画像処理装置、電子装置、および、画像処理方法
【課題】車両に搭載された表示装置に画像を表示する技術を提供する。
【解決手段】
所定の指示信号に応答して、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいた車両周囲の上方の仮想視点から車両方向をみる合成画像を生成する。この合成画像は、車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更された複数の合成画像を表示装置に連続して出力される。これにより、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【解決手段】
所定の指示信号に応答して、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいた車両周囲の上方の仮想視点から車両方向をみる合成画像を生成する。この合成画像は、車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更された複数の合成画像を表示装置に連続して出力される。これにより、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置に画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載した複数のカメラにより車両の周辺の画像を取得し、自動的に、または、ユーザの操作によって、表示装置に表示することで車両周辺の監視を可能とする装置がある。また、車両の真上を仮想視点として見下ろした画像を画面に表示し、ユーザに車両全周囲の安全確認の手段を提供する装置がある。さらに、車両に搭載した複数のカメラを使用して所定の高さの視点で撮影し、カメラが撮影した画像の視点位置を車両の全体図とともに表示する第1画面と、この第1画面に表示されるOLE_LINK1視点位置の移動に対応させて、それぞれのカメラ画像を表示するOLE_LINK1第2画面との2つの画面で車両周囲の安全確認を行う技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−219559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカメラによる車両周辺の画像表示は、複数のカメラのうち個々のカメラからの画像が車両のどの方向に対応しているのかを確認をする必要があり、画面にユーザの車両が映らないので車両と車両の周辺に存在する障害物との距離などの位置関係をユーザが把握するのは困難であった。
【0005】
また、車両の真上を仮想視点として見下ろした画像を画面に表示した場合、ユーザは車両の全周囲の広い範囲をいちどに確認する必要があり、ユーザにとっては情報量が多すぎて、どこを注意すべきかのポイントを絞ることが困難であった。
【0006】
さらに、特許文献1に開示されている技術では、カメラが撮影した画像の視点の位置を車両の全体図とともに示す画面と、視点位置の移動に対応させて、それぞれのカメラ画像を表示する画面とを別々の画面で表示しており、2つの画面に表示された情報の対応付けをユーザ自身で行わなければならず、車両と障害物との位置関係をユーザが把握しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両と車両周辺の障害物との位置関係をユーザが直感的に把握できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する受信手段と、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる第1合成画像を生成する合成画像生成手段と、前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の第1合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段とを備える。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記合成画像生成手段は、前記車両の略中心の直上の仮想視点からみた第2合成画像を生成し、前記出力手段は、連続表示により、前記複数の第1合成画像と前記第2合成画像との相互間において仮想視点の位置が連続的に変化するように示す複数の合成画像を出力する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記出力手段は、前記複数の第1合成画像の出力後に、前記第2合成画像を出力する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、前記車両の位置が中心となるように生成する。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、ユーザが指定する前記車両の周辺の地点が中心となるように生成する。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記指示信号は、前記画像処理装置の起動時に発生する。
【0014】
また、請求項7の発明は、表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を出力する操作手段と、前記指示信号を受信する受信手段と、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する合成画像生成手段と、前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更される合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段とを備える。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の電子装置において、前記出力手段により出力された合成画像を表示する前記表示装置をさらに備える。
【0016】
また、請求項9の発明は、表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する工程と、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する工程と、前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし9の発明によれば、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示装置に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、仮想視点が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両上方からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両の周囲と車両の上方との複数の視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、車両の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の上方の画像により再度安全確認を行うことができる。また、ユーザが車両の全周囲の広い範囲をいちどに確認する必要はなく、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両上方の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、車両の位置を中心として車両の周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両の全周囲の障害物を確認することができる。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、車両の周辺のユーザが指定した地点を中心とすることで、ユーザは1つの画面で確認したい車両周囲の任意の地点を中心に安全確認を行える。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、画像処理装置の起動時にユーザは1つの画面で車両の周辺を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、画像表示システムのブロック図である。
【図2】図2は、複数の車載カメラが車両に配置される位置を示す図である。
【図3】図3は、任意の仮想視点からみた合成画像の生成方法を説明する図である。
【図4】図4は、画像処理部の処理の流れを示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図である。
【図6】図6は、表示部の表示処理の流れを示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図である。
【図8】図8は、画像処理部の処理の変形例1を示す図である。
【図9】図9は、画像処理部の処理の変形例2を示す図である。
【図10】図10は、第3の実施形態の画像表示システムのブロック図である。
【図11】図11は、第3の実施形態の画像処理部の処理の流れを示す図である。
【図12】図12は、第3の実施形態の合成画像の画面遷移を示す図である。
【図13】図13は、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例1を示す図である。
【図14】図14は、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、第1の実施形態の画像表示システム100のブロック図である。この画像表示システム100は、車両(本実施の形態では、自動車)に搭載される電子装置であり、車両の周辺を撮影して画像を生成し、車室内に表示する機能を有している。この画像表示システム100を利用するユーザとなる車両のドライバは当該車両の周辺を容易に把握できるようになっている。
【0025】
図1に示すように、画像表示システム100は、画像処理部10と、車両の周辺を撮影する撮影部5とを備えている。画像表示システム100は液晶ディスプレイなどの表示部21を備えており、表示部21の画面がドライバから視認可能なように車両のインストルメントパネルなどに設置される。また、撮影部5は、画像処理部10に電気的に接続され画像処理部10からの信号に基づいて動作する。なお、表示部21はタッチパネル機能を有し、ユーザから各種指示を受付可能である。
【0026】
撮影部5は、車載カメラであるフロントカメラ51、サイドカメラ52及びバックカメラ53を備えている。これらの車載カメラ51,52,53は、レンズと撮像素子とを備えており電子的に画像を取得する。
【0027】
図2は、車載カメラ51,52,53が車両9に配置される位置を示す図である。図2に示すように、フロントカメラ51は、車両9の前端となるフロントバンパ91の左右略中心に設けられ、その光軸は車両9の直進方向に向けられている。また、サイドカメラ52は、左右のドアミラー93にそれぞれ設けられており、その光軸は直進方向に対して直交するように車両9の外部方向に向けられている。バックカメラ53は、車両9の後端となるリアバンパ92の左右略中心に設けられ、その光軸は車両9の直進方向の逆方向に向けられている。
【0028】
これらの車載カメラ51,52,53のレンズとしては魚眼レンズなどが採用されており、車載カメラ51,52,53は180度以上の画角αを有している。このため、4つの車載カメラ51,52,53を利用することで、車両9の全周囲の撮影が可能となっている。
【0029】
なお、車載カメラ51,52,53は180度以上の画角αを有しているため、各カメラの撮影範囲が重複する重複領域β生じる。このような重複領域では同一の物体が別々の方向に表示される。そのため、このような重複領域の画像処理は、両方のカメラの画像の重複する部分の透過率調整(例えば互いに50%とする。)して重ね合わせて表示してもよいし、重複する部分から任意の範囲の画像を削除してもよい。
【0030】
図1に戻り、画像処理部10は、撮影部5で取得された撮影画像を処理して表示用の画像に変換する画像変換部3と、各種の演算処理を行うCPU1と、表示部21と通信を行う通信部42とを備えている。画像変換部3で生成された画像は通信部42から表示部21に出力されて表示される。
【0031】
画像変換部3は、撮影部5の複数の車載カメラ51,52,53で取得された複数の撮影画像に基づいて仮想視点からみた合成画像を生成できる。画像変換部3は、このような画像処理に必要な輝度調整部31と多重化部32と視点変換部33とを備えたハードウェア回路として構成されている。
【0032】
輝度調整部31は、撮影部5で取得された撮影画像の全体としての明るさを示す平均輝度を参照し、撮影画像のゲイン調整を行うようになっている。具体的には、撮影画像の平均輝度が比較的高い場合はゲイン調整値を小さくし、比較的低い場合はゲイン調整値を大きくする。これにより、車両9の周辺環境がある程度暗い場合などにおいて撮影画像の明るさが調整されることとなる。
【0033】
多重化部32は、複数の車載カメラ51,52,53で取得されてゲイン調整された複数の撮影画像を一つの画像に合成して多重化画像とする。視点変換部33は、多重化部32で生成された多重化画像を用いて、車両9の周辺の任意の仮想視点からみた合成画像を生成する。視点変換部33が、仮想視点からみた合成画像を生成する手法については後述する。
【0034】
CPU1は、画像表示システム100の各部を統括的に制御する制御部として機能する。CPU1の各種の制御機能は、CPU1が備えるメモリ11などに予め記憶されたプログラムに従って演算処理が実行されることによりソフトウェア的に実現される。
【0035】
また、画像処理部10は、車両9に設けられた各種装置からの信号を入力する信号入力部41を備えている。この信号入力部41を介して、画像表示システム100の外部からの信号がCPU1に入力される。具体的には、車両制御装置84からは車両のACC−ON/OFFの信号が入力される。ACCは、車両9の画像表示システム100を含む付属品に対して、電力を供給する供給線をON/OFFするスイッチである。
【0036】
また、表示部21にはシフトセンサ81、車速度センサ82、切替スイッチ83、および、車両電源制御装置84などから、各種情報を示す信号が入力される。シフトレバー81からは、”P”,”D”,”N”,”R”などのシフトポジションが入力される。また、車速度センサ82からは、その時点の車両9の走行速度(km/h)が入力される。切替スイッチ83からは、表示部21のディスプレイに表示されるカメラ画像を切替える信号が入力される。例えばフロントカメラの画像、サイドカメラの画像、バックカメラの画像のような順序で切替えがなされる。車両制御装置84からは車両のACC−ON/OFFの信号が入力される。なお、後述するように車両制御装置84からの車両のACC−ON/OFF信号は信号入力部41を介して画像処理部10のCPU1にも入力される。
【0037】
<1−2.画像変換処理>
次に、画像変換部3の視点変換部33が、撮影部5で得られた複数の撮影画像に基づいて、任意の仮想視点からみた合成画像を生成する手法について説明する。図3は、任意の仮想視点からみた合成画像を生成する手法を説明するための図である。
【0038】
撮影部5のフロントカメラ51、サイドカメラ52及びバックカメラ53で同時に撮影が行われると、車両9の前方、左側方、右側方、及び、後方をそれぞれ示す4つの撮影画像P1〜P4が取得される。すなわち、撮影部5で取得される4つの撮影画像P1〜P4には、撮影時点の車両9の全周囲を示す情報が含まれていることになる。
【0039】
取得された4つの撮影画像P1〜P4は多重化された後、視点変換部33により仮想的な三次元の立体曲面SPに投影される。立体曲面SPは、例えば略半球状(お椀形状)をしており、その中心部分(お椀の底部分)が車両9の位置として定められている。撮影画像P1〜P4に含まれる各画素の位置と、この立体曲面SPの各画素の位置とはあらかじめ対応関係が定められている。このため、立体曲面SPの各画素の値は、この対応関係と、撮影画像P1〜P4に含まれる各画素の値とに基づいて決定できる。撮影画像P1〜P4の各画素の位置と立体曲面SPの各画素の位置との対応関係は、テーブルデータとして画像処理部10のCPU1が備えるメモリ11に記憶される。
【0040】
一方で、立体曲面SPに対するVP1,VP2,VP5,および、VP7などの仮想視点が設定される。そして、設定された仮想視点VP1,VP2,VP5,および、VP7に応じて、立体曲面SPにおける必要な領域が画像として切り出されることにより、任意の仮想視点からみた合成画像が生成されることになる。
【0041】
例えば、図中に示すように、車両9の後方となる仮想視点VP1を設定した場合は、車両9の後方から車両9を見下ろしたような合成画像CP1が生成されることになる。また、車両9の左側面となる仮想視点VP2や右側面となるVP5を設定した場合は、車両9の左側面、または、右側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP2、または、CP5が生成されることとなる。さらに、車両9の真上の仮想視点VP7を設定した場合は、車両9の真上から見下ろすような合成画像CP7が生成される。仮想視点と、立体曲面SPにおける必要な領域との関係はあらかじめ定められており、テーブルデータとして画像処理部10のCPU1が備えるメモリ11に記憶される。
【0042】
実際に合成画像を生成する場合においては、立体曲面SPの全ての画素の値を決定する必要はなく、仮想視点に対応して必要となる領域の画素の値のみを撮影画像P1〜P4に基づいて決定することで、処理速度を向上できる。また、合成画像中に示す車両9の像はあらかじめビットマップなどはメモリ11内に用意しておき、仮想視点に応じた方向の車両9の像を生成された合成画像に重畳すればよい。
【0043】
なお、撮影画像P1〜P4の各画素の位置と立体曲面SPの各画素の位置との対応関係のテーブルデータ、仮想視点と立体曲面SPにおける必要な領域との関係を定めたテーブルデータ、車両の像のビットマップデータなどのメモリ11内に保存されているデータは他のデータに書き換え可能である。またメモリ11はCPU1の内部に設けられているが、これに限らずCPU1の外部または画像処理部10の外部に設けられても良い。
【0044】
<1−3.動作>
次に、本実施形態の画像処理部10の動作について、図4の画像処理部10の処理の流れを示す図、および、図5の第1の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図を参照して説明する。
【0045】
画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を信号入力部41を介して受信する(ステップS101がYes)と、画像処理部10の通信部42は表示部21との初期通信を開始する(ステップS102)。ここで初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない場合は処理を終了する(ステップS101がNo)。
【0046】
画像処理部10と表示部21との初期通信が正常に終了すれば(ステップS103がYes)、画像処理部10はCPU1のメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS104)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などがあげられる。
【0047】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS103がNo)は再度、表示部21との通信を行ったり、複数回の通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
【0048】
メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲の合成画像を生成する(ステップS105)。作成された合成画像のデータは表示部21に送信される(ステップS106)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するように順番に表示部21にデータを送信する。これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、連続表示により車両を見下ろした状態で、車両9の周囲を周回する画像を表示部21に表示させることができる。
【0049】
複数の合成画像の表示部21への送信が終了する(ステップS107がYes)と、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を生成し(ステップS108)、生成した車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を表示部21へ送信する(ステップS109)。
【0050】
なお、複数の合成画像データの表示部21への送信が終了していない場合(ステップS107がNo)は、ステップS105の処理に戻って、次の車両周囲の合成画像を生成する処理を行う。
【0051】
上記の車両9の周囲の複数の合成画像の生成と表示、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像の生成と表示について、図5に基づいて説明する。
【0052】
車両9の後方から車両9を見下ろしたような合成画像CP1、車両9の左側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP2、車両9の左斜め側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP3、車両9の前方から車両9を見下ろしたような合成画像CP4、車両9の右側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP5、車両9の右斜め側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP6、車両9の略中心の直上(真上)から車両9を見下ろしたような合成画像CP7がそれぞれ撮影部5のカメラ51,52,53から入力される画像に基づいて、画像処理部10はユーザが自身の目線の高さで車両の周囲を1周するようなCP1からCP6の合成画像を順番に生成し、最後に車両周囲の全体を車両9の略中心の直上(真上)の視点からみたCP7の合成画像をCP6の次に生成して、表示部21に連続表示させる。これにより、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示部21に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0053】
また、仮想視点の位置が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両の略中心の直上(真上)からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両の周囲と車両の略中心の直上(真上)との複数の視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0054】
また、車両の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の上方の画像により再度安全確認を行うことができる。
【0055】
また、ユーザが車両の全周囲の広い範囲をいちどに確認する必要はなく、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0056】
また、車両の位置を中心として車両の周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両の全周囲の障害物を確認することができる。
【0057】
なお、ここで示した合成画像は一例であり、合成画像の車両を見下ろす高さ、方向、合成画像の連続表示の一時停止、連続表示の回転速度の調整、連続表示の回転を逆回転とすることなどの設定はユーザの任意の変更が可能である。
【0058】
また、連続表示を一時停止して表示部の画面の任意の部分をユーザ操作により選択することで選択した部分を拡大表示させることもできる。さらに、本実施形態では車両周囲を表示する合成画像を連続表示した後に、車両の略中心の直上(真上)の合成画像を連続表示させる場合を述べたが、この順序に限ることなく車両の略中心の直上(真上)の合成画像を表示した後に車両周囲の合成画像を連続表示させてもよい。
【0059】
また、本実施形態では車両の後方の仮想視点の位置から周囲を1周する場合について述べたが、画像を遷移させる開始位置は特定されるものではなく任意の位置でもよい。さらに、周囲を周回する回数は1回に限らず2回以上または半周など任意の回数でもよい。
【0060】
また、本実施形態では車両周囲確認処理の開始条件を画像処理部10または表示部21が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信したことを開始条件とすることで、これにより画像処理装置の起動時にユーザが車両の周辺を確認できる。通常、画像処理装置は車両の走行前にACC−ONに応答して起動するため、車両の走行前にユーザが車両の周辺を確認できるという効果を有する。このような車両周囲確認処理の開始条件は、ACC−ON信号の受信のみではなく、切替スイッチ83を所定時間以上(例えば3秒以上)継続して押下することとしてもよい。これによりユーザが車両周囲を自動で確認したい場合にはいつでも確認を行うことができる。
【0061】
さらに、複数の合成画像を連続表示している際に、表示部21に図示しない完了ボタンを設けて、連続表示の途中であってもこの完了ボタンを押下することで、合成画像の連続表示を終了させたり、図示しない設定ボタンを設けて予め、ACC−ONや切替えスイッチ83を所定時間以上押下することによる車両周囲確認処理の開始を行わないようにすることもできる。
【0062】
また、車両周囲確認処理を実行して合成画像を連続表示している場合に、車速が所定速度以上、シフトポジションの”R”への切替え、切替SWの押下といったユーザの操作に基づく信号が表示部21に入力された場合は、以下に詳述するように車両周囲確認処理を終了して、ユーザの操作に対応した処理を開始する。
【0063】
次に、表示部21の処理動作について図6の表示部21の表示処理の流れを示す図を用いて説明する。表示部21は車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信する(ステップS201がYes)と、表示部の本体電源をONする(ステップS202)。なお、車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない(ステップS201がNo)の場合は処理を終了する。
【0064】
その後、同じく車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信している画像処理部10と初期通信を開始する(ステップS203)。ここで、初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。初期通信が正常に終了した場合(ステップS204がYes)は、画像処理部10から車両周囲確認処理の合成画像のデータを受信する(ステップS205)。
【0065】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS204がNo)は、再度画像処理部10との通信を行ったり、複数回通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は、表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
【0066】
表示部21が画像処理部10から合成画像データを受信している間に、表示部21はオープニング画面を表示する(ステップS206)。オープニング画面表示後、画像処理部10から受信した車両周囲の複数の合成画像を上記図5を用いて説明したように、連続表示させる(ステップS207)。複数の合成画像を連続表示している間にシフトセンサ81から表示部21へシフトポジションが”R“に切替えられた信号が送信される(ステップS208がYes)と、表示部21は車両周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両の後方を撮影した画像を表示するバックモード画像表示の画面に切替えて表示する(ステップS209)。
【0067】
シフトポジションが”R“に切替えられていない場合(ステップS208がNo)で、切替スイッチ83が押下された場合(ステップS210がYes)は、表示部21は車両周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両の前方を撮影した画像を表示するフロントモード画像表示の画面に切替えて表示する。(ステップS211)。
【0068】
切替スイッチ83が押下されていない場合(ステップS210がNo)で、車速が所定の速度以上(例えば車速が12km/h以上)の場合(ステップS212がYes)は、車両周囲の合成画像を連続表示している画面からナビゲーション画像を表示する画面に切替えて表示する(ステップS215)。車速が所定の速度以上でない場合(ステップS212がNo)は、車両周囲の合成画像の連続表示が終了しているか否かを判断し(ステップS213)、合成画像の連続表示が終了していない場合(ステップS213がNo)は、画像処理部10から表示部21へ新たな合成画像が送信され、表示部21は合成画像処理部10から送信された新たな合成画像を前の合成画像と連続性をもたせて表示する。
【0069】
車両周囲の合成画像の連続表示が終了した場合(ステップS213がYes)は、画像処理部10から表示部21へ送信された車両9の略中心の直上(真上)の合成画像が表示部21に表示される(ステップS214)。これにより、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示装置に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0070】
車両9の略中心の直上(真上)の合成画像表示後、表示部21はナビゲーション画像を表示する画面を表示する(ステップS215)。
【0071】
仮想視点の方向が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両上方からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両の周囲と車両の略中心の直上(真上)との複数の視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0072】
また、車両の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の略中心の直上(真上)の画像により再度安全確認を行うことができる。
【0073】
また、ユーザが車両の全周囲の広い範囲を確認する必要はなく、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0074】
また、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0075】
また、車両の位置を中心として車両周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両の全周囲の障害物を確認することができる。
【0076】
なお、ここで示した合成画像は一例であり、合成画像の車両を見下ろす高さ、方向、合成画像の連続表示の一時停止、連続表示の回転速度の調整、連続表示の回転を逆回転とすることなどの設定はユーザの任意の変更が可能である。
【0077】
また、連続表示を一時停止して表示部の画面の任意の部分をユーザ操作により選択することで選択した部分を拡大表示することも可能である。さらに、本実施形態では車両周囲を表示する合成画像を連続表示した後に、車両上方の合成画像を連続表示させる場合を述べたが、この順序に限ることなく車両の略中心の直上(真上)の合成画像を表示した後に車両周囲の合成画像を連続表示させてもよい。
【0078】
また、本実施形態では車両の後方の仮想視点の位置から周囲を1周する場合について述べたが、画像を遷移させる開始位置は特定されるものではなく任意の位置でもよい。さらに、周囲を周回する回数は1回に限らず2回以上または半周など任意の回数でもよい。
【0079】
また、本実施形態では車両周囲確認処理の開始条件を画像処理部10または表示部21が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信したことを開始条件とすることで、これにより画像処理装置の起動時にユーザが車両の周辺を確認することができる。通常、画像処理装置は車両の走行前にACC−ONに応答して起動するため、車両の走行前にユーザが車両の周辺を確認できるという効果を有する。このような車両周囲確認処理の開始条件は、ACC−ON信号の受信のみではなく、切替スイッチ83を所定時間以上(例えば3秒以上)継続して押下することとしてもよい。これによりユーザが車両周囲を自動で確認したい場合にはいつでも確認を行うことができる。
【0080】
さらに、複数の合成画像を連続表示している際に、表示部21に図示しない完了ボタンを設けて、連続表示の途中であってもこの完了ボタンを押下することで、合成画像の連続表示を終了させたり、図示しない設定ボタンを設けて予めACC−ON時や切替えスイッチ83を所定時間以上押下することによる車両周囲確認処理の開始を行わないようにすることもできる。
<2.第2の実施の形態>
第2の実施形態は第1の実施形態と基本的な構成は同一である。本実施形態については図7の第2の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図を用いて説明する。図7のCP1aからCP7aは上記図5に示したCP1からCP7の車両周囲の合成画像の連続表示とは周囲の合成画像を生成する視点の位置が異なる。本実施形態では、車両の左側に仮想視点を移動させた状態でその周囲の合成画像CP1aからCP7aを画像処理部10で生成し、これらの合成画像を表示部21に連続表示させる。
【0081】
CP1aは車両9の後方で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP2aは車両9の左側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP3aは車両9の左斜め側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP4aは車両9の前面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP5aは車両9の右側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP6aは車両9の右側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP7aは車両9の略中心の直上(真上)の仮想視点から左に所定距離移動して車両9を見下ろしたような合成画像である。
【0082】
このように車両から所定距離移動して、周囲の合成画像の連続表示の仮想視点の位置を車両の画像を一部にでも含む範囲内で切替えることで、ユーザが確認したい部分を選択して表示できる。例えばユーザが運転席(右側の席)に着座しており、左側を重点的に確認したい場合は、上記に示したように車両から左に所定距離移動した位置の視点を中心に合成画像を生成し、その合成画像の連続表示を行うことが可能である。仮想視点の位置の変更はユーザが手動で行うことが可能であり、車両の画像を含む範囲でユーザが確認を希望する任意の位置を中心に合成画像の連続表示を行うことが可能である。これにより、ユーザは重点的に確認を行いたい位置を中心にその周囲の状況を確認することができ、車両と障害物との位置関係を1つの画面で直感的に把握することができる。
【0083】
また、仮想視点の位置が連続性を持って遷移しつつ、車両から所定距離移動した周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両の略中心の直上(真上)の仮想視点から所定距離移動した合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両から所定距離移動した周囲の仮想視点と車両の略中心の直上(真上)から所定距離移動した仮想視点との複数の仮想視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0084】
また、車両から所定距離移動した周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両から所定距離移動した周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の略中心の直上(真上)の仮想視点から所定距離移動した画像により再度安全確認を行うことができる。
【0085】
また、車両から所定距離移動した位置を真上からみた広い範囲をいちどに確認する必要はなく、車両から所定距離移動した周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の仮想視点から所定距離移動した広い範囲の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
<3.画像処理部;変形例>
<3−1.変形例1>
次に、図4を用いて説明した画像処理部10の処理の変形例について説明する。
【0086】
図4では、仮想視点の位置が異なる複数の合成画像を生成するごとに表示部21に送信していたが、この変形例1では複数の合成画像を生成してから表示部21に送信するようにしている。
【0087】
図8は、この変形例1の画像処理部10の処理の例を示す図である。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からの表示部21に画像を出力する指示を行うための指示信号であるACC−ON信号を信号入力部41を介して受信する(ステップS301がYes)と、画像処理部10の通信部42は表示部21との初期通信を開始する(ステップS302)。ここで初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない場合は処理を終了する(ステップS301がNo)。
【0088】
画像処理部10と表示部21との初期通信が正常に終了すれば(ステップS303がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS304)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などのパラメータのデータがあげられる。
【0089】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS303がNo)は再度、表示部21との通信を行ったり、複数回の通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
【0090】
ステップS304に戻って、メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲確認処理の合成画像を生成する(ステップS305)。ここで、車両周囲確認処理の合成画像とは、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像をいう。
【0091】
作成された車両周囲確認処理の合成画像のデータは表示部21に出力される(ステップS306)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するような順番でまとめて表示部21にデータが出力される。
【0092】
これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両方向にみた状態で、車両9の周囲を連続的に周回する画像を表示部21に表示させることができる。また、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の複数の合成画像を同じタイミングで表示部21に出力することで、段階的に変更されて連続的に表示されている合成画像のうち、所定の画像の表示をとばして、次の画像を表示したり、前の画像に戻って表示することができ、連続的に表示される画像のうちユーザが確認したい箇所の画像を素早く表示できる。
【0093】
<3−2.変形例2>
また、図4では、仮想視点の位置が異なる複数の合成画像を生成するごとに表示部21に送信していたが、変形例2では、予め生成されてメモリ11に記憶された複数の合成画像をACC−ON信号に応答して表示部21に送信するようにしている。
【0094】
図9は、この変形例2の画像処理部10の処理の例を示す図である。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からの表示部21に画像を出力する指示を行うための指示信号であるACC−ON信号を信号入力部41を介して受信する(ステップS401がYes)と、画像処理部10の通信部42は表示部21との初期通信を開始する(ステップS402)。ここで初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない場合(ステップS401がNo)は処理を終了する。
【0095】
画像処理部10と表示部21との初期通信が正常に終了すれば(ステップS403がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理の合成画像データを読み出す(ステップS404)。この合成画像データは、ACC−ON信号を受信する前に車両9の周辺を撮影する撮影部5の複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像に基づいて、上記画像変換処理により生成された合成画像であり、予めメモリ11に保存されているデータである。
【0096】
ステップS404において、予めメモリ11に保存されている車両周囲確認処理の合成画像データが、メモリ11から読み出された後、車両周囲確認処理の合成画像データが表示部21へ出力される(ステップS405)。
【0097】
これにより、表示装置21に画像を出力する指示を行うための指示信号であるACC−ON信号を画像処理部10のCPU1が受信してすぐに車両周辺確認処理の合成データを表示部21へ出力することができ、指示信号を受信してから表示部21へ合成画像データ出力する時間を短縮できる。
【0098】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS403がNo)は再度、表示部21との通信を行ったり、複数回の通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
<4第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では主に、ACC−ON信号を指示信号とし、この指示信号に応答して仮想視点の位置が異なる複数の合成画像を送信していた。これに対して、第3の実施の形態では、ユーザの操作に基づく信号を指示信号とし、ユーザの操作に応答して複数の合成画像が送信されるようになっている。
【0099】
<4−1.構成>
図10は、第3の実施の形態の画像表示システム101のブロック図である。第3の実施形態も、第1の実施形態と基本的な構成はほぼ同一である。図10において、上記図1で説明した構成と異なる点は、表示部21に設けられた操作部61aと操作部61bとを備えていることである。
【0100】
操作部61aは表示部21の表示画面に透明電極で形成されたタッチスイッチ、および、表示部21の周囲に設けられた固定のハードスイッチなどからなり、ユーザの操作による指示信号が、信号入力部41を介してCPU1に送信される。CPU1はこの指示信号を受けて、後述する画像処理部10での合成画像の生成および合成画像の表示部21への出力を行う。
【0101】
合成画像の具体例としては、車両9の周辺を撮影する撮影部5の複数のカメラ(フロントカメラ51、サイドカメラ52、および、バックカメラ53)から取得される複数の画像に基づいて生成される、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両9の方向をみる画像があげられる。また、合成画像の他の具体例は、車両9の略中心の直上(真上)の仮想視点からみた画像などがある。
【0102】
操作部61bは画像処理システム101に一体的に設けられている固定スイッチである。この操作部61bのユーザの操作による指示信号が、信号入力部41を介してCPU1に送信される。CPU1はこの指示信号を受けて、後述する画像処理部10での合成画像の生成および合成画像の表示部21への出力を行う。なお、操作部61bは、遠隔操作可能とするリモートコントローラであってもよく、あるいは固定スイッチとリモートコントローラの両者を併用してもよい。図10における画像処理システム101のその他の構成は、上記図1で画像処理システム100で説明した構成と同じ構成である。
【0103】
<4−2.動作>
図11は、第3の実施形態の画像処理部の処理の流れを示す図である。
【0104】
画像処理部10のCPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信した場合(ステップS501がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS502)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などがあげられる。
【0105】
なお、画像処理部10のCPU1が操作部61a、または、操作部61bのいずれかの操作部から指示信号を受信していない場合(ステップS501がNo)は処理を終了する。
【0106】
メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲の合成画像を生成する(ステップS503)。作成された合成画像のデータは表示部21に出力される(ステップS504)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するように順番に表示部21にデータを出力する。これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両方向にみた状態で、車両9の周囲を連続的に周回する画像を表示部21に表示させることができる。
【0107】
複数の合成画像の表示部21への出力が終了する(ステップS505がYes)と、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を生成し(ステップS506)、生成した車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を表示部21へ出力する(ステップS507)。
【0108】
なお、ステップS505において複数の合成画像データの表示部21への出力が終了していない場合(ステップS505がNo)は、ステップS503の処理に戻って、次の車両9の周囲の合成画像を生成する処理を行う。
【0109】
次に、表示部21の処理動作について、図12の第3の実施形態の合成画像の画面遷移を示す図を用いて説明する。表示部21は画像処理部10から車両周囲確認処理の合成画像データを受信する(ステップS601がYes)と、表示部21に画像処理部10から受信した車両9の周囲の複数の合成画像を連続表示させる(ステップS602)。
【0110】
なお、画像処理部10から車両周囲確認処理の合成画像データを受信していない場合(ステップS601がNo)は処理を終了する。
【0111】
ステップS602の処理により、複数の合成画像を連続表示している間にシフトセンサ81から表示部21へシフトポジションが”R“に切替えられた信号が送信される(ステップS603がYes)と、表示部21は車両9の周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両9の後方を撮影した画像を表示するバックモード画像表示の画面に切替えて表示する(ステップS604)。
【0112】
シフトポジションが”R“に切替えられていない場合(ステップS603がNo)で、切替スイッチ83が押下された場合(ステップS605がYes)は、表示部21は車両9の周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両9の前方を撮影した画像を表示するフロントモード画像表示の画面に切替えて表示する。(ステップS606)。
【0113】
ステップS605において、切替スイッチ83が押下されていない場合(ステップS605がNo)で、車速が所定の速度以上(例えば車速が12km/h以上)の場合(ステップS607がYes)は、車両9の周囲の合成画像を連続表示している画面からナビゲーション画像を表示する画面に切替えて表示する(ステップS610)。
【0114】
車速が所定の速度以上でない場合(ステップS607がNo)は、車両9の周囲の合成画像の連続表示が終了しているか否かを判断し(ステップS608)、合成画像の連続表示が終了していない場合(ステップS608がNo)は、画像処理部10から表示部21へ新たな合成画像が送信され、表示部21は合成画像処理部10から送信された新たな合成画像を前の合成画像と連続性をもたせて表示する。
【0115】
車両9の周囲の合成画像の連続表示が終了した場合(ステップS608がYes)は、画像処理部10から表示部21へ送信された車両9の略中心の直上(真上)の合成画像が表示部21に表示される(ステップS609)。これにより、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示装置に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0116】
ステップS609において、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像表示後、表示部21はナビゲーション画像を表示する画面を表示する(ステップS610)。
【0117】
このように、仮想視点の方向が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両上方からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両9の周囲と車両9の略中心の直上(真上)との複数の視点から車両9の周囲の安全性を確認できる。
【0118】
また、車両9の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両9の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両9の略中心の直上(真上)の画像により再度安全確認を行うことができる。
【0119】
また、ユーザが車両9の全周囲の広い範囲を確認する必要はなく、車両9の周囲の限られた範囲の画像の後に車両9の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両9全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両9の周囲の安全確認をより確実に行える。
【0120】
また、車両9の周囲の限られた範囲の画像の後に車両9の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両9全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両9の周囲の安全確認をより確実に行える。
【0121】
また、車両9の位置を中心として車両9の周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両9の全周囲の障害物を確認することができる。
【0122】
なお、ここで示した合成画像は一例であり、合成画像の車両を見下ろす高さ、方向、合成画像の連続表示の一時停止、連続表示の回転速度の調整、連続表示の回転を逆回転とすることなどの設定はユーザの任意の変更が可能である。
【0123】
また、連続表示を一時停止して表示部の画面の任意の部分をユーザ操作により選択することで選択した部分を拡大表示することも可能である。さらに、本実施形態では車両9の周囲を表示する合成画像を連続表示した後に、車両9の上方の合成画像を連続表示させる場合を述べたが、この順序に限ることなく車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を表示した後に車両9の周囲の合成画像を連続表示させてもよい。
【0124】
また、本実施形態では車両9の後方の仮想視点の位置から周囲を1周する場合について述べたが、画像を遷移させる開始位置は特定されるものではなく任意の位置でもよい。さらに、周囲を周回する回数は1回に限らず2回以上または半周など任意の回数でもよい。
【0125】
また、本実施形態では車両9の周囲確認処理の開始条件を画像処理部10がユーザの操作による操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信したことを開始条件とすることで、ユーザが車両9の周辺確認を行いたい場合にいつでも車両9の周囲を確認できる。
【0126】
さらに、複数の合成画像を連続表示している際に、表示部21に図示しない完了ボタンを設けて、連続表示の途中であってもこの完了ボタンを押下することで、合成画像の連続表示を終了させたり、操作部61a、または、操作部61bを所定時間以上押下することによる車両周囲確認処理の開始を行わないようにすることもできる。
【0127】
<4−3.変形例1>
次に、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例について説明する。
【0128】
この変形例1では、複数の合成画像を生成してから表示部21に送信するようにしている。図13は、この場合の画像処理部の処理の例を示す図である。画像処理部10のCPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信した場合(ステップS701がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS702)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などのパラメータのデータがあげられる。
【0129】
メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲確認処理の合成画像を生成する(ステップS703)。ここで、車両周囲確認処理の合成画像とは、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像をいう。
【0130】
ステップS703において、作成された車両周囲確認処理の合成画像のデータは表示部21に出力される(ステップS704)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するような順番でまとめて表示部21にデータが出力される。
【0131】
これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両9の方向にみた状態で、車両9の周囲を連続的に周回する画像を表示部21に表示させることができる。また、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の複数の合成画像を同じタイミングで表示部21に出力することで、段階的に変更されて連続的に表示されている合成画像のうち、所定の画像の表示をとばして、次の画像を表示したり、前の画像に戻って表示することができ、連続的に表示される画像のうちユーザが確認したい箇所の画像を素早く表示できる。
【0132】
<4−4.変形例2>
この変形例2では、予め生成されてメモリ11に記憶された複数の合成画像を指示信号に応答して表示部21に送信するようにしている。図14は、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例2を示す図である。画像処理部10のCPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信した場合(ステップS801がYes)、画像処理部10はCPU1のメモリ11から車両周囲確認処理の合成画像データを読み出す(ステップS802)。この合成画像データは、操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信する前に車両9の周辺を撮影する撮影部5の複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像に基づいて、上記画像変換処理により生成された合成画像であり、予めメモリ11に保存されているデータである。
【0133】
なお、CPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信していない場合は処理を終了する(ステップS801がNo)。
【0134】
ステップS802に戻り、予めメモリ11に保存されている車両周囲確認処理の合成画像データが、メモリ11から読み出された後、車両周囲確認処理の合成画像データが表示部21へ出力される(ステップS803)。
【0135】
これにより、表示装置21に画像を出力する指示を行うための指示信号である操作部61a、または、操作部62bからの信号を画像処理部10のCPU1が受信してすぐに車両周辺確認処理の合成データを表示部21へ出力することができ、指示信号を受信してから表示部21へ合成画像データ出力する時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0136】
100 画像処理システム
10 画像処理部
5 撮影部
21 表示部
83 切替スイッチ
84 車両電源制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置に画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載した複数のカメラにより車両の周辺の画像を取得し、自動的に、または、ユーザの操作によって、表示装置に表示することで車両周辺の監視を可能とする装置がある。また、車両の真上を仮想視点として見下ろした画像を画面に表示し、ユーザに車両全周囲の安全確認の手段を提供する装置がある。さらに、車両に搭載した複数のカメラを使用して所定の高さの視点で撮影し、カメラが撮影した画像の視点位置を車両の全体図とともに表示する第1画面と、この第1画面に表示されるOLE_LINK1視点位置の移動に対応させて、それぞれのカメラ画像を表示するOLE_LINK1第2画面との2つの画面で車両周囲の安全確認を行う技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−219559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカメラによる車両周辺の画像表示は、複数のカメラのうち個々のカメラからの画像が車両のどの方向に対応しているのかを確認をする必要があり、画面にユーザの車両が映らないので車両と車両の周辺に存在する障害物との距離などの位置関係をユーザが把握するのは困難であった。
【0005】
また、車両の真上を仮想視点として見下ろした画像を画面に表示した場合、ユーザは車両の全周囲の広い範囲をいちどに確認する必要があり、ユーザにとっては情報量が多すぎて、どこを注意すべきかのポイントを絞ることが困難であった。
【0006】
さらに、特許文献1に開示されている技術では、カメラが撮影した画像の視点の位置を車両の全体図とともに示す画面と、視点位置の移動に対応させて、それぞれのカメラ画像を表示する画面とを別々の画面で表示しており、2つの画面に表示された情報の対応付けをユーザ自身で行わなければならず、車両と障害物との位置関係をユーザが把握しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両と車両周辺の障害物との位置関係をユーザが直感的に把握できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する受信手段と、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる第1合成画像を生成する合成画像生成手段と、前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の第1合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段とを備える。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記合成画像生成手段は、前記車両の略中心の直上の仮想視点からみた第2合成画像を生成し、前記出力手段は、連続表示により、前記複数の第1合成画像と前記第2合成画像との相互間において仮想視点の位置が連続的に変化するように示す複数の合成画像を出力する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記出力手段は、前記複数の第1合成画像の出力後に、前記第2合成画像を出力する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、前記車両の位置が中心となるように生成する。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、ユーザが指定する前記車両の周辺の地点が中心となるように生成する。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記指示信号は、前記画像処理装置の起動時に発生する。
【0014】
また、請求項7の発明は、表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を出力する操作手段と、前記指示信号を受信する受信手段と、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する合成画像生成手段と、前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更される合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段とを備える。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の電子装置において、前記出力手段により出力された合成画像を表示する前記表示装置をさらに備える。
【0016】
また、請求項9の発明は、表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する工程と、車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する工程と、前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし9の発明によれば、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示装置に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、仮想視点が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両上方からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両の周囲と車両の上方との複数の視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、車両の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の上方の画像により再度安全確認を行うことができる。また、ユーザが車両の全周囲の広い範囲をいちどに確認する必要はなく、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両上方の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、車両の位置を中心として車両の周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両の全周囲の障害物を確認することができる。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、車両の周辺のユーザが指定した地点を中心とすることで、ユーザは1つの画面で確認したい車両周囲の任意の地点を中心に安全確認を行える。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、画像処理装置の起動時にユーザは1つの画面で車両の周辺を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、画像表示システムのブロック図である。
【図2】図2は、複数の車載カメラが車両に配置される位置を示す図である。
【図3】図3は、任意の仮想視点からみた合成画像の生成方法を説明する図である。
【図4】図4は、画像処理部の処理の流れを示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図である。
【図6】図6は、表示部の表示処理の流れを示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図である。
【図8】図8は、画像処理部の処理の変形例1を示す図である。
【図9】図9は、画像処理部の処理の変形例2を示す図である。
【図10】図10は、第3の実施形態の画像表示システムのブロック図である。
【図11】図11は、第3の実施形態の画像処理部の処理の流れを示す図である。
【図12】図12は、第3の実施形態の合成画像の画面遷移を示す図である。
【図13】図13は、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例1を示す図である。
【図14】図14は、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、第1の実施形態の画像表示システム100のブロック図である。この画像表示システム100は、車両(本実施の形態では、自動車)に搭載される電子装置であり、車両の周辺を撮影して画像を生成し、車室内に表示する機能を有している。この画像表示システム100を利用するユーザとなる車両のドライバは当該車両の周辺を容易に把握できるようになっている。
【0025】
図1に示すように、画像表示システム100は、画像処理部10と、車両の周辺を撮影する撮影部5とを備えている。画像表示システム100は液晶ディスプレイなどの表示部21を備えており、表示部21の画面がドライバから視認可能なように車両のインストルメントパネルなどに設置される。また、撮影部5は、画像処理部10に電気的に接続され画像処理部10からの信号に基づいて動作する。なお、表示部21はタッチパネル機能を有し、ユーザから各種指示を受付可能である。
【0026】
撮影部5は、車載カメラであるフロントカメラ51、サイドカメラ52及びバックカメラ53を備えている。これらの車載カメラ51,52,53は、レンズと撮像素子とを備えており電子的に画像を取得する。
【0027】
図2は、車載カメラ51,52,53が車両9に配置される位置を示す図である。図2に示すように、フロントカメラ51は、車両9の前端となるフロントバンパ91の左右略中心に設けられ、その光軸は車両9の直進方向に向けられている。また、サイドカメラ52は、左右のドアミラー93にそれぞれ設けられており、その光軸は直進方向に対して直交するように車両9の外部方向に向けられている。バックカメラ53は、車両9の後端となるリアバンパ92の左右略中心に設けられ、その光軸は車両9の直進方向の逆方向に向けられている。
【0028】
これらの車載カメラ51,52,53のレンズとしては魚眼レンズなどが採用されており、車載カメラ51,52,53は180度以上の画角αを有している。このため、4つの車載カメラ51,52,53を利用することで、車両9の全周囲の撮影が可能となっている。
【0029】
なお、車載カメラ51,52,53は180度以上の画角αを有しているため、各カメラの撮影範囲が重複する重複領域β生じる。このような重複領域では同一の物体が別々の方向に表示される。そのため、このような重複領域の画像処理は、両方のカメラの画像の重複する部分の透過率調整(例えば互いに50%とする。)して重ね合わせて表示してもよいし、重複する部分から任意の範囲の画像を削除してもよい。
【0030】
図1に戻り、画像処理部10は、撮影部5で取得された撮影画像を処理して表示用の画像に変換する画像変換部3と、各種の演算処理を行うCPU1と、表示部21と通信を行う通信部42とを備えている。画像変換部3で生成された画像は通信部42から表示部21に出力されて表示される。
【0031】
画像変換部3は、撮影部5の複数の車載カメラ51,52,53で取得された複数の撮影画像に基づいて仮想視点からみた合成画像を生成できる。画像変換部3は、このような画像処理に必要な輝度調整部31と多重化部32と視点変換部33とを備えたハードウェア回路として構成されている。
【0032】
輝度調整部31は、撮影部5で取得された撮影画像の全体としての明るさを示す平均輝度を参照し、撮影画像のゲイン調整を行うようになっている。具体的には、撮影画像の平均輝度が比較的高い場合はゲイン調整値を小さくし、比較的低い場合はゲイン調整値を大きくする。これにより、車両9の周辺環境がある程度暗い場合などにおいて撮影画像の明るさが調整されることとなる。
【0033】
多重化部32は、複数の車載カメラ51,52,53で取得されてゲイン調整された複数の撮影画像を一つの画像に合成して多重化画像とする。視点変換部33は、多重化部32で生成された多重化画像を用いて、車両9の周辺の任意の仮想視点からみた合成画像を生成する。視点変換部33が、仮想視点からみた合成画像を生成する手法については後述する。
【0034】
CPU1は、画像表示システム100の各部を統括的に制御する制御部として機能する。CPU1の各種の制御機能は、CPU1が備えるメモリ11などに予め記憶されたプログラムに従って演算処理が実行されることによりソフトウェア的に実現される。
【0035】
また、画像処理部10は、車両9に設けられた各種装置からの信号を入力する信号入力部41を備えている。この信号入力部41を介して、画像表示システム100の外部からの信号がCPU1に入力される。具体的には、車両制御装置84からは車両のACC−ON/OFFの信号が入力される。ACCは、車両9の画像表示システム100を含む付属品に対して、電力を供給する供給線をON/OFFするスイッチである。
【0036】
また、表示部21にはシフトセンサ81、車速度センサ82、切替スイッチ83、および、車両電源制御装置84などから、各種情報を示す信号が入力される。シフトレバー81からは、”P”,”D”,”N”,”R”などのシフトポジションが入力される。また、車速度センサ82からは、その時点の車両9の走行速度(km/h)が入力される。切替スイッチ83からは、表示部21のディスプレイに表示されるカメラ画像を切替える信号が入力される。例えばフロントカメラの画像、サイドカメラの画像、バックカメラの画像のような順序で切替えがなされる。車両制御装置84からは車両のACC−ON/OFFの信号が入力される。なお、後述するように車両制御装置84からの車両のACC−ON/OFF信号は信号入力部41を介して画像処理部10のCPU1にも入力される。
【0037】
<1−2.画像変換処理>
次に、画像変換部3の視点変換部33が、撮影部5で得られた複数の撮影画像に基づいて、任意の仮想視点からみた合成画像を生成する手法について説明する。図3は、任意の仮想視点からみた合成画像を生成する手法を説明するための図である。
【0038】
撮影部5のフロントカメラ51、サイドカメラ52及びバックカメラ53で同時に撮影が行われると、車両9の前方、左側方、右側方、及び、後方をそれぞれ示す4つの撮影画像P1〜P4が取得される。すなわち、撮影部5で取得される4つの撮影画像P1〜P4には、撮影時点の車両9の全周囲を示す情報が含まれていることになる。
【0039】
取得された4つの撮影画像P1〜P4は多重化された後、視点変換部33により仮想的な三次元の立体曲面SPに投影される。立体曲面SPは、例えば略半球状(お椀形状)をしており、その中心部分(お椀の底部分)が車両9の位置として定められている。撮影画像P1〜P4に含まれる各画素の位置と、この立体曲面SPの各画素の位置とはあらかじめ対応関係が定められている。このため、立体曲面SPの各画素の値は、この対応関係と、撮影画像P1〜P4に含まれる各画素の値とに基づいて決定できる。撮影画像P1〜P4の各画素の位置と立体曲面SPの各画素の位置との対応関係は、テーブルデータとして画像処理部10のCPU1が備えるメモリ11に記憶される。
【0040】
一方で、立体曲面SPに対するVP1,VP2,VP5,および、VP7などの仮想視点が設定される。そして、設定された仮想視点VP1,VP2,VP5,および、VP7に応じて、立体曲面SPにおける必要な領域が画像として切り出されることにより、任意の仮想視点からみた合成画像が生成されることになる。
【0041】
例えば、図中に示すように、車両9の後方となる仮想視点VP1を設定した場合は、車両9の後方から車両9を見下ろしたような合成画像CP1が生成されることになる。また、車両9の左側面となる仮想視点VP2や右側面となるVP5を設定した場合は、車両9の左側面、または、右側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP2、または、CP5が生成されることとなる。さらに、車両9の真上の仮想視点VP7を設定した場合は、車両9の真上から見下ろすような合成画像CP7が生成される。仮想視点と、立体曲面SPにおける必要な領域との関係はあらかじめ定められており、テーブルデータとして画像処理部10のCPU1が備えるメモリ11に記憶される。
【0042】
実際に合成画像を生成する場合においては、立体曲面SPの全ての画素の値を決定する必要はなく、仮想視点に対応して必要となる領域の画素の値のみを撮影画像P1〜P4に基づいて決定することで、処理速度を向上できる。また、合成画像中に示す車両9の像はあらかじめビットマップなどはメモリ11内に用意しておき、仮想視点に応じた方向の車両9の像を生成された合成画像に重畳すればよい。
【0043】
なお、撮影画像P1〜P4の各画素の位置と立体曲面SPの各画素の位置との対応関係のテーブルデータ、仮想視点と立体曲面SPにおける必要な領域との関係を定めたテーブルデータ、車両の像のビットマップデータなどのメモリ11内に保存されているデータは他のデータに書き換え可能である。またメモリ11はCPU1の内部に設けられているが、これに限らずCPU1の外部または画像処理部10の外部に設けられても良い。
【0044】
<1−3.動作>
次に、本実施形態の画像処理部10の動作について、図4の画像処理部10の処理の流れを示す図、および、図5の第1の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図を参照して説明する。
【0045】
画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を信号入力部41を介して受信する(ステップS101がYes)と、画像処理部10の通信部42は表示部21との初期通信を開始する(ステップS102)。ここで初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない場合は処理を終了する(ステップS101がNo)。
【0046】
画像処理部10と表示部21との初期通信が正常に終了すれば(ステップS103がYes)、画像処理部10はCPU1のメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS104)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などがあげられる。
【0047】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS103がNo)は再度、表示部21との通信を行ったり、複数回の通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
【0048】
メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲の合成画像を生成する(ステップS105)。作成された合成画像のデータは表示部21に送信される(ステップS106)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するように順番に表示部21にデータを送信する。これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、連続表示により車両を見下ろした状態で、車両9の周囲を周回する画像を表示部21に表示させることができる。
【0049】
複数の合成画像の表示部21への送信が終了する(ステップS107がYes)と、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を生成し(ステップS108)、生成した車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を表示部21へ送信する(ステップS109)。
【0050】
なお、複数の合成画像データの表示部21への送信が終了していない場合(ステップS107がNo)は、ステップS105の処理に戻って、次の車両周囲の合成画像を生成する処理を行う。
【0051】
上記の車両9の周囲の複数の合成画像の生成と表示、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像の生成と表示について、図5に基づいて説明する。
【0052】
車両9の後方から車両9を見下ろしたような合成画像CP1、車両9の左側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP2、車両9の左斜め側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP3、車両9の前方から車両9を見下ろしたような合成画像CP4、車両9の右側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP5、車両9の右斜め側面から車両9を見下ろしたような合成画像CP6、車両9の略中心の直上(真上)から車両9を見下ろしたような合成画像CP7がそれぞれ撮影部5のカメラ51,52,53から入力される画像に基づいて、画像処理部10はユーザが自身の目線の高さで車両の周囲を1周するようなCP1からCP6の合成画像を順番に生成し、最後に車両周囲の全体を車両9の略中心の直上(真上)の視点からみたCP7の合成画像をCP6の次に生成して、表示部21に連続表示させる。これにより、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示部21に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0053】
また、仮想視点の位置が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両の略中心の直上(真上)からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両の周囲と車両の略中心の直上(真上)との複数の視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0054】
また、車両の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の上方の画像により再度安全確認を行うことができる。
【0055】
また、ユーザが車両の全周囲の広い範囲をいちどに確認する必要はなく、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0056】
また、車両の位置を中心として車両の周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両の全周囲の障害物を確認することができる。
【0057】
なお、ここで示した合成画像は一例であり、合成画像の車両を見下ろす高さ、方向、合成画像の連続表示の一時停止、連続表示の回転速度の調整、連続表示の回転を逆回転とすることなどの設定はユーザの任意の変更が可能である。
【0058】
また、連続表示を一時停止して表示部の画面の任意の部分をユーザ操作により選択することで選択した部分を拡大表示させることもできる。さらに、本実施形態では車両周囲を表示する合成画像を連続表示した後に、車両の略中心の直上(真上)の合成画像を連続表示させる場合を述べたが、この順序に限ることなく車両の略中心の直上(真上)の合成画像を表示した後に車両周囲の合成画像を連続表示させてもよい。
【0059】
また、本実施形態では車両の後方の仮想視点の位置から周囲を1周する場合について述べたが、画像を遷移させる開始位置は特定されるものではなく任意の位置でもよい。さらに、周囲を周回する回数は1回に限らず2回以上または半周など任意の回数でもよい。
【0060】
また、本実施形態では車両周囲確認処理の開始条件を画像処理部10または表示部21が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信したことを開始条件とすることで、これにより画像処理装置の起動時にユーザが車両の周辺を確認できる。通常、画像処理装置は車両の走行前にACC−ONに応答して起動するため、車両の走行前にユーザが車両の周辺を確認できるという効果を有する。このような車両周囲確認処理の開始条件は、ACC−ON信号の受信のみではなく、切替スイッチ83を所定時間以上(例えば3秒以上)継続して押下することとしてもよい。これによりユーザが車両周囲を自動で確認したい場合にはいつでも確認を行うことができる。
【0061】
さらに、複数の合成画像を連続表示している際に、表示部21に図示しない完了ボタンを設けて、連続表示の途中であってもこの完了ボタンを押下することで、合成画像の連続表示を終了させたり、図示しない設定ボタンを設けて予め、ACC−ONや切替えスイッチ83を所定時間以上押下することによる車両周囲確認処理の開始を行わないようにすることもできる。
【0062】
また、車両周囲確認処理を実行して合成画像を連続表示している場合に、車速が所定速度以上、シフトポジションの”R”への切替え、切替SWの押下といったユーザの操作に基づく信号が表示部21に入力された場合は、以下に詳述するように車両周囲確認処理を終了して、ユーザの操作に対応した処理を開始する。
【0063】
次に、表示部21の処理動作について図6の表示部21の表示処理の流れを示す図を用いて説明する。表示部21は車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信する(ステップS201がYes)と、表示部の本体電源をONする(ステップS202)。なお、車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない(ステップS201がNo)の場合は処理を終了する。
【0064】
その後、同じく車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信している画像処理部10と初期通信を開始する(ステップS203)。ここで、初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。初期通信が正常に終了した場合(ステップS204がYes)は、画像処理部10から車両周囲確認処理の合成画像のデータを受信する(ステップS205)。
【0065】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS204がNo)は、再度画像処理部10との通信を行ったり、複数回通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は、表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
【0066】
表示部21が画像処理部10から合成画像データを受信している間に、表示部21はオープニング画面を表示する(ステップS206)。オープニング画面表示後、画像処理部10から受信した車両周囲の複数の合成画像を上記図5を用いて説明したように、連続表示させる(ステップS207)。複数の合成画像を連続表示している間にシフトセンサ81から表示部21へシフトポジションが”R“に切替えられた信号が送信される(ステップS208がYes)と、表示部21は車両周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両の後方を撮影した画像を表示するバックモード画像表示の画面に切替えて表示する(ステップS209)。
【0067】
シフトポジションが”R“に切替えられていない場合(ステップS208がNo)で、切替スイッチ83が押下された場合(ステップS210がYes)は、表示部21は車両周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両の前方を撮影した画像を表示するフロントモード画像表示の画面に切替えて表示する。(ステップS211)。
【0068】
切替スイッチ83が押下されていない場合(ステップS210がNo)で、車速が所定の速度以上(例えば車速が12km/h以上)の場合(ステップS212がYes)は、車両周囲の合成画像を連続表示している画面からナビゲーション画像を表示する画面に切替えて表示する(ステップS215)。車速が所定の速度以上でない場合(ステップS212がNo)は、車両周囲の合成画像の連続表示が終了しているか否かを判断し(ステップS213)、合成画像の連続表示が終了していない場合(ステップS213がNo)は、画像処理部10から表示部21へ新たな合成画像が送信され、表示部21は合成画像処理部10から送信された新たな合成画像を前の合成画像と連続性をもたせて表示する。
【0069】
車両周囲の合成画像の連続表示が終了した場合(ステップS213がYes)は、画像処理部10から表示部21へ送信された車両9の略中心の直上(真上)の合成画像が表示部21に表示される(ステップS214)。これにより、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示装置に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0070】
車両9の略中心の直上(真上)の合成画像表示後、表示部21はナビゲーション画像を表示する画面を表示する(ステップS215)。
【0071】
仮想視点の方向が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両上方からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両の周囲と車両の略中心の直上(真上)との複数の視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0072】
また、車両の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の略中心の直上(真上)の画像により再度安全確認を行うことができる。
【0073】
また、ユーザが車両の全周囲の広い範囲を確認する必要はなく、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0074】
また、車両周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
【0075】
また、車両の位置を中心として車両周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両の全周囲の障害物を確認することができる。
【0076】
なお、ここで示した合成画像は一例であり、合成画像の車両を見下ろす高さ、方向、合成画像の連続表示の一時停止、連続表示の回転速度の調整、連続表示の回転を逆回転とすることなどの設定はユーザの任意の変更が可能である。
【0077】
また、連続表示を一時停止して表示部の画面の任意の部分をユーザ操作により選択することで選択した部分を拡大表示することも可能である。さらに、本実施形態では車両周囲を表示する合成画像を連続表示した後に、車両上方の合成画像を連続表示させる場合を述べたが、この順序に限ることなく車両の略中心の直上(真上)の合成画像を表示した後に車両周囲の合成画像を連続表示させてもよい。
【0078】
また、本実施形態では車両の後方の仮想視点の位置から周囲を1周する場合について述べたが、画像を遷移させる開始位置は特定されるものではなく任意の位置でもよい。さらに、周囲を周回する回数は1回に限らず2回以上または半周など任意の回数でもよい。
【0079】
また、本実施形態では車両周囲確認処理の開始条件を画像処理部10または表示部21が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信したことを開始条件とすることで、これにより画像処理装置の起動時にユーザが車両の周辺を確認することができる。通常、画像処理装置は車両の走行前にACC−ONに応答して起動するため、車両の走行前にユーザが車両の周辺を確認できるという効果を有する。このような車両周囲確認処理の開始条件は、ACC−ON信号の受信のみではなく、切替スイッチ83を所定時間以上(例えば3秒以上)継続して押下することとしてもよい。これによりユーザが車両周囲を自動で確認したい場合にはいつでも確認を行うことができる。
【0080】
さらに、複数の合成画像を連続表示している際に、表示部21に図示しない完了ボタンを設けて、連続表示の途中であってもこの完了ボタンを押下することで、合成画像の連続表示を終了させたり、図示しない設定ボタンを設けて予めACC−ON時や切替えスイッチ83を所定時間以上押下することによる車両周囲確認処理の開始を行わないようにすることもできる。
<2.第2の実施の形態>
第2の実施形態は第1の実施形態と基本的な構成は同一である。本実施形態については図7の第2の実施形態における合成画像の画面遷移を示す図を用いて説明する。図7のCP1aからCP7aは上記図5に示したCP1からCP7の車両周囲の合成画像の連続表示とは周囲の合成画像を生成する視点の位置が異なる。本実施形態では、車両の左側に仮想視点を移動させた状態でその周囲の合成画像CP1aからCP7aを画像処理部10で生成し、これらの合成画像を表示部21に連続表示させる。
【0081】
CP1aは車両9の後方で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP2aは車両9の左側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP3aは車両9の左斜め側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP4aは車両9の前面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP5aは車両9の右側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP6aは車両9の右側面で車両9の左に所定距離移動した位置の仮想視点から車両9を見下ろしたような合成画像、CP7aは車両9の略中心の直上(真上)の仮想視点から左に所定距離移動して車両9を見下ろしたような合成画像である。
【0082】
このように車両から所定距離移動して、周囲の合成画像の連続表示の仮想視点の位置を車両の画像を一部にでも含む範囲内で切替えることで、ユーザが確認したい部分を選択して表示できる。例えばユーザが運転席(右側の席)に着座しており、左側を重点的に確認したい場合は、上記に示したように車両から左に所定距離移動した位置の視点を中心に合成画像を生成し、その合成画像の連続表示を行うことが可能である。仮想視点の位置の変更はユーザが手動で行うことが可能であり、車両の画像を含む範囲でユーザが確認を希望する任意の位置を中心に合成画像の連続表示を行うことが可能である。これにより、ユーザは重点的に確認を行いたい位置を中心にその周囲の状況を確認することができ、車両と障害物との位置関係を1つの画面で直感的に把握することができる。
【0083】
また、仮想視点の位置が連続性を持って遷移しつつ、車両から所定距離移動した周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両の略中心の直上(真上)の仮想視点から所定距離移動した合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両から所定距離移動した周囲の仮想視点と車両の略中心の直上(真上)から所定距離移動した仮想視点との複数の仮想視点から車両周囲の安全性を確認できる。
【0084】
また、車両から所定距離移動した周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両から所定距離移動した周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両の略中心の直上(真上)の仮想視点から所定距離移動した画像により再度安全確認を行うことができる。
【0085】
また、車両から所定距離移動した位置を真上からみた広い範囲をいちどに確認する必要はなく、車両から所定距離移動した周囲の限られた範囲の画像の後に車両の略中心の直上(真上)の仮想視点から所定距離移動した広い範囲の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両周囲の安全確認をより確実に行える。
<3.画像処理部;変形例>
<3−1.変形例1>
次に、図4を用いて説明した画像処理部10の処理の変形例について説明する。
【0086】
図4では、仮想視点の位置が異なる複数の合成画像を生成するごとに表示部21に送信していたが、この変形例1では複数の合成画像を生成してから表示部21に送信するようにしている。
【0087】
図8は、この変形例1の画像処理部10の処理の例を示す図である。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からの表示部21に画像を出力する指示を行うための指示信号であるACC−ON信号を信号入力部41を介して受信する(ステップS301がYes)と、画像処理部10の通信部42は表示部21との初期通信を開始する(ステップS302)。ここで初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない場合は処理を終了する(ステップS301がNo)。
【0088】
画像処理部10と表示部21との初期通信が正常に終了すれば(ステップS303がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS304)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などのパラメータのデータがあげられる。
【0089】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS303がNo)は再度、表示部21との通信を行ったり、複数回の通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
【0090】
ステップS304に戻って、メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲確認処理の合成画像を生成する(ステップS305)。ここで、車両周囲確認処理の合成画像とは、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像をいう。
【0091】
作成された車両周囲確認処理の合成画像のデータは表示部21に出力される(ステップS306)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するような順番でまとめて表示部21にデータが出力される。
【0092】
これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両方向にみた状態で、車両9の周囲を連続的に周回する画像を表示部21に表示させることができる。また、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の複数の合成画像を同じタイミングで表示部21に出力することで、段階的に変更されて連続的に表示されている合成画像のうち、所定の画像の表示をとばして、次の画像を表示したり、前の画像に戻って表示することができ、連続的に表示される画像のうちユーザが確認したい箇所の画像を素早く表示できる。
【0093】
<3−2.変形例2>
また、図4では、仮想視点の位置が異なる複数の合成画像を生成するごとに表示部21に送信していたが、変形例2では、予め生成されてメモリ11に記憶された複数の合成画像をACC−ON信号に応答して表示部21に送信するようにしている。
【0094】
図9は、この変形例2の画像処理部10の処理の例を示す図である。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からの表示部21に画像を出力する指示を行うための指示信号であるACC−ON信号を信号入力部41を介して受信する(ステップS401がYes)と、画像処理部10の通信部42は表示部21との初期通信を開始する(ステップS402)。ここで初期通信とは画像処理部10と表示部21との間で通信可能か否かを確認する処理をいう。画像処理部10のCPU1が車両電源制御装置84からのACC−ON信号を受信していない場合(ステップS401がNo)は処理を終了する。
【0095】
画像処理部10と表示部21との初期通信が正常に終了すれば(ステップS403がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理の合成画像データを読み出す(ステップS404)。この合成画像データは、ACC−ON信号を受信する前に車両9の周辺を撮影する撮影部5の複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像に基づいて、上記画像変換処理により生成された合成画像であり、予めメモリ11に保存されているデータである。
【0096】
ステップS404において、予めメモリ11に保存されている車両周囲確認処理の合成画像データが、メモリ11から読み出された後、車両周囲確認処理の合成画像データが表示部21へ出力される(ステップS405)。
【0097】
これにより、表示装置21に画像を出力する指示を行うための指示信号であるACC−ON信号を画像処理部10のCPU1が受信してすぐに車両周辺確認処理の合成データを表示部21へ出力することができ、指示信号を受信してから表示部21へ合成画像データ出力する時間を短縮できる。
【0098】
初期通信が正常に終了していない場合(ステップS403がNo)は再度、表示部21との通信を行ったり、複数回の通信を試みても通信できない場合は処理を終了する。なお、ここで初期通信が正常に終了しない場合としては、故障などの原因で画像処理部10が正常に動作していないことがあげられる。このような場合は表示部21に車両周囲の画像表示のシステムが故障している旨の警告を表示するようにできる。
<4第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では主に、ACC−ON信号を指示信号とし、この指示信号に応答して仮想視点の位置が異なる複数の合成画像を送信していた。これに対して、第3の実施の形態では、ユーザの操作に基づく信号を指示信号とし、ユーザの操作に応答して複数の合成画像が送信されるようになっている。
【0099】
<4−1.構成>
図10は、第3の実施の形態の画像表示システム101のブロック図である。第3の実施形態も、第1の実施形態と基本的な構成はほぼ同一である。図10において、上記図1で説明した構成と異なる点は、表示部21に設けられた操作部61aと操作部61bとを備えていることである。
【0100】
操作部61aは表示部21の表示画面に透明電極で形成されたタッチスイッチ、および、表示部21の周囲に設けられた固定のハードスイッチなどからなり、ユーザの操作による指示信号が、信号入力部41を介してCPU1に送信される。CPU1はこの指示信号を受けて、後述する画像処理部10での合成画像の生成および合成画像の表示部21への出力を行う。
【0101】
合成画像の具体例としては、車両9の周辺を撮影する撮影部5の複数のカメラ(フロントカメラ51、サイドカメラ52、および、バックカメラ53)から取得される複数の画像に基づいて生成される、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両9の方向をみる画像があげられる。また、合成画像の他の具体例は、車両9の略中心の直上(真上)の仮想視点からみた画像などがある。
【0102】
操作部61bは画像処理システム101に一体的に設けられている固定スイッチである。この操作部61bのユーザの操作による指示信号が、信号入力部41を介してCPU1に送信される。CPU1はこの指示信号を受けて、後述する画像処理部10での合成画像の生成および合成画像の表示部21への出力を行う。なお、操作部61bは、遠隔操作可能とするリモートコントローラであってもよく、あるいは固定スイッチとリモートコントローラの両者を併用してもよい。図10における画像処理システム101のその他の構成は、上記図1で画像処理システム100で説明した構成と同じ構成である。
【0103】
<4−2.動作>
図11は、第3の実施形態の画像処理部の処理の流れを示す図である。
【0104】
画像処理部10のCPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信した場合(ステップS501がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS502)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などがあげられる。
【0105】
なお、画像処理部10のCPU1が操作部61a、または、操作部61bのいずれかの操作部から指示信号を受信していない場合(ステップS501がNo)は処理を終了する。
【0106】
メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲の合成画像を生成する(ステップS503)。作成された合成画像のデータは表示部21に出力される(ステップS504)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するように順番に表示部21にデータを出力する。これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両方向にみた状態で、車両9の周囲を連続的に周回する画像を表示部21に表示させることができる。
【0107】
複数の合成画像の表示部21への出力が終了する(ステップS505がYes)と、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を生成し(ステップS506)、生成した車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を表示部21へ出力する(ステップS507)。
【0108】
なお、ステップS505において複数の合成画像データの表示部21への出力が終了していない場合(ステップS505がNo)は、ステップS503の処理に戻って、次の車両9の周囲の合成画像を生成する処理を行う。
【0109】
次に、表示部21の処理動作について、図12の第3の実施形態の合成画像の画面遷移を示す図を用いて説明する。表示部21は画像処理部10から車両周囲確認処理の合成画像データを受信する(ステップS601がYes)と、表示部21に画像処理部10から受信した車両9の周囲の複数の合成画像を連続表示させる(ステップS602)。
【0110】
なお、画像処理部10から車両周囲確認処理の合成画像データを受信していない場合(ステップS601がNo)は処理を終了する。
【0111】
ステップS602の処理により、複数の合成画像を連続表示している間にシフトセンサ81から表示部21へシフトポジションが”R“に切替えられた信号が送信される(ステップS603がYes)と、表示部21は車両9の周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両9の後方を撮影した画像を表示するバックモード画像表示の画面に切替えて表示する(ステップS604)。
【0112】
シフトポジションが”R“に切替えられていない場合(ステップS603がNo)で、切替スイッチ83が押下された場合(ステップS605がYes)は、表示部21は車両9の周囲の合成画像を連続表示している画面から、車両9の前方を撮影した画像を表示するフロントモード画像表示の画面に切替えて表示する。(ステップS606)。
【0113】
ステップS605において、切替スイッチ83が押下されていない場合(ステップS605がNo)で、車速が所定の速度以上(例えば車速が12km/h以上)の場合(ステップS607がYes)は、車両9の周囲の合成画像を連続表示している画面からナビゲーション画像を表示する画面に切替えて表示する(ステップS610)。
【0114】
車速が所定の速度以上でない場合(ステップS607がNo)は、車両9の周囲の合成画像の連続表示が終了しているか否かを判断し(ステップS608)、合成画像の連続表示が終了していない場合(ステップS608がNo)は、画像処理部10から表示部21へ新たな合成画像が送信され、表示部21は合成画像処理部10から送信された新たな合成画像を前の合成画像と連続性をもたせて表示する。
【0115】
車両9の周囲の合成画像の連続表示が終了した場合(ステップS608がYes)は、画像処理部10から表示部21へ送信された車両9の略中心の直上(真上)の合成画像が表示部21に表示される(ステップS609)。これにより、車両を見下ろした状態で車両の周囲を周回するように示す複数の合成画像が表示装置に表示されるため、ユーザが車両を目の前にした視点から車両の全周囲を確認することで、1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。
【0116】
ステップS609において、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像表示後、表示部21はナビゲーション画像を表示する画面を表示する(ステップS610)。
【0117】
このように、仮想視点の方向が連続性を持って移動しつつ、車両の周囲を旋回するように示す複数の合成画像と車両上方からみた合成画像との双方が表示されることで、ユーザは1つの画面で直感的に車両と障害物との位置関係を把握できる。さらに、車両9の周囲と車両9の略中心の直上(真上)との複数の視点から車両9の周囲の安全性を確認できる。
【0118】
また、車両9の周囲の画像でユーザが見落とす障害物などの情報があったとしても、車両9の周囲の画像の後に連続性をもって表示される車両9の略中心の直上(真上)の画像により再度安全確認を行うことができる。
【0119】
また、ユーザが車両9の全周囲の広い範囲を確認する必要はなく、車両9の周囲の限られた範囲の画像の後に車両9の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両9全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両9の周囲の安全確認をより確実に行える。
【0120】
また、車両9の周囲の限られた範囲の画像の後に車両9の略中心の直上(真上)の広い範囲の車両9全体の画像を連続して表示することで、ユーザは1つの画面で車両9の周囲の安全確認をより確実に行える。
【0121】
また、車両9の位置を中心として車両9の周囲を順に移動する仮想視点からみた合成画像を生成することで、ユーザは1つの画面で直感的に車両9の全周囲の障害物を確認することができる。
【0122】
なお、ここで示した合成画像は一例であり、合成画像の車両を見下ろす高さ、方向、合成画像の連続表示の一時停止、連続表示の回転速度の調整、連続表示の回転を逆回転とすることなどの設定はユーザの任意の変更が可能である。
【0123】
また、連続表示を一時停止して表示部の画面の任意の部分をユーザ操作により選択することで選択した部分を拡大表示することも可能である。さらに、本実施形態では車両9の周囲を表示する合成画像を連続表示した後に、車両9の上方の合成画像を連続表示させる場合を述べたが、この順序に限ることなく車両9の略中心の直上(真上)の合成画像を表示した後に車両9の周囲の合成画像を連続表示させてもよい。
【0124】
また、本実施形態では車両9の後方の仮想視点の位置から周囲を1周する場合について述べたが、画像を遷移させる開始位置は特定されるものではなく任意の位置でもよい。さらに、周囲を周回する回数は1回に限らず2回以上または半周など任意の回数でもよい。
【0125】
また、本実施形態では車両9の周囲確認処理の開始条件を画像処理部10がユーザの操作による操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信したことを開始条件とすることで、ユーザが車両9の周辺確認を行いたい場合にいつでも車両9の周囲を確認できる。
【0126】
さらに、複数の合成画像を連続表示している際に、表示部21に図示しない完了ボタンを設けて、連続表示の途中であってもこの完了ボタンを押下することで、合成画像の連続表示を終了させたり、操作部61a、または、操作部61bを所定時間以上押下することによる車両周囲確認処理の開始を行わないようにすることもできる。
【0127】
<4−3.変形例1>
次に、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例について説明する。
【0128】
この変形例1では、複数の合成画像を生成してから表示部21に送信するようにしている。図13は、この場合の画像処理部の処理の例を示す図である。画像処理部10のCPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信した場合(ステップS701がYes)、CPU1はメモリ11から車両周囲確認処理を行うためのデータを読み出す(ステップS702)。車両周囲確認処理データの例としては、車両のビットマップデータ、視点の移動データ(時間ごとの視点位置や視点の方向のデータ)などのパラメータのデータがあげられる。
【0129】
メモリ11から車両周辺確認処理のデータを読み出した後に、画像処理部10の画像変換部3は読み出したデータに基づいて、車両周囲確認処理の合成画像を生成する(ステップS703)。ここで、車両周囲確認処理の合成画像とは、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の合成画像をいう。
【0130】
ステップS703において、作成された車両周囲確認処理の合成画像のデータは表示部21に出力される(ステップS704)。なお、画像処理部10は作成した仮想視点の位置が段階的に変更されている複数の合成画像が連続性を有するような順番でまとめて表示部21にデータが出力される。
【0131】
これにより仮想視点の位置が段階的に変更され、車両9の周囲の上方の仮想視点から車両9の方向にみた状態で、車両9の周囲を連続的に周回する画像を表示部21に表示させることができる。また、車両9の周囲の合成画像、および、車両9の略中心の直上(真上)の複数の合成画像を同じタイミングで表示部21に出力することで、段階的に変更されて連続的に表示されている合成画像のうち、所定の画像の表示をとばして、次の画像を表示したり、前の画像に戻って表示することができ、連続的に表示される画像のうちユーザが確認したい箇所の画像を素早く表示できる。
【0132】
<4−4.変形例2>
この変形例2では、予め生成されてメモリ11に記憶された複数の合成画像を指示信号に応答して表示部21に送信するようにしている。図14は、第3の実施形態の画像処理部の処理の変形例2を示す図である。画像処理部10のCPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信した場合(ステップS801がYes)、画像処理部10はCPU1のメモリ11から車両周囲確認処理の合成画像データを読み出す(ステップS802)。この合成画像データは、操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信する前に車両9の周辺を撮影する撮影部5の複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像に基づいて、上記画像変換処理により生成された合成画像であり、予めメモリ11に保存されているデータである。
【0133】
なお、CPU1がユーザの操作により操作部61a、または、操作部61bからの指示信号を受信していない場合は処理を終了する(ステップS801がNo)。
【0134】
ステップS802に戻り、予めメモリ11に保存されている車両周囲確認処理の合成画像データが、メモリ11から読み出された後、車両周囲確認処理の合成画像データが表示部21へ出力される(ステップS803)。
【0135】
これにより、表示装置21に画像を出力する指示を行うための指示信号である操作部61a、または、操作部62bからの信号を画像処理部10のCPU1が受信してすぐに車両周辺確認処理の合成データを表示部21へ出力することができ、指示信号を受信してから表示部21へ合成画像データ出力する時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0136】
100 画像処理システム
10 画像処理部
5 撮影部
21 表示部
83 切替スイッチ
84 車両電源制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する受信手段と、
車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる第1合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の第1合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記合成画像生成手段は、前記車両の略中心の直上の仮想視点からみた第2合成画像を生成し、
前記出力手段は、連続表示により、前記複数の第1合成画像と前記第2合成画像との相互間において仮想視点の位置が連続的に変化するように示す複数の合成画像を出力する画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記出力手段は、前記複数の第1合成画像の出力後に、前記第2合成画像を出力する画像処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、前記車両の位置が中心となるように生成する画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、ユーザが指定する前記車両の周辺の地点が中心となるように生成する画像処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記指示信号は、前記画像処理装置の起動時に発生する画像処理装置。
【請求項7】
表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を出力する操作手段と、
前記指示信号を受信する受信手段と、
車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更される合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段と、
を備える電子装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子装置において、
前記出力手段により出力された合成画像を表示する前記表示装置、
をさらに備える電子装置。
【請求項9】
表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する工程と、
車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する工程と、
前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する工程と、
を備える画像処理方法。
【請求項1】
表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する受信手段と、
車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる第1合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の第1合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記合成画像生成手段は、前記車両の略中心の直上の仮想視点からみた第2合成画像を生成し、
前記出力手段は、連続表示により、前記複数の第1合成画像と前記第2合成画像との相互間において仮想視点の位置が連続的に変化するように示す複数の合成画像を出力する画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記出力手段は、前記複数の第1合成画像の出力後に、前記第2合成画像を出力する画像処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、前記車両の位置が中心となるように生成する画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記合成画像生成手段は、前記複数の第1合成画像を、ユーザが指定する前記車両の周辺の地点が中心となるように生成する画像処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記指示信号は、前記画像処理装置の起動時に発生する画像処理装置。
【請求項7】
表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を出力する操作手段と、
前記指示信号を受信する受信手段と、
車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像生成手段により前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更される合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する出力手段と、
を備える電子装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子装置において、
前記出力手段により出力された合成画像を表示する前記表示装置、
をさらに備える電子装置。
【請求項9】
表示装置に画像を出力する指示を行うための指示信号を受信する工程と、
車両の周辺を撮影する複数のカメラから取得される複数の画像に基づいて前記車両の周囲の上方の仮想視点から前記車両方向をみる合成画像を生成する工程と、
前記車両の周囲を周回するように仮想視点の位置が段階的に変更されて生成される複数の合成画像を、前記指示信号に応答して、前記表示装置に連続して出力する工程と、
を備える画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−8762(P2011−8762A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52210(P2010−52210)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]