説明

振動子および発振器

【課題】発振周波数の変動を抑制すること。
【解決手段】図2に示す振動子10は、互いに対向する位置に配置され、同一材料の一対の筐体となる基板12、13と、基板12、13にそれぞれ設けられる励振用の電極17、18と、基板12、13間に設けられ、電極17、18に電圧が印加されることにより発振する可動部16と、可動部16を支持し、外力の可動部16への伝達を抑制する少なくとも2つの支持部15、15と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動子および発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子の圧電効果を利用して一定振動数の発振を行わせる振動子が知られている。
振動子自体に起因して周波数が変動する要因として、エージング特性(経年変化特性)等が知られている。
【0003】
エージング特性の変動の主な要因は、振動子の気密性が保たれているという条件において、振動子本体(水晶等)への質量が増加または減少すること、または、振動子本体(可動部)への応力が変化すること等が挙げられる。
【0004】
このエージング特性による変動を抑制する振動子の一例として、空間電界方式の振動子が知られている。
図22は、空間電界方式の振動子の構造を示す斜視図(分解図)であり、図23は、空間電界方式の振動子の側面断面図である。
【0005】
図22および図23に示すように、空間電界方式の振動子90は、圧電基板91が、同一材料で形成された基板92、93によって挟み込まれるサンドイッチ構造をなしている。
【0006】
圧電基板91は、水晶等の圧電材料で構成されており金属薄膜電極を有していない。これにより、可動部96の質量の増減を抑制することができる。また、基板92、93を同一材料で形成することにより、圧電基板91への屈曲応力を低減することができる。
【0007】
圧電基板91は、固定部94と支持部95と可動部96とを有している。
支持部95は、固定部94に接続され、可動部96を支持している。
基板92の表面の一部には、励振用の電極97が設けられている。基板93の表面の一部には、励振用の電極98が設けられている。この電極97、98は、それぞれ、可動部96に対向する位置に配置されている。
【0008】
可動部96は、電極97、98に電圧が印加されることにより、電圧が印加され、変形が生じる。可動部96の固有振動数に近い電圧が印加されると、コイルのように誘導性リアクタンスをもつものとして動作する。
【0009】
図23に示すように、図23中、左側の固定部94の上部は、封止部97aによって基板93に接続されている。左側の固定部94の下部は、封止部97bによって電極97に接続されている。右側の固定部94の上部は、封止部97cによって電極98に接続されている。右側の固定部94の下部は、封止部97dによって基板92に接続されている。
【0010】
これにより、基板92、93、固定部94、封止部97a〜97d、および、電極97、98によって囲まれた空間99が気密に保たれている。
これにより、可動部96への質量が増加または減少すること、および、可動部96への応力が変化することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−181105号公報
【特許文献2】特開2002−118440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、振動子自体に起因して周波数が変動する他の要因として、温度特性による変動が知られている。
例えば、図22および図23に示す振動子90の場合、基板92、93と圧電基板91との膨張係数が異なる場合、温度の上昇や下降により、固定部94に発生する外力が、可動部96に伝達する。これにより、可動部96に応力が生じ、振動子90の発振周波数が変動するという問題があった。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、発振周波数の変動を抑制する振動子および発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、開示の振動子が提供される。この振動子は、互いに対向する位置に配置され、同一材料の一対の筐体と、一対の筐体にそれぞれ設けられる励振用電極と、一対の筐体間に設けられ、励振用電極に電圧が印加されることにより発振する可動部と、可動部を支持し、外力の可動部への伝達を抑制する少なくとも2つの支持部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
開示の振動子によれば、発振周波数の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】空間電界方式の振動子の構造を示す斜視図(分解図)である。
【図2】図1のA−A線での断面図である。
【図3】支持部の拡大図である。
【図4】支持部が可動部に発生する応力を緩和する様子を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の振動子の製造方法の一例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態の振動子の第1の変形例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態の振動子の第2の変形例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の振動子の第3の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の振動子の構造を示す斜視図(分解図)である。
【図10】図9のB−B線での断面図である。
【図11】第2の実施の形態の振動子の製造方法の一例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態の振動子の構造を示す斜視図(分解図)である。
【図13】図12のC−C線での断面図である。
【図14】第3の実施の形態の振動子の製造方法の一例を示す図である。
【図15】第3の実施の形態の振動子の第1の変形例を示す断面図である。
【図16】第3の実施の形態の振動子の第2の変形例を示す断面図である。
【図17】実施の形態の第1の応用例の発振器を示す斜視図である。
【図18】実施の形態の第1の応用例の発振器を示す断面図である。
【図19】実施の形態の第2の応用例の発振器を示す斜視図である。
【図20】実施の形態の第2の応用例の発振器を示す断面図である。
【図21】実施の形態の第3の応用例の発振器を示す断面図である。
【図22】空間電界方式の振動子の構造を示す斜視図(分解図)である。
【図23】空間電界方式の振動子の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、空間電界方式の振動子の構造を示す斜視図(分解図)であり、図2は、図1のA−A線での断面図である。
【0018】
なお、図2中、紙面上側を「上」、紙面下側を「下」、紙面左側を「左」紙面右側を「右」と言う。
図1および図2に示すように、振動子10は、圧電基板11が、一対の筐体を形成する基板12、13によって挟み込まれた、いわゆるサンドイッチ構造をなしている。
【0019】
基板12、13の大きさは、ほぼ等しく同一形状(矩形状)をなしている。
基板12、13の構成材料としては、例えば、アルミナ等のセラミックスが挙げられる。基板12の表面の一部には、励振用の電極17が設けられている。基板13の表面の一部には、励振用の電極18が設けられている。なお、図2では、電極17、18の厚さを誇張して表している。
【0020】
基板12の電極17が設けられている部位には、凹部(スルーホール)121が形成されている。また、基板13の電極18が設けられている部位には、凹部(スルーホール)131が形成されている。
【0021】
電極17、18は互いに対向する対向部位171、181を有している。
電極17、18の構成材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)の等の導電性を有する金属の1つまたは複数等が挙げられる。
【0022】
電極17、18の空間30から露出している端子部分172、182は、図示しない電源に接続されている。
圧電基板11は、水晶等の圧電材料で構成されており、固定部14と一対の支持部15、15と可動部16とを有している。
【0023】
固定部14と支持部15、15と可動部16とは一体的に形成されている。
固定部14は、支持部15、15と可動部16を囲む枠状をなしており、外枠の形状が、基板12、13の周辺の形状に一致するように形成されている。この固定部14は、固定部14の形状に沿って配置された枠状の封止部19a、19bを介して基板12、13に固定されている。これにより、可動部16が、支持部15、15を介して基板12、13に固定されている。
【0024】
具体的には、図2中、固定部14の上部は、封止部19aによって基板13に接続されている。固定部14の下部は、封止部19bによって電極17に接続されている。
これにより、基板12、13、固定部14、封止部19a、19b、および、電極17、18によって囲まれた空間30が気密に保たれている。
【0025】
なお、図1では、封止部19a、19bの図示を省略している。
封止部19a、19bの構成材料としては、例えば、低融点ガラス等が挙げられる。
なお、固定部14の厚さ(図2中、上下方向の長さ)は、例えば、数十μm程度である。
【0026】
支持部15、15は、固定部14に接続され、可動部16を介して互いに対称な位置に設けられている。この支持部15、15は、可動部16を変位(移動)可能に支持している。
【0027】
なお、本実施の形態では、2つの支持部15、15を設けたが、支持部の個数は、3つ以上でもよい。
可動部16は、矩形をなしている。可動部16は、対向部位171、181が互いに対向する位置に挟まれるように配置されている。この対向部位171と可動部16との距離および、対向部位181と可動部16との距離は、特に限定されないが、例えば、それぞれ、数nm程度である。
【0028】
また、可動部16の中央部には、エネルギー閉じこめ用の凸部16aが設けられている。この凸部16aは、例えば、エッチング等により設けることができる。
この凸部16aを設けることにより、マス・ローディング効果が生じ、中央部の振動周波数を下げ、振動の大きさを中央部に集中させることができる。
【0029】
本実施の形態では、可動部16と凸部16aとは一体的に形成されている。
可動部16は、電源から電極17、18に駆動電圧が印加されることにより、電圧が印加され、変形が生じる(圧電現象)。可動部16の固有振動数に近い電圧が印加されると、コイルのように誘導性リアクタンスをもつものとして動作する。
【0030】
図3は、支持部の拡大図である。図1の点線で囲まれた部分と、図3の点線で囲まれた部分とが対応している。
ここで、支持部15には、側面視で互いに反対方向に、形状(深さ、幅)の等しい2つの凹部151、152が設けられている。この凹部151、152を設けることにより、支持部15が、クランク状になっており、屈曲部153、154が形成されている。この屈曲部153、154の角度θは、それぞれ、例えば90°である。
【0031】
なお、本実施の形態では、2つの凹部151、152を設けたが、凹部の個数は、1つまたは3つ以上でもよい。また、本実施の形態では、凹部151、152を同じ形状としたが、両凹部の深さおよび幅の一方または両方が異なっていてもよい。
【0032】
このような凹部151、152を設けることにより、固定部14および可動部16よりも支持部15の弾性係数を小さくしている。これにより、固定部14と可動部16との間に発生する力を支持部15により緩和することができるため、固定部14に発生する外力が、可動部16に伝達することを抑制することができる。従って、可動部16に発生する応力を緩和することができる。以下、詳しく説明する。
【0033】
図4は、支持部が可動部に発生する応力を緩和する様子を示す図である。
図4(a)は、可動部16に応力が発生していない状態を示している。
例えば、図4(a)において固定部14が左側に変位した場合や、可動部16が右側に変位した場合、または、その両方の場合は、図4(b)に示すように、固定部14と可動部16とが離間する方向に力がはたらく。このような力がはたらく場合の例として、気温の変動等が挙げられる。
【0034】
この場合、固定部14および可動部16より支持部15の弾性係数が小さいため、屈曲部153、154が鈍角に変位する。これにより、固定部14に発生する外力が、可動部16に伝達することを抑制し、可動部16に発生する応力を緩和することができる。
【0035】
他方、図4において固定部14が右側に変位した場合や、可動部16が左側に変位した場合、または、その両方の場合は、図4(c)に示すように、固定部14と可動部16とが接近する方向に力がはたらく。このような力がはたらく場合の例として、気温の変動等が挙げられる。
【0036】
この場合、固定部14および可動部16より支持部15の弾性係数が小さいため、屈曲部153、154が鋭角に変位する。これにより、固定部14に発生する外力が、可動部16に伝達することを抑制し、可動部16に発生する応力を緩和することができる。
【0037】
このとき、図4(c)に示す状態において、凹部151の端部151a、151a同士および凹部152の端部152a、152a同士が、接触しないよう設計されているのが好ましい。このため凹部151、152の間隙の幅yを予め計算によって求めておくのが好ましい。
【0038】
以下、具体的な数字を挙げて第1の実施の形態の間隙の幅yの決定方法の一例を示す。
水晶のZ軸方向(図2中、上下方向)の膨張係数は、8.0×10E−6/℃で表される。水晶のZ軸と垂直方向(図2中、左右方向)の膨張係数は、17.4×10E−6/℃で表される。従って、ここでは可動部16の膨張係数を12.0×10E−6/℃とする。
【0039】
また、基板12、13の構成材料をアルミナとすると、アルミナ基板の膨張係数は、5〜8×10E−6/℃である。ここでは、一例として、6×10E−6/℃とする。
また、振動子10の使用温度範囲を−40℃〜85℃とすると、室温(25℃)からの最大温度変化量は、65℃(−40℃との差)となる。ここでは、一例として、85℃(温度差60℃)の場合について説明する。
【0040】
図4(a)に示すように、仮に支持部15が変位していないときの支持部15の両端間の距離xを1mmとする。
この温度差65℃での可動部16の膨張量は、1×10E−3×12.0×10E−6/℃×60(℃)=7.2×10E−7(m)となる。
【0041】
また、温度差65℃での基板12、13の膨張量は、1×10E−3×6×10E−6/℃×60(℃)=3.6×10E−7(m)となる。
縮み量を比べると、可動部16の膨張量が、基板12、13の膨張量よりも大きいため、支持部15、15の形状は、図4(c)に示すように変位する。
【0042】
縮み量の差は、7.2×10E−7(m)−3.6×10E−7(m)=3.6×10E−7(m)となる。
本実施の形態の支持部15、15が、この縮み量の差を吸収するには、左右2箇所ずつ設けられた計4箇所の間隙の幅yの合計が、3.6×10E−7(m)以上であるのが好ましい。
【0043】
各箇所の間隙の幅yが等しいとすると、支持部15が変位していないときの幅yは、例えば、3.6/4≒0.9×10E−7(m)とする。
実際には、温度変化による応力の発生以外の他の要因(例えば、振動子10が他の基板に実装されたときに生じる応力等)を考慮してマージンを持たせるよう設計するのが好ましい。
【0044】
以上述べたように、振動子10によれば、支持部15に凹部151、152を設けて弾性係数を固定部14および可動部16より小さくした。これにより、圧電基板11と基板12、13の膨張係数が相違し、温度変化等により固定部14と可動部16との距離が変位する場合でも、支持部15により、可動部16に発生する応力が緩和される。従って、発振周波数の変動を抑制することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、可動部16と凸部16aとを一体的に形成した。しかし、これに限らず、凸部16aをAu等の金属で形成してもよい。
次に、振動子10の製造方法の一例を説明する。
【0046】
図5は、第1の実施の形態の振動子の製造方法の一例を示す図である。
なお、以下の各工程は、真空の雰囲気で行うのが好ましい。これにより、加工中の部品に異物が付着したり、部品の組立時に傷がついたりすることを抑制することができる。
【0047】
まず、圧電基板11の製造方法を説明する。
[ステップS1] 圧電基板11となる圧電材料20を用意する。そして、この圧電材料20に対し切断、研磨等の加工を施し、圧電材料20を所定の厚さに加工した素板を得る。その後、ステップS2に遷移する。
【0048】
[ステップS2] 素板に対し研磨やエッチングを施すことにより、発振周波数を調整する。その後、ステップS3に遷移する。
[ステップS3] 例えば、フォトエッチング等により、圧電基板11を複数形成する。その後、ステップS4に遷移する。なお、本ステップにおいて、凹部151、152も一体的に製造することができる。
【0049】
[ステップS4] 圧電基板11の1つ1つを分割する。
次に、基板12、13の製造方法を説明する。
[ステップS5] 基板12、13となる2枚の基板21、21をそれぞれ用意する。基板21としては、例えば、セラミック基板が挙げられる。なお、図5では、1枚の基板21を図示している。そして、基板21、21に切断や研磨等を施して凹部121、131となる複数の凹部(スルーホール)21aを形成する。その後、ステップS6に遷移する。
【0050】
[ステップS6] メッキ等により、基板21、21の表面に電極17、18を形成する。その後、ステップS7に遷移する。
[ステップS7] 封止部19a〜19dとなる低融点ガラス等の封着剤191を基板21、21の片側の表面にそれぞれ塗布する。
【0051】
[ステップS8] 一方の基板21上に各圧電基板11を配置し、その上に他方の基板21を配置する。そして、各基板21の、封着剤191が塗布された面同士を互いに貼り合わせる。これにより、振動子10が複数形成される。その後、ステップS9に遷移する。
【0052】
[ステップS9] 振動子10の1つ1つを分割する。
これにより、振動子10が得られる。なお、振動子10の製造方法は、前述したステップの順番に限定されない。
【0053】
<第1の変形例>
図6は、第1の実施の形態の振動子の第1の変形例を示す図である。同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0054】
第1の変形例では、支持部の構成が異なり、それ以外は振動子10と同様である。
第1の変形例の支持部15aは、例えばエッチング等により上下方向の厚さが可動部16に比べて薄く(薄肉に)加工されている。これにより、弾性係数が支持部15に比べて小さくなり、さらに可動部16に発生する応力を緩和することができる。
【0055】
<第2の変形例>
図7は、第1の実施の形態の振動子の第2の変形例を示す図である。同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0056】
第2の変形例では、支持部の構成が異なり、それ以外は振動子10と同様である。
第2の変形例の支持部15b、15bは、固定部14および可動部16とは異なる部材で形成されている。
【0057】
この支持部15b、15bは、それぞれ、固定部14と可動部16によって挟まれる位置に、図7中上側に開口した凹部155と下側に開口した凹部156とを有している。このような凹部155、156を設けることにより、固定部14および可動部16よりも支持部15bの弾性係数を小さくしている。
【0058】
なお、本実施の形態では、2つの凹部155、156を設けたが、支持部15bの凹部の個数は、1つまたは3つ以上でもよい。また、本実施の形態では、凹部155、156を同じ形状としたが、深さおよび幅の一方または両方が異なっていてもよい。
【0059】
また、支持部15bは、固定部14と係合する係合部157と、可動部16と係合する係合部158とを有している。
係合部157は、凹部155に隣接する隣接面157aと、隣接面157aから固定部14側にL字状に屈曲した屈曲部157b、157c、157dを有している。
【0060】
係合部158は、凹部156に隣接する隣接面158aと、隣接面158aから可動部16側にL字状に屈曲した屈曲部158b、158c、158dを有している。
以下、図7中左側の支持部15bを例に取って、可動部16の支持方法を説明する。
【0061】
係合部157は、固定部14の端部141を屈曲部157b、157cによって上側から挟み込み、屈曲部157dによって下側から挟み込むことにより固定部14と係合している。
【0062】
係合部158は、可動部16の端部161を屈曲部158b、158cによって下側から挟み込み、屈曲部158dによって上側から挟み込むことにより可動部16と係合している。
【0063】
支持部15bは、製造時においては、自然状態(変位していない状態)に保たれているのが好ましい。
このような凹部155、156を設けることにより、固定部14および可動部16より支持部15bの弾性係数を小さくしている。これにより、固定部14と可動部16との間に発生する力を支持部15bにより緩和することができるため、固定部14に発生する外力が、可動部16に伝達することを抑制することができる。従って、可動部16に発生する応力を緩和することができる。
【0064】
<第3の変形例>
図8は、第1の実施の形態の振動子の第3の変形例を示す図である。同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0065】
図8に示す第3の変形例の支持部15c、15cは、樹脂等の弾性部材で形成されている。固定部14および可動部16よりも支持部15cの弾性係数が小さい点は、前述した支持部15、15a、15bと同様である。
【0066】
この支持部15c、15cは、それぞれ、弾性変形した状態で固定部14の端面142および可動部16の端面162に圧接している。
このような支持部15c、15cを有する振動子10において、固定部14と可動部16とが離間する方向に力がはたらく場合は、支持部15c、15cの弾性変形が、自然状態(変形していない状態)、または、自然状態に近い状態に変位することにより、可動部16に発生する応力を緩和することができる。
【0067】
また、固定部14と可動部16とが接近する方向に力がはたらく場合は、支持部15c、15cが、さらに弾性変形することにより、可動部16に発生する応力を緩和することができる。
【0068】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の振動子について説明する。
以下、第2の実施の形態の振動子について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0069】
図9は、第2の実施の形態の振動子の構造を示す斜視図(分解図)であり、図10は、図9のB−B線での断面図である。
図9および図10に示す振動子10aは、基板12、13の代わりに基板12a、13aを有する点が第1の実施の形態の振動子10と異なっている。
【0070】
基板12a、13aは、それぞれ、導電性を有する材料で形成されており、この基板12a、13a自体が電極を兼ねている。このため、別途電極を配設していない。また、電極を配設する凹部も設けられていない。
【0071】
基板12a、13aの構成材料は、例えば、銅(Cu)等が挙げられる。
ところで、基板12a、13aは、それぞれ、導電性を有する材料で形成する場合、前述した第1の実施の形態とは、支持部15の間隙の幅yの決定方法が異なる場合がある。
【0072】
以下、具体的な数字を挙げて第2の実施の形態の支持部15の間隙の幅yの決定方法の一例を示す。
第1の実施の形態と同様に、可動部16の膨張係数を12.0×10E−6/℃とする。
【0073】
また、基板12a、13aの構成材料を銅とし、銅の膨張係数を一例として、17×10E−6/℃とする。
また、振動子10aの使用温度範囲を−40℃〜85℃とすると、室温(25℃)からの最大温度変化量は、65℃(−40℃との差)となる。
【0074】
この温度差65℃での可動部16の縮み量は、1×10E−3×12.0×10E−6/℃×65(℃)=7.8×10E−7(m)となる。
また、温度差65℃での基板12a、13aの縮み量は、1×10E−3×17×10E−6/℃×65(℃)=1.1×10E−6(m)となる。
【0075】
縮み量を比べると、基板12a、13aの縮み量が、可動部16の縮み量よりも大きいため、支持部15、15の形状は、図4(c)に示すように変位する。
縮み量の差は、7.8×10E−7(m)−1.1×10E−6(m)=−3.2×10E−7(m)となる。
【0076】
本実施の形態の支持部15、15が、この縮み量を吸収するには、左右2箇所ずつ設けられた計4箇所の間隙の幅yの合計が、3.2×10E−7(m)以上であるのが好ましい。
【0077】
各箇所の間隙の幅yが等しいとすると、支持部15が変位していないときの幅yは、例えば、3.2/4≒0.8×10E−7(m)とする。
実際には、温度変化による応力の発生以外の他の要因(例えば、振動子10が他の基板に実装されたときに発生する応力等)を考慮してマージンを持たせるよう設計するのが好ましい。
【0078】
この第2の実施の形態の振動子10aによれば、第1の実施の形態の振動子10と同様の効果が得られる。
そして、第2の実施の形態の振動子10aによれば、各支持部15に凹部151、152を設けたので、圧電基板11に比べ、膨張係数が大きい基板12a、13aを用いた場合においても、可動部16に発生する応力を軽減することができる。また、気密封止構造を兼ねた基板12a、13aは、圧電基板11の励振電極であるとともに、外部の端子としてもそのまま使用することができる。従って、基板12a、13aを用いることにより、振動子10aの構造を簡易なものとすることができる。
【0079】
次に、第2の実施の形態の振動子10aの製造方法を説明する。
図11は、第2の実施の形態の振動子の製造方法の一例を示す図である。なお、以下の各工程は、真空の雰囲気で行うのが好ましい。これにより、加工中の部品に異物が付着したり、部品の組立時に傷がついたりすることを抑制することができる。
【0080】
[ステップS11] 圧電基板11となる圧電材料20を用意する。そして、この圧電材料20に対し切断、研磨等の加工を施し、圧電材料20を所定の厚さに加工した素板を得る。その後、ステップS12に遷移する。
【0081】
[ステップS12] 素板に対し研磨やエッチングを施すことにより、発振周波数を調整する。その後、ステップS13に遷移する。
[ステップS13] 例えば、フォトエッチング等により、圧電基板11を複数形成する。その後、ステップS14に遷移する。
【0082】
[ステップS14] 圧電材料20の固定部14となる部位の上面および下面に、封止部19a〜19dの一部となる低融点ガラス等の封着剤191を塗布する。
次に、基板12a、13aの製造方法を説明する。
【0083】
[ステップS15] 基板12a、13aとなる導電性を有する基板22、22を準備する。なお、図11では、1枚の基板22を図示している。そして、この筐体に切断、研磨等の加工を施す。その後、ステップS16に遷移する。
【0084】
[ステップS16] 各基板22表面にメッキ等の処理を施し、各基板22にそれぞれ複数の基板12a、13aを形成する。その後、ステップS17に遷移する。
[ステップS17] 基板22、22の間に圧電材料20を挟み込む。そして、基板22、22と、圧電材料20を互いに貼り合わせる。これにより、振動子10aが複数形成される。その後、ステップS18に遷移する。
【0085】
[ステップS18] 振動子10aの1つ1つを分割する。
これにより、振動子10aが得られる。なお、振動子10aの製造方法は、前述したステップの順番に限定されない。
【0086】
この振動子10aの製造方法では、振動子10の製造方法に比べて工程が簡易化される。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の振動子について説明する。
【0087】
以下、第3の実施の形態の振動子について、前述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図12は、第3の実施の形態の振動子の構造を示す斜視図(分解図)であり、図13は、図12のC−C線での断面図である。
【0088】
図12および図13に示す振動子10bは、基板12、13の代わりに基板12b、13bを有する点が第1の実施の形態の振動子10と異なっている。
基板12b、13bの構成材料としては、例えば、アルミナ等が挙げられる。基板12bの表面の一部には、励振用の電極17bが設けられている。基板13bの表面の一部には、励振用の電極18bが設けられている。
【0089】
なお、図12では、電極17b、18bの位置を斜線部で示している。
基板12bの固定部14に対応する部位には、固定部14の外周の形状に沿った凹部122が形成されている。凹部122の表面の一部には、凹部121から連なる電極17bが配設されている。
【0090】
さらに基板12bの可動部16に対応する部位には、深さが凹部122より深い凹部123が形成されている。凹部123の寸法(外形寸法)は、可動部16より少し大きく設定されている。凹部123の表面には、凹部122から連なる電極17bが配設されている。
【0091】
また、基板13bの固定部14に対応する部位には、固定部14の外周の形状に沿った凹部132が形成されている。凹部132の寸法は、凹部122と等しい。凹部132の表面には、凹部131から連なる電極18bが配設されている。
【0092】
さらに基板13bの可動部16に対応する部位には、深さが凹部132より深い凹部133が形成されている。凹部133の寸法(外形寸法)は、凹部123と同じである。凹部133の表面には、凹部132から連なる電極18bが配設されている。
【0093】
固定部14の外枠が、この凹部122、132の側部に沿って配置されることで、圧電基板11が、基板12b、13bによって、包み込まれる。
また、基板12b、13bは、直接接触していない。具体的には、固定部14が、凹部122、132に配置された状態で、固定部14の外枠に沿って所定の間隙が設けられている。この隙間には、封止部19cが設けられている。これにより、基板12b、13b、固定部14、封止部19c、および、電極17b、18bによって囲まれた空間30が気密に保たれている。
【0094】
次に、第3の実施の形態の振動子10bの製造方法の一例を説明する。
図14は、第3の実施の形態の振動子の製造方法の一例を示す図である。
なお、以下の各工程は、真空の雰囲気で行うのが好ましい。これにより、加工中の部品に異物が付着したり、部品の組立時に傷がついたりすることを抑制することができる。
【0095】
まず、圧電基板11の製造方法を説明する。
[ステップS21] 圧電基板11となる圧電材料20を用意する。そして、この圧電材料20に対し切断、研磨等の加工を施し、圧電材料20を所定の厚さに加工した素板を得る。その後、ステップS22に遷移する。
【0096】
[ステップS22] 素板に対し研磨やエッチングを施すことにより、発振周波数を調整する。その後、ステップS23に遷移する。
[ステップS23] 例えば、フォトエッチング等により、圧電基板11を複数形成する。その後、ステップS24に遷移する。
【0097】
[ステップS24] 圧電基板11の1つ1つを分割する。
次に、基板12b、13bの製造方法を説明する。
[ステップS25] 基板12b、13bとなる2枚の基板21、21をそれぞれ用意する。なお、図14では、1枚の基板21を図示している。そして、一方の基板21に切断や研磨等を施して凹部121となる複数の凹部21a、並びに、複数の凹部122および複数の凹部123を形成する。また、他方の基板21にも切断や研磨等を施して凹部131となる複数の凹部21a、並びに、複数の凹部132および複数の凹部133を形成する。その後、ステップS26に遷移する。
【0098】
[ステップS26] メッキ等により、筐体の表面に電極17b、18bを形成する。その後、ステップS27に遷移する。
[ステップS27] 封止部19cとなる低融点ガラス等の封着剤191を基板21、21の片側の表面にそれぞれ塗布する。その後、ステップS28に遷移する。
【0099】
[ステップS28] 一方の基板21上に各圧電基板11を配置し、その上に他方の基板21を挟み込む。そして、各基板21の、封着剤191が塗布された面同士を互いに貼り合わせる。これにより、振動子10bが複数形成される。その後、ステップS29に遷移する。
【0100】
[ステップS29] 振動子10bの1つ1つを分割する。
これにより、振動子10bが得られる。なお、振動子10bの製造方法は、前述したステップの順番に限定されない。
【0101】
この第3の実施の形態の振動子10bによれば、第1の実施の形態の振動子10と同様の効果が得られる。
そして、第3の実施の形態の振動子10bによれば、圧電基板11を凹部122、132に嵌め込み、基板12b、13bによって挟み込む構造とすることにより、さらに、実装応力等の外力や、経年的な温度サイクルによる劣化等に対して強い構造とすることができ、周波数の偏差を抑制することができる。
【0102】
また、封止部19cと圧電基板11とが接触する面積を減少させることにより、膨張係数の差異により発生する力の封止部19cへの影響を減少させるようにした。これにより、封止部19cの剥がれを抑制し、空間30の気密状態の維持を図ることができる。
【0103】
<第1の変形例>
次に、第3の実施の形態の振動子の第1の変形例を説明する。
図15は、第3の実施の形態の振動子の第1の変形例を示す断面図である。振動子10bと同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0104】
第1の変形例の振動子10cは、圧電基板11が、振動子10cの設置面に対し垂直になるように配置されている。基板12c、13cは、基板12b、13bよりも厚さが厚く、左右から圧電基板11を挟み込んでいる。そして、端子部分172、182が、同じ面側(図15では、下面側)に位置している。この端子部分172、182は、設置面に水平になるように形成されている。
【0105】
このような振動子によっても振動子10bと同様の効果を得ることができる。
また、端子部分172、182が、同じ面側に位置していることにより、配線の容易化が図れる。
【0106】
<第2の変形例>
図16は、第3の実施の形態の振動子の第2の変形例を示す断面図である。振動子10bと同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0107】
図16に示す第2の変形例の振動子10dは、支持部の一部が、基板12b、13bと一体的に設けられており、可動部16の両端部を上下から挟み込む構造になっている。また、可動部16の凸部16aが設けられていない部分の左右方向の長さが、図2、図7および図8に示す可動部16に比べて若干長く形成されている。
【0108】
また、基板13bは、凹部132、133の代わりに、1つの凹部134を有している。そして、基板12bと基板13bとによって形成される凹部135に可動部16の端部が位置している。
【0109】
また、この凹部135の一方の側部には、弾性を有する支持部15dが設けられている。この支持部15dは、膨張係数の差異を考慮して、可動部16の端面163から若干離れた可動部16の下面164に当接して可動部16を上方向に付勢している。この弾性部材の弾性力によって、可動部16が支持されている。この状態において、可動部16は、左右方向に移動可能になっている。
【0110】
支持部15dが、可動部16の端面163から若干離れた位置に当接することで、温度変化等により、凹部135の底部135aと可動部16の端面163との距離が離間しても支持部15dが可動部16を支持することができる。
【0111】
また、可動部16の端面163と、凹部135の底部135aとの間には、膨張係数の差異を考慮して間隙が設けられている。これにより、温度変化等により、凹部135の底部135aと可動部16の端面163との距離が接近しても可動部16の底部135aへの接触を抑制し、可動部16の応力の発生を抑制することができる。
【0112】
次に、第3の実施の形態の振動子10bを発振器に適用した場合を説明する。
<第1の応用例>
図17は、実施の形態の第1の応用例の発振器を示す斜視図であり、図18は、実施の形態の第1の応用例の発振器を示す断面図である。
【0113】
図17および図18に示す発振器100は、振動子10bと、リードフレーム31〜36と、IC(Integrated Circuit)40と、モールド部50とを有している。
リードフレーム31〜36は、それぞれ、ダイボンド等の接合層61を介して振動子10bに固着されている。
【0114】
リードフレーム31とリードフレーム32は、図示しない電源に接続されている。また、リードフレーム33は、図示しない出力端子に接続されている。
リードフレーム31は、グランド端子(G)として機能する。リードフレーム32は、電圧入力用端子(Vd)として機能する。リードフレーム33は、発振周波数出力端子(OUT)として機能する。リードフレーム34は、電極17bに接続されている。リードフレーム35、36は、NC(No Connect)である。
【0115】
IC40は、ダイボンド等の接合層62を介して振動子10bに固着されている。
IC40は、図示しない増幅器や帰還回路等を備える発振回路と出力バッファを有している。
【0116】
IC40上には複数の電極パッド41〜46が設けられている。
また、基板13b上には、電極18bに加え、端子71〜74が設けられている。なお、図17では、配置のし易さを考慮して、電極18bの形状が、図12に示す電極18bとは若干異なっている。
【0117】
電極パッド41は、ボンディングワイヤ51aを介して端子71に接続されている。また、端子71は、ボンディングワイヤ51bを介してリードフレーム31に接続されている。電極パッド42は、ボンディングワイヤ52aを介して端子72に接続されている。また、端子72は、ボンディングワイヤ52bを介してリードフレーム32に接続されている。電極パッド43は、ボンディングワイヤ53aを介して端子73に接続されている。また、端子73は、ボンディングワイヤ53bを介してリードフレーム33に接続されている。また、電極パッド44は、ボンディングワイヤ54aを介して端子74に接続されている。端子74は、ボンディングワイヤ54bを介してリードフレーム34に接続されている。
【0118】
また、電極パッド45は、ボンディングワイヤ55を介して電極18bに接続されている。
これにより、IC40が出力する駆動電圧は、電極パッド44から電極17bに印加される。また、電極パッド45から電極18bに印加される。発振回路が出力する発振周波数は、IC40に設けられた電極パッド43からリードフレーム33に供給される。
【0119】
モールド部50は、振動子10bおよびIC40を覆うように形成されており、振動子10およびIC40を封止している。リードフレーム31〜36の一部が外部に露出している。
【0120】
モールド部50の構成材料は、例えば、樹脂材料等が挙げられる。
このような発振器100によれば、実装応力等の外力や、経年的な温度サイクルによる劣化に対して強い構造とすることができ、空間30の気密状態の維持を図ることができる。
【0121】
また、封止部19cと圧電基板11とが接触する面積を減少させることにより、膨張係数の差異により発生する力の封止部19cへの影響を減少させるようにした。これにより、封止部19cの剥がれを抑制し、空間30の気密状態の維持を図ることができる。
【0122】
<第2の応用例>
図19は、実施の形態の第2の応用例の発振器を示す斜視図であり、図20は、実施の形態の第2の応用例の発振器を示す断面図である。発振器100と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0123】
図19に示す発振器100aは、振動子10bと、IC40と、モールド部50とを有している。
第2の応用例の振動子10bは、基板12bの表面積が、基板13bよりも大きくなっている。また、凹部121、131が形成されていない。
【0124】
また、基板12b上には、電極17bに加え、配線パターンを形成するグランド端子31a、電圧入力用端子32a、発振周波数出力端子33aが設けられている。なお、図18では、配置のし易さを考慮して、電極17b、18bの形状が、図12に示す電極17b、18bとは若干異なっている。
【0125】
グランド端子31a、電圧入力用端子32a、発振周波数出力端子33aは、それぞれ、基板12bの表面から側壁に沿って背面側に露出している。端子34aは、NC(No Connect)である。
【0126】
グランド端子31a、電圧入力用端子32aは、図示しない電源に接続されている。また、発振周波数出力端子33aは、図示しない出力端子に接続されている。
IC40は、ダイボンド等の接合層62を介して振動子10bに固着されている。
【0127】
IC40は、図示しない発振回路と出力バッファを有している。
IC40上には複数の電極パッド41〜46が設けられている。
また、基板13上には、電極18bに加え、端子71a〜74aが設けられている。
【0128】
電極パッド41は、ボンディングワイヤ51cを介して端子71aに接続されている。また、端子71は、ボンディングワイヤ51dを介してグランド端子31aに接続されている。電極パッド42は、ボンディングワイヤ52cを介して端子72aに接続されている。また、端子72aは、ボンディングワイヤ52dを介して電圧入力用端子32aに接続されている。電極パッド43は、ボンディングワイヤ53cを介して端子73aに接続されている。また、端子73aは、ボンディングワイヤ53dを介して発振周波数出力端子33aに接続されている。また、電極パッド44は、ボンディングワイヤ54cを介して端子74aに接続されている。端子74aは、ボンディングワイヤ54dを介して電極17bに接続されている。
【0129】
また、電極パッド45は、ボンディングワイヤ55cを介して電極18bに接続されている。
これにより、IC40が出力する駆動電圧は、電極パッド44から電極17bに印加される。また、電極パッド45から電極18bに印加される。発振回路が出力する発振周波数は、IC40に設けられた電極パッド43から発振周波数出力端子33aに供給される。
【0130】
モールド部50は、振動子10bおよびIC40を覆うように形成されており、振動子10およびIC40を封止している。グランド端子31a、電圧入力用端子32a、発振周波数出力端子33aの一部が外部に露出している。
【0131】
このような発振器100aによれば、発振器100と同様の効果が得られる。
<第3の応用例>
図21は、実施の形態の第3の応用例の発振器を示す断面図である。発振器100と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0132】
図21に示す発振器100bは、IC40の配置位置が、発振器100と異なっている。
発振器100bは、IC40が、リードフレーム31〜36を介して振動子10bの下側(反対側)に配置されている。モールド部50の外部に配置されたリードフレーム31〜36は、モールド部50に沿って、モールド部50の下側に配置されている部位を有している。
【0133】
IC40と振動子10bとの接続関係は、第2の応用例にて説明した接続関係と同様であるため、詳しい説明を省略する。
このような発振器100bによれば、発振器100、100aと同様の効果が得られる。
【0134】
以上、本発明の振動子および発振器を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0135】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
以上の第1〜第3の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0136】
(付記1) 互いに対向する位置に配置され、同一材料の一対の筐体と、
前記一対の筐体にそれぞれ設けられる励振用電極と、
前記一対の筐体間に設けられ、前記励振用電極に電圧が印加されることにより発振する可動部と、
前記可動部を支持し、外力の前記可動部への伝達を抑制する少なくとも2つの支持部と、
を有することを特徴とする振動子。
【0137】
(付記2) 前記支持部は、前記可動部の弾性係数より小さい弾性係数を備える弾性部材を有することを特徴とする付記1記載の振動子。
(付記3) 前記支持部は、前記可動部よりも厚さが薄い薄肉部を有することを特徴とする付記1記載の振動子。
【0138】
(付記4) 前記一対の筐体が前記励振用電極を兼ねることを特徴とする付記1記載の振動子。
(付記5) 枠状をなし、前記支持部を介して前記可動部を前記一対の筐体に固定する固定部を有し、
前記一対の筐体は、それぞれ、前記固定部の外周の形状に沿った凹部を有し、
前記固定部は、前記凹部に沿って配置されていることを特徴とする付記1記載の振動子。
【0139】
(付記6) 前記可動部は、板状をなしており、
前記支持部は、前記可動部の端部を面に対向する方向から付勢して支持する弾性部材を有することを特徴とする付記1記載の振動子。
【0140】
(付記7) 互いに対向する位置に配置され、同一材料の一対の筐体と、
前記一対の筐体にそれぞれ設けられる励振用電極と、
前記一対の筐体間に設けられ、前記励振用電極に電圧が印加されることにより発振する可動部と、
前記可動部を支持し、外力の前記可動部への伝達を抑制する少なくとも2つの支持部と、を有する振動子と、
前記振動子を駆動する集積回路と、
を有することを特徴とする発振器。
【符号の説明】
【0141】
10、10a、10b、10c、10d 振動子
11 圧電基板
12、12a、12b、12c、13、13a、13b、13c、21、22 基板
14 固定部
15、15a、15b、15c、15d 支持部
16 可動部
16a 凸部
17、17b、18、18b 電極
19a、19b、19c 封止部
20 圧電材料
21a 凹部
30 空間
31、32、33、34、35、36 リードフレーム
31a グランド端子
32a 電圧入力用端子
33a 発振周波数出力端子
34a 端子
41、42、43、44、45、46 電極パッド
50 モールド部
51a、51b、51c、51d、52a、52b、52c、52d、53a、53b、53c、53d、54a、54b、54c、54d、55、55c ボンディングワイヤ
61、62 接合層
71、71a、72、73、74 端子
100、100a、100b 発振器
121、122、123、131、132、133、134、135 凹部
135a 底部
141、161 端部
142、162、163 端面
151、152、155、156 凹部
151a、152a 端部
153、154、157b、157c、157d、158b、158c、158d 屈曲部
157、158 係合部
157a、158a 隣接面
164 下面
171、181 対向部位
172、182 端子部分
191 封着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する位置に配置され、同一材料の一対の筐体と、
前記一対の筐体にそれぞれ設けられる励振用電極と、
前記一対の筐体間に設けられ、前記励振用電極に電圧が印加されることにより発振する可動部と、
前記可動部を支持し、外力の前記可動部への伝達を抑制する少なくとも2つの支持部と、
を有することを特徴とする振動子。
【請求項2】
前記支持部は、前記可動部の弾性係数より小さい弾性係数を備える弾性部材を有することを特徴とする請求項1記載の振動子。
【請求項3】
前記支持部は、前記可動部よりも厚さが薄い薄肉部を有することを特徴とする請求項1記載の振動子。
【請求項4】
前記一対の筐体が前記励振用電極を兼ねることを特徴とする請求項1記載の振動子。
【請求項5】
枠状をなし、前記支持部を介して前記可動部を前記一対の筐体に固定する固定部を有し、
前記一対の筐体は、それぞれ、前記固定部の外周の形状に沿った凹部を有し、
前記固定部は、前記凹部に沿って配置されていることを特徴とする請求項1記載の振動子。
【請求項6】
互いに対向する位置に配置され、同一材料の一対の筐体と、
前記一対の筐体にそれぞれ設けられる励振用電極と、
前記一対の筐体間に設けられ、前記励振用電極に電圧が印加されることにより発振する可動部と、
前記可動部を支持し、外力の前記可動部への伝達を抑制する少なくとも2つの支持部と、を有する振動子と、
前記振動子を駆動する集積回路と、
を有することを特徴とする発振器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2011−166352(P2011−166352A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25425(P2010−25425)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】