリビニルピロリドン、PVP 25 3.5重量%
プロパンジオール 37.49重量%
ポリエチレングリコール 20.0重量%
シリカ 11.5重量%
デクスパンテノール 5.0重量%
銀ガラス 0.01重量%
[実施例12]
シリコーンマトリックス
Carbopol 32.0重量%
Q7−9600A 23.4重量%
Q7−9600B 13.9重量%
シリコーン−PSA 29.7重量%
銀ガラス 1.0重量%
[実施例13]
ゴムマトリックス
銀ガラス 1.000%
Colan 46 2.099%
Keromet MD 100 0.262%
充填剤IR 13.120%
Crepe 11.546%
Ameripol 1011 21.591%
Natsyn 2200 8.397%
樹脂115 11.021%
樹脂95 9.971%
樹脂SE 10 8.922%
Yellow油 7.347%
ラノリンDAB 4.724%
ドイツ薬局方
[実施例14]
SBCホットメルトマトリックス
Kraton D−1113,Kraton: 43.87重量%
Escorez 5380,Exxon: 24.54重量%
Sylvares TR 7115,Arizona 21.90重量%
Whitemor WOM 14,Castrol 3.84重量%
Cetiol V,Henkel 4.35重量%
Irganox 1010,Ciba−Geigy 0.78重量%
銀ガラス 0.72重量%
[実施例15]
PVA/PAA−基剤の重合体膜
Mowiol 18/88 73.40重量%
Carbopol 980 16.00重量%
デクスパンテノール 5.00重量%
Lutrol E 400 5.00重量%
Q 10 0.50重量%
銀ガラス 0.10重量%
[実施例16〜20]
【0298】
【表5】

【0299】
【表6】

【0300】
[実施例21〜25]
【0301】
【表7】

【0302】
【表8】

【0303】
[実施例26〜30]
【0304】
【表9】

【0305】
[実施例31〜37]
【0306】
【表10】

【0307】
【表11】

【0308】
[実施例38〜42]
【0309】
【表12】

【0310】
【表13】

【0311】
[実施例43]
ゲルクリーム
質量含量(%)
アクリレート/C10−30アルキル 0.40
アクリレートクロスポリマー
カーボマー 0.20
キサンタンガム 0.10
セテアリールアルコール 3.00
12−15アルキルベンゾエート 4.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 3.00
シクロメチコン 5.00
ジメチコン 1.00
銀ガラス 0.30
グリセロール 3.00
水酸化ナトリウム 適量
保存剤 適量
香料 適量
脱塩水(pH6.0に調整) 全100.0
[実施例44]
W/Oクリーム
Lameform TGI 3.50
グリセロール 3.00
Dehymuls PGPH 3.50
銀ガラス 0.10
保存剤 適量
香料 適量
脱塩水 全100.0
硫酸マグネシウム 0.6
イソプロピルステアレート 2.0
カプリリルエーテル 8.0
セテアリールイソノナノエート 6.0
[実施例45]
W/O/Wクリーム
質量含量(%)
グリセリルステアレート 3.00
PEG−100ステアレート 0.75
ベヘニルアルコール 2.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 8.00
オクチルドデカノール 5.00
12−15アルキルベンゾエート 3.00
銀ガラス 1.00
硫酸マグネシウム(MgSO) 0.80
EDTA 0.10
保存剤 適量
香料 適量
脱塩水(pH6.0に調整) 全100.0
【図面の簡単な説明】
【0312】
【図1】図1は実施例4における銀放出の効果を示す。
【図2】図2はb/wコピーとしての実施例3の創傷接触物質を示す。
【図3】図3は標本Jの安定性試験結果を示す。
【図4】図4は標本Gの老化安定性試験結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成
酸化銀を含まないガラスの総量に基づいて、
を30〜75モル%、
SiOを5〜50モル%、
Oを20〜55モル%、
Oを0〜5モル%、
Alを3〜20モル%、及び
ガラスの総質量に基づいて
AgOを0.1%〜5重量%
の、抗菌性の銀含有ガラスを含んでなり、ここで
はCa、Mg、Zn及び/又はCuから選択され、そしてRはNa、K及び/又はLiから選択される、
皮膚に対する配置又は適用に適する物質。
【請求項2】
ガラス組成
を40〜60モル%、
Oを35〜55モル%、
Oを0〜5モル%、
SiO、Alを5〜20モル%、及び
AgOを0.1%〜5重量%
を有する、請求項1の物質。
【請求項3】
ガラス組成
を45〜55モル%、
CaO、MgOを35〜50モル%、
NaO、KOを0〜5モル%、
SiOを0〜5モル%、
Alを5〜15モル%及び
AgOを0.5%〜3重量%
を有する、請求項2の物質。
【請求項4】
ガラス組成
酸化銀を含まないガラスの総量に基づいて
を50モル%、
MgOを44モル%、
Alを6モル%及び
ガラスの総質量に基づいて
AgOを2重量%、
を有する、又は
ガラス組成
を73.35重量%、
MgOを18.33重量%、
Alを6.32重量%及び、ガラスの総質量に基づいて
AgOを2.0重量%、を有する、
請求項3の物質。
【請求項5】
物質の総質量に基づいて0.001%〜40重量%、好ましくは0.05%〜1重量%の銀含有ガラスが存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項の物質。
【請求項6】
銀ガラスが0.1μm〜10μmの間の容量に基づく粉末度を有することを特徴とする、前記請求項のいずれか1項の物質。
【請求項7】
銀ガラスが5%以下の残留水分含量を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項の物質。
【請求項8】
物質が、重合体物質のポリアクリレート、ポリイソブチレン、スチレンブロック共重合体(SBC)、SIBS化合物、SEBS化合物、シリコーン、ゴム化合物、キトサン、アルギネート、ヒドロゲル、ヒドロコロイド、寒天/PAS基剤のゲルマトリックス、、PVA/PAS基剤の重合体及び/又は好ましくはポリウレタンの群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項の物質。
【請求項9】
重合体物質が自己接着性であることを特徴とする、請求項8の重合体物質。
【請求項10】
組成
a)2〜6個のヒドロキシル基、20〜112のOH数及び≧10重量%のエチレンオキシド(EO)含量を有するポリエーテルポリオール、
b)抗酸化剤、
c)触媒としての、ポリオールa)に可溶性で、2〜18個の炭素原子を有するカルボン酸に基づくカルボン酸ビスマス(III)及び
d)少なくとも5.2のポリウレタン形成成分a)及びd)の官能価の生成物を含むヘキサメチレン・ジイソシアネート、
(ここで触媒c)の量はポリオールa)に基づき0.005%〜0.25重量%であり、抗酸化剤b)の量はポリオールa)に基づき0.1%〜1.0重量%の範囲内にあり、そして成分a)の遊離OH基に対する成分d)の遊離NCO基の比率(イソシアネート係数)は0.30〜0.70の範囲内にある)、
のポリウレタンが選択されることを特徴とする、請求項8又は9の重合体物質。
【請求項11】
重合体物質が発泡されていないことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項の重合体物質。
【請求項12】
重合体物質が発泡されていることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項の重合体物質。
【請求項13】
重合体物質が透明であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項の重合体物質。
【請求項14】
重合体マトリックスの総重量に基づいて好ましくは0.01%〜40重量%、とりわけ0.5%〜30重量%、特に20重量%の割合で、高吸収物質が重合体マトリックス中に更に存在することを特徴とする、請求項8〜13のいずれか1項の重合体物質。
【請求項15】
更なる抗菌性銀化合物が更に存在することを特徴とする、請求項8〜14項のいずれか1項の重合体物質。
【請求項16】
物質の総重量に基づいて好ましくは、0.01%〜5重量%の量の元素アルミニウム、亜鉛、マグネシウム及び/又はそれらの塩基性化合物が重合体中に存在することを特徴とする、請求項8〜15のいずれか1項の重合体物質。
【請求項17】
有効な皮膚の手入れ及び/又は創傷治療物質が添加されていることを特徴とする、請求
項8〜16のいずれか1項の重合体物質。
【請求項18】
重合体物質が包帯(dressing)物質の形態にあり、皮膚に面する側上に自己接着層が付いている裏地材料の、皮膚に面する側上に適用されていることを特徴とする、請求項8〜17のいずれか1項の重合体物質。
【請求項19】
物質が化粧品調製物、特にW/O、O/W、W/O/W又はO/W/Oエマルジョンの形態のエマルジョン、ミクロエマルジョン、ピッケリングエマルジョンあるいは噴霧可能なエマルジョン及び水性ヒドロゲルの群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項の物質。
【請求項20】
物質が払拭物、パッド、皮膚接触物質の群から選択され、物質が銀ガラスを含んでなる含浸溶液で湿らされていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項の物質。
【請求項21】
物質が清浄化調製物、特に浴用泡剤及びシャワー用製品、固形及び液体石鹸又は「syndets」(合成洗剤)と呼ばれるもの、シャンプー、手洗い用ペースト、私的洗浄物、幼児用特別清浄化製品、シャワーゲル剤、クレンザー、メークアップ落とし剤又は髭剃り用製品の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項の物質。
【請求項22】
抗菌性又は消毒性皮膚手入れ剤、毛髪手入れ剤及び/又は創傷手当て剤のための請求項1〜21のいずれか1項の物質の使用方法。
【請求項23】
ヒト又は動物の皮膚上に配置又は適用のための請求項1〜21のいずれか1項の物質の使用方法。
【請求項24】
湿った創傷の処置のための湿式活性(hydroactive)創傷接触物質としての請求項8〜18のいずれか1項の重合体物質の使用方法。
【請求項25】
ヒトの皮膚に適用のための放射線、水分及び/又は熱に対する変色に安定な抗菌性創傷接触物質としての請求項8〜18のいずれか1項の重合体物質の使用方法。
【請求項26】
創傷処置のための請求項8〜18のいずれか1項の重合体物質の使用方法。
【請求項27】
50mg/重合体物質1kgまでの、とりわけ5〜30mg/kgの銀の放出をもたらすための請求項8〜18のいずれか1項の重合体物質の使用方法。
【請求項28】
2〜240時間、とりわけ10〜96時間の期間にわたり銀の放出をもたらすための請求項8〜18のいずれか1項の重合体物質の使用方法。
【請求項29】
刺激性皮膚状態を緩和し、皮膚のホメオスタシスを再構築する補助をし、そして同時に皮膚を手入れするための請求項19、20又は21のいずれか1項の、化粧品調製物又は清浄化調製物の使用方法。
【請求項30】
日光浴後用製品としての請求項19の化粧品調製物の使用方法。
【請求項31】
口唇手入れ用スティックとして又は装飾用化粧品のための請求項19の化粧品調製物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−524520(P2006−524520A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505069(P2006−505069)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003772
【国際公開番号】WO2004/089431
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(591010376)バイヤースドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト (20)
【氏名又は名称原語表記】BEIERSDORF AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】