説明

液処理装置、液処理方法、およびこの液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体

【課題】酸性処理液とアルカリ性処理液とにより生成される生成物が付着することを防止し、排気効率を向上させることができる液処理装置を提供する。
【解決手段】本発明による液処理装置10は、被処理体Wに、酸性処理液またはアルカリ性処理液を供給する液処理部40と、液処理部40に連結された主排気ダクト64と、主排気ダクト64に、排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、液処理部40内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクト61、62、63と、主排気ダクト64と複数の個別排気ダクト61、62、63の各々との間に設けられた複数の排気開閉弁71、72、73と、を備えている。主排気ダクト64は、分岐部64bを有し、液処理部40と主排気ダクト64の分岐部64bとの間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部80が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理体を処理する液処理装置、液処理方法、およびこの液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造プロセスにおいては、ウエハ(被処理体)をスピンチャックによって保持し、ウエハを回転させながら、ウエハに複数の処理液を順次吐出してウエハを洗浄処理する液処理装置が用いられている。
【0003】
このような液処理装置を用いてウエハを洗浄処理する場合、まず、スピンチャックに保持されたウエハを回転させながら、酸性の処理液(例えば、SPM液(硫酸と過酸化水素水の混合溶液))がウエハに吐出されてSPM液による処理が行われる。続いて、ウエハにリンス処理液(例えば、純水)が吐出されてウエハがリンス処理される。次に、アンモニア成分を有するアルカリ性の処理液(例えば、アンモニア過水(SC1液))がウエハに吐出されてSC1液による処理が行われ、その後、ウエハに純水が吐出されてウエハがリンス処理される。次に、ウエハに、有機性の処理液(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))が吐出されてウエハが処理され、ウエハを乾燥させる。
【0004】
上述のようにしてウエハを処理している間、回転しているウエハに吐出された処理液は、ウエハの周辺にミスト状になって飛散し、ウエハの周囲の気体と共に、排気ダクトを通って、処理液毎に回収または排液される。この場合、排気ダクト内を、酸性のSPM液のミストと、アルカリ性のSC1液のミストが流れるため、SPM液とSC1液とが反応して、排気ダクト内に生成物が付着するという問題がある。
【0005】
ところで、排気ダクト内に水スプレーノズルを設け、排気ダクト内に詰まった薬品の結晶を取り除く排気システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、排気ダクト内を流れる薬品の蒸気が、冷却コイルによって冷却されることにより付着した結晶を洗浄する排気システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−107097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、複数の処理液を用いてウエハを処理する液処理装置においては、排気ダクトに、ミスト状の酸性のSPM液と、ミスト状のアルカリ性のSC1液とが流れる。このため、排気ダクト内に、SPM液とSC1液とにより生成された生成物が付着し、排気ダクトの流路断面積が減少し、排気効率が低下するという問題がある。また、このような生成物は、ダンパー等の開閉弁にも付着し、開閉弁の開閉動作に支障をきたすという問題もある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、酸性処理液とアルカリ性処理液とにより生成される生成物が付着することを防止し、排気効率を向上させることができる液処理装置、液処理方法、およびこの液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被処理体に、酸性処理液を供給する酸性処理液供給部と、アルカリ性処理液を供給するアルカリ性処理液供給部とを有する液処理部と、前記液処理部に連結された主排気ダクトと、前記主排気ダクトに排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、前記液処理部内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクトと、前記主排気ダクトと、前記複数の個別排気ダクトの各々との間に設けられた複数の排気開閉弁であって、前記複数の排気開閉弁のうち一の排気開閉弁は、前記被処理体に酸性処理液が供給されている際に開となり、他の一の排気開閉弁は、前記被処理体にアルカリ性処理液が供給されている際に開となるような、前記複数の排気開閉弁と、を備え、前記主排気ダクトは、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最上流側に位置する個別排気ダクトへ分岐する分岐部を有し、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部が設けられ、前記洗浄流体噴出部は、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に他の排気開閉弁を閉じた状態で、洗浄流体を噴出することを特徴とする液処理装置を提供する。
【0010】
なお、上述した液処理装置において、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に主排気開閉弁が設けられ、前記洗浄流体噴出部は、前記液処理部と前記主排気開閉弁との間に設けられた第1洗浄流体ノズルと、前記主排気開閉弁と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に設けられた第2洗浄流体ノズルと、を有し、前記第1洗浄流体ノズルおよび前記第2洗浄流体ノズルは、排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに対応する前記排気開閉弁を開くと共に前記他の排気開閉弁を閉じた状態で、洗浄流体を噴出する、ことが好ましい。
【0011】
また、上述した液処理装置において、前記洗浄流体噴出部は、洗浄流体として、ミスト状の洗浄液を噴出する、ことが好ましい。
【0012】
また、上述した液処理装置において、排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに、液体と気体とを分離する気液分離部が設けられている、ことが好ましい。
【0013】
また、上述した液処理装置において、前記液処理部に前記被処理体を搬入出する搬送機構を更に備え、前記洗浄流体噴出部は、前記液処理部において前記搬送機構により前記被処理体を搬入出する際に、洗浄流体を噴出する、ことが好ましい。
【0014】
本発明は、被処理体に、酸性処理液を供給する酸性処理液供給部と、アルカリ性処理液を供給するアルカリ性処理液供給部とを有する液処理部と、前記液処理部に連結された主排気ダクトと、前記主排気ダクトに排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、前記液処理部内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクトと、前記主排気ダクトと、前記複数の個別排気ダクトの各々との間に設けられた複数の排気開閉弁であって、前記複数の排気開閉弁のうち一の排気開閉弁は、前記被処理体に酸性処理液が供給されている際に開となり、他の一の排気開閉弁は、前記被処理体にアルカリ性処理液が供給されている際に開となるような、前記複数の排気開閉弁と、を備え、前記主排気ダクトは、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最上流側に位置する個別排気ダクトへ分岐する分岐部を有し、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部が設けられた液処理装置を用いて前記被処理体を処理する液処理方法において、前記酸性処理液供給部から前記被処理体に酸性処理液を供給する工程と、前記アルカリ性処理液供給部から前記被処理体にアルカリ性処理液を供給する工程と、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に他の排気開閉弁を閉じて、前記洗浄流体噴出部から洗浄流体を噴出する工程と、を備えたことを特徴とする液処理方法を提供する。
【0015】
なお、上述した液処理方法において、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に主排気開閉弁が設けられ、前記洗浄流体噴出部は、前記液処理部と前記主排気開閉弁との間に設けられた第1洗浄流体ノズルと、前記主排気開閉弁と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に設けられた第2洗浄流体ノズルと、を有し、前記洗浄流体を噴出する工程において、排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに対応する前記排気開閉弁を開くと共に前記他の排気開閉弁を閉じて、前記第1洗浄流体ノズルおよび前記第2洗浄流体ノズルから洗浄流体が噴出される、ことが好ましい。
【0016】
また、上述した液処理方法において、前記洗浄流体を噴出する工程において、洗浄流体として、ミスト状の洗浄液が噴出される、ことが好ましい。
【0017】
また、上述した液処理方法において、排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに、液体と気体とを分離する気液分離部が設けられており、前記洗浄流体噴出部から噴出された洗浄流体は、前記気液分離部において、液体と気体とに分離される、ことが好ましい。
【0018】
また、上述した液処理方法において、前記液処理部において前記被処理体を搬入出する際に、前記洗浄流体を噴出する工程が行われる、ことが好ましい。
【0019】
本発明は、被処理体に、酸性処理液を供給する酸性処理液供給部と、アルカリ性処理液を供給するアルカリ性処理液供給部とを有する液処理部と、前記液処理部に連結された主排気ダクトと、前記主排気ダクトに排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、前記液処理部内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクトと、前記主排気ダクトと、前記複数の個別排気ダクトの各々との間に設けられた複数の排気開閉弁であって、前記複数の排気開閉弁のうち一の排気開閉弁は、前記被処理体に酸性処理液が供給されている際に開となり、他の一の排気開閉弁は、前記被処理体にアルカリ性処理液が供給されている際に開となるような、前記複数の排気開閉弁と、を備え、前記主排気ダクトは、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最上流側に位置する個別排気ダクトへ分岐する分岐部を有し、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部が設けられた液処理装置を用いて前記被処理体を処理する液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体であって、この液処理方法は、前記酸性処理液供給部から前記被処理体に酸性処理液を供給する工程と、前記アルカリ性処理液供給部から前記被処理体にアルカリ性処理液を供給する工程と、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に他の排気開閉弁を閉じて、前記洗浄流体噴出部から洗浄流体を噴出する工程と、を備えたことを特徴とする記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に、他の排気開閉弁を閉じた状態で、主排気ダクトの分岐部の液処理部側において洗浄流体噴出部から洗浄流体が噴出される。このことにより、噴出された洗浄流体は、主排気ダクトを通って排気方向最下流側の個別排気ダクトに排出される。このため、洗浄流体を、主排気ダクト、当該排気方向最下流側の個別排気ダクト、各排気開閉弁に行き渡らせることができ、これらの部分に酸性処理液とアルカリ性処理液とにより生成される生成物が付着することを防止することができる。この結果、主排気ダクト内の流路断面積が減少することを防止すると共に、各排気開閉弁の動作不良を防止することができ、液処理部の排気効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における液処理装置の構成の一例を示す平面断面図。
【図2】図2は、本発明の実施の形態における液処理装置において、液処理部の構成を示す概略面図。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における液処理装置において、排気機構の構成を示す概略図。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における液処理方法のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における液処理装置、液処理方法、およびこの液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体について説明する。
【0023】
まず、図1により、液処理装置10の全体構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、液処理装置10は、複数の被処理体(例えば、半導体ウエハ、以下単にウエハWと記す)を水平状態で収容するウエハキャリアCが載置され、ウエハWの搬入および搬出を行う搬入出ステーション20と、搬入出ステーション20に隣接して設けられ、ウエハWを処理する処理ステーション30とを備えている。
【0025】
搬入出ステーション20は、ウエハキャリアCを載置するキャリア載置部21と、ウエハWを搬送する搬送部22と、ウエハWを処理ステーション30に受け渡す受渡部23とを有している。このうち搬送部22には、キャリア載置部21と受渡部23との間でウエハWを搬送するキャリア側搬送機構24が設けられている。受渡部23には、ウエハWを載置する受渡棚25が設けられており、この受渡棚25にウエハWを載置することにより、処理ステーション30にウエハWを受け渡すようになっている。
【0026】
処理ステーション30は、ウエハWを処理する複数の液処理部40と、受取棚25と液処理部40との間でウエハWを搬送し、各液処理部40にウエハWを搬入出する液処理部側搬送機構(搬送機構)31とを有している。複数の液処理部40は、並列する2つの列をなすように配置されており、液処理部40の列の間に液処理部側搬送機構31が配置されている。このようにして、各液処理部40において、ウエハWが処理されるようになっている。また、液処理部側搬送機構31は、各々がウエハWを保持可能な2つの保持アーム31aを有している。2つの保持アーム31aは、上下方向に配置されており、図1においては、上側の保持アーム31aのみを示している。
【0027】
各液処理部40の下方には、液処理部40に酸性処理液、アルカリ性処理液、有機性処理液、およびリンス処理液を供給する供給源(図示せず)が、それぞれ設けられている。また、各液処理部40の下方には、各液処理部40内の雰囲気を排出する排気機構60(図3参照)が設けられている。
【0028】
次に、図2を用いて、液処理部40について説明する。
【0029】
図2に示すように、液処理部40は、枚葉式にウエハWが搬入出されて処理される液処理室41と、液処理室41内に設けられ、ウエハWが保持される回転自在な回転プレート42とを有している。この回転プレート42には、回転駆動軸43を介して、回転モータ44が連結されており、ウエハWは、回転プレート42の周縁部において保持部材42aにより保持され、回転モータ44を駆動することによって水平面内で回転するようになっている。
【0030】
また、液処理部40は、回転プレート42に保持されたウエハWにSPM液(酸性処理液)を吐出(供給)する酸ノズル(酸性処理液供給部)45と、SC1液(アルカリ性処理液)を吐出するアルカリノズル(アルカリ性処理液供給部)46とを有している。このうち酸ノズル45には、SPM液の供給源(図示せず)が連結され、アルカリノズル46には、SC1液の供給源(図示せず)が連結されている。また、液処理部40は、純水(リンス処理液)を吐出するリンスノズル(リンス液供給部)47を有しており、リンスノズル47には、純水の供給源(図示せず)が連結されている。さらに、液処理部40は、図示しないが、IPA液(有機性処理液)を吐出する有機ノズル(有機性処理液供給部)が設けられており、有機ノズルには、IPA液の供給源が連結されている。
【0031】
なお、図2に示すように、回転駆動軸43には、回転プレート42に保持されたウエハWの裏面に純水およびNガスをそれぞれ供給可能な供給管48が設けられていても良い。この場合、ウエハWの裏面を洗浄することができる。
【0032】
回転プレート42の周辺には、ウエハWに吐出されて飛散した処理液や、それらのミストを案内するための案内カップ50が設けられている。この案内カップ50には、シリンダ等の昇降駆動部49が連結されており、案内カップ50は、回転プレート42に保持されたウエハWに対して、昇降自在になっている。また、案内カップ50は、三段構成となっており、ウエハWをSPM液により処理する際に、ウエハWから飛散したSPM液を案内する下段カップ部51と、ウエハWをSC1液により処理する際に、ウエハWから飛散したSC1液を案内する中段カップ部52と、ウエハWをIPA液により処理する際に、ウエハWから飛散したIPA液を案内する上段カップ部53とを有している。下段カップ部51には、下段排液管54が連結されており、下段カップ部51内のSPM液は、図示しないポンプにより下段排液管54を通って回収されるようになっている。同様に、中段カップ部52および上段カップ部53に、中段排液管55、上段排液管56がそれぞれ連結され、各処理液は各排液管55、56から排液されるようになっている。また、回転プレート42の下方には、回転プレート42の下方に回り込んだ処理液を排液する下方排液管57が設けられている。
【0033】
また、液処理部40には、液処理部40内の雰囲気を排出する排気機構60が連結されている。この排気機構60について、図3を用いて、以下に詳細に説明する。
【0034】
図3に示すように、排気機構60は、液処理部40に連結された主排気ダクト64と、主排気ダクト64に、(図3中の矢印で示す)排気方向下流側から順にそれぞれ連結された複数の個別排気ダクト(酸排気ダクト61、アルカリ排気ダクト62、および有機排気ダクト63)と、を有している。このうち酸排気ダクト61は、液処理部40(あるいは液処理室41)内の主に酸処理時の雰囲気を排出し、アルカリ排気ダクト62は、液処理部40内のアルカリ処理時の雰囲気を排出するようになっている。また、有機排気ダクト63は、液処理部40内の乾燥処理時の雰囲気を排出するようになっている。なお、酸排気ダクト61の上方に、アルカリ排気ダクト62が配置され、アルカリ排気ダクト62の上方に、有機排気ダクト63が配置されている。すなわち、図3に示す本実施の形態においては、排気方向最下流側に酸排気ダクト61が位置すると共に、排気方向最上流側に有機排気ダクト63が位置している。
【0035】
主排気ダクト64は、アルカリ排気ダクト62へ分岐する第1分岐部64aと、有機排気ダクト63へ分岐する第2分岐部64bと、を有している。すなわち、第2分岐部64bにおいて、主排気ダクト64内の排気の流路は、第1分岐部64aへの流路と、有機排気ダクト63への流路とに分岐され、第1分岐部64aにおいて、酸排気ダクト61への流路とアルカリ排気ダクト62への流路とに分岐されるようになっている。
【0036】
主排気ダクト64と、各排気ダクト61、62、63との間には、複数の排気開閉弁(ダンパー)71、72、73が設けられている。すなわち、主排気ダクト64と酸排気ダクト61との間には、回転しているウエハWにSPM液が供給されている際(酸性処理時)に開となる酸ダンパー71が設けられている。同様に、主排気ダクト64とアルカリ排気ダクト62との間には、回転しているウエハWにSC1液が供給されている際(アルカリ性処理時)に開となるアルカリダンパー72が設けられると共に、主排気ダクト64と有機排気ダクト63との間には、回転しているウエハWにIPA液が供給されている際(乾燥処理時)に開となる有機ダンパー73が設けられている。なお、酸ダンパー71、アルカリダンパー72、有機ダンパー73には、後述する制御部90が接続されており、各ダンパー71、72、73は、制御部90からの制御信号に基づいて、それぞれ、開閉するようになっている。
【0037】
液処理部40と主排気ダクト64の第2分岐部64bとの間に、主排気ダンパー(主排気開閉弁)77が設けられている。この主排気ダンパー77は、処理に用いられる処理液の種類にかかわらず、ウエハWを処理している間には開となるように設定されている。また、液処理部40と主排気ダンパー77との間には、主排気連結管78が介在されている。なお、主排気ダンパー77には、後述する制御部90が接続されており、主排気ダンパー77は、制御部90からの制御信号に基づいて、開閉するようになっている。
【0038】
図3に示すように、酸排気ダクト61には、液処理装置10の各液処理部40内の主に酸性処理時の雰囲気を排出する酸排気共通ダクト74が連結され、液処理部40内の雰囲気が酸排気ダクト61を通って酸排気共通ダクト74に排出されるようになっている。同様に、アルカリ排気ダクト62には、各液処理部40内のアルカリ処理時の雰囲気を排出するアルカリ排気共通ダクト75が連結され、液処理部40内の雰囲気がアルカリ排気ダクト62を通ってアルカリ排気共通ダクト75に排出されるようになっている。また、有機排気ダクト63には、各液処理部40内の乾燥処理時の雰囲気を排出する有機排気共通ダクト76が連結され、液処理部40内の雰囲気が有機排気ダクト63を通って有機排気共通ダクト76に排出されるようになっている。
【0039】
このような酸排気共通ダクト74、アルカリ排気共通ダクト75、および有機排気共通ダクト76は、図1に示す処理ステーション30の液処理部40の下方において、液処理部40の列の方向に延び、各液処理部40内の雰囲気をそれぞれ排出するようになっている。なお、酸排気共通ダクト74、アルカリ排気共通ダクト75、および有機排気共通ダクト76は、図3において、酸排気ダクト61、アルカリ排気ダクト62、および有機排気ダクト63の奥側に配置されている。
【0040】
酸排気共通ダクト74、アルカリ排気共通ダクト75、および有機排気共通ダクト76には、処理液のミストを含む排気から、液体と気体とを分離するミストトラップ(気液分離部)65、66、67がそれぞれ設けられている。ミストトラップ65において分離されたSPM液は、ドレイン68を通って回収され、ミストトラップ66、67において分離された処理液は、ドレイン69、70を通ってそれぞれ排液される。
【0041】
また、酸排気共通ダクト74、アルカリ排気共通ダクト75、および有機排気共通ダクト76には、吸引駆動部79a、79b、79cがそれぞれ設けられており、酸排気共通ダクト74、アルカリ排気共通ダクト75、有機排気共通ダクト76内が吸引されて、各液処理部40内の雰囲気が排出されるようになっている。
【0042】
液処理部40と主排気ダクト64の第2分岐部64bとの間には、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部80が設けられている。すなわち、図3に示すように、洗浄流体噴出部80は、液処理部40と主排気ダンパー77との間(すなわち、主排気連結管78)に設けられた第1洗浄流体ノズル81と、主排気ダンパー77と主排気ダクト64の第2分岐部64bとの間に設けられた第2洗浄流体ノズル82と、を有している。第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82は、主排気ダクト64内を洗浄する洗浄液体に気体を混合して、洗浄流体として、ミスト状の洗浄液(微小な粒径を有する洗浄液滴)を噴出する2流体ノズルとしてそれぞれ構成されている。このような第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82には、図示しない純水の供給源から純水が供給されると共に、図示しない不活性ガスの供給源から不活性ガスとしてのNガスが供給され、純水とNガスとが混合されて噴出されるようになっている。なお、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82には、後述する制御部90が接続されており、各洗浄流体ノズル81、82は、制御部90からの制御信号に基づいて、それぞれ、洗浄流体を噴出するようになっている。
【0043】
液処理装置10は、第1洗浄流体ノズル81、第2洗浄流体ノズル82、酸ダンパー71、アルカリダンパー72、有機ダンパー73、および主排気ダンパー77を制御する制御部90を有している。この制御部90は、酸ダンパー71および主排気ダンパー77を開くと共に、アルカリダンパー72および有機ダンパー73を閉じた状態で、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から洗浄流体を噴出するように、各ダンパー71、72、73、77、および各洗浄流体ノズル81、82を制御する。また、制御部90は、液処理部40において液処理部側搬送機構31によりウエハWを搬入出する際に、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から洗浄流体を噴出させるように、各洗浄流体ノズル81、82を制御する。
【0044】
ところで、図3に示すように、制御部90には、工程管理者等が液処理装置10を管理するために、コマンドの入力操作等を行うキーボードや、液処理装置10の稼働状況等を可視化して表示するディスプレイ等からなる入出力装置91が接続されている。また、制御部90は、液処理装置10で実行される処理を実現するためのプログラム等が記録された記録媒体92にアクセス可能となっている。記録媒体92は、ROMおよびRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、およびフレキシブルディスク等のディスク状記録媒体等、既知の記録媒体から構成され得る。このようにして、制御部90が、記録媒体92に予め記録されたプログラム等を実行することによって、液処理装置10においてウエハWの処理が行われるようになっている。
【0045】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態による液処理方法について説明する。なお、以下に説明する液処理方法を実行するための各構成要素の動作は、予め記録媒体92に記録されたプログラムに基づいた制御部90からの制御信号によって制御される。
【0046】
まず、図4に示すように、液処理部40内にウエハWが搬入される(ステップS1)。この場合、まず、図1に示すように、搬入出ステーション20のキャリア載置部21に、処理前のウエハWが収容されたウエハキャリアCが載置され、キャリア側搬送機構24により、このウエハキャリアCから受渡部23にウエハWが搬送されて、受渡棚25に載置される。続いて、処理ステーション30の液処理部側搬送機構31により、ウエハWは、受渡部23から液処理部40に搬送されて、液処理部40内に搬入される。搬入されたウエハWは、図2に示す液処理部40の回転プレート42に保持部材42aによって保持される。なお、吸引駆動部79a、79b、79cは予め駆動されているが、液処理部40にウエハWを搬入している間、図3に示す排気機構60の酸ダンパー71および主排気ダンパー77が開き、アルカリダンパー72および有機ダンパー73は閉じられる。このようにして、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64および酸排気ダクト61を通って酸排気共通ダクト74に排出される。
【0047】
続いて、回転モータ44により、ウエハWを保持した回転プレート42が回転駆動される(ステップS2)。
【0048】
次に、ウエハWが、SPM液を用いて薬液処理(酸性処理)される(ステップS3)。この場合、図示しないSPM液の供給源から酸ノズル45にSPM液が供給され、酸ノズル45から、回転しているウエハWの表面にSPM液が吐出されて、ウエハWがSPM液により薬液処理される。この間、ウエハWに対向する位置に、下段カップ部51が位置付けられており、ウエハWの表面に吐出されたSPM液は、遠心力を受けて、下段カップ部51に飛散する。下段カップ部51に飛散したSPM液は、下段排液管54を通って回収される。また、この間、酸ダンパー71が開いているため、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64および酸排気ダクト61を通って酸排気共通ダクト74に排出される。所定時間経過した後、SPM液の吐出が止められ、ウエハW上のSPM液が、遠心力を受けて振り切られる。
【0049】
ウエハWのSPM液による処理が終了した後、ウエハWがリンス処理される(ステップS4)。この場合、図示しない純水の供給源からリンスノズル47に純水が供給され、リンスノズル47から、回転しているウエハWの表面に純水が吐出されて、ウエハWが純水によりリンス処理される。ウエハWがリンス処理されている間、ウエハWに対向する位置に、下段カップ部51が対向しているため、ウエハWの表面に吐出された純水は、SPM液と同様に、下段カップ部51に飛散し、下段排液管54を通って回収される。また、この間、酸ダンパー71が開いているため、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64および酸排気ダクト61を通って酸排気共通ダクト74に排出される。
【0050】
次に、ウエハWが、SC1液を用いて薬液処理(アルカリ性処理)される(ステップS5)。この場合、まず、昇降駆動部49により、案内カップ50が下降し、ウエハWに対向する位置に中段カップ部52が位置付けられる。また、酸ダンパー71が閉じられると共に、アルカリダンパー72が開く。続いて、図示しないSC1液の供給源からアルカリノズル46にSC1液が供給され、アルカリノズル46から、回転しているウエハWの表面にSC1液が吐出されて、ウエハWがSC1液により薬液処理される。この間、ウエハWの表面に吐出されたSC1液は、ウエハWの遠心力を受けて、中段カップ部52に飛散する。中段カップ部52に飛散したSC1液は、中段排液管55を通って排液される。また、この間、アルカリダンパー72が開いているため、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64およびアルカリ排気ダクト62を通ってアルカリ排気共通ダクト75に排出される。
【0051】
ウエハWのSC1液による処理が終了した後、ウエハWがリンス処理される(ステップS6)。この場合、図示しない純水の供給源からリンスノズル47に純水が供給され、リンスノズル47から、回転しているウエハWの表面に純水が吐出されて、ウエハWが純水によりリンス処理される。ウエハWがリンス処理されている間、ウエハWに、中段カップ部52が対向しているため、ウエハWの表面に吐出された純水は、SC1液と同様に、中段カップ部52に飛散し、中段排液管55を通って排液される。また、この間、アルカリダンパー72が開いているため、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64およびアルカリ排気ダクト62を通ってアルカリ排気共通ダクト75に排出される。
【0052】
次に、ウエハWが、IPA液を用いて乾燥処理される(ステップS7)。この場合、まず、昇降駆動部49により、ウエハWに対向する位置に上段カップ部53が位置付けられる。また、アルカリダンパー72が閉じられると共に、有機ダンパー73が開く。続いて、図示しないIPA液の供給源から有機ノズル(図示せず)にIPA液が供給され、有機ノズルから、回転しているウエハWの表面にIPA液が吐出されて、ウエハWがIPA液により乾燥処理される。この間、ウエハWの表面に吐出されたIPA液は、ウエハWの遠心力を受けて、上段カップ部53に飛散する。上段カップ部53に飛散したIPA液は、上段排液管56を通って排液される。また、この間、有機ダンパー73が開いているため、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64および有機排気ダクト63を通って有機排気共通ダクト76に排出される。
【0053】
このようにして、ウエハWの処理が終了する。
【0054】
その後、ウエハWが、液処理室41から搬出される(ステップS8)。この場合、まず、図1に示すように、処理ステーション30の液処理部側搬送機構31により、処理が終了したウエハWが液処理部40から搬出されて搬入出ステーション20の受渡部23に搬送され、受渡棚25に載置される。続いて、搬入出ステーション20のキャリア側搬送機構24により、受渡棚25からキャリア載置部21に載置されたウエハキャリアCに収容される。その後、処理済みのウエハWが収容されたウエハキャリアCがキャリア載置部21から搬出される。液処理部40からウエハWを搬出している間、排気機構60の酸ダンパー71が開き、アルカリダンパー72および有機ダンパー73が閉じられる。このことにより、液処理部40内の雰囲気が、主排気ダクト64および酸排気ダクト61を通って酸排気共通ダクト74に排出される。
【0055】
ところで、ステップS8とS1とにより、液処理室41に対してウエハWの搬入出を行っている間、排気機構60、すなわち、主排気ダクト64、酸排気ダクト61、酸排気共通ダクト74、および各ダンパー71、72、73、77の洗浄が行われる(ステップS9)。なお、ウエハWの搬入出を行う際、上述したように、液処理部側搬送機構31が2つの保持アーム31aを有しているため、液処理部側搬送機構が液処理部40にアクセスした後、液処理部側搬送機構31の2つの保持アーム31aのうちの一方の保持アーム31aが、処理済みのウエハWを液処理部40から搬出すると共に、他方の保持アーム31aが、処理前のウエハWを液処理部40に搬入することができる。このことにより、液処理部40に対するウエハWの搬入出を迅速に行うことができる。
【0056】
排気機構60の洗浄を行う場合、まず、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82に、図示しない純水の供給源から純水が供給されると共に、図示しない不活性ガスの供給源からNガスが供給され、純水とNガスが混合されて、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から噴出される。この間、酸ダンパー71が開いているため、第1洗浄流体ノズル81から噴出された洗浄流体は、主排気ダンパー77を通って、主排気ダクト64に流れる。この第1洗浄流体ノズル81からの洗浄流体は、第2洗浄流体ノズル82から噴出された洗浄流体と共に、主排気ダクト64および酸ダンパー71を通って、酸排気ダクト61、酸排気共通ダクト74に順次流れていく。このことにより、各ダクト64、61、74内および各ダンパー71、72、73、77に付着したSPM液およびSC1液、更にはSPM液とSC1液とが反応して生成された生成物を洗い流すことができ、各ダクト64、61、74内および各ダンパー71、72、73、77を洗浄することができる。
【0057】
なお、アルカリダンパー72および有機ダンパー73は、閉じてはいるが、完全に閉塞していることはなく、微小な流路が形成されている。このため、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から噴出された洗浄流体の一部は、アルカリ排気ダクト62および有機排気ダクト63にも流れる。このため、アルカリ排気ダクト62、アルカリ排気共通ダクト75、有機排気ダクト63、および有機排気共通ダクト76をも洗浄することができる。
【0058】
酸排気共通ダクト74、アルカリ排気共通ダクト75、および有機排気共通ダクト76に流れた洗浄流体は、ミストトラップ65、66、67において、液体と気体とに分離され、ミストトラップ65において分離されたSPM液は、ドレイン68を通って回収され、ミストトラップ66、67において分離された処理液は、ドレイン69、70を通ってそれぞれ排液される。
【0059】
上述したようなステップS1〜S9を繰り返すことにより、ウエハWを順次処理すると共に、排気機構60を洗浄することができる。
【0060】
このように本実施の形態によれば、酸ダンパー71を開くと共に、アルカリダンパー72および有機ダンパー73を閉じた状態で、主排気ダクト64の第2分岐部64bの液処理部40側において、第1洗浄流体ノズル81から洗浄流体が噴出される。このことにより、噴出された洗浄流体は、主排気ダクト64を通って排気方向の最下流側の酸排気ダクト61に排出される。このため、洗浄流体を、主排気ダクト64、酸排気ダクト61、酸排気共通ダクト74、酸ダンパー71、アルカリダンパー72、および有機ダンパー73に行き渡らせることができ、SPM液とSC1液とにより生成される生成物が、各ダクト64、61、74および各ダンパー71、72、73に付着することを防止することができる。この結果、各ダクト64、61、74内の流路断面積が減少することを防止すると共に、各ダンパー71、72、73の動作不良を防止することができ、液処理部40の排気効率を向上させることができる。また、上述したように、アルカリダンパー72および有機ダンパー73は、完全に閉塞してはいないため、アルカリ排気ダクト62、アルカリ排気共通ダクト75、有機排気ダクト63、有機排気共通ダクト76をも洗浄することができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、液処理部40と主排気ダンパー77との間において、第2洗浄流体ノズル82から洗浄流体が噴出され、主排気ダンパー77および主排気ダクト64を通って、酸排気ダクト61に排出される。このことにより、主排気連結管78および主排気ダンパー77に、洗浄流体を行き渡らせることができ、SPM液とSC1液とにより生成される生成物が、主排気連結管78および主排気ダンパー77に付着することを防止することができる。このため、主排気連結管78内の流路断面積が減少することを防止すると共に、主排気ダンパー77の動作不良を防止することができ、液処理部40の排気効率を向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82は、2流体ノズルとして構成されていることにより、ミスト状に噴出される洗浄流体の粒子を細かくすることができる。このため、洗浄流体を、各洗浄流体ノズル81、82から排気方向下流側に、より一層広範囲に行き渡らせることができ、各ダクト64、61、62、63、74、75、76、および各ダンパー71、72、73、77を、より一層確実に洗浄することができる。
【0063】
さらに、本実施の形態によれば、液処理部40においてウエハWを搬入出する際に、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から洗浄流体が噴出される。このことにより、ウエハWを薬液処理、リンス処理、乾燥処理している間に、各排気ダクト61、62、63の排気に影響を及ぼすことを防止すると共に、ウエハWの処理工程が遅延することを防止し、各ダクト64、61、62、63、74、75、76、各ダンパー71、72、73、77を効率良く洗浄することができる。
【0064】
以上、本発明による実施の形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形も可能である。以下、代表的な変形例について説明する。
【0065】
すなわち、本実施の形態においては、液処理部40と主排気ダクト64の第2分岐部64bとの間に主排気ダンパー77が設けられ、洗浄流体噴出部80が、液処理部40と主排気ダンパー77との間に設けられた第1洗浄流体ノズル81と、主排気ダンパー77と主排気ダクト64の第2分岐部64bとの間に設けられた第2洗浄流体ノズル82とを有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、液処理部40と主排気ダクト64との間に主排気ダンパー77が設けられていない場合には、洗浄流体噴出部80は、第2洗浄流体ノズル82のみからなっていても良い。
【0066】
また、本実施の形態においては、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82が、2流体ノズルとして構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82は、洗浄流体として、ミスト状の洗浄液を噴出することができれば、2流体ノズルとして構成されていることに限られることはない。また、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82は、純水とNガスとを混合して噴出する例について述べたが、洗浄流体として用いる液体、気体は、このことに限られることはない。
【0067】
また、本実施の形態においては、液処理部40においてウエハWを搬入出する度に、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から洗浄流体を噴出させる例について述べた。しかしながら、このことに限られることはなく、複数枚のウエハWを順次処理した後に、第1洗浄流体ノズル81および第2洗浄流体ノズル82から洗浄流体を噴出させても良い。
【0068】
また、本実施の形態においては、案内カップ50が、回転プレート42に保持されたウエハWに対して昇降自在になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、回転プレート42の周辺に、案内カップ50が固定され、回転プレート42が、液処理室41内で昇降し、下段カップ部51、中段カップ部52、および上段カップ部53に、処理液がそれぞれ案内されるようにしても良い。
【0069】
また、本実施の形態においては、主排気ダクト64のうち排気方向の最下流側に、酸排気ダクト61が連結され、酸ダンパー71を開くと共にアルカリダンパー72および有機ダンパー73を閉じた状態で洗浄流体が噴出される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、主排気ダクト64のうち排気方向の最下流側に、アルカリ排気ダクト62が連結されるようにしても良い。この場合、アルカリダンパー72を開く共に酸ダンパー71および有機ダンパー73を閉じた状態で洗浄流体を噴出させれば良い。あるいは、同様にして、主排気ダクト64のうち排気方向の最下流側に、有機ダクト63が連結されるようにしても良い。この場合においても、主排気ダクト64と共に、各ダンパー71、72、73を洗浄することができる。
【0070】
さらに、本実施の形態においては、酸性処理液としてSPM液を用い、アルカリ性処理液としてSC1液を用い、リンス処理液として純水を用い、有機性処理液としてIPA液を用いる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、酸性処理液としてHF(フッ化水素)やSC2(塩酸と過酸化水素水の混合溶液)等を用いても良く、アルカリ性処理液としてアンモニア水等を用いても良い。また、リンス処理液および有機性処理液を含め、各処理液には一般に使用されている処理液を用いても良い。
【0071】
なお、以上の説明においては、本発明による液処理装置、液処理方法、およびこの液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体を、半導体ウエハWの洗浄処理に適用した例を示している。しかしながらこのことに限られることはなく、LCD基板またはCD基板等、種々の基板(被処理体)等の洗浄に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 液処理装置
31 液処理部側搬送機構
40 液処理部
45 酸ノズル
46 アルカリノズル
61 酸排気ダクト
62 アルカリ排気ダクト
63 有機排気ダクト
64 主排気ダクト
64a 第1分岐部
64b 第2分岐部
65、66、67 ミストトラップ
71 酸ダンパー
72 アルカリダンパー
73 有機ダンパー
77 主排気ダンパー
80 洗浄流体噴出部
81 第1洗浄流体ノズル
82 第2洗浄流体ノズル
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体に、酸性処理液を供給する酸性処理液供給部と、アルカリ性処理液を供給するアルカリ性処理液供給部とを有する液処理部と、
前記液処理部に連結された主排気ダクトと、
前記主排気ダクトに排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、前記液処理部内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクトと、
前記主排気ダクトと、前記複数の個別排気ダクトの各々との間に設けられた複数の排気開閉弁であって、前記複数の排気開閉弁のうち一の排気開閉弁は、前記被処理体に酸性処理液が供給されている際に開となり、他の一の排気開閉弁は、前記被処理体にアルカリ性処理液が供給されている際に開となるような、前記複数の排気開閉弁と、を備え、
前記主排気ダクトは、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最上流側に位置する個別排気ダクトへ分岐する分岐部を有し、
前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部が設けられ、
前記洗浄流体噴出部は、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に他の排気開閉弁を閉じた状態で、洗浄流体を噴出することを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に主排気開閉弁が設けられ、
前記洗浄流体噴出部は、前記液処理部と前記主排気開閉弁との間に設けられた第1洗浄流体ノズルと、前記主排気開閉弁と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に設けられた第2洗浄流体ノズルと、を有し、
前記第1洗浄流体ノズルおよび前記第2洗浄流体ノズルは、排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに対応する前記排気開閉弁を開くと共に前記他の排気開閉弁を閉じた状態で、洗浄流体を噴出することを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記洗浄流体噴出部は、洗浄流体として、ミスト状の洗浄液を噴出することを特徴とする請求項1または2に記載の液処理装置。
【請求項4】
排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに、液体と気体とを分離する気液分離部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記液処理部に前記被処理体を搬入出する搬送機構を更に備え、
前記洗浄流体噴出部は、前記液処理部において前記搬送機構により前記被処理体を搬入出する際に、洗浄流体を噴出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項6】
被処理体に、酸性処理液を供給する酸性処理液供給部と、アルカリ性処理液を供給するアルカリ性処理液供給部とを有する液処理部と、前記液処理部に連結された主排気ダクトと、前記主排気ダクトに排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、前記液処理部内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクトと、前記主排気ダクトと、前記複数の個別排気ダクトの各々との間に設けられた複数の排気開閉弁であって、前記複数の排気開閉弁のうち一の排気開閉弁は、前記被処理体に酸性処理液が供給されている際に開となり、他の一の排気開閉弁は、前記被処理体にアルカリ性処理液が供給されている際に開となるような、前記複数の排気開閉弁と、を備え、前記主排気ダクトは、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最上流側に位置する個別排気ダクトへ分岐する分岐部を有し、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部が設けられた液処理装置を用いて前記被処理体を処理する液処理方法において、
前記酸性処理液供給部から前記被処理体に酸性処理液を供給する工程と、
前記アルカリ性処理液供給部から前記被処理体にアルカリ性処理液を供給する工程と、
前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に他の排気開閉弁を閉じて、前記洗浄流体噴出部から洗浄流体を噴出する工程と、を備えたことを特徴とする液処理方法。
【請求項7】
前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に主排気開閉弁が設けられ、
前記洗浄流体噴出部は、前記液処理部と前記主排気開閉弁との間に設けられた第1洗浄流体ノズルと、前記主排気開閉弁と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に設けられた第2洗浄流体ノズルと、を有し、
前記洗浄流体を噴出する工程において、排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに対応する前記排気開閉弁を開くと共に前記他の排気開閉弁を閉じて、前記第1洗浄流体ノズルおよび前記第2洗浄流体ノズルから洗浄流体が噴出されることを特徴とする請求項6に記載の液処理方法。
【請求項8】
前記洗浄流体を噴出する工程において、洗浄流体として、ミスト状の洗浄液が噴出されることを特徴とする請求項6または7に記載の液処理方法。
【請求項9】
排気方向最下流側に位置する前記個別排気ダクトに、液体と気体とを分離する気液分離部が設けられており、
前記洗浄流体噴出部から噴出された洗浄流体は、前記気液分離部において、液体と気体とに分離されることを特徴とする請求項8に記載の液処理方法。
【請求項10】
前記液処理部において前記被処理体を搬入出する際に、前記洗浄流体を噴出する工程が行われることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項11】
被処理体に、酸性処理液を供給する酸性処理液供給部と、アルカリ性処理液を供給するアルカリ性処理液供給部とを有する液処理部と、前記液処理部に連結された主排気ダクトと、前記主排気ダクトに排気方向下流側から順にそれぞれ連結され、前記液処理部内の雰囲気を排出する複数の個別排気ダクトと、前記主排気ダクトと、前記複数の個別排気ダクトの各々との間に設けられた複数の排気開閉弁であって、前記複数の排気開閉弁のうち一の排気開閉弁は、前記被処理体に酸性処理液が供給されている際に開となり、他の一の排気開閉弁は、前記被処理体にアルカリ性処理液が供給されている際に開となるような、前記複数の排気開閉弁と、を備え、前記主排気ダクトは、前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最上流側に位置する個別排気ダクトへ分岐する分岐部を有し、前記液処理部と前記主排気ダクトの前記分岐部との間に、洗浄流体を噴出する洗浄流体噴出部が設けられた液処理装置を用いて前記被処理体を処理する液処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体であって、
この液処理方法は、
前記酸性処理液供給部から前記被処理体に酸性処理液を供給する工程と、
前記アルカリ性処理液供給部から前記被処理体にアルカリ性処理液を供給する工程と、
前記複数の個別排気ダクトのうち排気方向最下流側に位置する個別排気ダクトに対応する排気開閉弁を開くと共に他の排気開閉弁を閉じて、前記洗浄流体噴出部から洗浄流体を噴出する工程と、を備えたことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−99582(P2012−99582A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244750(P2010−244750)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】