説明

新しい毛嚢を生成させ毛髪を成長させる方法、キット、及び組成物

本発明は、被験者の新しい毛嚢を生成させ毛髪を成長させるための方法、キット、及び組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、被験者の新しい毛嚢を生成させ毛髪を成長させる方法、キット、及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛嚢新生は、出生後の新しい毛嚢(HF)の生成として定義される。ヒトはすべての数の毛嚢を持って生まれ、毛嚢は、例えば早期脱毛症のようにそのサイズと成長特性が変化するか、又は脱毛症の後期段階又は永久的瘢痕性脱毛症のように最終的に変性し消失する。従って新しいHFの生成は、一般的脱毛症ならびにあまり一般的ではない脱毛症状(例えば円板状エリテマトーデス、先天性貧毛症、扁平毛孔性苔癬、及び他の瘢痕性脱毛症)の治療に好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の要約
本発明は、被験者の新しい毛嚢を生成させ毛髪を成長させる方法、キット、及び組成物に関する。
【0004】
ある態様において、本発明は、局所投与用に製剤化された0.001%〜0.1%(w/v)の小分子EGFRインヒビター(EGFRインヒビターは約2,000ダルトン未満の非天然窒素含有複素環又はその代謝物である)を含む組成物を特徴とする。
【0005】
別の態様において、本発明は、(i)局所投与用に製剤化された0.000001%〜10%(w/v)の小分子EGFRインヒビター(EGFRインヒビターは約2,000ダルトン未満の非天然窒素含有複素環又はその代謝物である)を含む組成物と、(ii)毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することが必要な被験者の皮膚にこの組成物を適用するための説明書とを含むキットを特徴とする。
【0006】
本発明はさらに、(i)本発明の組成物と、(ii)被験者の皮膚に該組成物を適用するための説明書、とを含むキットを特徴とする。
【0007】
本発明はまた、(i)本発明の組成物と、(ii)毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することが必要な被験者の皮膚にこの組成物を適用するための説明書とを含むキットを特徴とする。
【0008】
本発明はさらに、(i)本発明の組成物と、(ii)被験者の皮膚に組成物を投与するための説明書とを含むキットを特徴とし、ここで皮膚は、組成物の最初の投与前の2週間以内に再上皮化を受けている。
【0009】
本発明はさらに、(i)EGFR抗体を含む組成物と、(ii)毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することが必要な被験者に該抗体を投与するための説明書とを含むキットを特徴とする。ある実施形態において、抗体は、ザルツムマブ、セツキシマブ、IMC11F8、マツズマブ、SC100、ALT110、PX1032、BMS599626、MDX214、及びPX1041から選択される。
【0010】
本発明はさらに、(i)レフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357から選択される小分子EGFRインヒビターと、(ii)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、レチノイド、抗アンドロゲン剤、免疫抑制剤、チャンネル開口薬、抗生物質、抗微生物剤から選択される追加の生物活性物質とを含む、局所投与用に製剤化された組成物を含むキットを特徴とする。ある実施形態において小分子EGFRインヒビターはゲフィチニブ又はエルロチニブであり、追加の生物活性物質は、ミノキシジル、ジアゾキシド、及びフェニトインから選択されるチャンネル開口薬である。
【0011】
上記の任意のキットは、被験者の頭部(例えば、頭皮、頬、顎、顔の下部、又は眉)に組成物を適用するための、被験者の皮膚に組成物を1日に1回又は2回適用するための、被験者の皮膚に組成物を少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はさらには10日間連続して適用するための、夜中に組成物を投与するための、又は日中組成物を投与するための、説明書を適宜含んでよい。
【0012】
本発明は、(i)被験者の皮膚を破壊することにより(例えば、被験者の皮膚の再上皮化を誘導する)、及び(ii)皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量の小分子EGFRインヒビター又はその代謝物を、皮膚の細胞に接触させることにより、被験者の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法を特徴とする。ある実施形態においてステップ(a)は、ステップ(b)の前2週間、10日、8日、5日、又はさらに3日以内に行われる。ある実施形態においてステップ(a)は、ステップ(b)と同時、2日以上、3日以上、4日以上、又は1週間以上後に行われる。
【0013】
本発明はさらに、(i)皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量の小分子EGFRインヒビター又はその代謝物を、皮膚の細胞に接触させることにより、被験者の頭部の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法を特徴とし、ここでEGFRインヒビターは約2,000ダルトン未満の非天然窒素含有複素環又はその代謝物であり、ただし皮膚は眉ではない。
【0014】
本発明はまた、(i)被験者の皮膚の再上皮化を誘導し、(ii)皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量の小分子EGFR抗体を、皮膚の細胞に接触させることにより、被験者の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法を特徴とする。
【0015】
本発明は、(i)被験者の皮膚の再上皮化を誘導し、(ii)小分子EGFRインヒビター又はその代謝物及びEGFR抗体から選択されるEGFRインヒビターを被験者に投与することにより、被験者の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法を特徴とし、ここでEGFRインヒビターは、持続放出のために製剤化され、皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量で投与される。ある実施形態においてステップ(i)と(ii)は同時に行われる。
【0016】
本発明はさらに、(i)本発明の方法に従って被験者上の毛嚢を生成させ、(ii)毛嚢中のWntタンパク質の発現を抑制することにより、被験者上の着色毛髪を生成する方法を特徴とする。ある実施形態において、Wntタンパク質の発現を抑制するステップは、Dkk1タンパク質の発現を誘導することを含む。
【0017】
上記の任意の方法は、被験者の皮膚に本発明の組成物を接触させるステップを適宜含む。
【0018】
具体的な実施形態において、本発明の方法は、接触ステップを日中に行うか、又は接触ステップを夜中に行うことを含む。
【0019】
上記の任意の方法において、EGFRインヒビターは、全身性に又は局所的に投与することができる。
【0020】
上記の任意の方法において、再上皮化された皮膚は角質層が欠如するか、新たに形成されたケラチン細胞を含むか、又はBerEP4、サイトケラチン15、サイトケラチン17、β−カテニン、ソニックヘッジホッグ(sonic hedgehog)、及びアルカリホスファターゼから選択される1つ又はそれ以上の特徴的マーカーを示す胚毛嚢を含む。
【0021】
上記方法のある実施形態において、この方法は、被験者の頭部、頭皮、頬、顎、又は眉上の毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することを含む。
【0022】
上記の任意の方法について、被験者は、頭皮、顔面、又は眉の脱毛に罹っていてもよい。被験者は、脱毛症(例えば、アンドロゲン性脱毛症、円板状エリテマトーデス、先天性貧毛症、扁平毛孔性苔癬、又は瘢痕性脱毛症)に関連する疾患に罹っている場合がある。本発明の方法はまた、より速い毛髪成長と太い毛髪(治療を受けていない被験者と比較して)を生じさせることができる。別の態様において、本発明の前記方法の組成物は、毎日1回又は2回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12日間、又はそれ以上連続して)被験者に投与することができる。
【0023】
本発明の方法、キット、及び組成物の具体的な実施形態において、局所投与用に製剤化された小分子EGFRインヒビターは、0.000001%〜10%、0.00001%〜10%、0.00001%〜1%、0.0001%〜1%、0.0001%〜0.5%、0.001%〜0.5%、0.01%〜0.5%、0.1%〜0.5%、又は0.001%〜0.1%(w/v)の小分子EGFRインヒビターを含む。
【0024】
本発明の方法、キット、及び組成物の別の具体的な実施形態において、局所製剤は、抗酸化剤(例えば、チオール類、スルホキシミン(sulphoximine)類、金属キレート物質、脂肪酸、ビタミン類(ビタミンEを含む)、フェノール類、スチルベン類、尿酸、マンノース、セレン、及び没食子酸プロピル)、乳化性賦形剤(例えば、ポリエトキシ化脂肪酸、PEG-脂肪酸ジエステル、PEG-脂肪酸モノエステルとジエステル混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換産物、ポリグリセリド化脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル−グリセリンエステルの混合物、モノ−及びジグリセリド、ステロール及びステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、トコフェロールエステル、及びステロールエステル)、ゲル化剤、ヒドロコロイド、架橋剤、及び可塑剤から選択される医薬的に許容し得る賦形剤がある。ある実施形態において、局所製剤は、0.5〜50%、0.5〜25%、0.5〜15%、0.5〜10%、0.5〜5%、又は0.5〜3%(w/w)の1つ又はそれ以上の乳化性賦形剤、0.5〜50%、0.5〜25%、0.5〜15%、0.5〜10%、0.5〜5%、又は0.5〜3%(w/w)の1つ又はそれ以上のゲル化剤、0.001%〜3%、0.01%〜1%、0.05%〜0.5%(w/w)の1つ又はそれ以上の抗酸化剤、0.001%〜3%、0.01%〜1%、0.05%〜0.5%(w/w)の1つ又はそれ以上の架橋剤、0.001%〜3%、0.01%〜1%、0.05%〜0.5%(w/w)の1つ又はそれ以上の可塑剤、及び0.5〜50%、0.5〜25%、0.5〜15%、0.5〜10%、0.5〜5%、又は0.5〜3%(w/w) の1つ又はそれ以上のヒドロコロイドを含むことができる。
【0025】
本発明の方法、キット、及び組成物のさらに別の具体的な実施形態において、EGFRインヒビター(例えば、小分子EGFRインヒビター又はEGFR抗体)は、抗ヒスタミン剤(例えば、メピラミン、ジフェンヒドラミン、及びアンタゾリン)、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、NTHE、及びCOX-2インヒビター)、レチノイド(例えば、13-シス-レチノイン酸、アダパレン、オールトランスレチノイン酸、及びエトレチネート)、抗アンドロゲン剤(例えば、フィナステリド、フルタミド、ジアゾキシド、11アルファ−ヒドロキシプロゲステロン、ケトコナゾール、RU58841、ヅタステリド、フルリジル、及びQLT-7704)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、エベロリムス、及びピメクロリムス)、チャンネル開口薬(例えば、ミノキシジル、ジアゾキシド、及びフェニトイン)、抗生物質、及び抗微生物剤(例えば、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、樟脳メタクレゾール、樟脳フェノール、ヘキシルレソルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、グリセリン、イミヅレア、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、及びチオメルサル)から選択される追加の生物活性物質と組み合わされる(例えば、投与される、製剤化される、又はキットに含有される)。
【0026】
本発明の方法、キット、及び組成物の具体的な実施形態において、EGFRインヒビターは、投与、製剤化されるか、又は抗アンドロゲン剤(例えばフィナステリド)及びチャンネル開口薬(例えばミノキシジル)とともにキットの一部である。
【0027】
本発明の方法、キット、及び組成物のさらに別の実施形態において、局所製剤は、クリーム剤、ローション剤、スティック剤、軟膏剤、ゲル剤、噴霧剤、発泡剤、パッチ剤、エアゾル剤、創傷包帯、又は点滴剤である。
【0028】
前記方法、キット、及び組成物の任意の実施形態において、小分子EGFRインヒビターは、レフルノミド、レフルノミド代謝物A771726、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357から選択される。
【0029】
前記方法、キット、及び組成物の任意の別の実施形態において、EGFR抗体は、ザルツムマブ、セツキシマブ、IMC11F8、マツズマブ、SC100、ALT110、PX1032、BMS599626、MDX214、及びPX1041から選択される。
【0030】
用語「投与」及び「投与する」は、ある用量の医薬組成物を患者に与える方法を意味し、この方法は、例えば局所的、経口、静脈内、経皮、皮下、腹腔内、又は筋肉内でもよい。好適な投与法は、種々の要因(例えば医薬組成物の成分、毛髪成長及び毛嚢生成が必要な部位)により変化し得る。本発明の方法、キット、及び組成物において、投与は好ましくは局所的である。
【0031】
「充分な量」とは、治療の無い場合に観察される新しい毛嚢生成又は毛髪成長の速度と比較して、被験者の頭皮又は眉上の新しい毛嚢生成及び/又は新しい毛髪成長の速度を上昇させるのに必要なEGFRインヒビター(例えば、小分子EGFRインヒビター又はEGFR抗体)の量を意味する。本発明を実施するのに使用されるEGFRインヒビターの有効量は、使用されるインヒビター、投与方法、被験者の年齢、体重、全身の健康に依存して変化する。最終的には担当医師が、適切な量と投与方法を決定するであろう。かかる量は「充分な量」と言われる。
【0032】
本明細書において「再上皮化」は、新しい表皮の形成中に起きるプロセスを意味する。これらのプロセスを受けている組織は、毛嚢形態形成の欠如、胚様状態の細胞、又は角質層の欠如が特徴である。
【0033】
「破壊」とは、既存の毛嚢及び周りの表皮及び/又は真皮への、「胚様」状態を誘導する充分な量の妨害を意味する。胚様状態は、毛嚢の隆起領域又は毛嚢間表皮からの上皮幹細胞の活性化、遊走、及び分化を含む。皮膚破壊の深さは、深くなる順に、角質層の部分的除去、角質層の完全な除去、表皮の部分的除去、表皮の完全な除去、真皮の部分的除去、真皮の完全な除去を含みうる。皮膚破壊はまた、角質層及び/又は外表皮への妨害無しで、中〜下層表皮及び/又は真皮の破壊を含みうる。化学的、エネルギー、機械、音響、超音波、及び/又は電磁ベースの方法により、異なるレベルの皮膚破壊が行われる。
【0034】
「制御放出」とは、製剤からの治療化合物の制御された空間的及び時間的放出を意味する。用語「制御放出」は、遅延放出、持続放出、及びパルス又は正弦波パターンの製剤からの放出を含む。制御放出製剤ではtmaxは変化してもしなくてもよい。化合物の制御放出は、外因性又は内因性刺激により活性化されうる。
【0035】
「遅延放出」は、治療活性成分が製剤から直ちには放出されないことを意味する(例えば担体粒子)。
【0036】
「持続放出」は、治療活性化合物が長期間にわたって放出される抑制放出型を意味する。
【0037】
本明細書において「局所投与用に製剤化された」は、治療化合物を含有し、分散組成物を生成するための医薬的に許容し得る賦形剤とともに調製される本発明の組成物を意味する。局所投与用に製剤化された組成物(例えば、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、微小皮膚剥離粒子(microdermabrasion particle)、及び本明細書に記載の他の局所的製剤)は、組成物の局所投与についての説明書を含む治療処方に関する政府規制に従って製造又は販売されるものである。
【0038】
「小分子EGFRインヒビター」は、1つ又はそれ以上のEGFRファミリーチロシンキナーゼの機能を阻害する分子を意味する。EGFRファミリーのチロシンキナーゼには、EGFR、HER-2、及びHER-4(Raymond et al., Drugs 60(suppl.1):15 (2000);及びHarari et al., Oncogene 19:6102 (2000))がある。小分子EGFRインヒビターには、例えばゲフィチニブ(Baselga et al., Drugs 60(suppl.1):33 (2000))、エルロチニブ(Pollack et al., J. Pharm. Exp. Ther. 291:739 (1999))、ラパチニブ(Lackey et al., 92nd AACR Meeting, New Orleans, 抄録4582 (2001))、カネルチニブ(Bridges et al., Curr. Med. Chem. 6:825 (1999))、バンデタニブ(Wedge et al., Cancer Res. 62:4645 (2002))、CL-387785(Discafani et al., Biochem. Pharmacol. 57:917 (1999))、PKI166(Takada et al., Drug Metab. Dispos. 32:1272 (2004))、ペリチニブ(Torrance et al., Nature Medicine 6:1024 (2000))、HKI-272, HKI-357(HKI-272とHKI-357については例えば、Greenberger et al., 11th NCI-EORTC-AACR Symposium on New Drugs in Cancer Therapy, Amsterdam, 抄録388 (2000);Rabindran et al., Cancer Res. 64:3958 (2004);Holbro et al., Ann. Rev. Pharm. Tox. 44:195 (2004);Tsou et al., J. Med. Chem. 48:1107 (2005);and Tejpar et al., J. Clin. Oncol. ASCO Annual Me
eting Proc. 22:3579 (2004)参照)、及びレフルノミド(Kochhar et al., FEBS Lett. 334:161 (1993))がある。これらの化合物のそれぞれの構造を以下の表1に示す。
【表1】


【0039】
本発明の方法と組成物で使用できる小分子EGFRインヒビターには、アニリノキナゾリン類、例えばゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、及びCL-387785、そしてPCT公開WO/2005/018677、米国特許番号5,747,498、及び5,457,105に開示された他のアニリノキナゾリン類;キノリン-3-カルボニトリル類、例えばペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357、そして米国特許番号6,288,082、及び6,002,008に開示されたキノリン-3-カルボニトリル類;ピロロピリミジン類、例えばPKI166、及び米国特許番号6,713,474及び米国特許公開番号20060211678、20060035912、20050239806、20050187389、20050165029、20050153989、20050037999、20030187001、及び20010027197に開示されたピロロピリミジン類;ピリドピリミジン類、例えば米国特許番号5,654,307及び6,713,484に開示されたもの;ピラゾピリミジン類、例えば米国特許番号6,921,763及び6,660,744、及び米国特許公開番号20060167020、20060094706、20050267133、20050119282、20040006083、及び20020156081に開示されたもの;イソキサゾール類、例えばレフルノミド;イミダゾロキナゾリン類、ピロロキナゾリン類、及びピラゾロキナゾリン類がある。好ましくは小分子EGFRインヒビターは、複素二環又は複素三環系を含有する。上記の特許公報のそれぞれは参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0040】
「A777628」は、以下の構造を有するレフルノミドの活性代謝物を意味する。
【化1】

【0041】
本明細書において「分化を促進する」は、指定されたように分化する細胞の割合を上昇させるか、又は皮膚の単位面積当たりの分化する細胞の数を上昇させる行為を意味する。
【0042】
「未拘束の表皮細胞」は、HF細胞に分化するように誘導することができる、表皮幹細胞、隆起細胞、隆起由来細胞、又は当該分野で公知の任意の他のタイプの細胞を意味する。
【0043】
「HF細胞」は、HF幹細胞、真皮乳頭細胞、球細胞、マトリックス細胞、毛幹細胞、内毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、メラノサイト幹細胞、又はメラノサイトを意味する。
【0044】
「EDIHN」は、上皮層の破壊(例えば、特に擦過又は創傷)により誘導されるHF新生を意味する。本発明の方法を使用して、上皮層の破壊後の再上皮化中に皮膚は小分子EGFRインヒビターと接触して、HF細胞への未拘束表皮細胞の分化を促進する。
【0045】
「コルチコステロイド」は、水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を特徴とし、免疫抑制活性及び/又は抗炎症活性を有する天然又は合成化合物を意味する。天然コルチコステロイドは一般に副腎皮質により産生される。合成コルチコステロイドはハロゲン化されてもよい。コルチコステロイドの例は本明細書に記載される。
【0046】
本発明の他の特徴や利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】表皮擦過は、新規毛嚢(HF)生成を引き起こす。発生の進行段階のHFは、左、中央、及び右のパネルに示される。左のパネルの矢印は毛芽を示す。黒く染色された細胞は隆起内のHF幹細胞の子孫である。
【図2】表皮擦過後のHFのBrdU標識。発生の進行段階のHFは、左、中央、及び右のパネルに示される。
【図3】創傷部位は、再上皮化直後にHFを含有しなかった。創傷誘導の10日後の、部位の上の図(左のパネル)と組織切片(右のパネル)。
【図4】創傷誘導の12日後の毛芽の外観。矢印は毛芽を示す。
【図5】表皮破壊誘導性HF新生(EDIHN)誘導性の毛芽はK17を発現する。2つの異なる毛芽が左のパネルと右のパネルに示される。
【図6】EDIHN誘導性の毛芽は、アルカリホスファターゼ(AP)染色により証明されるように真皮乳頭(DP)細胞を含有する。矢印はDP細胞を示す。左のパネル:毛芽。右のパネル:さらなる発生段階のHF。
【図7】EDIHN誘導性HFと胚HFとの組織学的比較。上の左、左から2番目、左から3番目、及び右のパネル:EDIHN誘導性HF発生の進行段階。下の左、中央、及び右のパネル:胚HF発生の進行段階。
【図8】EDIHNによる胚HF発生のいくつかのマーカーの誘導、Lef1(左のパネル)、ウィングレス/int(Wnt)10b(中央のパネル)、及びソニックヘッジホッグ(Shh;右のパネル)。HF構造は矢じりで示される。
【図9】BrdUパルス標識により証明されるEDIHN中の増殖活性。HF発生の進行段階は、左、中央、及び右のパネルに示される。
【図10】EDIHNによるHFマーカーS100A3(左パネル;HF軸に平行な組織切片)とS100A6(右パネル;毛嚢の断面図)の誘導。
【図11】創傷誘導の25日後(左のパネル)と45日後(右のパネル)の新しい毛髪の成長。
【図12】全マウントEDIHNアッセイの略図。
【図13】追跡期間後のBrdU標識物の保持により証明される、EDIHN誘導性HFの隆起中の幹細胞の再生。左のパネル:低倍率:50X、右のパネル:高倍率:400X。
【図14A】EDIHN誘導性HF中の幹細胞はK15を発現する。左上のパネル:創傷部位の上面図。下、離れた左のパネル:表皮全マウント;下、左のパネルから2番目:同じパネル[下、離れた左]であるが白色光で観察;右のパネル:組織切片。
【図14B】新生HFは次の毛髪周期に進む。
【図15】EDIHNによる新しいHF生成の略図。
【図16】21日齢のマウスで創傷誘導の11日後に、新しいHFは見られない。上のパネル:肉眼観察;下の左のパネル:真皮のAP染色;下の右のパネル:表皮のK17染色。
【図17】創傷誘導の14日後に、真皮のAP染色(左のパネル)と表皮のK17染色(右のパネル)により証明されるように、新しいHFが生成し始めた。主パネル:10X倍率。挿入図:80X倍率。
【図18】創傷誘導の17日後に、新しいHFがさらに成長している。左のパネル:真皮のAP染色;右のパネル:表皮のK17染色。主パネル:10X倍率。挿入図:80X倍率。
【図19】脱毛、次に創傷させたマウス(各パネルで左の3匹のマウス)対創傷のみのマウス(各パネルで左の4匹のマウス)で同様に創傷を閉じた。左のパネル:創傷直後。右のパネル:創傷の10日後。
【図20】創傷前の脱毛による成長期誘導はEDIHNの効率を上昇させる。A.上のパネル:下の左のパネル 真皮のAP染色;下の右のパネル:表皮のK17染色。B.脱毛によるEDIHNの増強のグラフ表示。
【図21A】創傷切除の誘導後7日目の、免疫不全症(scid)マウスに移植されたヒト皮膚中のEDIHN。矢印は新しいHFを示す。
【図21B】ヒト皮膚移植物の真皮擦過はEDIHNを引き起こす。ヒト成人の皮膚(W)をマウスに移植し、擦過し、7日後にS100A6(1、2、4列目)又はS100A4(3列目)の染色により観察した。毛芽(HG)と真皮乳頭(DP)を示す。比較のために成長している毛嚢を有するヒト胎児皮膚(F)を示す。創傷の17日後のマウスの皮膚を対照として含めた(上の左のパネル)。
【図22A−1】dChip分析により評価すると、活性化HF細胞中の少なくとも2倍アップレギュレートされた転写体。非活性化(「bs-line」)と活性化(「expt」)サンプル中のアップレギュレートされた転写体の平均と標準誤差、及び非活性化値と活性化値との変化倍数と差を示す。
【図22A−2】図22A−1の続きである。
【図22A−3】図22A−2の続きである。
【図22A−4】図22A−3の続きである。
【図22A−5】図22A−4の続きである。
【図22A−6】図22A−5の続きである。
【図22A−7】図22A−6の続きである。
【図22A−8】図22A−7の続きである。
【図22B−1】非活性化及び活性化細胞中のアップレギュレートされた転写体の生データ。「Ctrl」は非活性化細胞を、「High-dep」は活性化細胞を示す。
【図22B−2】図22B−1の続きである。
【図22B−3】図22B−2の続きである。
【図22B−4】図22B−3の続きである。
【図22B−5】図22B−4の続きである。
【図22C−1】アップレギュレートされた転写体についての追加の情報。
【図22C−2】図22C−1の続きである。
【図22C−3】図22C−2の続きである。
【図22C−4】図22C−3の続きである。
【図22C−5】図22C−4の続きである。
【図22C−6】図22C−5の続きである。
【0048】

【図23A】EDIHN後のDkk1-発現マウスの皮膚で観察される色素性毛嚢新生。3.2X倍率。
【図23B】8X倍率。
【図24】色素性HFが欠如した対照マウス。
【図25A】EGFはEDIHNによるHF生成を阻害する。
【0049】
EGFで処理した代表的マウスの創傷皮膚のK17染色。倍率は4Xである。
【図25B】(A)に記載した皮膚の高倍率図(10X)。
【図25C】創傷後にEGFを投与されなかった代表的対照マウスの創傷皮膚のK17染色。倍率は4Xである。
【図25D】(D)に記載した皮膚の高倍率図(10X)。
【図26A】EGF受容体インヒビター(AG1478)の投与は、対照と比較してより多くのかつより大きいHFの生成を引き起こす。
【0050】
上:2匹の対照マウスの皮膚。外側の点線は、収縮と治癒後の創傷部の広がりを示す;内側の点線は、新生部を示す。下:2匹の処理マウスの皮膚であり、創傷部と新生部は、各パネルの囲んだ領域の左側の小さい領域を除いて、ほとんど一致する。
【図26B】AG1478注入マウスで創傷部に出現した大きな毛嚢。左のパネル:K17について染色した表皮であり、3つの大きな毛嚢が互いに隣接する。右のパネル:APについて染色された真皮であり、大きな癒合するDP領域を有する。スケールバー:200μm。
【図27A】K14-Wnt7aマウス中の毛嚢生成の上昇。左のパネル:Wnt7aトランスジェニックマウス。右のパネル:対照(野生型)マウス。
【図27B】4週齢マウスを用いた実験の定量。
【図27C】3週齢マウスを用いた実験の定量。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
本発明は、被験者の新しい毛嚢を生成させ毛髪を成長させるための方法、キット、及び組成物に関する。本発明の方法は、小分子EGFRインヒビターの投与前に皮膚組織の再上皮化を含むことができる。本発明の方法、キット、及び組成物のさらなる詳細を以下に示す。
【0052】
局所製剤
本発明の方法において、小分子EGFRインヒビターは、局所製剤で皮膚に送達することができる。局所製剤には、特に限定されないが、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、スティック剤、軟膏剤、噴霧剤、発泡剤、パッチ剤、エアゾル剤、創傷包帯、及び点滴剤がある。これらの製剤は、例えば定量スプレーアプリケーター、微細針、イオン導入法、超音波貫通増強法、電気穿孔法、ナノ/マイクロ注入法、スポンジを使用することにより、又は手で製剤を塗布し広げることにより投与することができる。
【0053】
通常の医薬的及び美容的に許容し得るビヒクルを使用してもよい。例えば小分子EGFRインヒビターはリポソーム製剤で投与され、これは生物活性化合物が皮膚に入ることを可能にする。かかるリポソーム製剤は、米国特許番号5,169,637;5,000,958;5,049,388;4,975,282;5,194,266;5,023,087;5,688,525;5,874,104;5,409,704;5,552,155;5,356,633;5,032,582;4,994,213;及びPCT公報No. WO 96/40061に記載されている。他の適切なビヒクルの例は、米国特許番号4,877,805 及び EP公開公報No. 0586106A1に記載されている。本発明の適切なビヒクルにはまた、ミネラル油、ワセリン、ポリデセン、ステアリン酸、イソプロピルミリステート、ポリオキシル40ステアレート、ステアリルアルコール、又は植物油を含みうる。
【0054】
この製剤は、種々の従来の着色物質、芳香剤、増粘剤(例えば、キサンタンガム)、保存剤、保湿剤、皮膚軟化薬(例えば、炭化水素油、蝋、又はシリコーン)、粘滑薬、乳化性賦形剤、分散剤、貫通増強剤、可塑剤、保存剤、安定剤、乳化破壊剤、湿潤剤、乳化剤、加湿剤、収斂剤、脱臭剤などがあり、これらは追加の利点を与え、局所製剤の感触及び/又は外観を改善するために加えることができる。
【0055】
本発明の局所製剤は典型的には、5.5〜8.5のpHを有し、約0.000001%〜10%(w/v)、好ましくは0.001%〜0.1%(w/v)の小分子EGFRインヒビターを含む。
【0056】
抗酸化剤
本発明の小分子EGFRインヒビター製剤は、1つ又はそれ以上の抗酸化剤を含むことができる。有用な抗酸化剤には、特に限定されないが、チオール類(例えば、金チオグルコース、ジヒドロリポ酸、プロピルチオールウラシル、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、チオジプロピオン酸)、スルホキシミン類(例えば、ブチオニン−スルホキシミン、ホモシステイン−スルホキシミン、ブチオニン−スルホン、及びペンタ−、ヘキサ−、及びヘプタチオニン−スルホキシミン)、金属キレート物質(例えば、α−ヒドロキシ−脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、クエン酸、乳酸、及びリンゴ酸、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA、及びDTPA)、ビタミン類(例えば、ビタミンE、ビタミンC、アスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、及び酢酸アスコルビル)、フェノール(例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ユビキノール、ノルジヒドログアヤク脂酸、トリヒドロキシブチロフェノン)、ベンゾエート類(例えば、安息香酸コニフェリル)、尿酸、マンノース、没食子酸プロピル、セレン(例えば、セレン−メチオニン)、スチルベン類(例えば、酸化スチルベン、酸化トランススチルベン)、及びこれらの組合せがある。
【0057】
本発明の製剤に組込まれる抗酸化剤には、植物抽出物から選択される天然の抗酸化剤、例えばアロエベラ;アボカド;カモミール;エキナシア;イチョウ;チョウセンニンジン;緑茶;ヒース;ホホバ;ラベンダー;レモングラス;甘草;ゼニアオイ;オート麦;ペパーミント;セイヨウオトギリソウ;ヤナギ;ヒメコウジ;wheat wild yarn抽出物;海産物の抽出物;及びこれらの混合物からの抽出物がある。
【0058】
製剤中に含まれる抗酸化剤の総量は、製剤の総重量に基づいて、0.001%〜3重量%、好ましくは0.01%〜1重量%、特に0.05%〜0.5重量%でもよい。
【0059】
乳化性賦形剤
本発明の小分子EGFRインヒビター製剤は、1つ又はそれ以上の乳化性賦形剤を含み得る。本発明の製剤で使用される乳化性賦形剤には、特に限定されないが、以下のクラスに属する化合物を含む:ポリエトキシ化脂肪酸、PEG−脂肪酸ジエステル、PEG−脂肪酸モノエステル及びジエステル混合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換産物、ポリグリセリド化脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステルとグリセロールエステルの混合物、モノグリセリドとジグリセリド、ステロールとステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、トコフェロールエステル、及びステロールエステル。各クラスの賦形剤について市販の例を以下に示す。
【0060】
ポリエトキシ化脂肪酸は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエトキシ化脂肪酸の例には以下がある:PEG 4-100モノラウレート(Crodet Lシリーズ, Croda)、PEG 4-100モノオレエート(Crodet Oシリーズ, Croda)、PEG 4-100モノステアレート(Crodet Sシリーズ, Croda, 及びMyrjシリーズ, Atlas/ICI)、PEG 400ジステアレート(Cithrol 4DSシリーズ, Croda)、PEG 100, 200、又は300モノラウレート(Cithrol MLシリーズ, Croda)、PEG 100, 200、又は300モノオレエート(Cithrol MOシリーズ, Croda)、PEG 400ジオレエート(Cithrol 4DOシリーズ, Croda)、PEG 400-1000モノステアレート(Cithrol MSシリーズ, Croda)、PEG-1ステアレート(Nikkol MYS-1EX, Nikko、及びCoster K1, Condea)、PEG-2ステアレート(Nikkol MYS-2, Nikko)、PEG-2オレエート(Nikkol MYO-2, Nikko)、PEG-4ラウレート(Mapeg(登録商標) 200 ML, PPG)、PEG-4オレエート(Mapeg(登録商標) 200 MO, PPG)、PEG-4ステアレート(Kessco(登録商標) PEG 200 MS, Stepan)、PEG-5ステアレート(Nikkol TMGS-5, Nikko)、PEG-5オレエート(Nikkol TMGO-5, Nikko)、PEG-6オレエート(Algon OL 60, Auschem SpA)、PEG-7オレエート(Algon OL 70, Auschem SpA)、PEG-6ラウレート(Kessco(登録商標) PEG300 ML, Stepan)、PEG-7ラウレート(Lauridac 7, Condea)、PEG-6ステアレート(Kessco(登録商標) PEG300 MS, Stepan)、PEG-8ラウレート(Mapeg(登録商標), 400 ML, PPG)、 PEG-8オレエート(Mapeg(登録商標) 400 MO, PPG)、 PEG-8ステアレート(Mapeg(登録商標) 400 MS, PPG)、PEG-9オレエート(Emulgante A9, Condea)、PEG-9ステアレート(Cremophor S9, BASF)、PEG-10ラウレート(Nikkol MYL-10, Nikko)、PEG-10オレエート(Nikkol MYO-10, Nikko)、PEG-12ステアレート(Nikkol MYS-10, Nikko)、PEG-12ラウレート(Kessco(登録商標) PEG 600 ML, Stepan)、PEG-12オレエート(Kessco(登録商標) PEG 600 MO, Stepan)、PEG-12リシノレエート(CAS # 9004-97-1)、PEG-12ステアレート(Mapeg(登録商標) 600 MS, PPG)、PEG-15ステアレート(Nikkol TMGS-15, Nikko)、PEG-15オレエート(Nikkol TMGO-15, Nikko)、PEG-20ラウレート(Kessco(登録商標), PEG 1000 ML, Stepan)、PEG-20オレエート(Kessco(登録商標) PEG 1000 MO, Stepan)、PEG-20ステアレート(Mapeg(登録商標) 1000 MS, PPG)、PEG-25ステアレート(Nikkol MYS-25, Nikko)、PEG-32ラウレート(Kessco(登録商標) PEG 1540 ML, Stepan)、PEG-32オレエート(Kessco(登録商標) PEG 1540 MO, Stepan)、PEG-32ステアレート(Kessco(登録商標) PEG 1540 MS, Stepan)、PEG-30ステアレート(Myrj 51)、PEG-40ラウレート(Crodet L40, Croda)、PEG-40オレエート(Crodet O40, Croda)、PEG-40ステアレート(Emerest(登録商標) 2715, Henkel)、PEG-45ステアレート(Nikkol MYS-45, Nikko)、PEG-50ステアレート(Myrj 53)、PEG-55ステアレート(Nikkol MYS-55, Nikko)、PEG-100オレエート(Crodet O-100, Croda)、PEG-100ステアレート(Ariacel 165, ICI)、PEG-200オレエート(Albunol 200 MO, Taiwan Surf.)、PEG-400オレエート(LACTOMUL, Henkel)、及び PEG-600オレエート(Albunol 600 MO, Taiwan Surf.)。本発明の製剤は、上記ポリエトキシ化脂肪酸の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0061】
ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルの例には以下がある:PEG-4ジラウレート(Mapeg(登録商標) 200 DL, PPG)、PEG-4ジオレエート(Mapeg(登録商標) 200 DO, PPG)、PEG-4ジステアレート(Kessco(登録商標) 200 DS, Stepan)、PEG-6ジラウレート(Kessco(登録商標) PEG 300 DL, Stepan)、PEG-6ジオレエート(Kessco(登録商標) PEG 300 DO, Stepan)、PEG-6ジステアレート(Kessco(登録商標) PEG 300 DS, Stepan)、PEG-8ジラウレート(Mapeg(登録商標) 400 DL, PPG)、PEG-8ジオレエート(Mapeg(登録商標) 400 DO, PPG)、PEG-8ジステアレート(Mapeg(登録商標) 400 DS, PPG)、PEG-10ジパルミテート(Polyaldo 2PKFG)、PEG-12ジラウレート(Kessco(登録商標) PEG 600 DL, Stepan)、PEG-12ジステアレート(Kessco(登録商標) PEG 600 DS, Stepan)、PEG-12ジオレエート(Mapeg(登録商標) 600 DO, PPG)、PEG-20ジラウレート(Kessco(登録商標) PEG 1000 DL, Stepan)、PEG-20ジオレエート(Kessco(登録商標) PEG 1000 DO, Stepan)、PEG-20ジステアレート(Kessco(登録商標) PEG 1000 DS, Stepan)、PEG-32ジラウレート(Kessco(登録商標) PEG 1540 DL, Stepan)、PEG-32ジオレエート(Kessco(登録商標) PEG 1540 DO, Stepan)、PEG-32ジステアレート(Kessco(登録商標) PEG 1540 DS, Stepan)、PEG-400ジオレエート(Cithrol 4DOシリーズ, Croda)、及び PEG-400ジステアレート(Cithrol 4DSシリーズ, Croda)。本発明の製剤は、上記ポリエチレングリコール化脂肪酸ジエステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0062】
PEG-脂肪酸モノ-及びジエステル混合物は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているPEG-脂肪酸モノ-及びジエステル混合物の例には以下がある:PEG 4-150モノ、ジラウレート(Kessco(登録商標) PEG 200-6000モノ、Dilaurate, Stepan)、PEG 4-150モノ、ジオレエート(Kessco(登録商標) PEG 200-6000 mono, Dilaurate, Stepan)、及び PEG 4-150モノ、ジステアレート(Kessco(登録商標) 200-6000 mono, Dilaurate, Stepan)。本発明の製剤は、上記PEG-脂肪酸モノ-及びジエステル混合物の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0063】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルの例には以下がある:PEG-20グリセリルラウレート(Tagat(登録商標) L, Goldschmidt)、PEG-30グリセリルラウレート(Tagat(登録商標) L2, Goldschmidt)、PEG-15グリセリルラウレート(Glycerox Lシリーズ, Croda)、PEG-40グリセリルラウレート(Glycerox Lシリーズ, Croda)、PEG-20グリセリルステアレート(Capmul(登録商標) EMG, ABITEC)、及び Aldo(登録商標) MS-20 KFG, Lonza)、PEG-20グリセリルオレエート(Tagat(登録商標) O, Goldschmidt)、及び PEG-30グリセリルオレエート(Tagat(登録商標) O2, Goldschmidt)。本発明の製剤は、上記ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0064】
アルコール−油エステル交換産物は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているアルコール−油エステル交換産物の例には以下がある:PEG-3ヒマシ油(Nikkol CO-3, Nikko)、PEG-5、9、及び16ヒマシ油(ACCONON CAシリーズ, ABITEC)、PEG-20ヒマシ油(Emalex C-20, Nihon Emulsion)、PEG-23ヒマシ油(Emulgante EL23)、PEG-30ヒマシ油(Incrocas 30, Croda)、PEG-35ヒマシ油(Incrocas-35, Croda)、PEG-38ヒマシ油(Emulgante EL 65, Condea)、PEG-40ヒマシ油(Emalex C-40, Nihon Emulsion)、PEG-50ヒマシ油(Emalex C-50, Nihon Emulsion)、PEG-56ヒマシ油(Eumulgin(登録商標) PRT 56, Pulcra SA)、PEG-60ヒマシ油(Nikkol CO-60TX, Nikko)、PEG-100ヒマシ油、PEG-200ヒマシ油(Eumulgin(登録商標) PRT 200, Pulcra SA)、PEG-5硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-5, Nikko)、PEG-7硬化ヒマシ油(Cremophor WO7, BASF)、PEG-10硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-10, Nikko)、PEG-20硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-20, Nikko)、PEG-25硬化ヒマシ油(Simulsol(登録商標), 1292, Seppic)、PEG-30硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-30, Nikko)、PEG-40硬化ヒマシ油(Cremophor RH 40, BASF)、PEG-45硬化ヒマシ油(Cerex ELS 450, Auschem Spa)、PEG-50硬化ヒマシ油(Emalex HC-50, Nihon Emulsion)、PEG-60硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-60, Nikko)、PEG-80硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-80, Nikko)、PEG-100硬化ヒマシ油(Nikkol HCO-100, Nikko)、PEG-6コーン油(Labrafil(登録商標) M 2125 CS, Gattefosse)、PEG-6アーモンド油(Labrafil(登録商標) M 1966 CS, Gattefosse)、PEG-6アプリコット核油(Labrafil(登録商標) M 1944 CS, Gattefosse)、PEG-6オリーブ油(Labrafil(登録商標) M 1980 CS, Gattefosse)、PEG-6ピーナツ油(Labrafil(登録商標) M 1969 CS, Gattefosse)、PEG-6硬化パーム核油(Labrafil(登録商標) M 2130 BS, Gattefosse)、PEG-6パーム核油(Labrafil(登録商標) M 2130 CS, Gattefosse)、PEG-6トリオレイン(Labrafil(登録商標) M 2735 CS, Gattefosse)、PEG-8コーン油(Labrafil(登録商標) WL 2609 BS, Gattefosse)、PEG-20コーングリセリド(Crovol M40, Croda)、PEG-20アーモンドグリセリド(Crovol A40, Croda)、PEG-25トリオレエート(TAGAT(登録商標) TO, Goldschmidt)、PEG-40パーム核油(Crovol PK-70)、PEG-60コーングリセリド(Crovol M70, Croda)、PEG-60アーモンドグリセリド(Crovol A70, Croda)、PEG-4カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Labrafac(登録商標) Hydro, Gattefosse)、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol, Gattefosse)、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(SOFTIGEN(登録商標)767, Huls)、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド(GELUCIRE 44/14, Gattefosse)、ステアロイルマクロゴールグリセリド(GELUCIRE 50/13, Gattefosse)、植物油及びソルビトールのモノ、ジ、トリ、テトラエステル(SorbitoGlyceride, Gattefosse)、ペンタエリトリチルテトライソステアレート(Crodamol PTIS, Croda)、ペンタエリトリチルジステアレート(Albunol DS, Taiwan Surf.)、ペンタエリトリチルテトラオレエート(Liponate PO-4, Lipo Chem.)、ペンタエリトリチルテトラステアレート(Liponate PS-4, Lipo Chem.)、ペンタエリトリチルテトラカプリレート(Liponate PE-810, Lipo Chem.)、及び ペンタエリトリチルテトラオクタノエート(Nikkol Pentarate 408, Nikko)。またこの分類の界面活性剤に油として含まれるのは、脂溶性ビタミン、例えばビタミンA、D、E、Kなどである。すなわちこれらのビタミンの誘導体、例えばトコフェリルPEG-1000スクシネート(TPGS, Eastmanから入手できる)もまた好適な界面活性剤である。本発明の製剤は、上記アルコール−油エステル交換産物の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0065】
ポリグリセリド化脂肪酸は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリグリセリド化脂肪酸の例には以下がある:ポリグリセリル-2ステアレート(Nikkol DGMS, Nikko)、ポリグリセリル-2オレエート(Nikkol DGMO, Nikko)、ポリグリセリル-2 イソステアレート(Nikkol DGMIS, Nikko)、ポリグリセリル-3オレエート(Caprol(登録商標), 3GO, ABITEC)、ポリグリセリル-4オレエート(Nikkol Tetraglyn 1-O, Nikko)、ポリグリセリル-4ステアレート(Nikkol Tetraglyn 1-S, Nikko)、ポリグリセリル-6オレエート(Drewpol 6-1-O, Stepan)、ポリグリセリル-10ラウレート(Nikkol Decaglyn 1-L, Nikko)、ポリグリセリル-10オレエート(Nikkol Decaglyn 1-O, Nikko)、ポリグリセリル-10ステアレート(Nikkol Decaglyn 1-S, Nikko)、ポリグリセリル-6リシノレエート(Nikkol Hexaglyn PR-15, Nikko)、ポリグリセリル-10リノエレート(Nikkol Decaglyn 1-LN, Nikko)、ポリグリセリル-6ペンタオレエート(Nikkol Hexaglyn 5-O, Nikko)、ポリグリセリル-3ジオレエート(Cremophor GO32, BASF)、ポリグリセリル-3ジステアレート(Cremophor GS32, BASF)、ポリグリセリル-4ペンタオレエート(Nikkol Tetraglyn 5-O, Nikko)、ポリグリセリル-6ジオレエート(Caprol(登録商標) 6G20, ABITEC)、ポリグリセリル-2ジオレエート(Nikkol DGDO, Nikko)、ポリグリセリル-10トリオレエート(Nikkol Decaglyn 3-O, Nikko)、ポリグリセリル-10ペンタオレエート(Nikkol Decaglyn 5-O, Nikko)、ポリグリセリル-10セプタオレエート(Nikkol Decaglyn 7-O, Nikko)、ポリグリセリル-10テトラオレエート(Caprol(登録商標) 10G4O, ABITEC)、ポリグリセリル-10デカイソステアレート(Nikkol Decaglyn 10-IS, Nikko)、ポリグリセリル-101デカオレエート(Drewpol 10-10-O, Stepan)、ポリグリセリル-10モノ、ジオレエート(Caprol(登録商標) PGE 860, ABITEC)、及びポリグリセリルポリリシノレエート(Polymuls, Henkel)。本発明の製剤は、上記ポリグリセリド化脂肪酸の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0066】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエチレングリコール脂肪酸エステルの例には以下がある:プロピレングリコールモノカプリレート(Capryol 90, Gattefosse)、プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol 90, Gattefosse)、プロピレングリコールオレエート(Lutrol OP2000, BASF)、プロピレングリコールミリステート(Mirpyl)、プロピレングリコールモノステアレート(LIPO PGMS, Lipo Chem.)、プロピレングリコールヒドロキシステアレート, プロピレングリコールリシノレエート(PROPYMULS, Henkel)、プロピレングリコールイソステアレート, プロピレングリコールモノオレエート(Myverol P-O6, Eastman)、プロピレングリコールジカプリレートカプレート(Captex(登録商標) 200, ABITEC)、プロピレングリコールジオクタエート(Captex(登録商標) 800, ABITEC)、プロピレングリコールカプリレートカプレート(LABRAFAC PG, Gattefosse)、プロピレングリコールジラウレート, プロピレングリコールジステアレート(Kessco(登録商標) PGDS, Stepan)、プロピレングリコールジカプリレート(Nikkol Sefsol 228, Nikko)、及び プロピレングリコールジカプリレート(Nikkol PDD, Nikko)。本発明の製剤は、上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0067】
プロピレングリコールエステルとグリセロールエステルの混合物は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。1つの好適な混合物は、プロピレングリコールのオレイン酸エステルとグリセロールとからなる(Arlacel 186)。これらの界面活性剤の例には以下がある:オレイン酸(ATMOS 300, ARLACEL 186, ICI)、ステアリン酸(ATMOS 150)。本発明の製剤は、上記プロピレングリコールエステルとグリセロールエステルの混合物の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0068】
モノ−及びジグリセリドは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているモノ−及びジグリセリドの例には以下がある:モノパルミトレイン(C16:1)(Larodan)、モノエライジン(C18:1)(Larodan)、モノカプロイン(C6)(Larodan)、モノカプリリン(Larodan)、モノカプリン(Larodan)、モノラウリン(Larodan)、グリセリルモノミリステート(C14)(Nikkol MGM, Nikko)、グリセリルモノオレエート(C18:1)(PECEOL, Gattefosse)、グリセリルモノオレエート(Myverol, Eastman)、グリセロールモノオレエート/リノエレート(OLICINE, Gattefosse)、グリセロールモノリノレエート(Maisine, Gattefosse)、グリセリルルsグビレエート(Softigen(登録商標) 701, Huls)、グリセリルモノラウレート(ALDO(登録商標) MLD, Lonza)、グリセロールモノパルミテート(Emalex GMS-P, Nihon)、グリセロールモノステアレート(Capmul(登録商標) GMS, ABITEC)、グリセリルモノ−及びジオレエート(Capmul(登録商標) GMO-K, ABITEC)、グリセリルパルミチン酸/ステアリン酸(CUTINA MD-A, ESTAGEL-G18)、グリセリルアセテート(Lamegin(登録商標) EE, Grunau GmbH)、グリセリルラウレート(Imwitor(登録商標) 312, Huls)、グリセリルシトレート/ラクテート/オレエート/リノレエート(Imwitor(登録商標) 375, Huls)、グリセリルカプリレート(Imwitor(登録商標) 308, Huls)、グリセリルカプリレート/カプレート(Capmul(登録商標) MCM, ABITEC)、カプリン酸モノ−及びジグリセリド(Imwitor(登録商標) 988, Huls)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Imwitor(登録商標) 742, Huls)、モノ−及びジアセチル化モノグリセリド(Myvacet(登録商標) 9-45, Eastman)、グリセリルモノステアレート(Aldo(登録商標) MS, Arlacel 129, ICI)、モノ及びジグリセリドの乳酸エステル(LAMEGIN GLP, Henkel)、ジカプロイン(C6)(Larodan)、ジカプリン(C10)(Larodan)、ジオクタノイン(C8)(Larodan)、ジミリスチン(C14)(Larodan)、ジパルミチン(C16)(Larodan)、ジステアリン(Larodan)、グリセリルジラウレート(C12)(Capmul(登録商標) GDL, ABITEC)、グリセリルジオレエート(Capmul(登録商標) GDO, ABITEC)、脂肪酸のグリセロールエステル(GELUCIRE 39/01, Gattefosse)、ジパルミトレイン(C16:1)(Larodan)、1,2及び1,3-ジオレイン(C18:1)(Larodan)、ジエライジン(C18:1)(Larodan)、及びジリノレイン(C18:2)(Larodan)。本発明の製剤は、上記モノ−及びジグリセリドの混合物の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0069】
ステロール及びステロール誘導体は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているステロール及びステロール誘導体の例には以下がある:コレステロール、シトステロール、ラノステロール、PEG-24コレステロールエーテル(Solulan C-24, Amerchol)、PEG-30コレスタノール(Phytosterol GENEROLシリーズ, Henkel)、PEG-25フィトステロール(Nikkol BPSH-25, Nikko)、PEG-5ソヤステロール(Nikkol BPS-5, Nikko)、PEG-10ソヤステロール(Nikkol BPS-10, Nikko)、PEG-20ソヤステロール(Nikkol BPS-20, Nikko)、及び PEG-30ソヤステロール(Nikkol BPS-30, Nikko)。本発明の製剤は、上記ステロール及びステロール誘導体の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0070】
ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルの例には以下がある:PEG-10ソルビタンラウレート(Liposorb L-10, Lipo Chem.)、PEG-20ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20 Atlas/ICI)、PEG-4ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)21 Atlas/ICI)、PEG-80ソルビタンモノラウレート(Hodag PSML-80, Calgene)、PEG-6ソルビタンモノラウレート(Nikkol GL-1, Nikko)、PEG-20ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40, Atlas/ICI)、PEG-20ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60, Atlas/ICI)、PEG-4ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)61, Atlas/ICI)、PEG-8ソルビタンモノステアレート(DACOL MSS, Condea)、PEG-6ソルビタンモノステアレート(Nikkol TS106, Nikko)、PEG-20ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標)65, Atlas/ICI)、PEG-6ソルビタンテトラステアレート(Nikkol GS-6, Nikko)、PEG-60ソルビタンテトラステアレート(Nikkol GS-460, Nikko)、PEG-5ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)81, Atlas/ICI)、PEG-6ソルビタンモノオレエート(Nikkol TO-106, Nikko)、PEG-20ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80, Atlas/ICI)、PEG-40ソルビタンオレエート(Emalex ET 8040, Nihon Emulsion)、PEG-20ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標)85, Atlas/ICI)、PEG-6ソルビタンテトラオレエート(Nikkol GO-4, Nikko)、PEG-30ソルビタンテトラオレエート(Nikkol GO-430, Nikko)、PEG-40ソルビタンテトラオレエート(Nikkol GO-440, Nikko)、PEG-20ソルビタンモノイソステアレート(Tween(登録商標)120, Atlas/ICI)、PEGソルビトールヘキサオレエート(Atlas G-1086, ICI)、ポリソルベート80(Tween(登録商標)80, Pharma)、ポリソルベート85(Tween(登録商標)85, Pharma)、ポリソルベート20(Tween(登録商標)20, Pharma)、ポリソルベート40(Tween(登録商標)40, Pharma)、ポリソルベート60(Tween(登録商標)60, Pharma)、及び PEG-6ソルビトールヘキサステアレート(Nikkol GS-6, Nikko)。本発明の製剤は、上記ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0071】
ポリエチレングリコールアルキルエーテルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエチレングリコールアルキルエーテルの例には以下がある:PEG-2オレイルエーテル、oleth-2(Brij 92/93, Atlas/ICI)、PEG-3オレイルエーテル、oleth-3(Volpo 3, Croda)、PEG-5オレイルエーテル、oleth-5(Volpo 5, Croda)、PEG-10オレイルエーテル、oleth-10(Volpo 10, Croda)、PEG-20オレイルエーテル、oleth-20(Volpo 20, Croda)、PEG-4ラウリルエーテル、laureth-4( Brij 30, Atlas/ICI)、PEG-9ラウリルエーテル、PEG-23ラウリルエーテル、laureth-23(Brij 35, Atlas/ICI)、PEG-2セチルエーテル(Brij 52, ICI)、PEG-10セチルエーテル(Brij 56, ICI)、PEG-20セチルエーテル(BriJ 58, ICI)、PEG-2ステアリルエーテル(Brij 72, ICI)、PEG-10ステアリルエーテル(Brij 76, ICI)、PEG-20ステアリルエーテル(Brij 78, ICI)、及び PEG-100ステアリルエーテル(Brij 700, ICI)。本発明の製剤は、上記ポリエチレングリコールアルキルエーテルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0072】
糖エステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されている糖エステルの例には以下がある:ショ糖ジステアレート(SUCRO ESTER, 7, Gattefosse)、ショ糖ジステアレート/モノステアレート(SUCRO ESTER, 11, Gattefosse)、ショ糖ジパルミテート, ショ糖モノステアレート(Crodesta F-160, Croda)、ショ糖モノパルミテート(SUCRO ESTER, 15, Gattefosse)、及びショ糖モノラウレート(Saccharose monolaurate 1695, Mitsubisbi-Kasei)。本発明の製剤は、上記糖エステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0073】
ポリエチレングリコールアルキルフェノールは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。市販されているポリエチレングリコールアルキルフェノールの例には以下がある:PEG-10-100ノニルフェノールシリーズ(Triton Xシリーズ, Rohm & Haas)、及びPEG-15-100オクチルフェノールエーテルシリーズ(Triton Nシリーズ, Rohm & Haas)。本発明の製剤は、上記ポリエチレングリコールアルキルフェノールの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0074】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。これらの界面活性剤は、Synperonic PEシリーズ(ICI)、Pluronic(登録商標)シリーズ(BASF)、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、Pluracare、及びPlurodacの1つまたはそれ以上を含む種々の商品名で入手できる。これらのポリマーの総称は「ポロキサマー」(CAS 9003-11-6)である。これらのポリマーは式Iを有する:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aH(I)
(式中「a」及び「b」は、それぞれポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン単位の数を示す)。本発明の製剤は、上記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0075】
ポリオキシエチレン(例えば、PEG300、PEG400、及びPEG600)は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用されうる。
【0076】
ソルビタン脂肪酸エステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用される。市販されているソルビトール脂肪酸エステルの例には以下がある:ソルビタンモノラウレート(Span-20, Atlas/ICI)、ソルビタンモノパルミテート(Span-40, Atlas/ICI)、ソルビタンモノオレエート(Span-80, Atlas/ICI)、ソルビタンモノステアレート(Span-60, Atlas/ICI)、ソルビタントリオレエート(Span-85, Atlas/ICI)、ソルビタンセスキオレエート(Arlacel-C, ICI)、ソルビタントリステアレート(Span-65, Atlas/ICI)、ソルビタンモノイソステアレート(Crill 6, Croda)、及びソルビタンセスキステアレート(Nikkol SS-15, Nikko)。本発明の製剤は、上記ソルビトール脂肪酸エステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0077】
低級アルコール(C2〜C4)及び脂肪酸(C8〜C18)のエステルは、本発明での使用に適した界面活性剤である。これらの界面活性剤の例には以下がある:エチルオレエート(Crodamol EO, Croda)、イソプロピルミリステート(Crodamol IPM, Croda)、イソプロピルパルミテート(Crodamol IPP, Croda)、エチルリノレエート(Nikkol VF-E, Nikko)、及びイソプロピルリノレエート(Nikkol VF-IP, Nikko)。本発明の製剤は、上記低級アルコール脂肪酸エステルの1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0078】
イオン性界面活性剤は、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用される。有用なイオン性界面活性剤の例には以下がある:カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリストレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミトオレイン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リシノレイン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル)、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラルリルサルコシン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N-メチルタウロコール酸ナトリウム、卵黄ホスファチド、硬化大豆レシチン、ジミリストイルレシチン、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、リソホスファチジルコリン、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ジエタノールアミン、リン脂質、ポリオキシエチレン-10オレイルエーテルホスフェート、脂肪アルコール又は脂肪アルコールエトキシレートのエステル化産物(リン酸又は無水物使用)、エーテルカルボキシレート(脂肪アルコールエトキシレートの末端OH基の酸化による)、スクシニル化モノグリセリド、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアロイルプロピレングリセロール水素スクシネート、モノ−及びジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ−、ジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のグリセリル−ラクトエステル、アシルラクチレート、脂肪酸のラクチリックエステル、ソディウムステアロイルラクチレート、アルギン酸塩、プロピレングリコールアルギネート;エトキシル化アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホン、α−オレフィンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、ソディウムオクチルスルホスクシネート、ソディウムウンデシレナミデオ-MEA-スルホスクシネート、ヘキサデシルトリアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジイソブチルフェノキシエトキシジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベタイン類(トリアルキルグリシン)、ラルリルベタイン(N-ラウリル,N,N-ジメチルグリシン)、及びエトキシ化アミン(ポリオキシエチレン-15ココナツアミン)。簡単のため、典型的な対イオンを上記に示す。しかし任意の生体許容性の対イオンが使用できることを当業者は理解するであろう。例えば脂肪酸をナトリウム塩で示すが、他の陽イオン対イオンも使用できる(例えば、アルカリ金属陽イオン又はアンモニウム)。本発明の製剤は、上記イオン性界面活性剤の1つ又はそれ以上を含んでよい。
【0079】
米国特許番号6,632,443及び6,191,172(それぞれ参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されたトコフェロールエステルとステロールエステルは、小分子EGFRインヒビターの製剤化のための賦形剤として使用される。これらのトコフェロール及びステロールエステルは式IIで示される:
{X-OOC-[(CH2)n-COO]m}p-Y (II)
(式中Xは、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、コレステロール、7-デヒドロコレステロール、カンペステロール、シトステロール、エルゴステロール、及びスティグマステロールから選択され;pは1又は2であり;mは0又は1であり;nは0〜18の整数であり;Yは、ポリアルコール、ポリエーテル、及びこれらの誘導体から選択される親水性部分である)。
【0080】
本発明の製剤中に存在する乳化性賦形剤は、担体が小分子EGFRインヒビターの均一な分散物を生成するような量で存在する。必要な界面活性剤の相対量は、生じる小分子EGFRインヒビター分散物の性質を観察する(溶解度を測定する標準的方法を使用して測定される)ことにより容易に決定される。水性分散物の光学的透明度は、濁度評価のための標準的定量法を使用して測定することができる。例えば本発明の製剤は、0.001%〜10重量%、好ましくは0.01%〜5重量%の乳化性賦形剤を含むことができる。
【0081】
ゲル化剤
本発明の小分子EGFRインヒビター製剤は、1つまたはそれ以上のゲル化剤を含むことができる。有用なゲル化剤には、特に限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース(NATROSOL(登録商標)ヒドロキシエチルセルロースとして市販されている、Aqualon製)、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)ヒドロキシプロピルセルロースとして市販されている、Aqualon製)、架橋アクリル酸ポリマー(例えば市販されている製品CARBOPOL(登録商標)架橋アクリル酸ポリマー、Goodrich製)、MVE/MAデカジエンクロスポリマー(市販されている製品STABILEZE(登録商標)MVE/MAデカジエンクロスポリマー、ISP製)、PVM/MAコポリマー(例えば市販されている製品GANTREZ(登録商標)PVM/MAコポリマー、ISP製)、アクリル酸アンモニウム/アクリロニトロゲン(HYPAN(登録商標)アクリル酸アンモニウム/アクリロニトロゲンとして市販されている)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボマー(カルボキシポリメチレン、CAS541823-57-9;種々の分子量の異なるグレードが市販されている)、セトステアリルアルコール、コロイド二酸化ケイ素、ゼラチン、グアールガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはカルシウム、ヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースもしくはエチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、炭酸プロピレン、ポビドン、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸ナトリウムアルギネート;グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプン、及びショ糖がある。典型的にはゲル化剤は使用される場合、組成物の約0.5%〜約10%の重量で存在する。さらに詳しくはCARBOPOL(登録商標)架橋アクリル酸ポリマーについて好適な組成重量パーセント範囲は、約2%〜約6%であり、NATROSOL(登録商標)ヒドロキシエチルセルロース又はKLUCEL(登録商標)ヒドロキシプロピルセルロースについて好適な範囲は、約0.5%〜約4%である。好ましくはSTABILEZE(登録商標)PVM/MAデカジエンクロスポリマー及びHYPAN(登録商標)アクリル酸アンモニウム/アクリロニトロゲンについて組成重量パーセント範囲は、約1%〜約4%である。ポリビニルピロリドンの好適な組成重量パーセント範囲は、約0.5%〜約10%である。
【0082】
ヒドロコロイド
本発明の小分子EGFRインヒビター製剤は、1つまたはそれ以上のヒドロコロイドを含むことができる。有用なヒドロコロイドには、特に限定されないが、Carbopol(Carbopol940を含む)、カラゲニン、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガムポリグルコマンナン、及びゼラチンがある。
【0083】
架橋剤
本発明の小分子EGFRインヒビター製剤は、ポリマーの分子間に化学結合を形成して分散物をゲル化させ固体を形成させるための1つまたはそれ以上の架橋剤を含むことができる。ローカストビーンガム、グアール、又は化学修飾したグアール用の架橋剤の例は、ガラクトース、有機チタネート、又はホウ酸である。ヒドロコロイドがポリグルコマンナン(例えばKonjak(登録商標))である時、架橋剤としてボラックスを使用することができる。キサンタンガムが使用される時、キサンタンガムの適切な架橋剤はマンノースである。ローカストビーンガムが主要なヒドロコロイドとして使用される場合は、乳酸又は他の適切なオリゴ糖を使用することができる。
【0084】
可塑剤
本発明の小分子EGFRインヒビター製剤は、1つまたはそれ以上の可塑剤を含むことができる。有用な可塑剤には、特に限定されないが、アルキルグリコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール)、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、ミネラル油(ミネラル油のCTFA混合物、例えばAmerchol L-101、Protalan M-16、Protalan M-26)、ワセリン(CTFA、ワセリンの混合物、例えばAmerchol CAB、Forlan200)、ラノリンアルコール、ソルビトール、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセリン、ペトロラクタム、及びクエン酸トリエチルがある。
【0085】
他の生物活性成分
本発明の製剤は、本明細書に記載の任意の追加の活性成分と組合せて使用することができる。好ましくは小分子EGFRインヒビターと追加の活性成分は一緒に製剤化される。含まれる追加の活性成分の量は、所望の作用と選択される活性成分に依存する。一般に追加の活性成分の量は、約0.0001%〜約20%、好ましくは約0.01%〜約10重量%、又は約0.1%〜約5重量%で変動する。
【0086】
本発明の方法、キット、及び組成物で使用できる他の生物活性物質には、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、レチノイド、抗アンドロゲン剤、免疫抑制剤、チャンネル開口薬、抗微生物剤、ハーブ類(例えば、ノコギリパルメット)、抽出物(例えば、桑白皮抽出物)、ビタミン(例えば、ビオチン)、補助因子、ソラレン、アントラリン、及び抗生物質がある。
【0087】
抗ヒスタミン剤
ある実施形態において、抗ヒスタミン剤は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。有用な抗ヒスタミン剤には、特に限定されないが、エタノールアミン類(例えば、ブロモジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、クレマスチン、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、及びドキシルアミン);エチレンジアミン類(例えば、フェニラミン、ピリラミン、トリペレナミン、及びトリプロリジン);フェノチアジン類(例えば、ジエタジン、エトプロパジン、メトジラジン、プロメタジン、チエチルペラジン、及びトリメプラジン);アルキルアミン類(例えば、アクリバスチン、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デスブロムフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、ピロブタミン、及びトリプロリジン);ピペラジン類(例えば、ブクリジン、セチリジン、クロルシクリジン、シクリジン、メクリジン、ヒドロキシジン);ピペリジン類(例えば、アステミゾール、アザタジン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、ケトチフェン、オロパタジン、フェニンダミン、及びテルフェナジン);及び非定型抗ヒスタミン類(例えば、アゼラスチン、レボカバスチン、メタピリレン、及びフェニルトキサミン)がある。非鎮静性及び鎮静性抗ヒスタミン剤の両方が使用される。非鎮静性抗ヒスタミン剤には、ロラタジン及びデスロラタジンがある。鎮静性抗ヒスタミン剤には、アザタジン、ブロモジフェンヒドラミン;クロルフェニラミン;クレミゾール;シプロヘプタジン;ジメンヒドリネート;ジフェンヒドラミン;ドキシラミン;メクリジン;プロメタジン;ピリラミン;チエチルペラジン;及びトリペレナミンがある。
【0088】
本発明の組成物、方法、及びキットで使用するのに適した他の抗ヒスタミン剤には、アクリバスチン;アヒスタン;アンタゾリン;アステミゾール;アゼラスチン;バミピン;ベポタスチン;ビエタナウチン;ブロモフェニラミン;カルビノキサミン;セトリジン;セトキシム;クロロシクリジン;クロロピラミン;クロロテン;クロロフェノキサミン;シナリジン;クレマスチン;クロベンゼパム;クロベンゼトピン;クロシニジン;シクリジン;デプトロピン;デキスクロルフェニラミン;マレイン酸デキスクロルフェニラミン;ジフェニルピラリン;ドキセピン;エバスチン;エンブラミン;エメダスチン;エピナスチン;塩酸エチメマジン;フェキソフェナジン;ヒスタピロジン;ヒドロキシジン;イソプロメタジン;イソチペンジル;レボカバスチン;メブヒドロリン;メキタジン;メタフリレン;メタピリレン;メトロン;ミゾラスチン;オラパタジン;オルフェナドリン;フェニンダミン;フェニラミン;フェニルトロキサミン;p-メチルジフェンヒドラミン;ピロブタミン;セタスチン;タラスチン;テルフェナジン;テニルジアミン;チアジナミウム;塩酸トンジラミン;トルプロパミン;トリプロリジン;及びトリトクアリンである。
【0089】
抗ヒスタミン類似体は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。抗ヒスタミン類似体には、10-ピペラジニルプロピルフェノチアジン;4-(3-(2-クロロフェノチアジン-10-イル)プロピル)-1-ピペラジンエタノール二塩酸塩;1-(10-(3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル)-10H-フェノチアジン-2-イル)-(9CI)1-プロパノン;3-メトキシシプロヘプタジン;4-(3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペラジン-1-エタノール塩酸塩;10,11-ジヒドロ-5-(3-(4-エトキシカルボニル-4-フェニルピペリジノ)プロピリデン)-5H-ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン;アセプロメタジン;アセトフェナジン;アリメマジン(例えば、塩酸アリメマジン);アミノプロマジン;ベンズイミダゾール;ブタペラジン;カルフェナジン;クロルフェネタジン;クロルミダゾール;シンプラゾール;デスメチラスタミゾール;デスメチルシプロヘプタジン;ジエタジン(例えば、塩酸ジエタジン);エトプロパジン(例えば、塩酸エトプロパジン);2-(p-ブロモフェニル-(p'-トリル)メトキシ)-N,N-ジメチル-エチルアミン塩酸塩;N,N-ジメチル-2-(ジフェニルメトキシ)-エチルアミンメチルブロミド;EX-10-542A;フェネタジン;フプラゾール;メチル10-(3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル)フェノチアジン-2-イルケトン;レリセトロン;メドリラミン;メソリダジン;メチルプロマジン;N-デスメチルプロメタジン;ニルプラゾール;ノルチオリダジン;ペルフェナジン(例えば、エナント酸ペルフェナジン);10-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-メチルチオ-フェノチアジン;4-(ジベンゾ(b,e)チエピン-6(11H)-イリデン)-1-メチル-ピペリジン塩酸塩;プロクロルペラジン;プロマジン;プリピオマジン(例えば、塩酸プロピオマジン);ロトキサミン;ルパタジン;Sch37370;Sch434;テカステミゾール;チアジナミウム;チオプロパゼート;チオリダジン(例えば、塩酸チオリダジン);及び3-(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン-5-イリデン)-トロパンがある。
【0090】
本発明の組成物、方法、及びキットで使用するのに適した他の化合物は、AD-0261;AHR-5333;アリナスチン;アルプロミジン;ATI-19000;ベルマスチン;ビラスチン;Bron-12;カレバスチン;クロルフェナミン;クロフレナジン;コルシム;DF-1105501;DF-11062;DF-1111301;EL-301;エルバニジン;F-7946T;F-9505;HE-90481;HE-90512;ヒベニル;HSR-609;イコチジン;KAA-276;KY-234;ラミアカスト;LAS-36509;LAS-36674;レボセチリジン;レボプロチリン;メトクロパミド;NIP-531;ノベラスチン;オキサトミド;PR-881-884A;キスルタジン;ロカスチン;セレノチフェン;SK&F-94461;SODAS-HS;タゴリジン;TAK-427;テメラスチン;UCB-34742;UCB-35440;VUF-K-8707;Wy-49051;及びZCR-2060である。
【0091】
本発明の組成物、方法、及びキットで使用できるさらに別の化合物は、米国特許番号3,956,296;4,254,129;4,254,130;4,282,233;4,283,408;4,362,736;4,394,508;4,285,957;4,285,958;4,440,933;4,510,309;4,550,116;4,692,456;4,742,175;4,833,138;4,908,372;5,204,249;5,375,693;5,578,610;5,581,011;5,589,487;5,663,412;5,994,549;6,201,124;及び6,458,958に記載されている。
【0092】
抗微生物剤
ある実施形態において、抗微生物剤は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。有用な抗微生物剤には、特に限定されないが、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、樟脳メタクレゾール、樟脳フェノール、ヘキシルレソルシノール、塩化メチルベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、グリセリン、イミヅレア、フェノール、フェノールエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、及びチメロサールがある。
【0093】
抗微生物剤は、樟脳フェノールと樟脳メタクレゾール以外は、総組成物の約0.05%〜0.5重量%でもよい。樟脳フェノールについては、好適な重量パーセントは、約8%〜12%樟脳と約3%〜7%フェノールである。樟脳メタクレゾールについては、好適な重量パーセントは、約3%〜12%樟脳と約1%〜4%フェノールである。
【0094】
抗炎症剤
ある実施形態において、抗炎症剤は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。有用な抗炎症剤には、特に限定されないが、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、ジクロフェナックカリウム、アスピリン、スリンダック、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナマートナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダック、及びトルメチン)、COX-2インヒビター(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、及びルミラコキシブ)、及びコルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸アルクロメタソン、アムシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾル、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソジアセテート、フルシノロンアセトニド、フルメタゾン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾル、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、フロ酸モメタゾン、プレドニソロン、又はトリアムシノロンアセトニド)がある。
【0095】
免疫抑制剤
ある実施形態において、非ステロイド性免疫抑制剤は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。適切な免疫抑制剤には、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、エベロリムス、及びピメクロリムスがある。
【0096】
シクロスポリン類
シクロスポリン類は、免疫抑制剤として作用する環状オリゴペプチドのクラスを含む真菌代謝物である。シクロスポリンAは、11個のアミノ酸からなる疎水性環状ポリペプチドである。これは、細胞内受容体シクロフィリンと結合し複合体を形成する。シクロスポリン/シクロフィリン複合体は、カルシニューリン(Ca2+−カルモジュリン依存性セリン−スレオニン−特異的タンパク質ホスファターゼ)に結合し阻害する。カルシニューリンは、T細胞活性化に必要なシグナル伝達を仲介する(Schreiber et al., Cell 70:365-368, 1991の総説)。シクロスポリン類とその機能的及び構造的類似体は、抗原誘導性シグナル伝達を阻害することによりT細胞依存性免疫応答を抑制する。この阻害は、炎症促進性サイトカイン(例えばIL-2)の発現を低下させる。
【0097】
多くの異なるシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、H、及びI)が真菌により産生される。シクロスポリンAは、商品名NEORALでNovatisから販売されている。シクロスポリンAの構造的及び機能的類似体には、1つまたはそれ以上のフッ素化アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば米国特許番号5,227,467に記載されている);修飾アミノ酸を有するシクロスポリン(米国特許番号5,122,511と4,798,823に記載されている);及び重水素化シクロスポリン、例えばISAtx247(米国特許公開公報2002/0132763 A1に記載されている)がある。追加のシクロスポリン類似体は、米国特許番号6,136,357, 4,384,996, 5,284,826, 及び5,709,797に記載されている。シクロスポリン類似体には、特に限定されないが、D-Sar (α-SMe)3 Val2-DH-Cs (209-825)、Allo-Thr-2-Cs、Norvaline-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、及びD-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、及びD-Ser-8-Csがある(これらは、Cruz et al., Antimicrob. Agents Chemother. 44:143 (2000)に記載されている)。
【0098】
タクロリムス
タクロリムスとタクロリムス類似体は、Tanaka et al.(J. Am. Chem. Soc., 109:5031 (1987))と米国特許番号4,894,366、4,929,611、及び4,956,352に記載されている。FK506関連化合物(FR-900520、FR-900523、及びFR-900525を含む)は、米国特許番号5,254,562に記載されている;O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、及びO-アルキルマクロライドは、米国特許番号5,250,678、532,248、5,693,648に記載されている;アミノO-アリールマクロライドは、米国特許番号5,262,533に記載されている;アルキリデンマクロライドは、米国特許番号5,284,840に記載されている;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリール、及びN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは、米国特許番号5,208,241に記載されている;アミノマクロライド及びその誘導体は、米国特許番号5,208,228に記載されている;フルオロマクロライドは、米国特許番号5,189,042に記載されている;アミノO-アルキル、O-アルケニル、及びO-アルキニルマクロライドは、米国特許番号5,162,334に記載されている;ハロマクロライドは、米国特許番号5,143,918に記載されている。
【0099】
タクロリムスは、混合機能オキシダーゼ系、特にP-450系により大規模に代謝される。代謝の主要な機構は、脱メチル化とヒドロキシル化である。種々のタクロリムス代謝物が免疫抑制生物活性を示す可能性があるが、13-デメチル代謝物がタクロリムスと同じ活性を有すると報告されている。
【0100】
ピメクロリムス
ピメクロリムスは、マクロラクタムアスコミンの33-エピ-クロロ誘導体である。ピメクロリムスの構造的及び機能的類似体は、米国特許番号6,384,073に記載されている。
【0101】
ラパマイシン
ラパマイシンの構造的及び機能的類似体には、モノ−及びジアシル化ラパマイシン誘導体(米国特許番号4,316,885);ラパマイシン水溶性プロドラッグ (米国特許番号4,650,803);カルボン酸エステル (PCT公開WO 92/05179);カルバメート (米国特許番号5,118,678);アミドエステル (米国特許番号5,118,678);ビオチンエステル (米国特許番号5,504,091);フッ素化エステル (米国特許番号5,100,883);アセタール (米国特許番号5,151,413);シリルエーテル (米国特許番号5,120,842);二環式誘導体 (米国特許番号5,120,725);ラパマイシンダイマー (米国特許番号5,120,727);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、及びO-アルキニル誘導体 (米国特許番号5,258,389);及び重水素化ラパマイシン (米国特許番号6,503,921)がある。追加のラパマイシン類似体は、米国特許番号5,202,332、及び5,169,851に記載されている。
【0102】
レチノイド
ある実施形態において、レチノイドは、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。有用なレチノイドには、特に限定されないが、13-シス-レチノイン酸、アダパレン、オール-トランス-レチノイン酸、及びエトレチネートがある。
【0103】
チャンネル開口薬(channel opener)
ある実施形態において、チャンネル開口薬は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる、有用なチャンネル開口薬には、特に限定されないが、ミノキシジル、ジアゾキシド、及びフェニトインがある。
【0104】
抗アンドロゲン剤
ある実施形態において、抗アンドロゲン剤は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる。有用な抗アンドロゲン剤には、特に限定されないが、フィナステリド、フルタミド、ジアゾキシド、11アルファ−ヒドロキシプロゲステロン、ケトコナゾール、RU58841、ヅタステリド、フルリジル、QLT-7704、及び抗アンドロゲンオリゴヌクレオチドがある。
【0105】
抗生物質
ある実施形態において、抗生物質は、本発明の組成物、方法、及びキットで使用することができる、有用な抗生物質には、特に限定されないが、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セパロチン、セファピリン、セファラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セルロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフマトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アストレオナム、クラブラネート、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカリン、イセパミシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババシン、テイコプラニン、キヌプリスチン、及びダルホプリスチン、スルファニルアミド、パラ-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファタリジン、リネゾリド、ナリジキシン酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン、エノキサシン、オフルキサシン、シプロフロキサシン、テマフルキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、メトロニダゾール、ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲシクリン、AZD2563、及びトリメトプリムがある。
【0106】
再上皮化
本発明の1つの態様において、本発明の化合物は被験者の皮膚(皮膚位置の例は、頭部、例えば、頭皮、眉、又は瘢痕部分)に投与され、皮膚は再上皮化の状態にある。再上皮化は、新しい表皮の形成中に起きるプロセスであり、本発明の目的において、毛嚢形態形成の欠如(例えば、組織内にある場合、一部の細胞は毛嚢生成のプレプラコード段階にある)、胚様状態(毛嚢が再生する)、又は角質層の欠如を特徴としうる。
【0107】
再上皮化の状態
再上皮化は、新しい表皮の観察により検出することができる(ここで、ケラチン細胞による創傷領域の被覆は再上皮化を示す)。ケラチン細胞の存在は、肉眼で、開いた創傷を徐々に被覆する白色の光沢のある輝く表面として見ることができる。共焦点顕微鏡を使用して、ケラチン細胞は「丸石(cobblestone)」に見える細胞のシートとして視覚化することができる。再上皮化はまた、経表皮水分喪失(TEWL)の測定により検出することができる。上皮バリアが回復すると、TEWLは低下する。再上皮化の状態を検出するために共焦点走査レーザー顕微鏡及び/又は光学的コヒーレンス断層撮影を使用することもでき、ここでケラチン細胞の存在は再上皮化を示す。
【0108】
角質層の存在は、肉眼による観察、毛細管顕微鏡を使用する乳頭状血管の直接観察、又は生きた細胞の存在下で反応する化合物の酸化還元反応の比色測定により測定することができる。例えば、皮膚に適用された0.01%のニトラジンイエローは、角質層が存在する場合はイエローのままであり、そうでない場合は緑っぽい褐色になる。別の例では皮膚に適用された0.01%のブロモクレゾールパープルは、角質層が存在する場合はイエローのままであり、そうでない場合は紫色になる。
【0109】
再上皮化の領域は、例えば幅0〜2ミリメートル(mm)(例えば、1mm、2mm、3mm、又はそれ以上)、幅0〜2センチメートル(cm)(例えば1cm、1.5cm、及び2.0cm)又はそれ以上である。場合により再上皮化の領域は毛嚢間でもよい。
【0110】
本発明のある態様において、再上皮化の特定の段階で本発明の化合物を投与することが好ましい。本発明の化合物の投与及び/又は活性化が好ましい段階には以下の期間がある:
・再上皮化プロセスの完了後(例えば、皮膚を破壊後3〜12日、又は9〜11日)、
・再生毛嚢に成長する幹細胞集団の樹立後又は樹立中(Ito et al., Nature 447, 316-320, May 2007)、
・創傷閉鎖後数日間の毛嚢分化マーカーKRT17とLef1の発現前(Ito et al., Nature 447, 316-320, May 2007)、
・KRT17、Lef-1、アルカリホスファターゼ、Wnt10b、及びShhを含む1つまたはそれ以上のタンパク質の発現後又は発現中(Ito et al., Nature 447, 316-320, May 2007)、
・K10発現(これは正常な表皮で発現される)の欠如及び/又はK16とk17発現(これは正常な表皮で発現されない)の誘導を特徴とする(Patel et al, Journal of Investigative Dermatology, 126, 2006)、
・AP-1とNF-κBを含む1つまたはそれ以上の転写因子、一次サイトカインIL-1βとTNF-α、及びマトリックス金属プロテアーゼの上昇を特徴とする(Karimipour et al, Journal of the American Academy of Dermatology, 52, Issue 2, 2005)、
・以下を含む組織学的変化(Freedman et al, Dermatologic Surgery, 27 Issue 12, December 2001)を特徴とする、例えば:
− 表皮と真皮の肥厚、
− 網状突出(rete peg)の平坦化、
− 血管拡張症、
− 血管周辺炎症、
− 新たに沈着したコラーゲンと弾性繊維を有する真皮乳頭層のヒアリン化、
− コラーゲンと他の構造体の配向、密度、又は充填の変化、
・痂皮の分離を特徴とする。はく離プロセスの深さにより、本発明の化合物を痂皮の分離の前又は後に投与又は活性化することが好ましい場合がある。あるいは毛嚢は、例えば皮膚剥離の場合は、痂皮が落ちる前に生成し始めることがある。
【0111】
あるいは本発明の化合物は、表皮破壊の前に投与することができる。かかる実施形態において、化合物は、再上皮化中に又は再上皮化の特定の段階中に治療活性化合物が放出されるように、制御放出のために製剤化される(例えば、上記したように)。化合物はまた、内因性又は外因性刺激(例えば、後述するように)により活性化されるように、製剤化される。
【0112】
再上皮化の誘導
再上皮化の状態は誘導することができる。この状態を誘導する方法には、本発明の化合物が投与される予定の位置での被験者の皮膚の破壊を含む。破壊は擦過(例えば、皮膚をこするか又はすりへらす)により、又は焼くこと(例えば日焼けを誘導する)又は表皮もしくは表皮層に穴を空けることを含む、表皮もしくは表皮層の完全性を破壊する任意の方法により行われる。破壊は、目的の位置での表皮層の部分的又は完全な除去を引き起こすことができる。
【0113】
上皮層の破壊は、例えば機械的、化学的、電磁的、電気的、又は磁性的手段により行うことができる。機械的手段は、例えばサンドペーパー、フェルトホイール、超音波、食塩水と酸素の超音速加速混合物、テープ剥がし、又は皮むきにより行うことができる。
【0114】
表皮の破壊の化学的手段は、例えばフェノール、トリクロロ酢酸、又はアスコルビン酸を使用して行うことができる。
【0115】
表皮の破壊の電磁的手段は、例えば経上皮損傷を誘導することができるレーザー(例えば、Fraxelレーザー、CO2レーザー、エキシマーレーザー)の使用により行うことができる。破壊はまた、可視光線、赤外線、紫外線、電波、又はX線照射により行うことができる。
【0116】
表皮破壊の電機的又は磁性的手段は、例えば電流の印加又は電気穿孔法により行うことができる。電機的又は磁性的手段はまた電解又は磁界の誘導を含む。例えば交流磁界を適用することにより、皮膚に電流を誘導することができる。高周波電源を電導性要素に連結し、誘導される電流が皮膚を加熱し、その結果皮膚が改変又は破壊される。この実施形態において、破壊を引き起こすために外部エネルギー移動が必要である。
【0117】
火傷、切除、又は微小皮膚擦過を誘導するために、上記の任意の手段を使用することができる。
【0118】
場合により、表皮破壊後の皮膚は、感染を防ぐために擦過又は創傷に通常投与されるどの物質(例えば、軟膏剤、包帯、又は器具)にも、ある期間接触されない。ここで皮膚は、例えば表皮破壊が治癒されるまで(例えば2日間〜3週間の任意の期間)どの物質とも接触されない。あるいは皮膚は、ギプス又は包帯と接触させることができる(例えば、破壊された皮膚への血流の増加、又は皮膚への及び皮膚からの経皮的水分喪失の低下又はガスの物質移動の低下(例えば、酸素、二酸化炭素、水蒸気)、皮膚からの熱移動の低下(例えば、皮膚表面の温度の上昇を引き起こす)、又は皮膚上の圧力の上昇を引き起こす)。
【0119】
破壊前に皮膚は脱毛される。脱毛は、例えば、ワキシング、引き抜き、研磨材料、レーザー、電気分解、機械器具、又はチオグリコール酸により行うことができる。
【0120】
表皮の破壊は本発明の組成物の添加前の3〜12日(例えば、4〜12、5〜12、4〜11、6〜11、6〜10、6〜9、7〜8、5〜11、5〜10、又は7〜10日)に誘導することができる。
【0121】
上記の任意の方法は、表皮組織の正確な量を除去するために使用されうる。例えば本明細書に記載の擦過法を使用して以下を達成することができる:
・死滅した皮膚細胞の最初の10〜30μmの除去による角質層の除去。
【0122】
・皮膚の最初の30〜100μmを除去することによる、角質層と、表皮の一部又はすべての除去。これは、存在する毛嚢構造の皮脂腺、隆起、又は毛乳頭を除去するほど深くはない。
【0123】
・約500μmまでの、角質層、完全な表皮、真皮の部分の除去。このプロセスは、500μm以下の皮脂腺のほとんどを除去する。
【0124】
・約800μmまでの、角質層、完全な表皮、真皮の部分の除去。このプロセスは、800μm以下の皮脂腺のほとんど、及び、隆起領域を除去する(Dunkin et al., Plastic Reconstructive Surgery, 119(6), May 2007)。
【0125】
・約2000〜4000μmまでの、角質層、完全な表皮、及び真皮の部分の除去。このプロセスは、2000μm以下の皮脂腺、隆起領域、及び毛乳頭のほとんどを除去する。
【0126】
・角質層、完全な表皮、完全な真皮の除去により、皮膚の最大5〜7mmまでの除去。このプロセスは、毛嚢のすべての構造(皮脂腺、隆起、及び乳頭突起を含む)を除去する。
【0127】
(実施例)
以下の例は、本明細書に記載の方法と化合物が以下に行われ、作製され、評価されたかの完全な開示と説明を当業者に提供するが、これは純粋に例示目的であり、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0128】
脱毛と表皮擦過は新規毛嚢生成を引き起こす
脱毛と表皮擦過。マウスをペントバルビタールナトリウム注射により麻酔後、背中の毛を刈り、Nair(Carter-Wallace, New York, NY)で脱毛し、次にArgyris T. J. Invest. Dermatol. 75:360 (1980)が記載したように回転フェルトホイールを使用して表皮を除去した。70%エタノールでこすり白熱灯下で乾燥した後、1.5cm2/cmの毛嚢間表皮領域中の基底層と基底層直上の層を、Dremel Moto-tool(Racine, WI)に取り付けたフェルトホイールで注意深く擦過して除去した。擦過後、皮膚は輝いてなめらかであり、血液はなかった。1日後、擦過領域はフィブリンの皮で被覆され、これは3〜7日後に剥がれ落ち、新生された表皮が露出した。擦過直後に一群の対照マウスを屠殺して、毛嚢間表皮の完全な除去を顕微鏡で確認した。
【0129】
免疫組織化学。皮膚サンプルをPBS緩衝化10%ホルマリンで固定した。6ミクロン厚のパラフィン切片を切り取り、適宜抗体で染色した。
【0130】
BrdU標識。Bickenbachと共同研究者により記載されたプロトコール(Bickenbach et al, Cell Tiss Kinet 19: 325-333, 1986; Bickenbach et al, Exp Cell Res 244, 184-195, 1998)を使用した。マウスに体重1キログラム当たり50ミリグラム(mg/kg)の5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)を12時間毎に全部で4回注射した。
【0131】
結果:50日齢のマウスの背中の一部を脱毛し、回転フェルトホイールを使用して表皮を除去した。15日後、HFプラコード、毛芽、及び毛嚢新生の他の兆候が存在した(図1;矢印は毛芽を示す)。毛嚢の形態は胚性毛嚢成長に似ていた。新しい毛嚢の増殖をさらに解析するために、屠殺の60分前に皮膚をBrdUで標識した。図2に示すように増殖パターンは、胚中で成長する毛嚢に似ていた。
【0132】
これらの知見は、(a)表皮の破壊が新しいHFの生成を引き起こし、この新しいHFの生成が、(b)成体と(c)休止期(telogen)(50日齢のマウスは毛髪周期の第2の休止期にある)で起きることを証明している。
【実施例2】
【0133】
大きな創傷切除は新規毛嚢生成を誘導するが小さな創傷穿孔はこれを誘導しない
創傷穿孔と創傷切除誘導。21日齢のマウスの背中を実施例1に記載のように脱毛し、アルコール、次に1%ヨード液で滅菌した。皮膚生検パンチを使用して筋膜まで(しかし貫通させない)、直径4mmの創傷穿孔を誘導した。創傷切除は充分な厚さであり直径1cmであった;外科ばさみを使用して皮膚と皮筋層を切除した。
【0134】
結果:創傷が皮膚生成を誘導するかどうかを試験するために、マウスで創傷穿孔と創傷切除を誘導した。両方のタイプの創傷が、誘導後に収縮と再上皮化を示した;しかし創傷穿孔を受けたマウスと異なり、創傷切除を受けたマウスは、創傷誘導の10日以内に瘢痕形成も示した(図3、左のパネル)。この時点で毛嚢は見られなかった(図3、右のパネル)。創傷誘導の12日後、BrdUパルス標識後に、胎児毛芽と類似の形態を有する毛芽が創傷部位に観察された(図4)。観察された構造がHFであることを証明するために、いくつかのマーカーを使用した。この構造は、HFマーカーである抗ケラチン17(K17)による染色(図5)を示し、12日目の時点での抗アルカリホスファターゼによる染色は、この構造が、HFについて予測されるように、繊維芽細胞を含有する真皮乳頭を有することを証明した(図6;早期及び後期HFをそれぞれ左のパネルと右のパネルに示す)。
【0135】
創傷誘導により生成されたHFをさらに、胚HFとの形態比較と次にBrdU染色により解析した;種々の段階で形態の明瞭な一致が観察された(図7)。さらに表皮破壊誘導性HF新生(EDIHN)で、胚HF成長のいくつかのマーカー(すなわち、Lef1、ウィングレス/int(Wnt)10b、及びソニックヘッジホッグ(Shh))が誘導された(図8)。追加のBrdU染色(図9)とHFマーカーS100A3とS100A6についての染色(図10;左のパネル:HF軸に平行な組織切片;右のパネル:毛嚢の断面図)は、EDIHN毛嚢の成長が胚HF成長と密接に一致することのさらなる証明を与えた。
【0136】
これらの知見は、表皮の破壊が新しいHFの生成を引き起こすこと、及び新しいHFのこの生成が(b)成体被験者と(c)休止期(telogen)(21日齢のマウスは毛髪周期の第1の休止期にある)で起きることのさらなる証明を与える。
【実施例3】
【0137】
EDIHN誘導性毛嚢は毛髪を生成させる
創傷誘導の25と45日後に、創傷部位は新しい毛髪を含有した(図11、それぞれ左のパネルと右のパネル)。新しい毛髪は、創傷後の最初の9日間にDkk-1(Dickkopf-1)を使用すると、wnt経路を阻害した時以外は、着色が無いようであった(実施例10を参照)。
【0138】
これらの知見は、EDIHN誘導性HFが正常に機能していること、すなわち毛髪を生成させることができることを示す。
【実施例4】
【0139】
EDIHN毛嚢は周期的毛髪成長に入る能力を保持する
BrdU標識。創傷の20日後から開始して3日間、50mg/kg体重BrdU(Sigma)を1日2回注射した。BrdUは創傷の40日後に検出された(17日間の追跡)。
【0140】
ホールマウントと免疫蛍光。新鮮な皮膚をEDTA(PBS中20mM)で37℃で一晩インキュベートし、次に表皮と真皮を分離することにより、HFホールマウントが得られた。次に表皮を10%ホルマリンで室温(RT)で10分間固定した。真皮をアセトン中で室温で一晩固定した。PBSでリンス後、免疫組織化学分析(図12に略図を示す)のためにホールマウントを抗体で染色し、Leica共焦点顕微鏡を使用して画像形成させた。
【0141】
結果:EDIHN誘導性HFが正常レベルのHF幹細胞を含むかどうかを調べるために、創傷誘導後21日目にマウスの皮膚を標識物保持細胞の存在について調べた。長期追跡期間中のBrdUの保持は、これらの条件下では、HF幹細胞の証明の1つである。標識物保持細胞(HFの隆起中に)の正常な数と位置が観察された(図13)。標識物保持細胞がHF幹細胞であることを証明するために、K15-eGFPマウスを使用した。これらのマウスでは、K15プロモーターからeGFP(増強緑色蛍光タンパク質)が発現される;従って、eGFPの発現は幹細胞を同定する。図14Aに示すように、創傷誘導の35日後に新しい生成した毛嚢の組織切片(右側)にeGFP発現細胞が観察された。eGFP発現細胞はまた表皮ホールマウント中でも見られ(下、左端のパネル)、表皮細胞から毛嚢幹細胞特性を有する細胞への変換を示していた([下、左から2番目]パネルは[下、左端の]パネルと同じであるが、白色光下で観察された)。この知見は、観察された標識物保持細胞がHF幹細胞性を示すことを証明する。
【0142】
EDIHN誘導性HFが正常な周期を示すかどうかを調べるために、創傷の35、38、及び45日後にさらなるマウスからマウントを調製した。図14Bに示すように、EDIHN誘導性HFは休止期(telogen)に入り、次に新しい増殖期に入った。
【0143】
要約するとこの実施例の知見は、胚生成HFのように、EDIHN誘導性HFがHF幹細胞を含有することを証明する。HF幹細胞の存在は、EDIHN誘導性HFが、胚生成HFと同様の方法で周期的毛髪増殖に入る能力を保持することを証明する。この知見はまた、創傷は、表皮細胞が毛嚢幹細胞状態を取る(K15-EGFを発現する)ように誘導することを証明する。このモデルを図15に略図で示す。実施例2、3、及び4の知見は、EDIHN誘導性HFが完全に機能しており、従って必要な被験者で毛髪成長を回復することができることを証明している。
【実施例5】
【0144】
EDIHNは毛髪周期の休止段階のマウスで新しい毛嚢を誘導する
毛髪周期の休止期で創傷を受けたマウスでEDIHNが新しい毛嚢を誘導するかどうかを調べるために、実施例2に記載のように1cmの創傷切除を使用して21日齢のマウスにEDIHNを行った。次に新しいHFの指標についてホールマウントアッセイによりHFを調べた。図16に示すように、11日後に顕微鏡観察(上のパネル)、真皮のAP染色(下の左のパネル)、又は表皮のK17染色(下の右のパネル)で新しいHFは見られなかった。図17に示すように14日後に、真皮に真皮乳頭細胞が検出され(左のパネル)、表皮にHF幹細胞が検出され(右のパネル)、新しい毛嚢が生成されていることを証明していた。17日後に、真皮と表皮の観察により証明されるように(図18、それぞれ左のパネルと右のパネル)、新しい毛嚢がさらに成長した。この方法は、創傷で平均49の新しい毛嚢の生成を誘導し、この数は表2に示すように3つの異なる実験にわたって一貫していた。
【0145】
毛髪周期の休止期で創傷を受けたマウスでEDIHNが新しい毛嚢を誘導するかどうかを調べるために、実施例2に記載のように1cmの創傷切除を使用して21日齢のマウスにEDIHNを行った。次に新しいHFの指標についてホールマウントアッセイによりHFを調べた。図16に示すように、11日後に顕微鏡観察(上のパネル)、真皮のAP染色(下の左のパネル)、又は表皮のK17染色(下の右のパネル)で新しいHFは見られなかった。図17に示すように14日後に、真皮に真皮乳頭細胞が検出され(左のパネル)、表皮にHF幹細胞が検出され(右のパネル)、新しい毛嚢が生成されていることを証明していた。17日後に、真皮と表皮の観察により証明されるように(図18、それぞれ左のパネルと右のパネル)、新しい毛嚢がさらに成長した。この方法は、創傷で平均49の新しい毛嚢の生成を誘導し、この数は表2に示すように3つの異なる実験にわたって一貫していた。
【表2】

【0146】
この実施例の知見は、これらのマウスが創傷中の増殖段階にHFを含有しないという事実にもかかわらず、EDIHNが毛髪周期の休止期のマウスで新しいHFの生成を誘導することができることを、証明する。
【実施例6】
【0147】
成体マウスで増殖期の誘導はEDIHNの効率を上昇させる
実施例5に記載した実験を、異なる年齢の、従って毛髪周期の異なる段階の、マウスについて繰り返した。創傷瘢痕化が起きたことを確認するために、高年齢のマウスでより大きな創傷を誘導した。表3に示すように、休止期の成体マウス(例えば8週齢マウス)はEDIHNにより低効率のHF生成を示した。
【表3】

【0148】
増殖期の実験的誘導がEDIHNの効率を上昇させるかどうかを調べるために、創傷誘導の数日前に8週齢のマウスを脱毛した。図19に示すように、脱毛の有無に拘わらず、創傷を閉じた。図20A〜Bに示すように、脱毛したマウスは、前実施例に記載した非脱毛マウスと比較してEDIHNを11倍上昇させた。
【0149】
この実施例の知見は、増殖期誘導がEDIHNを上昇させることを証明する。さらにこれらの知見は、EDIHNが新しいHFを生成できるだけでなく、休止期段階のすでに存在するHFで増殖期を活性化できることを証明する。
【実施例7】
【0150】
EDIHNはヒト皮膚での新しい毛嚢を誘導する
移植。形成外科から得られた耳介前部からの放棄されたヒト成体頭皮を、免疫不全症(scid)マウスに移植した。移植物を包帯で固定し、治癒させ、次に移植後3ヶ月に創傷治癒試験で使用した。
【0151】
結果:マウスの皮膚と同様にヒト皮膚がEDIHNに応答するかどうかを調べるために、ヒト皮膚をSCID(免疫不全症)マウスに移植し、3日後引き抜きと創傷誘導により脱毛した。創傷誘導の7日後、パラフィン包埋組織切片のヘマトキシリンとエオシン染色により、ヒト皮膚で新しいHFの生成が観察された(図21A;矢印は新しいHFを示す)。
【0152】
さらなる実験で成体ヒト皮膚をマウスに移植し、擦過し、擦過7日後に観察した。ヒト皮膚中に新しいHFが生成し、これはS100A6又はS100A4の染色(図21B)により示されるように、胎児成長中の正常な毛嚢生成を模倣していた。
【0153】
この実施例の結果は、マウスの皮膚のようにヒト皮膚で毛髪成長を発生させるのにEDIHNを使用できることを示している。
【実施例8】
【0154】
HF幹細胞活性化中に活性化される分子経路
HF幹細胞の単離と活性化。新しいHFの生成を誘導するために、K15-eGFPを脱毛した。脱毛の2日後に蛍光活性化細胞ソーター解析(FACS)を使用してK15-eGFPマウスから活性化毛嚢幹細胞を単離し、細胞集団から5mg(マイクログラム)の総RNAを単離し、逆転写し、Affymetrix (Santa Clara, California) アレイ MG_U74v2チップにハイブリダイズさせた。スキャンしたチップ画像をAffymetrix Microarray Suite 5.0及びGeneSpringソフトウェア (Silicon Genetics)を使用して、活性化HF幹細胞(HFSC)と非活性化(休止期)HFSCとの倍数変化差を検出した。非活性化「bs-line」と活性化(「expt」)サンプルの倍数変化と差を計算する前に、値を標準化した。
【0155】
結果:HF幹細胞活性化中にアップレギュレートされた分子経路を同定するために、活性化HF幹細胞を単離し、細胞の遺伝子発現パターンを解析してアップレギュレートされた転写体を検出した。転写体(受け入れ番号AW047343、AF053235、M26005、AA681998、AF057156、AI845584、AA614971、AV374591、U04443、Y07836、M21285、V00756、Y14296、X16490、AW120868、C78850、D67076、M61007、C85523、AW122030、U57524、U05809、AW212475、V00835、AV374868、M21285、U74683、X61800、U20735、U19118、AW049031、M93275、AB000713、U20735、U83148、L10244、U88328、X82786、AW122523、AI642048、L07264、M15668、AI047508、AJ001418、AI838080、AF072127、X80417、AI847051、U09504、U22033、AF033034、AA960603、U47737、L00039、D21099、AF026481、J04596、X81580、AI314958、AF058798、AW046627、AI848050、AF065441、AF022992、AF064088、AI787713、AI853531、X14678、AI854358、X67668、K02236、X51829、AW048937、AV139913、M32490、AI121305、U35374、X15643、AI849109、U70132、M13805、AV138783、K02927、X07699、X57800、M35247、AI553024、X16995、AF038562、Y11666、U40930、D26090、AI787627、M33988、AI845182、AA619207、AW125783、J04103、D90146、AI563854、AF017128、X67644、AA980204、AI843232、U59807、AI152659、AI850090、AF064635、AI843106、AF033186、Z50159、X78683、X68193、AA062013、AI465965、U50413、AW120502、X62940、U60020、L32752、AI840013、AB020424、AI848453、AU040563、X89749、AW125390、X05862、AW046181、U10118、AW212775、AI846302、M22998、X64837、AI843119、AI837786、U41465、U70494、D17666、X14897、AJ006289、X12944、AW061302、U67328、AI604314、AI845121、AW047756、AI838021、AW122893、M59821、M13805、AI845886、X53157、U19118、AF062071、U10404、U07634、X04663、X61232、X14309、U42386、U51126、AF093853、Z19521、U04354、M35244、AW121930、AI852632、U70475、U09659、AW124785、AF071315、D49733、X80899、D83203、Z20410、AI839906、AI843448、AW125336、AW123802、AI835771、X53584、M32599、AF035644、Y00629、AW125380、U68564、AW125346、X61232、D20333、AB025218、U84411、M62362、AA032310、M94087、AI847609、AI853294、M33934、X16202、AI661431、AI839109、AI849135、M32459、AI841389、X03039、AW049795、D87691、AI117211、Y00520、AA638002、Z22661、X99644、AI843895、M38724、AW122989、AI844810、AA940430、M38381、AF014371、Z30939、U28208、及びAV218217)が、活性化前の細胞と比較して活性化HF幹細胞中で少なくとも2倍アップレギュレートされた。ある場合には配列は、転写体の配列を含有するゲノム配列である。転写体のアップレギュレーションに関するデータとこれらについてのさらなる情報を図22に示す。
【0156】
すなわち、この実施例で同定される転写体、これらがコードするタンパク質、及びこれらのタンパク質が関与する経路は、表皮細胞のHF幹細胞への分化誘導に大きく寄与する。従って、表4に示す転写体、タンパク質、及び経路の活性化は、EDIHNを増強する方法である。さらに表4に示す転写体、タンパク質、及び経路の阻害は、EDIHNを防止し毛嚢を排除する方法である。さらに、表5に示す転写体、タンパク質、及び経路の阻害は、EDIHNを増強する方法である。さらに、表5に示す転写体、タンパク質、及び経路の活性化は、EDIHNを増強する方法である。
【実施例9】
【0157】
表皮細胞のHF幹細胞への分化誘導中に活性化される分子経路
HF幹細胞の遺伝子発現パターンを実施例8に記載のように解析し、非隆起基底ケラチン細胞と比較した。マイクロアレイ分析と定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)により評価すると、157の遺伝子がHF幹細胞中で示差的に発現された。HF幹細胞中の発現が上昇した一群の選択された遺伝子を表4に記載する。HF幹細胞中の発現が低下した一群の選択された遺伝子を表5に記載する。
【表4】


【表5】

【0158】
すなわちこの実施例で同定される転写体、これらがコードするタンパク質、及びこれらのタンパク質が関与する経路は、HF幹細胞への表皮細胞の分化誘導に大きく寄与する。従って表4に示す転写体、タンパク質、及び経路の活性化は、EDIHNを増強する方法である。さらに表4に示す転写体、タンパク質、及び経路の阻害は、EDIHNと防止し毛嚢を排除する方法である。さらに表5に示す転写体、タンパク質、及び経路の阻害は、EDIHNを増強する方法である。さらに表5に示す転写体、タンパク質、及び経路の活性化は、EDIHNを増強する方法である。
【実施例10】
【0159】
創傷後最初の9日間中のWNT-1インヒビターの発現は新しいHFの着色を引き起こす
本例ではtetO-Dkk1とK5-rtTAの両方を発現する二重トランスジェニックマウスを使用した。これらのマウスに1g/kgのドキシサイクリン(BioServ, Laurel, MD)を有するように調製した食べ物を与えると、これらはK5プロモーターの制御下で基底表皮中でDkk1を発現する。対照マウスにもまたドキシサイクリンを投与したが、これらはK5-rtTA陰性であり、従ってDkk1を発現しなかった。
【0160】
結果:21日齢又は50日齢の二重トランスジェニックマウスの下背に1cm2の創傷を誘導した。創傷直後にドキシサイクリン含有食をマウスに与えてDkk1発現を誘導し、次に創傷の9日後に再上皮化完了後ドキシサイクリンを止めた。Dkk1発現はWnt活性を阻害し、これは次に毛嚢着色を誘導する。創傷の22日後に、表皮シートを調製して切除皮膚で着色HFが観察された(図23A〜B)。対照マウスは着色HFがなかった(図24)。
【0161】
他の実験では、9日間後のDkk1の継続発現が新しいHF生成を阻害した。
【0162】
本実施例の知見は、再上皮化中にWnt1の発現を抑制することにより、又はDkk1の発現を誘導し、次にWnt1の発現を誘導することにより、着色HFを産生することができることを示す。さらに本実施例の知見は、新生児の毛嚢生成を阻害する因子(例えばDkk1)はまたEDIHNを阻害することを示し、従ってEDIHNにより生成される毛嚢は正常な毛嚢に類似していることをさらに支持する。
【実施例11】
【0163】
表皮増殖因子注入によるEDIHNの阻害
前実施例に記載のように21日齢のマウスを創傷させた。創傷の11日後(創傷は最近再上皮化した時点に対応する)から開始して、創傷ベッドに10mlの1mg/ml EGFを注射した。EGFはこの時点から全部で5日間、1日1回注射した。3日後、皮膚を採取し、ホールマウントEDIHNアッセイを行った。全体的形態により評価すると、EGFはHF生成を妨害した。さらに対照皮膚と処理皮膚のホールマウントを、抗K17抗体免疫染色により分析した。EGFを注射したすべてのマウス(n=4)は新しいHF生成を示さず(図25A〜B)、一方対照マウス(n=2)は、予測されたように多くの新しいHFを有した(図25C〜D)。
【0164】
さらなる実験において、組換えEGF(1マイクログラム(mcg)/マイクロリットル(mcl))を、創傷後11、13、及び15日目に注射した。創傷後18日目に皮膚を採取し、K17とアルカリホスファターゼについて染色した。再度EGFの投与はEDIHNを阻害した。
【0165】
この実施例の知見は、EGFがHF生成を阻害することを示す。すなわちEGF、EGFR、又はこれらが関与する経路を阻害することは、EDIHN誘導性HF生成を上昇させる。
【実施例12】
【0166】
EGF受容体の阻害によるEDIHNの増強
DIHNに対するEGF受容体インヒビターの投与の作用を調べるために、切開創傷(1cm2)の11日後インヒビターAG1478(10μl容量中150μM)を創傷の中央の皮膚表面に単回注射として投与した。EGF受容体インヒビター投与により、創傷のみを行った対照マウスと比較して、より多くのより大きな毛嚢が生成された(図26A)。図26Bに示されるように、AG1478注射マウスの創傷領域中に大きな毛嚢が現れた。左のパネル:K17について染色した表皮であり、3つの大きな毛嚢が互いに隣接する。右のパネル:APについて染色した真皮であり、大きな癒合した真皮乳頭領域がある。
【0167】
本実施例の知見は、前実施例の結果を確認し、EDIHNがEGFRインヒビターを含むか又はこの投与の後投与されるなら、又は同様の作用機構を有する化合物(例えばヘッジホッグタンパク質及びアンドロゲンアンタゴニスト)とともに投与されるなら、より多くのより大きなHFが生成されることを示す。
【実施例13】
【0168】
β−カテニンアクチベーターの発現によるEDIHNの増強
EDIHNに対するβ−カテニンアクチベーターの投与の作用を調べるために、表皮中でβ−カテニン経路アクチベーターWnt7を過剰発現するK14-Wnt7トランスジェニックマウスにEDIHNを行い、次に創傷後19日目にHF生成を測定した。4週齢と3週齢のマウスを用いる2つの異なる実験のそれぞれで、トランスジェニックマウスは対照の非トランスジェニック同腹子マウスと比較して、有意に多くの数のHFが出現した(図27A〜C)。
【0169】
すなわちβ−カテニンアクチベーターの投与によりEDIHNが上昇した。実施例11〜13の知見は、(a)表皮を破壊することにより、(b)未拘束の表皮細胞のHF細胞への分化を促進する因子を投与することにより、新しいHFを生成することができることを示す。
【実施例14】
【0170】
FGFの投与によるEDIHNの増強
EDIHNに対する繊維芽細胞増殖因子(FGF)の作用を調べるために、実施例11に記載のように切開創傷後11日目に組換えFGFを投与する。FGF投与はHF生成を増強させ、(a)表皮を破壊することにより、(b)FGF、FGFをコードするヌクレオチド、又はFGFによるシグナル伝達を上昇させる因子を投与することにより、新しいHFを生成することができることを示す。
【実施例15】
【0171】
EDARの投与によるEDIHNの増強
EDIHNに対する繊維芽細胞増殖因子(FGF)の作用を調べるために、表皮中で(ectodysplasin-A1)Eda-A1を過剰発現するK14-Eda-A1トランスジェニックマウスにEDIHNを行い、次に実施例13に記載のように創傷後19日目にHF生成を測定する。トランスジェニックマウスは対照の非トランスジェニック同腹子マウスと比較して、有意に多くの数のHFが出現し、これは、(a)表皮を破壊することにより、(b)ectodysplasinによるシグナル伝達を増強する因子を投与することにより、新しいHFを生成することができることを示す。
【実施例16】
【0172】
ミノキシジルの投与によるEDIHNの増強
EDIHNに対するミノキシジルの作用を調べるために、実施例11に記載のように切開創傷後11日目に組換えFGFを投与する。ミノキシジル投与はHF生成を増強させ、これは、(a)表皮を破壊することにより、(b)ミノキシジルを投与することにより、新しいHFを生成することができることを示す。
【実施例17】
【0173】
擦過とEGFの投与によるHFの除去
実施例1に記載のようにマウスの表皮の毛髪を有する領域を擦過し、次に実施例1に記載のように組換えEGFを投与する。この方法は、擦過領域での毛髪の再成長を防止し、これは、(a)表皮層を破壊することにより、(b)EGF、EGFをコードするヌクレオチド、又はEGFによるシグナル伝達を上昇させる因子を投与することにより、毛髪を除去できることを示す。
【0174】
他の実施形態
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各刊行物、特許、及び特許出願が具体的に個々に参照することにより本明細書に組み込まれるのと同程度に、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0175】
具体例により本発明を説明したが、さらなる修飾が可能であること、本出願が、一般に本発明の原理に従う本発明の任意の変更態様、用途、又は改変態様を包含すること、本発明が関連する分野の公知の又は一般的慣習内であり、前記した基本的特徴に適用され、特許請求の範囲に従う本開示からのかかる逸脱を、含むことは理解されるであろう。
【0176】
他の実施形態は特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所投与用に製剤化された0.001%〜0.1%(w/v)の小分子EGFRインヒビターを含む組成物であって、該EGFRインヒビターが約2,000ダルトン未満の非天然窒素含有複素環又はその代謝物である、前記組成物。
【請求項2】
抗酸化剤、乳化性賦形剤、ゲル化剤、ヒドロコロイド、架橋剤、及び可塑剤から選択される医薬的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記医薬的に許容し得る賦形剤が、チオール類、スルホキシミン類、金属キレート物質、脂肪酸、ビタミン類、フェノール類、スチルベン類、尿酸、マンノース、セレン、及び没食子酸プロピルよりなる群から選択される抗酸化剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗酸化剤がビタミンEである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記医薬的に許容し得る賦形剤が、ポリエトキシ化脂肪酸、PEG-脂肪酸ジエステル、PEG-脂肪酸モノエステルとジエステル混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換産物、ポリグリセリド化脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル−グリセリンエステルの混合物、モノ−及びジグリセリド、ステロール及びステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、トコフェロールエステル、及びステロールエステルよりなる群から選択される乳化性賦形剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記医薬的に許容し得る賦形剤がゲル化剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記医薬的に許容し得る賦形剤がヒドロコロイドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記医薬的に許容し得る賦形剤が架橋剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
前記医薬的に許容し得る賦形剤が可塑剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、レチノイド、抗アンドロゲン剤、免疫抑制剤、チャンネル開口薬、抗生物質、及び抗微生物剤から選択される追加の生物活性物質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記追加の生物活性物質が、メピラミン、ジフェンヒドラミン、及びアンタゾリンよりなる群から選択される抗ヒスタミン剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記追加の生物活性物質が、コルチコステロイド、NSAID、及びCOX-2インヒビターよりなる群から選択される抗炎症剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記追加の生物活性物質が、13-シス-レチノイン酸、アダパレン、オールトランスレチノイン酸、及びエトレチネートよりなる群から選択されるレチノイドである、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記追加の生物活性物質が、フィナステリド、フルタミド、ジアゾキシド、11アルファ−ヒドロキシプロゲステロン、ケトコナゾール、RU58841、ヅタステリド、フルリジル、及びQLT-7704よりなる群から選択される抗アンドロゲン剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記追加の生物活性物質が、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、エベロリムス、及びピメクロリムスよりなる群から選択される免疫抑制剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記追加の生物活性物質が、ミノキシジル、ジアゾキシド、及びフェニトインよりなる群から選択されるチャンネル開口薬である、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記追加の生物活性物質が、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、樟脳メタクレゾール、樟脳フェノール、ヘキシルレソルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、グリセリン、イミヅレア、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、及びチオメルサルよりなる群から選択される抗微生物剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
抗アンドロゲン剤とチャンネル開口薬とをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記抗アンドロゲン剤がフィナステリドであり、前記チャンネル開口薬がミノキシジルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
クリーム剤、ローション剤、スティック剤、軟膏剤、ゲル剤、噴霧剤、発泡剤、パッチ剤、エアゾル剤、創傷包帯、又は点滴剤として製剤化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記小分子EGFRインヒビターが、レフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記小分子EGFRインヒビターがゲフィチニブである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記小分子EGFRインヒビターがエルロチニブである、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記小分子EGFRインヒビターがレフルノミドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記小分子EGFRインヒビターがレフルノミド代謝物A771726である、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
(i)局所投与用に製剤化された0.000001%〜10%(w/v)の小分子EGFRインヒビターであって、約2,000ダルトン未満の非天然窒素含有複素環又はその代謝物である前記EGFRインヒビターを含む組成物と、(ii)毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することが必要な被験者の皮膚に該組成物を適用するための説明書、とを含むキット。
【請求項27】
(i)請求項1〜25のいずれかに記載の組成物と、(ii)被験者の皮膚に該組成物を適用するための説明書、とを含むキット。
【請求項28】
被験者の頭部に該組成物を適用するための説明書をさらに含む、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
(i)請求項1〜25のいずれかに記載の組成物と、(ii)毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することが必要な被験者の皮膚に該組成物を適用するための説明書、とを含むキット。
【請求項30】
1日に1回又は2回被験者の皮膚に前記組成物を適用するための説明書をさらに含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
少なくとも2日間連続して被験者の皮膚に前記組成物を適用するための説明書をさらに含む、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
少なくとも5日間連続して被験者の皮膚に前記組成物を適用するための説明書をさらに含む、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
(i)請求項1〜25のいずれかに記載の組成物と、(ii)被験者の皮膚に該組成物を投与するための説明書とを含むキットであって、ここで該皮膚が、該組成物の最初の投与前の2週間以内に再上皮化を受けていることを特徴とする前記キット。
【請求項34】
前記組成物が0.001%〜0.1%(w/v)の小分子EGFRインヒビターを含む、請求項26、27、29、又は33のいずれかに記載のキット。
【請求項35】
前記小分子EGFRインヒビターが、レフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357から選択される、請求項26、27、29、又は33のいずれかに記載のキット。
【請求項36】
前記小分子EGFRインヒビターがゲフィチニブである、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記小分子EGFRインヒビターがエルロチニブである、請求項35に記載のキット。
【請求項38】
前記小分子EGFRインヒビターがレフルノミドである、請求項35に記載のキット。
【請求項39】
前記小分子EGFRインヒビターがレフルノミド代謝物A771726である、請求項26、27、29、又は33のいずれかに記載のキット。
【請求項40】
(i)レフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357から選択される小分子EGFRインヒビターと、(ii)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、レチノイド、抗アンドロゲン剤、免疫抑制剤、チャンネル開口薬、抗生物質、抗微生物剤から選択される追加の生物活性物質とを含む局所投与用に製剤化された組成物を含む、前記キット。
【請求項41】
前記小分子EGFRインヒビターがゲフィチニブ又はエルロチニブであり、追加の生物活性物質が、ミノキシジル、ジアゾキシド、及びフェニトインから選択されるチャンネル開口薬である、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記組成物が、クリーム剤、ローション剤、スティック剤、軟膏剤、ゲル剤、噴霧剤、発泡剤、パッチ剤、エアゾル剤、創傷包帯、又は点滴剤として製剤化される、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
(i)EGFR抗体を含む組成物と、(ii)毛嚢を生成させるか又は毛髪成長を刺激することが必要な被験者に該抗体を投与するための説明書とを含む、前記キット。
【請求項44】
前記EGFR抗体が、ザルツムマブ、セツキシマブ、IMC11F8、マツズマブ、SC100、ALT110、PX1032、BMS599626、MDX214、及びPX1041から選択される、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
夜に前記組成物を投与するための説明書をさらに含む、請求項26、27、29、33、又は43のいずれかに記載のキット。
【請求項46】
日中に前記組成物を投与するための説明書をさらに含む、請求項26、27、29、33、又は43のいずれかに記載のキット。
【請求項47】
被験者の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法であって、
(a)前記被験者の皮膚の再上皮化を誘導するステップと、
(b)該皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量の小分子EGFRインヒビター又はその代謝物を、該皮膚の細胞に接触させるステップ
を含んでなる、前記方法。
【請求項48】
ステップ(a)がステップ(b)の前2週間以内に行われる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
被験者の頭部の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量の小分子EGFRインヒビターを該皮膚の細胞に接触させるステップを含んでなる、該皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法であって、該小分子EGFRインヒビターが約2,000ダルトン未満の非天然窒素含有複素環又はその代謝物であり、ただし該皮膚が眉ではないことを特徴とする、前記方法。
【請求項50】
前記小分子EGFRインヒビターが全身性に投与される、請求項47又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記小分子EGFRインヒビターが局所的に投与される、請求項47又は49に記載の方法。
【請求項52】
前記小分子EGFRインヒビターが、レフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、及びHKI-357から選択される、請求項47又は49に記載の方法。
【請求項53】
前記小分子EGFRインヒビターがゲフィチニブである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記小分子EGFRインヒビターがエルロチニブである、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記小分子EGFRインヒビターがレフルノミドである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
小分子EGFRインヒビターがレフルノミド代謝物A771726である、請求項47又は49に記載の方法。
【請求項57】
請求項1〜25のいずれかに記載の組成物を前記被験者に投与することを含んでなる、請求項47又は49に記載の方法。
【請求項58】
被験者の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法であって、
(a)前記被験者の皮膚の再上皮化を誘導するステップと、
(b)前記皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量のEGFR抗体を皮膚の細胞に接触させるステップ
を含んでなる、前記方法。
【請求項59】
前記EGFR抗体が、ザルツムマブ、セツキシマブ、IMC11F8、マツズマブ、SC100、ALT110、PX1032、BMS599626、MDX214、及びPX1041から選択される、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
前記皮膚が被験者の頭皮又は眉の皮膚である、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記被験者が頭皮の脱毛症に罹っている、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記接触が夜中に行われる、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記接触が日中に行われる、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記被験者がアンドロゲン性脱毛症に罹っている、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記被験者が円板状エリテマトーデスに罹っている、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記被験者が先天性貧毛症に罹っている、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記被験者が扁平毛孔性苔癬に罹っている、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記被験者が瘢痕性脱毛症に罹っている、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記被験者がより速い毛髪成長を示す、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記被験者がより厚い毛髪を生成する、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、レチノイド、抗アンドロゲン剤、免疫抑制剤、チャンネル開口薬、抗生物質、及び抗微生物剤から選択される追加の生物活性物質を該被験者に投与するステップをさらに含んでなる、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記小分子EGFRインヒビターが1日に1回又は2回被験者に投与される、請求項47又は49に記載の方法。
【請求項73】
前記EGFR抗体が1日に1回又は2回前記被験者に投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項74】
前記皮膚が角質層を欠如している、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記皮膚が新たに生成されたケラチン細胞を含む、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記皮膚が、BerEP4、サイトケラチン15、サイトケラチン17、β−カテニン、ソニックヘッジホッグ(sonic hedgehog)、及びアルカリホスファターゼから選択される1つ又はそれ以上の特徴的マーカーを示す胚毛嚢を含む、請求項47、49、又は58のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
被験者の皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激する方法であって、
(a)前記被験者の皮膚の再上皮化を誘導するステップと、
(b)小分子EGFRインヒビター、又はその代謝物、及びEGFR抗体から選択されるEGFRインヒビターを該被験者に投与するステップ
を含んでなり、該EGFRインヒビターが持続放出のために製剤化され、前記皮膚上の毛嚢を生成させるか毛髪成長を刺激するのに充分な量で投与されることを特徴とする、前記方法。
【請求項78】
ステップ(a)と(b)が同時に行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
(i)請求項47〜48のいずれかに記載の方法に従って被験者上の毛嚢を生成させ、
(ii)該毛嚢中のWntタンパク質の発現を抑制すること
を含んでなる、前記被験者上の着色毛髪を生成する方法。
【請求項80】
Wntタンパク質の発現を抑制するステップが、Dkk1タンパク質の発現を誘導することを含んでなる、請求項79に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A−1】
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【図22A−2】
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【図22A−3】
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【図22A−4】
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【図22A−5】
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【図22A−6】
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【図22A−7】
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【図22A−8】
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【図22B−1】
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【図22B−2】
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【図22B−3】
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【図22B−4】
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【図22B−5】
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【図22C−1】
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【図22C−2】
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【図22C−3】
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【図22C−4】
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【図22C−5】
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【図22C−6】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【公表番号】特表2010−504974(P2010−504974A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530411(P2009−530411)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/020842
【国際公開番号】WO2008/042216
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509087623)フォリカ,インコーポレーテッド (1)
【出願人】(509088125)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ペンシルバニア (2)
【Fターム(参考)】