極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体の制御方法
【課題】本発明のEUV光源装置は、高い熱負荷状態において、可飽和吸収体を安定して連続的に使用することができる。
【解決手段】可飽和吸収体(SA)装置33は、自励発振光や寄生発振光あるいは戻り光のような微弱な光を吸収するために、レーザビームライン中に設けられる。SAガスボンベ334(1)からのSAガスとバッファガスボンベ334(2)からのバッファガスとは混合されて、混合ガスとなる。混合ガスは、供給管路333(1)を介して、SAガスセル330に供給され、レーザ光L1に含まれる微弱光を吸収する。混合ガスは、排出管路333(2)を介して排出され、熱交換器332に送られる。熱交換器332で冷却された混合ガスは、循環ポンプ331(1)により、再びSAガスセル330に送られる。
【解決手段】可飽和吸収体(SA)装置33は、自励発振光や寄生発振光あるいは戻り光のような微弱な光を吸収するために、レーザビームライン中に設けられる。SAガスボンベ334(1)からのSAガスとバッファガスボンベ334(2)からのバッファガスとは混合されて、混合ガスとなる。混合ガスは、供給管路333(1)を介して、SAガスセル330に供給され、レーザ光L1に含まれる微弱光を吸収する。混合ガスは、排出管路333(2)を介して排出され、熱交換器332に送られる。熱交換器332で冷却された混合ガスは、循環ポンプ331(1)により、再びSAガスセル330に送られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置用レーザ光源装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レジストを塗布したウェハ上に、回路パターンの描かれたマスクを縮小投影し、エッチングや薄膜形成等の処理を繰り返すことにより、半導体チップが生成される。半導体プロセスの微細化に伴い、より短い波長の光が求められている。
【0003】
そこで、13.5nmという極端に波長の短い光と縮小光学系とを使用する、半導体露光技術が研究されている。この技術は、EUVL(Extreme Ultra Violet Lithography:極端紫外線露光)と呼ばれる。以下、極端紫外光をEUV光と呼ぶ。
【0004】
EUV光源としては、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)式の光源と、DPP(Discharge Produced Plasma)式の光源と、SR(Synchrotron Radiation)式の光源との三種類が知られている。
【0005】
LPP式光源とは、ターゲット物質にレーザ光(レーザビーム)を照射してプラズマを生成し、このプラズマから放射されるEUV光を利用する光源である。DPP式光源とは、放電によって生成されるプラズマを利用する光源である。SR式光源とは、軌道放射光を使用する光源である。以上三種類の光源のうち、LPP式光源は、他の方式に比べてプラズマ密度を高くすることができ、かつ、捕集立体角を大きくできるため、高出力のEUV光を得られる可能性が高い。
【0006】
そこで、高出力のドライバレーザ光を高い繰り返し周波数で得るために、MOPA(master oscillator power amplifier)方式に従って構成されるレーザ光源装置が提案されている(特許文献1)。
【0007】
LPP式光源では、チャンバ内のターゲット物質に反射されて光路を戻ってくるレーザ光(いわゆる戻り光)や、アンプにおける寄生発振光及び自励発振光を吸収させるべく、可飽和吸収体を使用することができる。
【0008】
可飽和吸収体は、所定値以下の強度のレーザ光を吸収する性質を有する。可飽和吸収体を用いることにより、アンプやレーザ発振器の破損を防止でき、かつ、ペデスタルと呼ばれる小さなパルスを除去してレーザ光の品質を高めることができる。なお、極端紫外光源装置に関する従来技術ではないが、可飽和吸収体に関する技術は知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−128157号公報
【特許文献2】米国特許第3638137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
極端紫外光源装置では、炭酸ガスレーザ(以下、CO2レーザ)を、高出力(パルスエネルギ100〜200mJ)、かつ、高い繰り返し周波数(10〜200kHz)で使用する。極端紫外光源装置には、安定したパルスエネルギ及びパルス波形を有するレーザ光を長時間供給できる能力が求められる。
【0011】
そのような高負荷状態(高い繰り返し周波数及び高いパルスエネルギが要求される状態)においてCO2パルスレーザを安定して長時間使用するためには、寄生発振や自励発振、戻り光による発振を抑制する必要がある。そこで、可飽和吸収体をレーザ光の光路上に可飽和吸収体を配置することにより、寄生発振や自励発振等を防止して、パルスエネルギ及びパルス波形を安定化させる方法が考えられる。
【0012】
しかし、従来技術(US3,638,137)には、そもそも、高出力のCO2パルスレーザを長時間安定して使用するために可飽和吸収体を使用するという目的が存在しない。従って、その従来技術では、CO2レーザの共振器内にガスセルを設けて、そのガスセルにSF6(六フッ化硫黄)のボンベとC2F3のボンベとを接続し、SF6とC2F3との混合ガス(可飽和吸収体ガス)をガスセルに供給する。ガスセルに流入する混合ガスは、所定値以下のレーザ光を吸収して発熱し、ガスセルから排出される。
【0013】
従来技術では、各ボンベのガスが尽きるまでの間、ガスセルに混合ガスを供給して、寄生発振や自励発振、あるいは戻り光による発振を防止できる。しかし、ガスボンベに貯蔵可能なガスの量は有限であり、かつ、いったん使用された混合ガスは廃棄されるため、いずれは各ガスボンベ内のガスを使い切ってしまうことになる。各ガスボンベが空になり、ガスセルに混合ガスを供給できなくなると、ガスセルは期待されている機能を正常に果たすことができなくなる。
【0014】
これに対し、ガスセルに混合ガスを封じ込めたり、ガスセルに供給する混合ガスの流量を少なくすることも考えられる。しかし、これらの場合は、レーザ光の通過によりガスセル内の混合ガスの温度が上昇して、混合ガスが分解してしまい、可飽和吸収体としての役割を果たすことができなくなる。このように従来技術では、可飽和吸収体ガスセルを長時間安定に作動させることができないという問題がある。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、可飽和吸収体セルを長時間安定に動作させることのできる極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体の制御方法を提供することにある。本発明の他の目的は、可飽和吸収体セルを長時間安定して使用することができ、さらに、可飽和吸収体セルを通過するレーザ光の波面を軸対称にして、レーザ光の方向と波面の形状とを所定の方向及び所定の波面の形状に補正することができる、極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体を制御または安定化させる装置及び方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、後述する実施形態の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1観点に係る極端紫外光源装置は、極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、レーザ発振器から出力されるレーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、増幅器により増幅されるレーザ光をチャンバ内の所定位置に集光させることにより、レーザ光をターゲット物質に照射させる集光光学系と、レーザ発振器と所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備える。可飽和吸収体装置は、レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、各ウインドウ間に形成され、可飽和吸収体の流通する流通空間と、流通空間に可飽和吸収体を流入させるための流入口と、流通空間から可飽和吸収体を流出させるための流出口とを、備える可飽和吸収体セルと、流入口と流出口とを接続するための管路と、管路の途中に設けられ、流出口から流出する可飽和吸収体を流入口から流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、管路の途中に設けられ、輸送部により輸送される可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、を備える。
【0017】
第2観点では、第1観点において、可飽和吸収体セルは、レーザ発振器の出力レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、レーザ発振器の出力レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、各ウインドウ間に形成される流通空間と、流入口と、流出口とを、備えて構成される。
【0018】
第3観点では、第1観点において、流通空間内の可飽和吸収体の流れが、流通空間を通過するレーザ光の光軸に対して略対称となるように、流入口及び流出口が配置されている。
【0019】
第4観点では、第1観点において、流通空間内の可飽和吸収体の流れが、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に対して略対称となるように、流入口及び流出口が配置される。
【0020】
第5観点では、第2観点において、各ウインドウの内面側を可飽和吸収体が流通し、かつ、ウインドウ間をレーザ光の光軸に沿って可飽和吸収体が移動するように、流入口または流出口が各ウインドウの近傍に設けられる。
【0021】
第6観点では、第2観点において、流入口は入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、流出口は各ウインドウ間に設けられる。
【0022】
第7観点では、第2観点において、流出口は入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、流入口は各ウインドウ間の略中央部に位置して設けられる。
【0023】
第8観点では、第6観点において、流入口は、各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている。
【0024】
第9観点では、第7観点において、流出口は、各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている。
【0025】
第10観点では、第2観点において、各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、流入口は、入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側のそれぞれの側において、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、入射ウインドウ側に設けられる各流入口は入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、出射ウインドウ側に設けられる各流入口は出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、流出口は、各ウインドウの間に位置して、レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられている。
【0026】
第11観点では、第2観点において、各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、流出口は、入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側のそれぞれの側において、各ウインドウ間を通過するレーザ光に対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、入射ウインドウ側に設けられる各流出口は入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、出射ウインドウ側に設けられる各流出口は出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、流入口は、各ウインドウの間に位置して、レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられている。
【0027】
第12観点では、第2観点において、各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、流出口は、入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側のそれぞれの側において、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、流入口は、各ウインドウの間に位置して、レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられており、各ウインドウの内面外周側と各流出口との間には、可飽和吸収体を流通させるための流通孔が複数形成されている流通制御部材が設けられている。
【0028】
第13観点では、第12観点において、流通制御部材は、各ウインドウに同軸に配置される筒状部材であって、その一方の端部が各ウインドウの内面側に設けられ、各流通孔を有する筒状部材と、可飽和吸収体が各流通孔以外から各流出口に流れ込まないように、筒状部材の他方の端部と流通空間の内壁部との間を施蓋する環状の鍔部と、を備えて構成されている。
【0029】
第14観点では、第1観点において、可飽和吸収体セルは複数設けられており、一方の可飽和吸収体セル内の可飽和吸収体の流通方向と他方の可飽和吸収体セル内の可飽和吸収体の流通方向とは、逆向きになるように設定されている。
【0030】
第15観点では、第1観点において、入射ウインドウと出射ウインドウとは共通のウインドウにより構成されており、かつ、流通空間には、共通のウインドウから入射するレーザ発振器の出力レーザ光を反射させて、共通のウインドウから出射させるための反射光学系が設けられている。
【0031】
第16観点では、第1〜第15観点のいずれかにおいて、可飽和吸収体装置を通過するレーザ光の波面を補正するための波面補正装置を備える。
【0032】
第17観点では、第16観点において、波面補正装置は、レーザ光の方向及び波面の形状を直接的または間接的に計測するための波面計測部と、レーザ光の方向及び波面の形状を所定の方向及び所定の波面の形状に補正させるための波面補正部と、波面計測部からの計測結果に基づいて波面補正部を動作させるための波面制御部と、を備えて構成される。
【0033】
第18観点では、第1観点において、輸送部及び温度調節部を制御するための制御部を備える。
【0034】
第19観点では、第1観点において、前記温度調節部は前記可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置で構成されている。
第20観点では、第1〜16観点のいずれかにおいて、前記温度調節部は前記可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置と前記可飽和吸収帯の温度を制御するための制御装置で構成されている。
【0035】
本発明の第21観点に従う極端紫外光源装置は、極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、レーザ発振器から出力されるレーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、増幅器により増幅されて出力されるレーザ光をチャンバ内の所定位置に集光させることにより、増幅後のレーザ光をターゲット物質に照射させる集光光学系と、レーザ発振器と所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、可飽和吸収体装置は、可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、流通空間に可飽和吸収体を流入させるための流入口と、流通空間から可飽和吸収体を流出させるための流出口と、流通空間にレーザ発振器の出力レーザ光を通過させるための、ダイヤモンドから形成されるウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、を備える。
【0036】
本発明に従うパルスレーザ装置は、パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、レーザ発振器から出力されるレーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、レーザ発振器と増幅器との間の光路中または各増幅器の間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、可飽和吸収体装置は、レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、各ウインドウ間に形成され、可飽和吸収体の流通する流通空間と、流通空間に可飽和吸収体を流入させるための流入口と、流通空間から可飽和吸収体を流出させるための流出口とを、備える可飽和吸収体セルと、流入口と流出口とを接続するための管路と、管路の途中に設けられ、流出口から流出する可飽和吸収体を流入口から流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、管路の途中に設けられ、輸送部により輸送される可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、を備える。上記入射ウインドウと出射ウインドウは1つのウインドウで兼用されていてもよい。
【0037】
本発明に従う可飽和吸収体の制御方法は、極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体を制御するための方法であって、極端紫外光を発生させるためのレーザ光が透過する可飽和吸収体セルに、可飽和吸収体を循環させ、循環される可飽和吸収体の温度を所定温度に維持し、可飽和吸収体セルの有する各ウインドウの温度分布がレーザ光の光軸に対して略対称となるように、可飽和吸収体セルに可飽和吸収体を流通させる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、可飽和吸収体を循環させて再利用することができ、かつ、可飽和吸収体の温度を調節することができる。従って、熱による可飽和吸収体の分解を抑制することができ、可飽和吸収体セルを長時間安定して作動させることができる。
【0039】
本発明によれば、流通空間内の可飽和吸収体の流れが、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に対して略対称となるように、流入口及び流出口を設ける。従って、可飽和吸収体セルの各ウインドウの温度分布を、レーザ光の光軸に対して軸対称にすることができる。これにより、可飽和吸収体セルを通過したレーザ光の波面の形状を軸対称にして、レーザ光の波面補正を容易に行うことができる。
【0040】
本発明によれば、可飽和吸収セルのウインドウをダイヤモンドで構成することができる。ダイヤモンドウインドウの熱伝導は非常に高いため、ウインドウに生じる温度分布抑制することができる。従って、ダイヤモンドウインドウを透過するレーザ光の波面及び方向を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施例に係るEUV光源装置の構成図。
【図2】SA装置の構成図。
【図3】SAガスセルの構成図。
【図4】可飽和吸収体を透過するレーザ光の波面や方向が変化する様子を示す説明図。
【図5】可飽和吸収体の温度変化を示すグラフ。
【図6】SA装置の全体動作を示すフローチャート。
【図7】ガス排気及びガス充填処理のフローチャート。
【図8】SAガスセルの使用を準備する処理のフローチャート。
【図9】ガス循環及びガス温度を制御する処理のフローチャート。
【図10】異常を検出する処理のフローチャート。
【図11】波面補正器の構成図。
【図12】センサの模式図。
【図13】波面補正処理のフローチャート。
【図14】レーザコントローラがEUV光源コントローラに調整完了を通知する処理のフローチャート。
【図15】第2実施例に係るSAガスセルの構成図。
【図16】第3実施例に係るSAガスセルの構成図。
【図17】ポーラス円筒管の断面図。
【図18】第4実施例に係るSA装置の構成図。
【図19】第5実施例に係り、波面補正器の配置方法を示す説明図。
【図20】図19に続く説明図。
【図21】第6実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図22】第7実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図23】第8実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図24】第9実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図25】図24に続く構成図。
【図26】第10実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図27】第11実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図28】第12実施例に係り、波面補正器の構成図。
【図29】第13実施例に係り、波面補正器の構成図。
【図30】第14実施例に係り、波面補正器の構成図。
【図31】第15実施例に係り、センサの構成図。
【図32】第16実施例に係り、センサの構成図。
【図33】第17実施例に係り、センサの構成図。
【図34】第18実施例に係り、センサの構成図。
【図35】第19実施例に係り、センサの構成図。
【図36】第20実施例に係り、センサの構成図。
【図37】第21実施例に係り、SA装置の構成図。
【図38】第22実施例に係り、SA装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、以下に述べるように、レーザ光の通過する光路上に、可飽和吸収体装置33を設ける。可飽和吸収体装置33は、可飽和吸収体ガスの温度を制御しながら、可飽和吸収体ガスを循環させて再使用するようになっている。以下の説明では、可飽和吸収体をSA(Saturable Absorber)と略記する。従って、可飽和吸収体装置33をSA装置33と、可飽和吸収体ガスをSAガスと、可飽和吸収体ガスセル330をSAガスセル330と、それぞれ呼ぶ。
【実施例1】
【0043】
図1〜図14に基づいて本発明の第1実施例を説明する。図1は、EUV光源装置1の全体構成を示す説明図である。
【0044】
EUV光源装置1は、例えば、EUV光を発生させるチャンバ10と、チャンバ10にレーザ光を供給するためのレーザ光源装置2と、EUV光源コントローラ70とを備える。レーザ光源装置2は、例えば、レーザパルスの時間波形や繰り返し周波数を決定するレーザ発振器(Master Oscillator)20と、増幅システム30と、集光システム40と、波面補正コントローラ(WFC−C)50と、レーザコントローラ60とを含んで構成される。EUV光源装置1は、EUV露光装置5にEUV光を供給する。以下の説明及び図面では、波面補正コントローラをWFC−C(Wave Front Compensator controller)と表示する場合がある。
【0045】
先にチャンバ10の概要を説明する。チャンバ10は、例えば、チャンバ本体11と、接続部12と、ウインドウ13と、EUV集光ミラー14と、ターゲット物質供給部15と、を備えている。
【0046】
チャンバ本体11は、図外の真空ポンプにより真空状態に保たれる。チャンバ本体11には、例えば、デブリを回収するための機構等を設けることができる。
【0047】
接続部12は、チャンバ10とEUV露光装置5との間を接続して設けられている。チャンバ本体11内で生成されたEUV光は、接続部12を介して、EUV露光装置5に供給される。
【0048】
ウインドウ13は、チャンバ本体11に設けられている。レーザ光源装置2からのドライバレーザ光は、ウインドウ13を介して、チャンバ本体11に入射する。
【0049】
EUV集光ミラー14は、EUV光を反射させて中間焦点(Intermediate Focus:IF)に集めるためのミラーである。中間焦点IFは、接続部12内に設定される。EUV集光ミラー14は、例えば、プラズマ発光点の像をIFに転写結像させるために、理想的に収差を発生させない回転楕円体のような凹面として構成される。EUV集光ミラー14の表面には、例えば、モリブデン膜とシリコン膜とから構成される多層膜が設けられており、これにより、波長13nm程度のEUV光を反射するようになっている。
【0050】
ターゲット物質供給部15は、例えば、錫のようなターゲット物質を液体や固体あるいは気体として供給する。錫は、スタナン(SnH4)などの錫化合物として供給することも可能である。錫を液体として供給する場合は、純粋な錫を融点まで加熱して液化する方法の他に、錫を含む溶液または錫や錫化合物を含むコロイド溶液として供給する方法も可能である。本実施例では、ターゲット物質として、錫のドロップレットDPを例に挙げて説明するが、本発明は、錫ドロップレットに限定されない。例えば、リチウム(Li)やキセノン(Xe)等の他の物質を用いてもよい。
【0051】
チャンバ10内の動きを先に簡単に説明する。ドライバレーザ光L1は、入射用のウインドウ13を介して、チャンバ本体11内の所定位置で焦点を結ぶようになっている。その所定位置に向けて、ターゲット物質供給部15は、錫ドロップレットDPを投下する。ここで、所定位置とは、EUV集光ミラー14の第1の焦点上の位置である。その第1の焦点に向けて、錫ドロップレットが投下される。その第1の焦点とレーザの集光点とが一致するように光学系が配置されている。そして、錫ドロップレットDPが所定位置に到達する時期にタイミングを合わせて、レーザ光源装置2から、所定出力のドライバレーザ光L1が出力される。錫ドロップレットDPは、ドライバレーザ光L1によって集光照射されて、プラズマPLZとなる。プラズマPLZは、EUV光L2を放射させる。EUV光L2は、EUV集光ミラー14によって、接続部12内の中間焦点IFに集められ、EUV露光装置5に供給される。
【0052】
次に、レーザ光源装置2の構成を説明する。レーザ光源装置2は、炭酸ガスパルスレーザ光源装置として構成されており、例えば、波長10.6μm、シングル横モード、繰り返し周波数100kHz、100〜200mJ、10kW〜20kWの、ドライバレーザ光L1をパルス出力する。
【0053】
レーザ発振器20から出力されるレーザ光は、増幅システム30によって増幅された後、集光システム40に送られる。集光システム40は、ドライバレーザ光L1をチャンバ10内に供給する。集光システム40は、例えば、反射ミラー41と、軸外放物凹面ミラー42と、リレー光学系43と、を備える。なお、以下の説明では、レーザ光の進行方向を基準として、発振器20側を上流側と呼び、チャンバ10側を下流側と呼ぶ。
【0054】
増幅システム30は、例えば、リレー光学系31と、プリアンプ(前増幅器)32と、SA装置33と、波面補正器(WFC)34と、メインアンプ(主増幅器)35と、センサ36と、を備えて構成される。なお、以下の説明及び図面において、前増幅器をプリアンプ、主増幅器をメインアンプと記述する。さらに、波面補正器をWFC(Wave Front Compensator)と表示する場合がある。SA装置33の詳細は、図2,図3で後述する。
【0055】
リレー光学系31は、レーザ発振器20から出力されるレーザ光でプリアンプ32内の増幅領域を効率よく満たすべく、レーザ発振器20から出力されるレーザ光のビームの広がり角度とビームの大きさを調整するための光学系である。リレー光学系31は、レーザ発振器20から出力されるレーザ光のビーム径を拡大させて、所定のビーム光束に変換させる。
【0056】
プリアンプ32は、入射されたレーザ光を増幅して出射させる。プリアンプ32で増幅されたレーザ光は、SA33装置に入射する。SA装置33は、所定の閾値以上の光強度有するレーザ光は通過させ、その所定の閾値未満のレーザ光は通過させないという機能を発揮する。
【0057】
これにより、SA装置33は、チャンバ10から戻ってくるレーザ光(戻り光)やメインアンプからの寄生発振光や自励発振光を吸収して、プリアンプ32やレーザ発振器20の破損を防止する。さらに、SA装置33は、ペデスタルを抑制し、レーザ光のパルス波形の品質を高める役割も果たす。なお、ペデスタルとは、メインパルスに時間的に近接して発生する、小さなパルスである。
【0058】
図2は、SA装置33の構成を示す説明図である。SA装置33は、例えば、SAガスセル330と、循環ポンプ331(1)と、排気ポンプ331(2)と、熱交換器332と、供給管路333(1)と、排出管路333(2)と、SAガスボンベ334(1)と、バッファガスボンベ334(2)と、各バルブ335(1)〜335(4)と、圧力センサ336(1)と、温度センサ336(2)と、SAガスセルコントローラ80と、ガス温度コントローラ82とを、備えて構成される。
【0059】
なお、図2に示す構成は一つの例であり、本発明は図2に示す構成に限定されない。本発明は、例えば、レーザ光により発熱したSAガス(混合ガスを含む)を冷却する装置(たとえば熱交換器)を、SAガスを循環させるための回路中に備えている構成であればよい。つまり、SAガスを循環させながら、SAガスの熱を廃熱できる構成を備えていればよい。このような構成とすれば、少なくとも通常運転時は、SAガスの発熱によってSAガスが分解することなく、長時間運転が可能となる。
【0060】
先に図3を参照して、SAガスセル330を説明する。SAガスセル330は、例えば、水冷ジャケット付きの筒状ホルダ3300と、ホルダ3300の両端に設けられるウインドウ3332(1),3332(2)と、各ウインドウ間に形成される流通空間3334と、流通空間3334に連通するようにしてホルダ3300に設けられる流入口3336(1),3336(2)と、流通空間3334に連通するようにしてホルダ3300に設けられる流出口3338(1),3338(2)とを備える。なお、ホルダ3300は、「流通空間を有する本体部」の一例である。
【0061】
各ウインドウ3332(1),3332(2)は、熱伝導性が高く、かつ、CO2レーザ光に対して透明な材料から円板状に形成される。そのような材料として、ダイヤモンドを挙げることができる。
【0062】
ダイヤモンド製のウインドウは、熱伝導率が非常に高いため、SAガスから伝わる熱によってダイヤモンドウインドウに生じる影響を小さくすることができる。従って、SAガスを通過するレーザ光の波面に歪みが生じるのを抑制できる。即ち、ダイヤモンドウインドウを用いることにより、SAガスを循環させるための循環システム、及び、SAガスの温度を制御するための温度制御システムを設けなくても、波面の歪みを防止可能である。
【0063】
レーザ光は、入射ウインドウ3332(1)から流通空間3334内に入射して、流通空間3334を通過し、出射ウインドウ3332(2)から出射する。各ウインドウ3332(1),3332(2)は、Oリング等のシール部材を介して、ホルダ3300に気密に取り付けられている。
【0064】
流通空間3334は、各ウインドウ3332(1),3332(2)とホルダ3300とにより画成される、円筒状の空間である。流通空間3334の軸心(図3中の左右方向に延びる中心線)とレーザ光L1の光軸とは、同軸になるように初期設定される。
【0065】
流通空間3334には、入射ウインドウ3332(1)側に複数の流入口3336(1),3336(2)が設けられており、出射ウインドウ3332(2)側に複数の流出口3338(1),3338(2)が設けられている。各流入口3336(1),3336(2)及び各流出口3338(1),3338(2)は、レーザ光の光軸に対して対称となるように、向かい合わせで設けられている。各流入口3336(1),3336(2)には、供給管路333(1)が接続されており、各流出口3338(1),3338(2)には、排出管路333(2)が接続されている。
【0066】
SAガスは、供給管路333(1)から各流入口3336(1),3336(2)を介して、流通空間3334内に流入する。SAガスは、入射ウインドウ3332(1)の内面側近傍に沿って径方向に流れた後、レーザ光の光軸に沿って流通空間3334内を流出口側に移動する。そして、SAガスは、出射ウインドウ3332(2)の内面側近傍を径方向に流れて、各流出口3338(1),3338(2)に流入する。SAガスは、各流出口3338(1),3338(2)から排出管路333(2)を介して排出され、熱交換器332に送られる。内面とは、ウインドウの両面のうち、流通空間3334を向いている方の面である。
【0067】
図2に戻る。循環ポンプ331(1)は、SA装置33内でSAガスを循環させるためのポンプである。循環ポンプ331(1)の吐出口は、供給管路333(1)に接続されており、循環ポンプ331(1)の吸込み口は、熱交換器332を介して排出管路333(2)に接続されている。循環ポンプ331(1)は、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて作動し、熱交換器332により冷却されたSAガスを供給管路333(1)に送り込む。
【0068】
排気ポンプ331(2)は、SA装置33内からSAガスを除去するためのポンプである。排気ポンプ331(2)は、排気バルブ335(2)を介して、排出管路333(2)の途中に接続されている。排気バルブ335(2)は、例えば、常閉型の2ポート電磁弁として構成することができる。供給バルブ335(1)及び排気バルブ335(2)は、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて作動し、各管路333(1),333(2)やSAガスセル330や熱交換器332に滞留するSAガスを吸い出して排出する。
【0069】
熱交換器332は、供給管路333(1)と排出管路333(2)とを接続するようにして、設けられている。熱交換器332は、SAガスの温度を一定に保持するための装置である。熱交換器332は、ガス温度コントローラ82からの指示に応じて作動し、SAガスの温度を調整する。
【0070】
上述の通り、供給管路333(1)は、SAガスセル330にSAガスを供給するための管路であり、排出管路333(2)は、SAガスセル330からSAガスを排出させるための管路である。供給管路333(1)と排出管路333(2)とは、熱交換器332及び循環ポンプ331(1)を介して接続されている。
【0071】
SAガスボンベ334(1)は、SF6(6フッ化イオウ)等のSAガスを貯蔵するための容器である。バッファガスボンベ334(2)は、例えば、N2(窒素)や希ガス(He、Ar)等のバッファガスを貯蔵するための容器である。なお、SAガス及びバッファガスの種類は、上記のものに限定されない。
【0072】
炭酸ガスレーザの波長に応じて、好ましいSAガスを選択することができる。例えば、炭酸ガスレーザ光の波長が10.6μmの場合は、SF6を用いることができる。例えば、炭酸ガスレーザ光の波長が9.6μmの場合は、CH3OH,CH3F、HCOOH,CD3OD,CD3F,DCOOD(D:重水素)を用いることができる。例えば、炭酸ガスレーザ光の波長が9.3μmの場合は、C2F2Clを用いることができる。
【0073】
SAガスボンベ334(1)の吐出口は、SAガスバルブ335(3)を介して、ガス供給バルブ335(1)の流入口に接続されている。同様に、バッファガスボンベ334(2)の吐出口は、バッファガスバルブ335(4)を介して、ガス供給バルブ335(1)の流入口に接続されている。そして、ガス供給バルブ335(1)の流出口は、供給管路333(1)の途中に接続されている。各バルブ335(1),335(3),335(4)は、例えば、常閉型の2ポート電磁弁として構成されており、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて、それぞれ開閉するようになっている。
【0074】
なお、図2では、SAガスとバッファガスとをそれぞれ別々のガスボンベ334(1),334(2)で用意し、SA装置33内で混合ガスを生成する場合を示している。これに限らず、SAガスとバッファガスとが所定割合で混合された混合ガスを貯蔵する混合ガスボンベを使用することもできる。その場合、混合ガスボンベの吐出口をガス供給バルブ335(1)の流入口に接続する構成となる。従って、図2に示すバルブ335(3),335(4)を省略することができ、SA装置33の構成を簡素化できる。
【0075】
圧力センサ336(1)は、SAガスセル330内の圧力を検出して、SAガスセルコントローラ80に出力するセンサである。温度センサ336(2)は、SAガスセル330の温度を検出して、ガス温度コントローラ82に出力するセンサである。
【0076】
SAガスセルコントローラ80は、SA装置33の動作を制御する制御装置である。SAガスセルコントローラ80は、後述の処理を実行することにより、SA装置33内にSAガスとバッファガスとの混合ガスを循環させ、かつ、その混合ガスの温度を制御させる。SAガスセルコントローラ80は、制御結果をレーザコントローラ60に通知する。
【0077】
ガス温度コントローラ82は、混合ガスの温度が所定温度になるように熱交換器332を制御するための制御装置である。ガス温度コントローラ82は、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて熱交換器332の動作を制御し、その結果をSAガスセルコントローラ80に通知する。なお、ガス温度コントローラ82とSAガスセルコントローラ80とを区別せずに、SAガスセルコントローラ80が、混合ガスの温度を制御する構成としてもよい。
【0078】
図4は、SAガスセルを通過するレーザ光の方向や波面の形状が変化する様子を示す。説明の便宜上、SAガスセルの構成を簡略化して示す。従って、図4では、SAガスセルに符号330Pを与えて、図3に示すSAガスセル330と区別する。
【0079】
図5は、SAガスセル330に生じる温度分布を示すグラフである。混合ガスは、流入口3336から各ウインドウ3332(1),3332(2)間の流通空間3334に流入し、閾値以下のレーザ光を吸収して、流出口3338から流出する。これにより、SAガスセル330には、混合ガスの流れ方向にシフトする温度分布が発生する。ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布が原因で、ウインドウ3332(1),3332(2)の屈折率の分布が変化する。
【0080】
その結果、SAガスセル330を通過するレーザビームの端部L1(1)及びビームL1(2)は、図4中の破線L1e(1)及びL1e(2)に示すように、基準の光軸AX1からずれた方向AX1eにシフトする。SAガスセル330を通過するレーザ光L1の波面(Wave Front)は、基準光軸AX1を保持したまま同心円状に変化するのではなく、軸AX1eに沿って曲がる。つまり、レーザ光L1は、SAガスセル330を通過することにより、そのレーザビームの方向がずれてしまい、さらに波面の形状も変化する。
【0081】
進行方向や波面の形状のずれたレーザビームL1e(1)及びL1e(2)を、そのままメインアンプ35に入射させても、期待通りの増幅作用は得られない。メインアンプ35の増幅領域を、レーザ光で効率よく満たすことができないためである。
【0082】
その問題を解決するために、本実施例では、SAガスセル330の各ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布がレーザ光の光軸に対して軸対称となるように、図3に示すように各流入口3336(1),3336(2)及び各流出口3338(1),3338(2)を配置する。これにより、本実施例では、SAガスセル330を通過するレーザ光の波面の形状を、レーザ光の光軸に対して軸対称にさせることができる。さらに、本実施例では、図1に示すようにSAガスセル330とメインアンプ35との間に、波面補正器(WFC)34を設ける。波面補正器(WFC)34の一例については、後述する。さらに、センサ36からの信号に応じて波面補正器(WFC)34を制御する方法についても、図を改めて説明する。
【0083】
図6〜図10に基づいて、SA装置33の動作を説明する。図6は、全体動作を示すメイン処理のフローチャートであり、図7〜図10はメイン処理で呼び出されるサブルーチンを示すフローチャートである。なお、以下に述べる各フローチャートは、各処理の概要を示しており、実際のコンピュータプログラムと相違する場合がある。いわゆる当業者であれば、図示されたステップの変更や削除、新たなステップの追加を行うことができるであろう。
【0084】
図6のメイン処理では、SAガスセルコントローラ80は、まず最初に、ガス排気及びガス充填処理を実行する(S10)。S10の詳細は、図7で述べる。S10では、SA装置33内を真空状態にした後で、混合ガスを充填させる。
【0085】
次に、SAガスセルコントローラ80は、SAガスセルの使用準備を整えるための処理を実行する(S11)。S11の詳細は、図8で述べる。S11では、SA装置33内を循環する混合ガスの温度が所定温度となるように、熱交換器332を動作させる。
【0086】
SA装置33の準備が整うと、レーザコントローラ60は、レーザ発振器20からレーザ光を出力させる(S12)。SAガスセルコントローラ80は、ガスの循環及びガス温度を制御する処理を実行する(S13)。S13の詳細は、図9で述べる。S13では、SA装置33内を所定温度の混合ガスが循環するように制御する。
【0087】
続いて、SAガスセルコントローラ80は、異常検出処理を実行する(S14)。S14の詳細は、図10で述べる。次に、SAガスセルコントローラ80は、異常検出処理(S14)によって異常が検出されたか否かを判定する(S15)。
【0088】
異常が無い場合(S15:NO)、S12〜S15が繰り返される。異常が検出された場合(S15:YES)、SAガスセルコントローラ80は、レーザコントローラ60に異常が発生した旨を通知する(S16)。その通知を受けたレーザコントローラ60は、レーザ発振器20に信号を出力して、レーザ光の発振を停止させる(S17)。異常が解消された後、SAガスセルコントローラ80は、S10に戻って、SAガスセル330に混合ガスを再充填させる。
【0089】
図7は、ガス排気及びガス充填処理(図6のS10)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、ガス供給バルブ335(1)及び排気バルブ335(2)を、それぞれ開弁させると共に、SAガスバルブ335(3)及びバッファガスバルブ335(4)を、それぞれ閉弁させる(S20)。なお、常閉型の電磁弁から構成されるバルブについては、閉弁させるための閉弁信号をSAガスセルコントローラ80から出力させる必要はない。
【0090】
SAガスセルコントローラ80は、排気ポンプ331(2)を作動させ(S21)、圧力センサ336(1)からの検出信号を読み込む(S22)。SAガスセルコントローラ80は、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAが、所定の圧力値PTh1以下になったか否かを判定する(S23)。所定の圧力値PTh1は、SAの性能に悪影響を及ぼさない圧力(略真空)状態の値に設定される。
【0091】
圧力値PSAが所定の圧力値PTh1まで低下した場合は(S23:YES)、SA装置33内の古い混合ガスが外部に排出された場合である。そこで、SAガスセルコントローラ80は、排気バルブ335(2)に信号を出力して閉弁させると共に、排気ポンプ331(2)を停止させる(S24)。
【0092】
SAガスセルコントローラ80は、SAガスバルブ335(3)に信号を出力して、開弁させる(S25)。SAガスボンベ334(1)に貯蔵されているSAガスは、SAガスバルブ335(3)及びガス供給バルブ335(1)を介して、供給管路333(1)に流入し、さらにSAガスセル330を介して、排気通路333(2)や熱交換器332にも流入する。SA装置33内にSAガスが満たされるに応じて、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAは大きくなる。SAガスセルコントローラ80は、圧力値PSAが所定のSAガス圧力値PSF6に達するまで待機する(S26)。
【0093】
圧力値PSAが所定のSAガス圧力値PSF6に達した場合(S26:YES)、所定量のSAガスがSA装置33に充填された場合なので、SAガスセルコントローラ80は、SAガスバルブ335(3)を閉弁させる(S27)。
【0094】
続いて、SAガスセルコントローラ80は、バッファガスバルブ335(4)に信号を出力して開弁させる(S28)。これにより、バッファガスボンベ334(2)に貯蔵されているバッファガスは、バッファガスバルブ335(4)及びガス供給バルブ335(1)を介して、供給管路333(1)に流入する。バッファガスは、SAガスセル330や排出管路333(2)や熱交換器332にも流れ込み、先に充填されているSAガスと混合される。
【0095】
SAガスセルコントローラ80は、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAが所定の混合ガス圧PMGに達するまで待機する(S29)。圧力値PSAが所定の混合ガス圧PMGに達した場合(S29:YES)、SA装置33内が所定圧PMGの混合ガスで満たされた場合なので、SAガスセルコントローラ80は、バッファガスバルブ335(4)を閉弁させ(S30)、ガス供給バルブ335(1)も閉弁させる(S31)。
【0096】
図8は、SAガスセルの使用を準備するための処理(図6のS11)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、循環ポンプ331(1)に信号を出力して作動させる(S40)。そして、SAガスセルコントローラ80は、温度センサ336(2)により検出される温度TSAを読み込む(S41)。SAガスセルコントローラ80は、検出された温度TSAと所定の基準温度Tsetとの偏差ΔTを算出する(S42)。
【0097】
SAガスセルコントローラ80は、算出された偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下であるか否かを判定する(S43)。偏差ΔTが所定の閾値Tth以下の場合(S43:YES)、混合ガスの温度が一定に保たれてると判定され、SAガスセルコントローラ80は、レーザコントローラ60に準備完了信号を出力する(S44)。準備完了信号とは、SA装置33の使用準備が完了したことを示す信号である。なお、電気信号に代えて、メッセージやデータ等の形態で、SAガスセルコントローラ80からレーザコントローラ60に準備完了を通知してもよい。
【0098】
これに対し、温度偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tthを超えている場合(S43:NO)、SAガスセルコントローラ80は、ガス温度コントローラ82から熱交換器332に制御信号を出力させ、偏差ΔTが小さくなるように熱交換器332を動作させる(S45)。つまり、混合ガスの温度が基準温度Tsetよりも高い場合、SAガスセルコントローラ80は、熱交換器332によって混合ガスの温度を低下させる。
【0099】
そして、SAガスセルコントローラ80は、レーザコントローラ60にNG信号を出力し(S46)、S40に戻る。NG信号とは、SA装置33の使用準備が完了していないことを示す信号である。
【0100】
図9は、ガスの循環及びガス温度を制御するための処理(図6のS13)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、循環ポンプ331(1)に作動開始信号を出力して、循環ポンプ331(1)を作動させる(S50)。なお、既に循環ポンプ331(1)が作動している場合は、作動開始信号を出力する必要はない。
【0101】
SAガスセルコントローラ80は、温度センサ336(2)によってSAガスセル330内の混合ガスの温度TSAを検出し(S51)、その検出された温度TSAと基準温度Tsetとの偏差ΔTを算出する(S52)。
【0102】
SAガスセルコントローラ80は、偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下であるか否かを判定する(S53)。偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下の場合(S53:YES)、混合ガスの温度が基準温度Tsetに保たれてると判定され、図6に示すメインルーチンに戻る。
【0103】
これに対し、偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tthを超えている場合(S53:NO)、混合ガスが基準温度Tsetに保たれていないと判定される。そこで、SAガスセルコントローラ80は、偏差ΔTが小さくなるように、ガス温度コントローラ82から熱交換器332に制御信号を出力させ(S54)、メインルーチンに戻る。
【0104】
図10は、異常検出処理(図6のS14)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、温度センサ336(2)によりSAガスセル330内の混合ガスの温度TSAを検出する(S60)。そして、圧力センサ336(1)によりSAガスセル330内の圧力PSAを検出する(S61)。
【0105】
SAガスセルコントローラ80は、検出された温度TSAと基準温度Tsetとの偏差ΔTを算出し(S62)、検出された圧力PSAと基準圧力Psetとの偏差ΔPを算出する(S63)。その算出された偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下であるか否かを判定する(S64)。
【0106】
次に、SAガスセルコントローラ80は、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAと所定の混合ガス圧Psetとの偏差ΔPの絶対値が、所定の閾値Pth以下であるか否かを判定する(S65)。
【0107】
混合ガスの温度と圧力が共に正常な場合(S62:YES、かつ、S63:YES)、SA装置33は正常に運転中であると判定されてメインルーチンに戻る(S66)。これに対し、混合ガスの温度または圧力のいずれかに異常が発見された場合(S62:NO、または、S63:NO)、SA装置33に異常が生じたものと判定されてメインルーチンに戻る(S67)。
【0108】
なお、図10では、混合ガスの温度及び圧力を監視する場合を述べたが、これに代えて、混合ガスの温度だけを監視する構成としてもよい。あるいは、混合ガスの温度に加えて、SA装置33を循環する混合ガスの流量や流速を監視する構成としてもよい。また、後述するが、ウインド3332の温度や、温度分布を監視するようにしてもよい。
【0109】
図11は、波面補正器34の原理を模式的に示す説明図である。図11の上側は、増幅システム30(主にSA装置33)に加わる熱負荷が少ない場合を示す。図11の下側は、増幅システム30(主にSA装置33)に加わる熱負荷が多い場合を示す。
【0110】
波面補正器34は、角度補正器100と、波面曲率補正器200とを備える。角度補正器100は、レーザ光の角度(進行方向)を調節するための光学系である。波面曲率補正器200は、レーザ光の波面の曲率(ビームの広がり等)を調節するための光学系である。具体的な構造例については、別の実施例として後述する。
【0111】
角度補正器100は、例えば、平行に向かい合って配置される2枚の反射ミラー101,102を含んで構成される。各反射ミラー101,102は、図11の下側に示すように、反射ミラーのX軸(図11に垂直な軸)及びY軸(X軸と同一平面で直交する軸)をそれぞれ回動中心として、回動可能に設けられている。つまり、各反射ミラー101,102は、チルト及びローリングができるように取り付けられている。
【0112】
熱負荷の少ない場合、レーザ光L1は、基準光軸に合致して進むため、各反射ミラー101,102の姿勢を変化させる必要はない。熱負荷の多い場合、レーザ光L1eは、基準光軸から外れて入射する。そこで、各反射ミラー101,102の姿勢を適宜変化させて、レーザ光の出射方向を基準光軸に合致させる。
【0113】
波面曲率補正器200は、例えば、凸レンズ201と、凹レンズ202とによって構成することができる。各レンズ201,202の相対的位置関係を調整することにより、凹面波や凸面波を平面波に補正することができる。
【0114】
「補正制御部」としての波面補正コントローラ50は、センサ36による計測結果に基づいて、目標値との偏差が解消するように、角度補正器100及び波面曲率補正器200を適宜駆動する。これにより、波面補正器34は、入射するレーザ光の角度及び波面の曲率を所定の角度及び所定の曲率に補正して、出射させる。波面補正器34は、メインアンプにより高効率で増幅するのに必要なビームの角度と波面の曲率となるようにレーザ光のビームを調節して出力し、所定のレーザビーム光束に変換させる。変換されたレーザ光は、メインアンプ35によって増幅される。
【0115】
図1に示すように、「波面計測部」としてのセンサ36は、メインアンプ35の下流側に設けられており、メインアンプ35から入射するレーザ光の角度や波面の曲率を検出する。センサ36は、レーザ光の角度や波面の曲率を直接的または間接的に計測できる構成であればよい。
【0116】
センサ36の一例を図12に基づいて説明する。センサ36は、例えば、レーザ光L1を反射する反射ミラー300と、反射ミラー300を僅かに透過するレーザ光L1Lを計測する光学的センサ部360とを含んで構成される。
【0117】
反射ミラー300は、レーザ光L1を高い反射率で反射する膜でコーティングされたビームスプリッタ基板300Aと、ビームスプリッタ基板300Aを保持するための水冷ジャケット付きホルダ300Bとを備える。
【0118】
ビームスプリッタ基板300Aは、例えば、シリコン(Si)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ガリウム砒素(GaAs)、ダイヤモンドのような物質から形成される。レーザ光L1の殆どは、ビームスプリッタ基板300Aの高反射膜により反射されるが、ごく僅かにビームスプリッタ基板300Aを透過するレーザ光L1Lがある。
【0119】
ビームスプリッタ基板300Aを僅かに透過したレーザ光L1Lは、サンプル光として、光学的センサ部360に入射する。光学的センサ部360としては、例えば、レーザ光の強度分布を計測するためのビームプロファイラ、レーザデューティ及び光学素子の負荷を計測するためのパワーセンサ(カロリーメータやパイロセンサ等)、レーザ光の波面状態とビームの進行方向(角度)とを同時に計測できる波面センサ等を使用できる。
【0120】
さらに、後述するように、レーザ光の状態に関連するパラメータ(SAガスセル330の温度等)と、シミュレーションや実験結果等から得られるデータベースとを用いて、レーザ光の波面状態及び角度(方向)を予測してもよい。
【0121】
図13は、波面補正コントローラ(WFC−C)50により実行される、波面補正処理を示すフローチャートである。本処理は、レーザ光源装置2が運転を開始する前の起動時に行われる。即ち、レーザ光源装置2の運転開始前の調整段階において、まず、ターゲットに照射する前に、例えば、図示しないシャッタ等を閉じて、EUVチャンバ10にレーザ光が入射しない状態にしてから、レーザを調整発振させる。そして、レーザ発振器20からシード光が出力されると、レーザ発振器20から下流のレーザビームラインについて、メインアンプ35の増幅効率が高く維持されるように波面や角度(方向)が調整される。
【0122】
波面補正コントローラ50は、センサ36から計測値を取得し(S100)、目標値と計測値との差分である偏差ΔDを算出する(S101)。波面補正コントローラ50は、ΔDの絶対値が所定の許容値DTh以下であるか否かを判定する(S102)。許容値DThは、例えば、レーザ光の増幅特性に影響を与えない程度の値として設定される。
【0123】
目標値と計測値との差ΔDが許容値DTh以下の場合(S102:YES)、波面補正コントローラ50は、レーザコントローラ60にOK信号を出力する(S103)。OK信号とは、レーザ光の波面が所定の波面(曲率及び方向)に調整されたことを意味する、調整完了信号である。
【0124】
これに対し、ΔDの絶対値が許容値DThを超えている場合(S102:NO)、波面補正コントローラ50は、レーザコントローラ60にNG信号を出力する(S104)。NG信号とは、レーザ光の波面が所定の波面に調整されていないことを意味する、調整未完了信号である。
【0125】
波面補正コントローラ(WFC−C)50は、波面補正器(WFC)34に駆動信号を出力し、波面補正器(WFC)34に補正動作を行わせる(S105)。波面補正器(WFC)34は、駆動信号に応じて、角度補正器100及び波面曲率補正器200を動作させる。補正動作を一回ないし複数回実行することにより、レーザ光の波面は所定の波面に一致する。
【0126】
図14は、レーザコントローラ60の動作及びEUV光源コントローラ70の動作を示すフローチャートである。レーザコントローラ60は、波面補正コントローラ(WFC−C)50からOK信号を受領すると(S110:YES)、EUV光源コントローラ70に、レーザ光源装置2の調整が完了した旨を通知する(S111)。
【0127】
EUV光源コントローラ70は、レーザコントローラから、OK信号が受信されているか判断する(S112)。レーザコントローラ60からの調整完了通知またはOK信号を受領すると、ターゲット物質供給部15からチャンバ本体11に、ドロップレットDPを供給させる(S113)。そして、ターゲットにレーザ光を照射する(S114)。そして、再びOK信号を受信しているかどうか判断し、もし、OK信号が受信されていない場合は、ターゲット供給及びターゲットにレーザ光を照射するのを中止することになる。そして、再び、レーザコントローラからOK信号が受信されれば、ターゲットを供給し(S113)、ターゲットにレーザ光を照射する(S114)
【0128】
レーザコントローラ60は、ドロップレットDPの供給タイミングに合わせて、レーザ発振器20からレーザ光L1を出力させる。レーザ光L1は、増幅システム30によって増幅された後、集光システム40を介してチャンバ10に入射する。ドロップレットDPは、レーザ光L1に照射されることにより、プラズマPLZとなる。プラズマPLZから放出されるEUV光L2は、EUV集光ミラー14により中間焦点IFに集められて、EUV露光装置5に送られる。
【0129】
本実施例は上述の構成を備えるため、以下の効果を奏する。本実施例では、SA装置33内でSAガスを含む混合ガスを循環して使用し、かつ、混合ガスの温度を一定値に保持するため、EUV光源装置1が長時間連続運転される場合にも対応することができる。つまり、高負荷の状態が長時間継続される場合でも、SA装置33を正常に動作させることができ、安定したパルスエネルギ及びパルス波形を有するレーザ光をEUV光源装置1に供給することができる。
【0130】
本実施例では、各流入口3336(1),3336(2)を入射ウインドウ3332(1)の内面側近傍に位置して、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように配置し、かつ、各流出口3338(1),3338(2)を出射ウインドウ3332(2)の内面側近傍に位置して、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように配置する。これにより、ウインドウ3332(1),3332(2)の内面側を流れる混合ガスにより、ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布をレーザ光の光軸に対して軸対称にすることができる。従って、SAガスセル330を透過したレーザ光の波面を軸対称の波面にすることができ、波面の変化を少なくできる。この結果、波面補正器34による波面補正を容易に行うことができる。
【0131】
本実施例では、レーザ光の波面の曲率及び方向を調整するための波面補正器34と、レーザ光の波面の曲率及び方向を検出するためのセンサ36とを設ける。従って、本実施例では、波面補正器34によって、レーザ光源装置2の運転開始前に、SAガスセル330を透過するレーザ光の波面の曲率及び方向(角度)を調整することができる。これにより、熱的負荷が高い運転状態においても、レーザ光の出力特性を安定化させることができる。
【実施例2】
【0132】
図15に基づいて第2実施例を説明する。以下の各実施例は、第1実施例の変形例である。従って、第1実施例との相違点を中心に説明する。本実施例では、各ウインドウ3332(1),3332(2)の内側表面をSAガスが旋回して流れるようにして、合計4個の流入口3336(1),3336(2),3336(3),3336(4)を設ける。そして、本実施例では、各ウインドウ3332(1),3332(2)の間に、2個の流出口3338(1),3338(2)を設ける。
【0133】
図15は、SAガスセル330Aを示す説明図である。図15の左側は入射ウインドウ3332(1)から見た図を示し、図15の中央はSAガスセル330Aを横から見た図を示し、図15の右側は出射ウインドウ3332(2)から見た図を示す。
【0134】
入射ウインドウ3332(1)側の各流入口3336(1),3336(2)は、入射ウインドウ3332(1)の内側表面をSAガスが旋回して流れるように角度θ1だけ傾斜しており、かつ、入射ウインドウ3332(1)の接線方向と平行に設けられている。さらに、各流入口3336(1),3336(2)は、レーザ光L1の光軸に対して軸対称となるように設けられている。各流入口3336(1),3336(2)から流入する混合ガスは、図15の左側に示すように、所定方向に旋回しつつ入射ウインドウ3332(1)の中心に向かう。
【0135】
その後、混合ガスは、レーザ光の光軸に沿って流通空間3334内を、流通空間3334の中央付近まで移動する。流通空間3334の中央部に連通するようにして、2つの流出口3338(1),3338(2)が直径方向に沿って設けられている。各流出口3338(1),3338(2)は、レーザ光の光軸に対して軸対称になっている。
【0136】
混合ガスは、流通空間3334の中央付近まで移動しながら、レーザ光L1に含まれる所定値以下の微弱光を吸収し、その温度が上昇する。混合ガスは、各流出口3338(1),3338(2)から流出し、排出管路333(2)を介して熱交換器332に送られる。
【0137】
入射ウインドウ3332(1)側の各流入口3336(1),3336(2)について述べたと同様に、出射ウインドウ3332(2)側の各流入口3336(3),3336(4)は、出射ウインドウ3332(2)の内側表面をSAガスが旋回して流れるように角度θ1だけ傾斜しており、かつ、出射ウインドウ3332(2)の接線方向と平行に設けられている。さらに、各流入口3336(3),3336(4)は、レーザ光L1の光軸に対して軸対称となるように設けられている。各流入口3336(3),3336(4)から流入する混合ガスは、図15の右側に示すように、所定方向に旋回しつつ出射ウインドウ3332(2)の中心に向かう。
【0138】
そして、出射ウインドウ3332(2)の内側表面を旋回した混合ガスは、流出口3338(1),3338(2)に向けて、流通空間3334内をレーザ光の光軸に沿って移動する。移動の最中に、混合ガスは、レーザ光に含まれる所定値以下の微弱な光を吸収する。
【0139】
なお、入射ウインドウ3332(1)側における混合ガスの旋回方向と、出射ウインドウ3332(2)側における混合ガスの旋回方向とは、同一方向である。
【0140】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、入射ウインドウ3332(1)及び出射ウインドウ3332(2)の両方に、各ウインドウの内側表面を混合ガスが旋回して流れるようにして、各ウインドウの接線方向と平行に複数の流入口をそれぞれ設ける構成とした。従って、各ウインドウ3332(1),3332(2)を混合ガスが旋回しながらウインドウの内面を通過するので、各ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布をレーザ光の光軸に対して軸対称にすることができる。
【実施例3】
【0141】
図16,図17に基づいて第3実施例を説明する。本実施例では、流通空間3334内の混合ガスを均一に各流出口3338(1)〜3338(4)に移動させるべく、「流通制御部材」としてのポーラス円筒管3340(1),3340(2)を各ウインドウ3332(1),3332(2)側に設けている。図16は、本実施例によるSAガスセル330Bの説明図である。図17は、ポーラス円筒管3340を模式的に示す断面図である。
【0142】
図16の左側に示すように、入射ウインドウ3332(1)の内面側には、レーザ光の光軸に対して軸対称になるように、2個の流出口3338(1),3338(2)が直径方向に設けられている。さらに、入射ウインドウ3332(1)の内面外周側と流出口3338(1)、3338(2)との間には、ポーラス円筒管3340(1)が設けられている。
【0143】
図16の右側に示すように、出射ウインドウ3332(2)の内面側にも、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように、2個の流出口3338(3),3338(4)が直径方向に設けられている。出射ウインドウ3332(2)の内面外周側と流出口3338(3),3338(4)との間にも、ポーラス円筒管3340(2)が設けられている。
【0144】
各ウインドウ3332(1),3332(2)の間には、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように、2個の流入口3336(1),3336(2)が直径方向に設けられている。混合ガスは、各流入口3336(1),3332(2)から流通空間3334の中央部に流入する。混合ガスは、レーザ光に含まれる微弱光を吸収しながら、左右の各流出口3338(1)〜3338(4)に向けて、レーザ光の光軸に沿って移動する。混合ガスは、ポーラス円筒管3340(1),3340(2)を介して各流出口3338(1)〜3338(4)に流入し、各流出口3338(1)〜3338(4)から排出管路333(2)に排出される。
【0145】
ここで、図17の断面図を参照する。図17は、一方のポーラス円筒管3340(1)の構成を示す断面図である。他方のポーラス円筒管3340(2)は、一方のポーラス円筒管3340(1)と同様に構成されているので、その説明を省略する。
【0146】
ポーラス円筒管3340(1)は、ウインドウ3332(1),3332(2)と同軸配置される。この結果、ポーラス円筒管3340(1)の中心は、レーザ光の光軸中心と略一致するようになっている。
【0147】
ポーラス円筒管3340(1)は、鍔部3341と、鍔部3341に一体的に形成された筒部3342とを備える。筒部3342には、混合ガスを流通させるための多数の小孔3343が形成されている。小孔3343は「流通孔」に該当する。筒部3342は、例えば、多孔質のアルミナセラミックスや、多孔質ステンレス鋼焼結体等から筒状に形成される。
【0148】
筒部3342の一端側(図17中の左側)は、入射ウインドウ3332(1)の内面側に位置するホルダ3300の内壁に、当接して設けられている。筒部3342の他端側(図17中の右側)には、環状の鍔部3341が一体的に設けられている。
【0149】
鍔部3341の内周側は筒部3342の他端部に一体化されており、鍔部3341の外周側はホルダ3300の内周に当接している。鍔部3341に小孔は設けられておらず、混合ガスは、鍔部3341を実質的に通過できないようになっている。但し、鍔部3341を多孔質材料から形成し、混合ガスが流通可能な構成としてもよい。
【0150】
本実施例では、各ウインドウ3332(1),3332(2)側に各流出口3338(1)〜3338(4)を設け、かつ、各流出口3338(1)〜3338(4)を覆うようにして、多数の小孔3343を有するポーラス円筒管3340(1),3340(2)を設ける。これにより、ポーラス円筒管3340(1),3340(2)の筒部3342内に流入した混合ガスは、各小孔3343を介して、流出口側に流出する。図16の左側及び右側に示すように、混合ガスは、SAガスセル330Bの中心軸(この中心軸は、レーザ光の光軸と略一致する)から放射状に流出する。
【0151】
従って、本実施例では、混合ガスを、レーザ光の光軸を中心として、ウインドウ3332(1),3332(2)の内面側を放射状に均一に流すことができる。これにより、各ウインドウ3332(1),3332(2)の内面側を流れる混合ガスの温度分布をレーザ光軸に対して軸対称にできる。従って、各ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布を、レーザ光の光軸を中心として軸対称にすることができる。
【0152】
このため、本実施例は、前記各実施例と同様に、SAガスセル330Bを透過するレーザ光の波面の形状を軸対称の形状にすることができ、波面補正器34による補正を容易に行うことができる。
【実施例4】
【0153】
図18に基づいて第4実施例を説明する。本実施例では、複数のSAガスセル330C(1)〜330C(4)を連結し、隣り合うSAガスセルでの混合ガスの流通方向を逆向きに設定している。さらに、本実施例では、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)間のウインドウ3332(2)〜3332(4)を共用する。
【0154】
図18の構成図では、説明の便宜上、SAガスセルコントローラ80,ガス温度コントローラ82,レーザコントローラ60,圧力センサ336(1),温度センサ336(2)を取り除いた状態で、SA装置33Cを示す。
【0155】
合計4個のSAガスセル330C(1)〜330C(4)は、隣接して配置されており、供給管路333(1)及び排出管路333(2)に対して、並列に設けられている。隣り合う2個のSAガスセルはペアを形成する。第1SAガスセル330C(1)と第2SAガスセル330C(2)とは、第1のペアを形成する。第3SAガスセル330C(3)と第4SAガスセル330C(4)とは、第2のペアを形成する。そして、各ペアにおいて、隣接するSAガスセルにおける混合ガスの流通方向は、逆向きとなっている。
【0156】
図示の例では、第1SAガスセル330C(1)の混合ガスは、図中下から上に向けて流れ、第1SAガスセル330C(1)に隣接する第2SAガスセル330C(2)の混合ガスは、図中上から下に向けて流れる。第2SAガスセル330C(2)に隣接する第3SAガスセル330C(3)の混合ガスは、図中下から上に向けて流れ、第3SAガスセル330C(3)に隣接する第4SAガスセル330C(4)の混合ガスは、上から下に流れる。
【0157】
本実施例では、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)を連結するため、SAガスセル間のウインドウを共用できる。第1ウインドウ3332(1)は、第1SAガスセル330C(1)の入射ウインドウである。第2ウインドウ3332(2)は、第1SAガスセル330C(1)の出射ウインドウであり、かつ、第2SAガスセル330C(2)の入射ウインドウでもある。第3ウインドウ3332(3)は、第2SAガスセル330C(2)の出射ウインドウであり、かつ、第4SAガスセル330C(4)の入射ウインドウでもある。第5ウインドウ3332(5)は、第4SAガスセル330C(4)の出射ウインドウである。
【0158】
本実施例では、隣接するSAガスセルにおける混合ガスの流通方向が互いに逆向きとなるようにしている。レーザ光が、一方のSAガスセルを透過すると、ウインドウの温度分布に応じて、その波面が一方向に歪む。他方のSAガスセルでは、混合ガスの流通方向が一方のSAガスセルでの流通方向と逆向きになっているため、ウインドウの温度分布も一方のSAガスセルの温度分布と逆になる。従って、一方のSAガスセルを透過した混合ガスが、他方のSAガスセルを透過すると、その波面を逆方向に歪ませようとする作用が生じることと、中間部のウインド3332(2)、3332(3)及び3332(4)で温度分布の発生が抑制されることとにより、結果的に、そのレーザ光の波面の変化は抑制される。
【0159】
従って、本実施例も前記各実施例と同様の効果を奏する。なお、本実施例では、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)のガス配管を並列に設ける場合を述べたが、これに代えて、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)のガス配管を直列に配置してもよい。
【0160】
つまり、供給管路333(1)を第1SAガスセル330C(1)の流入口にのみ接続し、第1SAガスセル330C(1)の流出口を第2SAガスセル330C(2)の流入口に接続し、第2SAガスセル330C(2)の流出口を第3SAガスセル330C(3)の流入口に接続させる。さらに、第3SAガスセル330C(3)の流出口を第4SAガスセル330C(4)の流入口に接続し、第4SAガスセル330C(4)の流出口に排出管路333(2)を接続させる、構成としてもよい。
【0161】
さらに、本実施例では、図18中の上から下に、または、下から上に、混合ガスを流す場合を説明した。これに代えて、例えば、ウインドウを正面から見た場合における左右方向や斜め方向等のように、他の方向に混合ガスを流通させる構成としてもよい。隣接するSAガスセルにおける混合ガスの流通方向が互いに逆方向に設定されていればよい。
【0162】
さらに、本実施例では、4個のSAガスセル330C(1)〜330C(4)を連結させる場合を述べたが、これに代えて、2個または6以上の偶数個のSAガスセルを連結させる構成としてもよい。それにより、ウインドウを共有してSA装置の製造コストを低減できる。
【0163】
さらに、本実施例では、複数のSAガスセル330C(1)〜330(4)をウインドウを共有するように連結させているが、これに限らず、複数のSAガスセルを、隣り合うSAガスセルでの混合ガスの流通方向が逆向きとなるように、各SAガスセルをそれぞれ単独で配置させる構成でもよい。
【実施例5】
【0164】
図19,図20に基づいて第5実施例を説明する。本実施例では、波面補正器34とセンサ36とSA装置33の位置関係の変形例を説明する。レーザ光が透過するのはSAガスセル330であるが、この実施例では便宜上、レーザ光がSA装置33を透過する、と表現する。
【0165】
図19(a)は、SA装置33の下流側に、波面補正器34及びセンサ36を配置する構成を示す。レーザ光は、平面波でSA装置33を透過し、その波面が凸波面となる。さらに、SA装置33を透過するレーザ光の波面の方向は、図中の下方向に傾斜する。SA装置33を透過したレーザ光は、波面補正器34により波面が補正されてセンサ36に入力される。
【0166】
波面補正コントローラ(WFC-C)50は、センサ36により検出されたビーム特性に基づいて、所定のビーム特性となるように波面補正器34を制御する。この実施例では、レーザ光が平面波として出力される。なお、所定のビーム特性とは、平面波であって、かつ、その進行方向(角度)がSA装置33に入射する前と同じ方向である、特性を意味する。
【0167】
図19(b)は、SA装置33の上流に波面補正器34を配置し、SA装置33の下流にセンサ36を配置した場合を示す。レーザ光は、波面補正器34を通過することにより、その波面が補正される。そして、波面の補正されたレーザ光は、SA装置33を透過した後、センサ36に入射する。波面補正コントローラ50は、センサ36により検出されたビーム特性に基づいて、所定のビーム特性となるように、波面補正器34を制御する。
【0168】
図19(c)は、SA装置33の上流に、波面補正器34とセンサ36とを、この順番で配置する場合を示す。レーザ光は、波面補正器34を透過して、センサ36に到達する。波面補正コントローラ50は、センサ36により検出されたビーム特性に基づいて、所定のビーム特性となるように、波面補正器34を制御する。レーザ光は、センサ36を透過した後、SA装置33に入射する。レーザ光は、SA装置33を透過することにより平面波に変換され、出力される。この例では、SA装置33における波面の歪みを予測しておいて、波面補正器34とSA装置33とを透過したときに正常な波面に戻るように、波面補正器34を制御する。
【0169】
図20に示すように、複数のセンサ36または複数の波面補正器34を設ける構成としてもよい。図20(a)は、SA装置33の上流に、波面補正器34とセンサ36(1)とを、その順番で配置しており、さらに、SA装置33の下流に、別のセンサ36(2)を配置する。
【0170】
レーザ光は、波面補正器34を透過して、第1のセンサ36(1)に入力される。第1のセンサ36(1)は、SA装置33に入力されるレーザ光の特性を計測し、その計測結果を波面補正コントローラ50に送る。
【0171】
レーザ光は、SA装置33を透過した後、第2のセンサ36(2)に入力される。第2のセンサ36(2)は、レーザ光の特性を計測して波面補正コントローラ(WFC−C)50に送信する。波面補正コントローラ(WFC−C)50は、第1のセンサ36(1)及び第2のセンサ36(2)により検出される、2つのビーム特性に基づいて、両センサの位置においてそれぞれ所定のビーム特性となるように、波面補正器(WFC)34を制御する。レーザ光は、第2のセンサ(2)を通過した後、平面波として出力される。
【0172】
図20(b)は、SA装置33の上流側に、第1の波面補正器(WFC)34(1)及び第1のセンサ36(1)を配置し、SA装置33の下流側に、第2の波面補正器(WFC)34(2)及び第2のセンサ36(2)を配置した場合を示す。
【0173】
レーザ光は、波面補正器(WFC)34(1)を透過した後、センサ36(1)に入力される。センサ36(1)は、SA装置33に入力されるレーザ光の特性を計測して、その計測結果を波面補正コントローラ(WFC−C)50に出力する。センサ36(1)を通過したレーザ光は、SA装置33を透過した後、波面補正器(WFC)34(2)に入力される。レーザ光は、波面補正器(WFC)34(2)を透過した後、センサ36(2)に入力される。センサ36(2)は、レーザ光の特性を検出して波面補正コントローラ(WFC−1)50に出力する。波面補正コントローラ50(WFC−C)は、第1のセンサ36(1)及び第2のセンサ36(2)により検出される、2つのビーム特性に基づいて、両センサの位置においてそれぞれ所定のビーム特性となるように、第1の波面補正器(WFC)34(1)及び第2の波面補正器(WFC)34(2)を制御する。
【実施例6】
【0174】
図21に基づいて第6実施例を説明する。本実施例では、波面曲率補正器200を透過光学系で構成する場合を説明する。図21に示すように、凸レンズ201と、凹レンズ202とを用いて、波面曲率補正器200を構成することができる。
【0175】
図21(a)は、入力された平面波を平面波として出力する様子を示す。凸レンズ201の焦点位置と凹レンズ202の焦点位置とが共焦点cfで一致するのであれば、レーザ光が、平面波の状態で凸レンズ201を透過すると、凹波面に変換される。その凹波面のレーザ光が凹レンズ202を透過すると、平面波に変換される。
【0176】
図21(b)は、凸面波を平面波に変換する様子を示す。凸レンズ201は、図21(a)に示す位置よりも上流側(図21中左側)に移動している。凸レンズ201の焦点位置F1と凹レンズの焦点位置F2とは、レーザ光の光軸上にそれぞれ位置し、凸レンズ201の焦点F1の方が上流側に位置する。
【0177】
SA装置33における熱の影響によって、レーザ光が凸面波に変化した場合、そのレーザ光は、発散光の状態で凸レンズ201に入射し、凸レンズ201により凹面波に変化される。凹面波に変換されたレーザ光は、凹レンズ202を透過することにより、平面波に変換される。
【0178】
図21(c)は、凹面波を平面波に変換する様子を示す。凸レンズ201の焦点位置F1と凹レンズ202の焦点位置F2とは同一の光軸上にあり、焦点位置F2は焦点位置F1よりも上流側に配置される。凸面波のレーザ光が凸レンズ201に入射すると凹面波に変換される。その凹面波のレーザ光は、凹レンズ202を通過することにより、平面波に変換される。
【0179】
図21(d)は、2つの凸レンズ201,203を用いて波面曲率補正器200を構成する例を示す。凸レンズ201は、1軸ステージ204によって、図21中の左右方向(光軸方向)に移動可能となっている。
【0180】
平面波(平行光)で入力されるレーザ光を、平面波(平行光)で出力させる場合、凸レンズ201の焦点位置と凸レンズ203の焦点位置とが一致するように、凸レンズ201の位置が設定される。
【0181】
熱負荷により、レーザ光が収束光(凹波面)となった場合、1軸ステージ204によって、凸レンズ201を光軸上の下流側位置20IRに移動させる。逆に、レーザ光が発散光(凸波面)となった場合、1軸ステージ204によって、凸レンズ201を光軸上の上流側位置201Lに移動させる。
【実施例7】
【0182】
図22に基づいて第7実施例を説明する。本実施例では、波面曲率補正器200Bを反射型光学系として構成する場合の一例を説明する。波面曲率補正器200Bは、2枚の反射ミラー205(1),205(2)と、2枚の軸外放物凹面ミラー206(1),206(2)とを備えている。図22中の上側に位置する反射ミラー205(1)及び軸外放物凹面ミラー206(1)は、プレート207に取り付けられている。プレート207は、図22中の上下方向に移動可能である。各ミラー205(1),206(1)は、プレート207と共に上下動する。
【0183】
図22(a)は、平行光(平面波)として入力されたレーザ光を、平行光(平面波)のままで出力する場合の配置である。この場合、軸外放物面凹面ミラー206(1)の焦点位置と軸外放物面凹面ミラー206(2)の焦点位置とを一致させて、共焦点cfの状態とする。
【0184】
レーザ光は、図22中左側(上流側)から反射ミラー205(2)に入射して反射され、もう一つの反射ミラー205(1)に入射する。その反射ミラー205(1)により反射されたレーザ光は、軸外放物凹面ミラー206(1)に入射する。そのレーザ光は、軸外放物凹面ミラー206(1)によって45度の反射角度で反射され、焦点位置cfに集まる。レーザ光は、焦点位置cfから広がって、軸外放物凹面ミラー206(2)に入射し、45度の反射角度で反射される。
【0185】
図22(b)は、収束光(凹波面)として入力されるレーザ光を、平行光(平面波)に変換して出力する場合の配置である。この場合、プレート207を下側に移動させて、軸外放物面凹面ミラー206(1)の集光点位置fを光軸上の下流側に移動させる。これにより、軸外放物凹面ミラー206(1)の集光点位置と軸外放物面凹面ミラー206(2)の焦点位置とを光軸上で一致させる。
【0186】
なお、レーザ光が発散光(凸波面)として入力される場合は、プレート207を図22中の上側に移動させる。
【0187】
このように構成される波面曲率補正器200Bでは、プレート207に反射ミラー205(1)及び軸外放物凹面ミラー206(1)を固定して、両ミラー205(1),206(1)を光軸上に(図22中の上下方向に)同時に移動させる。これにより、本実施例では、入力光の光軸と出力光の光軸とを一致させて、波面の曲率を補正できる。
【0188】
さらに、本実施例の波面曲率補正器200Bは、反射型光学系として構成されるため、レーザ光が波面曲率補正器200Bを通過した場合でも、波面曲率補正器自体の熱による波面変化を少なくすることができる。これにより、高出力のレーザ光が使用された場合でも、高精度に波面の曲率を補正することができる。
【実施例8】
【0189】
図23に基づいて第8実施例を説明する。本実施例の波面曲率補正器200Cは、軸外放物凹面ミラー206と、軸外放物凸面ミラー208と、2枚の反射ミラー205(1),205(2)とを含む反射光学系から構成される。
【0190】
軸外放物凹面ミラー206及び反射ミラー205(1)は、上下動可能なプレート207に取り付けられている。さらに、軸外放物凸面ミラー208の焦点位置と軸外放物凹面ミラー206の焦点位置は、cfで一致するように配置されている。
【0191】
平行波面のレーザ光は、軸外放物凸面ミラー208により反射され、発散光として軸外放物凹面ミラー206に入射し、平面波に変換される。平面波のレーザ光は、各反射ミラー205(1),205(2)で反射されて出力される。第7実施例と同様に、プレート207を上下に移動させることにより、入力されたレーザ光の波面を平面波に補正して出力させることができる。
【0192】
このように構成される本実施例も第7実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、軸外放物面の凹面206と軸外放物面の凸面208とを組み合わせることにより、両軸外放物面ミラー間の距離を短くできる。従って、第7実施例に比べて、全体寸法を小型化できる。
【実施例9】
【0193】
図24,図25に基づいて第9実施例を説明する。本実施例では、波面曲率補正器200D,200Eを、一つの凸面ミラー209と一つの凹面ミラー210とをZ型に配置することにより構成する。
【0194】
図24は、上流側の球面凸面ミラー209と下流側の球面凹面ミラー210とをZ型に配置して構成される波面曲率補正器200Dを示す。例えば、発散光(凸波面)のレーザ光が凸面ミラー209に入射すると、凸面ミラー209は、3度以下程度の小さな入射角度αでレーザ光を反射する。反射されたレーザ光は、凹面ミラー210に入射角度αで入射し、平行光(平面波)に変換されて出力される。
【0195】
例えば、図24中に矢印で示すように、凹面ミラー210の位置を、凸面ミラー209の反射光軸に沿って移動させることにより、レーザ光の波面を平面波に変換することができる。
【0196】
図25は、上流側の凹面ミラー210と下流側の凸面ミラー209とをZ型に配置して構成される波面曲率補正器200Eを示す。例えば、発散光(凸波面)のレーザ光が凹面ミラー210に入射すると、凹面ミラー210は、小さな入射角度α(例えば3度以下)でレーザ光を反射する。反射されたレーザ光は、凸面ミラー209に入射角度αで入射し、平行光(平面波)に変換される。例えば、凸面ミラー209の位置を、凹面ミラー210の反射光軸に沿って移動させることにより、レーザ光の波面の曲率を平面波に変換することができる。
【0197】
このように本実施例では、凸面ミラー209と凹面ミラー210とから波面曲率補正器を構成できるため、製造コストを低減できる。また、反射光学系のため、レーザ光が波面曲率補正器を通過する際に生じる波面変化を少なくできる。
【0198】
本実施例では、出力されるレーザ光の光軸が、入力されるレーザ光の光軸から平行に移動する。従って、本実施例に、出力光の光軸を入力光の光軸に一致させるための光学系を追加してもよい。
【実施例10】
【0199】
図26に基づいて第10実施例を説明する。本実施例では、波面補正コントローラ(WFC−C)50からの制御信号によって、その反射面の曲率を可変に制御できる、可変ミラーを用いる。そのような可変ミラーを、本実施例では、VRWM(Variable Radius Wave front Mirror)と呼ぶ。
【0200】
本実施例の波面曲率補正器200Hは、45度入射のVRWMから構成される。図26(a)は、平面波(平行光)として入射するレーザ光を、平面波(平行光)として出射させる場合を示している。平面波を平面波に変換する場合、VRWMの表面はフラットになるように制御される。
【0201】
図26(b)は、凸面(発散光)のレーザ光を、平面波(平行光)のレーザ光に変換する場合を示す。この場合、VRWMがトロイダル形状の凹面となるように、その形状を制御する。
【0202】
図26(c)は、凹面(収束光)のレーザ光を、平面波(平行光)のレーザ光に変換する場合を示す。この場合、VRWMがトロイダル形状の凸面となるように、その形状を制御する。
【0203】
このように構成される本実施例では、VRWMだけで波面曲率補正器200Hを構成できるため、部品点数を少なくしてコンパクトに形成することができ、かつ、一回の反射で補正できるため効率も高い。さらに、本実施例の波面曲率補正器200Hは、入射するレーザ光の光軸を45度に変化させて出射させることができる。従って、レーザ光の光路を45度変化させるための反射ミラーに代えて、本実施例の波面曲率補正器200Hを使用することができる。45度入射のVRMはミラー面がトロイダル形状に変化して、平面波を45度入射で反射させて、所望の曲率半径の球面の波面に変換することができる光学素子である。
【実施例11】
【0204】
図27に基づいて第11実施例を説明する。本実施例では、ミラーの表面を球面形状に所望の曲率半径で可変できるVRWM213と反射ミラー214とをZ型に配置することにより、波面曲率補正器200Jを構成する。
【0205】
図27(a)に示すように、平面波としてVRWMに入射するレーザ光を平面波として出射させる場合、VRWM213がフラットな形状になるように制御する。図27(b)に示すように、凸面波として入射するレーザ光を平面波に変換する場合は、VRWM213の形状を凹面の球面形状に設定する。図27(c)に示すように、凹面波として入射するレーザ光を平面波に変換する場合、VRWMの形状を凸面の球面形状に設定する。
【0206】
このように構成される本実施例も第10実施例と同様の効果を奏する。但し、本実施例では、レーザ光の入射光軸と出射光軸とが平行にずれており、一致しない。従って、光軸を元に戻すための、光学系を本実施例に追加してもよい。
【実施例12】
【0207】
図28に基づいて第12実施例を説明する。本実施例では、角度補正器と波面曲率補正器とを兼用できるようにした波面補正器34Aを説明する。この波面補正器34Aは、VRWM110と反射ミラー111とから構成される。
【0208】
図28(a)は、熱負荷の少ない場合を示す。平面波のレーザ光は、反射ミラー111に45度で入射して反射され、45度の入射角度でVRWM110に入射する。VRWM110は、フラットな形状となるように制御されている。レーザ光は、VRWM110のフラットなミラー面で反射して、平面波の状態で出力される。
【0209】
なお、平面波の入射光を平面波の出射光に変換する場合に限らない。発散光(凸波面)として入力されるレーザ光が、所望曲率の波面を有するレーザ光として出力されるように、VRWMの焦点距離を一定値に制御することもできる。
【0210】
図28(b)は、レーザ光の角度(方向)及び波面の曲率が変化した場合を示す。熱負荷の影響によって、入射するレーザ光の方向が図28中の下側に傾き、その波面が発散光(凸波面)に変化したとする。その場合、反射ミラー111で反射されるレーザ光の光軸が基準光軸と一致するように、反射ミラー111の角度を制御する。
【0211】
反射ミラー111で反射されたレーザ光は、45度の入射角度でVRWM110に入射する。VRWM110で反射されるレーザ光が平面波となるように、VRWM110の形状はトロイダル形状の凹面状に設定される。
【0212】
なお、凸面波のレーザ光を平面波に変換する場合を述べたが、これに限らない。凹面波のレーザ光を平面波に変換することもできるし、あるいは、凸波面や凹面波の入射光を、所望の曲率の波面を有する出射光に変換することもできる。
【0213】
また、許容収差以内の入射角度の場合、例えば、VRWM110の水平方向と垂直方向の2軸の角度を制御することにより(チルトとロールを制御することにより)、出射光の光軸を基準光軸に一致させてもよい。
【実施例13】
【0214】
図29に基づいて第13実施例を説明する。本実施例では、反射ミラー113とVRWM112とをZ型に配置することにより、角度補正器と波面曲率補正器を兼用する波面補正器34Bを構成する。入射角度は、2.5度である。
【0215】
図29(a)は、熱負荷の低い場合を示す。平面波のレーザ光は、反射ミラー113に入射角度2.5度で入射して反射される。反射されたレーザ光は、2.5度の角度でVRWM112に入射する。VRWM112の形状はフラットに制御されており、レーザ光を平面波の状態で反射する。なお、平面波の場合を述べたがこれに限らず、例えば、凸面波や凹面波が入力された場合でも、VRWM112の形状を変化させることにより、所定曲率の波面を有するレーザ光として出力させることもできる。
【0216】
図29(b)は、熱負荷の高い場合を示す。入射するレーザ光の角度が図29中の下側に傾き、かつ、そのレーザ光の波面が凸面波になった場合を述べる。この場合、反射ミラー113の角度を変化させて、反射ミラー113で反射されるレーザ光の光軸を、基準光軸(図29(a)に示す光軸)に一致させる。
【0217】
反射ミラー113により反射された光は、2.5度の入射角度でVRWM112に入射する。VRWM112は、VRWM112で反射されたレーザ光が平面波となるように、その形状が球面の凸面状に変化され、かつ、その角度が調整される。なお、平面波に変換する場合に限らず、凹面波や凸面波を所望曲率の波面に変換して出力させることもできる。このとこは、以下の各実施例でも同様である。
【実施例14】
【0218】
図30に基づいて第14実施例を説明する。本実施例では、2枚の凸レンズ114,115を用いることにより、角度補正器と波面曲率補正器とを兼用する波面補正器34Cを構成する。凸レンズ115は、光軸に直交する方向(図30の上下方向)に位置を調整するための移動ステージ117上に設けられている。さらに、その移動ステージ117は、光軸方向に位置を調整するための別の移動ステージ118上に設けられている。従って、凸レンズ115は、光軸方向及び光軸に直交する方向のいずれにも移動させることができる。符号119は、凸レンズ114を通過した光が集まる点(集光点)である。
【0219】
図30(a)は、熱負荷の小さい場合を示す。平面波のレーザ光は、凸レンズ114を透過して、凸レンズ114の焦点位置に集まる。凸レンズ115は、凸レンズ115の焦点位置が凸レンズ114の焦点位置と同一光軸上で一致するように、配置される。その位置に集光した光は、発散光となって凸レンズ115に入射し、凸レンズ115により平面波に変換されて、出力される。
【0220】
図30(b)は、熱負荷の大きい場合を示す。熱負荷の影響により、レーザ光は、その入射方向が斜め上側に傾き、かつ、発散光(凸波面)となっている。そこで、発散光は凸レンズ114の焦点の位置よりも遠くに集光する。そして、この集光点119と凸レンズ115の前側焦点とが一致するように、凸レンズ114の位置を光軸方向(図30の左右方向)で移動させる。さらに、凸レンズ115は、光軸に対して直交する方向(図30の上下方向)で移動させる。これにより、レーザ光の出射方向を基準光軸方向に一致させる。凸レンズ114を通過したレーザ光は、凸レンズ115に入射して平面波に変換され、基準光軸に沿って出力される。
【0221】
なお、凸レンズ114と凸レンズ115の結合に限定されず、1枚の凸レンズと1枚の凹レンズとの結合によって、角度補正及び波面の曲率補正を行う波面補正器34を構成してもよい。
【実施例15】
【0222】
図31に基づいて第15実施例を説明する。本実施例では、ディフォーマブルミラー120と反射ミラー121とを用いて、角度補正器と波面曲率補正器とを兼用する波面補正器34Dを構成する。
【0223】
図31に示すように、ディフォーマブルミラー120と反射ミラー121とは、Z型に配置される。ディフォーマブルミラー120の反射面の形状は、波面補正コントローラ50から入力される制御信号に応じて、可変に制御される。
【0224】
歪んだ波面のレーザ光がディフォーマブルミラー120に入射する場合、その入射する波面に合わせて、ディフォーマブルミラー120の反射面形状を調節する。ディフォーマブルミラー120は、入射するレーザ光の波面を平面波に補正して反射させる。平面波に補正されたレーザ光は、反射ミラー121により反射されて出力される。
【0225】
ディフォーマブルミラー120を用いることにより、球面波ではない波面、例えばS字のような波面でも、平面波や所望の球面波に変換することができる。また、小さな角度であれば、レーザ光の方向も補正可能である。なお、反射ミラー121及びディフォーマブルミラー120のそれぞれについて、チルト及びロールを制御することにより、レーザ光の方向を調整することもできる。実施例16でも同様である。
【実施例16】
【0226】
図32に基づいて第16実施例を説明する。本実施例ではディフォーマブルミラー120と偏光制御とを結合させることで、波面補正器34Eを構成する。波面補正器34Eは、ディフォーマブルミラー120と、ビームスプリッタ122と、λ/4板123とを備える。ビームスプリッタ122とλ/4板123との間に、SA装置33を配置させることができる。
【0227】
例えば、P偏光とS偏光とを分離させるための膜が設けられた、ビームスプリッタ122に、P偏光(紙面を含む偏波面)のレーザ光が入射する。そのレーザ光の波面は、平面波の状態でビームスプリッタ122に入力されるものとする。しかし、そのレーザ光は、ビームスプリッタ122からSA装置33を通過することにより、その波面がS字状に歪んだとする。
【0228】
SA装置33を通過したレーザ光は、λ/4板123を透過することにより、円偏光となる。S字状に歪んだ波面は、適切な形状に調節されたディフォーマブルミラー120により、所定の波面に補正される。
【0229】
波面の補正されたレーザ光は、再びλ/4板123を透過し、S偏光に変換される。S偏光のレーザ光は、SA装置33を透過することにより、所定の波面から平面波に変換される。平面波に変換されたレーザ光は、ビームスプリッタ122に入射する。S偏光のレーザ光は、ビームスプリッタ122で反射され、平面波として出力される。ディフォーマブルミラー122の表面形状を調節することにより、平面波以外の所望の波面形状で出力させることもできる。
【実施例17】
【0230】
図33に基づいて第17実施例を説明する。本実施例では、ウインドウ300Wを用いてセンサ36Bを構成する。ウインドウ300Wは、ウインドウ基板300AWと、ウインドウ基板300AWを保持するためのホルダ300BWとを備える。ホルダ300BWは、図示しない水冷ジャケットを備えている。
【0231】
ウインドウ300Wは、ドライバレーザ光の光軸中に、傾いた状態で配置される。ウインドウ300Wの表面で反射された僅かなレーザ光は、サンプル光として光学的センサ部360に入射する。
【0232】
ウインド300Wとしては、例えば、アンプ32,35のウインドウや、EUVチャンバ10のウインドウ13を利用することもできる。この場合、計測用のサンプル光を得るだけのためにウインドウを設ける必要がなく、製造コストを低減できる。ウインドウ基板300Aは、例えば、ダイヤモンドのようなCO2レーザ光を透過し、熱伝導性の高い材質から構成される。
【0233】
平行平面ウインドウ300Wでは、表面と裏面の両方でレーザ光がそれぞれ僅かに反射されて、サンプル光として光学的センサ部360に入射する。従って、ビームプロファイルの計測には適さない。しかし、サンプル光を集光レンズで焦点の位置に集光して、焦点像の位置を計測し、レーザ光の角度(方向)とビームの広がり角を計測することはできる。また、レーザのビームラインのデューティ及びパワーも、不都合なく計測できる。
【実施例18】
【0234】
図34に基づいて第18実施例を説明する。本実施例では、SAガスセル330の入射ウインドウ3332(1)によって反射される光を、光学的センサ部360によって計測する。反射光を計測するために、ウインドウ3332(1)を鉛直方向から角度θ2だけ傾ける。
【0235】
本実施例では、レーザ光をサンプリングするための専用の光学素子を必要とせず、ウインドウ3332(1)を利用するため、レーザ光の損失を少なくでき、かつ、コストを低減することができる。
【実施例19】
【0236】
図35に基づいて第 実施例を説明する。本実施例では、ビームプロファイラ304A,304Bを用いて、センサ36Cを構成する。本実施例では、反射ミラー302Aの透過光ビームプロファイラ304Aで検出し、反射ミラー302Bの透過光をビームプロファイラ304Aで検出する。ビームプロファイラの計測結果に応じて、波面補正器(WFC)34が調整される。
【0237】
反射ミラー302Aの裏面側とビームプロファイラ304Aとの間には、レンズ303Aが設けられている。同様に、反射ミラー302Bの裏面側とビームプロファイラ304Bとの間には、レンズ303Bが設けられている。
【0238】
平面波のレーザ光は、リレー光学系31を透過して、SA装置33を透過することにより、レーザ光の方向と波面の曲率が変化する。その方向及び波面の曲率の変化したレーザ光は、波面補正器(WFC)34に入射する。波面補正器(WFC)34は、波面の曲率とレーザ光の角度(方向)とを補正して、レーザ光を出力する。
【0239】
波面補正器(WFC)34で補正されたレーザ光は、反射ミラー302Aにより反射されて、反射ミラー302Bに入射する。一方、反射ミラー302Aを僅かに透過するサンプル光は、転写レンズ303Aにより、ビームプロファイラ304Aの有する2次元センサ上に転写される。その2次元センサにより、レーザ光のビーム形状と位置とが計測される。
【0240】
ビームプロファイラ304Aからの計測データは、波面補正コントローラ(WFC−C)50に入力される。波面補正コントローラ(WFC−C)50は、波面補正器(WFC)34に、レーザ光の位置が基準位置となるように、制御信号を送信して制御する。
【0241】
一方、反射ミラー302Bを僅かに透過した光は、転写レンズ303Bにより、ビームプロファイラ304Bの備える2次元センサ上に転写される。2次元センサは、レーザ光のビーム形状と位置とを計測する。
【0242】
ビームプロファイラ304Bで計測されたデータは、波面補正コントローラ(WFC−C)50に入力される。波面補正コントローラ(WFC−C)50は、反射ミラー302Aの角度を調整するためのアクチュエータ305に制御信号を出力し、ビームプロファイラ304Bで計測されるレーザ光の位置が基準位置となるように反射ミラー302Aの角度を制御する。さらに、レーザ光の波面の曲率を制御するために、レーザのビーム形状が所定の値となるようにWFCに制御信号を送る。
【0243】
このように構成される本実施例では、反射ミラー302A,302Bをレーザ光が透過する側(反射ミラーの裏側)にビームプロファイラ304A,304Bを配置するため、コンパクトにセンサ36Cを構成することができる。さらに、図37に示す計測用光学系によって、ドライバレーザ光の波面が影響されるのを少なくすることができる。
【実施例20】
【0244】
図36に基づいて第20実施例を説明する。本実施例では、SAガスセル330に温度センサ312(1)〜312(4)をいずれか1つまたは複数設け、ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布を直接的にまたは間接的に計測する。
【0245】
第1の温度センサ312(1)は、SAガスセル330内の流通空間3334に流入する混合ガスの温度を計測する。第1の温度センサ312(1)は、例えば、供給管路333(1)の途中や、供給管路333(1)に接続される流入口等に設けることができる。第2の温度センサ312(2)は、流通空間3334から排出される混合ガスの温度を計測する。第2の温度センサ312(2)は、例えば、排出管路333(2)の途中や、排出管路333(2)に接続される流出口等に設けることができる。
【0246】
熱負荷判定部314は、流入側の温度Tinと流出側の温度Toutとの差から、熱量Qを算出できる(Q=k(Tout−Tin):kは比例定数)。熱量Qは、混合ガスに吸収された光量に対応する。この熱量Qに基づいて、SAガスセル330の熱負荷の状態を算出できる。熱負荷判定部314は、その算出結果を波面補正コントローラ50に出力する。
【0247】
第3の温度センサ312(3)は、出射ウインドウ3332(1)の端部付近の温度を検出して、熱負荷判定部314に出力する。第3の温度センサ312(3)は、例えば、半導体式温度センサや熱電対等のような接触型の温度センサとして構成される。熱負荷判定部314は、その温度に基づいて、SAガスセル330の熱負荷の状態を計測できる。
【0248】
第4の温度センサ312(4)は、非接触式の温度センサであり、入射ウインドウ3332(1)の表面温度を離れた場所で計測する。第4の温度センサ312(4)は、例えば、放射温度計として構成される。熱負荷判定部314は、第4の温度センサ312(4)で検出された温度や温度分布に基づいて、SAガスセル330の熱負荷の状態を計測する。
【実施例21】
【0249】
図37を参照して第21実施例を説明する。本実施例では、入射ウインドウと出射ウインドウとを共通のウインドウとして構成し、流通空間3334内に、入射レーザ光を反射させるための反射光学系3335を設ける。
【0250】
SA装置33AのSAガスセル330Dは、一方の側に単一のウインドウ3332を備える。その単一ウインドウ3332は、例えば、ダイヤモンドウインドウとして構成され、入射ウインドウと反射ウインドウの両方の機能を兼ね備える。SAガスセル330Dの内部には、ウインドウ3332に対面するようにして、高反射ミラー3335が設けられる。高反射ミラー3335は、レーザ光が小さな入射角度で入射するようにして設置される。高反射ミラー3335の設置角度は、レーザの入射ビームとレーザの反射ビームとが可飽和吸収セルの外で分離するような値に設定される。高反射ミラー3335は、レーザ光を高い反射率で反射するミラーである。高反射ミラー3335には、冷却水等を用いた冷却機構(不図示)が設けられており、レーザ光の熱により歪まないようになっている。
【0251】
レーザ光は、ウインドウ3332を介して流通空間3334内に入射し、高反射ミラー3335により反射される。反射されたレーザ光は、入射時に通過したウインドウ3332を再び通過して、SAガスセル330Dの外部に出射する。
【0252】
本実施例では、上述のように、SAガスセル330D内でレーザ光を折り返すため、一つのウインドウ3332を入射ウインドウおよび出射ウインドウとして使用できる。従って、高価なダイヤモンドウインドウを1枚だけ用いるだけで、SAガスセル330Dを製造することができ、製造コストを低減できる。
【実施例22】
【0253】
図38を参照して第22実施例を説明する。本実施例のSA装置33Bでは、SAガスセル330E内に、2枚の45度入射の高反射ミラー3335(1),3335(2)を用いる。各高反射ミラー3335(1),3335(2)にも、冷却機構(不図示)が設けられる。
【0254】
各高反射ミラー3335(1),3335(2)は、レーザ光の光軸に対して45度ずつ傾いて配置されており、ウインドウ3332から入射するレーザ光をウインドウ3332に向けて反射させる。このように構成される本実施例でも第21実施例と同様の効果を奏する。
【0255】
なお、本発明は上述した各実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。また、上述の各実施例を適宜組み合わせた構成も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0256】
1:EUV光源装置、2:レーザ光源装置、5:EUV露光装置、10:チャンバ、11:チャンバ本体、12:接続部、13:ウインドウ、14:EUV集光ミラー、15:ターゲット物質供給部、20:レーザ発振器、30:増幅システム、31:リレー光学系、32:プリアンプ、33,33A,33B,33C:可飽和吸収体装置、34,34A,34B,34C,34D,34E:波面補正器、35:メインアンプ、36,36B,36C:センサ、40:集光システム、41:反射ミラー、42:軸外放物凹面ミラー、43:リレー光学系、50:波面補正コントローラ、60:レーザコントローラ、70:EUV光源コントローラ、80:可飽和吸収体ガスセルコントローラ、82:ガス温度コントローラ、100:角度補正器、200,200B,200C,200D,200E,200H,200J:波面曲率補正器、314:熱負荷判定部、330,330A,330B,330C,330D,330E,330P:可飽和吸収体ガスセル、331(1):循環ポンプ、331(2)排気ポンプ、332:熱交換器、333(1):供給管路、333(2):排出管路、334(1):可飽和吸収体ガスボンベ、334(2):バッファガスボンベ、335(1):ガス供給バルブ、335(2):バッファガスバルブ、335(3):可飽和吸収体ガスバルブ、335(4):バッファガスバルブ、336(1):圧力センサ、336(2):温度センサ、360:光学的センサ部、3300:ホルダ、3332(1):入射ウインドウ、3332(2):出射ウインドウ、3334:流通空間、3335,3335(1),3335(2):反射ミラー、3336:流入口、3338:流出口、3340:ポーラス円筒管、3341:鍔部、3342:筒部、3343:小孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置用レーザ光源装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レジストを塗布したウェハ上に、回路パターンの描かれたマスクを縮小投影し、エッチングや薄膜形成等の処理を繰り返すことにより、半導体チップが生成される。半導体プロセスの微細化に伴い、より短い波長の光が求められている。
【0003】
そこで、13.5nmという極端に波長の短い光と縮小光学系とを使用する、半導体露光技術が研究されている。この技術は、EUVL(Extreme Ultra Violet Lithography:極端紫外線露光)と呼ばれる。以下、極端紫外光をEUV光と呼ぶ。
【0004】
EUV光源としては、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)式の光源と、DPP(Discharge Produced Plasma)式の光源と、SR(Synchrotron Radiation)式の光源との三種類が知られている。
【0005】
LPP式光源とは、ターゲット物質にレーザ光(レーザビーム)を照射してプラズマを生成し、このプラズマから放射されるEUV光を利用する光源である。DPP式光源とは、放電によって生成されるプラズマを利用する光源である。SR式光源とは、軌道放射光を使用する光源である。以上三種類の光源のうち、LPP式光源は、他の方式に比べてプラズマ密度を高くすることができ、かつ、捕集立体角を大きくできるため、高出力のEUV光を得られる可能性が高い。
【0006】
そこで、高出力のドライバレーザ光を高い繰り返し周波数で得るために、MOPA(master oscillator power amplifier)方式に従って構成されるレーザ光源装置が提案されている(特許文献1)。
【0007】
LPP式光源では、チャンバ内のターゲット物質に反射されて光路を戻ってくるレーザ光(いわゆる戻り光)や、アンプにおける寄生発振光及び自励発振光を吸収させるべく、可飽和吸収体を使用することができる。
【0008】
可飽和吸収体は、所定値以下の強度のレーザ光を吸収する性質を有する。可飽和吸収体を用いることにより、アンプやレーザ発振器の破損を防止でき、かつ、ペデスタルと呼ばれる小さなパルスを除去してレーザ光の品質を高めることができる。なお、極端紫外光源装置に関する従来技術ではないが、可飽和吸収体に関する技術は知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−128157号公報
【特許文献2】米国特許第3638137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
極端紫外光源装置では、炭酸ガスレーザ(以下、CO2レーザ)を、高出力(パルスエネルギ100〜200mJ)、かつ、高い繰り返し周波数(10〜200kHz)で使用する。極端紫外光源装置には、安定したパルスエネルギ及びパルス波形を有するレーザ光を長時間供給できる能力が求められる。
【0011】
そのような高負荷状態(高い繰り返し周波数及び高いパルスエネルギが要求される状態)においてCO2パルスレーザを安定して長時間使用するためには、寄生発振や自励発振、戻り光による発振を抑制する必要がある。そこで、可飽和吸収体をレーザ光の光路上に可飽和吸収体を配置することにより、寄生発振や自励発振等を防止して、パルスエネルギ及びパルス波形を安定化させる方法が考えられる。
【0012】
しかし、従来技術(US3,638,137)には、そもそも、高出力のCO2パルスレーザを長時間安定して使用するために可飽和吸収体を使用するという目的が存在しない。従って、その従来技術では、CO2レーザの共振器内にガスセルを設けて、そのガスセルにSF6(六フッ化硫黄)のボンベとC2F3のボンベとを接続し、SF6とC2F3との混合ガス(可飽和吸収体ガス)をガスセルに供給する。ガスセルに流入する混合ガスは、所定値以下のレーザ光を吸収して発熱し、ガスセルから排出される。
【0013】
従来技術では、各ボンベのガスが尽きるまでの間、ガスセルに混合ガスを供給して、寄生発振や自励発振、あるいは戻り光による発振を防止できる。しかし、ガスボンベに貯蔵可能なガスの量は有限であり、かつ、いったん使用された混合ガスは廃棄されるため、いずれは各ガスボンベ内のガスを使い切ってしまうことになる。各ガスボンベが空になり、ガスセルに混合ガスを供給できなくなると、ガスセルは期待されている機能を正常に果たすことができなくなる。
【0014】
これに対し、ガスセルに混合ガスを封じ込めたり、ガスセルに供給する混合ガスの流量を少なくすることも考えられる。しかし、これらの場合は、レーザ光の通過によりガスセル内の混合ガスの温度が上昇して、混合ガスが分解してしまい、可飽和吸収体としての役割を果たすことができなくなる。このように従来技術では、可飽和吸収体ガスセルを長時間安定に作動させることができないという問題がある。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、可飽和吸収体セルを長時間安定に動作させることのできる極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体の制御方法を提供することにある。本発明の他の目的は、可飽和吸収体セルを長時間安定して使用することができ、さらに、可飽和吸収体セルを通過するレーザ光の波面を軸対称にして、レーザ光の方向と波面の形状とを所定の方向及び所定の波面の形状に補正することができる、極端紫外光源装置、極端紫外光源装置用レーザ光源装置及び極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体を制御または安定化させる装置及び方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、後述する実施形態の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1観点に係る極端紫外光源装置は、極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、レーザ発振器から出力されるレーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、増幅器により増幅されるレーザ光をチャンバ内の所定位置に集光させることにより、レーザ光をターゲット物質に照射させる集光光学系と、レーザ発振器と所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備える。可飽和吸収体装置は、レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、各ウインドウ間に形成され、可飽和吸収体の流通する流通空間と、流通空間に可飽和吸収体を流入させるための流入口と、流通空間から可飽和吸収体を流出させるための流出口とを、備える可飽和吸収体セルと、流入口と流出口とを接続するための管路と、管路の途中に設けられ、流出口から流出する可飽和吸収体を流入口から流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、管路の途中に設けられ、輸送部により輸送される可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、を備える。
【0017】
第2観点では、第1観点において、可飽和吸収体セルは、レーザ発振器の出力レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、レーザ発振器の出力レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、各ウインドウ間に形成される流通空間と、流入口と、流出口とを、備えて構成される。
【0018】
第3観点では、第1観点において、流通空間内の可飽和吸収体の流れが、流通空間を通過するレーザ光の光軸に対して略対称となるように、流入口及び流出口が配置されている。
【0019】
第4観点では、第1観点において、流通空間内の可飽和吸収体の流れが、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に対して略対称となるように、流入口及び流出口が配置される。
【0020】
第5観点では、第2観点において、各ウインドウの内面側を可飽和吸収体が流通し、かつ、ウインドウ間をレーザ光の光軸に沿って可飽和吸収体が移動するように、流入口または流出口が各ウインドウの近傍に設けられる。
【0021】
第6観点では、第2観点において、流入口は入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、流出口は各ウインドウ間に設けられる。
【0022】
第7観点では、第2観点において、流出口は入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、流入口は各ウインドウ間の略中央部に位置して設けられる。
【0023】
第8観点では、第6観点において、流入口は、各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている。
【0024】
第9観点では、第7観点において、流出口は、各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている。
【0025】
第10観点では、第2観点において、各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、流入口は、入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側のそれぞれの側において、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、入射ウインドウ側に設けられる各流入口は入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、出射ウインドウ側に設けられる各流入口は出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、流出口は、各ウインドウの間に位置して、レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられている。
【0026】
第11観点では、第2観点において、各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、流出口は、入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側のそれぞれの側において、各ウインドウ間を通過するレーザ光に対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、入射ウインドウ側に設けられる各流出口は入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、出射ウインドウ側に設けられる各流出口は出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、流入口は、各ウインドウの間に位置して、レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられている。
【0027】
第12観点では、第2観点において、各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、流出口は、入射ウインドウの側及び出射ウインドウの側のそれぞれの側において、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、流入口は、各ウインドウの間に位置して、レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられており、各ウインドウの内面外周側と各流出口との間には、可飽和吸収体を流通させるための流通孔が複数形成されている流通制御部材が設けられている。
【0028】
第13観点では、第12観点において、流通制御部材は、各ウインドウに同軸に配置される筒状部材であって、その一方の端部が各ウインドウの内面側に設けられ、各流通孔を有する筒状部材と、可飽和吸収体が各流通孔以外から各流出口に流れ込まないように、筒状部材の他方の端部と流通空間の内壁部との間を施蓋する環状の鍔部と、を備えて構成されている。
【0029】
第14観点では、第1観点において、可飽和吸収体セルは複数設けられており、一方の可飽和吸収体セル内の可飽和吸収体の流通方向と他方の可飽和吸収体セル内の可飽和吸収体の流通方向とは、逆向きになるように設定されている。
【0030】
第15観点では、第1観点において、入射ウインドウと出射ウインドウとは共通のウインドウにより構成されており、かつ、流通空間には、共通のウインドウから入射するレーザ発振器の出力レーザ光を反射させて、共通のウインドウから出射させるための反射光学系が設けられている。
【0031】
第16観点では、第1〜第15観点のいずれかにおいて、可飽和吸収体装置を通過するレーザ光の波面を補正するための波面補正装置を備える。
【0032】
第17観点では、第16観点において、波面補正装置は、レーザ光の方向及び波面の形状を直接的または間接的に計測するための波面計測部と、レーザ光の方向及び波面の形状を所定の方向及び所定の波面の形状に補正させるための波面補正部と、波面計測部からの計測結果に基づいて波面補正部を動作させるための波面制御部と、を備えて構成される。
【0033】
第18観点では、第1観点において、輸送部及び温度調節部を制御するための制御部を備える。
【0034】
第19観点では、第1観点において、前記温度調節部は前記可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置で構成されている。
第20観点では、第1〜16観点のいずれかにおいて、前記温度調節部は前記可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置と前記可飽和吸収帯の温度を制御するための制御装置で構成されている。
【0035】
本発明の第21観点に従う極端紫外光源装置は、極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、レーザ発振器から出力されるレーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、増幅器により増幅されて出力されるレーザ光をチャンバ内の所定位置に集光させることにより、増幅後のレーザ光をターゲット物質に照射させる集光光学系と、レーザ発振器と所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、可飽和吸収体装置は、可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、流通空間に可飽和吸収体を流入させるための流入口と、流通空間から可飽和吸収体を流出させるための流出口と、流通空間にレーザ発振器の出力レーザ光を通過させるための、ダイヤモンドから形成されるウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、を備える。
【0036】
本発明に従うパルスレーザ装置は、パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、レーザ発振器から出力されるレーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、レーザ発振器と増幅器との間の光路中または各増幅器の間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、可飽和吸収体装置は、レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、各ウインドウ間に形成され、可飽和吸収体の流通する流通空間と、流通空間に可飽和吸収体を流入させるための流入口と、流通空間から可飽和吸収体を流出させるための流出口とを、備える可飽和吸収体セルと、流入口と流出口とを接続するための管路と、管路の途中に設けられ、流出口から流出する可飽和吸収体を流入口から流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、管路の途中に設けられ、輸送部により輸送される可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、を備える。上記入射ウインドウと出射ウインドウは1つのウインドウで兼用されていてもよい。
【0037】
本発明に従う可飽和吸収体の制御方法は、極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体を制御するための方法であって、極端紫外光を発生させるためのレーザ光が透過する可飽和吸収体セルに、可飽和吸収体を循環させ、循環される可飽和吸収体の温度を所定温度に維持し、可飽和吸収体セルの有する各ウインドウの温度分布がレーザ光の光軸に対して略対称となるように、可飽和吸収体セルに可飽和吸収体を流通させる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、可飽和吸収体を循環させて再利用することができ、かつ、可飽和吸収体の温度を調節することができる。従って、熱による可飽和吸収体の分解を抑制することができ、可飽和吸収体セルを長時間安定して作動させることができる。
【0039】
本発明によれば、流通空間内の可飽和吸収体の流れが、各ウインドウ間を通過するレーザ光の光軸に対して略対称となるように、流入口及び流出口を設ける。従って、可飽和吸収体セルの各ウインドウの温度分布を、レーザ光の光軸に対して軸対称にすることができる。これにより、可飽和吸収体セルを通過したレーザ光の波面の形状を軸対称にして、レーザ光の波面補正を容易に行うことができる。
【0040】
本発明によれば、可飽和吸収セルのウインドウをダイヤモンドで構成することができる。ダイヤモンドウインドウの熱伝導は非常に高いため、ウインドウに生じる温度分布抑制することができる。従って、ダイヤモンドウインドウを透過するレーザ光の波面及び方向を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施例に係るEUV光源装置の構成図。
【図2】SA装置の構成図。
【図3】SAガスセルの構成図。
【図4】可飽和吸収体を透過するレーザ光の波面や方向が変化する様子を示す説明図。
【図5】可飽和吸収体の温度変化を示すグラフ。
【図6】SA装置の全体動作を示すフローチャート。
【図7】ガス排気及びガス充填処理のフローチャート。
【図8】SAガスセルの使用を準備する処理のフローチャート。
【図9】ガス循環及びガス温度を制御する処理のフローチャート。
【図10】異常を検出する処理のフローチャート。
【図11】波面補正器の構成図。
【図12】センサの模式図。
【図13】波面補正処理のフローチャート。
【図14】レーザコントローラがEUV光源コントローラに調整完了を通知する処理のフローチャート。
【図15】第2実施例に係るSAガスセルの構成図。
【図16】第3実施例に係るSAガスセルの構成図。
【図17】ポーラス円筒管の断面図。
【図18】第4実施例に係るSA装置の構成図。
【図19】第5実施例に係り、波面補正器の配置方法を示す説明図。
【図20】図19に続く説明図。
【図21】第6実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図22】第7実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図23】第8実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図24】第9実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図25】図24に続く構成図。
【図26】第10実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図27】第11実施例に係り、波面曲率補正器の構成図。
【図28】第12実施例に係り、波面補正器の構成図。
【図29】第13実施例に係り、波面補正器の構成図。
【図30】第14実施例に係り、波面補正器の構成図。
【図31】第15実施例に係り、センサの構成図。
【図32】第16実施例に係り、センサの構成図。
【図33】第17実施例に係り、センサの構成図。
【図34】第18実施例に係り、センサの構成図。
【図35】第19実施例に係り、センサの構成図。
【図36】第20実施例に係り、センサの構成図。
【図37】第21実施例に係り、SA装置の構成図。
【図38】第22実施例に係り、SA装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、以下に述べるように、レーザ光の通過する光路上に、可飽和吸収体装置33を設ける。可飽和吸収体装置33は、可飽和吸収体ガスの温度を制御しながら、可飽和吸収体ガスを循環させて再使用するようになっている。以下の説明では、可飽和吸収体をSA(Saturable Absorber)と略記する。従って、可飽和吸収体装置33をSA装置33と、可飽和吸収体ガスをSAガスと、可飽和吸収体ガスセル330をSAガスセル330と、それぞれ呼ぶ。
【実施例1】
【0043】
図1〜図14に基づいて本発明の第1実施例を説明する。図1は、EUV光源装置1の全体構成を示す説明図である。
【0044】
EUV光源装置1は、例えば、EUV光を発生させるチャンバ10と、チャンバ10にレーザ光を供給するためのレーザ光源装置2と、EUV光源コントローラ70とを備える。レーザ光源装置2は、例えば、レーザパルスの時間波形や繰り返し周波数を決定するレーザ発振器(Master Oscillator)20と、増幅システム30と、集光システム40と、波面補正コントローラ(WFC−C)50と、レーザコントローラ60とを含んで構成される。EUV光源装置1は、EUV露光装置5にEUV光を供給する。以下の説明及び図面では、波面補正コントローラをWFC−C(Wave Front Compensator controller)と表示する場合がある。
【0045】
先にチャンバ10の概要を説明する。チャンバ10は、例えば、チャンバ本体11と、接続部12と、ウインドウ13と、EUV集光ミラー14と、ターゲット物質供給部15と、を備えている。
【0046】
チャンバ本体11は、図外の真空ポンプにより真空状態に保たれる。チャンバ本体11には、例えば、デブリを回収するための機構等を設けることができる。
【0047】
接続部12は、チャンバ10とEUV露光装置5との間を接続して設けられている。チャンバ本体11内で生成されたEUV光は、接続部12を介して、EUV露光装置5に供給される。
【0048】
ウインドウ13は、チャンバ本体11に設けられている。レーザ光源装置2からのドライバレーザ光は、ウインドウ13を介して、チャンバ本体11に入射する。
【0049】
EUV集光ミラー14は、EUV光を反射させて中間焦点(Intermediate Focus:IF)に集めるためのミラーである。中間焦点IFは、接続部12内に設定される。EUV集光ミラー14は、例えば、プラズマ発光点の像をIFに転写結像させるために、理想的に収差を発生させない回転楕円体のような凹面として構成される。EUV集光ミラー14の表面には、例えば、モリブデン膜とシリコン膜とから構成される多層膜が設けられており、これにより、波長13nm程度のEUV光を反射するようになっている。
【0050】
ターゲット物質供給部15は、例えば、錫のようなターゲット物質を液体や固体あるいは気体として供給する。錫は、スタナン(SnH4)などの錫化合物として供給することも可能である。錫を液体として供給する場合は、純粋な錫を融点まで加熱して液化する方法の他に、錫を含む溶液または錫や錫化合物を含むコロイド溶液として供給する方法も可能である。本実施例では、ターゲット物質として、錫のドロップレットDPを例に挙げて説明するが、本発明は、錫ドロップレットに限定されない。例えば、リチウム(Li)やキセノン(Xe)等の他の物質を用いてもよい。
【0051】
チャンバ10内の動きを先に簡単に説明する。ドライバレーザ光L1は、入射用のウインドウ13を介して、チャンバ本体11内の所定位置で焦点を結ぶようになっている。その所定位置に向けて、ターゲット物質供給部15は、錫ドロップレットDPを投下する。ここで、所定位置とは、EUV集光ミラー14の第1の焦点上の位置である。その第1の焦点に向けて、錫ドロップレットが投下される。その第1の焦点とレーザの集光点とが一致するように光学系が配置されている。そして、錫ドロップレットDPが所定位置に到達する時期にタイミングを合わせて、レーザ光源装置2から、所定出力のドライバレーザ光L1が出力される。錫ドロップレットDPは、ドライバレーザ光L1によって集光照射されて、プラズマPLZとなる。プラズマPLZは、EUV光L2を放射させる。EUV光L2は、EUV集光ミラー14によって、接続部12内の中間焦点IFに集められ、EUV露光装置5に供給される。
【0052】
次に、レーザ光源装置2の構成を説明する。レーザ光源装置2は、炭酸ガスパルスレーザ光源装置として構成されており、例えば、波長10.6μm、シングル横モード、繰り返し周波数100kHz、100〜200mJ、10kW〜20kWの、ドライバレーザ光L1をパルス出力する。
【0053】
レーザ発振器20から出力されるレーザ光は、増幅システム30によって増幅された後、集光システム40に送られる。集光システム40は、ドライバレーザ光L1をチャンバ10内に供給する。集光システム40は、例えば、反射ミラー41と、軸外放物凹面ミラー42と、リレー光学系43と、を備える。なお、以下の説明では、レーザ光の進行方向を基準として、発振器20側を上流側と呼び、チャンバ10側を下流側と呼ぶ。
【0054】
増幅システム30は、例えば、リレー光学系31と、プリアンプ(前増幅器)32と、SA装置33と、波面補正器(WFC)34と、メインアンプ(主増幅器)35と、センサ36と、を備えて構成される。なお、以下の説明及び図面において、前増幅器をプリアンプ、主増幅器をメインアンプと記述する。さらに、波面補正器をWFC(Wave Front Compensator)と表示する場合がある。SA装置33の詳細は、図2,図3で後述する。
【0055】
リレー光学系31は、レーザ発振器20から出力されるレーザ光でプリアンプ32内の増幅領域を効率よく満たすべく、レーザ発振器20から出力されるレーザ光のビームの広がり角度とビームの大きさを調整するための光学系である。リレー光学系31は、レーザ発振器20から出力されるレーザ光のビーム径を拡大させて、所定のビーム光束に変換させる。
【0056】
プリアンプ32は、入射されたレーザ光を増幅して出射させる。プリアンプ32で増幅されたレーザ光は、SA33装置に入射する。SA装置33は、所定の閾値以上の光強度有するレーザ光は通過させ、その所定の閾値未満のレーザ光は通過させないという機能を発揮する。
【0057】
これにより、SA装置33は、チャンバ10から戻ってくるレーザ光(戻り光)やメインアンプからの寄生発振光や自励発振光を吸収して、プリアンプ32やレーザ発振器20の破損を防止する。さらに、SA装置33は、ペデスタルを抑制し、レーザ光のパルス波形の品質を高める役割も果たす。なお、ペデスタルとは、メインパルスに時間的に近接して発生する、小さなパルスである。
【0058】
図2は、SA装置33の構成を示す説明図である。SA装置33は、例えば、SAガスセル330と、循環ポンプ331(1)と、排気ポンプ331(2)と、熱交換器332と、供給管路333(1)と、排出管路333(2)と、SAガスボンベ334(1)と、バッファガスボンベ334(2)と、各バルブ335(1)〜335(4)と、圧力センサ336(1)と、温度センサ336(2)と、SAガスセルコントローラ80と、ガス温度コントローラ82とを、備えて構成される。
【0059】
なお、図2に示す構成は一つの例であり、本発明は図2に示す構成に限定されない。本発明は、例えば、レーザ光により発熱したSAガス(混合ガスを含む)を冷却する装置(たとえば熱交換器)を、SAガスを循環させるための回路中に備えている構成であればよい。つまり、SAガスを循環させながら、SAガスの熱を廃熱できる構成を備えていればよい。このような構成とすれば、少なくとも通常運転時は、SAガスの発熱によってSAガスが分解することなく、長時間運転が可能となる。
【0060】
先に図3を参照して、SAガスセル330を説明する。SAガスセル330は、例えば、水冷ジャケット付きの筒状ホルダ3300と、ホルダ3300の両端に設けられるウインドウ3332(1),3332(2)と、各ウインドウ間に形成される流通空間3334と、流通空間3334に連通するようにしてホルダ3300に設けられる流入口3336(1),3336(2)と、流通空間3334に連通するようにしてホルダ3300に設けられる流出口3338(1),3338(2)とを備える。なお、ホルダ3300は、「流通空間を有する本体部」の一例である。
【0061】
各ウインドウ3332(1),3332(2)は、熱伝導性が高く、かつ、CO2レーザ光に対して透明な材料から円板状に形成される。そのような材料として、ダイヤモンドを挙げることができる。
【0062】
ダイヤモンド製のウインドウは、熱伝導率が非常に高いため、SAガスから伝わる熱によってダイヤモンドウインドウに生じる影響を小さくすることができる。従って、SAガスを通過するレーザ光の波面に歪みが生じるのを抑制できる。即ち、ダイヤモンドウインドウを用いることにより、SAガスを循環させるための循環システム、及び、SAガスの温度を制御するための温度制御システムを設けなくても、波面の歪みを防止可能である。
【0063】
レーザ光は、入射ウインドウ3332(1)から流通空間3334内に入射して、流通空間3334を通過し、出射ウインドウ3332(2)から出射する。各ウインドウ3332(1),3332(2)は、Oリング等のシール部材を介して、ホルダ3300に気密に取り付けられている。
【0064】
流通空間3334は、各ウインドウ3332(1),3332(2)とホルダ3300とにより画成される、円筒状の空間である。流通空間3334の軸心(図3中の左右方向に延びる中心線)とレーザ光L1の光軸とは、同軸になるように初期設定される。
【0065】
流通空間3334には、入射ウインドウ3332(1)側に複数の流入口3336(1),3336(2)が設けられており、出射ウインドウ3332(2)側に複数の流出口3338(1),3338(2)が設けられている。各流入口3336(1),3336(2)及び各流出口3338(1),3338(2)は、レーザ光の光軸に対して対称となるように、向かい合わせで設けられている。各流入口3336(1),3336(2)には、供給管路333(1)が接続されており、各流出口3338(1),3338(2)には、排出管路333(2)が接続されている。
【0066】
SAガスは、供給管路333(1)から各流入口3336(1),3336(2)を介して、流通空間3334内に流入する。SAガスは、入射ウインドウ3332(1)の内面側近傍に沿って径方向に流れた後、レーザ光の光軸に沿って流通空間3334内を流出口側に移動する。そして、SAガスは、出射ウインドウ3332(2)の内面側近傍を径方向に流れて、各流出口3338(1),3338(2)に流入する。SAガスは、各流出口3338(1),3338(2)から排出管路333(2)を介して排出され、熱交換器332に送られる。内面とは、ウインドウの両面のうち、流通空間3334を向いている方の面である。
【0067】
図2に戻る。循環ポンプ331(1)は、SA装置33内でSAガスを循環させるためのポンプである。循環ポンプ331(1)の吐出口は、供給管路333(1)に接続されており、循環ポンプ331(1)の吸込み口は、熱交換器332を介して排出管路333(2)に接続されている。循環ポンプ331(1)は、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて作動し、熱交換器332により冷却されたSAガスを供給管路333(1)に送り込む。
【0068】
排気ポンプ331(2)は、SA装置33内からSAガスを除去するためのポンプである。排気ポンプ331(2)は、排気バルブ335(2)を介して、排出管路333(2)の途中に接続されている。排気バルブ335(2)は、例えば、常閉型の2ポート電磁弁として構成することができる。供給バルブ335(1)及び排気バルブ335(2)は、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて作動し、各管路333(1),333(2)やSAガスセル330や熱交換器332に滞留するSAガスを吸い出して排出する。
【0069】
熱交換器332は、供給管路333(1)と排出管路333(2)とを接続するようにして、設けられている。熱交換器332は、SAガスの温度を一定に保持するための装置である。熱交換器332は、ガス温度コントローラ82からの指示に応じて作動し、SAガスの温度を調整する。
【0070】
上述の通り、供給管路333(1)は、SAガスセル330にSAガスを供給するための管路であり、排出管路333(2)は、SAガスセル330からSAガスを排出させるための管路である。供給管路333(1)と排出管路333(2)とは、熱交換器332及び循環ポンプ331(1)を介して接続されている。
【0071】
SAガスボンベ334(1)は、SF6(6フッ化イオウ)等のSAガスを貯蔵するための容器である。バッファガスボンベ334(2)は、例えば、N2(窒素)や希ガス(He、Ar)等のバッファガスを貯蔵するための容器である。なお、SAガス及びバッファガスの種類は、上記のものに限定されない。
【0072】
炭酸ガスレーザの波長に応じて、好ましいSAガスを選択することができる。例えば、炭酸ガスレーザ光の波長が10.6μmの場合は、SF6を用いることができる。例えば、炭酸ガスレーザ光の波長が9.6μmの場合は、CH3OH,CH3F、HCOOH,CD3OD,CD3F,DCOOD(D:重水素)を用いることができる。例えば、炭酸ガスレーザ光の波長が9.3μmの場合は、C2F2Clを用いることができる。
【0073】
SAガスボンベ334(1)の吐出口は、SAガスバルブ335(3)を介して、ガス供給バルブ335(1)の流入口に接続されている。同様に、バッファガスボンベ334(2)の吐出口は、バッファガスバルブ335(4)を介して、ガス供給バルブ335(1)の流入口に接続されている。そして、ガス供給バルブ335(1)の流出口は、供給管路333(1)の途中に接続されている。各バルブ335(1),335(3),335(4)は、例えば、常閉型の2ポート電磁弁として構成されており、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて、それぞれ開閉するようになっている。
【0074】
なお、図2では、SAガスとバッファガスとをそれぞれ別々のガスボンベ334(1),334(2)で用意し、SA装置33内で混合ガスを生成する場合を示している。これに限らず、SAガスとバッファガスとが所定割合で混合された混合ガスを貯蔵する混合ガスボンベを使用することもできる。その場合、混合ガスボンベの吐出口をガス供給バルブ335(1)の流入口に接続する構成となる。従って、図2に示すバルブ335(3),335(4)を省略することができ、SA装置33の構成を簡素化できる。
【0075】
圧力センサ336(1)は、SAガスセル330内の圧力を検出して、SAガスセルコントローラ80に出力するセンサである。温度センサ336(2)は、SAガスセル330の温度を検出して、ガス温度コントローラ82に出力するセンサである。
【0076】
SAガスセルコントローラ80は、SA装置33の動作を制御する制御装置である。SAガスセルコントローラ80は、後述の処理を実行することにより、SA装置33内にSAガスとバッファガスとの混合ガスを循環させ、かつ、その混合ガスの温度を制御させる。SAガスセルコントローラ80は、制御結果をレーザコントローラ60に通知する。
【0077】
ガス温度コントローラ82は、混合ガスの温度が所定温度になるように熱交換器332を制御するための制御装置である。ガス温度コントローラ82は、SAガスセルコントローラ80からの指示に応じて熱交換器332の動作を制御し、その結果をSAガスセルコントローラ80に通知する。なお、ガス温度コントローラ82とSAガスセルコントローラ80とを区別せずに、SAガスセルコントローラ80が、混合ガスの温度を制御する構成としてもよい。
【0078】
図4は、SAガスセルを通過するレーザ光の方向や波面の形状が変化する様子を示す。説明の便宜上、SAガスセルの構成を簡略化して示す。従って、図4では、SAガスセルに符号330Pを与えて、図3に示すSAガスセル330と区別する。
【0079】
図5は、SAガスセル330に生じる温度分布を示すグラフである。混合ガスは、流入口3336から各ウインドウ3332(1),3332(2)間の流通空間3334に流入し、閾値以下のレーザ光を吸収して、流出口3338から流出する。これにより、SAガスセル330には、混合ガスの流れ方向にシフトする温度分布が発生する。ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布が原因で、ウインドウ3332(1),3332(2)の屈折率の分布が変化する。
【0080】
その結果、SAガスセル330を通過するレーザビームの端部L1(1)及びビームL1(2)は、図4中の破線L1e(1)及びL1e(2)に示すように、基準の光軸AX1からずれた方向AX1eにシフトする。SAガスセル330を通過するレーザ光L1の波面(Wave Front)は、基準光軸AX1を保持したまま同心円状に変化するのではなく、軸AX1eに沿って曲がる。つまり、レーザ光L1は、SAガスセル330を通過することにより、そのレーザビームの方向がずれてしまい、さらに波面の形状も変化する。
【0081】
進行方向や波面の形状のずれたレーザビームL1e(1)及びL1e(2)を、そのままメインアンプ35に入射させても、期待通りの増幅作用は得られない。メインアンプ35の増幅領域を、レーザ光で効率よく満たすことができないためである。
【0082】
その問題を解決するために、本実施例では、SAガスセル330の各ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布がレーザ光の光軸に対して軸対称となるように、図3に示すように各流入口3336(1),3336(2)及び各流出口3338(1),3338(2)を配置する。これにより、本実施例では、SAガスセル330を通過するレーザ光の波面の形状を、レーザ光の光軸に対して軸対称にさせることができる。さらに、本実施例では、図1に示すようにSAガスセル330とメインアンプ35との間に、波面補正器(WFC)34を設ける。波面補正器(WFC)34の一例については、後述する。さらに、センサ36からの信号に応じて波面補正器(WFC)34を制御する方法についても、図を改めて説明する。
【0083】
図6〜図10に基づいて、SA装置33の動作を説明する。図6は、全体動作を示すメイン処理のフローチャートであり、図7〜図10はメイン処理で呼び出されるサブルーチンを示すフローチャートである。なお、以下に述べる各フローチャートは、各処理の概要を示しており、実際のコンピュータプログラムと相違する場合がある。いわゆる当業者であれば、図示されたステップの変更や削除、新たなステップの追加を行うことができるであろう。
【0084】
図6のメイン処理では、SAガスセルコントローラ80は、まず最初に、ガス排気及びガス充填処理を実行する(S10)。S10の詳細は、図7で述べる。S10では、SA装置33内を真空状態にした後で、混合ガスを充填させる。
【0085】
次に、SAガスセルコントローラ80は、SAガスセルの使用準備を整えるための処理を実行する(S11)。S11の詳細は、図8で述べる。S11では、SA装置33内を循環する混合ガスの温度が所定温度となるように、熱交換器332を動作させる。
【0086】
SA装置33の準備が整うと、レーザコントローラ60は、レーザ発振器20からレーザ光を出力させる(S12)。SAガスセルコントローラ80は、ガスの循環及びガス温度を制御する処理を実行する(S13)。S13の詳細は、図9で述べる。S13では、SA装置33内を所定温度の混合ガスが循環するように制御する。
【0087】
続いて、SAガスセルコントローラ80は、異常検出処理を実行する(S14)。S14の詳細は、図10で述べる。次に、SAガスセルコントローラ80は、異常検出処理(S14)によって異常が検出されたか否かを判定する(S15)。
【0088】
異常が無い場合(S15:NO)、S12〜S15が繰り返される。異常が検出された場合(S15:YES)、SAガスセルコントローラ80は、レーザコントローラ60に異常が発生した旨を通知する(S16)。その通知を受けたレーザコントローラ60は、レーザ発振器20に信号を出力して、レーザ光の発振を停止させる(S17)。異常が解消された後、SAガスセルコントローラ80は、S10に戻って、SAガスセル330に混合ガスを再充填させる。
【0089】
図7は、ガス排気及びガス充填処理(図6のS10)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、ガス供給バルブ335(1)及び排気バルブ335(2)を、それぞれ開弁させると共に、SAガスバルブ335(3)及びバッファガスバルブ335(4)を、それぞれ閉弁させる(S20)。なお、常閉型の電磁弁から構成されるバルブについては、閉弁させるための閉弁信号をSAガスセルコントローラ80から出力させる必要はない。
【0090】
SAガスセルコントローラ80は、排気ポンプ331(2)を作動させ(S21)、圧力センサ336(1)からの検出信号を読み込む(S22)。SAガスセルコントローラ80は、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAが、所定の圧力値PTh1以下になったか否かを判定する(S23)。所定の圧力値PTh1は、SAの性能に悪影響を及ぼさない圧力(略真空)状態の値に設定される。
【0091】
圧力値PSAが所定の圧力値PTh1まで低下した場合は(S23:YES)、SA装置33内の古い混合ガスが外部に排出された場合である。そこで、SAガスセルコントローラ80は、排気バルブ335(2)に信号を出力して閉弁させると共に、排気ポンプ331(2)を停止させる(S24)。
【0092】
SAガスセルコントローラ80は、SAガスバルブ335(3)に信号を出力して、開弁させる(S25)。SAガスボンベ334(1)に貯蔵されているSAガスは、SAガスバルブ335(3)及びガス供給バルブ335(1)を介して、供給管路333(1)に流入し、さらにSAガスセル330を介して、排気通路333(2)や熱交換器332にも流入する。SA装置33内にSAガスが満たされるに応じて、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAは大きくなる。SAガスセルコントローラ80は、圧力値PSAが所定のSAガス圧力値PSF6に達するまで待機する(S26)。
【0093】
圧力値PSAが所定のSAガス圧力値PSF6に達した場合(S26:YES)、所定量のSAガスがSA装置33に充填された場合なので、SAガスセルコントローラ80は、SAガスバルブ335(3)を閉弁させる(S27)。
【0094】
続いて、SAガスセルコントローラ80は、バッファガスバルブ335(4)に信号を出力して開弁させる(S28)。これにより、バッファガスボンベ334(2)に貯蔵されているバッファガスは、バッファガスバルブ335(4)及びガス供給バルブ335(1)を介して、供給管路333(1)に流入する。バッファガスは、SAガスセル330や排出管路333(2)や熱交換器332にも流れ込み、先に充填されているSAガスと混合される。
【0095】
SAガスセルコントローラ80は、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAが所定の混合ガス圧PMGに達するまで待機する(S29)。圧力値PSAが所定の混合ガス圧PMGに達した場合(S29:YES)、SA装置33内が所定圧PMGの混合ガスで満たされた場合なので、SAガスセルコントローラ80は、バッファガスバルブ335(4)を閉弁させ(S30)、ガス供給バルブ335(1)も閉弁させる(S31)。
【0096】
図8は、SAガスセルの使用を準備するための処理(図6のS11)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、循環ポンプ331(1)に信号を出力して作動させる(S40)。そして、SAガスセルコントローラ80は、温度センサ336(2)により検出される温度TSAを読み込む(S41)。SAガスセルコントローラ80は、検出された温度TSAと所定の基準温度Tsetとの偏差ΔTを算出する(S42)。
【0097】
SAガスセルコントローラ80は、算出された偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下であるか否かを判定する(S43)。偏差ΔTが所定の閾値Tth以下の場合(S43:YES)、混合ガスの温度が一定に保たれてると判定され、SAガスセルコントローラ80は、レーザコントローラ60に準備完了信号を出力する(S44)。準備完了信号とは、SA装置33の使用準備が完了したことを示す信号である。なお、電気信号に代えて、メッセージやデータ等の形態で、SAガスセルコントローラ80からレーザコントローラ60に準備完了を通知してもよい。
【0098】
これに対し、温度偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tthを超えている場合(S43:NO)、SAガスセルコントローラ80は、ガス温度コントローラ82から熱交換器332に制御信号を出力させ、偏差ΔTが小さくなるように熱交換器332を動作させる(S45)。つまり、混合ガスの温度が基準温度Tsetよりも高い場合、SAガスセルコントローラ80は、熱交換器332によって混合ガスの温度を低下させる。
【0099】
そして、SAガスセルコントローラ80は、レーザコントローラ60にNG信号を出力し(S46)、S40に戻る。NG信号とは、SA装置33の使用準備が完了していないことを示す信号である。
【0100】
図9は、ガスの循環及びガス温度を制御するための処理(図6のS13)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、循環ポンプ331(1)に作動開始信号を出力して、循環ポンプ331(1)を作動させる(S50)。なお、既に循環ポンプ331(1)が作動している場合は、作動開始信号を出力する必要はない。
【0101】
SAガスセルコントローラ80は、温度センサ336(2)によってSAガスセル330内の混合ガスの温度TSAを検出し(S51)、その検出された温度TSAと基準温度Tsetとの偏差ΔTを算出する(S52)。
【0102】
SAガスセルコントローラ80は、偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下であるか否かを判定する(S53)。偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下の場合(S53:YES)、混合ガスの温度が基準温度Tsetに保たれてると判定され、図6に示すメインルーチンに戻る。
【0103】
これに対し、偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tthを超えている場合(S53:NO)、混合ガスが基準温度Tsetに保たれていないと判定される。そこで、SAガスセルコントローラ80は、偏差ΔTが小さくなるように、ガス温度コントローラ82から熱交換器332に制御信号を出力させ(S54)、メインルーチンに戻る。
【0104】
図10は、異常検出処理(図6のS14)を示すフローチャートである。SAガスセルコントローラ80は、温度センサ336(2)によりSAガスセル330内の混合ガスの温度TSAを検出する(S60)。そして、圧力センサ336(1)によりSAガスセル330内の圧力PSAを検出する(S61)。
【0105】
SAガスセルコントローラ80は、検出された温度TSAと基準温度Tsetとの偏差ΔTを算出し(S62)、検出された圧力PSAと基準圧力Psetとの偏差ΔPを算出する(S63)。その算出された偏差ΔTの絶対値が所定の閾値Tth以下であるか否かを判定する(S64)。
【0106】
次に、SAガスセルコントローラ80は、圧力センサ336(1)により検出される圧力値PSAと所定の混合ガス圧Psetとの偏差ΔPの絶対値が、所定の閾値Pth以下であるか否かを判定する(S65)。
【0107】
混合ガスの温度と圧力が共に正常な場合(S62:YES、かつ、S63:YES)、SA装置33は正常に運転中であると判定されてメインルーチンに戻る(S66)。これに対し、混合ガスの温度または圧力のいずれかに異常が発見された場合(S62:NO、または、S63:NO)、SA装置33に異常が生じたものと判定されてメインルーチンに戻る(S67)。
【0108】
なお、図10では、混合ガスの温度及び圧力を監視する場合を述べたが、これに代えて、混合ガスの温度だけを監視する構成としてもよい。あるいは、混合ガスの温度に加えて、SA装置33を循環する混合ガスの流量や流速を監視する構成としてもよい。また、後述するが、ウインド3332の温度や、温度分布を監視するようにしてもよい。
【0109】
図11は、波面補正器34の原理を模式的に示す説明図である。図11の上側は、増幅システム30(主にSA装置33)に加わる熱負荷が少ない場合を示す。図11の下側は、増幅システム30(主にSA装置33)に加わる熱負荷が多い場合を示す。
【0110】
波面補正器34は、角度補正器100と、波面曲率補正器200とを備える。角度補正器100は、レーザ光の角度(進行方向)を調節するための光学系である。波面曲率補正器200は、レーザ光の波面の曲率(ビームの広がり等)を調節するための光学系である。具体的な構造例については、別の実施例として後述する。
【0111】
角度補正器100は、例えば、平行に向かい合って配置される2枚の反射ミラー101,102を含んで構成される。各反射ミラー101,102は、図11の下側に示すように、反射ミラーのX軸(図11に垂直な軸)及びY軸(X軸と同一平面で直交する軸)をそれぞれ回動中心として、回動可能に設けられている。つまり、各反射ミラー101,102は、チルト及びローリングができるように取り付けられている。
【0112】
熱負荷の少ない場合、レーザ光L1は、基準光軸に合致して進むため、各反射ミラー101,102の姿勢を変化させる必要はない。熱負荷の多い場合、レーザ光L1eは、基準光軸から外れて入射する。そこで、各反射ミラー101,102の姿勢を適宜変化させて、レーザ光の出射方向を基準光軸に合致させる。
【0113】
波面曲率補正器200は、例えば、凸レンズ201と、凹レンズ202とによって構成することができる。各レンズ201,202の相対的位置関係を調整することにより、凹面波や凸面波を平面波に補正することができる。
【0114】
「補正制御部」としての波面補正コントローラ50は、センサ36による計測結果に基づいて、目標値との偏差が解消するように、角度補正器100及び波面曲率補正器200を適宜駆動する。これにより、波面補正器34は、入射するレーザ光の角度及び波面の曲率を所定の角度及び所定の曲率に補正して、出射させる。波面補正器34は、メインアンプにより高効率で増幅するのに必要なビームの角度と波面の曲率となるようにレーザ光のビームを調節して出力し、所定のレーザビーム光束に変換させる。変換されたレーザ光は、メインアンプ35によって増幅される。
【0115】
図1に示すように、「波面計測部」としてのセンサ36は、メインアンプ35の下流側に設けられており、メインアンプ35から入射するレーザ光の角度や波面の曲率を検出する。センサ36は、レーザ光の角度や波面の曲率を直接的または間接的に計測できる構成であればよい。
【0116】
センサ36の一例を図12に基づいて説明する。センサ36は、例えば、レーザ光L1を反射する反射ミラー300と、反射ミラー300を僅かに透過するレーザ光L1Lを計測する光学的センサ部360とを含んで構成される。
【0117】
反射ミラー300は、レーザ光L1を高い反射率で反射する膜でコーティングされたビームスプリッタ基板300Aと、ビームスプリッタ基板300Aを保持するための水冷ジャケット付きホルダ300Bとを備える。
【0118】
ビームスプリッタ基板300Aは、例えば、シリコン(Si)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ガリウム砒素(GaAs)、ダイヤモンドのような物質から形成される。レーザ光L1の殆どは、ビームスプリッタ基板300Aの高反射膜により反射されるが、ごく僅かにビームスプリッタ基板300Aを透過するレーザ光L1Lがある。
【0119】
ビームスプリッタ基板300Aを僅かに透過したレーザ光L1Lは、サンプル光として、光学的センサ部360に入射する。光学的センサ部360としては、例えば、レーザ光の強度分布を計測するためのビームプロファイラ、レーザデューティ及び光学素子の負荷を計測するためのパワーセンサ(カロリーメータやパイロセンサ等)、レーザ光の波面状態とビームの進行方向(角度)とを同時に計測できる波面センサ等を使用できる。
【0120】
さらに、後述するように、レーザ光の状態に関連するパラメータ(SAガスセル330の温度等)と、シミュレーションや実験結果等から得られるデータベースとを用いて、レーザ光の波面状態及び角度(方向)を予測してもよい。
【0121】
図13は、波面補正コントローラ(WFC−C)50により実行される、波面補正処理を示すフローチャートである。本処理は、レーザ光源装置2が運転を開始する前の起動時に行われる。即ち、レーザ光源装置2の運転開始前の調整段階において、まず、ターゲットに照射する前に、例えば、図示しないシャッタ等を閉じて、EUVチャンバ10にレーザ光が入射しない状態にしてから、レーザを調整発振させる。そして、レーザ発振器20からシード光が出力されると、レーザ発振器20から下流のレーザビームラインについて、メインアンプ35の増幅効率が高く維持されるように波面や角度(方向)が調整される。
【0122】
波面補正コントローラ50は、センサ36から計測値を取得し(S100)、目標値と計測値との差分である偏差ΔDを算出する(S101)。波面補正コントローラ50は、ΔDの絶対値が所定の許容値DTh以下であるか否かを判定する(S102)。許容値DThは、例えば、レーザ光の増幅特性に影響を与えない程度の値として設定される。
【0123】
目標値と計測値との差ΔDが許容値DTh以下の場合(S102:YES)、波面補正コントローラ50は、レーザコントローラ60にOK信号を出力する(S103)。OK信号とは、レーザ光の波面が所定の波面(曲率及び方向)に調整されたことを意味する、調整完了信号である。
【0124】
これに対し、ΔDの絶対値が許容値DThを超えている場合(S102:NO)、波面補正コントローラ50は、レーザコントローラ60にNG信号を出力する(S104)。NG信号とは、レーザ光の波面が所定の波面に調整されていないことを意味する、調整未完了信号である。
【0125】
波面補正コントローラ(WFC−C)50は、波面補正器(WFC)34に駆動信号を出力し、波面補正器(WFC)34に補正動作を行わせる(S105)。波面補正器(WFC)34は、駆動信号に応じて、角度補正器100及び波面曲率補正器200を動作させる。補正動作を一回ないし複数回実行することにより、レーザ光の波面は所定の波面に一致する。
【0126】
図14は、レーザコントローラ60の動作及びEUV光源コントローラ70の動作を示すフローチャートである。レーザコントローラ60は、波面補正コントローラ(WFC−C)50からOK信号を受領すると(S110:YES)、EUV光源コントローラ70に、レーザ光源装置2の調整が完了した旨を通知する(S111)。
【0127】
EUV光源コントローラ70は、レーザコントローラから、OK信号が受信されているか判断する(S112)。レーザコントローラ60からの調整完了通知またはOK信号を受領すると、ターゲット物質供給部15からチャンバ本体11に、ドロップレットDPを供給させる(S113)。そして、ターゲットにレーザ光を照射する(S114)。そして、再びOK信号を受信しているかどうか判断し、もし、OK信号が受信されていない場合は、ターゲット供給及びターゲットにレーザ光を照射するのを中止することになる。そして、再び、レーザコントローラからOK信号が受信されれば、ターゲットを供給し(S113)、ターゲットにレーザ光を照射する(S114)
【0128】
レーザコントローラ60は、ドロップレットDPの供給タイミングに合わせて、レーザ発振器20からレーザ光L1を出力させる。レーザ光L1は、増幅システム30によって増幅された後、集光システム40を介してチャンバ10に入射する。ドロップレットDPは、レーザ光L1に照射されることにより、プラズマPLZとなる。プラズマPLZから放出されるEUV光L2は、EUV集光ミラー14により中間焦点IFに集められて、EUV露光装置5に送られる。
【0129】
本実施例は上述の構成を備えるため、以下の効果を奏する。本実施例では、SA装置33内でSAガスを含む混合ガスを循環して使用し、かつ、混合ガスの温度を一定値に保持するため、EUV光源装置1が長時間連続運転される場合にも対応することができる。つまり、高負荷の状態が長時間継続される場合でも、SA装置33を正常に動作させることができ、安定したパルスエネルギ及びパルス波形を有するレーザ光をEUV光源装置1に供給することができる。
【0130】
本実施例では、各流入口3336(1),3336(2)を入射ウインドウ3332(1)の内面側近傍に位置して、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように配置し、かつ、各流出口3338(1),3338(2)を出射ウインドウ3332(2)の内面側近傍に位置して、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように配置する。これにより、ウインドウ3332(1),3332(2)の内面側を流れる混合ガスにより、ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布をレーザ光の光軸に対して軸対称にすることができる。従って、SAガスセル330を透過したレーザ光の波面を軸対称の波面にすることができ、波面の変化を少なくできる。この結果、波面補正器34による波面補正を容易に行うことができる。
【0131】
本実施例では、レーザ光の波面の曲率及び方向を調整するための波面補正器34と、レーザ光の波面の曲率及び方向を検出するためのセンサ36とを設ける。従って、本実施例では、波面補正器34によって、レーザ光源装置2の運転開始前に、SAガスセル330を透過するレーザ光の波面の曲率及び方向(角度)を調整することができる。これにより、熱的負荷が高い運転状態においても、レーザ光の出力特性を安定化させることができる。
【実施例2】
【0132】
図15に基づいて第2実施例を説明する。以下の各実施例は、第1実施例の変形例である。従って、第1実施例との相違点を中心に説明する。本実施例では、各ウインドウ3332(1),3332(2)の内側表面をSAガスが旋回して流れるようにして、合計4個の流入口3336(1),3336(2),3336(3),3336(4)を設ける。そして、本実施例では、各ウインドウ3332(1),3332(2)の間に、2個の流出口3338(1),3338(2)を設ける。
【0133】
図15は、SAガスセル330Aを示す説明図である。図15の左側は入射ウインドウ3332(1)から見た図を示し、図15の中央はSAガスセル330Aを横から見た図を示し、図15の右側は出射ウインドウ3332(2)から見た図を示す。
【0134】
入射ウインドウ3332(1)側の各流入口3336(1),3336(2)は、入射ウインドウ3332(1)の内側表面をSAガスが旋回して流れるように角度θ1だけ傾斜しており、かつ、入射ウインドウ3332(1)の接線方向と平行に設けられている。さらに、各流入口3336(1),3336(2)は、レーザ光L1の光軸に対して軸対称となるように設けられている。各流入口3336(1),3336(2)から流入する混合ガスは、図15の左側に示すように、所定方向に旋回しつつ入射ウインドウ3332(1)の中心に向かう。
【0135】
その後、混合ガスは、レーザ光の光軸に沿って流通空間3334内を、流通空間3334の中央付近まで移動する。流通空間3334の中央部に連通するようにして、2つの流出口3338(1),3338(2)が直径方向に沿って設けられている。各流出口3338(1),3338(2)は、レーザ光の光軸に対して軸対称になっている。
【0136】
混合ガスは、流通空間3334の中央付近まで移動しながら、レーザ光L1に含まれる所定値以下の微弱光を吸収し、その温度が上昇する。混合ガスは、各流出口3338(1),3338(2)から流出し、排出管路333(2)を介して熱交換器332に送られる。
【0137】
入射ウインドウ3332(1)側の各流入口3336(1),3336(2)について述べたと同様に、出射ウインドウ3332(2)側の各流入口3336(3),3336(4)は、出射ウインドウ3332(2)の内側表面をSAガスが旋回して流れるように角度θ1だけ傾斜しており、かつ、出射ウインドウ3332(2)の接線方向と平行に設けられている。さらに、各流入口3336(3),3336(4)は、レーザ光L1の光軸に対して軸対称となるように設けられている。各流入口3336(3),3336(4)から流入する混合ガスは、図15の右側に示すように、所定方向に旋回しつつ出射ウインドウ3332(2)の中心に向かう。
【0138】
そして、出射ウインドウ3332(2)の内側表面を旋回した混合ガスは、流出口3338(1),3338(2)に向けて、流通空間3334内をレーザ光の光軸に沿って移動する。移動の最中に、混合ガスは、レーザ光に含まれる所定値以下の微弱な光を吸収する。
【0139】
なお、入射ウインドウ3332(1)側における混合ガスの旋回方向と、出射ウインドウ3332(2)側における混合ガスの旋回方向とは、同一方向である。
【0140】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、入射ウインドウ3332(1)及び出射ウインドウ3332(2)の両方に、各ウインドウの内側表面を混合ガスが旋回して流れるようにして、各ウインドウの接線方向と平行に複数の流入口をそれぞれ設ける構成とした。従って、各ウインドウ3332(1),3332(2)を混合ガスが旋回しながらウインドウの内面を通過するので、各ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布をレーザ光の光軸に対して軸対称にすることができる。
【実施例3】
【0141】
図16,図17に基づいて第3実施例を説明する。本実施例では、流通空間3334内の混合ガスを均一に各流出口3338(1)〜3338(4)に移動させるべく、「流通制御部材」としてのポーラス円筒管3340(1),3340(2)を各ウインドウ3332(1),3332(2)側に設けている。図16は、本実施例によるSAガスセル330Bの説明図である。図17は、ポーラス円筒管3340を模式的に示す断面図である。
【0142】
図16の左側に示すように、入射ウインドウ3332(1)の内面側には、レーザ光の光軸に対して軸対称になるように、2個の流出口3338(1),3338(2)が直径方向に設けられている。さらに、入射ウインドウ3332(1)の内面外周側と流出口3338(1)、3338(2)との間には、ポーラス円筒管3340(1)が設けられている。
【0143】
図16の右側に示すように、出射ウインドウ3332(2)の内面側にも、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように、2個の流出口3338(3),3338(4)が直径方向に設けられている。出射ウインドウ3332(2)の内面外周側と流出口3338(3),3338(4)との間にも、ポーラス円筒管3340(2)が設けられている。
【0144】
各ウインドウ3332(1),3332(2)の間には、レーザ光の光軸に対して軸対称となるように、2個の流入口3336(1),3336(2)が直径方向に設けられている。混合ガスは、各流入口3336(1),3332(2)から流通空間3334の中央部に流入する。混合ガスは、レーザ光に含まれる微弱光を吸収しながら、左右の各流出口3338(1)〜3338(4)に向けて、レーザ光の光軸に沿って移動する。混合ガスは、ポーラス円筒管3340(1),3340(2)を介して各流出口3338(1)〜3338(4)に流入し、各流出口3338(1)〜3338(4)から排出管路333(2)に排出される。
【0145】
ここで、図17の断面図を参照する。図17は、一方のポーラス円筒管3340(1)の構成を示す断面図である。他方のポーラス円筒管3340(2)は、一方のポーラス円筒管3340(1)と同様に構成されているので、その説明を省略する。
【0146】
ポーラス円筒管3340(1)は、ウインドウ3332(1),3332(2)と同軸配置される。この結果、ポーラス円筒管3340(1)の中心は、レーザ光の光軸中心と略一致するようになっている。
【0147】
ポーラス円筒管3340(1)は、鍔部3341と、鍔部3341に一体的に形成された筒部3342とを備える。筒部3342には、混合ガスを流通させるための多数の小孔3343が形成されている。小孔3343は「流通孔」に該当する。筒部3342は、例えば、多孔質のアルミナセラミックスや、多孔質ステンレス鋼焼結体等から筒状に形成される。
【0148】
筒部3342の一端側(図17中の左側)は、入射ウインドウ3332(1)の内面側に位置するホルダ3300の内壁に、当接して設けられている。筒部3342の他端側(図17中の右側)には、環状の鍔部3341が一体的に設けられている。
【0149】
鍔部3341の内周側は筒部3342の他端部に一体化されており、鍔部3341の外周側はホルダ3300の内周に当接している。鍔部3341に小孔は設けられておらず、混合ガスは、鍔部3341を実質的に通過できないようになっている。但し、鍔部3341を多孔質材料から形成し、混合ガスが流通可能な構成としてもよい。
【0150】
本実施例では、各ウインドウ3332(1),3332(2)側に各流出口3338(1)〜3338(4)を設け、かつ、各流出口3338(1)〜3338(4)を覆うようにして、多数の小孔3343を有するポーラス円筒管3340(1),3340(2)を設ける。これにより、ポーラス円筒管3340(1),3340(2)の筒部3342内に流入した混合ガスは、各小孔3343を介して、流出口側に流出する。図16の左側及び右側に示すように、混合ガスは、SAガスセル330Bの中心軸(この中心軸は、レーザ光の光軸と略一致する)から放射状に流出する。
【0151】
従って、本実施例では、混合ガスを、レーザ光の光軸を中心として、ウインドウ3332(1),3332(2)の内面側を放射状に均一に流すことができる。これにより、各ウインドウ3332(1),3332(2)の内面側を流れる混合ガスの温度分布をレーザ光軸に対して軸対称にできる。従って、各ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布を、レーザ光の光軸を中心として軸対称にすることができる。
【0152】
このため、本実施例は、前記各実施例と同様に、SAガスセル330Bを透過するレーザ光の波面の形状を軸対称の形状にすることができ、波面補正器34による補正を容易に行うことができる。
【実施例4】
【0153】
図18に基づいて第4実施例を説明する。本実施例では、複数のSAガスセル330C(1)〜330C(4)を連結し、隣り合うSAガスセルでの混合ガスの流通方向を逆向きに設定している。さらに、本実施例では、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)間のウインドウ3332(2)〜3332(4)を共用する。
【0154】
図18の構成図では、説明の便宜上、SAガスセルコントローラ80,ガス温度コントローラ82,レーザコントローラ60,圧力センサ336(1),温度センサ336(2)を取り除いた状態で、SA装置33Cを示す。
【0155】
合計4個のSAガスセル330C(1)〜330C(4)は、隣接して配置されており、供給管路333(1)及び排出管路333(2)に対して、並列に設けられている。隣り合う2個のSAガスセルはペアを形成する。第1SAガスセル330C(1)と第2SAガスセル330C(2)とは、第1のペアを形成する。第3SAガスセル330C(3)と第4SAガスセル330C(4)とは、第2のペアを形成する。そして、各ペアにおいて、隣接するSAガスセルにおける混合ガスの流通方向は、逆向きとなっている。
【0156】
図示の例では、第1SAガスセル330C(1)の混合ガスは、図中下から上に向けて流れ、第1SAガスセル330C(1)に隣接する第2SAガスセル330C(2)の混合ガスは、図中上から下に向けて流れる。第2SAガスセル330C(2)に隣接する第3SAガスセル330C(3)の混合ガスは、図中下から上に向けて流れ、第3SAガスセル330C(3)に隣接する第4SAガスセル330C(4)の混合ガスは、上から下に流れる。
【0157】
本実施例では、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)を連結するため、SAガスセル間のウインドウを共用できる。第1ウインドウ3332(1)は、第1SAガスセル330C(1)の入射ウインドウである。第2ウインドウ3332(2)は、第1SAガスセル330C(1)の出射ウインドウであり、かつ、第2SAガスセル330C(2)の入射ウインドウでもある。第3ウインドウ3332(3)は、第2SAガスセル330C(2)の出射ウインドウであり、かつ、第4SAガスセル330C(4)の入射ウインドウでもある。第5ウインドウ3332(5)は、第4SAガスセル330C(4)の出射ウインドウである。
【0158】
本実施例では、隣接するSAガスセルにおける混合ガスの流通方向が互いに逆向きとなるようにしている。レーザ光が、一方のSAガスセルを透過すると、ウインドウの温度分布に応じて、その波面が一方向に歪む。他方のSAガスセルでは、混合ガスの流通方向が一方のSAガスセルでの流通方向と逆向きになっているため、ウインドウの温度分布も一方のSAガスセルの温度分布と逆になる。従って、一方のSAガスセルを透過した混合ガスが、他方のSAガスセルを透過すると、その波面を逆方向に歪ませようとする作用が生じることと、中間部のウインド3332(2)、3332(3)及び3332(4)で温度分布の発生が抑制されることとにより、結果的に、そのレーザ光の波面の変化は抑制される。
【0159】
従って、本実施例も前記各実施例と同様の効果を奏する。なお、本実施例では、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)のガス配管を並列に設ける場合を述べたが、これに代えて、各SAガスセル330C(1)〜330C(4)のガス配管を直列に配置してもよい。
【0160】
つまり、供給管路333(1)を第1SAガスセル330C(1)の流入口にのみ接続し、第1SAガスセル330C(1)の流出口を第2SAガスセル330C(2)の流入口に接続し、第2SAガスセル330C(2)の流出口を第3SAガスセル330C(3)の流入口に接続させる。さらに、第3SAガスセル330C(3)の流出口を第4SAガスセル330C(4)の流入口に接続し、第4SAガスセル330C(4)の流出口に排出管路333(2)を接続させる、構成としてもよい。
【0161】
さらに、本実施例では、図18中の上から下に、または、下から上に、混合ガスを流す場合を説明した。これに代えて、例えば、ウインドウを正面から見た場合における左右方向や斜め方向等のように、他の方向に混合ガスを流通させる構成としてもよい。隣接するSAガスセルにおける混合ガスの流通方向が互いに逆方向に設定されていればよい。
【0162】
さらに、本実施例では、4個のSAガスセル330C(1)〜330C(4)を連結させる場合を述べたが、これに代えて、2個または6以上の偶数個のSAガスセルを連結させる構成としてもよい。それにより、ウインドウを共有してSA装置の製造コストを低減できる。
【0163】
さらに、本実施例では、複数のSAガスセル330C(1)〜330(4)をウインドウを共有するように連結させているが、これに限らず、複数のSAガスセルを、隣り合うSAガスセルでの混合ガスの流通方向が逆向きとなるように、各SAガスセルをそれぞれ単独で配置させる構成でもよい。
【実施例5】
【0164】
図19,図20に基づいて第5実施例を説明する。本実施例では、波面補正器34とセンサ36とSA装置33の位置関係の変形例を説明する。レーザ光が透過するのはSAガスセル330であるが、この実施例では便宜上、レーザ光がSA装置33を透過する、と表現する。
【0165】
図19(a)は、SA装置33の下流側に、波面補正器34及びセンサ36を配置する構成を示す。レーザ光は、平面波でSA装置33を透過し、その波面が凸波面となる。さらに、SA装置33を透過するレーザ光の波面の方向は、図中の下方向に傾斜する。SA装置33を透過したレーザ光は、波面補正器34により波面が補正されてセンサ36に入力される。
【0166】
波面補正コントローラ(WFC-C)50は、センサ36により検出されたビーム特性に基づいて、所定のビーム特性となるように波面補正器34を制御する。この実施例では、レーザ光が平面波として出力される。なお、所定のビーム特性とは、平面波であって、かつ、その進行方向(角度)がSA装置33に入射する前と同じ方向である、特性を意味する。
【0167】
図19(b)は、SA装置33の上流に波面補正器34を配置し、SA装置33の下流にセンサ36を配置した場合を示す。レーザ光は、波面補正器34を通過することにより、その波面が補正される。そして、波面の補正されたレーザ光は、SA装置33を透過した後、センサ36に入射する。波面補正コントローラ50は、センサ36により検出されたビーム特性に基づいて、所定のビーム特性となるように、波面補正器34を制御する。
【0168】
図19(c)は、SA装置33の上流に、波面補正器34とセンサ36とを、この順番で配置する場合を示す。レーザ光は、波面補正器34を透過して、センサ36に到達する。波面補正コントローラ50は、センサ36により検出されたビーム特性に基づいて、所定のビーム特性となるように、波面補正器34を制御する。レーザ光は、センサ36を透過した後、SA装置33に入射する。レーザ光は、SA装置33を透過することにより平面波に変換され、出力される。この例では、SA装置33における波面の歪みを予測しておいて、波面補正器34とSA装置33とを透過したときに正常な波面に戻るように、波面補正器34を制御する。
【0169】
図20に示すように、複数のセンサ36または複数の波面補正器34を設ける構成としてもよい。図20(a)は、SA装置33の上流に、波面補正器34とセンサ36(1)とを、その順番で配置しており、さらに、SA装置33の下流に、別のセンサ36(2)を配置する。
【0170】
レーザ光は、波面補正器34を透過して、第1のセンサ36(1)に入力される。第1のセンサ36(1)は、SA装置33に入力されるレーザ光の特性を計測し、その計測結果を波面補正コントローラ50に送る。
【0171】
レーザ光は、SA装置33を透過した後、第2のセンサ36(2)に入力される。第2のセンサ36(2)は、レーザ光の特性を計測して波面補正コントローラ(WFC−C)50に送信する。波面補正コントローラ(WFC−C)50は、第1のセンサ36(1)及び第2のセンサ36(2)により検出される、2つのビーム特性に基づいて、両センサの位置においてそれぞれ所定のビーム特性となるように、波面補正器(WFC)34を制御する。レーザ光は、第2のセンサ(2)を通過した後、平面波として出力される。
【0172】
図20(b)は、SA装置33の上流側に、第1の波面補正器(WFC)34(1)及び第1のセンサ36(1)を配置し、SA装置33の下流側に、第2の波面補正器(WFC)34(2)及び第2のセンサ36(2)を配置した場合を示す。
【0173】
レーザ光は、波面補正器(WFC)34(1)を透過した後、センサ36(1)に入力される。センサ36(1)は、SA装置33に入力されるレーザ光の特性を計測して、その計測結果を波面補正コントローラ(WFC−C)50に出力する。センサ36(1)を通過したレーザ光は、SA装置33を透過した後、波面補正器(WFC)34(2)に入力される。レーザ光は、波面補正器(WFC)34(2)を透過した後、センサ36(2)に入力される。センサ36(2)は、レーザ光の特性を検出して波面補正コントローラ(WFC−1)50に出力する。波面補正コントローラ50(WFC−C)は、第1のセンサ36(1)及び第2のセンサ36(2)により検出される、2つのビーム特性に基づいて、両センサの位置においてそれぞれ所定のビーム特性となるように、第1の波面補正器(WFC)34(1)及び第2の波面補正器(WFC)34(2)を制御する。
【実施例6】
【0174】
図21に基づいて第6実施例を説明する。本実施例では、波面曲率補正器200を透過光学系で構成する場合を説明する。図21に示すように、凸レンズ201と、凹レンズ202とを用いて、波面曲率補正器200を構成することができる。
【0175】
図21(a)は、入力された平面波を平面波として出力する様子を示す。凸レンズ201の焦点位置と凹レンズ202の焦点位置とが共焦点cfで一致するのであれば、レーザ光が、平面波の状態で凸レンズ201を透過すると、凹波面に変換される。その凹波面のレーザ光が凹レンズ202を透過すると、平面波に変換される。
【0176】
図21(b)は、凸面波を平面波に変換する様子を示す。凸レンズ201は、図21(a)に示す位置よりも上流側(図21中左側)に移動している。凸レンズ201の焦点位置F1と凹レンズの焦点位置F2とは、レーザ光の光軸上にそれぞれ位置し、凸レンズ201の焦点F1の方が上流側に位置する。
【0177】
SA装置33における熱の影響によって、レーザ光が凸面波に変化した場合、そのレーザ光は、発散光の状態で凸レンズ201に入射し、凸レンズ201により凹面波に変化される。凹面波に変換されたレーザ光は、凹レンズ202を透過することにより、平面波に変換される。
【0178】
図21(c)は、凹面波を平面波に変換する様子を示す。凸レンズ201の焦点位置F1と凹レンズ202の焦点位置F2とは同一の光軸上にあり、焦点位置F2は焦点位置F1よりも上流側に配置される。凸面波のレーザ光が凸レンズ201に入射すると凹面波に変換される。その凹面波のレーザ光は、凹レンズ202を通過することにより、平面波に変換される。
【0179】
図21(d)は、2つの凸レンズ201,203を用いて波面曲率補正器200を構成する例を示す。凸レンズ201は、1軸ステージ204によって、図21中の左右方向(光軸方向)に移動可能となっている。
【0180】
平面波(平行光)で入力されるレーザ光を、平面波(平行光)で出力させる場合、凸レンズ201の焦点位置と凸レンズ203の焦点位置とが一致するように、凸レンズ201の位置が設定される。
【0181】
熱負荷により、レーザ光が収束光(凹波面)となった場合、1軸ステージ204によって、凸レンズ201を光軸上の下流側位置20IRに移動させる。逆に、レーザ光が発散光(凸波面)となった場合、1軸ステージ204によって、凸レンズ201を光軸上の上流側位置201Lに移動させる。
【実施例7】
【0182】
図22に基づいて第7実施例を説明する。本実施例では、波面曲率補正器200Bを反射型光学系として構成する場合の一例を説明する。波面曲率補正器200Bは、2枚の反射ミラー205(1),205(2)と、2枚の軸外放物凹面ミラー206(1),206(2)とを備えている。図22中の上側に位置する反射ミラー205(1)及び軸外放物凹面ミラー206(1)は、プレート207に取り付けられている。プレート207は、図22中の上下方向に移動可能である。各ミラー205(1),206(1)は、プレート207と共に上下動する。
【0183】
図22(a)は、平行光(平面波)として入力されたレーザ光を、平行光(平面波)のままで出力する場合の配置である。この場合、軸外放物面凹面ミラー206(1)の焦点位置と軸外放物面凹面ミラー206(2)の焦点位置とを一致させて、共焦点cfの状態とする。
【0184】
レーザ光は、図22中左側(上流側)から反射ミラー205(2)に入射して反射され、もう一つの反射ミラー205(1)に入射する。その反射ミラー205(1)により反射されたレーザ光は、軸外放物凹面ミラー206(1)に入射する。そのレーザ光は、軸外放物凹面ミラー206(1)によって45度の反射角度で反射され、焦点位置cfに集まる。レーザ光は、焦点位置cfから広がって、軸外放物凹面ミラー206(2)に入射し、45度の反射角度で反射される。
【0185】
図22(b)は、収束光(凹波面)として入力されるレーザ光を、平行光(平面波)に変換して出力する場合の配置である。この場合、プレート207を下側に移動させて、軸外放物面凹面ミラー206(1)の集光点位置fを光軸上の下流側に移動させる。これにより、軸外放物凹面ミラー206(1)の集光点位置と軸外放物面凹面ミラー206(2)の焦点位置とを光軸上で一致させる。
【0186】
なお、レーザ光が発散光(凸波面)として入力される場合は、プレート207を図22中の上側に移動させる。
【0187】
このように構成される波面曲率補正器200Bでは、プレート207に反射ミラー205(1)及び軸外放物凹面ミラー206(1)を固定して、両ミラー205(1),206(1)を光軸上に(図22中の上下方向に)同時に移動させる。これにより、本実施例では、入力光の光軸と出力光の光軸とを一致させて、波面の曲率を補正できる。
【0188】
さらに、本実施例の波面曲率補正器200Bは、反射型光学系として構成されるため、レーザ光が波面曲率補正器200Bを通過した場合でも、波面曲率補正器自体の熱による波面変化を少なくすることができる。これにより、高出力のレーザ光が使用された場合でも、高精度に波面の曲率を補正することができる。
【実施例8】
【0189】
図23に基づいて第8実施例を説明する。本実施例の波面曲率補正器200Cは、軸外放物凹面ミラー206と、軸外放物凸面ミラー208と、2枚の反射ミラー205(1),205(2)とを含む反射光学系から構成される。
【0190】
軸外放物凹面ミラー206及び反射ミラー205(1)は、上下動可能なプレート207に取り付けられている。さらに、軸外放物凸面ミラー208の焦点位置と軸外放物凹面ミラー206の焦点位置は、cfで一致するように配置されている。
【0191】
平行波面のレーザ光は、軸外放物凸面ミラー208により反射され、発散光として軸外放物凹面ミラー206に入射し、平面波に変換される。平面波のレーザ光は、各反射ミラー205(1),205(2)で反射されて出力される。第7実施例と同様に、プレート207を上下に移動させることにより、入力されたレーザ光の波面を平面波に補正して出力させることができる。
【0192】
このように構成される本実施例も第7実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、軸外放物面の凹面206と軸外放物面の凸面208とを組み合わせることにより、両軸外放物面ミラー間の距離を短くできる。従って、第7実施例に比べて、全体寸法を小型化できる。
【実施例9】
【0193】
図24,図25に基づいて第9実施例を説明する。本実施例では、波面曲率補正器200D,200Eを、一つの凸面ミラー209と一つの凹面ミラー210とをZ型に配置することにより構成する。
【0194】
図24は、上流側の球面凸面ミラー209と下流側の球面凹面ミラー210とをZ型に配置して構成される波面曲率補正器200Dを示す。例えば、発散光(凸波面)のレーザ光が凸面ミラー209に入射すると、凸面ミラー209は、3度以下程度の小さな入射角度αでレーザ光を反射する。反射されたレーザ光は、凹面ミラー210に入射角度αで入射し、平行光(平面波)に変換されて出力される。
【0195】
例えば、図24中に矢印で示すように、凹面ミラー210の位置を、凸面ミラー209の反射光軸に沿って移動させることにより、レーザ光の波面を平面波に変換することができる。
【0196】
図25は、上流側の凹面ミラー210と下流側の凸面ミラー209とをZ型に配置して構成される波面曲率補正器200Eを示す。例えば、発散光(凸波面)のレーザ光が凹面ミラー210に入射すると、凹面ミラー210は、小さな入射角度α(例えば3度以下)でレーザ光を反射する。反射されたレーザ光は、凸面ミラー209に入射角度αで入射し、平行光(平面波)に変換される。例えば、凸面ミラー209の位置を、凹面ミラー210の反射光軸に沿って移動させることにより、レーザ光の波面の曲率を平面波に変換することができる。
【0197】
このように本実施例では、凸面ミラー209と凹面ミラー210とから波面曲率補正器を構成できるため、製造コストを低減できる。また、反射光学系のため、レーザ光が波面曲率補正器を通過する際に生じる波面変化を少なくできる。
【0198】
本実施例では、出力されるレーザ光の光軸が、入力されるレーザ光の光軸から平行に移動する。従って、本実施例に、出力光の光軸を入力光の光軸に一致させるための光学系を追加してもよい。
【実施例10】
【0199】
図26に基づいて第10実施例を説明する。本実施例では、波面補正コントローラ(WFC−C)50からの制御信号によって、その反射面の曲率を可変に制御できる、可変ミラーを用いる。そのような可変ミラーを、本実施例では、VRWM(Variable Radius Wave front Mirror)と呼ぶ。
【0200】
本実施例の波面曲率補正器200Hは、45度入射のVRWMから構成される。図26(a)は、平面波(平行光)として入射するレーザ光を、平面波(平行光)として出射させる場合を示している。平面波を平面波に変換する場合、VRWMの表面はフラットになるように制御される。
【0201】
図26(b)は、凸面(発散光)のレーザ光を、平面波(平行光)のレーザ光に変換する場合を示す。この場合、VRWMがトロイダル形状の凹面となるように、その形状を制御する。
【0202】
図26(c)は、凹面(収束光)のレーザ光を、平面波(平行光)のレーザ光に変換する場合を示す。この場合、VRWMがトロイダル形状の凸面となるように、その形状を制御する。
【0203】
このように構成される本実施例では、VRWMだけで波面曲率補正器200Hを構成できるため、部品点数を少なくしてコンパクトに形成することができ、かつ、一回の反射で補正できるため効率も高い。さらに、本実施例の波面曲率補正器200Hは、入射するレーザ光の光軸を45度に変化させて出射させることができる。従って、レーザ光の光路を45度変化させるための反射ミラーに代えて、本実施例の波面曲率補正器200Hを使用することができる。45度入射のVRMはミラー面がトロイダル形状に変化して、平面波を45度入射で反射させて、所望の曲率半径の球面の波面に変換することができる光学素子である。
【実施例11】
【0204】
図27に基づいて第11実施例を説明する。本実施例では、ミラーの表面を球面形状に所望の曲率半径で可変できるVRWM213と反射ミラー214とをZ型に配置することにより、波面曲率補正器200Jを構成する。
【0205】
図27(a)に示すように、平面波としてVRWMに入射するレーザ光を平面波として出射させる場合、VRWM213がフラットな形状になるように制御する。図27(b)に示すように、凸面波として入射するレーザ光を平面波に変換する場合は、VRWM213の形状を凹面の球面形状に設定する。図27(c)に示すように、凹面波として入射するレーザ光を平面波に変換する場合、VRWMの形状を凸面の球面形状に設定する。
【0206】
このように構成される本実施例も第10実施例と同様の効果を奏する。但し、本実施例では、レーザ光の入射光軸と出射光軸とが平行にずれており、一致しない。従って、光軸を元に戻すための、光学系を本実施例に追加してもよい。
【実施例12】
【0207】
図28に基づいて第12実施例を説明する。本実施例では、角度補正器と波面曲率補正器とを兼用できるようにした波面補正器34Aを説明する。この波面補正器34Aは、VRWM110と反射ミラー111とから構成される。
【0208】
図28(a)は、熱負荷の少ない場合を示す。平面波のレーザ光は、反射ミラー111に45度で入射して反射され、45度の入射角度でVRWM110に入射する。VRWM110は、フラットな形状となるように制御されている。レーザ光は、VRWM110のフラットなミラー面で反射して、平面波の状態で出力される。
【0209】
なお、平面波の入射光を平面波の出射光に変換する場合に限らない。発散光(凸波面)として入力されるレーザ光が、所望曲率の波面を有するレーザ光として出力されるように、VRWMの焦点距離を一定値に制御することもできる。
【0210】
図28(b)は、レーザ光の角度(方向)及び波面の曲率が変化した場合を示す。熱負荷の影響によって、入射するレーザ光の方向が図28中の下側に傾き、その波面が発散光(凸波面)に変化したとする。その場合、反射ミラー111で反射されるレーザ光の光軸が基準光軸と一致するように、反射ミラー111の角度を制御する。
【0211】
反射ミラー111で反射されたレーザ光は、45度の入射角度でVRWM110に入射する。VRWM110で反射されるレーザ光が平面波となるように、VRWM110の形状はトロイダル形状の凹面状に設定される。
【0212】
なお、凸面波のレーザ光を平面波に変換する場合を述べたが、これに限らない。凹面波のレーザ光を平面波に変換することもできるし、あるいは、凸波面や凹面波の入射光を、所望の曲率の波面を有する出射光に変換することもできる。
【0213】
また、許容収差以内の入射角度の場合、例えば、VRWM110の水平方向と垂直方向の2軸の角度を制御することにより(チルトとロールを制御することにより)、出射光の光軸を基準光軸に一致させてもよい。
【実施例13】
【0214】
図29に基づいて第13実施例を説明する。本実施例では、反射ミラー113とVRWM112とをZ型に配置することにより、角度補正器と波面曲率補正器を兼用する波面補正器34Bを構成する。入射角度は、2.5度である。
【0215】
図29(a)は、熱負荷の低い場合を示す。平面波のレーザ光は、反射ミラー113に入射角度2.5度で入射して反射される。反射されたレーザ光は、2.5度の角度でVRWM112に入射する。VRWM112の形状はフラットに制御されており、レーザ光を平面波の状態で反射する。なお、平面波の場合を述べたがこれに限らず、例えば、凸面波や凹面波が入力された場合でも、VRWM112の形状を変化させることにより、所定曲率の波面を有するレーザ光として出力させることもできる。
【0216】
図29(b)は、熱負荷の高い場合を示す。入射するレーザ光の角度が図29中の下側に傾き、かつ、そのレーザ光の波面が凸面波になった場合を述べる。この場合、反射ミラー113の角度を変化させて、反射ミラー113で反射されるレーザ光の光軸を、基準光軸(図29(a)に示す光軸)に一致させる。
【0217】
反射ミラー113により反射された光は、2.5度の入射角度でVRWM112に入射する。VRWM112は、VRWM112で反射されたレーザ光が平面波となるように、その形状が球面の凸面状に変化され、かつ、その角度が調整される。なお、平面波に変換する場合に限らず、凹面波や凸面波を所望曲率の波面に変換して出力させることもできる。このとこは、以下の各実施例でも同様である。
【実施例14】
【0218】
図30に基づいて第14実施例を説明する。本実施例では、2枚の凸レンズ114,115を用いることにより、角度補正器と波面曲率補正器とを兼用する波面補正器34Cを構成する。凸レンズ115は、光軸に直交する方向(図30の上下方向)に位置を調整するための移動ステージ117上に設けられている。さらに、その移動ステージ117は、光軸方向に位置を調整するための別の移動ステージ118上に設けられている。従って、凸レンズ115は、光軸方向及び光軸に直交する方向のいずれにも移動させることができる。符号119は、凸レンズ114を通過した光が集まる点(集光点)である。
【0219】
図30(a)は、熱負荷の小さい場合を示す。平面波のレーザ光は、凸レンズ114を透過して、凸レンズ114の焦点位置に集まる。凸レンズ115は、凸レンズ115の焦点位置が凸レンズ114の焦点位置と同一光軸上で一致するように、配置される。その位置に集光した光は、発散光となって凸レンズ115に入射し、凸レンズ115により平面波に変換されて、出力される。
【0220】
図30(b)は、熱負荷の大きい場合を示す。熱負荷の影響により、レーザ光は、その入射方向が斜め上側に傾き、かつ、発散光(凸波面)となっている。そこで、発散光は凸レンズ114の焦点の位置よりも遠くに集光する。そして、この集光点119と凸レンズ115の前側焦点とが一致するように、凸レンズ114の位置を光軸方向(図30の左右方向)で移動させる。さらに、凸レンズ115は、光軸に対して直交する方向(図30の上下方向)で移動させる。これにより、レーザ光の出射方向を基準光軸方向に一致させる。凸レンズ114を通過したレーザ光は、凸レンズ115に入射して平面波に変換され、基準光軸に沿って出力される。
【0221】
なお、凸レンズ114と凸レンズ115の結合に限定されず、1枚の凸レンズと1枚の凹レンズとの結合によって、角度補正及び波面の曲率補正を行う波面補正器34を構成してもよい。
【実施例15】
【0222】
図31に基づいて第15実施例を説明する。本実施例では、ディフォーマブルミラー120と反射ミラー121とを用いて、角度補正器と波面曲率補正器とを兼用する波面補正器34Dを構成する。
【0223】
図31に示すように、ディフォーマブルミラー120と反射ミラー121とは、Z型に配置される。ディフォーマブルミラー120の反射面の形状は、波面補正コントローラ50から入力される制御信号に応じて、可変に制御される。
【0224】
歪んだ波面のレーザ光がディフォーマブルミラー120に入射する場合、その入射する波面に合わせて、ディフォーマブルミラー120の反射面形状を調節する。ディフォーマブルミラー120は、入射するレーザ光の波面を平面波に補正して反射させる。平面波に補正されたレーザ光は、反射ミラー121により反射されて出力される。
【0225】
ディフォーマブルミラー120を用いることにより、球面波ではない波面、例えばS字のような波面でも、平面波や所望の球面波に変換することができる。また、小さな角度であれば、レーザ光の方向も補正可能である。なお、反射ミラー121及びディフォーマブルミラー120のそれぞれについて、チルト及びロールを制御することにより、レーザ光の方向を調整することもできる。実施例16でも同様である。
【実施例16】
【0226】
図32に基づいて第16実施例を説明する。本実施例ではディフォーマブルミラー120と偏光制御とを結合させることで、波面補正器34Eを構成する。波面補正器34Eは、ディフォーマブルミラー120と、ビームスプリッタ122と、λ/4板123とを備える。ビームスプリッタ122とλ/4板123との間に、SA装置33を配置させることができる。
【0227】
例えば、P偏光とS偏光とを分離させるための膜が設けられた、ビームスプリッタ122に、P偏光(紙面を含む偏波面)のレーザ光が入射する。そのレーザ光の波面は、平面波の状態でビームスプリッタ122に入力されるものとする。しかし、そのレーザ光は、ビームスプリッタ122からSA装置33を通過することにより、その波面がS字状に歪んだとする。
【0228】
SA装置33を通過したレーザ光は、λ/4板123を透過することにより、円偏光となる。S字状に歪んだ波面は、適切な形状に調節されたディフォーマブルミラー120により、所定の波面に補正される。
【0229】
波面の補正されたレーザ光は、再びλ/4板123を透過し、S偏光に変換される。S偏光のレーザ光は、SA装置33を透過することにより、所定の波面から平面波に変換される。平面波に変換されたレーザ光は、ビームスプリッタ122に入射する。S偏光のレーザ光は、ビームスプリッタ122で反射され、平面波として出力される。ディフォーマブルミラー122の表面形状を調節することにより、平面波以外の所望の波面形状で出力させることもできる。
【実施例17】
【0230】
図33に基づいて第17実施例を説明する。本実施例では、ウインドウ300Wを用いてセンサ36Bを構成する。ウインドウ300Wは、ウインドウ基板300AWと、ウインドウ基板300AWを保持するためのホルダ300BWとを備える。ホルダ300BWは、図示しない水冷ジャケットを備えている。
【0231】
ウインドウ300Wは、ドライバレーザ光の光軸中に、傾いた状態で配置される。ウインドウ300Wの表面で反射された僅かなレーザ光は、サンプル光として光学的センサ部360に入射する。
【0232】
ウインド300Wとしては、例えば、アンプ32,35のウインドウや、EUVチャンバ10のウインドウ13を利用することもできる。この場合、計測用のサンプル光を得るだけのためにウインドウを設ける必要がなく、製造コストを低減できる。ウインドウ基板300Aは、例えば、ダイヤモンドのようなCO2レーザ光を透過し、熱伝導性の高い材質から構成される。
【0233】
平行平面ウインドウ300Wでは、表面と裏面の両方でレーザ光がそれぞれ僅かに反射されて、サンプル光として光学的センサ部360に入射する。従って、ビームプロファイルの計測には適さない。しかし、サンプル光を集光レンズで焦点の位置に集光して、焦点像の位置を計測し、レーザ光の角度(方向)とビームの広がり角を計測することはできる。また、レーザのビームラインのデューティ及びパワーも、不都合なく計測できる。
【実施例18】
【0234】
図34に基づいて第18実施例を説明する。本実施例では、SAガスセル330の入射ウインドウ3332(1)によって反射される光を、光学的センサ部360によって計測する。反射光を計測するために、ウインドウ3332(1)を鉛直方向から角度θ2だけ傾ける。
【0235】
本実施例では、レーザ光をサンプリングするための専用の光学素子を必要とせず、ウインドウ3332(1)を利用するため、レーザ光の損失を少なくでき、かつ、コストを低減することができる。
【実施例19】
【0236】
図35に基づいて第 実施例を説明する。本実施例では、ビームプロファイラ304A,304Bを用いて、センサ36Cを構成する。本実施例では、反射ミラー302Aの透過光ビームプロファイラ304Aで検出し、反射ミラー302Bの透過光をビームプロファイラ304Aで検出する。ビームプロファイラの計測結果に応じて、波面補正器(WFC)34が調整される。
【0237】
反射ミラー302Aの裏面側とビームプロファイラ304Aとの間には、レンズ303Aが設けられている。同様に、反射ミラー302Bの裏面側とビームプロファイラ304Bとの間には、レンズ303Bが設けられている。
【0238】
平面波のレーザ光は、リレー光学系31を透過して、SA装置33を透過することにより、レーザ光の方向と波面の曲率が変化する。その方向及び波面の曲率の変化したレーザ光は、波面補正器(WFC)34に入射する。波面補正器(WFC)34は、波面の曲率とレーザ光の角度(方向)とを補正して、レーザ光を出力する。
【0239】
波面補正器(WFC)34で補正されたレーザ光は、反射ミラー302Aにより反射されて、反射ミラー302Bに入射する。一方、反射ミラー302Aを僅かに透過するサンプル光は、転写レンズ303Aにより、ビームプロファイラ304Aの有する2次元センサ上に転写される。その2次元センサにより、レーザ光のビーム形状と位置とが計測される。
【0240】
ビームプロファイラ304Aからの計測データは、波面補正コントローラ(WFC−C)50に入力される。波面補正コントローラ(WFC−C)50は、波面補正器(WFC)34に、レーザ光の位置が基準位置となるように、制御信号を送信して制御する。
【0241】
一方、反射ミラー302Bを僅かに透過した光は、転写レンズ303Bにより、ビームプロファイラ304Bの備える2次元センサ上に転写される。2次元センサは、レーザ光のビーム形状と位置とを計測する。
【0242】
ビームプロファイラ304Bで計測されたデータは、波面補正コントローラ(WFC−C)50に入力される。波面補正コントローラ(WFC−C)50は、反射ミラー302Aの角度を調整するためのアクチュエータ305に制御信号を出力し、ビームプロファイラ304Bで計測されるレーザ光の位置が基準位置となるように反射ミラー302Aの角度を制御する。さらに、レーザ光の波面の曲率を制御するために、レーザのビーム形状が所定の値となるようにWFCに制御信号を送る。
【0243】
このように構成される本実施例では、反射ミラー302A,302Bをレーザ光が透過する側(反射ミラーの裏側)にビームプロファイラ304A,304Bを配置するため、コンパクトにセンサ36Cを構成することができる。さらに、図37に示す計測用光学系によって、ドライバレーザ光の波面が影響されるのを少なくすることができる。
【実施例20】
【0244】
図36に基づいて第20実施例を説明する。本実施例では、SAガスセル330に温度センサ312(1)〜312(4)をいずれか1つまたは複数設け、ウインドウ3332(1),3332(2)の温度分布を直接的にまたは間接的に計測する。
【0245】
第1の温度センサ312(1)は、SAガスセル330内の流通空間3334に流入する混合ガスの温度を計測する。第1の温度センサ312(1)は、例えば、供給管路333(1)の途中や、供給管路333(1)に接続される流入口等に設けることができる。第2の温度センサ312(2)は、流通空間3334から排出される混合ガスの温度を計測する。第2の温度センサ312(2)は、例えば、排出管路333(2)の途中や、排出管路333(2)に接続される流出口等に設けることができる。
【0246】
熱負荷判定部314は、流入側の温度Tinと流出側の温度Toutとの差から、熱量Qを算出できる(Q=k(Tout−Tin):kは比例定数)。熱量Qは、混合ガスに吸収された光量に対応する。この熱量Qに基づいて、SAガスセル330の熱負荷の状態を算出できる。熱負荷判定部314は、その算出結果を波面補正コントローラ50に出力する。
【0247】
第3の温度センサ312(3)は、出射ウインドウ3332(1)の端部付近の温度を検出して、熱負荷判定部314に出力する。第3の温度センサ312(3)は、例えば、半導体式温度センサや熱電対等のような接触型の温度センサとして構成される。熱負荷判定部314は、その温度に基づいて、SAガスセル330の熱負荷の状態を計測できる。
【0248】
第4の温度センサ312(4)は、非接触式の温度センサであり、入射ウインドウ3332(1)の表面温度を離れた場所で計測する。第4の温度センサ312(4)は、例えば、放射温度計として構成される。熱負荷判定部314は、第4の温度センサ312(4)で検出された温度や温度分布に基づいて、SAガスセル330の熱負荷の状態を計測する。
【実施例21】
【0249】
図37を参照して第21実施例を説明する。本実施例では、入射ウインドウと出射ウインドウとを共通のウインドウとして構成し、流通空間3334内に、入射レーザ光を反射させるための反射光学系3335を設ける。
【0250】
SA装置33AのSAガスセル330Dは、一方の側に単一のウインドウ3332を備える。その単一ウインドウ3332は、例えば、ダイヤモンドウインドウとして構成され、入射ウインドウと反射ウインドウの両方の機能を兼ね備える。SAガスセル330Dの内部には、ウインドウ3332に対面するようにして、高反射ミラー3335が設けられる。高反射ミラー3335は、レーザ光が小さな入射角度で入射するようにして設置される。高反射ミラー3335の設置角度は、レーザの入射ビームとレーザの反射ビームとが可飽和吸収セルの外で分離するような値に設定される。高反射ミラー3335は、レーザ光を高い反射率で反射するミラーである。高反射ミラー3335には、冷却水等を用いた冷却機構(不図示)が設けられており、レーザ光の熱により歪まないようになっている。
【0251】
レーザ光は、ウインドウ3332を介して流通空間3334内に入射し、高反射ミラー3335により反射される。反射されたレーザ光は、入射時に通過したウインドウ3332を再び通過して、SAガスセル330Dの外部に出射する。
【0252】
本実施例では、上述のように、SAガスセル330D内でレーザ光を折り返すため、一つのウインドウ3332を入射ウインドウおよび出射ウインドウとして使用できる。従って、高価なダイヤモンドウインドウを1枚だけ用いるだけで、SAガスセル330Dを製造することができ、製造コストを低減できる。
【実施例22】
【0253】
図38を参照して第22実施例を説明する。本実施例のSA装置33Bでは、SAガスセル330E内に、2枚の45度入射の高反射ミラー3335(1),3335(2)を用いる。各高反射ミラー3335(1),3335(2)にも、冷却機構(不図示)が設けられる。
【0254】
各高反射ミラー3335(1),3335(2)は、レーザ光の光軸に対して45度ずつ傾いて配置されており、ウインドウ3332から入射するレーザ光をウインドウ3332に向けて反射させる。このように構成される本実施例でも第21実施例と同様の効果を奏する。
【0255】
なお、本発明は上述した各実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。また、上述の各実施例を適宜組み合わせた構成も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0256】
1:EUV光源装置、2:レーザ光源装置、5:EUV露光装置、10:チャンバ、11:チャンバ本体、12:接続部、13:ウインドウ、14:EUV集光ミラー、15:ターゲット物質供給部、20:レーザ発振器、30:増幅システム、31:リレー光学系、32:プリアンプ、33,33A,33B,33C:可飽和吸収体装置、34,34A,34B,34C,34D,34E:波面補正器、35:メインアンプ、36,36B,36C:センサ、40:集光システム、41:反射ミラー、42:軸外放物凹面ミラー、43:リレー光学系、50:波面補正コントローラ、60:レーザコントローラ、70:EUV光源コントローラ、80:可飽和吸収体ガスセルコントローラ、82:ガス温度コントローラ、100:角度補正器、200,200B,200C,200D,200E,200H,200J:波面曲率補正器、314:熱負荷判定部、330,330A,330B,330C,330D,330E,330P:可飽和吸収体ガスセル、331(1):循環ポンプ、331(2)排気ポンプ、332:熱交換器、333(1):供給管路、333(2):排出管路、334(1):可飽和吸収体ガスボンベ、334(2):バッファガスボンベ、335(1):ガス供給バルブ、335(2):バッファガスバルブ、335(3):可飽和吸収体ガスバルブ、335(4):バッファガスバルブ、336(1):圧力センサ、336(2):温度センサ、360:光学的センサ部、3300:ホルダ、3332(1):入射ウインドウ、3332(2):出射ウインドウ、3334:流通空間、3335,3335(1),3335(2):反射ミラー、3336:流入口、3338:流出口、3340:ポーラス円筒管、3341:鍔部、3342:筒部、3343:小孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、
チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記増幅器により増幅されて出力されるレーザ光を前記チャンバ内の所定位置に集光させることにより、前記増幅後のレーザ光を前記ターゲット物質に照射させる集光光学系と、
前記レーザ発振器と前記所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるためのウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
前記流入口と前記流出口とを接続するための管路と、
前記管路の途中に設けられ、前記流出口から流出する前記可飽和吸収体を前記流入口から前記流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、
前記管路の途中に設けられ、前記輸送部により輸送される前記可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、
を備える極端紫外光源装置。
【請求項2】
前記可飽和吸収体セルは、
前記レーザ発振器の出力レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、
前記レーザ発振器の出力レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、
前記各ウインドウ間に形成される前記流通空間と、
前記流入口と、
前記流出口とを、備えて構成される請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項3】
前記流通空間内の前記可飽和吸収体の流れが、前記流通空間を通過する前記レーザ光の光軸に対して略対称となるように、前記流入口及び前記流出口が配置されている、請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項4】
前記流通空間内の前記可飽和吸収体の流れが、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光の光軸に対して略対称となるように、前記流入口及び前記流出口が配置されている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項5】
前記各ウインドウの内面側を前記可飽和吸収体が流通し、かつ、前記ウインドウ間を前記レーザ光の光軸に沿って前記可飽和吸収体が移動するように、前記流入口または前記流出口が前記各ウインドウの近傍に設けられる、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項6】
前記流入口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、
前記流出口は、前記各ウインドウ間に設けられる、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項7】
前記流出口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、
前記流入口は、前記各ウインドウ間の略中央部に位置して設けられる、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項8】
前記流入口は、前記各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている、請求項6に記載の極端紫外光源装置。
【請求項9】
前記流出口は、前記各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている、請求項7に記載の極端紫外光源装置。
【請求項10】
前記各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、
前記流入口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側のそれぞれの側において、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光の光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、前記入射ウインドウ側に設けられる前記各流入口は前記入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、前記出射ウインドウ側に設けられる前記各流入口は前記出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、
前記流出口は、前記各ウインドウの間に位置して、前記レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項11】
前記各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、
前記流出口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側のそれぞれの側において、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光に対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、前記入射ウインドウ側に設けられる前記各流出口は前記入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、前記出射ウインドウ側に設けられる前記各流出口は前記出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、
前記流入口は、前記各ウインドウの間に位置して、前記レーザ光に対称となるように複数設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項12】
前記各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、
前記流出口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側のそれぞれの側において、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、
前記流入口は、前記各ウインドウの間に位置して、前記レーザ光軸に軸対称となるように複数設けられており、
前記各ウインドウの内面外周側と前記各流出口との間には、前記可飽和吸収体を流通させるための流通孔が複数形成されている流通制御部材が設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項13】
前記流通制御部材は、
前記各ウインドウに同軸に配置される筒状部材であって、その一方の端部が前記各ウインドウの内面側に設けられ、前記各流通孔を有する筒状部材と、
前記可飽和吸収体が前記各流通孔以外から前記各流出口に流れ込まないように、前記筒状部材の他方の端部と前記流通空間の内壁部との間を施蓋する環状の鍔部と、
を備えて構成されている、請求項12に記載の極端紫外光源装置。
【請求項14】
前記可飽和吸収体セルは複数設けられており、一方の可飽和吸収体セル内の前記可飽和吸収体の流通方向と他方の可飽和吸収体セル内の前記可飽和吸収体の流通方向とは、逆向きになるように設定されている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項15】
前記入射ウインドウと前記出射ウインドウとは共通のウインドウにより構成されており、かつ、前記流通空間には、前記共通のウインドウから入射する前記レーザ発振器の出力レーザ光を反射させて、前記共通のウインドウから出射させるための反射光学系が設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項16】
前記可飽和吸収体装置を通過する前記レーザ光の波面を補正するための波面補正装置を備える、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の極端紫外光源装置。
【請求項17】
前記波面補正装置は、
前記レーザ光の方向及び波面の形状を直接的または間接的に計測するための波面計測部と、
前記レーザ光の前記方向及び前記波面の形状を所定の方向及び所定の波面の形状に補正させるための波面補正部と、
前記波面計測部からの計測結果に基づいて前記波面補正部を動作させるための波面制御部と、を備えて構成される、請求項16に記載の極端紫外光源装置。
【請求項18】
前記輸送部及び前記温度調節部を制御するための制御部を備える、請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項19】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項20】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置と前記可飽和吸収体の温度を制御するための制御装置で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項21】
極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、
チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記増幅器により増幅されて出力されるレーザ光を前記チャンバ内の所定位置に集光させることにより、前記増幅後のレーザ光を前記ターゲット物質に照射させる集光光学系と、
前記レーザ発振器と前記所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるための、ダイヤモンドから形成されるウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
を備える極端紫外光源装置。
【請求項22】
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記レーザ発振器と前記増幅器との間の光路中または前記各増幅器の間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるためのウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
前記流入口と前記流出口とを接続するための管路と、
前記管路の途中に設けられ、前記流出口から流出する前記可飽和吸収体を前記流入口から前記流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、
前記管路の途中に設けられ、前記輸送部により輸送される前記可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、
を備えるパルスレーザ装置。
【請求項23】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置で構成されていることを特徴とする請求項22に記載のパルスレーザ装置。
【請求項24】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置と前記可飽和吸収体の温度を制御するための制御装置で構成されていることを特徴とする請求項22に記載のパルスレーザ装置。
【請求項25】
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記レーザ発振器と前記増幅器との間の光路中または前記各増幅器の間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるための、ダイヤモンドから形成されるウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
を備えるレーザ装置。
【請求項26】
極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体を制御するための方法であって、
前記極端紫外光を発生させるためのレーザ光が透過する可飽和吸収体セルに、前記可飽和吸収体を循環させ、
循環される前記可飽和吸収体の温度を所定温度に維持し、
前記可飽和吸収体セルの有する一つまたは複数のウインドウの温度分布が前記レーザ光の光軸に対して略対称となるように、前記可飽和吸収体セルに前記可飽和吸収体を流通させる、
極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体の制御方法。
【請求項1】
極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、
チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記増幅器により増幅されて出力されるレーザ光を前記チャンバ内の所定位置に集光させることにより、前記増幅後のレーザ光を前記ターゲット物質に照射させる集光光学系と、
前記レーザ発振器と前記所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるためのウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
前記流入口と前記流出口とを接続するための管路と、
前記管路の途中に設けられ、前記流出口から流出する前記可飽和吸収体を前記流入口から前記流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、
前記管路の途中に設けられ、前記輸送部により輸送される前記可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、
を備える極端紫外光源装置。
【請求項2】
前記可飽和吸収体セルは、
前記レーザ発振器の出力レーザ光の入射する入射側に配置される入射ウインドウと、
前記レーザ発振器の出力レーザ光の出射する出射側に配置される出射ウインドウと、
前記各ウインドウ間に形成される前記流通空間と、
前記流入口と、
前記流出口とを、備えて構成される請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項3】
前記流通空間内の前記可飽和吸収体の流れが、前記流通空間を通過する前記レーザ光の光軸に対して略対称となるように、前記流入口及び前記流出口が配置されている、請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項4】
前記流通空間内の前記可飽和吸収体の流れが、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光の光軸に対して略対称となるように、前記流入口及び前記流出口が配置されている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項5】
前記各ウインドウの内面側を前記可飽和吸収体が流通し、かつ、前記ウインドウ間を前記レーザ光の光軸に沿って前記可飽和吸収体が移動するように、前記流入口または前記流出口が前記各ウインドウの近傍に設けられる、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項6】
前記流入口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、
前記流出口は、前記各ウインドウ間に設けられる、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項7】
前記流出口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側の両方にそれぞれ設けられており、
前記流入口は、前記各ウインドウ間の略中央部に位置して設けられる、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項8】
前記流入口は、前記各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている、請求項6に記載の極端紫外光源装置。
【請求項9】
前記流出口は、前記各ウインドウの内面中心に向けて傾斜して設けられている、請求項7に記載の極端紫外光源装置。
【請求項10】
前記各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、
前記流入口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側のそれぞれの側において、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光の光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、前記入射ウインドウ側に設けられる前記各流入口は前記入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、前記出射ウインドウ側に設けられる前記各流入口は前記出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、
前記流出口は、前記各ウインドウの間に位置して、前記レーザ光の光軸に軸対称となるように複数設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項11】
前記各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、
前記流出口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側のそれぞれの側において、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光に対称となるように複数ずつ設けられており、かつ、前記入射ウインドウ側に設けられる前記各流出口は前記入射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、前記出射ウインドウ側に設けられる前記各流出口は前記出射ウインドウの接線方向と平行に設けられており、
前記流入口は、前記各ウインドウの間に位置して、前記レーザ光に対称となるように複数設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項12】
前記各ウインドウはそれぞれ円形状に形成されており、
前記流出口は、前記入射ウインドウの側及び前記出射ウインドウの側のそれぞれの側において、前記各ウインドウ間を通過する前記レーザ光軸に軸対称となるように複数ずつ設けられており、
前記流入口は、前記各ウインドウの間に位置して、前記レーザ光軸に軸対称となるように複数設けられており、
前記各ウインドウの内面外周側と前記各流出口との間には、前記可飽和吸収体を流通させるための流通孔が複数形成されている流通制御部材が設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項13】
前記流通制御部材は、
前記各ウインドウに同軸に配置される筒状部材であって、その一方の端部が前記各ウインドウの内面側に設けられ、前記各流通孔を有する筒状部材と、
前記可飽和吸収体が前記各流通孔以外から前記各流出口に流れ込まないように、前記筒状部材の他方の端部と前記流通空間の内壁部との間を施蓋する環状の鍔部と、
を備えて構成されている、請求項12に記載の極端紫外光源装置。
【請求項14】
前記可飽和吸収体セルは複数設けられており、一方の可飽和吸収体セル内の前記可飽和吸収体の流通方向と他方の可飽和吸収体セル内の前記可飽和吸収体の流通方向とは、逆向きになるように設定されている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項15】
前記入射ウインドウと前記出射ウインドウとは共通のウインドウにより構成されており、かつ、前記流通空間には、前記共通のウインドウから入射する前記レーザ発振器の出力レーザ光を反射させて、前記共通のウインドウから出射させるための反射光学系が設けられている、請求項2に記載の極端紫外光源装置。
【請求項16】
前記可飽和吸収体装置を通過する前記レーザ光の波面を補正するための波面補正装置を備える、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の極端紫外光源装置。
【請求項17】
前記波面補正装置は、
前記レーザ光の方向及び波面の形状を直接的または間接的に計測するための波面計測部と、
前記レーザ光の前記方向及び前記波面の形状を所定の方向及び所定の波面の形状に補正させるための波面補正部と、
前記波面計測部からの計測結果に基づいて前記波面補正部を動作させるための波面制御部と、を備えて構成される、請求項16に記載の極端紫外光源装置。
【請求項18】
前記輸送部及び前記温度調節部を制御するための制御部を備える、請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項19】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項20】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置と前記可飽和吸収体の温度を制御するための制御装置で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光源装置。
【請求項21】
極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置であって、
チャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給部と、
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記増幅器により増幅されて出力されるレーザ光を前記チャンバ内の所定位置に集光させることにより、前記増幅後のレーザ光を前記ターゲット物質に照射させる集光光学系と、
前記レーザ発振器と前記所定位置との間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるための、ダイヤモンドから形成されるウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
を備える極端紫外光源装置。
【請求項22】
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記レーザ発振器と前記増幅器との間の光路中または前記各増幅器の間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるためのウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
前記流入口と前記流出口とを接続するための管路と、
前記管路の途中に設けられ、前記流出口から流出する前記可飽和吸収体を前記流入口から前記流通空間に流入させるように輸送する輸送部と、
前記管路の途中に設けられ、前記輸送部により輸送される前記可飽和吸収体の温度を調節するための温度調節部と、
を備えるパルスレーザ装置。
【請求項23】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置で構成されていることを特徴とする請求項22に記載のパルスレーザ装置。
【請求項24】
前記温度調節部は、可飽和吸収体が吸収した熱を廃熱するための廃熱装置と前記可飽和吸収体の温度を制御するための制御装置で構成されていることを特徴とする請求項22に記載のパルスレーザ装置。
【請求項25】
パルスレーザ光を出力するためのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力される前記レーザ光を増幅させる少なくとも2つ以上の増幅器と、
前記レーザ発振器と前記増幅器との間の光路中または前記各増幅器の間の光路中に設けられ、少なくとも所定値以下の光強度のレーザ光を吸収し、透過するのを抑制するための可飽和吸収体装置とを備え、
前記可飽和吸収体装置は、
可飽和吸収体の流通する流通空間を有する本体部と、前記流通空間に前記可飽和吸収体を流入させるための流入口と、前記流通空間から前記可飽和吸収体を流出させるための流出口と、前記流通空間に前記レーザ発振器の出力レーザ光を通過させるための、ダイヤモンドから形成されるウインドウとを備える可飽和吸収体セルと、
を備えるレーザ装置。
【請求項26】
極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体を制御するための方法であって、
前記極端紫外光を発生させるためのレーザ光が透過する可飽和吸収体セルに、前記可飽和吸収体を循環させ、
循環される前記可飽和吸収体の温度を所定温度に維持し、
前記可飽和吸収体セルの有する一つまたは複数のウインドウの温度分布が前記レーザ光の光軸に対して略対称となるように、前記可飽和吸収体セルに前記可飽和吸収体を流通させる、
極端紫外光源装置で使用される可飽和吸収体の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2010−103104(P2010−103104A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216203(P2009−216203)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
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