説明

液処理装置、液処理方法及びその液処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体

【課題】基板の上面側からガスを供給するとともに基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により基板の下面を処理する液処理装置において、トッププレートの位置を精度良く位置決めすることができる液処理装置及び液処理方法を提供する。
【解決手段】基板Wの上面側からガスを供給するとともに基板Wの下面側から処理液を供給し、供給された処理液により基板Wの下面を処理する液処理装置22において、上面に開口105を有する処理容器100と、処理容器100内に設けられ、基板Wの周縁部WEを支持する支持部70、72と、昇降可能に設けられ、下降した状態で開口105を塞ぐ天板部110と、天板部110が下降する際に、処理容器100に対する天板部110の相対位置を所定の位置に位置決めする位置決め機構130とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて処理する液処理装置、液処理方法及びその液処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板(以下「基板」又は「ウェハ」という。)である半導体ウェハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行う液処理プロセスが多用されている。
【0003】
このような液処理プロセスの一つとして、基板の裏面又は周縁部に処理液を供給し、供給した処理液により、基板の裏面又は周縁部に液処理を行う液処理プロセスがある。
【0004】
例えば、半導体デバイス等の製造プロセスにおいては、基板の表面に各種薄膜を形成するために成膜工程が行われることがある。成膜工程では、基板の表面のみならず基板の裏面又は周縁部にも薄膜が成膜されることがある。基板の裏面又は周縁部に形成された薄膜は、その後の製造工程の中で、例えば熱処理等の際に基板に反りを発生させる要因ともなるため、除去することが好ましい。そのため、基板の裏面又は周縁部に処理液を供給し、供給された処理液により、基板の裏面又は周縁部をエッチング処理する液処理プロセスを行うことがある。
【0005】
このような液処理プロセスを行う液処理装置として、基板の上面に気体を供給するとともに基板の下面に処理液を供給することにより、基板の下面及び周縁部に対して液処理を行う液処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に示す例では、液処理装置は、基板保持回転手段(支持部)、処理液供給手段及び遮断板(トッププレート)を有している。基板保持回転手段(支持部)は、基板をほぼ水平に保持(支持)しつつ回転させる。処理液供給手段は、基板保持回転手段(支持部)により回転される基板の下面に向けて処理液を供給する。遮断板(トッププレート)は、基板の上面に対して所定間隔の隙間を空けて対向するように基板保持回転手段上に載置されており、基板保持回転手段により基板とともに回転される。そして、遮断板(トッププレート)の下面略中央には、基板の上面に気体を供給するための開口部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−110626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した処理液を用いて基板を処理する液処理装置及び液処理方法においては、次のような問題がある。
【0008】
特許文献1に示す液処理装置では、支持部に対するトッププレートの位置を精度良く位置決めすることができない。すなわち、基板保持回転手段(支持部)に保持(支持)されている基板に対するトッププレートの位置を精度良く位置決めすることができない。その結果、基板の周縁部とトッププレートとの距離を、基板の周方向に沿って一定とすることができず、周縁部の一部において基板とトッププレートとの間に大きな隙間が生じることがある。そして、基板とトッププレートとの間に大きな隙間が生じると、基板の下面及び周縁部に供給された処理液が基板の上面に回り込むか又は飛散するおそれがある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基板の上面側からガスを供給するとともに基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により基板の下面を処理する液処理装置において、トッププレートの位置を精度良く位置決めすることができる液処理装置及び液処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の一実施例によれば、基板の上面側からガスを供給するとともに前記基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により前記基板の下面を処理する液処理装置において、上面に開口を有する処理容器と、前記処理容器内に設けられ、基板の周縁部を支持する支持部と、昇降可能に設けられ、下降した状態で前記開口を塞ぐ天板部と、前記天板部が下降する際に、前記処理容器に対する前記天板部の相対位置を所定の位置に位置決めする位置決め機構とを有する、液処理装置が提供される。
【0012】
また、本発明の一実施例によれば、上面に開口を有する処理容器と、前記処理容器内に設けられ、基板の周縁部を支持する支持部と、昇降可能に設けられ、下降した状態で前記開口を塞ぐ天板部とを有し、前記支持部に支持されている基板の上面側からガスを供給するとともに前記基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により前記基板の下面を処理する液処理装置における液処理方法であって、前記天板部が下降する際に、前記処理容器に対する前記天板部の相対位置を所定の位置に位置決めする位置決め工程を有する、液処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板の上面側からガスを供給するとともに基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により基板の下面を処理する液処理装置において、トッププレートの位置を精度良く位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る液処理システムの概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った正面側の断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【図4】実施の形態に係る液処理ユニットの構成を示す概略断面図である。
【図5】実施の形態に係る液処理ユニットの回転カップ近傍を拡大した概略断面図である。
【図6】実施の形態に係る液処理ユニットの回転カップの斜視図である。
【図7】実施の形態に係る液処理ユニットの構成を示す概略上面図である。
【図8】実施の形態に係る液処理ユニットのフローティング部材近傍を拡大した概略断面図である。
【図9】実施の形態の第1の変形例に係る液処理ユニットの構成を示す概略断面図である。
【図10】実施の形態の第2の変形例に係る液処理ユニットの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の裏面洗浄を行う液処理装置に適用した場合について示す。
(実施の形態)
始めに、図1から図3を参照し、実施の形態に係る液処理ユニットを搭載する液処理システムの概略構成について説明する。
【0016】
なお、液処理ユニットは、本発明における液処理装置に相当する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る液処理システム10の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿った正面側の断面図、図3は図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【0018】
この液処理システム10は、複数のウェハWを収容するウェハキャリアCが載置され、ウェハWの搬入・搬出を行う搬入出ステーション(基板搬入出部)1と、ウェハWに洗浄処理を施すための処理ステーション(液処理部)2とを備えている。搬入出ステーション(基板搬入出部)1及び処理ステーション(液処理部)2は、隣接して設けられている。
【0019】
搬入出ステーション1は、キャリア載置部11、搬送部12、受け渡し部13及び筐体14を有している。キャリア載置部11は、複数のウェハWを水平状態で収容するウェハキャリアCを載置する。搬送部12は、ウェハWの搬送を行う。受け渡し部13は、ウェハWの受け渡しを行う。筐体14は、搬送部12および受け渡し部13を収容する。
【0020】
キャリア載置部11は4個のウェハキャリアCが載置可能である。載置されたウェハキャリアCは筐体14の垂直壁部12aに密着された状態とされ、大気に触れることなくその中のウェハWが搬送部12に搬入可能となっている。
【0021】
筐体14は、搬送部12と受け渡し部13とを垂直に仕切る仕切り部材14aを有している。搬送部12は、搬送機構15と、その上方に設けられた清浄空気のダウンフローを供給するファン・フィルター・ユニット(FFU)16とを有している。搬送機構15は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム15a、及びウェハ保持アーム15aを前後に移動させる機構を有している。また搬送機構15は、ウェハキャリアCの配列方向であるX方向に延在する水平ガイド17(図1参照)に沿って移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド18(図2参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構15により、ウェハキャリアCと受け渡し部13との間でウェハWが搬送される。
【0022】
受け渡し部13は、受け渡しステージ19と、その上に設けられたウェハWを載置可能な載置部を複数備えた受け渡し棚20とを有している。受け渡し部13は、この受け渡し棚20を介して処理ステーション2との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0023】
図3に示すように、処理ステーション2は、直方体状をなす筐体21を有している。処理ステーション2は、筐体21内には、その中央上部にウェハキャリアCの配列方向であるX方向に直交するY方向に沿って延びる搬送路を構成する搬送室21aと、搬送室21aの両側に設けられた2つのユニット室21b、21cとを有している。ユニット室21b、21cにはそれぞれ搬送室21aに沿って6個ずつ合計12個の液処理ユニット22が水平に配列されている。
【0024】
筐体21内のユニット室21b、21cの下には、それぞれ各液処理ユニット22の駆動系を収容した駆動エリア21d、21eが設けられている。また、駆動エリア21d、21eの下には、それぞれ配管を収容した配管ボックス21f、21gが設けられている。また、配管ボックス21f、21gの下には、それぞれ処理液貯留部としての薬液供給ユニット21h、21iが設けられている。一方、搬送室21aの下方には、排気のための排気空間21jが設けられている。
【0025】
搬送室21aの上方には、ファン・フィルター・ユニット(FFU)23が設けられ、搬送室21aに清浄空気のダウンフローを供給するようになっている。搬送室21aの内部には搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム24a、及びウェハ保持アーム24aを前後に移動させる機構を有している。また、搬送機構24は、搬送室21aに設けられた水平ガイド25(図1参照)に沿ってY方向に移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド26(図3参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構24により、各液処理ユニット22に対するウェハWの搬入出を行うようになっている。
【0026】
なお、受け渡しステージ19はキャリア載置部11よりも高い位置に設けられ、液処理ユニット22は受け渡しステージ19よりも高い位置に設けられている。
【0027】
配管ボックス21f、21gには、処理液配管群30、排液配管群31および排気配管群32が水平に配置されている。処理液配管群30は、例えば、アンモニア水と過酸化水素を混合して形成されたアンモニア過水SC1を供給するSC1配管30a、希フッ酸(DHF)を供給するDHF配管30b、純水を供給する純水配管30cを有している。また、排液配管群31は、例えば、排液を排出するための排液配管31a、排液を回収するための回収配管31bを有している。さらに排気配管群32は、例えば、酸を排気するための酸排気配管32a、アルカリを排気するためのアルカリ排気配管32bを有している。
【0028】
薬液供給ユニット21hは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えばアンモニア過水SC1を貯留する第1薬液タンク41とそれに隣接する第1回収タンク42とを有している。
【0029】
図2に示すように、第1薬液タンク41には、薬液を送出するための送出管43と、薬液を返戻するための返戻管44が接続されている。送出管43は、配管ボックス21f内に水平に配置された処理液配管群30のSC1配管30aの一端側に接続されている。また、返戻管44は、SC1配管30aの他端側に接続されている。
【0030】
第1薬液タンク41の上部には薬液供給配管51が接続されており、この薬液供給配管51には混合器52が接続されている。混合器52には、純水配管53、アンモニア配管54および過酸化水素配管55が接続されており、混合器52にて純水とアンモニアと過酸化水素が混合されてアンモニア過水SC1が第1薬液タンク41に供給されるようになっている。純水配管53には液体フローコントローラ(LFC)56aおよびバルブ56bが設けられている。アンモニア配管54には液体フローコントローラ(LFC)57aおよびバルブ57bが設けられている。過酸化水素配管55には液体フローコントローラ(LFC)58aおよびバルブ58bが設けられている。
【0031】
また、薬液供給ユニット21hには、排液配管群31の回収配管31bに接続され、処理済みの薬液を回収するための第1回収タンク42が設けられている。第1回収タンク42と第1薬液タンク41は、接続配管46で接続され、回収された薬液を清浄化処理した後、第1薬液タンク41に戻すことが可能となっている。
【0032】
一方、薬液供給ユニット21iは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えば希フッ酸(DHF)を貯留する第2薬液タンク47(図3参照)とそれに隣接する第2回収タンク(図示せず)とを有している。そして、第2薬液タンク47のDHFも、第1薬液タンク41からのSC1と同様にして、配管ボックス21f、21g内のDHF配管30b等とにより循環供給可能となっている。また、第2回収タンクへのDHFの回収は、配管48(図2参照)を通って第1回収タンク42へのSC1の回収と同様に行われる。
【0033】
なお、これら薬液洗浄以外に、純水によるリンスおよび乾燥が行われるが、その際には、純水は図示しない純水供給源から純水配管30cを通って供給される。
【0034】
配管ボックス21f、21gに設けられた排液配管群31のうち、排液配管31aにはドレイン配管49が接続されている。排液配管31aからの排液は、ドレイン配管49を通ってドレインとして床下の工場配管に廃棄される。
【0035】
次に、図4から図6を参照し、本実施の形態に係る液処理システム10に搭載された液処理ユニット22である液処理装置について説明する。図4は、本実施の形態に係る液処理ユニット22の構成を示す概略断面図である。図5は、本実施の形態に係る液処理ユニット22の回転カップ71近傍を拡大した概略断面図である。図6は、本実施の形態に係る液処理ユニット22の回転カップ71の斜視図である。
【0036】
液処理ユニット22は、図4に示すように、回転プレート60、囲い部材70、回転カップ71、回転駆動部80、基板昇降部材90、処理液供給機構93、排気・排液部(カップ)100、トッププレート110、昇降機構120、不活性ガス供給機構123、位置決め機構130、及びフローティング部材150を有する。
【0037】
なお、排気・排液部(カップ)100は、本発明における処理容器に相当する。また、トッププレート110は、本発明における天板部に相当する。
【0038】
回転プレート60は、図4及び図5に示すように、ベースプレート61及び回転軸62を有する。ベースプレート61は、水平に設けられ、中央に円形の孔61aを有する。回転軸62は、ベースプレート61から下方に向かって延在するように設けられており、中心に孔62aが設けられた円筒状の形状を有する。
【0039】
囲い部材70は、図5及び図6に示すように、ウェハWの周縁外方にウェハWの周縁部WEを全周に亘り囲繞するように設けられている。囲い部材70は、図5に示すように、ウェハWを処理した処理液を排液カップ101へと導く。また、囲い部材70は、支持ピン72を有する。支持ピン72は、囲い部材70の下端から周縁内方に突出して設けられている。支持ピン72は、ウェハWの周縁部WEの下面を支持する。また、図6に示すように、支持ピン72は、ウェハWの周方向に沿って、略等間隔に複数設けられている。
【0040】
なお、囲い部材70及び支持ピン72は、本発明における支持部に相当する。
【0041】
回転カップ71は、ウェハWの下面側に供給され、回転するウェハWから外周側へ飛散する処理液が、跳ね返されて再びウェハWに戻ることを防止するためのものである。また、回転するウェハWから外周側へ飛散する処理液が、ウェハWの上面側に回り込まないようにするためのものでもある。
【0042】
図5に示すように、ベースプレート61、囲い部材70及び回転カップ71は、それぞれを貫通するように形成された孔73に締結部材74を嵌め込むことにより、締結されている。これにより、ベースプレート61、囲い部材70及び回転カップ71は、一体として回転可能に設けられている。
【0043】
回転駆動部80は、プーリ81、駆動ベルト82及びモータ83を有する。プーリ81は、回転軸62の下方側における周縁外方に配置されている。駆動ベルト82は、プーリ81に巻きかけられている。モータ83は、駆動ベルト82に連結されており、駆動ベルト82に回転駆動力を伝達することによって、プーリ81を介して回転軸62を回転させる。すなわち、回転駆動部80は、回転軸62を回転させることによって、ベースプレート61、囲い部材70及び回転カップ71を回転させる。なお、回転軸62の周縁外方にはベアリング63が配置されている。
【0044】
基板昇降部材90は、ベースプレート61の孔61a及び回転軸62の孔62a内に昇降可能に設けられており、リフトピンプレート91及びリフト軸92を有する。リフトピンプレート91は、周縁に複数例えば3本のリフトピン91aを有している。リフト軸92は、リフトピンプレート91から下方に延在している。リフトピンプレート91及びリフト軸92は、中心に処理液供給管94が設けられている。また、リフト軸92の下端には図示しないシリンダ機構が接続されており、このシリンダ機構によって基板昇降部材90を昇降させることにより、ウェハWを昇降させてウェハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
【0045】
処理液供給機構93は、処理液供給管94を有する。前述したように、処理液供給管94は、リフトピンプレート91およびリフト軸92の内部(中空空間内)に、上下方向に延在するように、設けられている。処理液供給管94は、処理液配管群30の各配管から供給された処理液をウェハWの下面側まで導く。処理液供給管94は、リフトピンプレート91の上面に形成された処理液供給口94aと連通している。
【0046】
排気・排液部(カップ)100は、排液カップ101、排液管102、排気カップ103及び排気管104を有する。また、排気・排液部(カップ)100は、上面に開口105が設けられている。排気・排液部(カップ)100は、主に回転プレート60と回転カップ71に囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものである。
【0047】
排液カップ101は、回転カップ71によって導かれた処理液を受ける。排液管102は、排液カップ101の底部の最外側部分に接続されており、排液カップ101によって受けられた処理液を排液配管群31のいずれかの配管を通して排出する。排気カップ103は、排液カップ101の外方又は下方において、排液カップ101と連通するように設けられている。図4では、排気カップ103が排液カップ101の周縁内方及び下方において、排液カップ101と連通するように設けられている例を示す。排気管104は、排気カップ103の底部の最外側部分に接続されており、排気カップ103内の窒素ガスなどの気体を排気配管群32のいずれかの配管を通して排気する。
【0048】
トッププレート110は、昇降可能であって、下降した状態で排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞ぐように設けられている。また、トッププレート110は、排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞ぐときに、支持ピン72に支持されているウェハWを上方から覆うように設けられている。
【0049】
トッププレート110は、囲い部材70の支持ピン72に支持されているウェハWの周縁部WEと対向する領域111に、トッププレート110の下面112から下方に突出して設けられた隙間形成部材113を有する。隙間形成部材113は、ウェハWの周縁部WEとの間に隙間D1を形成する。
【0050】
トッププレート110に隙間形成部材113が形成されていると、囲い部材70の支持ピン72に支持されているウェハWの周縁部WEとトッププレート110との隙間D1は、ウェハWの中心部WCとトッププレート110との距離D0よりも小さくなる。
【0051】
昇降機構120は、アーム121、昇降駆動部122を有する。昇降駆動部122は、排気・排液部(カップ)100の外方に設けられており、上下に移動できるようになっている。アーム121は、トッププレート110と昇降駆動部122とを接続するように設けられている。すなわち、昇降機構120は、アーム121を介して昇降駆動部122によりトッププレート110を昇降させる。
【0052】
不活性ガス供給機構123は、不活性ガス供給管124及び不活性ガス供給源125を有する。不活性ガス供給機構123は、ウェハWの上面側に窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを供給するためのものである。不活性ガス供給管124は、トッププレート110及びアーム121の内部に延在するように設けられている。不活性ガス供給管124の一端は、不活性ガスを供給する不活性ガス供給源125に連結されている。不活性ガス供給管124は、トッププレート110の下面112の中心部に不活性ガス供給口124aを構成している。
【0053】
図4に示すように、アーム121はトッププレート110の上面の略中心で接続していてもよい。これにより、不活性ガス供給口124aがトッププレート110の下面112の中心部に形成されることになるため、不活性ガスをトッププレート110の中心から下方に供給することができ、ウェハWに供給される不活性ガスの流量を周方向に沿って均一にすることができる。
【0054】
本実施の形態では、図4及び図5に示すように、トッププレート110が下降する際に、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置を所定の位置に位置決めする位置決め機構130を有する。以下、図5及び図7を参照し、位置決め機構130について説明する。図7は、本実施の形態に係る液処理ユニット22の構成を示す概略上面図である。
【0055】
位置決め機構130は、図5に示すように、第1の位置決め部材131及び第2の位置決め部材132を有する。
【0056】
第1の位置決め部材131は、トッププレート110に固定されている。また、第2の位置決め部材132は、第1の位置決め部材131に対応して設けられ、排気・排液部(カップ)100に固定されている。第1の位置決め部材131及び第2の位置決め部材132は、トッププレート110が下降する際に、第1の位置決め部材131及び第2の位置決め部材132の一方が他方に係止されることによって、位置決めされる。
【0057】
第1の位置決め部材131は、例えば、トッププレート110の周縁外方の位置であって排気・排液部(カップ)100の上面と平面視において重なる位置に設けられ、下方に向かって凸形状を有する凸状部材133を含むことができる。そして、第2の位置決め部材132は、例えば、平面視において凸状部材133に対応する位置に設けられ、上方に向かって凹形状を有する凹状部材134を含むことができる。このときは、凸状部材133が凹状部材134に嵌め込まれることによって、位置決めされる。あるいは、第1の位置決め部材131が凹状部材を含み、第2の位置決め部材132が凸状部材を含んでもよい。
【0058】
第1の位置決め部材131が凸状部材133を含み、第2の位置決め部材132が凹状部材134を含むときは、図5に示すように、凸状部材133のすぐ上に、凹状部材134の上面に形成された孔136の形状よりも大きい形状を有する大径部材135を有していてもよい。大径部材135の下面から凸状部材133の先端までの長さLTと、凹状部材134の孔136の深さLBとの大小関係によって、上下方向の位置決めの基準が少し異なる。LT>LBのときは、凸状部材133の先端部が、凹状部材134の孔136の底部に接触することによって、上下方向の位置決めがなされる。また、LT<LBのときは、大径部材135の下面が、凹状部材134の上面に接触することによって、上下方向の位置決めがなされる。
【0059】
一方、凸状部材133が凹状部材134の孔136に略隙間無く嵌め込まれるように設けられているときは、トッププレート110が下降する際に、凸状部材133が凹状部材134の孔136に嵌め込まれることによって、平面視における位置決めがなされる。また、トッププレート110が下降する際に、凸状部材133が凹状部材134の孔136に容易に嵌め込まれるように、図5に示すように、凸状部材133の先端側又は凹状部材134の孔136の凸状部材133側にテーパーを設けてもよい。
【0060】
図7に示すように、位置決め機構130は、第1の位置決め部材131と第2の位置決め部材132よりなる一対の部材対を、トッププレート110の周縁部において周方向に沿って複数組有している。図7に示す例では、トッププレート110の周縁部において全周を略3等分する位置において3組の部材対が設けられている。複数の部材対が設けられていることによって、水平面内においてトッププレート110をより精度良く位置決めすることができる。
【0061】
また、第1の位置決め部材131及び第2の位置決め部材132は、トッププレート110が下降する際に、第1の位置決め部材131及び第2の位置決め部材132のいずれか一方が、トッププレート110の外周より外方で、他方に係止されるように設けられていてもよい。等しい位置合わせ精度であっても、複数の位置決め部材131、132の対がトッププレート110の外周より外方で係止されることにより、トッププレート110の位置合わせ精度がより向上する。
【0062】
また、トッププレート110に固定されている第1の位置決め部材131は、固定位置が調整可能に固定されていてもよい。例えば、第1の位置決め部材131を、トッププレート110に固定されている根元側部材137と、根元側部材137に固定されている先端側部材138とに分割し、先端側部材138の根元側部材137に対する相対位置がネジ等により調整可能になるように設ける。これにより、第1の位置決め部材131がトッププレート110に固定される固定位置を調整可能とすることができ、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の上下方向及び水平方向に沿った位置をより精度良く位置合わせすることができる。図5では、側周面にネジ溝が形成された先端側部材138が、根元側部材137に設けられ、内周面にネジ溝が形成されたネジ孔139とナット140とによって、上下方向に沿った相対位置が調整可能に設けられている例を示す。
【0063】
あるいは、排気・排液部(カップ)100に固定されている第2の位置決め部材132を、排気・排液部(カップ)100に固定されている根元側部材と、根元側部材に固定されている先端側部材とに分割し、先端側部材の根元側部材に対する相対位置がネジ等により調整可能になるように設けてもよい。これにより、第2の位置決め部材132の排気・排液部(カップ)100に固定される固定位置を調整可能とすることができる。
【0064】
更に、本実施の形態では、図4及び図7に示すように、トッププレート110とアーム121とは、フローティング部材150を介して接続されている。以下、図8を参照し、フローティング部材150について説明する。図8は、本実施の形態に係る液処理ユニット22のフローティング部材150近傍を拡大した概略断面図である。
【0065】
フローティング部材150は、第1の係止部材151、第2の係止部材152、弾性部材153を有する。フローティング部材150は、トッププレート110が下降した状態で排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞いでいるときに、位置決め機構130により位置決めされているトッププレート110と、昇降機構120のアーム121との間の位置のずれを吸収するためのものである。
【0066】
なお、フローティング部材150は、本発明における押し付け部材に相当する。
【0067】
第1の係止部材151は、トッププレート110に固定されている。また、第2の係止部材152は、アーム121に固定されている。第1の係止部材151及び第2の係止部材152は、例えば若干の遊びをもって係止するように設けられている。すなわち、トッププレート110とアーム121とが、第1の係止部材151と第2の係止部材152とによって係止されているときは、アーム121に対するトッププレート110の相対位置が上下方向及び水平面内の方向に微小距離変位可能となっている。
【0068】
また、アーム121に固定されている第2の係止部材152は、固定位置が調整可能に固定されていてもよい。例えば、図8では、ボルトよりなる第2の係止部材152がアーム121の下面に設けられたネジ孔154とナット155によって上下方向に沿った相対位置を予め調整可能に設けられている例を示す。あるいは、トッププレート110に固定されている第1の係止部材151が、固定位置が調整可能に設けられていてもよい。これにより、アーム121に対するトッププレート110の相対位置を予め調整することが可能となるため、実際の液処理プロセスにおいて、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置をより精度良く位置合わせすることができる。
【0069】
弾性部材153は、トッププレート110が下降した状態で排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞いでいるときに、トッププレート110がアーム121から下方に押し付けられるように、上下方向に沿って弾性変形可能に設けられている。すなわち、フローティング部材150は、排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞いでいるトッププレート110を、弾性部材153により排気・排液部(カップ)100に上方から押し付けるものである。これにより、トッププレート110が下降する際に、位置決め機構130により排気・排液部(カップ)100に対する相対位置を精度良く位置合わせされたトッププレート110の上下方向及び水平方向に沿った位置を、上下方向に沿って弾性変形可能に設けられたフローティング部材150により精度良く保持することができる。
【0070】
また、不活性ガス供給管124は、第1の供給管126及び第2の供給管127を有す
る。第1の供給管126は、一端がトッププレート110の下面112に開口して不活性
ガス供給口124aを形成し、他端側においてアーム121の内部で第2の供給管127
と接続するように設けられている。さらに不活性ガス供給管124はアーム121に対して自在に設けられているので、トッププレート110が下降して位置決め機構130により位置合わせされる際も不活性ガス供給管124はトッププレート110に追従できるようになっている。
【0071】
また、図8に示すように、第1の供給管126は大径部128を有し、大径部128が第1の係止部材151に接するように係止されてもよい。また、第1の供給管126は、Oリング等の封止部材129により、トッププレート110に気密に嵌め込まれていてもよい。
【0072】
なお、フローティング部材150は、トッププレート110よりも昇降機構120側に設けられていればよく、例えばアーム121と昇降駆動部122の間に設けられていてもよい。
【0073】
また、液処理システム10は、図4に示すように、制御部200を有する。制御部200は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ201を有しており、液処理システム10の各構成部がこのプロセスコントローラ201に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ201には、工程管理者が液処理システム10の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、液処理システム10の各構成部の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース202が接続されている。さらに、プロセスコントローラ201には、液処理システム10で実行される各種処理をプロセスコントローラ201の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて液処理システム10の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部203が接続されている。レシピは記憶部203の中の記憶媒体(記録媒体)に記憶されている。記憶媒体(記録媒体)は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0074】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース202からの指示等にて任意のレシピを記憶部203から呼び出してプロセスコントローラ201に実行させることで、プロセスコントローラ201の制御下で、液処理システム10での所望の処理が行われる。
【0075】
次に、上記した液処理ユニット22を用いた液処理方法及びその作用について説明する。
【0076】
本実施の形態では、位置決め機構130の第1の位置決め部材131又は第2の位置決め部材132が、根元側部材137と先端側部材138とに分かれており、先端側部材138の根元側部材137に対する相対位置を、根元側部材137に形成されたネジ孔139とナット140とにより調整可能に設けられている。また、本実施の形態では、フローティング部材150が、アーム121に対する第2の係止部材152の相対位置又はトッププレート110に対する第1の係止部材151の相対位置を、アーム121(又はトッププレート110)に形成されたネジ孔とナットとにより調整可能に設けられている。従って、予め、昇降機構120によりトッププレート110を下降させた状態で、位置決め機構130及びフローティング部材150のナット等を緩め、第1の位置決め部材131と第2の位置決め部材132との位置を位置合わせした状態で、位置決め機構130及びフローティング部材150のナット等を締めることにより、それぞれの相対位置を予め調整しておく。
【0077】
このようにして位置決め機構130及びフローティング部材150の相対位置を予め調整した後、ウェハWに対して液処理プロセスを行う。
【0078】
なお、液処理プロセスは、本発明における液処理方法に相当する。
【0079】
まず、搬入出ステーション1のキャリア載置部11に載置されたウェハキャリアCから搬送機構15のウェハ保持アーム15aにより1枚のウェハWを取り出し、受け渡しステージ19上の受け渡し棚20の載置部に載置する。この動作を連続的に行う。受け渡し棚20の載置部に載置されたウェハWは、処理ステーション2の搬送機構24のウェハ保持アーム24aにより順次搬送され、いずれかの液処理ユニット22に搬入される。
【0080】
ウェハWが液処理ユニット22に搬入されるとき、トッププレート110は、昇降機構120により、上昇させられている。そして、液処理ユニット22に搬入されたウェハWは、シリンダ機構(図示せず)により受け渡し位置(上方位置)に位置づけられたリフトピンプレート91のリフトピン91a上に載置される。
【0081】
次に、シリンダ機構(図示せず)によって、リフトピンプレート91が下方に移動させられてウェハ処理位置に位置づけられる。リフトピンプレート91が下方に移動させられている間に、囲い部材70に設けられた支持ピン72によって、ウェハWの下面が支持される。
【0082】
その後、昇降機構120によって、トッププレート110を、排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞ぐように、下降させる。このとき、位置決め工程が行われる。
【0083】
位置決め工程では、トッププレート110が下降する際に、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置を所定の位置に位置決めする。第1の位置決め部材131と第2の位置決め部材132との相対位置が予め調整されている。従って、トッププレート110が下降する際に、第1の位置決め部材131が第2の位置決め部材132に係止されることにより、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置を精度良く位置決めすることができる。
【0084】
また、ウェハWを何枚も処理した後等、経時変化によって、トッププレート110の排気・排液部(カップ)100に対する相対位置がずれた場合、あるいはトッププレート110の昇降機構120に対する相対位置がずれた場合には、フローティング部材150がその位置のずれを吸収することができる。従って、トッププレート110を下降するときに、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置を精度良く位置決めすることができる。
【0085】
次に、回転駆動部80により回転軸62が回転駆動されることによって、ベースプレート61、囲い部材70及び回転カップ71が回転される。具体的には、回転軸62が、モータ83から駆動ベルト82を介してプーリ81に駆動力が付与されることによって、回転駆動される。この結果、囲い部材70に設けられた支持ピン72上のウェハWが回転する。
【0086】
このとき、ウェハWの下面には、処理液配管群30のいずれかの配管から処理液供給機構93の処理液供給管94を介して処理液が供給される。そして、ウェハWの下面に供給された処理液は、図4に示すように、ウェハWが回転することによって発生する遠心力によって周縁外方に向かって移動される。このときの処理液としては、前述したように、例えば、SC1、DHFのいずれかまたは両方を用いる。
【0087】
他方、ウェハWの上面には、図4に示すように、トッププレート110の下面112の中心部に設けられた不活性ガス供給口124aから窒素ガス等の不活性ガスが供給される。供給された不活性ガスは、ウェハWの上面を経た後、ウェハWとトッププレート110の隙間形成部材113との間の隙間D1を通って、囲い部材70の上方から周縁外方、更に下方へと回り込み、排気・排液部(カップ)100の排気カップ103から排気管104へと流れる。この不活性ガスの気流によって、ウェハWの周縁部WEに達した処理液が、ウェハWと囲い部材70との間又は囲い部材70と回転カップ71との間から、ウェハWの上面側に回り込むことを防止することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、トッププレート110が、位置決め機構130によって、上下方向に精度良く位置決めされる。そのため、隙間形成部材113とウェハWの周縁部WEとの間の隙間D1がウェハWの周方向に沿って一定となるように、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置を所定の位置に位置決めすることができる。隙間D1をウェハWの周方向に沿って一定にすることにより、ウェハWの上面側を流れる不活性ガスの流れをウェハWの周方向に沿って均一にすることができる。そのため、ウェハWの周縁部WEの下面に達した処理液が、ウェハWと囲い部材70との間又は囲い部材70と回転カップ71との間から、ウェハWの上面側に回り込むことをより確実に防止することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、トッププレート110が、位置決め機構130によって、水平方向にも精度良く位置決めされる。そのため、図5に示すように、ウェハWの周縁部WEであって、隙間形成部材113と対向する領域よりも外周側の部分におけるウェハWの径方向の幅Lが、ウェハWの周方向に沿って一定となるように、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110の相対位置を所定の位置に位置決めすることができる。すなわち、幅LをウェハWの全周に亘り均一化することができる。幅LをウェハWの全周に亘り均一化することにより、ウェハWの上面側を流れる不活性ガスの流れをウェハWの周方向に沿って更に均一にすることができる。そのため、ウェハWの周縁部WEの下面に達した処理液が、ウェハWと支持ピン72および回転カップ71との間から、ウェハWの上面側に回り込むことをより確実に防止することができる。これにより、ウェハWと隙間形成部材113との対向する領域とで形成される空間の、単位長さ辺りの体積を、ウェハWの全周に亘って均一化することができる。従って、周方向に沿った一部の箇所で不活性ガスの気流が少なくなり、その箇所から処理液がウェハWの上面側に回り込むことを防止することができる。
【0090】
上述のような処理液による液処理プロセスが終了すると、処理液配管群30のいずれかの配管から処理液供給機構93の処理液供給管94を介してのウェハWへの処理液の供給が停止される。そして、次に、処理液配管群30の純水配管30cから処理液供給機構93の処理液供給管94を介してウェハWに純水を供給して純水リンスを行う。
【0091】
また、上記した液処理プロセスの際には、使用済みの処理液が排液カップ101から排液配管群31に至り、酸およびアルカリは一部回収され、他は廃棄される。また、処理にともなって発生した気体成分が排気カップ103から排気配管群32に至り、排気される。
【0092】
次に、回転駆動部80によって回転軸62が高速回転される。この結果、支持ピン72上のウェハWが高速回転され、ウェハWが乾燥される。その後、回転駆動部80のモータ83が停止され、支持ピン72上のウェハWの回転も停止される。
【0093】
次に、昇降機構120によって、トッププレート110がウェハWの受け渡し位置よりも上方位置に位置づけられる。その後、シリンダ機構(図示せず)によって、リフトピンプレート91が上方位置に移動させられて、ウェハWが受け渡し位置(上方位置)に上昇する。
【0094】
次に、搬送機構24のウェハ保持アーム24aによって、リフトピンプレート91上からウェハWが搬出される。このようにして、一枚のウェハWの処理が終了する。
【0095】
このようにして搬出されたウェハWは、搬送機構24のウェハ保持アーム24aにより液処理ユニット22から搬出され、受け渡しステージ19の受け渡し棚20に載置され、受け渡し棚20から搬送機構15のウェハ保持アーム15aによりウェハキャリアCに戻される。
【0096】
本実施の形態では、トッププレート110の中心部に不活性ガス供給口124aが設けられている例について説明した。しかしながら、これに限ることなく、例えば、トッププレート110の周縁に、不活性ガス供給口124aが設けられていてもよい。
(実施の形態の第1の変形例)
次に、図9を参照し、本発明の実施の形態の第1の変形例に係る液処理装置及び液処理方法について説明する。図9は、本変形例に係る液処理ユニット22aの構成を示す概略断面図である。
【0097】
本変形例に係る液処理ユニット22aは、トッププレート110aが隙間形成部材を有していない点で、実施の形態に係る液処理ユニット22と相違する。
【0098】
本変形例でも、図1から図3を用いて説明した実施の形態に係る液処理システム10を用いることができる。また、本変形例に係る液処理システム10に搭載される液処理ユニット22aは、図9に示すように、回転プレート60、囲い部材70、回転カップ71、回転駆動部80、基板昇降部材90、処理液供給機構93、排気・排液部(カップ)100、トッププレート110a、昇降機構120、不活性ガス供給機構123、位置決め機構130、及びフローティング部材150を有している。トッププレート110a以外の各部については、実施の形態において図4を用いて説明した液処理ユニット22の各部と同様である。そして、図9において、図4を用いて説明した部分と同一の部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0099】
一方、本変形例におけるトッププレート110aは、隙間形成部材を有していない。
【0100】
トッププレート110aは、昇降可能であって、下降した状態で排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞ぐように設けられていることは、実施の形態と同様である。
【0101】
一方、本変形例では、図9に示すように、トッププレート110aは、囲い部材70の支持ピン72に支持されているウェハWの周縁部WEと対向する領域に、トッププレート110aの下面112から下方に突出した隙間形成部材が設けられていない。そのため、トッププレート110aと囲い部材70の支持ピン72に支持されているウェハWとの距離は、ウェハW全面に亘り略等しくなり、D0となる。すなわち、囲い部材70の支持ピン72に支持されているウェハWの周縁部WEとトッププレート110aとの距離は、ウェハWの中心部WCとトッププレート110aとの距離D0よりも小さくなることはない。
【0102】
しかし、本変形例でも、トッププレート110aが位置決め機構130によって、上下方向に精度良く位置決めされる。そのため、トッププレート110aとウェハWとの距離がウェハWの周方向に沿って一定となるように、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110aの相対位置を所定の位置に位置決めすることができる。これにより、ウェハWの上面側を流れる不活性ガスの流れをウェハWの周方向に沿って均一にすることができる。そのため、ウェハWとトッププレート110aとの間を通ってウェハWの外方へ流れる不活性ガスの流量を均一にすることができる。そして、ウェハWの周縁部WEの下面に達した処理液が、ウェハWと囲い部材70との間又は囲い部材70と回転カップ71との間から、ウェハWの上面側に回り込むことをより確実に防止することができる。
(実施の形態の第2の変形例)
次に、図10を参照し、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る液処理装置及び液処理方法について説明する。図10は、本変形例に係る液処理ユニット22bの構成を示す概略断面図である。
【0103】
本変形例に係る液処理ユニット22bは、トッププレート110bがフローティング部材を有していない点で、実施の形態に係る液処理ユニット22と相違する。
【0104】
本変形例でも、図1から図3を用いて説明した実施の形態に係る液処理システム10を用いることができる。また、本変形例に係る液処理システム10に搭載される液処理ユニット22bは、図10に示すように、回転プレート60、囲い部材70、回転カップ71、回転駆動部80、基板昇降部材90、処理液供給機構93、排気・排液部(カップ)100、トッププレート110b、昇降機構120b、不活性ガス供給機構123b及び位置決め機構130を有しているが、フローティング部材を有していない。トッププレート110b、昇降機構120b以外のこれらの各部については、実施の形態において図4を用いて説明した液処理ユニット22の各部と同様である。そして、図10において、図4を用いて説明した部分と同一の部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0105】
トッププレート110bは、昇降可能であって、下降した状態で排気・排液部(カップ)100の上面に設けられた開口105を塞ぐように設けられていることは、実施の形態と同様である。また、囲い部材70の支持ピン72に支持されているウェハWの周縁部WEと対向する領域に、トッププレート110bの下面112から下方に突出した隙間形成部材113が設けられていることは、実施の形態と同様である。
【0106】
一方、本変形例では、フローティング部材が設けられていないため、図10に示すように、トッププレート110bは、アーム121bに固定されている。従って、トッププレート110bは、アーム121b及び昇降駆動部122を介して液処理ユニット22bの一部に固定されている。
【0107】
また、図10に示すように、不活性ガス供給機構123bの不活性ガス供給管124bは、アーム121bの内部に一体で形成されていてもよく、あるいは、図4に示したように、アーム121bの内部に別体で形成されていてもよい。
【0108】
本変形例でも、トッププレート110bに固定されている第1の位置決め部材131又は排気・排液部(カップ)100に固定されている第2の位置決め部材132は、実施の形態と同様に、固定位置が調整可能に固定されていてもよい。例えば、図5を用いて説明したように、第1の位置決め部材131又は第2の位置決め部材132が根元側部材と先端側部材とに分かれており、先端側部材の根元側部材に対する相対位置が、根元側部材に形成されたネジ孔とナットとにより調整可能に設けられていてもよい。これにより、予め、昇降機構120bによりトッププレート110bを下降させた状態で、位置決め機構130のナットを緩め、第1の位置決め部材131と第2の位置決め部材132との位置を位置合わせした状態で、位置決め機構130のナットを締めることにより、それぞれの相対位置を予め調整しておくことができる。
【0109】
その結果、隙間形成部材113とウェハWの周縁部WEとの隙間D1がウェハWの周方向に沿って一定となるように、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110bの相対位置を所定の位置に位置決めすることができる。隙間D1をウェハWの周方向に沿って一定にすることにより、ウェハWの上面側を流れる不活性ガスの流れをウェハWの周方向に沿って均一にすることができる。また、本変形例でも、実施の形態において図5を用いて説明したのと同様に、ウェハWの周縁部WEであって、隙間形成部材113と対向する領域よりも外周側の部分におけるウェハWの径方向の幅Lが、ウェハWの周方向に沿って一定となるように、排気・排液部(カップ)100に対するトッププレート110bの相対位置を所定の位置に位置決めすることができる。そのため、ウェハWの周縁部WEの下面に達した処理液が、ウェハWと囲い部材70との間又は囲い部材70と回転カップ71との間から、ウェハWの上面側に回り込むことをより確実に防止することができる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
10 液処理システム
22 液処理ユニット
70 囲い部材
72 支持ピン
93 処理液供給機構
100 排気・排液部(カップ)
105 開口
110 トッププレート
113 隙間形成部材
123 不活性ガス供給機構
130 位置決め機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面側からガスを供給するとともに前記基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により前記基板の下面を処理する液処理装置において、
上面に開口を有する処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板の周縁部を支持する支持部と、
昇降可能に設けられ、下降した状態で前記開口を塞ぐ天板部と、
前記天板部が下降する際に、前記処理容器に対する前記天板部の相対位置を所定の位置に位置決めする位置決め機構と
を有する、液処理装置。
【請求項2】
前記位置決め機構は、
前記天板部に設けられている第1の位置決め部材と、
前記第1の位置決め部材に対応して前記処理容器に設けられている第2の位置決め部材と
を有し、
前記天板部が下降する際に、前記第1の位置決め部材及び前記第2の位置決め部材のいずれか一方が他方に係止されることによって、前記相対位置を位置決めするものである、請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記第1の位置決め部材は前記天板部に固定され、
前記第2の位置決め部材は前記処理容器に固定され、
前記第1の位置決め部材又は前記第2の位置決め部材は、固定位置が調整可能に固定されている、請求項2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記位置決め機構は、前記基板の周縁部と前記天板部との距離が前記基板の周方向に沿って一定となるように、前記相対位置を位置決めするものである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項5】
前記天板部は、前記基板の前記周縁部と対向する領域に、前記天板部の下面から下方に突出して設けられ、前記基板の前記周縁部との間に隙間を形成する隙間形成部材を有し、
前記位置決め機構は、前記隙間が前記基板の周方向に沿って一定となるように、前記相対位置を位置決めするものである、請求項4に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記位置決め機構は、前記基板の周縁部であって、前記隙間形成部材と対向する領域よりも外周側の部分における前記基板の径方向の幅が、前記基板の周方向に沿って一定となるように、前記相対位置を位置決めするものである、請求項5に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記天板部を昇降させる昇降機構と、
前記天板部よりも前記昇降機構側に上下方向に沿って弾性変形可能に設けられ、前記開口を塞いでいる前記天板部を前記処理容器に押し付ける押し付け部材と
を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項8】
上面に開口を有する処理容器と、前記処理容器内に設けられ、基板の周縁部を支持する支持部と、昇降可能に設けられ、下降した状態で前記開口を塞ぐ天板部とを有し、前記支持部に支持されている基板の上面側からガスを供給するとともに前記基板の下面側から処理液を供給し、供給された処理液により前記基板の下面を処理する液処理装置における液処理方法であって、
前記天板部が下降する際に、前記処理容器に対する前記天板部の相対位置を所定の位置に位置決めする位置決め工程を有する、液処理方法。
【請求項9】
前記位置決め工程は、前記天板部が下降する際に、前記天板部に設けられている第1の位置決め部材、及び、前記第1の位置決め部材に対応して前記処理容器に設けられている第2の位置決め部材のいずれか一方が他方に係止されることによって、前記相対位置を位置決めするものである、請求項8に記載の液処理方法。
【請求項10】
前記第1の位置決め部材は前記天板部に固定され、
前記第2の位置決め部材は前記処理容器に固定され、
前記第1の位置決め部材又は前記第2の位置決め部材は、固定位置が調整可能に固定されている、請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記位置決め工程は、前記基板の周縁部と前記天板部との距離が前記基板の周方向に沿って一定となるように、前記相対位置を位置決めするものである、請求項8から請求項10のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項12】
前記天板部は、前記基板の前記周縁部と対向する領域に、前記天板部の下面から下方に突出して設けられ、前記基板の前記周縁部との間に隙間を形成する隙間形成部材を有し、
前記位置決め工程は、前記隙間が前記基板の周方向に沿って一定となるように、前記相対位置を位置決めするものである、請求項11に記載の液処理方法。
【請求項13】
前記位置決め工程は、前記基板の周縁部であって、前記隙間形成部材と対向する領域よりも外周側の部分における前記基板の径方向の幅が、前記基板の周方向に沿って一定となるように、前記相対位置を位置決めするものである、請求項12に記載の液処理方法。
【請求項14】
前記液処理装置は、前記天板部を昇降させる昇降機構を有し、
前記位置決め工程は、前記天板部よりも前記昇降機構側に上下方向に沿って弾性変形可能に設けられた押し付け部材により、前記開口を塞いでいる前記天板部を前記処理容器に押し付けるものである、請求項8から請求項13のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項15】
コンピュータに請求項8から請求項14のいずれかに記載の液処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−222965(P2011−222965A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19981(P2011−19981)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】