説明

液晶表示素子及びフレキシブルプリント配線板

【課題】 テスト信号入力端子を保護するためだけの材料と工程をなくし、コスト削減とともに生産効率を向上させた液晶表示素子を提供することである。
【解決手段】 液晶表示素子10は、テスト信号を入力するためのテスト信号入力端子18及び正規の信号を入力するための正規信号入力端子19を有するLCDパネル11と、正規信号入力端子19に接続されたフレキシブルプリント配線板12とを備え、テスト信号入力端子18がフレキシブルプリント配線板12で覆われ、テスト信号入力端子18とフレキシブルプリント配線板19とが異方性導電膜20で接着される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
テスト信号を入力するためのテスト信号入力端子及び正規の信号を入力するための正規信号入力端子を有するLCDパネルと、正規信号入力端子に接続されたフレキシブルプリント配線板とを備えた液晶表示素子、及びそのフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低温ポリシリコンに代表されるLCDパネル内部に液晶駆動回路を内蔵する液晶表示素子、所謂システム液晶が、携帯電話機等の表示部として多く利用されている。システム液晶のパネルには、画素トランジスタ以外にゲート回路をはじめとしたロジック回路が内蔵されている。
【0003】
このシステム液晶の製造行程では、通常、LCDパネルが完成した後、LCDソース駆動回路ドライバLSIチップやインターフェース信号を入力するためのフレキシブルプリント配線板(FPC)をガラス基板上に実装する。
【0004】
ここで、通常はLCDパネルの完成後の部品実装前に、LCDパネル単品に電気信号を入力して表示検査を行う。これにより、不良品のLCDパネルを後工程に流すことを防止できるので実装部品が無駄にならない。
【0005】
この表示検査をするためにLCDパネルには、FPCが接続される正規の信号を入力するための正規信号入力端子とは別に、テスト信号を入力するためのテスト信号入力端子が設けられている。このテスト信号入力端子は製品の完成後には使用されないので、表示検査の終了後に樹脂で封止され絶縁保護される。
【0006】
図3に従来の液晶表示素子100の平面図、図4に図3のB−B線断面図を示す。液晶表示素子100とは、LCDパネル11にFPC101等の部品を実装した状態の素子である。テスト信号入力端子18はTUFFY等の樹脂102で覆われ、正規信号入力端子119はFPC101で覆われている。FPC101は異方性導電膜20を用いて圧着される。FPC101は導体配線101aと樹脂101bとからなり、導体配線101aが正規信号入力端子19に接続される。テスト信号入力端子18を樹脂102で封止する理由は、静電気破壊を防止するためである。静電気がテスト信号入力端子18から進入すると、液晶表示素子100内部の絶縁膜破壊等が起こり、素子に不具合が生じる。システム液晶はLCDパネル11に低温ポリシリコン半導体等の液晶駆動回路を内蔵しているため、静電気対策が重要となる。
【0007】
素子の不具合を防止するという観点では、たとえば、単純マトリクス型LCDパネルの透明電極の腐食防止を目的としたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−167924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図3、4のような液晶表示素子100においては、テスト信号入力端子18を樹脂102で封止する工程を省くことはできない。また、特許文献1の手法をテスト信号入力端子18の封止に応用すると、テスト信号入力端子18を保護膜で覆うことになり、保護膜を形成する工程が必要となる。従って、従来は製品化後には必要のないテスト信号入力端子18を保護するために、余計な材料と工程を必要としていた。
【0009】
本発明は、テスト信号入力端子を保護するためだけの材料と工程をなくし、コスト削減とともに生産効率を向上させた液晶表示素子を提供することを目的とする。また、この液晶表示素子に実装されるフレキシブルプリント配線板を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の液晶表示素子は、LCDパネル上に設けられたテスト信号入力端子が正規信号入力端子に接続されるフレキシブルプリント配線板で覆われることを特徴とするものである。また本発明のフレキシブルプリント配線板は、LCDパネル上に設けられた正規信号入力端子に接続するとともに、LCDパネル上に設けられたテスト信号入力端子を覆うことを特徴とするものである。
【0011】
これらの構成によると、テスト信号入力端子はフレキシブルプリント配線板で絶縁保護され、静電気の進入を防止できる。
【0012】
上記の液晶表示素子又はフレキシブルプリント配線板において、前記テスト信号入力端子と前記フレキシブルプリント配線板とが異方性導電膜で接着されることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、テスト信号入力端子にテスト信号を入力してLCDパネルの表示検査を行った後、良品のLCDパネルに、異方性導電膜を用いてフレキシブルプリント配線板を圧着することで正規信号入力端子及びテスト信号入力端子を一度に接着することができる。
【0014】
また上記の液晶表示素子において、前記LCDパネル内の液晶材に近い順に、テスト信号入力端子、正規信号入力端子と配設することが望ましい。
【0015】
通常、フレキシブルプリント配線板はLCDパネルの外側から接続されるので、フレキシブルプリント配線板の導体配線がテスト信号入力端子に接触しないようにするためである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、テスト信号入力端子が正規信号入力端子とともにフレキシブルプリント配線板で絶縁保護されるので、テスト信号入力端子を保護するためだけの材料と工程が不要となり、コスト削減とともに生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、液晶表示素子の平面図、図2は、図1のA−A線断面図である。液晶表示素子10は、LCDパネル11と、フレキシブルプリント配線板(FPC)12と、LCDドライバ13とを備えている。
【0018】
LCDパネル11は、2枚のガラス基板14、15と、両ガラス基板14、15の周縁部を接着するシール材16と、両ガラス基板14、15及びシール材16で囲まれた空間を満たす液晶材17と、ガラス基板15上に設けられたテスト信号入力端子18と、ガラス基板15上に設けられた正規信号入力端子19とを備えている。
【0019】
テスト信号入力端子18は、LCDパネル11の完成後の部品(FPC12やLCDドライバ13等)実装前に、LCDパネル11単品にテスト信号を入力して表示検査を行うための端子である。このテスト信号入力端子18は製品の完成後には使用されない。一方、正規信号入力端子19は、FPC12が接続され正規の信号を入力するための端子である。
【0020】
FPC12は、導体配線12aと樹脂12bとからなり、異方性導電膜20を介してガラス基板に接着される。樹脂12bには容易に曲げられる軟質樹脂が用いられる。FPC12はテスト信号入力端子18及び正規信号入力端子19を覆い、導体配線12aが正規信号入力端子19に接続され、樹脂12bが異方性導電膜20を介してテスト信号入力端子18に接着される。これにより、テスト信号入力端子18は絶縁保護される。なお、異方性導電膜20に換えて他の接着剤を用いてもよい。
【0021】
図1においては、FPC12の接続部付近はコ字型に形成されている。これにより、FPC12は、テスト信号入力端子18及び正規信号入力端子19を覆いながら、LCDドライバ13を避けて実装できる。FPC12は、従来のFPCの樹脂部分を延長したものを用意し、LCDドライバ13に重なる部分を切除すれば、容易に且つコストアップもほとんどなしに作製できる。
【0022】
なお、テスト信号入力端子18及び正規信号入力端子19の配置が変更されれば、FPC12の形状もそれに合わせて変更することで対応できる。ここで、液晶材に近い順にテスト信号入力端子18、正規信号入力端子19と配設することが望ましい。通常、FPC12はLCDパネル11の外側から接続されるので、FPC12の導体配線12aがテスト信号入力端子18に接触しないようにするためである。逆に、液晶材に近い順に正規信号入力端子19、テスト信号入力端子18と配設すると、テスト信号入力端子18に接触しないように導体配線12aを引き回すのが困難になる。
【0023】
LCDドライバ13は、LCDソース駆動回路ドライバLSIチップからなり、チップオングラスの手法でガラス基板15に実装される。
【0024】
次に、液晶表示素子10の生産手順について説明する。LCDパネル11が作製された後、まず、テスト信号入力端子18にテスト信号を入力してLCDパネル11の表示検査を行い、不良品を生産ラインから外す。これにより、不良品のLCDパネルを後工程に流すことを防止できるので実装部品が無駄にならない。続いて、良品のLCDパネル11に、異方性導電膜20を用いてFPC12を圧着し、各種部品(LCDドライバ13等)も実装する。異方性導電膜20を用いることで正規信号入力端子19及びテスト信号入力端子18を一度に接着することができる。
【0025】
上記工程によりFPC12が圧着されると、以後、テスト信号入力端子18及び正規信号入力端子19からの静電気の進入を防止できる。システム液晶はLCDに低温ポリシリコン半導体等の液晶駆動回路を内蔵しているため、静電気対策が重要となる。もし、静電気がテスト信号入力端子18又は正規信号入力端子19から進入すると、液晶表示素子10内部の絶縁膜破壊等が起こり、素子に不具合が生じる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、低温ポリシリコンに代表されるLCDパネル内部に液晶駆動回路を内蔵するシステム液晶に適用でき、本発明の液晶表示素子は、携帯電話機等の表示部として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の液晶表示素子の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】従来の液晶表示素子の平面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 液晶表示素子
11 LCDパネル
12 フレキシブルプリント配線板
17 液晶材
18 テスト信号入力端子
19 正規信号入力端子
20 異方性導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト信号を入力するためのテスト信号入力端子及び正規の信号を入力するための正規信号入力端子を有するLCDパネルと、前記正規信号入力端子に接続されたフレキシブルプリント配線板とを備えた液晶表示素子において、
前記テスト信号入力端子が前記フレキシブルプリント配線板で覆われることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記テスト信号入力端子と前記フレキシブルプリント配線板とが異方性導電膜で接着されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記LCDパネル内の液晶材に近い順に、テスト信号入力端子、正規信号入力端子と配設することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子。
【請求項4】
テスト信号を入力するためのテスト信号入力端子及び正規の信号を入力するための正規信号入力端子を有するLCDパネルに接続するフレキシブルプリント配線板において、
前記正規信号入力端子に接続するとともに、前記テスト信号入力端子を覆うことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
異方性導電膜で前記テスト信号入力端子と接着されることを特徴とする請求項4記載のフレキシブルプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−301135(P2006−301135A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120503(P2005−120503)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】