説明

携帯電話

【課題】 被呼者を呼出している間に該当する被呼者に関する日付情報を検索し、特定日に対応して登録しておいたメッセージなどの音源データを読み出し、呼接続のための呼び出し音に重畳して発呼者に音声で報知する。
【解決手段】 電話帳記憶手段131に電話番号に対応付けて所望のイベント情報を記憶し、メッセージ記憶手段133またはBGM132にイベント情報に対応付けて所望のメッセージ情報または音源データを記憶しておく。電話番号が入力され通話操作が行われると、イベント情報に合致した通話であるか検出し、メッセージ記憶手段133またはBGM132に記憶されたメッセージ情報に前記イベントに合致したメッセージまたは音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、音声コーデック32により回線から受信した呼出し信号に重畳する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話帳など被呼者に関する任意の情報を記憶する記憶手段を有する携帯電話に関するものであり、特に、記憶手段に各被呼者に関する誕生日や結婚記念日などの日付情報を記憶しておき、発呼時に被呼者を呼出している間に該当する被呼者に関する日付情報を読み出して、回線を介して受信する呼び出し音に重畳して発呼者に音声で報知するように構成した携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展に伴い種々の携帯型の情報通信端末装置(以下、携帯端末装置という)が広く普及している。このような携帯端末装置は、利用者が外出先からインターネットなどのネットワークを介して種々サービスを提供する情報配信サーバや所望のウェブサイトに接続して当該サービスを受け、あるいは情報を取得したり、自社のネットワークに接続して業務上必要な情報を取得することができる。
【0003】
最近では、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきており、携帯電話の普及率の拡大にはめざましいものがある。携帯電話を利用したデータ通信サービスを提供する事業者も増加しており、携帯電話を利用してバンキング、インターネット販売、ナビゲーション、交通機関やコンビニエンスストアなどの代金決済など様々なサービスを受けることができるようになってきている。特に携帯電話においては種々のオプションやアプリケーションが搭載可能であり、利用できるサービスの種類も豊富になってきている。
【0004】
図4は一般的な携帯電話の外観を示す図である。図4に示すように、携帯電話は、液晶表示ユニットなどから構成される表示部80、操作/入力部90を備えており、操作/入力部90にはテンキー91等と選択キー92、確定キー93、入力文字コード変換キーなどの機能キーを備えている。利用者は、表示部80にメニュー画面を表示しあるいは選択キー92を操作し携帯電話の所望の機能を選択する。また、テンキー91から電話番号を入力し、発信キーを操作して所望の相手方に発呼する。
【0005】
携帯電話の機能が充実するにつれてその利用範囲は拡大しており、特に若年層の利用者においては、本来の通話機能の他に娯楽性を追求した用途や、特殊なサービスを受けることができるアプリケーションなどをインストールして他の利用者が所有する携帯電話と差別化するような利用形態が好まれている。携帯電話に限らず一般の固定電話を利用した通話において、楽しく通話ができるよう通話音声にバックグラウンドミュージック(BGM)を流すように構成した電話機も提案されている。
【0006】
例えば、下記の特許文献1(特開2002−344571号公報)には、通話音声にBGMを重畳して発呼者と被呼者で楽しむことができる通話装置が開示されている。この通話装置は、電話機一体型端末機のCPUは、通信部を制御し、通信ネットワークを介して、相手側と通話させる。入力部を構成するマイクロホンより集音された音声信号は、通信部を介して相手側に送信され、相手側から送信されてきた音声信号は、音声再生部を構成するスピーカまたはイヤホンから出力される。音声再生部のスピーカまたはイヤホンには、メモリカードより再生された音楽信号が、相手側の音声信号に重畳して出力されるように構成されている。これにより、ユーザは、通話中、相手の声を聞くことができるだけでなく、音楽をBGMとして聞くことができる。
【特許文献1】特開2002−344571号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、携帯電話に限らず一般の固定電話を利用して通話中に発呼者側と被呼者側とが共通に関心を持つイベント、例えば、結婚記念日やお互いの誕生日などにお祝いのメッセージを交換したいという要望が存在する。しかしながら、利用者が当該イベントに関連する通話をする場合は問題ないが、当該イベントを意識することなく通話する場合には発呼者側が当該イベントに該当する特定日であることを失念している場合がある。
【0008】
例えば、利用者が特定の被呼者の誕生日に当該被呼者に誕生日のお祝いメッセージを通話する目的でなく通常の会話目的で発呼する場合、被呼者の誕生日であることを失念している場合がある。このような時に、発呼者に当該被呼者の誕生日であることを報知できれば、利用者は要件を通話する前にお祝いのメッセージなどを通話することができ、利用者の満足度を向上させることができる。
【0009】
その場合、一般の固定電話のように送話部と表示部が別体の電話機であれば、利用者は通話しながら表示部に表示されたメッセージなどの情報を見ることができる。従って、発呼者が発呼した時に、発呼者側と被呼者側とが共通に関心を持つイベント、例えば、お互いの誕生日や結婚記念日などの日付情報を発呼者側電話機の表示部に表示させる機能を提供することにより、上記のような報知を行うことができる。
【0010】
しかしながら、携帯電話の場合その構造上、送話部と表示部が一体に結合されているため利用者は通話中に表示部に表示された画面を見ることができないという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献1に開示された通話装置によれば、通話音声にBGMなどの他の音源データを重畳することができ、携帯電話にも同様の技術を適用し得るが、この通話装置は被呼者側からの通話音声にBGMを重畳して発呼者が通話音声と重ねてBGMを楽しむ構成であり、発呼者側、被呼者側の接続が完了する前に発呼者側に日付情報を報知することができないという問題点があった。
【0012】
また、上記特許文献1に開示された通話装置において、通話音声に重畳するBGMなどの音源データはメモリカードなどの外部記憶媒体に蓄積しておき、通話装置に設けたドライブに該メモリカードなどの外部記憶媒体を装着して通話装置に入力するものであり、外部記憶媒体を使用しなければならないという問題点を有していた。
【0013】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、携帯電話が備えている電話帳機能などに使用される記憶手段を利用して、発呼者と被呼者とが共通に関心を持つ被呼者のイベントに関する日付情報を登録しておき、発呼時に携帯電話が備えている時計機能を用いて前記イベントを検出し、該当する日付情報を読み出し、呼出し音の送出タイミング中に、呼出し音に日付情報を示す音声データを重畳すれば、回線接続前に発呼者に対して前記被呼者に関する日付情報を報知し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は前記の問題点を解消することを課題とし、携帯電話の通話者相互が関心を持つ被呼者に関する誕生日や結婚記念日などの日付情報を記憶しておき、発呼の際、被呼者を呼出している間に該当する被呼者に関する日付情報を検索し、特定日に対応して登録しておいたメッセージの音源データを読み出し、呼接続のための呼び出し音に重畳して発呼者に音声で報知できる携帯電話を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
電話番号に対応付けて相手方の情報を記憶する電話帳機能を構成する電話帳記憶手段を備えた携帯電話において、
前記携帯電話は、予め定めたメッセージ情報を記憶するメッセージ記憶手段または音源データを記憶するBGM記憶手段と、前記メッセージ記憶手段から読み出したメッセージ情報またはBGM記憶手段から読み出した音源データを回線から受信した呼出し信号に重畳する音声コーデックを備え、
前記電話帳記憶手段に電話番号に対応付けて所望のイベント情報を記憶し、前記イベント情報に対応付けてメッセージ記憶手段に所望のメッセージデータを記憶しまたはBGM記憶手段に所望の音源データを記憶し、電話番号が入力された場合に前記電話帳記憶手段に記憶されたイベント情報に合致した通話であることを検出すると、前記メッセージ記憶手段に記憶されたメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶された音源データに前記イベントに合致したメッセージ情報または音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、前記音声コーデックにより前記メッセージ情報または音源データを呼出し信号に重畳することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、
前記イベント情報は、発呼者と被呼者が共通に関心を持つ日付情報であることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる発明において、
前記携帯電話は、電話番号が入力された場合に前記電話帳記憶手段に記憶されたイベント情報である日付情報の当日、または、当日を含みそれ以前の所定期間に合致した通話であることを検出すると、前記メッセージ記憶手段に記憶されたメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶された音源データに前記イベントに合致したメッセージ情報または音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、前記音声コーデックにより前記メッセージ情報または音源データを呼出し信号に重畳することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかる発明において、
前記メッセージ記憶手段に記憶されるメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶される音源データは、前記イベント情報に応じて利用者が予め記憶したメッセージまたは音源データであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1にかかる発明においては、電話帳記憶手段に電話番号に対応付けて所望のイベント情報を記憶し、前記イベント情報に対応付けてメッセージ記憶手段に所望のメッセージデータを記憶しまたはBGM記憶手段に所望の音源データを記憶し、電話番号が入力された場合に前記電話帳記憶手段に記憶されたイベント情報に合致した通話であることを検出すると、前記メッセージ記憶手段に記憶されたメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶された音源データに前記イベントに合致したメッセージ情報または音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、前記音声コーデックにより前記メッセージ情報または音源データを呼出し信号に重畳する。
【0020】
この構成により、利用者は電話帳に被呼者のイベント情報を記憶し、メッセージ記憶手段に当該イベントに関するメッセージを記憶しまたはBGM記憶手段に所望の音源データを記憶しておけば、被呼者に発呼して回線が接続される前にイベントに関連するメッセージまたは音源データによる報知を受けることができるようになる。例えば、記憶したイベント情報が被呼者の誕生日である場合、回線接続前に発呼者は被呼者の誕生日であることを知ることができる。従って回線が接続された時にお祝い言葉を述べるなど、適切な通話をすることができるようになる。
【0021】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、前記イベント情報は、発呼者と被呼者が共通に関心を持つ日付情報である。従って、利用者は被呼者について関心を持つ誕生日やその他の記念日をイベント情報として登録しておき、当該イベントに応じたメッセージ情報または音源データを登録しておくことができるようになり、回線接続前に登録したイベント情報に応じたメッセージまたは音源データを聞くことができるようになる。
【0022】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかる携帯電話において、前記携帯電話は、電話番号が入力された場合に前記電話帳記憶手段に記憶されたイベント情報である日付情報の当日、または、当日を含みそれ以前の所定期間に合致した通話であることを検出すると、前記メッセージ記憶手段に記憶されたメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶された音源データに前記イベントに合致したメッセージ情報または音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、前記音声コーデックにより前記メッセージ情報または音源データを呼出し信号に重畳する。
【0023】
利用者は電話帳に被呼者のイベント情報を記憶し、メッセージ記憶手段に当該イベントに関するメッセージを記憶しておけば、イベント当日またはそれ以前の所定期間の間に被呼者に発呼した際に、回線が接続される前にイベントに関連するメッセージまたは音源データにより報知を受けることができるようになる。例えば、記憶したイベント情報が被呼者の誕生日である場合、回線接続前に発呼者は被呼者の誕生日当日または誕生日に近いことを知ることができる。従って回線が接続された時にお祝い言葉を述べる、プレゼントの希望を聞くなど、適切な通話をすることができるようになる。
【0024】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れか1項の携帯電話において、前記メッセージ記憶手段に記憶されるメッセージ情報はまたはBGM記憶手段に記憶される音源データは、前記イベント情報に応じて利用者が予め記憶したメッセージまたは音源データである。利用者は被呼者について関心を持つ誕生日やその他の記念日をイベント情報として登録しておき、当該イベントに応じた所望のメッセージ情報または音源データを登録しておくことができるようになり、回線接続前に登録したイベント情報に応じたメッセージまたは音源データを聞くことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯電話を例示するものであって、本発明をこの携帯電話に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の携帯電話にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1にかかる携帯電話Tは図1に示すように、通信部1、アンテナ2、ベースバンド部3、スピーカ(耳あて用)4、増幅回路5、7、9、マイクロホン6、スピーカ8、切替回路10、制御回路11、ROM12、RAM13、表示部14、入力部15、音声合成回路16などから構成されている。
【0027】
通信部1は後述のベースバンド部3からの信号を、アンテナ2を介して基地局へ発信したり、アンテナ2を介して基地局からの電波を受信したりする。
【0028】
ベースバンド部3はCDMA処理回路31と音声コーデック32を有する。CDMA処理回路31は符号分割多元接続、スクランブル、誤り制御、タイミング検出を行う。音声コーデック32は音声を圧縮(符号化)・伸張(復号化)したり、アナログとディジタルの変換を行ったり、内部の増幅回路(図示せず)により受話音量やマイクロホンの感度を変更する。
【0029】
スピーカ4は耳にあてて通話に使用されるスピーカであり、増幅回路5で増幅されたベースバンド部3の電気信号を音声に変換する。マイクロホン6は通話に使用されるマイクロホンであり、音声を電気信号に変換する。増幅回路7はマイクロホン6の出力を増幅してベースバンド部3に出力する。
【0030】
スピーカ8は通話を周囲の人に聞かせるためのスピーカであり、耳用のスピーカ4が配設される面の背面に配設される。このスピーカ8は増幅回路9で増幅されたベースバンド部3の電気信号を音声に変換する。また、スピーカ8は着信報知の鳴動を行う。
【0031】
切替回路10は、3つの夫々の増幅回路5、7、9、とベースバンド部3との接続を後述する切替回路10の制御によりON/OFFする。尚、これら3つの増幅回路5、7、9はゲインを固定しており、受話音量やマイクロホンの感度を変更することはできない。受話音量やマイクロホンの感度の変更は制御回路11の制御によりベースバンド部3の音声コーデック32が行う。
【0032】
制御回路11はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、ROM12に記憶されたプログラムに基づき各部を制御する。RAM13には制御回路11の動作に必要な情報である電話帳131、BGM(バックグラウンドミュージック)132やメッセージ133が記憶される。電話帳131には氏名、電話番号、メールアドレス、住所、誕生日、血液型などの個人情報が記憶可能である。
本実施例において、利用者はこの電話帳131に、所望の通話相手について相互に共通の関心を有するイベント、例えば、上記誕生日の他、結婚記念日やその他の特定の意味を有する日付を示す日付情報をイベント情報として登録しておく。そして、メッセージ133には電話番号別、イベント別に当該特定日がどのような意味を持つ日付であるかを示すメッセージとしてのメッセージ情報を記憶しておく。
【0033】
例えば、電話帳131に登録された日付情報が誕生日である場合、メッセージ133には「今日は・・・さんの誕生日です」という内容のメッセージ情報を記憶しておく。このメッセージ情報は、後述する制御により、当該特定日と一致する日に発呼された場合に、基地局から携帯電話に送信される「呼出し音」に後述する制御により重畳されて報知する。このような制御によって、利用者は、発呼した相手の誕生日であることを呼出し音に重ね合わされたメッセージにより相手と回線が接続される前に知ることができ、回線が接続された時にお祝い言葉を述べるなど、適切な通話をすることができるようになる。
【0034】
メッセージ情報はイベント情報である日付情報がどのような日であるかによって適切なメッセージを記憶しておく。例えば、結婚記念日である場合「明日は結婚記念日です」、誕生日の場合には、前記した他、「〜日は20歳の誕生日です」、「卒寿です」など、利用者が好む所望のメッセージを記憶することができる。
【0035】
「明日は・・・」というメッセージ情報を記憶した場合には、イベント情報である日付情報の前日に発呼された際に呼出し音にメッセージを重畳する。「〜日は・・・」というメッセージ情報を記憶した場合には、日付情報の当日あるいは前日を含む所定の期間を設定しておき、その間に被呼者に発呼した際に呼出し音にメッセージを重畳する。このような期間や日付の設定は、例えば、電話帳131に記憶するイベント情報、あるいはメッセージ133に記憶するメッセージ情報と対にして利用者が設定して行い、通話日時を図示していない携帯電話の時計回路の情報と対比することによって、登録したイベント情報に合致する通話か否かを判別することができる。
【0036】
このような構成にすれば、利用者は設定した期間中に通話した際に回線が接続される前に被呼者の特定日に関する情報を知ることができる。例えば、特定日情報が誕生日である場合に通話が開始された時点で「プレゼントに何が欲しいか」を相手に聞くこともできるようになる。
【0037】
表示部14は、液晶パネルなどから構成される表示部であり、電話番号や、日付に対応した表示情報を表示する。入力部15は、電話番号の入力等を行うテンキー151、発呼及び通話の開始等を操作する通話キー152、通話の終了等を操作する終話キー153、電話帳の登録・検索を操作する電話帳キー154、メールの発信・受信の操作を行うメールキー155と、入力モードを切替える入力モードキー156を有する。
【0038】
音声合成回路16は制御回路11の制御によりメッセージ133に記憶されたメッセージ情報を音声データに変換する。メッセージ133に記憶するメッセージ情報は、アナログ音声データを記憶してもよく、テキストデータなどのデジタルデータとして記憶してもよい。メッセージ133に記憶されたメッセージ情報がデジタルデータとして記憶されている場合には、音声合成回路16によりアナログ音声データに音声合成する。
【0039】
利用者がある被呼者と通話するため被呼者の電話番号をテンキー151から入力し、あるいは電話帳131を呼び出して表示し、相手方の電話番号を選択入力し、通話キー152を操作して発呼すると、制御回路11は電話帳131を参照し、通話当日が被呼者に登録されたイベント情報、すなわち、誕生日や結婚記念日に該当するかを判断する。登録されているイベント情報に合致する場合、メッセージ133に被呼者別、イベント別に記憶されているメッセージ情報を読み出す。
【0040】
メッセージ133から読み出されたメッセージ情報は必要に応じて音声合成回路16により音声データに変換され、通信部1を介してベースバンド部3が受信する呼出し音に音声データを重畳する。この重畳処理は音声コーデック32により行われ、スピーカ4または8を介して出力される。
【0041】
図2は、以上説明した本発明にかかる携帯電話の動作手順を示すフローチャートである。ステップS10の処理において、利用者がある被呼者と通話するため被呼者の電話番号をテンキー151から入力し、あるいは電話帳131を呼び出して表示し、相手方の電話番号を選択入力する。ステップS11の処理において利用者により通話キー152が操作されると、制御回路11は電話帳131を参照し、通話当日が被呼者に登録されたイベント情報を参照する。
【0042】
イベント情報は先に述べたように電話帳131に被呼者の電話番号に対応付けて記憶されており、被呼者の誕生日など発呼者、被呼者が共通の関心を有する特定の日付の情報である。制御回路11がステップS12の処理において電話帳131を参照してイベント情報を検出すると、ステップS13の処理において図示せざる時計回路の日時に基づいて、登録されたイベント情報に合致するか否かを判定する。日時がイベント情報に合致すると判定されるとステップS14の処理に進む。
【0043】
ステップS13の処理において登録されたイベント情報と合致しないと判定された場合、制御回路11はステップS15の処理に進み、呼出し音を受信する。ステップS16の処理において回線接続がなされるとステップS20の処理において通話を開始する。この処理は通常の通話処理である。
【0044】
ステップS13の処理において登録されたイベント情報に合致すると判定されると、ステップS14の処理に進み、制御回路11はメッセージ133に当該イベントに対応するメッセージ情報が記録されているかを判定する。対応するメッセージ情報が記録されていなければ、ステップS15の処理に進み通常の通話が行われる。
【0045】
ステップS14の処理においてメッセージ133に当該イベントに対応するメッセージ情報が記録されていると判定されると、ステップS17の処理において制御回路11はメッセージ133から該当するメッセージ情報を読み出す。ステップS18の処理において通信部1を介してベースバンド部3が呼出し音を受信し、音声コーデック32は呼出し音にメッセージ133から読み出されたメッセージ情報を重畳する。メッセージ情報がデジタルデータで記録されている場合は、音声合成回路16によりメッセージ情報をアナログ音声信号に合成し、音声コーデック32で呼出し音に重畳される。
【0046】
このように、利用者は電話帳に被呼者のイベント情報を記憶し、メッセージ記憶手段に当該イベントに関するメッセージを記憶しておけば、被呼者に発呼して回線が接続される前にイベントに関連するメッセージの報知を受けることができるようになる。記憶したイベント情報が被呼者の誕生日である場合、回線接続前に発呼者は被呼者の誕生日であることを知ることができる。従って回線が接続された時にお祝い言葉を述べるなど、適切な通話をすることができるようになる。
【0047】
そしてステップS19の処理において、回線接続がなされるとステップS20の処理において通話を開始する。通話が終了し、ステップS20の処理において終話キーが操作されるとステップS21の処理において回線切断して処理を終了する。
【0048】
以上、説明したように本実施例によれば、利用者が被呼者に関して日付情報をイベント情報として登録し、それに関する音声メッセージを予め登録しておけば、当該登録した特定日を意識することなく発呼した時に、呼出し音に登録した音声メッセージが重畳され、特定日であることが報知される。このため、利用者は回線接続される前に特定日であることを知ることができ、利用者は被呼者に対して回線が接続された時にお祝い言葉を述べるなど、適切な通話をすることができるようになる。
【実施例2】
【0049】
なお、上記実施例の説明においては、電話帳131に登録したイベント情報に対応して予めメッセージ133に当該イベント情報に応じたメッセージを記憶しておく例を説明したが、予め当該イベント情報に対応した音楽などの音源データをBGM132に記憶しておき、呼出し音に重畳して発呼者に報知するように構成してもよい。
【0050】
図3は、この場合の処理手順を示すフローチャートである。ステップS30の処理において、利用者がある被呼者と通話するため被呼者の電話番号をテンキー151から入力し、あるいは電話帳131を呼び出して表示し、相手方の電話番号を選択入力する。ステップS31の処理において利用者により通話キー152が操作されると、制御回路11は電話帳131を参照し、通話当日が被呼者に登録されたイベント情報を参照する。
【0051】
イベント情報は先に述べたように電話帳131に被呼者の電話番号に対応付けて記憶されており、被呼者の誕生日など発呼者、被呼者が共通の関心を有する特定の日付の情報である。制御回路11がステップS32の処理において電話帳131を参照してイベント情報を検出すると、ステップS33の処理において図示せざる時計回路の日時に基づいて、登録されたイベント情報に合致するか否かを判定する。日時がイベント情報に合致すると判定されるとステップS34の処理に進む。
【0052】
ステップS33の処理において登録されたイベント情報と合致しないと判定された場合、制御回路11はステップS35の処理に進み、呼出し音を受信する。ステップS36の処理において回線接続がなされるとステップS40の処理において通話を開始する。この処理は通常の通話処理である。
【0053】
ステップS33の処理において登録されたイベント情報に合致すると判定されると、ステップS34の処理に進み、制御回路11はBGM132に当該イベントに対応する音源データが記録されているかを判定する。対応する音源データが記録されていなければ、ステップS35の処理に進み通常の通話が行われる。
【0054】
ステップS34の処理においてBGM132に当該イベントに対応する音源データが記録されていると判定されると、ステップS37の処理において制御回路11はBGM132から該当する音源データを読み出す。ステップS38の処理において通信部1を介してベースバンド部3が呼出し音を受信し、音声コーデック32は呼出し音にBGM132から読み出された音源データを重畳する。音源データがデジタルデータで記録されている場合は、音声合成回路16により音源データをアナログ音声信号に合成し、音声コーデック32で呼出し音に重畳される。
【0055】
本実施例によれば、利用者が被呼者に関して日付情報をイベント情報として登録し、それに関連付けた音楽などの音源データを予め登録しておけば、当該登録した特定日を意識することなく発呼した時に、呼出し音に登録した音楽などの音源データが重畳され、特定日であることが報知される。このため、利用者は回線接続される前に特定日であることを知ることができ、利用者は被呼者に対して回線が接続された時にお祝い言葉を述べるなど、適切な通話をすることができるようになる。
【0056】
なお、図1において、BGM132に記憶した音楽データを通話音声に重ね合わせて、発呼側、被呼側相互に楽しむこともできる。利用者がある被呼者と通話するため被呼者の電話番号をテンキー151から入力し、あるいは電話帳131を呼び出して表示し、相手方の電話番号を選択入力し、通話キー152を操作して発呼すると、制御回路11は電話帳131を参照し、通話当日が被呼者に登録されたイベント情報、すなわち、誕生日や結婚記念日に該当するかを判断する。
【0057】
登録されているイベント情報に合致する場合、BGM132に被呼者別、イベント別に記憶されている音源データを読み出して通話音声に重畳する。すなわち、音声コーデック32によりマイクロホン6からの通話音声、通信部1を介して受信した被呼者側の通話音声に重畳すれば、発呼者側、被呼者側双方が通話をしながら通話信号に重畳されたBGMを聞くことができるようになる。
【0058】
なお、上記実施例1、2において電話帳131、BGM132、メッセージ133はRAM13中にそれぞれ個別の領域を設けた例を説明したが、電話帳131の記憶領域にBGMやメッセージの音源データを記憶するように構成してもよい。また、本実施例の機能を有効にするか、無効にするかを利用者が設定できるように構成することもできる。
【0059】
以上、説明したように本発明によれば、表示画面にメッセージを表示することなく、あるいは、表示画面を見ることなく、利用者は、発呼した相手について登録した特定の日であることを呼出し音に重ね合わされたメッセージにより、相手と回線が接続される前に知ることができ、回線が接続された時にお祝い言葉を述べるなど、適切な通話をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例にかかる携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯電話における動作手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2の携帯電話における動作手順を示すフローチャートである。
【図4】一般的な携帯電話の外観を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・・通信部
2・・・・アンテナ
3・・・・ベースバンド部
31・・・CDMA処理回路
32・・・音声コーデック
4・・・・スピーカ(耳あて用)
5、7、9・・・・増幅回路
6・・・・マイクロホン
8・・・・スピーカ
10・・・切替回路
11・・・制御回路
12・・・ROM
13・・・RAM
131・・住所録
132・・BGM(バックグラウンドミュージック)
133・・メッセージ
14・・・表示部
15・・・入力部
151・・テンキー
152・・通話キー
153・・終話キー
154・・電話帳キー
155・・メールキー
156・・入力モードキー
16・・・音声合成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話番号に対応付けて相手方の情報を記憶する電話帳機能を構成する電話帳記憶手段を備えた携帯電話において、
前記携帯電話は、予め定めたメッセージ情報を記憶するメッセージ記憶手段または音源データを記憶するBGM記憶手段と、前記メッセージ記憶手段から読み出したメッセージ情報またはBGM記憶手段から読み出した音源データを回線から受信した呼出し信号に重畳する音声コーデックを備え、
前記電話帳記憶手段に電話番号に対応付けて所望のイベント情報を記憶し、前記イベント情報に対応付けてメッセージ記憶手段に所望のメッセージデータを記憶しまたはBGM記憶手段に所望の音源データを記憶し、電話番号が入力された場合に前記電話帳記憶手段に記憶されたイベント情報に合致した通話であることを検出すると、前記メッセージ記憶手段に記憶されたメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶された音源データに前記イベントに合致したメッセージ情報または音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、前記音声コーデックにより前記メッセージ情報または音源データを呼出し信号に重畳することを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
前記イベント情報は、発呼者と被呼者が共通に関心を持つ日付情報であることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話。
【請求項3】
前記携帯電話は、電話番号が入力された場合に前記電話帳記憶手段に記憶されたイベント情報である日付情報の当日、または、当日を含みそれ以前の所定期間に合致した通話であることを検出すると、前記メッセージ記憶手段に記憶されたメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶された音源データに前記イベントに合致したメッセージ情報または音源データが記憶されている場合、当該メッセージ情報または音源データを読み出し、前記音声コーデックにより前記メッセージ情報または音源データを呼出し信号に重畳することを特徴とする請求項2に記載の携帯電話。
【請求項4】
前記メッセージ記憶手段に記憶されるメッセージ情報またはBGM記憶手段に記憶される音源データは、前記イベント情報に応じて利用者が予め記憶したメッセージまたは音源データであることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−116499(P2007−116499A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306784(P2005−306784)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】