画像処理システム
【課題】1回目にCMYK画像データとプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、2回目のプリントでプレプリント紙の向きを判定して透明画像データを重ね合わせる際、画像領域になるべく影響を及ぼさず、パッチを印字し、複数枚に渡って透明トナー印刷を行う際、プレプリント紙の向き判定を効率的に行ないプリント時間がかからない画像処理システムを提供する。
【解決手段】トンボ印刷や両面印刷をするか否かによって、プレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を切り替える。また、プレプリント紙をセットしたときの「向きの確実性」によってプレプリント紙の向き判定処理を何枚行うかをユーザに選択させ、透明画像データプリント時間を短縮させる。
【解決手段】トンボ印刷や両面印刷をするか否かによって、プレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を切り替える。また、プレプリント紙をセットしたときの「向きの確実性」によってプレプリント紙の向き判定処理を何枚行うかをユーザに選択させ、透明画像データプリント時間を短縮させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類以上の画像データを重ね合わせてプリントできる画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルプリンティング技術はオンデマンド印刷市場や少部数の文書印刷市場において、近年確実にその利用価値を高めつつある。特に電子写真技術を用いたフルカラープリンティングは生産性や印刷コスト、メンテナンスの容易性などの面で他のプリンティング技術よりも優位な位置にあり、急速にその市場を広めつつある。その中で、特に従来のC、M、Y、K、4色のトナーを用いた電子写真印刷によるフルカラー印刷だけではなく、さらに特殊なトナーを用いた多色の印刷方式も注目を集めており、オンデマンド性、即時性の高い特殊印刷市場も視野に入ってきている。特殊トナーの例として、印刷物の表面の凸凹を吸収し、高光沢性を実現できる透明トナーやハイライト部のざらつきを押さえることができる淡トナー等が挙げられる。特殊トナーを使用することで通常のディジタル印刷とは異なる新たな付加価値が得られるようになり、デジタルプリンティングの世界をさらに拡大していくことが可能になる。
【0003】
透明トナーを使った印刷は、定着の回数を変えたり、透明トナーの適用面積を変えたりすることで、プリント物に様々な視覚効果を与えることができる。
【0004】
例えば、Cyan、Magenta、Yellow、Black(以下それぞれC、M、Y、Kとする)トナーと透明トナーを使って作像・定着まで1回の印刷パスで行うといった、1パスプリントという方法がある。それに加え、CMYKトナーを使って一旦定着処理まで行った後、改めて透明トナーを使ってプリントするといったように、2回の印刷パスを通すことで光沢を出す2パスプリントもある。2パスプリントは、一般的に1パスプリントよりもより光沢を出せるといった特徴がある。
【0005】
また透明トナーの適用面積を変える方法として、用紙全面に透明トナーを重ねる方法(以降、全面透明処理とする)と、部分的に透明トナー像を重ねる方法(以降、部分透明処理とする)とがある。全面透明処理は、全体的に光沢性が向上するという特徴がある。一方部分透明処理は、透明トナー像の作り方によって、出力物に様々な視覚効果をもたせることができる。例えば図5(a)のように、CMYKトナー像501に透明トナー像502をぴったり重ねる方法がある。この手法を用いると、出力画像503のようにオブジェクトそのものを強調するような視覚効果を与えることができる。また図6のように、CMYKトナー画像601に透明トナーで作像した“confidential”の文字画像602を重ねる方法がある。この手法を用いると、出力物603のようにウォーターマークのような効果を持たせることができる。ここで、前者のような透明トナー印刷方法をCMYK画像データ依存型の透明トナープリント、後者をウォーターマーク型の透明トナープリントとする。
【0006】
2パスプリントを行う際、CMYKトナーで印刷済の用紙(以下、プレプリント紙とする)を、再度プリンタの用紙カセットや手差しトレイにくべて、透明トナーを使った印刷を開始する。ここで、CMYKトナーでの印刷と透明トナーでの印刷とでは、搬送方向・搬送面は一致していなければならない。CMYK画像データ依存型のプリントにおいては、CMYKトナー像と透明トナー像が一致してこそ視覚効果が生まれるので、特に注意が必要となる。
【0007】
ここで、プレプリント紙の搬送方向が間違っている例としては以下のような場合が挙げられる。図5(b)は、左右反転した状態のCMYKトナー像504に対して透明トナー像505を重ねた結果、得られる画像が出力画像506のように、それぞれの像が一致しない例である。図5(c)は、プレプリント紙の表裏を反転した状態のCMYKトナー像507に対して透明トナー像508を重ねた結果、出力画像509のようにそれぞれの像が表裏別々に印刷された例である。図5(d)は、プレプリント紙の縦横を間違えた状態のCMYKトナー像510に対して透明トナー像511を重ねた結果、出力画像512のようにそれぞれの像の位置が一致しない例である。さらに図5(e)は図5(d)の左右逆の状態でプレプリント紙をくべた場合のCMYKトナー像513に対して、対して透明トナー像514を重ねた結果、出力画像515のようにそれぞれの像の位置が一致しない例である。
【0008】
このように、プレプリント紙をくべる向き・表裏の間違え方は複数考えられる。さらに複数枚プレプリント紙をくべる場合は、それぞれの向きが違う可能性も考えると、その場合分けの数はさらに多くなる。しかし、CMYKトナーでの印刷と透明トナーでの印刷の間はオフラインとなり人手が介在するため、プレプリント紙の向きが正しい向きにセットできているとは限らない。
【0009】
ユーザがプレプリント紙をくべる際に、向きや表裏を気にしなくても想定どおりの位置に透明トナー像を重ねるための手段はこれまでいくつか考案されている。その一例として、1パス目においてプレプリント紙の向き判定パッチを画像領域外に印字し、2パス目にそれを検知してプレプリント紙の向き・表裏を判定する方法が考えられる。しかし、プレプリント紙の内容になるべく影響を及ぼさない形で、パッチを印字することが望ましい。
【0010】
また、複数枚に渡って透明トナー印刷を行う際、各枚で向きが違っている可能性がある場合と、最初だけ確認すれば後続のプレプリント紙は同じ向きになっている場合とが考えられる。もし、プレプリント紙の向きが1枚目と後続の紙と合っていることが確実にわかっている場合ならば、プレプリント紙の向き判定を1枚1枚行うと余計に時間がかかってしまう。
【0011】
特許文献1では、画像データを断ち切り線内外の領域に分割し、断ち切り線内の画像データの有無と使われている色を判定し、その結果に基づいてトンボマークやカラーパッチ等の付加情報の色を決定する。そして、画像を分版出力する際に、断ち切り線外の所定の位置に作成した付加情報を印字するといった方法が提案されている。
【0012】
また特許文献2では、1枚目に対してのみ給紙エラーチェック等の制御処理を行い、排紙エラーチェックまでエラーがなければ、印刷を続行するといった方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006-352802号公報
【特許文献2】特開2003-080680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、有効画像領域の内容によって付加情報の特徴(色)を切り替えているが、断ち切り線(トンボ)の有無によって付加情報を印字する位置を切り替えることはできない。
【0015】
また、特許文献2に記載の技術では、1枚目のみエラーチェックを行っているが、複数モードを用意し、ユーザの目的によってチェックを何枚行うか切り替えることはできないため、印刷の効率化が図れない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
少なくとも1種類以上の色材を用いて作像した第1画像データを1回目にプリントし、前記第1画像データ作像時に使用した色材以外の1種類以上の色材を用いて作像した第2画像データを2回目に重ねてプリントする工程において、
前記第1画像データプリント時にアプリケーション等でトンボ印刷指定や両面プリント指定がされているかによってプレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を切り替えるプレプリント紙の向き判定パッチプリント切り替え手段と、
前記第2画像データプリント時に作像部前に設置されたセンサで前記向き判定パッチを読み取るプレプリント紙の向き判定パッチ読み取り手段と、
前記向き判定パッチの検出時間と内容からプレプリント紙の向き・天地・表裏を判定するプレプリント紙の向き判定手段とを有することを特徴とする画像処理システム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プレプリント紙の内容に影響を与えることなく、CMYK画像データに対して透明画像データを正しい向きでプリントできる。また、プレプリント紙セット時の「向きの確実性」次第で、プリントスピードを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に関する画像処理システムを示すブロック図。
【図2】MFPのリーダー部、プリンタ部の断面図。
【図3】MFPの構成を示すブロック図。
【図4】回転/拡大・縮小/反転部318Cのブロック図。
【図5】CMYK画像データと透明画像データの重ね合わせ方を表す図。
【図6】CMYK画像データとウォーターマーク型の透明画像データの重ね合わせ方を表す図。
【図7】プレプリント紙の向き判定パッチのセンサでの読み取り方を示す図。
【図8】グラフィックプロセッサのアフィン変換における画像タイル操作の模式図。
【図9】プレプリント紙の向き判定パッチを読み取るセンサ例。
【図10】プレプリント紙の向き判定パッチの第1パッチ例。
【図11】プレプリント紙の向き判定パッチの第2パッチ例。
【図12】パッチ・ランレングス対応テーブルの例。
【図13】印刷設定によるプレプリント紙の向き判定パッチの印字方法の例。
【図14】プレプリント紙の向き判定モードを選択するUI例。
【図15】印刷設定テーブル例。
【図16】本発明の実施例1における1パス目のプリント処理の概要を示すフローチャート。
【図17】本発明の実施例1における2パス目のプリント処理の概要を示すフローチャート
【図18】本発明の実施例2における2パス目のプリント処理の概要を示すフローチャート。
【図19】プレプリント紙の向き判定・第2画像データ変換・プリント処理をの概要を示すフローチャート。
【図20】グラフィックプロセッサの処理フロー例。
【図21】センサがプレプリント紙の向き判定パッチを読み取る処理の概要を示すフローチャート。
【図22】CMYK画像データの画像処理を示すフロー例。
【図23】透明画像データの画像処理を示すフロー例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
以下、本発明の発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ここでは、1パス目のプリントジョブで第1画像データをCMYKトナーで作像し、2パス目で第2画像データを透明トナーで作像する2パスプリントを例にとって説明する。2パスプリントの手順としては、まず1パス目に、CMYKトナーを使って第1画像データをプレプリント紙としてプリントする。続いて2パス目として、プレプリント紙を再度プリンタの給紙口にセットし、透明トナーを使って第2画像データをプリントする。このような2パスプリントでの実施例を図21、図22を使って説明する。
【0020】
なお、本文中の「ユーザーインターフェース(以下、UIとする)」とは、ローカルPC102のモニタとMFP101、MFP103の操作部317の両者を指す。
【0021】
<画像形成装置>
図1は、本発明に係る画像形成装置を示すブロック図である。
【0022】
オフィス10内に構築されたLAN104には、記録装置としてマルチファンクション複合機(以下、MFPという。)101、103、およびローカルPC102が接続されている。MFP101、103は、原稿画像から読み取った入力画像に対する画像処理を行う。そしてその画像処理の結果を、原稿画像を読み取ったMFPが印刷する。
【0023】
また、MFP101で読み取った原稿画像に対して画像処理を行ってから、MFP103が印刷することも可能である。さらには、ローカルPC102から送信されるPage Discription Language(以下、PDLとする)言語を解釈してMFP101、103が印刷することもできる。
【0024】
<MFP>
図2、図3は、MFPを示す図である。以下の説明は、MFP101、MFP103の両方に適用される。
【0025】
図2を用いて1パスプリント時の動作について説明する。イメージスキャナー(画像読み取り部)201は、原稿画像を読み取り、デジタル信号処理を行う。また、プリンタ部202は、イメージスキャナー201によって読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーで印刷する。
【0026】
イメージスキャナー201は、鏡面圧板200を含み、原稿台ガラス(以下、プラテンという。)203上の原稿204は、ランプ205で照射され、ミラー206、207、208に導かれる。そして、照射された光は、レンズ209によって、3ラインの固体撮像素子センサ(以下、CCDという。)210上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3つの画像信号がデータ処理装置211に送られる。なお、ランプ205、ミラー206は、速度vで、ミラー207、208は、速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿全面を走査(副走査)する。ここで、原稿204は、主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読みとられる。読み取られた画像信号は原稿1ページ分の単位でデータ処理装置211の内部のデータ蓄積手段に蓄積される。
【0027】
データ処理装置211においては、内部に蓄積された画像信号を画素単位で電気的に処理し、M、C、Y、Kの各成分に分解し、プリンタ部202に送る。また、データ処理装置211の内部で、透明画像データ(CL)を画素単位で生成し、同じくプリンタ部202へ送出する。
【0028】
送出されたM、C、Y、K、CLの画像信号がレーザードライバー212に送られる。レーザードライバー212は、送られてきた画像信号に応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー光は、ポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光ドラム217上を走査する。ここで、読取と同様に主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で書込まれる。
【0029】
回転現像器218は、マゼンタ現像部219、シアン現像部220、イエロ現像部221、ブラック現像部222、クリア(透明)現像部223を含む。そして、5つの現像部219〜223が交互に感光ドラム217に接し、感光ドラム上に形成された静電現像を各色のトナーで現像する。
【0030】
転写ドラム224は、用紙カセット225または用紙カセット226より供給される用紙をこの転写ドラム224に巻き付け、感光ドラム上に現像された像を用紙に転写する。
【0031】
この様にして、M,C,Y,Kおよびクリア(透明)の5色が順次転写された後に、用紙は、定着ユニット227を通過して、トナーが用紙に定着された後に排紙される。
【0032】
また、用紙は、排紙せず、再び上記プロセスを経て、再度印刷してから排紙することも可能である(2パスプリント)。
【0033】
図3のブロック図を用いてMFPの構成について説明する。
【0034】
同図において、入力画像処理部315は、紙原稿などをイメージスキャナー201などの画像読み取り装置で読み取り、読み取られた画像データを画像処理する。
【0035】
NIC(Network Interface Card)部316は、ネットワークを利用して入力された画像データ(主に、PDLデータ)をRIP部316に渡したり、MFP内部の画像データや装置情報をネットワーク経由で外部に送信したりする。RIP部316は、入力されたPDLデータを解読し、RIP(Raster Image Processor)展開する部分である。
【0036】
次に、入力された画像データは、MFP制御部318に送られる。MFP制御部318は、入力されるデータや出力するデータを制御する交通整理の役割を果たしている。MFP制御部318内には、CPU、ROM、RAMが搭載されている。またMFP制御部318内には、以下のような処理部が存在する。登録画像処理部318Bでは、画像をメモリ部319内の登録画像格納部319Aに格納したり呼び出したりといった処理を行う。回転/拡大・縮小/反転処理部318Cでは、画像の回転/拡大・縮小/反転/Nin1といった処理を行う。印刷設定テーブル処理部318Dでは、裏面印刷や画像の拡大・縮小・反転などの印刷設定情報を格納した印刷設定テーブルの作成や、プリントジョブへの適用が行われる。
【0037】
また、MFP制御部318に入力された画像データは、一旦メモリ部319に格納される。格納された画像データは、一時的に格納されたり、必要に応じて呼び出されたりする。MFP制御部318内には、以下のような処理部が存在する。
【0038】
また、登録画像処理部318Bでは、画像をメモリ部319内の登録画像格納部319Aに格納したり呼び出したりといった処理を行う。回転/拡大・縮小/反転処理部318Cでは、画像の回転/拡大・縮小/反転/Nin1といった処理を行う。
【0039】
出力画像処理部320は、プリントするための画像処理が施され、プリンタ部321に送られる。ここでは特に、ガンマ処理や画像形成処理などといった、画像データがどの色版に使われるかによって変わる処理が行われる。
【0040】
プリンタ部321では、シートを給紙し、出力画像処理部320で作られた画像データをそのシート上に順次印字していく。プリントアウトされたシートは後処理部322へ送り込まれ、シートの仕分け処理やシートの仕上げ処理が行われる。
【0041】
更に、操作部317は、上記の様々なフローや機能を選択したり操作指示したりするためのものであるが、操作部317の表示装置の高解像度化に伴い、メモリ部にある画像データをプレビューし、確認後OKならばプリントするといった使い方もできる。
【0042】
このように、MFPには様々な機能と利用方法があり、以下にその例を示す。
【0043】
複写機能 :入力画像処理部315→出力画像処理部320→プリンタ部321
ネットワークスキャン:入力画像処理部315→NIC部316
ネットワークプリント:NIC部316→RIP部316→出力画像処理部320→プリンタ部321
ボックススキャン機能:入力画像処理部315→出力画像処理部320→メモリ部319
ボックスプリント機能:メモリ部319→プリンタ部321
ボックス受信機能 :NIC部316→RIP部316→出力画像処理部320→メモリ部319
ボックス送信機能 :メモリ部319→NIC部316
プレビュー機能 :メモリ部319→操作部317
<画像の回転/拡大・縮小処理について>
回転/拡大・縮小/反転処理部318Cで行われる処理の例として、ここでは画像の回転/拡大・縮小(変倍)処理について図4、図7、図8を用いて説明する。
【0044】
MFP制御部318内にある不図示のグラフィックプロセッサは、不図示のメインコントローラから画像データを受け取り、メインコントローラの指示にしたがって、回転などの所定の処理を行い、処理結果をメインコントローラに返す機能を有する。
【0045】
グラフィックプロセッサの各処理ブロックの構成を図4に示す。
【0046】
タイル分割部402は受け取った画像信号を正方形の細かなタイルに分割する役目を持つ。タイルのサイズはメインコントローラから指示されるものとし、任意のサイズを取ることができるが、本実施例では、説明の簡便さのためにディザマトリクスのサイズを取るものとする。
【0047】
タイル分割された画像は、メインコントローラの動作指示により、必要に応じて、画像合成部401あるいはアフィン変換部404に送られる。
【0048】
画像合成部401は、2つの画像データをメインコントローラから受け取り、格納した2つの画像データに対して合成処理を施すものである。合成方法としては、2つの入力画像の注目画素の画素値をそれぞれA,Bとすると、AxB/256、もしくは、{Axα+Bx(256-α)}/256(α:合成比率)、あるいは、AとBのうち画素値の大きい方の画素値を取得するといった演算方法により出力画像の画素値を算出するが、演算方法は上記に限るものではない。画像合成部401は、上記αを生成する機能があり、画像データの画素値からαを算出することが可能である。合成後のデータは、タイル統合部403でMFP制御部318内に搭載される不図示のSRAMに確保された所定サイズのバッファの適切な位置に書き戻される。画像合成部401が全てのタイルに対する処理を終えたら、グラフィックプロセッサはSRAM上の画像を読み出し、メインコントローラに転送する。
【0049】
アフィン変換部404は、メインコントローラにより設定された、画像回転・変倍に必要なパラメータ設定に応じてアフィン変換処理を行う。
【0050】
アフィン変換動作時のグラフィックプロセッサが行う処理のフローの例を、図20を用いて説明する。
【0051】
ステップS2001で、グラフィックプロセッサは、メインコントローラからの回転角度や変倍率の設定に応じて、SRAM上に処理結果の画像を保持するために必要なサイズの出力バッファを確保する。次に、ステップS2002で、グラフィックプロセッサは、回転角度、主走査方向の変倍率、副走査方向の変倍率をアフィン変換部に設定する。ステップS2003で、グラフィックプロセッサは、メインコントローラの具備する不図示のバスコントローラからの画像データ転送を受け、SRAMに一時格納する。
【0052】
次にグラフィックプロセッサは、ステップS2004で、タイル分割部402に画像をタイル分割するように制御する。タイル分割は、図8(a)に示すように、元となる画像800を、設定されたタイルサイズとタイル先頭アドレスおよびオフセット間隔に従って、タイル11(801)、タイル12(802)、タイル13(803)、タイル21(804)・・・タイルNN(805)のように分割する。グラフィックプロセッサは、分割したタイル画像を逐次、アフィン変換部404に供給するように制御する。
【0053】
ステップS2005において、グラフィックプロセッサは、アフィン変換部404に、メインコントローラ111の設定に従って、アフィン変換を行うように制御する。アフィン変換が行われた画像はタイル統合部403に送出され、グラフィックプロセッサはステップS2006において、アフィン変換後の画像をSRAM上に確保された出力バッファに配置するようにタイル統合部403を制御する。図8(a)は、分割されたタイルが90度回転後に統合された様子を示している。すなわち、タイル11(801)、タイル12(802)、タイル13(803)、タイル21(804)・・・タイルNN(805)は、90度回転により、811、812、813、814・・・815のように回転がなされ、タイル統合部403は、90度回転されたタイル画像を、90度回転を想定した出力バッファ上の所定の位置に配置して90度回転画像810を得る。また、図8(b)では、分割されたタイルが2倍拡大された後に統合される様子を示している。タイル11(801)、タイル12(802)、タイル13(803)、タイル21(804)・・・タイルNN(805)は、2倍拡大により、821、822、823、824・・・825のように2倍拡大され、タイル統合部403は2倍拡大されたタイル画像を所定の位置に配置して、2倍拡大画像820を得る。
【0054】
グラフィックプロセッサは、ステップS2007において、全てのタイルを処理したかどうかをチェックし、全てのタイルを処理していなければ、ステップS2004に戻る。全てのタイルを処理していれば、グラフィックプロセッサはタイル統合後の画像をSRAMから読み出してメインコントローラに転送し、処理を終える。
【0055】
<CMYK画像データの画像処理>
CMYK画像データの画像処理フローを、図22を用いて説明する。CMYK画像データに対する画像処理は、MFP制御部318内に搭載される不図示のCPUにより実行される。
【0056】
ローカルPC102からのPDLデータやMFP101、103から入力データはまずRGB画像として入力される。入力されたR、G、B信号は、ステップS2201の色処理において、C、M、Y、K信号に変換される。C、M、Y、K信号への変換は、式(1)に示すようなマトリックス演算か、Look Up Tableを用いた補間演算により行われる。
【0057】
【数1】
【0058】
また、ローカルPC102からは、C、M、Y、K信号が送信されることがあるが、その際には、ステップS2202に処理を進める。次に、ステップS2202のガンマ処理において、このMFP101、103に最適なガンマ処理が各色に施される。
【0059】
そして、ステップS2203の画像形成において、各色に画像形成処理が施される。画像形成処理には、スクリーン処理や誤差拡散処理がある。ガンマや画像形成のパラメータは色ごとに異なる。
【0060】
<クリア画像データの画像処理>
透明画像データの画像処理フローを、図23を用いて説明する。透明画像データに対する画像処理は、MFP制御部318内に搭載される不図示のCPUにより実行される。
【0061】
ステップS2301において、ローカルPC102やMFP101、103からの入力画像信号は、R、G、B信号かどうかの判定を行う。判定の結果が、R、G、B信号の場合、ステップS2302に進む。それ以外の信号の場合、ステップS2305において単色か否かの判定を行う。単色である場合にはステップS2303に進む。それ以外の信号、つまりC、M、Y、K信号の場合にはステップS2306において、R、G、B信号に変換する。変換の方法は、式(2)に示すようなマトリックス演算により行われる。
【0062】
【数2】
【0063】
次に、ステップS2302において、R、G、B信号は、1信号の単色に置き換えられる。変換の方法は、演算式等により変換され、その演算式は一様ではない。また、C、M、Y、K信号をR、G、B信号に変換して、1信号の単色に置き換えているが、公知の方法を利用して、C、M、Y、K信号から直接1信号の単色に置き換えることも可能である。そして、1信号化された信号は、ステップS2303において、このMFP101やMFP103に最適な透明トナー用のガンマ処理が施される。
【0064】
続いてステップS2305において、画像形成処理が施される。ここで、ガンマや画像形成のパラメータはCMYK画像データのものとは異なる場合がある。
【0065】
<プレプリント紙の向き判定方法>
前述のように、プレプリント紙の向きとしては5通り考えられる。それぞれの場合を切り分ける方法の一例として、図7のプレプリント紙702のように用紙の長い辺・短い辺それぞれの中点に特徴の異なるプレプリント紙の向き判定パッチ703、704を1つずつ印字する方法を説明する。ここで、701をセンサとし、プレプリント紙の搬送方向に対して垂直方向の中央部に位置しているとする。また、パッチ703を第1パッチ、パッチ704を第2パッチとする。
【0066】
プレプリント紙が正しい向きでセットされた状態を図7(a)とする。ここで、「センサ701は第1パッチ703を用紙端から時間T1で検知する」ことが、正しい向きでプレプリント紙702がセットされたことを意味するとする。このとき、パッチ704はセンサ701では検知されない。
【0067】
続いて、図7(b)のようにプレプリント紙702が図7(a)とは天地逆にセットされたとする。この場合、「センサ701は第1パッチ703を用紙端から時間T2(≠T1)で検知する」ため、プレプリント紙702は「想定する向きから+180°回転した状態」でセットされていることがわかる。
【0068】
次に、図7(c)のようにプレプリント紙702が表裏逆にセットされたとする。この場合、「センサ701はどのパッチも検出しない」ことになり、「想定する向きとは表裏逆」でプレプリント紙702がセットされていることがわかる。
【0069】
さらに、図7(d)のようにプレプリント紙702が図7(a)に対して時計回りに90°回転した状態でセットされたとする。この場合、「センサ701は第2パッチ704を用紙端から時間T1で検知する」ことになり、プレプリント紙702は「想定する向きから+90°回転した状態」でセットされていることがわかる。
【0070】
続いて、図7(e)のようにプレプリント紙702が図7(a)に対して反時計回りに90°回転した状態でセットされたとする。この場合、「センサ701は第2パッチ704を用紙端から時間T3(≠T1、≠T2)で検知する」ことになり、プレプリント紙702は「想定する向きから−90°回転した状態」でセットされていることがわかる。
【0071】
このように、上記5通りのプレプリント紙の向きはそれぞれ、検出するパッチと、それを検知するまでの時間が異なる。よって、それらの情報を事前に記憶しておくことで、プレプリント紙がどの向きで設置され、透明画像データ、もしくはプレプリント紙自体をどの向きに回転すればよいかがわかる。
【0072】
前述のプレプリント紙の向き判定パッチを検出するためのセンサ例として、図9のようなセンサ901が挙げられる。これは、発光部902からの光を用紙904で反射させ、その反射光の強さを受光部903で検知する。
【0073】
プレプリント紙の向き判定パッチの例を図10、図11に挙げる。前述のとおり、黒色部と白色部とで構成される2種類のパッチを作成する。ここで、パッチ1001を第1パッチ、パッチ1101を第2パッチとする。センサ901は各パッチの中心部をスキャンし、黒色部・白色部のランレングスを測定でき、そのランレングスの比によってパッチを見分けることとする。パッチ1001をセンサ901がスキャンする際、黒色部:白色部:黒色部:白色部:黒色部のランレングスはA:A:B:A:Aとなるようにパッチ1001を作成する。また、パッチ1101のランレングスは、黒:白:黒:白:黒:白:黒=A:A:A:A:A:A:Aとなるように作成する。各パッチのランレングス対応テーブルを図12のように作成し、それをMFPのメモリ部に格納し、プレプリント紙の向き検出時に参照できるようにすれば、パッチの違いを検知することができる。
【0074】
上記の図10、図11の説明のようなパッチを使うことを想定し、図21を使ってプレプリント紙の向き判定パッチの検知方法を具体的に説明する。
【0075】
ステップS2101で、セットされたプレプリント紙の用紙端を検知する。それと同時に、パッチ検出までの時間Tの測定を開始する。
【0076】
ステップS2102において、プレプリント紙の向き判定パッチを検知し、センサ値V[0]〜V[n]の取得を開始する。ここで、nはセンサ値の取得回数とする。また、パッチを検出した時点で時間Tの測定を終了する。
【0077】
ステップS2103において、センサ値をデジタル信号値に変換するA/D変換を行う。これにより、センサ値V[0]〜V[n]を信号値Sig[0]〜Sig[n]に変換する。
【0078】
ステップS2104において、得られた信号値を二値化する。つまり、Sig[i]が黒か白かを設定する。続いてステップS2105に進む。
【0079】
ステップS2105において、得られた二値化結果から黒と白のランレングスをとる。続いてステップS2106へ進む。
【0080】
ステップS2106において、図12のようなパッチ・ランレングス対応テーブルと比較し、センサで検知したパッチが図10のどちらのパッチであるかを判定し、処理を終了する。
【0081】
以上のような処理によって、検出するパッチがどのようなものか、そしてそれを検知するまでの時間Tを測定することができ、その結果によってプレプリント紙がどの向きであるか判定することができる。
【0082】
ここでは、ランレングスによってパッチを使い分けたが、例えば各パッチの濃度を変えることで使い分ける方法をとっても構わない。
【0083】
<プレプリント紙の向き判定を行う際の2パスプリント処理フロー>
図16、17を用いて、本実施例のメインとなる2パスプリント処理フローを説明する。
【0084】
図16は、1パス目のCMYK画像データプリントに関する説明である。ステップS1601において、CMYK画像データの印刷設定をUIにて指示し、ジョブをスタートさせる。ここで設定された印刷設定から、印刷設定処理部318Dにおいて印刷設定テーブルを作成し、ジョブデータと共に処理される。ここで、印刷設定テーブルの例を図15に示す。その内容としては、入力画像名、ユーザ名、ジョブ開始時間と共に、印刷データに対してトンボを印刷するか否か、両面印刷の有無、プレプリント紙の向き判定パッチを印刷するかなどの情報が記述されている。続いてステップS1602に進む。
【0085】
ステップS1602において、印刷設定テーブル処理部318Dで印刷設定テーブルを参照し、プレプリント紙の向き判定を行うか否かを判定する。行わない場合はステップS1603に進んでCMYK画像データをプリントして処理を終了する。行う場合はステップS1604に進む。CMYK画像データのプリント処理に関しては、図22を用いて先に説明したとおりである。
【0086】
ステップS1604において、印刷設定テーブル処理部318Dで印刷設定テーブルを参照し、トンボをプリントする設定になっているか否かを判定する。トンボを印刷する場合はステップS1605に進み、印刷しない場合はステップS1606に進む。
【0087】
ステップS1605において、CMYK画像データとともに、トンボの外にプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、処理を終了する。この場合、最終的にはトンボ位置で印刷物を裁断するため、パッチも切り落とされることを考えると、パッチは通常通りのものを使用すればよい。ここで、パッチの印字例を図13(a)に示す。プレプリント紙1301のトンボ外にパッチ1302、1303のように印字すればよい。
【0088】
ステップS1606において、印刷設定テーブル処理部318Dで印刷設定テーブルを参照し、両面プリントを行うか否かを判定する。行う場合はステップS1608に進み、行わない場合はステップS1607に進む。
【0089】
ステップS1607において、CMYK画像データとともに、裏面にプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、処理を終了する。この場合、裏面には成果物が印刷されないのでパッチが内容を邪魔することはないと判断し、パッチは通常通りのものを使用すればよい。ここで、パッチの印字例を図13(b)に示す。プレプリント紙1304の裏面にパッチ1305、1306のように印字すればよい。
【0090】
ステップS1608において、CMYK画像データとともに、表面のなるべく画像領域外にあたる部分にプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、処理を終了する。この際、成果物である印刷データになるべく影響を与えないように、通常使用するものよりも可視性の低いパッチを打つようにする。ここで、パッチの印字例を図13(c)に示す。プレプリント紙1307のトンボ外にパッチ1308、1309のように印字すればよい。可視性の低いパッチとは、例えば、濃度が薄いパッチにする、サイズが小さいパッチにする、ウォーターマークのようなパッチを作成する、透明トナーでパッチを作成するなどが考えられる。その場合、これらの可視性の低いパッチを読み取れるような特別なセンサを、2パス目の印刷時に用いることが必要となる。
【0091】
図17は、2パス目の透明画像データプリントに関する説明である。ステップS1701において、CMYK画像データが印刷されたプレプリント紙を再度プリンタにセットし、透明画像データの印刷ジョブを開始する。その際、登録画像格納部319Aに格納されている画像データの中から、使用する透明画像データをUIにて指定する。
【0092】
ステップS1702において、プレプリント紙の向き判定を行う。その結果に基づいて、回転/拡大・縮小/反転部318CにてCMYK画像データと正しく重ね合わせられるように透明画像データを指定の角度に回転させ、プリントを行う。プレプリント紙の向き判定処理の詳細については、後ほど図19を用いて説明する。
【0093】
続いてステップS1703に進み、セットされたプレプリント紙すべてに対して処理が終了したかを確認する。終了していなければステップS1702に戻り、すべて終わっていれば処理を終了する。
【0094】
ここで、図19を用いてステップS1702のプレプリント紙の向き判定処理について詳細に説明する。
【0095】
ステップS1901において、プレプリント紙の向き判定パッチをセンサで検知し、読み取りまでの時間Tを測定する。この処理の詳細に関しては、先に図21を用いて説明したとおりである。続いてステップ1902に進む。
【0096】
ステップ1902において、パッチ検知までの時間TがT1であったかを判定する。そうであった場合はステップ1903に進み、そうでない場合はステップ1908に進む。
【0097】
ステップ1903において、検出したパッチが第1パッチ1001であるか否かを判定する。そうである場合は、「第1パッチを測定時間T1で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが正確であると判断し、ステップS1906へ進む。検出したパッチが第1パッチでなかった場合は、ステップS1904に進む。
【0098】
ステップS1906において、選択した透明画像データをプリントし、処理を終了する。ここで、透明画像データのプリント処理に関しては、図23を用いて前述したとおりである。
【0099】
ステップS1904において、検出したパッチが第2パッチ1101であるか否かを判定する。そうである場合は、「第2パッチを測定時間T1で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが、想定する向きに対して+90°回転していると判断し、ステップS1905に進む。ステップS1905にて、透明画像データを+90°回転させて、ステップS1906に進む。検出したパッチが第2パッチでなかった場合は、登録されたパッチが検出されないとしてステップS1907に進む。ステップS1907において、エラーメッセージをUIに表示させて、処理中のプレプリント紙を排紙させて処理を終了する。
【0100】
ステップS1908において、パッチ検知までの時間TがT2であったかを判定する。そうであればステップ1909に進み、そうでない場合はステップ1915に進む。
【0101】
ステップS1909において、検出されたパッチが第1パッチ1001であるか否かを判定する。そうである場合は、「第1パッチを測定時間T2で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが、想定する向きに対して+180°回転していると判断し、ステップS1910に進む。検出したパッチが第1パッチ1001でなかった場合は、登録されたパッチが検出されないとしてステップS1914に進み、UIにエラー表示して排紙し、処理を終了する。
【0102】
ステップS1911において、パッチ検知までの時間TがT3であったかを判定する。そうであった場合はステップS1912に進み、そうでない場合はステップS1915に進む。
【0103】
ステップS1912において、検出したパッチが第2パッチ1101であるか否かを判定する。そうである場合は、「第2パッチを測定時間T3で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが、想定する向きに対して−90°回転していると判断し、ステップS1913に進む。ステップS1913にて、透明画像データを−90°回転させて、ステップS1906に進む。検出したパッチが第2パッチでなかった場合は、登録されたパッチが検出されないとしてステップS1914に進む。ステップS1914において、エラーメッセージをUIに表示させて、処理中のプレプリント紙を排紙させて処理を終了する。
【0104】
ステップS1915において、何も検知できなかったのはこれで2回目かどうかを確認する。判断方法例としては、MFP制御部318内に不図示のカウンタを設置しておき、プレプリント紙を表裏反転させた回数をカウントしておくようにすればよい。反転回数が既に1回カウントされている場合、ステップS1917に進み、反転回数が0回の場合はステップS1916に進む。
【0105】
ステップS1916において、センサで読み取った面が裏面だった可能性が考えられるので、MFPプリンタ部202内部にある不図示の反転パスにて表裏反転させる。続いてステップS1901に戻り、もう一度判定処理を行う。
【0106】
ステップS1917において、プレプリント紙の表裏共に白紙である可能性があることをUIに表示させる。ユーザにその後の処理を選択させ、このまま処理を続けると選択した場合はステップS1906へ進み、透明画像データをプリントする。プリント処理を終了させると選んだ場合はステップ1919へ進み、プレプリント紙を排紙して、処理を終了させる。
【0107】
このように、プレプリント紙の印刷設定に応じて、プレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を変更することで、成果物自体に影響を与えることなく、透明画像データを正しく重ねてプリントすることができる。
【0108】
なお、本実施例ではCMYKトナーで作像した画像と透明トナーで作像した画像との重ね合わせについて説明したが、Kトナーなどの1色の有色トナーと透明トナーとの組み合わせでも構わない。また、CMYKトナーや透明トナーだけでなく、Red、Green、Blue、Purple、Orange、金、銀などの特色トナーとの組み合わせで用いても構わない。もちろん、第1画像データをRed、Green、Blueトナーで、第2画像データを透明、銀トナーで、といったように、それぞれの画像データに使用する色数は制限しないことは言うまでもない。
【0109】
なお、本実施例の処理を同一プリンタにてCMYK画像データのプリントと、透明画像データのプリントを行う場合に適用してもよい。また、MFP101にてCMYK画像データを、MFP103にて透明画像データをプリントするといったように処理を分ける場合に適用しても構わない。
【0110】
(実施例2)
実施例2では、2パスプリントを複数枚に渡って行う際の処理について説明する。
【0111】
ここではプレプリント紙を複数枚セットする際、それぞれの用紙の向きの確からしさからプレプリント紙の向き判定処理のレベルを選択し、処理の効率化を図る。図18を用いて、本実施例の複数枚にわたるプレプリント紙の向き判定処理について説明する。なお、1パス目のプリント処理については実施例1で図16を用いて説明した内容と同様なので、ここでは割愛する。
【0112】
ステップS1801において、UIにて透明画像データとプレプリント紙の向き判定方法を指示し、2パス目のプリントジョブをスタートする。ここで、プレプリント紙の向き判定方法の選択UI例を図14に示す。まず透明画像データ名を選択し、向き判定モードとして「1枚目のみ判定する」「毎回判定する」「設定枚数のみ判定する」「向き検出パッチが印字されている枚数のみ判定する」「向き判定を行わない」の中から選択できる。これにより、ユーザがくべたプレプリント紙の向きの確からしさから、ユーザ自身が適切なモードを選択できる。
【0113】
続いてステップS1802において、先に選択したモードが毎回判定するモードか否かを判定する。そうであればステップS1803に進み、違うモードであればステップS1804に進む。
【0114】
ステップS1803において、プレプリント紙の向き判定を行い、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。この処理の詳細は、実施例1において図19を用いて説明したとおりなので、説明を省略する。
【0115】
ステップS1804において、1枚目のみ向き判定を行うか否かを判定する。そうであればステップS1805に進み、違うモードであればステップS1807に進む。
【0116】
ステップS1805において、1枚目のみプレプリント紙の向き判定を行い、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。続いてステップS1806に進み、以降のプレプリント紙に対しても1枚目と同様に透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。すべての用紙に対してプリント処理が終わったら、処理を終了する。
【0117】
ステップS1807において、設定した枚数のみ向き判定を行うモードかどうかを判定する。そうであればステップS1808に進み、違うモードであればステップS1810に進む。
【0118】
ステップS1808において、設定枚数のみプレプリント紙の向き判定を行い、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。続いてステップS1809に進み、設定枚数の向き判定の結果、すべて同じ向きであればステップS1806に進んで以降の用紙に対しても同じ処理を行う。同じ向きでないプレプリント紙が存在した場合はステップS1803に進み、以降のプレプリント紙に対して毎回向き判定を行い、その結果に基づいて透明画像データ変換とプリント処理を行う。すべてのプレプリント紙に対して透明画像データのプリントが終わったら、処理を終了する。
【0119】
ステップS1810において、向き検出パッチが印字されている枚数のみ向き判定を行うモードか否かを判定する。そうであればステップS1811に進み、そうでなければプレプリントの向き判定処理を行わないとみなしてステップS1813へ進む。
【0120】
ステップS1811において、パッチが検知できるかを判定する。検知できればステップS1812に進み、プレプリント紙の向き判定を行って、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。再度ステップS1811に戻り、パッチが検知できなくなるまで処理を続ける。パッチが検知できなくなったらステップS1806に進む。
【0121】
ステップS1813において、セットされている残りのプレプリント紙に対して通常通り透明画像データをプリントし、処理を終了する。
【0122】
このような手法をとれば、プレプリント紙セット時の「向きの確実性」次第で、プリントスピードを短縮できる。
【0123】
(実施例3)
実施例1、2では、プレプリント紙の向き判定パッチを読み取るセンサが、プリンタの給紙口から近い箇所に設置されていることを前提に説明した。しかし、プリンタ部の定着後センサを用いて、同様のプレプリント紙の向き判定を行ってもよい。その際、1枚目にセットされているプレプリント紙に対しては、向き判定結果をフィードバックすることはできないので、2枚目以降のプレプリント紙に対して、判定結果を元に透明画像データ処理を行う。
【0124】
このような手法をとれば、新たにセンサを設置しなくても、既存の定着後センサを用いて手軽にプレプリント紙の向き判定を行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類以上の画像データを重ね合わせてプリントできる画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルプリンティング技術はオンデマンド印刷市場や少部数の文書印刷市場において、近年確実にその利用価値を高めつつある。特に電子写真技術を用いたフルカラープリンティングは生産性や印刷コスト、メンテナンスの容易性などの面で他のプリンティング技術よりも優位な位置にあり、急速にその市場を広めつつある。その中で、特に従来のC、M、Y、K、4色のトナーを用いた電子写真印刷によるフルカラー印刷だけではなく、さらに特殊なトナーを用いた多色の印刷方式も注目を集めており、オンデマンド性、即時性の高い特殊印刷市場も視野に入ってきている。特殊トナーの例として、印刷物の表面の凸凹を吸収し、高光沢性を実現できる透明トナーやハイライト部のざらつきを押さえることができる淡トナー等が挙げられる。特殊トナーを使用することで通常のディジタル印刷とは異なる新たな付加価値が得られるようになり、デジタルプリンティングの世界をさらに拡大していくことが可能になる。
【0003】
透明トナーを使った印刷は、定着の回数を変えたり、透明トナーの適用面積を変えたりすることで、プリント物に様々な視覚効果を与えることができる。
【0004】
例えば、Cyan、Magenta、Yellow、Black(以下それぞれC、M、Y、Kとする)トナーと透明トナーを使って作像・定着まで1回の印刷パスで行うといった、1パスプリントという方法がある。それに加え、CMYKトナーを使って一旦定着処理まで行った後、改めて透明トナーを使ってプリントするといったように、2回の印刷パスを通すことで光沢を出す2パスプリントもある。2パスプリントは、一般的に1パスプリントよりもより光沢を出せるといった特徴がある。
【0005】
また透明トナーの適用面積を変える方法として、用紙全面に透明トナーを重ねる方法(以降、全面透明処理とする)と、部分的に透明トナー像を重ねる方法(以降、部分透明処理とする)とがある。全面透明処理は、全体的に光沢性が向上するという特徴がある。一方部分透明処理は、透明トナー像の作り方によって、出力物に様々な視覚効果をもたせることができる。例えば図5(a)のように、CMYKトナー像501に透明トナー像502をぴったり重ねる方法がある。この手法を用いると、出力画像503のようにオブジェクトそのものを強調するような視覚効果を与えることができる。また図6のように、CMYKトナー画像601に透明トナーで作像した“confidential”の文字画像602を重ねる方法がある。この手法を用いると、出力物603のようにウォーターマークのような効果を持たせることができる。ここで、前者のような透明トナー印刷方法をCMYK画像データ依存型の透明トナープリント、後者をウォーターマーク型の透明トナープリントとする。
【0006】
2パスプリントを行う際、CMYKトナーで印刷済の用紙(以下、プレプリント紙とする)を、再度プリンタの用紙カセットや手差しトレイにくべて、透明トナーを使った印刷を開始する。ここで、CMYKトナーでの印刷と透明トナーでの印刷とでは、搬送方向・搬送面は一致していなければならない。CMYK画像データ依存型のプリントにおいては、CMYKトナー像と透明トナー像が一致してこそ視覚効果が生まれるので、特に注意が必要となる。
【0007】
ここで、プレプリント紙の搬送方向が間違っている例としては以下のような場合が挙げられる。図5(b)は、左右反転した状態のCMYKトナー像504に対して透明トナー像505を重ねた結果、得られる画像が出力画像506のように、それぞれの像が一致しない例である。図5(c)は、プレプリント紙の表裏を反転した状態のCMYKトナー像507に対して透明トナー像508を重ねた結果、出力画像509のようにそれぞれの像が表裏別々に印刷された例である。図5(d)は、プレプリント紙の縦横を間違えた状態のCMYKトナー像510に対して透明トナー像511を重ねた結果、出力画像512のようにそれぞれの像の位置が一致しない例である。さらに図5(e)は図5(d)の左右逆の状態でプレプリント紙をくべた場合のCMYKトナー像513に対して、対して透明トナー像514を重ねた結果、出力画像515のようにそれぞれの像の位置が一致しない例である。
【0008】
このように、プレプリント紙をくべる向き・表裏の間違え方は複数考えられる。さらに複数枚プレプリント紙をくべる場合は、それぞれの向きが違う可能性も考えると、その場合分けの数はさらに多くなる。しかし、CMYKトナーでの印刷と透明トナーでの印刷の間はオフラインとなり人手が介在するため、プレプリント紙の向きが正しい向きにセットできているとは限らない。
【0009】
ユーザがプレプリント紙をくべる際に、向きや表裏を気にしなくても想定どおりの位置に透明トナー像を重ねるための手段はこれまでいくつか考案されている。その一例として、1パス目においてプレプリント紙の向き判定パッチを画像領域外に印字し、2パス目にそれを検知してプレプリント紙の向き・表裏を判定する方法が考えられる。しかし、プレプリント紙の内容になるべく影響を及ぼさない形で、パッチを印字することが望ましい。
【0010】
また、複数枚に渡って透明トナー印刷を行う際、各枚で向きが違っている可能性がある場合と、最初だけ確認すれば後続のプレプリント紙は同じ向きになっている場合とが考えられる。もし、プレプリント紙の向きが1枚目と後続の紙と合っていることが確実にわかっている場合ならば、プレプリント紙の向き判定を1枚1枚行うと余計に時間がかかってしまう。
【0011】
特許文献1では、画像データを断ち切り線内外の領域に分割し、断ち切り線内の画像データの有無と使われている色を判定し、その結果に基づいてトンボマークやカラーパッチ等の付加情報の色を決定する。そして、画像を分版出力する際に、断ち切り線外の所定の位置に作成した付加情報を印字するといった方法が提案されている。
【0012】
また特許文献2では、1枚目に対してのみ給紙エラーチェック等の制御処理を行い、排紙エラーチェックまでエラーがなければ、印刷を続行するといった方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006-352802号公報
【特許文献2】特開2003-080680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、有効画像領域の内容によって付加情報の特徴(色)を切り替えているが、断ち切り線(トンボ)の有無によって付加情報を印字する位置を切り替えることはできない。
【0015】
また、特許文献2に記載の技術では、1枚目のみエラーチェックを行っているが、複数モードを用意し、ユーザの目的によってチェックを何枚行うか切り替えることはできないため、印刷の効率化が図れない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
少なくとも1種類以上の色材を用いて作像した第1画像データを1回目にプリントし、前記第1画像データ作像時に使用した色材以外の1種類以上の色材を用いて作像した第2画像データを2回目に重ねてプリントする工程において、
前記第1画像データプリント時にアプリケーション等でトンボ印刷指定や両面プリント指定がされているかによってプレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を切り替えるプレプリント紙の向き判定パッチプリント切り替え手段と、
前記第2画像データプリント時に作像部前に設置されたセンサで前記向き判定パッチを読み取るプレプリント紙の向き判定パッチ読み取り手段と、
前記向き判定パッチの検出時間と内容からプレプリント紙の向き・天地・表裏を判定するプレプリント紙の向き判定手段とを有することを特徴とする画像処理システム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プレプリント紙の内容に影響を与えることなく、CMYK画像データに対して透明画像データを正しい向きでプリントできる。また、プレプリント紙セット時の「向きの確実性」次第で、プリントスピードを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に関する画像処理システムを示すブロック図。
【図2】MFPのリーダー部、プリンタ部の断面図。
【図3】MFPの構成を示すブロック図。
【図4】回転/拡大・縮小/反転部318Cのブロック図。
【図5】CMYK画像データと透明画像データの重ね合わせ方を表す図。
【図6】CMYK画像データとウォーターマーク型の透明画像データの重ね合わせ方を表す図。
【図7】プレプリント紙の向き判定パッチのセンサでの読み取り方を示す図。
【図8】グラフィックプロセッサのアフィン変換における画像タイル操作の模式図。
【図9】プレプリント紙の向き判定パッチを読み取るセンサ例。
【図10】プレプリント紙の向き判定パッチの第1パッチ例。
【図11】プレプリント紙の向き判定パッチの第2パッチ例。
【図12】パッチ・ランレングス対応テーブルの例。
【図13】印刷設定によるプレプリント紙の向き判定パッチの印字方法の例。
【図14】プレプリント紙の向き判定モードを選択するUI例。
【図15】印刷設定テーブル例。
【図16】本発明の実施例1における1パス目のプリント処理の概要を示すフローチャート。
【図17】本発明の実施例1における2パス目のプリント処理の概要を示すフローチャート
【図18】本発明の実施例2における2パス目のプリント処理の概要を示すフローチャート。
【図19】プレプリント紙の向き判定・第2画像データ変換・プリント処理をの概要を示すフローチャート。
【図20】グラフィックプロセッサの処理フロー例。
【図21】センサがプレプリント紙の向き判定パッチを読み取る処理の概要を示すフローチャート。
【図22】CMYK画像データの画像処理を示すフロー例。
【図23】透明画像データの画像処理を示すフロー例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
以下、本発明の発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ここでは、1パス目のプリントジョブで第1画像データをCMYKトナーで作像し、2パス目で第2画像データを透明トナーで作像する2パスプリントを例にとって説明する。2パスプリントの手順としては、まず1パス目に、CMYKトナーを使って第1画像データをプレプリント紙としてプリントする。続いて2パス目として、プレプリント紙を再度プリンタの給紙口にセットし、透明トナーを使って第2画像データをプリントする。このような2パスプリントでの実施例を図21、図22を使って説明する。
【0020】
なお、本文中の「ユーザーインターフェース(以下、UIとする)」とは、ローカルPC102のモニタとMFP101、MFP103の操作部317の両者を指す。
【0021】
<画像形成装置>
図1は、本発明に係る画像形成装置を示すブロック図である。
【0022】
オフィス10内に構築されたLAN104には、記録装置としてマルチファンクション複合機(以下、MFPという。)101、103、およびローカルPC102が接続されている。MFP101、103は、原稿画像から読み取った入力画像に対する画像処理を行う。そしてその画像処理の結果を、原稿画像を読み取ったMFPが印刷する。
【0023】
また、MFP101で読み取った原稿画像に対して画像処理を行ってから、MFP103が印刷することも可能である。さらには、ローカルPC102から送信されるPage Discription Language(以下、PDLとする)言語を解釈してMFP101、103が印刷することもできる。
【0024】
<MFP>
図2、図3は、MFPを示す図である。以下の説明は、MFP101、MFP103の両方に適用される。
【0025】
図2を用いて1パスプリント時の動作について説明する。イメージスキャナー(画像読み取り部)201は、原稿画像を読み取り、デジタル信号処理を行う。また、プリンタ部202は、イメージスキャナー201によって読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーで印刷する。
【0026】
イメージスキャナー201は、鏡面圧板200を含み、原稿台ガラス(以下、プラテンという。)203上の原稿204は、ランプ205で照射され、ミラー206、207、208に導かれる。そして、照射された光は、レンズ209によって、3ラインの固体撮像素子センサ(以下、CCDという。)210上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3つの画像信号がデータ処理装置211に送られる。なお、ランプ205、ミラー206は、速度vで、ミラー207、208は、速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿全面を走査(副走査)する。ここで、原稿204は、主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読みとられる。読み取られた画像信号は原稿1ページ分の単位でデータ処理装置211の内部のデータ蓄積手段に蓄積される。
【0027】
データ処理装置211においては、内部に蓄積された画像信号を画素単位で電気的に処理し、M、C、Y、Kの各成分に分解し、プリンタ部202に送る。また、データ処理装置211の内部で、透明画像データ(CL)を画素単位で生成し、同じくプリンタ部202へ送出する。
【0028】
送出されたM、C、Y、K、CLの画像信号がレーザードライバー212に送られる。レーザードライバー212は、送られてきた画像信号に応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー光は、ポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光ドラム217上を走査する。ここで、読取と同様に主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で書込まれる。
【0029】
回転現像器218は、マゼンタ現像部219、シアン現像部220、イエロ現像部221、ブラック現像部222、クリア(透明)現像部223を含む。そして、5つの現像部219〜223が交互に感光ドラム217に接し、感光ドラム上に形成された静電現像を各色のトナーで現像する。
【0030】
転写ドラム224は、用紙カセット225または用紙カセット226より供給される用紙をこの転写ドラム224に巻き付け、感光ドラム上に現像された像を用紙に転写する。
【0031】
この様にして、M,C,Y,Kおよびクリア(透明)の5色が順次転写された後に、用紙は、定着ユニット227を通過して、トナーが用紙に定着された後に排紙される。
【0032】
また、用紙は、排紙せず、再び上記プロセスを経て、再度印刷してから排紙することも可能である(2パスプリント)。
【0033】
図3のブロック図を用いてMFPの構成について説明する。
【0034】
同図において、入力画像処理部315は、紙原稿などをイメージスキャナー201などの画像読み取り装置で読み取り、読み取られた画像データを画像処理する。
【0035】
NIC(Network Interface Card)部316は、ネットワークを利用して入力された画像データ(主に、PDLデータ)をRIP部316に渡したり、MFP内部の画像データや装置情報をネットワーク経由で外部に送信したりする。RIP部316は、入力されたPDLデータを解読し、RIP(Raster Image Processor)展開する部分である。
【0036】
次に、入力された画像データは、MFP制御部318に送られる。MFP制御部318は、入力されるデータや出力するデータを制御する交通整理の役割を果たしている。MFP制御部318内には、CPU、ROM、RAMが搭載されている。またMFP制御部318内には、以下のような処理部が存在する。登録画像処理部318Bでは、画像をメモリ部319内の登録画像格納部319Aに格納したり呼び出したりといった処理を行う。回転/拡大・縮小/反転処理部318Cでは、画像の回転/拡大・縮小/反転/Nin1といった処理を行う。印刷設定テーブル処理部318Dでは、裏面印刷や画像の拡大・縮小・反転などの印刷設定情報を格納した印刷設定テーブルの作成や、プリントジョブへの適用が行われる。
【0037】
また、MFP制御部318に入力された画像データは、一旦メモリ部319に格納される。格納された画像データは、一時的に格納されたり、必要に応じて呼び出されたりする。MFP制御部318内には、以下のような処理部が存在する。
【0038】
また、登録画像処理部318Bでは、画像をメモリ部319内の登録画像格納部319Aに格納したり呼び出したりといった処理を行う。回転/拡大・縮小/反転処理部318Cでは、画像の回転/拡大・縮小/反転/Nin1といった処理を行う。
【0039】
出力画像処理部320は、プリントするための画像処理が施され、プリンタ部321に送られる。ここでは特に、ガンマ処理や画像形成処理などといった、画像データがどの色版に使われるかによって変わる処理が行われる。
【0040】
プリンタ部321では、シートを給紙し、出力画像処理部320で作られた画像データをそのシート上に順次印字していく。プリントアウトされたシートは後処理部322へ送り込まれ、シートの仕分け処理やシートの仕上げ処理が行われる。
【0041】
更に、操作部317は、上記の様々なフローや機能を選択したり操作指示したりするためのものであるが、操作部317の表示装置の高解像度化に伴い、メモリ部にある画像データをプレビューし、確認後OKならばプリントするといった使い方もできる。
【0042】
このように、MFPには様々な機能と利用方法があり、以下にその例を示す。
【0043】
複写機能 :入力画像処理部315→出力画像処理部320→プリンタ部321
ネットワークスキャン:入力画像処理部315→NIC部316
ネットワークプリント:NIC部316→RIP部316→出力画像処理部320→プリンタ部321
ボックススキャン機能:入力画像処理部315→出力画像処理部320→メモリ部319
ボックスプリント機能:メモリ部319→プリンタ部321
ボックス受信機能 :NIC部316→RIP部316→出力画像処理部320→メモリ部319
ボックス送信機能 :メモリ部319→NIC部316
プレビュー機能 :メモリ部319→操作部317
<画像の回転/拡大・縮小処理について>
回転/拡大・縮小/反転処理部318Cで行われる処理の例として、ここでは画像の回転/拡大・縮小(変倍)処理について図4、図7、図8を用いて説明する。
【0044】
MFP制御部318内にある不図示のグラフィックプロセッサは、不図示のメインコントローラから画像データを受け取り、メインコントローラの指示にしたがって、回転などの所定の処理を行い、処理結果をメインコントローラに返す機能を有する。
【0045】
グラフィックプロセッサの各処理ブロックの構成を図4に示す。
【0046】
タイル分割部402は受け取った画像信号を正方形の細かなタイルに分割する役目を持つ。タイルのサイズはメインコントローラから指示されるものとし、任意のサイズを取ることができるが、本実施例では、説明の簡便さのためにディザマトリクスのサイズを取るものとする。
【0047】
タイル分割された画像は、メインコントローラの動作指示により、必要に応じて、画像合成部401あるいはアフィン変換部404に送られる。
【0048】
画像合成部401は、2つの画像データをメインコントローラから受け取り、格納した2つの画像データに対して合成処理を施すものである。合成方法としては、2つの入力画像の注目画素の画素値をそれぞれA,Bとすると、AxB/256、もしくは、{Axα+Bx(256-α)}/256(α:合成比率)、あるいは、AとBのうち画素値の大きい方の画素値を取得するといった演算方法により出力画像の画素値を算出するが、演算方法は上記に限るものではない。画像合成部401は、上記αを生成する機能があり、画像データの画素値からαを算出することが可能である。合成後のデータは、タイル統合部403でMFP制御部318内に搭載される不図示のSRAMに確保された所定サイズのバッファの適切な位置に書き戻される。画像合成部401が全てのタイルに対する処理を終えたら、グラフィックプロセッサはSRAM上の画像を読み出し、メインコントローラに転送する。
【0049】
アフィン変換部404は、メインコントローラにより設定された、画像回転・変倍に必要なパラメータ設定に応じてアフィン変換処理を行う。
【0050】
アフィン変換動作時のグラフィックプロセッサが行う処理のフローの例を、図20を用いて説明する。
【0051】
ステップS2001で、グラフィックプロセッサは、メインコントローラからの回転角度や変倍率の設定に応じて、SRAM上に処理結果の画像を保持するために必要なサイズの出力バッファを確保する。次に、ステップS2002で、グラフィックプロセッサは、回転角度、主走査方向の変倍率、副走査方向の変倍率をアフィン変換部に設定する。ステップS2003で、グラフィックプロセッサは、メインコントローラの具備する不図示のバスコントローラからの画像データ転送を受け、SRAMに一時格納する。
【0052】
次にグラフィックプロセッサは、ステップS2004で、タイル分割部402に画像をタイル分割するように制御する。タイル分割は、図8(a)に示すように、元となる画像800を、設定されたタイルサイズとタイル先頭アドレスおよびオフセット間隔に従って、タイル11(801)、タイル12(802)、タイル13(803)、タイル21(804)・・・タイルNN(805)のように分割する。グラフィックプロセッサは、分割したタイル画像を逐次、アフィン変換部404に供給するように制御する。
【0053】
ステップS2005において、グラフィックプロセッサは、アフィン変換部404に、メインコントローラ111の設定に従って、アフィン変換を行うように制御する。アフィン変換が行われた画像はタイル統合部403に送出され、グラフィックプロセッサはステップS2006において、アフィン変換後の画像をSRAM上に確保された出力バッファに配置するようにタイル統合部403を制御する。図8(a)は、分割されたタイルが90度回転後に統合された様子を示している。すなわち、タイル11(801)、タイル12(802)、タイル13(803)、タイル21(804)・・・タイルNN(805)は、90度回転により、811、812、813、814・・・815のように回転がなされ、タイル統合部403は、90度回転されたタイル画像を、90度回転を想定した出力バッファ上の所定の位置に配置して90度回転画像810を得る。また、図8(b)では、分割されたタイルが2倍拡大された後に統合される様子を示している。タイル11(801)、タイル12(802)、タイル13(803)、タイル21(804)・・・タイルNN(805)は、2倍拡大により、821、822、823、824・・・825のように2倍拡大され、タイル統合部403は2倍拡大されたタイル画像を所定の位置に配置して、2倍拡大画像820を得る。
【0054】
グラフィックプロセッサは、ステップS2007において、全てのタイルを処理したかどうかをチェックし、全てのタイルを処理していなければ、ステップS2004に戻る。全てのタイルを処理していれば、グラフィックプロセッサはタイル統合後の画像をSRAMから読み出してメインコントローラに転送し、処理を終える。
【0055】
<CMYK画像データの画像処理>
CMYK画像データの画像処理フローを、図22を用いて説明する。CMYK画像データに対する画像処理は、MFP制御部318内に搭載される不図示のCPUにより実行される。
【0056】
ローカルPC102からのPDLデータやMFP101、103から入力データはまずRGB画像として入力される。入力されたR、G、B信号は、ステップS2201の色処理において、C、M、Y、K信号に変換される。C、M、Y、K信号への変換は、式(1)に示すようなマトリックス演算か、Look Up Tableを用いた補間演算により行われる。
【0057】
【数1】
【0058】
また、ローカルPC102からは、C、M、Y、K信号が送信されることがあるが、その際には、ステップS2202に処理を進める。次に、ステップS2202のガンマ処理において、このMFP101、103に最適なガンマ処理が各色に施される。
【0059】
そして、ステップS2203の画像形成において、各色に画像形成処理が施される。画像形成処理には、スクリーン処理や誤差拡散処理がある。ガンマや画像形成のパラメータは色ごとに異なる。
【0060】
<クリア画像データの画像処理>
透明画像データの画像処理フローを、図23を用いて説明する。透明画像データに対する画像処理は、MFP制御部318内に搭載される不図示のCPUにより実行される。
【0061】
ステップS2301において、ローカルPC102やMFP101、103からの入力画像信号は、R、G、B信号かどうかの判定を行う。判定の結果が、R、G、B信号の場合、ステップS2302に進む。それ以外の信号の場合、ステップS2305において単色か否かの判定を行う。単色である場合にはステップS2303に進む。それ以外の信号、つまりC、M、Y、K信号の場合にはステップS2306において、R、G、B信号に変換する。変換の方法は、式(2)に示すようなマトリックス演算により行われる。
【0062】
【数2】
【0063】
次に、ステップS2302において、R、G、B信号は、1信号の単色に置き換えられる。変換の方法は、演算式等により変換され、その演算式は一様ではない。また、C、M、Y、K信号をR、G、B信号に変換して、1信号の単色に置き換えているが、公知の方法を利用して、C、M、Y、K信号から直接1信号の単色に置き換えることも可能である。そして、1信号化された信号は、ステップS2303において、このMFP101やMFP103に最適な透明トナー用のガンマ処理が施される。
【0064】
続いてステップS2305において、画像形成処理が施される。ここで、ガンマや画像形成のパラメータはCMYK画像データのものとは異なる場合がある。
【0065】
<プレプリント紙の向き判定方法>
前述のように、プレプリント紙の向きとしては5通り考えられる。それぞれの場合を切り分ける方法の一例として、図7のプレプリント紙702のように用紙の長い辺・短い辺それぞれの中点に特徴の異なるプレプリント紙の向き判定パッチ703、704を1つずつ印字する方法を説明する。ここで、701をセンサとし、プレプリント紙の搬送方向に対して垂直方向の中央部に位置しているとする。また、パッチ703を第1パッチ、パッチ704を第2パッチとする。
【0066】
プレプリント紙が正しい向きでセットされた状態を図7(a)とする。ここで、「センサ701は第1パッチ703を用紙端から時間T1で検知する」ことが、正しい向きでプレプリント紙702がセットされたことを意味するとする。このとき、パッチ704はセンサ701では検知されない。
【0067】
続いて、図7(b)のようにプレプリント紙702が図7(a)とは天地逆にセットされたとする。この場合、「センサ701は第1パッチ703を用紙端から時間T2(≠T1)で検知する」ため、プレプリント紙702は「想定する向きから+180°回転した状態」でセットされていることがわかる。
【0068】
次に、図7(c)のようにプレプリント紙702が表裏逆にセットされたとする。この場合、「センサ701はどのパッチも検出しない」ことになり、「想定する向きとは表裏逆」でプレプリント紙702がセットされていることがわかる。
【0069】
さらに、図7(d)のようにプレプリント紙702が図7(a)に対して時計回りに90°回転した状態でセットされたとする。この場合、「センサ701は第2パッチ704を用紙端から時間T1で検知する」ことになり、プレプリント紙702は「想定する向きから+90°回転した状態」でセットされていることがわかる。
【0070】
続いて、図7(e)のようにプレプリント紙702が図7(a)に対して反時計回りに90°回転した状態でセットされたとする。この場合、「センサ701は第2パッチ704を用紙端から時間T3(≠T1、≠T2)で検知する」ことになり、プレプリント紙702は「想定する向きから−90°回転した状態」でセットされていることがわかる。
【0071】
このように、上記5通りのプレプリント紙の向きはそれぞれ、検出するパッチと、それを検知するまでの時間が異なる。よって、それらの情報を事前に記憶しておくことで、プレプリント紙がどの向きで設置され、透明画像データ、もしくはプレプリント紙自体をどの向きに回転すればよいかがわかる。
【0072】
前述のプレプリント紙の向き判定パッチを検出するためのセンサ例として、図9のようなセンサ901が挙げられる。これは、発光部902からの光を用紙904で反射させ、その反射光の強さを受光部903で検知する。
【0073】
プレプリント紙の向き判定パッチの例を図10、図11に挙げる。前述のとおり、黒色部と白色部とで構成される2種類のパッチを作成する。ここで、パッチ1001を第1パッチ、パッチ1101を第2パッチとする。センサ901は各パッチの中心部をスキャンし、黒色部・白色部のランレングスを測定でき、そのランレングスの比によってパッチを見分けることとする。パッチ1001をセンサ901がスキャンする際、黒色部:白色部:黒色部:白色部:黒色部のランレングスはA:A:B:A:Aとなるようにパッチ1001を作成する。また、パッチ1101のランレングスは、黒:白:黒:白:黒:白:黒=A:A:A:A:A:A:Aとなるように作成する。各パッチのランレングス対応テーブルを図12のように作成し、それをMFPのメモリ部に格納し、プレプリント紙の向き検出時に参照できるようにすれば、パッチの違いを検知することができる。
【0074】
上記の図10、図11の説明のようなパッチを使うことを想定し、図21を使ってプレプリント紙の向き判定パッチの検知方法を具体的に説明する。
【0075】
ステップS2101で、セットされたプレプリント紙の用紙端を検知する。それと同時に、パッチ検出までの時間Tの測定を開始する。
【0076】
ステップS2102において、プレプリント紙の向き判定パッチを検知し、センサ値V[0]〜V[n]の取得を開始する。ここで、nはセンサ値の取得回数とする。また、パッチを検出した時点で時間Tの測定を終了する。
【0077】
ステップS2103において、センサ値をデジタル信号値に変換するA/D変換を行う。これにより、センサ値V[0]〜V[n]を信号値Sig[0]〜Sig[n]に変換する。
【0078】
ステップS2104において、得られた信号値を二値化する。つまり、Sig[i]が黒か白かを設定する。続いてステップS2105に進む。
【0079】
ステップS2105において、得られた二値化結果から黒と白のランレングスをとる。続いてステップS2106へ進む。
【0080】
ステップS2106において、図12のようなパッチ・ランレングス対応テーブルと比較し、センサで検知したパッチが図10のどちらのパッチであるかを判定し、処理を終了する。
【0081】
以上のような処理によって、検出するパッチがどのようなものか、そしてそれを検知するまでの時間Tを測定することができ、その結果によってプレプリント紙がどの向きであるか判定することができる。
【0082】
ここでは、ランレングスによってパッチを使い分けたが、例えば各パッチの濃度を変えることで使い分ける方法をとっても構わない。
【0083】
<プレプリント紙の向き判定を行う際の2パスプリント処理フロー>
図16、17を用いて、本実施例のメインとなる2パスプリント処理フローを説明する。
【0084】
図16は、1パス目のCMYK画像データプリントに関する説明である。ステップS1601において、CMYK画像データの印刷設定をUIにて指示し、ジョブをスタートさせる。ここで設定された印刷設定から、印刷設定処理部318Dにおいて印刷設定テーブルを作成し、ジョブデータと共に処理される。ここで、印刷設定テーブルの例を図15に示す。その内容としては、入力画像名、ユーザ名、ジョブ開始時間と共に、印刷データに対してトンボを印刷するか否か、両面印刷の有無、プレプリント紙の向き判定パッチを印刷するかなどの情報が記述されている。続いてステップS1602に進む。
【0085】
ステップS1602において、印刷設定テーブル処理部318Dで印刷設定テーブルを参照し、プレプリント紙の向き判定を行うか否かを判定する。行わない場合はステップS1603に進んでCMYK画像データをプリントして処理を終了する。行う場合はステップS1604に進む。CMYK画像データのプリント処理に関しては、図22を用いて先に説明したとおりである。
【0086】
ステップS1604において、印刷設定テーブル処理部318Dで印刷設定テーブルを参照し、トンボをプリントする設定になっているか否かを判定する。トンボを印刷する場合はステップS1605に進み、印刷しない場合はステップS1606に進む。
【0087】
ステップS1605において、CMYK画像データとともに、トンボの外にプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、処理を終了する。この場合、最終的にはトンボ位置で印刷物を裁断するため、パッチも切り落とされることを考えると、パッチは通常通りのものを使用すればよい。ここで、パッチの印字例を図13(a)に示す。プレプリント紙1301のトンボ外にパッチ1302、1303のように印字すればよい。
【0088】
ステップS1606において、印刷設定テーブル処理部318Dで印刷設定テーブルを参照し、両面プリントを行うか否かを判定する。行う場合はステップS1608に進み、行わない場合はステップS1607に進む。
【0089】
ステップS1607において、CMYK画像データとともに、裏面にプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、処理を終了する。この場合、裏面には成果物が印刷されないのでパッチが内容を邪魔することはないと判断し、パッチは通常通りのものを使用すればよい。ここで、パッチの印字例を図13(b)に示す。プレプリント紙1304の裏面にパッチ1305、1306のように印字すればよい。
【0090】
ステップS1608において、CMYK画像データとともに、表面のなるべく画像領域外にあたる部分にプレプリント紙の向き判定パッチをプリントし、処理を終了する。この際、成果物である印刷データになるべく影響を与えないように、通常使用するものよりも可視性の低いパッチを打つようにする。ここで、パッチの印字例を図13(c)に示す。プレプリント紙1307のトンボ外にパッチ1308、1309のように印字すればよい。可視性の低いパッチとは、例えば、濃度が薄いパッチにする、サイズが小さいパッチにする、ウォーターマークのようなパッチを作成する、透明トナーでパッチを作成するなどが考えられる。その場合、これらの可視性の低いパッチを読み取れるような特別なセンサを、2パス目の印刷時に用いることが必要となる。
【0091】
図17は、2パス目の透明画像データプリントに関する説明である。ステップS1701において、CMYK画像データが印刷されたプレプリント紙を再度プリンタにセットし、透明画像データの印刷ジョブを開始する。その際、登録画像格納部319Aに格納されている画像データの中から、使用する透明画像データをUIにて指定する。
【0092】
ステップS1702において、プレプリント紙の向き判定を行う。その結果に基づいて、回転/拡大・縮小/反転部318CにてCMYK画像データと正しく重ね合わせられるように透明画像データを指定の角度に回転させ、プリントを行う。プレプリント紙の向き判定処理の詳細については、後ほど図19を用いて説明する。
【0093】
続いてステップS1703に進み、セットされたプレプリント紙すべてに対して処理が終了したかを確認する。終了していなければステップS1702に戻り、すべて終わっていれば処理を終了する。
【0094】
ここで、図19を用いてステップS1702のプレプリント紙の向き判定処理について詳細に説明する。
【0095】
ステップS1901において、プレプリント紙の向き判定パッチをセンサで検知し、読み取りまでの時間Tを測定する。この処理の詳細に関しては、先に図21を用いて説明したとおりである。続いてステップ1902に進む。
【0096】
ステップ1902において、パッチ検知までの時間TがT1であったかを判定する。そうであった場合はステップ1903に進み、そうでない場合はステップ1908に進む。
【0097】
ステップ1903において、検出したパッチが第1パッチ1001であるか否かを判定する。そうである場合は、「第1パッチを測定時間T1で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが正確であると判断し、ステップS1906へ進む。検出したパッチが第1パッチでなかった場合は、ステップS1904に進む。
【0098】
ステップS1906において、選択した透明画像データをプリントし、処理を終了する。ここで、透明画像データのプリント処理に関しては、図23を用いて前述したとおりである。
【0099】
ステップS1904において、検出したパッチが第2パッチ1101であるか否かを判定する。そうである場合は、「第2パッチを測定時間T1で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが、想定する向きに対して+90°回転していると判断し、ステップS1905に進む。ステップS1905にて、透明画像データを+90°回転させて、ステップS1906に進む。検出したパッチが第2パッチでなかった場合は、登録されたパッチが検出されないとしてステップS1907に進む。ステップS1907において、エラーメッセージをUIに表示させて、処理中のプレプリント紙を排紙させて処理を終了する。
【0100】
ステップS1908において、パッチ検知までの時間TがT2であったかを判定する。そうであればステップ1909に進み、そうでない場合はステップ1915に進む。
【0101】
ステップS1909において、検出されたパッチが第1パッチ1001であるか否かを判定する。そうである場合は、「第1パッチを測定時間T2で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが、想定する向きに対して+180°回転していると判断し、ステップS1910に進む。検出したパッチが第1パッチ1001でなかった場合は、登録されたパッチが検出されないとしてステップS1914に進み、UIにエラー表示して排紙し、処理を終了する。
【0102】
ステップS1911において、パッチ検知までの時間TがT3であったかを判定する。そうであった場合はステップS1912に進み、そうでない場合はステップS1915に進む。
【0103】
ステップS1912において、検出したパッチが第2パッチ1101であるか否かを判定する。そうである場合は、「第2パッチを測定時間T3で検出した」ことになるため、プレプリント紙の向きが、想定する向きに対して−90°回転していると判断し、ステップS1913に進む。ステップS1913にて、透明画像データを−90°回転させて、ステップS1906に進む。検出したパッチが第2パッチでなかった場合は、登録されたパッチが検出されないとしてステップS1914に進む。ステップS1914において、エラーメッセージをUIに表示させて、処理中のプレプリント紙を排紙させて処理を終了する。
【0104】
ステップS1915において、何も検知できなかったのはこれで2回目かどうかを確認する。判断方法例としては、MFP制御部318内に不図示のカウンタを設置しておき、プレプリント紙を表裏反転させた回数をカウントしておくようにすればよい。反転回数が既に1回カウントされている場合、ステップS1917に進み、反転回数が0回の場合はステップS1916に進む。
【0105】
ステップS1916において、センサで読み取った面が裏面だった可能性が考えられるので、MFPプリンタ部202内部にある不図示の反転パスにて表裏反転させる。続いてステップS1901に戻り、もう一度判定処理を行う。
【0106】
ステップS1917において、プレプリント紙の表裏共に白紙である可能性があることをUIに表示させる。ユーザにその後の処理を選択させ、このまま処理を続けると選択した場合はステップS1906へ進み、透明画像データをプリントする。プリント処理を終了させると選んだ場合はステップ1919へ進み、プレプリント紙を排紙して、処理を終了させる。
【0107】
このように、プレプリント紙の印刷設定に応じて、プレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を変更することで、成果物自体に影響を与えることなく、透明画像データを正しく重ねてプリントすることができる。
【0108】
なお、本実施例ではCMYKトナーで作像した画像と透明トナーで作像した画像との重ね合わせについて説明したが、Kトナーなどの1色の有色トナーと透明トナーとの組み合わせでも構わない。また、CMYKトナーや透明トナーだけでなく、Red、Green、Blue、Purple、Orange、金、銀などの特色トナーとの組み合わせで用いても構わない。もちろん、第1画像データをRed、Green、Blueトナーで、第2画像データを透明、銀トナーで、といったように、それぞれの画像データに使用する色数は制限しないことは言うまでもない。
【0109】
なお、本実施例の処理を同一プリンタにてCMYK画像データのプリントと、透明画像データのプリントを行う場合に適用してもよい。また、MFP101にてCMYK画像データを、MFP103にて透明画像データをプリントするといったように処理を分ける場合に適用しても構わない。
【0110】
(実施例2)
実施例2では、2パスプリントを複数枚に渡って行う際の処理について説明する。
【0111】
ここではプレプリント紙を複数枚セットする際、それぞれの用紙の向きの確からしさからプレプリント紙の向き判定処理のレベルを選択し、処理の効率化を図る。図18を用いて、本実施例の複数枚にわたるプレプリント紙の向き判定処理について説明する。なお、1パス目のプリント処理については実施例1で図16を用いて説明した内容と同様なので、ここでは割愛する。
【0112】
ステップS1801において、UIにて透明画像データとプレプリント紙の向き判定方法を指示し、2パス目のプリントジョブをスタートする。ここで、プレプリント紙の向き判定方法の選択UI例を図14に示す。まず透明画像データ名を選択し、向き判定モードとして「1枚目のみ判定する」「毎回判定する」「設定枚数のみ判定する」「向き検出パッチが印字されている枚数のみ判定する」「向き判定を行わない」の中から選択できる。これにより、ユーザがくべたプレプリント紙の向きの確からしさから、ユーザ自身が適切なモードを選択できる。
【0113】
続いてステップS1802において、先に選択したモードが毎回判定するモードか否かを判定する。そうであればステップS1803に進み、違うモードであればステップS1804に進む。
【0114】
ステップS1803において、プレプリント紙の向き判定を行い、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。この処理の詳細は、実施例1において図19を用いて説明したとおりなので、説明を省略する。
【0115】
ステップS1804において、1枚目のみ向き判定を行うか否かを判定する。そうであればステップS1805に進み、違うモードであればステップS1807に進む。
【0116】
ステップS1805において、1枚目のみプレプリント紙の向き判定を行い、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。続いてステップS1806に進み、以降のプレプリント紙に対しても1枚目と同様に透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。すべての用紙に対してプリント処理が終わったら、処理を終了する。
【0117】
ステップS1807において、設定した枚数のみ向き判定を行うモードかどうかを判定する。そうであればステップS1808に進み、違うモードであればステップS1810に進む。
【0118】
ステップS1808において、設定枚数のみプレプリント紙の向き判定を行い、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。続いてステップS1809に進み、設定枚数の向き判定の結果、すべて同じ向きであればステップS1806に進んで以降の用紙に対しても同じ処理を行う。同じ向きでないプレプリント紙が存在した場合はステップS1803に進み、以降のプレプリント紙に対して毎回向き判定を行い、その結果に基づいて透明画像データ変換とプリント処理を行う。すべてのプレプリント紙に対して透明画像データのプリントが終わったら、処理を終了する。
【0119】
ステップS1810において、向き検出パッチが印字されている枚数のみ向き判定を行うモードか否かを判定する。そうであればステップS1811に進み、そうでなければプレプリントの向き判定処理を行わないとみなしてステップS1813へ進む。
【0120】
ステップS1811において、パッチが検知できるかを判定する。検知できればステップS1812に進み、プレプリント紙の向き判定を行って、その結果によって透明画像データの変換を行い、プリント処理を行う。再度ステップS1811に戻り、パッチが検知できなくなるまで処理を続ける。パッチが検知できなくなったらステップS1806に進む。
【0121】
ステップS1813において、セットされている残りのプレプリント紙に対して通常通り透明画像データをプリントし、処理を終了する。
【0122】
このような手法をとれば、プレプリント紙セット時の「向きの確実性」次第で、プリントスピードを短縮できる。
【0123】
(実施例3)
実施例1、2では、プレプリント紙の向き判定パッチを読み取るセンサが、プリンタの給紙口から近い箇所に設置されていることを前提に説明した。しかし、プリンタ部の定着後センサを用いて、同様のプレプリント紙の向き判定を行ってもよい。その際、1枚目にセットされているプレプリント紙に対しては、向き判定結果をフィードバックすることはできないので、2枚目以降のプレプリント紙に対して、判定結果を元に透明画像データ処理を行う。
【0124】
このような手法をとれば、新たにセンサを設置しなくても、既存の定着後センサを用いて手軽にプレプリント紙の向き判定を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類以上の色材を用いて作像した第1画像データを1回目にプリントし、前記第1画像データ作像時に使用した色材以外の1種類以上の色材を用いて作像した第2画像データを2回目に重ねてプリントする工程において、
前記第1画像データプリント時にアプリケーション等でトンボ印刷指定や両面プリント指定がされているかによってプレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を切り替えるプレプリント紙の向き判定パッチプリント切り替え手段(S1604、S1606)と、
前記第2画像データプリント時に作像部前に設置されたセンサで前記向き判定パッチを読み取るプレプリント紙の向き判定パッチ読み取り手段と(S1702)、
前記向き判定パッチの検出時間と内容からプレプリント紙の向き・天地・表裏を判定するプレプリント紙の向き判定手段(S1702)とを有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
1枚目のみ前記プレプリント紙の向き判定パッチの読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行うモード(S1804)と、
毎回前記プレプリント紙の向き判定パッチ読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行うモード(S1802)と、
あらかじめ設定した枚数だけ前記プレプリント紙の向き判定パッチ読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行い、すべて同じ向きであればその後のプレプリント紙も同じ向きであるとみなすモード(S1807)と、
前記プレプリント紙の向き判定パッチが打たれている用紙が検出されなくなるまで前記プレプリント紙の向き判定パッチ読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行うモード(S1810)と、
プレプリント紙の向き判定を行わず前記第2画像データをそのままプリントするモードとを備え、選択して処理することを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記向き判定パッチ読み取り手段と前記プレプリント紙の向き判定手段において、定着後センサによって1枚目のプレプリント紙のパッチを読み取り、2枚目以降のプレプリント紙に対して前記1枚目のプレプリント紙の向き情報を用いて以降の処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項1】
少なくとも1種類以上の色材を用いて作像した第1画像データを1回目にプリントし、前記第1画像データ作像時に使用した色材以外の1種類以上の色材を用いて作像した第2画像データを2回目に重ねてプリントする工程において、
前記第1画像データプリント時にアプリケーション等でトンボ印刷指定や両面プリント指定がされているかによってプレプリント紙の向き判定パッチの印字方法を切り替えるプレプリント紙の向き判定パッチプリント切り替え手段(S1604、S1606)と、
前記第2画像データプリント時に作像部前に設置されたセンサで前記向き判定パッチを読み取るプレプリント紙の向き判定パッチ読み取り手段と(S1702)、
前記向き判定パッチの検出時間と内容からプレプリント紙の向き・天地・表裏を判定するプレプリント紙の向き判定手段(S1702)とを有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
1枚目のみ前記プレプリント紙の向き判定パッチの読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行うモード(S1804)と、
毎回前記プレプリント紙の向き判定パッチ読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行うモード(S1802)と、
あらかじめ設定した枚数だけ前記プレプリント紙の向き判定パッチ読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行い、すべて同じ向きであればその後のプレプリント紙も同じ向きであるとみなすモード(S1807)と、
前記プレプリント紙の向き判定パッチが打たれている用紙が検出されなくなるまで前記プレプリント紙の向き判定パッチ読み取りと前記プレプリント紙の向き判定を行うモード(S1810)と、
プレプリント紙の向き判定を行わず前記第2画像データをそのままプリントするモードとを備え、選択して処理することを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記向き判定パッチ読み取り手段と前記プレプリント紙の向き判定手段において、定着後センサによって1枚目のプレプリント紙のパッチを読み取り、2枚目以降のプレプリント紙に対して前記1枚目のプレプリント紙の向き情報を用いて以降の処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−81687(P2011−81687A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234754(P2009−234754)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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