説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】圧力と温度によって内部でトナーが溶融固着して凝集することを圧力削減により防止する現像装置及びこの現像装置を搭載する画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】現像ハウジング内に収容された粉体を、上流から下流へと軸方向に沿って搬送する搬送スクリュを有する現像装置において、前記搬送スクリュ55Yb下流の前記現像ハウジング76Y内壁面に、弾性部材68を設けた現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いる現像装置、この現像装置を含むプロセスカートリッジ、及びこのプロセスカートリッジを搭載している画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように磁性体であるキャリアと、トナーからなる2成分方式の現像装置では、補給したトナーとキャリアとを攪拌・搬送するためにトナー搬送スクリュを有し、このトナー搬送スクリュは一方向に搬送するため螺旋形状を有するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
現像装置では、現像ローラ室のトナー搬送スクリュと、攪拌室のトナー搬送スクリュと、を備えている。トナーの消費に応じ攪拌室上流からトナーを補給する。補給されたトナーは攪拌室にてキャリアとトナーとを混ぜ合わされ、搬送スクリュの螺旋形状部に沿って攪拌室の下流へと搬送される。
このような現像装置では、現像ローラ室のスクリュと、攪拌室(トナーと混ぜる)のスクリュとである2本のスクリュを有し、トナーの消費に応じ攪拌室上流からトナーを補給する。攪拌室にてキャリアとトナーとを混ぜ合わせ、スクリュの螺旋形状に沿って攪拌室下流へと搬送される。
【特許文献1】特開2006―220852公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現像ケース外壁にはスクリュや現像ローラ等を回転させるための駆動機構が設けており、ギヤ噛み合いの圧力角の影響や、軸受等摺動部の摩擦により発熱することとなる。
さらに、トナーは、螺旋形状により下流へと搬送され、軸直交方向へのリブ等で現像室から攪拌室へ、もしくは攪拌室から現像室へと送り込まれるが、送り力と戻し力の収支差や、流れの変化により滞留するものも存在することで最下流方向への圧力が存在する。
駆動等による温度がトナーの軟化点を超え、粉圧がかかると、スクリュ下流やケースの壁面にトナーが凝集することとなる(溶融固着)。これら凝集トナーは駆動の回転停止により固まり、再駆動で欠け、現像ローラ部に回り込むと、現像ローラ上に均一にトナーが乗らなくなる問題がある。
また、近年では、省エネルギのため画像形成装置本体を待機状態にさせることが一般的であるが、待機状態からの復帰時間も速くすることが求められている。待機状態からの復帰で最も時間を要するのが、転写したトナーを、熱と圧力で用紙に定着させる機構の温度を、所定値まで復帰させることである。
このため低融点のトナーを使用し、定着可能温度を下げる装置も多い。しかし低融点トナーを使った場合は、現像装置内での溶融固着も発生しやすい問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、圧力と温度によって内部でトナーが溶融固着して凝集することを圧力削減により防止する現像装置及びこの現像装置を搭載する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、現像ハウジング内に収容された粉体を、上流から下流へと軸方向に沿って搬送する搬送スクリュを有する現像装置において、前記搬送スクリュ下流の前記現像ハウジングの軸受側内壁面に、弾性部材を設ける現像装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記弾性部材が、50°(Asker−F)以下の硬度を有する請求項1記載の現像装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記弾性部材が発泡ポリウレタンからなり、該発泡ポリウレタンの発泡径をコーティング処理で被覆する請求項1又は2記載の現像装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記弾性部材を、駆動機構等の高熱源に近い側の前記搬送スクリュの下流に設ける請求項1乃至3のいずれか1項記載の現像装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記弾性部材の外形を、前記搬送スクリュの外径より大きくする請求項1乃至4のいずれか1項記載の現像装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記弾性部材に設けた軸挿通穴の内径を前記搬送スクリュの軸外径より小さくする請求項1乃至5のいずれか1項記載の現像装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記弾性部材の外径を前記現像ハウジングの端壁の穴の内径より大きくする請求項1乃至6のいずれか1項記載の現像装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、少なくとも請求項1乃至7のいずれか1項記載の現像装置と、像担持体とを備えるプロセスカ−トリッジを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、像担持体上に形成された静電潜像を現像装置からのトナーにより現像して可視化する画像形成装置において、前記現像装置と前記像担持体とを含むプロセスカ−トリッジとして請求項8記載のプロセスカ−トリッジを備える画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、スクリュ下流に弾性部材を設けることにより、スクリュにより発生した粉圧を弾性部材で受けて緩和し、凝集を防止することができる。これにより現像装置内での粉体の凝集の発生を防止することができ、凝集物挟み込みにより発生する、現像ローラ上にトナーが不均一に付着することが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施の形態の一例として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。なお、作像部に関してはプロセスカートリッジとして説明する。
図1は電子写真方式のプリンタの構成を示す概略図である。図2はYトナー像を生成するためのプロセスカートリッジを示す概略図である。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1及び図2において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
【0007】
まず、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを、例として説明する。このプロセスカートリッジ6Yには、図2に示すように、ドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(図示せず)、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。このプロセスカートリッジ6Yは、プリンタ100本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって、図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様に帯電せしめる。一様に帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。
そして、このYトナー像は中間転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
他のプロセスカートリッジ6M、6C、6Kにおいても、同様にして感光体1M、1C、1K上にM、C、Kトナー像が形成され、中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0008】
先に示した図1においてプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの図中下方には露光装置7が配設されている。潜像形成手段である露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kにおけるそれぞれの感光体に照射して露光する。
この露光により、感光体1Y、1M、1C、1K上にY、M、C、K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
露光装置7の図中下側には、転写紙収容カセット26、これに組み込まれた給紙ローラ27、レジストローラ対28など有する給紙手段が配設されている。
転写紙収容カセット26は、記録媒体である転写紙Pを複数枚重ねて収納しており、一番上の転写紙Pには給紙ローラ27が当接している。
【0009】
給紙ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給紙される。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転をいったん停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
かかる構成の給紙手段においては、給紙ローラ27と、タイミングローラ対であるレジストローラ対28との組合せによって搬送手段が構成されている。この搬送手段は、転写紙Pの収容手段である転写紙収容カセット26から後述の2次転写ニップまで搬送するものである。
プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの図中上方には、中間転写体である中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット15が配設されている。この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、クリーニング装置10などを備えている。
【0010】
また、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくともいずれか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。
1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。
これらの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えば、プラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
中間転写ベルト8には、その無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y、1M、1C、1K上のY、M、C、Kトナー像が重ね合わされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0011】
上述した2次転写バックアップローラ12は、これと2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで転写紙Pに転写される。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニング装置10によってクリーニングされる。
2次転写ニップにおいては、転写紙Pが互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に挟まれて、上述のレジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。2次転写ニップから送り出された転写紙P上には、定着装置20のローラ間を通過する際に熱と圧力とにより、表面に転写された4色トナー像が定着される。
その後、転写紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経てプリンタ外へと排出される。プリンタ本体の上面には、スタック部30が形成されており、排紙ローラ対29によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部30に順次スタックされる。なお、このスタック部30の下側にはボトル収納容器31が設けられ、各色のトナーボトル32Y、32M、32C、32Kが収納されている。
【0012】
次に、主として図2を参照して、上記プロセスカートリッジ6Y内の現像装置5Yの構成について説明する。現像装置5Yは、内部に磁界発生手段を備え、磁性粒子とトナーを含む2成分系現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体としての現像ローラ51Yと、この現像ローラ51Y上に担持されて搬送される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材としてのドクタブレード52Yとを備えている。
ここで、現像ローラ51Yを収容する場所を第1の室である現像ローラ室53Yとする。また、現像剤を収容する場所を第2の室である攪拌室54Yとし、この攪拌室54Yには、トナーを撹拌搬送するためのトナー搬送スクリュ(搬送体)55Y(第1搬送スクリュ55Ya、第2搬送スクリュ55Yb)と、トナーを攪拌室54Yに取り込むためのトナー補給口58Yと、現像ローラ室53Yと攪拌室54Yとの仕切り壁59Yと、現像ローラ室53Yと攪拌室54Yとの連通口(図3参照)と、を備えている。
トナー補給口58Yの上部には、トナー補給口58Yを塞ぐためのシャッタ71Yとこのシャッタ71Yを保持し、トナー補給口58Yを覆うように設けられたトナー補給口ケース72Yが設けられている。
ここで、符号56Yは現像剤のトナー濃度を検知するための濃度検知センサであり、この濃度検知センサ56Yが攪拌室54Y内でトナー濃度不足を検知すると、制御部57Yからの補給信号により、駆動モータ41Yが回転し、トナーボトル32Y(図1)が回転することによりトナーが補給される。
また、現像装置5Yの全体は、現像ハウジングを形成する現像ローラ室53Yの内壁を含む第1部材75Y(上ケース)と攪拌室54Yの内壁を含む第2部材76Y(下ケース)とで形成されている。
【0013】
図3は本発明による現像装置の構成を示す斜視図である。図4は図3の現像装置におけるトナーの流れを示す概略図である。図2で示したYトナー像を生成するためのプロセスカートリッジを示す概略図は、図3に対応させれば、図3の右側から見た図である。
図3では、図2の上ケース75Y、トナー補給口58Y、トナー補給口58Yを塞ぐためのシャッタ71Y、トナー補給口58Yを覆うように設けられたトナー補給口ケース72Y等は省いている。
磁性体であるキャリア及びトナーからなる2成分方式の現像装置5Yは、補給したトナーとキャリアとを攪拌・搬送するためのトナー搬送スクリュを有し、このトナー搬送スクリュは一方向に搬送するため螺旋形状部を有している。
図3及び図4において、この実施の形態では、第1の室である現像ローラ室53Yのトナー搬送スクリュである第1搬送スクリュ55Yaと、第2の室である攪拌室54Yのトナー搬送スクリュである第2搬送スクリュ55Ybと、を備えている。トナーの消費に応じ攪拌室54Yの上流のトナー補給口58Yからトナーを補給する。
補給されたトナーは攪拌室54Yにてキャリアと混ぜ合わされ、第2搬送スクリュ55Ybの螺旋形状部分55Yb1に沿って攪拌室54Yの下流へと搬送される。図4の矢印はトナーの搬送方向を示している。
とくに、現像ローラ51Yを省いて示す図4のように、現像ローラ室53Yと攪拌室54Yとの仕切り壁59Yは現像ハウジングの両端を横断する位置にまでは延びておらず、仕切り壁59Yの両端と現像ハウジングの両端との間の仕切り壁が欠けた部分を、それぞれ現像ローラ室53Yと攪拌室54Yとの連通口A、Bとして備えている。
【0014】
図5は逆止弁付き軸受に軸支された攪拌室スクリュを示す概略斜視図である。図6は逆止弁付き軸受を示す斜視図である。図5において、螺旋形状部分55Yb1がトナーを下流に送り込むだけでは、攪拌室スクリュ(第2搬送スクリュ)55Ybの下流の軸受に搬送したトナーの圧力が掛かり、軸受の微小な隙間からトナーが漏れ出すこととなる。
このため、第2搬送スクリュ55Ybの下流位置には逆に戻す向きの逆転螺旋部である逆転螺旋形状部分55Yb2を設けている。また、図5では明確に理解することは難しいが、軸受66には図6に示すような逆止弁66aを設け、トナーが外部へ漏れるのを防止している。
図3に示した実施の形態の場合は、攪拌室54Yの第2搬送スクリュ55Ybが高熱源側へとトナーを送り込み、現像ローラ室53Yの第1搬送スクリュ55Yaは駆動機構63とは逆側へとトナーを送り込む。どちらの搬送スクリュ下流部も圧力が存在するが、高熱源の無い非駆動部では温度が低いため、同じ圧力が存在しても凝集ができ難い。
ここで高熱源側とは、画像形成装置本体から駆動力を受ける駆動機構63側を意味している。すなわち、図示してないが本体に設けられたモータから延びるギヤが高熱源とされる駆動機構63のギヤに噛み合い、このギヤが駆動することによって現像ローラ51Y、搬送スクリュ55Ya、55Ybが駆動することになる。現像装置5Yの駆動力の源となる駆動機構63のギヤはその噛み合い力も強いため、摩擦熱等も多くなり、他の部分よりも温度の高い熱源となる。
【0015】
図7は攪拌室スクリュの下流に設けた本発明による弾性部材の第1の実施の形態を示す概略図である。図7において、攪拌室スクリュ(第2搬送スクリュ)55Ybの下流の軸受に、搬送したトナーの圧力が掛かり、軸受の微小な隙間からトナーが漏れ出すのを防ぐために、例えば、Asker−F測定にて、50°以下の硬度である弾性部材68を、第2搬送スクリュ55Ybの下流の現像ハウジング76Yの軸受側内壁面に接触して設けている。
この弾性部材68で第2搬送スクリュ55Ybにより発生した粉圧を受けることでトナーの圧力の緩和している。弾性部材68は硬度50°以下である弾力を有する硬度条件を満足すれば、発泡ポリウレタンでも、ゴムでも構わない。
この場合、発泡ポリウレタンからなる弾性部材68の表面はコーティングすることで、発泡ポリウレタンの発泡径を被覆する。この被覆により発泡径の粉体による目詰まりを抑制し、凝集を防止する。これによって現像装置5Y内でのトナーの凝集の発生を常に防止することができ、凝集物挟み込みにより発生する、現像ローラ51Y上にトナーが不均一に付着することが防止できる。
図3に示す現像装置5Yの実施の形態の場合は、攪拌室スクリュ(第2搬送スクリュ)55Ybが高熱源(駆動機構63)側へとトナーを送り込み、現像ローラ室53Yの第1搬送スクリュ55Yaは駆動機構63とは逆側へとトナーを送り込む。
どちらのスクリュ下流部も圧力が存在するが、高熱源の無い側では、スクリュ下流部でも温度が低いため、同じ圧力が存在しても凝集ができ難い。本発明による弾性部材68は温度が高くかつ圧力の存在する側のスクリュの下流に設けることによりトナーの凝集防止により大きな効果が得られる。
【0016】
図8は現像装置の長手方向一端を示す概略斜視図である。図9は現像装置の長手方向他端を示す概略斜視図である。図8及び図9はそれぞれ図3の右側端部及び左側端部を示している。図3に示す本実施の形態では、駆動列は前側(右側)、後側(左側)の両側にある。
図8に示す前側(図3の右側)は、搬送スクリュのみを回すための駆動列であり、図には現像ローラ室スクリュの前ギヤ69と攪拌室スクリュの前ギヤ71とが示してある。これらのスクリュ55Ya、55Ybは回転トルクが低いため、過度に温度が上昇することはない。
一方、図9に示す後側(図3の左側)駆動列は上述した高熱源側であり、現像ローラ室スクリュ後ギヤ69aに加えて、トルクの大きい現像ローラギヤ80があり、また、本体側より駆動力を入力する駆動入力ギヤ81もある。これらにより、駆動による温度上昇が発生する。
上述したように、温度が高くかつ圧力の存在する、本実施の形態では後側(左側)のスクリュ(第1搬送スクリュ)55Yaの下流の軸受側内壁面に接触して、図9では見ることができないが、図7に示した弾性部材68を設けている。これにより、温度も粉圧も高い個所で粉圧緩和ができる。
【0017】
図10は攪拌室スクリュの下流に設けた本発明による弾性部材の第2の実施の形態を示す概略図である。図10において、弾性部材82は円板状に形成され、その外径は攪拌室スクリュ(第2搬送スクリュ)55Ybの逆転螺旋形状部分55Yb2の外径より大きくしている。
弾性部材82の外径を攪拌室スクリュ55Ybの外径より大きくして、この攪拌室スクリュ55Ybによるトナー搬送領域、すなわち、粉圧発生領域を弾性部材82で覆い、粉圧の全てをこの弾性部材82で受け、粉圧を緩和している。これにより粉圧を削減し、凝集を防止することができる。
図11は円板状に形成された弾性部材を示す概略斜視図である。図12は図11の弾性部材の挿通穴と攪拌室スクリュの軸との関係を示す概略断面図である。図11及び図12において、弾性部材83には攪拌室スクリュ55Ybの軸55Yb3が貫通する挿通穴83aが設けられている。
弾性部材83は弾力を有する発泡ポリウレタン等の材料で形成しており、この弾性部材83は現像ハウジング76Yの端壁とは両面テープ等で接着することにより現像ハウジング76Yの内壁と弾性部材83とを密閉している。
この場合に、弾性部材83に設ける、攪拌室スクリュ55Ybの軸55Yb3を挿通する挿通穴83aの内径(a)を攪拌室スクリュ55Ybの軸55Yb3の外径(b)より僅かに小さく形成して、弾力を利用する挿通穴83aへの軸55Yb3の挿通時に軸部を密閉する。これにより、粉圧の削減による粉体の凝集防止を保ちつつ、逆止弁付き軸受を不要とすることができ、安価に構成することができる。
【0018】
図13は筒状に形成された段付き弾性部材を示す概略斜視図である。図14は図13の弾性部材の筒状部と現像ハウジングの端壁の穴との関係を示す概略断面図である。
図13及び図14において、弾性部材84にはフランジ84aが設けられ、このフランジ84aに続く筒状部84bが現像ハウジング76Yの挿通穴である端壁の穴76Yaに挿入される。また、弾性部材84はゴム等の弾力を有する材料から形成される。
この場合、現像ハウジング76Yの端壁に設ける、弾性部材84の筒状部84bを挿通する端壁の穴76Yaの内径(c)を筒状部84bの外径(d)より僅かに小さく形成して、端壁の穴76Yaへの筒状部84bの挿通時に軸部を密閉する。これにより、粉圧の削減による粉体の凝集防止を保ちつつ、逆止弁付き軸受を不要とすることができ、安価に構成することができる。
本発明では、現像装置を、この現像装置と少なくとも像担持体を一体としたプロセスカ−トリッジとして設けている。これにより現像装置内で凝集が発生し、現像ローラへと回り込み、現像ローラ上のトナーが均一にならず、現像からトナーを転写する像担持体である感光体ドラム上もトナーが不均一になることがないようにしている。
これにより現像装置内で凝集が抑制、現像ローラへと回り込み現像ローラ上のトナーの不均一付着も発生せず、現像からトナーを転写する感光体上トナーが均一になる。
上述した現像装置を画像形成装置に搭載すれば、現像装置内で凝集が抑制、現像ローラへと回り込み現像ローラ上のトナーの不均一付着も発生せず、現像からトナーを転写する感光体上トナーが均一になる。よって凝集物挟み込みに起因する白スジ画像、転写紙に転写した画像が搬送方向に沿って白く抜ける凝集による白抜け画像の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電子写真方式のプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジを示す概略図である。
【図3】本発明による現像装置の構成を示す斜視図である。
【図4】図3の現像装置におけるトナーの流れを示す概略図である。
【図5】逆止弁付き軸受に軸支された攪拌室スクリュを示す概略斜視図である。
【図6】逆止弁付き軸受を示す斜視図である。
【図7】攪拌室スクリュの下流に設けた本発明による弾性部材の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図8】現像装置の長手方向一端を示す概略斜視図である。
【図9】現像装置の長手方向他端を示す概略斜視図である。
【図10】攪拌室スクリュの下流に設けた本発明による弾性部材の第2の実施の形態を示す概略図である。
【図11】円板状に形成された弾性部材を示す概略斜視図である。
【図12】図11の弾性部材の挿通穴と攪拌室スクリュの軸との関係を示す概略断面図である。
【図13】筒状に形成された段付き弾性部材を示す概略斜視図である。
【図14】図13の弾性部材の筒状部と現像ハウジングの端壁の穴との関係を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1Y 像担持体(感光体ドラム)、5Y 現像装置、6Y プロセスカートリッジ、51Y 現像ローラ、53Y 第1の室、54Y 第2の室、55Ya トナー搬送スクリュ(第1搬送スクリュ)、55Yb トナー搬送スクリュ(第2搬送スクリュ)、55Yb3 軸、68 弾性部材、76Y 現像ハウジング(下ケース)、76Ya 端壁の穴(挿通穴)、82 弾性部材、83 弾性部材、83a 挿通穴、84 弾性部材、84b 筒状部、100 プリンタ(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ハウジング内に収容された粉体を、上流から下流へと軸方向に沿って搬送する搬送スクリュを有する現像装置において、前記搬送スクリュ下流の前記現像ハウジングの軸受側内壁面に、弾性部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、50°(Asker−F)以下の硬度を有することを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記弾性部材は発泡ポリウレタンからなり、該発泡ポリウレタンの発泡径をコーティング処理で被覆することを特徴とする請求項1又は2記載の現像装置。
【請求項4】
前記弾性部材を、駆動機構等の高熱源に近い側の前記搬送スクリュの下流に設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の現像装置。
【請求項5】
前記弾性部材の外形を、前記搬送スクリュの外径より大きくすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の現像装置。
【請求項6】
前記弾性部材に設けた軸挿通穴の内径を前記搬送スクリュの軸外径より小さくすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の現像装置。
【請求項7】
前記弾性部材の外径を前記現像ハウジングの端壁の穴の内径より大きくすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の現像装置。
【請求項8】
少なくとも請求項1乃至7のいずれか1項記載の現像装置と、像担持体とを備えることを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
【請求項9】
像担持体上に形成された静電潜像を現像装置からのトナーにより現像して可視化する画像形成装置において、前記現像装置と前記像担持体とを含むプロセスカ−トリッジとして請求項8記載のプロセスカ−トリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−128181(P2010−128181A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302687(P2008−302687)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】