説明

熱処理装置および熱処理方法

【課題】焼成時における膜中の異常結晶成長を防止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供する。
【解決手段】表面に薄膜が形成された半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入されて保持プレート7に保持される。半導体ウェハーWは保持プレート7に内蔵されたヒータなどによって所定温度に温調される。その後、フラッシュ照射部5のフラッシュランプFLから半導体ウェハーWに向けてフラッシュ光が照射され、薄膜の焼成処理が行われる。発光時間が極めて短く強度の強いフラッシュ光であれば、薄膜の表面温度を瞬間的に昇温させてすぐに降温させることができる。このため、膜中に長時間焼成に起因した異常結晶成長が生じるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)の表面に形成された薄膜の焼成処理を行う熱処理装置および熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶ディスプレイなどの製造に際して、上記基板に対する薄膜形成は欠くことの出来ない重要技術である。例えば、半導体ウェハーにパターン形成を行うためのフォトリソグラフィーにおいては、ウェハー上にレジスト膜や反射防止膜を形成する。また、半導体ウェハーの表面に絶縁のための層間絶縁膜や電極配線などのための金属膜を形成することもある。さらに、液晶表示装置用のガラス基板にはシリコン(Si)の多結晶または非晶質の膜を形成することが行われている。
【0003】
これらの薄膜を形成するための技術としては、真空蒸着やスパッタリングなどの物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)に代表される化学的気相成長法、および、スピンコートなどの塗布法が広く用いられている。いずれの手法を用いた場合であっても、基板上に形成した薄膜の焼成処理を行うことがある。塗布法によって形成された薄膜であれば、塗布液中の溶媒を揮発させる必要があり、スパッタリングやCVDを用いて形成された薄膜であっても焼き締めを行う場合がある。
【0004】
従来、薄膜の焼成処理は、上記の種々の手法によって表面に薄膜を形成した基板をホットプレート上に載置し、その薄膜を加熱することによって行われてきた。例えば、特許文献1には、反射防止膜の一種であるBARC(Bottom Anti-Reflection Coating)の塗布液をスピンコートによって基板に塗布し、その基板をホットプレート上に載置して加熱することにより反射防止膜の焼成処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−66645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるようなホットプレートでの加熱によって薄膜の焼成処理を行った場合には、膜中に異常結晶成長が生じやすいという問題があった。すなわち、加熱によって膜中の結晶粒が粗大化し、一部の結晶粒が異常成長した結果、薄膜と下地基板との境界や粒界に凹凸が生じることがあった。近年、ますますパターンの微細化が進展している状況においては、このような凹凸が高精度のパターン形成の阻害要因となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、焼成時における膜中の異常結晶成長を防止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板の表面に形成された薄膜の焼成処理を行う熱処理装置において、薄膜が表面に形成された基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて前記基板を保持する保持手段と、前記保持手段に設けられ、前記保持手段が保持する前記基板を所定温度に温調する温調手段と、前記チャンバー内に処理ガスを供給するガス供給手段と、前記チャンバーから排気を行う排気手段と、前記保持手段に保持されて前記温調手段によって所定温度に温調されている前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記温調手段は、前記基板を200℃以下の温度に温調することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記温調手段は、前記基板を加熱する加熱手段と、前記基板を冷却する冷却手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記ガス供給手段は、前記基板の表面に形成された薄膜と反応する反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る熱処理装置において、前記ガス供給手段は、不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を含み、前記チャンバー内に反応性ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る熱処理装置において、前記チャンバー内における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定する濃度測定手段と、前記濃度測定手段の測定結果に基づいて、反応性ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれか一方の流量を調整して混合ガス中の反応性ガスの濃度を調整する濃度調整手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る熱処理装置において、前記ガス供給手段は、反応性ガスとしての酸素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項6の発明に係る熱処理装置において、前記ガス供給手段は、反応性ガスとしての水素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項6の発明に係る熱処理装置において、前記ガス供給手段は、反応性ガスとしての窒素に不活性ガスとしてのヘリウムまたはアルゴンを混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の熱処理装置において、前記ガス供給手段は、前記チャンバー内に付着した汚染物質と反応して当該汚染物質を除去するクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記保持手段に保持された前記基板の表面に対向して設けられ、当該表面に対向する領域に均一な密度にて複数の吐出孔を穿設し、前記ガス供給手段から供給された処理ガスを前記複数の吐出孔から前記基板に向けて吹き出す吹き出しプレートをさらに備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項12の発明は、請求項1から請求項11のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記排気手段は、前記チャンバー内を大気圧よりも低い気圧に減圧する減圧手段を含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項13の発明は、請求項1から請求項12のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記フラッシュランプからフラッシュ光を照射する前後に前記基板を所定温度に維持するように前記温調手段を制御する温度制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項14の発明は、基板の表面に形成された薄膜の焼成処理を行う熱処理方法において、薄膜が表面に形成された基板をチャンバー内に収容する収容工程と、前記チャンバーから排気を行う排気工程と、前記チャンバー内に処理ガスを供給するガス供給工程と、前記チャンバー内に収容された前記基板を温調手段を有する保持手段に保持することによって所定温度に温調する温調工程と、所定温度に温調されている前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュ照射工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項15の発明は、請求項14の発明に係る熱処理方法において、前記温調工程では、前記基板を200℃以下の温度に温調することを特徴とする。
【0023】
また、請求項16の発明は、請求項14または請求項15の発明に係る熱処理方法において、前記ガス供給工程では、前記チャンバー内に前記基板の表面に形成された薄膜と反応する反応性ガスを供給することを特徴とする。
【0024】
また、請求項17の発明は、請求項16の発明に係る熱処理方法において、前記ガス供給工程では、前記チャンバー内に反応性ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0025】
また、請求項18の発明は、請求項17の発明に係る熱処理方法において、前記チャンバー内における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定する濃度測定工程と、前記濃度測定工程での測定結果に基づいて、反応性ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれか一方の流量を調整して混合ガス中の反応性ガスの濃度を調整する濃度調整工程と、をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
また、請求項19の発明は、請求項18の発明に係る熱処理方法において、前記ガス供給工程では、反応性ガスとしての酸素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0027】
また、請求項20の発明は、請求項18の発明に係る熱処理方法において、前記ガス供給工程では、反応性ガスとしての水素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0028】
また、請求項21の発明は、請求項18の発明に係る熱処理方法において、前記ガス供給工程では、反応性ガスとしての窒素に不活性ガスとしてのヘリウムまたはアルゴンを混合した混合ガスを供給することを特徴とする。
【0029】
また、請求項22の発明は、請求項14から請求項21のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記チャンバー内に付着した汚染物質と反応して当該汚染物質を除去するクリーニングガスを供給するクリーニング工程をさらに備えることを特徴とする。
【0030】
また、請求項23の発明は、請求項14から請求項22のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記排気工程は、前記チャンバー内を大気圧よりも低い気圧に減圧する減圧工程を含むことを特徴とする。
【0031】
また、請求項24の発明は、請求項14から請求項23のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記温調工程は、前記フラッシュ照射工程の前後に前記基板を所定温度に維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1から請求項13の発明によれば、薄膜が表面に形成された基板にフラッシュ光を照射して当該薄膜の焼成処理を行うため、薄膜の表面温度を瞬間的に上昇させて急速に下降させることができ、焼成時における膜中の異常結晶成長を防止することができる。
【0033】
特に、請求項3の発明によれば、温調手段は、基板を加熱する加熱手段と、基板を冷却する冷却手段と、を含むため、基板を室温近傍の比較的低温にも温調することができる。
【0034】
特に、請求項6の発明によれば、チャンバー内における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定する濃度測定手段と、濃度測定手段の測定結果に基づいて、反応性ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれか一方の流量を調整して混合ガス中の反応性ガスの濃度を調整する濃度調整手段と、を備えるため、チャンバー内の雰囲気濃度を処理の目的に応じて調整することができる。
【0035】
特に、請求項10の発明によれば、ガス供給手段は、チャンバー内に付着した汚染物質と反応して当該汚染物質を除去するクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段を含むため、薄膜の焼成処理によってチャンバー内に付着した汚染物質を除去して当該汚染物質が基板に付着するのを防止することができる。
【0036】
特に、請求項11の発明によれば、保持手段に保持された基板の表面に対向する領域に均一な密度にて複数の吐出孔を穿設した吹き出しプレートを備えるため、基板表面に均等に処理ガスを供給することができる。
【0037】
特に、請求項12の発明によれば、排気手段がチャンバー内を大気圧よりも低い気圧に減圧する減圧手段を含むため、チャンバー内の雰囲気置換効率を向上させることができる。
【0038】
また、請求項14から請求項24の発明によれば、薄膜が表面に形成された基板にフラッシュ光を照射して当該薄膜の焼成処理を行うため、薄膜の表面温度を瞬間的に上昇させて急速に下降させることができ、焼成時における膜中の異常結晶成長を防止することができる。
【0039】
特に、請求項18の発明によれば、チャンバー内における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定し、その測定結果に基づいて、反応性ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれか一方の流量を調整して混合ガス中の反応性ガスの濃度を調整するため、チャンバー内の雰囲気濃度を処理の目的に応じて調整することができる。
【0040】
特に、請求項22の発明によれば、チャンバー内に付着した汚染物質と反応して当該汚染物質を除去するクリーニングガスを供給するクリーニング工程を備えるため、薄膜の焼成処理によってチャンバー内に付着した汚染物質を除去して当該汚染物質が基板に付着するのを防止することができる。
【0041】
特に、請求項23の発明によれば、排気工程がチャンバー内を大気圧よりも低い気圧に減圧する減圧工程を含むため、チャンバー内の雰囲気置換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る熱処理装置の要部構成を示す図である。
【図2】保持プレートの構成を示す断面図である。
【図3】吹き出しプレートの平面図である。
【図4】図1の熱処理装置における半導体ウェハーの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】半導体ウェハーの表面温度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0044】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る熱処理装置1の要部構成を示す図である。この熱処理装置1は、基板として略円形の半導体ウェハーWの表面に薄膜を形成したものにフラッシュ光を照射してその薄膜の焼成処理を行うフラッシュランプアニール装置である。図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0045】
熱処理装置1は、主たる構成として、半導体ウェハーWを収容する略円筒形状のチャンバー6と、チャンバー6内にて半導体ウェハーWを保持する保持プレート7と、チャンバー6内の半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射するフラッシュ照射部5と、チャンバー6内に処理ガスを供給するガス供給部8と、チャンバー6から排気を行う排気部9と、を備えている。また、熱処理装置1は、これらの各部を制御して薄膜焼成処理を実行させる制御部3を備える。
【0046】
チャンバー6は、フラッシュ照射部5の下方に設けられており、略円筒状の内壁を有するチャンバー側部63、および、チャンバー側部63の下部を覆うチャンバー底部62によって構成される。また、チャンバー側部63およびチャンバー底部62によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。チャンバー6の上部開口にはチャンバー窓61が装着されて閉塞されている。
【0047】
チャンバー6の天井部を構成するチャンバー窓61は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ照射部5から出射されたフラッシュ光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。チャンバー6の本体を構成するチャンバー底部62およびチャンバー側部63は、例えば、ステンレススチール等の強度と耐熱性に優れた金属材料にて形成されている。
【0048】
また、熱処理空間65の気密性を維持するために、チャンバー窓61とチャンバー側部63とは図示省略のOリングによってシールされている。すなわち、チャンバー窓61の下面周縁部とチャンバー側部63との間にはOリングを挟み込み、これらの隙間から気体が流出入するのを防いでいる。
【0049】
チャンバー側部63には、半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部66が設けられている。搬送開口部66は、図示を省略するゲートバルブによって開閉可能とされている。搬送開口部66が開放されると、図外の搬送ロボットによってチャンバー6に対する半導体ウェハーWの搬入および搬出が可能となる。また、搬送開口部66が閉鎖されると、熱処理空間65が外部との通気が遮断された密閉空間となる。
【0050】
保持プレート7は、金属製(例えば、アルミニウム)の略円板形状の部材であり、チャンバー6内にて半導体ウェハーWを載置して水平姿勢(主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢)に保持する。図2は、保持プレート7の構成を示す断面図である。保持プレート7は、ヒータ71および水冷管72を内蔵する。ヒータ71は、ニクロム線などの抵抗加熱線で構成されており、図外の電力供給源からの電力供給を受けて発熱し、保持プレート7を加熱する。水冷管72は、図外の冷却水供給源から供給された冷却水が流れることによって、保持プレート7を冷却する。
【0051】
ヒータ71および水冷管72はともに保持プレート7の内部に周回するように設けられている。ヒータ71および水冷管72は、少なくとも保持プレート7のうちの載置する半導体ウェハーWに対向する領域には均一な配設密度にて設けられている。このためヒータ71および水冷管72は、それぞれ当該領域を均一に加熱および冷却することができる。ヒータ71への電力供給量および水冷管72への冷却水供給量は制御部3によって制御される。
【0052】
また、保持プレート7の内部には熱電対を用いて構成された温度センサ73が配設されている。温度センサ73は保持プレート7の上面近傍の温度を測定する。温度センサ73による測定結果は制御部3に伝達される。なお、温度センサ73は、保持プレート7が載置する半導体ウェハーWに対向する領域に複数設けるようにしても良い。
【0053】
保持プレート7の上面には、アルミナ(Al23)等の部材から構成された複数個(本実施の形態では3個)のプロキシミティボール75が配設されている。3個のプロキシミティボール75は、その上端が保持プレート7の上面から微少量だけ突出する状態で配設されている。このため、3個のプロキシミティボール75によって半導体ウェハーWを支持したときには、半導体ウェハーWの裏面と保持プレート7の上面との間にいわゆるプロキシミティギャップと称される微小間隔が形成される。なお、保持プレート7の上面にサセプタを設置し、そのサセプタにて半導体ウェハーWを支持するようにしても良い。
【0054】
3個のプロキシミティボール75を介して保持プレート7に載置された半導体ウェハーWは、ヒータ71および水冷管72によって所定温度に温調される。すなわち、ヒータ71は保持プレート7に保持される半導体ウェハーWを加熱し、水冷管72は当該半導体ウェハーWを冷却し、その結果として半導体ウェハーWが所定温度に温調されることとなる。
【0055】
保持プレート7に保持した半導体ウェハーWを温調する際には、温度センサ73により計測される保持プレート7の温度が予め設定された所定の温度となるように、ヒータ71への電力供給量および水冷管72への冷却水供給量が制御部3によって制御される。すなわち、制御部3による保持プレート7の温度制御はフィードバック制御であり、より具体的にはPID(Proportional,Integral,Derivative)制御により行われる。
【0056】
本実施形態においては、加熱手段たるヒータ71および冷却手段たる水冷管72の双方を保持プレート7に設けているため、これらの協働によって保持プレート7に保持する半導体ウェハーWを室温から200℃以下までの比較的低い温度に温調することができる。
【0057】
図1に戻り、保持プレート7には、その上面に出没する複数本(本実施の形態では3本)のリフトピン77が設けられている。3本のリフトピン77の上端高さ位置は同一水平面内に含まれる。3本のリフトピン77はエアシリンダ78によって一括して鉛直方向に沿って昇降される。各リフトピン77は、保持プレート7に上下に貫通して設けられた挿通孔の内側に沿って昇降する。エアシリンダ78が3本のリフトピン77を上昇させると、各リフトピン77の先端が保持プレート7の上面から突出する。また、エアシリンダ78が3本のリフトピン77を下降させると、各リフトピン77の先端が保持プレート7の挿通孔の内部に埋入する。
【0058】
熱処理空間65の上部であって、チャンバー窓61の直下には、吹き出しプレート68が設けられている。図3は、吹き出しプレート68の平面図である。吹き出しプレート68は、石英にて形成された円板形状部材であり、保持プレート7に保持された半導体ウェハーWの表面に対向するように水平姿勢に設置されている。図3に示すように、吹き出しプレート68には、多数の吐出孔69が穿設されている。具体的には、少なくとも保持プレート7に保持された半導体ウェハーWの表面に対向する吹き出しプレート68の領域には均一な密度にて複数の吐出孔69が穿設されている。
【0059】
ガス供給部8は、チャンバー窓61と吹き出しプレート68との間に形成されたガス溜め空間67に処理ガスを供給する。本実施形態のガス供給部8は、不活性ガス供給部81、反応性ガス供給部84およびクリーニングガス供給部87を有する。不活性ガス供給部81は、不活性ガス供給源82とバルブ83と流量調整バルブ183とを備えており、バルブ83を開放することによってガス溜め空間67に不活性ガスを供給する。不活性ガス供給部81が供給する不活性ガスの流量は流量調整バルブ183によって調整される。
【0060】
また、反応性ガス供給部84は、反応性ガス供給源85とバルブ86と流量調整バルブ186とを備えており、バルブ86を開放することによってガス溜め空間67に反応性ガスを供給する。反応性ガス供給部84が供給する反応性ガスの流量は流量調整バルブ186によって調整される。
【0061】
同様に、クリーニングガス供給部87は、クリーニングガス供給源88とバルブ89と流量調整バルブ189を備えており、バルブ89を開放することによってガス溜め空間67にクリーニングガスを供給する。クリーニングガス供給部87が供給するクリーニングガスの流量は流量調整バルブ189によって調整される。なお、不活性ガス供給源82、反応性ガス供給源85、クリーニングガス供給源88としては、熱処理装置1内に設けられた気体タンクと送給ポンプとで構成するようにしても良いし、熱処理装置1が設置される工場の用力を用いるにようにしても良い。
【0062】
ガス供給部8は、3つのバルブ83,86,89のうちの2つ以上を開放することによって、チャンバー6のガス溜め空間67に混合ガスを供給することができる。例えば、ガス供給部8は、バルブ83およびバルブ86の双方を開放することによって、チャンバー6内に反応性ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスを供給することができる。
【0063】
ここで、「不活性ガス」は、半導体ウェハーWの表面に形成された薄膜および半導体ウェハーWの材質との反応性に乏しいガスであり、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などである。「反応性ガス」は、半導体ウェハーWの表面に形成された薄膜との反応性に富むガスであり、酸素(O2)、水素(H2)、塩素(Cl2)、水蒸気(H2O)、塩化水素(HCl)、オゾン(O3)、アンモニア(NH3)などの他に臭素(Br)系化合物ガスやフッ素(F)系化合物ガスが該当する。但し、熱処理装置1における熱処理の目的によっては、窒素は不活性ガスとしてのみならず反応性ガスともなり得る。
【0064】
また、「クリーニングガス」は、後述するようなチャンバー6内に付着した汚染物質と反応するガスであり、酸素(O2)、水素(H2)、塩素(Cl2)、水蒸気(H2O)、塩化水素(HCl)、オゾン(O3)、フッ素系(F)化合物ガスなどが該当する。本明細書においては、これら不活性ガス、反応性ガスおよびクリーニングガスを総称して処理のための「処理ガス」とする。なお、反応性ガスとクリーニングガスとは共通するガス種を含むものであり、反応性ガス供給部84とクリーニングガス供給部87とを兼用するようにしても良い。
【0065】
ガス供給部8からガス溜め空間67に供給された処理ガスは吹き出しプレート68に穿設された複数の吐出孔69から下方に向けて吐出される。このときに、ガス溜め空間67における流体の通過抵抗は吐出孔69の通過抵抗よりも小さいため、ガス供給部8から供給された処理ガスは一旦ガス溜め空間67内を拡がるように流れてから複数の吐出孔69から均一に吐出されることとなる。また、複数の吐出孔69は、保持プレート7に保持された半導体ウェハーWに対向する領域には均一な密度にて設けられている。従って、吹き出しプレート68からは保持プレート7に保持された半導体ウェハーWの表面全面に均等に処理ガスが吹き付けられることとなる。
【0066】
排気部9は、排気装置91およびバルブ92を備えており、バルブ92を開放することによって排気口93からチャンバー6内の雰囲気を排気する。排気口93は、保持プレート7を囲繞するようにチャンバー側部63に形成されたスリットである。排気口93が形成される高さ位置は、保持プレート7に保持される半導体ウェハーWと同じ高さ位置以下であり、半導体ウェハーWよりもやや下方が好ましい。保持プレート7を取り囲むように形成されたスリット状の排気口93から排気部9が排気を行うことによって、保持プレート7に保持される半導体ウェハーWの周囲から均等に気体の排出が行われることとなる。
【0067】
排気装置91としては、真空ポンプや熱処理装置1が設置される工場の排気ユーティリティを用いることができる。排気装置91として真空ポンプを採用し、ガス供給部8から処理ガスを供給することなく密閉空間である熱処理空間65の雰囲気を排気すると、チャンバー6内を真空雰囲気にまで減圧することができる。また、排気装置91として真空ポンプを用いていない場合であっても、ガス供給部8から処理ガスを供給することなく排気を行うことにより、チャンバー6内を大気圧よりも低い気圧に減圧することができる。
【0068】
また、熱処理装置1のチャンバー6には、濃度センサ180が設けられている。濃度センサ180は、チャンバー6内に不活性ガスと反応性ガスとの混合ガスが供給されたときに、熱処理空間65における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定する。
【0069】
フラッシュ照射部5は、チャンバー6の上方に設けられている。フラッシュ照射部5は、複数本(本実施形態では30本であるが、図1では図示の便宜上9本のみ記載)のフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。フラッシュ照射部5は、チャンバー6内にて保持プレート7に保持される半導体ウェハーWに石英のチャンバー窓61よび吹き出しプレート68を介してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。
【0070】
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持プレート7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
【0071】
本実施形態では、フラッシュランプFLとしてキセノンフラッシュランプを用いている。キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気が両端電極間の放電によってガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。
【0072】
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を保持プレート7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
【0073】
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
【0074】
次に、上記構成を有する熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。図4は、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順を示すフローチャートである。また、図5は、半導体ウェハーWの表面温度(厳密には薄膜の表面温度)の変化を示す図である。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
【0075】
まず、図示省略のゲートバルブが開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入される(ステップS1)。ここで処理対象となる半導体ウェハーWは、表面に薄膜が形成された半導体基板である。半導体ウェハーWの表面に形成される薄膜は、有機系の膜であっても良いし、金属系の膜であっても良い。有機系の膜としては、エキシマレーザに対応した化学増幅型レジスト膜を含むレジスト膜、BARCやTARC(Top Anti-Reflection Coating)を含む反射防止膜、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの強誘電体膜やlow-k膜を含む層間絶縁膜などが該当する。金属系の膜としては、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)やそれらの合金などの膜が該当する。
【0076】
このような膜が本発明に係る熱処理装置1とは別の装置にて半導体ウェハーWの表面に形成され、その半導体ウェハーWが熱処理装置1のチャンバー6に搬入される。半導体ウェハーWの表面に薄膜を形成する手法は、既述したようなスパッタリングなどの物理的気相成長法、CVDに代表される化学的気相成長法、或いはスピンコートなどの塗布法のいずれであっても良い。
【0077】
表面に薄膜が形成された半導体ウェハーWを保持した搬送ロボットのハンドが搬送開口部66からチャンバー6内に進入し、保持プレート7の直上にて停止する。続いて、3本のリフトピン77が上昇してハンドから半導体ウェハーWを受け取る。図5に示す時刻t1は、リフトピン77が半導体ウェハーWを受け取った時刻である。その後、搬送ロボットのハンドがチャンバー6から退出するとともに、搬送開口部66が閉鎖されることによりチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
【0078】
熱処理空間65が密閉空間とされた後、チャンバー6内の雰囲気置換が実行される(ステップS2)。本実施形態においては、置換効率を高めるために、ガス供給部8から処理ガスを供給することなく排気部9が熱処理空間65から排気を行うことによって、一旦チャンバー6内を大気圧よりも低い気圧に減圧している。そして、チャンバー6内が所定圧にまで減圧された後、ガス供給部8からの処理ガス供給を開始する。一旦チャンバー6内を大気圧よりも低い気圧に減圧してから処理ガスの供給を行うことによって、置換効率を高めてチャンバー6内を迅速に処理ガスの雰囲気に置換することができる。
【0079】
ガス供給部8からの処理ガス供給を開始した後も、継続して排気部9による排気を行う。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65を常に一定濃度の処理ガス雰囲気に維持しつつ、吹き出しプレート68の複数の吐出孔69から下方の半導体ウェハーWに向けて流下した処理ガスが半導体ウェハーWの周囲から排出されるという処理ガス流が形成される。なお、一旦チャンバー6内を減圧するのに代えて、排気部9による排気を開始すると同時にガス供給部8からの処理ガス供給を開始するようにしても、チャンバー6内を処理ガスの雰囲気に置換することはできる。
【0080】
ガス供給部8からチャンバー6内に供給する処理ガスは、処理対象となる半導体ウェハーWの表面に形成されている膜種および焼成処理目的に応じた適宜のものが用いられる。例えば、レジスト膜の固化(いわゆるPAB(Post Applied Bake))を行うのであれば、不活性ガス供給部81から窒素ガスなどの不活性ガスを供給し、チャンバー6内を不活性雰囲気とするのが好ましい。また、膜表面の改質処理を行うのであれば、反応性ガス供給部84から反応性ガスを供給するのが好ましい。
【0081】
チャンバー6内の雰囲気置換が行われた後、半導体ウェハーWを支持する3本のリフトピン77が下降して保持プレート7の挿通孔の内部に埋入する。リフトピン77が下降する過程において、時刻t2にて半導体ウェハーWはリフトピン77から保持プレート7の上面に渡され、その上面に載置・保持される。
【0082】
保持プレート7は、ヒータ71および水冷管72によって予め所定温度に温調されている。保持プレート7の温調温度T1は、半導体ウェハーWの表面に形成されている膜種および焼成処理目的に応じて200℃以下の適宜の温度とすることができる。制御部3は、温度センサ73の測定結果に基づいて、保持プレート7の温度がその温調温度T1となるようにヒータ71への電力供給量および水冷管72への冷却水供給量を制御する。これにより、保持プレート7の上面の温度も当該温調温度T1に維持されることとなる。
【0083】
リフトピン77が下降して半導体ウェハーWが所定温度に温調された保持プレート7に載置されることにより、時刻t2からその半導体ウェハーWに対する保持プレート7(厳密にはヒータ71および水冷管72)による温調が開始される(ステップS3)。これにより、半導体ウェハーWの温度が室温から所定の温調温度T1にまで次第に上昇する。
【0084】
半導体ウェハーWが保持プレート7に載置・保持されてから所定時間待機する(ステップS4)。この間に表面に形成された薄膜を含む半導体ウェハーWの全体が温調温度T1に加熱される。そして、時刻t2にリフトピン77が下降して半導体ウェハーWの温調が開始されてから所定時間が経過した時刻t3に、制御部3の制御によりフラッシュ照射部5のフラッシュランプFLから保持プレート7に保持された半導体ウェハーWへ向けてフラッシュ光が照射される(ステップS5)。フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内の保持プレート7へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かう。このようなフラッシュ光の照射によって、半導体ウェハーWの表面に形成された薄膜がフラッシュ加熱される。
【0085】
フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。フラッシュランプFLからフラッシュ光が照射された薄膜の表面温度は、瞬間的に処理温度T2にまで上昇し、その後薄膜から下地の半導体ウェハーWへの熱伝導によって急速に温調温度T1にまで下降する。このようなフラッシュ加熱によって、半導体ウェハーWの表面に形成された薄膜の焼成処理が行われる。なお、薄膜の表面が到達する最高温度である処理温度T2は600℃以下である。また、フラッシュ光が照射されて薄膜の表面温度が昇温を開始した時刻t3から温調温度T1にまで降温した時刻t4までの時間は1秒以下である。
【0086】
フラッシュ加熱が終了した後、半導体ウェハーWが保持プレート7に保持されたまま所定時間待機する(ステップS6)。この間、表面に形成された薄膜を含む半導体ウェハーWの全体が温調温度T1に維持されている。すなわち、フラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する前後双方において、半導体ウェハーWを所定の温調温度T1に維持するように制御部3が保持プレート7のヒータ71への電力供給量および水冷管72への冷却水供給量を制御する。やがて、所定時間が経過して時刻t5に到達した時点にて、3本のリフトピン77が上昇し、保持プレート7に載置されていた半導体ウェハーWを突き上げて保持プレート7から離間させる(ステップS7)。半導体ウェハーWが保持プレート7から離間することによって、保持プレート7から半導体ウェハーWへの熱供給が停止されて温調が終了し、半導体ウェハーWの温度が徐々に低下する。なお、半導体ウェハーWに対する温調が開始された時刻t2から温調が終了する時刻t5までの時間(温調時間)は60秒〜90秒である。
【0087】
その後、搬送開口部66が再び開放され、搬送ロボットのハンドが搬送開口部66からチャンバー6内に進入して半導体ウェハーWの直下で停止する。続いて、リフトピン77が下降することによって、時刻t6にて半導体ウェハーWがリフトピン77から搬送ロボットに渡される。そして、半導体ウェハーWを受け取った搬送ロボットのハンドがチャンバー6から退出することにより、半導体ウェハーWがチャンバー6から搬出され、熱処理装置1における薄膜の焼成処理が完了する(ステップS8)。
【0088】
リフトピン77が上昇して半導体ウェハーWの温調が終了してから搬送開口部66を開放するまでの間に、チャンバー6内の雰囲気を再び置換するようにしても良い。例えば、処理中にチャンバー6内が反応性ガスの雰囲気とされていた場合には、これを不活性ガスの雰囲気とすることが望ましい。また、チャンバー6内を装置外部と同じ大気雰囲気に置換するようにしても良い。
【0089】
本実施形態においては、半導体ウェハーWの表面に形成された薄膜をフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射することによって加熱している。発光時間が極めて短く強度の強いフラッシュ光であれば、薄膜の表面温度を瞬間的に温調温度T1から処理温度T2にまで上昇させて急速に再び温調温度T1にまで下降させることができる。このため、膜中に長時間焼成に起因した異常結晶成長が生じるのを防止することができる。その結果、薄膜と下地の半導体ウェハーWとの境界や膜中の粒界に凹凸が生じるのを防止することができ、高い平坦度を得ることができる。
【0090】
また、保持プレート7による温調温度T1および温調時間とフラッシュ光照射による処理温度T2とを制御することによって、焼成された薄膜中における結晶粒径を適切な範囲に調整することができる。
【0091】
また、薄膜の膜種がシリコン中での拡散係数の高い金属膜である場合、薄膜の表面温度を短時間のうちに温調温度T1から処理温度T2にまで上昇させて再び温調温度T1にまで下降させることにより、その金属元素の半導体ウェハーW中における異常拡散を防止することができる。
【0092】
ところで、上記のような薄膜の焼成処理を行うことによって、チャンバー6内壁に種々の汚染物質が付着することがある。例えば、焼成される薄膜から発生した昇華物が付着したり、反応性ガスがチャンバー6内壁面の金属と反応して汚染物質となることがある。このような汚染物質がチャンバー6内に付着したときには、その汚染物質と反応するクリーニングガスをクリーニングガス供給部87からチャンバー6内に供給する。これにより、汚染物質がクリーニングガスと反応して分解し、チャンバー6内から当該汚染物質を除去することができる。このようにすれば、汚染物質が半導体ウェハーWに付着して汚染するのを防止することができる。なお、クリーニングガス供給部87からクリーニングガスを供給するとともに、フラッシュランプFLからチャンバー6内にフラッシュ光を照射することによって汚染物質の分解を促進するようにしても良い。
【0093】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の構成は第1実施形態と同じである(図1参照)。また、半導体ウェハーWの処理手順についても概ね第1実施形態と同様である(図4参照)。第2実施形態では、特に、ALD(Atomic Layer Deposition)などによって半導体ウェハーWの表面に堆積したハフニウム(Hf)などのhigh-k材料(高誘電率材料)にフラッシュ加熱処理を行う。
【0094】
ALDによって1原子層相当レベルの膜厚のhigh-k材料が成膜された半導体ウェハーWが熱処理装置1のチャンバー6内に搬入される。そして、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射して加熱することによって、成膜されたhigh-k材料に結晶性を付与する。このようなALDによる成膜と熱処理装置1でのフラッシュ加熱とを繰り返して半導体ウェハーWの表面にhigh-k材料の薄膜を形成する。
【0095】
このようなプロセスにおいて、フラッシュ加熱処理を行うときの熱処理空間65の雰囲気によってhigh-k材料の電気特性(静電容量)が異なる。このため、high-k材料に所望の電気特性を付与すべく、フラッシュ加熱処理を行うときの熱処理空間65の窒素濃度および酸素濃度をコントロールしている。
【0096】
より詳細には、high-k材料の膜厚が比較的薄いときには、窒素にヘリウムまたはアルゴンを混合した混合ガス中にてフラッシュ加熱処理を行う。具体的には、反応性ガス供給部84がバルブ86を開放してチャンバー6内に窒素を反応性ガスとして供給するとともに、不活性ガス供給部81がバルブ83を開放してチャンバー6内にヘリウムまたはアルゴンを不活性ガスとして供給する。バルブ83およびバルブ86の双方が開放されることによって、チャンバー6内の熱処理空間65には反応性ガスとしての窒素に不活性ガスとしてのヘリウムまたはアルゴンを混合した混合ガスが供給されることとなる。
【0097】
チャンバー6内の熱処理空間65における混合ガス中の窒素濃度は濃度センサ180によって測定されている。濃度センサ180の測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、濃度センサ180の測定結果に基づいて、熱処理空間65における混合ガス中の窒素濃度が予め設定された所定値となるように反応性ガスの濃度調整を行う。具体的には、濃度センサ180による窒素濃度の測定結果が所定値より低い場合には、制御部3が流量調整バルブ186を制御して窒素の流量を増加する。逆に、濃度センサ180による窒素濃度の測定結果が所定値より高い場合には、制御部3が流量調整バルブ186を制御して窒素の流量を減少する。このようにして、濃度センサ180による窒素濃度の測定結果が所定値に近づくように、制御部3が流量調整バルブ186を制御して反応性ガスとしての窒素の流量を調整する。
【0098】
反応性ガスとしての窒素の流量を調整するのに代えて、不活性ガスとしてのヘリウムまたはアルゴンの流量を調整することによって、熱処理空間65における混合ガス中の窒素濃度を調整するようにしても良い。また、反応性ガスおよび不活性ガスの双方の流量を調整することによって、混合ガス中の窒素濃度を調整するようにしても良い。
【0099】
このようにして窒素濃度を調整し、熱処理空間65における混合ガス中の窒素濃度が予め設定された所定値となっている状態にて、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光が照射されてhigh-k材料のフラッシュ加熱が行われる。所定濃度の窒素/ヘリウムまたはアルゴンの雰囲気中にてフラッシュ加熱処理が行われることによって、半導体ウェハーWの表面上のhigh-k材料に結晶性が付与される。
【0100】
次に、high-k材料の膜厚が比較的厚くなってきたときには、酸素に窒素を混合した混合ガス中にてフラッシュ加熱処理を行う。具体的には、反応性ガス供給部84がバルブ86を開放してチャンバー6内に酸素を反応性ガスとして供給するとともに、不活性ガス供給部81がバルブ83を開放してチャンバー6内に窒素を不活性ガスとして供給する。バルブ83およびバルブ86の双方が開放されることによって、チャンバー6内の熱処理空間65には反応性ガスとしての酸素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスが供給されることとなる。なお、反応性ガスとしては酸素に代えてオゾンを供給するようにしても良いし、不活性ガスとしては窒素に代えてヘリウムまたはアルゴンを供給するようにしても良い。
【0101】
チャンバー6内の熱処理空間65における混合ガス中の酸素濃度は濃度センサ180によって測定されて制御部3に伝達される。制御部3は、濃度センサ180の測定結果に基づいて、熱処理空間65における混合ガス中の酸素濃度が予め設定された所定値となるように反応性ガスの濃度調整を行う。具体的には、濃度センサ180による酸素濃度の測定結果が所定値より低い場合には、制御部3が流量調整バルブ186を制御して酸素の流量を増加する。逆に、濃度センサ180による酸素濃度の測定結果が所定値より高い場合には、制御部3が流量調整バルブ186を制御して酸素の流量を減少する。このようにして、濃度センサ180による酸素濃度の測定結果が所定値に近づくように、制御部3が流量調整バルブ186を制御して反応性ガスとしての酸素の流量を調整する。なお、上記と同様に、不活性ガスの流量を調整することによって、熱処理空間65における混合ガス中の酸素濃度を調整するようにしても良い。また、反応性ガスおよび不活性ガスの双方の流量を調整することによって、混合ガス中の酸素濃度を調整するようにしても良い。
【0102】
このようにして酸素濃度を調整し、熱処理空間65における混合ガス中の酸素濃度が予め設定された所定値となっている状態にて、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光が照射されてhigh-k材料のフラッシュ加熱が行われる。所定濃度の酸素/窒素の雰囲気中にてフラッシュ加熱処理が行われることによって、半導体ウェハーWの表面上のhigh-k材料に結晶性が付与されるとともに、high-k材料が酸化される。そして、窒素濃度および酸素濃度が所定値に管理された雰囲気中にてhigh-k材料のフラッシュ加熱処理が行われることにより、high-k材料に所望の電気特性を付与することができる。
【0103】
また、ハフニウムなどのhigh-k材料の周囲に存在する膜の欠陥制御を行うときには、水素雰囲気中にて半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射する。詳細には、水素に窒素を混合した混合ガス中にてフラッシュ加熱処理を行う。この場合には、反応性ガス供給部84がバルブ86を開放してチャンバー6内に水素を反応性ガスとして供給するとともに、不活性ガス供給部81がバルブ83を開放してチャンバー6内に窒素を不活性ガスとして供給する。バルブ83およびバルブ86の双方が開放されることによって、チャンバー6内の熱処理空間65には反応性ガスとしての水素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスが供給されることとなる。
【0104】
チャンバー6内の熱処理空間65における混合ガス中の水素濃度は濃度センサ180によって測定されて制御部3に伝達される。制御部3は、濃度センサ180の測定結果に基づいて、熱処理空間65における混合ガス中の水素濃度が予め設定された所定値となるように反応性ガスの濃度調整を行う。具体的には、濃度センサ180による水素濃度の測定結果が所定値より低い場合には、制御部3が流量調整バルブ186を制御して水素の流量を増加する。逆に、濃度センサ180による水素濃度の測定結果が所定値より高い場合には、制御部3が流量調整バルブ186を制御して水素の流量を減少する。このようにして、濃度センサ180による水素濃度の測定結果が所定値に近づくように、制御部3が流量調整バルブ186を制御して反応性ガスとしての水素の流量を調整する。第2実施形態においては、混合ガス中の水素濃度が3%〜10%となるように濃度調整が行われる。なお、上記と同様に、不活性ガスの流量を調整することによって、熱処理空間65における混合ガス中の水素濃度を調整するようにしても良い。また、反応性ガスおよび不活性ガスの双方の流量を調整することによって、混合ガス中の水素濃度を調整するようにしても良い。
【0105】
このようにして水素濃度を調整し、熱処理空間65における混合ガス中の水素濃度が予め設定された所定値となっている状態にて、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光が照射されてフラッシュ加熱処理が行われる。所定濃度の水素/窒素の雰囲気中にてフラッシュ加熱処理が行われることによって、high-k材料の周囲に存在する膜に対する欠陥制御が行われる。
【0106】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においては、保持プレート7に加熱手段たるヒータ71および冷却手段たる水冷管72の双方を設けるようにしていたが、ヒータ71または水冷管72のいずれか一方のみを温調手段として保持プレート7に設けるようにしても良い。もっとも、ヒータ71および水冷管72の双方を設けた方が、室温近傍から200℃以下までの範囲に渡って適切な半導体ウェハーWの温調が可能となる。
【0107】
また、上記実施形態においては、加熱手段たるヒータ71を抵抗発熱体にて構成していたが、これ代えてハロゲンランプなどによる光照射加熱、誘導加熱、高温ガスの吹き付けなどによって半導体ウェハーWを温調するようにしても良い。
【0108】
また、保持プレート7を水平面内にて回転させる回転機構を設け、処理中に保持プレート7を回転させるようにしても良い。これにより、保持プレート7から流下される処理ガス流をより均一に半導体ウェハーWの表面に吹き付けることができる。
【0109】
また、複数の吐出孔69を穿設した吹き出しプレート68に代えて、またはこれに付加して、保持プレート7に保持される半導体ウェハーWの近傍に処理ガス供給のためのノズルを設けるようにしても良い。
【0110】
また、流量調整バルブ183,186,189に代えて、マスフローコントローラなどの気体の流量を制御できる他の機構を用いるようにしても良い。
【0111】
また、第1実施形態において、ガス供給部8から供給する処理ガスの種類を処理の途中で変更するようにしても良い。例えば、金属系の膜を半導体ウェハーWの表面に形成している場合において、最初は不活性ガス供給部81からチャンバー6内に不活性ガスを供給し、不活性ガス雰囲気中にてフラッシュ光照射を行って金属膜と下地のシリコンとを反応させる。次に、反応性ガス供給部84から当該金属膜と反応する反応性ガスをチャンバー6内に供給してガス種を変更する。この反応性ガスは、薄膜上面の未反応の金属と反応してエッチング処理が進行する。その後、再び不活性ガス供給部81から不活性ガスを供給してチャンバー6内を不活性ガス雰囲気に置換し、フラッシュ光照射によって残留薄膜の加熱処理を行うようにしても良い。
【0112】
また、上記実施形態においては、フラッシュ照射部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。
【0113】
また、本発明に係る熱処理技術によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。例えば、耐熱性に乏しいガラス基板や樹脂フィルム上に多結晶または非晶質のシリコンやゲルマニウム(Ge)の薄膜を形成し、その薄膜にボロン(B)やヒ素(As)などの不純物を注入し、上記の熱処理装置1によって薄膜の加熱処理を行うようにしても良い。本発明に係る熱処理技術によれば、耐熱性に乏しい下地のガラス基板や樹脂フィルムはほとんど昇温しないため、適切な膜の加熱処理を行うことができる。
【0114】
また、第2実施形態においては、high-k材料にフラッシュ加熱処理を行っていたが、第2実施形態の如き雰囲気制御を行いつつフラッシュ加熱処理を行う対象はこれに限定されるものではない。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜に対して同様の手法によって雰囲気制御を行いつつフラッシュ加熱処理を行っても良い。また、第2実施形態において、欠陥制御のために水素雰囲気中にてフラッシュ加熱処理を行う対象はハフニウムのhigh-k材料の周囲に存在する膜に限定されるものではなく、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)などのhigh-k材料の周囲に存在する膜であっても良い。
【符号の説明】
【0115】
1 熱処理装置
3 制御部
5 フラッシュ照射部
6 チャンバー
7 保持プレート
8 ガス供給部
9 排気部
65 熱処理空間
68 吹き出しプレート
69 吐出孔
71 ヒータ
72 水冷管
73 温度センサ
81 不活性ガス供給部
83,86,89 バルブ
84 反応性ガス供給部
87 クリーニングガス供給部
93 排気口
180 濃度センサ
183,186,189 流量調整バルブ
FL フラッシュランプ
W 半導体ウェハー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された薄膜の焼成処理を行う熱処理装置であって、
薄膜が表面に形成された基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内にて前記基板を保持する保持手段と、
前記保持手段に設けられ、前記保持手段が保持する前記基板を所定温度に温調する温調手段と、
前記チャンバー内に処理ガスを供給するガス供給手段と、
前記チャンバーから排気を行う排気手段と、
前記保持手段に保持されて前記温調手段によって所定温度に温調されている前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、
を備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の熱処理装置において、
前記温調手段は、
前記基板を200℃以下の温度に温調することを特徴とする熱処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱処理装置において、
前記温調手段は、
前記基板を加熱する加熱手段と、
前記基板を冷却する冷却手段と、
を含むことを特徴とする熱処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記ガス供給手段は、
前記基板の表面に形成された薄膜と反応する反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段を含むことを特徴とする熱処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の熱処理装置において、
前記ガス供給手段は、
不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を含み、
前記チャンバー内に反応性ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の熱処理装置において、
前記チャンバー内における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定する濃度測定手段と、
前記濃度測定手段の測定結果に基づいて、反応性ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれか一方の流量を調整して混合ガス中の反応性ガスの濃度を調整する濃度調整手段と、
をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の熱処理装置において、
前記ガス供給手段は、反応性ガスとしての酸素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理装置。
【請求項8】
請求項6記載の熱処理装置において、
前記ガス供給手段は、反応性ガスとしての水素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理装置。
【請求項9】
請求項6記載の熱処理装置において、
前記ガス供給手段は、反応性ガスとしての窒素に不活性ガスとしてのヘリウムまたはアルゴンを混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記ガス供給手段は、
前記チャンバー内に付着した汚染物質と反応して当該汚染物質を除去するクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段を含むことを特徴とする熱処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記保持手段に保持された前記基板の表面に対向して設けられ、当該表面に対向する領域に均一な密度にて複数の吐出孔を穿設し、前記ガス供給手段から供給された処理ガスを前記複数の吐出孔から前記基板に向けて吹き出す吹き出しプレートをさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記排気手段は、
前記チャンバー内を大気圧よりも低い気圧に減圧する減圧手段を含むことを特徴とする熱処理装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記フラッシュランプからフラッシュ光を照射する前後に前記基板を所定温度に維持するように前記温調手段を制御する温度制御手段をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項14】
基板の表面に形成された薄膜の焼成処理を行う熱処理方法であって、
薄膜が表面に形成された基板をチャンバー内に収容する収容工程と、
前記チャンバーから排気を行う排気工程と、
前記チャンバー内に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記チャンバー内に収容された前記基板を温調手段を有する保持手段に保持することによって所定温度に温調する温調工程と、
所定温度に温調されている前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュ照射工程と、
を備えることを特徴とする熱処理方法。
【請求項15】
請求項14記載の熱処理方法において、
前記温調工程では、前記基板を200℃以下の温度に温調することを特徴とする熱処理方法。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の熱処理方法において、
前記ガス供給工程では、前記チャンバー内に前記基板の表面に形成された薄膜と反応する反応性ガスを供給することを特徴とする熱処理方法。
【請求項17】
請求項16記載の熱処理方法において、
前記ガス供給工程では、前記チャンバー内に反応性ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理方法。
【請求項18】
請求項17記載の熱処理方法において、
前記チャンバー内における混合ガス中の反応性ガスの濃度を測定する濃度測定工程と、
前記濃度測定工程での測定結果に基づいて、反応性ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれか一方の流量を調整して混合ガス中の反応性ガスの濃度を調整する濃度調整工程と、
をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
【請求項19】
請求項18記載の熱処理方法において、
前記ガス供給工程では、反応性ガスとしての酸素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理方法。
【請求項20】
請求項18記載の熱処理方法において、
前記ガス供給工程では、反応性ガスとしての水素に不活性ガスとしての窒素を混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理方法。
【請求項21】
請求項18記載の熱処理方法において、
前記ガス供給工程では、反応性ガスとしての窒素に不活性ガスとしてのヘリウムまたはアルゴンを混合した混合ガスを供給することを特徴とする熱処理方法。
【請求項22】
請求項14から請求項21のいずれかに記載の熱処理方法において、
前記チャンバー内に付着した汚染物質と反応して当該汚染物質を除去するクリーニングガスを供給するクリーニング工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
【請求項23】
請求項14から請求項22のいずれかに記載の熱処理方法において、
前記排気工程は、前記チャンバー内を大気圧よりも低い気圧に減圧する減圧工程を含むことを特徴とする熱処理方法。
【請求項24】
請求項14から請求項23のいずれかに記載の熱処理方法において、
前記温調工程は、前記フラッシュ照射工程の前後に前記基板を所定温度に維持することを特徴とする熱処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−104808(P2012−104808A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209498(P2011−209498)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】