説明

熱処理システム

【課題】
作業者を必要とすることなく、連続稼動できる熱処理システムSを提供する。
【解決手段】
貝殻を保存する保存庫1と、当該保存庫1に保存した貝殻を熱処理する熱処理機2とを具備する熱処理システムSにおいて、前記保存庫1に保存した貝殻を当該保存庫1から前記熱処理機2へ運搬して投入する投入装置3を備え、当該投入装置3が、前記熱処理機2に投入する前記貝殻の投入量を、前記熱処理機2の処理能力に合わせて調整可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、貝殻などを熱処理する熱処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、貝殻や生ごみなどを熱処理して堆肥化する熱処理機が開発されている。
【0003】
例えば、作業者が熱処理機の投入口から貝殻などの被処理物を投入し、ヒータ等の熱源により加熱して乾燥させる。
【0004】
(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平10−156319号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の熱処理機は、当該熱処理機の処理能力に合わせて作業者が貝殻等を逐次投入しなければならず、当該熱処理機を稼動させている間、作業者が常駐しなければならないという不具合が生じていた。
【0006】
一方、当該熱処理機は、24時間連続稼動したいという要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような不具合を払拭するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、被処理物を保存する保存庫と、当該保存庫に保存した被処理物を熱処理する熱処理機とを具備する熱処理システムにおいて、前記保存庫に保存した被処理物を当該保存庫から前記熱処理機へ運搬して投入する投入装置を備え、当該投入装置が、前記熱処理機に投入する前記被処理物の投入量を、前記熱処理機の処理能力に合わせて調整可能であることを特徴とする。
【0008】
以上の構成を採用することにより、作業者が前記熱処理機の処理の様子を監視して逐次熱処理機に被処理物を投入しなければならない煩わしさや手間を払拭することができ、作業者を必要とすることなく、連続稼動できる熱処理システムを実現できる。
【0009】
更に、例えば、熱処理機を処理能力の異なる他の熱処理機に変えた場合であっても、変更後の熱処理機の処理能力に応じた投入を行なえるため、汎用性の高いシステムを構築することができる。
【0010】
また、異常が発生した際に、前記被処理物の投入を停止する停止装置を備えていることにより、当該熱処理システムに作業者がついていなくても、安心して連続稼動させることができる。
【0011】
更に、簡易な構成にて前記被処理物の投入量を、前記熱処理機の処理能力に合わせて調整可能に投入するためには、前記投入装置が、一端を前記保存庫に設けた前記被処理物の送出口に連結し、他端を前記熱処理機に設けた前記被処理物の受入口に連結したスクリュコンベアを具備し、当該スクリュコンベアの回転速度を調整して、前記熱処理機の処理能力に合わせた投入量の被処理物を前記保存庫から前記熱処理機に送り出すことが望ましい。
【0012】
加えて、前記保存庫の底壁近傍に前記被処理物の送出口を設けると共に、当該被処理物の送出口に連結したスクリュコンベアの上部を覆う位置に、傾斜面を有する被処理物受け部を設けていることにより、前記保存庫内の被処理物の荷重により、前記スクリュコンベアが詰まったり破損したりする不具合を防止することが可能となる。
【0013】
また、前記熱処理機が、前記被処理物を送り出すスクリュコンベアと、当該スクリュコンベアを熱する熱源とを有すると共に、当該スクリュコンベアを支持部材にて支持し、当該スクリュコンベアが、熱処理機の熱源に接触することを防止することで、熱処理機内のスクリュコンベアが熱疲労により膨張などした場合にも前記スクリュコンベアと熱源との適切な位置関係を担保することができる。
【0014】
更に、前記熱処理機にて処理した被処理物を貯蔵する貯蔵槽を備え、当該貯蔵槽内に貯蔵した被処理物を所定間隔で均す均し手段を具備することにより、貯蔵槽に隙間なく被処理物を貯蔵できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業者が前記熱処理機の処理の様子を監視して逐次熱処理機に被処理物を投入しなければならない煩わしさや手間を払拭することができ、作業者を必要とすることなく、連続稼動できる熱処理システムを実現できる。
【0016】
更に、例えば、熱処理機を処理能力の異なる他の熱処理機に変えた場合であっても、変更後の熱処理機の処理能力に応じた投入を行なえるため、汎用性の高いシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0018】
本発明の熱処理システムSは、図1、図2に示すように、被処理物である貝殻を保存する保存庫1と、当該保存庫1に保存した貝殻を熱処理する熱処理機2と、前記保存庫1に保存した被処理物を当該保存庫1から前記熱処理機2へ運搬して投入する投入装置3とを具備する熱処理システムSであり、前記貝殻を熱処理して堆肥化する処理を、自動連続処理及び自動制御可能な構成を有している。
【0019】
具体的には、本実施形態の熱処理システムSは、前記投入装置3が、前記保存庫1に保存した貝殻を前記熱処理機2に投入する投入量を調整可能な投入量調整器(図示しない)を備えており、当該投入装置3が、前記熱処理機2に投入する前記貝殻の投入量を、前記熱処理機2の処理能力に合わせて調整可能な構成としている。
【0020】
更に、前記熱処理機2で処理された貝殻は、送り出し装置4を介して当該処理済みの貝殻を貯蔵する貯蔵槽5に自動的に送られる。
【0021】
加えて、本実施形態の熱処理システムSは、熱処理を行った際に発生する排気を脱臭する脱臭装置6を備えている。
【0022】
また、当該熱処理システムSに異常が発生した際には、貝殻の投入等を停止する停止装置(図示しない)を備えており、異常時には、自動的に処理を停止すると共に当該異常を外部に知らせるシステムを採用している。
【0023】
以下、各構成について詳述する。
【0024】
保存庫1は、内部に貝殻を収容する収容空間を形成した保存庫本体11と、当該保存庫本体11に取り付けた貝殻受け部12と、当該保存庫本体11に貝殻を入れる貝殻リフタ13とを具備している。
【0025】
尚、当該保存庫1は、保存庫本体11の底部を支持する支持体113を用いて自立可能に構成している。
【0026】
保存庫本体11は、前記貝殻リフタ13にて運搬して来た貝殻を投入する受入口11aを上部に開口すると共に、前記貝殻を外部に送出する送出口11bを下部、つまり、前記保存庫1の底壁1Aに開口した容器体であり、図3に示すように、その下部を漏斗型として前記受入口11aより小口な前記送出口11bに向けて漸次幅狭となるように傾斜させている。
【0027】
尚、保存庫本体11の内部は、覗き窓111から監視可能に構成している。また、前記受入口11aは、開閉可能な蓋体112を備えている。
【0028】
貝殻受け部12は、図1、図3に示すように、前記保存庫本体11の底壁1A近傍、つまり保存庫1に設けた貝殻の送出口11bに連結した後述する投入スクリュコンベア311の送出開始端部311aの上部を覆う位置に設けており、両端を前記保存庫本体11の対向する内面に溶接して固設している。また、図1に示すように、後述する水平スクリュコンベア311の送り出し方向を長手方向として保存庫本体11内の対向する内面の間に横架した状態で取り付けている。
【0029】
当該貝殻受け部12は、上側に向けて突出する山形形状を有しており、上面で前記受入口11aから投入された貝殻の荷重を受けた後、前記送出口11bから貝殻を送出可能なように傾斜させた傾斜面121を有している。
【0030】
貝殻リフタ13は、図6、図7に示すように、前記保存庫本体11に取り付けた左右一対のチェーン131と、当該チェーン131により昇降可能な昇降部材132と、当該昇降部材132に対して着脱可能な運搬具133とを備えており、貝殻を積み込んだ前記運搬具133を前記昇降部材132に搭載し、当該昇降部材132をチェーン131により上昇させる。そして、前記保存庫1の受入口11aの近傍で前記運搬具133を保存庫1側に回転させることにより当該運搬具133内の貝殻を前記保存庫1の受入口11aから投入する。
【0031】
チェーン131は、地面から前記保存庫本体11に設けた受入口11aの近傍まで延びており、駆動部134にて駆動することにより前記昇降部材132を用いて前記運搬具133を地面から受入口11aまで昇降させる機能を有する。
【0032】
詳述すると、地面から鉛直に延びる第一チェーン1311と、当該第一チェーン1311より前記保存庫1側に位置する第二チェーン1312とを具備している。第一チェーン1311は、直線状のチェーン1311であり、作業者側を覆うチェーンカバー1311aを取り付けている。第二チェーン1312は、前記第一チェーン1311と平行に延びるチェーン1312であり、前記第一チェーン1311より僅かに短寸に設定している。そして、その上部1312aを保存庫1側に向けて水平方向に湾曲している。
【0033】
昇降部材132は、昇降に伴って回動する左右一対の回動要素1321と、当該回動要素1321と連結した左右一対の支持要素1322と、当該支持要素1322と連結した左右一対の台座要素1323とを具備している。
【0034】
回動要素1321は、一端1321aを前記第二チェーン1312に対して回動可能に連結すると共に、他端1321bを前記支持要素1322に連結軸1324を介して回動可能に連結しており、第二チェーン1312の昇降に伴って昇降動作を行なう構成を有している。更に、前記運搬具133の保存庫側面と当接することにより、当該運搬具133が前記保存庫1側に移動しないように規制する規制片1321cを具備している。
【0035】
支持要素1322は、前記第一チェーン1311に連結した板材であり、当該第一チェーン1311の昇降に伴って昇降動作を行なう構成を有している。
【0036】
台座要素1323は、前記回動要素1321の他端1321bに対して一定の角度(本実施の形態においては112°)を維持した状態で固定すると共に、前記支持要素1322に対して前記連結軸1324を介して回動可能に連結している。尚、地面付近に位置する台座要素1323は、水平姿勢を維持する。
【0037】
また、当該台座要素1323は、前記運搬具133を着脱可能に取り付ける昇降部材側取付部1323bを内側に向けて突設している。尚、台座要素1323に運搬具133を取り付けた状態においては、前記運搬具133は、当該台座要素1323に固定されている。
【0038】
運搬具133は、図6、図7に示すように、上部を開口して内部に収納空間を形成した容器部1331と、当該容器部1331の底に取り付けた車輪1332と、作業者が握持する持ち手部1333とを有する運搬用台車である。また、その側面には、前記昇降部材132に取り付ける一対の運搬具側取付部1334を突設しており、当該運搬具側取付部1334を前記昇降部材側取付部1323bの上に当接させてネジ止めしておくことにより、前記昇降部材132に着脱可能な状態で固定できる構成を有している。
【0039】
熱処理機2は、図1、図8に示すように、内側に保温層212を形成した熱処理機本体21と、当該熱処理機本体21内に設けた熱源となる電熱ヒータ22と、当該電熱ヒータ22の近傍に設けた熱処理スクリュコンベア23と、当該熱処理スクリュコンベア23を支持する支持部材24と、前記電熱ヒータ22の温度を調節する温度調節器(図示しない)とを具備し、当該熱処理スクリュコンベア23内を流れる貝殻を乾燥させて堆肥化する機能を有している。尚、本実施の形態の熱処理機2は、1時間に約200kgの貝殻を処理可能な性能を有している。
【0040】
熱処理機本体21は、前記保温層212などを覆うケーシング211を備えており、当該ケーシング211の上部に前記投入装置3にて送られてきた貝殻を受ける漏斗型の受入口21aを設けると共に、当該受入口21aより下方位置に当該熱処理機2での処理が終わった貝殻を前記貯蔵庫に向けて送出する送出口21bを前記ケーシング211の近傍に設けている。
【0041】
電熱ヒータ22は、前記熱処理機本体21内に前記保温層212に支持された状態で、等間隔をもって複数配段した上段電熱ヒータ221と、当該上段電熱ヒータ221の下に当該上段電熱ヒータ221と平行に複数配段した下段電熱ヒータ222であり、前記温度調節器を用いて設定した温度(例えば、200℃から600℃)に前記熱処理スクリュコンベア23を熱する機能を有している。
【0042】
熱処理スクリュコンベア23は、前記受入口21aから投入された貝殻を導入して送り出す上段スクリュコンベア231と、当該上段スクリュコンベア231から流れてきた貝殻を受けて前記排出口21bへと送り出す下段スクリュコンベア232とからなる。
【0043】
上段スクリュコンベア231は、前記上段電熱ヒータ221の上部に位置しており、送出開始端部231aを前記受入口21aに連結すると共に、連結管233を介して送出終端部231bを下段スクリュコンベア232に連結している。一方、下段スクリュコンベア232は、前記下段電熱ヒータ222の上部に位置しており、前記連結管233を介して送出開始端部232aを上段スクリュコンベア231に連結すると共に、送出終端部232bを前記送出口21bに連結している。
【0044】
具体的には、図1に示すように、図示しない駆動部にて回転可能なスクリュー軸2311、2321と、当該スクリュー軸2311、2321に等間隔にて取り付けた複数枚のスクリュー羽根2312、2322と、当該スクリュー羽根2312、2322を覆うケース体2313、2323とを具備しており、回転に伴って順次送り方向(受入口21aから送出口21b)に送る機能を有している。
【0045】
尚、図8(c)に示すように、前記電熱ヒータ22からの熱伝達を効率よく行うために、前記電熱ヒータ22と当該スクリュコンベアとの離間幅Wは、10mm以下に設定している。
【0046】
支持部材24は、前記電熱ヒータ22と前記熱処理スクリュコンベア23とを前記離間幅Wを維持した状態で支持するものである。具体的には、図8に示すように、熱処理スクリュコンベア23の送り方向と直交する方向に沿って横架する状態で前記熱処理機本体21の内面に固設した横架材24aと、当該横架材24aの上面に取り付けた受け部24bとを具備している。そして、前記受け部24bの上面で、前記上下段スクリュコンベア231、232の下部を支持し、前記上下段スクリュコンベア231、232が電熱ヒータ22に接触することを防止している。尚、当該上下段スクリュコンベア231、232の熱膨張に合わせた遊びを確保するために上下段スクリュコンベア231、232と支持部材24とを固定しない状態で支持している。
【0047】
温度調節器は、前記電熱ヒータ22の温度を200℃から600℃の間で調整可能に設定する機能を有するものであり、作業者は図示しない操作盤を用いて被処理物の種類等に合わせた温度設定を行なう。
【0048】
投入装置3は、前記保存庫1の送出口11bから送り出される貝殻を受けて、前記熱処理機2へと貝殻を運搬して投入するための装置であり、送出開始端部311aを前記保存庫1に設けた前記貝殻の送出口11bに連結し、送出終端部312bを前記熱処理機2に設けた前記貝殻の受入口21aに連結した投入スクリュコンベア31と、当該投入スクリュコンベア31により送り出される貝殻の量、つまり、前記熱処理機2への投入量を調整可能な投入量調整器(図示しない)とを備えている。
【0049】
尚、当該投入装置3は、前記熱処理機2や保存庫1に対して着脱可能に連結しているため、他の熱処理機2や保存庫1と連結することも可能である。また、支持部材を用いて自立可能に構成している。
【0050】
投入スクリュコンベア31は、本実施の形態においては、水平スクリュコンベア311と、当該水平スクリュコンベア311と連結した傾斜スクリュコンベア312とにより構成している。
【0051】
水平スクリュコンベア311は、図1に示すように、前記保存庫1の下方位置に水平姿勢にて設置するものであり、当該水平スクリュコンベア311の送出開始端部311aを前記保存庫1の送出口11bと連結すると共に、送出終端部311bを前記傾斜スクリュコンベア312の送出開始端部312aと連結するスクリュコンベアであり、前記保存庫1内の貝殻を前記熱処理機2側に送り出す機能を有している。尚、当該保存庫1側に位置する送出開始端部311aの上部には、前記貝殻受け部12が設けられている。
【0052】
具体的には、図4に示すように、図示しない駆動部にて回転可能なスクリュー軸3111と、当該スクリュー軸3111に等間隔にて取り付けた複数枚のスクリュー羽根3112と、当該スクリュー羽根3112を覆うケース体3113とを具備しており、回転に伴って順次送り方向(保存庫1側から熱処理機2側)に送る機能を有している。
【0053】
傾斜スクリュコンベア312は、図1に示すように、前記保存庫1の下方位置から前記熱処理機2の上方位置に向けて傾斜する傾斜姿勢にて設置するものであり、当該傾斜スクリュコンベア312の送出開始端部312aを前記水平スクリュコンベア311の送出終端部311bと連結すると共に、送出終端部312bを前記熱処理機2の受入口21aと連結するスクリュコンベアであり、前記水平スクリュコンベア311にて送られてきた前記保存庫1内の貝殻を前記熱処理機2の受入口21aに送り出す機能を有している。
【0054】
具体的には、図5に示すように、図示しない駆動部にて回転可能なスクリュー軸3121と、当該スクリュー軸3121に等間隔にて取り付けた複数枚のスクリュー羽根3122と、当該スクリュー羽根3122を覆うケース体3123とを具備しており、回転に伴って順次送り方向(保存庫1側から熱処理機2側)に送る機能を有している。
【0055】
投入量調整器は、前記投入スクリュコンベア31の回転速度を調整可能な機能を有しており、図示しない操作盤を操作することにより、1分間に2回転から12回転の間の回転速度を設定可能としている。本実施の形態においては、前記熱処理機2の処理能力に合わせた投入量の貝殻を前記保存庫1から前記熱処理機2に送り出すために、1分間に3回転させる設定を行ない、1分間に約1m3の貝殻を保存庫1から運搬して熱処理機2に投入している。
【0056】
尚、回転速度の調整範囲や投入量は、上記に限られないのは勿論である。
【0057】
送り出し装置4は、図2に示すように、送出開始端部4aを前記熱処理機2の送出口21bに、送出終端部4bを後述する貯蔵槽5の受入口に連結した送出スクリュコンベアであり、前記熱処理機2にて処理が終わった貝殻を前記貯蔵槽5に送り出す機能を有している。
【0058】
貯蔵槽5は、内部に収納空間を形成した貯蔵槽本体51と、当該貯蔵槽本体51内に堆積した貝殻を均す均し板52とを具備している。
【0059】
貯蔵槽本体51は、前記熱処理機2から送られてきた貝殻を受け入れる受入口を上部に開口すると共に、当該貯蔵槽本体51内の貝殻を外部に送り出す送出口とを開口している。
【0060】
均し板52は、均し手段を構成しており図示しないタイマにより設定した時間間隔で、当該均し板52を堆積面に沿って往復動させることにより、前記貯蔵槽本体51に隙間なく貝殻を貯蔵できるように構成している。
【0061】
脱臭装置6は、前記熱処理機2からの排気を収容する収容空間を有する脱臭装置本体61と、当該脱臭装置本体61内と前記熱処理機2とを連結する連結管62と、当該連結管62を通じて脱臭装置本体61内に前記熱処理機2からの排気を取り込む吸気ファン63と、当該吸気ファン63にて取り込んだ排気を高温処理して脱臭するための熱源ヒータ(図示しない)と、当該熱源ヒータにて高温処理を終えた排気を大気放出するための排気ファン64と、当該排気ファン64にて排気した排気を外部へ送り出す排気管65とを備えている。
【0062】
尚、本実施形態の熱源ヒータは、脱臭装置本体61内の温度を約800℃から900℃まで上昇可能なヒータであり、ダイオキシン対策機能を備えている。
【0063】
停止装置は、図示しないCPU、内部メモリ、外部記憶装置、入出力インタフェース等を具備している。そして、この停止装置は、その内部メモリに記憶されたプログラムにしたがって前記CPUや周辺機器を稼動し、図示しない異常検知手段と、異常報知手段と、停止制御手段としての機能を発揮する。
【0064】
異常検知手段は、前記投入装置3や熱処理機2や脱臭装置6などに取り付けた検知センサを用いて、貝殻の詰りや温度の異常上昇などを検知する機能を有しており、異常を検知した際に、前記異常報知手段及び停止制御手段に異常発生信号を送信する。
【0065】
異常報知手段は、前記異常検知手段にて検知した異常を外部に報知する報知手段であり、前記異常検知手段からの異常信号を受信すると、当該異常の発生箇所、異常の発生時刻などを含む異常情報を予め定めた外部センターに通信手段を用いてメールや電話等にて報知する。
【0066】
停止制御手段は、異常が発生した際に当該熱処理システムSを停止する機能を有するものであり、前記異常報知手段から異常信号を受信すると、投入装置3や熱処理機2等の運転を停止する信号を送信する。本実施の形態においては、一箇所でも異常が検知した場合には、当該熱処理システムSに関連する全ての装置の稼動を停止する。
【0067】
尚、手動により作業者が図示しない操作盤を操作して当該熱処理システムSの稼動を停止することもできる。
【0068】
次に、当該熱処理システムSを用いて、貝殻を熱処理する工程について説明する。
【0069】
まず、前記貝殻リフタ13を用いて、所望の量の貝殻を前記保存庫1内に投入しておく。具体的には、前記運搬具133にて貝殻を運搬し、当該貝殻を搭載した運搬具133を前記昇降部材132に取り付けて固定する。そして、図示しない操作盤を用いて前記昇降部材132を上昇させるスイッチを押下にすることにより、前記第一チェーン1311と第二チェーン1312が回動して昇降部材132が運搬具133ごと上昇する。前記昇降部材132が前記保存庫1の受入口11aの近傍まで到達すると、前記回動要素1321の一端1321aは、第二チェーン1312に沿って保存庫1側に進む一方、当該回動要素1321の他端1321bと連結した前記支持要素1322は、第一チェーン1311に沿って更に上昇し上昇リミットで停止する。これにより、当該支持要素1322に連結した台座要素1323に取り付けた運搬具133は、図6に示すように、容器部1331の開口を前記保存庫1の受入口11aに向けるように回転し、搭載した貝殻を保存庫1内に投入する。
【0070】
そして、当該昇降部材132が上昇リミットまで上昇し一定時間経過すると、自動的に前記昇降部材132は下降してくる。
【0071】
以上の一連の作業を、保存庫1内に所望の量の貝殻が溜まるまで繰り返す。
【0072】
次に、保存庫1内の貝殻を連続して自動的に処理する工程について説明する。
【0073】
事前に、前記熱処理機2の処理能力や被処理物の種類に合わせた投入量を設定するために、前記投入量調整器を用いて前記投入スクリュコンベア31の回転速度を設定する。更に、前記熱処理機2の処理能力や被処理物の種類や投入量に合わせて、前記温度調節器を用いて熱処理機2の温度設定を行う。
【0074】
そして、図示しない操作盤に設けた開始スイッチを押下することを契機として、熱処理機2の上段スクリュコンベア231、下段スクリュコンベア232、脱臭装置6の熱源ヒータ、熱処理機2の上段電熱ヒータ221、下段電熱ヒータ222の順に一定間隔を空けながら順次稼動を開始する。前記上段電熱ヒータ221、下段電熱ヒータ222を稼動した後、当該上段電熱ヒータ221、下段電熱ヒータ222の温度が、前記温度調整器にて設定した温度まで上昇しているか自動的に検知し、設定温度以上に上昇している場合には、脱臭装置6の排気ファン64、吸気ファン63の順に稼動する。その後、脱臭装置6内の温度が、所定の温度以上になったことを検知すると、前記投入装置3が稼動を開始する。
【0075】
尚、前記送り出し装置4及び貯蔵槽5の均し板52も順に稼動する。
【0076】
前記投入装置3が稼動を開始すると、前記投入スクリュコンベア31により、保存庫1の送出口11bから送出されてくる貝殻を自動的に運搬し、熱処理機2の処理能力に合わせた一定量の貝殻を当該熱処理機2の受入口21aから投入していく。
【0077】
そして、当該貝殻が前記熱処理機2内の熱処理スクリュコンベア23を通過することにより、電熱ヒータ22により熱処理される。処理が終わった貝殻は、熱処理機2の送出口21bから送り出され、前記送り出し装置4のスクリュコンベアにより自動的に貯蔵槽5へと運ばれる。
【0078】
貯蔵槽5の中では、均し板52がタイマにより作動しており、一定間隔で堆積面を均していく。
【0079】
一方、熱処理機2から排出される排気は、前記脱臭装置6へと送られて加熱処理された後、大気放出される。
【0080】
以上の工程は、自動的に繰り返され、異常が発生した際には、前記停止装置により異常を検知して当該熱処理システムSの稼動を停止すると共に、外部へと当該異常を報知する。
【0081】
以上の構成を有する熱処理システムSとすることにより、作業者が前記熱処理機2の処理の様子を監視して逐次熱処理機2に被処理物を投入しなければならない煩わしさや手間を払拭することができ、作業者を必要とすることなく、例えば、24時間などの連続稼動できる熱処理システムSを実現できる。
【0082】
更に、例えば、熱処理機2を処理能力の異なる他の熱処理機2に変えた場合であっても、変更後の熱処理機2の処理能力に応じた投入を行なえるため、汎用性の高いシステムを構築することができる。
【0083】
また、異常が発生した際に、前記被処理物の投入を停止する停止装置を備えていることにより、当該熱処理システムSに作業者がついていなくても、安心して連続稼動させることができる。
【0084】
更に、前記投入装置3が、送出開始端部311aを前記保存庫1に設けた前記貝殻の送出口11bに連結し、送出終端部312bを前記熱処理機2に設けた前記貝殻の受入口21aに連結した投入スクリュコンベア31を具備し、当該投入スクリュコンベア31の回転速度を調整して、前記熱処理機2の処理能力に合わせた投入量の貝殻を前記保存庫1から前記熱処理機2に送り出すことにより、簡易な構成にて前記貝殻の投入量を、前記熱処理機2の処理能力に合わせて調整できる。
【0085】
加えて、前記保存庫1の底壁1A近傍に前記被処理物の送出口11bを設けると共に、当該被処理物の送出口11bに連結したスクリュコンベアの貝殻の受入口となる送出開始端部311aの上部を覆う位置に、傾斜面121を有する貝殻受け部12を設けていることにより、前記保存庫1内の貝殻の荷重により、前記投入スクリュコンベア3が詰まったり破損したりする不具合を防止することが可能となる。
【0086】
また、前記熱処理機2が、前記貝殻を送り出す上下段スクリュコンベア231、232と、当該上下段スクリュコンベア231、232を熱する熱源となる上下段電熱ヒータ221、222を有すると共に、当該上下段スクリュコンベア231、232を支持部材24にて支持し、当該上下段スクリュコンベア231、232が、熱処理機2の上下段電熱ヒータ221、222に接触することを防止することで、熱処理機2内の上下段スクリュコンベア231、232が熱疲労により膨張などした場合にも前記上下段スクリュコンベア231、232と上下段電熱ヒータ221、222との適切な位置関係を担保することができる。
【0087】
更に、前記熱処理機2にて処理した貝殻を貯蔵する貯蔵槽5を備え、当該貯蔵槽5内に貯蔵した貝殻を所定間隔で均す均し手段を具備することにより、貯蔵槽5に隙間なく貝殻を貯蔵できる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0089】
例えば、本実施形態においては、被処理物として貝殻を例に挙げたが、生ごみなどにも適用可能である。
【0090】
更に、本実施形態においては、投入スクリュコンベア31により投入装置3を構成しているが、ベルトコンベアなど他の構成を採用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態を示す熱処理システムSの全体正面図。
【図2】同実施形態の熱処理システムSを示す全体平面図。
【図3】同実施形態の保存庫1を示す側面図。
【図4】同実施形態の水平スクリュコンベア311を示す正面図。
【図5】同実施形態の傾斜スクリュコンベア312を示す正面図。
【図6】同実施形態の貝殻リフタ13を示す正面図。
【図7】同実施形態の貝殻リフタ13を示す側面図。
【図8】同実施形態の熱処理機2を示す概略説明図。
【符号の説明】
【0092】
S・・・熱処理システム
1・・・保存庫
1A・・・底壁
2・・・熱処理機
3・・・投入装置
5・・・貯蔵槽
12・・・被処理物受け部(貝殻受け部)
22・・・熱源(電熱ヒータ)
23・・・スクリュコンベア(熱処理スクリュコンベア)
24・・・支持部材
31・・・スクリュコンベア(投入スクリュコンベア)
221・・・熱源(上段電熱ヒータ)
222・・・熱源(下段電熱ヒータ)
231・・・スクリュコンベア(上段スクリュコンベア)
232・・・スクリュコンベア(下段スクリュコンベア)
311・・・スクリュコンベア(水平スクリュコンベア)
311a・・・一端(送出開始端部)
312・・・スクリュコンベア(傾斜スクリュコンベア)
312b・・・他端(送出終端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を保存する保存庫と、
当該保存庫に保存した被処理物を熱処理する熱処理機とを具備する熱処理システムにおいて、
前記保存庫に保存した被処理物を当該保存庫から前記熱処理機へ運搬して投入する投入装置を備え、
当該投入装置が、前記熱処理機に投入する前記被処理物の投入量を、前記熱処理機の処理能力に合わせて調整可能であることを特徴とする熱処理システム。
【請求項2】
異常が発生した際に、前記被処理物の投入を停止する停止装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の熱処理システム。
【請求項3】
前記投入装置が、一端を前記保存庫に設けた前記被処理物の送出口に連結し、他端を前記熱処理機に設けた前記被処理物の受入口に連結したスクリュコンベアを具備し、当該スクリュコンベアの回転速度を調整して、前記熱処理機の処理能力に合わせた投入量の被処理物を前記保存庫から前記熱処理機に送り出すことを特徴とする請求項1又は2記載の熱処理システム。
【請求項4】
前記保存庫の底壁近傍に前記被処理物の送出口を設けると共に、当該被処理物の送出口に連結したスクリュコンベアの上部を覆う位置に、傾斜面を有する被処理物受け部を設けていることを特徴とする請求項1乃至3記載の熱処理システム。
【請求項5】
前記熱処理機が、前記被処理物を送り出すスクリュコンベアと、当該スクリュコンベアを熱する熱源とを有すると共に、当該スクリュコンベアを支持部材にて支持し、当該スクリュコンベアが、熱処理機の熱源に接触することを防止していることを特徴とする請求項1乃至4記載の熱処理システム。
【請求項6】
前記熱処理機にて処理した被処理物を貯蔵する貯蔵槽を備え、
当該貯蔵槽内に貯蔵した被処理物を所定間隔で均す均し手段を具備していることを特徴とする請求項1乃至5記載の熱処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−138930(P2008−138930A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325429(P2006−325429)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(504365537)株式会社ソーシンプランニング (2)
【Fターム(参考)】