説明

画像形成装置、シャッター機構およびシャッター部材

【課題】 白スジ画像等の画質劣化を無くすためになされたものであって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部から露光装置内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部に設けたシールガラスや露光通過部に形成された透過部等上に堆積することによって煩わしい清掃をしたりする必要のない画像形成装置を提供する。
【解決手段】 光走査装置53から照射されたレーザービーム69Yが通過する露光通過部としての開口スリット73Yに対して90度未満の開閉角度θで開閉自在な開閉シャッター1と、開閉シャッター1を開閉駆動する駆動手段4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、シャッター機構およびシャッター部材に関し、詳しくは、露光により像担持体としての感光体に書き込みを行う書き込み手段等を備えたデジタル複写機を含む複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置、シャッター機構およびシャッター部材に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機を含む複写機、レーザプリンタ等として用いられる画像形成装置においては、像担持体である感光体の表面を走査・露光することにより潜像を形成する光走査装置を感光体と現像装置(現像器)の下方に配置したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
このような構成の画像形成装置では、現像器もしくは現像ユニットからこぼれ落ちたり飛散したりするトナーや埃が光走査装置もしくは光書き込みユニットのレーザー光源から出射されたレーザー光(以下、「レーザービーム」という)放出部分に溜まったり、光走査装置や光書き込みユニット内部の光学部品に付着したりすると、レーザービームが遮断されることにより、「白スジ画像」や「色ムラ画像」という画質劣化が発生してしまう。
【0003】
そこで、白スジ画像や色ムラ画像といった画質劣化を防止する技術として、特開2000−263839号公報(特許文献3)記載の技術が提案されている。この技術は、その図1に示されているように、光走査装置(14)に形成され感光体(10)に向けてレーザービームが通過する上向きの通過窓(16)と、通過窓(16)を遮蔽するシャッター(42)と、シャッター(42)を移動させる移動手段(ステッピングモータ(48)等を備えた駆動機構)と、シャッター(42)の移動範囲において、レーザービームの光路上に位置すると共に、感光体(10)の現像ポイント真下を通過しないレーザービーム通過部としての開口部(54)とを有して構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−305417号公報の図1、図15
【特許文献2】特開2003−334989号公報の図16
【特許文献3】特開2000−263839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2000−263839号公報(特許文献3)記載の技術では、開口部(54)が上向きに形成されたシャッター(42)自体を図の左右方向に移動させる構成であるため、たとえ開口部(54)が感光体の現像ポイントを通過しなくても、飛散・落下トナーや粉塵等が開口部(54)から光走査装置(14)の内部へ侵入することで、白スジ画像等の画質劣化が発生してしまう。
【0006】
一方、上記同公報の段落「0030」に記載されているように、たとえ開口部(54)を透過部にしたり、シールガラスで覆ったりしたとしても、飛散・落下トナーや粉塵等の発生量の程度にもよるが、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が透過部上に堆積したりシールガラス上に堆積してしまうことにより、白スジ画像等の発生を防止するためには定期的なあるいは適宜の清掃が必要になってしまう。このような清掃を行うことは、サービス担当者にとって厄介で煩わしいものである。
そこで、自動的に清掃を行うための清掃装置の設置等も考えられるが、そうすると構成が複雑になるとともにコスト高になってしまう。
【0007】
また、シャッター(42)全体を図の左右方向に移動させる構成であるから、たとえシャッター(42)の移動するストロークが少ないものであっても、設計上のレイアウトが制約されたり、装置の大型化を招いたりする虞もある。
【0008】
従って、本発明は、白スジ画像等の画質劣化を無くすためになされたものであって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から露光装置(書き込み手段)内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)に設けたシールガラスや露光通過部に形成された透過部等上に堆積することによって煩わしい清掃をしたりする必要のない画像形成装置、シャッター機構およびシャッター部材を提供することを主な目的としている。
【0009】
請求項毎の目的を挙げれば、次のとおりである。
請求項1ないし4記載の発明の目的は、露光通過部に対して90度未満の開き角度で開閉自在な開閉手段と、該開閉手段を開閉駆動する駆動手段とを有することにより、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
請求項5記載の発明の目的は、開閉手段が全開したとき、露光通過部に対する開閉手段の垂直方向の投影面が露光通過部を全て覆う面積を開閉手段が備えるように構成することにより、開閉手段に庇(ヒサシ)の役目を持たせて、請求項1ないし4記載の発明の目的をより確実に達成することにある。
請求項6記載の発明の目的は、開閉手段が閉じたとき、露光通過部に対する開閉手段の密閉性が確保されるように構成することにより、露光通過部に対する開閉手段の密閉性をより向上させて、請求項1ないし4記載の発明の目的をより一層確実に達成することにある。
【0011】
請求項7記載の発明の目的は、開閉手段または露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成することにより、請求項6記載の発明の目的を達成することにある。
請求項8記載の発明の目的は、開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に弾性体を備えることより、請求項6記載の発明の目的を達成するとともに、開閉手段の閉まり音を緩和することにある。
請求項9記載の発明の目的は、開閉手段および露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、弾性体を樹脂との2色成形で作製することにより、例えば手作業で弾性体を貼るというような手間を無くして、請求項6記載の発明の目的をコストダウンを図って達成することにある。
【0012】
請求項10記載の発明の目的は、カラー画像形成装置において、請求項1ないし9の何れか一つに記載の発明の目的を達成することにある。
請求項11記載の発明の目的は、駆動手段を、開閉手段の開閉動作と連動する、操作によって作動する操作部材で構成することにより、像担持体としての例えばユニット化された感光体や現像手段の交換時などのトナー落ちの際において、落下トナー等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、落下トナー等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0013】
請求項12記載の発明の目的は、駆動手段が、所定のタイミングで開閉手段を開閉駆動すべく制御されることにより、露光通過部の露出状態を例えば露光必要時に極力制限することが可能になることによって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部により侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0014】
請求項13および14記載の発明の目的は、カラー画像形成装置において、駆動手段は、所定のタイミングで開閉手段を開閉駆動すべく制御され、開閉手段および駆動手段を、書き込み手段からの黒色用の露光に対応して1つ、黒色用以外の露光に対応して少なくとも1つ配設することにより、モノクロ(白黒単色)画像形成時とカラー画像形成時とに分けて、露光通過部の露出状態を露光必要時に極力制限することが可能になることによって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部により侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、特にカラー画像形成時の白スジ画像等の画質劣化をさらに無くしてより一層の高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0015】
請求項15記載の発明の目的は、書き込み手段が、レーザービームで光書き込みを行う光走査装置である場合に、請求項1ないし14の何れか一つに記載の発明の目的を達成することにある。
請求項16記載の発明の目的は、書き込み手段が、LEDアレイからの光で光書き込みを行う場合に、請求項1ないし14の何れか一つに記載の発明の目的を達成することにある。
【0016】
請求項17記載の発明の目的は、開閉手段が全開したとき、露光通過部に対する開閉手段の垂直方向の投影面が露光通過部を全て覆う面積を開閉手段が備えるように構成することにより、開閉手段に庇(ヒサシ)の役目を持たせて、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することにある。
請求項18記載の発明の目的は、開閉手段が閉じたとき、露光通過部に対する開閉手段の密閉性が確保されるように構成することにより、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することにある。
【0017】
請求項19記載の発明の目的は、開閉手段または露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成することにより、請求項18記載の発明の目的を達成することにある。
請求項20記載の発明の目的は、開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に弾性体を備えることより、請求項18記載の発明の目的を達成するとともに、開閉手段の閉まり音を緩和することにある。
請求項21記載の発明の目的は、開閉手段および露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、弾性体を樹脂との2色成形で作製することにより、例えば手作業で弾性体を貼るというような手間を無くして、請求項20記載の発明の目的を達成するとともに、コストダウンを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、各請求項毎の発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、像担持体と、該像担持体に対向して配置され該像担持体上に形成された潜像を現像する現像手段と、前記像担持体の下方に配置され該像担持体上に潜像を形成する書き込み手段と、該書き込み手段からの露光が通過する露光通過部とを具備する画像形成装置において、前記露光通過部に対して90度未満の開き角度で開閉自在な開閉手段と、該開閉手段を開閉駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記開閉手段は、前記像担持体と前記書き込み手段との間に配設されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記開閉手段は、前記像担持体および前記現像手段の少なくとも一方と前記書き込み手段とを仕切る、前記露光通過部を備えた仕切り部材に設けられていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記露光通過部は、前記書き込み手段自体に形成されており、前記開閉手段は、前記露光通過部の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記開閉手段が全開したとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の垂直方向の投影面が前記露光通過部を全て覆う面積を前記開閉手段が備えていることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記開閉手段が閉じたとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の密閉性が確保されるように構成したことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記開閉手段または前記露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成したことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に、弾性体を備えたことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、前記弾性体を前記樹脂との2色成形で作製したことを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体、前記現像手段、前記書き込み手段、前記開閉手段および前記駆動手段の少なくとも1つが、複数配置されていることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記駆動手段は、前記開閉手段の開閉動作と連動する、操作によって作動する操作部材を具備することを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項1ないし10の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記駆動手段は、所定のタイミングで前記開閉手段を開閉駆動すべく制御されることを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の発明は、請求項10記載の画像形成装置において、前記駆動手段は、所定のタイミングで前記開閉手段を開閉駆動すべく制御され、前記開閉手段および前記駆動手段を、前記書き込み手段からの黒色用の露光に対応して1つ、黒色用以外の露光に対応して少なくとも1つ配設したことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の画像形成装置において、前記駆動手段は、黒色用の露光のみによって前記像担持体に書き込みがなされるとき、黒色用の露光に対応して配置された前記開閉手段が開動作するように、黒色用以外の露光に対応して配置された前記開閉手段が閉動作するように制御されることを特徴とする。
【0024】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記書き込み手段は、レーザービームで光書き込みを行う光走査装置であることを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項1ないし14の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記書き込み手段は、LEDアレイからの光で光書き込みを行うことを特徴とする。
【0025】
請求項17記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、前記開閉手段が全開したとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の垂直方向の投影面が前記露光通過部を全て覆う面積を前記開閉手段が備えていることを特徴とする。
請求項18記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つ、または請求項17に記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、前記開閉手段が閉じたとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の密閉性が確保されるように構成したことを特徴とする。
【0026】
請求項19記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つ、請求項17または18に記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、前記開閉手段または前記露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成したことを特徴とする。
請求項20記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つ、請求項17、18または19に記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に、弾性体を備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項21記載の発明は、請求項20記載の弾性体は、前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、前記樹脂との2色成形で作製されていることを特徴とするシャッター部材である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置、シャッター機構およびシャッター部材を提供することができる。請求項毎の効果を挙げれば次のとおりである。
【0029】
請求項1ないし4記載の発明によれば、露光通過部に対して90度未満の開き角度で開閉自在な開閉手段と、該開閉手段を開閉駆動する駆動手段とを有することにより、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することができる画像形成装置を提供することができる。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、開閉手段が全開したとき、露光通過部に対する開閉手段の垂直方向の投影面が露光通過部を全て覆う面積を開閉手段が備えるように構成することにより、開閉手段に庇(ヒサシ)の役目を持たせて、請求項1ないし4記載の発明の効果をより確実に奏する。
請求項6記載の発明によれば、開閉手段が閉じたとき、露光通過部に対する開閉手段の密閉性が確保されるように構成することにより、露光通過部に対する開閉手段の密閉性をより向上させて、請求項1ないし4記載の発明の効果をより一層確実に奏する。
【0031】
請求項7記載の発明によれば、開閉手段または露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成することにより、請求項6記載の発明の効果を奏する。
請求項8記載の発明によれば、開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に弾性体を備えることより、請求項6記載の発明の効果を奏するとともに、開閉手段の閉まり音を緩和することもできる。
請求項9記載の発明によれば、開閉手段および露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、弾性体を樹脂との2色成形で作製することにより、例えば手作業で弾性体を貼るというような手間を無くして、請求項8記載の発明の効果に加えて、コストダウンを図れる。
【0032】
請求項10記載の発明によれば、カラー画像形成装置において、請求項1ないし9の何れか一つに記載の発明の効果を奏する。
請求項11記載の発明によれば、駆動手段を、開閉手段の開閉動作と連動する、操作によって作動する操作部材で構成することにより、像担持体としての例えばユニット化された感光体や現像手段の交換時などのトナー落ちの際において、落下トナー等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、落下トナー等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することができる。
【0033】
請求項12記載の発明によれば、駆動手段が、所定のタイミングで開閉手段を開閉駆動すべく制御されることにより、露光通過部の露出状態を例えば露光必要時に極力制限することが可能になることによって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部により侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することができる。
【0034】
請求項13および14記載の発明によれば、カラー画像形成装置において、駆動手段は、所定のタイミングで開閉手段を開閉駆動すべく制御され、開閉手段および駆動手段を、書き込み手段からの黒色用の露光に対応して1つ、黒色用以外の露光に対応して少なくとも1つ配設することにより、モノクロ(白黒単色)画像形成時とカラー画像形成時とに分けて、露光通過部の露出状態を露光必要時に極力制限することが可能になることによって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部により侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、特にカラー画像形成時の白スジ画像等の画質劣化をさらに無くしてより一層の高画質を維持することのできる画像形成装置を提供することができる。
【0035】
請求項17記載の発明によれば、開閉手段が全開したとき、露光通過部に対する開閉手段の垂直方向の投影面が露光通過部を全て覆う面積を開閉手段が備えるように構成することにより、開閉手段に庇(ヒサシ)の役目を持たせて、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することができる。
請求項18記載の発明によれば、開閉手段が閉じたとき、露光通過部に対する開閉手段の密閉性が確保されるように構成することにより、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部の開口部(開口スリット等)から書き込み手段内部に侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が露光通過部のシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、白スジ画像等の画質劣化を無くして高画質を維持することができる。
【0036】
請求項19記載の発明によれば、開閉手段または露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成することにより、請求項18記載の発明の効果を奏する。
請求項20記載の発明によれば、開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に弾性体を備えることより、請求項18記載の発明の効果を奏するとともに、開閉手段の閉まり音を緩和することもできる。
請求項21記載の発明によれば、開閉手段および露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、弾性体を樹脂との2色成形で作製することにより、例えば手作業で弾性体を貼るというような手間を無くして、請求項20記載の発明の効果に加えて、コストダウンを図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を含む実施形態を説明する。各実施形態および変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、上述した背景技術等を含めその符号に括弧を付して示し、実施形態および変形例等のそれと区別するものとする。
【0038】
まず、図7を参照して、本発明を適用する画像形成装置の概略的な全体構成および動作を説明する。同図に示した画像形成装置は、4色のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色毎に配置された像担持体としての感光体と、各感光体に対向して配置され各感光体上に形成された潜像を現像する現像手段としての現像装置と、各感光体および各現像装置の下方に配置され各感光体に潜像を形成する書き込み手段としての光走査装置等とを具備し、各色のトナー像を中間転写体としての中間転写ベルト57に順次重ね転写した後、4色のフルカラートナー像をシート状記録媒体としての転写紙Pに一括して転写することにより、フルカラー画像を形成するタンデム方式のフルカラー画像形成装置40(以下、単に「画像形成装置40」という)である。
【0039】
図7において、符号41は、画像形成装置40の骨組みをなす装置本体を示す。装置本体41内には、像担持体としての4個の感光体51Y、51M、51C、51Bkが図において左から右へとこの順にほぼ水平方向に並んで配置されている。各感光体51Y、51M、51C、51Bkの周りには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色の画像を形成するための画像形成部56Y、56M、56C、56Bkが配置されている。これらの画像形成部56Y、56M、56C、56Bkによりフルカラー画像を形成する。各色の画像形成部56Y、56M、56C、56Bkは、それぞれ同じ構成および動作を行うようになっているため、最左方部に配置されたイエロー(Y)の画像形成部56Yについてのみ説明し、他の画像形成部56M、56C、56Bkについては同じ部分に同一のアラビア数字を付すとともにその色を表す英字を添えることで説明を省略する。
【0040】
画像形成部56Yは、ドラム状の感光体51Y(以下、「感光体ドラム51Y」という)と、この感光体ドラム51Yの周りに配設され図中矢印で示す回転方向順に、イエロー(Y)画像を繰り返し形成するための感光体ドラム51Yの表面を一様に帯電する帯電手段としての図示しない帯電装置(図1に示すブラシ状の帯電装置52Y参照)と、感光体ドラム51Yの帯電表面に静電潜像を光書き込みするイエロー(Y)用の露光であるレーザービーム69Yと、感光体ドラム51Yの静電潜像をイエロー(Y)のトナーで現像する現像手段としての現像装置54Yと、感光体ドラム51Yをクリーニングするクリーニング手段としての図示しないクリーニング装置(図1に簡略的に示すクリーニング装置55Y参照)等とから構成されている。
【0041】
画像形成部56Yは、装置本体41に対して着脱自在に構成されていて、ユニット化されている。感光体ドラム51Yは、光導電性を有し表面に静電潜像を形成する周知の感光体であり、例えば周知の有機感光体からなる。感光体ドラム51Yは、画像形成部56Yを構成する図示しないユニット側板に図7中矢印で示す時計回りに回転自在に支持されていて、図示しない駆動手段としての駆動モータにより回転駆動される。感光体ドラム51Yは、平成、中間転写ベルト57から下方に僅かに離れるように配置されている。
【0042】
図7において、符号53は、レーザービーム69Yの他に、マゼンタ(M)用のレーザービーム69M、シアン(C)用のレーザービーム69C、ブラック(Bk)用のレーザービーム69Bkを各感光体ドラム51M、51C、51Bkの帯電表面にそれぞれ照射する書き込み手段としての光走査装置53を示す。光走査装置53は、各色用の画像信号に応じてレーザービームを生成し感光体ドラム51Yに照射(露光)することにより感光体ドラム51Yの帯電表面に静電潜像を形成する書き込み手段あるいは露光手段としての機能・構成を有する。光走査装置53は、レーザービーム(レーザー光)を生成するレーザ光源としての図示しないレーザダイオード(LD)、このLDから照射されたレーザビームを各色毎に走査するポリゴンミラー70および各種ミラー群等からなる周知のレーザ光走査光学系(図示せず)を具備している。
【0043】
図7において、符号70Y、70M、70C、70Bkは、光走査装置53で生成した各色毎のレーザービーム69Y、69M、69C、69Bkをそれぞれ出射するレーザービーム出射部を、符号72は画像形成部56Y、56M、56C、56Bkと光走査装置53との間を仕切っている仕切り部材としての仕切り板を、それぞれ示す。仕切り板72には、各レーザービーム69Y、69M、69C、69Bkが通過する露光通過部としての開口スリット73Y、73M、73C、73Bkが形成されている。
【0044】
各開口スリット73Y、73M、73C、73Bkは、それぞれ同一の矩形状に同一の寸法で仕切り板72に形成されているため、以下、開口スリット73Yを代表して説明する。開口スリット73Yは、図7の紙面の手前側および奥側に相当する感光体ドラム51Yの軸線方向に延在し図7の左右方向に所定の幅をもって細長い矩形状に形成されている。
【0045】
このように、画像形成装置40では、4本の感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkの下方より、光走査装置53から照射される各レーザービーム69Y、69M、69C、69Bkによって静電潜像が光書き込みされる構成であるため、その光書き込みの際に、各現像装置54Y、54M、54C、54Bk、各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkなどからトナー等が落下してくることが、十分予想される。そこで、光走査装置53と現像装置54Y、54M、54C、54Bkなどを備えた各プロセスユニットとを、分離するための仕切り板72が必要となる。
【0046】
各開口スリット73Y、73M、73C、73Bkには、各レーザービーム69Y、69M、69C、69Bkの通過に支障を与えない透明部材からなる透過部やシールガラス等が適宜設けられる場合もある。また、各レーザービーム出射部70Y、70M、70C、70Bkも、各レーザービーム69Y、69M、69C、69Bkの出射・通過に支障を与えない透明部材で覆うことで、光走査装置53の内部が完全に密閉される場合もある。このような構成であることにより、発明が解決しようとする課題の欄で説明した問題点が発生するわけである。
なお、各現像装置54Y、54M、54C、54Bkおよび光走査装置53は、それぞれユニット化されていて、現像ユニット54Y、54M、54C、54Bk、光書き込みユニット53とも呼べる装置構成となっていることを付記しておく。
【0047】
各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkの配置位置の図7において上方には、無端ベルトである中間転写ベルト57が近接・対向して張設されている。中間転写ベルト57は、駆動ローラ58と従動ローラ59との間に掛け渡されて図中矢印方向(反時計回り)に回転・走行するようになっている。中間転写ベルト57は、図示の位置に配置されたテンションローラ62a、62b、62c等により最適の張力が付与されるようになっている。
【0048】
各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkに対向する図7において上方には、中間転写ベルト57を挟んで転写用のバイアス電圧が印加される転写装置としての転写用加圧ローラ63Y、63M、63C、63Bkが配設されている。転写用加圧ローラ63Y、63M、63C、63Bkは、平成、中間転写ベルト57から僅かに上方へ離れており、各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bk上に形成される後述する各色毎のトナー像を中間転写ベルト57に転写する工程で、中間転写ベルト57に接触しこれを下方に押圧することで中間転写ベルト57を各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkに接触するように変位自在に構成されている。
【0049】
駆動ローラ58には、転写用のバイアス電圧を印加される転写ローラ61が中間転写ベルト57を介して接離自在に設けられている。駆動ローラ58と転写ローラ61により、カラー画像の転写部60を構成している。なお、転写用加圧ローラ63Y、63M、63C、63Bkに代えて、コロナ放電器または転写ブラシを採用する場合もある。
従動ローラ59側には、中間転写ベルト57の表面に残存するトナーを除去する図示しないクリーニング装置が中間転写ベルト57に接離自在に設けられている。
【0050】
各現像装置54Y、54M、54C、54Bkは、2成分現像剤を使用していて、トナーの色のみが相違する。現像装置54Yはイエロートナーおよびキャリアを、現像装置54Mはマゼンタトナーおよびキャリアを、現像装置54Cはシアントナーおよびキャリアを、現像装置54Bkはブラックトナーおよびキャリアをそれぞれ収容しており、各上記帯電装置と光走査装置53とによる周知の方法で形成された各感光体ドラム56Y、51M、51C、51Bk上の静電潜像を、それぞれの現像ローラ(図1に示す現像ローラ80Y参照)により現像する。
【0051】
ここで、説明の都合上から、図1を参照して現像装置54Yの構成を簡単に説明しておく。現像ローラ80Yは、現像手段であって、固定磁石の周りを非磁性のスリーブを回転させる形式のものを使用した磁気ブラシ現像方式を採用している。現像装置54Yは、現像剤撹拌器である現像剤パドル81Yおよびトナー補給器である搬送スクリュー82Y等を具備する周知の構成を有する。
【0052】
搬送スクリュー82Yは羽根を螺旋状に巻いたような構造を有している。現像剤パドル81Yは、現像剤の撹拌機能と搬送機能をもたせるために、例えば螺旋状の羽根と8枚の放射状の板とを有している。現像剤パドル81Yと搬送スクリュー82Yとは、それぞれ回転により軸方向上互いに逆向きに現像剤を搬送し、現像ローラ80Yの軸長手方向上に均等に現像剤を分布させる。他の現像装置54M、54C、54Bkの構成も、上記と同様である。
【0053】
転写紙Pは、装置本体41の下部に配設された給紙カセット64、本体給紙装置65の何れか一つが選択されることにより、レジストローラ対68で所定のタイミングをとって転写部60に送り出される。
給紙カセット64、本体給紙装置65は、転写紙Pを積載収納しているサイズが主に異なり、ほぼ同様の構成を有しているため、給紙カセット64を代表して説明する。給紙カセット64は、転写紙Pを積載収納するカセットと、このカセットの上方に配設され最上位の転写紙Pを1枚ずつ給送する給紙ローラ66と、この給紙ローラ66により給送された転写紙Pを1枚ずつに分離・搬送する分離ローラ対67等とから主に構成されている。本体給紙装置65の分離ローラ対67とレジストローラ対68との間の転写材搬送路には、図示しない転写材ガイド板および搬送コロ対が配設されている。
【0054】
画像形成装置40は、ユーザが図7に示す紙面の手前側に位置して操作等を行ういわゆるフロントローディング方式を採用している。このため、紙面の手前側に開閉自在に設けられる前カバー(図示せず)や、この前カバーのさらに内側に開閉自在に設けられる内カバー(図示せず)を適宜開閉操作することにより、各画像形成部56Y、56M、56C、56Bkの着脱・交換や、例えばユニット化されて装置本体41に対して着脱自在なプロセスカートリッジを構成している現像装置54Y、54M、54C、54Bkの着脱・交換、あるいは給紙カセット64や本体給紙装置65を操作して転写紙Pの補充等を行うようになっている。
【0055】
転写材搬送路の下流側である図7において装置本体41の右上方部には、中間転写ベルト57上から転写紙Pを分離するための図示しない分離装置が中間転写ベルト57を介して駆動ローラ58に対向して設けられる。該分離装置の上側には転写紙Pに転写された各色のトナー像を溶融加圧定着するための定着ローラ75および加圧ローラ76を具備する定着装置74が配設されている。さらに定着装置74の上方には、排紙ガイド板(図示せず)を介して一対の排紙ローラ78が、この排紙ローラ対78の左方にはトナー像の形成された転写紙Pを排出するための排紙口、排紙トレイを備えた排紙部77が配設されている。
【0056】
次に、フルカラー画像形成時の動作を説明する。
図示しない操作パネルのキー操作等によりフルカラー画像形成の信号が送信されると、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各画像形成部56Y、56M、56C、56Bkが所定のタイミングでそれぞれ作動して、各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bk上に各色のトナー像が形成される。これを画像形成部56Yで例示すると、感光体ドラム51Yが図1中時計回り方向に回転するとともに、その外表面が図示しない帯電装置により一様に帯電され、次いで光走査装置53の前記LDから画像信号に応じてレーザ光が照射され、ポリゴンミラー71により走査されつつ感光体ドラム51Y上に露光・結像されて、イエロー(Y)用の静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム51Yが現像装置54Yに対向すると、現像装置54Y内の現像剤担持体である現像ローラ80Y(図1参照)により現像装置54Y内の現像剤が感光体ドラム51Yと対向する現像ニップ領域へ搬送されることで、現像剤中のトナーが感光体ドラム51Yの表面に形成された静電潜像に供給・付着されて現像され、感光体ドラム51Y上にイエロー(Y)の顕像化されたトナー像が形成される。
他色の画像形成部56M、56C、56Bkでも、画像形成部56Yと同様にして各色のトナー像が形成される。
【0057】
各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bk上に各色のトナー像が形成される像形成サイクル開始に伴い、中間転写ベルト57が図示しない駆動モータによって反時計回りに回転されるとともに、各転写用加圧ローラ63Y、63M、63C、63Bkによる各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkへの中間転写ベルト57の押圧動作を介して、各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bk上に形成されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)のトナー像が、この順に中間転写ベルト57上で正確に位置合わせされ、4色重ねのフルカラーのトナー像が形成される。
【0058】
一方、図示しない操作パネルのキー操作等により、給紙カセット64、本体給紙装置65の何れか一つが給紙すべく選択された転写紙Pは、給紙ローラ66により取り出され、分離ローラ対67によって1枚ずつに分離されて転写材搬送路に沿ってレジストローラ対68に送られた後、レジストローラ対68により転写紙Pの先端が中間転写ベルト57上に形成されたフルカラーのトナー像にタイミングを合わせて転写部60の転写領域に送られる。そして、中間転写ベルト57上に形成されたフルカラーのトナー像が転写部60の転写領域を通過する時に、電界の作用で転写紙Pに一括転写される。
【0059】
フルカラーのトナー像が形成された転写紙Pは、図示しない分離装置により中間転写ベルト57から分離された後、定着装置74へ送り込まれ、定着装置74によりフルカラーのトナー像が溶融加圧定着されてフルカラー画像が完成し、排紙部77の排紙ローラ対78を介して排紙トレイ(図示せず)上に排出される。これにより、フルカラーコピーが得られる。
【0060】
一方、転写紙Pに転写し切れずに感光体ドラム51Y表面に残った残留トナーや紙粉等は、クリーニングブレード等を備えた前記図示しないクリーニング装置により除去・回収される。また、中間転写ベルト57上の残留トナーや紙粉等も、前記図示しないクリーニング装置により除去される。前記クリーニング装置を通過した感光体ドラム51Yの表面は、その後、図示しない帯電装置により表面を一様に帯電され、次の画像形成工程を繰返す。これと同様の特有の動作が、残りの各画像形成部56M、56C、56Bkでも同様に行われる。
なお、画像形成装置40は、本発明に係る画像形成装置の一例であり、像担持体としてはドラム状の感光体に限らず、例えば無端ベルト状のものを使用してもよいし、書き込み手段からの露光としてはレーザ光源からのレーザービームに限らず、LEDアレイからの光で静電潜像を形成するものを使用してもよい。
【0061】
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して、第1の実施形態に係るシャッター機構、これを備えた画像形成装置20を説明する。
画像形成装置20は、図7に示した従来の画像形成装置40と比較して、図1に要部の一部分を示すように、光走査装置53から照射されたレーザービーム69Yが通過する露光通過部としての開口スリット73Yに対して90度未満の開き角度で開閉自在な開閉手段(開閉部材)としての開閉シャッター1と、開閉シャッター1を開閉駆動する駆動手段4とを有する点が主に相違する。
シャッター機構は、開口スリット73Y、開閉シャッター1(または後述する開閉シャッター1A)および駆動手段4で構成されている。
【0062】
開閉シャッター1は、その基端部が支軸2に固着されており、図1の紙面の手前側および奥側の開口スリット73Yの両端縁近傍の仕切り板72に形成された2箇所の軸受部材3に支軸2が所定角度回動自在に支持されていることにより、図1に実線で示す開位置と、同図に二点鎖線で示す閉位置との間で開閉自在に構成されている。図1に示す開閉シャッター1では、開位置と閉位置との間の自由端部の開き角度θ(以下、「開閉角度θ」と言い替える)が60度となるように構成されている。図2に示す開閉シャッター1Aでは、開閉角度θが30度となるように構成されている。開閉シャッター1、1Aの開閉角度θの設定は、例えば軸受部材3に開き角度を規制する突起状のストッパーを設けることや、駆動手段2側で規制することなどによって容易に行うことができる。
【0063】
開閉シャッター1、1Aは、飛散ないしは落下してくるトナーや粉塵、あるいは異物などを開口スリット73Yから光走査装置53内へ侵入しないように遮蔽できる部材であるならばどのような材質のものでもよいが、樹脂や板金等で一体的に形成すると、比較的割安に製作できる。開閉シャッター1は、閉位置を占めたとき、開口スリット73Yの全範囲を覆うような大きき・形状をもって、図1の紙面の手前側および奥側に相当する感光体ドラム51Yの軸線方向に延在し同図の左右方向に所定の幅をもって細長い矩形状に形成されている。
【0064】
開口スリット73Yに対する開閉シャッター1の開閉角度θを、90度未満に設定しているのは、開閉シャッター1が開位置を占めているとき、図1および図2において開閉シャッター1、1Aの自由端から垂らした一点鎖線で示す鉛直線で表すように、開閉シャッター1、1A自身にヒサシ(庇)の役目を持たせているためである。開閉角度θが90度以上では、開閉シャッター1、1Aが開位置を占めているとき、自重で降下してくるトナーや粉塵等を開口スリット73Yから侵入しないように防ぐヒサシの役目がなくなり、役に立たないものとなる。
【0065】
図3を参照して、開口スリット73Yの開口面積(図2(b)における左右方向の開口幅×X方向の長さ)を一定とした場合に、大きさ・寸法の異なる2つの開閉シャッター1、1Aの開閉角度と投影長さ・面積について考察する。
図3(a)、(b)において、符号Bは、開閉シャッター1A、1が異なる開閉角度θ=30度、60度で開位置を占めて全開したとき、開閉シャッター1A、1自身に上述のヒサシの役目を持たせるために開閉シャッター1A、1としての必要な長さ、すなわち開口スリット73Yに対する開閉シャッター1A、1の垂直方向(鉛直方向でもある)の投影長さであり、開口スリット73Yの図における左右方向の同じ幅寸法を表している。また、符号L1Aは開閉シャッター1Aの全開時の同シャッター長さを、符号L1は開閉シャッター1の全開時の同シャッター長さをそれぞれ表している。
【0066】
図3(a)に示すように、開閉シャッター1Aが開閉角度θ=30度で開位置を占めて全開したとき、開閉シャッター1A自身にヒサシの役目を持たせていることから、開口スリット73Yに対する開閉シャッター1Aの垂直方向(鉛直方向でもある)の投影面が開口スリット73Yを全て覆う面積を開閉シャッター1Aが備えていなければないらいことが容易に分かる。
【0067】
同様に、図3(b)に示すように、開閉シャッター1が開閉角度θ=60度で開位置を占めて全開したとき、開閉シャッター1自身にヒサシの役目を持たせていることから、開口スリット73Yに対する開閉シャッター1Aの垂直方向(鉛直方向でもある)の投影面が開口スリット73Yを全て覆う面積を開閉シャッター1Aが備えていなければないらいことが容易に分かる。
【0068】
図3(a)、(b)に示した投影長さ、投影面の考え方から、開閉角度θ=60度の開閉シャッター1の方が、開閉角度θ=30度の開閉シャッター1Aよりも大きな部材となってしまうことが分かる。従って、開閉シャッターの開閉角度θを必要最小限に設定して、例えば90度未満よりも開閉角度θの小さい60度未満に設定することで、開閉シャッターを小型化し部材の節約を図るとともに、開閉シャッターの投影長さBおよび面積がレーザービーム69Yの開口スリット73Yをすべて覆うようにヒサシの役目を持たせ、光走査装置53(書き込みユニット)にトナーや粉塵を入れないようにすることが好ましい。
【0069】
開閉シャッター1(または1A)は、図1ではその図示を省略しているが、他の各レーザービーム69M、69C、69Bkが通過する露光通過部としての各開口スリット73M、73C、73Bkに対して60度(開閉シャッター1Aでは30度)の開閉角度θで開閉自在に、それぞれ各開口スリット73M、73C、73Bk近傍の仕切り板72に配設されている。
【0070】
図2(a)、(b)を参照して、開閉シャッター1A(または1)の駆動手段4を説明する。図2(a)において、ばね7および面板10は省略されており、また図2(b)において、支軸2および軸受部材3は省略されている。
駆動手段4は、図2(a)、(b)に示すように、支軸2の一端部寄りの開閉シャッター1Aに固着されたアーム9と、感光体ドラム51Yの軸線と平行なX方向に移動自在に支持されアーム9と接触可能なカム部5bを備えたスライドレバー5と、スライドレバー5を常に図において上向きに付勢する付勢手段としてのばね(圧縮ばね)7と、開閉シャッター1Aを常に閉位置を占める向きに付勢する開閉シャッター1Aの基端部と軸受部材3との間に介装された図示しないねじりコイルばねと、スライドレバー5の一端部と圧接可能であり、操作によって作動する操作部材としての同図に二点鎖線で示す面板10とから主に構成されている。
【0071】
アーム9は、開閉シャッター1Aの基端部に対して垂下するように支軸2に固着されている。図2(a)において、実線で示す開閉シャッター1Aは閉位置を、二点鎖線で示す開閉シャッター1Aは開位置をそれぞれ占めていることを表している。
スライドレバー5には、X方向に延びた長孔5aが形成されている。スライドレバー5は、2本の段付ねじ6が長孔5a内に緩く挿通された状態で仕切り部材72の下面壁(裏面壁)に螺着されていることにより、X方向に移動自在になされている。カム部5bは、スライドレバー5のX方向に対して鋭角をもって傾斜した傾斜面に形成されている。
【0072】
ばね7は、スライドレバー5の他端と仕切り部材72の下面壁に固着されたばね受け部材8との間に装着されていて、スライドレバー5を常に図において上向きに付勢していることにより、スライドレバー5に外力が加わっていない場合には開閉シャッター1Aはねじりコイルばねの付勢力によって閉位置を占めることとなる。
面板10は、例えば図7に示したフロントローディング方式の画像形成装置40を借りて説明すると、紙面の手前側に開閉自在に設けられている前カバーや、内カバーの内壁面に固着された部材である。
【0073】
次に、駆動手段4の動作を説明する。
図2(a)、(b)において、前記前カバーや、前記内カバーがばね7および前記ねじりコイルばねの付勢力に抗して閉じられる画像形成動作時等においては、スライドレバー5の一端が面板10によってX方向の図において下側に押されることにより、スライドレバー5は二点鎖線で示すようにX方向の図において下側にスライドしつつ、カム部5bがアーム9をX方向と直交する方向に押し動かすことで、開閉シャッター1Aは支軸2を中心として図2(a)に二点鎖線で示すように開いて開位置を占めることとなる。これにより、光走査装置53からのレーザービーム69Yが開口スリット73Yを通過して感光体ドラム51Y(図2に図示せず、図1参照)へ照射可能、すなわち光書き込み可能となる。
【0074】
一方、感光体ドラム51Yの交換を行う際の画像形成部56Yの着脱時や、プロセスカートリッジ式の現像装置54Yの交換・着脱時では、前記前カバーや、前記内カバーが開放されることにより、その面板10が図2(b)に二点鎖線で示す位置からさらにX方向の図において上側に移動し開放することで、スライドレバー5はばね7の付勢力によって二点鎖線で示す位置から実線で示すようにX方向の図において上側にスライドする。この際、前記ねじりコイルばねの付勢力によって開閉シャッター1Aは支軸2を中心として図2(a)に実線で図2(b)に破線で示すように閉じて閉位置を占めることとなる。
【0075】
開閉シャッター1の駆動手段の構成も、開閉シャッター1Aの駆動手段4と基本的には同じであり、開閉角度が異なることに伴い、スライドレバー5のスライド量等が少し大きくなるだけである。このため、図2(a)、(b)において、開閉シャッター1の駆動手段も開閉シャッター1Aの駆動手段4と実質的に同じであることを表すために、括弧を付して示している。
【0076】
図2に示した例では、開閉シャッター1A(または1)の閉位置での開口スリット73Yに対する遮蔽を余裕をもって行うように開口スリット73Yの大きさを小さ目に設定したが、これに限らず、例えば開閉シャッター1A(または1)の開閉・揺動時におけるアーム9へのカム5bによる分力をできるだけ小さくすることにより、面板10の閉時押し込み力をできるだけ小さくして効率的にするには、開口スリット73Yの開口範囲を支軸2の真下まで部分的(アーム9の揺動範囲内)に広げて、アーム9を開閉シャッター1A(または1)の支軸2との固着部から垂直に垂れ下がるように設けるようにしてもよい。
【0077】
駆動手段4のうちの面板10を除く構成要素は、他の3箇所の各開口スリット73M、73C、73Bkにそれぞれ配置された開閉シャッター1A(または1)に対応してそれぞれ図2に代表して示したと同様に配設されている。面板10は、4箇所の開口スリット73Y、73M、73C、73Bkにそれぞれ配置された開閉シャッター1A(または1)に対応すべく図2(b)の左右方向へ延在して設けられている。
【0078】
従って、各感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkの交換を行う際の各画像形成部56Y、56M、56C、56Bkの着脱時や、プロセスカートリッジ式の各現像装置54Y、54M、54C、54Bkの交換・着脱時トナー落ちや粉塵あるいは異物の落下等があっても開閉シャッター1A(または1)によって各開口スリット73Y、73M、73C、73Bkが遮蔽されているため、トナーや粉塵あるいは異物等が開口スリット73Y、73M、73C、73Bkから光走査装置53の内部へ侵入することがない。
【0079】
(第2の実施形態)
図4に、第2の実施形態に係る駆動手段24を示す。
駆動手段24は、図2に示した駆動手段4と比較して、開閉シャッター1A(または1)の開閉動作を、外部からの例えば人の操作力によって作動・連動させる方式に代えて、所定のタイミングで開閉駆動すべく制御される方式を採用したことが主に相違する。以下、開閉シャッター1Aを代表して、駆動手段24を説明する。
第2の実施形態のシャッター機構は、開口スリット73Y、開閉シャッター1A(または1)および駆動手段24で構成されている。
【0080】
図4に示すように、駆動手段24は、開閉シャッター1Aの基端部を固着した支軸2に垂直に固設され長孔29aを形成されたアーム29と、アーム29近傍の仕切り板72上に固設されアーム29と連結ピン27を介して連結されたプランジャ26を備えたプル型のソレノイド25と、アーム29とプランジャ26に巻着され開閉シャッター1Aを常に閉位置を占める向きに付勢するばね28(圧縮ばね)とから主に構成されている。
【0081】
アーム29とプランジャ26とは、アーム29の長孔29aに連結ピン27が緩く挿通されていることにより、互いに連結されている。ソレノイド25は、例えばそれぞれ図示しないCPU(中央演算処理装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)、ROM(読み出し専用記憶装置)およびタイマ等から構成された制御手段としてのマイクロコンピュータの前記CPUに電気的に接続されており、該CPUによって制御される。前記ROMには、画像形成装置20の動作を行うためのプログラムや、前記CPUの制御機能を発揮するための関係データ等が予め記憶されている。
【0082】
駆動手段24は、他の3箇所の各開口スリット73M、73C、73Bkにそれぞれ配置された開閉シャッター1Aに対応してそれぞれ図2に代表して示したと同様に配設されている。すなわち、開閉シャッター1Aおよび駆動手段24は、光走査装置53からのブラック(Bk:黒色)用のレーザービーム69Bkに対応して1つ、ブラック(Bk:黒色)用以外のレーザービームに対応して少なくとも1つ(本実施形態例ではレーザービーム69Y、69M、69Cの3つ)配設されている。
【0083】
次に、駆動手段24の動作を説明する。
画像形成動作時には、前記CPUからの指令によって、ソレノイド25がばね28の付勢力に抗してオン・励磁されることにより、プランジャ26が引き込まれるので、開閉シャッター1Aは支軸2を中心として図4に二点鎖線で示すように開いて開位置を占めることとなる。これにより、光走査装置53からのレーザービーム69Yが開口スリット73Yを通過して感光体ドラム51Y(図4に図示せず、図1参照)へ照射可能、すなわち光書き込み可能となる。
【0084】
一方、感光体ドラム51Yの交換を行う際の画像形成部56Yの着脱時や、プロセスカートリッジ式の現像装置54Yの交換・着脱時では、前記CPUからの指令によって、ソレノイド25がオフのままであることにより、ばね28の付勢力によって開閉シャッター1Aは支軸2を中心として図4に実線で示すように閉じて閉位置を占めることとなる。
【0085】
画像形成装置20の全体の動作としては、以下のようになる。例えばモノクロ・単色の画像形成動作時においては、すなわちブラック(Bk:黒色)用のレーザービーム69Bkのみによって画像形成部56Bkにおける感光体ドラム51Bkに光書き込みがなされるとき、前記CPUからの指令によって、ブラック(Bk:黒色)用のレーザービーム69Bkに対応して配置された開閉シャッター1Aが開動作するようにブラック(Bk:黒色)用のレーザービーム69Bkに対応して配置された駆動手段24が、ブラック(Bk:黒色)用のレーザービーム69Bk以外に対応して配置された各レーザービーム69Y、69M、69Cに対応して配置された開閉シャッター1Aが閉動作するように各レーザービーム69Y、69M、69Cに対応して配置された駆動手段24が、それぞれ制御される。
【0086】
従って、第2の実施形態によれば、フルカラー画像形成装置20において、駆動手段24は、所定のタイミングで開閉シャッター1Aを開閉駆動すべく制御され、開閉シャッター1Aおよび24駆動手段を、光走査装置53からのブラック(Bk:黒色)用レーザービーム69Bkに対応して1つ、ブラック(Bk:黒色)用以外の各レーザービーム69Y、69M、69Cに対応して少なくとも1つ配設することにより、モノクロ(白黒単色)画像形成時とカラー画像形成時とに分けて、ブラック(Bk:黒色)用の開口スリット73Bkとブラック(Bk:黒色)用以外の各開口スリット73Y、73M、73Cとの露出状態を露光必要時に極力制限することが可能になる。これによって、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が各開口スリット73Y、73M、73Cから光走査装置53内部により侵入しにくくしたり、飛散・落下トナーや粉塵あるいは異物等が各開口スリット73Y、73M、73Cに適宜設けられるシールガラスや透過部等上に堆積することで煩わしい清掃をしたりする必要のない、特にカラー画像形成時の白スジ画像等の画質劣化をさらに無くしてより一層の高画質を維持することができる。
【0087】
(変形例1)
図5を参照して、第1の実施形態の変形例1に係るシャッター機構および画像形成装置を説明する。
変形例1は、第1の実施形態の開閉シャッター1A(または1)が閉じたとき、各開口スリット73Y、73M、73C、73Bkに対する開閉シャッター1A(または1)の密閉性が確保されるように構成した点、具体的には開閉シャッター1A(または1)に代えて、周囲部を凹凸状に形成した開閉シャッター31を有する点、および各開口スリット73Y、73M、73C、73Bkに代えて、周囲部を凹凸状に形成した各開口スリット30aY(30aM、30aC、30aBk)を仕切り板72に有する点が主に相違する。以下、開閉シャッター31および開口スリット30aYを代表して説明する。
【0088】
開口スリット30aYは、開口スリット73Yと比較して、仕切り板72の開口周囲の縁部に凸状の立ち上がり壁30aを形成した点のみ相違する。開閉シャッター31は、開閉シャッター1Aと比較して、閉位置を占めたとき、立ち上がり壁30aに緩く嵌合する凹部31aと、開口スリット30aY内に緩く嵌入する凸部31bとが形成されている点のみが相違する。
【0089】
開閉シャッター31が支軸2を中心として時計回りに揺動して、二点鎖線で示すように閉位置を占めたとき、開閉シャッター31の凹部31aが立ち上がり壁30aに緩く嵌合するとともに、開閉シャッター31の凸部31bが開口スリット30aY内に緩く嵌入することで、密閉性が向上し、トナーや粉塵等が光走査装置53内部に侵入したり、レーザービーム出射部70Y(図5には図示せず、図1参照)に落ちて堆積するのを防止している。図示を省略した他の各開口スリット30aM、30aC、30aBkでも、同様の動作が行われて同様の利点を得られる。
【0090】
変形例1では、開閉シャッター31に限らず、開閉角度が60度の上記同様の凹凸状に形成された図示しない開閉シャッター、換言すれば開閉角度が90度未満の上記同様の凹凸状に形成された開閉シャッターでも上述したと同様に構成して同様の利点を得ることができる。駆動手段4に限らず、駆動手段24を採用して第2の実施形態と同様に動作させることも勿論可能である。
【0091】
(変形例2)
図6を参照して、第1の実施形態の変形例2に係るシャッター機構および画像形成装置を説明する。
変形例2は、第1の実施形態の開閉シャッター1A(または1)と比較して、開閉シャッター1A(または1)の下面(裏側)に弾性体33を備えている点が相違する。以下、開閉シャッター1Aを代表して説明する。
【0092】
弾性体33は、適宜のスポンジまたは発泡ゴムなどの弾性体からなり、開閉シャッター1Aの下面に例えば両面テープや接着剤で貼り付け・固定される。弾性体33は、開閉シャッター1Aが支軸2を中心として時計回りに揺動して、二点鎖線で示すように閉位置を占めたときに、弾性体33によって開口スリット73Yが密封されることで、密閉性が向上して、トナーや粉塵等が光走査装置53内部に侵入したり、レーザービーム出射部70Y(図5には図示せず、図1参照)に落ちて堆積するのを防止している。また、同時に、開閉シャッター1Aの閉まり音を消音する機能もある。
【0093】
弾性体33は、図6に示した矩形状に限らず、開口スリット73Yの開口縁部の全周囲に対応してその中央部をくり抜いたような形状にして部材の節約を図ってもよい。また、開閉シャッター1Aの下面に弾性体33を貼り付けるのに代えて、開口スリット73Yの開口縁部の全周囲に弾性体33を貼り付けたり、あるいは開閉シャッター1Aの下面と開口スリット73Yの開口縁部の全周囲とに弾性体33を貼り付けたりしてもよい。
【0094】
変形例2では、開閉シャッター1Aに限らず、開閉角度が60度の開閉シャッター1、換言すれば開閉角度が90度未満の開閉シャッターでも上述したと同様に構成して同様の利点を得ることができる。変形例2は、駆動手段4に限らず、駆動手段24を採用して第2の実施形態と同様に動作させることも勿論可能である。
【0095】
(変形例3)
図6を借りて、変形例2の変形例3に係るシャッター部材、シャッター機構および画像形成装置を説明する。
変形例3は、変形例2と比較して、開閉シャッター1A(または1)の下面に弾性体33を両面テープや接着剤で貼り付け・固定した構造に代えて、開閉シャッター1A(または1)を樹脂(例えばABS樹脂やポリカーボネート樹脂(PC))で形成するとともに、この樹脂製の開閉シャッター1A(または1)の下面にシャッター部材としての弾性体を前記樹脂との2色成形で作製した点が相違する。
【0096】
変形例3では、変形例2における弾性体33を両面テープや接着剤で貼り付け・固定した構造に代えて、樹脂の2色成型法を使用しているので、樹脂+エラストマー成型により、弾性体の貼り付け工程を削減でき、コストダウンを図ることができる。
なお、開閉シャッター1A(または1)を樹脂で形成するのに代えて、仕切り板72を前記樹脂で形成して、開口スリット73Yの開口縁部を弾性体で樹脂製の仕切り板72との2色成形で作製してもよい。
【0097】
開閉手段は、図1や図2の仕切り部材72に形成された開口スリット73Y、73M、73C、73Bkを開閉すべく同開口スリット近傍の仕切り部材72に配設された開閉シャッター1、1Aや、図5の仕切り部材72に形成された開口スリット30aY、30aM、30aC、30aBkを開閉すべく同開口スリット近傍の仕切り部材72に配設された開閉シャッター31に限らず、これらと同様の開閉シャッターを、光走査装置53自体に形成された露光通過部としてのレーザービーム出射部70Y、70M、70C、70Bkを開閉するように配設してもよい。
【0098】
本発明に係るシャッター機構およびシャッター部材および画像形成装置は、4つの画像形成部56Y、56M、56C、56Bk、すなわち4本の感光体ドラム51Y、51M、51C、51Bkがタンデム式に配置されたフルカラーの画像形成装置40に適用した画像形成装置20の例に限らず、それぞれ2色の画像形成が可能な2つの画像形成ステーションが中間転写体に沿って配置された、例えば特開2000−305417号公報の図1、図15、特開2003−334989号公報の図16に示されている画像形成装置にも適用可能である。また、これらに限らず、特開2000−263839号公報の図1に示されているような単一の感光体(10)および光走査装置14を有する画像形成装置にも、開口部(54)を備えたシャッター(42)に代えて、適用できることはいうまでもない。
【0099】
書き込み手段は、光走査装置53に限らず、LEDアレイからの光で光書き込みを行う周知のLEDヘッド等からなるものであってもよく、上述したと同様の利点・効果を奏する。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した各実施形態や各変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施形態を示すシャッター機構を備えた画像形成装置の要部の一部断面正面図である。
【図2】(a)は、(b)に示す開閉シャッターの駆動手段のSb−Sbの拡大断面図、(b)は、(a)をV方向から見た縮小下面図である。
【図3】大きさ・寸法の異なる2つの開閉シャッターの開閉角度と投影長さ・面積について説明する断面図である。
【図4】図1の開閉シャッターの別の駆動手段周りの拡大断面図である。
【図5】変形例1のシャッター機構周りの断面図である。
【図6】変形例2のシャッター機構周りの断面図である。
【図7】本発明を適用するフルカラー画像形成装置の概略的な正面図である。
【符号の説明】
【0101】
1,1A、31 開閉シャッター(開閉手段)
4、24 駆動手段
10 面板(操作部材)
20 画像形成装置
25 ソレノイド
33 弾性体
51Y、51M、51C、51Bk 感光体ドラム(像担持体)
53 光走査装置(書き込み手段)
54Y、54M、54C、54Bk 現像装置(現像手段)
72 仕切り板(仕切り部材)
30aY、30aM、30aC、30aBk、73Y、73M、73C、73Bk 開口スリット(露光通過部)
P 転写紙(シート状記録媒体の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体に対向して配置され該像担持体上に形成された潜像を現像する現像手段と、前記像担持体の下方に配置され該像担持体上に潜像を形成する書き込み手段と、該書き込み手段からの露光が通過する露光通過部とを具備する画像形成装置において、
前記露光通過部に対して90度未満の開き角度で開閉自在な開閉手段と、該開閉手段を開閉駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記開閉手段は、前記像担持体と前記書き込み手段との間に配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記開閉手段は、前記像担持体および前記現像手段の少なくとも一方と前記書き込み手段とを仕切る、前記露光通過部を備えた仕切り部材に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記露光通過部は、前記書き込み手段自体に形成されており、
前記開閉手段は、前記露光通過部の近傍に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記開閉手段が全開したとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の垂直方向の投影面が前記露光通過部を全て覆う面積を前記開閉手段が備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記開閉手段が閉じたとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の密閉性が確保されるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記開閉手段または前記露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に、弾性体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、前記弾性体を前記樹脂との2色成形で作製したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体、前記現像手段、前記書き込み手段、前記開閉手段および前記駆動手段の少なくとも1つが、複数配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記駆動手段は、前記開閉手段の開閉動作と連動する、操作によって作動する操作部材を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1ないし10の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記駆動手段は、所定のタイミングで前記開閉手段を開閉駆動すべく制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項10記載の画像形成装置において、
前記駆動手段は、所定のタイミングで前記開閉手段を開閉駆動すべく制御され、
前記開閉手段および前記駆動手段を、前記書き込み手段からの黒色用の露光に対応して1つ、黒色用以外の露光に対応して少なくとも1つ配設したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13記載の画像形成装置において、
前記駆動手段は、黒色用の露光のみによって前記像担持体に書き込みがなされるとき、黒色用の露光に対応して配置された前記開閉手段が開動作するように、黒色用以外の露光に対応して配置された前記開閉手段が閉動作するように制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記書き込み手段は、レーザービームで光書き込みを行う光走査装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1ないし14の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記書き込み手段は、LEDアレイからの光で光書き込みを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、
前記開閉手段が全開したとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の垂直方向の投影面が前記露光通過部を全て覆う面積を前記開閉手段が備えていることを特徴とするシャッター機構。
【請求項18】
請求項1ないし4の何れか一つ、または請求項17に記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、
前記開閉手段が閉じたとき、前記露光通過部に対する前記開閉手段の密閉性が確保されるように構成したことを特徴とするシャッター機構。
【請求項19】
請求項1ないし4の何れか一つ、請求項17または18に記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、
前記開閉手段または前記露光通過部の各周囲部を、凹凸状に形成したことを特徴とするシャッター機構。
【請求項20】
請求項1ないし4の何れか一つ、請求項17、18または19に記載の露光通過部、開閉手段および駆動手段を具備するシャッター機構において、
前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方に、弾性体を備えたことを特徴とするシャッター機構。
【請求項21】
請求項20記載の弾性体は、前記開閉手段および前記露光通過部の周囲部の少なくとも一方を樹脂で形成するとともに、前記樹脂との2色成形で作製されていることを特徴とするシャッター部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−27168(P2006−27168A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211565(P2004−211565)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】