説明

新規化合物中間体

【課題】十分な感度と耐熱性が得られ、高速応答性を示す光電変換素子及び固体撮像素子に適した光電変換素子材料として有用な新規化合物の中間体を提供する。
【解決手段】下記一般式(V)で表される化合物。


(式中、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
好ましくは、R21及びR22の少なくとも一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基。R21及びR22の一方が前記環を形成する基の場合、他方は置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子材料として有用な新規化合物の中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光センサは、シリコン(Si)などの半導体基板中にフォトダイオード(PD)を形成して作成した素子が一般的であり、固体撮像素子としては、半導体基板中にPDを2次元的に配列し、各PDで光電変換により発生した信号電荷に応じた信号をCCDやCMOS回路で読み出す平面型固体撮像素子が広く用いられている。
【0003】
カラー固体撮像素子を実現する方法としては、平面型固体撮像素子の光入射面側に、色分離用に特定の波長の光のみを透過するカラーフィルタを配した構造が一般的であり、特に、現在デジタルカメラなどに広く用いられている方式として、2次元的に配列した各PD上に、青色(B)光、緑色(G)光、赤色(R)光をそれぞれ透過するカラーフィルタを規則的に配した単板式固体撮像素子がよく知られている。
この単板式固体撮像素子においては、カラーフィルタが限られた波長の光のみしか透過しないため、カラーフィルタを透過しなかった光が利用されず光利用効率が悪い。また、近年、多画素化が進む中、画素サイズが小さくなっており、フォトダイオード部の面積が小さくなり、開口率の低下、集光効率の低下が問題になっている。
【0004】
これらの欠点を解決するため、異なる光波長を検出できる光電変換部を縦方向に積層する方式が提案されている。このような方式としては、可視光に限定した場合では、例えば、Siの吸収係数に波長依存性があることを利用して縦型に積層構造を形成し、それぞれの深さの差により色分離するもの(特許文献1)や、有機半導体を用いた第1の受光部とSiからなる第2、第3の受光部を形成したもの(特許文献2)等が開示されている。
しかし、これらの方式では、Siの深さ方向においてはそれぞれの受光部において吸収範囲に重なりがあり、分光特性が悪いため、色分離に劣る欠点がある。また、それ以外の解決方法として、開口率を上げる手法として、アモルファスシリコンによる光電変換膜や有機光電変換膜を信号読出し用基板上に形成する構造が知られている。
【0005】
また、有機光電変換膜を用いた光電変換素子、撮像素子、光センサ、太陽電池については幾つかの公知例がある。有機光電変換膜を用いた光電変換素子では、特に光電変換効率の向上や暗電流の低減が課題とされている。その改善方法として、前者については、pn接合導入やバルクへテロ構造の導入、後者については、ブロッキング層の導入などが開示されている。
【0006】
pn接合導入、バルクへテロ構造の導入による高光電変換効率化を行おうとする場合、暗電流の増大が問題になることが多い。また、光電変換効率の改善程度も材料の組み合わせにより程度の差があり、場合によっては光信号量/暗時ノイズ比が、これらの構造の導入前に対し増大しない場合もある。これらの手段を取る場合、どの材料を組み合わせるかが重要であり、特に暗時ノイズの低減を考える場合、既に報告されている材料の組み合わせでは達成が困難であった。
【0007】
また、使用する材料の種類、膜構造は、光電変換効率(励起子解離効率、電荷輸送性)、暗電流(暗時キャリア量等)の主要因の一つであるとともに、これまでの報告ではほとんど触れられていないが、信号応答性の支配因子となる。固体撮像素子として用いる場合、高光電変換効率、低暗電流、高応答速度を全て満たす必要があるが、そのような有機光電変換材料、素子構造がどのようなものであるか、具体的に示されてこなかった。
フラーレン類を含む光電変換膜が特許文献3に記載されているが、フラーレン類のみでは、上記のような高光電変換効率、低暗電流、高応答速度をすべて満たすことは不可能であった。また、特許文献4には複数の有機半導体によるバルクヘテロ膜を用い、かつ少なくとも1つの有機半導体が結晶粒子となっている太陽電池が記載されているが、暗電流、高速応答についての開示はなく、撮像素子用光電変換素子への適用等の記載もそれを示唆する記載もない。
【0008】
また、これまでの光電変換材料は、熱を加えた際の感度低下や暗電流が上昇する場合があり、耐熱性という点においては一層の改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5965875号明細書
【特許文献2】特開2003−332551号公報
【特許文献3】特開2007−123707号公報
【特許文献4】特開2002−076391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、十分な感度と耐熱性が得られ、高速応答性を示す光電変換素子及び固体撮像素子に適した光電変換素子材料として有用な新規化合物の中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
有機光電変換素子において、高光電変換効率、低暗電流性、高速応答性を実現するためには、使用する有機光電変換膜が、以下の要件を満たす事が望まれる。
1.高効率、高速応答には、励起子が解離した後の信号電荷を速やかに、損失なく両電極まで伝達できることが必要である。キャリアをトラップするサイトが少なく、高い移動度、高い電荷輸送能が必要である。
2.高光電変換効率には、励起子の安定化エネルギーが小さく、外部から印加した電界や、pn接合等により内部に発生した電界により、速やかに励起子が解離できること(高い励起子解離効率)が望ましい。
3.暗時に内部で発生するキャリアを限りなく少なくするためには、内部の中間準位、その原因の一つである不純物が少ないような膜構造、材料を選択することが好ましい。
4.複数層を積層する場合は、隣接層とのエネルギーレベルのマッチングが必要となり、エネルギー的な障壁が形成されると、電荷輸送の妨げになる。
更に、カラーフィルタ設置、保護膜敷設、素子の半田付けなど加熱工程を有する製造プロセスへの適用や保存性の向上を考慮すると、光電変換素子用の材料、該材料を含む膜は、高い耐熱性を有する必要がある。
【0012】
蒸着法により、有機光電変換膜を形成する場合は、蒸着可能温度よりも、分解温度が大きいほど、蒸着時の熱分解が抑制できるので好ましい。塗布法は、上記分解による制限なく膜形成できる点、低コストが実現できる可能性がある点で好ましいが、均一膜形成が容易で、不純物混入の可能性を小さくできるので、蒸着法による膜形成は好ましい。
発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記必要な要件を満たし、高光電変換効率、低暗電流性、高速応答性、更に耐熱性を実現できる手段として、以下のような材料選択、組合せを見出した。
【0013】
本発明者らの検討によれば、置換基を有するトリアリールアミン部分、又はトリへテロアリールアミン部分をドナー部として有する化合物であって、そのドナー部/アクセプター部の連結部がナフチレン基である化合物が、光電変換材料として有用な新規化合物であることを見出した。
更にこの新規化合物とn型半導体(好ましくはフラーレン類)とを組み合わせて用いた場合には、ドナー部/アクセプター部の連結部がフェニレン基である場合には見られなかった高い耐熱性を維持しつつ高速応答を実現することができるとの知見が得られ、更に前記新規化合物の中間体として新規なものを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記の課題は下記の手段により達成された。
〔1〕
下記一般式(V)で表される化合物。
一般式(V)
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
21、R22は、それぞれ独立に、下記(i)〜(iii)のいずれかの基を表す。
(i)置換又は無置換のフルオレニル基又はフェナントレニル基;
(ii)置換若しくは無置換のカルバゾリル基、又は、置換若しくは無置換の、チオフェン環、フラン環、チエノチオフェン環若しくはベンゾチオフェン環を含むヘテロアリール基;
(iii)R21及びR22の少なくとも一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基。R21及びR22の一方が前記環を形成する基の場合、他方は置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基である。
ここで、前記(i)〜(iii)の基が置換基を有する場合の該置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基である。
21及びR22は互いに連結して環を形成してもよい。
21及びR22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。)
〔2〕
21及びR22が、それぞれ独立に、置換又は無置換のフェニル基であって、該フェニル基が単結合又は置換基を介してR又はRと連結し、該フェニル基とナフチレン基とを含む4環以上の縮合環を形成する[ここで、前記置換フェニル基の置換基は隣接するもの同士が互いに連結して環を形成してもよい]、〔1〕に記載の化合物。
〔3〕
21及びR22の少なくとも一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基[R21及びR22の一方が前記環を形成する基の場合、他方は置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基]である、〔1〕に記載の化合物。
〔4〕
21及びR22の一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基であり、他方が置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基である〔3〕に記載の化合物。
〔5〕
21及びR22の一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基であり、
他方が置換又は無置換のアリール基であって、該アリール基が置換基を有する場合の該置換基がアルキル基である、〔4〕に記載の化合物。
〔6〕
21及びR22が表す置換又は無置換のアリール基が、それぞれ独立に、置換又は無置換のフェニル基又はナフチル基である〔5〕に記載の化合物。
〔7〕
前記R、R、R、R、R、Rが、水素原子である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
なお、本発明は上記〔1〕〜〔7〕に係るものであるが、以下、その他の事項についても参考のために記載した。
【0014】
以下、本発明の中間体により得られる化合物、該化合物を含む光電変換材料、該材料を含む膜、光電変換素子及びその製造方法、光センサ、撮像素子及びそれらの使用方法等を挙げる。
[1]
下記一般式(I)で表される化合物。
一般式(I)
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Zは、2つの炭素原子を含む環であって、5員環、6員環、又は、5員環及び6員環の少なくともいずれかを含む縮合環を表す。L、L、Lは、それぞれ独立に無置換メチン基又は置換メチン基を表す。nは0以上の整数を表す。R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R21、R22は、それぞれ独立に、置換アリール基、無置換アリール基、置換ヘテロアリール基、又は無置換ヘテロアリール基を表す。但し、R21、R22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。)
【0017】
[2]
前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(II)で表される化合物である、上記[1]に記載の化合物。
一般式(II)
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、L、L、L、n、R、R、R、R、R、R、R21、R22は、一般式(I)と同義である。R41、R42、R43、R44はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
【0020】
[3]
前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(III)で表される化合物である、上記[1]に記載の化合物。
一般式(III)
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、L、L、L、n、R、R、R、R、R、R、R21、R22は、一般式(I)と同義である。R51、R52、R53、R54、R55、R56はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
【0023】
[4]
前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(IV)で表される化合物である、上記[1]に記載の化合物。
一般式(IV)
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、Z、L、L、L、n、R、R、R、R、R、Rは、一般式(I)と同義である。
〜R11、R12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R〜R11、R12〜R16のすべてが水素原子である場合を除く。また、R〜R11、R12〜R16のうち隣接するものが互いに結合して環を形成してもよい。更に、RとR、RとR16はそれぞれ連結してもよい。)
【0026】
[5]
前記一般式(II)において、R41〜R44が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルケニル基又はシアノ基である、上記[2]に記載の化合物。
[6]
前記一般式(III)において、R51〜R56が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルケニル基又はシアノ基である、上記[3]に記載の化合物。
[7]
前記一般式(IV)において、R〜R11、R12〜R16が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基である、上記[4]に記載の化合物。
[8]
前記一般式(I)〜(IV)において、R〜Rが、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である、上記[1]〜[7]に記載の化合物。
[9]
前記一般式(I)〜(IV)において、L、L、Lが無置換メチン基である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の化合物。
[10]
前記一般式(I)〜(IV)において、nが0である、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の化合物。
[11]
下記一般式(V)で表される化合物。
一般式(V)
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R21、R22は、それぞれ独立に、置換アリール基、無置換アリール基、置換ヘテロアリール基、又は無置換ヘテロアリール基を表す。ただし、R21、R22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。)
【0029】
[12]
上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の化合物を含む光電変換材料。
[13]
上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の化合物を含む膜。
[14]
更に、n型有機半導体を含む上記[13]に記載の膜。
[15]
前記膜が非発光性膜である上記[14]に記載の膜。
[16]
導電性膜、有機光電変換膜、及び透明導電性膜を有する光電変換素子であって、前記有機光電変換膜が上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の化合物を含む、光電変換素子。
[17]
前記有機光電変換膜が更にn型有機半導体を含む、上記[16]に記載の光電変換素子。
[18]
前記有機光電変換膜が非発光性膜である上記[17]に記載の光電変換素子。
[19]
前記n型有機半導体がフラーレン又はフラーレン誘導体である、上記[17]又は[18]に記載の光電変換素子。
[20]
前記フラーレンがC60である、上記[19]に記載の光電変換素子。
[21]
前記有機光電変換膜が、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の化合物と、前記フラーレン又はフラーレン誘導体とが混合された状態で形成されるバルクヘテロ構造を有する、上記[19]又は[20]に記載の光電変換素子。
[22]
前記有機光電変換膜における上記[1]に記載の一般式(I)で表される化合物と前記フラーレン又はフラーレン誘導体との含有比率(前記フラーレン又はフラーレン誘導体/前記一般式(I)で表される化合物×100(%))が、50%(体積比率)以上である、上記[19]〜[21]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[23]
前記光電変換素子が前記導電性膜、前記有機光電変換膜、前記透明導電性膜がこの順に積層された、上記[16]〜[22]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[24]
前記有機光電変換膜が真空蒸着法により成膜されたものである、上記[16]〜[23]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[25]
前記透明導電性膜を介して前記有機光電変換膜に光が入射される、上記[16]〜[24]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[26]
前記透明導電性膜が透明導電性金属酸化物からなる、上記[16]〜[25]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[27]
前記有機光電変換膜上に直接、透明導電性膜が形成された、上記[16]〜[26]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[28]
更に電荷ブロッキング層を含む、上記[16]〜[27]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[29]
前記一般式(I)で表される化合物の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)が、波長400nmから700nmまでの可視領域において、モル吸光係数が30000M−1cm−1以上である、上記[16]〜[28]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[30]
上記[16]〜[29]のいずれか1つに記載の光電変換素子の使用方法であって、
前記導電性膜と前記透明導電性膜が一対の電極であって、前記一対の電極間に1×10―4V/cm以上1×10V/cm以下の電場を印加させる工程を含む、光電変換素子の使用方法。
[31]
上記[16]〜[29]のいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法であって、前記一般式(I)で表される化合物及び前記フラーレン又はフラーレン誘導体を真空加熱蒸着により共蒸着する工程を含む、光電変換素子の製造方法。
[32]
上記[16]〜[29]のいずれか1つに記載の光電変換素子からなる光センサ。
[33]
上記[16]〜[29]のいずれか1つに記載の光電変換素子を含む、撮像素子。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、十分な感度と耐熱性、高速応答性を有する電変換素子及び固体撮像素子に適した光電変換素子材料として有用な新規化合物の中間体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、それぞれ光電変換素子の一構成例を示す断面模式図。
【図2】撮像素子の断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[光電変換素子]
本発明に係る光電変換素子は、導電性膜、有機光電変換膜、及び透明導電性膜を有する光電変換素子であって、有機光電変換膜が前記一般式(I)で表される化合物を含む。好ましい態様は、導電性膜、有機光電変換膜、及び透明導電性膜がこの順に積層されたものである。有機光電変換膜としては、少なくとも光電変換層を含み、この他に電荷ブロッキング層(電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層)を含んでいてもよい。
図1に、本発明の実施形態に係る光電変換素子の構成例を示す。
図1(a)に示す光電変換素子10aは、下部電極として機能する導電性膜(以下、下部電極とする)11上に、下部電極11上に形成された電子ブロッキング層16Aと、電子ブロッキング層16A上に形成された光電変換層12と、上部電極として機能する透明導電性膜(以下、上部電極とする)15がこの順に積層された構成である。
図1(b)に別の光電変換素子の構成例を示す。図1(b)に示す光電変換素子10bは、下部電極11上に、電子ブロッキング層16Aと、光電変換層12と、正孔ブロッキング層16Bと、上部電極15がこの順に積層された構成である。なお、図1(a)、図1(b)中の電子ブロッキング層、光電変換層、正孔ブロッキング層の積層順は、用途、特性に応じて逆にしても構わない。
これらのような構成では、透明導電性膜を介して有機光電変換膜に光が入射されることが好ましい。
また、これらの光電変換素子を使用する場合には電場を印加することができる。この場合、導電性膜と透明導電性膜が一対の電極とし、この一対の電極間に例えば、1×10―4V/cm以上1×10V/cm以下の電場を印加することができる。
本発明は、導電性膜と前記透明導電性膜が一対の電極であって、前記一対の電極間に1×10―4V/cm以上1×10V/cm以下の電場を印加させる工程を含む、光電変換素子の使用方法にも関する。
更に、本発明は一般式(I)で表される化合物及び後述のフラーレン又はフラーレン誘導体を真空加熱蒸着により共蒸着する工程を含む、光電変換素子の製造方法にも関する。
本実施形態に係る光電変換素子を構成する要素について説明する。
【0033】
(電極)
電極(上部電極(透明導電性膜)15と下部電極(導電性膜)11)は、導電性材料から構成される。導電性材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物などを用いることができる。
上部電極15から光が入射されるため、上部電極15は検知したい光に対し十分透明である事が必要である。具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属薄膜、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、高導電性、透明性等の点から、透明導電性金属酸化物である。透明導電性膜は有機光電変換膜上に直接形成されることが好ましい。上部電極15は光電変換層12上に成膜するため、光電変換層12の特性を劣化させることのない方法で成膜される事が好ましい。
【0034】
下部電極11は、用途に応じて、透明性を持たせる場合と、逆に透明を持たせず光を反射させるような材料を用いる場合等がある。具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、アルミ等の金属及びこれらの金属の酸化物や窒化物などの導電性化合物(一例として窒化チタン(TiN)を挙げる)、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITO又は窒化チタンとの積層物などが挙げられる。
【0035】
電極を形成する方法は特に限定されず、電極材料との適正を考慮して適宜選択することができる。具体的には、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等により形成することができる。
電極の材料がITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で形成することができる。更に、ITOを用いて作製された膜に、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。電極の材料がTiNの場合、反応性スパッタリング法をはじめとする各種の方法が用いられ、更にUV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
【0036】
上部電極15はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで上部電極15を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、上部電極15の成膜中にプラズマが発生しないか、又はプラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
【0037】
上部電極15の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置又はパルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
【0038】
プラズマ発生源から基体への距離が2cm以上であって基体へのプラズマの到達が減ずるような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられ、それらについては沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
【0039】
TCOなどの透明導電膜を上部電極15とした場合、DCショート、あるいはリーク電流増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層12に導入される微細なクラックがTCOなどの緻密な膜によってカバレッジされ、反対側の第一電極膜11との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る電極の場合、リーク電流の増大は生じにくい。上部電極15の膜厚を、光電変換層12の膜厚(すなわち、クラックの深さ)に対して制御する事により、リーク電流の増大を大きく抑制できる。上部電極15の厚みは、光電変換層12の厚みの1/5以下、好ましくは1/10以下であるようにする事が望ましい。
【0040】
通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態に係る光電変換素子を組み込んだ固体撮像素子では、シート抵抗は、好ましくは100〜10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、上部電極(透明導電性膜)15は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換層12での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、非常に好ましい。薄膜化に伴う、リーク電流の抑制、薄膜の抵抗値の増大、透過率の増加を考慮すると、上部電極15の膜厚は、5〜100nmであることが好ましく、更に好ましくは5〜20nmである事が望ましい。
【0041】
(有機光電変換膜)
有機光電変換膜は下記一般式(I)で表される化合物を含む。下記一般式(I)で表される化合物は光電変換材料として光電変換層12に含まれることが好ましい。
一般式(I)
【0042】
【化7】

【0043】
式中、Zは、2つの炭素原子を含む環であって、5員環、6員環、又は、5員環及び6員環の少なくともいずれかを含む縮合環を表す。L、L、Lは、それぞれ独立に無置換メチン基又は置換メチン基を表す。nは0以上の整数を表す。R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R21、R22は、それぞれ独立に、置換アリール基、無置換アリール基、置換ヘテロアリール基、又は無置換ヘテロアリール基を表す。ただし、R21、R22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。
【0044】
光電変換材料として上記のようにドナー部(−NR2122の部位)/アクセプター部(L〜Lを介してナフチレン基に結合している部位)の連結部をナフチレン基とした化合物をフラーレン類とともに使用することで、優れた耐熱性と高速応答性を有する光電変換素子が得られる。これは、ドナー部/アクセプター部の連結部をナフチレン基とすることで、フラーレン類との相互作用が向上し、応答速度が改善したものと考えられる。また、上記化合物は十分な感度を有する。
【0045】
一般式(I)において、L、L、Lはそれぞれ独立に、無置換メチン基、又は置換メチン基を表す。置換メチン基における置換基同士が結合して環を形成してもよい。環としては6員環(例えば、ベンゼン環等)が挙げられる。置換メチン基の置換基は後述の置換基Wが挙げられる。L、L、Lは全てが無置換メチン基である場合が好ましい。
【0046】
nは0以上の整数を表し、好ましくは0以上3以下の整数を表し、より好ましくは0である。nを増大させた場合、吸収波長域を長波長にすることができるが、熱による分解温度が低くなる。可視域に適切な吸収を有し、かつ蒸着成膜時の熱分解を抑制する点でn=0が好ましい。
【0047】
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R〜Rが置換基を表す場合、R〜Rが表す置換基としては後述の置換基Wが挙げられるが、特にハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基ヘテロ環チオ基が好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基がより好ましく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜16の複素環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基が更に好ましく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基が更に好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。アルキル基の場合分岐があってもよい。また、R〜Rが置換基である場合、さらなる置換基を有していてもよい。さらなる置換基としては後述の置換基Wが挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、5員、6員若しくは7員環又はその縮合環からなる複素環基が更に好ましく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、
〜Rの好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0048】
とR、RとR、RとR、RとR、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては、後述の環Rが挙げられる。好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピリミジン環等である。
【0049】
21、R22は、それぞれ独立に置換アリール基、無置換アリール基、置換ヘテロアリール基、又は無置換ヘテロアリール基を表す。但し、R21、R22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。
21、R22が表すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニル基、アントリル基、フルオレニル基が挙げられる。
21、R22における置換アリール基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基)、ヘテロアリール基(例えば、チエニル基、フラニル基、ピリジル基、カルバゾリル基)が好ましい。
【0050】
21、R22が表すアリール基又は置換アリール基は、好ましくは、フェニル基、置換フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオレニル基、置換フルオレニル基(好ましくは9,9’−ジアルキル−2−フルオレニル基)である。
【0051】
21、R22がヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、5員、6員又は7員の環又はその縮合環からなるヘテロアリール基が好ましい。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子挙げられる。ヘテロアリール基を構成する環の具体例としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環等が挙げられる。
縮合環としては、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、インドリン環、イソインドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、キサンテン環、アクリジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、フェノキサジン環、チアントレン環、チエノチオフェン環、インドリジン環、キノリジン環、キヌクリジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環等が挙げられる。
【0052】
21、R22における置換ヘテロアリール基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基)、ヘテロアリール基(例えば、チエニル基、フラニル基、ピリジル基、カルバゾリル基)が好ましい。
21、R22が表すヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基を構成する環としては、好ましくは、チオフェン環、置換チオフェン環、フラン環、置換フラン環、チエノチオフェン環、置換チエノチオフェン環、カルバゾリル基である。
【0053】
21、R22は、それぞれ独立に、好ましくはフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基であり、フェニル基、ナフチル基、又はフルオレニル基がより好ましい。R21、R22が置換基を有する場合の置換基として好ましくは、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基であり、より好ましくはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、又はカルバゾリル基である。
【0054】
は、2つの炭素原子を含む環であって、5員環、6員環、又は、5員環及び6員環の少なくともいずれかを含む縮合環を表す。このような環としては、通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
【0055】
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン等。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン等。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン等。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール等。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸又は2−チオバルビツル酸及びその誘導体等。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2―ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニン及びその誘導体等。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
【0056】
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド等。
(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等。
(j)2,4−チアゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノン等。(l)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(m)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(n)2−イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等。
(o)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオン等。
(p)ベンゾチオフェン−3−オン核:例えばベンゾチオフェン−3−オン、オキソベンゾチオフェン−3−オン、ジオキソベンゾチオフェン−3−オン等。
(q)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジフェニル−1−インダノン、3,3−ジメチル−1−インダノン等。
【0057】
が表す環として好ましくは、1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、インダノン核であり、より好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、インダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核、バルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核及びそれらの誘導体である。
【0058】
が表す環として好ましいものは下記の式で表される。
【0059】
【化8】

【0060】
は5ないし6員環を形成するに必要な原子群を表す。Zとしては上記Zが表す環中から選ぶことができ、好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核、バルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核及びそれらの誘導体である。*は結合位置を示す。
【0061】
アクセプター部同士の相互作用を制御することにより、n型半導体(例えばフラーレン類)と共蒸着膜とした際、高い正孔輸送性を発現させることができる。アクセプター部の構造、及び立体障害となる置換基の導入により相互作用の制御を行うことが可能である。バルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核において、2つのN位の水素を好ましくは2つとも、置換基により置換する事で好ましく分子間相互作用を制御する事が可能であり、置換基としては後述の置換基Wがあげられるが、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基である。
【0062】
が表す環が1,3−インダンジオン核の場合、下記一般式(VI)で示される基又は下記一般式(VII)で示される基である場合が好ましい。
一般式(VI)
【0063】
【化9】

【0064】
式中、R41〜R44はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。*は結合位置を示す。
一般式(VII)
【0065】
【化10】

【0066】
式中、R51、R52、R53、R54、R55、R56はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。*は結合位置を示す。
【0067】
一般式(VI)及び(VII)において、R41〜R44、R51〜R56が置換基を表す場合、R41〜R44、R51〜R56が表す置換基としては後述の置換基Wが挙げられるが、特にハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基、ヘテロ環チオ基が好ましい。
41〜R44、R51〜R56は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルケニル基、シアノ基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、5員、6員若しくは7員環又はその縮合環からなる複素環基が更に好ましく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、5員若しくは6員環又はその縮合環からなる複素環基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。R41〜R44、R51〜R56が置換基である場合、さらなる置換基を有していてもよい。さらなる置換基としては後述の置換基Wが挙げられる。
アルキル基の場合、直鎖状でも分岐状でもよい。複素環基に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、アリール基等の具体例としては後述の置換基Wのアルキル基、アルケニル基、アリール基で例示する基が挙げられる。
【0068】
また、R41〜R44、R51〜R56のうち隣接するものが互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては後述の環Rが挙げられる。形成される環として好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環等である。
【0069】
一般式(VI)において、R41〜R44が全て水素原子である場合が好ましい。また、一般式(VII)において、R51〜R56が全て水素原子である場合が好ましい。
【0070】
が上記一般式(VI)で示される基又は上記一般式(VII)で示される基である場合、前記一般式(I)で表される化合物は、それぞれ下記一般式(II)で表される化合物又は下記一般式(III)で表される化合物となる。
一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物、又は下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0071】
一般式(II)
【0072】
【化11】

【0073】
式中、L、L、L、n、R、R、R、R、R、R、R21、R22は、一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同様である。R41、R42、R43、R44は一般式(VI)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0074】
一般式(III)
【0075】
【化12】

【0076】
式中、L、L、L、n、R、R、R、R、R、R、R21、R22は、一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同様である。R51、R52、R53、R54、R55、R56は一般式(VII)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0077】
一般式(I)のZにより形成される環が2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)の場合、下記一般式(VIII)で示される基である場合が好ましい。
一般式(VIII)
【化13】

【0078】
81、R82はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R83は、酸素原子、硫黄原子又は置換基を表す。*は結合位置を示す。
前記一般式(VIII)で示される基の場合、R81、R82はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば置換基Wとして挙げたものが適用できる。R81、R82としてはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基(2−ピリジル等)が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、t−ブチル)を表す場合がより好ましい。
83は、酸素原子、硫黄原子又は置換基を表すが、R83としては酸素原子、又は硫黄原子を表す場合が好ましい。前記置換基としては結合部が窒素原子であるものと炭素原子であるものが好ましく、窒素原子の場合はアルキル基(炭素数1〜12)若しくはアリール基(炭素数6〜12)で置換されるものが好ましく、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、又はナフチルアミノ基が挙げられる。結合部が炭素原子の場合は更に少なくとも一つの電子求引性基が置換していれば良く、電子求引性基としてはカルボニル基、シアノ基、スルホキシド基、スルホニル基、又はホスホリル基が挙げられ、更に置換基を有している場合が良い。この置換基としては後記Wが挙げられる。R83としては、該炭素原子を含む5員環又は6員環を形成するものが好ましく、具体的には下記構造のものが挙げられる。
【0079】
【化14】

【0080】
【化15】

【0081】
上記の基中のPhはフェニル基を表す。
【0082】
一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(IV)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(IV)
【0083】
【化16】

【0084】
式中、Z、L、L、L、n、R、R、R、R、R、Rは、一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
〜R11、R12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R〜R11、R12〜R16のすべてが水素原子である場合を除く。また、R〜R11、R12〜R16のうち隣接するものが互いに結合して環を形成してもよい。更に、RとR、RとR16、R11とR12はそれぞれ連結してもよい。
【0085】
一般式(IV)において、R〜R11、R12〜R16、はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。但し、R〜R11、R12〜R16のすべてが水素原子となることはない。なお、RとR又はRとR16が連結する場合は、これ以外のR〜R11、R12〜R15がすべて水素原子となっていてもよい。更に、R11とR12が連結する場合は、これ以外のR〜R10、R13〜R16がすべて水素原子となっていてもよい。
〜R11、R12〜R16が置換基を表す場合、R〜R11、R12〜R16が表す置換基としては後述の置換基Wが挙げられるが、特にハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基、ヘテロ環チオ基が好ましい。
〜R11、R12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、5員、6員若しくは7員環又はその縮合環からなる複素環基が更に好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、5員若しくは6員環又はその縮合環からなる複素環基が更に好ましい。
アルキル基の場合、直鎖状でも分岐状でもよい。複素環基に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、アリール基等の具体例としては後述の置換基Wのアルキル基、アルケニル基、アリール基で例示する基が挙げられる。
【0086】
また、R〜R11、R12〜R16のうち隣接するものが互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては後述の環Rが挙げられる。形成される環として好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピリミジン環等である。
更に、RとR、RとR16はそれぞれ連結してもよい。RとR又はRとR16が連結する場合、ナフチレン基とフェニル基とを含む4環以上の縮合環となる。RとR又はRとR16との連結は、単結合でもよい。
【0087】
以下に、一般式(I)で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
【化17】

【0089】
【化18】

【0090】
【化19】

【0091】
【化20】

【0092】
【化21】

【0093】
【化22】

【0094】
【化23】

【0095】
【化24】

【0096】
【化25】

【0097】
【化26】

【0098】
【化27】

【0099】
【化28】

【0100】
以上で説明した化合物のうち、一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、文献未記載の新規化合物であり、光センサや光電池に用いる光電変換材料として特に有用である。また、他の用途として、着色材料、液晶材料、有機半導体材料、有機発光素子材料、電荷輸送材料、医薬材料、蛍光診断薬材料、等としても用いることができる。
【0101】
また、上記一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、例えば、以下の反応に従って合成することができる。
【0102】
【化29】

【0103】
上記式中、R、R、R、R、R、R、R21、R22は、前記と同義である。
なお上記合成例では、一般式(I)で表される化合物のうちZが1,3−ベンゾインダンジオン核である場合を挙げたが、Zが他の構造である場合も上記1,3−ベンゾインダンジオンを別の化合物に変更することで上記と同様に合成することができる。
【0104】
上記反応式における中間体化合物である一般式(V)で表される化合物は新規化合物である。本発明は一般式(V)で表される化合物にも関する。
一般式(V)
【0105】
【化30】

【0106】
(式中、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R21、R22は、それぞれ独立に、置換アリール基、無置換アリール基、置換ヘテロアリール基、又は無置換ヘテロアリール基を表す。ただし、R21、R22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。)
【0107】
一般式(V)において、R、R、R、R、R、R、R21、R22は、一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0108】
本発明の中間体化合物は、一般式(V)において、R、R、R、R、R、R、R21、R22が以下で表されるものである。
、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
21、R22は、それぞれ独立に、下記(i)〜(iii)のいずれかの基を表す。
(i)置換又は無置換のフルオレニル基又はフェナントレニル基;
(ii)置換若しくは無置換のカルバゾリル基、又は、置換若しくは無置換の、チオフェン環、フラン環、チエノチオフェン環若しくはベンゾチオフェン環を含むヘテロアリール基;
(iii)R21及びR22の少なくとも一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基。R21及びR22の一方が前記環を形成する基の場合、他方は置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基である。
ここで、前記(i)〜(iii)の基が置換基を有する場合の該置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基である。
21及びR22は互いに連結して環を形成してもよい。
21及びR22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。
【0109】
上記合成例における各反応は、公知の手法を利用して行うことができる。ブロモ体とアミンとの反応はブッフバルト・ハートウィッグ反応として知られている(参考文献:Org. Synth. 2004, 10, 423. Org. Synth. 2002, 78, 23.)。エステル体からアルデヒド体への還元反応は、Synthesis 2003, 822.を参考にすることができる。アルデヒド体とベンゾインダンジオンとの反応は、Ber. Deutsch. Chem. Ges., 1898, 31, 2596.を参考にすることができる。
【0110】
(分子量)
一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、成膜適性の観点から、分子量が300以上1500以下であることが好ましく、350以上1200以下であることがより好ましく、400以上900以下であることが更に好ましい。分子量が小さすぎる場合では、成膜した光電変換膜の膜厚が揮発により減少してしまい、逆に分子量が大きすぎる場合では蒸着ができず、光電変換素子を作製できない。
【0111】
(融点)
一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、蒸着安定性の観点から、融点が200℃以上であることが好ましく、220℃以上がより好ましく、240℃以上が更に好ましい。融点が低いと蒸着前に融解してしまい、安定に成膜できないことに加え、化合物の分解物が多くなるため、光電変換性能が劣化する。
【0112】
(吸収スペクトル)
一般式(I)〜(IV)で表される化合物の吸収スペクトルのピーク波長は、可視領域の光を幅広く吸収するという観点から450nm以上700nm以下であることが好ましく、480nm以上700nm以下がより好ましく、510nm以上680nm以下であることが更に好ましい。
【0113】
(ピーク波長のモル吸光係数)
一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、光を効率よく利用する観点から、モル吸光係数は高ければ高いほどよい。吸収スペクトル(クロロホルム溶液)が、波長400nmから700nmまでの可視領域において、モル吸光係数は20000M−1cm−1以上が好ましく、30000M−1cm−1以上がより好ましく、40000M−1cm−1以上が更に好ましい。
【0114】
前記有機光電変換膜は一般式(I)で表される化合物以外に更にn型有機半導体を含有することが好ましい。好ましくは、一般式(I)で表される化合物ともに光電変換層12に含まれることが好ましい。
n型有機半導体とは、アクセプター性有機半導体であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、フラーレン又はフラーレン誘導体、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5〜7員のヘテロ環化合物(例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。
【0115】
前記n型半導体はフラーレン又はフラーレン誘導体が好ましい。
フラーレンとは、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブを表し、フラーレン誘導体とはこれらに置換基が付加された化合物のことを表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、又は複素環基が好ましい。
フラーレン誘導体としては、特開2007−123707号公報に記載の化合物が好ましい。
【0116】
また、フラーレン及びフラーレン誘導体としては、日本化学会編 季刊化学総説No.43(1999)、特開平10−167994号公報、特開平11−255508号公報、特開平11−255509号公報、特開2002−241323号公報、特開2003−196881号公報等に記載の化合物を用いることもできる。
フラーレン及びフラーレン誘導体のうち、フラーレンが好ましく、特に、フラーレンC60が好ましい。
【0117】
有機光電変換膜においては、前記一般式(I)で表される化合物と、フラーレン又はフラーレン誘導体とが混合された状態で形成されるバルクヘテロ構造をなしていることが好ましい。バルクヘテロ構造は光電変換層内でp型有機半導体(一般式(I)で表される化合物)とn型有機半導体が混合、分散している膜であり、例えば共蒸着法で形成することができる。へテロ接合構造を含有させることにより、光電変換層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換層の光電変換効率を向上させることができる。なお、バルクへテロ接合構造については、特開2005−303266号公報の[0013]〜[0014]等において詳細に説明されている。
【0118】
有機光電変換膜における前記一般式(I)で表される化合物に対するフラーレン又はフラーレン誘導体の体積比率(フラーレン又はフラーレン誘導体/一般式(1)で表される化合物×100(%))は、50%以上であることが好ましく、80%以上1000%以下(体積比率)であることがより好ましく、100%以上700%以下(体積比率)であることが更に好ましい。
【0119】
(非発光性膜)
有機光電変換膜において、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物と、n型有機半導体とが混合された膜は非発光性膜であり、OLED(有機電界発光素子)とは異なる特徴を有する。非発光性膜とは発光量子効率が1%以下の膜の場合であり、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。
【0120】
有機光電変換膜は、乾式成膜法又は湿式成膜法により成膜することができる。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。好ましくは乾式成膜法であり、真空蒸着法がより好ましい。真空蒸着法により成膜する場合、真空度、蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定することができる。
【0121】
光電変換層の厚みは、10nm以上1000nm以下が好ましく、更に好ましくは50nm以上800nm以下、特に好ましくは100nm以上500nm以下である。10nm以上とすることにより、好適な暗電流抑制効果が得られ、1000nm以下とすることにより、好適な光電変換効率が得られる。
【0122】
[電荷ブロッキング層:電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層]
(電子ブロッキング層)
電子ブロッキング層には、電子供与性有機材料を用いることができる。具体的には、低分子材料では、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体などを用いることができ、高分子材料では、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体や、その誘導体を用いることができる。電子供与性化合物でなくとも、十分なホール輸送性を有する化合物であれば用いることは可能である。
具体的には特開2008−72090号公報の[0083]〜[0089]に記載の化合物が好ましい。
【0123】
(正孔ブロッキング層)
正孔ブロッキング層には、電子受容性有機材料を用いることができる。
電子受容性材料としては、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体、トリアゾール化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール化合物などを用いることができる。また、電子受容性有機材料でなくとも、十分な電子輸送性を有する材料ならば使用することは可能である。ポルフィリン系化合物や、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(4−(ジメチルアミノスチリル))−4Hピラン)等のスチリル系化合物、4Hピラン系化合物を用いることができる。具体的には特開2008−72090号公報の[0073]〜[0078]に記載の化合物が好ましい。
【0124】
電子ブロッキング層及び正孔ブロッキング層の厚みは、それぞれ、10nm以上200nm以下が好ましく、更に好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。この厚みが薄すぎると、暗電流抑制効果が低下してしまい、厚すぎると光電変換効率が低下してしまうためである。また、光電変換素子が電荷ブロッキング層を含むとき、電子ブロッキング層を含んでいることがより好ましい。
【0125】
[光センサ]
光電変換素子は光電池と光センサに大別できるが、本発明の光電変換素子は光センサに適している。光センサとしては、上記光電変換素子単独で用いたものでもよいし、前記光電変換素子を直線状に配したラインセンサや、平面上に配した2次元センサの形態とすることができる。本発明の光電変換素子は、ラインセンサでは、スキャナー等の様に光学系及び駆動部を用いて光画像情報を電気信号に変換し、2次元センサでは、撮像モジュールのように光画像情報を光学系でセンサ上に結像させ電気信号に変換することで撮像素子として機能する。
光電池は発電装置であるため、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が重要な性能となるが、暗所での電流である暗電流は機能上は問題にならない。更にカラーフィルタ設置当の後段の加熱工程が必要ない。光センサは明暗信号を高い精度で電気信号に変換することが重要な性能となるため、光量を電流に変換する効率も重要な性能であるが、暗所で信号を出力するとノイズとなるため、低い暗電流が要求される。更に後段の工程に対する耐性も重要である。
【0126】
[撮像素子]
次に、光電変換素子10aを備えた撮像素子の構成例を説明する。なお、以下に説明する構成例において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
撮像素子とは画像の光情報を電気信号に変換する素子であり、複数の光電変換素子が同一平面状でマトリクス上に配置されており、各々の光電変換素子(画素)において光信号を電気信号に変換し、その電気信号を画素ごとに逐次撮像素子外に出力できるものをいう。そのために、画素ひとつあたり、一つの光電変換素子、一つ以上のトランジスタから構成される。
図2は、本発明の一実施形態を説明するための撮像素子の概略構成を示す断面模式図である。この撮像素子は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置、電子内視鏡、携帯電話機等の撮像モジュール等に搭載して用いられる。
この撮像素子は、図1に示したような構成の複数の光電変換素子と、各光電変換素子の光電変換膜で発生した電荷に応じた信号を読み出す読み出し回路が形成された回路基板とを有し、該回路基板上方の同一面上に、複数の光電変換素子が1次元状又は二次元状に配列された構成となっている。
【0127】
図2に示す撮像素子100は、基板101と、絶縁層102と、接続電極103と、画素電極(下部電極)104と、接続部105と、接続部106と、光電変換膜107と、対向電極(上部電極)108と、緩衝層109と、封止層110と、カラーフィルタ(CF)111と、隔壁112と、遮光層113と、保護層114と、対向電極電圧供給部115と、読出し回路116とを備える。
【0128】
画素電極104は、図1に示した光電変換素子10aの電極11と同じ機能を有する。対向電極108は、図1に示した光電変換素子10aの電極15と同じ機能を有する。光電変換膜107は、図1に示した光電変換素子10aの電極11及び電極15間に設けられる層と同じ構成である。
【0129】
基板101は、ガラス基板又はSi等の半導体基板である。基板101上には絶縁層102が形成されている。絶縁層102の表面には複数の画素電極104と複数の接続電極103が形成されている。
【0130】
光電変換膜107は、複数の画素電極104の上にこれらを覆って設けられた全ての光電変換素子で共通の層である。
【0131】
対向電極108は、光電変換膜107上に設けられた、全ての光電変換素子で共通の1つの電極である。対向電極108は、光電変換膜107よりも外側に配置された接続電極103の上にまで形成されており、接続電極103と電気的に接続されている。
【0132】
接続部106は、絶縁層102に埋設されており、接続電極103と対向電極電圧供給部115とを電気的に接続するためのプラグ等である。対向電極電圧供給部115は、基板101に形成され、接続部106及び接続電極103を介して対向電極108に所定の電圧を印加する。対向電極108に印加すべき電圧が撮像素子の電源電圧よりも高い場合は、チャージポンプ等の昇圧回路によって電源電圧を昇圧して上記所定の電圧を供給する。
【0133】
読出し回路116は、複数の画素電極104の各々に対応して基板101に設けられており、対応する画素電極104で捕集された電荷に応じた信号を読出すものである。読出し回路116は、例えばCCD、CMOS回路、又はTFT回路等で構成されており、絶縁層102内に配置された図示しない遮光層によって遮光されている。読み出し回路116は、それに対応する画素電極104と接続部105を介して電気的に接続されている。
【0134】
緩衝層109は、対向電極108上に、対向電極108を覆って形成されている。封止層110は、緩衝層109上に、緩衝層109を覆って形成されている。カラーフィルタ111は、封止層110上の各画素電極104と対向する位置に形成されている。隔壁112は、カラーフィルタ111同士の間に設けられており、カラーフィルタ111の光透過効率を向上させるためのものである。
【0135】
遮光層113は、封止層110上のカラーフィルタ111及び隔壁112を設けた領域以外に形成されており、有効画素領域以外に形成された光電変換膜107に光が入射する事を防止する。保護層114は、カラーフィルタ111、隔壁112、及び遮光層113上に形成されており、撮像素子100全体を保護する。
【0136】
このように構成された撮像素子100では、光が入射すると、この光が光電変換膜107に入射し、ここで電荷が発生する。発生した電荷のうちの正孔は、画素電極104で捕集され、その量に応じた電圧信号が読み出し回路116によって撮像素子100外部に出力される。
【0137】
撮像素子100の製造方法は、次の通りである。
【0138】
対向電極電圧供給部115と読み出し回路116が形成された回路基板上に、接続部105,106、複数の接続電極103、複数の画素電極104、及び絶縁層102を形成する。複数の画素電極104は、絶縁層102の表面に例えば正方格子状に配置する。
【0139】
次に、複数の画素電極104上に、光電変換膜107を例えば真空加熱蒸着法によって形成する。次に、光電変換膜107上に例えばスパッタ法により対向電極108を真空下で形成する。次に、対向電極108上に緩衝層109、封止層110を順次、例えば真空加熱蒸着法によって形成する。次に、カラーフィルタ111、隔壁112、遮光層113を形成後、保護層114を形成して、撮像素子100を完成する。
【0140】
撮像素子100の製造方法においても、光電変換膜107に含まれる光電変換層の形成工程と封止層110の形成工程との間に、作製途中の撮像素子100を非真空下に置く工程を追加しても、複数の光電変換素子の性能劣化を防ぐことができる。この工程を追加することで、撮像素子100の性能劣化を防ぎながら、製造コストを抑えることができる。
【0141】
以下では、上述した撮像素子100の構成要素の封止層110の詳細について説明する。
[封止層]
封止層110としては次の条件が求められる。
第一に、素子の各製造工程において溶液、プラズマなどに含まれる有機の光電変換材料を劣化させる因子の浸入を阻止して光電変換層を保護することが挙げられる。
第二に、素子の製造後に、水分子などの有機の光電変換材料を劣化させる因子の浸入を阻止して、長期間の保存/使用にわたって、光電変換膜107の劣化を防止する。
第三に、封止層110を形成する際は既に形成された光電変換層を劣化させない。
第四に、入射光は封止層110を通じて光電変換膜107に到達するので、光電変換膜107で検知する波長の光に対して封止層110は透明でなくてはならない。
【0142】
封止層110は、単一材料からなる薄膜で構成することもできるが、多層構成にして各層に別々の機能を付与することで、封止層110全体の応力緩和、製造工程中の発塵等によるクラック、ピンホールなどの欠陥発生の抑制、材料開発の最適化が容易になることなどの効果が期待できる。例えば、封止層110は、水分子などの劣化因子の浸透を阻止する本来の目的を果たす層の上に、その層で達成することが難しい機能を持たせた「封止補助層」を積層した2層構成を形成することができる。3層以上の構成も可能だが、製造コストを勘案するとなるべく層数は少ない方が好ましい。
【0143】
[原子層堆積法(ALD法)による封止層110の形成]
光電変換材料は水分子などの劣化因子の存在で顕著にその性能が劣化してしまう。そのために、水分子を浸透させない緻密な金属酸化物・金属窒化物・金属窒化酸化物などセラミクスやダイヤモンド状炭素(DLC)などで光電変換膜全体を被覆して封止することが必要である。従来から、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素やそれらの積層構成、それらと有機高分子の積層構成などを封止層として、各種真空製膜技術で形成されている。もっとも、これら従来の封止層は、基板表面の構造物、基板表面の微小欠陥、基板表面に付着したパーティクルなどによる段差において、薄膜の成長が困難なので(段差が影になるので)平坦部と比べて膜厚が顕著に薄くなる。このために段差部分が劣化因子の浸透する経路になってしまう。この段差を封止層で完全に被覆するには、平坦部において1μm以上の膜厚になるように製膜して、封止層全体を厚くすることが好ましい。
【0144】
画素寸法が2μm未満、特に1μm程度の撮像素子100において、カラーフィルタ111と光電変換層との距離、すなわち封止層110の膜厚が大きいと、封止層110内で入射光が回折/発散してしまい、混色が発生する。このために、画素寸法が1μm程度の撮像素子100は、封止層110全体の膜厚を減少させても素子性能が劣化しないような封止層材料/製造方法が好ましい。
【0145】
原子層堆積(ALD)法は、CVD法の一種で、薄膜材料となる有機金属化合物分子、金属ハロゲン化物分子、金属水素化物分子の基板表面への吸着/反応と、それらに含まれる未反応基の分解を、交互に繰返して薄膜を形成する技術である。基板表面へ薄膜材料が到達する際は上記低分子の状態なので、低分子が入り込めるごくわずかな空間さえあれば薄膜が成長可能である。そのために、従来の薄膜形成法では困難であった段差部分を完全に被覆し(段差部分に成長した薄膜の厚さが平坦部分に成長した薄膜の厚さと同じ)、すなわち段差被覆性が非常に優れる。そのため、基板表面の構造物、基板表面の微小欠陥、基板表面に付着したパーティクルなどによる段差を完全に被覆できるので、そのような段差部分が光電変換材料の劣化因子の浸入経路にならない。封止層110の形成を原子層堆積法で行なった場合は従来技術よりも効果的に必要な封止層膜厚を薄くすることが可能になる。
【0146】
原子層堆積法で封止層110を形成する場合は、先述した封止層110に好ましいセラミクスに対応した材料を適宜選択できる。もっとも、本発明の光電変換膜は光電変換材料を使用するために、光電変換材料が劣化しないような、比較的に低温で薄膜成長が可能な材料に制限される。アルキルアルミニウムやハロゲン化アルミニウムを材料とした原子層堆積法によると、光電変換材料が劣化しない200℃未満で緻密な酸化アルミニウム薄膜を形成することができる。特にトリメチルアルミニウムを使用した場合は100℃程度でも酸化アルミニウム薄膜を形成でき好ましい。酸化珪素や酸化チタンも材料を適切に選択することで酸化アルミニウムと同様に200℃未満で緻密な薄膜を形成することができ好ましい。
【0147】
[置換基W]
置換基Wについて記載する。
置換基Wとしてはハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といっても良い)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基が挙げられる。
【0148】
更に好ましくは、Wは、下記の(1)〜(17)などを表す。
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状のアルキル基を表す。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1から30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
【0149】
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
【0150】
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の炭素数2から30のアルケニル基を表す(例えばビニル、アリル、スチリル)
【0151】
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2から30のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
【0152】
(5)アリール基
好ましくは、炭素数6から30のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
【0153】
(6)複素環基
好ましくは、5又は6員の、芳香族若しくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数 2から50の5若しくは6員の芳香族の複素環基である。(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
【0154】
(7)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1から30のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
【0155】
(8)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6から30のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
【0156】
(9)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1から30のアルキルアミノ基、炭素数6から30のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
【0157】
(10)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1から30のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
【0158】
(11)アリールチオ基
好ましくは、炭素数6から30のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
【0159】
(12)ヘテロ環チオ基
好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
【0160】
(13)アルキル若しくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
【0161】
(14)アルキル若しくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1から30のアルキルスルホニル基、6から30のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)
【0162】
(15)アシル基
好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30のアルキルカルボニル基、炭素数7から30のアリールカルボニル基、炭素数4から30の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)
【0163】
(16)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2から30のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
【0164】
(17)シリル基
好ましくは、炭素数3から30のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
【0165】
[環R]
環Rとしては、芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環や、これらが更に組み合わされて形成された多環縮合環が挙げられる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、及びフェナジン環が挙げられる。
【実施例】
【0166】
(実施例1)
<化合物(1)の合成>
【0167】
【化31】

【0168】
(化合物1aの合成)
脱水キシレン10mlにN−フェニル−2−ナフチルアミン(東京化成社製)4.0g、6―ブロモ―2−ナフトエ酸メチル(和光純薬社製)4.0g、酢酸パラジウム170mg、トリフェニルホスフィン590mg、炭酸セシウム9.8gを加え、3時間還流した。反応混合物を吸引ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去した後、シリカゲルカラムによって精製した(展開溶媒:トルエン)。溶媒を留去することにより、化合物(1a)を6.2g得た。
【0169】
(化合物1bの合成)
脱水トルエン30mlにSMEAH(水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム・トルエン溶液(約70%)(和光純薬社製))23.6mlを加え、内温を氷浴で0℃にした後、1−メチルピペラジン9.9mlを脱水トルエン17mlに溶かした溶液を滴下した。脱水トルエン50mlに化合物(1a)6.2gを溶かし、内温をドライアイス浴で−40℃にした後、これに、上記で調整したSMEAHトルエン溶液を滴下した。4.5時間攪拌した後、濃塩酸をpHが1になるまで加えた。これに水、酢酸エチルを加え油層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。油層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過し、エバポレーターによって溶媒を留去した。反応混合物をシリカゲルカラムによって精製し、溶媒を留去することにより、化合物(1b)を4.2g得た。
【0170】
<化合物(1b)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.15−7.28(4H,m),7.34−7.
47(6H,m),7.56−7.66(3H,m),7.78−7.87(4H,m),8.23(1H,s),10.10(1H,s)
【0171】
(化合物(1)の合成)
化合物(1b)2.0gとベンゾインダンジオン1.3gをトルエン15mlとエタノール20mlの混合溶媒に加え、2時間還流した。放冷後、吸引ろ過を行い、ろ過物を少量のクロロホルムに溶解させ、エタノールで再結晶を行った。吸引ろ過を行うことで、化合物(1)を2.2g得た。化合物の同定はH−NMRによって行った。
【0172】
<化合物(1)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.19(1H,t),7.25(2H,d),7.34−7.48(7H,m),7.58−7.73(5H,m),7.83(2H,d),7.88(1H,d),8.12(3H,m),8.52(2H,m),8.60(1H,d),9.01(1H,s)
分子量:551.63
【0173】
<融点の測定>
化合物(1)の融点を、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA 6200
AST−2を用いて測定したところ、254℃であった。
【0174】
<吸収スペクトルの測定>
化合物(1)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、島津製作所社製UV−2550を用いて測定したところ、ピーク波長は542nmであり、この波長でのモル吸光係数は54000M−1cm−1であった。
【0175】
<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
図2の形態の、光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。ここで、光電変換素子は、下部電極104、光電変換膜107、及び上部電極108からなり、光電変換膜107として光電変換層と電子ブロッキング層とを含む有機光電変換膜を形成した。
すなわち、CMOS基板上に、アモルファス性ITO 30nmをスパッタ法により成膜後、フォトリソグラフィーによりCMOS基板上のフォトダイオード(PD)の上にそれぞれ1つずつ画素が存在するようにパターニングして画素電極(下部電極)とした。その上に、下記EB−3を100nm真空加熱蒸着により成膜して電子ブロッキング層を形成し、その上に、化合物(1)とフラーレン(C60)をそれぞれ単層換算で100nm、300nmの比率となるように共蒸着した層をそれぞれ真空加熱蒸着により成膜して、化合物(1)とフラーレン(C60)とがバルクへテロ構造を形成した光電変換層を形成した。更に、上部電極としてスパッタ法によりアモルファス性ITOを10nm成膜して透明電極(上部電極)とすることにより、固体撮像素子を作製した。上部電極上には、封止層として加熱蒸着によるSiO膜形成後、その上にALD法により酸化アルミニウム層を形成した。電子ブロッキング層及び光電変換層の真空蒸着は全て4×10−4Pa以下の真空度で行った。
【0176】
(実施例2)
<化合物(2)の合成>
実施例1において、N−フェニル−2−ナフチルアミンを2,2’−ジナフチルアミン(東京化成社製)に変更すること以外は同様にして化合物(2b)及び化合物(2)を合成した。<化合物(2b)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.39(4H,dd),7.43−7.47(4H,m),7.58−7.66(5H,m),7.80−7.89(6H,m),8.24(1H,s),10.10(1H,s)
【0177】
<化合物(2)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.39−7.49(8H,m),7.60−7.74(7H,m),7.84(4H,d),7.90(1H,d),8.12(3H,m),8.53(2H,d),8.60(1H,d),9.04(1H,s)
分子量:601.69
【0178】
<融点の測定>
化合物(2)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、309℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(2)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は548nmであり、この波長でのモル吸光係数は54000M−1cm−1であった。
【0179】
<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(2)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0180】
(実施例3)
<化合物(3)の合成>
実施例1において、ベンゾインダンジオンをインダンジオンに変更すること以外は同様にして化合物(3)を合成した。<化合物(3)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.18(1H,t),7.23(1H,d),7.32−7.49(7H,d),7.57−7.68(4H,m),7.79−7.88(5H,m),8.02(3H,m),8.53(1H,d),8.92(1H,s)
分子量:501.57
<融点の測定>
化合物(3)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、253℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(3)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は514nmであり、この波長でのモル吸光係数は40000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(3)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0181】
(実施例4)
<化合物(4)の合成>
実施例2において、ベンゾインダンジオンをインダンジオンに変更すること以外は同様にして化合物(4)を合成した。<化合物(4)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.39−7.47(8H,d),7.59−7.67(5H,m),7.79−7.90(7H,m),8.03(3H,m),8.54(1H,d),8.94(1H,s)分子量:551.63<融点の測定>
化合物(4)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、261℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(4)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は517nmであり、この波長でのモル吸光係数は43000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(4)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0182】
(実施例5)
<化合物(5)の合成>
実施例3において、N−フェニル−2−ナフチルアミンをN,N−ビス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)アミン(公知の方法に従って合成した)に変更すること以外は同様にして化合物(5b)及び化合物(5)を合成した。<化合物(5b)の同定>
H NMR(CDCl)δ:1.42(12H,s),7.15−7.50(12H,m),7.58−7.70(5H,m),7.85(2H,d),8.23(1H,s),10.10(1H,s)
【0183】
<化合物(5)の同定>
H NMR(CDCl)δ:1.45(12H,s),7.18−7.49(12H,d),7.60(2H,d),7.64−7.72(3H,m),7.78−7.85(2H,m),7.87(1H,d),8.03(3H,m),8.54(1H,d),8.93(1H,s)分子量:683.83<融点の測定>
化合物(5)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、270℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(5)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は541nmであり、この波長でのモル吸光係数は40000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(5)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0184】
(実施例6)
<化合物(6)の合成>
実施例1において、N−フェニル−2−ナフチルアミンを1,2’−ジナフチルアミン(東京化成社製)に変更すること以外は同様にして化合物(6b)及び化合物(6)を合成した。<化合物(6b)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.13−7.29(3H,m),7.31−7.60(9H,m),7.76−7.85(4H,m),7.88(1H,d),7.93−7.99(2H,m),8.20(1H,s),10.07(1H,s)
【0185】
<化合物(6)の同定>
H NMR(CDCl)δ:7.23−7.63(12H,m),7.67−7.75(2H,m),7.80(2H,d),7.85(1H,d),7.90(1H,d),7.96(1H,d),7.99(1H,d),8.09−8.14(3H,m),8.51(2H,d),8.57(1H,d),9.00(1H,s)
分子量:601.69
【0186】
<融点の測定>
化合物(6)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、300℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(6)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は539nmであり、この波長でのモル吸光係数は50000M−1cm−1であった。
【0187】
<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(6)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0188】
(実施例7)
<化合物(7)の合成>
【0189】
【化32】

【0190】
(化合物7a’の合成)
脱水キシレン40mlに3,5−ジ−tert−ブチルアニリン(東京化成社製)3.0g、6―ブロモ―2−ナフトエ酸メチル(和光純薬社製)3.5g、酢酸パラジウム90mg、トリフェニルホスフィン420mg、炭酸セシウム8.7gを加え、5時間還流した。反応混合物を吸引ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去した後、シリカゲルカラムによって精製した(展開溶媒:トルエン)。溶媒を留去することにより、化合物(7a’)を2.2g得た。(化合物7aの合成)
脱水キシレン20mlに2−ブロモナフタレン(東京化成社製)1.4g、化合物(7a’)2.2g、酢酸パラジウム60mg、トリフェニルホスフィン300mg、炭酸セシウム3.7gを加え、5時間還流した。反応混合物を吸引ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去した後、シリカゲルカラムによって精製した(展開溶媒:トルエン)。溶媒を留去することにより、化合物(7a)を2.4g得た。
これ以後は、実施例1において、化合物(1a)を化合物(7a)に変更すること以外は同様にして化合物(7)を合成した。<化合物(7)の同定>
H NMR(CDCl)δ:1.27(18H,s),7.09(2H,d),7.25−7.28(1H,m),7.35−7.47(5H,m),7.59−7.63(2H,m),7.67−7.73(3H,m),7.80−7.88(3H,m),8.11(3H,m),8.51(2H,m),8.59(1H,d),9.02(1H,s)
分子量:663.84
<融点の測定>
化合物(7)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、299℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(7)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は559nmであり、この波長でのモル吸光係数は51000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(7)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0191】
(実施例8)
<化合物(8)の合成>
実施例1において、N−フェニル−2−ナフチルアミンをN−フェニル−2−ピリジルアミン(J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 6586 記載の方法で合成)に変更すること以外は同様にして化合物(8)を合成した。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(8)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0192】
(実施例9)
<化合物(9)の合成>
実施例1において、6−ブロモ−2−ナフトエ酸メチルを6−ブロモ−4−ベンジロキシ−2−ナフトエ酸エチル(Chem. Eur. J. 2008, 14, 2811記載の方法で合成)に変更すること以外は同様にして化合物(9)を合成した。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(9)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0193】
(実施例10)
<化合物(10)の合成>
実施例3において、N−フェニル−2−ナフチルアミンをp,p’−ジトリルアミン(東京化成社製)に、及び6−ブロモ−2−ナフトエ酸メチルを7−ブロモ−2−ピレンカルボン酸エチルエステル(Org. Lett. 2006, 8, 5037に記載の方法で合成)に変更すること以外は同様にして化合物(10)を合成した。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(10)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0194】
(実施例11)
<化合物(11)の合成>
実施例1において、ベンゾインダンジオン(1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン)を4,9―ジフェニル―1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオン(J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1. 1983, 2, 459に記載の方法で合成)に変更すること以外は同様にして化合物(11)を合成した。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(11)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0195】
(実施例12)
<化合物(12)の合成>
【0196】
【化33】

【0197】
(12a’’の合成)
脱水キシレン50mlに2−イソプロペニルアニリン(アルドリッチ社製)4.2g、6―ブロモ―2−ナフトエ酸メチル(和光純薬社製)8.4g、酢酸パラジウム210mg、トリフェニルホスフィン740mg、炭酸セシウム20.5gを加え、4時間還流した。反応混合物を吸引ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去した後、シリカゲルカラムによって精製した(展開溶媒:トルエン)。溶媒を留去することにより、化合物(12a’’)を7.8g得た。(12a’の合成)
酢酸50mlに化合物(12a’’)7.3g、濃塩酸10mlを加え、20分間60℃で加熱攪拌流した。反応混合物を室温に冷却した後に水200mlを加え、析出した固体を吸引ろ過することにより化合物(12a’)を6.0g得た。(12aの合成)
脱水キシレン20mlに1−ブロモナフタレン(東京化成社製)1.0g、化合物(12a’)1.0g、酢酸パラジウム150mg、トリフェニルホスフィン500mg、炭酸セシウム2.1gを加え、6時間還流した。反応混合物を吸引ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去した後、シリカゲルカラムによって精製した(展開溶媒:トルエン)。溶媒を留去することにより、化合物(12a)を1.4g得た。
これ以後は、実施例1において、化合物(1a)を化合物(12a)に変更すること以外は同様にして化合物(12)を合成した。<化合物(12)の同定>
H NMR(CDCl)δ:2.40(6H,d),5.90(1H,d),6.46(1H,d),6.79(1H,t),6.95(1H,t),7.39−7.48(2H,m),7.52−7.60(3H,m),7.67−7.80(4H,m),8.00−8.15(5H,m),8.50(2H,s),8.61(1H,d),8.75(2H,m)
分子量:591.70
<融点の測定>
化合物(12)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、350℃以上であった。<吸収スペクトルの測定>
化合物(12)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は560nmであり、この波長でのモル吸光係数は48000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(12)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0198】
(実施例13)
<化合物(13)の合成>
実施例12において、1−ブロモナフタレンを2−ブロモナフタレン(東京化成社製)に変更すること以外は同様にして化合物(13)を合成した。<化合物(13)の同定>
H NMR(CDCl)δ:2.48(6H,s),6.22(1H,d),6.56(1H,d),7.28−7.38(1H,m),7.35−7.47(2H,m),7.49(1H,t),7.59−7.72(5H,m),7.86−7.98(4H,m),8.03(1H,d),8.09(2H,m),8.19(1H,d),8.47(2H,d),8.56(1H,d),9.31(1H,s)
分子量:591.70
<融点の測定>
化合物(13)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、303℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(13)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は563nmであり、この波長でのモル吸光係数は50000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(13)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0199】
(実施例14)
<化合物(14)の合成>
実施例12において、1−ブロモナフタレンを1-ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン(東京化成社製)に変更すること以外は同様にして化合物(14)を合成した。<化合物(14)の同定>
H NMR(CDCl)δ:1.46(9H,s),2.30(6H,s),6.10(1H,d),6.55(1H,d),6.93(2H,m),7.21(2H,d),7.48(1H,d),7.54(1H,d),7.62−7.77(4H,m),8.04−8.15(3H,m),8.50(2H,s),8.56(1H,d),8.70(1H,d),8.79(1H,s)
分子量:597・74
<融点の測定>
化合物(14)の融点を、実施例1と同様に測定したところ、335℃であった。
<吸収スペクトルの測定>
化合物(14)の吸収スペクトル(クロロホルム溶液)を、実施例1と同様に測定したところ、ピーク波長は568nmであり、この波長でのモル吸光係数は53000M−1cm−1であった。<光電変換素子及び固体撮像素子の作製>
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(14)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0200】
(実施例15)
実施例6において、光電変換層における化合物(6)とフラーレン(C60)の比率をそれぞれ単層換算で200nm、200nmの比率となるように変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0201】
(実施例16)
実施例6において、光電変換層における化合物(6)とフラーレン(C60)の比率をそれぞれ単層換算で267nm、133nmの比率となるように変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0202】
(実施例17)
実施例6において、光電変換層におけるフラーレン(C60)をフラーレン(C70)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0203】
(実施例18)
実施例1において、電子ブロッキング層におけるEB−3をEB−4に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0204】
(参考例1〜4)
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、下記表に示す化合物(化合物(15)〜(18))に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0205】
(実施例19)
実施例1において、光電変換層を化合物(1)を単独で100nm成膜したこと以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0206】
(実施例20〜25)
実施例19において、光電変換層における化合物(1)を、下記表に示す化合物(化合物(2)〜(7))に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0207】
(比較例1〜2)
実施例1において、光電変換層における化合物(1)を、下記表に示す化合物(化合物(19)〜(20))に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0208】
(比較例3)
実施例18において、光電変換層における化合物(1)を、化合物(19)に変更すること以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した
【0209】
(比較例4〜5)
比較例1〜2において、光電変換層における化合物(19)〜(20)をそれぞれ単独で100nm成膜した以外は同様にして光電変換素子を含む固体撮像素子を作製した。
【0210】
以上で使用した化合物を下記に示す。
【0211】
【化34】

【0212】
【化35】

【0213】
【化36】

【0214】
【化37】

【0215】
[評価1]
実施例1〜18、参考例1〜4及び比較例1〜3の固体撮像素子の耐熱性は、固体撮像素子を、EB−3を電子ブロッキング層として用いた場合は190℃に加熱したホットプレート上で30分経時し、EB−4を電子ブロッキング層として用いた場合は200℃に加熱したホットプレート上で30分経時し、経時前後の暗電流を測定し、経時前(室温20℃)より経時後に暗電流が10倍以上上昇したものを△、暗電流が1を超え10倍未満で上昇したものを○、変化なし(1倍)又はそれ以下であったものを◎として、評価した。
実施例1〜18、参考例1〜4及び比較例1〜3における固体撮像素子中の光電変換素子を2×10V/cmの電場で印加したときの最大感度波長での外部量子効率(参考例4を100とする相対値)、相対応答速度(0から98%信号強度への立ち上がり時間(参考例4を1とする相対値))を表に示す。なお、各素子の光電変換性能の測定の際には、上部電極(透明導電性膜)側から光を入射した。
以上の評価結果を下記表1に示す。
【0216】
【表1】

【0217】
また、実施例1〜18の化合物(1)〜(14)とフラーレンとの共蒸着膜の発光量子効率を、HORIBA Jobin Yvon社製SPEX Fluorolog−3を用いて測定した。
化合物(1)〜(14)とC60又はC70との共蒸着膜の発光量子効率を測定すると、すべての場合で発光量子効率が0.1%以下の値を示し、共蒸着膜が非発光性膜であることが分かった。
【0218】
[評価2]
実施例19〜25及び比較例4〜5の固体撮像素子の耐熱性は、固体撮像素子を130℃に加熱したホットプレート上で30分経時し経時前後の暗電流を測定し、経時前(室温20℃)より経時後に暗電流が15倍以上上昇したものを×、暗電流が変化なし(1倍)から15倍未満で上昇したものを○として、評価した。
実施例19〜25及び比較例4〜5における固体撮像素子中の光電変換素子を2×10V/cmの電場で印加したときの最大感度波長での外部量子効率(実施例19を100とする相対値)、相対応答速度(0から98%信号強度への立ち上がり時間(実施例19を1とする相対値))を表に示す。なお、各素子の光電変換性能の測定の際には、上部電極(透明導電性膜)側から光を入射した。
以上の評価結果を下記表2に示す。
【0219】
【表2】

【0220】
また、表1及び表2のように、本発明の撮像素子は、置換基を有するアミノ基とメチン基を2位及び6位で連結部位としたナフチレン基で連結した化合物で、高応答速度で、高S/Nで撮像することができ、かつ耐熱性にも優れていることがわかる。
【0221】
また、光電変換素子の作製において、化合物(1)〜(14)でそれぞれ3個ずつ素子を作製した時、それぞれの化合物による光電変換素子において、すべて略同等の性能を示した。一方、化合物を(19)〜(20)に変更し同様に光電変換素子を作製すると、光電変換性能が極端に低いものができた。このことから、置換基を有するアミノ基とメチン基を2位及び6位で連結部位としたナフチレン基で連結した化合物で、歩留まりはほぼ100%に近い値を示し、生産性においても良好の結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0222】
10a,10b 光電変換素子
11 下部電極(導電性膜)
12 光電変換層(光電変換膜)
15 上部電極(透明導電性膜)
16A 電子ブロッキング層
16B 正孔ブロッキング層
100 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(V)で表される化合物。
一般式(V)
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
21、R22は、それぞれ独立に、下記(i)〜(iii)のいずれかの基を表す。
(i)置換又は無置換のフルオレニル基又はフェナントレニル基;
(ii)置換若しくは無置換のカルバゾリル基、又は、置換若しくは無置換の、チオフェン環、フラン環、チエノチオフェン環若しくはベンゾチオフェン環を含むヘテロアリール基;
(iii)R21及びR22の少なくとも一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基。R21及びR22の一方が前記環を形成する基の場合、他方は置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基である。
ここで、前記(i)〜(iii)の基が置換基を有する場合の該置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シアノ基又はヘテロ環チオ基である。
21及びR22は互いに連結して環を形成してもよい。
21及びR22の両方が無置換フェニル基となる場合を除く。)
【請求項2】
21及びR22が、それぞれ独立に、置換又は無置換のフェニル基であって、該フェニル基が単結合又は置換基を介してR又はRと連結し、該フェニル基とナフチレン基とを含む4環以上の縮合環を形成する[ここで、前記置換フェニル基の置換基は隣接するもの同士が互いに連結して環を形成してもよい]、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
21及びR22の少なくとも一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基[R21及びR22の一方が前記環を形成する基の場合、他方は置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基]である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
21及びR22の一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基であり、他方が置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
21及びR22の一方が、置換又は無置換のアリール基であって、単結合又は置換基を介してR又はRと連結して環を形成する基であり、
他方が置換又は無置換のアリール基であって、該アリール基が置換基を有する場合の該置換基がアルキル基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
21及びR22が表す置換又は無置換のアリール基が、それぞれ独立に、置換又は無置換のフェニル基又はナフチル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記R、R、R、R、R、Rが、水素原子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−213710(P2011−213710A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291377(P2010−291377)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2010−200508(P2010−200508)の分割
【原出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【特許番号】特許第4774470号(P4774470)
【特許公報発行日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】