説明

排ガス浄化システム

【課題】走行自動再生において、加速・減速が繰り返されたり、排気ブレーキバルブが閉じられても、PID制御による排気管噴射を的確に制御できる排ガス浄化システムを提供する。
【解決手段】ディーゼルエンジン10の排気管20にDPD25を接続し、前記DPD25を自動再生する際の排ガス温度を検知し、検出した排ガス温度と再生目標温度との偏差を求め、この偏差に基づいて、排気管噴射量をPID制御するに際して、走行自動再生時に排気ブレーキバルブ24が閉じられたときに、排気管噴射を停止し、排気ブレーキバルブ24が閉じられている間、PID制御で積分制御項の演算を継続し、排気ブレーキバルブ24が開にされたとき、継続して演算された積分制御項を初期操作量とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中のPM(Particulate Matter)を捕集すると共にNOxを浄化して排気する排ガス浄化システムに係り、特にDPDを自動再生時に増・減速された際の排ガス浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化して排気する排ガス浄化システムとして、排気管にDPD(Diesel Particulate Defuser)及びSCR(Selective Catalytic Reduction;選択触媒還元)装置を接続した排ガス浄化システムが開発されている。
【0003】
この排ガス浄化システムでは、DPDで、排気ガス中のPMを捕集する。また、排ガス浄化システムでは、SCR装置を備えたSCRシステムで、尿素タンクに貯留された尿素水をSCRの排気ガス上流に供給し、排気ガスの熱でアンモニアを生成し、このアンモニアによって、SCR触媒上でNOxを還元して浄化する(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
DPDで捕集したPMは、フィルタの目詰まりの原因となるため、捕集堆積したPMを適宜酸化させ、除去して再生する必要がある。
【0005】
この目詰まりの検出は、排気圧センサがDPD前後の差圧を検知し、その差圧が上限値に達したときに、ECU(Engine Control Unit)が自動的に、或いは手動で行う場合には、キャビン内に設けられたDPD警告灯を点灯し、ドライバーが再生実行スイッチを押すことで、DPD再生が開始される。
【0006】
DPDは、未燃焼燃料を酸化する活性触媒からなるDOC(Diesel Oxidation Catalyst)と排ガス中のPMを捕集するCSF(Catalyzed Soot Filter)からなる。
【0007】
DPD再生は、燃料のマルチ噴射(パイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフタ噴射)を行って排気温度をDOCの触媒活性温度以上に上げた後、ポスト噴射を追加して、排気温度を500℃以上に上昇させ、この高温の排気ガスでCSFに捕集されたPMを燃焼させ、除去して再生する。しかし、ポスト噴射すると、気筒の潤滑油中に燃料油が混入し、潤滑油のダイリューション(希釈)が生じるため、DPD上流側の排気管内で燃料(HC)を噴射する、いわゆる排気管噴射によるDPD再生が行われるようになってきている。
【0008】
この排気管噴射でも、ポスト噴射と同様に、DPD再生は、走行中に自動再生を行う場合と、車を停止してアイドル回転で手動再生する場合とがある。通常は走行中に自動再生するが、走行中の再生のため、車が加減速を繰り返したときなどには排ガス温度が安定せずDPD内でPMの燃え残りが生じやすい。そこで再生インターバルが短く、DPD自動再生が繰り返し行われる場合には、運転手に手動再生を警告し、車を停止した状態で、手動再生実行スイッチを押すことで、手動再生にてDPDのPMを除去するようにしている。
【0009】
また走行中の自動再生で、車の停止時には、アイドル回転でも再生できるように排気ブレーキバルブを閉じて排気温度の低下を防止して、再生を継続するようにしている。
【0010】
この自動再生は、DOCの下流側に設けた排気温度センサでCSFに流入する排ガス温度を検知し、その排ガス温度と再生目標温度との偏差を求め、その偏差に基づいて再生目標温度となるよう排気管噴射量がPID制御される。ここでPは比例制御項であり、Iは積分制御項であり、Dは微分制御項であり、比例制御項(P項)で偏差に比例させて操作量を変え、積分制御項(I項)で偏差を足していき、その値に比例して操作量を変えることで、比例制御での残存偏差(定常偏差)を解消させ、さらに微分制御項(D項)では、偏差の変化率を速度に変え、これに比例した操作量を出すことで、応答速度を速くしていち早く設定値に収束させるように制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−303826号公報
【特許文献2】特許第4175281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この走行自動再生中に、減速力を高める為に排気ブレーキバルブを閉じ減速する場合、排気管自体の熱や高排気圧力下等を考慮して排気管インジェクタによる排気管噴射を止める制御を行っている。また、従来においては排気管噴射等を停止する場合には、PID制御を止めることが一般的である。
【0013】
一方、実際の車両走行において、急加速および車両重量が重いため減速力をより必要とするような排気ブレーキバルブの使用を繰り返すような走り方、または、下り坂等にて減速度維持のために排気ブレーキバルブの使用時などにおいて、排気ブレーキバルブ使用後の急加速時にはDPDを通過する排気ガス量が急増大し、DPD内部を掃気してしまい、後者の降坂時にて排気管噴射停止によりDPD温度が低下してしまう事象が発生する。このような状況の下、従来用いてた排気管噴射停止およびPID再演算を行った場合、たとえば短い区間で排気ブレーキバルブの使用および加速を繰り返した場合等にて、走行自動再生中の排気ブレーキバルブの使用毎に、排気管噴射停止によるPID制御再演算を行うため、積分制御項が直前まで積分した操作量を0としてしまい再度偏差を積分しなおすため、必要とする積分が足りず排気ガス温度を目標再生温度へ昇温するのに時間を要し、最悪の場合いつまでたっても目標としている再生温度に到達できないという問題が発生する。
【0014】
また、一方排気管インジェクタにおいてインジェクタ表面に付着するカーボン等により排気管インジェクタ自体の噴射量が下がる可能性があり、再生昇温性向上および排気管インジェクタ異物付着等の耐力向上観点においても適切なPID制御性の向上が必要となる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、走行自動再生において、加速・減速が繰り返されたり、排気ブレーキバルブが閉じられても、PID制御による排気管噴射を的確に制御できる排ガス浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ディーゼルエンジンの排気管に排気ガス中のPMを捕集するDPDを接続し、前記DPDのPM量が一定量以上になったとき、排気管噴射を行ってディーゼルエンジンの排ガス温度を上昇させてDPDを自動再生する排ガス浄化システムにおいて、自動再生する際の排ガス温度を検知し、検出した排ガス温度と再生目標温度との偏差を求め、この偏差に基づいて、排気管噴射量をPID制御するに際して、走行自動再生時に排気ブレーキバルブが閉じられたときに、排気管噴射を停止し、排気ブレーキバルブが閉じられている間、PID制御で積分制御項の演算を継続し、排気ブレーキバルブが開にされたとき、継続して演算された積分制御項を初期操作量とすることを特徴とする排ガス浄化システムである。
【0017】
請求項2の発明は、前記排気ブレーキバルブの閉が、所定時間以上継続したとき、PID制御をリセットする請求項1記載の排ガス浄化システムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、走行自動再生時の運転状況に応じて排気管噴射量をPID制御で的確に制御できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明における自動再生時の制御チャートを示す図である。
【図3】本発明における自動再生時の走行自動再生とアイドル自動再生時の制御チャートを示す図である。
【図4】本発明と従来における走行自動再生時の排気管噴射と排気ブレーキバルブとPID制御の積分制御項と排ガス温度の関係を説明するチャートで、(a)は本発明、(b)は従来例のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0021】
図1において、ディーゼルエンジン10の吸気マニホールド11と排気マニホールド12は、過給機13のコンプレッサ14とタービン15にそれぞれ連結され、上流側吸気管16aからの空気がコンプレッサ14で昇圧され、下流側吸気管16bのインタークーラ17を通って冷却されて吸気スロットルバルブ18を介して吸気マニホールド11からディーゼルエンジン10に供給され、ディーゼルエンジン10からの排気ガスは、タービン15を駆動した後、排気管20に排気される。
【0022】
上流側吸気管16aには、吸気量を測定するマスエアフローセンサ(MAF)19が設けられ、そのマスエアフローセンサ(MAF)で、吸気スロットルバルブ18の開度が制御されて吸気量が調整される。また排気マニホールド12と吸気マニホールド11には排気ガスの一部をエンジン10の吸気系に戻してNOxを低減するためのEGR(Exhaust Gas Recirculation;排気再循環)管21が接続され、そのEGR管21にEGRクーラ22とEGRバルブ23とが接続される。
【0023】
排気管20には、排気ブレーキバルブ24、DPD25、排気スロットルバルブ26、サイレンサー27が接続される。DPD25は、未燃焼燃料を酸化する活性触媒からなるDOC28と排ガス中のPMを捕集するCSF(Catalyzed Soot Filter)29からなる。
【0024】
排気ブレーキバルブ24の上流側には、DPD再生時に排気ガス温度を昇温させるべく、排気管20に燃料を噴射(排気管噴射)する排気管インジェクタ39が設けられる。この排気管インジェクタ39に図示しない燃料タンクからの燃料を供給する燃料供給ライン40には、燃料中に混入、発生する異物や水分を除去する燃料フィルタ41が接続され、その下流側に排気管インジェクタ39の燃料圧力を測定する燃料圧力センサ42が設けられる。
【0025】
また図には示していないが、排気スロットルバルブ26とサイレンサー27間に、NOxをアンモニアで脱硝するSCR装置が接続される場合もある。
【0026】
DOC28の前後には、排ガス温度センサ30a、30bが設けられ、CSF29のPM堆積量を検出する差圧センサ31が設けられ、これら検出値がECU(エンジンコントロールユニット)32に入力される。
【0027】
ECU32には、エンジンの回転数を検出する回転センサ33の検出値、車速センサ34の検出値が入力される。
【0028】
ECU32は、走行中、アクセル開度に応じて燃料インジェクタ38での燃料噴射量を制御すると共に、吸気スロットルバルブ18、排気ブレーキバルブ24、排気スロットルバルブ26、EGRバルブ23を適宜制御するようになっている。
【0029】
この排ガス処理システムにおいて、ECU32は、CSF29の前後の差圧を検出する差圧センサ31の検出値により、DPD25にPMが一定量堆積したと判断したとき、又は前回の再生後からの走行距離が所定値に達したときに、排ガス温度を最終的に600℃程度に昇温してPMを燃焼させて再生するようになっている。
【0030】
この再生は、DOC28の触媒活性温度以上になるよう、燃料インジェクタ38でマルチ噴射(パイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフタ噴射)を行った後、排気管インジェクタ39で排気管20内に燃料を排気管噴射を行って排ガス温度を、一例として500℃、600℃に昇温してPMを燃焼させるものであり、通常は走行中に自動再生し、その間ECU32は、自動再生ランプ36bを再生中点灯する。自動再生は、走行中に加減速が繰り返されると排ガス温度が安定せず、DPD25内でPMの燃え残りが生じ、再生インターバルが短くなったときには、手動再生ランプ36aを点灯して運転手に手動再生を警告し、運転手が、車を停止した状態で、手動再生実行スイッチ37を押すことで、手動再生にてDPD25を再生できるようになっている。
【0031】
さて、自動再生する際のECU32の制御チャートを図2により説明する。
【0032】
自動再生する際には、ECU32は、吸気スロットルバルブ18を絞り、マルチ噴射を行って排気ガス温度を触媒活性温度以上に昇温し、次にマルチ噴射に排気管インジェクタ39による排気管噴射を加えて排ガス温度を最終的には600℃程度に昇温してPMを燃焼させてDPD25を再生する。また再生は排気管噴射で行うため、EGRバルブ23は、NOx低減のために使用される。再生終了後は、吸気スロットルバルブ18を通常制御に戻す。
【0033】
この自動再生中、車が信号待ちなどで停車しているときには、エンジン回転を通常アイドル回転から、変速機のギヤがニュートラルのときには再生アイドル回転数を通常より高い回転数とし、ギヤインのときには、停止から走行する際の急発進を防止するために再生アイドル回転数を、ギヤがニュートラルのときより低い回転数に設定される。また自動再生中は、ECU32が自動再生警告ランプ36bを点灯させる。
【0034】
図3は自動再生する際の排ガス目標温度と排気管噴射量の積算値と再生時間をカウントするチャートを示したものである。
【0035】
先ず、マルチ噴射に排気管噴射を加えてDPDを再生する際には、排ガス温度を昇温すると堆積したPMが一気に燃焼するのを防止すべく、例えば、初期の再生目標温度を500℃程度とし、DPD内のPMをある程度燃焼させたならば、目標温度を変更して最終再生目標温度を、初期再生目標温度より高い温度、例えば600℃程度になるように排気管噴射量を制御する。
【0036】
この際、ECU32は、初期の再生目標温度Taに対して図示の点線で示した所定温度低いPM燃焼判定温度TaPMを設定し、そのPM燃焼判定温度TaPM以上に排ガス温度が高いときにはPMが燃焼されているとして、その時間を積算し、その積算時間が例えば2〜5分となったときには、次の最終再生目標温度Tbに変更し、その最終再生目標温度Tbに対して同じく低いPM燃焼判定温度TbPMを設定し、そのPM燃焼判定温度TbPM以上に排ガス温度が高いときにはPMが燃焼されているとして、その時間を積算し、その積算時間が例えば、温度変更から3〜10分となったときに再生完了とする。
【0037】
また、ECU32は、排ガス温度がPM燃焼判定温度TaPM、TbPM以上に上がる時間が少なく、積算時間をカウントしない場合には、排気管噴射量を積算した値が排気管噴射設定上限値以上となったときには、再生未完了と判断する。
【0038】
この自動再生中に再生目標温度Ta、Tbに対して高い、排気管噴射可能上限温度TaL、TbLを設定し、排ガス温度が、排気管噴射可能上限温度TaL、TbL以上のときには、DPD溶損防止のため排気管噴射を中止する。
【0039】
なお、手動再生する際には、ECU32が手動再生ランプ36aを点滅させて手動再生を警告し、この警告を受けて、運転手が、車を停止させると共に、DPD25の手動再生実行スイッチ37を押すことで手動再生が開始される。
【0040】
手動再生の際には、ECU32は、エンジン回転数をアイドル回転から再生アイドル回転数に上げ、吸気スロットルバルブ18を絞り、EGRバルブ23を閉じると共に排気ブレーキバルブ24を閉じて、マルチ噴射を行って排気ガス温度を昇温し、昇温後に、排気ブレーキバルブ24を開とすると共に排気スロットルバルブ26を閉じて、マルチ噴射に排気管噴射を加えて排ガス温度を、最終的には600℃程度に昇温してPMを燃焼させてDPD25を再生する。この手動再生でも、図3で説明した再生目標温度Ta、Tbを設定すると共に同様に積算時間をカウントする。
【0041】
次に、排気管噴射量のPID制御について説明する。
【0042】
先ず自動再生中に図1で説明した排ガス温度センサ30bで排ガス温度が検知され、ECU32は、上述した再生目標温度Ta、Tbと排ガス温度の偏差eを求めその偏差に基づいてPID制御により、排気管インジェクタ39による排気管噴射の操作量Mを決定する。
【0043】
この操作量Mは、下式で表される。
M=Kp・e+Ki・(1/Ti)・∫edt+Kd・Td(de/dt)
【0044】
上式中、Kpは、比例制御の比例定数、Kiは積分制御の比例定数、Kdは微分制御の比例定数、Tiは積分時間、Tdは微分時間、tは時間である。
【0045】
ここで、操作量Mは、比例制御項と積分制御項と微分制御項の総和で決定される。実際の排気管噴射量は、この操作量Mにベース項の操作量を足し合わせて、燃料圧力センサ42の燃圧と排気管インジェクタ39の開弁時間にて決定される。
【0046】
このPID制御で、走行自動再生中は、排ガス温度が高く排ガス量も多く、排気管噴射量を調整し、再生目標温度Ta、Tbに正確に制御することができる。
【0047】
この自動再生中に、車が急加速や急減速を繰り返したり、或いは下り坂を走行して排気ブレーキバルブを運転手が閉としたときには、排気ガス量の増減により排気管噴射を継続するとDPD25内の温度が急上昇して排気管噴射可能上限温度TaL、TbLを超えるおそれがある。その場合には排気管噴射を中断し、DPD25の溶損を防止する。
【0048】
従来においては、図4(b)に示すように、排気ブレーキバルブが閉じられたとき、排気管噴射を停止し、同時にPID制御も停止し、排気ブレーキバルブが開いたときに、再度PID制御により排気管噴射を行うようにしているが、この場合、PID制御の積分制御項は、PID制御停止のために、ゼロリセットされる。その結果、PID制御開始から再度偏差eを積分することとなり、その後、再度排気ブレーキバルブが閉じられると、積分制御項を再度ゼロリセットするため、排気管噴射量の適正な制御が行われずに、排ガス温度が、排気ブレーキバルブの閉のたびに下がり、再生目標温度Ta、Tbに制御することができず、再生時間がかかったり、再生未完了となる問題がある。また一方、排気管インジェクタ39は、その使用過程において、インジェクタ表面へのカーボン付着等の影響により、排気管インジェクタ39自体の噴射量が下がる可能性もあり、排気管インジェクタ39異物付着の耐久向上においても、PID制御スピードの向上が求められる。
【0049】
そこで本発明は、図4(a)に示すように、排気ブレーキバルブが閉じられたとき、排気管噴射を停止するものの、PID制御だけは、リセットせずに継続するようにしたものである。これにより、急加速・急減速を繰り返し、排気ブレーキバルブが頻繁に開閉されても、積分制御項は偏差eを積分し続けるため、排気ブレーキバルブが開となったときに、その積分制御項の操作量が、PID制御の初期操作量として排気管噴射量に加わるため、排ガス温度を、再生目標温度Ta、Tbに維持することが可能となり、PID制御性の改善を図った。
【0050】
また、長い下り坂時の排気ブレーキバルブの使用などにおいて、特に大気温が低い条件が重なった場合、DOC28の触媒表面温度が排気管噴射停止等の影響により、排ガス温度センサ30a、30bで測定している温度よりも降下している場合があり、排気ブレーキバルブ開後の排気管噴射全量をDOC28で活性反応できず、白煙等の発生があるため、排気ブレーキバルブをある一定時間以上(所定時間以上)継続して使用した場合には積分制御項をゼロリセットするようにしている。
【0051】
以上本発明は、走行自動再生時にPID制御で排気管噴射量を制御する際に、急減速で排気ブレーキを閉じて排気管噴射を停止しても、PID制御を継続させて積分制御項で偏差を積分することで、減速後の再加速でも適正に排気管噴射量をPID制御することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ディーゼルエンジン
20 排気管
24 排気ブレーキバルブ
25 DPD
32 ECU
33 回転センサ
39 排気管インジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンの排気管に排気ガス中のPMを捕集するDPDを接続し、前記DPDのPM量が一定量以上になったとき、排気管噴射を行ってディーゼルエンジンの排ガス温度を上昇させてDPDを自動再生する排ガス浄化システムにおいて、自動再生する際の排ガス温度を検知し、検出した排ガス温度と再生目標温度との偏差を求め、この偏差に基づいて、排気管噴射量をPID制御するに際して、走行自動再生時に排気ブレーキバルブが閉じられたときに、排気管噴射を停止し、排気ブレーキバルブが閉じられている間、PID制御で積分制御項の演算を継続し、排気ブレーキバルブが開にされたとき、継続して演算された積分制御項を初期操作量とすることを特徴とする排ガス浄化システム。
【請求項2】
前記排気ブレーキバルブの閉が、所定時間以上継続されたとき、PID制御をリセットする請求項1記載の排ガス浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−256848(P2011−256848A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134516(P2010−134516)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】