持続放出性送達デバイス
注射可能な薬物送達デバイスは、1種以上の薬物および1種以上のポリマーを含有するコアを含む。コアは、1種以上のポリマー外層(本明細書では「コーティング」、「スキン」、または「外層」と呼ぶ)に取り囲まれていてもよい。特定の実施形態において、デバイスは、薬物コアのポリマー性スキンを押出す、またはその他に予備成形することにより、形成される。薬物コアは、スキンと共押出しされてもよく、またはスキンが押出され、そしておそらく硬化された後にスキンに挿入されてもよい。他の実施形態において、薬物コアは、1つ以上のポリマーコーティングでコーティングされていてもよい。これらの技術を有用に適用して、標準的または非標準的ゲージの針を用いた注射に適した形態の薬物コア中の薬物の放出速度プロファイルおよび他の様々な特性を制御するように選択しうる、非常に様々な種類の薬物配合剤およびスキンを有するデバイスを製作してもよい。少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の薬物、および少なくとも1種の液体溶媒を組み合わせて、注射されると相変化を受けてゲルを形成するような液状懸濁物または溶液を形成させることにより、デバイスを形成させてもよい。その構成により、長期間にわたる薬物の制御放出を提供してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年12月23日出願の米国特許仮出願第61/289,954の優先権の利益を主張するものである。前述の出願の明細書は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、注射可能な持続放出性薬物送達デバイス、およびそのようなデバイスを製造するのに有用な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の簡単な説明
全体として参照により本明細書に組み入れられたHong Guo他による米国特許第6,375,972には、薬物コアとポリマーコーティングとの様々な組み合わせを利用して生存組織内に移植された薬物の送達速度を制御する、特定の薬物送達デバイスが記載されている。重要な利点を有する一方で、通常の製品開発サイクルの一環としてそのようなデバイスのサイズを低下させることは、デバイスの製造をより困難にする可能性がある。‘972特許に記載された通り、薬物マトリックスを予備成形された管に注入することを含む、複数の異なる方法により、薬物リザーバを、それを支持する管の内部に形成させることができる。この技術は、より小さい管およびより粘性の高い薬物マトリックス材料を用いれば、益々困難となる。
【0004】
この問題に向けた1つのアプローチが、Journal of Controlled Release, 73, pp.279-291(2001)に掲載されたKajihara他の文献に開示されており、それには、シリコーンを担体として用いる、タンパク質薬の持続放出性配合剤の調製が記載されている。この文献の開示は、全体として本明細書に組み入れられる。
【0005】
持続放出性薬物送達システムのサイズを低下させる別のアプローチが、2003年5月2日出願の米国特許出願第10/428,214に開示されている。その開示は、任意の特定サイズのデバイスに限定されないが、それに開示された共押出し技術は、小型のデバイスの製造に受け入れられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小型の持続放出性薬物送達デバイスの製造における本来の問題に関わらず、そのようなデバイスは、該デバイスの注射が可能になるサイズへ近づき始めた。しかし、改善された注射可能な持続放出性薬物送達システムおよびそれを製造する技術が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
注射可能な薬物送達デバイスは、1種以上の薬物および1種以上のポリマーを含有するコアを含む。コアは、1種以上のポリマー外層(本明細書では「コーティング」、「スキン」、または「外層」と呼ぶ)に取り囲まれていてもよい。特定の実施形態において、デバイスは、薬物コアのポリマー性スキンを押出す、またはその他に予備成形することにより、形成される。薬物コアは、スキンと共押出しされてもよく、またはスキンが押出され、そしておそらく硬化された後にスキンに挿入されてもよい。他の実施形態において、薬物コアは、1つ以上のポリマーコーティングでコーティングされていてもよい。これらの技術を有用に適用して、標準的または非標準的ゲージの針を用いた注射に適した形態の薬物コア中の薬物の放出速度プロファイルおよび他の様々な特性を制御するように選択しうる、非常に様々な種類の薬物配合剤およびスキンを有するデバイスを製作してもよい。少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の薬物、および少なくとも1種の液体溶媒を組み合わせて、注射されると相変化を受けてゲルを形成するような液状懸濁物または溶液を形成させることにより、デバイスを形成させてもよい。その構成により、長期間にわたる薬物の制御放出を提供してもよい。
【0008】
スキンを用いた実施形態において、スキンは、薬物、またはデバイスが暴露されうる液体環境に対して透過性、半透過性、または不透過性であってもよい。薬物コアは、薬物の放出速度に有意な影響を及ぼさないポリマーマトリックスを含んでいてもよい。あるいはそのようなポリマーマトリックスが、薬物の放出速度に影響を及ぼしてもよい。スキン、薬物コアのポリマーマトリックス、またはそれらの両方は、生侵食性(bioerodible)であってもよい。デバイスは、薬物送達デバイスに分割される大きな塊として製作されてもよく、それはコーティングされていない状態で、薬物コアが各セグメントの全ての側面もしくは(スキンが用いられていれば)端部で暴露されていてもよく、または層、例えば薬物に透過性、薬物に半透過性、不透過性もしくは生侵食性の層でコーティングされていてもよい。
【0009】
ここに本願の発明を、添付の図面を参照してより詳細に記載するが、類似の参照番号は、同一または対応する要素を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薬物送達デバイスを共押出しするための器械を示す。
【図2】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図3】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図4】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図5】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図6】薬物送達デバイスのスキンを押出す器械を示す。
【図7】注射可能な薬物送達デバイスを製造する工程の流れ図である。
【図8】注射可能な薬物送達デバイスを示す。
【図9】注射可能な薬物送達システムを示す。
【図10】特定のデバイスの放出速度を示す。
【図11】デバイスからのFAの放出速度を示す。
【図12】デバイスと先行技術のデバイスとの放出速度の比較を示す。
【図13】先行技術のデバイスからの特定薬物の放出速度を示す。
【図14】先行技術のデバイスからの特定薬物の放出速度を示す。
【図15】先行技術のデバイスからの特定薬物の放出速度を示す。
【図16】対照群に対比させた、低用量の挿入物の処置効果を示す。
【図17】対照群に対比させた、低用量の挿入物の処置効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明の全体的な理解を提供するために、押出しを利用して製作される円筒断面を有する注射可能な持続放出性薬物送達デバイスのシステムおよび方法をはじめとする特定の例示的実施形態を、ここに記載する。しかし本明細書に記載されたシステムおよび方法が、複数の異なるデバイス、例えば様々な断面形状を有するデバイスまたは2つ以上の同心円状もしくは非同心円状に配列された異なる活性剤のコアを有するデバイスに有用に適用されうることは、理解されよう。更に、本明細書に記載された薬物のいずれかと外層との様々な組み合わせ、または本明細書に具体的に言及されていない他の薬物もしくは外層が、本開示の範囲内であり、本発明の注射可能な薬物送達デバイスにおいて有用に用いられうることは、理解されよう。更に他の実施形態において、本発明は、インサイチュ・ゲル化配合剤および他の送達デバイス、例えば液体懸濁物の使用を介して、注射可能な薬物の送達に容易に適合することができる。そのような実施形態は全て、本明細書に記載された発明の範囲に含まれるものとする。
【0012】
図1は、薬物送達デバイスを共押出しするための器械を示す。図1に図示された通り、システム100は、少なくとも1つの第一の押出し機104と、第二の押出し機106とを含み、その両方の押出し機が押出しの技術分野の当業者に周知の手法でダイヘッド108に連結されている、共押出し装置102を含んでいてもよい。ダイヘッド108は、出口ポート110を有し、押出し機104、106からの共押出しされた材料をそこから押出す。ダイヘッド108および/または出口ポート110が、押出された物質の断面形状を確定することができる。押出し機104、106として使用される適切な市販の押出し機は、Randcastle Model RCP−0250
Microtruder (Randcastle Extrusion Systems、ニュージャージー州シーダーグローブ)、それに関連するヒーター、制御装置、および関連のハードウエアを含む。例示的な押出し機は、例えば米国特許第5,569,429、同第5,518,672、および同第5,486,328にも開示されている。
【0013】
押出し機104、106は、公知の手法でダイヘッド108を通して材料を押出し、複合的な共押出し生成物112を形成させて、出口ポート110でダイヘッド108から出してもよい。各押出し機104、106は、ダイヘッド108を通して1種を超える材料を押出して、複合的な共押出し生成物112を形成させてもよい。システム100は、例えば隣接する、もしくは同心円状の薬物マトリックスまたは更なる外層を押出すために、2台を超える押出し機を有していてもよい。生成物112は、スキン114およびコア116を含んでいてもよい。本明細書により詳細に記載される通り、スキン114は、前述の‘972特許のデバイス中の薬物透過性の管112、212および/または312であってもよく(またはそれらの前駆物質であってもよく)、コア116は、‘972特許のデバイスのリザーバ114、214、および/または314であってもよい(またはそれらの前駆物質であってもよい)。
【0014】
一般に共押出し生成物112は、約30ゲージ針〜約12ゲージ針のサイズ範囲の針、または約0.0055インチ(約0.14mm)〜約0.0850インチ(約2.16mm)の内径範囲の針での使用に適した外径を有していてもよい。共押出し生成物112が、1つ以上の更なる層でコーティングされていてもよく、コーティングされたデバイスが特定の針サイズに対応する外径になるような、初期サイズにしてもよいことは、理解されよう。同じく、針サイズの範囲が例示に過ぎず、本明細書に記載されたシステムを用いて、先に具体的に引用された針よりも大きな、または小さな針で使用される注射可能なデバイスを製造してもよいことは、理解されよう。更に、本明細書で用いられる用語「注射可能なデバイス」が、先に記載された皮下注射針のサイズのみを用いて注射可能となるデバイスを厳密に指しているのではないことを、理解しなければならない。むしろその用語は、広範囲に解釈されるものとし、関節鏡、カテーテル、または他の医療装置を介して投与されるデバイスを含んでいてもよい。同様に用語「注射する」および「注射された」は、皮下注射針よりも広範囲の手段、例えば関節鏡、カテーテル、または他の医療装置による投与を含むことを意味する。特定の実施形態において、デバイスを、眼内または眼球周囲のいずれかの注射として、患者の目の付近へ注射してもよい。特定のそのような実施形態において、デバイスを硝子体内へ注射してもよい。
【0015】
押出し工程において、押出しパラメータ、例えば押出される材料の液体圧、流速、および温度を制御してもよい。ダイヘッド108および出口ポート110のサイズで生成物112を形成させるのに十分な圧力および流速で共押出しされた材料を送達する能力に関して、押出し機を選択してもよく、それが、分割の後で患者に注射することができる生成物を製造する。本明細書で用いられる用語「患者」は、ヒトまたはヒト以外の動物のいずれかを指す。以下により詳細に記載される通り、押出し機104、106を通して押出される材料の選択が、押出し工程に影響を及ぼす場合があり、押出し工程および全体的なシステム100の更なるパラメータに関係する場合がある。
【0016】
システム100は、押出し機104、106により押出された材料、および/または押出し生成物112の更なる加工を提供する追加的な加工装置を含んでいてもよい。限定ではなく例示として、システム100は、生成物112が通過するとそれを少なくとも部分的に硬化させる硬化ステーション118を更に含んでいてもよい。硬化ステーション118は、スキン114、コア116のいずれかまたはその両方を硬化させてもよく、押出し生成物112が硬化ステーション118を通過する時に押出し生成物112で連続して動作しても、または押出された材料の通過と同調的な間隔で動作してもよい。硬化ステーション118は、熱、紫外線、または生成物112中のポリマーを硬化させるのに適した幾つかの他のエネルギーを加えてもよい。対応する硬化性ポリマー、例えば熱硬化性ポリマーまたは放射線硬化性ポリマーを、スキン114および/またはコア116中で用いてもよいことは、理解されよう。一般に、硬化ステーション118により加えられるエネルギー量を制御することにより、硬化の度合いを制御してもよい。
【0017】
生成物112を一連のより短い生成物112Iに分割、またはその他に切断する分割ステーション120が、提供されてもよい。分割ステーション120は、押出し生成物112を硬化させる任意の適切な技術を用いてもよく、その技術は、生成物112を硬化させるか、硬化させないか、または部分硬化させるかに応じて、変動してもよい。例えば分割ステーション120は、ハサミ、せん断機、薄切刃、または他の任意の技術を用いてもよい。分割ステーション120により適用される技術は、生成物112の各切断部分に望ましい輪郭により変動してもよい。例えば拡散膜または他の機能的コーティングの付加のために開口端部が望ましい場合には、せん断作用が適する場合がある。しかし切断を行った後に各端部を密閉することが望ましい場合には、ハサミが用いられてもよい。短い生成物112Iの各端部または異なる群ごとに異なる切断が望ましい場合には、複数の切断器具が提供されてもよい。
【0018】
共押出しデバイス102と共に使用して、それぞれスキン114およびコア116を形成させる適切な材料122、124は、数多く存在する。これに関連して、‘972特許には、注射可能な薬物送達デバイスでより専門的に用いられうる移植可能な薬物送達デバイスを形成させるための複数の適切な材料が記載されている。好ましくは材料122、124として用いられる材料は、それらを特定する特徴に負の影響を及ぼさずにシステム110を通して押出される能力に関して選択される。例えば、コア116内の薬物に不透過性の材料の場合、押出しデバイスを通して加工された時に不透過性になる、または依然として不透過性である材料が、選択される。同様に、薬物送達デバイスが完全に構成された時に患者の生体組織と接触するようになる材料では、生体適合性材料を選択してもよい。材料122、124として使用される適切なポリマーとしては、非限定的に、ポリカプロラクトン(PCL)、エチレン・酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタン、ナイロン、またはそれらの共重合体が挙げられる。乳酸モノマーを含むポリマーでは、乳酸は、D−異性体、L−異性体、またはD−異性体とL−異性体との任意の混合物であってもよい。
【0019】
ポリマーに加えて、PEGなどの非水性溶媒が、コア116を調製する際の材料122,124として有用に用いられてもよい。例えば、コア116中で用いられるポリマーを溶解して、コア116の相変化を起こす、または押出し(例えば、より大きな作業温度範囲を提供することによる)もしくは生成物112の他の加工を容易にする非水性溶媒が、有用に用いられてもよい。
【0020】
押出し機104に供給される材料124の選択により特定の押出しパラメータを指示または示唆して、内部の薬物コア116を形成させてもよい。当業者には容易に理解されるであろうが、押出し装置は、典型的には1つ以上のヒーターおよび1つ以上のねじまわし(screw drives)、プランジャ、または他の圧力発生装置を含む。押出される材料の温度、液体圧、またはその両方を上昇させることが、押出し機の目的であってもよい。これは、押出し機104により加工されて押出される材料中に薬学的活性剤が含まれる場合には、問題となる可能性がある。活性剤が、加熱され、そして/または有効性に負の影響を及ぼす高圧に暴露される場合がある。薬物自体がポリマーマトリックス中に保持されている場合にはこの問題は一層厄介になる可能性があり、そのためポリマー材料が押出し機104内で薬剤と混合され、加熱および/または加圧される。注射の際に、生成物112のコア116中の薬物の活性が所望の効果をもたらすのに十分となるように、材料124を選択してもよい。更に、押出されたコア116中の薬物を形成させるために薬物をポリマーと混和させる時に、薬物がマトリックスにより不安定化されないように、マトリックスを形成させるポリマー材料を有利に選択してもよい。マトリックスを介した拡散がマトリックスからの薬物の放出速度にほとんど、または全く影響を有さないように、マトリックス材料を選択してもよい。同じく、マトリックス中で用いられる薬物の粒径を、薬物の解離に対して制御的影響を有するように選択してもよい。
【0021】
生成物112へ共押出しされる材料122、124を、薬物送達デバイスの放出期間に安定であるように選択してもよい。任意に、薬物送達デバイスが所定の時間、薬物を放出した後、薬物送達デバイスがそのままの位置で侵食されるように、即ち生侵食性になるように、材料を選択してもよい。同じく、送達デバイスの所望の寿命の間、材料が安定であり、顕著に侵食されないように、そして材料の孔径が変化しないように、材料を選択してもよい。任意に、材料122、124のいずれかまたは両方を、任意の活性剤の放出速度を制御する、またはその制御に寄与する速度で生侵食性になるように、選択してもよい。他の材料、例えばデバイスの幾つかまたは全てへの追加のコーティングを、生侵食性に関して同様に選択してもよいことは、理解されよう。
【0022】
つまり1つの点で、注射可能な薬物送達デバイスを製作するための共押出し工程で用いられる材料を選択する工程が、本明細書で記載される。一般に材料122,124の材料選択工程は、以下の通り進めてもよい:(1)1種以上の薬物を選択する;(2)押出される材料または材料分類を選択する;(3)材料または材料分類からの選択された薬物の放出速度に影響を及ぼすかどうか、または影響を及ぼす方法を確認するために、材料または材料分類を評価する;(4)材料または材料分類の安定性および物理化学的性質を評価する;(5)材料または材料分類のマトリックス内での薬物の安定性を評価する;そして(6)選択された薬物と共にマトリックスに形成される時に、材料または材料分類が生体分子(例えばタンパク質性材料)によるマトリックスへの移入および薬物との相互作用を防御するかどうかを確認するために、材料または材料分類を評価する。つまり内部材料には少なくとも2つの機能、つまりコアの共押出しまたは押出しを可能にすること;およびコア中での薬物の侵食または分解を阻害または予防すること、がある。そのシステムの利点は、送達デバイスからの薬物の、異なる環境、例えば異なる組織タイプまたは異なる疾患条件への放出速度の間の差を制御しうることである。
【0023】
材料122、124は、1種または複数の薬学的に活性の薬物、マトリックス形成ポリマー、任意の生体材料、例えば脂質(長鎖脂肪酸など)およびロウ、抗酸化剤、ならびに幾つかの例では放出調整剤(release modifier)(例えば、水または界面活性剤)を含んでいてもよい。これらの材料は、生体適合性であってもよく、押出し工程の間に依然として安定性であってもよい。活性薬物とポリマーとのブレンドは、加工条件下で押出し可能でなければならない。用いられるマトリックス形成ポリマーまたは任意の生体材料が、十分な量の1種または複数の活性薬物を輸送して、治療上効果的な作用を所望の期間にもたらすことができてもよい。薬物担体として用いられる材料が、医薬の活性に対して有害作用を有さない、または有意な有害作用を有さないことも、好ましい。
【0024】
スキン114およびコア116中で用いられるポリマー、またはスキン114および/もしくはコア116に付加されるコーティングを、コア116中の1種以上の薬物への透過性に関して選択してもよい。透過性は、必然的に相対的用語である。本明細書で用いられる用語「透過性」は、他に示されている場合(例えば、膜が、デバイスを送達する環境の生体液に透過性である場合)を除き、典型的にはデバイスが送達する薬物である物質に、透過性または実質的に透過性であることを意味するものとする。本明細書で用いられる用語「不透過性」は、他に示されている場合(例えば、膜が、デバイスを送達する環境の生体液に不透過性である場合)を除き、典型的にはデバイスが送達する薬物である物質に、不透過性または実質的に不透過性であることを意味するものとする。用語「半透過性」は、幾つかの物質に選択的に透過性であり、他には透過性でないことを意味するものとする。特定の例において、膜が薬物に透過性であってもよく、薬物が拡散する速度、またはその他に膜を通過する速度を実質的に制御しうることは、理解されよう。結論として、透過性膜は、放出速度を制限する膜または放出速度を制御する膜であってもよく、特定の環境において、そのような膜の透過性は、デバイスの放出速度を制御する最も重要な特徴の1つとなりうる。つまりデバイスの一部が透過性膜によりコーティングされていて、デバイスの残り部分が不透過性コーティングにより覆われている場合には、一部の薬物が不透過性コーティングを通過しえたとしても、薬物が主に透過性コーティングのみでコーティングされたデバイスの一部から放出されることが企図される。
【0025】
活性薬物担体からの薬物の放出速度が、薬物担体の物理化学的性質ではなく、薬物自体のその性質によって決定されるように、活性薬物担体として用いられるポリマーまたは他の生体材料を選択してもよい。活性薬物担体を、放出調整剤となるように選択してもよく、または放出調整剤を添加して、放出速度を適合させてもよい。例えば、クエン酸および酒石酸などの有機酸を用いて、放出媒体を通した弱塩基性薬物の拡散を促進してもよく、トリエタノールアミンなどのアミンの添加により弱酸性薬物の拡散を促進してもよい。酸性または塩基性pH値を有するポリマーを用いて、活性薬の放出速度を促進または低減してもよい。例えばPLGAは、加水分解後に酸性pH値を有するため、マトリックス中に酸性の微細環境を提供することができる。疎水性薬物の場合、親水性剤を含有させて放出速度を上昇させてもよい。
【0026】
コア116の性質を変化させるために、コア116を形成する材料中で界面活性剤を用いてもよい。適切な化合物を幾つかの様式でマトリックスに組み込むことにより、コア116中の任意のポリマーマトリックスの電荷、親油性または親水性を改変させてもよい。例えば界面活性剤を用いて、難溶性または疎水性組成物の湿潤性を高めてもよい。適切な界面活性剤の例としては、デキストラン、ポリソルビン酸塩およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。より一般的には、界面活性剤の性質および使用は周知であり、本発明の特定の薬物送達の適用例において、コア116中に有利に組み込まれてもよい。
【0027】
共押出しの加工パラメータを、ここにより詳細に議論する。
【0028】
温度:加工温度(押出し温度)は、活性薬物、ポリマーおよび放出調整剤(存在する場合)の分解温度未満でなければならない。マトリックス形成ポリマーが十分量の活性薬物を保持して所望の薬物装填を実現することができるように、その温度を維持してもよい。例えば薬物−ポリマー・ブレンドが100℃で押出される場合には、PLGAはフルオシノロンアセトニド(FA)を55%まで輸送することができるが、120℃では65%までできる。薬物−ポリマー・ブレンドは、加工温度で良好な流動性を示して最終生成物の均質性を確保し、所望の延伸比を実現しなければならず、それにより最終的な生成物のサイズを良好に制御することができる。
【0029】
スクリュー速度:所定の量のポリマー性スキン114を対応する量の薬物コア116材料と共押出しして、ポリマー性スキン114の所望の厚さを実現する速度に、共押出しシステム中の2つの押出し機のスクリュー速度を設定してもよい。例えば、押出し機104および106が同じスクリューサイズを有することが前提ならば、押出し機106を押出し機104よりも9倍遅い速度で運転することにより、10重量%のPCLスキン114および90重量%のFA/PCL薬物コア116を生成することができる。適切な速度に調整により、異なるスクリューサイズを用いてもよい。
【0030】
ポリマーを溶媒に溶解し、この溶液を薬物または他の化合物と混和して、この混和物を必要に応じて加工して押出し可能なペーストを提供することにより、薬物または他の化合物をポリマーと混和することができる。当業者によく認知された無溶媒溶融造粒をはじめとする溶融造粒技術を用いて、薬物およびポリマーを押出し可能なペーストに組み込んでもよい。
【0031】
図2〜5は、様々な押出し配合剤の放出速度を示す。共押出しされたポリマー性スキンを有さないFA/PCL(例えば75/25)またはFA/PLGA(例えば60/40)コアマトリックスからのFAの放出速度は両者とも、二相放出パターン、つまりバースト放出相および徐放相を示した(図2および3参照)。バースト放出相は、PCLマトリックス中のFAレベル(装填)が70%から60%または40%へ低下すると、あまり顕著でなくなった(図2と図3〜5との比較)。図3および4に示されたデータの再検討により、共押出し調製物(ポリマーマトリックス中の薬物がPLGAスキンを有する)のほぼゼロ程度の放出に達する時間が、PLGAスキンコーティングを有さない調製物よりもかなり短かかったことが明らかである。スキンコーティングとしてPLGAを有する共押出しFA/ポリマーコアマトリックスは、図4および5で実証された通りバースト効果を有意に最小化することができる。
【0032】
分割された薬物送達デバイスは、一端が開口されたまま、薬物コアが暴露された状態であってもよい。薬物がデバイスから放出される機会を得る前に、酵素、タンパク質、および他の材料が薬物コアを通過して薬物が溶解するのを、薬物コアのマトリックス材料が阻害または予防するように、生成物112の薬物コア116を形成させるために共押出しされる材料124に加えて、共押出しの熱および圧力、ならびに硬化ステーション118を選択してもよい。コアが空になれば、マトリックスが弱化して、破壊されてもよい。その後、スキン114は外部または内部の両方から水および酵素作用による分解にさらされるであろう。より高い溶解度を有する薬物を結合させて、以下に更に議論される通り、米国特許第6,051,576に記載された技術を用いて、低溶解度の共役体を形成させてもよく、あるいは薬物を互いに結合させて、マトリックス中に残留されるのに十分大きな分子を形成させてもよい。
【0033】
スキン114を形成する材料122は、非熱源による硬化性であるように選択してもよい。先に記載された通り、幾つかの薬物は、高温により負の影響を受ける場合がある。つまり該システムの一態様は、加熱以外の方法、例えば非限定的に触媒、放射線および蒸発により硬化しうる材料の選択および押出しに関する。限定ではなく例示として、例えば可視または近可視範囲の、例えば紫外または青色波長の、電磁(EM)放射線により硬化しうる材料を、用いても、または材料122中に含有させてもよい。この例において、生成物112は硬化ステーション118を通って給送されるため、硬化ステーション118が、材料を硬化させるEM放射線の対応する1つ以上の供給源、例えば強力な光源、調整されたレーザなどを含んでいてもよい。限定ではなく例示として、硬化可能なアクリル系接着剤を、材料122として用いてもよい。
【0034】
他のパラメータ、例えばコアマトリックスのpHで、注射可能な薬物送達デバイスの薬物コア116からの薬物の放出速度に影響を及ぼしてもよい。薬物コアの材料124が、pH緩衝剤などを含むことでマトリックス中のpHを調整し、最終生成物112中の薬物放出速度を更に適合させてもよい。例えばクエン酸、酒石酸およびコハク酸などの有機酸を用いて、マトリックス中で酸性の微細環境pHを生成してもよい。一定した低pH値により、薬物の解離の際に生成される細孔を通した弱塩基性薬物の拡散を促進してもよい。弱酸性薬物の場合には、トリエタノールアミンなどのアミンを用いて、薬物放出速度を促進してもよい。ポリマーをpH依存性放出調整剤として用いてもよい。例えばPLGAは、加水分解後には酸性pH値を有するため、マトリックス中に酸性微細環境を提供することができる。
【0035】
1種を超える薬物を材料124中に、従って生成物112のコア116中に含有させてもよい。薬物は、同一または異なる放出速度を有していてもよい。例として、5−フルオロウラシル(5−FU)は、高度の水溶性であり、薬物の制御放出を持続することが困難である。その一方でトリアムシノロンアセトニド(TA)などのステロイドは、かなり親油性であり、より徐放性のプロファイルを提供することができる。5−FUとTAとの混合物がペレットを形成させれば(圧縮または共押出しにより)、ペレットは5日間にわたり5−FUの制御放出を提供して、直後の短期間の医薬作用を与えるが、同時にTAの制御放出をかなり長期間提供する。従って5−FUとTAとの混合物、ならびに/またはそのコドラッグもしくはプロドラッグを、単独で、または他の薬物および/もしくはポリマー成分と一緒に押出して、コア116を形成させてもよい。
【0036】
先に例示された実施形態に加えて、複数のデバイスおよび配合剤のいずれを本明細書に記載されたシステムでの使用に採用してもよいことは、当業者には理解されよう。コアは、生体適合性の固体(例えば、生侵食性ポリマー)と混和された生体適合性の液体または油、および活性剤を含んでいてもよい。特定の実施形態において、内部のコアを、ゲルとして送達させてもよいが、別の特定の実施形態において、水または生理的液体との接触時にゲルに変換される微粒子または液体として送達させてもよい。
【0037】
このタイプのシステムの例は、2003年9月11日出願の米国特許仮出願第60/501,947に記載されている。‘947出願では、注射時に相転移を受けてそのままの位置でゲル送達ビヒクルに変換される注射可能な液体の送達も提供されている。そのような液体を、本明細書に記載された注射可能なデバイスと共に用いてもよい
【0038】
薬物物質、生体適合性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ならびに生体適合性および生侵食性ポリマーを含む、注射可能なインサイチュ・ゲル化組成物を、本明細書に記載されたシステムと共に用いてもよい。この配合剤の特定の実施形態、例えばPEGに溶解、分散または懸濁される固体薬物粒子の注射用に提供されるもの、およびポリマー性薬物含有ゲルを患者に注射することが可能な実施形態が、特に適切となる可能性がある。注射可能なインサイチュ・ゲル化組成物の例を、2003年6月16日出願の米国特許仮出願第60/482,677に見出すことができる。
【0039】
本明細書で用いられる用語「薬物」は、ホ乳類に投与されると局所または全身の生理学的または薬理学的効果を提供する全ての薬剤、例えば非限定的に以下の記載で言及される任意の特定薬物、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態を包含するものとする。特定の実施形態において、薬物は、100amu未満の分子量を有する小分子である。例えば薬物は、約750amu、500amu、450amu、400amu、350amu、または約300amu以下の分子量を有する小分子であってもよい。
【0040】
多くの異なる薬物を、本明細書に記載されたデバイスに組み込んでもよい。例えば適切な薬物としては、ステロイド、α受容体アゴニスト、β受容体アンタゴニスト、炭酸脱水酵素阻害剤、アドレナリン作動薬、生理学的活性ペプチドおよび/またはタンパク質、抗悪性腫瘍剤、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症剤、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗潰瘍剤、抗アレルギー薬、強心剤、抗不整脈薬、血管弛緩剤、抗高血圧薬、抗糖尿病薬、抗高脂質薬、抗凝固剤、溶血剤、抗結核薬、ホルモン、麻薬拮抗薬、骨破壊抑制剤、骨形成促進剤、血管新生抑制剤、抗菌剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、グルココルチコイドまたは他の抗炎症性コルチコステロイド、アルカロイド鎮痛剤、例えばオピオイド鎮痛剤、抗ウイルス薬、例えばヌクレオシド抗ウイルス薬または非ヌクレオシド抗ウイルス薬、抗良性前立腺肥大(BPH)薬、抗真菌化合物、抗増殖性化合物、抗緑内障化合物、免疫調整化合物、細胞輸送/運動性阻害剤、サイトカインペグ化剤、α−ブロッカー、抗アンドロゲン、抗コリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔、バニロイド、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、代謝拮抗薬、神経保護物質、カルシウムチャネルブロッカー、γ−アミノ酪酸(GABA)アンタゴニスト、α−アゴニスト、抗精神薬、チロシンキナーゼ阻害剤、ヌクレオシド化合物、およびヌクレオチド化合物、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0041】
適切なNSAIDとしては、ジクロフェナク、エトルドラク、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、モラゾン、ナプロキセン、ペリソキサル、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、スクシブゾン、トロペシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジロートン、およびゾメピラック、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0042】
適切な炭酸脱水酵素阻害剤としては、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、エトキシゾラミド、およびドルゾラミド、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0043】
適切なアドレナリン作動薬としては、ブリモニジン、アプラクロニジン、ブナゾシン、レボベタキソロール、レボブナロール、カルテオロール、イソプレナリン、フェノテロール、メチプラノロール、およびクレンブテロール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0044】
適切なα−受容体アゴニストとしては、ブリモニジン、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0045】
適切なβ−受容体アンタゴニストとしては、ベタキソロールおよびチモロール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0046】
適切な抗ウイルス薬としては、ネビラピン、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0047】
適切なアルカロイド鎮痛剤としては、デスモルフィン、デゾシン、ジヒドロモルフィン、エプタゾシン、エチルモルフィン、グラフェニン、ヒドロモルフォン、イソラドール、ケトベニドン、p−ラクトフェチド、レボルファノール、モプタジノール、メタゾシン、メトポン、モルフィン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ノルレボルファノール、ノルモルフィン、オクスモルフォン、ペンタゾシン、フェンペリジン、フェニルラミドール、トラマドール、およびビミノール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0048】
適切なグルココルチコイドとしては、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、酢酸アナコルタブ、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフフラザコルト、デゾニド、デゾキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロナセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルタマート、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、パラメタゾン、プレドニゾロン、21−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、酢酸フルプレドニデン、ホルモコルタル、エタボン酸ロテプレドノール、メドリゾン、フロ酸モメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、25−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、およびトリアムシノロンヘキサアセトニド、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0049】
他の適切なステロイドとしては、ハルシノニド、プロピオン酸ハルベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、イソフルプレドン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、リメキソロン、およびチキソコルトール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0050】
適切なBPH薬としては、フィナステリドおよびオサテロン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0051】
適切な抗悪性腫瘍化合物としては、アリトレチノイン(9−シス−レチノイン酸);ブレオマイシンAをはじめとするブレオマイシン;カペシタビン(5’−デオキシ−5−フルオロ−シチジン);カルビシン;クロロゾトシン;クロモマイシンA3をはじめとするクロモマイシン;クラドリビン;コルヒチン;シタラビン;ダウノルビシン;デメコルチン;デノプテリン;ドセタキセル;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロモスタノロン;エダトレキサート;エノシタビン;エピルビシン;エピチオスタノール;エストラムスチン;エトポシド;フロクスウリジン;フルタラビン;5−フルオロウラシル;フォルメスタン;ゲムシタビン;イリノテカン;レンチナン;ロニダミン;メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メトトレキサート;ミトラクトール;ノガラマイシン;ノルジヒドログアイアレチン酸;オリボマイシンAなどのオリボマイシン;パクリタキセル;ペントスタチン;ピラルビシン;プリカマイシン;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;ピューロマイシン;ラニムスチン;リストセチンAなどのリストセチン;テモゾラミド;テニポシド;トムデクス;トポテカン;ツベルシジン、ウベニマクス、バルルビシン(N−トリフルオロアセチルアドリアマイシン−14−吉草酸塩);ビノレルビン;ビンブラスチン;ビンデシン;ビノレルビン;およびゾルビシン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0052】
適切な抗菌性化合物としては、カプレオマイシンIA、カプレオマイシンIB、カプレオマイシンIIAおよびカプレオマイシンIIBをはじめとするカプレオマイシン、カルボマイシンAをはじめとするカルボマイシン、カルモナム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン;セファゼドン;セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペンピボキシル、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフィム、セフタメト、セフメノキシム、セフメトゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピローム、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファレキシン、セファロギシン、セファロリジン、セファロスポリンC、セファロチン、セファピリン、セファマイシンCなどのセファマイシン、セフラジン、クロルテトラサイクリン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロメトシリン、クロモサイクリン、クロキサシリン、シクラシリン、ダノフロキサシン、デメクロサイクリン、デストマイシンA、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エピシリン、エリストマイシンA、エタンブトール、フェンベニシリン、フロモキセフ、フロルフェニコール、フロキサシリン、フルメキン、フォルチミシンA、フォルミチンB、フォルフォマイシン、フォラルタドン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グリコニアジド、グアメサイクリン、ヘタシリン、イダルビシン、イミペネム、イセパミシン、ジョサマイシン、カナマイシン、ロイマイシンA1などのロイマイシン、リンコマイシン、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、リメサイクリン、メロペナム、メタムピシリン、メタサイクリン、メチシリン、メズロシリン、ミクロナオミシン、ミデカマイシンA1などのミデカマイシン、ミカマイシン、ミノサイクリン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、モキサラクタム、ムピロシン、ナフシリン、ネチリシン、ノルカルディアンAなどのノルカルデォアン、オレアンドマイシン、オキシテトラサイクリン、パニペナム、パズフロキサシン、ペナメシリン、ペニシリンG、ペニシリンNおよびペニシリンOなどのペニシリン、ペニル酸、ペンチルペニシリン、ペプロマイシン、フェネチシリン、ピパサイクリン、ピペラシリン、ピルリマイシン、ピバムピシリン、ピブセファレキシン、ポルフィロマイシン、プロピアリン(propiallin)、キナシリン、リボスタマイシン、リファブチン、リファミド、リファンピン、リファマイシンSV、リファペンチン、リファキシミン、リチペネム、レキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラミシン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、シゾミシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、ストレプトゾシン、スルベニシン、スルタミシリン、タランピシリン、テイコプラニン、テモシリン、テトラサイクリン、ソストレプトン、チアムリン、チカルシリン、チゲノナム、チルミコシン、トブラマイシン、トロポスペクトロマイシン(tropospectromycin)、トロバフロキサシン、タイロシンおよびバンコマイシン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0053】
抗増殖/抗有糸分裂薬およびプロドラッグとしては、天然生成物、例えばビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、パクリタキセル、エピポドロフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ);抗血小板プロドラッグ;抗増殖/抗有糸分裂アルキル化プロドラッグ、例えばナイトロフェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホン酸−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トリアゼン、ダカルバジン(DTIC);抗増殖性/抗有糸分裂性の代謝拮抗薬、例えば葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン、およびシタラビン)、プリン類似体および関連の阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲスチン);抗凝固剤(例えば、へパリン、合成へパリン塩および他のトロンビン阻害剤);線維素溶解プロドラッグ、例えば組織プラスミノーゲンアクチベータ、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレフェルジン);抗炎症剤、例えばコルチコステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、フルシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、およびデキサメタゾン)、NSAID(サリチル酸および誘導体、アスピリン、アセトアミノフェン、インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダクおよびエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェンおよび誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸およびメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン、金化合物(アウラノフィン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、およびミコフェノレートモフェチル);血管新生剤、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF);アンギオテンシン受容体ブロッカー;一酸化窒素供給物質;アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその組み合わせ;細胞周囲阻害剤、mTOR阻害剤、成長因子シグナル変換キナーゼ阻害剤、新血管形成阻害剤、血管新生阻害剤、およびアポトーシス阻害剤、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0054】
本明細書に記載されたシステムは、抗ウイルス薬の投与において有用に用いてもよい。つまり一態様において、処置を必要とする患者に抗ウイルス薬を含む持続放出性薬物送達デバイスを注射して、前記薬剤の用量を少なくとも7日間放出させることを含む、レトロウイルスまたはレンチウイルス感染のリスクを処置または低減する方法が、本明細書において開示される。該システムの別の態様は、処置を必要とする患者に抗ウイルス薬を含む持続放出性薬物送達デバイスを注射し、前記薬剤の放出で血漿中の前記薬剤の所望の濃度が少なくとも7日間保持されることを含む、レトロウイルスまたはレンチウイルス感染のリスクを処置または低減する方法を提供する。
【0055】
特定の実施形態において、該システムは、ウイルス感染の母子伝播のリスクを低減する。ウイルス感染の例としては、HIV、ボーエノイド丘疹症、水痘、小児HIV感染症、ヒト牛痘、C型肝炎、デング熱、エンテロウイルス、いぼ状表皮異形成、伝染性紅斑(第五病)、BuschkeおよびLowensteinの巨大尖圭コンジローム、手足口病、単純ヘルペス、ヘルペス6型ウイルス、帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症、麻疹、搾乳者結節、みずいぼ、サル痘、Orf、小児バラ疹、風疹、天然痘、ウイルス性出血熱、性器ゆうぜい、および非性器ゆうぜいが挙げられる。
【0056】
幾つかの実施形態において、抗ウイルス薬は、アジドウリジン、アナスマイシン(anasmycin)、アマンタジン、ブロモビニルデオキシウリジン、クロロビニルデオキシウリジン、シタラビン、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレオシド、デシクロビル、デオキシアシクロビル、イドクスウリジン、エンビロキシム、フィアシタビン、フォスカルネット、フィアルリジン(fialuridine)、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ヒペリシン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオン酸塩、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタビルジン、サルグラモスチン、スラミン、トリコサンチン、トリブロモチミジン、トリクロロチミジン、ビダラビン、ジドブジン、ザルシタビン、および3−アジド−3−デオキシチミジンより選択される。特定の実施形態において、抗ウイルス薬は、ネビラピン、デラビルジン、およびエファビレンツより選択される。好ましい実施形態において、抗ウイルス薬は、ネビラピンである。
【0057】
別の実施形態において、抗ウイルス薬は、2’,3’−ジデオキシアデノシン(ddA)、2’,3’−ジデオキシグアノシン(ddG)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、2’,3’−ジデオキシチミジン(ddT)、2’,3’−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)、2’−デオキシ−3’−チアシトシン(3TCまたはラミブジン)、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロイノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロチミジン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロシトシン、2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロチミジン(Fd4T)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロイノシン(F−ddl)、および2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロシトシン(F−ddC)より選択される。
【0058】
幾つかの実施形態において、抗ウイルス薬は、ホスホノギ酸三ナトリウム、ガンシクロビル、トリフルオロチミジン、アシクロビル、3’−アジド−3’−チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)、イドクスウリジンより選択される。
【0059】
例示的な抗ウイルス薬としては、アシクロビル、アジドウリジン、アナスマイシン、アマンタジン、ブロモビニルデオキシウリジン、クロロビニルデオキシウリジン、シタラビン、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレオシド、デスシクロビル、デオキシアシクロビル、イドクスウリジン、エンビロキシム、フィアシタビン、フォスカルネット、フィアルリジン、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ガンシクロビル、ヒペリシン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオン酸塩、イドクスウリジン、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタビルジン、サルグラモスチン、スラミン、トリコサンチン、トリフルオロチミジン、トリブロモチミジン、トリクロロチミジン、ホスホノギ酸三ナトリウム、ビダラビン、ジドブジン、ザルシタビン、および3−アジド−3−デオキシチミジンからなる群より選択される。
【0060】
特定の実施形態において、抗ウイルス薬は、HIV感染またはHIV感染への易感染性を阻害または低減するものである。非ヌクレオシド類似体が好ましく、それは、2、3例示すと、例えばネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンツなどの化合物が挙げられる。しかし、それほど好ましくはないが、ヌクレオシド誘導体、例えば3’−アジド−3’−チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’−ジデオキシアデノシン(ddA)、2’,3’−ジデオキシグアノシン(ddG)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、2’,3’−ジデオキシチミジン(ddT)、2’,3’−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)および2’−デオキシ−3’−チアシトシン(3TCまたはラミブジン)などの化合物を用いることもできる。ハロゲン化ヌクレオシド誘導体、例えば2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロヌクレオシド、例えば2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロイノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロチミジン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロシトシン、および2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロヌクレオシド、例えば非限定的に2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロチミジン(Fd4T)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロイノシン(F−ddl)、および2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロシトシン(F−ddC)を用いることもできる。
【0061】
本明細書に記載されたデバイスに組み込まれうる更なる薬剤としては、緑内障の処置に適した薬剤が挙げられる。本明細書に記載されたデバイスに組み込まれうる緑内障の処置の適切な薬剤としては、α−アゴニスト、例えばアプラクロニジン、ブリモニジンなど、β−ブロッカー、例えばチモロール、ベタキソール、アテノロール、レボブノロール、メチプラノロールなど、炭酸脱水酵素阻害剤、例えばブリンゾラミド、ドルゾラミド、アセタゾラミドなど、コリン作動薬、例えばピロカルピン、カルバコールなど、またはプロスタグランジンもしくはプロスタグランジン類似体、例えばビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロストなどが挙げられる。特定の実施形態において、緑内障の処置に適した薬剤は、プロスタグランジンおよびプロスタグランジン類似体である。特定の実施形態において、ラタノプロストを、本明細書に記載されたデバイスに組み込んでもよい。
【0062】
特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、黄斑浮腫の処置、例えば糖尿病性黄斑浮腫に用いてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、加齢黄斑変性の処置、例えば滲出型加齢黄斑変性の処置に用いてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスは、緑内障の処置に用いてもよい。
【0063】
特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、眼内圧(IOP)の上昇の処置または予防に用いてもよい。特定のそのような実施形態において、眼内圧の増大は、コルチコステロイドまたはグルココルチコイド活性を有する他の化合物などの治療薬により誘発される不適当な副作用となる場合がある。コルチコステロイドは、IOP増大を誘発しうるため、特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、目の疾患または状態を処置するためのコルチコステロイドの使用と併せて用いてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを用いて、コルチコステロイドまたはグルココルチコイド活性を有する他の化合物などの治療薬を投与することにより、前記治療の通常の治療的利益を実現し、IOP上昇の抑制など副作用を抑制してもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスは(例えば、本明細書に開示された方法において用いられる場合)、処置された患者集団の25%未満、例えば、処置された患者集団の22%、20%、18%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満において、IOP上昇を誘発する。特定のそのような実施形態において、本明細書に開示されたデバイスにより誘発されたIOP上昇は(例えば、本明細書に開示された方法において用いられる場合)、対照と比較して統計学的に有意ではない。
【0064】
正常な眼圧は、約10〜約21mmHgの範囲内である。従って本明細書で用いられる用語「IOPの上昇」または「IOPの増大」は、約21mmHgを超える、または約24mmHgを超える眼圧を指す。特定の実施形態において、IOPの増大は、約30mmHgを超える眼圧を指す。
【0065】
特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスおよび/または方法は、過剰な中心窩厚の処置または予防に用いてもよい。中心窩は、黄斑の中心点であり、つまり過剰な中心窩厚は、黄斑の中心点の腫脹を測定することにより決定される。特定の実施形態において、そのような測定は、光干渉断層法により得てもよい。
【0066】
本明細書において用いられる用語「過剰な中心窩厚」は、約180ミクロンを超える中心窩厚を指す。
【0067】
特定の実施形態において、本発明は、適切な治療薬(例えば、本明細書に記載された任意の適切な薬剤)を、約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で投与することを含む、目の疾患または障害を処置または予防する方法を提供する。特定の他の実施形態において、本発明は、適切な治療薬(例えば、本明細書に記載された任意の適切な薬剤)を、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で投与することを含む、目の障害を処置または予防する方法を提供する。特定のそのような実施形態において、該治療薬は、少なくとも1ヶ月、または少なくとも2ヶ月、または少なくとも6ヶ月、または少なくとも12ヶ月、または少なくとも18ヶ月、または少なくとも24ヶ月、または少なくとも30ヶ月、または少なくとも36ヶ月の期間にわたり、本明細書に開示された速度で、一定して投与される。前述の特定の実施形態において、目の疾患または障害は、黄斑浮腫、例えば糖尿病性黄斑浮腫、加齢黄斑変性、例えば滲出性加齢黄斑変性、緑内障、眼内圧の上昇、または過剰な中心窩厚である。
【0068】
そのような化合物の任意の薬学的に許容しうる形態、即ちその遊離塩基または薬学的に許容しうる塩もしくはエステルを、本発明の実践に用いてもよい。例えば薬学的に許容しうる塩としては、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩などが挙げられる。
【0069】
本明細書で用いられる語句「薬学的に許容しうる担体」は、表題のアンタゴニストを1つの臓器または身体の一部から、他の臓器または身体の一部へ輸送または運搬することに関与する薬学的に許容しうる材料、組成物またはビヒクル、例えば液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または封入剤を意味する。各担体は、配合剤の他の成分と適合性があり、患者を損傷しないという意味で「許容」しえなければならない。薬学的に許容しうる担体として作用しうる材料の幾つかの例としては、(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチおよびジャガイモでんぷん;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤用ワックス;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;ならびに(16)医薬配合剤中で用いられる他の非毒性で適合性のある物質、が挙げられる。
【0070】
本明細書で用いられる用語「予防する」、「予防」および「予防すること」は、当該技術分野で認識されており、状態、例えば局所的再発(例えば、疼痛)に関連して用いられる場合、疾患、複合性症候群または任意の他の医学的状態は、当該技術分野で十分に理解されており、組成物を投与されていない対象に比較して、対象の医学的状態の症状の頻度を低減する、またはその発症を遅延させる組成物の投与を含む。つまり、癌の予防としては、例えば統計学的および/または臨床的に有意な量で、例えば、非処置対照の集団に比較して、予防的処置を受けた患者の集団において検出可能な癌性成長の数を低減すること、および/または非処置対照集団に対比して、処置集団において検出可能な癌性成長の出現を遅延させること、が挙げられる。感染の予防としては、例えば、非処置対照集団に対比して、処置集団において感染の診断数を低減すること、および/または非処置対照集団に対比して、処置集団において感染の症状の発症を遅延させること、が挙げられる。疼痛の予防としては、例えば、非処置対照集団に対比して、処置集団の対象が経験する疼痛の規模を低減すること、あるいは疼痛の感覚を遅延させること、が挙げられる。
【0071】
本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、状態の症状、臨床徴候、および潜在する病理を、対象の状態を改善または安定化させる手法で回復、低減、または停止させることを含む。
【0072】
コドラッグまたはプロドラッグを用いて、持続的手法で薬物を送達させてもよい。特定の実施形態において、コドラッグおよびプロドラッグは、先に記載された薬物送達デバイスのコア116またはスキン114中での使用に適合させてもよい。コドラッグおよびプロドラッグを用いた持続放出システムの例を、米国特許第6,051,576に見出してもよい。この参考資料は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。他の実施形態において、コドラッグおよびプロドラッグは、ゲル化、懸濁、および本明細書に記載された他の実施形態により含まれてもよい。
【0073】
本明細書で用いられる用語「コドラッグ」は、少なくとも1つの他の構成部分に化学的に結合した第一の構成部分を意味し、その他の構成部分は第一の構成部分と同一または異なっている。各構成部分は、共役の前は、同じ部分の薬学的活性形態またはそのコドラッグとして認識されている。構成部分は、可逆的な共有結合、例えばエステル、アミド、カルバマート、カルボナート、環状ケタール、チオエステル、チオアミド、チオカルバマート、チオカルボナート、キサンタート、およびリン酸エステル結合を介して互いに結合していることで、体内の必要な部位でそれらが切断されて薬物化合物の活性形態を再生させていてもよい。
【0074】
本明細書で用いられる用語「構成部分」は、本明細書に記載された本発明によるコドラッグを形成させるように結合された2つ以上の薬学的活性部分のうちの一方を意味する。本発明による幾つかの実施形態において、同じ構成部分の2つの分子が一緒になって、二量体を形成している(対称な平面を有していても、または有していなくてもよい)。その部分の遊離した非共役形態を参照する文脈において、用語「構成部分」は、他の薬学的活性部分と混和させてコドラッグを形成させる前、またはコドラッグを加水分解させて2種以上の構成部分の間の結合を除去した後、のいずれかの薬学的活性部分を意味する。そのような場合、構成部分は、共役の前は、同じ部分の薬学的活性形態またはそのコドラッグと化学的に同一である。
【0075】
用語「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、本発明の薬学的活性剤に変換される化合物を包含するものとする。プロドラッグを製造する一般的方法は、生理学的条件下で加水分解されてプロドラッグを活性生物学的部分に変換する選択された部分、例えばエステルを含まなければならない。他の実施形態において、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。プロドラッグは、典型的には生物活性部分の化学修飾により形成される。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、例えば、Design of Prodrugs, H. Bundgaad(編),
Elsevier, 1985に記載される。
【0076】
本発明によるコドラッグを参照する文脈において、用語「構成部分の残基」は、別の構成部分に結合する官能基とは別の構成部分から構造的に得られるコドラッグの一部を意味する。例えば官能基が−NH2であり、構成基が別の構成部分とアミド(−NH−CO−)結合を形成している場合、構成部分の残基は、アミドの−NH−を含むが、アミド結合が形成された時に失われる水素(H)を含まない構成部分の一部である。この意味で本明細書で用いられる用語「残基」は、ペプチドおよびタンパク質化学で用いられる、ペプチド中のアミノ酸の残りを指す言語「残基」の意味に類似している。
【0077】
コドラッグは、直接または結合基を介して、互いに共有結合した2つ以上の構成部分から形成されていてもよい。残基の間の共有結合は、結合構造、例えば:
【化1】
(式中、Zは、O、N、−CH2−、−CH2−O−または−CH2−S−であり、Yは、OまたはNであり、そしてXは、OまたはSである)を含む。各構成部分の切断の速度は、結合のタイプ、構成部分の選択および/またはコドラッグの物理的形態により制御することができる。選択された結合タイプの易変性は、酵素特異性であってもよい。幾つかの実施形態において、結合は、エステラーゼの存在下で選択的に易変性である。本発明の他の実施形態において、結合は、例えば酸または塩基触媒での加水分解に、化学的に易変性である。幾つかの実施形態において、結合基は、糖、還元糖、ピロホスファート、またはホスファート基を含まない。
【0078】
生理学的に易変性の結合は、生理学的液体中で見出されるものに近い条件下で易変性である任意の結合であってもよい。結合は、直接結合(例えば、エステル、アミド、カルバマート、カルボナート、環状ケタール、チオエステル、チオアミド、チオカルバマート、チオカルボナート、キサンタート、リン酸エステル、スルホナート、またはスルファマート結合)であってもよく、または結合基(例えば、C1−C12ジアルコール、C1−C12ヒドロキシアルカン酸、C1−C12ヒドロキシアルキルアミン、C1−C12二酸、C1−C12アミノ酸、またはC1−C12ジアミン)であってもよい。特に好ましい結合は、直接のアミド、エステル、カルボナート、カルバマート、およびスルファマート結合、ならびにコハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、オキサ酸(oxa acids)、オキサメチレン、およびそれらのハロゲン化物を介した結合である。結合は、一般に約6〜約8のpHを意味する生理学的条件下で易変性である。結合の易変性は、結合の特定のタイプ、正確なpH、および生理学的液体のイオン強度、ならびにインビボで加水分解反応を触媒する傾向のある酵素の有無に依存する。一般にインビボでの結合の易変性は、コドラッグが生理学的液体中で可溶化されていない場合には結合の安定性に関して測定される。つまり一部のコドラッグは一部の生理学的液体中で相対的に安定となる可能性があるが、それにも関らずそれらは、非生理学的液体(例えば、非水性溶媒、例えばアセトン)中にほぼ溶解または溶解されている場合に比較してインビボで(または天然由来または刺激された場合に関わらず、生理学的液体に溶解される場合にはインビトロで)加水分解を相対的に受け易い。つまり易変性結合によって、コドラッグが水溶液に溶解される場合には、反応が先に示された構成部分を含む加水分解生成物へ誘導される。
【0079】
本明細書に記載されたシステムと共に用いられる薬物送達デバイスを調製するためのコドラッグは、以下の合成スキームの1つに図示された手法で合成してもよい。一般に第一および第二の構成部分が直接結合する場合には、生理学的条件下で易変性の結合を形成させるのに適した条件下で、第一の部分を第二の部分と縮合させる。幾つかの例では、その部分の一方、他方、またはその両方の幾つかの反応基を遮断する必要がある。構成部分がリンカー、例えばオキサメチレン、コハク酸、ジまたはグリコール酸を介して共有結合する場合には、最初に第一の構成部分をリンカーと縮合させることが有利となる。幾つかの例において、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で、適切な触媒、例えばEDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)およびDCC(DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド)をはじめとするカルボジイミドの存在下で、または縮合の水もしくは他の反応の生成物を放出させるのに適した条件下で(例えば還流または分子ふるい)、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせの下で、反応を実施することが有利となる。第一の構成部分がリンカーと縮合された後、組み合わされた第一の構成部分とリンカーとを、その後、第二の構成部分と縮合させてもよい。更に、幾つかの例において、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で、適切な触媒、例えばEDCIおよびDCCをはじめとするカルボジイミドなどの存在下で、または縮合の水もしくは他の反応の生成物を放出させるのに適した条件下で(例えば還流または分子ふるい)、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせの下で、反応を実施することが有利となる。1つ以上の活性基が遮断されると、選択的条件下で遮断している基を除去することが有利となりうるが、遮断している基および遮断されている基の加水分解生成物が生理学的に温和である場合には、遮断された活性基を脱離させることも有利となりうる。
【0080】
二酸、ジアルコール、アミノ酸などが適切なリンカーとして記載されているが、他のリンカーが本発明内にあると企図されることは、当業者には認識されよう。例えば本明細書に記載されたコドラッグの加水分解生成物は二酸を含んでいてもよく、結合を生成するのに用いられる実際の試薬は、例えば塩化スクシニルなどのハロゲン化アシルであってもよい。他の可能な酸、アルコール、アミノ、スルファト、およびスルファモイル誘導体が対応する結合を生成する試薬として用いられうることは、当業者には認識されよう。
【0081】
第一の構成部分と第二の構成部分が共有結合を介して直接結合されるのならば、この例ではリンカーを付加するステップが必要とならないことを除き、本質的に同じ工程が実施される。第一の構成部分と第二の構成部分は、単に共有結合を形成させるのに適した条件下で混和される。幾つかの例において、構成部分の一方、他方、または両方の特定の活性基を遮断することが望ましい場合がある。幾つかの例において、適切な溶媒、例えばアセトニトリル、直接結合を形成させるのに適した触媒、例えばEDCIおよびDCCをはじめとするカルボジイミド、または縮合の水(例えば、還流)もしくは他の反応副生物を放出させるように設計された条件、を用いることが望ましい場合がある。
【0082】
幾つかの例において、第一の部分と第二の部分は本来の形態で直接結合しうるが、活性基を誘導体化させて反応性を高めることが可能である。例えば、第一の部分が酸であり、第二の部分がアルコールである(即ち、遊離ヒドロキシル基を有する)場合、第一の部分を誘導体化させて、対応する酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物または酸臭化物を形成させてもよい。従来通り誘導体化された出発原料を用いて本明細書に記載されたコドラッグを製造させることにより、本明細書に記載されたコドラッグの収率を増大させる、製造コストを低下させる、純度を改善するなど、他の可能性が存在することは、当業者には認識されよう。
【0083】
コドラッグの第一および第二の構成部分は、先に列挙された薬剤のいずれかをはじめとする任意の薬剤、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態であってもよい、特定の実施形態において、第一の構成部分と第二の構成部分とは異なる薬物であり、他の実施形態において、それらは同一である。
【0084】
特定のコドラッグの実施形態において、第一の構成部分は、NSAIDである。幾つかの実施形態において、第二の構成部分は、コルチコステロイドである。特定の実施形態において、第一の構成部分は5−FUであり、第二の構成部分はTAである。特定の実施形態において、第一の構成部分は、β−ラクタム抗生物質、例えばアモキシシリンであり、第二の構成部分は、β−ラクタマーゼ阻害剤、例えばクラブラネートである。
【0085】
本発明による例示的な反応スキームを、以下のスキーム1〜4に図示する。薬学的に許容しうるリンカーを介して直接的または間接的に、類似または異なる官能基を有する別の治療薬と共有結合を形成しうる少なくとも1種の官能基を有する他の治療薬を代入することにより、これらのスキームを作成することができる。これらのスキームが他の適切なリンカーを用いても作成しうることは、当業者には理解されよう。
【0086】
スキーム1
R1−COOH+R2−OH → R1−COO−R2=R1−L−R2
(式中、Lは、エステル結合−COO−であり、そしてR1およびR2は、それぞれ第一および第二の構成部分または薬理学的部分の残基である)
【0087】
スキーム2
R1−COOH+R2−NH2 → R1−CONH−R2=R1−L−R2
(式中、Lは、アミドリンカー−CONH−であり、そしてR1およびR2は、先に示された意味を有する)
【0088】
スキーム3
ステップ1:R1−COOH+HO−L−CO−Prot → R1−COO−L−CO−Prot
(式中、Protは、適切な可逆性保護基である)
ステップ2:R1−COO−L−CO−Prot → R1−COO−L−COOH
ステップ3:R1−COO−L−COOH+R2−OH → R1−COO−L−COOR2
(式中、R1、L、およびR2は、先に示された意味を有する)
【0089】
スキーム4
【化2】
(式中、R1およびR2は、先に示された意味を有し、Gは、直接結合、C1−C4アルキレン、C2−C4アルケニレン、C1−C4アルキニレン、または1,2−縮合環であり、そしてGは無水基と一緒になって、環状無水物を作り上げる)。適切な無水物としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水ジグリコール酸、および無水フタル酸が挙げられる。
【0090】
先に言及された通り、薬物は、材料122中に含まれていてもよく、それゆえ押出し生成物のセグメント112Iのスキン114に組み込まれていてもよい。このことで、そのようなシステムが最初、体内に配置された時に、放出された全薬物の実質的な分画がスキン114から放出されるように、初期バーストを含む二相放出が提供されてもよい。続いて、更なる薬物が、コア116から放出される。スキン114に含まれる薬物が、コア116の内部と同じ薬物であってもよい。あるいはスキン114に含まれる薬物が、コア116中に含まれる薬物と異なっていてもよい。例えばコア116が5−FUを含み、スキン114がTAまたはエタボン酸ロテプレドノールを含んでいてもよい。
【0091】
先の特定の実施形態に言及された通り、様々な材料がスキン114用に用いられることで異なる放出速度プロファイルを実現しうることは理解されよう。例えば前述の‘972特許で議論された通り、外層(スキン114など)が、透過性、半透過性、もしくは不透過性の追加的層(‘972特許では要素番号110、210、および310)で取り囲まれていてもよく、またはそれ自体が透過性もしくは半透過性の材料で形成されていてもよい。従って共押出しされたデバイスは、‘972特許に完全に記載された技術および材料を用いて1つ以上の層と共に提供されてもよい。これらの追加的層は、例えば3種の材料を一度に共押出しすることができる共押出し装置から、同心円状に共押出しされた第三の材料で提供されてもよい。そのような透過性または半透過性材料を通して、コア中の活性剤を様々な制御速度で放出してもよい。加えて、不透過性と見なされる材料でも、特定の環境下で、コア116中の薬物または他の活性剤を放出させることができる。つまりスキン114の透過性は、経時的な活性薬剤の放出速度に寄与することができ、そして配置されたデバイスの経時的な放出速度を制御するパラメータとして用いることができる。
【0092】
更に、共押出しされた生成物112の連続した塊を、例えばコア116を取り囲む不透過性スキン114、を有するデバイス112Iに分割してもよく、各セグメントは半透過性または透過性層により更にコーティングされていて、その暴露された端部を通して放出速度を制御してもよい。同様に、特定の期間の後、コア材料が管の長さの一部もしくは全てに沿って、またはその一端もしくは両端で暴露されるように、スキン114、またはその1つ以上の層、またはデバイスを取り囲む層が、既知の速度で生侵食性であってもよい。
【0093】
つまり共押出しされたデバイスを取り囲むスキン114および1つ以上の追加の層のための様々な材料を用いて、配置されたデバイスの送達速度を制御して、様々な放出速度プロファイルを実現してもよいことは、理解されよう。
【0094】
生成物112の押出し、より詳細には共押出しは、生成物の寸法の非常に細密な許容範囲を可能にする。生成物112から形成されたデバイスからの薬物の放出速度に影響を及ぼす重要な因子がスキン114の内径であり、それが薬物拡散に利用できる全表面積(少なくとも初期の)に関係することが、見出された。つまりスキン114の内径の細密な許容範囲を維持することにより、デバイスのバッチの、薬物コアからの放出速度の変動を低減することが、可能となる。加工パラメータ、例えばコンベア速度およびダイの径を変動させることにより、送達デバイスの外径を制御してもよい。
【0095】
実施例
2台のRandcastle Microtruderと、同心円状の共押出しダイと、コンベアとからなる共押出しラインを用いて、FAのための注射可能な送達デバイスを製造してもよい。FAの微粉末を以下のマトリックス形成材料:PCLまたはポリ酢酸ビニル(PVAC)、と共に40%〜60%の薬物装填レベルで顆粒化してもよい。得られた混合物を外層コーティングとしてのPLGAまたはEVAを含み、または含まずに共押出しして、複合的な管状生成物を形成させてもよい。インビトロ放出試験をpH7.4リン酸緩衝液を用いて実施して、異なる送達デバイスからのFAの放出特性を評価してもよい。
【0096】
FA粉末100gをそれぞれ40%PCL溶液375gおよび167gと混合して40%および60%の薬物装填配合剤を調製することにより、薬物コアを形成させるのに用いられるFA顆粒を調製してもよい。55℃で2時間、オーブン乾燥させた後、顆粒を用手的に、または極低温ミルを用いて20メッシュのサイズに摩砕してもよい。得られた薬物/ポリマー混合物を、材料124として用い、材料122としてのPLGAと共に2台のRanscastle Medel RCP−0250 Microtruderを用いて共押出しして、複合的な共押出し管状生成物112を形成させてもよい。
【0097】
先の実施例に記載された調製物は、図2〜5に示された通りFAの長期持続放出を提供することができた。図から認められる通り、ポリマーコーティングの外層を含まないPCLマトリックスからのFAの放出は、PLGAスキンを有するものよりもかなり急速であった。それは、二相放出パターン、つまりバースト放出相と、その後に徐放相を示した。その一方で、PLGAコーティングを有する調製物は、薬物レベルに関わらず、少なくとも5ヶ月間、FAの直線的放出を付与した。PLGAコーティングは、バースト効果を有意に最小化することが可能と思われた。FAの放出速度がマトリックス中の薬物装填レベルに比例することも観察された。PLGAに比較してEVAは、FAの放出を大きく妨害した。放出速度の変動に加えて、異なるポリマーが押出しに関する異なる物理的特性を有しうることは、理解されよう。
【0098】
共押出しされた注射可能な薬物送達デバイスにおいて、薬物、例えばステロイドの放出は、内部マトリックス形成材料と外部ポリマー材料との異なる組み合わせにより、減ずることができる。このことでこれらのデバイスは、ステロイドをはじめとする薬物の制御的な持続放出が望ましい様々な適用に適してくる。以下に記載される通り、簡便な押出し、即ち単一材料または混合物の押出しを用いてスキンを押出し、その後、硬化させて、非押出し工程で薬物コア混合物を充填させてもよい。
【0099】
図6は、薬物送達デバイスのためのスキンを押出す器械を示す。図示された通り、システム600は、押出しの技術分野の当業者に周知の手法で、ダイヘッド608に連結された押出し機604を有する押出しデバイス602を含んでいてもよい。ダイヘッド608は、押出し機604からの材料が押出される出口ポート610を有していてもよい。ダイヘッド608および/または出口ポート610が、押出された物質の断面形状を確定してもよい。Randcastle Model CP−0250
Microtruder (Randcastle Extrusion Systems、ニュージャージー州シーダーグローブ)、およびそれに関連するヒーター、制御装置などを含む市販の押出し機が、押出し機604として用いられてもよい。例示的な押出し機は、例えば米国特許第5,569,429、同第5,518,672、および同第5,486,328にも開示されている。一般にシステム600は、中心のコアがスキン614と共に押出されずに開口した中心領域622が残されることを除いて、図1に関して先に記載されたシステムであってもよい。
【0100】
硬化ステーション618および分割ステーション620も提供されてよく、それらは図1に関して先に記載されたとおりであってもよい。中心領域622が重力下で崩壊する傾向を有していてもよいことは、理解されよう。一実施形態において、押出された材料612は、垂直に押出されてもよく、それにより重力を用いずに硬化および/または分割され、スキン614の壁を崩壊させて、中心領域622が不適当に接着および閉鎖される可能性がある。押出された材料612は、分割ステーション620で複数のセグメント612Iに分割されてもよく、それが持続放出性薬物送達デバイスのためのスキンを形成してもよい。
【0101】
他の技術を用いて、本明細書に記載された注射可能な薬物送達デバイスを製造するのに有用な管またはストロー状物(straw)を予備成形してもよいことは、理解されよう。有効に用いられた一つの技術が、適切な外径のワイヤ、例えばニチノールを、非硬化ポリイミドまたは他の適切なポリマーに浸漬することである。その後、ポリイミドを硬化してもよい。その後、ワイヤをポリイミドから取り出して、ポリマーチューブを提供し、それに所望の薬物配合剤を注入、またはその他に挿入してもよい。この技術は、例えば以下の図10に特徴づけられたデバイスを構成するのに用いられてきた。
【0102】
同様に、予備成形された薬物コアまたは薬物マトリックス材料を用いて、注射可能なデバイスを構成してもよい。コアを押出し、圧縮、または他の手段で形成させ、その後、適切な特性を有する材料を噴霧するか、またはその他にその材料のフィルムでコーティングしてもよい。材料のセグメントに調製されるか、または連続の長さに調製してセグメントに切断するかに関わらず、コアを非硬化ポリマーまたは他の適切な材料に浸漬コーティングしてもよく、適宜、硬化して適切な寸法の薬物送達デバイスを形成させてもよい。
【0103】
しかし、形成されたポリマー外層は、コアのタイプおよびデバイスの所望の放出速度プロファイルに応じて、透過性、不透過性、または部分透過性であってもよい。外層は、生体液または水の浸入手段と、コアからの活性剤の放出手段とを提供する1つ以上の細孔も含んでいてよい。外層は、生侵食性または非生侵食性であってもよい。生侵食性の外層は、コアの侵食速度よりも急速または緩徐な速度で(または同じ速度で)、侵食されてもよく、コア自体が生侵食性または非生侵食性であってもよい。外層のための適切な材料としては、非限定的にPCL、EVA、PEG、PVAC、PVA、PLA、PGA、PLGA、ポリイミド、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタン、ナイロン、またはそれらのコポリマーをはじめとする任意の生体適合性ポリマーが挙げられる。乳酸モノマーを含むポリマーにおいて、乳酸は、D−異性体、L−異性体、またはD−異性体とL−異性体との任意の混合物であってもよい。そのような外層は全て、本明細書に記載された注射可能なデバイスのいずれとも適切に用いることができる。
【0104】
特定の実施形態において、コアは、例えば先に言及された押出しまたは圧縮技術を用いて、コア中の1種以上の薬物の放出速度を独立して制御する薬物マトリックスで生成されていてもよい。そのような実施形態において、ポリマー外層は、全体として省略されていてもよく、またはコアが潤滑剤もしくは接着剤をはじめとする、注射可能なデバイスの他の特性に影響を及ぼす層でコーティングされていてもよい。
【0105】
特定の実施形態において、デバイスは、好ましくはフルオシノロンアセトニドなどのグルココルチコイドを含む、薬物コアと;ポリマー管、好ましくはポリイミドを含む管などの薬物の通路に不透過性の管と;少なくとも一端を覆う、薬物の通路に透過性の外層と、を含む。特定の好ましい実施形態において、外層は、ポリビニルアルコールを含む。外層がデバイスの一端のみを覆う特定の実施形態において、他方の端部は、覆われていなくても、または薬物の通路に不透過性の層で覆われていてもよい。外層がデバイスの両端を覆う特定の実施形態において、デバイスの一端は、不透過性の層でコーティングされていて、デバイスの端部を通した薬物の放出を阻害または予防してもよい。
【0106】
特定の実施形態において、デバイスは、薬物を約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で放出する。特定の他の実施形態において、デバイスは、薬物を約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日の速度で放出する。
【0107】
特定の実施形態において、デバイスは、薬物を少なくとも1ヶ月間、または少なくとも2ヶ月間、または少なくとも6ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間、または少なくとも24ヶ月間、または少なくとも30ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間の期間にわたり、本明細書に開示された速度で一定して放出する。例として特定の実施形態において、デバイス(例えば、挿入デバイスまたは挿入物)は、連続または実質的に連続の放出プロファイルを有し、薬物を経時的に一定の放出速度で提供する。
【0108】
図7は、注射可能な薬物送達デバイスを製造する工程の流れ図である。該方法700は、押出し機、例えば図6に関して先に記載された押出し機を用いてポリマー性スキン704を押出すことにより開始してもよい。生侵食性ポリマー、または送達される薬物、もしくはデバイスが配置される生体液に所望の透過性、例えば不透過性、半透過性、もしくは透過性を有するポリマーをはじめとする、任意の適切なポリマーを用いてもよい。侵食性および透過性は、先に概ね議論された通り、所望の薬物(およびその溶解度)、所望の放出速度、および予測される生体環境に応じて選択してもよい。眼内および眼球周囲の適用のための1つの適切なポリマーが、ポリイミドである。
【0109】
押出しスキンの連続した塊を、ステップ706に示す通り、開口した中心領域を有する各セグメントに分割してもよい。分割は、例えば先の図1および6に関して記載された分割ステーションを用いて、実施してもよい。
【0110】
ステップ708に示された通り、押出しされたスキンの塊から切断されたセグメントに、薬物を挿入してもよい。薬物は先に記載された薬物および薬物配合剤のいずれであってもよく、そして放出速度制御配合剤、例えば生体適合性のゲル、混和物、ポリマー/薬物マトリックス、顆粒化薬物化合物、または注入もしくは他の技術によりセグメントに挿入するのに適した任意の他の配合剤を含んでいてもよい。1つの適した配合剤は、セグメント中に押し出して硬化させてもよい、PVAとFAとのスラリーである。
【0111】
ステップ710に示された通り、拡散膜を提供して、薬物コアの放出速度を制限してもよい。拡散膜は、例えば薬物コアへの液体流れを制限すること、または薬物コアからの薬物通過を制限すること、により動作してもよい。追加の加工ステップを実施してもよい。例えば、ステップ708における硬化および薬物装填セグメントを、わずかに広くそして長い寸法の追加的ポリマー管、例えばポリイミドに挿入してもよい。この追加の管が、一端または両端にリザーバを提供してもよく、例えばデバイスの一端または両端に拡散膜を充填されてもよい。
【0112】
ステップ712に示された通り、アンカーがデバイスに取り付けられていてもよい。本明細書で用いられる用語「アンカー」は、デバイスを体内の部位に固定するために用いられるもの、例えば縫合糸を受け留める小穴、デバイスを注入する針により形成された穿刺孔を締める膨張ワイヤまたは可撓性材料、接着剤などを指すものとする。デバイスを目的の部位に固定するのに適し、注射可能な薬物送達デバイスでの使用に適した任意のメカニズムを、アンカーとして用いてもよい。一実施形態において、リザーバ、例えばステップ710に関して先に記載されたリザーバに、硬化性接着剤、例えば紫外線硬化性接着剤を充填してもよい。アンカーの一部を接着剤に挿入してもよく、その接着剤が、例えば紫外線の適用により硬化されることで、アンカーがデバイスに固定されてもよい。
【0113】
ステップ714に示された通り、例えば適切なゲージの針にデバイスを予め装填して、そのアセンブリを最終使用者への運搬に適した包装で封入することにより、デバイスを包装してもよい。ステップ716に示された通り、封入された包装を、更に、任意の適切な手法で滅菌されてもよい。
【0114】
様々な実施形態において、用いられたステップが注射可能な持続放出性薬物送達デバイスをもたらすことが前提ならば、先のステップの特定のものを省略、変更、または再編成してもよいことは、理解されよう。例えば拡散膜710を付加するステップは、全体として省略してもよく、または適切な性質のポリマーコーティングを有するデバイス全体をコーディングするステップにより置き換えてもよい。別の実施形態において、押出されたポリマー性スキンの全長を、薬物コアで充填してもよく、その後、塊全体を硬化させて(適宜)、複数のセグメントに切断してもよい。特定のステップ、例えば押出されたスキンの硬化を、例えばスキンを1つのステップで部分的に硬化させて、追加の硬化を続く加工ステップで行うことにより、特定の製造方法に適合させてもよいことも、理解されなければならない。それらが本明細書に記載された注射可能な持続放出性薬物送達デバイスをもたらすことが前提ならば、そのような変動は全て、本明細書の範囲に含まれるものとする。
【0115】
図8は、注射可能な薬物送達デバイスを示す。デバイス800は、薬物コア802と、1つ以上のポリマー層のスキン804と、デバイス800に取り付けられたアンカー806とを含んでいてもよい。薬物コア802、スキン804およびアンカー806は、本明細書に記載されたコア、スキンおよびアンカーのいずれであってもよい。特定の配置において、放出速度は、主にデバイス800の端部のコア802の表面積により決定されてもよく、そして放出期間は、主にデバイス800の長さにより決定されてもよい。
【0116】
更に、適切なサイズおよび薬物放出性の注射可能な薬物送達デバイスが、他の方法により生成されうることは、理解されよう。例えば、薬物/ポリマーマトリックスで形成された固体の圧縮されたデバイスが、スキン804または放出速度に影響を及ぼす他のコーティングを含まない使用のための適切な放出速度を有していてもよい。圧縮されたデバイスは、例えば図6の押出し機を用いて押出された円筒形の塊として形成され、その後、固体の塊に硬化されてもよい(分割の前または後)。圧縮されたデバイスは、代わりに、単独で、または他の物質との混合で、薬物の顆粒を適切なサイズの予備成形された金型内に圧縮させることにより形成させてもよい。
【0117】
先に記載された注射可能なデバイスを製造する方法の多くの重要な利益が、薬物自体の安定性を制御および/または改善しうることであるのは、理解されよう。例えば、薬物がコアに含まれる場合、製造、貯蔵、または使用のいずれにせよ、活性を変性または変化させうる外部環境の力から薬物を防御してもよい。薬物コアおよび/またはスキン層内のマトリックスが、防御の方策を提供してもよい。つまり例えば、デバイスが薬物コア、内部スキンおよび外部スキンを含む場合、内部スキンが紫外線吸収性材料(例えば、ポリイミド)で構成されていてもよい。製作時に外層が紫外線により硬化される場合、内部スキンによって紫外線がコア中の薬物と接触するのを防御してもよい。つまり該薬物は、硬化工程の間に変性する可能性が低い。スキンおよびコアマトリックスが、薬物と生体液との相互作用を制御および制限することにより、薬物を生体液中での化学的変性および代謝から防御してもよい。このメカニズムが、薬物と空気または湿度との相互作用を制限することにより、貯蔵時のデバイス中の薬物の安定化を支援してもよい。
【0118】
図9は、注射可能な薬物送達システムを示す。使用において、針902で、生体材料904の壁を穿刺してもよい。針902は、注射可能な薬物送達デバイス906を予め装填されていてもよく、それを壁904と反対側の生物学的媒体908、例えば生体液または組織に注入してもよく、そして針のリザーバ中の液体910、例えば生理食塩水により生物学的媒体908に誘導してもよい。アンカーがデバイス906に含まれるかどうか、そしてアンカーが生体壁904に取り付けられているかどうかに応じて、針を生物学的媒体908中に異なる深さで様々に配置させてもよい。
【0119】
図10は、特定のデバイスの放出速度を示す。送達速度を検査するために、内径0.0115インチ(約0.292mm)および外径0.0125インチ(約0.318mm)の予備成形されたポリイミド管を、先に記載されたワイヤー浸漬法(dipped wire method)を用いて調製した。その後、FA/PVA(90:10の比)のペーストを予備成形された管に注入することにより、薬物送達デバイスを形成させた。その後、充填された管を3mmの断片に切断して周囲条件で乾燥させ、その後、断片を135℃で2時間硬化させた。これにより、各デバイス内の全体的薬物装填量26μg/mmが実現された。デバイスの一部は、2つの開口端部を有したままであった。他のデバイスは、シリコーン接着剤を用いて一端を密閉した。図10に認められる通り、2つの開口端部を有するデバイスは、薬物をおよそ0.4μg/日(より大量に放出される初期バーストの後)で放出し、1つの開口端部を有するデバイスは、薬物をおよそ0.2μg/日(同じく初期バーストの後)で放出した。
【0120】
図11〜15には、本明細書に記載されたタイプの注射可能なデバイスの実験的放出速度の結果が更に図示される。結果は、開示が全体として参照により組み入れられた米国特許出願第10/714549に記載されたタイプの注射可能なデバイスの使用も図示している。注射可能なデバイス(外径約0.8mm)試料を薬物FAと共に押出して、pH7.4の0.1Mリン酸緩衝液とインビトロで混和した。試料を数日にわたって採取し、放出されたFAの量(μg)を測定した。商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイス試料も、薬物試料と共にインビトロで調製して、放出された薬物の量(μg)を測定した。結果を、図11〜15に示す。
【0121】
図11は、20日を超える期間にわたる、本明細書に記載されたタイプの注射可能なデバイスからのFAのインビトロ放出プロファイルを示す。
【0122】
図12は、本明細書に記載されたタイプの注射可能なデバイスと、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、FAのインビトロ放出プロファイルの比較を示す。
【0123】
図13は、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、エタボン酸ロテプレドノール(LE)のインビトロ放出プロファイルを示す。
【0124】
図14は、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、ジクロルフェナミド(2.2mg)のインビトロ放出プロファイルを示す。
【0125】
図15は、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、ブリモニジン(2.2mg)のインビトロ放出プロファイルを示す。
【0126】
図16は、試験期間中の計画された各経過観察時の、15文字以上のBCVAの改善による測定での、対照群に対比した低用量の挿入物による処置効果を示す。
【0127】
図17は、対照群に対比した低用量の挿入物を投与された患者における過剰な中心窩厚の減少の平均を示す。
【0128】
別の態様において、本開示は、目の疾患または障害を処理するデバイスおよび方法を企図する。そのような方法で用いられる例示的なデバイスは、非限定的に本明細書に提供されたデバイスの具体的な例をはじめとする制御放出性デバイスである。特定の実施形態において、薬物を0.4、0.3、0.2、または0.1μg/日以下の放出速度で送達する制御放出性デバイスが、目の疾患または障害の処置に用いられる。特定の実施形態において、前述の放出速度は、一定速度であるため、その速度は処置の期間を通して日ごとに同一または実質的に同一である。特定の実施形態において、合計処置時間は、少なくとも2ヶ月である。別の実施形態において、合計処置時間は、少なくとも3、4、5、または6ヶ月である。別の実施形態において、合計処置時間は、少なくとも12、15、18、20、または24ヶ月である。別の実施形態において、合計処置時間は、24ヶ月を超え、例えばおよそ24〜36ヶ月である。
【0129】
関連の態様において、本開示は、副作用をほとんど起こさずに目の疾患または障害を処置する方法を提供する。該方法は、必要とする患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間にわたり投与することを含む。薬物は、0.4μg/日以下の放出速度で投与されて、処置される患者の実質的な割合においてIOPの有意な増大を起こさずに、前記疾患または障害を処置する。特定の実施形態において、該薬物は、制御放出性デバイス、例えば本明細書に記載されたデバイスを用いて投与される。特定の実施形態において、放出速度は、0.3、0.2、または0.1μg/日以下である。特定の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで少なくとも5、6、9、または12ヶ月の期間にわたり毎日投与される。他の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで12〜18、18〜24、または24〜36ヶ月の期間にわたり毎日投与される。特定の実施形態において、放出速度は、一定かつ連続的である。言い換えると、放出速度は、処置期間を通して同一または実質的に同一である。
【0130】
特定の実施形態において、目の疾患または障害は、黄斑浮腫、黄斑変性、または緑内障である。特定の実施形態において、薬物投与により、処置された患者の20%未満、18%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満においてIOPの有意な増大が起こる。特定の実施形態において、処置に関連したIOPの増大は、まれな事象と見なされるのに十分少ない頻度で起こる。
【0131】
関連の態様において、本開示は、必要な患者において過剰な中心窩厚を減少させる方法を提供する。該方法は、必要とする患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間投与することを含む。薬物は、0.5μg/日未満の放出速度、例えば0.4μg/日以下の放出速度で投与されて、過剰な中心窩厚を減少させる。特定の実施形態において、該薬物は、制御放出性デバイス、例えば本明細書に記載されたデバイスを用いて投与される。特定の実施形態において、放出速度は、0.3、0.2、または0.1μg/日以下である。特定の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで少なくとも5、6、9、または12ヶ月の期間、毎日投与される。他の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで12〜18、18〜24、または24〜36ヶ月の期間、毎日投与される。特定の実施形態において、放出速度は、一定かつ連続的である。言い換えると、放出速度は、処置期間を通して同一または実質的に同一である。
【0132】
特定の実施形態において、過剰な中心窩厚は、黄斑浮腫、例えば糖尿病性黄斑浮腫の患者に存在する。他の実施形態において、過剰な中心窩厚は、黄斑変性の患者に存在する。
【0133】
本開示は、先に開示された、または以下に開示される本発明の態様および実施形態の適切な組み合わせの全てを企図する。
【0134】
実施例:糖尿病性黄斑浮腫の処置の試験
【0135】
長期放出性硝子体内挿入デバイスを、糖尿病性黄斑浮腫(DME)の処置において検討した。デバイスは、フルオシノロンアセトニド(FA)を持続的なサブマイクログラムレベルで送達した。デバイスを患者の目の裏側の、目の自然な流体力学の利益を得られる位置に挿入した。自己閉鎖創が可能な25ゲージ針を用いて、挿入物を投与した。試験は2群からなり(本明細書ではトライアルと呼ぶ)、それぞれが同一のプロトコルおよび登録患者956名を有した。一群に、挿入物を介して高用量の治療薬を0.45μg/日の放出速度で投与した。第二群には、挿入物を介して低用量の治療薬を0.23μg/日の放出速度で投与し、第三群には偽薬を投与した。この群の患者が挿入を模擬実施するために麻酔した目に針の無い鋭利でない挿入物で圧力を加えられたことを除き、偽薬は挿入手順に含まれるステップ全てを含んだ。この手順は、硝子体内挿入を模倣しており、適切な患者マスキングの維持を支援した。
【0136】
試験は、黄斑の中心を含むDMEを有し、試験登録の12週間以上前に少なくとも1回の予備的な黄斑レーザ処置を受けた患者において、挿入物の安全性および有効性を評価するように設計した。試験の組み入れ規準は、最良矯正視力(BCVA)が試験眼で20/50(早期治療糖尿病性網膜症試験(ETDRS)視力チャートで68文字)〜20/400(ETDRS視力チャートで19文字)、非試験眼で20/400以上であるDME患者を選択するように設計した。ETDRS視力チャートは、米国国立眼病研究所の早期治療糖尿病性網膜症試験により確立された、視力を測定するために臨床試験で用いられる基準である。スクリーニングの3ヶ月以内にDMEのためのステロイド薬処置を受けた患者またはスクリーニングの2ヶ月以内に抗VEGF注射を受けた患者、および緑内障患者、高眼圧患者、予備試験でIOPが21mmHgを超えた患者、またはスクリーニングで試験眼にIOP低下剤との同時治療を受けた患者は、試験に組み入れなかった。
【0137】
以下の表には、試験に無作為化された患者のベースライン特性が記載されている。
【表1】
【0138】
患者の特徴、例えば年齢、性別およびベースラインBCVAは、処置群と対照群とで釣り合いをとった。無作為化とは別に、患者を2つの別々の群:つまりETDRS視力チャートで49文字以上のベースラインBCVAスコアを有する群と、ETDRS視力チャートで49文字未満のベースラインBCVAスコアを有する群に分けた。
【0139】
患者を2:2:1の比の3群のうちの1群に無作為に割り付けた。これらの群のうちの最初の2群は、活性薬配合剤に割り付け、三番目の群は、対照群として硝子体挿入に模倣して設計された偽薬挿入手順に供した。処置群は、先に記載された低用量挿入物を投与された一方の群と、先に記載された高用量挿入物を投与されたもう一方の群とからなった。バイアスの可能性を抑えるために、試験は無作為化二重盲検試験設定を利用したため、患者と患者の評価に関わる研究スタッフはいずれも、患者が属する群について知らなかった。挿入を模倣実施して、適切な患者マスキングの維持を支援するために麻酔した目に針の無い鋭利でない挿入物で圧力を加えたことを除き、偽薬の挿入手順は挿入手順に含まれるステップ全てを含んだ。
【0140】
試験の一部として、研究者は12ヶ月目の経過観察の後、各患者を挿入物で再度処置することができた。24ヶ月目までに、患者の24.5%は1つを超える挿入物で処置され、患者の2.5%は3つ以上の挿入物で処置された。
【0141】
主要有効性評価項目 試験の主要有効性評価項目では、24ヶ月目にBCVAがベースラインからETDRS視力チャートで15文字以上改善した患者の割合に、処置群と対照群の間で差があった。24ヶ月目の臨床読み出しデータのフルデータセットを、FDA採用の日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイダンスE9、「臨床試験のための統計的原則」に記載された、主要解析のための適切な母集団に関する推奨事項に沿って解析した。ICHは、製品登録の科学的および技術的側面を議論する、欧州、日本および米国の規制当局および医薬品業界代表者を含む共同発議である。
【0142】
フルデータセットは、試験に無作為化された患者956名全員を含み、試験を中止した患者、または経過観察により利用できなかった患者によるデータ欠損では、「最終観察の引き延ばし補完法」(LOCF)を用いてデータ代入を行った(フルアナリシスセット)。解析の一部として、統計学的有意性を、多重比較の管理に用いられる方法であるホフバーグ・ボンフェローニ法(H−B法)に基づいて決定した。0.0001でのターゲットP値調整も実行した。これらの調整により、トライアルAおよびトライアルBのそれぞれで必要なp値が0.0491以下となり、低用量および高用量の両方の挿入物の統計学的有意性が実証された。H−B法に基づいて、トライアルにおけるいずれの用量の挿入物も統計学的有意性に適合しなかった場合、トライアルにおける0.02455以下のP値を実現して統計学的有意性を実証するのに、代替的な用量が必要であった。
【0143】
フルアナリシスセットでは、トライアルAおよびトライアルB、ならびに合算ベースの低用量および高用量の両方の挿入物で、主要有効性評価項目が統計学的有意性に適合した。以下の表に、主要有効性変数の結果を要約する。
【表2】
【0144】
加えて、フルアナリシスセットにおいて、18ヶ月目と24ヶ月目とで応答者割合を数値比較したところ、トライアルAおよびトライアルBの両方で、24ヶ月目の低用量および高用量の両方の応答者割合が、18ヶ月目の応答者割合よりも数値的に大きいことが実証された。
【0145】
その試験プロトコルで、更なるデータセットの解析を提供した。全ての無作為化された処置データセットは、試験に無作為化されて処置された患者953名を含み、トライアルを中止した患者、または経過観察により利用できなかった患者によるデータ欠損では、LOCF法を用いてデータ代入を行った(ARTデータセット)。無作為化されたが処置されなかった患者3名は、フルデータセットに組み入れ、ARTデータセットからは除外された。ARTデータセットでは、主要有効性評価項目は、トライアルAおよびトライアルBの両方で、両方の用量の挿入物で統計学的有意性に適合した。トライアルAの24ヶ月目にBCVAが15文字以上改善したARTデータセットの患者の割合は、対照群では14.7%、低用量では26.8%(p値0.029)、高用量では26.2%(p値0.032)である。トライアルBの24ヶ月目にBCVAが15文字以上改善したARTデータセットの患者の割合は、対照群では17.8%、低用量では30.8%(p値0.028)、高用量では31.3%(p値0.026)である。
【0146】
改良ARTデータセットは、ARTデータセットに含めた患者953名全員を含み、プロトコルにより禁止された処置、例えばアバスチン、ルセンティス、トリアムシノロンアセトニドまたは硝子体切除の利用後に回収されたデータは除外した(改良ARTデータセット)。試験プロトコルにより禁止された処置が用いられた例では、プロトコル違反となる前の最後の観察を、LOCF法を用いて24ヶ月目に代入した。トライアルAでBCVAが15文字以上改善した改良ARTデータセットでの患者の割合は、対照群では12.6%、低用量では22.6%(p値0.057)、高用量では24.1%(p値0.026)である。トライアルAでの挿入物の用量はいずれも、H−B法に基づくと統計学的に有意ではなかった。トライアルBの24ヶ月目にBCVAが15文字以上改善した改良ARTデータセットでの患者の割合は、対照群では13.3%、低用量では29.7%(p値0.004)、高用量では29.3%(p値0.005)である。トライアルBでは、挿入物の両方の用量で、統計学的に有意であった。
【0147】
更なる臨床観察 主要有効性の変数に加えて、試験の24ヶ月目臨床データにおける他の複数の臨床関連結果も観察した。これらの観察は、とりわけ以下のものを含んだ:各経過観察時にBCVAが15文字以上改善した患者;任意の時点でBCVAが15文字以上改善した患者;24ヶ月目にBCVAの改善が他のレベルであった患者;ベースラインBCVAに比較して15文字以上BCVAが改善した患者;および過剰な中心窩厚が減少した患者。
【0148】
以下に示されるこれらのフルアナリシスセット観察の解析を、対照群と比較した、低用量の挿入物を投与された患者のトライアルAおよびトライアルBの合算ベースについて示す。
【0149】
各経過観察時にBCVAが15文字以上改善した患者 24ヶ月目までの試験結果の解析から、低用量の挿入物が挿入後3週間という早期にBCVAを改善させることが示された。低用量の挿入物は、3週間目の経過観察までの試験で対照群よりも統計学的に有意に良好であり、24ヶ月目まで対照よりも統計学的に有意な利益を維持した。図16から、試験中に計画された各経過観察時にBCVAの15文字以上の改善が測定されたため、対照群に対する低用量の挿入物の処置効果が実証される。
【0150】
任意の時点にBCVAが15文字以上改善した患者 24ヶ月目までの試験結果の分析から、対照群に対比して、低用量の挿入物を投与された患者の有意に高い割合が、任意の経過観察時での評価で15文字以上のBCVAの改善を有することが示された。試験の最初の24ヶ月間に、低用量の挿入物を投与されるように無作為化された患者376名中177名、または47.1%で、対照群に無作為化された患者185名中51名または27.6%に比較して、任意の時点で15文字以上のBCVA改善が実証された。
【0151】
24ヶ月目の他のレベルのBCVA改善 以下の表3は、試験の24ヶ月目に、対照群に対比した、低用量の挿入物による統計学的に有意なBCVA改善を実証している。
【表3】
【0152】
ベースラインBCVAに比較したBCVAの15文字以上の改善 24ヶ月目の試験結果の分析から、挿入物が、患者のベースラインBCVAの重症度に関わらず、対照群よりも統学的に有意な利益を有することが示される。以下の表から、ETDRS視力チャートで49文字を超えるベースラインBCVAを有した患者、およびベースラインのETDRS視力チャートで49文字以下のBCVAを有した患者において、対照群に対比した挿入物の統計学的に有意な処置効果が実証される。
【表4】
【0153】
過剰な中心窩厚の減少 BCVAの機能的測定に加えて、解剖学的測定に対する挿入物の影響、即ち光干渉断層法により測定された過剰な中心窩厚の減少を、評価した。過剰な中心窩厚は、黄斑の中心点(中心窩として公知)での腫脹の指標である。180ミクロンを超える任意の測定値は、過剰な中心窩厚を表わすと判断した。図17に要約された24ヶ月目の臨床読み出し結果の再検討に基づくと、低用量の挿入物を投与された患者では、試験の経過観察時の患者の1週間目までの過剰な中心窩厚の減少において、対照群に対比した統計学的有意差が実証され、統計学的に有意な利益が24ヶ月目まで維持された。24ヶ月目では、過剰な中心窩厚の平均減少が、対照群で100.5ミクロンに対して、低用量の挿入物を投与された患者で156.1ミクロンであることが実証された。
【0154】
安全性:低用量および高用量の患者集団において、挿入物は、試験の24ヶ月まで良好に耐容された。有害事象データの事前評価で、挿入物の使用の結果、患者への全身有害事象の明白なリスクがないことが示された。目におけるコルチコステロイドの使用は、主として2種の不適切な副作用:つまり緑内障のリスクを増加して更なる管理手順を必要としうるIOPの増加、および白内障の形成、に関連する。IOP関連の副作用および白内障を除外すれば、低用量および高用量の両方の患者集団を対照と比較すると、目に関連する重要な有害事象は観察されなかった。つまり試験の24ヶ月目の臨床読み出し結果に基づくと、挿入物の使用に関連する有害事象は、DMEの処置用の薬物の許容限界内である。
【0155】
以下の表5に、試験で無作為化され処置された患者全員に起こったIOP関連の有害事象が要約されている。
【表5】
【0156】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を詳細に記載したが、本発明の範囲を逸脱せずに、様々な変更を実施することができ、均等物を用いることができることは、当業者には明白であろう。つまり以下の特許請求の範囲に示された本発明は、法律により許容しうる最も広範囲の意義で解釈しなければならない。前述の参考資料および発行された文書はそれぞれ、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年12月23日出願の米国特許仮出願第61/289,954の優先権の利益を主張するものである。前述の出願の明細書は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、注射可能な持続放出性薬物送達デバイス、およびそのようなデバイスを製造するのに有用な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の簡単な説明
全体として参照により本明細書に組み入れられたHong Guo他による米国特許第6,375,972には、薬物コアとポリマーコーティングとの様々な組み合わせを利用して生存組織内に移植された薬物の送達速度を制御する、特定の薬物送達デバイスが記載されている。重要な利点を有する一方で、通常の製品開発サイクルの一環としてそのようなデバイスのサイズを低下させることは、デバイスの製造をより困難にする可能性がある。‘972特許に記載された通り、薬物マトリックスを予備成形された管に注入することを含む、複数の異なる方法により、薬物リザーバを、それを支持する管の内部に形成させることができる。この技術は、より小さい管およびより粘性の高い薬物マトリックス材料を用いれば、益々困難となる。
【0004】
この問題に向けた1つのアプローチが、Journal of Controlled Release, 73, pp.279-291(2001)に掲載されたKajihara他の文献に開示されており、それには、シリコーンを担体として用いる、タンパク質薬の持続放出性配合剤の調製が記載されている。この文献の開示は、全体として本明細書に組み入れられる。
【0005】
持続放出性薬物送達システムのサイズを低下させる別のアプローチが、2003年5月2日出願の米国特許出願第10/428,214に開示されている。その開示は、任意の特定サイズのデバイスに限定されないが、それに開示された共押出し技術は、小型のデバイスの製造に受け入れられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小型の持続放出性薬物送達デバイスの製造における本来の問題に関わらず、そのようなデバイスは、該デバイスの注射が可能になるサイズへ近づき始めた。しかし、改善された注射可能な持続放出性薬物送達システムおよびそれを製造する技術が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
注射可能な薬物送達デバイスは、1種以上の薬物および1種以上のポリマーを含有するコアを含む。コアは、1種以上のポリマー外層(本明細書では「コーティング」、「スキン」、または「外層」と呼ぶ)に取り囲まれていてもよい。特定の実施形態において、デバイスは、薬物コアのポリマー性スキンを押出す、またはその他に予備成形することにより、形成される。薬物コアは、スキンと共押出しされてもよく、またはスキンが押出され、そしておそらく硬化された後にスキンに挿入されてもよい。他の実施形態において、薬物コアは、1つ以上のポリマーコーティングでコーティングされていてもよい。これらの技術を有用に適用して、標準的または非標準的ゲージの針を用いた注射に適した形態の薬物コア中の薬物の放出速度プロファイルおよび他の様々な特性を制御するように選択しうる、非常に様々な種類の薬物配合剤およびスキンを有するデバイスを製作してもよい。少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の薬物、および少なくとも1種の液体溶媒を組み合わせて、注射されると相変化を受けてゲルを形成するような液状懸濁物または溶液を形成させることにより、デバイスを形成させてもよい。その構成により、長期間にわたる薬物の制御放出を提供してもよい。
【0008】
スキンを用いた実施形態において、スキンは、薬物、またはデバイスが暴露されうる液体環境に対して透過性、半透過性、または不透過性であってもよい。薬物コアは、薬物の放出速度に有意な影響を及ぼさないポリマーマトリックスを含んでいてもよい。あるいはそのようなポリマーマトリックスが、薬物の放出速度に影響を及ぼしてもよい。スキン、薬物コアのポリマーマトリックス、またはそれらの両方は、生侵食性(bioerodible)であってもよい。デバイスは、薬物送達デバイスに分割される大きな塊として製作されてもよく、それはコーティングされていない状態で、薬物コアが各セグメントの全ての側面もしくは(スキンが用いられていれば)端部で暴露されていてもよく、または層、例えば薬物に透過性、薬物に半透過性、不透過性もしくは生侵食性の層でコーティングされていてもよい。
【0009】
ここに本願の発明を、添付の図面を参照してより詳細に記載するが、類似の参照番号は、同一または対応する要素を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薬物送達デバイスを共押出しするための器械を示す。
【図2】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図3】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図4】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図5】様々な押出し配合剤の放出速度を示す。
【図6】薬物送達デバイスのスキンを押出す器械を示す。
【図7】注射可能な薬物送達デバイスを製造する工程の流れ図である。
【図8】注射可能な薬物送達デバイスを示す。
【図9】注射可能な薬物送達システムを示す。
【図10】特定のデバイスの放出速度を示す。
【図11】デバイスからのFAの放出速度を示す。
【図12】デバイスと先行技術のデバイスとの放出速度の比較を示す。
【図13】先行技術のデバイスからの特定薬物の放出速度を示す。
【図14】先行技術のデバイスからの特定薬物の放出速度を示す。
【図15】先行技術のデバイスからの特定薬物の放出速度を示す。
【図16】対照群に対比させた、低用量の挿入物の処置効果を示す。
【図17】対照群に対比させた、低用量の挿入物の処置効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明の全体的な理解を提供するために、押出しを利用して製作される円筒断面を有する注射可能な持続放出性薬物送達デバイスのシステムおよび方法をはじめとする特定の例示的実施形態を、ここに記載する。しかし本明細書に記載されたシステムおよび方法が、複数の異なるデバイス、例えば様々な断面形状を有するデバイスまたは2つ以上の同心円状もしくは非同心円状に配列された異なる活性剤のコアを有するデバイスに有用に適用されうることは、理解されよう。更に、本明細書に記載された薬物のいずれかと外層との様々な組み合わせ、または本明細書に具体的に言及されていない他の薬物もしくは外層が、本開示の範囲内であり、本発明の注射可能な薬物送達デバイスにおいて有用に用いられうることは、理解されよう。更に他の実施形態において、本発明は、インサイチュ・ゲル化配合剤および他の送達デバイス、例えば液体懸濁物の使用を介して、注射可能な薬物の送達に容易に適合することができる。そのような実施形態は全て、本明細書に記載された発明の範囲に含まれるものとする。
【0012】
図1は、薬物送達デバイスを共押出しするための器械を示す。図1に図示された通り、システム100は、少なくとも1つの第一の押出し機104と、第二の押出し機106とを含み、その両方の押出し機が押出しの技術分野の当業者に周知の手法でダイヘッド108に連結されている、共押出し装置102を含んでいてもよい。ダイヘッド108は、出口ポート110を有し、押出し機104、106からの共押出しされた材料をそこから押出す。ダイヘッド108および/または出口ポート110が、押出された物質の断面形状を確定することができる。押出し機104、106として使用される適切な市販の押出し機は、Randcastle Model RCP−0250
Microtruder (Randcastle Extrusion Systems、ニュージャージー州シーダーグローブ)、それに関連するヒーター、制御装置、および関連のハードウエアを含む。例示的な押出し機は、例えば米国特許第5,569,429、同第5,518,672、および同第5,486,328にも開示されている。
【0013】
押出し機104、106は、公知の手法でダイヘッド108を通して材料を押出し、複合的な共押出し生成物112を形成させて、出口ポート110でダイヘッド108から出してもよい。各押出し機104、106は、ダイヘッド108を通して1種を超える材料を押出して、複合的な共押出し生成物112を形成させてもよい。システム100は、例えば隣接する、もしくは同心円状の薬物マトリックスまたは更なる外層を押出すために、2台を超える押出し機を有していてもよい。生成物112は、スキン114およびコア116を含んでいてもよい。本明細書により詳細に記載される通り、スキン114は、前述の‘972特許のデバイス中の薬物透過性の管112、212および/または312であってもよく(またはそれらの前駆物質であってもよく)、コア116は、‘972特許のデバイスのリザーバ114、214、および/または314であってもよい(またはそれらの前駆物質であってもよい)。
【0014】
一般に共押出し生成物112は、約30ゲージ針〜約12ゲージ針のサイズ範囲の針、または約0.0055インチ(約0.14mm)〜約0.0850インチ(約2.16mm)の内径範囲の針での使用に適した外径を有していてもよい。共押出し生成物112が、1つ以上の更なる層でコーティングされていてもよく、コーティングされたデバイスが特定の針サイズに対応する外径になるような、初期サイズにしてもよいことは、理解されよう。同じく、針サイズの範囲が例示に過ぎず、本明細書に記載されたシステムを用いて、先に具体的に引用された針よりも大きな、または小さな針で使用される注射可能なデバイスを製造してもよいことは、理解されよう。更に、本明細書で用いられる用語「注射可能なデバイス」が、先に記載された皮下注射針のサイズのみを用いて注射可能となるデバイスを厳密に指しているのではないことを、理解しなければならない。むしろその用語は、広範囲に解釈されるものとし、関節鏡、カテーテル、または他の医療装置を介して投与されるデバイスを含んでいてもよい。同様に用語「注射する」および「注射された」は、皮下注射針よりも広範囲の手段、例えば関節鏡、カテーテル、または他の医療装置による投与を含むことを意味する。特定の実施形態において、デバイスを、眼内または眼球周囲のいずれかの注射として、患者の目の付近へ注射してもよい。特定のそのような実施形態において、デバイスを硝子体内へ注射してもよい。
【0015】
押出し工程において、押出しパラメータ、例えば押出される材料の液体圧、流速、および温度を制御してもよい。ダイヘッド108および出口ポート110のサイズで生成物112を形成させるのに十分な圧力および流速で共押出しされた材料を送達する能力に関して、押出し機を選択してもよく、それが、分割の後で患者に注射することができる生成物を製造する。本明細書で用いられる用語「患者」は、ヒトまたはヒト以外の動物のいずれかを指す。以下により詳細に記載される通り、押出し機104、106を通して押出される材料の選択が、押出し工程に影響を及ぼす場合があり、押出し工程および全体的なシステム100の更なるパラメータに関係する場合がある。
【0016】
システム100は、押出し機104、106により押出された材料、および/または押出し生成物112の更なる加工を提供する追加的な加工装置を含んでいてもよい。限定ではなく例示として、システム100は、生成物112が通過するとそれを少なくとも部分的に硬化させる硬化ステーション118を更に含んでいてもよい。硬化ステーション118は、スキン114、コア116のいずれかまたはその両方を硬化させてもよく、押出し生成物112が硬化ステーション118を通過する時に押出し生成物112で連続して動作しても、または押出された材料の通過と同調的な間隔で動作してもよい。硬化ステーション118は、熱、紫外線、または生成物112中のポリマーを硬化させるのに適した幾つかの他のエネルギーを加えてもよい。対応する硬化性ポリマー、例えば熱硬化性ポリマーまたは放射線硬化性ポリマーを、スキン114および/またはコア116中で用いてもよいことは、理解されよう。一般に、硬化ステーション118により加えられるエネルギー量を制御することにより、硬化の度合いを制御してもよい。
【0017】
生成物112を一連のより短い生成物112Iに分割、またはその他に切断する分割ステーション120が、提供されてもよい。分割ステーション120は、押出し生成物112を硬化させる任意の適切な技術を用いてもよく、その技術は、生成物112を硬化させるか、硬化させないか、または部分硬化させるかに応じて、変動してもよい。例えば分割ステーション120は、ハサミ、せん断機、薄切刃、または他の任意の技術を用いてもよい。分割ステーション120により適用される技術は、生成物112の各切断部分に望ましい輪郭により変動してもよい。例えば拡散膜または他の機能的コーティングの付加のために開口端部が望ましい場合には、せん断作用が適する場合がある。しかし切断を行った後に各端部を密閉することが望ましい場合には、ハサミが用いられてもよい。短い生成物112Iの各端部または異なる群ごとに異なる切断が望ましい場合には、複数の切断器具が提供されてもよい。
【0018】
共押出しデバイス102と共に使用して、それぞれスキン114およびコア116を形成させる適切な材料122、124は、数多く存在する。これに関連して、‘972特許には、注射可能な薬物送達デバイスでより専門的に用いられうる移植可能な薬物送達デバイスを形成させるための複数の適切な材料が記載されている。好ましくは材料122、124として用いられる材料は、それらを特定する特徴に負の影響を及ぼさずにシステム110を通して押出される能力に関して選択される。例えば、コア116内の薬物に不透過性の材料の場合、押出しデバイスを通して加工された時に不透過性になる、または依然として不透過性である材料が、選択される。同様に、薬物送達デバイスが完全に構成された時に患者の生体組織と接触するようになる材料では、生体適合性材料を選択してもよい。材料122、124として使用される適切なポリマーとしては、非限定的に、ポリカプロラクトン(PCL)、エチレン・酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタン、ナイロン、またはそれらの共重合体が挙げられる。乳酸モノマーを含むポリマーでは、乳酸は、D−異性体、L−異性体、またはD−異性体とL−異性体との任意の混合物であってもよい。
【0019】
ポリマーに加えて、PEGなどの非水性溶媒が、コア116を調製する際の材料122,124として有用に用いられてもよい。例えば、コア116中で用いられるポリマーを溶解して、コア116の相変化を起こす、または押出し(例えば、より大きな作業温度範囲を提供することによる)もしくは生成物112の他の加工を容易にする非水性溶媒が、有用に用いられてもよい。
【0020】
押出し機104に供給される材料124の選択により特定の押出しパラメータを指示または示唆して、内部の薬物コア116を形成させてもよい。当業者には容易に理解されるであろうが、押出し装置は、典型的には1つ以上のヒーターおよび1つ以上のねじまわし(screw drives)、プランジャ、または他の圧力発生装置を含む。押出される材料の温度、液体圧、またはその両方を上昇させることが、押出し機の目的であってもよい。これは、押出し機104により加工されて押出される材料中に薬学的活性剤が含まれる場合には、問題となる可能性がある。活性剤が、加熱され、そして/または有効性に負の影響を及ぼす高圧に暴露される場合がある。薬物自体がポリマーマトリックス中に保持されている場合にはこの問題は一層厄介になる可能性があり、そのためポリマー材料が押出し機104内で薬剤と混合され、加熱および/または加圧される。注射の際に、生成物112のコア116中の薬物の活性が所望の効果をもたらすのに十分となるように、材料124を選択してもよい。更に、押出されたコア116中の薬物を形成させるために薬物をポリマーと混和させる時に、薬物がマトリックスにより不安定化されないように、マトリックスを形成させるポリマー材料を有利に選択してもよい。マトリックスを介した拡散がマトリックスからの薬物の放出速度にほとんど、または全く影響を有さないように、マトリックス材料を選択してもよい。同じく、マトリックス中で用いられる薬物の粒径を、薬物の解離に対して制御的影響を有するように選択してもよい。
【0021】
生成物112へ共押出しされる材料122、124を、薬物送達デバイスの放出期間に安定であるように選択してもよい。任意に、薬物送達デバイスが所定の時間、薬物を放出した後、薬物送達デバイスがそのままの位置で侵食されるように、即ち生侵食性になるように、材料を選択してもよい。同じく、送達デバイスの所望の寿命の間、材料が安定であり、顕著に侵食されないように、そして材料の孔径が変化しないように、材料を選択してもよい。任意に、材料122、124のいずれかまたは両方を、任意の活性剤の放出速度を制御する、またはその制御に寄与する速度で生侵食性になるように、選択してもよい。他の材料、例えばデバイスの幾つかまたは全てへの追加のコーティングを、生侵食性に関して同様に選択してもよいことは、理解されよう。
【0022】
つまり1つの点で、注射可能な薬物送達デバイスを製作するための共押出し工程で用いられる材料を選択する工程が、本明細書で記載される。一般に材料122,124の材料選択工程は、以下の通り進めてもよい:(1)1種以上の薬物を選択する;(2)押出される材料または材料分類を選択する;(3)材料または材料分類からの選択された薬物の放出速度に影響を及ぼすかどうか、または影響を及ぼす方法を確認するために、材料または材料分類を評価する;(4)材料または材料分類の安定性および物理化学的性質を評価する;(5)材料または材料分類のマトリックス内での薬物の安定性を評価する;そして(6)選択された薬物と共にマトリックスに形成される時に、材料または材料分類が生体分子(例えばタンパク質性材料)によるマトリックスへの移入および薬物との相互作用を防御するかどうかを確認するために、材料または材料分類を評価する。つまり内部材料には少なくとも2つの機能、つまりコアの共押出しまたは押出しを可能にすること;およびコア中での薬物の侵食または分解を阻害または予防すること、がある。そのシステムの利点は、送達デバイスからの薬物の、異なる環境、例えば異なる組織タイプまたは異なる疾患条件への放出速度の間の差を制御しうることである。
【0023】
材料122、124は、1種または複数の薬学的に活性の薬物、マトリックス形成ポリマー、任意の生体材料、例えば脂質(長鎖脂肪酸など)およびロウ、抗酸化剤、ならびに幾つかの例では放出調整剤(release modifier)(例えば、水または界面活性剤)を含んでいてもよい。これらの材料は、生体適合性であってもよく、押出し工程の間に依然として安定性であってもよい。活性薬物とポリマーとのブレンドは、加工条件下で押出し可能でなければならない。用いられるマトリックス形成ポリマーまたは任意の生体材料が、十分な量の1種または複数の活性薬物を輸送して、治療上効果的な作用を所望の期間にもたらすことができてもよい。薬物担体として用いられる材料が、医薬の活性に対して有害作用を有さない、または有意な有害作用を有さないことも、好ましい。
【0024】
スキン114およびコア116中で用いられるポリマー、またはスキン114および/もしくはコア116に付加されるコーティングを、コア116中の1種以上の薬物への透過性に関して選択してもよい。透過性は、必然的に相対的用語である。本明細書で用いられる用語「透過性」は、他に示されている場合(例えば、膜が、デバイスを送達する環境の生体液に透過性である場合)を除き、典型的にはデバイスが送達する薬物である物質に、透過性または実質的に透過性であることを意味するものとする。本明細書で用いられる用語「不透過性」は、他に示されている場合(例えば、膜が、デバイスを送達する環境の生体液に不透過性である場合)を除き、典型的にはデバイスが送達する薬物である物質に、不透過性または実質的に不透過性であることを意味するものとする。用語「半透過性」は、幾つかの物質に選択的に透過性であり、他には透過性でないことを意味するものとする。特定の例において、膜が薬物に透過性であってもよく、薬物が拡散する速度、またはその他に膜を通過する速度を実質的に制御しうることは、理解されよう。結論として、透過性膜は、放出速度を制限する膜または放出速度を制御する膜であってもよく、特定の環境において、そのような膜の透過性は、デバイスの放出速度を制御する最も重要な特徴の1つとなりうる。つまりデバイスの一部が透過性膜によりコーティングされていて、デバイスの残り部分が不透過性コーティングにより覆われている場合には、一部の薬物が不透過性コーティングを通過しえたとしても、薬物が主に透過性コーティングのみでコーティングされたデバイスの一部から放出されることが企図される。
【0025】
活性薬物担体からの薬物の放出速度が、薬物担体の物理化学的性質ではなく、薬物自体のその性質によって決定されるように、活性薬物担体として用いられるポリマーまたは他の生体材料を選択してもよい。活性薬物担体を、放出調整剤となるように選択してもよく、または放出調整剤を添加して、放出速度を適合させてもよい。例えば、クエン酸および酒石酸などの有機酸を用いて、放出媒体を通した弱塩基性薬物の拡散を促進してもよく、トリエタノールアミンなどのアミンの添加により弱酸性薬物の拡散を促進してもよい。酸性または塩基性pH値を有するポリマーを用いて、活性薬の放出速度を促進または低減してもよい。例えばPLGAは、加水分解後に酸性pH値を有するため、マトリックス中に酸性の微細環境を提供することができる。疎水性薬物の場合、親水性剤を含有させて放出速度を上昇させてもよい。
【0026】
コア116の性質を変化させるために、コア116を形成する材料中で界面活性剤を用いてもよい。適切な化合物を幾つかの様式でマトリックスに組み込むことにより、コア116中の任意のポリマーマトリックスの電荷、親油性または親水性を改変させてもよい。例えば界面活性剤を用いて、難溶性または疎水性組成物の湿潤性を高めてもよい。適切な界面活性剤の例としては、デキストラン、ポリソルビン酸塩およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。より一般的には、界面活性剤の性質および使用は周知であり、本発明の特定の薬物送達の適用例において、コア116中に有利に組み込まれてもよい。
【0027】
共押出しの加工パラメータを、ここにより詳細に議論する。
【0028】
温度:加工温度(押出し温度)は、活性薬物、ポリマーおよび放出調整剤(存在する場合)の分解温度未満でなければならない。マトリックス形成ポリマーが十分量の活性薬物を保持して所望の薬物装填を実現することができるように、その温度を維持してもよい。例えば薬物−ポリマー・ブレンドが100℃で押出される場合には、PLGAはフルオシノロンアセトニド(FA)を55%まで輸送することができるが、120℃では65%までできる。薬物−ポリマー・ブレンドは、加工温度で良好な流動性を示して最終生成物の均質性を確保し、所望の延伸比を実現しなければならず、それにより最終的な生成物のサイズを良好に制御することができる。
【0029】
スクリュー速度:所定の量のポリマー性スキン114を対応する量の薬物コア116材料と共押出しして、ポリマー性スキン114の所望の厚さを実現する速度に、共押出しシステム中の2つの押出し機のスクリュー速度を設定してもよい。例えば、押出し機104および106が同じスクリューサイズを有することが前提ならば、押出し機106を押出し機104よりも9倍遅い速度で運転することにより、10重量%のPCLスキン114および90重量%のFA/PCL薬物コア116を生成することができる。適切な速度に調整により、異なるスクリューサイズを用いてもよい。
【0030】
ポリマーを溶媒に溶解し、この溶液を薬物または他の化合物と混和して、この混和物を必要に応じて加工して押出し可能なペーストを提供することにより、薬物または他の化合物をポリマーと混和することができる。当業者によく認知された無溶媒溶融造粒をはじめとする溶融造粒技術を用いて、薬物およびポリマーを押出し可能なペーストに組み込んでもよい。
【0031】
図2〜5は、様々な押出し配合剤の放出速度を示す。共押出しされたポリマー性スキンを有さないFA/PCL(例えば75/25)またはFA/PLGA(例えば60/40)コアマトリックスからのFAの放出速度は両者とも、二相放出パターン、つまりバースト放出相および徐放相を示した(図2および3参照)。バースト放出相は、PCLマトリックス中のFAレベル(装填)が70%から60%または40%へ低下すると、あまり顕著でなくなった(図2と図3〜5との比較)。図3および4に示されたデータの再検討により、共押出し調製物(ポリマーマトリックス中の薬物がPLGAスキンを有する)のほぼゼロ程度の放出に達する時間が、PLGAスキンコーティングを有さない調製物よりもかなり短かかったことが明らかである。スキンコーティングとしてPLGAを有する共押出しFA/ポリマーコアマトリックスは、図4および5で実証された通りバースト効果を有意に最小化することができる。
【0032】
分割された薬物送達デバイスは、一端が開口されたまま、薬物コアが暴露された状態であってもよい。薬物がデバイスから放出される機会を得る前に、酵素、タンパク質、および他の材料が薬物コアを通過して薬物が溶解するのを、薬物コアのマトリックス材料が阻害または予防するように、生成物112の薬物コア116を形成させるために共押出しされる材料124に加えて、共押出しの熱および圧力、ならびに硬化ステーション118を選択してもよい。コアが空になれば、マトリックスが弱化して、破壊されてもよい。その後、スキン114は外部または内部の両方から水および酵素作用による分解にさらされるであろう。より高い溶解度を有する薬物を結合させて、以下に更に議論される通り、米国特許第6,051,576に記載された技術を用いて、低溶解度の共役体を形成させてもよく、あるいは薬物を互いに結合させて、マトリックス中に残留されるのに十分大きな分子を形成させてもよい。
【0033】
スキン114を形成する材料122は、非熱源による硬化性であるように選択してもよい。先に記載された通り、幾つかの薬物は、高温により負の影響を受ける場合がある。つまり該システムの一態様は、加熱以外の方法、例えば非限定的に触媒、放射線および蒸発により硬化しうる材料の選択および押出しに関する。限定ではなく例示として、例えば可視または近可視範囲の、例えば紫外または青色波長の、電磁(EM)放射線により硬化しうる材料を、用いても、または材料122中に含有させてもよい。この例において、生成物112は硬化ステーション118を通って給送されるため、硬化ステーション118が、材料を硬化させるEM放射線の対応する1つ以上の供給源、例えば強力な光源、調整されたレーザなどを含んでいてもよい。限定ではなく例示として、硬化可能なアクリル系接着剤を、材料122として用いてもよい。
【0034】
他のパラメータ、例えばコアマトリックスのpHで、注射可能な薬物送達デバイスの薬物コア116からの薬物の放出速度に影響を及ぼしてもよい。薬物コアの材料124が、pH緩衝剤などを含むことでマトリックス中のpHを調整し、最終生成物112中の薬物放出速度を更に適合させてもよい。例えばクエン酸、酒石酸およびコハク酸などの有機酸を用いて、マトリックス中で酸性の微細環境pHを生成してもよい。一定した低pH値により、薬物の解離の際に生成される細孔を通した弱塩基性薬物の拡散を促進してもよい。弱酸性薬物の場合には、トリエタノールアミンなどのアミンを用いて、薬物放出速度を促進してもよい。ポリマーをpH依存性放出調整剤として用いてもよい。例えばPLGAは、加水分解後には酸性pH値を有するため、マトリックス中に酸性微細環境を提供することができる。
【0035】
1種を超える薬物を材料124中に、従って生成物112のコア116中に含有させてもよい。薬物は、同一または異なる放出速度を有していてもよい。例として、5−フルオロウラシル(5−FU)は、高度の水溶性であり、薬物の制御放出を持続することが困難である。その一方でトリアムシノロンアセトニド(TA)などのステロイドは、かなり親油性であり、より徐放性のプロファイルを提供することができる。5−FUとTAとの混合物がペレットを形成させれば(圧縮または共押出しにより)、ペレットは5日間にわたり5−FUの制御放出を提供して、直後の短期間の医薬作用を与えるが、同時にTAの制御放出をかなり長期間提供する。従って5−FUとTAとの混合物、ならびに/またはそのコドラッグもしくはプロドラッグを、単独で、または他の薬物および/もしくはポリマー成分と一緒に押出して、コア116を形成させてもよい。
【0036】
先に例示された実施形態に加えて、複数のデバイスおよび配合剤のいずれを本明細書に記載されたシステムでの使用に採用してもよいことは、当業者には理解されよう。コアは、生体適合性の固体(例えば、生侵食性ポリマー)と混和された生体適合性の液体または油、および活性剤を含んでいてもよい。特定の実施形態において、内部のコアを、ゲルとして送達させてもよいが、別の特定の実施形態において、水または生理的液体との接触時にゲルに変換される微粒子または液体として送達させてもよい。
【0037】
このタイプのシステムの例は、2003年9月11日出願の米国特許仮出願第60/501,947に記載されている。‘947出願では、注射時に相転移を受けてそのままの位置でゲル送達ビヒクルに変換される注射可能な液体の送達も提供されている。そのような液体を、本明細書に記載された注射可能なデバイスと共に用いてもよい
【0038】
薬物物質、生体適合性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ならびに生体適合性および生侵食性ポリマーを含む、注射可能なインサイチュ・ゲル化組成物を、本明細書に記載されたシステムと共に用いてもよい。この配合剤の特定の実施形態、例えばPEGに溶解、分散または懸濁される固体薬物粒子の注射用に提供されるもの、およびポリマー性薬物含有ゲルを患者に注射することが可能な実施形態が、特に適切となる可能性がある。注射可能なインサイチュ・ゲル化組成物の例を、2003年6月16日出願の米国特許仮出願第60/482,677に見出すことができる。
【0039】
本明細書で用いられる用語「薬物」は、ホ乳類に投与されると局所または全身の生理学的または薬理学的効果を提供する全ての薬剤、例えば非限定的に以下の記載で言及される任意の特定薬物、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態を包含するものとする。特定の実施形態において、薬物は、100amu未満の分子量を有する小分子である。例えば薬物は、約750amu、500amu、450amu、400amu、350amu、または約300amu以下の分子量を有する小分子であってもよい。
【0040】
多くの異なる薬物を、本明細書に記載されたデバイスに組み込んでもよい。例えば適切な薬物としては、ステロイド、α受容体アゴニスト、β受容体アンタゴニスト、炭酸脱水酵素阻害剤、アドレナリン作動薬、生理学的活性ペプチドおよび/またはタンパク質、抗悪性腫瘍剤、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症剤、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗潰瘍剤、抗アレルギー薬、強心剤、抗不整脈薬、血管弛緩剤、抗高血圧薬、抗糖尿病薬、抗高脂質薬、抗凝固剤、溶血剤、抗結核薬、ホルモン、麻薬拮抗薬、骨破壊抑制剤、骨形成促進剤、血管新生抑制剤、抗菌剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、グルココルチコイドまたは他の抗炎症性コルチコステロイド、アルカロイド鎮痛剤、例えばオピオイド鎮痛剤、抗ウイルス薬、例えばヌクレオシド抗ウイルス薬または非ヌクレオシド抗ウイルス薬、抗良性前立腺肥大(BPH)薬、抗真菌化合物、抗増殖性化合物、抗緑内障化合物、免疫調整化合物、細胞輸送/運動性阻害剤、サイトカインペグ化剤、α−ブロッカー、抗アンドロゲン、抗コリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔、バニロイド、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、代謝拮抗薬、神経保護物質、カルシウムチャネルブロッカー、γ−アミノ酪酸(GABA)アンタゴニスト、α−アゴニスト、抗精神薬、チロシンキナーゼ阻害剤、ヌクレオシド化合物、およびヌクレオチド化合物、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0041】
適切なNSAIDとしては、ジクロフェナク、エトルドラク、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、モラゾン、ナプロキセン、ペリソキサル、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、スクシブゾン、トロペシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジロートン、およびゾメピラック、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0042】
適切な炭酸脱水酵素阻害剤としては、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、エトキシゾラミド、およびドルゾラミド、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0043】
適切なアドレナリン作動薬としては、ブリモニジン、アプラクロニジン、ブナゾシン、レボベタキソロール、レボブナロール、カルテオロール、イソプレナリン、フェノテロール、メチプラノロール、およびクレンブテロール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0044】
適切なα−受容体アゴニストとしては、ブリモニジン、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0045】
適切なβ−受容体アンタゴニストとしては、ベタキソロールおよびチモロール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0046】
適切な抗ウイルス薬としては、ネビラピン、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0047】
適切なアルカロイド鎮痛剤としては、デスモルフィン、デゾシン、ジヒドロモルフィン、エプタゾシン、エチルモルフィン、グラフェニン、ヒドロモルフォン、イソラドール、ケトベニドン、p−ラクトフェチド、レボルファノール、モプタジノール、メタゾシン、メトポン、モルフィン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ノルレボルファノール、ノルモルフィン、オクスモルフォン、ペンタゾシン、フェンペリジン、フェニルラミドール、トラマドール、およびビミノール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0048】
適切なグルココルチコイドとしては、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、酢酸アナコルタブ、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフフラザコルト、デゾニド、デゾキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロナセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルタマート、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、パラメタゾン、プレドニゾロン、21−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、酢酸フルプレドニデン、ホルモコルタル、エタボン酸ロテプレドノール、メドリゾン、フロ酸モメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、25−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、およびトリアムシノロンヘキサアセトニド、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0049】
他の適切なステロイドとしては、ハルシノニド、プロピオン酸ハルベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、イソフルプレドン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、リメキソロン、およびチキソコルトール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0050】
適切なBPH薬としては、フィナステリドおよびオサテロン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0051】
適切な抗悪性腫瘍化合物としては、アリトレチノイン(9−シス−レチノイン酸);ブレオマイシンAをはじめとするブレオマイシン;カペシタビン(5’−デオキシ−5−フルオロ−シチジン);カルビシン;クロロゾトシン;クロモマイシンA3をはじめとするクロモマイシン;クラドリビン;コルヒチン;シタラビン;ダウノルビシン;デメコルチン;デノプテリン;ドセタキセル;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロモスタノロン;エダトレキサート;エノシタビン;エピルビシン;エピチオスタノール;エストラムスチン;エトポシド;フロクスウリジン;フルタラビン;5−フルオロウラシル;フォルメスタン;ゲムシタビン;イリノテカン;レンチナン;ロニダミン;メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メトトレキサート;ミトラクトール;ノガラマイシン;ノルジヒドログアイアレチン酸;オリボマイシンAなどのオリボマイシン;パクリタキセル;ペントスタチン;ピラルビシン;プリカマイシン;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;ピューロマイシン;ラニムスチン;リストセチンAなどのリストセチン;テモゾラミド;テニポシド;トムデクス;トポテカン;ツベルシジン、ウベニマクス、バルルビシン(N−トリフルオロアセチルアドリアマイシン−14−吉草酸塩);ビノレルビン;ビンブラスチン;ビンデシン;ビノレルビン;およびゾルビシン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0052】
適切な抗菌性化合物としては、カプレオマイシンIA、カプレオマイシンIB、カプレオマイシンIIAおよびカプレオマイシンIIBをはじめとするカプレオマイシン、カルボマイシンAをはじめとするカルボマイシン、カルモナム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン;セファゼドン;セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペンピボキシル、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフィム、セフタメト、セフメノキシム、セフメトゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピローム、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファレキシン、セファロギシン、セファロリジン、セファロスポリンC、セファロチン、セファピリン、セファマイシンCなどのセファマイシン、セフラジン、クロルテトラサイクリン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロメトシリン、クロモサイクリン、クロキサシリン、シクラシリン、ダノフロキサシン、デメクロサイクリン、デストマイシンA、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エピシリン、エリストマイシンA、エタンブトール、フェンベニシリン、フロモキセフ、フロルフェニコール、フロキサシリン、フルメキン、フォルチミシンA、フォルミチンB、フォルフォマイシン、フォラルタドン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グリコニアジド、グアメサイクリン、ヘタシリン、イダルビシン、イミペネム、イセパミシン、ジョサマイシン、カナマイシン、ロイマイシンA1などのロイマイシン、リンコマイシン、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、リメサイクリン、メロペナム、メタムピシリン、メタサイクリン、メチシリン、メズロシリン、ミクロナオミシン、ミデカマイシンA1などのミデカマイシン、ミカマイシン、ミノサイクリン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、モキサラクタム、ムピロシン、ナフシリン、ネチリシン、ノルカルディアンAなどのノルカルデォアン、オレアンドマイシン、オキシテトラサイクリン、パニペナム、パズフロキサシン、ペナメシリン、ペニシリンG、ペニシリンNおよびペニシリンOなどのペニシリン、ペニル酸、ペンチルペニシリン、ペプロマイシン、フェネチシリン、ピパサイクリン、ピペラシリン、ピルリマイシン、ピバムピシリン、ピブセファレキシン、ポルフィロマイシン、プロピアリン(propiallin)、キナシリン、リボスタマイシン、リファブチン、リファミド、リファンピン、リファマイシンSV、リファペンチン、リファキシミン、リチペネム、レキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラミシン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、シゾミシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、ストレプトゾシン、スルベニシン、スルタミシリン、タランピシリン、テイコプラニン、テモシリン、テトラサイクリン、ソストレプトン、チアムリン、チカルシリン、チゲノナム、チルミコシン、トブラマイシン、トロポスペクトロマイシン(tropospectromycin)、トロバフロキサシン、タイロシンおよびバンコマイシン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0053】
抗増殖/抗有糸分裂薬およびプロドラッグとしては、天然生成物、例えばビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、パクリタキセル、エピポドロフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ);抗血小板プロドラッグ;抗増殖/抗有糸分裂アルキル化プロドラッグ、例えばナイトロフェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホン酸−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トリアゼン、ダカルバジン(DTIC);抗増殖性/抗有糸分裂性の代謝拮抗薬、例えば葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン、およびシタラビン)、プリン類似体および関連の阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲスチン);抗凝固剤(例えば、へパリン、合成へパリン塩および他のトロンビン阻害剤);線維素溶解プロドラッグ、例えば組織プラスミノーゲンアクチベータ、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレフェルジン);抗炎症剤、例えばコルチコステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、フルシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、およびデキサメタゾン)、NSAID(サリチル酸および誘導体、アスピリン、アセトアミノフェン、インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダクおよびエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェンおよび誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸およびメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン、金化合物(アウラノフィン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、およびミコフェノレートモフェチル);血管新生剤、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF);アンギオテンシン受容体ブロッカー;一酸化窒素供給物質;アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその組み合わせ;細胞周囲阻害剤、mTOR阻害剤、成長因子シグナル変換キナーゼ阻害剤、新血管形成阻害剤、血管新生阻害剤、およびアポトーシス阻害剤、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態が挙げられる。
【0054】
本明細書に記載されたシステムは、抗ウイルス薬の投与において有用に用いてもよい。つまり一態様において、処置を必要とする患者に抗ウイルス薬を含む持続放出性薬物送達デバイスを注射して、前記薬剤の用量を少なくとも7日間放出させることを含む、レトロウイルスまたはレンチウイルス感染のリスクを処置または低減する方法が、本明細書において開示される。該システムの別の態様は、処置を必要とする患者に抗ウイルス薬を含む持続放出性薬物送達デバイスを注射し、前記薬剤の放出で血漿中の前記薬剤の所望の濃度が少なくとも7日間保持されることを含む、レトロウイルスまたはレンチウイルス感染のリスクを処置または低減する方法を提供する。
【0055】
特定の実施形態において、該システムは、ウイルス感染の母子伝播のリスクを低減する。ウイルス感染の例としては、HIV、ボーエノイド丘疹症、水痘、小児HIV感染症、ヒト牛痘、C型肝炎、デング熱、エンテロウイルス、いぼ状表皮異形成、伝染性紅斑(第五病)、BuschkeおよびLowensteinの巨大尖圭コンジローム、手足口病、単純ヘルペス、ヘルペス6型ウイルス、帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症、麻疹、搾乳者結節、みずいぼ、サル痘、Orf、小児バラ疹、風疹、天然痘、ウイルス性出血熱、性器ゆうぜい、および非性器ゆうぜいが挙げられる。
【0056】
幾つかの実施形態において、抗ウイルス薬は、アジドウリジン、アナスマイシン(anasmycin)、アマンタジン、ブロモビニルデオキシウリジン、クロロビニルデオキシウリジン、シタラビン、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレオシド、デシクロビル、デオキシアシクロビル、イドクスウリジン、エンビロキシム、フィアシタビン、フォスカルネット、フィアルリジン(fialuridine)、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ヒペリシン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオン酸塩、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタビルジン、サルグラモスチン、スラミン、トリコサンチン、トリブロモチミジン、トリクロロチミジン、ビダラビン、ジドブジン、ザルシタビン、および3−アジド−3−デオキシチミジンより選択される。特定の実施形態において、抗ウイルス薬は、ネビラピン、デラビルジン、およびエファビレンツより選択される。好ましい実施形態において、抗ウイルス薬は、ネビラピンである。
【0057】
別の実施形態において、抗ウイルス薬は、2’,3’−ジデオキシアデノシン(ddA)、2’,3’−ジデオキシグアノシン(ddG)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、2’,3’−ジデオキシチミジン(ddT)、2’,3’−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)、2’−デオキシ−3’−チアシトシン(3TCまたはラミブジン)、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロイノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロチミジン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロシトシン、2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロチミジン(Fd4T)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロイノシン(F−ddl)、および2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロシトシン(F−ddC)より選択される。
【0058】
幾つかの実施形態において、抗ウイルス薬は、ホスホノギ酸三ナトリウム、ガンシクロビル、トリフルオロチミジン、アシクロビル、3’−アジド−3’−チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)、イドクスウリジンより選択される。
【0059】
例示的な抗ウイルス薬としては、アシクロビル、アジドウリジン、アナスマイシン、アマンタジン、ブロモビニルデオキシウリジン、クロロビニルデオキシウリジン、シタラビン、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレオシド、デスシクロビル、デオキシアシクロビル、イドクスウリジン、エンビロキシム、フィアシタビン、フォスカルネット、フィアルリジン、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ガンシクロビル、ヒペリシン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオン酸塩、イドクスウリジン、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタビルジン、サルグラモスチン、スラミン、トリコサンチン、トリフルオロチミジン、トリブロモチミジン、トリクロロチミジン、ホスホノギ酸三ナトリウム、ビダラビン、ジドブジン、ザルシタビン、および3−アジド−3−デオキシチミジンからなる群より選択される。
【0060】
特定の実施形態において、抗ウイルス薬は、HIV感染またはHIV感染への易感染性を阻害または低減するものである。非ヌクレオシド類似体が好ましく、それは、2、3例示すと、例えばネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンツなどの化合物が挙げられる。しかし、それほど好ましくはないが、ヌクレオシド誘導体、例えば3’−アジド−3’−チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’−ジデオキシアデノシン(ddA)、2’,3’−ジデオキシグアノシン(ddG)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、2’,3’−ジデオキシチミジン(ddT)、2’,3’−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)および2’−デオキシ−3’−チアシトシン(3TCまたはラミブジン)などの化合物を用いることもできる。ハロゲン化ヌクレオシド誘導体、例えば2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロヌクレオシド、例えば2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロイノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロチミジン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロシトシン、および2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロヌクレオシド、例えば非限定的に2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロチミジン(Fd4T)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロイノシン(F−ddl)、および2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロシトシン(F−ddC)を用いることもできる。
【0061】
本明細書に記載されたデバイスに組み込まれうる更なる薬剤としては、緑内障の処置に適した薬剤が挙げられる。本明細書に記載されたデバイスに組み込まれうる緑内障の処置の適切な薬剤としては、α−アゴニスト、例えばアプラクロニジン、ブリモニジンなど、β−ブロッカー、例えばチモロール、ベタキソール、アテノロール、レボブノロール、メチプラノロールなど、炭酸脱水酵素阻害剤、例えばブリンゾラミド、ドルゾラミド、アセタゾラミドなど、コリン作動薬、例えばピロカルピン、カルバコールなど、またはプロスタグランジンもしくはプロスタグランジン類似体、例えばビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロストなどが挙げられる。特定の実施形態において、緑内障の処置に適した薬剤は、プロスタグランジンおよびプロスタグランジン類似体である。特定の実施形態において、ラタノプロストを、本明細書に記載されたデバイスに組み込んでもよい。
【0062】
特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、黄斑浮腫の処置、例えば糖尿病性黄斑浮腫に用いてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、加齢黄斑変性の処置、例えば滲出型加齢黄斑変性の処置に用いてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスは、緑内障の処置に用いてもよい。
【0063】
特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、眼内圧(IOP)の上昇の処置または予防に用いてもよい。特定のそのような実施形態において、眼内圧の増大は、コルチコステロイドまたはグルココルチコイド活性を有する他の化合物などの治療薬により誘発される不適当な副作用となる場合がある。コルチコステロイドは、IOP増大を誘発しうるため、特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを、目の疾患または状態を処置するためのコルチコステロイドの使用と併せて用いてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスを用いて、コルチコステロイドまたはグルココルチコイド活性を有する他の化合物などの治療薬を投与することにより、前記治療の通常の治療的利益を実現し、IOP上昇の抑制など副作用を抑制してもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスは(例えば、本明細書に開示された方法において用いられる場合)、処置された患者集団の25%未満、例えば、処置された患者集団の22%、20%、18%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満において、IOP上昇を誘発する。特定のそのような実施形態において、本明細書に開示されたデバイスにより誘発されたIOP上昇は(例えば、本明細書に開示された方法において用いられる場合)、対照と比較して統計学的に有意ではない。
【0064】
正常な眼圧は、約10〜約21mmHgの範囲内である。従って本明細書で用いられる用語「IOPの上昇」または「IOPの増大」は、約21mmHgを超える、または約24mmHgを超える眼圧を指す。特定の実施形態において、IOPの増大は、約30mmHgを超える眼圧を指す。
【0065】
特定の実施形態において、本明細書に開示されたデバイスおよび/または方法は、過剰な中心窩厚の処置または予防に用いてもよい。中心窩は、黄斑の中心点であり、つまり過剰な中心窩厚は、黄斑の中心点の腫脹を測定することにより決定される。特定の実施形態において、そのような測定は、光干渉断層法により得てもよい。
【0066】
本明細書において用いられる用語「過剰な中心窩厚」は、約180ミクロンを超える中心窩厚を指す。
【0067】
特定の実施形態において、本発明は、適切な治療薬(例えば、本明細書に記載された任意の適切な薬剤)を、約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で投与することを含む、目の疾患または障害を処置または予防する方法を提供する。特定の他の実施形態において、本発明は、適切な治療薬(例えば、本明細書に記載された任意の適切な薬剤)を、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で投与することを含む、目の障害を処置または予防する方法を提供する。特定のそのような実施形態において、該治療薬は、少なくとも1ヶ月、または少なくとも2ヶ月、または少なくとも6ヶ月、または少なくとも12ヶ月、または少なくとも18ヶ月、または少なくとも24ヶ月、または少なくとも30ヶ月、または少なくとも36ヶ月の期間にわたり、本明細書に開示された速度で、一定して投与される。前述の特定の実施形態において、目の疾患または障害は、黄斑浮腫、例えば糖尿病性黄斑浮腫、加齢黄斑変性、例えば滲出性加齢黄斑変性、緑内障、眼内圧の上昇、または過剰な中心窩厚である。
【0068】
そのような化合物の任意の薬学的に許容しうる形態、即ちその遊離塩基または薬学的に許容しうる塩もしくはエステルを、本発明の実践に用いてもよい。例えば薬学的に許容しうる塩としては、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩などが挙げられる。
【0069】
本明細書で用いられる語句「薬学的に許容しうる担体」は、表題のアンタゴニストを1つの臓器または身体の一部から、他の臓器または身体の一部へ輸送または運搬することに関与する薬学的に許容しうる材料、組成物またはビヒクル、例えば液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または封入剤を意味する。各担体は、配合剤の他の成分と適合性があり、患者を損傷しないという意味で「許容」しえなければならない。薬学的に許容しうる担体として作用しうる材料の幾つかの例としては、(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチおよびジャガイモでんぷん;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤用ワックス;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;ならびに(16)医薬配合剤中で用いられる他の非毒性で適合性のある物質、が挙げられる。
【0070】
本明細書で用いられる用語「予防する」、「予防」および「予防すること」は、当該技術分野で認識されており、状態、例えば局所的再発(例えば、疼痛)に関連して用いられる場合、疾患、複合性症候群または任意の他の医学的状態は、当該技術分野で十分に理解されており、組成物を投与されていない対象に比較して、対象の医学的状態の症状の頻度を低減する、またはその発症を遅延させる組成物の投与を含む。つまり、癌の予防としては、例えば統計学的および/または臨床的に有意な量で、例えば、非処置対照の集団に比較して、予防的処置を受けた患者の集団において検出可能な癌性成長の数を低減すること、および/または非処置対照集団に対比して、処置集団において検出可能な癌性成長の出現を遅延させること、が挙げられる。感染の予防としては、例えば、非処置対照集団に対比して、処置集団において感染の診断数を低減すること、および/または非処置対照集団に対比して、処置集団において感染の症状の発症を遅延させること、が挙げられる。疼痛の予防としては、例えば、非処置対照集団に対比して、処置集団の対象が経験する疼痛の規模を低減すること、あるいは疼痛の感覚を遅延させること、が挙げられる。
【0071】
本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、状態の症状、臨床徴候、および潜在する病理を、対象の状態を改善または安定化させる手法で回復、低減、または停止させることを含む。
【0072】
コドラッグまたはプロドラッグを用いて、持続的手法で薬物を送達させてもよい。特定の実施形態において、コドラッグおよびプロドラッグは、先に記載された薬物送達デバイスのコア116またはスキン114中での使用に適合させてもよい。コドラッグおよびプロドラッグを用いた持続放出システムの例を、米国特許第6,051,576に見出してもよい。この参考資料は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。他の実施形態において、コドラッグおよびプロドラッグは、ゲル化、懸濁、および本明細書に記載された他の実施形態により含まれてもよい。
【0073】
本明細書で用いられる用語「コドラッグ」は、少なくとも1つの他の構成部分に化学的に結合した第一の構成部分を意味し、その他の構成部分は第一の構成部分と同一または異なっている。各構成部分は、共役の前は、同じ部分の薬学的活性形態またはそのコドラッグとして認識されている。構成部分は、可逆的な共有結合、例えばエステル、アミド、カルバマート、カルボナート、環状ケタール、チオエステル、チオアミド、チオカルバマート、チオカルボナート、キサンタート、およびリン酸エステル結合を介して互いに結合していることで、体内の必要な部位でそれらが切断されて薬物化合物の活性形態を再生させていてもよい。
【0074】
本明細書で用いられる用語「構成部分」は、本明細書に記載された本発明によるコドラッグを形成させるように結合された2つ以上の薬学的活性部分のうちの一方を意味する。本発明による幾つかの実施形態において、同じ構成部分の2つの分子が一緒になって、二量体を形成している(対称な平面を有していても、または有していなくてもよい)。その部分の遊離した非共役形態を参照する文脈において、用語「構成部分」は、他の薬学的活性部分と混和させてコドラッグを形成させる前、またはコドラッグを加水分解させて2種以上の構成部分の間の結合を除去した後、のいずれかの薬学的活性部分を意味する。そのような場合、構成部分は、共役の前は、同じ部分の薬学的活性形態またはそのコドラッグと化学的に同一である。
【0075】
用語「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、本発明の薬学的活性剤に変換される化合物を包含するものとする。プロドラッグを製造する一般的方法は、生理学的条件下で加水分解されてプロドラッグを活性生物学的部分に変換する選択された部分、例えばエステルを含まなければならない。他の実施形態において、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。プロドラッグは、典型的には生物活性部分の化学修飾により形成される。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、例えば、Design of Prodrugs, H. Bundgaad(編),
Elsevier, 1985に記載される。
【0076】
本発明によるコドラッグを参照する文脈において、用語「構成部分の残基」は、別の構成部分に結合する官能基とは別の構成部分から構造的に得られるコドラッグの一部を意味する。例えば官能基が−NH2であり、構成基が別の構成部分とアミド(−NH−CO−)結合を形成している場合、構成部分の残基は、アミドの−NH−を含むが、アミド結合が形成された時に失われる水素(H)を含まない構成部分の一部である。この意味で本明細書で用いられる用語「残基」は、ペプチドおよびタンパク質化学で用いられる、ペプチド中のアミノ酸の残りを指す言語「残基」の意味に類似している。
【0077】
コドラッグは、直接または結合基を介して、互いに共有結合した2つ以上の構成部分から形成されていてもよい。残基の間の共有結合は、結合構造、例えば:
【化1】
(式中、Zは、O、N、−CH2−、−CH2−O−または−CH2−S−であり、Yは、OまたはNであり、そしてXは、OまたはSである)を含む。各構成部分の切断の速度は、結合のタイプ、構成部分の選択および/またはコドラッグの物理的形態により制御することができる。選択された結合タイプの易変性は、酵素特異性であってもよい。幾つかの実施形態において、結合は、エステラーゼの存在下で選択的に易変性である。本発明の他の実施形態において、結合は、例えば酸または塩基触媒での加水分解に、化学的に易変性である。幾つかの実施形態において、結合基は、糖、還元糖、ピロホスファート、またはホスファート基を含まない。
【0078】
生理学的に易変性の結合は、生理学的液体中で見出されるものに近い条件下で易変性である任意の結合であってもよい。結合は、直接結合(例えば、エステル、アミド、カルバマート、カルボナート、環状ケタール、チオエステル、チオアミド、チオカルバマート、チオカルボナート、キサンタート、リン酸エステル、スルホナート、またはスルファマート結合)であってもよく、または結合基(例えば、C1−C12ジアルコール、C1−C12ヒドロキシアルカン酸、C1−C12ヒドロキシアルキルアミン、C1−C12二酸、C1−C12アミノ酸、またはC1−C12ジアミン)であってもよい。特に好ましい結合は、直接のアミド、エステル、カルボナート、カルバマート、およびスルファマート結合、ならびにコハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、オキサ酸(oxa acids)、オキサメチレン、およびそれらのハロゲン化物を介した結合である。結合は、一般に約6〜約8のpHを意味する生理学的条件下で易変性である。結合の易変性は、結合の特定のタイプ、正確なpH、および生理学的液体のイオン強度、ならびにインビボで加水分解反応を触媒する傾向のある酵素の有無に依存する。一般にインビボでの結合の易変性は、コドラッグが生理学的液体中で可溶化されていない場合には結合の安定性に関して測定される。つまり一部のコドラッグは一部の生理学的液体中で相対的に安定となる可能性があるが、それにも関らずそれらは、非生理学的液体(例えば、非水性溶媒、例えばアセトン)中にほぼ溶解または溶解されている場合に比較してインビボで(または天然由来または刺激された場合に関わらず、生理学的液体に溶解される場合にはインビトロで)加水分解を相対的に受け易い。つまり易変性結合によって、コドラッグが水溶液に溶解される場合には、反応が先に示された構成部分を含む加水分解生成物へ誘導される。
【0079】
本明細書に記載されたシステムと共に用いられる薬物送達デバイスを調製するためのコドラッグは、以下の合成スキームの1つに図示された手法で合成してもよい。一般に第一および第二の構成部分が直接結合する場合には、生理学的条件下で易変性の結合を形成させるのに適した条件下で、第一の部分を第二の部分と縮合させる。幾つかの例では、その部分の一方、他方、またはその両方の幾つかの反応基を遮断する必要がある。構成部分がリンカー、例えばオキサメチレン、コハク酸、ジまたはグリコール酸を介して共有結合する場合には、最初に第一の構成部分をリンカーと縮合させることが有利となる。幾つかの例において、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で、適切な触媒、例えばEDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)およびDCC(DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド)をはじめとするカルボジイミドの存在下で、または縮合の水もしくは他の反応の生成物を放出させるのに適した条件下で(例えば還流または分子ふるい)、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせの下で、反応を実施することが有利となる。第一の構成部分がリンカーと縮合された後、組み合わされた第一の構成部分とリンカーとを、その後、第二の構成部分と縮合させてもよい。更に、幾つかの例において、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で、適切な触媒、例えばEDCIおよびDCCをはじめとするカルボジイミドなどの存在下で、または縮合の水もしくは他の反応の生成物を放出させるのに適した条件下で(例えば還流または分子ふるい)、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせの下で、反応を実施することが有利となる。1つ以上の活性基が遮断されると、選択的条件下で遮断している基を除去することが有利となりうるが、遮断している基および遮断されている基の加水分解生成物が生理学的に温和である場合には、遮断された活性基を脱離させることも有利となりうる。
【0080】
二酸、ジアルコール、アミノ酸などが適切なリンカーとして記載されているが、他のリンカーが本発明内にあると企図されることは、当業者には認識されよう。例えば本明細書に記載されたコドラッグの加水分解生成物は二酸を含んでいてもよく、結合を生成するのに用いられる実際の試薬は、例えば塩化スクシニルなどのハロゲン化アシルであってもよい。他の可能な酸、アルコール、アミノ、スルファト、およびスルファモイル誘導体が対応する結合を生成する試薬として用いられうることは、当業者には認識されよう。
【0081】
第一の構成部分と第二の構成部分が共有結合を介して直接結合されるのならば、この例ではリンカーを付加するステップが必要とならないことを除き、本質的に同じ工程が実施される。第一の構成部分と第二の構成部分は、単に共有結合を形成させるのに適した条件下で混和される。幾つかの例において、構成部分の一方、他方、または両方の特定の活性基を遮断することが望ましい場合がある。幾つかの例において、適切な溶媒、例えばアセトニトリル、直接結合を形成させるのに適した触媒、例えばEDCIおよびDCCをはじめとするカルボジイミド、または縮合の水(例えば、還流)もしくは他の反応副生物を放出させるように設計された条件、を用いることが望ましい場合がある。
【0082】
幾つかの例において、第一の部分と第二の部分は本来の形態で直接結合しうるが、活性基を誘導体化させて反応性を高めることが可能である。例えば、第一の部分が酸であり、第二の部分がアルコールである(即ち、遊離ヒドロキシル基を有する)場合、第一の部分を誘導体化させて、対応する酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物または酸臭化物を形成させてもよい。従来通り誘導体化された出発原料を用いて本明細書に記載されたコドラッグを製造させることにより、本明細書に記載されたコドラッグの収率を増大させる、製造コストを低下させる、純度を改善するなど、他の可能性が存在することは、当業者には認識されよう。
【0083】
コドラッグの第一および第二の構成部分は、先に列挙された薬剤のいずれかをはじめとする任意の薬剤、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容しうる塩、エステル、プロドラッグ、コドラッグ、および保護形態であってもよい、特定の実施形態において、第一の構成部分と第二の構成部分とは異なる薬物であり、他の実施形態において、それらは同一である。
【0084】
特定のコドラッグの実施形態において、第一の構成部分は、NSAIDである。幾つかの実施形態において、第二の構成部分は、コルチコステロイドである。特定の実施形態において、第一の構成部分は5−FUであり、第二の構成部分はTAである。特定の実施形態において、第一の構成部分は、β−ラクタム抗生物質、例えばアモキシシリンであり、第二の構成部分は、β−ラクタマーゼ阻害剤、例えばクラブラネートである。
【0085】
本発明による例示的な反応スキームを、以下のスキーム1〜4に図示する。薬学的に許容しうるリンカーを介して直接的または間接的に、類似または異なる官能基を有する別の治療薬と共有結合を形成しうる少なくとも1種の官能基を有する他の治療薬を代入することにより、これらのスキームを作成することができる。これらのスキームが他の適切なリンカーを用いても作成しうることは、当業者には理解されよう。
【0086】
スキーム1
R1−COOH+R2−OH → R1−COO−R2=R1−L−R2
(式中、Lは、エステル結合−COO−であり、そしてR1およびR2は、それぞれ第一および第二の構成部分または薬理学的部分の残基である)
【0087】
スキーム2
R1−COOH+R2−NH2 → R1−CONH−R2=R1−L−R2
(式中、Lは、アミドリンカー−CONH−であり、そしてR1およびR2は、先に示された意味を有する)
【0088】
スキーム3
ステップ1:R1−COOH+HO−L−CO−Prot → R1−COO−L−CO−Prot
(式中、Protは、適切な可逆性保護基である)
ステップ2:R1−COO−L−CO−Prot → R1−COO−L−COOH
ステップ3:R1−COO−L−COOH+R2−OH → R1−COO−L−COOR2
(式中、R1、L、およびR2は、先に示された意味を有する)
【0089】
スキーム4
【化2】
(式中、R1およびR2は、先に示された意味を有し、Gは、直接結合、C1−C4アルキレン、C2−C4アルケニレン、C1−C4アルキニレン、または1,2−縮合環であり、そしてGは無水基と一緒になって、環状無水物を作り上げる)。適切な無水物としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水ジグリコール酸、および無水フタル酸が挙げられる。
【0090】
先に言及された通り、薬物は、材料122中に含まれていてもよく、それゆえ押出し生成物のセグメント112Iのスキン114に組み込まれていてもよい。このことで、そのようなシステムが最初、体内に配置された時に、放出された全薬物の実質的な分画がスキン114から放出されるように、初期バーストを含む二相放出が提供されてもよい。続いて、更なる薬物が、コア116から放出される。スキン114に含まれる薬物が、コア116の内部と同じ薬物であってもよい。あるいはスキン114に含まれる薬物が、コア116中に含まれる薬物と異なっていてもよい。例えばコア116が5−FUを含み、スキン114がTAまたはエタボン酸ロテプレドノールを含んでいてもよい。
【0091】
先の特定の実施形態に言及された通り、様々な材料がスキン114用に用いられることで異なる放出速度プロファイルを実現しうることは理解されよう。例えば前述の‘972特許で議論された通り、外層(スキン114など)が、透過性、半透過性、もしくは不透過性の追加的層(‘972特許では要素番号110、210、および310)で取り囲まれていてもよく、またはそれ自体が透過性もしくは半透過性の材料で形成されていてもよい。従って共押出しされたデバイスは、‘972特許に完全に記載された技術および材料を用いて1つ以上の層と共に提供されてもよい。これらの追加的層は、例えば3種の材料を一度に共押出しすることができる共押出し装置から、同心円状に共押出しされた第三の材料で提供されてもよい。そのような透過性または半透過性材料を通して、コア中の活性剤を様々な制御速度で放出してもよい。加えて、不透過性と見なされる材料でも、特定の環境下で、コア116中の薬物または他の活性剤を放出させることができる。つまりスキン114の透過性は、経時的な活性薬剤の放出速度に寄与することができ、そして配置されたデバイスの経時的な放出速度を制御するパラメータとして用いることができる。
【0092】
更に、共押出しされた生成物112の連続した塊を、例えばコア116を取り囲む不透過性スキン114、を有するデバイス112Iに分割してもよく、各セグメントは半透過性または透過性層により更にコーティングされていて、その暴露された端部を通して放出速度を制御してもよい。同様に、特定の期間の後、コア材料が管の長さの一部もしくは全てに沿って、またはその一端もしくは両端で暴露されるように、スキン114、またはその1つ以上の層、またはデバイスを取り囲む層が、既知の速度で生侵食性であってもよい。
【0093】
つまり共押出しされたデバイスを取り囲むスキン114および1つ以上の追加の層のための様々な材料を用いて、配置されたデバイスの送達速度を制御して、様々な放出速度プロファイルを実現してもよいことは、理解されよう。
【0094】
生成物112の押出し、より詳細には共押出しは、生成物の寸法の非常に細密な許容範囲を可能にする。生成物112から形成されたデバイスからの薬物の放出速度に影響を及ぼす重要な因子がスキン114の内径であり、それが薬物拡散に利用できる全表面積(少なくとも初期の)に関係することが、見出された。つまりスキン114の内径の細密な許容範囲を維持することにより、デバイスのバッチの、薬物コアからの放出速度の変動を低減することが、可能となる。加工パラメータ、例えばコンベア速度およびダイの径を変動させることにより、送達デバイスの外径を制御してもよい。
【0095】
実施例
2台のRandcastle Microtruderと、同心円状の共押出しダイと、コンベアとからなる共押出しラインを用いて、FAのための注射可能な送達デバイスを製造してもよい。FAの微粉末を以下のマトリックス形成材料:PCLまたはポリ酢酸ビニル(PVAC)、と共に40%〜60%の薬物装填レベルで顆粒化してもよい。得られた混合物を外層コーティングとしてのPLGAまたはEVAを含み、または含まずに共押出しして、複合的な管状生成物を形成させてもよい。インビトロ放出試験をpH7.4リン酸緩衝液を用いて実施して、異なる送達デバイスからのFAの放出特性を評価してもよい。
【0096】
FA粉末100gをそれぞれ40%PCL溶液375gおよび167gと混合して40%および60%の薬物装填配合剤を調製することにより、薬物コアを形成させるのに用いられるFA顆粒を調製してもよい。55℃で2時間、オーブン乾燥させた後、顆粒を用手的に、または極低温ミルを用いて20メッシュのサイズに摩砕してもよい。得られた薬物/ポリマー混合物を、材料124として用い、材料122としてのPLGAと共に2台のRanscastle Medel RCP−0250 Microtruderを用いて共押出しして、複合的な共押出し管状生成物112を形成させてもよい。
【0097】
先の実施例に記載された調製物は、図2〜5に示された通りFAの長期持続放出を提供することができた。図から認められる通り、ポリマーコーティングの外層を含まないPCLマトリックスからのFAの放出は、PLGAスキンを有するものよりもかなり急速であった。それは、二相放出パターン、つまりバースト放出相と、その後に徐放相を示した。その一方で、PLGAコーティングを有する調製物は、薬物レベルに関わらず、少なくとも5ヶ月間、FAの直線的放出を付与した。PLGAコーティングは、バースト効果を有意に最小化することが可能と思われた。FAの放出速度がマトリックス中の薬物装填レベルに比例することも観察された。PLGAに比較してEVAは、FAの放出を大きく妨害した。放出速度の変動に加えて、異なるポリマーが押出しに関する異なる物理的特性を有しうることは、理解されよう。
【0098】
共押出しされた注射可能な薬物送達デバイスにおいて、薬物、例えばステロイドの放出は、内部マトリックス形成材料と外部ポリマー材料との異なる組み合わせにより、減ずることができる。このことでこれらのデバイスは、ステロイドをはじめとする薬物の制御的な持続放出が望ましい様々な適用に適してくる。以下に記載される通り、簡便な押出し、即ち単一材料または混合物の押出しを用いてスキンを押出し、その後、硬化させて、非押出し工程で薬物コア混合物を充填させてもよい。
【0099】
図6は、薬物送達デバイスのためのスキンを押出す器械を示す。図示された通り、システム600は、押出しの技術分野の当業者に周知の手法で、ダイヘッド608に連結された押出し機604を有する押出しデバイス602を含んでいてもよい。ダイヘッド608は、押出し機604からの材料が押出される出口ポート610を有していてもよい。ダイヘッド608および/または出口ポート610が、押出された物質の断面形状を確定してもよい。Randcastle Model CP−0250
Microtruder (Randcastle Extrusion Systems、ニュージャージー州シーダーグローブ)、およびそれに関連するヒーター、制御装置などを含む市販の押出し機が、押出し機604として用いられてもよい。例示的な押出し機は、例えば米国特許第5,569,429、同第5,518,672、および同第5,486,328にも開示されている。一般にシステム600は、中心のコアがスキン614と共に押出されずに開口した中心領域622が残されることを除いて、図1に関して先に記載されたシステムであってもよい。
【0100】
硬化ステーション618および分割ステーション620も提供されてよく、それらは図1に関して先に記載されたとおりであってもよい。中心領域622が重力下で崩壊する傾向を有していてもよいことは、理解されよう。一実施形態において、押出された材料612は、垂直に押出されてもよく、それにより重力を用いずに硬化および/または分割され、スキン614の壁を崩壊させて、中心領域622が不適当に接着および閉鎖される可能性がある。押出された材料612は、分割ステーション620で複数のセグメント612Iに分割されてもよく、それが持続放出性薬物送達デバイスのためのスキンを形成してもよい。
【0101】
他の技術を用いて、本明細書に記載された注射可能な薬物送達デバイスを製造するのに有用な管またはストロー状物(straw)を予備成形してもよいことは、理解されよう。有効に用いられた一つの技術が、適切な外径のワイヤ、例えばニチノールを、非硬化ポリイミドまたは他の適切なポリマーに浸漬することである。その後、ポリイミドを硬化してもよい。その後、ワイヤをポリイミドから取り出して、ポリマーチューブを提供し、それに所望の薬物配合剤を注入、またはその他に挿入してもよい。この技術は、例えば以下の図10に特徴づけられたデバイスを構成するのに用いられてきた。
【0102】
同様に、予備成形された薬物コアまたは薬物マトリックス材料を用いて、注射可能なデバイスを構成してもよい。コアを押出し、圧縮、または他の手段で形成させ、その後、適切な特性を有する材料を噴霧するか、またはその他にその材料のフィルムでコーティングしてもよい。材料のセグメントに調製されるか、または連続の長さに調製してセグメントに切断するかに関わらず、コアを非硬化ポリマーまたは他の適切な材料に浸漬コーティングしてもよく、適宜、硬化して適切な寸法の薬物送達デバイスを形成させてもよい。
【0103】
しかし、形成されたポリマー外層は、コアのタイプおよびデバイスの所望の放出速度プロファイルに応じて、透過性、不透過性、または部分透過性であってもよい。外層は、生体液または水の浸入手段と、コアからの活性剤の放出手段とを提供する1つ以上の細孔も含んでいてよい。外層は、生侵食性または非生侵食性であってもよい。生侵食性の外層は、コアの侵食速度よりも急速または緩徐な速度で(または同じ速度で)、侵食されてもよく、コア自体が生侵食性または非生侵食性であってもよい。外層のための適切な材料としては、非限定的にPCL、EVA、PEG、PVAC、PVA、PLA、PGA、PLGA、ポリイミド、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタン、ナイロン、またはそれらのコポリマーをはじめとする任意の生体適合性ポリマーが挙げられる。乳酸モノマーを含むポリマーにおいて、乳酸は、D−異性体、L−異性体、またはD−異性体とL−異性体との任意の混合物であってもよい。そのような外層は全て、本明細書に記載された注射可能なデバイスのいずれとも適切に用いることができる。
【0104】
特定の実施形態において、コアは、例えば先に言及された押出しまたは圧縮技術を用いて、コア中の1種以上の薬物の放出速度を独立して制御する薬物マトリックスで生成されていてもよい。そのような実施形態において、ポリマー外層は、全体として省略されていてもよく、またはコアが潤滑剤もしくは接着剤をはじめとする、注射可能なデバイスの他の特性に影響を及ぼす層でコーティングされていてもよい。
【0105】
特定の実施形態において、デバイスは、好ましくはフルオシノロンアセトニドなどのグルココルチコイドを含む、薬物コアと;ポリマー管、好ましくはポリイミドを含む管などの薬物の通路に不透過性の管と;少なくとも一端を覆う、薬物の通路に透過性の外層と、を含む。特定の好ましい実施形態において、外層は、ポリビニルアルコールを含む。外層がデバイスの一端のみを覆う特定の実施形態において、他方の端部は、覆われていなくても、または薬物の通路に不透過性の層で覆われていてもよい。外層がデバイスの両端を覆う特定の実施形態において、デバイスの一端は、不透過性の層でコーティングされていて、デバイスの端部を通した薬物の放出を阻害または予防してもよい。
【0106】
特定の実施形態において、デバイスは、薬物を約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で放出する。特定の他の実施形態において、デバイスは、薬物を約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日の速度で放出する。
【0107】
特定の実施形態において、デバイスは、薬物を少なくとも1ヶ月間、または少なくとも2ヶ月間、または少なくとも6ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間、または少なくとも24ヶ月間、または少なくとも30ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間の期間にわたり、本明細書に開示された速度で一定して放出する。例として特定の実施形態において、デバイス(例えば、挿入デバイスまたは挿入物)は、連続または実質的に連続の放出プロファイルを有し、薬物を経時的に一定の放出速度で提供する。
【0108】
図7は、注射可能な薬物送達デバイスを製造する工程の流れ図である。該方法700は、押出し機、例えば図6に関して先に記載された押出し機を用いてポリマー性スキン704を押出すことにより開始してもよい。生侵食性ポリマー、または送達される薬物、もしくはデバイスが配置される生体液に所望の透過性、例えば不透過性、半透過性、もしくは透過性を有するポリマーをはじめとする、任意の適切なポリマーを用いてもよい。侵食性および透過性は、先に概ね議論された通り、所望の薬物(およびその溶解度)、所望の放出速度、および予測される生体環境に応じて選択してもよい。眼内および眼球周囲の適用のための1つの適切なポリマーが、ポリイミドである。
【0109】
押出しスキンの連続した塊を、ステップ706に示す通り、開口した中心領域を有する各セグメントに分割してもよい。分割は、例えば先の図1および6に関して記載された分割ステーションを用いて、実施してもよい。
【0110】
ステップ708に示された通り、押出しされたスキンの塊から切断されたセグメントに、薬物を挿入してもよい。薬物は先に記載された薬物および薬物配合剤のいずれであってもよく、そして放出速度制御配合剤、例えば生体適合性のゲル、混和物、ポリマー/薬物マトリックス、顆粒化薬物化合物、または注入もしくは他の技術によりセグメントに挿入するのに適した任意の他の配合剤を含んでいてもよい。1つの適した配合剤は、セグメント中に押し出して硬化させてもよい、PVAとFAとのスラリーである。
【0111】
ステップ710に示された通り、拡散膜を提供して、薬物コアの放出速度を制限してもよい。拡散膜は、例えば薬物コアへの液体流れを制限すること、または薬物コアからの薬物通過を制限すること、により動作してもよい。追加の加工ステップを実施してもよい。例えば、ステップ708における硬化および薬物装填セグメントを、わずかに広くそして長い寸法の追加的ポリマー管、例えばポリイミドに挿入してもよい。この追加の管が、一端または両端にリザーバを提供してもよく、例えばデバイスの一端または両端に拡散膜を充填されてもよい。
【0112】
ステップ712に示された通り、アンカーがデバイスに取り付けられていてもよい。本明細書で用いられる用語「アンカー」は、デバイスを体内の部位に固定するために用いられるもの、例えば縫合糸を受け留める小穴、デバイスを注入する針により形成された穿刺孔を締める膨張ワイヤまたは可撓性材料、接着剤などを指すものとする。デバイスを目的の部位に固定するのに適し、注射可能な薬物送達デバイスでの使用に適した任意のメカニズムを、アンカーとして用いてもよい。一実施形態において、リザーバ、例えばステップ710に関して先に記載されたリザーバに、硬化性接着剤、例えば紫外線硬化性接着剤を充填してもよい。アンカーの一部を接着剤に挿入してもよく、その接着剤が、例えば紫外線の適用により硬化されることで、アンカーがデバイスに固定されてもよい。
【0113】
ステップ714に示された通り、例えば適切なゲージの針にデバイスを予め装填して、そのアセンブリを最終使用者への運搬に適した包装で封入することにより、デバイスを包装してもよい。ステップ716に示された通り、封入された包装を、更に、任意の適切な手法で滅菌されてもよい。
【0114】
様々な実施形態において、用いられたステップが注射可能な持続放出性薬物送達デバイスをもたらすことが前提ならば、先のステップの特定のものを省略、変更、または再編成してもよいことは、理解されよう。例えば拡散膜710を付加するステップは、全体として省略してもよく、または適切な性質のポリマーコーティングを有するデバイス全体をコーディングするステップにより置き換えてもよい。別の実施形態において、押出されたポリマー性スキンの全長を、薬物コアで充填してもよく、その後、塊全体を硬化させて(適宜)、複数のセグメントに切断してもよい。特定のステップ、例えば押出されたスキンの硬化を、例えばスキンを1つのステップで部分的に硬化させて、追加の硬化を続く加工ステップで行うことにより、特定の製造方法に適合させてもよいことも、理解されなければならない。それらが本明細書に記載された注射可能な持続放出性薬物送達デバイスをもたらすことが前提ならば、そのような変動は全て、本明細書の範囲に含まれるものとする。
【0115】
図8は、注射可能な薬物送達デバイスを示す。デバイス800は、薬物コア802と、1つ以上のポリマー層のスキン804と、デバイス800に取り付けられたアンカー806とを含んでいてもよい。薬物コア802、スキン804およびアンカー806は、本明細書に記載されたコア、スキンおよびアンカーのいずれであってもよい。特定の配置において、放出速度は、主にデバイス800の端部のコア802の表面積により決定されてもよく、そして放出期間は、主にデバイス800の長さにより決定されてもよい。
【0116】
更に、適切なサイズおよび薬物放出性の注射可能な薬物送達デバイスが、他の方法により生成されうることは、理解されよう。例えば、薬物/ポリマーマトリックスで形成された固体の圧縮されたデバイスが、スキン804または放出速度に影響を及ぼす他のコーティングを含まない使用のための適切な放出速度を有していてもよい。圧縮されたデバイスは、例えば図6の押出し機を用いて押出された円筒形の塊として形成され、その後、固体の塊に硬化されてもよい(分割の前または後)。圧縮されたデバイスは、代わりに、単独で、または他の物質との混合で、薬物の顆粒を適切なサイズの予備成形された金型内に圧縮させることにより形成させてもよい。
【0117】
先に記載された注射可能なデバイスを製造する方法の多くの重要な利益が、薬物自体の安定性を制御および/または改善しうることであるのは、理解されよう。例えば、薬物がコアに含まれる場合、製造、貯蔵、または使用のいずれにせよ、活性を変性または変化させうる外部環境の力から薬物を防御してもよい。薬物コアおよび/またはスキン層内のマトリックスが、防御の方策を提供してもよい。つまり例えば、デバイスが薬物コア、内部スキンおよび外部スキンを含む場合、内部スキンが紫外線吸収性材料(例えば、ポリイミド)で構成されていてもよい。製作時に外層が紫外線により硬化される場合、内部スキンによって紫外線がコア中の薬物と接触するのを防御してもよい。つまり該薬物は、硬化工程の間に変性する可能性が低い。スキンおよびコアマトリックスが、薬物と生体液との相互作用を制御および制限することにより、薬物を生体液中での化学的変性および代謝から防御してもよい。このメカニズムが、薬物と空気または湿度との相互作用を制限することにより、貯蔵時のデバイス中の薬物の安定化を支援してもよい。
【0118】
図9は、注射可能な薬物送達システムを示す。使用において、針902で、生体材料904の壁を穿刺してもよい。針902は、注射可能な薬物送達デバイス906を予め装填されていてもよく、それを壁904と反対側の生物学的媒体908、例えば生体液または組織に注入してもよく、そして針のリザーバ中の液体910、例えば生理食塩水により生物学的媒体908に誘導してもよい。アンカーがデバイス906に含まれるかどうか、そしてアンカーが生体壁904に取り付けられているかどうかに応じて、針を生物学的媒体908中に異なる深さで様々に配置させてもよい。
【0119】
図10は、特定のデバイスの放出速度を示す。送達速度を検査するために、内径0.0115インチ(約0.292mm)および外径0.0125インチ(約0.318mm)の予備成形されたポリイミド管を、先に記載されたワイヤー浸漬法(dipped wire method)を用いて調製した。その後、FA/PVA(90:10の比)のペーストを予備成形された管に注入することにより、薬物送達デバイスを形成させた。その後、充填された管を3mmの断片に切断して周囲条件で乾燥させ、その後、断片を135℃で2時間硬化させた。これにより、各デバイス内の全体的薬物装填量26μg/mmが実現された。デバイスの一部は、2つの開口端部を有したままであった。他のデバイスは、シリコーン接着剤を用いて一端を密閉した。図10に認められる通り、2つの開口端部を有するデバイスは、薬物をおよそ0.4μg/日(より大量に放出される初期バーストの後)で放出し、1つの開口端部を有するデバイスは、薬物をおよそ0.2μg/日(同じく初期バーストの後)で放出した。
【0120】
図11〜15には、本明細書に記載されたタイプの注射可能なデバイスの実験的放出速度の結果が更に図示される。結果は、開示が全体として参照により組み入れられた米国特許出願第10/714549に記載されたタイプの注射可能なデバイスの使用も図示している。注射可能なデバイス(外径約0.8mm)試料を薬物FAと共に押出して、pH7.4の0.1Mリン酸緩衝液とインビトロで混和した。試料を数日にわたって採取し、放出されたFAの量(μg)を測定した。商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイス試料も、薬物試料と共にインビトロで調製して、放出された薬物の量(μg)を測定した。結果を、図11〜15に示す。
【0121】
図11は、20日を超える期間にわたる、本明細書に記載されたタイプの注射可能なデバイスからのFAのインビトロ放出プロファイルを示す。
【0122】
図12は、本明細書に記載されたタイプの注射可能なデバイスと、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、FAのインビトロ放出プロファイルの比較を示す。
【0123】
図13は、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、エタボン酸ロテプレドノール(LE)のインビトロ放出プロファイルを示す。
【0124】
図14は、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、ジクロルフェナミド(2.2mg)のインビトロ放出プロファイルを示す。
【0125】
図15は、商標Retisert(商標)の下で開発された移植可能なデバイスからの、ブリモニジン(2.2mg)のインビトロ放出プロファイルを示す。
【0126】
図16は、試験期間中の計画された各経過観察時の、15文字以上のBCVAの改善による測定での、対照群に対比した低用量の挿入物による処置効果を示す。
【0127】
図17は、対照群に対比した低用量の挿入物を投与された患者における過剰な中心窩厚の減少の平均を示す。
【0128】
別の態様において、本開示は、目の疾患または障害を処理するデバイスおよび方法を企図する。そのような方法で用いられる例示的なデバイスは、非限定的に本明細書に提供されたデバイスの具体的な例をはじめとする制御放出性デバイスである。特定の実施形態において、薬物を0.4、0.3、0.2、または0.1μg/日以下の放出速度で送達する制御放出性デバイスが、目の疾患または障害の処置に用いられる。特定の実施形態において、前述の放出速度は、一定速度であるため、その速度は処置の期間を通して日ごとに同一または実質的に同一である。特定の実施形態において、合計処置時間は、少なくとも2ヶ月である。別の実施形態において、合計処置時間は、少なくとも3、4、5、または6ヶ月である。別の実施形態において、合計処置時間は、少なくとも12、15、18、20、または24ヶ月である。別の実施形態において、合計処置時間は、24ヶ月を超え、例えばおよそ24〜36ヶ月である。
【0129】
関連の態様において、本開示は、副作用をほとんど起こさずに目の疾患または障害を処置する方法を提供する。該方法は、必要とする患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間にわたり投与することを含む。薬物は、0.4μg/日以下の放出速度で投与されて、処置される患者の実質的な割合においてIOPの有意な増大を起こさずに、前記疾患または障害を処置する。特定の実施形態において、該薬物は、制御放出性デバイス、例えば本明細書に記載されたデバイスを用いて投与される。特定の実施形態において、放出速度は、0.3、0.2、または0.1μg/日以下である。特定の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで少なくとも5、6、9、または12ヶ月の期間にわたり毎日投与される。他の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで12〜18、18〜24、または24〜36ヶ月の期間にわたり毎日投与される。特定の実施形態において、放出速度は、一定かつ連続的である。言い換えると、放出速度は、処置期間を通して同一または実質的に同一である。
【0130】
特定の実施形態において、目の疾患または障害は、黄斑浮腫、黄斑変性、または緑内障である。特定の実施形態において、薬物投与により、処置された患者の20%未満、18%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満においてIOPの有意な増大が起こる。特定の実施形態において、処置に関連したIOPの増大は、まれな事象と見なされるのに十分少ない頻度で起こる。
【0131】
関連の態様において、本開示は、必要な患者において過剰な中心窩厚を減少させる方法を提供する。該方法は、必要とする患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間投与することを含む。薬物は、0.5μg/日未満の放出速度、例えば0.4μg/日以下の放出速度で投与されて、過剰な中心窩厚を減少させる。特定の実施形態において、該薬物は、制御放出性デバイス、例えば本明細書に記載されたデバイスを用いて投与される。特定の実施形態において、放出速度は、0.3、0.2、または0.1μg/日以下である。特定の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで少なくとも5、6、9、または12ヶ月の期間、毎日投与される。他の実施形態において、薬物は、前述の放出速度のいずれかで12〜18、18〜24、または24〜36ヶ月の期間、毎日投与される。特定の実施形態において、放出速度は、一定かつ連続的である。言い換えると、放出速度は、処置期間を通して同一または実質的に同一である。
【0132】
特定の実施形態において、過剰な中心窩厚は、黄斑浮腫、例えば糖尿病性黄斑浮腫の患者に存在する。他の実施形態において、過剰な中心窩厚は、黄斑変性の患者に存在する。
【0133】
本開示は、先に開示された、または以下に開示される本発明の態様および実施形態の適切な組み合わせの全てを企図する。
【0134】
実施例:糖尿病性黄斑浮腫の処置の試験
【0135】
長期放出性硝子体内挿入デバイスを、糖尿病性黄斑浮腫(DME)の処置において検討した。デバイスは、フルオシノロンアセトニド(FA)を持続的なサブマイクログラムレベルで送達した。デバイスを患者の目の裏側の、目の自然な流体力学の利益を得られる位置に挿入した。自己閉鎖創が可能な25ゲージ針を用いて、挿入物を投与した。試験は2群からなり(本明細書ではトライアルと呼ぶ)、それぞれが同一のプロトコルおよび登録患者956名を有した。一群に、挿入物を介して高用量の治療薬を0.45μg/日の放出速度で投与した。第二群には、挿入物を介して低用量の治療薬を0.23μg/日の放出速度で投与し、第三群には偽薬を投与した。この群の患者が挿入を模擬実施するために麻酔した目に針の無い鋭利でない挿入物で圧力を加えられたことを除き、偽薬は挿入手順に含まれるステップ全てを含んだ。この手順は、硝子体内挿入を模倣しており、適切な患者マスキングの維持を支援した。
【0136】
試験は、黄斑の中心を含むDMEを有し、試験登録の12週間以上前に少なくとも1回の予備的な黄斑レーザ処置を受けた患者において、挿入物の安全性および有効性を評価するように設計した。試験の組み入れ規準は、最良矯正視力(BCVA)が試験眼で20/50(早期治療糖尿病性網膜症試験(ETDRS)視力チャートで68文字)〜20/400(ETDRS視力チャートで19文字)、非試験眼で20/400以上であるDME患者を選択するように設計した。ETDRS視力チャートは、米国国立眼病研究所の早期治療糖尿病性網膜症試験により確立された、視力を測定するために臨床試験で用いられる基準である。スクリーニングの3ヶ月以内にDMEのためのステロイド薬処置を受けた患者またはスクリーニングの2ヶ月以内に抗VEGF注射を受けた患者、および緑内障患者、高眼圧患者、予備試験でIOPが21mmHgを超えた患者、またはスクリーニングで試験眼にIOP低下剤との同時治療を受けた患者は、試験に組み入れなかった。
【0137】
以下の表には、試験に無作為化された患者のベースライン特性が記載されている。
【表1】
【0138】
患者の特徴、例えば年齢、性別およびベースラインBCVAは、処置群と対照群とで釣り合いをとった。無作為化とは別に、患者を2つの別々の群:つまりETDRS視力チャートで49文字以上のベースラインBCVAスコアを有する群と、ETDRS視力チャートで49文字未満のベースラインBCVAスコアを有する群に分けた。
【0139】
患者を2:2:1の比の3群のうちの1群に無作為に割り付けた。これらの群のうちの最初の2群は、活性薬配合剤に割り付け、三番目の群は、対照群として硝子体挿入に模倣して設計された偽薬挿入手順に供した。処置群は、先に記載された低用量挿入物を投与された一方の群と、先に記載された高用量挿入物を投与されたもう一方の群とからなった。バイアスの可能性を抑えるために、試験は無作為化二重盲検試験設定を利用したため、患者と患者の評価に関わる研究スタッフはいずれも、患者が属する群について知らなかった。挿入を模倣実施して、適切な患者マスキングの維持を支援するために麻酔した目に針の無い鋭利でない挿入物で圧力を加えたことを除き、偽薬の挿入手順は挿入手順に含まれるステップ全てを含んだ。
【0140】
試験の一部として、研究者は12ヶ月目の経過観察の後、各患者を挿入物で再度処置することができた。24ヶ月目までに、患者の24.5%は1つを超える挿入物で処置され、患者の2.5%は3つ以上の挿入物で処置された。
【0141】
主要有効性評価項目 試験の主要有効性評価項目では、24ヶ月目にBCVAがベースラインからETDRS視力チャートで15文字以上改善した患者の割合に、処置群と対照群の間で差があった。24ヶ月目の臨床読み出しデータのフルデータセットを、FDA採用の日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイダンスE9、「臨床試験のための統計的原則」に記載された、主要解析のための適切な母集団に関する推奨事項に沿って解析した。ICHは、製品登録の科学的および技術的側面を議論する、欧州、日本および米国の規制当局および医薬品業界代表者を含む共同発議である。
【0142】
フルデータセットは、試験に無作為化された患者956名全員を含み、試験を中止した患者、または経過観察により利用できなかった患者によるデータ欠損では、「最終観察の引き延ばし補完法」(LOCF)を用いてデータ代入を行った(フルアナリシスセット)。解析の一部として、統計学的有意性を、多重比較の管理に用いられる方法であるホフバーグ・ボンフェローニ法(H−B法)に基づいて決定した。0.0001でのターゲットP値調整も実行した。これらの調整により、トライアルAおよびトライアルBのそれぞれで必要なp値が0.0491以下となり、低用量および高用量の両方の挿入物の統計学的有意性が実証された。H−B法に基づいて、トライアルにおけるいずれの用量の挿入物も統計学的有意性に適合しなかった場合、トライアルにおける0.02455以下のP値を実現して統計学的有意性を実証するのに、代替的な用量が必要であった。
【0143】
フルアナリシスセットでは、トライアルAおよびトライアルB、ならびに合算ベースの低用量および高用量の両方の挿入物で、主要有効性評価項目が統計学的有意性に適合した。以下の表に、主要有効性変数の結果を要約する。
【表2】
【0144】
加えて、フルアナリシスセットにおいて、18ヶ月目と24ヶ月目とで応答者割合を数値比較したところ、トライアルAおよびトライアルBの両方で、24ヶ月目の低用量および高用量の両方の応答者割合が、18ヶ月目の応答者割合よりも数値的に大きいことが実証された。
【0145】
その試験プロトコルで、更なるデータセットの解析を提供した。全ての無作為化された処置データセットは、試験に無作為化されて処置された患者953名を含み、トライアルを中止した患者、または経過観察により利用できなかった患者によるデータ欠損では、LOCF法を用いてデータ代入を行った(ARTデータセット)。無作為化されたが処置されなかった患者3名は、フルデータセットに組み入れ、ARTデータセットからは除外された。ARTデータセットでは、主要有効性評価項目は、トライアルAおよびトライアルBの両方で、両方の用量の挿入物で統計学的有意性に適合した。トライアルAの24ヶ月目にBCVAが15文字以上改善したARTデータセットの患者の割合は、対照群では14.7%、低用量では26.8%(p値0.029)、高用量では26.2%(p値0.032)である。トライアルBの24ヶ月目にBCVAが15文字以上改善したARTデータセットの患者の割合は、対照群では17.8%、低用量では30.8%(p値0.028)、高用量では31.3%(p値0.026)である。
【0146】
改良ARTデータセットは、ARTデータセットに含めた患者953名全員を含み、プロトコルにより禁止された処置、例えばアバスチン、ルセンティス、トリアムシノロンアセトニドまたは硝子体切除の利用後に回収されたデータは除外した(改良ARTデータセット)。試験プロトコルにより禁止された処置が用いられた例では、プロトコル違反となる前の最後の観察を、LOCF法を用いて24ヶ月目に代入した。トライアルAでBCVAが15文字以上改善した改良ARTデータセットでの患者の割合は、対照群では12.6%、低用量では22.6%(p値0.057)、高用量では24.1%(p値0.026)である。トライアルAでの挿入物の用量はいずれも、H−B法に基づくと統計学的に有意ではなかった。トライアルBの24ヶ月目にBCVAが15文字以上改善した改良ARTデータセットでの患者の割合は、対照群では13.3%、低用量では29.7%(p値0.004)、高用量では29.3%(p値0.005)である。トライアルBでは、挿入物の両方の用量で、統計学的に有意であった。
【0147】
更なる臨床観察 主要有効性の変数に加えて、試験の24ヶ月目臨床データにおける他の複数の臨床関連結果も観察した。これらの観察は、とりわけ以下のものを含んだ:各経過観察時にBCVAが15文字以上改善した患者;任意の時点でBCVAが15文字以上改善した患者;24ヶ月目にBCVAの改善が他のレベルであった患者;ベースラインBCVAに比較して15文字以上BCVAが改善した患者;および過剰な中心窩厚が減少した患者。
【0148】
以下に示されるこれらのフルアナリシスセット観察の解析を、対照群と比較した、低用量の挿入物を投与された患者のトライアルAおよびトライアルBの合算ベースについて示す。
【0149】
各経過観察時にBCVAが15文字以上改善した患者 24ヶ月目までの試験結果の解析から、低用量の挿入物が挿入後3週間という早期にBCVAを改善させることが示された。低用量の挿入物は、3週間目の経過観察までの試験で対照群よりも統計学的に有意に良好であり、24ヶ月目まで対照よりも統計学的に有意な利益を維持した。図16から、試験中に計画された各経過観察時にBCVAの15文字以上の改善が測定されたため、対照群に対する低用量の挿入物の処置効果が実証される。
【0150】
任意の時点にBCVAが15文字以上改善した患者 24ヶ月目までの試験結果の分析から、対照群に対比して、低用量の挿入物を投与された患者の有意に高い割合が、任意の経過観察時での評価で15文字以上のBCVAの改善を有することが示された。試験の最初の24ヶ月間に、低用量の挿入物を投与されるように無作為化された患者376名中177名、または47.1%で、対照群に無作為化された患者185名中51名または27.6%に比較して、任意の時点で15文字以上のBCVA改善が実証された。
【0151】
24ヶ月目の他のレベルのBCVA改善 以下の表3は、試験の24ヶ月目に、対照群に対比した、低用量の挿入物による統計学的に有意なBCVA改善を実証している。
【表3】
【0152】
ベースラインBCVAに比較したBCVAの15文字以上の改善 24ヶ月目の試験結果の分析から、挿入物が、患者のベースラインBCVAの重症度に関わらず、対照群よりも統学的に有意な利益を有することが示される。以下の表から、ETDRS視力チャートで49文字を超えるベースラインBCVAを有した患者、およびベースラインのETDRS視力チャートで49文字以下のBCVAを有した患者において、対照群に対比した挿入物の統計学的に有意な処置効果が実証される。
【表4】
【0153】
過剰な中心窩厚の減少 BCVAの機能的測定に加えて、解剖学的測定に対する挿入物の影響、即ち光干渉断層法により測定された過剰な中心窩厚の減少を、評価した。過剰な中心窩厚は、黄斑の中心点(中心窩として公知)での腫脹の指標である。180ミクロンを超える任意の測定値は、過剰な中心窩厚を表わすと判断した。図17に要約された24ヶ月目の臨床読み出し結果の再検討に基づくと、低用量の挿入物を投与された患者では、試験の経過観察時の患者の1週間目までの過剰な中心窩厚の減少において、対照群に対比した統計学的有意差が実証され、統計学的に有意な利益が24ヶ月目まで維持された。24ヶ月目では、過剰な中心窩厚の平均減少が、対照群で100.5ミクロンに対して、低用量の挿入物を投与された患者で156.1ミクロンであることが実証された。
【0154】
安全性:低用量および高用量の患者集団において、挿入物は、試験の24ヶ月まで良好に耐容された。有害事象データの事前評価で、挿入物の使用の結果、患者への全身有害事象の明白なリスクがないことが示された。目におけるコルチコステロイドの使用は、主として2種の不適切な副作用:つまり緑内障のリスクを増加して更なる管理手順を必要としうるIOPの増加、および白内障の形成、に関連する。IOP関連の副作用および白内障を除外すれば、低用量および高用量の両方の患者集団を対照と比較すると、目に関連する重要な有害事象は観察されなかった。つまり試験の24ヶ月目の臨床読み出し結果に基づくと、挿入物の使用に関連する有害事象は、DMEの処置用の薬物の許容限界内である。
【0155】
以下の表5に、試験で無作為化され処置された患者全員に起こったIOP関連の有害事象が要約されている。
【表5】
【0156】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を詳細に記載したが、本発明の範囲を逸脱せずに、様々な変更を実施することができ、均等物を用いることができることは、当業者には明白であろう。つまり以下の特許請求の範囲に示された本発明は、法律により許容しうる最も広範囲の意義で解釈しなければならない。前述の参考資料および発行された文書はそれぞれ、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の薬物を含むコアと;
前記コアを少なくとも部分的に取り囲み、1種以上の第一のポリマーを含むポリマー性スキンと;
を含む、注射用の形状およびサイズにされた薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記コアが1種以上の薬物のマトリックスと1種以上の第二のポリマーとを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記1種以上の第二のポリマーの少なくとも1種が生侵食性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記1種以上の第二のポリマーがポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、d,l−ラクチド・グリコリド共重合体(PLGA)、エチレン・酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタンもしくはナイロン、またはそれらの共重合体のうちの少なくとも1種を含む、請求項2記載のデバイス。
【請求項5】
前記1種以上の薬物がコドラッグまたはプロドラッグのうちの少なくとも1種を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
前記コアが生体適合性ゲル化配合剤を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
前記1種以上の薬物がステロイドを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
前記ステロイドがエタボン酸ロテプレドノール、トリアムシノロンアセトニド(TA)、フルオシノロンアセトニド、または酢酸アナコルタブのうちの少なくとも1種を含む、請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種が代謝拮抗薬を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
前記代謝拮抗薬が5−フルオロウラシル(5−FU)を含む、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種がアドレナリン作動薬を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項12】
前記アドレナリン作動薬がブリモニジンを含む、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種が炭酸脱水酵素阻害剤を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
前記炭酸脱水酵素阻害剤がアセタゾラミド、メタゾラミド、エトキシゾラミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、またはブリンゾラミドのうちの少なくとも1種を含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種が抗ウイルス薬を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項16】
前記抗ウイルス薬がネビラピンを含む、請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
前記ポリマー性スキンが前記1種以上の薬物のうちの少なくとも1種に対して不透過性、半透過性、または透過性のうちの1種である、請求項1記載のデバイス。
【請求項18】
前記ポリマー性スキンがPVAC、PCL、PEG、PLGA、EVA、PVA、PLA、PGA、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタンもしくはナイロン、またはそれらの共重合体のうちの少なくとも1種を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項19】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が生侵食性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項20】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が放射線硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項21】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が熱硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項22】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が蒸発硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項23】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が触媒作用による硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項24】
前記ポリマー性スキンが少なくとも1種の薬物を更に含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項25】
アンカーを更に含み、約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有する針、または約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有するカニューレのうちの少なくとも1種を通した注射のための形状およびサイズにされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項26】
約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有するカニューレ、または約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有する針のうちの少なくとも1種を通した注射のための形状およびサイズにされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項27】
眼球周囲への注射または眼内注射のうちの少なくとも1種のための形状またはサイズにされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項28】
注射後にデバイスを固定するアンカーを更に含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項29】
生物学的媒体に暴露されると1種以上の薬物の持続放出を提供する、請求項1記載のデバイス。
【請求項30】
第二のポリマー性スキンを更に含む、請求項2記載のデバイス。
【請求項31】
前記ポリマー性スキンが前記1種以上の薬物に対して前記第二のポリマー性スキンとは異なる透過性を有し、前記コアが前記ポリマー性スキンと前記第二のポリマー性スキンとの組み合わせにより完全に覆われている、請求項30記載のデバイス。
【請求項32】
前記ポリマー性スキンまたは前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種が生侵食性である、請求項30記載のデバイス。
【請求項33】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記ポリマー性スキンまたは前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種の侵食性により影響を受ける、請求項32記載のデバイス。
【請求項34】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記ポリマー性スキンまたは前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種の侵食性とは独立している、請求項32記載のデバイス。
【請求項35】
前記コア、前記ポリマー性スキン、および前記第二のポリマー性スキンのそれぞれが生侵食性である、請求項31記載のデバイス。
【請求項36】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が、前記1種以上の薬物の少なくとも1種に対する前記第二のポリマー性スキンの透過性、および前記ポリマー性スキンにより覆われていない前記コアの表面積、のうちの少なくとも1種により制御される、請求項31記載のデバイス。
【請求項37】
前記ポリマー性スキンおよび前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種が生体液と前記コアとの直接の相互作用を防御する、請求項31記載のデバイス。
【請求項38】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コアの表面積により制御される、請求項31記載のデバイス。
【請求項39】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コアを通した少なくとも1種の薬物の拡散により著しい影響を受けない、請求項31記載のデバイス。
【請求項40】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コアを通した少なくとも1種の薬物の拡散により著しい影響を受ける、請求項31記載のデバイス。
【請求項41】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コア中の少なくとも1種の薬物の溶解度により著しい影響を受ける、請求項31記載のデバイス。
【請求項42】
1種以上の薬物の少なくとも1種が生物学的媒体よりもデバイス中で安定している、請求項31記載のデバイス。
【請求項43】
硬化工程に、1種以上の薬物の少なくとも1種の安定性上昇を提供する、請求項31記載のデバイス。
【請求項44】
貯蔵に、1種以上の薬物の少なくとも1種の安定性上昇を提供する、請求項31記載のデバイス。
【請求項45】
薬物を約0.5μg/日未満、約0.4μg/日未満、約0.3μg/日未満、約0.2μg/日未満、または約0.1μg/日未満の速度で放出する、請求項1〜44のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項46】
請求項1〜45のいずれか1項記載のデバイスを投与することを含む、糖尿病性黄斑浮腫を処置する方法。
【請求項47】
前記薬物が少なくとも6ヶ月の期間に一定かつ連続して、約0.4μg/日未満の速度で放出される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
副作用をほとんど起こさずに前記糖尿病性黄斑浮腫を処置することを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記副作用がIOPの増大を含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
好ましくはフルオシノロンアセトニドなどのグルココルチコイドを含む、薬物コアと;
ポリマー管、好ましくはポリイミドを含む管などの薬物の通路に不透過性の管と;
デバイスの少なくとも一端、好ましくは両端および管の一部を覆い、薬物の通路に透過性である外層と、を含み、
薬物を約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で放出する、薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記外層がポリビニルアルコールを含む、請求項50記載のデバイス。
【請求項52】
薬物を実質的に連続の放出速度で放出する、請求項50または51記載のデバイス。
【請求項53】
請求項50〜52のいずれか1項記載のデバイスを投与することを含む、糖尿病性黄斑浮腫の処置の方法。
【請求項54】
副作用をほとんど起こさずに目の疾患または障害を処置する方法であって、必要とする患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間、連日投与することを含み、前記薬物が0.4μg/日以下の放出速度で投与されて、処置される患者の実質的な割合においてIOPの有意な増大を起こさずに、前記疾患または障害を処置することを含む、方法。
【請求項55】
目の疾患または障害が黄斑浮腫または黄斑変性である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記薬物が0.3μg/日、0.2μg/日、または0.1μg/日以下の放出速度で投与される、請求項54または55記載の方法。
【請求項57】
前記薬物の投与が処置された患者の20%未満においてIOPの有意な増大を起こす、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項58】
前記薬物の投与が処置された患者の10%未満においてIOPの有意な増大を起こす、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項59】
前記薬物の投与が処置された患者の5%未満においてIOPの有意な増大を起こす、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項60】
IOPの増大が処置に関連するまれな事象と見なされのに十分低い頻度で起こる、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項61】
必要とする患者において過剰な中心窩厚を減少させる方法であって、前記患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間投与することを含み、前記薬物が0.4μg/日以下の放出速度で投与されて過剰な中心窩厚を減少させる、方法。
【請求項1】
1種以上の薬物を含むコアと;
前記コアを少なくとも部分的に取り囲み、1種以上の第一のポリマーを含むポリマー性スキンと;
を含む、注射用の形状およびサイズにされた薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記コアが1種以上の薬物のマトリックスと1種以上の第二のポリマーとを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記1種以上の第二のポリマーの少なくとも1種が生侵食性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記1種以上の第二のポリマーがポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、d,l−ラクチド・グリコリド共重合体(PLGA)、エチレン・酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタンもしくはナイロン、またはそれらの共重合体のうちの少なくとも1種を含む、請求項2記載のデバイス。
【請求項5】
前記1種以上の薬物がコドラッグまたはプロドラッグのうちの少なくとも1種を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
前記コアが生体適合性ゲル化配合剤を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
前記1種以上の薬物がステロイドを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
前記ステロイドがエタボン酸ロテプレドノール、トリアムシノロンアセトニド(TA)、フルオシノロンアセトニド、または酢酸アナコルタブのうちの少なくとも1種を含む、請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種が代謝拮抗薬を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
前記代謝拮抗薬が5−フルオロウラシル(5−FU)を含む、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種がアドレナリン作動薬を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項12】
前記アドレナリン作動薬がブリモニジンを含む、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種が炭酸脱水酵素阻害剤を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
前記炭酸脱水酵素阻害剤がアセタゾラミド、メタゾラミド、エトキシゾラミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、またはブリンゾラミドのうちの少なくとも1種を含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種が抗ウイルス薬を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項16】
前記抗ウイルス薬がネビラピンを含む、請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
前記ポリマー性スキンが前記1種以上の薬物のうちの少なくとも1種に対して不透過性、半透過性、または透過性のうちの1種である、請求項1記載のデバイス。
【請求項18】
前記ポリマー性スキンがPVAC、PCL、PEG、PLGA、EVA、PVA、PLA、PGA、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタンもしくはナイロン、またはそれらの共重合体のうちの少なくとも1種を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項19】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が生侵食性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項20】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が放射線硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項21】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が熱硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項22】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が蒸発硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項23】
前記1種以上の第一のポリマーおよび1種以上の第二のポリマーのうちの少なくとも1種が触媒作用による硬化性である、請求項2記載のデバイス。
【請求項24】
前記ポリマー性スキンが少なくとも1種の薬物を更に含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項25】
アンカーを更に含み、約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有する針、または約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有するカニューレのうちの少なくとも1種を通した注射のための形状およびサイズにされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項26】
約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有するカニューレ、または約30ゲージ〜約15ゲージのサイズを有する針のうちの少なくとも1種を通した注射のための形状およびサイズにされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項27】
眼球周囲への注射または眼内注射のうちの少なくとも1種のための形状またはサイズにされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項28】
注射後にデバイスを固定するアンカーを更に含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項29】
生物学的媒体に暴露されると1種以上の薬物の持続放出を提供する、請求項1記載のデバイス。
【請求項30】
第二のポリマー性スキンを更に含む、請求項2記載のデバイス。
【請求項31】
前記ポリマー性スキンが前記1種以上の薬物に対して前記第二のポリマー性スキンとは異なる透過性を有し、前記コアが前記ポリマー性スキンと前記第二のポリマー性スキンとの組み合わせにより完全に覆われている、請求項30記載のデバイス。
【請求項32】
前記ポリマー性スキンまたは前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種が生侵食性である、請求項30記載のデバイス。
【請求項33】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記ポリマー性スキンまたは前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種の侵食性により影響を受ける、請求項32記載のデバイス。
【請求項34】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記ポリマー性スキンまたは前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種の侵食性とは独立している、請求項32記載のデバイス。
【請求項35】
前記コア、前記ポリマー性スキン、および前記第二のポリマー性スキンのそれぞれが生侵食性である、請求項31記載のデバイス。
【請求項36】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が、前記1種以上の薬物の少なくとも1種に対する前記第二のポリマー性スキンの透過性、および前記ポリマー性スキンにより覆われていない前記コアの表面積、のうちの少なくとも1種により制御される、請求項31記載のデバイス。
【請求項37】
前記ポリマー性スキンおよび前記第二のポリマー性スキンのうちの少なくとも1種が生体液と前記コアとの直接の相互作用を防御する、請求項31記載のデバイス。
【請求項38】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コアの表面積により制御される、請求項31記載のデバイス。
【請求項39】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コアを通した少なくとも1種の薬物の拡散により著しい影響を受けない、請求項31記載のデバイス。
【請求項40】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コアを通した少なくとも1種の薬物の拡散により著しい影響を受ける、請求項31記載のデバイス。
【請求項41】
前記1種以上の薬物の少なくとも1種の放出速度が前記コア中の少なくとも1種の薬物の溶解度により著しい影響を受ける、請求項31記載のデバイス。
【請求項42】
1種以上の薬物の少なくとも1種が生物学的媒体よりもデバイス中で安定している、請求項31記載のデバイス。
【請求項43】
硬化工程に、1種以上の薬物の少なくとも1種の安定性上昇を提供する、請求項31記載のデバイス。
【請求項44】
貯蔵に、1種以上の薬物の少なくとも1種の安定性上昇を提供する、請求項31記載のデバイス。
【請求項45】
薬物を約0.5μg/日未満、約0.4μg/日未満、約0.3μg/日未満、約0.2μg/日未満、または約0.1μg/日未満の速度で放出する、請求項1〜44のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項46】
請求項1〜45のいずれか1項記載のデバイスを投与することを含む、糖尿病性黄斑浮腫を処置する方法。
【請求項47】
前記薬物が少なくとも6ヶ月の期間に一定かつ連続して、約0.4μg/日未満の速度で放出される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
副作用をほとんど起こさずに前記糖尿病性黄斑浮腫を処置することを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記副作用がIOPの増大を含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
好ましくはフルオシノロンアセトニドなどのグルココルチコイドを含む、薬物コアと;
ポリマー管、好ましくはポリイミドを含む管などの薬物の通路に不透過性の管と;
デバイスの少なくとも一端、好ましくは両端および管の一部を覆い、薬物の通路に透過性である外層と、を含み、
薬物を約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1μg/日未満の速度で放出する、薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記外層がポリビニルアルコールを含む、請求項50記載のデバイス。
【請求項52】
薬物を実質的に連続の放出速度で放出する、請求項50または51記載のデバイス。
【請求項53】
請求項50〜52のいずれか1項記載のデバイスを投与することを含む、糖尿病性黄斑浮腫の処置の方法。
【請求項54】
副作用をほとんど起こさずに目の疾患または障害を処置する方法であって、必要とする患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間、連日投与することを含み、前記薬物が0.4μg/日以下の放出速度で投与されて、処置される患者の実質的な割合においてIOPの有意な増大を起こさずに、前記疾患または障害を処置することを含む、方法。
【請求項55】
目の疾患または障害が黄斑浮腫または黄斑変性である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記薬物が0.3μg/日、0.2μg/日、または0.1μg/日以下の放出速度で投与される、請求項54または55記載の方法。
【請求項57】
前記薬物の投与が処置された患者の20%未満においてIOPの有意な増大を起こす、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項58】
前記薬物の投与が処置された患者の10%未満においてIOPの有意な増大を起こす、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項59】
前記薬物の投与が処置された患者の5%未満においてIOPの有意な増大を起こす、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項60】
IOPの増大が処置に関連するまれな事象と見なされのに十分低い頻度で起こる、請求項54〜56のいずれか記載の方法。
【請求項61】
必要とする患者において過剰な中心窩厚を減少させる方法であって、前記患者の目に薬物を少なくとも3ヶ月の期間投与することを含み、前記薬物が0.4μg/日以下の放出速度で投与されて過剰な中心窩厚を減少させる、方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【公表番号】特表2013−515741(P2013−515741A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546220(P2012−546220)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061933
【国際公開番号】WO2011/079232
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511258374)サイヴィーダ ユーエス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061933
【国際公開番号】WO2011/079232
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511258374)サイヴィーダ ユーエス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]