説明

液状樹脂組成物および該液状樹脂組成物を使用して作製した半導体装置

【課題】弾性率が低く良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れる液状樹脂組成物および該液状樹脂組成物を半導体用ダイアタッチ材または放熱部材用接着剤とすることにより耐半田クラック性などの信頼性に優れた半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明は、充填材、熱硬化性樹脂を含み、該熱硬化性樹脂として主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物を含むことを特徴とする液状樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂組成物および該液状樹脂組成物を使用して作製した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高速化は著しく、多層配線部における配線抵抗と配線間の寄生容量に起因する信号伝搬速度の低下による伝送遅延が問題となってきている。こうした問題は、半導体デバイスの高集積化に伴う配線幅および配線間隔の微細化につれて配線抵抗が上昇しかつ寄生容量が増大するので、益々顕著となる傾向にある。そこで、配線抵抗および寄生容量の増大に基づく信号遅延を防止するために、従来のアルミニウム配線に代わり銅配線の導入が行われると共に、層間絶縁膜に比誘電率が二酸化シリコン膜の3.9より小さい低誘電率の絶縁膜の適用が行われている。特に設計基準が65nmから45nmへと構成素子の微細化が進む中で層間絶縁膜の比誘電率は2.0程度またはそれ以下の値が強く求められ、このために層間絶縁膜として膜内部の空孔率を高めることで比誘電率を小さくした多孔質絶縁膜が必要になってきている。
このような多孔質絶縁膜は、その構造上一般的に機械的強度か弱いという問題がある。すなわち従来の絶縁膜を使用した半導体素子に比較して外部からのストレスに対して敏感で、これまで問題とされなかったストレスでも絶縁膜の破壊に至る場合がある。
そこで発生するストレスを少なくするために、封止材料、ダイアタッチ材料などの半導体構成材料に対して低応力性のものが要求されると共に、半導体生産プロセスの見直しも行われている。
半導体素子をリードフレーム、ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)、BT基板(シアネートモノマーおよびそのオリゴマーとビスマレイミドとからなるBTレジン使用基板)、ポリイミドフィルムなどの有機基板といった支持体に接着するダイアタッチプロセスにおいてはダイアタッチ後に半導体素子と支持体との熱膨張率が異なることに基づく反りが発生するが、過度の反りは層間絶縁膜のダメージの原因となるため、反りの発生しにくいダイアタッチ材料が求められている。
ここで反りを小さくするためにダイアタッチ材料の弾性率を低くする必要がありこれまでも
(1)液状の低応力剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)固形の低応力剤を添加する方法(例えば、特許文献2参照)、
(3)架橋密度を低下させる方法(例えば、特許文献3参照)、
(4)樹脂骨格に柔軟構造を導入する方法(例えば、特許文献4参照)、
(5)低ガラス転移温度(Tg)のポリマーを添加する方法(例えば、特許文献5参照)などが検討されてきたが、例えば(1)の方法では液状の低応力剤自体が高粘度であるため十分な低弾性率化効果を得ることが可能な配合量添加すると高粘度で扱いにくくなる傾向にあり、(2)の方法では液状樹脂組成物中の固形分の割合が増えるため高粘度で扱いにくくなる傾向にあり、(3)の方法では高温での強度などの機械特性が悪化する傾向にあり、(4)の方法では柔軟骨格を導入した樹脂の粘度が高いため液状樹脂組成物も高粘度で扱いにくくなる傾向にあり、(5)の方法では溶剤を使用しなければ液状樹脂組成物を得ることができず、溶剤は液状樹脂組成物硬化中に揮発する必要があるので反りが問題となるようなチップサイズ(チップサイズが小さい場合にはほとんど反りは問題とならない)には不適であるなどの欠点も残されている。
一方、環境対応の一環として半導体製品からの鉛撤廃が進められている中、基板実装時に使用する半田も鉛フリー半田が使用されるため、錫−鉛半田の場合よりリフロー温度を高くする必要がある。高温でのリフロー処理は半導体パッケージ内部のストレスを増加させるためリフロー中に半導体製品中に剥離ひいてはクラックが発生しやすくなり、ダイア
タッチ材料にも剥離が生じにくい、すなわち高温でも良好な接着力を示す材料が望まれている。このように弾性率が低く、高温でも良好な接着力を示し、塗布時の作業性に優れる液状樹脂組成物がダイアタッチ材料として望まれているが、十分に満足するものはなかった。
【特許文献1】特開平05−120914号公報
【特許文献2】特開2003−347322号公報
【特許文献3】特開平06−084974号公報
【特許文献4】特開平08−176409号公報
【特許文献5】特開2005−154687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、低弾性率かつ良好な高温での接着性を示すとともに塗布作業性に優れる液状樹脂組成物および本発明を半導体用ダイアタッチ材または放熱部材用接着剤として使用した特に耐半田クラック性などの信頼性に優れた半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような目的は、下記[1]〜[5]に記載の本発明により達成される。
[1]半導体素子または放熱部材を支持体に接着する液状樹脂組成物であって、(A)充填材、(B)熱硬化性樹脂を含み、該熱硬化性樹脂(B)として主鎖が炭素−炭素結合で構成され、分子量が1000以上20000以下で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物(B1)を含むことを特徴とする液状樹脂組成物。
[2]前記化合物(B1)が(メタ)アクリル酸エステル化合物をモノマー単位として含む共重合体で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物である上記[1]に記載の液状樹脂組成物。
[3]前記化合物(B1)のラジカル重合性官能基が(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、マレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]または[2]に記載の液状樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物をダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0005】
本発明の液状樹脂組成物は、弾性率が低く良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れるので、本発明をダイアタッチ材または放熱部材用接着剤として使用することでこれまでにない高信頼性の半導体装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、充填材、熱硬化性樹脂を含む液状樹脂組成物であり、該熱硬化性樹脂として主鎖が炭素−炭素結合で構成され、分子量が1000以上20000以下で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物を含むことにより、弾性率が低くかつ良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れるため、半導体素子または放熱部材を接着する液状樹脂組成物として使用することによりこれまでにない高信頼性の半導体装置の提供が可能となるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
本発明で使用する充填材(A)としては、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、パラジウム粉などの金属粉、アルミナ粉末、チタニア粉末、アルミニウムナイトライド粉末、ボロンナイトライド粉末などのセラミック粉末、ポリエチレン粉末、ポリアクリル酸エステル粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリアミド粉末、ポリウレタン粉末、ポリシロキサン粉末などの高分子粉末などが挙げられる。液状樹脂組成物はノズル
を使用して吐出する場合があるので、ノズル詰まりを防ぐために充填材の平均粒径は30μm以下が好ましく、ナトリウム、塩素などのイオン性の不純物が少ないことが好ましい。特に導電性、熱伝導性が要求される場合には銀粉を使用することが好ましい。通常電子材料用として市販されている銀粉であれば、還元粉、アトマイズ粉などが入手可能で、好ましい粒径としては平均粒径が1μm以上、30μm以下である。これ以下では液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、これ以上では上述のようにディスペンス時にノズル詰まりの原因となるからであり、電子材料用以外の銀粉ではイオン性不純物の量が多い場合があるので注意が必要である。形状はフレーク状、球状などがあり特に限定されないが、好ましくはフレーク状のものを使用し、通常液状樹脂組成物中65重量%以上、95重量%以下含まれる。銀粉の割合がこれより少ない場合には導電性が悪化し、これより多い場合には液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎるためである。
【0008】
本発明で使用する熱硬化性樹脂(B)としては、加熱することで反応が進行し高分子量化するものであり、熱硬化性樹脂として主鎖が炭素−炭素結合で構成され、分子量が1000以上20000以下で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物(B1)が含まれる。これは化合物(B1)を使用することで弾性率の低い硬化物を得ることが可能になり、炭素−炭素結合がエーテル結合、エステル結合、アミド結合などに比較し化学的、熱的に安定であるためである。分子量は1000以上20000以下に限定されるが、分子量がこれより低い場合には目的とする低弾性率化効果が十分には発揮できずこれより高い場合には液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ塗布作業性の悪化の原因となるためである。
さらに化合物(B1)としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物をモノマー単位として含む共重合体でラジカル重合性官能基を有することが好ましく、これは反応性の高いラジカル重合性官能基を有することで硬化性に優れる液状樹脂組成物を得ることが可能になるからである。ここで、ラジカル重合性官能基とは、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、マレイミド基などが挙げられ、これらのうち少なくとも1個を用いることが好ましい。
【0009】
さらに化合物(B1)は、室温で液状または化合物(B1)以外の熱硬化性樹脂を使用する場合には使用する熱硬化性樹脂の液状成分と混合することで室温において液状となるものが好ましい。室温において液状または他の熱硬化性樹脂の液状成分と混合することで室温において液状にならないものでは良好な塗布作業性の液状樹脂組成物を得ることが難しいからである。
このような化合物(B1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの第1の成分と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有する第2の成分とを共重合することで分子量が1000以上20000以下で水酸基、カルボキシ基またはグリシジル基を有する共重合体を得た後、ラジカル重合性官能基を導入した化合物が挙げられる。また第1の成分としてスチレンを含むことも好ましい。前記共重合体の作製方法は特に限定されないが、一般的には溶媒中、重合開始剤および連鎖移動剤を用いて反応させることが可能であり、特に重合開始剤および連鎖移動剤の濃度が反応に用いられるすべての成分に対して1重量%以下であることが好ましい。なかでも特に好ましいのは重合開始剤および連鎖移動剤をほとんど使用せずに、さらに好ましくは使用せずに高温高圧化で反応を行うことで得ることが可能である。このようにして得られた共重合体は低分子量で分子量分布が狭いため、さらにラジカル重合性官能基を導入した化合物としても液状樹脂組成物にした時の粘度上昇が少なくまた高温での安定性に優れるという特長を有する。
このような共重合体としては東亞合成(株)からArufon(アルフォン)の商品名で販売されている。共重合体の作製時に第2の成分としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用すれば、主鎖が炭素−炭素結
合で構成され分子量が1000以上20000以下で水酸基を有する共重合体を得ることができ、この共重合体と(メタ)アクリル酸、マレイミド化アミノ酸またはその誘導体などのラジカル重合性官能基を有する化合物とを反応することでラジカル重合性官能基を導入した化合物を得ることができる。
また、共重合体の作製時に第2の成分として(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基を有する化合物を使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でカルボキシ基を有する共重合体を得ることができ、この共重合体とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アリルアルコールなどの水酸基およびラジカル重合性官能基を有する化合物とを反応することでラジカル重合性官能基を導入した化合物を得ることができる。
さらに、共重合体の作製時に第2の成分としてグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でグリシジル基を有する共重合体を得ることができ、この共重合体と(メタ)アクリル酸、マレイミド化アミノ酸またはその誘導体などのラジカル重合性官能基を有する化合物とを反応することでラジカル重合性官能基を導入した化合物を得ることができる。
これらのラジカル重合性官能基を導入した化合物の1分子内に含まれるラジカル重合性官能基の数は2以上100以下が好ましく、より好ましいのは2以上30以下である。更に好ましいのは2以上10以下である。ラジカル重合性官能基数がこれより少ない場合には硬化後の凝集力が低下し接着力の悪化の原因となり、これより多い場合には目的とする低弾性率化効果が十分に発揮されない場合がある。
ラジカル重合性官能基を有する化合物とは、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイミド化アミノ酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アリルアルコールなどが挙げられる。
【0010】
本発明では化合物(B1)以外の熱硬化性樹脂を使用することも可能である。化合物(B1)以外の熱硬化性樹脂とは例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられ、なかでもラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂はその良好な硬化性から好ましく用いられる。これらの樹脂を併用することも可能である。
【0011】
前記アクリル樹脂とは、前述の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B1)以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり後述する重合開始剤を併用することにより加熱下で(メタ)アクリロイル基が反応することで高分子量化する熱硬化性樹脂である。(メタ)アクリロイル基を有していれば特に限定されず、分子量が500〜10000のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体で(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がエーテル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基の導入が可能である。
ポリエステルとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がエステル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基の導入が可能である。
ポリカーボネートとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がカーボネート結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基の導入が可能である。
ポリウレタンとしては、2官能のイソシアネートとジオールの反応物が好ましく反応時
にヒドロキシ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートを添加することで(メタ)アクリロイル基の導入が可能である。2官能のイソシアネートとしては芳香族環を含まないものが好ましく、特に好ましいのはイソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートである。
ポリブタジエンとしては、カルボキシ基を有するポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応、水酸基を有するポリブタジエンと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により(メタ)アクリロイル基の導入が可能であり、また無水マレイン酸を付加したポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により(メタ)アクリロイル基の導入が可能である。
ブタジエンアクリロニトリル共重合体としては、カルボキシ基を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体と水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により(メタ)アクリロイル基の導入が可能である。
【0012】
必要により以下に示す化合物を併用することも可能である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートや水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸またはその誘導体を反応して得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで使用可能なジカルボン酸としては、例えばしゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0013】
上記以外にもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)アクリレ
ート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコール、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミド、N−ビニル−2−ピロリド
ン、スチレン誘導体、α−メチルスチレン誘導体などを使用することも可能である。
【0014】
さらに重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。通常熱ラジカル重合開始剤として用いられるものであれば特に限定しないが、望ましいものとしては、急速加熱試験(試料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温した時の分解開始温度)における分解温度が40〜140℃となるものが好ましい。分解温度が40℃未満だと、導電性ペーストの常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるため好ましくない。これを満たす熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジ
メチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらは単独または硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。重合開始剤の配合量は熱硬化性樹脂(B)に対して0.1重量%以上10重量%以下である。より好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。
ここで本発明の液状樹脂組成物は、通常蛍光灯などの照明下で使用されるので光重合開始剤が含まれていると使用中に反応により粘度上昇が観察されるため実質的に光重合開始剤を含有することは好ましくない。実質的にとは、粘度上昇が観察されない程度で光重合開始剤が微量に存在してもよく、好ましくは、含有しないことである。
【0015】
前記マレイミド樹脂は、前述のマレイミド基を有する化合物(B1)以外の1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド樹脂は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸の反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸などのマレイミド化アミノ酸とポリオールの反応により得られる化合物である。マレイミド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸またはアミノカプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。マレイミド基は、アリル基と反応可能であるのでアリルエステル樹脂との併用も好ましい。アリルエステル樹脂としては、脂肪族のものが好ましく、中でも特に好ましいのはシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールのエステル交換により得られる化合物である。さらに重合開始剤として上述の熱ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。またシアネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂との併用も好ましい。
【0016】
ここで化合物(B1)の配合量は、熱硬化性樹脂(B)に対し1重量%以上70重量%以下が好ましい。より好ましい配合量は3重量%以上60重量%以下である。これより少ないと目的とする低弾性率化効果が十分に発揮されない場合があり、これより多いと液状樹脂組成物の粘度が高く塗布作業性の悪化の原因となる可能性があるからである。
【0017】
本発明ではさらにカップリング剤、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を使用することも可能である。
本発明の液状樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造することができる。
【0018】
本発明の液状樹脂組成物を用いて半導体装置を製作する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、市販のダイボンダーを用いて、リードフレームの所定の部位に液状樹脂組成物をディスペンス塗布した後、半導体チップをマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによ
って半導体装置を製作する。またはフリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Array)などの半導体チップ裏面に液状樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドといった放熱部品を搭載し加熱硬化するなどである。
【実施例】
【0019】
化合物(B1)の調整
化合物(B11)
水酸基価20mgKOH/gで分子量11000のアクリルオリゴマー(東亞合成(株)製、Arufon(アルフォン)UH−2000、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られる水酸基を有するアクリル系オリゴマーで主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物)110g、ラジカル重合性官能基を有する化合物としてメタクリル酸(試薬)5g、トルエン(試薬)500gをセパラブルフラスコに入れディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後攪拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド10gを酢酸エチル50mlに溶解させた溶液を10分かけて滴下しその後室温で6時間反応した。反応後攪拌しながら50mlのイオン交換水を添加することで過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを析出させた後、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後反応液をろ過することで固形物を取り除き、70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った。溶剤層を再度ろ過することにより得られたろ液をエバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(収率約98%。室温で液状。GPC測定により分子量(スチレン換算)が約12000で、メタクリル酸が残存していないことを確認した。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定により水酸基の消失、メタクリル基の存在、エステル結合の生成を確認した。主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が12000でラジカル重合性官能基であるメタクリロイル基を約4個有する化合物であった。以下化合物B11)
【0020】
化合物(B12)
水酸基価33mgKOH/gで分子量5000のアクリルオリゴマー(東亞合成(株)製、Arufon(アルフォン)UH−2130、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られる水酸基を有するアクリル系オリゴマーで主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物)100g、ラジカル重合性官能基を有する化合物としてメタクリル酸(試薬)7g、トルエン(試薬)500gをセパラブルフラスコに入れディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後攪拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド17gを酢酸エチル50mlに溶解させた溶液を10分かけて滴下しその後室温で6時間反応した。反応後攪拌しながら50mlのイオン交換水を添加することで過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを析出させた後、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後反応液をろ過することで固形物を取り除き、70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った。溶剤層を再度ろ過することにより得られたろ液をエバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(収率約97%。室温で液状。GPC測定により分子量(スチレン換算)が約5500で、メタクリル酸が残存していないことを確認した。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定により水酸基の消失、メタクリル基の存在、エステル結合の生成を確認した。主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が5500でラジカル重合性官能基であるメタクリロイル基を約3個有する化合物であった。以下化合物B12)
【0021】
化合物(B13)
酸価108mgKOH/gで分子量4600のアクリルオリゴマー(東亞合成(株)製、Arufon(アルフォン)UC−3900、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連
続塊状重合することにより得られるカルボキシ基を有するアクリル系オリゴマーで主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物)100g、ラジカル重合性官能基を有する化合物として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(試薬)7.8gとブチルアルコール(試薬)8.9g、トルエン(試薬)500gをセパラブルフラスコに入れディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後攪拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド37gを酢酸エチル100mlに溶解させた溶液を15分かけて滴下しその後室温で6時間反応した。反応後攪拌しながら50mlのイオン交換水を添加することで過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを析出させた後、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後反応液をろ過することで固形物を取り除き、70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った。溶剤層を再度ろ過することにより得られたろ液をエバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(収率約95%。室温で液状。GPC測定により分子量(スチレン換算)が約5500で、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが残存していないことを確認した。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定によりメタクリル基の存在、エステル結合の生成を確認した。主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が5500でラジカル重合性官能基であるメタクリロイル基を約3個有する化合物であった。以下化合物B13)
【0022】
化合物(B14)
酸価74mgKOH/gで分子量10000のアクリルオリゴマー(東亞合成(株)製、Arufon(アルフォン)UC−3000、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られるカルボキシ基を有するアクリル系オリゴマーで主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物)100g、ラジカル重合性官能基を有する化合物として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(試薬)5.2gとブチルアルコール(試薬)6.9g、トルエン(試薬)500gをセパラブルフラスコに入れディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後攪拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド28gを酢酸エチル100mlに溶解させた溶液を15分かけて滴下しその後室温で6時間反応した。反応後攪拌しながら50mlのイオン交換水を添加することで過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを析出させた後、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後反応液をろ過することで固形物を取り除き、70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った。溶剤層を再度ろ過することにより得られたろ液をエバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(収率約95%。室温で液状。GPC測定により分子量(スチレン換算)が約11000で、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが残存していないことを確認した。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定によりメタクリル基の存在、エステル結合の生成を確認した。主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が11000でラジカル重合性官能基であるメタクリロイル基を約4個有する化合物であった。以下化合物B14)
【0023】
[実施例1]
充填材(A)としては平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を、熱硬化性樹脂(B)としては、上記化合物B11、ポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200、マレイミド化グリシンとポリテトラメチレングリコールジオールの反応物、以下化合物B2)、シクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルとポリプロピレングリコールとの反応により得られたジアリルエステル化合物(分子量1000、ただし原料として用いたシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルを約15%含む、以下化合物B3)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、以下化合物B6)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下化合物B7)を、グリシジル基を有するシランカップリ
ング剤(信越化学工業(株)製、KBM−403E、以下化合物C1)、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−503P、以下化合物C2)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し脱泡することで液状樹脂組成物を得、以下の評価方法にて評価を行った結果を表1に示す。なお配合割合は重量部である。
【0024】
[実施例2〜7]
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に液状樹脂組成物を得た後、評価を行った。
なお実施例3では、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、室温において液体で1分子内にグリシジル基を2個有する化合物、以下化合物B5)、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンの付加物(キュアゾール2MZ−A:四国化成工業(株)製、以下化合物B8)、ジシアンジアミド(以下化合物B9)を、実施例4では上記化合物B12を、実施例5では上記化合物B13を、実施例6では1,4−ジメタノールシクロヘキサン/1,6−ヘキサンジオール(=3/1(重量比))と炭酸ジメチルから合成した分子量約900のポリカーボネートジオールにメタクリル酸メチルを反応することにより得られるポリカーボネートジメタクリレート化合物(宇部興産(株)製、UM−90(3/1)DM、以下化合物B4)を、実施例7では上記化合物B14を用いた。また、実施例4と実施例6では、化合物B2と化合物B3を使用しなかった。
【0025】
[比較例1〜3]
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に液状樹脂組成物を得た後、評価を行った。
なお比較例1では分子量2000のアクリルオリゴマー(東亞合成(株)製、Arufon(アルフォン)UP−1020、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られる官能基を有しないアクリル系オリゴマーで主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物、以下化合物X)を用いた。
【0026】
評価方法
・粘度:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、2.5rpmでの値を液状樹脂組成物作製直後に測定した。粘度の値が20±10Pa・Sのものを合格とした。粘度の単位はPa・Sである。
・打点試験:打点試験機(武蔵エンジニアリング(株)製、SHOTMASTER−300)にて22Gシングルノズル(内径0.47mm)を用い1,000点塗布(塗布量約0.2mg/1点)した。塗布後に打点を真上から観察し空打ち数および糸引き数(塗布時に糸切れが悪く打点から外に倒れてしまったもの)を測定した。空打ち数および糸引き数の合計が10以下の場合を○、3以下の場合を◎、10より多い場合を×とした。
・接着強度:表1に示す液状樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップを銀リングメッキした銅フレーム(インナーリード部のみ銀メッキされダイパッド部は銀メッキされていない)にマウントし、175℃ホットプレート上120秒間硬化した。硬化後および吸湿(85℃、85%、72時間)処理後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が30N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップである。
・弾性率:表1に示す液状樹脂組成物を用いて4×20×0.1mmのフィルム状の試験片を作製し(硬化条件150℃30分)、動的粘弾性測定機(DMA)にて引っ張りモードでの測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定温度:室温〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
250℃における貯蔵弾性率を弾性率とし300MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPaである。
【0027】
・耐リフロー性:表1に示す液状樹脂組成物を用い、下記の基板(リードフレーム)とシリコンチップを175℃120秒間硬化し接着した。ダイボンドしたリードフレームを封止材料(スミコンEME−G700L、住友ベークライト(株)製)を用い封止し半導体装置(パッケージ)とし、30℃、相対湿度85%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後のパッケージを超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。剥離面積の単位は%である。
パッケージ:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:銀リングメッキした銅フレーム
チップサイズ:6×6mm
液状樹脂組成物硬化条件:ホットプレート上175℃120秒
【0028】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の液状樹脂組成物は、弾性率が低く良好な高温での接着力を示すとともに塗布作業性に優れるので、本発明をダイアタッチ材または放熱部材用接着剤として使用することでこれまでにない高信頼性の半導体装置の提供が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子または放熱部材を支持体に接着する液状樹脂組成物であって、(A)充填材、(B)熱硬化性樹脂を含み、該熱硬化性樹脂(B)として主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物(B1)を含むことを特徴とする液状樹脂組成物。
【請求項2】
前記化合物(B1)が(メタ)アクリル酸エステル化合物をモノマー単位として含む共重合体で1分子内にラジカル重合性官能基を少なくとも1個有する化合物である請求項1に記載の液状樹脂組成物。
【請求項3】
前記化合物(B1)のラジカル重合性官能基が(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、マレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の液状樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物をダイアタッチ材料または放熱部材接着用材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2008−235501(P2008−235501A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71861(P2007−71861)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】