説明

熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

【解決手段】(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応物、(B)内部離型剤、(C)反射部材、(D)無機充填剤、(E)硬化触媒を必須成分とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、内部離型剤が、R11−COO−R12で示されるカルボン酸エステルと


(R1、R2、R3はH、−OH、−OR、−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1(nは1〜30)、aは10〜30、bは17〜61)で示される化合物とを併用する。
【効果】流動性、耐リフロ性、耐光性に優れ、黄変の少ない硬化物を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型性、流動性、高温保管時の信頼性に優れると共に、良好な耐光性を有し、熱による変色、特に黄変を抑えて、信頼性に優れた硬化物を与える熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び該組成物の硬化物で発光素子、受光素子その他の半導体素子を封止した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体・電子機器装置の封止材への信頼性要求は、薄型化、小型化と共に、高出力化によって、益々厳しくなっている。一例として、LEDやLD(lazer diode)等の半導体素子は、小型で効率よく鮮やかな色の発光をし、また半導体素子であるため球切れがなく、駆動特性が優れ、振動やON/OFF点灯の繰り返しに強い。そのため、各種インジケータや種々の光源として利用されている。
【0003】
このような半導体素子を用いたフォトカプラー等の半導体・電子機器装置の材料のひとつとして、ポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。
【0004】
しかしながら、今日の光半導体技術の飛躍的な進歩により、光半導体装置の高出力化及び短波長化が著しく、高エネルギー光を発光又は受光可能なフォトカプラー等の光半導体装置では、特に無着色・白色の材料として従来のPPA樹脂を用いた半導体素子封止及びケースでは、長期間使用による劣化が著しく、色ムラの発生や剥離、機械的強度の低下等が起こりやすく、このため、このような問題を効果的に解決することが望まれた。
【0005】
更に詳述すると、特許第2656336号公報(特許文献1)には、封止樹脂が、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化体で構成されていることを特徴とする光半導体装置が記載されている。この場合、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が主として用いられ、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることも記載されているが、トリグリシジルイソシアネートは、実施例においてビスフェノール型エポキシ樹脂に少量添加使用されているもので、本発明者らの検討によれば、このBステージ状半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に高温・長時間の放置で黄変するという問題がある。
【0006】
また、発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用については、特開2000−196151号公報(特許文献2)、特開2003−224305号公報(特許文献3)、特開2005−306952号公報(特許文献4)に記載があるが、これらは、いずれもトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とを用いてBステージ化したものではない。
【0007】
なお、本発明に関連する公知文献としては、上記の公報に加えて、下記特許文献5〜7及び非特許文献1が挙げられる。
【0008】
【特許文献1】特許第2656336号公報
【特許文献2】特開2000−196151号公報
【特許文献3】特開2003−224305号公報
【特許文献4】特開2005−306952号公報
【特許文献5】特許第3512732号公報
【特許文献6】特開2001−234032号公報
【特許文献7】特開2002−302533号公報
【非特許文献1】エレクトロニクス実装技術2004.4の特集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、長期間に亘り白色性、耐熱性、耐光性を保持し、均一で且つ黄変の少ない硬化物を与える熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び該組成物の硬化物で半導体素子が封止された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達したもので、本発明は、第一に、
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(B)成分の内部離型剤が、下記一般式(1)
【化1】


(式中、R11とR12はCn2n+1で示される同一又は異種のアルキル基、nは1〜30の数である。)
で示されるカルボン酸エステルと下記一般式(2)
【化2】


(式中、R1、R2、R3はH、−OH、−OR、−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である。)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示される化合物とを併用したものである熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0011】
この第一の熱硬化性エポキシ樹脂組成物によれば、長期間に亘り白色性、耐熱性、耐光性を保持し、均一で且つ黄変の少ない硬化物を与え、且つ、成形性、特に離型性に優れたものである。
この場合、(B)成分である式(1)のカルボン酸エステルと式(2)の化合物との合計添加量が、組成物全体の0.2〜5.0質量%であり、式(1)のカルボン酸エステルと式(2)の化合物との質量比が1:5〜10:1であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、第二に、
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(F)補強材、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、(F)成分が、化学式CaSiO3で示される三斜晶系の珪酸塩鉱物であることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0013】
この第二の熱硬化性エポキシ樹脂組成物によれば、長期間に亘り白色性、耐熱性、耐光性を保持し、均一で且つ黄変の少ない硬化物を与え、特に機械的な強度に優れ、耐熱性、耐光性が良好な硬化物を与えるものである。
この場合、(F)成分である補強材の添加量が、組成物全体に対して1〜80質量%であることが好ましく、また上記(B)成分の内部離型剤が、融点50〜70℃であるグリセリンモノステアレートを含むものであり、組成物全体に対して0.2〜5.0質量%含有することが好ましい。
【0014】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、半導体素子ケース形成用として有効である。
【0015】
また、本発明は、上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物で半導体素子を封止した半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第一の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、流動性、耐リフロー性、高温保管時の信頼性、離型性に優れると共に、長期間に亘り耐光性を保持し、均一で且つ黄変の少ない硬化物を与えるものである。また、本発明の第二の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、流動性、耐リフロー性、高温保管時の信頼性、離型性に優れると共に、特に機械的強度に優れる硬化物を与えるものである。
そのため、本発明の組成物の硬化物にて封止された発光素子やフォトカプラー等の受光素子を有する半導体・電子機器装置は、産業上特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(A)反応物
本発明に係る第一及び第二の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とを、エポキシ基当量/酸無水物基当量を0.6〜2.0の割合で反応させて得られた反応物を樹脂成分として使用する。
【0018】
(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂
本発明で用いられる(A−1)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂は、これを酸無水物と特定の割合で反応させて得られる反応物を樹脂成分として含有することにより、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の黄変を抑制し、且つ経時劣化の少ない半導体発光装置を実現する。かかるトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂であることが好ましい。特にイソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れており、1つのイソシアヌレート環に対して、2価の、より好ましくは3価のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等を用いることができる。
【0019】
本発明で用いるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の軟化点は90〜125℃であることが好ましい。なお、本発明において、このトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、トリアジン環を水素化したものは包含しない。
【0020】
(A−2)酸無水物
本発明で用いられる(A−2)成分の酸無水物は、硬化剤として作用するものであり、耐光性を与えるために非芳香族であり、且つ炭素炭素二重結合を有さないものが好ましく、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などが挙げられ、これらの中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物系硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0021】
酸無水物系硬化剤の配合量としては、上記した酸無水物基1当量に対しトリアジン誘導体エポキシ樹脂のエポキシ基が0.6〜2.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量、更に好ましくは1.2〜1.6当量となる量である。エポキシ基当量/酸無水物基当量が0.6当量未満では硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。また、2.0当量を超える量では未反応硬化剤が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。
【0022】
本発明においては、上記した(A−1),(A−2)成分、又は(A−1),(A−2)成分と後述する酸化防止剤を、予め70〜120℃、好ましくは80〜110℃にて4〜20時間、好ましくは6〜15時間、又は(A−1),(A−2)と後述する硬化触媒、又は(A−1),(A−2)とそれぞれ後述する酸化防止剤、硬化触媒を、予め30〜80℃、好ましくは40〜60℃にて10〜72時間、好ましくは36〜60時間反応させ、軟化点が50〜100℃、好ましくは60〜90℃である固形物とし、これを粉砕して配合することが好ましい。反応させて得られる物質の軟化点が、50℃未満では固形物とはならず、100℃を超える温度では流動性が低下するおそれがある。この場合、反応時間が短すぎると、高分子成分が少なくて固形物とならず、長すぎると、流動性が低下する場合が生じる。なお、本発明において、軟化点は、JIS環球法値による測定法に基づく測定値である。
【0023】
ここで得られた反応物(反応固形物)は、(A−1)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂と(A−2)成分の酸無水物との反応物のうち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析において(但し、分析条件として試料濃度0.2%、注入量50μlを移動相THF100%、流量1.0ml/min.、温度40℃の条件下、検出器RIで測定)、分子量が1,500を超える高分子量成分と、分子量300〜1,500までの中分子量成分と、モノマー成分とを含有し、高分子量成分が20〜70質量%、中分子量成分が10〜60質量%、モノマー成分が10〜40質量%であることが好ましい。
【0024】
上記反応物は、(A−1)成分としてトリグリシジルイソシアネートを用いた場合、下記式(3)で示される反応生成物を含有し、特に(A−2)成分の酸無水物がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸である場合、下記式(4)で示される反応生成物を含有する。
【0025】
【化3】

【0026】
上記式中、R4は酸無水物残基、mが0〜200、好ましくは0〜100の範囲の任意のものを含み、平均分子量が500〜10万の成分であるが、本発明に係る反応物にあっては、上述したように、分子量が300〜1,500の中分子量成分を10〜60質量%、特に10〜40質量%、モノマー成分(未反応エポキシ樹脂及び酸無水物)を10〜40質量%、特に15〜30質量%含有することが好ましい。
【0027】
(B)内部離型剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、内部離型剤を配合する。(B)成分の内部離型剤は、成形時の離型性を高めるために配合するものである。
この場合、内部離型剤としては、下記一般式(2)
【化4】


(式中、R1、R2、R3はH、−OH、−OR、−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である。)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示され、且つ融点が50〜70℃の範囲である成分を含む。
【0028】
内部離型剤としては、カルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスがあるが、一般的に高温条件下や光照射下では、容易に黄変したり、経時劣化したりして、離型性を有しなくなるものが多い。
その中で、本発明に係る上記式(2)の内部離型剤は、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、且つ長期間に亘り良好な離型性を継続して保持する。
【0029】
この場合、一般式(1)中のR1、R2、R3のうち、少なくともひとつは−OCOCabであることが必須である。すべてが−OHでは、十分な離型性、耐熱性が得られないが、構造内に−OCOCabを含むことにより、良好な相溶性と耐熱性、離型性を有することができる。
−OCOCabに含まれるa及びbは、a=10〜30、好ましくはa=11〜20のものが好適である。a=10未満では、十分な耐熱黄変性が得られない場合があり、a=30を超えると十分に相溶せず、良好な離型効果が得られない場合がある。
また、bはCabが飽和あるいは不飽和の脂肪族炭化水素基であり、不飽和の場合、不飽和基を1又は2個有するものが好ましく、従ってb=2a+1、2a−1又は2a−3であるもの、特にb=2a+1、2a−1であるものが好ましい。この点からb=17〜61、好ましくは19〜41の整数であることがよく、より好ましくはb=21〜61、特に23〜41の整数である。
【0030】
具体的には、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリントリ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノベヘネート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノベヘネート等が挙げられる。
【0031】
但し、融点、高温での揮発分も耐熱性特性には重要な特性であり、融点は50〜90℃、好ましくは65〜85℃が好ましい。更には、250℃での揮発分が10質量%以下のものが好ましい。融点が、50℃未満では十分な耐熱黄変性が得られない場合があり、90℃を超えると相溶性が不十分になり、良好な離型効果が得られない場合がある。特に分散性、相溶性の面から融点50〜70℃のグリセリンモノステアレートが好ましい。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルも好ましい。
【0032】
なお、上記式(2)の内部離型剤は、全内部離型剤(B)中20〜100質量%、特に50〜100質量%含有することが好ましい。この場合、残りの離型剤は、上述した天然ワックス、酸ワックス、他の合成ワックス等である。
【0033】
ここで、本発明の第一のエポキシ樹脂組成物においては、内部離型剤として、上記一般式(2)で示される化合物と下記一般式(1)
【化5】


(式中、R11とR12はCn2n+1で示される同一又は異種のアルキル基、nは1〜30、好ましくは2〜28、更に好ましくは5〜25の数である。)
で示されるカルボン酸エステルとを併用することを特徴とする。なお、第二のエポキシ樹脂組成物においても、かかる併用系を用いることは推奨される。
【0034】
上記一般式(1)のカルボン酸エステルも、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、且つ長期間に亘り良好は離型性を継続して保持するものである。この場合、式(1)のカルボン酸エステルと式(2)の化合物との併用割合は、質量比として(1):(2)=1:5〜10:1、より好ましくは1:4〜8:1である。式(1)のカルボン酸エステルが少なすぎると、連続成形性が十分ではないことがあり、多すぎると、接着性が低下することがある。
【0035】
該内部離型剤(B)の添加量は、組成物全体の0.2〜5.0質量%、特には0.5〜3.0質量%が好ましい。添加量が0.2質量%未満では、十分な離型性を得られない場合があり、5.0質量%を超えると、沁み出し不良や接着性不良等が起こる場合がある。
【0036】
(C)反射部材
本発明のエポキシ樹脂組成物には、反射部材を配合する。(C)成分の反射部材は、白色着色剤として、白色度を高めるために配合するものであり、反射部材としては二酸化チタンを用いることが好ましく、この二酸化チタンの単位格子は耐候性という点でルチル型が好ましい。また、平均粒径や形状も限定されないが、平均粒径は通常0.05〜5.0μmである。上記二酸化チタンは、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、無機物、有機物で予め表面処理することができ、特にAl、Si、ポリオール処理することが好ましい。また、反射部材(白色着色剤)として、二酸化チタン以外にチタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を単独で又は二酸化チタンと併用して使用することもできる。
また、本発明の(C)成分には、鉛の含有量が少ない酸化チタンを使用することが好ましい。鉛は環境対策の面で含有量が多いと使用が規制されることがある。鉛の含有量としては10ppm以下好ましくは2ppm以下、更には0ppmが好ましい。このような材料としては具体的に石原産業製のCR−95などが選ばれるが特に限定されるものではない。
なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
【0037】
反射部材の充填量は、組成物全体の2〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。2質量%未満では十分な白色度が得られない場合があり、80質量%を超えると未充填やボイド等の成形性が低下する場合がある。
【0038】
(D)無機充填剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に無機充填剤を配合する。配合される(D)成分の無機充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、三酸化アンチモン等が挙げられるが、上記した反射部材(白色着色剤)は除かれる。
【0039】
これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常5〜40μmである。
なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
【0040】
上記無機充填剤は、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
【0041】
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
【0042】
無機充填剤の充填量は、(A−1)エポキシ樹脂と(A−2)酸無水物の総量100質量部に対し、20〜700質量部、特に50〜400質量部が好ましい。20質量部未満では、十分な強度を得ることができないおそれがあり、700質量部を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、この無機充填剤は、組成物全体の10〜90質量%、特に20〜80質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0043】
(E)硬化触媒
この(E)成分の硬化触媒としては、エポキシ樹脂組成物の硬化触媒として公知のものが使用でき、特に限定されないが、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩、有機カルボン酸金属塩、金属−有機キレート化合物、芳香族スルホニウム塩、有機ホスフィン化合物類、ホスホニウム化合物類等のリン系硬化触媒、これらの塩類等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、イミダゾール類、リン系硬化触媒、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール又はメチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト、第三級アミンのオクチル酸塩が更に好ましい。また、第四級ホスホニウムブロマイドとアミンの有機酸塩の併用も好ましく用いられる。
【0044】
硬化触媒の使用量は、組成物全体の0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるおそれがある。
【0045】
(F)補強材
本発明のエポキシ樹脂組成物、特に第二のエポキシ樹脂組成物には、補強材を配合する。(F)成分の補強材は、成形物の強度を高めるために配合するものである。この補強材としては化学式CaSiO3で示される三斜晶系の珪酸塩鉱物であるウォラストナイトを用いることが好ましい。このウォラストナイトにはα型とβ型の2種類があり、α型は粒状が多くアスペクト比は低く、融点は1,125℃である。β型は繊維状でアスペクト比が高く、融点が1,545℃であり、補強性能が優れている。
【0046】
ウォラストナイトに代表される補強材の充填量は、組成物全体の1〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。1質量%未満では十分な強度が得られない場合があり、80質量%を超えると未充填やボイド等の成形性が低下する場合がある。
【0047】
その他添加剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要により、酸化防止剤を配合することができる。
(G)成分の酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤を使用でき、酸化防止剤の具体例としては、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
【0048】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、中でも2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが好ましい。
【0049】
リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、トリフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホネート等が挙げられ、中でも亜リン酸トリフェニルが好ましい。
【0050】
また、硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0051】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、リン系酸化防止剤単独又はフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との使用割合は、質量比でフェノール系酸化防止剤:リン系酸化防止剤=0:100〜70:30、特に0:100〜50:50とすることが好ましい。
【0052】
酸化防止剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物中、0.01〜10質量%、特に0.03〜5質量%とすることが好ましい。配合量が少なすぎると十分な耐熱性が得られず、変色する場合があり、多すぎると硬化阻害を起こし、十分な硬化性、強度を得ることができない場合がある。
【0053】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、エポキシ系等の低応力剤、ハロゲントラップ剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
【0054】
その他のエポキシ樹脂
また、本発明の組成物には、必要に応じて、(A−1)成分以外のエポキシ樹脂を本発明の効果を損なわない範囲で一定量以下(特に、(A−1)成分100質量部に対し0〜40質量部、特に5〜20質量部の割合で)配合することができる。このエポキシ樹脂の例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂又は4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂のようなビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、その他のエポキシ樹脂の軟化点は70〜100℃であることが好ましい。
【0055】
エポキシ樹脂組成物の調製方法
本発明のエポキシ樹脂組成物を成形材料として調製する場合の方法としては、反応物として、予め(A−1),(A−2)成分を混合して、70〜120℃、好ましくは80〜110℃の温度範囲にて、又は、予め(A−1),(A−2),(E)成分の各成分を混合して30〜80℃、好ましくは40〜60℃の温度範囲にて、無溶媒の加温可能な反応釜等の装置により均一に溶融混合し、混合物が常温で取扱うのに十分な軟化点、具体的には50〜100℃、より好ましくは60〜90℃になるまで増粘させたものを冷却して、固形化したものを使用する。
【0056】
この場合、これら成分を混合する温度域としては、(A−1),(A−2)成分を混合する場合は70〜120℃が適切であるが、より好ましくは80〜110℃の範囲である。混合温度が70℃未満では、室温で固形となるような混合物を得るためには温度が低すぎ、120℃を超える温度では、反応速度が速くなりすぎるため、期待した反応度で反応を停止することが難しくなってしまう。なお、(A−1),(A−2),(E)成分を混合する場合の温度は上記の通りであるが、混合温度が低すぎる場合、逆に高すぎる場合の不利は上記と同様である。
【0057】
次に、この固形物(反応物)を粉砕した後、(B),(C),(D)成分、及び(E)成分を、上記固形物(反応物)の調製に用いない場合は(E)成分や必要によりその他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕してエポキシ樹脂組成物の成形材料とすることができる。
【0058】
このようにして得られる本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体素子ケース形成用として有効に使用することができ、また、発光素子、受光素子その他の半導体素子を封止した半導体装置の封止材として好適であり、例えばフォトカプラー用の封止材として有効に利用できる。なおここで、本発明の組成物を用いた半導体素子の一例であるフォトカプラーの断面図を図1に示す。図1で示されるフォトカプラーは、化合物半導体からなる半導体素子1がリードフレーム2にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ3により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンドされている。また、この半導体素子1と対向するように受光用の半導体素子4がリードフレーム5上にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ6により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンディングされている。これらの半導体素子の間は透明封止樹脂7により充填されている。更に、この封止樹脂7により被覆された半導体素子は本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物8により樹脂封止されている。
【0059】
この場合、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の封止の最も一般的な方法としては低圧トランスファ成形法が挙げられる。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の成形温度は150〜185℃で30〜180秒行うことが望ましい。後硬化は150〜185℃で2〜20時間行ってもよい。
【0060】
第1の表面実装型発光装置
本発明の組成物を用いた表面実装型発光装置を説明する。本発明の組成物を用いた表面実装型発光装置の断面図を図2に示す。図2で示される表面実装型発光装置100は、発光素子110と、発光素子110を載置する凹部183を有するパッケージ180と、発光素子110を被覆する封止部材170とを有している。パッケージ180は、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物から成形されている。パッケージ180には、発光素子110と電気的に接続される第1のリード電極121及び第2のリード電極122が固定されている。
発光素子110は、同一面側に正負一対の第1の電極111と第2の電極112とを有している。この表面実装型発光装置においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子の上面と下面とから正負一対の電極を有するものを用いることもできる。この場合、発光素子の下面の電極はワイヤを用いずに、電気伝導性のあるダイボンド部材を用いて第1のリード電極121若しくは第2のリード電極122と電気的に接続する。
【0061】
パッケージ180の主面側の平面形状は矩形であるが、楕円、円形、五角形、六角形等とすることもできる。凹部183の主面側の平面形状は、楕円であるが、略円形、矩形、五角形、六角形等とすることも可能である。パッケージ180の表面には、発光素子110の正極の方向を示すためにカソードマークを付けることができる。
【0062】
第1のリード電極121は第1のインナーリード部121aと第1のアウターリード部121bとを有している。第1のインナーリード部121aは、発光素子110が持つ第1の電極111とワイヤ130を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部121bはパッケージ180から露出している。
第2のリード電極122は第2のインナーリード部122aと第2のアウターリード部122bとを有している。第2のインナーリード部122aは、発光素子110が持つ第2の電極112とワイヤ130を介して電気的に接続されている。第2のアウターリード部122bはパッケージ180から露出している。
第1のインナーリード部121a及び第2のインナーリード部122aは、表面が凹部183の底面181から露出している。リード電極121,122bは、パッケージ180の側面外側に露出している部分をアウターリード部121b,122bと呼ぶほか、パッケージ180の裏面側に露出している部分をアウターリード部121b,122bと呼ぶ場合もあり、アウターリード部121b,122bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第1のリード電極121及び第2のリード電極122は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。第1のリード電極121と第2のリード電極122との間には、パッケージ180の一部184が介在しており、電極間の短絡を防止している。
【0063】
凹部183の開口部は、底面181よりも広口になっており、側面182には傾斜が設けられてテーパ面として形成されていることが好ましい。パッケージ180が持つ凹部183は、四方囲まれている形状が好ましいが、対向する二方のみ壁部を形成していてもよい。
【0064】
封止部材170は、発光素子110を被覆するように凹部183内に配置している。封止部材170は、熱硬化性樹脂を用いている。封止部材170は蛍光物質190を含有する。蛍光物質190は、封止部材170中に均一に分散されている。但し、蛍光物質190は封止部材170よりも比重の大きいものを使用して、凹部183の底面181側に沈降させてもよい。
【0065】
パッケージ180と封止部材170とは熱硬化性樹脂を用いており、膨張係数などの物理的性質が近似していることから密着性が極めて良い。また、上記構成にすることにより、耐熱性、耐光性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0066】
第1の表面実装型発光装置の製造方法
本発明に係る発光装置の製造方法について説明する。
(1.リード電極121,122の形成)
まず、第1のリード電極121及び第2のリード電極122の表面にAg膜を被覆する。Ag膜の被覆方法としては、電気Agメッキ法、無電解Agメッキ法、PVD法、CVD法などを用いることができる。特に、コスト、品質のバランスから、電気Agメッキ法が好ましい。本明細書では、「電気Agメッキ法」とは、金属イオンを含む電解溶液中でリード電極を陰極として通電し、リード電極の表面にAg(必要に応じて下地用の金属)を電析させることを指す。電気Agメッキ法の詳細を以下に説明する。
まず、リード電極121,122をアルカリ浸漬脱脂溶液、アルカリ電解脱脂溶液に浸漬し、油分を除去する。なお、第1及び第2のリード電極素材としては、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体が用いられる。次いで、リード電極121,122を酸溶液に浸漬し、酸化膜を除去する。必要に応じて、アルカリ中和溶液に浸漬して中和する。その後、Agメッキ前の下地処理として、電気Cuストライクメッキ、電気Cuメッキ、及び電気Agストライクメッキ等を行う。各下地処理に適した電解溶液にリード電極121,122を順次浸漬し、表面に下地金属を電析させる。そして、下地処理が完了したリード電極121,122を、Agメッキ用の電解溶液に浸漬してAgを電析させる。なお、各電解溶液で電析を行った後には、リード電極121,122を純水で洗浄する。最後のAgメッキ後の純水洗浄を行った後、リード電極121,122を乾燥させる。
この一連の工程により、リード電極121,122の表面には、Ag膜151,152が被覆される。
【0067】
(2.金型141,142によるリード電極121,122の挟持)
図3及び図4に図示するように、Ag膜を被覆した面を上側にして、第1のリード電極121と第2のリード電極122を、上金型141と下金型142とで上下から挟み込む。上金型141はパッケージ180の形状に対応した内部空隙143と、パッケージの凹部を形成するための凸部144とを備えている。ここで、パッケージ180に使用される熱硬化性樹脂は型流れがよく、第1のリード電極121及び第2のリード電極122と凸部144との隙間に侵入することがある。熱硬化性樹脂が第1のリード電極121及び第2のリード電極122の上面に付着すると、それらのリード電極121,122の表面に絶縁膜を形成してしまうので、そのような熱硬化性樹脂の侵入は好ましくない。そこで、リード電極121,122の裏面を下金型142で押し上げて、凸部144に前記第1のリード電極121及び前記第2のリード電極122を押し当てるのがよい。
なお、この例では下金型は平坦になっているが、パッケージ180の種類によっては内部空隙を備えることもできる。その場合には、下金型142によりリード電極121,122を押し上げにくくなるので、下金型の一部に押し上げ用の突条部材を設けたり、又は下金型を貫通する別部材を設けてリード電極121,122を押し上げたりすることができる。
【0068】
(3.パッケージの成形)
図5に図示するように、上金型141の空隙143に熱硬化性樹脂を注入し、加熱硬化してパッケージを成形する。熱硬化性樹脂の注入方法として、トランスファ・モールドを利用できる。
トランスファ・モールドは、所定の大きさを有するペレット状の熱硬化性樹脂を所定の容器に入れる。その所定の容器に圧力を加える。その所定の容器から繋がる上金型141と下金型142とで挟み込まれた凹み部分に、溶融状態の熱硬化性樹脂を流し込む。上金型141と下金型142とを所定の温度に温め、その流し込まれた熱硬化性樹脂を硬化する。この一連の工程をトランスファ・モールドという。
第1のリード電極121及び第2のリード電極122は、金型で挟み込まれているので、熱硬化性樹脂を流し込む際にリード電極121,122がばたつくことがなく、バリの発生を抑制できる。
【0069】
(4.バリ取り工程)
成形後のパッケージ180は、パッケージ180の外周や凹部183の内部にバリが発生する場合がある。これらのバリは、発光素子10を実装する前に除去される。バリの除去には、電解処理、ケミカルディッピング、ドライブラスト、ウォータージェット、液体ホーニングなどのバリ取り除去関連装置を組み合わせて用いることができる。
【0070】
(5.共晶層160の成膜)
加熱硬化が終わったパッケージ180は、上金型141及び下金型142から取り外されて、発光素子110等が実装される。発光素子110の実装に先立って、発光素子110の裏面に、金属のハンダ材料から成る共晶層160を成膜しておく。共晶層160の成膜方法としては、ペースト材を使用した印刷、ディスペンス、転写、プリフォーム、箔成形、メタライズ、ボール形成などがある。
【0071】
(6.発光素子110の実装)
図6に図示するように、パッケージ180の凹部183の内部に、発光素子110を配置する。このとき、発光素子110の共晶層160が、第1のリード電極121の上面に接触するよう発光素子110を配置しなくてはならない。パッケージ180ごと加熱処理して共晶層160を溶融(リフロー)し、その後に放冷すると発光素子110は第1のリード電極121の表面に固定される。
そして、発光素子110の電極111,112と、第1のリード電極121及び第2のリード電極122とを導電ワイヤ130によって、電気的に接続する。
【0072】
(7.封止部材170の充填)
図7に図示するように、発光素子110の固定後に、凹部183内に封止部材170用の熱硬化性樹脂を充填する。熱硬化性樹脂の充填は、滴下手段や射出手段、押出手段などにより行うが、特に滴下手段を用いることが好ましい。滴下手段では、熱硬化性樹脂の充填と同時に、凹部183内に残存する空気を効果的に追い出すことができるからである。熱硬化性樹脂には蛍光物質190を混合しておくことが好ましい。これにより発光装置の色調調整を容易に行うことができる。
注入が完了したら、熱硬化性樹脂を加熱硬化して封止部材170を形成する。
【0073】
第2の表面実装型発光装置
本発明の組成物を用いた第2の表面実装型発光装置を説明する。図8は、第2の表面実装型発光装置を示す斜視図である。図9は、第2の表面実装型発光装置を示す断面図である。図9は図8に示すIX−IXの断面図である。図10は、第2の表面実装型発光装置に用いられるリードフレームを示す平面図である。
第2の表面実装型発光装置200は、外側面280bにおいて樹脂部285とリード225とを略同一面に形成するパッケージ280を有する。リード225は底面(パッケージ280の外底面280a)及び上面(凹部283の底面281)の少なくともいずれか一面にメッキ処理を施している。一方、リード225の側面(パッケージ280の外側面280b)はメッキ処理が施されていない。パッケージ280の外側面280bは、樹脂部285が大面積を占めており、リード225が隅部から露出している。
パッケージ280は、樹脂部285と、リード225と、から構成されている。樹脂部285は、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いている。パッケージ280はリード225を配置している外底面280aと、リード225の一部が露出している外側面280bと、開口する凹部283を形成する外上面280cとを有する。パッケージ280には底面281と側面282とを有する凹部283が形成されている。パッケージ280の底面281にはリード225が露出しており、リード225に発光素子210が載置されている。パッケージ280の凹部283内には発光素子210を被覆する封止部材270を配置する。封止部材270は蛍光物質290を含有している。発光素子210は、ワイヤ230を介してリード225と電気的に接続している。パッケージ280の外上面280cはリード225が配置されていない。
パッケージ280の外側面280bの全包囲の長さにおいて、リード225が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム220に切り欠き部220aを設け、その切り欠き部220aに沿って切断するため、リードフレーム220の切断部分がパッケージ280から露出される部分である。
パッケージ280は、四隅からリード225が露出している。リード225は外側面280bにおいて露出しており、メッキ処理を施していない。また、リード225は外底面280aにも露出する構造を採ることができ、メッキ処理を施すこともできる。なお、個片化された後にリード225の外側面280bにメッキ処理を施すことは可能である。
【0074】
このパッケージ280は、電流を投入することにより発光素子210が発熱しても劣化しにくく耐熱性に優れたものである。
表面実装型発光装置200の形状は特に問わないが、略直方体、略立方体、略六角柱などの多角形形状としてもよい。凹部283は、開口方向に拡がっていることが好ましいが、筒状でも良い。凹部283の平面形状は略円形状、略楕円形状、略多角形形状などを採ることができる。
【0075】
第2の表面実装型発光装置の製造方法
第2の表面実装型発光装置の製造方法について説明する。図11は、第2の表面実装型発光装置の製造方法を示す概略断面図である。図12は、樹脂成形体を示す平面図である。
第2の表面実装型発光装置の製造方法は、切り欠き部220aを設けたリードフレーム220を上金型241と下金型242とで挟み込む工程[図11(A),(B)]と、上金型241と下金型242とで挟み込まれた金型240内に、熱硬化性樹脂286をトランスファ・モールドして、リードフレーム220に樹脂成形体287を形成する工程[図11(C)]と、切り欠き部220aに沿って樹脂成形体287とリードフレーム220とを切断する工程[図11(D)]とを有する。
まず、トランスファ・モールドに用いる上金型241及び下金型242からなる金型240について説明する。
上金型241は、上金型の上部を構成する平板の本体部と、本体部の端部から枠状に形成された外壁部と、本体部から突出した複数の突出部と、外壁部の一部を水平方向に貫通する注入口とを有する。
外壁部は、本体部の端部から垂直に突出されており、樹脂成形体の第一外側面、第二外側面、第三外側面及び第四外側面をそれぞれ成形する第一外壁部、第二外壁部、第三外壁部及び第四外壁部を備えている。即ち、外壁部は樹脂成形体の外郭を成形する部分であって、平面視長方形に形成されている。外壁部の形状は、所望の樹脂成形体の形状に応じて適宜形成すればよい。
突出部はトランスファ・モールドの際にリードフレーム220と接触する部分であって、その接触部分に熱硬化性樹脂286が流れ込まないようにすることにより、リードフレーム220の一部が樹脂成形体287から露出される露出部を形成できる。突出部は、本体部から下方に突出しており、外壁に囲まれるように形成されている。突出部は、リードフレーム220と接触する部分が平坦に形成されている。樹脂成形体287の上面の面積あたりに効率よく凹部を形成するためには、一方向且つ等間隔に突出部が形成され、各突出部においてその一方向から90°方向且つ等間隔に突出部が形成されることが好ましい。
注入口は、熱硬化性樹脂286を注入するためであって、外壁部の略中央下端に、水平方向に貫通して形成されている。注入口は、半円形状の断面を有し、注入口の入口部分から出口部分に向けて幅が狭くなるように形成されている。
また、特に図示はしないが、上金型241の上部には、本体部を貫通するピン挿入孔が形成されている。ピン挿入孔は、上金型241から樹脂成形体287を脱型するときにピンを挿入させるための孔である。
下金型242は、所定の厚みを有する板材であって、表面が平坦に形成されている。下金型242は、上金型241と接触させることにより、空間部を成形するものである。
【0076】
次に、各製造工程について説明する。
(1.金型241,242によるリードフレーム220の挟持)
リードフレーム220は、切り欠き部220aを設けた後、金属メッキ処理を行っておく。
まず、切り欠き部220aを設けたリードフレーム220を上金型241と下金型242とで挟み込む。上金型241と下金型242とで挟み込むことによって金型240内に空間が設けられる。
このとき、凹部283が形成される位置にある切り欠き部220aが上金型241の有する突出部と下金型242とで挟まれるように配置する。これにより切り欠き部220aにおけるリードフレーム220のバタつきが抑制され、バリの発生を低減することができる。
【0077】
(2.樹脂成形体287の形成)
次に、上金型241と下金型242とで挟み込まれた金型内に、熱硬化性樹脂286をトランスファ・モールドして、リードフレーム220に樹脂成形体287を形成する。
金型240内に設けられた空間に、注入口から熱硬化性樹脂286を注入して、所定の温度と圧力とを加えてトランスファ・モールドする。上金型241と下金型242とで切り欠き部220a付近のリードフレーム220を挟み込んでいるため、熱硬化性樹脂286をトランスファ・モールドする際に、リードフレーム220がバタつかず、凹部283の底面281においてバリの発生を抑制できる。
【0078】
ピン挿入部にピンを挿入させて樹脂成形体287を上金型241から抜脱する。金型240内において所定の温度を加えて仮硬化を行い、その後、金型240から抜脱して、仮硬化よりも高い温度を加えて本硬化を行うことが好ましい。
【0079】
(3.発光素子210の実装)
次に、樹脂成形体287に形成された凹部283の底面281のリードフレーム220に発光素子210を載置し、ワイヤ230によりリードフレーム220と電気的に接続する。発光素子210を載置する工程は、樹脂成形体287を金型240から抜脱した後に載置できる他、樹脂成形体287を切断し個片化したパッケージ280に発光素子210を載置してもよい。また、ワイヤを用いず発光素子をフェイスダウンして実装してもよい。発光素子210をリードフレーム220に実装した後、蛍光物質290を含有した封止部材270を凹部283内に充填し硬化する。
【0080】
(4.樹脂成形体287とリードフレーム220とを切断する工程)
次に、切り欠き部220aに沿って樹脂成形体287とリードフレーム220とを切断する。
複数の凹部283が形成された樹脂成形体287は、隣接する凹部283の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソー135を用いて樹脂成形体287側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体287とリードフレーム220とが略同一面となっており、リードフレーム220が樹脂成形体287から露出している。このように切り欠き部220aを設けることにより、切断されるリードフレーム220は少なくなりリードフレーム220と樹脂成形体287との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム220の上面だけでなく、切り欠き部220aに相当する側面も樹脂成形体287と密着するため、リードフレーム220と樹脂成形体287との密着強度が向上する。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0082】
下記例で使用した原料を以下に示す。
(A−1)エポキシ樹脂
トリアジン誘導体エポキシ樹脂;トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネート(TEPIC−S:日産化学工業(株)製商品名、エポキシ当量100)
(A−2)酸無水物
非炭素炭素二重結合酸無水物;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名)
(B)内部離型剤
(B−1)グリセリンモノステアレート(H−100;理研ビタミン(株)製商品名)
(B−2)プロピレングリコールモノベヘネート(PB−100;理研ビタミン(株)製商品名)
(B−3)ステアリルステアレート(SL−900A;理研ビタミン(株)製商品名)
(B−4)ポリエチレンワックス(PE−190;クラリアントジャパン(株)製商品名)
(B−5)酸化ポリエチレンワックス(H−22;クラリアントジャパン(株)製商品名)
(B−6)酸ワックス;ステアリン酸(和光純薬工業(株)製商品名)
(C)反射部材
(C−1)二酸化チタン;ルチル型(CR−95:石原産業(株)製商品名)
(C−2)二酸化チタン;ルチル型(R−45M:堺化学工業(株)製商品名)
(C−3)二酸化チタン;ルチル型(R−820:石原産業(株)製商品名)
(D)無機充填剤;破砕溶融シリカ((株)龍森製商品名)
(E)硬化触媒
(E−1)リン系硬化触媒;第4級ホスホニウムブロマイド(U−CAT5003:サンアプロ(株)製商品名)
(E−2)アミン系硬化触媒;特殊アミン(U−CAT18X:サンアプロ(株)製商品名)
(E−3)リン系硬化触媒;第4級ホスホニウムボレート(PX−4PB:日本化学工業(株)製商品名)
(F)補強材
(F−1)ウォラストナイト(KGP−H65:関西マテック(株)製商品名)
【0083】
<表面実装型発光装置の製造方法>
本発明に係る発光装置の製造方法は、上述した図3〜7を用いて説明した通りである。
【0084】
表1に示す通り、各内部離型剤において、以下の特性を測定した。結果を表1に示す。
《耐熱黄変性》
各内部離型剤をアルミシャレ内に10gずつ入れ、180℃で24時間放置し、黄変性を比較した。
【0085】
【表1】

【0086】
[実施例1〜3、比較例1〜6]
表1に示す結果より、耐熱黄変性の良好であった(B−1)〜(B−3)を選んだ。
エポキシ樹脂、酸無水物、酸化防止剤を予め反応釜により、100℃にて3時間溶融混合し、冷却して固化させた後(軟化点は60℃)、粉砕し、他成分と所定の組成比にて配合し、熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉砕して表2に示す白色エポキシ樹脂組成物を得た。
これらの組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表2に示す。
【0087】
《点灯試験》
実施例及び比較例の発光装置を長時間点灯させたときの初期特性、出力安定性を調べた。点灯試験は、試験温度、発光装置への投入電流は、25℃で500mA、100℃で350mA、60℃,90%RHで600mAとして、各1,000時間の条件で行った。1,000時間点灯後、発光装置の光出力は、積分球を用いて測定した。
《スパイラルフロー値》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃,6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で測定した。
《溶融粘度》
高化式フローテスターを用い、10kgfの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度175℃で粘度を測定した。
《曲げ強度》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃,6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で硬化物を成形し、室温で測定した。
《連続成形性》
1フレームに6キャビティーを持った100P−QFP(14mm×20mm×2.7mm)のパッケージデザインである金型をセットした連続成形機において、メラミン樹脂、離型回復剤で金型をクリーニング後、180℃,60秒で連続成形した際、ゲート、ランナー折れ等の離型不良、無充填発生のいずれかにより連続成形が途絶えるまでのショット数を比較した(300ショットを上限とした。)
《光反射率》
175℃,6.9N/mm2、成形時間180秒の条件で直径50mm×厚さ3mmの円盤(硬化物)を成形し、成形直後、180℃で24時間保管後、UV照射24時間後(365nmピーク波長の高圧水銀灯60mW/cm)の波長450nmにおける光反射率をエス・デイ・ジー株式会社製X−rite 8200を使用して測定した。
《耐リフロー性》
175℃,6.9N/mm2、成形時間2分の条件で直径50mm×厚さ3mmの円盤を成形し、300℃で1時間放置し、外観を比較した。
【0088】
【表2】

【0089】
また、実施例1と比較例4の鉛含有量を測定したところ、各々0ppm、25ppmであった。
【0090】
[実施例4〜6、比較例7〜10]
エポキシ樹脂、酸無水物、酸化防止剤を予め反応釜により、100℃にて3時間溶融混合し、冷却して固化させた後(軟化点は60℃)、粉砕し、他成分と所定の組成比にて配合し、熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉砕して表3に示す白色エポキシ樹脂組成物を得た。
これらの組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表3に示す。
【0091】
《スパイラルフロー値》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃,6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で測定した。
《曲げ強度》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃,6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で硬化物を成形し、室温及び260℃で測定した。
【0092】
《光反射率》
175℃,6.9N/mm2、成形時間180秒の条件で直径50mm×厚さ3mmの円盤(硬化物)を成形し、成形直後、180℃で24時間保管後、UV照射24時間後(365nmピーク波長の高圧水銀灯60mW/cm)の波長450nmにおける光反射率をエス・デイ・ジー株式会社製X−rite 8200を使用して測定した。
《ボイドの有無》
175℃,6.9N/mm2、成形時間180秒の条件で28mm×28mm×1.4mmのQFPパッケージを12成形し、得られた成形物を軟X線で内部ボイドを観察し。500μm以上のボイドが観察された場合をあり、観察されなかった場合をなしと判定した。
【0093】
【表3】

【0094】
《点灯試験》
上記実施例1〜6及び比較例1〜6の発光装置1を長時間点灯させたときの初期特性、出力安定性を調べた。点灯試験は、試験温度、発光装置への投入電流は、25℃で500mA、100℃で350mA、60℃,90%RHで600mAとして、各1,000時間の条件で行った。1,000時間点灯後、発光装置の光出力は、積分球を用いて測定した。
《発光装置生産性》
上記実施例1〜6及び比較例1〜6の連続成形shot数を以下の基準で評価した。
○(優良):100shot以上
△(良好):25shot以上100shot未満
×(不可):0shot以上25shot未満
結果を表4に示す。
【0095】
実施例1は、比較例1に対して、100℃で350mAの1,000時間点灯後の光出力の低下が小さい。また、実施例1は、60℃,90%RHで600mAの1,000時間点灯後の光出力がほとんど低下していないが、比較例1は光出力が低下している。
実施例2〜6は、それぞれ比較例2〜6に対して、各条件における光出力の低下が小さい。
また、実施例においては連続生産性が良好であるが、比較例においては連続生産性が悪い。
【0096】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いたフォトカプラーの一例を示すものである。
【図2】第1の表面実装型発光装置の一例を示す断面図である。
【図3】同第1の表面実装型発光装置を製造する方法において、リード電極を上下金型内に配置した状態の断面図である。
【図4】同方法において、リード電極を上下金型内に挟持した状態の断面図である。
【図5】同方法において、上金型の空隙に熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドした状態の断面図である。
【図6】同方法において、発光素子を実装した状態の断面図である。
【図7】同方法において、発光素子を封止した状態の断面図である。
【図8】第2の表面実装型発光装置の一例を示す斜視図である。
【図9】同装置の断面図である。
【図10】同装置に用いられるリードフレームの平面図である。
【図11】同表面実装型発光装置の製造方法を説明するもので、(A)はリードフレームを上下金型内に配置した状態の断面図、(B)はリードフレームを上下金型内に挟持した状態の断面図、(C)はトランスファ・モールドした状態の断面図、(D)は発光装置を実装し、封止した後、樹脂成形体とリードフレームとを切断しようとする状態の断面図である。
【図12】樹脂成形体の平面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体素子
2 リードフレーム
3 ボンディングワイヤ
4 半導体素子
5 リードフレーム
6 ボンディングワイヤ
7 透明封止樹脂
8 熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物
100,200 発光装置
110,210 発光素子
111 第1の電極
112 第2の電極
120,220 リードフレーム
120a,220a 切り欠き部
121 第1のリード電極
121a 第1のインナーリード部
121b 第1のアウターリード部
122 第2のリード電極
122a 第2のインナーリード部
122b 第2のアウターリード部
125,225 リード
130,230 ワイヤ
140,240 金型
141,241 上金型
142,242 下金型
143 内部空隙
144 凸部
151,152 Ag膜
160 共晶膜
170,270 封止部材
180,280 パッケージ
181,281 底面
182,282 側面
183,283 凹部
185,285 樹脂部
186,286 熱硬化性樹脂
187,287 樹脂成形体
190,290 蛍光物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(B)成分の内部離型剤が、下記一般式(1)
【化1】


(式中、R11とR12はCn2n+1で示される同一又は異種のアルキル基、nは1〜30の数である。)
で示されるカルボン酸エステルと下記一般式(2)
【化2】


(式中、R1、R2、R3はH、−OH、−OR、−OCOCabのいずれかであり、少なくともひとつは−OCOCabを含む。RはCn2n+1のアルキル基(nは1〜30の整数である。)、aは10〜30の整数、bは17〜61の整数である。)
で示される化合物とを併用したものであることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
(B)成分である式(1)のカルボン酸エステルと式(2)の化合物との合計添加量が、組成物全体の0.2〜5.0質量%であり、式(1)のカルボン酸エステルと式(2)の化合物との質量比が1:5〜10:1である請求項1記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる反応物、
(F)補強材、
(B)内部離型剤、
(C)反射部材、
(D)無機充填剤、
(E)硬化触媒
を必須成分とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、(F)成分が、化学式CaSiO3で示される三斜晶系の珪酸塩鉱物であることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
(F)成分である補強材の添加量が、組成物全体に対して1〜80質量%である請求項3記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
上記(B)成分の内部離型剤が、融点50〜70℃であるグリセリンモノステアレートを含むものであり、組成物全体に対して0.2〜5.0質量%含有する請求項3又は4記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
上記(C)成分の反射部材が二酸化チタンで、無機物又は有機物での表面処理を施されているものであり、且つ(C)成分中に含まれる鉛の含有量が10ppm以下であり、(C)成分を組成物全体に対して2〜80質量%含有し、且つ、上記(E)成分の硬化触媒が第三級アミンのオクチル酸塩であり、(E)成分を組成物全体に対して0.05〜5質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂が、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂である請求項1〜6のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
上記(A)成分の反応物が、下記一般式(3)
【化3】


(式中、R4は酸無水物残基を示し、mは0〜200の数である。)
で示される化合物を含有するものである請求項7記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
半導体素子ケース形成用である請求項1〜8のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物で半導体素子を封止した半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−138347(P2010−138347A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318429(P2008−318429)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】