説明

生体情報認証システム

【課題】生体認証に使用する被験者の生体箇所や生体認証の順序に関する情報を、リアルタイムで被験者に提示することができる生体情報認証システムを提供する。
【解決手段】複数の生体情報によって被験者を認証する自動ドア管理システムにおいて、認証情報を参照する処理が選択された場合に、表示処理部18はディスプレイ端末13に被験者の生体箇所や認証の順序に関する情報を表示する。具体的には、1回目の認証における生体箇所が右手の人差し指であり、2回目の認証における生体箇所が右手の薬指であるといったメッセージや説明図がディスプレイ端末13に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証に必要な生体箇所や認証順序に関する情報を、生体認証装置に登録されている被験者に対してリアルタイムで提供する生体情報認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
指紋、掌紋、虹彩、あるいは静脈パターンなど、人の生体情報に基づいて個人認証を行う各種装置が提案されている。このような個人認証装置を組み合わせたり、あるいは異なる指を組み合わせるなど各々の装置で複数の生体を対象に認証したりする場合、認証の順序も認証情報として扱うことができる。今後、生体を利用した個人認証装置が普及してマンションの共有玄関等に採用された場合、多種多様の被験者が利用する状況となる。また、治安の悪化等などの要因から、セキュリティの強化を目的として、被験者の複数の生体を対象にした生体情報認証システムが採用される可能性もある。
【0003】
こうした生体情報認証システムについての公知技術文献としては特許文献1がある。
ここで、マンションの共有玄関等に生体を利用した個人認証装置を採用したシステムについて説明する。図5に示すように、当該システムは、認証装置51、生体情報入力装置52、ディスプレイ端末53、自動ドア54を備えている。認証装置51は、入力処理部55、照合処理部56、表示処理部57、ドア制御部58、生体情報データベース59が記憶されている情報記憶部60を備えている。
【0004】
入力処理部55は、生体情報入力装置52から入力された被験者の生体情報を処理する機能を有する。照合処理部56は、生体情報データベース59に登録されている情報と生体情報入力装置52から入力された被験者の生体情報とを比較する機能を有する。表示処理部57は、被験者に各種のメッセージを提供する機能を有する。ドア制御部58は、自動ドア54を開閉する機能を有する。
生体情報入力装置52は、被験者の生体情報を入力する機能を有する。ディスプレイ端末53は、表示処理部57の命令に従い被験者に提供される各種メッセージを表示する機能を有する。
【0005】
このような、マンションの共有玄関等に生体を利用した個人認証装置を採用した構成のシステムにおいては、まず、生体情報入力装置52によって入力された被験者の生体情報が入力処理部55へと送信される。次に、照合処理部56によって情報記憶部60に記憶されている被験者の生体情報データベース59の生体情報が読み出されて当該生体情報と被験者によって入力された生体情報とが照合される。そして、表示処理部57によってディスプレイ端末53に照合結果が表示される。
【0006】
複数の生体情報を対象にする場合には、被験者に2つ目の生体情報を入力するように促す情報が、表示処理部57によってディスプレイ端末53に表示される。被験者の2つ目の生体情報が生体情報入力装置52から入力されると、照合処理部56によって情報記憶部60に記憶されている生体情報データベース59の生体情報が読み出されて当該生体情報と被験者によって入力された生体情報とが照合される。そして、表示処理部57によってディスプレイ端末53に照合結果が表示される。全ての生体情報を認証することができた場合には、自動ドア制御部58によって自動ドアが開閉される。
【特許文献1】特許公開2003−85539
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術のように、個人を認証するために複数の生体情報を使用する場合、被験者は認証するために必要な生体の位置や順序を忘れる場合がある。そのため、被験者の家族に連絡して共有玄関のドアを開けてもらう、あるいは被験者の家族が帰宅するまで待つ、あるいは被験者が一人住まいである場合は、マンションの管理会社へ連絡するなどの対応が必要になり、被験者に不便を感じさせる要因となる。
こうした事態は、物理的な鍵を使って認証する装置、あるいは単一の生体情報を使用して認証する装置では発生しない問題である。
【0008】
本発明は、こうした問題点を解決するためになされた発明である。すなわち、本発明の目的は、生体認証に使用する被験者の生体箇所や生体認証の順序に関する情報をリアルタイムで被験者に提示することができる生体情報認証システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の生体情報認証システムは、被験者の生体情報を入力する生体情報入力装置と、該生体情報入力装置から入力された生体情報を認証する認証装置と、各種情報を表示する情報表示装置とを備えており、複数の生体情報によって前記被験者を認証する生体情報認証システムであって、前記認証装置は、生体認証に使用される生体箇所及び生体認証の順序に関する認証情報が登録されている認証手順情報データベースが記憶されている情報記憶部と、前記認証情報を参照する処理を選択することができる機能選択入力部と、前記認証情報を参照する処理が選択された場合において、前記認証手順情報データベースに登録されている前記認証情報を前記情報表示装置に表示させる表示処理部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生体情報認証システムにおいて、被験者であることを確認するための情報を入力する暗証番号入力装置と、前記認証情報を前記情報表示装置に表示する場合に先立って、前記暗証番号入力装置で入力された情報に基づいて被験者であることを確認するための処理を実行する暗証番号照合処理部とを更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生体情報認証システムによれば、次のような効果がある。
複数の生体と認証の順序を認証に使用したシステムにあっては、認証に必要な生体と認証の順序の記憶情報を被験者が忘れたとしても、認証に使用する被験者の生体箇所や認証の順序に関する情報をリアルタイムで被験者に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る生体情報認証システムを適用した自動ドア管理システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る自動ドア管理システムは、認証装置11、生体情報入力装置12、情報表示装置としてのディスプレイ端末13、暗証番号入力装置14、自動ドア15を備えている。
【0013】
認証装置11は、入力処理部16、生体情報照合処理部17、表示処理部18、ドア制御部19、暗証番号照合処理部20、機能選択入力部21、生体情報データベース22及び認証手順情報データベース23が記憶されている情報記憶部24を備えている。
入力処理部16は、生体情報入力装置12から入力された被験者の生体情報を処理する機能、及び暗証番号入力装置14から入力された暗証番号を処理する機能を有する。
生体情報照合処理部17は、生体情報データベース22に登録されている情報と入力処理部16に入力された被験者の生体情報とを比較する機能を有する。
【0014】
表示処理部18は、被験者に各種のメッセージを提供する機能を有する。
ドア制御部19は、自動ドア15を開閉する機能を有する。
暗証番号照合処理部20は、認証手順情報データベース23に登録されている情報と入力処理部16に入力された暗証番号とを比較する機能を有する。
機能選択入力部21は、被験者が本システムによって提供される各種サービスを選択する機能を有する。
【0015】
情報記憶部24に記憶されている生体情報データベース22には、被験者の生体情報が登録されている。例えば、被験者の指の静紋に関するデータや生体情報番号等が登録されている。図2に示すように、生体情報データベース22は、テーブル要素として登録者氏名、生体情報番号、生体箇所を備えている。そして、被験者の生体情報別に、氏名、生体情報番号、生体箇所データが登録される。
【0016】
情報記憶部24に記憶されている認証手順情報データベース23には、生体認証に使用される生体箇所や生体認証の順序に関する情報が登録されている。例えば、生体認証に使用される生体箇所や生体認証の順序に関する情報を被験者に表示するために必要な生体箇所に関する情報や生体情報データベース22の生体情報番号等が登録されている。図3に示すように、認証手順情報データベース23は、テーブル要素として生体情報番号、暗証番号を備えている。そして、生体情報番号別に、被験者の暗証番号が登録される。
【0017】
生体情報データベース22及び認証手順情報データベース23は、生体情報データベース22の生体情報番号と認証手順情報データベース23の生体情報番号によって関連付けられており、これら生体情報データベース22及び認証手順情報データベース23に登録される同一人物の情報が管理される。例えば、被験者が新たに追加された場合、生体情報データベース22に登録者氏名、生体情報番号、生体箇所が追加されるとともに、認証手順情報データベース23に生体情報番号、暗証番号が追加される。
【0018】
生体情報入力装置12は、被験者の生体情報を入力する機能を有する。ディスプレイ端末13は、表示処理部18の命令に従い被験者に提供される各種メッセージを表示する機能を有する。暗証番号入力装置14は、被験者が暗証番号を入力する機能を有する。
【0019】
次に、以上のように構成される自動ドア管理システムの処理について説明する。
なお、以下の処理は認証装置11の情報記憶部24に記憶されているプログラム等に基づいて、図示しないCPU(Central Processing Unit)による制御のもとで実行される。
図4に示すように、まず、認証装置11の表示処理部18は、自動ドア15を開くか或いは認証情報を参照するかについて、被験者に選択させるための機能選択画面をディスプレイ端末13に表示させる(ステップS401)。
【0020】
自動ドア15を開く処理が選択された場合には(ステップS402)、表示処理部18は、認証要求画面をディスプレイ端末13に表示させる(ステップS403)。
次に、入力処理部16は、生体情報入力装置12から決められた順序で入力された生体情報を受け取る(ステップS404)。そして、生体情報照合処理部17は、入力処理部16が受け取った生体情報と、生体情報データベース22に登録されている全員分の生体情報とを受け取るとともに、照合する(ステップS405)。
【0021】
生体情報照合処理部17が生体情報を照合した結果、生体情報データベース22に登録されている生体情報に被験者の生体情報と同一のものが存在すると判断した場合には、表示処理部18はディスプレイ端末13に正しく認証できた事を示すメッセージを表示するとともに、ドア制御部19は自動ドア15のドアを開閉する(ステップS406)。
一方、照合した結果、同一の生体情報が生体情報データベース22に登録されていないと判断した場合には、表示処理部18はディスプレイ端末13に認証することができなかった旨のメッセージを表示する。
【0022】
なお、機能選択画面で機能を選択することなく、生体情報入力装置12に生体情報を入力した場合には、ステップS402の処理を実行することなくスキップして、ステップS403の処理を実行する。
一方、ステップS402において、自動ドア15を開く処理ではなく、認証情報を参照する処理が選択された場合には(ステップS407)、認証情報を参照する処理が選択されたことを示す情報が、機能選択入力部21から入力処理部16へと送信される。
【0023】
すると、表示処理部18は、全員が登録している生体、例えば人指し指の静紋による認証を促すメッセージをディスプレイ端末13に表示する(ステップS408)。
次に、生体情報入力装置12から生体情報が被験者によって入力されると、入力処理部16は生体情報を受け取る(ステップS409)。そして、生体情報照合処理部17は、入力処理部16が受け取った生体情報と、生体情報データベース22に登録されている全員分の生体情報とを受け取るとともに、照合する(ステップS410)。
【0024】
生体情報照合処理部17が生体情報を照合した結果、生体情報データベース22に登録されている生体情報に被験者の生体情報と同一のものが存在すると判断した場合には、表示処理部18はディスプレイ端末13に暗証番号要求画面を表示する(ステップS411)。暗証番号入力装置14から暗証番号が被験者によって入力されると、入力処理部16は当該暗証番号に関するデータを受け取る(ステップS412)。
【0025】
暗証番号照合処理部20が暗証番号を照合した結果、認証手順情報データベース23に登録されている暗証番号と一致すると判断した場合には、表示処理部18はディスプレイ端末13に被験者の生体箇所や認証の順序に関する情報を表示する(ステップS414)。具体例としては、1回目の認証における生体箇所が右手の人差し指であり、2回目の認証における生体箇所が右手の薬指であるといったメッセージや説明図がディスプレイ端末13に表示される。
【0026】
以上のように、本実施形態の自動ドア管理システムによれば次のような効果がある。
・認証に必要な生体と認証の順序の記憶情報を被験者が忘れたとしても、当該認証に使用する被験者の生体箇所や認証の順序に関する情報をリアルタイムで被験者に提供することができる。
・被験者の生体箇所や認証の順序に関する情報を表示する際に、暗証番号入力装置14で入力された暗証番号に基づいて被験者であることを確認するようにしたため、他人にこれらの情報が知られることを防止することができる。
【0027】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、自動ドア管理システムを例に説明したが、生体認証を採用することができるシステムであればどのようなシステムであっても適用することができる。例えば、ATM(Automatic Teller Machine)やロッカー等であっても適用することが可能である。
【0028】
・認証装置11をサーバコンピュータとして、またインターネット等の通信網に通信可能に接続されたディスプレイ端末13をクライアントコンピュータとして、クライアントサーバーシステムを構築してもよい。
・情報表示装置としてはディスプレイ端末13を採用したが、音声により被験者に情報を伝えるスピーカといった情報通知装置を採用してもよいし、また、情報通知装置としてディスプレイ端末13及びスピーカを併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態例を示すシステム構成図。
【図2】被験者一覧データベースのデータ構成図。
【図3】自動ドア管理システムの概略構成図。
【図4】認証装置の処理を示すフローチャート。
【図5】従来技術としての生体を利用した個人認証装置システムの概要図。
【符号の説明】
【0030】
11…認証装置、12…生体情報入力装置、13…情報表示装置としてのディスプレイ端末、14…暗証番号入力装置、18…表示処理部、20…暗証番号照合処理部、21…機能選択入力部、23…認証手順情報データベース、24…情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の生体情報を入力する生体情報入力装置と、
該生体情報入力装置から入力された生体情報を認証する認証装置と、
各種情報を表示する情報表示装置と
を備えており、複数の生体情報によって前記被験者を認証する生体情報認証システムであって、
前記認証装置は、
生体認証に使用される生体箇所及び生体認証の順序に関する認証情報が登録されている認証手順情報データベースが記憶されている情報記憶部と、
前記認証情報を参照する処理を選択することができる機能選択入力部と、
前記認証情報を参照する処理が選択された場合において、前記認証手順情報データベースに登録されている前記認証情報を前記情報表示装置に表示させる表示処理部と
を備えることを特徴とする生体情報認証システム。
【請求項2】
被験者であることを確認するための情報を入力する暗証番号入力装置と、
前記認証情報を前記情報表示装置に表示する場合に先立って、前記暗証番号入力装置で入力された情報に基づいて被験者であることを確認するための処理を実行する暗証番号照合処理部と
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体情報認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−70220(P2009−70220A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239155(P2007−239155)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】