説明

炊飯釜等容器反転洗浄装置

【課題】
炊飯釜等の容器洗浄装置において、容器洗浄面の最短距離まで洗浄ノズルを挿入し、洗浄面を死角なく効率的に洗浄することを可能ならしめると共に装置の小型化を達成する。
【解決手段】
容器3の取手部3aが挿入される凹状部4を有する反転回動可能な容器支持体2と、ノズルアーム7a先端に取り付けられ、容器支持体2が反転したとき、該容器支持体に取り付けられた容器3内部を洗浄する回転式洗浄ノズル7を設けて、回転式洗浄ノズル7を容器支持体2の反転に伴って容器3内に移行して挿入し、回転しながら下向き姿勢の容器3内部を全面にわたり洗浄し得る如く構成した。なお、支持体2内への容器3の挿入、洗浄後の支持体内からの取り出しはガイドローラーを使用し、バッチ式としてもよく、搬送コンベアを用いて連続式又は往復式としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯釜等の容器を効率よく洗浄可能な洗浄装置に係り、特に容器を反転させて洗浄し、洗浄終了後、元の位置に正転させる容器反転洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
業務用の大量炊飯工場等では一般的に鉄又はアルミ鋳物製炊飯釜を大量に備え、炊飯しており、炊飯してご飯を取り出した後、全釜を洗浄し、再使用している。しかし、炊飯釜は空釜状態で重量が10kg程度となり洗浄水を放流する場合、手作業で裏返しを繰り返すことは頗る重労働を免れない。
【0003】
そのため、生産量の多い炊飯工場では手作業洗浄は事実上無理であり、コンベア等による洗浄装置が利用されているが、コンベア式洗浄装置では洗浄装置内への空釜の搭積方式としてスペースと高額投資が許される工場では洗浄装置の前後に各々空釜反転・正転装置を備える場合も見られるが、比較的小規模な工場ではコンベア式洗浄装置は設置してもコンベア上への空釜の搭積は手作業で行うことが通常であり、その場合、空釜の裏返し搭積と洗浄後の表返し取り出しはやはり、手作業となり、重労働となる。一方、小規模な工場では費用とスペースの関係でコンベア式洗浄装置すら導入できないところがあり、この場合には手作業での炊飯釜洗浄を強いられている。
【0004】
そこで、近時、洗浄室に上下方向に回動可能に配設され、炊飯釜の取手部を支持する取手支持部と、炊飯釜が取手支持部と共に回動する際に炊飯釜の取手部を案内する円弧状のガイド支持部とこれら両支持部で支持され、上面開口部が側方を向いた横向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄水を噴射する揺動可能な洗浄ノズルを備えた炊飯釜洗浄装置(例えば特許文献1参照)が提案されているが、該洗浄装置のように横向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄水を噴射する構成では洗浄水が横向き姿勢の炊飯釜の下部に位置する水平方向に面した1つの側板部の内側となる面のみを伝って流れ落ちてゆくことから、洗浄水が伝って流れ落ちてゆかない他の側板部の内側となる面では流れ落ちてゆく洗浄水と共に米粒等が流れ落ちることはなく、適切な洗浄が行われないことに鑑み、更にその改良として炊飯釜の取手部が挿入される凹状部を有する回動可能な炊飯釜支持体と、該支持体に設けられ、凹状部内への取手部の挿入を許容する許容状態、及び凹状部から取手部が抜け出るのを規制された下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄液を噴射する噴射手段を備えた洗浄装置が提案された。(例えば特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−328627号公報
【特許文献2】特開2010−207722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記提案に係る炊飯釜洗浄装置は、導入した炊飯釜を反転し、下向きの姿勢で揺動中の炊飯釜内に向かって洗浄液を噴射し洗浄するもので、従来の構成に比べて効率的な洗浄が可能であるが、洗浄ノズルが洗浄室の下部に固定して配設されているため炊飯釜の洗浄面がノズルから遠くなって比較的大容量のポンプが必要となり、また、ノズルが固定されているため洗浄面に死角ができ、これを解消するためノズル又は容器を揺動させる方法もあるが、そのための動力が必要となる。また、その結果、容器外へ洗浄水が噴射・拡散することになり、そのためのボックス型外板仮扉等の防滴装置が必要となるなどの問題がある。
【0007】
本発明は上記の如き実状に対処し、更にその改良を図るべく、特に炊飯釜等の容器洗浄装置において容器内部の容器洗浄面の最短位置まで洗浄ノズルを挿入すること、洗浄ノズルを回転させて洗浄面全体を洗浄することに着目し、容器の洗浄面全体の洗浄死角をなくして効率よく洗浄を行うと共にポンプ容量の小型化を図り、かつ容器内部でノズルを噴射させて外部への拡散をなくして防滴装置を不要とし、上記ポンプの小型化と相俟って装置の小型化と低価格化を達成することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、上記目的を達成する本発明容器反転洗浄装置は、 容器の取手部が挿入される凹状部を有する反転回動可能な容器支持体と、ノズルアーム先端に取り付けられ、容器支持体が反転したとき、該容器支持体に取り付けられた容器内部を洗浄する回転式洗浄ノズルを有してなり、回転式洗浄ノズルは容器支持体の反転に伴って容器内に挿入されて回転しながら下向き姿勢の容器内部を全面にわたり洗浄し得る如く構成されていることを基本的特徴とする。
【0009】
ここで、容器支持体内への容器の挿入、ならびに洗浄後、支持体内からの容器の取り出しはガイドローラーを利用してバッチ式としてもよく、また搬送コンベアを利用して連続式又は往復型としてもよい。
【0010】
請求項2は上記バッチ式であり、 容器支持体内への挿入、該支持体内からの洗浄後の容器の取り出しをガイドローラーを利用して行い、容器支持体反転時、ノズルアームが容器支持体に取り付けられているガイドレールに沿って回動し、ノズルアーム先端に取り付けられている回転式洗浄ノズルを容器内に挿入し、下向き姿勢の容器内部全面を洗浄する如く構成せしめたことを特徴とする。
【0011】
一方、請求項3は搬送コンベア利用の場合であり、容器支持体への容器の挿入、該支持体からの洗浄容器の取り出しを搬送コンベアを利用して行い、容器支持体反転時、ノズルアームが水圧シリンダーにより上昇して回転式洗浄ノズルを容器内に挿入して下向き姿勢の容器内部全面を洗浄する如く構成せしめたことを特徴とする。なお、回転式洗浄ノズルはポンプ水圧により、例えば洗浄水の噴出力によりその反動で自動的に回転する水圧回転式ノズルとすることが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る洗浄装置の1例を示す外観正面図である。
【図2】上記洗浄装置の左側面図である。
【図3】同じく上記洗浄装置の右側面図である。
【図4】(イ)〜(ニ)は上記洗浄装置による容器の洗浄の態様を段階的に示したものであり、(イ)は容器挿入時、(ロ)は容器反転ならびに回転式ノズル挿入時、(ハ)は洗浄時、(ニ)は洗浄後の容器取り出し時の各態様を示す。
【図5】容器搬送コンベアを用いた他の洗浄装置例を示す外観正面図である。
【図6】上記装置による洗浄時の態様を示す図である。
【図7】上記図5の装置において洗浄修了後の状態を示す図である。
【図8】上記洗浄後の容器取り出し態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、更に添付図面により本発明の具体的態様を説明する。図1,図2,図3は本発明洗浄装置の1例としてバッチ式を示す正面図,左側面図,右側面図であり、図において1は左右の枠体、2はこれら両枠体1間の上部においてモータMにより反転回動可能に軸支されている容器支持体であり、該支持体2の対向する両内面には洗浄する炊飯釜等の容器3の取手部3aが挿入される凹状部4が設けられて容器3の取手部3aを挿入して容器3を支持し洗浄が行われるようになっている。なお、枠体1には支持体2の反転回動とこれに伴う容器3の反転のための一連の運転、停止用のスイッチ5が取り付けられており、また、容器支持体2の一側には図3に示す如く容器3を支持体2内に挿入するガイドローラー6が接続されている。
【0014】
更に上記容器支持体2には容器内を洗浄するための洗浄ノズルとして水圧回転式洗浄ノズルを先端にもつノズルアーム7が近接して設けられ、支持体外面側に設けられたノズルアームガイドレール8に沿って所定の回動を行い、洗浄ノズルを容器内に挿入し得る如く構成されている。
【0015】
なお、左右両枠体1間の支持体下部には洗浄水を受ける受水槽9が設けられ、更にその下部に洗浄用ポンプPと給水弁10,オーバーフロー排水栓11,蒸気弁12等をもつ給水タンク13が配設され、給水タンク上部にはゴミ受け籠14が設けられている。
【0016】
図4(イ),(ロ),(ハ),(ニ)は上記洗浄装置を用いて炊飯釜などの容器3を洗浄する態様を順序を追って示しており、先ず(イ)においては炊飯釜等の洗浄する容器3がガイドローラー6を通じて枠体1に支持された容器支持体2内に挿入され、セットされると運転スイッチが入れられる。
【0017】
この状態で(ロ)に示されるように次にモータMにより容器支持体2が反転回動され、これと共に容器3が反転されるとこれに伴って反転する支持体2に取り付けられているガイドレール6によりノズルアーム7aを介して先端に取り付けられた回転式ノズル7が容器内に挿入される。
【0018】
このようにして、回転式ノズル7が容器内に挿入されると、挿入されたノズル7には給水タンク13より洗浄ポンプPを介し、適宜配管を経て洗浄水が給水され、(ハ)に示される如くノズル7がポンプ水圧により回転を行いながら容器内部を隅々まで洗浄する。
【0019】
かくして洗浄が終了すると反転装置が正転して元の位置に戻り運転を終了し洗浄された容器3は(ニ)に示す如く随時、取り出される。ここで特に洗浄ノズル7が容器内においてポンプ水圧により回転しながら隅々まで洗浄できることは本発明装置の重要な特徴である。
【0020】
図5〜図8は上記洗浄装置が洗浄する容器3をガイドローラー6を通じて挿入するバッチ式であるのに対し、回動する一対のロール(15a)(15b)間に亘設された容器搬送用コンベア15を介し洗浄装置内に容器を搬送し、支持体2及び容器押さえ16と容器押さえシリンダー17を有して、これらをモータMにより反転,正転させて洗浄後、容器を後方へ送る一方向連続型又は挿入側に戻す往復型としたものであり、容器の反転,洗浄は前述した装置と同様である。即ち、運転スイッチを入れることにより搬送コンベアが定位置まで容器を搬送すると、反転装置が逆転し、これに随伴して洗浄ノズルのノズルアーム18が水圧シリンダー19により上昇し、先端の回転ノズル7を回転させながら容器内部に挿入し、容器内部の隅々まで洗浄する。そして洗浄が終わると、反転装置が正転し、元の位置に戻って容器搬送コンベア15が可動して洗浄された容器を後方コンベア15′側へ送り出す。なお、搬送コンベアを正逆両用のコンベアとし、後方でなく、元の方向へ送り出すようにしてもよい。
【0021】
かくして以上のようにして炊飯釜などの容器を反転させ、下向き姿勢として該容器の内面を回転式洗浄ノズルを回転させながら隅々まで洗浄し、洗浄効果を向上することができる。
【符号の説明】
【0022】
1:枠体
2:容器支持体
3:容器
3a:容器取手部
4:凹状部
5:運転,停止スイッチ
6:容器挿入ガイドローラー
7:回転式洗浄ノズル
7a:洗浄ノズルアーム
8:ノズルアームガイドレール
9:受水槽
10:給水弁
11:オーバーフロー排水栓
12:蒸気弁
13:給水タンク
14:ゴミ受け籠
15:搬送コンベア
16:容器押さえ
17:容器押さえシリンダー
18:ノズルアーム
19:水圧シリンダー
M:支持体回動用モータ
P:洗浄ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の取手部が挿入される凹状部を有する反転回動可能な容器支持体と、ノズルアーム先端に取り付けられ、容器支持体が反転したとき、該容器支持体に取り付けられた容器内部を洗浄する回転式洗浄ノズルを有してなり、回転式洗浄ノズルは容器支持体の反転に伴って反転された容器内に挿入され、回転しながら下向き姿勢の容器内部を全面にわたり洗浄し得る如く構成されていることを特徴とする炊飯釜等容器反転洗浄装置。
【請求項2】
容器支持体内への挿入、該支持体内からの洗浄後の容器の取り出しをガイドローラーーを利用して行い、容器支持体反転時、ノズルアームが容器支持体に取り付けられているガイドレールに沿って回動し、ノズルアーム先端に取り付けられている回転式洗浄ノズルを容器内に挿入し、下向き姿勢の容器内部全面を洗浄する請求項1記載の炊飯釜等容器反転洗浄装置。
【請求項3】
容器支持体への容器の挿入、該支持体からの洗浄容器の取り出しを搬送コンベアを利用して行い、容器支持体反転時、ノズルアームが水圧シリンダーにより上昇して回転式洗浄ノズルを容器内に挿入し、下向き姿勢の容器内部全面を洗浄する請求項1記載の炊飯釜等容器反転洗浄装置。
【請求項4】
回転式洗浄ノズルがポンプ水圧により回転する水圧回転式ノズルである請求項1,2または3記載の炊飯釜等反転洗浄装置る

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−179541(P2012−179541A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43645(P2011−43645)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(500124622)東洋物産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】