説明

有機絶縁膜組成物およびこれを用いた有機絶縁膜のパターン形成方法および有機薄膜トランジスタおよびこれを含む表示素子

【課題】製造工程を単純化することができ、電荷移動度の高い有機薄膜トランジスタを完全ウェット工程によって製造することができる、有機絶縁膜組成物およびこれを用いた有機絶縁膜のパターン形成方法を提供する。
【解決手段】特定の構造を有するエポキシ基含有化合物又は特定の構造を有するラジカル重合可能化合物と、光によって酸又はラジカルを発生させる開始剤と、有機高分子又は無機高分子とを含む有機絶縁膜組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機絶縁膜組成物、これを用いた有機絶縁膜のパターン形成方法、および有機薄膜トランジスタ、これを含む表示素子に係り、より詳しくは、官能基を有する単量体、光によって酸またはラジカルを発生させる開始剤、および有機高分子または無機高分子を含む光−パターン形成可能な(photo−patternable)有機絶縁膜組成物およびこれを用いた有機絶縁膜のパターン形成方法、前記パターン形成された有機絶縁膜である有機薄膜トランジスタおよびこれを含む表示素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機半導体は、半導体特性を示す共役性有機高分子としてのポリアセチレンが開発された後、有機物の特性、すなわち合成方法の多様性、繊維状またはフィルム状への成形容易性、柔軟性、伝導性、低廉な生産費により新しい電気電子材料として機能性電子素子および光素子など広範囲な分野で活発な研究が行われている。
【0003】
このような伝導性高分子を用いた素子の中でも、有機物を活性層として使用する有機薄膜トランジスタに関する研究は、1980年以後から始まり、最近は全世界で多く行われつつある。前記有機薄膜トランジスタは、Si薄膜トランジスタと構造的にほぼ同一の形態であって、半導体領域にSiの代わりに有機物を使用するという差異点がある。このような有機薄膜トランジスタは、既存のシリコン工程であるプラズマを用いた化学蒸着(CVD)ではなく常圧の印刷工程が可能であり、ひいてはプラスチック基板を用いた連続工程(Roll to Roll)が可能であって低価のトランジスタを実現することができるという大きい利点がある。
【0004】
現在、有機薄膜トランジスタは、能動型ディスプレイの駆動素子、スマートカード(smart card)とインベントリータグ(inventory tag)用プラスチックチップへの活用度が予想されており、α−Si薄膜トランジスタの性能に接近している。また、前記有機薄膜トランジスタの性能は、有機活性層の結晶度、基板と有機活性層との界面の電荷特性、ソース/ドレイン電極と有機活性層との界面のキャリア注入能力などに左右される。
【0005】
現在、このような特性を改善するためにいろいろの方法が試みられている。特に、しきい値電圧を減らすために、高誘電率の誘電体、例えばBaxSr1-xTiO3(BST:Barium Strontium Titanate)を代表とし、Ta25、Y23、TiO2などの強誘電性絶縁体系列とPbZrxTi1-x3(PZT)、Bi4Ti312、BaMgF4、SrBi2(Ta1-xNbx29、Ba(Zr1-xTix)O3(BZT)、BaTiO3、SrTiO3、Bi4Ti312などの無機絶縁膜を使用している(特許文献1参照)。ところが、このような無機酸化材料の場合、既存のシリコンとの比較の際に工程の利点がない。
【0006】
有機絶縁膜としては、ポリイミド、BCB(benzocyclobutene)、フォトアクリル(Photoacryl)などが用いられているが、無機絶縁膜を代替する程度の素子特性は示していない実情である(特許文献2参照)。
【0007】
また、Infineon Technologyにおいて、ポリビニルフェノール(PVP)にポリメラミン−co−ホルムアルデヒドを混合して後続の工程で耐化学性を向上させようとする試みがあったが、PVPを架橋するためには、200℃の高温で加熱しなければならないので、プラスチック基板への適用に不適であるといえる(非特許文献1と非特許文献2参照)。
【0008】
一方、有機薄膜トランジスタを表示素子に利用するためには、電極間の連結のために有機絶縁膜のパターン形成が必要である。これと関連し、従来では有機絶縁膜のパターン形成のためにフォトリソグラフィ工程を用いたため、有機絶縁膜が次の付加的な要件を満足しなければならなかった。すなわち、有機絶縁膜がフォトレジストとの相溶性(compatibility)を持たなければならないうえ、フォトリソグラフィ工程の際に加えられる熱およびエッチングによる影響を受けないためにフォトレジストより高い耐性(thermal resistance and etch resistance)を持たなければならず、またフォトレジストストリッパー(stripper)に露出される場合に影響を受けないためにストリッパーに対する耐性(chemical resistance)を持たなければならない。
【0009】
したがって、有機絶縁膜組成物を選択する場合、必ず上記のような条件を考慮しなければならないため、有機絶縁膜組成物の選択対象が制限され、それにより不適な有機絶縁膜による電気的特性の低下をもたらし、完全湿式工程が可能な(all wet−processible)有機薄膜トランジスタの製造が難しいという問題点があった。このため、当該技術分野では、フォトレジストによらず、より簡単な工程で有機絶縁膜をパターン形成することが可能な方法が要求されてきた。
【0010】
これと関連し、非特許文献3は、基板上にコートされたレジストをモールディングによってインプリントした後、離型し、残留レジストをエッチングによって除去することによりパターンを転写する方法を開示しているが、有機薄膜トランジスタには適用できないという限界点があった。
【0011】
また、非特許文献4は、Si基板にSiO2絶縁膜をコートし、金属電極を蒸着した後、PMMA(polymethylmethacrylate)レジストをコートし、モールディングした後、エッチングすることによりソースドレイン電極をパターン形成した例を開示しているが、有機薄膜トランジスタの有機絶縁膜ではないソース/ドレイン電極をパターン形成したものに限定された。
【特許文献1】米国特許第5,946,551号明細書
【特許文献2】米国特許第6,232,157号明細書
【非特許文献1】Journal of Applied Physics 2003, 93, 2977
【非特許文献2】Journal of Applied Physics 2002, 81, 289
【非特許文献3】J.Vac.Sci.Techno.B, Vol.14, No.6, Nov/Dec 1996
【非特許文献4】Microelectronic Engineering 67−68(2003)845−852
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、従来の技術のかかる問題点を解決するためのもので、その目的とするところは、工程中に用いられる有機溶媒に耐化学性を持つうえ、有機絶縁膜をフォトレジスト工程によらず簡単にパターン形成して製造工程を単純化することにより究極的に電荷移動度の高い有機薄膜トランジスタを完全湿式工程によって製造することを可能とする有機絶縁膜組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、(1)下記化学式3で表わさ
れる群から選択される少なくとも一つのエポキシド基含有化合物、または下記化学式4で表わされる群から選択される少なくとも一つのラジカル重合可能化合物を含む官能基を持つ単量体と、(2)光によって酸またはラジカルを発生させる開始剤と、(3)有機高分
子または無機高分子とを含む、有機絶縁膜組成物が提供される。
【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

化学式中、Rは水素またはメチルである。
【0016】
また、本発明の他の観点によれば、基板上に電極を形成し、その上に前記の有機組成物をコートして露光および現像することにより、パターンを形成することを特徴とする、有機絶縁膜のパターン形成方法が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、前記パターン形成された有機絶縁膜を含む有機薄膜トランジスタが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光パターン形成可能な有機絶縁膜組成物を用いて簡単にパターニングすることができるのでフォトレジスト工程を省略することができて、工程の単純化およびコスト節減を達成しながらも、高い電荷移動度を有する有機薄膜トランジスタを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
本発明の有機絶縁膜組成物に使用される官能基を持つ単量体(functional group containing monomer)は、下記化学式5で表わされる群から選択される少なくとも一つのエポキシド基含有化合物または下記化学式6で表わされる群から選択される少なくとも一つのラジカル重合可能化合物である。
【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

化学式中、Rは水素またはメチルである。
【0021】
本発明において、化学式5で表わされるエポキシド基含有化合物としては、具体的に、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4−butanediol diglycidyl ether)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(1,4−cyclohexanedimethanol diglycidyl ether)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(bisphenol A diglycidyl ether)、グリセロールジグリシジルエーテル(glycerol diglycidyl ether)、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル(glycerol propoxylate triglycidyl ether)、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル(triphenylolmethane triglycidyl ether)、4−ビニルシクロヘキサンジオキシド(4−vinylcyclohexane dioxide)、ジシクロペンタジエンジエポキシド(dicyclopentadiene diepoxide)、ジグリシジルエーテル(diglycidyl ether)、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン(1,3−bis(3−glycidoxypropyl) tetramethyldisiloxane)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル(1,2−cyclohexanedicarboxylic acid diglycidyl ester)、1,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン(1,4−bis(glycidyloxy)benzene)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(trimethylolpropane triglycidyl ether)、3,7,14−トリス[[3−(エポキシプロポキシ)プロピール]ジメチルシリルオキシ]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7,3,3,15,11]ヘプタシロキサン(3,7,14−tris[[3−(epoxypropoxy)propyl]dimethylsilyloxy]−1,3,5,7,9,11,14−heptacyclopentyltricyclo[7,3,3,15,11]heptasiloxane)、N,N−ジグリシジルアニリン(N,N−diglycidylaniline)、9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレン(9,9−bis[4−(glycidyloxy)phenyl]fluorine)、トリグリシジルイソシアヌレート(triglycidyl isocyanurate)、ビス[4−(2,3−エポキシ−プロピルチオ)フェニル]スルフィド(bis[4−(2,3−epoxy−propylthio)phenyl]sulfide)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(resorcinol diglycidyl ether)、2,6−ジ(オキシラン−2−イルメチル)−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[3,4,F]イソインドル−1,3,5,7−テトラオン(2,6−di(oxiran−2−ylmethyl)−1,2,3,5,6,7−hexahydropyrrolo[3,4,F]isoindole−1,3,5,7−tetraone)、サントールインクXI−100(santolink XI−100)、1,2,7,8−ジエポキシオクタン(1,2,7,8−diepoxyoctane)、1−メチル−4−(1−メチルエポキシエチル)−7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン(1−methyl−4−(1−methylepoxyethyl)−7−oxabicyclo[4,1,0]heptane)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(3,4−epoxycyclohexylmethyl−3,4−epoxycyclohexylcarboxylate)、グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、グリシジルメタクリレート(glycidyl methacrylate)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)(4,4’−methylenebis(N,N−diglycidylaniline))、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(bis(3,4−epoxycyclohexylmethyl)adipate)、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(1,2−epoxy−4−vinylcyclohexane)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(2−(3,4−epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane)を例示することができる。
【0022】
また、本発明において、化学式6で表わされるラジカル重合可能化合物としては、具体的に、メチルアクリレート(methyl acrylate)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、アリルアクリレート(allyl acrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、アクリル酸(acrylic acid)、メタクリル酸(methacrylic acid)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−hydroxyethyl acrylate)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−hydroxyethyl methacrylate)、グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、ビスフェノールAジメタクリレート(bisphenol A dimethacrylte)、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(2−(dimethylamino)ethyl acrylate)、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(2−(dimethylamino)ethyl methacrylate)、エチレングリコールジアクリレート(ethylene glycol diacrylate)、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate)、n−ブチルアクリレート(n−butyl acrylate)、n−ブチルメタクリレート(n−butyl methacrylate)、ステアリルアクリレート(stearyl acrylate)、ステアリルメタクリレート(stearyl methacrylat)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6−hexanediol diacrylate)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(1,6−hexanediol dimethacrylate)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(2,2,2−trifluoroethyl acrylate)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(2,2,2−trifluoroethyl methacrylate)、2−シアノエチルアクリレート(2−cyanoethyl acrylate)、ジエチレングリコールジアクリレート(diethylene glycol diacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、2−ブロモエチルアクリレート(2−bromoethyl acrylate)、D,L−メンチルアクリレート(D,L−menthyl acrylate)、D,L−メンチルメタクリレート(D,L−menthyl methacrylate)、1H、1H−ペルフルオロオクチルアクリレート(1H,1H−perfluoroctyl acrylate)、1H,1H−ペルフルオロオクチルメタクリレート(1H,1H−perfluoroctyl methacrylate)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピールアクリレート(1,1,1,3,3,3−hexafluoroisopropyl acrylate)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(1,1,1,3,3,3−hexafluoroisopropyl methacrylate)、1,4−シクロヘキサンジメチル1,4−ジアクリレート(1,4−cyclohexanedimethyl 1,4−diacrylate)、1,4−シクロヘキサンジメチル1,4−ジメタクリレート(1,4−cyclohexanedimethyl 1,4−dimethacrylate)、バリウムメタクリレート(barium methacrylate)、亜鉛メタクリレート(zinc methacrylate)、メタリルメタクリレート(methallyl methacrylate)、シンナミルアクリレート(cinnamyl acrylate)、シンナミルメタクリレート(cinnamyl methacrylate)、アクリルオキシトリ−N−ブチルチン(acryloxy tri−N−butyltin)、メタクリルオキシプロピルメチルジクロロシラン(methacryloxypropylmethyl dichlorosilane)、トリメチルシリルアクリレート(trimethylsilyl acrylate)、トリメチルシリルメタクリレート(trimethylsilyl methacrylate)、2−(メタクリルオキシル)エチルアセトアセテート(2−(methacryloxyl)ethyl acetoacetate)、1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン(1,3−bis(3−methacryloxypropyl)tetramethyldisiloxane)、3−メタクリルプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン(3−methacrylpropyltris(vinyldimethysiloxy)silane)、ビニルアクリレート(vinyl acrylate)、ビニルアセテート(vinyl acetate)、ビニルクロロホルメート(vinyl chloroformate)、ビニルトリフルオロアセテート(vinyl trifluoroacetate)、2−クロロエチルビニルエーテル(2−chloroethyl vinyl ether)、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル(1,6−hesanediol divinyl ether)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(di(ethylene glycol)vinyl ether)、2−エチルヘキサン酸ビニルエステル(2−ethylhexanoic acid vinyl ester)、スチレン(styrene)、α−メチルスチレン(α−methyl styrene)、4−ブロモスチレン(4−bromostyren)、4−アセトキシスチレン(4−acetoxystyrene)、4−メトキシスチレン(4−methoxystyrene)、2−ビニルナフタレン(2−vinylnaphthalene)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(2,3,4,5,6−pentafluorostyrne)、3,4−ジメトキシ−1−ビニルベンゼン(3,4−dimethoxy−1−vinylbenzene)、4−ビニルビフェニル(4−vinylbiphenyl)、N−ビニル−2−ピロリドン(N−vinyl−2−pyrrolidone)、またはN−ビニルカルバゾール(N−vinylcarbazole)を例示することができる。
【0023】
本発明は、前記官能基を持つ単量体に、光によって酸またはラジカルを発生させる開始剤を混合させて熱処理とUV照射によって環の開環を誘導し、あるいは重合を開始して架橋構造を形成することを特徴とする。
【0024】
本発明において、酸を発生させる開始剤としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、ジフェニル−p−トリルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、トリス(p−トリル)スルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、トリス(p−クロロベンゼン)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−トリル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルトリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルトリルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1−ナフタンレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ナフタンレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2,5−ジクロロベンゼンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウム1,3,4−トリクロロベンゼンスルホネート、ジメチルトリルスルホニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウム2,5−ジクロロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−トリフルオロメチルプロパン−2−スルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム(7,7−ジメチル−6−オキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)−メタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネートなどの通常のスルホニウム塩系、ヨードニウム塩系物質などのイオン性光酸発生剤と、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、p−ニトロベンジル9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、ノルボルネンイミドスルホネート、シクロヘキシルトシレート、ジアゾビスメタンスルホニルベンゼン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンなどの請求項2記載のニトロベンジルスルホネート類、イミドスルホネート類、アゾナフトキノン類物質、例えば、ニトロベンジルスルホネート誘導体、イミドスルホネート誘導体、アゾナフトキノン誘導体などの非イオン性光酸発生剤を使用することができ、主鎖または側鎖にスルホニウム塩またはヨードニウム塩を有し、あるいは側鎖に有機光酸発生基を有する重量平均分子量500〜100,000の高分子型の光酸発生剤を使用することができる。
【0025】
本発明において、ラジカルを発生させる開始剤は、通常の有機ペルオキシド類(Orgnic peroxide)、アゾ類(Azo)などを使用することができ、その具体的な例としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、アセチルシクロヘキサンスルホニウムペルオキシド、イソブチロイルペルオキシド、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカルボキシレート、ジイソプロピルペルオキシジカルボキシレート、t−ブチルペルオキシピバレート、デカノイルペルオキシド、アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)などを使用することができる。
【0026】
本発明において、ラジカルを発生させる開始剤の別の例としては、アルファヒドロキシルケトン類、アルファアミノケノン類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインエンプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエンブチルエーテル、ベンゾフェノン、パラメチルベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、フェニルジスルフィド、または2−ニトロフルオレンなどを使用することができ、この場合、3級アミン類、アルキルホスフィン類、およびチオエーテル類などの光増減剤をさらに使用することができる。
【0027】
本発明の有機絶縁膜組成物において、前記開始剤の添加量は、特に制限されるものではないが、前記官能基を持つ単量体と前記開始剤との重量比が100:0.1〜10であることをが好ましい。開始剤の前記官能基を持つ単量体に対する重量比が10を超過して使用される場合、架橋混合物がゲル化(gelation)するおそれがあり、開始剤の前記官能基を持つ単量体に対する重量比が0.1未満である場合、架橋度が低下して薄膜の溶媒に対する劣化が発生するおそれがある。
【0028】
本発明の組成物に使用される有機高分子または無機高分子は、分子量1,000〜1,000,000の高分子であって、ポリビニルフェノールまたはポリビニルフェノール誘導体、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリルまたはポリアクリル誘導体、ポリノルボルネンまたはポリノルボルネン誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリシロキサン誘導体、セルロース誘導体またはこれらを含む共重合体よりなる群から選択され、好ましくは主鎖または側鎖の各末端にヒドロキシル基またはカルボキシル基などの極性基を含むことができる。
【0029】
また、本発明の有機高分子または無機高分子は、さらに、一部の酸に不安定な保護基(acid−labile protecting group)で保護され、前記開始剤による保護基の脱離からヒドロキシル基またはカルボキシル基などの極性変換を行うことができる。酸に不安定な保護基は、t−ブチル基、イソボニル基、メンチル基、2−メチル−2−アダマンタニル基、2−エチル−2−アダマンタニル基、テトラシクロデカニル基、テトラヒドロピラノイル基、3−オキソシクロヘキサノイル基、メバロニックラクトニル基、ジシクロプロピルメチル基、メチルシクロプロピルメチル基、メチルエチルエーテル基を例として挙げることができる。
【0030】
本発明の有機絶縁膜組成物において、前記有機高分子または無機高分子の添加量は、特に制限されるものではないが、前記官能基を持つ単量体と前記有機高分子または無機高分子との重量比が100:1〜10,000であることをが好ましい。有機高分子または無機高分子の前記官能基を持つ単量体に対する重量比が10,000を超過して使用される場合、架橋度の減少と共に電気的特性が低下するおそれがあり、有機高分子または無機高分子の前記官能基を持つ単量体に対する重量比が1未満である場合、薄膜の形成が難しくて有効な電気的特性が得られないという問題点が生ずるおそれがある。
【0031】
本発明において、有機絶縁膜は、前記有機絶縁膜組成物を、ゲート電極の形成された基板上にコートしあるいはソース/ドレイン電極の形成された有機活性層上にコートして製造する。この際、使用されるコーティング法としては、スピンコーティング、スピンキャスティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティングまたはインクジェットプリンティングなどの方法を例として挙げることができる。
【0032】
また、コーティング後、十分な薄膜の厚さを提供するために、さらに、前記有機絶縁膜組成物を溶解させる溶媒を全体組成物に対し1〜80%の範囲内で使用することができる。この際、使用される有機溶媒は、シクロヘキサノン、クロロホルム、クロロベンゼン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4−ヘプタノン、メタノール、ブタノール、アセトン、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリフェニルイミダゾール、メシチレン、テトラリン、デカリンなどを例として挙げることができる。
【0033】
本発明の他の様相は、前記本発明の有機絶縁膜組成物を用いてパターン形成する方法に関するものである。
【0034】
図1は従来の一般的なフォトリソグラフィ法による有機絶縁膜パターン形成段階を説明するフローチャート図である。
図2は従来の一般的なフォトリソグラフィ法による有機絶縁膜パターン形成段階を説明する工程概略図である。
図1、図2を使ってこの工程を段階的に説明すると、まず、洗浄された基板上に電極を形成し(S1、(a))、その上に有機絶縁膜をコートする(S2、(b))。次に、有機絶縁膜上にフォトレジストをコートし(S3、(c))、フォトマスクを用いた露光工程によって(S4、(d))、パターンが形成されるべき領域を露出させる現像(develop)工程を行う(S5、(e))。パターン形成されたフォトレジストをシャドーマスクとして下部膜の有機絶縁膜をドライエッチングまたはウェットエッチング(S6、(f))した後、フォトレジストストリッパーによってフォトレジストを除去することにより(S7、(g))、最終的に有機絶縁膜のパターン形成を完了する。
【0035】
本発明は、かかる従来の一般的なフォトリソグラフィ工程を使用する代わりに、本発明の光パターン形成可能な有機絶縁膜組成物を用いて露光および現像によって簡単にパターン形成することを特徴とする。
【0036】
図3は本発明の方法によって有機絶縁膜パターン形成工程を説明するフローチャート図である。
図4は本発明の方法によって有機絶縁膜パターン形成工程を説明する工程概略図である。
図3、図4を使って説明すると、すなわち、本発明は、1)基板上に電極を形成する段
階(S11、(h))と、2)その上に本発明の有機絶縁膜組成物を用いて有機絶縁膜を
コートする段階(S12、(i))と、3)所望のパターンのフォトマスクを用いて露光
(S13、(j))した後、有機現像液で現像させてパターン形成する段階(S14、(k))とを含む。
【0037】
次に、図3、図4を使ってこの工程を段階的に説明する。
第(1)段階:電極形成段階
通常の方法によって基板を洗浄して不純物を除去し、蒸着(deposition)、パターニング(patterning)またはプリンティング(printing)によって電極を形成する(S11、(h))。
【0038】
第(2)段階:有機絶縁膜のコーティング段階
基板上に電極が形成されると、本発明の有機絶縁膜組成物を用いて有機絶縁膜をコートする(S12、(i))。前記組成物は、適切な溶媒に溶かして2000Å〜20000Åの厚さにコートし、80℃〜150℃で10秒〜30分、好ましくは100℃で5分間ソフトベーキングを行う。
【0039】
第(3)段階:パターン形成段階
有機絶縁膜がコートされると、所望の形状のフォトマスクを用いてUV光に露光させ(S13、(j))、前記露光したフィルムを有機現像液で現像することにより(S14、(k))、前記フィルムの非露光部を除去してパターンを形成する。
【0040】
具体的に、前記所望露光工程は、UV露光器を用いて1〜400mJ/cm2の露光量でコートされた有機絶縁膜の表面に照射する。その後、80℃〜150℃で1分〜120分間ハードベーキングを行う。
【0041】
ハードベーキングが完了すると、有機現像液で非露光部を除去するが、前記有機現像液は、本発明の目的を阻害しない限り特に制限されず、当該技術分野で通常用いられる任意の現像液を使用することができるが、DMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メチル−2−ピロリジノン、2−メトロキシエタノールまたはこれらの混合溶液を使用することがパターンの皮膜安定性と均一性の側面で好ましい。
【0042】
前記のような方法によってパターン形成された有機絶縁膜が収得されると、通常の方法によって有機半導体層と電極を形成することにより、有機薄膜トランジスタを製造することができる。
【0043】
図5は本発明の一実施例によって製造された有機薄膜トランジスタの断面概略図である。
図5を参照すると、基板1上にゲート電極4を形成し、前記ゲート電極4上に、光パターン形成可能な本発明の有機絶縁膜2を積層した後、その上にソース/ドレイン電極5、6を形成し、前記ソース/ドレイン電極5、6の上に有機半導体層3を形成する。本発明によって製造された有機薄膜トランジスタは、必ずしも前記の構造に限定されるのではなく、例えばゲート電極4、有機絶縁膜2、有機半導体層3およびソース/ドレイン電極5、6の上下位置がお互い変わることもできる。
【0044】
本発明の有機薄膜トランジスタが形成される基板1は、ガラス、シリコン、プラスチックなどからなるものを使用することができるが、これに限定されない。
【0045】
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層3として用いられる物質としては、ペンタセン、銅フタロシアニン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンまたはこれらの誘導体を例示することができるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極およびソース/ドレイン電極4、5、6の素材としては、通常用いられる金属または伝導性高分子を使用することができ、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物(ITO)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリフェニレンビニレン(polyphenylene vinylene)またはPEDOT(Polyethylenedioxythiophene)/PSS(Polystyrenesulfonat)などを例示することができるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の方法によって製造される有機薄膜トランジスタは、電界発光素子や液晶素子、電子インク素子などのディスプレイ素子の製造に利用できる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を説明するためのもので、制限するものではない。
製造例1:官能基としてエポキシド基含有単量体を用いた有機絶縁膜組成物の製造
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(Aldrich社)2.0g、トリフェニルスルホニウムトリフラート(Aldrich社)0.02g、ベンゾイルペルオキシド(Aldrich社)0.02g、およびポリビニルフェノール(Aldrich社、重量平均分子量8,000)2.0gをシクロヘキサノン18mLに溶解させて有機絶縁膜組成物を製造した。
【0049】
製造例2:官能基としてラジカル重合可能単量体を用いた有機絶縁膜組成物の製造
トリメチロールプロパントリメタクリレート(Aldrich社)1.0g、トリフェニルスルホニウムトリフラート(Aldrich社)0.01g、ベンゾイルペルオキシド(Aldrich社)0.01g、およびポリビニルフェノール(Aldrich社、重量平均分子量8,000)3.0gをシクロヘキサノン27mLに溶解させて有機絶縁膜組成物を製造した。
【0050】
比較製造例:官能基を持つ単量体と開始剤を使用していない有機絶縁膜組成物の製造
ある官能基を持つ単量体と開始剤を含んでいないまま、ポリビニルフェノール(Aldrich社、重量平均分子量8,000)3.0gのみをシクロヘキサノン27mLに溶解させて有機絶縁膜組成物を製造した。
【0051】
実施例1:
(1)有機絶縁膜のパターン形成
ガラス基板1上に、前記製造例1で収得した有機絶縁膜組成物をスピンコーティング法を用いて2000rpmで8000Åの厚さにコートした後、100℃で5分間ソフトベーキングを行った。次に、所望の形状のフォトマスクを介してUV露光器で照射(100mJ/cm2)し、100℃で10分間ハードベーキングを行った。その後、1−メチル−2−ピロリジノンを有機現像液として用いて非露光部を除去することにより、図6に示すように、有機絶縁膜2をパターン形成した。
【0052】
(2)有機薄膜トランジスタの製作
ガラス基板1にモリブデン(Mo)を用いて厚さ800Åのゲート電極4を形成し、その上に前記実施例1のパターン形成方法で駆動回路連結のための電極上の有機絶縁膜2をパターン形成した。
【0053】
その上にチャネル長さ100μm、チャネル幅1mmのシャドーマスクを用いて真空蒸着法によって厚さ500Åのソース/ドレインAu電極を形成した後、OMBD(Organic molecular beam deposition)方式で700Åの厚さにペンタセンの有機半導体層3を形成させて有機薄膜トランジスタを製作した。
【0054】
実施例2:
(1)有機絶縁膜のパターン形成
製造例2の有機絶縁膜組成物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で有機絶縁膜2をパターン形成した。
【0055】
(2)有機薄膜トランジスタの製作
前記実施例2のパターン形成方法を使用した以外は、実施例1と同様の方法で有機薄膜トランジスタを製作した。
【0056】
比較例:
(1)有機絶縁膜のパターン形成
比較製造例の有機絶縁膜組成物を用いて前記実施例1と同一のパターン形成方法でパターン形成工程を行ったが、有機現像液に非選択的に有機絶縁膜2が現像されて結局パターンが形成されなかった。
【0057】
(2)有機薄膜トランジスタの製作
駆動回路連結のための電極上の有機絶縁膜パターン形成のために通常のフォトリソグラフィ工程によるパターン形成方法を使用した以外は、実施例1と同一の方法で有機薄膜トランジスタを製作した。
【0058】
前記実施例1、実施例2および比較例で製造された素子を使用してKEITHLEY Semiconductor Analyzer(4200−SCS)を用いて電流伝達特性を評価した後、前記実施例1および前記実施例2で製造された素子の電流伝達特性の曲線を図7に示し、これによる電気的特性を下記の方法によって測定して表1に示した。ところが、比較実施例で製造された素子は、有機絶縁膜2が、フォトリソグラフィ工程に使用される溶媒に溶解されて正常的な電流伝達特性極性が得られなかった。
【0059】
電荷移動度は、前記電流伝達曲線を用いて下記の飽和領域(saturation region)の電流式である式(1)から(ISO)1/2とVGを変数としたグラフを得るが、得られたグラフの傾きから求めた。
【0060】
【数1】

【0061】
数式(1)中、ISDはソース/ドレイン電流、μまたはμFETは電荷移動度、C0は酸化膜静電容量、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、VGはゲート電圧、VTはしきい値電圧をそれぞれ示す。
【0062】
遮断漏洩電流Ioffは、オフ状態の際に流れる電流であって、電流比においてオフ状態の最小電流から求めた。
【0063】
電流点滅比Ion/Ioffは、オン状態の最大電流値とオフ状態の最小電流値との比から求めた。
【0064】
【表1】

【0065】
前記表1の結果から分かるように、本発明の有機絶縁膜組成物を用いて製造される有機薄膜トランジスタは、低い遮断漏洩電流を保つと同時に、高い電荷移動度と電流点滅比を得ることができる。
【0066】
以上、具体的な実施例によって本発明を詳細に説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で本発明の属する技術分野の当業者によって多くの変形が可能なのは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】従来の技術に係る駆動回路連結のための電極上の有機絶縁膜パターン形成段階を説明するフローチャート図である。
【図2】従来の技術に係る駆動回路連結のための電極上の有機絶縁膜パターン形成段階を説明する工程概略図である。
【図3】本発明の一実施例に係る駆動回路連結のための電極上の有機絶縁膜パターン形成段階を説明するフローチャート図である。
【図4】本発明の一実施例に係る駆動回路連結のための電極上の有機絶縁膜パターン形成段階を説明する工程概略図である。
【図5】本発明の一実施例で収得された有機薄膜トランジスタの単位素子の断面概略図である。
【図6】本発明の一実施例で収得された有機絶縁膜パターンの電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例1および実施例2によって製造された有機薄膜トランジスタの電流伝達特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0068】
1 基板
2 有機絶縁膜
3 有機半導体層
4 ゲート電極
5 ソース電極
6 ドレイン電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表わされる群から選択される少なくとも一つのエポキシド基含有化合物または下記化学式2で表わされる群から選択される少なくとも一つのラジカル重合可能化合物を含む官能基を持つ単量体と、
光によって酸またはラジカルを発生させる開始剤と、
有機高分子または無機高分子と、
を含むことを特徴とする有機絶縁膜組成物。
【化1】

【化2】

ここで、Rは水素またはメチルである。
【請求項2】
前記酸を発生させる開始剤が、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系物質などのイオン性光酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート類、イミドスルホネート類、アゾナフトキノン類物質などの非イオン性光酸発生剤、および主鎖または側鎖にスルホニウム塩またはヨードニウム塩を有しあるいは側鎖に有機光酸発生基を有する重量平均分子量500〜100,000の高分子型の光酸発生剤よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項3】
前記ラジカルを発生させる開始剤が、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、イソブチロイルペルオキシド、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカルボキシレート、ジイソプロピルペルオキシジカルボキシレート、t−ブチルペルオキシピバレート、デカノイルペルオキシド、アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)である有機ペルオキシド類、アゾ類、アルファヒドロキシルケトン類、アルファアミノケノン類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインエンプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエンブチルエーテル、ベンゾフェノン、パラメチルベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、フェニルジスルフィドまたは2−ニトロフルオレンであることを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項4】
前記有機高分子または無機高分子が、分子量1000〜1,000,000の高分子であって、ポリビニルフェノールまたはポリビニルフェノール誘導体、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリルまたはポリアクリル誘導体、ポリノルボルネンまたはポリノルボルネン誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリシロキサン誘導体、セルロース誘導体またはこれらを含む共重合体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項5】
前記有機高分子または無機高分子が、主鎖または側鎖の各末端にヒドロキシル基またはカルボキシル基などの極性基を含むことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項6】
前記有機高分子または無機高分子が、t−ブチル基、イソボニル基、メンチル基、2−メチル−2−アダマンタニル基、2−エチル−2−アダマンタニル基、テトラシクロデカニル基、テトラヒドロピラノイル基、3−オキソシクロヘキサノイル基、メバロニックラクトニル基、ジシクロプロピルメチル基、メチルシクロプロピルメチル基、メチルエチルエーテル基よりなる群から選択される酸に不安定な保護基で保護されることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項7】
前記単量体と前記開始剤と前記有機高分子または無機高分子との重量比が100:0.1〜10:1〜10,000であることを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項8】
1〜80%のシクロヘキサノン、クロロホルム、クロロベンゼン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4−ヘプタノン、メタノール、ブタノール、アセトン、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリフェニルイミダゾール、メシチレン、テトラリン、デカリン等よりなる群から選択される溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜組成物。
【請求項9】
基板上に電極を形成する電極形成工程と、
前記電極上に請求項1から請求項8の何れか1項に記載の有機絶縁膜組成物をコートする有機絶縁膜のコーティング工程と、
所望のパターンのフォトマスクを介して露光する露光工程と、
有機現像液で現像してパターンを形成するパターン形成工程と、
を含むことを特徴とする有機絶縁膜のパターン形成方法。
【請求項10】
前記有機絶縁膜のコーティング工程が、スピンコーティング、スピンキャスティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティングまたはインクジェットプリンティングであることを特徴とする請求項9に記載の有機絶縁膜のパターン形成方法。
【請求項11】
前記露光工程は、UV露光器を用いて1〜400mJ/cm2の露光量でコートされた有機絶縁膜の表面に照射し、80℃〜150℃で1分〜120分間ハードベーキングすることを特徴とする請求項9に記載の有機絶縁膜のパターン形成方法。
【請求項12】
請求項9の方法によってパターン形成された有機絶縁膜。
【請求項13】
基板、ゲート電極、有機絶縁膜、有機半導体層およびソース/ドレイン電極を含む有機薄膜トランジスタにおいて、
前記有機絶縁膜が請求項9の方法によってパターン形成された有機絶縁膜であることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記有機半導体層が、ペンタセン、銅フタロシアニン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンまたはこれらの誘導体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物(ITO)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリフェニレンビニレン(polyphenylene vinylene)またはPEDOT(Polyethylenedioxythiophene)/PSS(Polystyrenesulfonat)であることを特徴とする請求項13に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記基板が、ガラス、シリコンまたはプラスチックであることを特徴とする請求項13に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項17】
請求項13の有機薄膜トランジスタを含む表示素子。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−28497(P2006−28497A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179808(P2005−179808)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】