搬送システム
【課題】例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を、搬送する搬送システムにおいて、バーコードラベル等の識別マークを利用して制御を実行する際の実行位置や実行内容についての自由度を高める。
【解決手段】搬送システム(100)は、軌道(1)と、軌道に相互に間隔をおいて夫々付けられた複数の識別マークと、軌道に沿って走行して被搬送物を搬送すると共に、複数の識別マークのうち通過した識別マークを読み取る読取手段を有する搬送手段(3)と、軌道に沿った複数の識別マーク間に予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、搬送手段が通過した仮想マークを、読み取られた識別マークに基づいて、特定する仮想マーク特定手段(10)と、特定された仮想マークに基づいて、搬送手段を制御する搬送制御手段(10)とを備える。
【解決手段】搬送システム(100)は、軌道(1)と、軌道に相互に間隔をおいて夫々付けられた複数の識別マークと、軌道に沿って走行して被搬送物を搬送すると共に、複数の識別マークのうち通過した識別マークを読み取る読取手段を有する搬送手段(3)と、軌道に沿った複数の識別マーク間に予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、搬送手段が通過した仮想マークを、読み取られた識別マークに基づいて、特定する仮想マーク特定手段(10)と、特定された仮想マークに基づいて、搬送手段を制御する搬送制御手段(10)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を、バーコードなどの識別コードが付けられた軌道上で搬送する搬送システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送システムとして、例えば軌道における特定の位置に張り付けられたマーク等のバーコードラベルに基づいて、ビークルの制御を切り替えるものがある。具体的には、ビークルが走行中にバーコードラベルを検知する。すると、検知されたバーコードラベルが有するIDタグデータ等のバーコードIDに予め関連付けされた制御が、ビークルによって実行される(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−202464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の搬送システムによれば、ビークルの動作が複雑になると、軌道上のバーコードラベルの数が著しく増加してしまいかねないという技術的問題点がある。また、分岐又は合流部等の一箇所に複数のバーコードラベルを張り付けたり、一つのバーコードラベルの長さに複数のバーコードラベルを張り付けることは物理的に不可能であり、更には、軌道の状態によっては一つのバーコードラベルの貼り付けさえも難しくなってしまうという技術的問題点もある。
【0005】
他方、軌道上のバーコードラベルを通過する複数のビークルのうち、特定のビークルにのみバーコードラベルに基づく動作をさせるには、一つのバーコードラベルに、ビークルに応じたバーコードIDを設定しなければならない。上述したような用途や、ビークル毎のバーコードIDの設定を行おうとすれば、物理的に取り付けられたバーコードラベルでは難しく、バーコードラベルに代わる手段を取り入れざるを得なくなってしまう。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、バーコードラベル等の識別マークを利用して制御を実行する際の実行位置や実行内容についての自由度を高めることが可能な搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送システムは上記課題を解決するために、軌道と、該軌道に相互に間隔をおいて夫々付けられた複数の識別マークと、前記軌道に沿って走行して被搬送物を搬送すると共に、前記複数の識別マークのうち通過した識別マークを読み取る読取手段を有する搬送手段と、前記軌道に沿った前記複数の識別マーク間に予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、前記搬送手段が通過した仮想マークを、前記読み取られた識別マークに基づいて、特定する仮想マーク特定手段と、前記特定された仮想マークに基づいて、前記搬送手段を制御する搬送制御手段とを備える。
【0008】
本発明の搬送システムによれば、その動作時には、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物は、例えばOHT(Overhead Hoist Transport)、ビークル等の搬送手段によって、例えば天井に敷設されたレール等の軌道に沿って搬送される。すると、例えばバーコードリーダ等の読取手段によって、軌道に付けられた識別マークが、搬送手段が通過する際に(即ち、識別マークの脇や識別マークの上下などを通過する際に)、読み取られる。
【0009】
このため先ず、搬送手段による搬送中に、読み取られた識別マークに基づいて、例えば搬送手段に設けられた又は搬送手段と通信接続されたコントローラ、メモリ等を含んでなる搬送制御手段によって、搬送手段を制御することが可能となる。より具体的には、背景技術におけると同様に、識別マークを通過した際に(即ち、識別マークが付けられた軌道位置を通過した際に)、識別マークに予め対応付けられた各種制御を実行できる。但し、識別マークは次に詳述する仮想マークの特定用に専ら用いられて、このように直接制御するために用いられなくてもよい。
【0010】
本発明では特に、仮想マークが、軌道に沿った識別マーク間に予め仮想的に付けられている。ここに「仮想的に付けられ」とは、識別マークの如くに軌道に物理的に付けられるのではなく、搬送制御手段により搬送手段を制御する上では、あたかも識別コードが付けられているかのように、軌道上における制御を実行すべき位置に対して設定されていることを意味する。即ち、搬送制御手段側から見れば、その制御を行う上で識別マークと仮想マークとを区別することなく同一扱いすることができるが、前者は実際に軌道に付けられたものであり、後者は軌道に仮想的に付けられた(言い換えれば、制御を行う上で論理的に設定された)ものである。尚、仮想マークが付けられる位置は、任意であるが、例えば軌道の状態(即ち、曲がりや直進、複数の軌道部分における合流又は分岐等)に応じて、搬送手段の制御が切り替わる位置とされる。
【0011】
このため、読取手段によって、仮想マークは、搬送手段が通過する際に、識別マークの如くに読み取られることはない。代わりに、搬送手段が仮想マークを通過すると、例えばプロセッサ、メモリ等を含んでなる仮想マーク特定手段によって、予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、この搬送手段が通過した仮想マークが、読み取り手段に読み取られた識別マークに基づいて特定される。言い換えれば、仮想マーク特定手段によって、搬送手段がいずれの仮想マークを通過したのか或いはいずれの仮想マークに到達したのかを、特定できる。
【0012】
この際、仮想マークが付けられるのは、付けられた軌道位置が夫々既知である二つの識別マーク間である。そこで、例えば、一の識別マークが読み取られた軌道位置の下流側に付けられた仮想マークであれば、付けられた軌道位置が既知である一の識別マークが読み取られた該軌道位置の下流側に、所定距離だけ、即ち該一の識別マーク及び該仮想マーク間の規定の距離だけ走行した箇所を、仮想マークとして(即ち、仮想マークが仮想的に付けられた軌道位置として)特定できる。或いは例えば、付けられた軌道位置が既知である一の識別マークが読み取られた該軌道位置を通過後に、所定時間だけ、即ち該一の識別マーク及び該仮想マーク間を走行するのに要する規定の時間だけ走行した箇所を、仮想マークとして特定できる。いずれの場合にも、読み取られた識別マークに基づいて、通過した仮想マークを特定できる。
【0013】
このように搬送手段が通過した仮想マークが特定されると、搬送制御手段によって、搬送手段が、特定された仮想マークに基づいて制御される。即ち、仮想マークに示される軌道位置を、搬送手段が通過すると、或いは、仮想マークに示される軌道位置に達すると、搬送手段に対して、仮想マークに対応する制御指示が与えられる。例えば、搬送手段に取り付けられたセンサの切り替えやオンオフ制御、搬送手段の走行速度の増減、搬送手段の所定の領域への進入又は停止の禁止や許容など、仮想マークに対応する各種制御を実行可能となる。
【0014】
以上の結果、識別マークを利用して制御を実行する際の、実行位置や実行内容についての自由度を高めることが可能となる。
【0015】
特に、仮想マークは、識別マークの如くに、付ける位置について物理的配置の制約を受けることや読み取り手段の読み取り能力の制約を受けることなく、実際に付けられる識別マークよりも遥かに多数付けることも可能である。例えば、軌道の状態や、搬送手段における精密な制御のために、複数の識別マークを物理的に付ける必要があっても、付けたいエリアが狭い場合や、軌道の構造上、本来必要な数の識別マークを付けることが難しい場合がある。このような場合でも、仮想マークであれば、同一位置に複数の仮想マークを付けることが可能である。このため、制御の実行位置についての自由度が格段に増す。
【0016】
更に、軌道が分岐する手前に仮想マークを付ける場合にも対応できる。即ち、いずれの分岐路へ行くかの搬送制御手段による指示を入力として参照することで、同一位置に分岐路別に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。或いは、同一の軌道位置であっても複数の搬送手段に対して相異なる制御が要望される場合にも対応できる。即ち、搬送制御手段によるいずれの搬送手段を通過させるのかの指示を入力として参照することで、同一位置に搬送手段別(或いは、搬送手段の種類別)に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。このため、制御の実行位置や実行内容についての自由度が格段に増す。
【0017】
本発明の搬送システムの一態様では、前記搬送手段は、前記軌道に沿って走行した走行距離を測定する距離測定手段を更に有し、前記仮想マーク特定手段は、前記読み取られた識別マークが付けられた位置を基準としての前記測定された走行距離に基づいて、前記通過した仮想マークを特定する。
【0018】
この態様によれば、搬送手段によって、被搬送物が軌道に沿って搬送されると、例えばエンコーダ等の距離測定手段によって、走行距離が測定される。すると、仮想マーク特定手段によって、読取手段により読み取られた識別マークが付けられた位置を基準としての、距離測定手段により測定された走行距離に基づいて、通過した仮想マークが特定される。言い換えれば、搬送手段が、いずれの仮想マークを通過したのかを特定できる。よって、識別マークを基準として正確に、通過した仮想マークを特定できる。
【0019】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記複数の仮想マークを前記複数の識別マークに対応付けて格納する第1記憶手段を更に備え、前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記読み取られた識別マークに対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する。
【0020】
この態様によれば、搬送手段が仮想マークを通過すると、仮想マーク特定手段によって、例えばテーブル型式で複数の仮想マークを複数の識別マークに対応付けて格納するメモリ等の第1記憶手段上で、読み取られた識別マークに対応付けられた仮想マークが、この通過した仮想マークとして特定される。このように、記憶手段上におけるデータ参照或いはテーブル参照という、極めて迅速な方式で、通過した仮想マークを特定できる。
【0021】
この態様では、前記第1記憶手段は、前記複数の仮想マークの各々を、前記複数の識別マークのうち前記軌道上で該各々の上流側の隣に存在する一の識別マークからのマーク間距離に対応付けて格納し、前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記測定された走行距離に一致する前記マーク間距離に対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定してもよい。
【0022】
このように構成すれば、仮想マーク特定手段によって、第1記憶手段上で、測定された走行距離に一致するマーク間距離に対応付けられた仮想マークが、通過した仮想マークとして特定される。よって、軌道上における一の識別マークからの走行距離を用いることで、極めて正確に仮想マークを特定できる。
【0023】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記複数の仮想マークに予め対応付けられた複数の動作のうち、前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御する。
【0024】
この態様によれば、搬送制御手段による制御下で、複数の仮想マークに予め対応付けられた複数の動作のうち、特定された仮想マークに対応付けられた動作が行われる。よって、いかなる動作を行わせるかが仮想マーク毎に予め決まっているので、極めて迅速にして所望の動作を行わせることが可能となる。
【0025】
この態様では、前記複数の動作を前記複数の仮想マークに対応付けて格納する第2記憶手段を更に備え、前記搬送制御手段は、前記第2記憶手段上で、前記複数の動作のうち前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御してもよい。
【0026】
このように構成すれば、通過した仮想マークが特定されると、搬送制御手段によって、例えばテーブル型式で複数の動作を複数の仮想マークに対応付けて格納するメモリ等の第2記憶手段上で、特定された仮想マークに対応付けられた動作が、この通過した仮想マークに対応して実行されるべき動作とされる。このように、記憶手段上におけるデータ参照或いはテーブル参照という、極めて迅速な方式で、通過した仮想マークに対応する動作を行わせることができる。
【0027】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記搬送手段が複数ある場合、前記特定された仮想マークに基づいて、前記複数の搬送手段毎に異なる制御を行うことが可能であり、前記仮想マーク特定手段は、前記複数の搬送手段のうち一の搬送手段が通過する際には、前記複数の搬送手段毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記一の搬送手段に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する。
【0028】
この態様によれば、複数の搬送手段に対して相異なる制御が要望される場合、同一軌道位置に、複数の搬送手段毎に付けられた複数の仮想マークが予め付けられる。ここで、複数の搬送手段(例えば、相互から識別番号等で識別される複数の同一種類の搬送手段や、複数種類の搬送手段)のうち任意の一の搬送手段が、この同一軌道位置を通過する。すると、仮想マーク特定手段によって、これら複数の仮想マークのうち、該一の搬送手段に対応する仮想マークが特定される。すると、搬送制御手段によって、この特定された仮想マークに基づいて、該一の搬送手段に対して、該一の搬送手段に対して用意された制御を行える。
【0029】
よって、同一位置に搬送手段別(或いは、搬送手段の種類別)に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。しかも、識別マークの如くに、同一位置に付けることが物理的に不可能ということなく、同一位置に複数の仮想マークを搬送手段別に複数或いは多数付けることができるので、制御の実行位置や実行内容についての自由度が格段に増す。
【0030】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記複数の識別マークのうち一の識別マークの前記軌道上で下流側において、前記軌道に択一的に走行可能な複数の軌道部分がある場合、該複数の軌道部分のうち走行すべき軌道部分として、一の軌道部分を指示し、前記仮想マーク特定手段は、予め前記一の識別マークに対して前記複数の軌道部分毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記指示された一の軌道部分に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する。
【0031】
この態様によれば、軌道が識別マークの下流側で分岐している場合、同一軌道位置に、複数の軌道部分毎に付けられた複数の仮想マークが予め付けられる。ここで一の複数の軌道部分のうち任意の一の軌道部分が、搬送制御手段により、今回走行すべき軌道部分として指示される。すると、仮想マーク特定手段によって、これら複数の仮想マークのうち、該一の軌道部分に対応する仮想マークが特定される。すると、搬送制御手段によって、この特定された仮想マークに基づいて、該一の軌道部分へと走行する搬送手段に対して、該一の軌道部分に対して用意された制御を行える。
【0032】
よって、分岐の手前における同一位置に、軌道部分搬別に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。しかも、識別マークの如くに、同一位置に付けることが物理的に不可能ということなく、同一位置に複数の仮想マークを軌道部分別に複数或いは多数付けることができるので、制御の実行位置や実行内容についての自由度が格段に増す。
【0033】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記搬送手段の制御として、前記搬送手段に夫々取り付けられた複数のセンサのうちの少なくとも一のセンサを切り替えること、前記搬送手段の走行速度を切り替えること、所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を禁止すること、並びに所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を許容することのうちの少なくとも一つを行う。
【0034】
この態様によれば、搬送制御手段によって、例えば、障害物の検知に使用される少なくとも一のセンサが切り替えられたり、軌道におけるカーブに対応して走行速度が切り替えられたり、軌道における合流領域への進入を禁止するようにモータ等の駆動部が停止される。このように、仮想マークによって、制御の実行位置だけでなく、実行内容についても、自由度を増すことが可能となる。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0037】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る搬送システムの構成について説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る軌道及び搬送手段を模式的に示し、図2は、図1の識別マークを基準として設定される仮想マークを示す。
【0038】
図1において、本実施形態に係る搬送システム100は、軌道1、ビークル3、データベース9、及び搬送コントローラ10を備える。
【0039】
軌道1は、ビークル3がFOUPを搬送するための経路であって、本実施形態では特に、軌道1上に、複数のバーコードBC1〜BC5が配置されている。図1に示すように、軌道1は、第1支軌道1a及び第2支軌道1bを備える。第2支軌道1bは、一方向に真っ直ぐ伸びている。第1支軌道1aは、第2支軌道1bに合流すると共に、第2支軌道1bから分岐するU型の軌道である。
【0040】
各バーコードBC1〜BC5は、本発明に係る「識別マーク」の一例として、軌道1上における所定の軌道位置に付けられている。バーコードBC1〜BC5は夫々、夫々の位置が搬送コントローラ10側で既知であることを前提として、自らに固有の識別番号を示せば、識別マークとしての機能を果たせる。但し、バーコードBC1〜BC5は夫々、自らが付けられた軌道位置を示すアドレスや座標などの位置情報を示すように構成されてもよいし、更に、後述する、自らの軌道位置にて実行されるべき制御内容を(例えば制御コード等で)示すように構成されてもよい。バーコードBC1〜BC5の迅速且つ簡単な読み取りを可能ならしめる観点からは、本実施形態の如く、バーコードBC1〜BC5は、固有の識別番号を示すのが好ましい。
【0041】
例えば、バーコードBC1,BC3が、第1軌道1aにおけるカーブの手前に設けられ、バーコードBC4が、第1軌道1aにおけるカーブの後に設けられ、バーコードBC2,BC5が、第1軌道1a及び第2軌道1bの合流又は分岐箇所に設けられている。
【0042】
ビークル3は、本発明に係る「搬送手段」の一例として、モータの駆動により、軌道1に沿って走行すると共に、FOUPを搬送する。ビークル3は、バーコードリーダ4、エンコーダ5、及び制御部6を備える。ビークル3の走行位置に、バーコードBC1〜BC5が付けられている。
【0043】
バーコードリーダ4は、本実施形態に係る「読取手段」の一例として、ビークル3の走行に伴ってバーコード(即ち、バーコードBC1〜BC5のいずれか)を読み取り、読み取ったバーコードに付されたバーコードIDを、制御部6を介して搬送コントローラ10に送る。
【0044】
エンコーダ5は、本発明に係る「距離測定手段」の一例として、モータに取り付けられている。エンコーダ5は、各バーコードBC1〜BC5からの、ビークル3の走行距離を検出する。図2において、エンコーダ5は、ビークル3がバーコードBC1に達した時点で出力値を零にし、バーコードBC1からビークル3までの距離を出力する。エンコーダ5は、ビークル3が仮想マークVC1に達した時に、走行距離「L1」を出力し、ビークル3が仮想マークVC2に達した時に、走行距離「L2」を出力する。エンコーダ5は、出力した走行距離を、制御部6を介して搬送コントローラ10に送る。
【0045】
制御部6は、本発明に係る「仮想マーク特定手段」及び「搬送制御手段」の一部として機能し、搬送コントローラ10からの搬送指示に基づいて、ビークル3の各部を制御する。
【0046】
搬送コントローラ10は、軌道1に沿って走行する複数のビークル3と無線により接続されており、これら複数のビークル3を統括的に制御する。搬送コントローラ10は、本実施形態では特に、仮想マーク特定部10a、及び搬送制御部10bを備えており、データベース9と接続されている。
【0047】
仮想マーク特定部10aは、本発明に係る「仮想マーク特定手段」の一例として、バーコードリーダ4からのバーコードID、及びエンコーダ5からの走行距離に基づいて、ビークル3が通過した仮想マークを特定する。仮想マーク特定部10aは、特定した仮想マークに付された仮想マークIDを搬送制御部10bに送る。
【0048】
搬送制御部10bは、本発明に係る「搬送制御手段」の一例として、仮想マーク特定部10aからの仮想マークIDに対応付けされるビークル動作に基づいて各ビークル3を制御する、第1搬送制御処理を行う。
【0049】
搬送コントローラ10は、当該搬送システム100の設置時や、搬送工程が開始される毎に行う初期設定時等に、ビークル3を走行させる軌道1に応じて、仮想マークを設定する。
【0050】
データベース9は、本発明に係る「第1記憶手段」及び「第2記憶手段」の一例として、後述するバーコードテーブル20と併せて、搬送コントローラ10からの仮想マークテーブル30及びビークル動作テーブル40を格納する。仮想マークテーブル30を構成する各仮想マークや、ビークル動作テーブル40を構成する各ビークル動作は、搬送システムによる実際の搬送動作に先立って、予め設定されたものである。
【0051】
本実施形態に係る記憶手段に格納される情報について図3〜図5を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る記憶手段に格納される識別マーク情報を示し、図4は、本実施形態に係る記憶手段に格納される仮想マーク情報を示し、図5は、本実施形態に係る記憶手段に格納される制御情報を示す。
【0052】
図3において、バーコードテーブル20は、「識別マーク情報」の一例として、バーコード毎に、「バーコードID」及び「仮想マークテーブルナンバ」を示す。仮想マークテーブルナンバは、仮想マークテーブル30を識別するための番号であって、この番号に、バーコードに対応する仮想マークテーブル30が紐付いている。
【0053】
本実施形態に係る仮想マーク情報について図4を参照して説明する。
【0054】
図4において、仮想マークテーブル30は、本発明に係る「仮想マーク情報」の一例として、一のバーコードを基準として設定される各仮想マークについて、「バーコードからの距離」及び「仮想マークID」を示す。
【0055】
本実施形態に係る制御情報について図5を参照して説明する。
【0056】
図5において、ビークル動作テーブル40は、本発明に係る「制御情報」の一例として、各仮想マークIDについて、「ビークル動作」を示す。ビークル動作の内容は、例えば、軌道1におけるカーブに対応して一又は複数のセンサを切り替えたり、直進又はカーブに対応して走行速度を高速又は低速に切り替えたり、合流若しくは分岐する箇所への進入又は停止を禁止することである。
【0057】
第1搬送制御処理で使用される仮想マークの設定について再び図4及び図5を参照して具体的に説明する。図4(a)は、図1におけるバーコードBC1に対応する仮想マークテーブル30aである。図4(a)に示すように、バーコード「BC1」には、三つの仮想マークVC1〜VC3が設定されている。
【0058】
図4(a)及び図5において、バーコードBC1を基準とする第1仮想マークVC1は、仮想マークID「VID01001」として、バーコードBC1から距離「300(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:3m/s」を行うように設定されている。第2仮想マークVC2は、仮想マークID「VID05031」として、バーコードBC1から距離「1200(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「センサーMode:B」を行うように設定されている。第3仮想マークVC3は、仮想マークID「VID01007」として、バーコードBC1から距離「1500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:0.05m/s」を行うように設定されている。
【0059】
図1に仮想に示すように、このような第1〜第3の仮想マークVC1〜VC3は、右カーブP1を含んでいる、バーコードBC1及びバーコードBC2間で、ビークル3の制御を切り替えることに使用される。具体的には、バーコードBC1にあるビークル3が、軌道1aにおける右カープP1に向けて走行する場合に、第1仮想マークVC1の位置(即ち、右カーブP1まで真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が3m/sに切り替えられ、第2仮想マークVC2の位置(即ち、軌道1aにおける右カーブP1の直前)で、複数のセンサのうちの右センサを使用するモードに切り替えられ、第3仮想マークVC3の位置(即ち、右カーブP1の略中央)で、最高速度が0.05m/sに切り替えられる。
【0060】
図4(b)は、図1におけるバーコードBC5に対応する仮想マークテーブル30bである。図4(b)に示すように、バーコード「BC5」には、三つの仮想マークVC11〜VC13が設定されている。
【0061】
図4(b)及び図5において、バーコードBC5を基準とする第1仮想マークVC11は、仮想マークID「VID02002」として、バーコードBC2から距離「500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「センサーMode:A」を行うように設定されている。第2仮想マークVC12は、仮想マークID「VID03001」として、バーコードBC2から距離「505(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「停止禁止区間:開始」を行うように設定されている。第3仮想マークVC13は、仮想マークID「VID07001」として、バーコードBC2から距離「650(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:5m/s」を行うように設定されている。
【0062】
図1に仮想に示すように、このような第1〜第3の仮想マークVC11〜VC13は、軌道1bから軌道1aへの乗り移りが可能な、バーコードBC5及びバーコードBC2間で、ビークル3の制御を切り替えることに使用される。具体的には、バーコードBC5にあるビークル3が、軌道1b上を直進する場合に、第1仮想マークVC11の位置で、複数のセンサのうちの上下のセンサを使用するモードに切り替えられ、第2仮想マークVC12の位置(即ち、軌道1aと合流及び分岐される位置)で、停止が禁止された制御に切り替えられ、第3仮想マークVC13の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が5m/sに切り替えられる。
【0063】
上述したように、各バーコードBC1〜BC5に対応付けされた仮想マークVC1〜VC3,VC11〜VC13の各々に、軌道位置、及び該軌道位置で切り替えられる制御が設定されている。本実施形態では、これら軌道位置及び制御情報が、データベース9に記憶されることによって、仮想の識別マーク(即ち、仮想マーク)が設定される。
【0064】
(第1搬送制御処理)
次に、本実施形態に係る搬送システムにおける第1搬送制御処理について図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態の第1搬送制御処理を示すフローチャートである。
【0065】
図6において、先ずバーコードリーダ4により、ビークル3の走行に伴って、バーコードが読み取られたか否かが判定され(ステップS51)、バーコードが読み取られた場合に(ステップS51:YES)、搬送コントローラ10により、データベース9から、読み取られたバーコードに対応付けされた仮想マークテーブルが取得される(ステップS52)。この後、ステップS53の処理が行われる(ステップS53)。
【0066】
一方、ステップS51の判定により、バーコードが読み取られない場合に(ステップS51:NO)、エンコーダ5により、最近に読み取られたバーコードからビークル3までの走行距離が検出される(ステップS53)。続いて、検出された走行距離と、最近に取得された仮想マークテーブルに示される「バーコードからの距離」とが一致した(即ち、仮想マークに到達した)か否かを判定する(ステップS54)。この判定により、走行距離と最近の「バーコードからの距離」とが一致しない場合に(ステップS54:NO)、ステップS53及びS54の処理が繰り返される。
【0067】
一方、ステップS54の判定により、エンコーダ5による走行距離と、最近の「バーコードからの距離」とが一致した場合に(ステップS54:YES)、ビークル3が今回通過した或いは到達した仮想マークは、この一致された仮想マークとして特定される。
【0068】
続いて、この一致された仮想マークに対応付けされた制御情報が取得され(ステップS55)、取得された制御情報が示す制御が実行される(ステップS56)。これにより、一連の搬送制御処理が終了される。
【0069】
このように、軌道1におけるどんなに狭い2つのバーコード間でも、軌道位置を示す仮想マークが仮想に複数設定できると共に、設定された仮想マークに基づいて搬送手段を確実且つ精密に制御できる。従って、仮想マークの設定によって、制御切り替え位置を自由に設定することが可能となる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る搬送システムの構成について説明する。ここに図7は、第2実施形態に係る軌道及び搬送手段を模式的に示す。尚、第2実施形態に係る搬送システムについて、図1の搬送システム100との差異のみを記載し、これと同様に構成される要素についての説明を適宜省略する。
【0071】
図7において、本実施形態に係る搬送システム200は、軌道101、ビークル3、データベース109、及び搬送コントローラ110を備える。搬送システム200は、図1の搬送システム100と比較して特に、軌道101においてビークル3が走行可能である方向毎に少なくとも一の仮想マークテーブルを備えている点が異なる。
【0072】
軌道101は、本実施形態では特に、軌道101上に、バーコードBC101が配置されている。図7に示すように、軌道1は、本軌道101a及び支軌道101bを備える。本軌道101aは、一方向に真っ直ぐ伸びている。支軌道101bは、本軌道101aから左方に分岐する軌道である。バーコードBC101は、本軌道101a及び支軌道101bの分岐箇所に設けられている。
【0073】
搬送コントローラ101は、軌道101に沿って走行する複数のビークル3と無線により接続されており、これら複数のビークル3を統括的に制御する。搬送コントローラ110は、図1の搬送コントローラ10と同様にして、仮想マークに対応付けされる軌道位置及び制御情報に基づいて各ビークル3を制御するが、本実施形態では特に、予め設定された走行経路に応じた第2搬送制御処理を行う。
【0074】
データベース109は、後述するバーコードテーブル60と併せて、予め設定された仮想マークテーブル70及びビークル動作テーブル80を格納する。仮想マークテーブル70を構成する各仮想マークや、ビークル動作テーブル80を構成する各ビークル動作は、軌道の分岐状態を考慮する形で、搬送システムによる実際の搬送動作に先立って、予め設定されたものである。
【0075】
データベース9に格納されるテーブルについて図8〜図10を参照して説明する。ここに図8は、データベース109に格納されるバーコードテーブル60を示し、図9は、データベース109に格納される仮想マークテーブル70を示し、図10は、データベース109に格納されるビークル動作テーブル80を示す。
【0076】
図8において、バーコードテーブル60は、図3のバーコードテーブル30と同様に、バーコード毎に、「バーコードID」及び「仮想マークテーブルナンバ」を示すが、本実施形態では特に、一のバーコード(言い換えれば、一のバーコードID)に対して、複数の仮想マークテーブルナンバ(言い換えれば、複数の仮想マークテーブル)を設定可能である。例えば、一のバーコードに設定される仮想マークテーブルの個数は、一のバーコードにあるビークル3が走行可能である走行方向の数になる。
【0077】
図9において、仮想マークテーブル70は、図4の仮想マークテーブル40と同様に、一のバーコードを基準として設定される各仮想マークについて、「バーコードからの距離」及び「仮想マークID」を示す。
【0078】
図10において、ビークル動作テーブル80は、図5のビークル動作テーブル50と同様に、各仮想マークIDについて、「ビークル動作」を示す。
【0079】
第2搬送制御処理で使用される仮想マークの設定について再び図8〜図10を参照して具体的に説明する。
【0080】
図7に示すように、バーコードBC101にいるビークル3は、本軌道101a上をそのまま直進する直進方向、及び本軌道101aから分岐する支軌道101bに沿うように左方に向かって走行する左方向の二方向に走行可能である。このため、図8に示すように、バーコードBC101を基準とする第1仮想マークVC101は、バーコードID「10001」として、二つの仮想マークテーブルナンバ「BCT00001A」及び「BCT00001B」を示している。
【0081】
図9(a)は、図7におけるバーコードBC101から直進方向に走行する場合に取得される仮想マークテーブル70aである。図9(a)に示すように、直進方向に対応する仮想マークテーブルナンバ「BCT00001A」には、二つの仮想マークVC101,VC102が設定されている。
【0082】
図9(a)及び図10において、バーコードBC101から直進する場合に設定される第1仮想マークVC101は、仮想マークID「VID01001」として、バーコードBC101から距離「300(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:3m/s」を行うように設定されている。第2仮想マークVC102は、仮想マークID「VID02002」として、バーコードBC101から距離「1500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「センサーMode:A」を行うように設定されている。
【0083】
図7に仮想に示すように、このような第1及び第2の仮想マークVC101,VC102について、具体的には、バーコードBC101にあるビークル3が、第1仮想マークVC101の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が3m/sに切り替えられ、第2仮想マークVC102の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、複数のセンサのうちの上下のセンサを使用するモードに切り替えられる。
【0084】
図9(b)は、図7におけるバーコードBC101から左方向に走行する場合に取得される仮想マークテーブル70bである。図9(b)に示すように、左方向に対応する仮想マークテーブルナンバ「BCT00001B」には、三つの仮想マークVC111〜VC113が設定されている。
【0085】
図9(b)及び図10において、バーコードBC101から左方向に走行する場合に設定される第1仮想マークVC111は、図9(a)と同様に、仮想マークID「VID01001」として、バーコードBC101から距離「300(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:3m/s」を行うように設定されている。第2仮想マークVC112は、仮想マークID「VID06031」として、バーコードBC101から距離「1200(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「カーブ準備動作:開始」を行うように設定されている。第3仮想マークVC113は、仮想マークID「VID01007」として、バーコードBC1から距離「1500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:0.05m/s」を行うように設定されている。
【0086】
図7に仮想に示すように、このような第1〜第3の仮想マークVC111〜VC113について、具体的には、バーコードBC111にあるビークル3が、主軌道101aから、左方向に分岐する支軌道101bを走行する場合に、第1仮想マークVC111の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が3m/sに切り替えられ、第2仮想マークVC112の位置(即ち、軌道101における左カーブP101の直前)で、複数のセンサのうちの左センサを使用するモードに切り替えられ、第3仮想マークVC113の位置(即ち、左カーブP101の開始位置)で、カーブ準備動作が開始される制御に切り替えられる。
【0087】
このように、ビークル3が、本軌道101aをそのまま進むか、支軌道101bへ進むかを指示する情報を、搬送コントローラ10から取得すれば、同一位置に付けられた仮想マークに基づいて、いずれの軌道に進んでも夫々想定通りの動作切り替えを実行可能となる。
【0088】
(第2搬送制御処理)
次に、本実施形態に係る搬送システムにおける第2搬送制御処理について図11を参照して説明する。ここに図11は、本実施形態の第2搬送制御処理を示すフローチャートである。
【0089】
図11において、図6の第1搬送制御処理と同様にして、先ずステップS51及びステップS52の処理が行われる。すると、ステップS52の処理により、複数の仮想マークテーブルが取得されたか否かが判定され(ステップS61)、一の仮想マークテーブルしか取得されない場合に(ステップS61:NO)、ステップS53の処理が行われる(ステップS53)。
【0090】
一方、ステップS61の判定により、複数の仮想マークテーブルが取得された場合に(ステップS61:YES)、搬送システム110により、搬送工程に基づいて、ビークル3の走行経路情報が取得される(ステップS62)。すると、複数の仮想マークテーブルのうち、取得された走行経路情報に対応する一の仮想マークテーブルが選択される(ステップS63)。この後、図6の第1搬送制御処理と同様にして、ステップS53からステップS56の処理が行われ、一連の搬送制御処理が終了される。
【0091】
このように、一のバーコードが検出された後に、一のバーコードに対応付けされた仮想マーク情報が複数存在する場合に、搬送コントローラ110によって、ビークル3が走行すべき走行方向に対応する仮想マーク情報が取得される。従って、軌道1001上の走行方向毎に仮想マークテーブルを格納することによって、物理的に複数のバーコードBCを付けることが不可能であった位置にも制御切り替え位置を設定することが可能となる。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施形態に係る軌道及び搬送手段の一例を示す模式図である。
【図2】図1の識別手段を基準として設定される仮想マークを示す図である。
【図3】実施形態に係る識別マーク情報の一例を示す表である。
【図4】実施形態に係る仮想マーク情報の一例を示す表である。
【図5】実施形態に係る制御情報の一例を示す表である。
【図6】実施形態に係る第1搬送制御処理を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る軌道及び搬送手段の他の例を示す模式図である。
【図8】実施形態に係る識別マーク情報の他の例を示す表である。
【図9】実施形態に係る仮想マーク情報の他の例を示す表である。
【図10】実施形態に係る制御情報の他の例を示す表である。
【図11】実施形態に係る第2搬送制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1…軌道、3…搬送車、4…バーコードリーダ、5…エンコーダ、6…制御部、10…搬送コントローラ、100…搬送システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を、バーコードなどの識別コードが付けられた軌道上で搬送する搬送システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送システムとして、例えば軌道における特定の位置に張り付けられたマーク等のバーコードラベルに基づいて、ビークルの制御を切り替えるものがある。具体的には、ビークルが走行中にバーコードラベルを検知する。すると、検知されたバーコードラベルが有するIDタグデータ等のバーコードIDに予め関連付けされた制御が、ビークルによって実行される(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−202464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の搬送システムによれば、ビークルの動作が複雑になると、軌道上のバーコードラベルの数が著しく増加してしまいかねないという技術的問題点がある。また、分岐又は合流部等の一箇所に複数のバーコードラベルを張り付けたり、一つのバーコードラベルの長さに複数のバーコードラベルを張り付けることは物理的に不可能であり、更には、軌道の状態によっては一つのバーコードラベルの貼り付けさえも難しくなってしまうという技術的問題点もある。
【0005】
他方、軌道上のバーコードラベルを通過する複数のビークルのうち、特定のビークルにのみバーコードラベルに基づく動作をさせるには、一つのバーコードラベルに、ビークルに応じたバーコードIDを設定しなければならない。上述したような用途や、ビークル毎のバーコードIDの設定を行おうとすれば、物理的に取り付けられたバーコードラベルでは難しく、バーコードラベルに代わる手段を取り入れざるを得なくなってしまう。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、バーコードラベル等の識別マークを利用して制御を実行する際の実行位置や実行内容についての自由度を高めることが可能な搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送システムは上記課題を解決するために、軌道と、該軌道に相互に間隔をおいて夫々付けられた複数の識別マークと、前記軌道に沿って走行して被搬送物を搬送すると共に、前記複数の識別マークのうち通過した識別マークを読み取る読取手段を有する搬送手段と、前記軌道に沿った前記複数の識別マーク間に予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、前記搬送手段が通過した仮想マークを、前記読み取られた識別マークに基づいて、特定する仮想マーク特定手段と、前記特定された仮想マークに基づいて、前記搬送手段を制御する搬送制御手段とを備える。
【0008】
本発明の搬送システムによれば、その動作時には、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物は、例えばOHT(Overhead Hoist Transport)、ビークル等の搬送手段によって、例えば天井に敷設されたレール等の軌道に沿って搬送される。すると、例えばバーコードリーダ等の読取手段によって、軌道に付けられた識別マークが、搬送手段が通過する際に(即ち、識別マークの脇や識別マークの上下などを通過する際に)、読み取られる。
【0009】
このため先ず、搬送手段による搬送中に、読み取られた識別マークに基づいて、例えば搬送手段に設けられた又は搬送手段と通信接続されたコントローラ、メモリ等を含んでなる搬送制御手段によって、搬送手段を制御することが可能となる。より具体的には、背景技術におけると同様に、識別マークを通過した際に(即ち、識別マークが付けられた軌道位置を通過した際に)、識別マークに予め対応付けられた各種制御を実行できる。但し、識別マークは次に詳述する仮想マークの特定用に専ら用いられて、このように直接制御するために用いられなくてもよい。
【0010】
本発明では特に、仮想マークが、軌道に沿った識別マーク間に予め仮想的に付けられている。ここに「仮想的に付けられ」とは、識別マークの如くに軌道に物理的に付けられるのではなく、搬送制御手段により搬送手段を制御する上では、あたかも識別コードが付けられているかのように、軌道上における制御を実行すべき位置に対して設定されていることを意味する。即ち、搬送制御手段側から見れば、その制御を行う上で識別マークと仮想マークとを区別することなく同一扱いすることができるが、前者は実際に軌道に付けられたものであり、後者は軌道に仮想的に付けられた(言い換えれば、制御を行う上で論理的に設定された)ものである。尚、仮想マークが付けられる位置は、任意であるが、例えば軌道の状態(即ち、曲がりや直進、複数の軌道部分における合流又は分岐等)に応じて、搬送手段の制御が切り替わる位置とされる。
【0011】
このため、読取手段によって、仮想マークは、搬送手段が通過する際に、識別マークの如くに読み取られることはない。代わりに、搬送手段が仮想マークを通過すると、例えばプロセッサ、メモリ等を含んでなる仮想マーク特定手段によって、予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、この搬送手段が通過した仮想マークが、読み取り手段に読み取られた識別マークに基づいて特定される。言い換えれば、仮想マーク特定手段によって、搬送手段がいずれの仮想マークを通過したのか或いはいずれの仮想マークに到達したのかを、特定できる。
【0012】
この際、仮想マークが付けられるのは、付けられた軌道位置が夫々既知である二つの識別マーク間である。そこで、例えば、一の識別マークが読み取られた軌道位置の下流側に付けられた仮想マークであれば、付けられた軌道位置が既知である一の識別マークが読み取られた該軌道位置の下流側に、所定距離だけ、即ち該一の識別マーク及び該仮想マーク間の規定の距離だけ走行した箇所を、仮想マークとして(即ち、仮想マークが仮想的に付けられた軌道位置として)特定できる。或いは例えば、付けられた軌道位置が既知である一の識別マークが読み取られた該軌道位置を通過後に、所定時間だけ、即ち該一の識別マーク及び該仮想マーク間を走行するのに要する規定の時間だけ走行した箇所を、仮想マークとして特定できる。いずれの場合にも、読み取られた識別マークに基づいて、通過した仮想マークを特定できる。
【0013】
このように搬送手段が通過した仮想マークが特定されると、搬送制御手段によって、搬送手段が、特定された仮想マークに基づいて制御される。即ち、仮想マークに示される軌道位置を、搬送手段が通過すると、或いは、仮想マークに示される軌道位置に達すると、搬送手段に対して、仮想マークに対応する制御指示が与えられる。例えば、搬送手段に取り付けられたセンサの切り替えやオンオフ制御、搬送手段の走行速度の増減、搬送手段の所定の領域への進入又は停止の禁止や許容など、仮想マークに対応する各種制御を実行可能となる。
【0014】
以上の結果、識別マークを利用して制御を実行する際の、実行位置や実行内容についての自由度を高めることが可能となる。
【0015】
特に、仮想マークは、識別マークの如くに、付ける位置について物理的配置の制約を受けることや読み取り手段の読み取り能力の制約を受けることなく、実際に付けられる識別マークよりも遥かに多数付けることも可能である。例えば、軌道の状態や、搬送手段における精密な制御のために、複数の識別マークを物理的に付ける必要があっても、付けたいエリアが狭い場合や、軌道の構造上、本来必要な数の識別マークを付けることが難しい場合がある。このような場合でも、仮想マークであれば、同一位置に複数の仮想マークを付けることが可能である。このため、制御の実行位置についての自由度が格段に増す。
【0016】
更に、軌道が分岐する手前に仮想マークを付ける場合にも対応できる。即ち、いずれの分岐路へ行くかの搬送制御手段による指示を入力として参照することで、同一位置に分岐路別に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。或いは、同一の軌道位置であっても複数の搬送手段に対して相異なる制御が要望される場合にも対応できる。即ち、搬送制御手段によるいずれの搬送手段を通過させるのかの指示を入力として参照することで、同一位置に搬送手段別(或いは、搬送手段の種類別)に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。このため、制御の実行位置や実行内容についての自由度が格段に増す。
【0017】
本発明の搬送システムの一態様では、前記搬送手段は、前記軌道に沿って走行した走行距離を測定する距離測定手段を更に有し、前記仮想マーク特定手段は、前記読み取られた識別マークが付けられた位置を基準としての前記測定された走行距離に基づいて、前記通過した仮想マークを特定する。
【0018】
この態様によれば、搬送手段によって、被搬送物が軌道に沿って搬送されると、例えばエンコーダ等の距離測定手段によって、走行距離が測定される。すると、仮想マーク特定手段によって、読取手段により読み取られた識別マークが付けられた位置を基準としての、距離測定手段により測定された走行距離に基づいて、通過した仮想マークが特定される。言い換えれば、搬送手段が、いずれの仮想マークを通過したのかを特定できる。よって、識別マークを基準として正確に、通過した仮想マークを特定できる。
【0019】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記複数の仮想マークを前記複数の識別マークに対応付けて格納する第1記憶手段を更に備え、前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記読み取られた識別マークに対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する。
【0020】
この態様によれば、搬送手段が仮想マークを通過すると、仮想マーク特定手段によって、例えばテーブル型式で複数の仮想マークを複数の識別マークに対応付けて格納するメモリ等の第1記憶手段上で、読み取られた識別マークに対応付けられた仮想マークが、この通過した仮想マークとして特定される。このように、記憶手段上におけるデータ参照或いはテーブル参照という、極めて迅速な方式で、通過した仮想マークを特定できる。
【0021】
この態様では、前記第1記憶手段は、前記複数の仮想マークの各々を、前記複数の識別マークのうち前記軌道上で該各々の上流側の隣に存在する一の識別マークからのマーク間距離に対応付けて格納し、前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記測定された走行距離に一致する前記マーク間距離に対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定してもよい。
【0022】
このように構成すれば、仮想マーク特定手段によって、第1記憶手段上で、測定された走行距離に一致するマーク間距離に対応付けられた仮想マークが、通過した仮想マークとして特定される。よって、軌道上における一の識別マークからの走行距離を用いることで、極めて正確に仮想マークを特定できる。
【0023】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記複数の仮想マークに予め対応付けられた複数の動作のうち、前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御する。
【0024】
この態様によれば、搬送制御手段による制御下で、複数の仮想マークに予め対応付けられた複数の動作のうち、特定された仮想マークに対応付けられた動作が行われる。よって、いかなる動作を行わせるかが仮想マーク毎に予め決まっているので、極めて迅速にして所望の動作を行わせることが可能となる。
【0025】
この態様では、前記複数の動作を前記複数の仮想マークに対応付けて格納する第2記憶手段を更に備え、前記搬送制御手段は、前記第2記憶手段上で、前記複数の動作のうち前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御してもよい。
【0026】
このように構成すれば、通過した仮想マークが特定されると、搬送制御手段によって、例えばテーブル型式で複数の動作を複数の仮想マークに対応付けて格納するメモリ等の第2記憶手段上で、特定された仮想マークに対応付けられた動作が、この通過した仮想マークに対応して実行されるべき動作とされる。このように、記憶手段上におけるデータ参照或いはテーブル参照という、極めて迅速な方式で、通過した仮想マークに対応する動作を行わせることができる。
【0027】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記搬送手段が複数ある場合、前記特定された仮想マークに基づいて、前記複数の搬送手段毎に異なる制御を行うことが可能であり、前記仮想マーク特定手段は、前記複数の搬送手段のうち一の搬送手段が通過する際には、前記複数の搬送手段毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記一の搬送手段に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する。
【0028】
この態様によれば、複数の搬送手段に対して相異なる制御が要望される場合、同一軌道位置に、複数の搬送手段毎に付けられた複数の仮想マークが予め付けられる。ここで、複数の搬送手段(例えば、相互から識別番号等で識別される複数の同一種類の搬送手段や、複数種類の搬送手段)のうち任意の一の搬送手段が、この同一軌道位置を通過する。すると、仮想マーク特定手段によって、これら複数の仮想マークのうち、該一の搬送手段に対応する仮想マークが特定される。すると、搬送制御手段によって、この特定された仮想マークに基づいて、該一の搬送手段に対して、該一の搬送手段に対して用意された制御を行える。
【0029】
よって、同一位置に搬送手段別(或いは、搬送手段の種類別)に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。しかも、識別マークの如くに、同一位置に付けることが物理的に不可能ということなく、同一位置に複数の仮想マークを搬送手段別に複数或いは多数付けることができるので、制御の実行位置や実行内容についての自由度が格段に増す。
【0030】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記複数の識別マークのうち一の識別マークの前記軌道上で下流側において、前記軌道に択一的に走行可能な複数の軌道部分がある場合、該複数の軌道部分のうち走行すべき軌道部分として、一の軌道部分を指示し、前記仮想マーク特定手段は、予め前記一の識別マークに対して前記複数の軌道部分毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記指示された一の軌道部分に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する。
【0031】
この態様によれば、軌道が識別マークの下流側で分岐している場合、同一軌道位置に、複数の軌道部分毎に付けられた複数の仮想マークが予め付けられる。ここで一の複数の軌道部分のうち任意の一の軌道部分が、搬送制御手段により、今回走行すべき軌道部分として指示される。すると、仮想マーク特定手段によって、これら複数の仮想マークのうち、該一の軌道部分に対応する仮想マークが特定される。すると、搬送制御手段によって、この特定された仮想マークに基づいて、該一の軌道部分へと走行する搬送手段に対して、該一の軌道部分に対して用意された制御を行える。
【0032】
よって、分岐の手前における同一位置に、軌道部分搬別に複数の仮想マークを付けても、各仮想マークに基づいて問題なく制御を実行できる。しかも、識別マークの如くに、同一位置に付けることが物理的に不可能ということなく、同一位置に複数の仮想マークを軌道部分別に複数或いは多数付けることができるので、制御の実行位置や実行内容についての自由度が格段に増す。
【0033】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送制御手段は、前記搬送手段の制御として、前記搬送手段に夫々取り付けられた複数のセンサのうちの少なくとも一のセンサを切り替えること、前記搬送手段の走行速度を切り替えること、所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を禁止すること、並びに所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を許容することのうちの少なくとも一つを行う。
【0034】
この態様によれば、搬送制御手段によって、例えば、障害物の検知に使用される少なくとも一のセンサが切り替えられたり、軌道におけるカーブに対応して走行速度が切り替えられたり、軌道における合流領域への進入を禁止するようにモータ等の駆動部が停止される。このように、仮想マークによって、制御の実行位置だけでなく、実行内容についても、自由度を増すことが可能となる。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0037】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る搬送システムの構成について説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る軌道及び搬送手段を模式的に示し、図2は、図1の識別マークを基準として設定される仮想マークを示す。
【0038】
図1において、本実施形態に係る搬送システム100は、軌道1、ビークル3、データベース9、及び搬送コントローラ10を備える。
【0039】
軌道1は、ビークル3がFOUPを搬送するための経路であって、本実施形態では特に、軌道1上に、複数のバーコードBC1〜BC5が配置されている。図1に示すように、軌道1は、第1支軌道1a及び第2支軌道1bを備える。第2支軌道1bは、一方向に真っ直ぐ伸びている。第1支軌道1aは、第2支軌道1bに合流すると共に、第2支軌道1bから分岐するU型の軌道である。
【0040】
各バーコードBC1〜BC5は、本発明に係る「識別マーク」の一例として、軌道1上における所定の軌道位置に付けられている。バーコードBC1〜BC5は夫々、夫々の位置が搬送コントローラ10側で既知であることを前提として、自らに固有の識別番号を示せば、識別マークとしての機能を果たせる。但し、バーコードBC1〜BC5は夫々、自らが付けられた軌道位置を示すアドレスや座標などの位置情報を示すように構成されてもよいし、更に、後述する、自らの軌道位置にて実行されるべき制御内容を(例えば制御コード等で)示すように構成されてもよい。バーコードBC1〜BC5の迅速且つ簡単な読み取りを可能ならしめる観点からは、本実施形態の如く、バーコードBC1〜BC5は、固有の識別番号を示すのが好ましい。
【0041】
例えば、バーコードBC1,BC3が、第1軌道1aにおけるカーブの手前に設けられ、バーコードBC4が、第1軌道1aにおけるカーブの後に設けられ、バーコードBC2,BC5が、第1軌道1a及び第2軌道1bの合流又は分岐箇所に設けられている。
【0042】
ビークル3は、本発明に係る「搬送手段」の一例として、モータの駆動により、軌道1に沿って走行すると共に、FOUPを搬送する。ビークル3は、バーコードリーダ4、エンコーダ5、及び制御部6を備える。ビークル3の走行位置に、バーコードBC1〜BC5が付けられている。
【0043】
バーコードリーダ4は、本実施形態に係る「読取手段」の一例として、ビークル3の走行に伴ってバーコード(即ち、バーコードBC1〜BC5のいずれか)を読み取り、読み取ったバーコードに付されたバーコードIDを、制御部6を介して搬送コントローラ10に送る。
【0044】
エンコーダ5は、本発明に係る「距離測定手段」の一例として、モータに取り付けられている。エンコーダ5は、各バーコードBC1〜BC5からの、ビークル3の走行距離を検出する。図2において、エンコーダ5は、ビークル3がバーコードBC1に達した時点で出力値を零にし、バーコードBC1からビークル3までの距離を出力する。エンコーダ5は、ビークル3が仮想マークVC1に達した時に、走行距離「L1」を出力し、ビークル3が仮想マークVC2に達した時に、走行距離「L2」を出力する。エンコーダ5は、出力した走行距離を、制御部6を介して搬送コントローラ10に送る。
【0045】
制御部6は、本発明に係る「仮想マーク特定手段」及び「搬送制御手段」の一部として機能し、搬送コントローラ10からの搬送指示に基づいて、ビークル3の各部を制御する。
【0046】
搬送コントローラ10は、軌道1に沿って走行する複数のビークル3と無線により接続されており、これら複数のビークル3を統括的に制御する。搬送コントローラ10は、本実施形態では特に、仮想マーク特定部10a、及び搬送制御部10bを備えており、データベース9と接続されている。
【0047】
仮想マーク特定部10aは、本発明に係る「仮想マーク特定手段」の一例として、バーコードリーダ4からのバーコードID、及びエンコーダ5からの走行距離に基づいて、ビークル3が通過した仮想マークを特定する。仮想マーク特定部10aは、特定した仮想マークに付された仮想マークIDを搬送制御部10bに送る。
【0048】
搬送制御部10bは、本発明に係る「搬送制御手段」の一例として、仮想マーク特定部10aからの仮想マークIDに対応付けされるビークル動作に基づいて各ビークル3を制御する、第1搬送制御処理を行う。
【0049】
搬送コントローラ10は、当該搬送システム100の設置時や、搬送工程が開始される毎に行う初期設定時等に、ビークル3を走行させる軌道1に応じて、仮想マークを設定する。
【0050】
データベース9は、本発明に係る「第1記憶手段」及び「第2記憶手段」の一例として、後述するバーコードテーブル20と併せて、搬送コントローラ10からの仮想マークテーブル30及びビークル動作テーブル40を格納する。仮想マークテーブル30を構成する各仮想マークや、ビークル動作テーブル40を構成する各ビークル動作は、搬送システムによる実際の搬送動作に先立って、予め設定されたものである。
【0051】
本実施形態に係る記憶手段に格納される情報について図3〜図5を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る記憶手段に格納される識別マーク情報を示し、図4は、本実施形態に係る記憶手段に格納される仮想マーク情報を示し、図5は、本実施形態に係る記憶手段に格納される制御情報を示す。
【0052】
図3において、バーコードテーブル20は、「識別マーク情報」の一例として、バーコード毎に、「バーコードID」及び「仮想マークテーブルナンバ」を示す。仮想マークテーブルナンバは、仮想マークテーブル30を識別するための番号であって、この番号に、バーコードに対応する仮想マークテーブル30が紐付いている。
【0053】
本実施形態に係る仮想マーク情報について図4を参照して説明する。
【0054】
図4において、仮想マークテーブル30は、本発明に係る「仮想マーク情報」の一例として、一のバーコードを基準として設定される各仮想マークについて、「バーコードからの距離」及び「仮想マークID」を示す。
【0055】
本実施形態に係る制御情報について図5を参照して説明する。
【0056】
図5において、ビークル動作テーブル40は、本発明に係る「制御情報」の一例として、各仮想マークIDについて、「ビークル動作」を示す。ビークル動作の内容は、例えば、軌道1におけるカーブに対応して一又は複数のセンサを切り替えたり、直進又はカーブに対応して走行速度を高速又は低速に切り替えたり、合流若しくは分岐する箇所への進入又は停止を禁止することである。
【0057】
第1搬送制御処理で使用される仮想マークの設定について再び図4及び図5を参照して具体的に説明する。図4(a)は、図1におけるバーコードBC1に対応する仮想マークテーブル30aである。図4(a)に示すように、バーコード「BC1」には、三つの仮想マークVC1〜VC3が設定されている。
【0058】
図4(a)及び図5において、バーコードBC1を基準とする第1仮想マークVC1は、仮想マークID「VID01001」として、バーコードBC1から距離「300(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:3m/s」を行うように設定されている。第2仮想マークVC2は、仮想マークID「VID05031」として、バーコードBC1から距離「1200(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「センサーMode:B」を行うように設定されている。第3仮想マークVC3は、仮想マークID「VID01007」として、バーコードBC1から距離「1500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:0.05m/s」を行うように設定されている。
【0059】
図1に仮想に示すように、このような第1〜第3の仮想マークVC1〜VC3は、右カーブP1を含んでいる、バーコードBC1及びバーコードBC2間で、ビークル3の制御を切り替えることに使用される。具体的には、バーコードBC1にあるビークル3が、軌道1aにおける右カープP1に向けて走行する場合に、第1仮想マークVC1の位置(即ち、右カーブP1まで真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が3m/sに切り替えられ、第2仮想マークVC2の位置(即ち、軌道1aにおける右カーブP1の直前)で、複数のセンサのうちの右センサを使用するモードに切り替えられ、第3仮想マークVC3の位置(即ち、右カーブP1の略中央)で、最高速度が0.05m/sに切り替えられる。
【0060】
図4(b)は、図1におけるバーコードBC5に対応する仮想マークテーブル30bである。図4(b)に示すように、バーコード「BC5」には、三つの仮想マークVC11〜VC13が設定されている。
【0061】
図4(b)及び図5において、バーコードBC5を基準とする第1仮想マークVC11は、仮想マークID「VID02002」として、バーコードBC2から距離「500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「センサーMode:A」を行うように設定されている。第2仮想マークVC12は、仮想マークID「VID03001」として、バーコードBC2から距離「505(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「停止禁止区間:開始」を行うように設定されている。第3仮想マークVC13は、仮想マークID「VID07001」として、バーコードBC2から距離「650(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:5m/s」を行うように設定されている。
【0062】
図1に仮想に示すように、このような第1〜第3の仮想マークVC11〜VC13は、軌道1bから軌道1aへの乗り移りが可能な、バーコードBC5及びバーコードBC2間で、ビークル3の制御を切り替えることに使用される。具体的には、バーコードBC5にあるビークル3が、軌道1b上を直進する場合に、第1仮想マークVC11の位置で、複数のセンサのうちの上下のセンサを使用するモードに切り替えられ、第2仮想マークVC12の位置(即ち、軌道1aと合流及び分岐される位置)で、停止が禁止された制御に切り替えられ、第3仮想マークVC13の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が5m/sに切り替えられる。
【0063】
上述したように、各バーコードBC1〜BC5に対応付けされた仮想マークVC1〜VC3,VC11〜VC13の各々に、軌道位置、及び該軌道位置で切り替えられる制御が設定されている。本実施形態では、これら軌道位置及び制御情報が、データベース9に記憶されることによって、仮想の識別マーク(即ち、仮想マーク)が設定される。
【0064】
(第1搬送制御処理)
次に、本実施形態に係る搬送システムにおける第1搬送制御処理について図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態の第1搬送制御処理を示すフローチャートである。
【0065】
図6において、先ずバーコードリーダ4により、ビークル3の走行に伴って、バーコードが読み取られたか否かが判定され(ステップS51)、バーコードが読み取られた場合に(ステップS51:YES)、搬送コントローラ10により、データベース9から、読み取られたバーコードに対応付けされた仮想マークテーブルが取得される(ステップS52)。この後、ステップS53の処理が行われる(ステップS53)。
【0066】
一方、ステップS51の判定により、バーコードが読み取られない場合に(ステップS51:NO)、エンコーダ5により、最近に読み取られたバーコードからビークル3までの走行距離が検出される(ステップS53)。続いて、検出された走行距離と、最近に取得された仮想マークテーブルに示される「バーコードからの距離」とが一致した(即ち、仮想マークに到達した)か否かを判定する(ステップS54)。この判定により、走行距離と最近の「バーコードからの距離」とが一致しない場合に(ステップS54:NO)、ステップS53及びS54の処理が繰り返される。
【0067】
一方、ステップS54の判定により、エンコーダ5による走行距離と、最近の「バーコードからの距離」とが一致した場合に(ステップS54:YES)、ビークル3が今回通過した或いは到達した仮想マークは、この一致された仮想マークとして特定される。
【0068】
続いて、この一致された仮想マークに対応付けされた制御情報が取得され(ステップS55)、取得された制御情報が示す制御が実行される(ステップS56)。これにより、一連の搬送制御処理が終了される。
【0069】
このように、軌道1におけるどんなに狭い2つのバーコード間でも、軌道位置を示す仮想マークが仮想に複数設定できると共に、設定された仮想マークに基づいて搬送手段を確実且つ精密に制御できる。従って、仮想マークの設定によって、制御切り替え位置を自由に設定することが可能となる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る搬送システムの構成について説明する。ここに図7は、第2実施形態に係る軌道及び搬送手段を模式的に示す。尚、第2実施形態に係る搬送システムについて、図1の搬送システム100との差異のみを記載し、これと同様に構成される要素についての説明を適宜省略する。
【0071】
図7において、本実施形態に係る搬送システム200は、軌道101、ビークル3、データベース109、及び搬送コントローラ110を備える。搬送システム200は、図1の搬送システム100と比較して特に、軌道101においてビークル3が走行可能である方向毎に少なくとも一の仮想マークテーブルを備えている点が異なる。
【0072】
軌道101は、本実施形態では特に、軌道101上に、バーコードBC101が配置されている。図7に示すように、軌道1は、本軌道101a及び支軌道101bを備える。本軌道101aは、一方向に真っ直ぐ伸びている。支軌道101bは、本軌道101aから左方に分岐する軌道である。バーコードBC101は、本軌道101a及び支軌道101bの分岐箇所に設けられている。
【0073】
搬送コントローラ101は、軌道101に沿って走行する複数のビークル3と無線により接続されており、これら複数のビークル3を統括的に制御する。搬送コントローラ110は、図1の搬送コントローラ10と同様にして、仮想マークに対応付けされる軌道位置及び制御情報に基づいて各ビークル3を制御するが、本実施形態では特に、予め設定された走行経路に応じた第2搬送制御処理を行う。
【0074】
データベース109は、後述するバーコードテーブル60と併せて、予め設定された仮想マークテーブル70及びビークル動作テーブル80を格納する。仮想マークテーブル70を構成する各仮想マークや、ビークル動作テーブル80を構成する各ビークル動作は、軌道の分岐状態を考慮する形で、搬送システムによる実際の搬送動作に先立って、予め設定されたものである。
【0075】
データベース9に格納されるテーブルについて図8〜図10を参照して説明する。ここに図8は、データベース109に格納されるバーコードテーブル60を示し、図9は、データベース109に格納される仮想マークテーブル70を示し、図10は、データベース109に格納されるビークル動作テーブル80を示す。
【0076】
図8において、バーコードテーブル60は、図3のバーコードテーブル30と同様に、バーコード毎に、「バーコードID」及び「仮想マークテーブルナンバ」を示すが、本実施形態では特に、一のバーコード(言い換えれば、一のバーコードID)に対して、複数の仮想マークテーブルナンバ(言い換えれば、複数の仮想マークテーブル)を設定可能である。例えば、一のバーコードに設定される仮想マークテーブルの個数は、一のバーコードにあるビークル3が走行可能である走行方向の数になる。
【0077】
図9において、仮想マークテーブル70は、図4の仮想マークテーブル40と同様に、一のバーコードを基準として設定される各仮想マークについて、「バーコードからの距離」及び「仮想マークID」を示す。
【0078】
図10において、ビークル動作テーブル80は、図5のビークル動作テーブル50と同様に、各仮想マークIDについて、「ビークル動作」を示す。
【0079】
第2搬送制御処理で使用される仮想マークの設定について再び図8〜図10を参照して具体的に説明する。
【0080】
図7に示すように、バーコードBC101にいるビークル3は、本軌道101a上をそのまま直進する直進方向、及び本軌道101aから分岐する支軌道101bに沿うように左方に向かって走行する左方向の二方向に走行可能である。このため、図8に示すように、バーコードBC101を基準とする第1仮想マークVC101は、バーコードID「10001」として、二つの仮想マークテーブルナンバ「BCT00001A」及び「BCT00001B」を示している。
【0081】
図9(a)は、図7におけるバーコードBC101から直進方向に走行する場合に取得される仮想マークテーブル70aである。図9(a)に示すように、直進方向に対応する仮想マークテーブルナンバ「BCT00001A」には、二つの仮想マークVC101,VC102が設定されている。
【0082】
図9(a)及び図10において、バーコードBC101から直進する場合に設定される第1仮想マークVC101は、仮想マークID「VID01001」として、バーコードBC101から距離「300(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:3m/s」を行うように設定されている。第2仮想マークVC102は、仮想マークID「VID02002」として、バーコードBC101から距離「1500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「センサーMode:A」を行うように設定されている。
【0083】
図7に仮想に示すように、このような第1及び第2の仮想マークVC101,VC102について、具体的には、バーコードBC101にあるビークル3が、第1仮想マークVC101の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が3m/sに切り替えられ、第2仮想マークVC102の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、複数のセンサのうちの上下のセンサを使用するモードに切り替えられる。
【0084】
図9(b)は、図7におけるバーコードBC101から左方向に走行する場合に取得される仮想マークテーブル70bである。図9(b)に示すように、左方向に対応する仮想マークテーブルナンバ「BCT00001B」には、三つの仮想マークVC111〜VC113が設定されている。
【0085】
図9(b)及び図10において、バーコードBC101から左方向に走行する場合に設定される第1仮想マークVC111は、図9(a)と同様に、仮想マークID「VID01001」として、バーコードBC101から距離「300(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:3m/s」を行うように設定されている。第2仮想マークVC112は、仮想マークID「VID06031」として、バーコードBC101から距離「1200(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「カーブ準備動作:開始」を行うように設定されている。第3仮想マークVC113は、仮想マークID「VID01007」として、バーコードBC1から距離「1500(mm)」の位置で、ビークル3がビークル動作「最高速度:0.05m/s」を行うように設定されている。
【0086】
図7に仮想に示すように、このような第1〜第3の仮想マークVC111〜VC113について、具体的には、バーコードBC111にあるビークル3が、主軌道101aから、左方向に分岐する支軌道101bを走行する場合に、第1仮想マークVC111の位置(即ち、真っ直ぐな軌道が続く位置)で、最高速度が3m/sに切り替えられ、第2仮想マークVC112の位置(即ち、軌道101における左カーブP101の直前)で、複数のセンサのうちの左センサを使用するモードに切り替えられ、第3仮想マークVC113の位置(即ち、左カーブP101の開始位置)で、カーブ準備動作が開始される制御に切り替えられる。
【0087】
このように、ビークル3が、本軌道101aをそのまま進むか、支軌道101bへ進むかを指示する情報を、搬送コントローラ10から取得すれば、同一位置に付けられた仮想マークに基づいて、いずれの軌道に進んでも夫々想定通りの動作切り替えを実行可能となる。
【0088】
(第2搬送制御処理)
次に、本実施形態に係る搬送システムにおける第2搬送制御処理について図11を参照して説明する。ここに図11は、本実施形態の第2搬送制御処理を示すフローチャートである。
【0089】
図11において、図6の第1搬送制御処理と同様にして、先ずステップS51及びステップS52の処理が行われる。すると、ステップS52の処理により、複数の仮想マークテーブルが取得されたか否かが判定され(ステップS61)、一の仮想マークテーブルしか取得されない場合に(ステップS61:NO)、ステップS53の処理が行われる(ステップS53)。
【0090】
一方、ステップS61の判定により、複数の仮想マークテーブルが取得された場合に(ステップS61:YES)、搬送システム110により、搬送工程に基づいて、ビークル3の走行経路情報が取得される(ステップS62)。すると、複数の仮想マークテーブルのうち、取得された走行経路情報に対応する一の仮想マークテーブルが選択される(ステップS63)。この後、図6の第1搬送制御処理と同様にして、ステップS53からステップS56の処理が行われ、一連の搬送制御処理が終了される。
【0091】
このように、一のバーコードが検出された後に、一のバーコードに対応付けされた仮想マーク情報が複数存在する場合に、搬送コントローラ110によって、ビークル3が走行すべき走行方向に対応する仮想マーク情報が取得される。従って、軌道1001上の走行方向毎に仮想マークテーブルを格納することによって、物理的に複数のバーコードBCを付けることが不可能であった位置にも制御切り替え位置を設定することが可能となる。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施形態に係る軌道及び搬送手段の一例を示す模式図である。
【図2】図1の識別手段を基準として設定される仮想マークを示す図である。
【図3】実施形態に係る識別マーク情報の一例を示す表である。
【図4】実施形態に係る仮想マーク情報の一例を示す表である。
【図5】実施形態に係る制御情報の一例を示す表である。
【図6】実施形態に係る第1搬送制御処理を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る軌道及び搬送手段の他の例を示す模式図である。
【図8】実施形態に係る識別マーク情報の他の例を示す表である。
【図9】実施形態に係る仮想マーク情報の他の例を示す表である。
【図10】実施形態に係る制御情報の他の例を示す表である。
【図11】実施形態に係る第2搬送制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1…軌道、3…搬送車、4…バーコードリーダ、5…エンコーダ、6…制御部、10…搬送コントローラ、100…搬送システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道と、
該軌道に相互に間隔をおいて夫々付けられた複数の識別マークと、
前記軌道に沿って走行して被搬送物を搬送すると共に、前記複数の識別マークのうち通過した識別マークを読み取る読取手段を有する搬送手段と、
前記軌道に沿った前記複数の識別マーク間に予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、前記搬送手段が通過した仮想マークを、前記読み取られた識別マークに基づいて、特定する仮想マーク特定手段と、
前記特定された仮想マークに基づいて、前記搬送手段を制御する搬送制御手段と
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記軌道に沿って走行した走行距離を測定する距離測定手段を更に有し、
前記仮想マーク特定手段は、前記読み取られた識別マークが付けられた位置を基準としての前記測定された走行距離に基づいて、前記通過した仮想マークを特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記複数の仮想マークを前記複数の識別マークに対応付けて格納する第1記憶手段を更に備え、
前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記読み取られた識別マークに対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第1記憶手段は、前記複数の仮想マークの各々を、前記複数の識別マークのうち前記軌道上で該各々の上流側の隣に存在する一の識別マークからのマーク間距離に対応付けて格納し、
前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記測定された走行距離に一致する前記マーク間距離に対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送制御手段は、前記複数の仮想マークに予め対応付けられた複数の動作のうち、前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記複数の動作を前記複数の仮想マークに対応付けて格納する第2記憶手段を更に備え、
前記搬送制御手段は、前記第2記憶手段上で、前記複数の動作のうち前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段が複数ある場合、前記特定された仮想マークに基づいて、前記複数の搬送手段毎に異なる制御を行うことが可能であり、
前記仮想マーク特定手段は、前記複数の搬送手段のうち一の搬送手段が通過する際には、前記複数の搬送手段毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記一の搬送手段に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記搬送制御手段は、前記複数の識別マークのうち一の識別マークの前記軌道上で下流側において、前記軌道に択一的に走行可能な複数の軌道部分がある場合、該複数の軌道部分のうち走行すべき軌道部分として、一の軌道部分を指示し、
前記仮想マーク特定手段は、予め前記一の識別マークに対して前記複数の軌道部分毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記指示された一の軌道部分に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段の制御として、前記搬送手段に夫々取り付けられた複数のセンサのうちの少なくとも一のセンサを切り替えること、前記搬送手段の走行速度を切り替えること、所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を禁止すること、並びに所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を許容することのうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項1】
軌道と、
該軌道に相互に間隔をおいて夫々付けられた複数の識別マークと、
前記軌道に沿って走行して被搬送物を搬送すると共に、前記複数の識別マークのうち通過した識別マークを読み取る読取手段を有する搬送手段と、
前記軌道に沿った前記複数の識別マーク間に予め仮想的に夫々付けられた複数の仮想マークのうち、前記搬送手段が通過した仮想マークを、前記読み取られた識別マークに基づいて、特定する仮想マーク特定手段と、
前記特定された仮想マークに基づいて、前記搬送手段を制御する搬送制御手段と
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記軌道に沿って走行した走行距離を測定する距離測定手段を更に有し、
前記仮想マーク特定手段は、前記読み取られた識別マークが付けられた位置を基準としての前記測定された走行距離に基づいて、前記通過した仮想マークを特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記複数の仮想マークを前記複数の識別マークに対応付けて格納する第1記憶手段を更に備え、
前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記読み取られた識別マークに対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第1記憶手段は、前記複数の仮想マークの各々を、前記複数の識別マークのうち前記軌道上で該各々の上流側の隣に存在する一の識別マークからのマーク間距離に対応付けて格納し、
前記仮想マーク特定手段は、前記第1記憶手段上で、前記複数の仮想マークのうち前記測定された走行距離に一致する前記マーク間距離に対応付けられた仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送制御手段は、前記複数の仮想マークに予め対応付けられた複数の動作のうち、前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記複数の動作を前記複数の仮想マークに対応付けて格納する第2記憶手段を更に備え、
前記搬送制御手段は、前記第2記憶手段上で、前記複数の動作のうち前記特定された仮想マークに対応付けられた動作を行うように、前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段が複数ある場合、前記特定された仮想マークに基づいて、前記複数の搬送手段毎に異なる制御を行うことが可能であり、
前記仮想マーク特定手段は、前記複数の搬送手段のうち一の搬送手段が通過する際には、前記複数の搬送手段毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記一の搬送手段に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記搬送制御手段は、前記複数の識別マークのうち一の識別マークの前記軌道上で下流側において、前記軌道に択一的に走行可能な複数の軌道部分がある場合、該複数の軌道部分のうち走行すべき軌道部分として、一の軌道部分を指示し、
前記仮想マーク特定手段は、予め前記一の識別マークに対して前記複数の軌道部分毎に付けられた複数の仮想マークのうち、前記指示された一の軌道部分に対応する仮想マークを、前記通過した仮想マークとして特定する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段の制御として、前記搬送手段に夫々取り付けられた複数のセンサのうちの少なくとも一のセンサを切り替えること、前記搬送手段の走行速度を切り替えること、所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を禁止すること、並びに所定の領域への前記搬送手段の進入若しくは停止を許容することのうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−276823(P2009−276823A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124732(P2008−124732)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
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