説明

物品処理方法及び物品保管設備

【課題】上下に積層した複数の物品にわたって巻き掛けた状態に装着する締め付け用のバンドの緩みを防止することが可能となる物品処理方法の提供、及びバンドがけされた積層状態の複数の物品を位置ずれの少ない状態で格納することが可能な物品保管設備の提供。
【解決手段】上下に積層した複数の物品9にわたって締め付け用のバンドBを巻き掛けた状態に装着する物品処理方法において、複数の物品9にわたって装着したバンドBの長手方向の一部分と物品9との間に縮小変形自在な弾性体Dを縮小変形状態で配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に積層した複数の物品にわたって締め付け用のバンドを巻き掛けた状態に装着する物品処理方法、及び、前記物品処理方法によって処理された積層状態の複数の物品を収納する物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、上下に積層した複数の物品にわたって締め付け用のバンドを巻き掛けて、そのバンドだけで複数の物品を積層状態で締め付け固定するようになっていた(例えば、特許文献1参照。)。尚、特許文献1には詳述はしていないが、締め付け用のバンドは、引張り力が作用しても延びたり千切れたりするおそれが少ない材質、例えばポリプロピレン(PP)等が用いられる。
【0003】
又、前記物品処理方法によって処理された積層状態の複数の物品を収納する物品保管設備として、物品を収納する複数の物品収納部を縦横に並べて備えた収納棚と、収納棚の前方の走行経路に沿って走行自在で且つ複数の物品収納部及び入出庫用の物品搬出入部を複数の物品移載箇所として物品の搬送を行うスタッカークレーンとを備えて、そのスタッカークレーンに、物品を左右両側から挟持して収納棚の前後幅方向に沿って搬送するクランプ部を備えたクランプ式の物品移載装置を備えて構成されるものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第2954399号公報
【特許文献2】特開2005−272107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、締め付け用のバンドは引張り力が作用しても延びるおそれが少ない材質が用いられるものの、従来の物品処理方法では、前記バンドだけで複数の物品を固定するようになっていたから、バンドの緊張力が不足して積層状態の複数の物品をしっかりと固定することができない状態になるおそれがある。
【0006】
説明を加えると、上述したような締め付け用のバンドは、特許文献1に記載されるように、自動バンド掛け機を用いて装着されることがあるが、このような自動バンド掛け機を用いてバンドを装着するときに、緊張力が不足する状態でバンドが装着されることがある。その結果、例えば物品がダンボール箱等のような複数の物品同士が滑り易い材質のものであれば、上下に積層した複数の物品同士が水平方向に位置ずれしやすいおそれがある。又、物品がダンボール箱等のような軟かい材質のものであれば、物品におけるバンドの巻き掛け箇所が少し変形してバンドとの間に隙間が生じて、バンドによる締め付け状態が緩くなってしまうおそれもある。
【0007】
そして、前記物品保管設備においては、前記スタッカークレーンにより前記収納棚における物品収納部にバンド掛けされた積層状態の複数の物品を収納する際に、上下に積層した物品同士が水平方向に位置ずれすることがあり、次のような不都合が発生するおそれがあった。
【0008】
すなわち、バンド掛けされた積層状態の複数の物品を収納するために、物品移載装置により収納棚の前後幅方向に沿って搬送するときは、複数の物品における下側に位置する物品を左右両側から挟持して搬送することになるので、下側の物品は物品移載装置による挟持作用によって適切な位置に搬送されるが、上記したようにバンドの緊張力が不足したり、締め付け状態が緩くなってしまうと、搬送作動において上側に位置する物品が静的な慣性力によって、下側の物品に対して搬送方向上手側に相対的に位置がずれてしまうことがある。
【0009】
その結果、例えば、図11に示すように、クランプ式の物品移載装置11におけるクランプ部27にて挟持して搬送しながら物品9を物品収納部4に収納するときに、複数の物品における上側に位置する物品9が、スタッカークレーン3側に向けて突出した状態で収納されることがあり、その後、他の物品収納部4に対する物品9の搬送を行うためにスタッカークレーン3が走行するとき、スタッカークレーン3における物品移載装置11あるいはそれを支持する昇降台12等が上述したように突出している物品9と接触して、物品9やスタッカークレーン3が損傷を受けるおそれがあった。
【0010】
本発明の目的は、上下に積層した複数の物品にわたって巻き掛けた状態に装着する締め付け用のバンドの緊張力を高めて緩みを防止することが可能となる物品処理方法を提供する点にある。
【0011】
本発明の別の目的は、バンド掛けされた積層状態の複数の物品を位置ずれの少ない状態で収納することが可能となる物品保管設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る物品処理方法は、上下に積層した複数の物品にわたって締め付け用のバンドを巻き掛けた状態に装着するものであって、その第1特徴構成は、前記複数の物品にわたって装着した前記バンドの長手方向の一部分と前記物品との間に、縮小変形自在な弾性体を縮小変形状態で配設する点にある。
【0013】
第1特徴構成によれば、前記複数の物品にわたって巻き掛けた状態に装着される前記バンドの長手方向の一部分と前記物品との間に、縮小変形自在な弾性体を縮小変形状態で配設するようにしたので、弾性体が縮小変形状態から元の自由状態に復帰しようとする弾性復元力によって、前記バンドの長手方向の一部分と物品との間の間隔が拡がる方向に力を受けて、前記バンドの長手方向の一部分が物品から離れる方向に引っ張られることになる。
【0014】
その結果、上下に積層した複数の物品にわたって巻き掛けた状態で装着される締め付け用のバンドの緊張力を高めることが可能となり、又、物品がダンボール箱等のような軟かい材質のものであって物品におけるバンドの巻き掛け箇所が少し変形してバンドとの間に隙間が生じるおそれがあるような場合であっても、バンドの複数の物品に対する締め付けが強くなって緩みを防止することが可能となる。
【0015】
従って、上下に積層した複数の物品にわたって巻き掛けた状態に装着する締め付け用のバンドの緊張力を高めて緩みを防止することが可能となる物品処理方法を提供できるに至った。
【0016】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記複数の物品のうちの上側に位置する物品の上部面とそれに対応する前記バンドの上部側部分との間に前記弾性体を配設する点にある。
【0017】
第2特徴構成によれば、前記複数の物品のうちの上側に位置する物品の上部面とそれに対応する前記バンドの上部側部分との間に前記弾性体を配設するようにしたので、締め付け用のバンドが装着された積層状態の複数の物品を、例えば搬送装置により搬送したり、収納棚に収納するような場合に、前記弾性体が邪魔になることがなく処理を適正に行うことができる。
【0018】
例えば、搬送装置が物品の左右両側を挟持して搬送したり、あるいは、物品の底面を受止めて載置搬送しながら、収納棚に移載するような場合であれば、複数の物品のうちの下側に位置する物品に対して搬送力が作用することになるが、そのとき、前記弾性体が、複数の物品のうちの上側に位置する物品の上部面とそれに対応するバンドの上部側部分との間に配設されるものであるから、搬送の邪魔になることがなく良好な搬送を行えることになる。
【0019】
従って、第2特徴構成によれば、締め付け用のバンドが装着された複数の物品を、収納棚に収納するような場合等において、バンドの緊張力を高めて緩みを防止することが可能なものでありながら、前記弾性体が邪魔になることがなく良好に搬送を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記弾性体が、ゴムホースを短管状態に切断したものである点にある。
【0021】
第3特徴構成によれば、弾性体がゴムホースを短管状態に切断したものである。すなわち、このようなゴムホースは、一般的に水やガス等の流体物を通流案内するために曲がり変形される状態で使用されるものであるが、長期にわたり使用可能なように耐久性が高いものであり、又、屈曲状態になって流体物の通流を阻害することがないように大きな弾性復元力を有するものである。そこで、このようなゴムホースを短管状態に切断した弾性体を、バンドの長手方向の一部分と物品との間に配設することにより、バンドの長手方向の一部分と物品との間において弾性復元力を長期にわたって発揮し易いものとなる。しかも、ゴムホースは安価なものであり、弾性体は、このようなゴムホースを短管状態に切断することにより得られるものであるから低コストで提供できるものとなる。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記物品が物品収納用のダンボール箱にて構成され、前記バンドがポリプロピレン製である点にある。
【0023】
第4特徴構成によれば、前記物品が物品収納用のダンボール箱にて構成され、前記バンドがポリプロピレン製である。ポリプロピレン製のバンドは、引張り力が作用しても延びたり千切れたりするおそれが少ない強靭なものであるから、この種の締め付け用のバンドとして一般的に使用されるものである。そして、このようなポリプロピレン製のバンドにより複数の物品を締め付け固定するようにすると、その締め付け固定状態を長期にわたり維持することができる。又、ダンボール箱は安価であり物品収納用のものとして一般的によく使用されるものであるが、物品がこのように軟かなダンボール紙にて構成されるものでは、物品におけるバンドの巻き掛け箇所が少し変形してバンドとの間に隙間が生じてバンドの締め付けが緩くなるおそれがあるが、物品とバンドの長手方向の一部分との間に前記弾性体を配設することでバンドの緩みを防止して適切な締め付け状態を維持することができる。
【0024】
従って、第4特徴構成によれば、一般的によく使用されるダンボール箱を使用した物品を一般的に使用されるポリプロピレン製のバンドにより締め付け固定するようにしたものにおいて、バンドの緩みを防止して、バンドによる複数の物品の締め付け固定状態を長期にわたり維持することが可能なものとなった。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、請求項1〜4のいずれかに記載の物品処理方法によって処理された積層状態の複数の物品を収納する物品保管設備であって、前記積層状態の複数の物品を収納する複数の物品収納部を縦横に並べて備えた収納棚と、その収納棚の前方の走行経路に沿って走行自在で且つ前記収納棚の前後幅方向に沿って前記積層状態の複数の物品を搬送して移載する物品移載装置を備えたスタッカークレーンと、前記複数の物品収納部及び入出庫用の物品搬出入部を複数の物品移載箇所として、前記積層状態の複数の物品の搬送を行うべく前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とを備えて構成されている点にある。
【0026】
第5特徴構成によれば、前記スタッカークレーンが、前記収納棚における複数の物品収納部及び入出庫用の物品搬出入部を複数の物品移載箇所として、前記積層状態の複数の物品の搬送を行う。例えば、入出庫用の物品搬出入部からいずれかの物品収納部に向けて前記積層状態の複数の物品を搬送して収納させたり、いずれかの物品収納部に収納保管されている前記積層状態の複数の物品を入出庫用の物品搬出入部に向けて搬送するのである。説明を加えると、スタッカークレーンに備えられる物品移載装置が、複数の物品移載箇所に対して前記収納棚の前後幅方向に沿って前記積層状態の複数の物品を搬送して移載することになる。
【0027】
前記積層状態の複数の物品は、前記弾性体が配設されることによってバンドの緩みを防止することが可能なものであるから、前記物品移載装置により前記物品収納部に搬送して移載されるときに上側の物品と下側の物品とが搬送方向に相対的に位置ずれして、上側に位置する物品がスタッカークレーン側に突出する等の不利を回避することができる。その結果、スタッカークレーンが走行しても物品との接触のおそれがなく、物品やスタッカークレーンが損傷するおそれが少ないものになる。
【0028】
従って、第5特徴構成によれば、積層状態の複数の物品を位置ずれの少ない状態で収納することが可能となる物品保管設備を提供できるに至った。
【0029】
本発明の第6特徴構成は、第5特徴構成に加えて、前記物品移載装置が、前記積層状態の複数の物品における下側に位置する物品を左右両側から挟持して前記収納棚の前後幅方向に沿って搬送するように構成されている点にある。
【0030】
第6特徴構成によれば、前記物品移載装置が、前記積層状態の複数の物品における下側に位置する物品を左右両側から挟持して前記収納棚の前後幅方向に沿って搬送することになる。下側に位置する物品は、左右両側から挟持して収納棚の前後幅方向に沿って搬送されるので適正な位置に搬送されることになるが、前記弾性体が配設されることによってバンドの緩みが防止されるものであるから、上側に位置する物品が搬送方向に位置ずれするおそれがなく、収納棚において適正な位置にて収納されることになる。
【0031】
従って、第6特徴構成によれば、物品を左右両側から挟持して前記収納棚の前後幅方向に沿って搬送する物品移載装置を備える場合であっても、積層状態の複数の物品の夫々を収納棚において適正な位置にて収納させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明にかかる物品処理方法及び物品保管設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
前記物品保管設備は、物品9を収納する複数の物品収納部4を縦横に並べて備えた収納棚1と、その収納棚1の前方の走行経路2に沿って走行自在で且つ収納棚1の前後幅方向に沿って物品を搬送して移載する物品移載装置としての移載装置11を備えたスタッカークレーン3と、複数の物品収納部4及び入出庫用の物品搬出入部としての荷載置台8を複数の物品移載箇所として、物品9の搬送を行うべくスタッカークレーン3の作動を制御する制御手段Hとを備えて構成されている。
【0033】
次に、この物品保管設備にて収納保管される物品について説明する。
すなわち、この物品保管設備では、図8に示すように、上下に積層した2個の物品9にわたって1本の締め付け用のバンドBを巻き掛けた状態に装着された積層状態の2個の物品9を収納するようになっている。そして、前記物品9が物品収納用のダンボール箱にて構成され、前記バンドBはポリプロピレン(PP)製の帯状体にて構成されている。
【0034】
尚、詳述はしないが、前記バンドBは、図示しない自動バンド掛け機によって、2個の物品に対してバンドBを巻き掛けて締め付けた状態で、その長手方向の両側端部を連結具にて連結したり溶着によって固定することにより装着されることになる。
【0035】
そして、前記2個の物品9にわたって装着した前記バンドBの長手方向の一部分と前記物品9との間に、縮小変形自在な弾性体Dを縮小変形状態で配設するようにしている。具体的には、図8に示すように、2個の物品9のうちの上側に位置する物品9の上部面9aとそれに対応するバンドBの上部側部分との間に前記弾性体Dを挟み込んで縮小変形状態で配設するようになっている。前記弾性体Dとしては、水道水を通流するために用いられる一般的なゴムホースを短管状態に切断したものを用いるようにしている。ちなみに、上側に位置する物品9の上部面9aとそれに対応するバンドBの上部側部分との間に前記弾性体Dを挟み込む作業は作業員が手作業で行うようになっている。
【0036】
そして、この実施形態では、上下に積層した2個の物品9にわたって1本のバンドBが巻き掛けた状態で装着されるが、このような積層状態の2個の物品9を、バンドBの巻き掛け方向と直交する方向に沿って移載装置11にて搬送して移載する構成となっている。
【0037】
上記したように上側に位置する物品9の上部面とそれに対応するバンドBの上部側部分との間に前記弾性体Dを縮小変形状態で配設することにより、その弾性復元力によって、バンドBの長手方向の一部分と物品9との間の間隔が拡がる方向に力を受けて、バンドBの長手方向の一部分が物品9から離れる方向に引っ張られるので、バンドBの緊張力を高めて緩みを防止することが可能となる。
【0038】
次に、物品保管設備の具体的な構成について説明すると、図1に示すように、物品出し入れ方向が互いに対向するように前後方向に間隔を隔てて設置した一対の収納棚1と、それらの一対の収納棚1の間に形成した走行経路2を走行するスタッカークレーン3とが設けられ、各収納棚1は、多数の物品収納部4を縦横に複数並べて構成されている。
【0039】
前記走行経路2には、収納棚1の長手方向に沿って走行レール5が設置され、走行経路2の一端側には、入出庫状態を管理する地上側コントローラ7と、走行レール5を挟んで入出庫用の物品搬出入部としての一対の荷載置台8とが設けられている。
【0040】
前記スタッカークレーン3は、図2に示すように、走行レール5に沿って走行自在な移動体としての走行台車10と、荷載置台8または物品収納部4と自己との間で物品9を前後方向に搬送して移載可能な物品移載装置としての移載装置11を備えた昇降台12とを備えて構成され、走行台車10の走行、昇降台12の昇降、および、移載装置11の作動により、荷載置台8に載置されている物品9を物品収納部4に移載させたり、物品収納部4に収納されている物品9を荷載置台8に移載させるように構成されている。
【0041】
前記移載装置11は、図3および図4に示すように、走行台車10の走行方向に対して直交する移載方向、すなわち、前記収納棚1の前後幅方向に沿って物品9を搬送するローラコンベヤ25と、移載方向に対して直交する方向の両側に振り分けて配設されて接近離間可能な一対の可動部26および一対のクランプ部27とから構成されている。前記可動部26は、クランプ部27と一体的に、接近離間移動するように構成され、クランプ部27は、可動部26に対して移載方向に出退移動可能に構成されている。ちなみに、図3は移載装置11の平面図を示し、図4は移載方向視での移載装置11の側面図を示している。
【0042】
説明を加えると、ローラコンベヤ25は、コンベヤ駆動モータ28の正逆駆動により複数のローラを正逆回転駆動させることにより物品9を載置搬送するように構成されている。前記可動部26とクランプ部27とを支持する移動台30が、ローラコンベヤ25の下方空間において移載方向の中央部分において、移載方向に対して直交する方向の両側に振り分けて一対設けられ、移動台30の夫々が、移載方向に直交する方向に沿うガイドレール36にスライド移動自在に設けられている。
【0043】
そして、移動台30は、接近離間用モータ29の正逆駆動によりガイドレール36に沿ってスライド移動して接近離間移動するように構成され、この移動台30の接近離間移動により可動部26とクランプ部27とが一体的に接近離間移動するように構成されている。また、クランプ部27は、可動部26に移載方向に移動可能に支持され、出退用モータ31の正逆駆動によりクランプ部27を可動部26に対して移載方向に出退移動させるように構成されている。
【0044】
ちなみに、図示はしないが、ローラコンベヤ25、移動台30、および、クランプ部27の駆動構成について説明を加えると、前記ローラコンベヤ25は、コンベヤ駆動モータ28にて駆動される駆動スプロケットと各ローラに対応する従動スプロケットにわたって巻き掛けられたチェーンなどからなる巻き掛け伝動部を備えて、コンベヤ駆動モータ28の駆動により巻き掛け伝動部を駆動させることによりローラを回転駆動させるように構成されている。
【0045】
そして、移動台30は、駆動輪体と従動輪体とに巻きかけられた伝動体の一部に連結されており、接近離間用モータ29の駆動により伝動体をその長手方向に移動操作させることにより、一対の移動台30を接近離間移載させるように構成されている。
【0046】
また、クランプ部27については、駆動輪体と従動輪体とに巻きかけられた伝動体などからなる巻き掛け伝動部が、一対のクランプ部27に対応して、一対設けられている。そして、一対の巻き掛け伝動部における駆動輪体を同期する状態で駆動させる伝動軸が設けられ、出退用モータ31の駆動により伝動軸を駆動させることによって、一対の巻き掛け伝動部を同期する状態で駆動させることによりクランプ部27を可動部26に対して移載方向に出退移動させるように構成されている。
【0047】
このように構成された移載装置11は、クランプ部27による出退動作、クランプ部27による挟持動作、および、ローラコンベヤ25による搬送動作により、物品収納部4や荷載置台8に載置されている物品9を掬い取ったり、自己が載置されている物品9を物品収納部4や荷載置台8に卸したりするサイドクランプ式の移載装置にて構成されている。
【0048】
前記昇降台12には、移載装置11の移載方向において、その中央部に物品9が存在するか否かを検出する光電式の第1在荷センサ32a,32bが移載方向に分散して一対設けられ、その第1在荷センサ32a,32bよりも外側の設定位置に物品9が存在するか否かを検出する光電式の第2在荷センサ33a,33bが移載方向に分散して一対設けられている。また、移載装置11に載置される物品9が昇降台12からはみ出しているか否かを検出する光電式のはみ出しセンサ34a,34bが移載方向の両端部に設けられている。詳述はしないが、第1在荷センサ32a,32b、第2在荷センサ33a,33b、および、はみ出しセンサ34a,34bのいずれもが、投光部Tと受光部Jとからなり、投光部Tからの光が物品9にて遮断されて受光部Jにて受光しないことにより物品9の存在を検出し、受光部Jが投光部Tからの光を受光することにより物品9の非存在を検出するように構成されている。
【0049】
図2に示すように、昇降台12を昇降操作自在に案内支持する前後一対の昇降マスト13が設けられ、昇降台12が走行台車10に対して昇降自在に設けられ、前後一対の昇降マスト13の上端部が、ガイドレール6に沿って案内される上部フレーム15にて連結されている。
【0050】
前記昇降台12は、その長手方向の両端部に連結された2本の昇降用チェーン14にて吊下げ支持され、その昇降用チェーン14が、上方側従動プーリ16、走行台車側従動プーリ17、昇降台側従動プーリ18、および、駆動プーリ19に巻き掛けられている。そして、上方側従動プーリ16は、上部フレーム15の前端部および後端部に設けられ、走行台車側従動従動プーリ17は、走行台車10の一端部および中央部に設けられ、昇降台側従動プーリ18は、昇降台12の中央下面部に設けられ、駆動プーリ19は、走行台車10の一端部に設けられている。
【0051】
また、駆動プーリ19を駆動回転させるインバータ式のモータである昇降用電動モータ20が設けられ、その昇降用電動モータ20にて駆動プーリ19を正逆に駆動させることにより、昇降用チェーン14をその長手方向に移動操作して、昇降台12を昇降移動させるように構成されている。
【0052】
図2に示すように、昇降台12に、昇降経路の下端部に設定された基準位置からの昇降台12の昇降距離を検出する昇降台側ロータリエンコーダ21が設けられている。この昇降台側ロータリエンコーダ21は、図示は省略するが、昇降台側ロータリエンコーダ21の回転軸に、昇降マスト13の上下方向に敷設されたチェーンに噛合するスプロケットが取り付けられ、昇降台12の昇降によりスプロケットが回転して、基準位置からの昇降台12の昇降距離を検出することにより昇降位置を検出するように構成されている。
【0053】
また、走行台車10には、走行レール5上を走行自在な前後二つの走行輪23が設けられ、それら二つの走行輪23のうちの車体前後方向の一端側の車輪が、インバータ式のモータである走行用電動モータ24にて駆動される推進用の駆動走行輪23aとして構成され、車体前後方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動走行輪23bとして構成されている。
【0054】
図2に示すように、走行台車10に、走行経路2の一端部に設定された基準位置からの走行台車10の移動距離を検出する車体側ロータリエンコーダ22が設けられている。この車体側ロータリエンコーダ22は、図示は省略するが、車体側ロータリエンコーダ22の回転軸に、走行レール5に沿って敷設されたチェーンに噛合するスプロケットが取り付けられ、走行台車10の走行によりスプロケットが回転して、基準位置からの走行台車10の走行距離を検出することにより走行位置を検出するように構成されている。
【0055】
図5に示すように、地上側コントローラ7から入出庫指令を受けて、スタッカークレーン3の運転を制御するクレーン制御装置35が設けられ、このクレーン制御装置35に対して、昇降台側ロータリエンコーダ21、車体側ロータリエンコーダ22、第1在荷センサ32a,32b、第2在荷センサ33a,33b、および、はみ出しセンサ34a,34bの検出情報が入力されるように構成されている。
【0056】
そして、クレーン制御装置35は、地上側コントローラ7から入出庫指令が指令されると、昇降台側ロータリエンコーダ21の検出情報に基づいて昇降台12を指令された昇降用目標停止位置に昇降させる昇降制御を行う昇降制御部35a、車体側ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいて走行台車10を指令された走行用目標停止位置に走行させる走行制御を行う走行制御部35b、第1在荷センサ32a,32bおよび第2在荷センサ33a,33bの検出情報に基づいて移載装置11を作動させて物品9を移載する移載制御を行う移載制御部35cなどから構成されている。従って、地上側コントローラ7及びクレーン制御装置35により前記制御手段Hが構成されている。
【0057】
前記昇降制御について説明を加えると、昇降制御部35aは、昇降台側ロータリエンコーダ21の検出情報に基づいて昇降台12の昇降位置を管理しながら、昇降台12を昇降させて、昇降台12の昇降位置が昇降用目標停止位置に達すると、昇降台12を停止させる。
【0058】
前記走行制御について説明を加えると、昇降制御と同様に、走行制御部35bが、車体側ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいて走行台車10の走行位置を管理しながら走行台車10を走行させ、走行台車10の走行位置が走行用目標停止位置に達すると、走行台車10を停止させるように構成されている。
【0059】
前記移載制御について説明を加えると、移載制御部35cは、昇降台12が昇降用目標停止位置に停止されかつ走行台車10が走行用目標停止位置に停止している状態において、クランプ部27による出退動作、クランプ部27による挟持動作、および、コンベヤ25による搬送動作により、物品収納部4や荷載置台8に載置されている物品9を掬い取る掬い動作や、自己が載置されている物品9を物品収納部4や荷載置台8に卸す卸し動作を行うように構成されている。
【0060】
次に、図6に基づいて移載制御部35cにて制御される移載装置11による卸し動作について説明する。
図6の(イ)に示す搬送用載置状態から、可動部26およびクランプ部27を離間させた状態で、ローラコンベヤ25の作動させて物品9を物品収納部4側に向けて移動させる。そして、図6(ロ)に示すように、物品9の後端が物品9搬送方向の上手側に位置する第1在荷センサ32bの配置位置を通過して、第1在荷センサ32bが非検出状態になると、その時点から設定時間後に可動部26およびクランプ部27を接近移動させることにより、図6(ハ)に示すように、クランプ部27にてバンド掛けした2個の物品9のうちの下側に位置する物品9を挟持する。そして、図6(ニ)に示すように、下側に位置する物品9を挟持したままクランプ部27を可動部26に対して移載方向に突出移動させる。このとき、物品9は、クランプ部27による挟持搬送とローラコンベヤ25による載置搬送によって良好に物品収納部4側に向けて搬送されることになる。
【0061】
そして、図6(ホ)及び図6(ヘ)に示すように、物品9が物品収納部4側に向けて搬送され、物品収納部4側に位置するはみ出し検出センサ34aが非検出状態となったことが検出されると、クランプ部27及びローラコンベヤ25による搬送を停止して、クランプ部27を離間移動させ、且つ、クランプ部27を可動部27に対して移載方向に退入移動させて、移載作動を終了する。
【0062】
前記移載制御部35cは、クランプ部27による出退動作、クランプ部27による挟持動作、および、コンベヤ25による搬送動作について、卸し動作とは逆の動作を行うことにより、掬い動作を行うように構成されている。
【0063】
そして、上述したような移載装置による物品9の物品収納部4側への搬送の際に、クランプ部27による挟持搬送並びにローラコンベヤ25による載置搬送は夫々下側の物品9に対して作用することになるが、このときバンドBが緩んでいると、例えば図11に示すように、上側に位置する物品9が静的な慣性力によって下側の物品9に対して搬送方向上手側に位置がずれてしまうおそれがある。しかし、上述したように、上側に位置する物品9の上部面9aとそれに対応するバンドBの上部側部分との間に前記弾性体Dを挟み込んで縮小変形状態で配設するようになっているから、バンドBの緊張力が高くなって緩むことが防止されるので、図7に示すように、上側に位置する物品9が下側の物品9に対して搬送方向に相対的に位置がずれることなく、適正な位置で物品収納部4に収納されることになる。
【0064】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0065】
(1)上記実施形態では、上下に積層した2個の物品9にわたって移載方向と直交する方向に沿って1本の締め付け用のバンドBを巻き掛けた状態に装着された積層状態の2個の物品9を搬送対象としているが、このような構成に限らず、次のような種々の形態で実施することができる。
【0066】
すなわち、図9(イ)に示すように、移載方向と直交する方向に沿って2本のバンドBを間隔をあけて巻き掛けた状態で装着し、且つ、移載方向に沿って1本のバンドBを巻き掛けた状態で装着して、上側に位置する物品9の上部面と各バンドBが重なり合う部分との間に弾性体Dを配設するもの、図9(ロ)に示すように、移載方向と直交する方向に沿って1本のバンドBを間隔をあけて巻き掛けた状態で装着し、且つ、移載方向に沿って1本のバンドBを巻き掛けた状態で装着して、上側に位置する物品9の上部面と各バンドBが重なり合う部分との間に弾性体Dを配設するもの、図9(ハ)に示すように、移載方向に沿って1本のバンドBを巻き掛けた状態で装着して、上側に位置する物品9の上部面とそれに対応するバンドBの一部分との間に弾性体Dを配設するもの、図9(ニ)に示すように、移載方向と直交する方向に沿って1本の締め付け用のバンドBを巻き掛けた状態に装着して、物品9の横側面とそれに対応するバンドBの一部分との間に弾性体Dを配設するもの等、種々の形態で実施することができる。又、物品は2個に限らず3個以上のものをバンドで締め付けて固定するものでもよい。
【0067】
(2)上記実施形態では、弾性体として、ゴムホースを短管状態に切断したものを用いるようにしたが、このような構成に限らず、弾性復元力を有するものであればよく、ゴムホースに限定されるものではない。例えば、弾性復元力を有する球状の弾性体、又は、板状の弾性体を折り曲げて弾性的な復帰力を発揮するもの等、各種の形態のものを利用することができる。
【0068】
(3)上記実施形態では、物品移載装置として、サイドクランプ式の移載装置を例示したが、例えば、サイドベルト式の移載装置など、その他各種の移載装置を適応することが可能である。
【0069】
前記サイドベルト式の移載装置について説明すると、この移載装置は、図10に示すように、互いに接近離間方向に移動自在で物品9の側面を挟持する一対の搬送用ベルト37が備えられ、この搬送用ベルト37の出退移動、搬送用ベルト37の物品9に対する挟持動作、および、搬送用ベルト37の搬送駆動により、物品9を搬送して移載するように構成されている。
【0070】
説明を加えると、この移載装置は、物品9を載置支持する一対の載置板38と、物品9の側面を挟持しながら搬送する搬送用ベルト37とを備え、移載方向に沿う案内レール39にて案内移動されるスライド台40が設けられ、そのスライド台40に、搬送用ベルト37を支持する一対の基枠41が接近離間移動自在に設けられている。そして、スライド台40が、出退駆動用モータの駆動により移載方向へ出退駆動されるように構成され、基枠41は、挟持駆動用モータ42の駆動により接近離間移動されるように構成され、搬送用ベルト37は、搬送移動用モータ43の駆動により移載方向へ駆動されるように構成されている。
【0071】
(4)上記実施形態では、物品9とバンドBとの間に前記弾性体Dを挟み込む作業は、作業員が手作業で行うようにしたが、このような構成に代えて、例えば、自動バンド掛け機によるバンド掛け作業の際に弾性体Dを挟み込んだ状態でバンド掛けするようにしてもよい。
【0072】
(5)上記実施形態では、昇降台を昇降駆動するための構成として、昇降用電動モータを作動させて駆動プーリを正逆に駆動させることにより、昇降用チェーンをその長手方向に移動操作するようにしているが、例えば、昇降用チェーンを、複数の案内スプロケットに巻き掛け、走行台車の一端に装備した巻き取りドラムに連結して、巻き取りドラムを昇降用モータにて正逆に駆動回転させて、昇降用チェーンをその長手方向に移動操作させるように構成して実施することも可能である。
【0073】
(6)上記実施形態では、昇降台側ロータリエンコーダにて昇降台の昇降位置を検出し、車体側ロータリエンコーダにて走行台車の走行位置を検出するようにしているが、他の距離計、例えば測距用のビーム光を投射するレーザ測距計などを用いて、昇降台の昇降位置および走行台車の走行位置を検出するように構成して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】物品保管設備の概略図
【図2】スタッカークレーンの側面図
【図3】移載装置の平面図
【図4】移載装置の側面図
【図5】物品保管設備における制御ブロック図
【図6】移載装置の動作を示す平面図
【図7】物品収納部への載置状態を示す正面図
【図8】物品の斜視図
【図9】別実施形態の物品を示す図
【図10】別実施形態の移載装置の斜視図
【図11】従来の物品収納部への載置状態を示す正面図
【符号の説明】
【0075】
1 収納棚
3 スタッカークレーン
4 物品収納部
8 物品搬出入部
9 物品
9a 上部面
11 物品移載装置
B バンド
D 弾性体
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に積層した複数の物品にわたって締め付け用のバンドを巻き掛けた状態に装着する物品処理方法であって、
前記複数の物品にわたって装着した前記バンドの長手方向の一部分と前記物品との間に、縮小変形自在な弾性体を縮小変形状態で配設する物品処理方法。
【請求項2】
前記複数の物品のうちの上側に位置する物品の上部面とそれに対応する前記バンドの上部側部分との間に前記弾性体を配設する請求項1に記載の物品処理方法。
【請求項3】
前記弾性体が、ゴムホースを短管状態に切断したものである請求項1又は2記載の物品処理方法。
【請求項4】
前記物品が物品収納用のダンボール箱にて構成され、前記バンドがポリプロピレン製である請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の物品処理方法によって処理された積層状態の複数の物品を収納する物品保管設備であって、
前記積層状態の複数の物品を収納する複数の物品収納部を縦横に並べて備えた収納棚と、その収納棚の前方の走行経路に沿って走行自在で且つ前記収納棚の前後幅方向に沿って前記積層状態の複数の物品を搬送して移載する物品移載装置を備えたスタッカークレーンと、前記複数の物品収納部及び入出庫用の物品搬出入部を複数の物品移載箇所として、前記積層状態の複数の物品の搬送を行うべく前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とを備えて構成されている物品保管設備。
【請求項6】
前記物品移載装置が、前記積層状態の複数の物品における下側に位置する物品を左右両側から挟持して前記収納棚の前後幅方向に沿って搬送するように構成されている請求項5に記載の物品保管設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−110779(P2008−110779A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294214(P2006−294214)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】