説明

画像形成装置

【課題】 LEDヘッド近傍に配設される現像器を、装置本体から取り外す際に、LEDヘッドをこれらの部材から離間した位置に移動させておくことによって、現像器の取り外し処理時に、LEDヘッドにトナーが付着して汚すことを防止する。
【解決手段】 一様に帯電された感光体ドラム11の表面に、光を照射して静電潜像輪形成するためにLEDヘッド15を用い、前記静電潜像を現像器7に収容したトナーで現像してなる画像形成装置1であって、前記LEDヘッド15を、前記感光体ドラム11に近接させた書き込み位置と、大きく離間させた離間位置との間で移動可能に設け、前記装置本体から現像器7を取り外す動作に連動させて、前記LEDヘッド15を離間位置に移動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一様に帯電された感光体ドラムに静電潜像を形成するために、書込み手段として発光ダイオード(LED)ヘッドを用いた画像形成装置に関し、特に、装置本体から現像器を取り外す動作に連動させて、LEDヘッドを感光体ドラムから離間させるようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、感光体ドラムに画像情報を書き込みするために、書込み装置としてレーザ光を用いた装置を用いる他に、発光ダイオード(LED)を用いた装置を用いることも一般的に行われている。このLEDを用いた書込み装置においては、LED素子にレンズ集合体(セルフォックレンズ)とを組み合わせており、感光体ドラムの表面に対して点状に光を照射するように設けている。そして、画像形成装置の画像情報出力回路からLED素子の各々に画像情報が伝達され、一様に帯電された感光体ドラムに対して、点状に画像の光が照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像に対して、現像ローラからトナーが供給されることにより、静電潜像がトナー画像として可視像化され、用紙に対する転写位置では、用紙の裏面からトナーと逆極性の電圧が印加されることにより、前記感光体ドラムに担持されているトナー画像が用紙に転写される。前記トナー画像を担持した用紙を、定着装置を通して定着することで、記録紙として排出トレイに向けて排出される(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−255805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したようなLEDヘッドを用いた画像形成装置においては、LED素子から照射される光の焦点距離が短いために、LEDヘッドの光照射面を感光体ドラム表面に近接させて配置しなければならず、また、感光体ドラム上の静電潜像を現像するために、現像器の現像ローラを感光体ドラムに近接または接触させなければならない。ところが、前記感光体ドラムおよび現像器は消耗品であり、これらの部材の本来の作用が正常に行われないときには、これ等の部材を装置本体から取り外して、正常なものと交換されることが必要とされる。しかしながら、前記感光体ドラムおよび現像器は、LEDヘッドに近接して配置されているため、これらの部材を装置本体から取り外す際に、感光体ドラム表面や現像ローラの表面に付着しているトナーが遊離し、LEDヘッドの光照射面に付着して、汚れが障害となるおそれがあった。
【0004】
本発明は、LEDヘッドの近傍に配置される現像器を装置本体から取り外す際に、LEDヘッドをこれ等の部材から離間させた位置に移動させることにより、LEDの先端部のレンズ等にトナーが付着して、汚れが発生することを防止可能な装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一様に帯電された感光体ドラムの表面に画像の光を照射して静電潜像を形成するために、LEDヘッドを用い、前記静電潜像を現像器に収容したトナーで現像してなる画像形成装置に関する。
請求項1の発明は、前記LEDヘッドを、前記感光体ドラムに接近させた書込み位置と、大きく離間させた離間位置との間で移動可能に設け、
前記現像器を画像形成装置の装置本体から取り外す動作に連動させて、前記LEDヘッドを感光体ドラムから離間させた位置に移動させるように構成したことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、前記現像器は、前記装置本体のフロント側から挿通可能であり、
前記現像器が装置本体に保持されるときに、前記LEDヘッドを前記書込み位置に移動させることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、前記現像器を装着する動作と、前記LEDヘッドを感光体ドラムに対して近接させる動作を連動させる手段はワイヤであって、
前記ワイヤの一端が前記装置本体の現像器装着部に配設した揺動部材に取付けられ、他端がLEDヘッドを押圧する押圧部材に取付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の記録部に配置している現像器を取り外す際に、LEDヘッドを感光体ドラムから自動的に離間させることができる。したがって、画像形成装置のメンテナンスを行う際、特に、現像器を装置本体から取り外す際には、現像器からトナーが舞い散る状態となるが、前述したように、LEDヘッドを感光体ドラムから離間させるので、LEDヘッドの光照射面がトナーによって汚されることを防止できる。このように、現像器を装置本体の記録部から取り外す際に、LEDヘッドを感光体ドラムから自動的に離間させておくことにより、オペレータが現像器を取り外す際に、LEDヘッドを離間させるための操作を余分に行う必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に説明する画像形成装置は、電子写真方式を用いて用紙に画像を記録する画像形成装置を対象としている。また、単一の機能のみを有するプリンタ、複写機の他に、ファクシミリやプリンタの機能を複写機に複合した複合機を対象とすることができる。以下の実施例として説明する画像形成装置においては、一様に帯電された感光体ドラムの表面に画像の書き込みを行うために、LEDヘッドを用いている。
【実施例】
【0010】
図示される例にしたがって、本発明の実施の一形態の画像形成装置の概略構成を説明する。図1に示す画像形成装置1は、プリンタ機能を有する小型の装置として構成されている装置である。そして、この画像形成装置1に画像読取装置を接続することによって、複写機としての機能を持たせることができる。また、FAXモデムを装備することにより、ファクシミリ装置としての機能を持たせることもできる。
【0011】
前記画像形成装置1において、装置本体の下部の給紙部と、上部に設けている排出トレイ19との間に、略垂直方向に延びる用紙搬送路4が設けられている。前記給紙部には、給紙トレイ2が装着され、給紙トレイ2に収容されている用紙の束の上のものから、給紙ローラ3によって1枚ずつ用紙が分離され、用紙が用紙搬送路4に送り出される。前記送り出された用紙は、レジストローラ装置5に一時的に保持されて停止され、感光体ドラム11に形成されたトナー画像にタイミングを合わせて、再び送り出される。
【0012】
前記レジストローラ装置5の用紙搬送方向の下流部(図1の上側)には、記録部10が設けられており、前記記録部10には、感光体ドラム11、クリーニング装置12、帯電部材13および転写ローラ14が、それぞれの配置関係にしたがって設けられている。さらに、前記感光体ドラム11に画像情報の書き込みを行うために、LEDヘッド15が感光体ドラム11に近接して設けられている。前記LEDヘッド15の感光体ドラム側の端部には、複数個の発光素子(LED)の発光面側にセルフォックレンズを貼り合わせており、少なくとも画像形成時(書き込みを行う状態)には、その発光面が感光体ドラム11の表面に対して、8〜10mm程度まで近接した位置に位置決めされる。また、LEDヘッド15よりも感光体ドラム11の回転方向の下流部では、トナーを供給するための現像ローラ8が配置されている。
【0013】
前述したように構成してなる記録部10においては、感光体ドラム11に対して帯電部材13が放電することで、感光体ドラム11の表面が一様に帯電され、書き込み部材としてのLEDヘッド15から出力される光信号によって、感光体ドラム11の感光層に静電潜像が形成される。この静電潜像に対して、現像ローラ8からトナーを供給し、そのトナーが静電潜像に付着されることによって、トナー画像として可視像化される。前記感光体ドラム11上のトナー画像の先端部が、転写ローラ14とのニップ位置に達する動作にタイミングに合わせて、レジストローラ装置5が駆動されて、用紙が画像転写位置に送られる。そして、前記感光体ドラム11と転写ローラ14の間に用紙をニップする状態で、搬送される用紙の裏面側から、転写ローラ14により転写電圧が印加されることによって、トナー画像が用紙に転写される。前記トナー画像を担持した用紙は、定着装置16に向けて送り出されて、定着の作用が行われる。
【0014】
前記現像ローラ8を備える現像器7は、図示されているように、装置本体の現像器7を装着するスペースが上下方向に狭いものであることから、上下方向に薄くて、左右方向に巾の広いトナー収容ケーシングを有している。前記ケーシングは図示されるように、左右方向に連通される複数の室を持つように構成され、前記トナー収容室の各々の内部には、回転軸が各々平行になるように配置され、各回転軸にはトナーを攪拌しながら送り出すためのパドル9を各々設けており、前記パドル9によりトナーを現像ローラ8に向けて送るようにする。そして、現像ローラ8に向けて送られるトナーが、前記現像ローラ8に薄層として担持され、感光体ドラム11に接する位置で、前記トナーを静電潜像に転移させることによって、可視像化されたトナー画像が感光体ドラム11の表面に形成される。
【0015】
前記記録部10に続いて配置される定着装置16では、トナー画像を担持した用紙に対して加熱と加圧作用とを付与し、熱で溶融させたトナーを用紙に押圧して定着する。そして、前記定着装置16を通過してトナー画像が定着された用紙は、排出路17を通って排出ローラ装置18により、排出トレイ19上に記録紙(コピー)として排出する。なお、本実施例の画像形成装置1は、表面画像記録された用紙をその表裏を反転させて、別経路を通して記録部に戻してから、用紙の裏面にも画像を記録して、両面記録が可能な装置として構成されている。
【0016】
前記画像形成装置1において、両面に画像を記録可能に構成するために、前記排出路17の端部に配置している排出ローラ装置18を、正逆方向に回転させ得るように構成している。前記定着装置16から排出ローラ装置18に至る排出路17には、その所定の位置に設けた切換ゲート21を介して分岐部を設け、戻し路20に連結している。そして、前記定着装置16を出た表面記録済みの用紙(片面コピー用紙)は、その紙自身の腰の強さにより切換ゲート21を押し上げながら排出路17に移動し、正回転している排出ローラ装置18によって排出トレイ19上に排出されることになる。これに対して、用紙の裏面に画像を形成して、両面コピーを作成する場合には、用紙の後端部が排出ローラ装置18にニップされている状態で、前記排出ローラ装置18を逆回転させて、排出路17内の用紙を逆方向に戻すようにする。
【0017】
前記排出ローラ装置18を逆回転させることにより、排出路17を戻される用紙は、排出路17および切換ゲート21の上面を通って、戻し路20内を搬送され、前記戻し路20内に配設された搬送ローラ装置22、22aにより、用紙は再び記録部10に向けて送られる。このときに、用紙の裏面が感光体ドラム11の表面に望んでおり、用紙の表面に記録する時と同様に、記録部10で用紙の裏面に画像が記録されることになる。なお、本実施例の画像形成装置1において、給紙トレイ25を配設しており、給紙ローラ26によって送り込むことで、記録部10に向けて給紙することも可能としている。
【0018】
前記感光体ドラム11および現像器7は、いずれも消耗品であり、感光体ドラム11が使用により劣化したり、現像器7のケーシング内のトナーが不足して、その本来の機能を発揮できなくなった時には、画像形成装置のオペレータによって交換される。これらの消耗品11、7は、装置本体のフロント側に取付けたフロントカバーが開かれた状態で、装置のフロント側に引き抜かれて装置本体から取り外され、装置本体の奥の側(リヤ側)に押し込まれて、その押し込まれた位置に保持されるように構成されている。
【0019】
本発明は、前記感光体ドラム11または現像器7を装置本体から取り外す際に、前記感光体ドラム11や現像ローラ8に付着しているトナーが舞い散り、LEDヘッド15のレンズ面を汚染するという問題を解決しようとしているものである。このために、前記消耗品11、7を装置本体から取り外す際には、LEDヘッド15をこれらの消耗品11、7から離間させておくことを要旨としているのである。前記LEDヘッド15は、図2〜図5に示すような構成を有するものであり、図2の分解斜視図に示すような複数の構成部品を、図3の組み立て斜視図に示すように組み立てている。装置本体のフレーム40に取付けられるLEDヘッド15は、LED本体30、保持枠部材33、被押圧板42および、これらを組立るための各機能部品としてのネジ部材36b、コイルバネ38、43とから構成されている。
【0020】
前記LED本体30の筐体内に、複数のLED素子を配列した基板が収容されており、そのLED素子の発光面側に、光出力部としてのセルフォックレンズ31が、LED本体30に筐体の下端面よりも突出して固定されている。前記セルフォックレンズ31の端部が、感光体ドラム11の表面に対して、約8〜10mmの間隔を持たせるように位置決めされた状態で、感光体ドラム11の表面に向けて、画像情報に応じた光信号が出力されてドット状に書き込む動作が行われる。
【0021】
図4および図5に示すように、LED本体30の筐体の長手方向両側壁に、外側に突出する突部材32が形成されている。前記LED本体30は、その周囲と上部とが、フレーム40と保持枠部材33等により囲まれた状態で、前記突部材32を保持枠部材33の両側板34に穿設したガイド孔35にはめ込んだ状態で、このガイド孔35の長手方向(図5の上下方向)に、摺動自在に保持枠部材33に保持されている。前記保持枠部材33の天板33aの長手方向両端から、上突部材37が上側に突出されており、前記上突部材37の内部に図示を省略する円柱状の凹所が形成されている。前記上突部材37の凹所内に圧縮コイルバネ38が介挿され、この圧縮コイルバネ38は、LED本体30の筐体の上面を押圧するように作用する。さらに、前記ガイド孔35を画定する下面に、LED本体30の突部材32の下面が当接し、LED本体30の保持枠部材33に対する位置決めがなされる。
【0022】
前記保持枠部材33に保持されたLED本体30は、装置本体のフレーム40と感光体ドラム11の間に配置され、装置本体のフレーム40に近接・離間する方向(感光体ドラム11の表面に対して離間・近接する方向)に変位させることができる。前記フレーム40は板状の部材であって、その長手方向両端に孔41aが穿設され、これらの孔41aに対して、円柱状のガイドロッド36が挿通・支持されるもので、前記ガイドロッド36は保持枠部材33の天板33aの長手方向両端部に設けられている部材である。前記フレーム40の上側には長い板状の被押圧板42が配置され、ガイドロッド36が孔41aに挿通された状態で、被押圧板42の長手方向端部とガイドロッド36とをネジ部材36bで締結することで、前記被押圧板42と保持枠部材33とが固定される。このように、被押圧板42と保持枠部材33とを組み付けることによって、保持枠部材33に保持されたLED本体30は被押圧板42と一体的に、フレーム40に対して摺動することで、感光体ドラム11に離間・近接する方向に移動可能となる。
【0023】
また、前記フレーム40の上面には、図2に示すような孔41aの内側寄りの位置に、上側に開口した凹部41bが形成され、前記被押圧板42の下面には、両端よりも内側寄りの位置に、下側に開口する凹部(図示を省略)が形成されている。そして、前記LED本体30、保持枠部材33および被押圧板42からなるLEDヘッド15を、フレーム40に取付けた状態では、フレーム40の凹部41bと被押圧板42の凹部とが対向し、圧縮コイルバネ43の一端がフレーム40の凹部41bに嵌め込まれ、他端が被押圧板42の凹部に嵌め込まれている。前記圧縮コイルバネ43は、被押圧板42をフレーム40から離間させる方向に常に付勢している部材である。
【0024】
前述したように構成されていることから、被押圧板42に締結された保持枠部材33に対して、LED本体30が保持されており、前記LED本体30がフレーム40に近接する方向に、つまり、LED本体30が感光体ドラム11から離間する方向に、常に付勢されていることになる。したがって、前記被押圧板42に外力が作用していない状態、すなわち、押圧手段50の押圧レバー45による押圧作用が解除された状態では、LED本体30が感光体ドラム11から離間するようになる。その状態では、圧縮コイルバネ43のバネ力によって、被押圧板42がフレーム40から離間した位置、つまり、保持枠部材33およびLED本体30がフレーム40に近接し、かつ、感光体ドラム11から離間した位置に移動することになるのである。そして、そのままの状態で、LED本体30がフレーム40側に移動すると、保持枠部材33の上突部材37がフレーム40に突き当たって、それ以上の移動されることが阻止されることになる。しかしながら、前記上突部材37を逃がすための貫通孔41が、前記フレーム40には穿設されているため、感光体ドラム11の表面に対して、LED本体30をできるだけ離間させることができる。
【0025】
感光体ドラム11に対する書き込み位置に、前記LEDヘッド15を移動させる際に、前記押圧手段50が作動されて、押圧レバー45によりLEDヘッド15(詳しくは、被押圧板42)が押圧されると、LEDヘッド15は圧縮コイルバネ43の力に抗って、感光体ドラム11の表面に向けて接近される。なお、前記押圧手段50は、装置本体に現像器7が保持されていない時、詳しくは、装置本体の収容スペース7a内部に正確に位置決めされてなく、少しでも現像器7が収容スペース7aから外れている時には、前記押圧レバー45は被押圧板42を押圧しないように構成されている。つまり、装置本体に現像器7が保持されていない状態では、被押圧板42に対する押圧力が付与されないために、圧縮コイルバネ43のバネ力によって、LEDヘッド15が感光体ドラム11から離間した位置に保持されている。
【0026】
したがって、前記現像器7を収容スペース7aから引き出す際に、現像ローラ8に付着していたトナーが舞い散ったとしても、前記LEDヘッド15は感光体ドラム11および現像器7から離れた位置に退避しているために、そのレンズ面がトナーによって汚染されることを抑えることができる。他方、前記押圧手段50は、装置本体の収容スペース7aに対して、現像器7が完全に位置決めして収容された状態で、前記現像器7が保持されている時には、被押圧板42を押圧レバー45により押圧するように構成されている。この状態において、LEDヘッド15は圧縮コイルバネ43のバネ力に抗して、レンズを感光体ドラム11表面に近接させた位置に押圧保持する。
【0027】
前述したような作用を行う押圧手段50においては、図6〜図8に示すように、装置本体のフレーム40の上面から立設する一対のブラケット47に、シャフト46が回転可能に支持され、自軸まわりに回転するシャフト46に対して、所定の間隔を介して2つの押圧レバー45が固定保持されている。そして、前記シャフト46の長手方向中央部に動作レバー48が固定され、この動作レバー48に連動手段としてのワイヤ49の一端が接続されている。なお、これらのシャフト46、押圧レバー45および動作レバー48によって、押圧部材が構成されるのである。
【0028】
前記装置本体のフレーム40の上面には、その略中央位置に、ワイヤ49にテンションを付与する張力付与手段としてのプーリ59が取付けられる。そして、前記フレーム40のリヤ側の位置に、揺動部材としての動作アーム51が、その支点部C(支軸52)において、前記支軸52を中心にして回転可能に取り付けられている。前記動作アーム51の作用点部B(短いアーム部材53)に、前記ワイヤ49の他端が接続され、このワイヤ49に張力を付与するような状態で、前記プーリ59を介して配置する。また、前記フレーム40においては、現像器7の収容スペース7aの真上位置に、支軸52を中心とする円弧状のガイド孔55が形成されており、前記動作アーム51の力点部Aに設けられて、鉛直下方(図8の紙面の奥側)に延びるように設けたガイドピン54が、このガイド孔55内に挿通されている。
【0029】
前述したような構成を有する押圧手段50の動作について説明すると、まず、オペレータが現像器7を装置本体の収容スペース7aに対して、そのフロント側から押し込むようにして装着すると、図8に実線で示す非作用位置に位置している動作アーム51に対しては、前記現像器7の先端面がそのガイドピン54に当接する。前記現像器7が、さらに押し込まれると、ガイドピン54が現像器の端面により、より押し込まれて、ガイド孔55に案内されながら、装置本体のリヤ側(図8の上側)に移動する。この動作に伴って、アーム部材51が図8の仮想線で示す作用位置に向けて、支軸52を中心にして角度が変位する。
【0030】
その動作によって、ワイヤ49によって動作レバー48が引っ張られてシャフト46が回転し、押圧レバー45が軸まわりに傾斜し、LEDヘッド15の被押圧板42を押圧し始める。したがって、前記LEDヘッド15は圧縮コイルバネ43のバネ力に抗して、感光体ドラム11に近接するように移動する。さらに、現像器7が押し込まれて、装置本体の保持スペース7aに保持される状態となると、動作アーム51も作用位置に固定保持されるため、押圧レバー45が最も強い力で被押圧板42を押圧するとともに、LEDヘッド15が感光体ドラム11に最も近接する状態の、画像を書き込む位置に保持される。
【0031】
他方、現像器7を装置本体から取り外すために、現像器に対する保持状態から解除されると、つまり、現像器7を収容スペース7aから少しでも引き抜くと、現像器7の端面が動作アーム51のガイドピン54が押圧される状態から開放される。そして、圧縮コイルバネ43のバネ力によって、被押圧板42がフレーム40から離間する位置に押しやられて、LEDヘッド15から離間する。前記被押圧板42を押し戻す方向への動作により、押圧レバー45も図6に実線で示す作用位置から、仮想線で示す非作用位置に変位し、ワイヤ49を介して動作アーム51が図8の仮想線で示す作用位置から、実線で示す非作用位置に変位することになる。この状態で、さらに現像器7を引き抜くと、その際に、現像ローラ8の表面からトナーが遊離して舞い散ったとしても、LEDヘッド15は、感光体ドラム11および現像器7から離間して位置しているため、前記LEDヘッド15のレンズ表面が、トナーによって汚染されることがない。
【0032】
前述したように、現像器7を現像位置に保持する状態を解除して、収容スペース7aから現像器7を少しだけ引き抜くことで、押圧レバー45がLEDヘッド15を押圧する作用が解除される。さらに、LEDヘッドに押圧力を作用させないようにするために、本実施例では、動作アーム51の作用点部にコイルバネ49Bの一端を接続し、他端を図示しないブラケットに接続して、現像器7の端面が力点部Aを押圧していない場合には、このコイルバネ49Bのバネ力によって、動作アーム51を図8の実線で示す被作用位置に復帰させるように構成することもできる。また、前記シャフト46に対して、図示を省略するトーションスプリングを取付けて、フロントカバー60のリブ62による押圧が解除されたときには、このトーションスプリングのバネ力で、押圧レバー45を図6に鎖線で示す非作用位置に戻すように構成しても良い。
【0033】
前述したように構成した本実施例の画像形成装置によれば、現像器7を取り外す動作、特に、現像器7の保持状態を解除する動作に連動して、LEDヘッド15が感光体ドラム11から自動的に離間させるようにする。したがって、画像形成装置1のメンテナンスを行う際、具体的には、現像器7を装置本体から取り外す際には、LEDヘッド15が感光体ドラム11から離間しているので、感光体ドラム11や現像ローラ8からトナーが遊離して舞い散ったとしても、LEDヘッド15の光照射面がトナーによって汚されることが防がれる。特に、現像器7を装置本体から取り外す動作に連動させて、LEDヘッド15を感光体ドラム11から離間させておくことにより、現像器7を取り外す際に、LEDヘッド15を離間させるための操作を、オペレータに負担させる必要もないという効果を奏することができる。
【0034】
なお、前記LEDヘッド15を押圧するための押圧手段50としては、本発明の実施例に示す装置のように構成することに限られず、例えば、ワイヤ49が巻き掛けられるプーリ59の配設位置や、ワイヤの掛け渡し経路等は、その画像形成装置の記録部の構造等に応じて、適宜変更されるものである。また、前記押圧手段50として、現像器7の収容スペース7aのリヤ側の側部に、出没可能な摺動軸を配置して、現像器を挿入することにより、その摺動軸が押されることに追従させて、前記シャフト46を傾倒させるように構成することも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】画像形成装置の構成を示す説明図である。
【図2】LEDヘッドの分解斜視図である。
【図3】LEDヘッドの組立斜視図である。
【図4】LEDヘッドの側面図である。
【図5】LEDヘッドを発光面側から見た斜視図である。
【図6】押圧手段の作用部の側面図である。
【図7】押圧手段の作用部の平面図である。
【図8】LEDヘッドの連動機構の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置、 2 給紙トレイ、 3 給紙ローラ、 4 用紙搬送路、 5 レジストローラ装置、 7 現像器ユニット、 8 パドル、 9 現像ローラ、 10 記録部、 11 感光体ドラム、 12 クリーニング装置、 13 帯電器、 14 転写ローラ、 15 書込み装置、 16 定着装置、 17 排出ローラ装置、 18 排出トレイ、 20 戻し路、 21 ゲート、 22 搬送ローラ装置、 23 中間体、 24 側板、 25 手差しトレイ、 26 給紙ローラ、 30 LEDヘッド、 31 光出力部、 32 側突部、 33 保持枠、 34 側板、 35 ガイド溝、 36 上突部材、 40 上枠、 42 押し板、 43 スプリング、 45 押圧レバー、 46 シャフト、 47 ブラケット、 48 動作レバー、 49 ワイヤ、 51 動作アーム、 52 支軸、 53 作用部、 54 ガイド部材、 55 ガイド溝、 59 ガイドプーリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一様に帯電された感光体ドラムの表面に画像の光を照射して静電潜像を形成するために、LEDヘッドを用い、前記静電潜像を現像器に収容したトナーで現像してなる画像形成装置であって、
前記LEDヘッドを、前記感光体ドラムに接近させた書込み位置と、大きく離間させた離間位置との間で移動可能に設け、
前記現像器を画像形成装置の装置本体から取り外す動作に連動させて、前記LEDヘッドを感光体ドラムから離間させた位置に移動させるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像器は、前記装置本体のフロント側から挿通可能であり、
前記現像器が装置本体に保持されるときに、前記LEDヘッドを前記書込み位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像器を装着する動作と、前記LEDヘッドを感光体ドラムに対して近接させる動作を連動させる手段はワイヤであって、
前記ワイヤの一端が前記装置本体の現像器装着部に配設した揺動部材に取付けられ、他端がLEDヘッドを押圧する押圧部材に取付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−18126(P2006−18126A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197496(P2004−197496)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】