説明

物体処理装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、デバイス製造方法、物体搬送装置、及び物体の搬入方法

【課題】露光装置内への基板の搬入を効率よく行う。
【解決手段】 液晶露光装置内に基板Pを搬入する方法は、露光領域内で基板Pを保持可能な基板ステージ20に対して基板Pを搬送する基板搬入装置80aが有するフォークハンド83を上記露光領域外(ポート部60の上方の領域)に位置させることと、外部搬入ロボット90bが有するロードハンド91bに下方から支持された基板Pをフォークハンド83の上方に位置させることと、ロードハンド91bに下方から支持された基板Pをロードハンド91b上からフォークハンド83上に載せ替えることと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体処理装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、デバイス製造方法、物体搬送装置、及び物体の搬入方法に係り、更に詳しくは、物体に関して所定の処理を行う物体処理装置、前記物体処理装置を用いたフラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法、物体処理装置内で物体を搬送する物体搬送装置、並びに物体処理装置へ外部から物体を搬入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、露光対象物であるガラスプレート又はウエハ(以下、「基板」と総称する)を、露光装置内に設置された基板搬入装置(プレートローダ)を用いて基板ステージに対して搬入するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、露光装置では、上記基板ステージ、基板搬入装置などは、外部から遮光されたチャンバ内に収容されている。そして、基板は、上記チャンバの外部に設置された外部搬送装置によって上記チャンバ内に搬入された後、上記チャンバ内で基板搬入装置に載せ替えられる。ここで、外部搬送装置から露光装置内への基板の搬入動作、及び露光装置内における基板搬入装置への基板の受け渡し動作を迅速に行うことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、所定の処理領域内で物体に関して所定の処理を行う物体処理装置であって、前記処理領域内で前記物体を保持可能な物体保持装置と、前記物体を下方から支持可能な第1支持部材を含み、該物体を前記所定領域外から前記物体保持装置に対して搬送する装置内搬送装置と、前記所定領域外に設けられ、装置外搬送装置が有する第2支持部材に下方から支持された前記物体が、前記所定領域外に位置する前記第1支持部材の上方に位置した状態で前記第2支持部材から前記物体を受け取るとともに、該物体を前記第1支持部材の上方から前記第2支持部材が退避した後に前記第1支持部材に受け渡す受け渡し装置と、を備える物体処理装置である。
【0007】
これによれば、装置内搬送装置の第1支持部材と装置外搬送装置の第2支持部材とを上下方向に重ねて第2支持部材(装置外搬送装置)から第1支持部材(装置内搬送装置)への物体の受け渡しが行われるので、物体処理装置内における物体の受け渡し動作を迅速に行うことができる。また、物体処理装置内における物体受け渡し部の省スペース化を図ることができる。
【0008】
本発明は、第2の観点からすると、本発明の第1の観点にかかる物体処理装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法である。
【0009】
本発明は、第3の観点からすると、本発明の第1の観点にかかる物体処理装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法である。
【0010】
本発明は、第4の観点からすると、所定の処理領域内で物体保持装置に保持された物体に関して所定の処理を行う物体処理装置に設けられ、前記処理領域外から前記物体保持装置に前記物体を搬送する物体搬送装置であって、前記物体を下方から支持可能な支持部材と、前記支持部材を水平面内の第1方向に駆動する駆動系と、前記水平面内で前記第1方向に直交する第2方向に関して前記支持部材の一側及び他側それぞれに配置され、前記支持部材の移動を案内する案内部材と、を備える物体搬送装置である。
【0011】
本発明は、第5の観点からすると、物体に関して所定の処理を行う物体処理装置内に物体を搬入する方法であって、前記処理が行われる処理領域内で前記物体を保持可能な物体保持装置に対して前記物体を搬送可能な装置内搬送装置が有する第1支持部材を前記所定領域外に位置させることと、前記物体処理装置の外部に設けられた装置外搬送装置が有する第2支持部材に下方から支持された前記物体を前記第1支持部材の上方に位置させることと、前記第1支持部材の上方に位置した前記第2支持部材から受け渡し装置に前記物体を受け渡すことと、前記第1支持部材の上方から前記第2支持部材を退避させることと、前記受け渡し装置から前記第1支持部材上に前記物体を受け渡すことと、を含む物体の搬入方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の液晶露光装置が有する基板ステージ(基板ホルダ)の平面図である。
【図3】図1の液晶露光装置が有する基板搬入装置の平面図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、基板の交換動作を説明するための図(その1及びその2)である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、基板の交換動作を説明するための図(その3及びその4)である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、基板の交換動作を説明するための図(その5及びその6)である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、基板の交換動作を説明するための図(その7及びその8)である。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、基板の交換動作を説明するための図(その9及びその10)である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、基板の交換動作を説明するための図(その11及びその12)である。
【図10】第2の実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る基板搬入装置の平面図である。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、図11の基板搬入装置の動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、図11の基板搬入装置の動作を説明するための図(その4〜その6)である。
【図14】図14(A)〜図14(C)は、第1の変形例に係るポート部の動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図15】図15(A)〜図15(C)は、第1の変形例に係るポート部の動作を説明するための図(その4〜その6)である。
【図16】第2の変形例に係る基板搬入装置の断面図である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、第3の変形例に係る基板搬出装置の動作を説明するための図(その1及びその2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図9(B)を用いて説明する。
【0014】
図1には、第1の実施形態の液晶露光装置10aの構成が概略的に示されている。液晶露光装置10aは、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(図1では基板P及び基板P。以下、適宜まとめて基板Pと称する)を露光対象物とする投影露光装置である。
【0015】
液晶露光装置10aは、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、装置本体30、表面(図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板P(図1では基板P)を保持する基板ステージ装置PST、外部装置(例えば、コータ・デベロッパ装置)との間で基板Pの受け渡しを行うポート部60、基板ステージ装置PSTに基板P(図1では基板P)を搬入する基板搬入装置80a、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0016】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0017】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により吸着保持されている。マスクステージMSTは、装置本体30(ボディ)の一部である鏡筒定盤31上に搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定の長ストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0018】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの下方に配置され、装置本体30の一部である鏡筒定盤31に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。
【0019】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P(図1では基板P)上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0020】
装置本体30は、鏡筒定盤31、及び基板ステージ架台33を有している。鏡筒定盤31は、XY平面に平行に配置された板状の部材から成り、上記投影光学系PL、マスクステージMSTなどを支持している。基板ステージ架台33は、Y軸方向に延びる部材から成り、クリーンルームの床11上に設置された防振装置34により下方から支持されている。基板ステージ架台33と鏡筒定盤31とは、不図示の連結部材により一体的に連結されている。これにより、装置本体30(及び投影光学系PL、マスクステージMSTなど)が、床11から振動的に分離される。
【0021】
基板ステージ装置PSTは、ベースフレーム14、及び基板ステージ20を備えている。ベースフレーム14は、Y軸方向に延びる部材から成り、基板ステージ架台33に所定距離隔てて(非接触状態で)床11上に配置されている。ベースフレーム14は、後述する基板ステージ20の一部であるY粗動ステージ23yを下方から支持しており、基板ステージ20がY軸方向に所定の長ストロークで移動する際のガイド部材として機能する。ベースフレーム14は、X軸方向に離間して一対設けられ(図1では一方は不図示)、Y粗動ステージ23yの長手方向の両端部近傍を下方から支持している。なお、基板ステージ架台33がX軸方向に所定間隔で複数設けられる場合には、互いに隣接する基板ステージ架台33の間に、Y粗動ステージ23yの長手方向の中間部を支持する補助的なベースフレームを配置しても良い。ベースフレーム14の上端面(+Z側の端部)には、Yリニアガイド装置16の要素であるYリニアガイド16aが固定されている。
【0022】
基板ステージ20は、Y粗動ステージ23y、X粗動ステージ23x、微動ステージ21、基板ホルダ40、複数の基板リフト装置45、Yステップ定盤50、重量キャンセル装置54、及び基板搬出装置70を有している。
【0023】
Y粗動ステージ23yは、基板ステージ架台33の上方に配置され、ベースフレーム14上に搭載されている。Y粗動ステージ23yは、Xビーム25を有している。Xビーム25は、X軸方向に延びるYZ断面が矩形の部材から成る。ここで、Y粗動ステージ23yは、Xビーム25をY軸方向に所定間隔で一対有しているが、基板ステージ20の構成の理解を容易にするため、図1では一方(−Y側)のXビーム25の図示が省略されている。一対のXビーム25は、+X側及び−X側の端部近傍それぞれにおいて、Yキャリッジ26と称される板状の部材により一体的に接続されている。
【0024】
Yキャリッジ26の下面には、上記Yリニアガイド16aと共にYリニアガイド装置16を構成するYスライド部材16bが固定されている。Yスライド部材16bは、対応するYリニアガイド16aに低摩擦でスライド自在に係合しており、Y粗動ステージ23yは、一対のベースフレーム14上を低摩擦でY軸方向に所定のストロークで移動可能となっている。Xビーム25の下面のZ位置は、基板ステージ架台33の上面よりも+Z側に設定されており、Y粗動ステージ23yは、基板ステージ架台33(すなわち装置本体30)から振動的に分離されている。
【0025】
Y粗動ステージ23yは、不図示のYアクチュエータにより、一対のベースフレーム14上でY軸方向に駆動される。Yアクチュエータの種類は、特に限定されないが、例えば送りねじ装置、リニアモータ、ベルト駆動装置などを用いることができる。Xビーム25の上面には、Xリニアガイド装置27の要素であるXリニアガイド27aが固定されている。
【0026】
X粗動ステージ23xは、平面視矩形の板状部材から成り、その中央部に開口部(不図示)が形成されている。X粗動ステージ23xの下面には、上記Xリニアガイド27aと共にXリニアガイド装置27を構成するXスライド部材27bが固定されている。Xスライド部材27bは、一本のXリニアガイド27aにつき、X軸方向に所定間隔で、例えば4個設けられている。Xスライド部材27bは、対応するXリニアガイド27aに低摩擦でスライド自在に係合しており、X粗動ステージ23xは、一対のXビーム25上を低摩擦でX軸方向に所定のストロークで移動可能となっている。X粗動ステージ23xは、Xリニアガイド装置27によりY粗動ステージ23yに対するY軸方向への相対移動が制限されており、Y粗動ステージ23yと一体的にY軸方向に移動する。すなわち、X粗動ステージ23xは、Y粗動ステージ23yと共に、ガントリ式の2軸ステージ装置を構成している。
【0027】
X粗動ステージ23xは、不図示のXアクチュエータにより、Y粗動ステージ23y上でX軸方向に駆動される。Xアクチュエータの種類は、特に限定されないが、例えばリニアモータ、送りねじ装置、ベルト駆動装置などを用いることができる。Y粗動ステージ23yのY位置情報、及びX粗動ステージ23xのX位置情報は、それぞれ不図示のリニアエンコーダシステム(あるいは光干渉計システム)により求められる。
【0028】
微動ステージ21は、平面視矩形の箱形の部材から成り、その上面に基板ホルダ40が固定されている。なお、図1において、微動ステージ21及び基板ホルダ40は、図2のA−A線断面が示されている。微動ステージ21は、X粗動ステージ23xに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータを含む微動ステージ駆動系により、X粗動ステージ23x上で3自由度方向(X軸、Y軸、θz方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモータには、X軸方向の推力を発生する複数のXボイスコイルモータ、及びY軸方向の推力を発生する複数のYボイスコイルモータ(それぞれ不図示)が含まれる。
【0029】
微動ステージ21は、上記複数のボイスコイルモータを介してX粗動ステージ23xに誘導されることにより、X粗動ステージ23xと共にX軸方向、及び/又はY軸方向に所定のストロークで移動する。また、微動ステージ21は、複数のボイスコイルモータによりX粗動ステージ23xに対して上記3自由度方向に適宜微少駆動される。また、微動ステージ駆動系は、微動ステージ21をθx、θy、及びZ軸方向の3自由度方向に微少駆動するための複数のZボイスコイルモータ(不図示)を有している。複数のZボイスコイルモータは、例えば微動ステージ21の四隅部に対応する箇所に配置されている。複数のボイスコイルモータを含み、微動ステージ駆動系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0030】
微動ステージ21のXY平面内の位置情報(θz方向の回転量情報を含む)は、装置本体30に固定された不図示のレーザ干渉計(X干渉計、及びY干渉計を含む)を含む基板干渉計システムにより、微動ステージ21にミラーベース24を介して固定されたバーミラー22(X移動鏡、及びY移動鏡を含む)を用いて求められる。また、微動ステージ21のθx、θy、及びZ軸方向それぞれの位置情報は、微動ステージ21の下面に固定された複数のZセンサ56により、後述する重量キャンセル装置54に固定されたターゲット57を用いて求められる。上記微動ステージ21の位置計測系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0031】
基板ホルダ40は、図1及び図2から分かるように、XY平面に平行な平面視矩形の板状部材から成り、その上面には、基板Pを真空吸着により吸着保持するための微少な孔部が複数形成されている。また、基板ホルダ40の上面には、図2に示されるように、X軸方向に延びるX溝41がY軸方向に所定間隔で複数(例えば4本)形成されている。基板ホルダ40のX軸及びY軸方向それぞれの寸法は、基板PのX軸及びY軸方向それぞれの寸法よりも幾分短く設定され、基板ホルダ40上に基板Pが載置された状態で、基板Pの端部が基板ホルダ40の端部から幾分はみ出すようになっている。これは、基板Pの裏面にレジストが付着する可能性があり、そのレジストが基板ホルダ40に付着しないようにするためである。
【0032】
図1に戻り、複数の基板リフト装置45それぞれは、X粗動ステージ23xの上面に固定されZアクチュエータ46と、Zアクチュエータ46の+Z側の端部に取り付けられたエア浮上装置47とを有する。エア浮上装置47は、ひとつのX溝41内にX軸方向に所定間隔で、例えば3つ収容されている(すなわち本実施形態では、基板リフト装置45は、例えば12台設けられている)。上記X溝41を規定する底面には、基板ホルダ40を上下方向に貫通する貫通孔42がX軸方向に所定間隔で複数(例えば3つ)形成されている。また、微動ステージ21には、上記複数の貫通孔42に対応する位置に貫通孔21aが形成されている。貫通孔21a、42には、Zアクチュエータ46の一部が挿通されている。X溝41を規定する壁面とエア浮上装置47との間、及びZアクチュエータ46と貫通孔21a、42を規定する壁面との間それぞれには、微動ステージ21がX粗動ステージ23xに対して微少駆動される際に互いに接触しない程度の隙間が設定されている。Zアクチュエータ46の種類は、特に限定されないが、例えばエアシリンダ装置、送りねじ装置、カム装置などを用いることができる。
【0033】
複数のエア浮上装置47それぞれは、対応するZアクチュエータ46により、その上面が基板ホルダ40の上面(基板載置面)から+Z側に突き出した位置と、基板ホルダ40の上面より−Z側に下がった(引っ込んだ)位置との間でZ軸(上下)方向に同期駆動される。エア浮上装置47の上面には、微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板P(図1では基板P)を浮上支持することができるようになっている。また、複数のエア浮上装置47の少なくとも一部は、基板Pとの間の気体を吸引して基板Pを吸着保持することができるようにもなっている。なお、エア浮上装置47において、気体噴出用の孔部と気体吸引用の孔部とは、同じであっても良いし、それぞれ別であっても良い。また、X溝41の数、及びエア浮上装置47(基板リフト装置45)の数、配置などは、例えば基板Pの大きさなどに応じて適宜変更可能である。
【0034】
Yステップ定盤50は、X軸方向に延びるYZ断面矩形の部材から成り、一対のXビーム25(図1では一方は不図示)間に挿入されている。Yステップ定盤50のX軸方向の寸法は、微動ステージ21のX軸方向に関する移動ストロークよりも幾分長めに設定されている。Yステップ定盤50の上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。Yステップ定盤50は、基板ステージ架台33の上面に固定された複数のYリニアガイド35aと、Yステップ定盤50の下面に固定された複数のYスライド部材35bとにより構成される複数のYリニアガイド装置35により、基板ステージ架台33上でY軸方向に所定のストロークで直進案内される。
【0035】
Yステップ定盤50は、長手方向の両端部近傍において、フレクシャ装置51と称される装置を介して一対のXビーム25それぞれに機械的に連結されている。これにより、Yステップ定盤50とY粗動ステージ23yとは、一体的にY軸方向に移動する。フレクシャ装置51は、例えばXY平面に平行に配置された厚さの薄い帯状の鋼板と、その鋼板の両端部に設けられた滑節装置(例えばボールジョイント)とを含み、上記鋼板が滑節装置を介してYステップ定盤50、及びXビーム25間に架設されている。従って、フレクシャ装置51は、Y軸方向の剛性に比べて他の5自由度方向(X,Z,θx、θy、θz方向)の剛性が低く、上記5自由度方向に関してYステップ定盤50とY粗動ステージ23yとが振動的に分離される。
【0036】
重量キャンセル装置54は、後述するレベリング装置59と称される装置を介して微動ステージ21を下方から支持している。重量キャンセル装置54は、X粗動ステージ23xに形成された開口部内に挿入されている。本実施形態の重量キャンセル装置54は、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示される重量キャンセル装置と同様に構成されている。すなわち、重量キャンセル装置54は、不図示の空気ばねなどを有し、その空気ばねが発生する重力方向上向き(+Z方向)の力により、微動ステージ21、基板ホルダ40などを含む系の重量(重量加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消し、これにより微動ステージ駆動系が有するZボイスコイルモータの負荷を低減する。
【0037】
重量キャンセル装置54は、複数のフレクシャ装置55を介してX粗動ステージ23xに機械的に接続されており、X粗動ステージ23xと一体的にX軸方向、及び/又はY軸方向に移動する。フレクシャ装置55の構成は、前述したYステップ定盤50とXビーム25とを接続するフレクシャ装置51の構成と概ね同じである。レベリング装置59は、球面軸受け装置(あるいは例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるような疑似球面軸受け装置)を含み、微動ステージ21をθx及びθy方向に揺動(チルト)自在に下方から支持している。
【0038】
ここで、重量キャンセル装置54は、その下面に取り付けられた複数のエアベアリング58を介して、Yステップ定盤50上に非接触状態で搭載されている。重量キャンセル装置54は、X粗動ステージ23xと一体的にX軸方向に移動する際には、Yステップ定盤50上を移動する。これに対し、重量キャンセル装置54は、X粗動ステージ23xと一体的にY軸方向に移動する際には、Y粗動ステージ23y、及びYステップ定盤50と一体的にY軸方向に移動するのでYステップ定盤50上から脱落することがない。
【0039】
基板搬出装置70は、基板ホルダ40に保持された基板P(図1では基板P)を基板ステージ装置PSTの外部(本実施形態では後述するポート部60)に向けて搬出する装置であり、一対のXビーム25のうち、+Y側のXビーム25の外側面(+Y側を向いた面)に取り付けられている。基板搬出装置70は、搬出対象の基板Pの下面を吸着保持する吸着パッド71、吸着パッドを支持する支持部材72、及び支持部材72をXビーム25に沿ってX軸方向に所定のストロークで駆動する不図示の駆動系を有している。
【0040】
吸着パッド71は、図2に示されるように、X軸方向を長手方向とする平面視矩形の板状の部材から成る。吸着パッド71は、不図示のバキューム装置に接続されており、上面(+Z側を向いた面部)が基板吸着面部として機能する。支持部材72は、図1に示されるように、Z軸方向に延びるXZ平面に平行な板状の部材から成り、その上端部(+Z側の端部)近傍に吸着パッド71が取り付けられている。
【0041】
吸着パッド71は、図2に示されるように、+Y側の端部近傍が支持部材72に接続されることにより−Y側の端部が支持部材72の−Y側を向いた面から−Y側(基板ホルダ40側)に突き出して配置されており、基板ステージ20を+Z側から見た場合、基板ホルダ40のX位置にもよるが、吸着パッド71は、基板ホルダ40の上方に位置する(Z軸方向に重なる)。また、吸着パッド71は、その下面のZ位置が基板ホルダ40の上面のZ位置よりも高く位置するように支持部材72に支持されている。これにより、基板Pが複数の基板リフト装置45(図2では不図示。図1参照)により基板ホルダ40の上面から上昇駆動された(持ち上げられた)状態で、吸着パッド71を基板Pと基板ホルダ40との間に挿入することができるようになっている。
【0042】
また、図1に示されるように、支持部材72は、Z軸方向に関する中央部よりも幾分+Z側の部分が+X側に向けて曲がって形成されている。これにより、基板搬出装置70では、基板Pに対する露光処理などが行われている間、吸着パッド71を基板ホルダ40のX軸方向に関する移動可能範囲の外側に退避させておくことができる(図4(A)参照)。
【0043】
基板ステージ20では、基板P(図1では基板P)の搬出動作を行う際、図1に示されるように、複数の基板リフト装置45それぞれのエア浮上装置47の上面がZ位置が基板ホルダ40の上面よりも+Z側となるように複数のZアクチュエータ46が制御される。そして、吸着パッド71が基板Pの−X側かつ+Y側の端部(角部)近傍における下面を吸着保持し、その状態で支持部材72が+X方向に駆動されることにより、基板Pが基板ホルダ40上を+X方向に移動してポート部60に搬出される。この際、複数のエア浮上装置47それぞれからは、基板Pの下面に対して加圧気体が噴出され、基板Pが浮上支持される。これにより、基板Pが低摩擦で基板ホルダ40上を移動する。
【0044】
ポート部60は、図1及び図3から分かるように、装置本体30、及び基板ステージ装置PSTの+X側に配置されている。ポート部60は、装置本体30、及び基板ステージ装置PSTと共に不図示のチャンバ内に収容されている。なお、図3では、図面の錯綜を避けるため、基板ステージ20のうち、基板ホルダ40を除く部材の図示が省略されている。また、図3に示される基板ステージ20は、Y粗動ステージ23y(図3では不図示。図1参照)がその移動可能範囲のほぼ中央に、X粗動ステージ23x(図3では不図示。図1参照)がその+X側のストロークエンドにそれぞれ位置した状態が示されている。以下、図3に示される基板ホルダ40の位置を基板交換位置と称して説明する。
【0045】
ポート部60は、図1に示されるように、露光済みの基板P(図1では基板P)を基板ステージ20から受け取る基板ガイド装置62を備えている。基板ガイド装置62は、床11上に設置された架台61上に搭載されている。基板ガイド装置62は、ベース63、複数のZアクチュエータ65、及び複数のZアクチュエータ65それぞれに対応する複数のエア浮上装置66を有している。Zアクチュエータ65の種類は、特に限定されないが、例えばエアシリンダ、送りねじ装置、カム装置などを用いることができる。
【0046】
ベース63は、床11(XY平面)に平行に配置された平面視矩形の板状の部材から成る。ベース63は、架台61の上面に固定されたXリニアガイド64aと、ベース63の下面に固定されたXスライダ64bとにより構成されるXリニアガイド装置64によりX軸方向に直進案内される。また、ベース63は、不図示のXアクチュエータにより架台61に対してX軸方向に所定のストロークで駆動される。後述する基板搬出時を除き、液晶露光装置10aの使用時(露光動作時を含む)において、ベース63(基板ガイド装置62)は、+X側のストロークエンド(基板ステージ装置PSTから離れた位置)に位置される。
【0047】
複数のエア浮上装置66それぞれは、XY平面に平行な板状部材から成り、Zアクチュエータ65により、Z軸(上下)方向に同期駆動される。エア浮上装置66の上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板Pを浮上支持することができるようになっている。また、エア浮上装置66の少なくとも一部は、上記複数の孔部(あるいは別の孔部)を用いて基板Pを吸着保持することができるようにもなっている。
【0048】
複数のエア浮上装置66は、図3に示されるように、基板Pの下面をほぼ均等に支持できるように、所定間隔で互いに離間して配置されている。本第1の実施形態では、X軸方向に所定間隔で配列された複数(例えば3台)のエア浮上装置66から成るエア浮上装置列が、Y軸方向に所定間隔で複数(例えば4列)配列されている。このように、本第1の実施形態では、合計で、例えば12台のエア浮上装置66を用いて基板Pを下方から支持する。なお、エア浮上装置66の数及び配置、並びに複数のエア浮上装置66により形成される基板ガイド面の形状などは、例えば基板Pの大きさなどに応じて適宜変更可能である。
【0049】
基板搬入装置80aは、ポート部60の上方(+Z側)に配置さている。基板搬入装置80aは、一対のX走行ガイド81a、一対のX走行ガイド81aに対応して設けられた一対のXスライド部材82、及び一対のXスライド部材82に支持されるフォークハンド83を備えている。
【0050】
一対のX走行ガイド81aそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、その長手方向寸法は、基板PのX軸方向寸法よりも幾分長く設定されている。一対のX走行ガイド81aは、Y軸方向に所定間隔(基板PのY軸方向寸法よりも幾分広い間隔)で互いに平行に配置されている。X走行ガイド81aは、図1に示されるように、床11上に設置された架台88上に搭載されている。架台88は、X軸方向に延びる天板部88と、床11上で天板部88を下方から支持する一対の脚部88と、一対の脚部88間に架設された複数の補剛部88とを含む。架台88は、図3に示されるように、一対のX走行ガイド81aに対応して一対設けられている。一対の架台88は、図1に示されるように、脚部88の下端部近傍において接続部材88により互いに接続されている(ただし、図1では一方の脚部88は不図示)。上記X走行ガイド81aは、対応する架台88の天板部88上に搭載されている。
【0051】
図3に戻り、一対のXスライド部材82それぞれは、対応するX走行ガイド81aに対してX軸方向にスライド可能に係合しており、不図示のXアクチュエータ(例えば送りねじ装置、リニアモータ、ベルト駆動装置など)により、X走行ガイド81aに沿って所定のストロークで同期駆動される。なお、一対のXスライド部材82をX軸方向に同期駆動できれば、例えばXアクチュエータが送りねじ装置などである場合には、共通のモータにより一対のXスライド部材82を駆動しても良いし、あるいは一方のXスライド部材82のみがXアクチュエータにより駆動されても良い。
【0052】
フォークハンド83は、Y軸方向に延びるXY平面に平行な板状の部分であるベース部83と、X軸方向に延びるXY平面に平行な板状の部分である複数(例えば4本)の支持部83とを有している。複数の支持部83は、Y軸方向に所定間隔で互いに平行に配置され、それぞれの+X側の端部がベース部83の−X側の端部に接続されている。ベース部83と複数の支持部83とは、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)などにより一体的に形成されている。すなわち、フォークハンド83は、基板Pの搬送方向前端部側(−X方向側)に開口する切り欠きがY軸方向に所定間隔で複数(本実施形態では、例えば3つ)形成された板状の部材ということができる。複数の支持部83の長手方向(X軸方向)寸法は、基板PのX軸方向に関する寸法よりも幾分短く設定されており、基板Pは、ベース部83の−X側の領域と複数の支持部83とにより、下方から支持される。フォークハンド83のZ位置は、図1に示されるように、X走行ガイド81aよりも幾分−Z側(架台88の天板部88とほぼ同じZ位置)に設定されている。なお、ベース部83と複数の支持部83とは、互いに別部材であっても良い。
【0053】
複数の支持部83それぞれの上面には、X軸方向に所定間隔で配列された複数(例えば3つ)の吸着パッド84が取り付けられている。フォークハンド83は、不図示のバキューム装置に接続されており、上記複数の吸着パッド84を用いて基板Pを吸着保持することができる。フォークハンド83は、ベース部83の+Y側、−Y側の端部が取付部材83を介して+Y側、−Y側のXスライド部材82にそれぞれ接続されている。基板搬入装置80aでは、一対のXスライド部材82をX軸方向に同期移動させることにより、ポート部60の基板ガイド装置62の上方の領域と、基板交換位置に位置した基板ホルダ40の上方の領域との間で、フォークハンド83(及び基板P)をXY平面に平行に移動させることができる。
【0054】
ここで、上記基板ステージ20が有する複数のエア浮上装置47のY軸方向に関する間隔は、フォークハンド83を基板交換位置に位置する基板ホルダ40の上方に位置させた状態(フォークハンド83を−X側のストロークエンドに位置させた状態)で、フォークハンド83の複数の支持部83とY位置が重ならないように設定されている。これにより、フォークハンド83が基板交換位置に位置する基板ホルダ40の上方に位置された状態で、複数のエア浮上装置47が同期して+Z方向に駆動された場合、複数のエア浮上装置47は、フォークハンド83に接触することなく、互いに隣接する支持部83間を通過することができるようになっている。また、前述したポート部60が有する複数のエア浮上装置66のY軸方向に関する間隔は、上記複数のエア浮上装置47のY軸方向に関する間隔とほぼ同じであり、ポート部60の上方にフォークハンド83が位置した状態で複数のエア浮上装置66が+Z方向に駆動された場合、複数のエア浮上装置66は、フォークハンド83に接触することなく、互いに隣接する支持部83間を通過することができるようになっている。
【0055】
以上のようにして構成された液晶露光装置10a(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、基板搬入装置80aによって、基板ホルダ40への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。そして、露光処理が終了した基板P(図1では基板P)が基板ホルダ40から搬出されるとともに、次に露光される別の基板P(図1では基板P)が基板ホルダ40に搬送されることにより、基板ホルダ40上の基板Pの交換が行われ、複数の基板Pに対し、露光動作などが連続して行われる。
【0056】
以下、液晶露光装置10aにおける基板ホルダ40上の基板P(便宜上、複数の基板Pを基板P、基板P、基板Pと称する)の交換動作について図4(A)〜図9(B)を用いて説明する。以下の基板交換動作は、不図示の主制御装置の管理の下に行われる。
【0057】
図4(A)において、基板ステージ20の基板ホルダ40には、基板Pが保持されている。また、基板搬入装置80aのフォークハンド83には、基板Pが基板ホルダ40から搬出された後、次に基板ホルダ40に保持される予定の基板P(次の基板P)が保持されている。基板ステージ20、ポート部60、及び基板搬入装置80aが収容されたチャンバの外部には、外部搬出ロボット90a、及び外部搬入ロボット90b(図4(A)では不図示。図7(B)参照)が設置されている。外部搬出ロボット90aは、ロボットアーム92aに片持ち支持されたアンロードハンド91aを有している。また、図7(B)に示されるように、外部搬入ロボット90bも、ロボットアーム92bに片持ち支持されたロードハンド91bを有している。アンロードハンド91a、及びロードハンド91bそれぞれの構成は、基板搬入装置80aのフォークハンド83とほぼ同じとなっている。
【0058】
主制御装置は、基板P上に設定された複数のショット領域のうち、最後のショット領域に対する露光処理が終了した後、図4(A)に示されるように、基板ホルダ40が基板交換位置に位置するように、基板ステージ20を制御する。また、これと並行して、基板搬入装置80aのフォークハンド83が−X方向に駆動され、これにより基板Pが基板交換位置の上方に位置する。さらに、ポート部60では、基板ガイド装置62が基板ステージ20に接近する方向(−X方向)に駆動される。上記露光処理が行われている最中、基板搬出装置70の支持部材72は、+X側のストロークエンドに位置され、吸着パッド71は、基板ホルダ40のX軸方向に関する移動可能範囲の外側に退避している。
【0059】
基板ホルダ40が基板交換位置に位置すると、主制御装置は、図4(B)に示されるように、基板ホルダ40による基板Pの吸着保持を解除させるとともに、複数の基板リフト装置45を制御してエア浮上装置47を上昇駆動する。これにより、基板Pの下面と基板ホルダ40の上面との間に隙間が形成される。次いで、図5(A)に示されるように、基板搬出装置70の支持部材72が−X方向に駆動され、これにより吸着パッド71が基板Pの下面と、基板ホルダ40の上面との間の隙間を通過し、基板Pの−X側かつ+Y側の端部(角部)近傍の下方に位置される。この後、複数のエア浮上装置47が下降駆動され、基板Pの下面が吸着パッド71に吸着保持される。また、複数のエア浮上装置47は、基板Pの下面に対して加圧気体を噴出して基板Pを浮上支持する。このとき、基板ステージ20の複数のエア浮上装置47とポート部60の複数のエア浮上装置66とは、互いの上面のZ位置がほぼ同じとなるように制御される。
【0060】
この後、図5(B)に示されるように、基板搬出装置70の支持部材72が+X方向に駆動され、これにより、基板Pが複数のエア浮上装置47、及び複数のエア浮上装置66の上面により規定されるXY平面に平行な面(ガイド面)に沿って+X方向に移動し、基板ホルダ40からポート部60に搬出される。この際、複数のエア浮上装置66の上面からも、基板Pに対して加圧気体が噴出される。これにより、基板Pを高速、且つ低発塵で移動させることができる。
【0061】
基板Pが基板ホルダ40上から複数のエア浮上装置66上に受け渡されると、図6(A)に示されるように、吸着パッド71による基板Pの吸着保持が解除されるとともに、複数のエア浮上装置66からの加圧気体の噴出が停止される。基板Pは、複数のエア浮上装置66上に吸着保持され、基板Pを支持した基板ガイド装置62が+X方向に駆動される。また、基板ステージ20では、複数のエア浮上装置47が上昇駆動され、基板ステージ20の上方で待機していた基板Pの下面を下方から押圧する。フォークハンド83では、基板Pの吸着保持が解除され、これにより、基板Pがフォークハンド83から離間する。なお、フォークハンド83を降下させて基板Pを複数のエア浮上装置47に受け渡しても良い。
【0062】
基板Pとフォークハンド83とが離間すると、図6(B)に示されるように、フォークハンド83が+X方向に駆動され、基板交換位置の上方から退避し、基板ガイド装置62の上方の位置に復帰する。また、ポート部60では、複数のエア浮上装置66が、基板Pの外部装置への搬出に備えて幾分下降駆動される。次いで、図7(A)に示されるように、基板ステージ20において、複数のエア浮上装置47が下降駆動され、基板Pが基板ホルダ40上に載置される。また、ポート部60では、外部搬出ロボット90aのアンロードハンド91aが基板Pの下方に挿入される。前述のように、アンロードハンド91aは、フォークハンド83とほぼ同じ形状であるため、エア浮上装置66を駆動するためのZアクチュエータ65と接触しない。
【0063】
この後、図7(B)に示されるように、基板ホルダ40に基板Pが吸着保持され、その基板Pに関するアライメント動作、露光動作などを行うために基板ステージ20がポート部60から離間する方向に駆動される。以下、アライメント処理中、及び露光処理中の基板ステージ20の動作については説明を省略する。また、ポート部60では、複数のエア浮上装置66による基板Pの吸着保持が解除された後、その基板Pが外部搬出ロボット90aのアンロードハンド91aによりポート部60から回収され、不図示の外部装置に搬送される。この際、アンロードハンド91aとフォークハンド83とが干渉しないように、フォークハンド83をポート部60の上方から退避させても良い。外部搬入ロボット90bのロードハンド91b上には、基板Pの次に露光処理が行われる予定の基板Pが載置されている。
【0064】
次に、図8(A)に示されるように、ポート部60において、複数のエア浮上装置66が同期して上昇駆動される。この際、複数のエア浮上装置66それぞれは、フォークハンド83が有する互いに隣接する支持部83間を通過する。
【0065】
次いで、図8(B)に示されるように、基板Pを支持した外部搬入ロボット90bのロードハンド91bが−X方向に駆動され、基板搬入装置80aの一対のX走行ガイド81a(図7(A)では一方のみ図示。図3参照)間に挿入される。前述のように、ロードハンド91bは、フォークハンド83とほぼ同じ形状であるため、エア浮上装置66と接触しない。これにより、外部搬入ロボット90bのロードハンド91bと基板搬入装置80aのフォークハンド83とが、上下方向に重なる。この際、複数のエア浮上装置66は、ロードハンド91bにより搬入された基板Pの下面よりも下方に位置するようにZ軸方向に関して位置決めがされている。なお、ロードハンド91bを一対のX走行ガイド81a間に挿入した後に、複数のエア浮上装置66を上昇駆動しても(図8(A)と図8(B)の動作が逆でも)良い。また、フォークハンド83が基板ガイド装置62の上方の位置に復帰(図6(B)参照)するより前に予めロードハンド91bを一対のX走行ガイド81a間に挿入させておいても良い。
【0066】
次に、図9(A)の黒塗り矢印で示されるように、外部搬入ロボット90bのロードハンド91bが−Z方向に駆動された後に+X方向に駆動される。ロードハンド91bに支持された基板Pは、ロードハンド91bが−Z方向に駆動されることにより、複数のエア浮上装置66の上面に接触し、複数のエア浮上装置66に下方から支持される。ロードハンド91bは、その上面と基板Pとが離間する位置まで下降駆動された後、+X方向に駆動され、チャンバ(不図示)内から退避する。なお、複数のエア浮上装置66を上昇駆動することにより、基板Pとロードハンド91bとを離間させても良い。また、基板Pが複数のエア浮上装置66に受け渡された後、基板Pを複数のエア浮上装置66上で浮上させた状態でフォークハンド83に対する位置合わせ(アライメント)を行なっても良い。上記アライメントは、例えば基板Pの端部(エッジ)位置をエッジセンサ、あるいはCCD(Charge Coupled Device)カメラ等で検出しつつ、基板Pの端部の複数個所を押圧することによって行なうと良い。
【0067】
この後、図9(B)に示されるように、基板Pを下方から支持する複数のエア浮上装置66それぞれが−Z方向に同期して下降駆動される。この際、複数のエア浮上装置66それぞれがフォークハンド83の互いに隣接する支持部83間を通過するのに対し、基板Pは、フォークハンド83の支持部83に下方から支持される。これにより、基板Pが複数のエア浮上装置66からフォークハンド83に受け渡される。
【0068】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、基板Pを下方から支持するロードハンド91bの下方に予めフォークハンド83を位置させた状態で、ロードハンド91bからポート部60(複数のエア浮上装置66)に基板Pを受け渡すので(図8(B)〜図9(A)参照)、基板Pを上下方向に駆動するだけで簡単且つ迅速に基板Pのロードハンド91bからフォークハンド83への載せ換え動作を行うことができる。また、基板搬入装置80aは、一対のX走行ガイド81a間にフォークハンド83が配置される構成なので、外部搬入ロボット90bのロードハンド91bを一対のX走行ガイド81a間に挿入することにより、フォークハンド83の上方に配置することができる。従って、省スペースで外部から液晶露光装置10a内に搬入された基板Pを基板搬入装置80aに受け渡すことができる。
【0069】
また、基板ホルダ40からの基板Pの搬出時に用いられる(図5(B)参照)複数のエア浮上装置66を用いて基板Pのロードハンド91bからフォークハンド83への載せ換えを行うので効率が良い。
【0070】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について図10〜図13(C)を用いて説明する。第2の実施形態に係る液晶露光装置10bの構成は、基板搬入装置80bを除き上記第1の実施形態と同じである。以下、上記第1の実施形態と同様の構成、及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0071】
図3に示されるように、上記第1の実施形態において、基板搬入装置80aのフォークハンド83は、複数の支持部83を互いに連結するベース部83(フォークハンド83の+X側の端部近傍)が一対のX走行ガイド81aに支持される片持ち支持構造であったが、図11に示されるように、本第2の実施形態の基板搬入装置80bは、フォークハンド83の−X側の端部(複数の支持部83の自由端部)を保持(支持)可能な保持部材87を更に有している。
【0072】
図10に示されるように、第2の実施形態に係る基板搬入装置80bでは、X走行ガイド81bが上記第1の実施形態よりも長く(ほぼ2倍の長さで)形成されている。X走行ガイド81bは、+X側の領域が上記第1の実施形態と同様に架台88に下方から支持されているのに対し、−X側の領域が鏡筒定盤31の下面に吊り下げ支持されている。X走行ガイド81bは、図11に示されるように、Y軸方向に離間して互いに平行に配置されている。また、基板搬入装置80bは、一対のX走行ガイド81bに対応する一対のXスライド部材86を更に有している。一対のXスライド部材86それぞれは、フォークハンド83を駆動するための一対のXスライド部材82に対して−X側に配置されている。一対のXスライド部材82、及び一対のXスライド部材86は、それぞれ不図示のXアクチュエータ(例えばリニアモータ)により独立にX位置が制御される。
【0073】
上記保持部材87は、Y軸方向に延びる部材から成り、上記一対のXスライド部材86間に架設されている。保持部材87の+X側を向いた面部には、フォークハンド83の支持部83に対応して、複数(本第2の実施形態では、例えば4つ)の凹部87aがY軸方向に所定間隔で形成されている。凹部87aは、+X側から−X側に向けて狭くなるテーパ面により規定されている。これに対し、フォークハンド83が有する複数の支持部83それぞれの先端部(−X側の端部)には、上記凹部87aに挿入可能なテーパ部材85(円錐台状の部材)が固定されている。
【0074】
本第2の実施形態では、図12(A)に示されるように、フォークハンド83上に載置された基板Pがポート部60の上方から基板交換位置に位置する基板ステージ20の上方に搬送される際、テーパ部材85が保持部材87に形成された凹部87a内に挿入される。これにより、フォークハンド83の先端部が保持部材87に保持される。基板ステージ20に保持された露光済みの基板Pは、図12(B)及び図12(C)に示されるように、上記第1の実施形態と同様に基板搬出装置70によりポート部60に搬出される。基板Pの搬出後、基板ステージ20では、図13(A)に示されるように、複数のエア浮上装置47が上昇駆動され、基板Pが複数のエア浮上装置47に下方から支持されることにより、基板Pとフォークハンド83とが離間する。
【0075】
基板Pが複数のエア浮上装置47に支持されると、基板搬入装置80bでは、図13(B)に示されるように、一対(ただし図13(B)では一方は不図示)のXスライド部材82が+X方向に駆動される。これによりテーパ部材85が保持部材87の凹部87aから離脱し、フォークハンド83がポート部60の上方の位置に復帰する。これに対し、一対(ただし図13(B)では一方は不図示)のXスライド部材86は、−X方向に駆動される。これは、基板Pを下降駆動する際に保持部材87と基板Pとが接触しないようにするためである。
【0076】
この後、図13(C)に示されるように、基板Pが下降駆動されて基板ホルダ40上に載置されるとともに、一対のXスライド部材86が+X方向に駆動される。これにより、フォークハンド83のテーパ部材85が保持部材87に形成された凹部87a内に挿入される。以下、不図示であるが、外部搬入ロボット90b(図7(B)参照)により搬送された別の基板が上記第1の実施形態と同様の手順でフォークハンド83上に載置される。
【0077】
本第2の実施形態によれば、基板搬入装置80bにおいて、フォークハンド83の先端部が保持部材87により保持されるので、フォークハンド83、及びフォークハンド83上に載置された基板Pの自重に起因する撓みが抑制される。従って、フォークハンド83の厚みを薄くしても剛性を確保することができる。また、フォークハンド83と保持部材87とを分離することが可能なので、上記第1の実施形態と同様に、フォークハンド83の複数の支持部83間にエア浮上装置47が挿入された状態で、フォークハンド83をポート部60の上方の位置に復帰させることができる
【0078】
なお、上記第1及び第2の実施形態で説明した構成は、適宜変更が可能である。例えば、図14(A)に示されるように、外部搬入ロボット90cのロードハンド91bがロボットアーム92bにθzアクチュエータ93cを介して下方から支持される場合(いわゆるスカラ型ロボットアーム)には、図14(B)に示されるように、ポート部60が外部搬入ロボット90cから基板Pを受け取る際、複数のエア浮上装置66がフォークハンド83の上面よりも+Z側に位置した状態で、基板ガイド装置62を+X方向(外部搬入ロボット90c側に近接する方向)に移動させると良い。この場合、図14(C)に示されように、フォークハンド83とロードハンド91bとを上下方向(Z軸方向)に完全に重ねることができないが、図15(A)に示されるように、基板Pがロードハンド91bから複数のエア浮上装置66に受け渡された後、図15(B)に示されるように、基板ガイド装置62を−X方向に駆動することにより、上記第1の実施形態と同様に基板Pを複数のエア浮上装置66からフォークハンド83に受け渡すことができる(図15(C)参照)。
【0079】
また、複数の支持部83の先端部の保持構造は、上記第2の実施形態(図11参照)のようなテーパ部材85とテーパ面により規定される凹部87aとの嵌合構造に限られず、例えば図16に示されるように、先端部がテーパ加工された円柱状(シャフト状)の部材185と円筒状の部材187(リニアブッシュ187)とを組み合わせても良い。また、リニアブッシュ187の内壁面にボール187aを配置することでフォークハンド83のリニアブッシュ187に対する接続、及び分離をスムースに行うことができる。なお、フォークハンド83の撓みを抑制できれば、これに限られず、例えば複数の支持部83の先端部を下方から支持するだけでも良い。
【0080】
また、図17(A)及び図17(B)に示されるように、基板ホルダ140上に載置された基板PをY軸方向にスライドさせる複数のYアクチュエータ149a、及び位置決め用のYアクチュエータ149cを含む基板スライド装置を基板ホルダ140(あるいは微動ステージ21、又はX粗動ステージ23x(それぞれ不図示))に、吸着パッド71に位置決めピン149bをそれぞれ設けても良い。これにより吸着パッド71を基板ホルダ140の外側(上下に重ならない位置)に配置することができる。なお、図17(A)及び図17(B)では、基板ホルダ140に複数のエア浮上装置47(図2参照)に換えてリフトピン147が設けられており、基板搬入時には、上記リフトピンに基板Pが受け渡される。基板Pの搬出時には、基板ホルダ140の上面から基板Pの下面に対して加圧気体が噴出される。
【0081】
また、上記第1の実施形態において、フォークハンド83は、+X側の端部がXスライド部材82を介してX走行ガイド81aに片持ち支持される構成(図3参照)であったが、これに加えて、例えば最も外側(+Y側、及び−Y側)の支持部83の先端部(−X側の端部)近傍を別のXスライド部材を介してX走行ガイド81aに支持させても良い。この場合、X走行ガイド81aを上記第2の実施形態と同様に、基板交換位置の上方にまで伸ばす必要があるが、よりフォークハンド83の撓みを抑制することができる。
【0082】
また、基板搬入装置80a、80bは、床11に対して上下動可能であっても良い。また、フォークハンド83のみが、Xスライド部材82に対して上下動可能であっても良い。この場合、図6(A)及び図6(B)に示されるフォークハンド83から基板ステージ20のへの基板Pの受け渡し動作時に、フォークハンド83を降下させることができ、エア浮上装置66の上昇量を少なくできる。また、基板ステージ20から基板Pを搬出する基板搬出装置は、基板ホルダ40に内蔵されても良いし、基板ホルダ40の外部に配置する場合には、基板ホルダ40の両側に配置しても良い。また、基板搬出装置をポート部60に設置しても良い。
【0083】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0084】
また、上記第1及び第2の実施形態では、投影光学系PLが、複数本の投影光学ユニットを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0085】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0086】
なお、露光装置としては、サイズ(外径、対角線の長さ、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0087】
また、露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。
【0088】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。また、物体処理装置は、露光装置に限られず、例えば基板検査装置などであっても良い。また、搬送対象の物体は、マスクなどのパターン保持体であっても良い(露光装置に対するマスクの搬入に上記実施形態と同様の搬入装置及び方法を適用しても良い)。
【0089】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明の物体処理装置は、物体を処理するのに適している。本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、フラットパネルディスプレイの製造に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの製造に適している。また、本発明の物体の搬入装置、及び方法は、物体処理装置内に物体を搬入するのに適している。
【符号の説明】
【0091】
10a…液晶露光装置、20…基板ステージ、60…ポート部、70…基板搬出装置、80a…基板搬入装置、81a…X走行ガイド、82…Xスライド部材、83…フォークハンド、90a…外部搬出ロボット、90b…外部搬入ロボット、P…基板、PST…基板ステージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理領域内で物体に関して所定の処理を行う物体処理装置であって、
前記処理領域内で前記物体を保持可能な物体保持装置と、
前記物体を下方から支持可能な第1支持部材を含み、該物体を前記所定領域外から前記物体保持装置に対して搬送する装置内搬送装置と、
前記所定領域外に設けられ、装置外搬送装置が有する第2支持部材に下方から支持された前記物体が、前記所定領域外に位置する前記第1支持部材の上方に位置した状態で前記第2支持部材から前記物体を受け取るとともに、該物体を前記第1支持部材の上方から前記第2支持部材が退避した後に前記第1支持部材に受け渡す受け渡し装置と、を備える物体処理装置。
【請求項2】
前記装置内搬送装置は、前記第1支持部材と、前記第1支持部材を水平面内の第1方向に駆動する駆動系と、前記水平面内で前記第1方向に直交する第2方向に関して前記第1支持部材の一側及び他側それぞれに配置され、前記第1支持部材の移動を案内する案内部材と、を備える請求項1に記載の物体処理装置。
【請求項3】
前記第2支持部材に下方から支持された前記物体が前記第1支持部材の上方に位置した状態で、前記物体を支持した前記第2支持部材が、前記第2方向に関して前記一側及び他側それぞれの前記案内部材間に挿入される請求項2に記載の物体処理装置。
【請求項4】
前記受け渡し装置は、前記第2支持部材に対して前記水平面に交差する方向に相対移動可能、且つ前記第2支持部材に支持された前記物体を下方から押圧することにより前記第2支持部材から離間させる可動部材を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項5】
前記可動部材は、前記第1支持部材に対して前記第1方向に移動可能に設けられ、
前記物体を前記第2支持部材から前記第1支持部材に載せ替える際に、前記第1支持部材に対して前記物体を前記第1方向に移動させる請求項4に記載の物体処理装置。
【請求項6】
前記受け渡し装置は、前記第2支持部材が前記第1支持部材の上方から退避した後に下降駆動されることにより前記物体を前記第1支持部材に受け渡す請求項4又は5に記載の物体処理装置。
【請求項7】
前記第1支持部材は、前記物体を前記物体保持装置に搬送する際の搬送方向前側に開口する切り欠きが形成され、
前記可動部材は、前記切り欠き内に挿入される請求項4〜6のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項8】
前記可動部材は、前記物体保持装置から搬出される前記物体を前記所定領域外で受け取る請求項5〜7のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項9】
前記処理領域内で前記物体保持装置に保持された前記物体にエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置を更に備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項10】
前記物体は、フラットパネルディスプレイ装置に用いられる基板である請求項1〜9のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項11】
前記基板は、少なくとも一辺の長さ又は対角長が500mm以上である請求項10に記載の物体処理装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の物体処理装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の物体処理装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項14】
所定の処理領域内で物体保持装置に保持された物体に関して所定の処理を行う物体処理装置に設けられ、前記処理領域外から前記物体保持装置に前記物体を搬送する物体搬送装置であって、
前記物体を下方から支持可能な支持部材と、
前記支持部材を水平面内の第1方向に駆動する駆動系と、
前記水平面内で前記第1方向に直交する第2方向に関して前記支持部材の一側及び他側それぞれに配置され、前記支持部材の移動を案内する案内部材と、を備える物体搬送装置。
【請求項15】
物体に関して所定の処理を行う物体処理装置内に物体を搬入する方法であって、
前記処理が行われる処理領域内で前記物体を保持可能な物体保持装置に対して前記物体を搬送可能な装置内搬送装置が有する第1支持部材を前記所定領域外に位置させることと、
前記物体処理装置の外部に設けられた装置外搬送装置が有する第2支持部材に下方から支持された前記物体を前記第1支持部材の上方に位置させることと、
前記第1支持部材の上方に位置した前記第2支持部材から受け渡し装置に前記物体を受け渡すことと、
前記第1支持部材の上方から前記第2支持部材を退避させることと、
前記受け渡し装置から前記第1支持部材上に前記物体を受け渡すことと、を含む物体の搬入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−51237(P2013−51237A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186987(P2011−186987)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】