説明

画像形成装置

【課題】濃淡トナーによって形成される2次色の階調特性を重視した階調補正において、2次色パッチ内に含まれるデバイス起因の面内ムラの影響を除去することができるようにする。
【解決手段】グレーから成る第1のパッチ群、及びグレーとブラック2次色パッチであって該各パッチがブラックについて複数の階調レベルを有する第2のパッチ群を備えたフォーマットのチャートを生成する。このチャートをリーダ部で読み取り、得られた読み取り情報と前記フォーマットの情報を解析し、2次色パッチ内におけるグレーの変動分を算出する。そして、その算出結果に応じて、2次色パッチ内におけるブラックの読み取り情報を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1色のトナー及び当該第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行うプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、入力画像の階調性と実際に出力される階調性とが一致しないケースが発生する。その原因は、画像読取部に用いられるCCD等の読取素子の読取特性、画像形成部の帯電特性、現像特性、転写特性、定着特性等の影響を受けて画像形成されるためである。そのため、電子写真方式の画像形成装置では、入力画像の階調性と実際に出力される階調性とを一致させるために、ガンマ・ルックアップ・テーブル(以下、LUTとする)などの階調補正データを用いて入力画像信号を変換する(階調補正)。LUTは、入力画像信号と出力画像信号とを対応付けたテーブルである。入力画像信号はこのLUTに基づいて変換される。変換された画像信号に基づいて画像形成を行えば、所望の階調で画像が出力される。
【0003】
装置の特性は経時や環境変化により変動するため、出力画像の階調性もそれに伴い変動する。出力画像の階調性を維持するためには階調補正データを補正する必要がある。階調補正データを補正する方法としては、例えば特許文献1に提案された方法がある。
【0004】
このデータ補正方法は、対象色の階調パッチ(濃淡の小領域)を記録媒体上に形成し、各パッチの輝度をスキャナ等で読み取って濃度に変換した後、所望の濃度カーブになるように階調補正用テーブルを作成する。
【0005】
しかしながら、濃トナー及び淡トナーを用いて画像形成を行う装置において、上記階調補正データの補正を行ったとしても、階調補正データが正確に補正されないという問題が生ずることがある。
【0006】
図22(a),22(b)は、濃トナー・淡トナーを用いた階調表現において階調段差が生ずる様子を示したグラフである。
【0007】
濃トナー・淡トナーは、互いに同一の色相でかつ濃度の異なるトナーであり、同一の色相とは、ブラック、イエローなど色の分類が実質的に同じであることを意味する。
【0008】
濃トナー及び淡トナーを用いて画像形成する装置では、低濃度領域を淡トナーのみを用いて画像形成を行う。また、ある濃度領域から淡トナーと濃トナーとを混合して画像形成を行う。淡トナーを用いることによって画像の粒状感を抑えることができる(特に、低濃度領域において)ため、画質を向上させることができる。
【0009】
濃トナー・淡トナーそれぞれについて、図22(a)に示すようなターゲットとなる階調特性になるように階調補正を行い、それらを混色すると、画像形成装置が理想の状態であれば、階調特性曲線は図22(b)のグラフにおいて破線W1で示されるような理想のカーブを描く。
【0010】
しかし、階調補正時における転写部材の経時変化や現像剤の劣化などによって上記の装置の特性がLUTに対応しないように変化するため、混合トナーの階調特性曲線は、上記理想のカーブではなく、図22(b)のグラフにおいて実線W2で示されるような階調段差が生じることがある。このような階調特性曲線における段差を抑えるには、淡トナー、及び濃トナーと淡トナーとを混合(以下、濃淡トナーと記す)して形成されるパッチを直接検知し、淡トナーの階調特性、及び濃淡トナーにより形成される色の階調特性を補正できるようなLUTを作成する必要がある。濃淡トナーを互いに種類の異なるトナーとみなした場合、この階調補正データの補正は、濃トナー及び淡トナーの重ね合わせでできる2次色の階調特性を重視した補正といえる。
【0011】
2次色の階調補正データを補正する方法として、例えば、特許文献2が提案されている。特許文献2では、階調補正を行っていない状態で出力された2次色のマトリクスパッチを読み取り、色度を算出する。算出された色度を2次色と等価な原色の色相と彩度の情報に変換し、色相角が一定で彩度が一定間隔で高くなる組み合わせを算出する。そのようにして求めた組み合わせを単色のLUTに反映させる。これにより2次色の色相変動を抑えた階調補正が実現する。
【0012】
しかしながら、特許文献2に記載された方法による階調補正データの補正は、電子写真技術におけるデバイス起因の面内ムラの影響を除去していないため、精度の高い補正ではない。
【0013】
ここで、デバイス起因の面内ムラについて説明する。電子写真方式の画像形成装置では、1枚毎の記録媒体中の面内において、色の均一性を保ってムラなく画像形成がなされることが望ましい。しかし実際は、画像形成装置に備えられた各種デバイスに起因して、面内に色の変動(面内ムラ)が生ずる。ここで、デバイス起因の面内ムラには、例えば、現像器内スリーブの感光体に対する傾きによるムラ、帯電器の感光体に対する傾きによるムラ、中間転写体の感光体に対する傾きによるムラ、感光体における感度のムラ、レーザ光量のムラ等といったものが挙げられる。
【0014】
階調補正データの補正の際に形成される各階調に対応するトナーパッチは感光ドラムの回転軸方向(記録媒体の搬送方向と垂直な方向)及び回転方向(記録媒体の搬送方向)にわたって形成される。上記のような面内ムラが生じると、上記特許文献2の方法では、トナーパッチが面内ムラの影響により適切な濃度で形成されないため、階調補正データの補正を正確に行えないと考えられる。
【0015】
そこで、デバイス起因の面内ムラの影響を除去した階調補正方法として、特許文献3に提案されたものがあった。特許文献3では、階調補正データの作成を目的とする階調トナーパッチと、面内ムラを把握するために感光ドラムの軸方向に同色かつ同一出力値のパッチ列とを階調補正用チャート内に形成し、これら全パッチの濃度を測定する。そして、得られたパッチ列の濃度情報より面内ムラを把握し、その情報に基づき階調トナーパッチの濃度情報に対して面内ムラによる濃度のずれ分の補正を行い、補正された濃度情報を基に対象色のLUTを作成する。
【特許文献1】特開平09−233350号公報
【特許文献2】特開2004−205701号公報
【特許文献3】特開2001−260407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記特許文献3の方法は、2次色の階調補正データの補正においては、2次色パッチに含まれる面内ムラ情報を正確に把握することができず、面内ムラの影響を除去した階調補正を行えない。例えば、淡トナーのLUTを作成する際は、淡トナーのみでトナーパッチを形成するため、特開2001−260407の方法で面内ムラの影響を除去することによって、精度の高いLUTを作成することができる。しかしながら、淡トナーと濃トナーの両方を用いて形成したトナーパッチには、濃トナーの画像形成部に起因する面内ムラと淡トナーの画像形成部に起因する面内ムラとが含まれるため、両方の面内ムラを考慮しなければ正確なLUTの作成を行えない。
【0017】
本発明は、濃淡トナーによって形成される2次色の階調特性を重視した階調補正において、2次色パッチ内に含まれるデバイス起因の面内ムラの影響を除去することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の画像形成装置は、所定濃度以下の画像を第1色のトナーのみを用いて画像を形成し、前記所定濃度以上の画像を前記第1色のトナーと前記第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行う画像形成装置において、出力画像の階調性を調整するために階調補正データに基づいて入力画像信号を変換する画像処理手段と、像担持体と、前記像担持体を回転駆動する駆動手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に対向するように設けられ、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段を有し前記現像バイアスと前記静電潜像の電位との電位差に応じた濃度で前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段とを有する前記第1色のトナーを用いて画像形成する第1の画像形成部と前記第2色のトナーを用いて画像形成する第2の画像形成部と備える画像形成手段であって、前記画像処理手段から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成手段と、前記複数の画像形成部に前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に濃度が均一な第1のトナーパターン及び階調性を有する第2のトナーパターンをそれぞれ形成させる制御手段と、前記第1及び第2のトナーパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られる前記第1のトナーパターンの読取結果に基づいて前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に生じる画像濃度差を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果と前記第2のトナーパターンの読取結果とに基づいて第2のトナーパターンの濃度情報を算出する算出手段と、前記濃度情報に基づいて階調補正データを作成する階調補正データ作成手段とを有し、前記階調補正データ作成手段は、前記第1色及び前記第2色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報と前記第1色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報とに基づいて第2色のトナーに対応する入力画像信号を変換する階調補正データを作成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、所定濃度以下の画像を第1色のトナーのみを用いて画像を形成し、前記所定濃度以上の画像を前記第1色のトナーと前記第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行う画像形成装置において、出力画像の階調性を調整するために階調補正データに基づいて入力画像信号を変換する画像処理手段と、像担持体と、前記像担持体を回転駆動する駆動手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に対向するように設けられ、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段を有し前記現像バイアスと前記静電潜像の電位との電位差に応じた濃度で前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段とを有する前記第1色のトナーを用いて画像形成する第1の画像形成部と前記第2色のトナーを用いて画像形成する第2の画像形成部と備える画像形成手段であって、前記画像処理手段から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成手段と、前記複数の画像形成部に前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に濃度が均一な第1のトナーパターン及び階調性を有する第2のトナーパターンをそれぞれ形成させる制御手段と、前記第1及び第2のトナーパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られる前記第1のトナーパターンの読取結果に基づいて前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に生じる画像濃度差を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果と前記第2のトナーパターンの読取結果とに基づいて第2のトナーパターンの濃度情報を算出する算出手段と、前記濃度情報に基づいて階調補正データを作成する階調補正データ作成手段と、前記階調補正データ作成手段は、前記第1色及び前記第2色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報と前記検出手段によって検出される前記第1色のトナーで形成される第1のトナーパターンの画像濃度差とに基づいて、前記第2のトナーパターンの濃度情報とに基づいて第2色に対応する入力画像信号を変換する階調補正データを作成することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の画像形成装置は、所定濃度未満の画像を第1色のトナーのみを用いて画像を形成し、前記所定濃度以上の画像を前記第1色のトナーと前記第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行う画像形成装置において、出力画像の階調性を調整するために階調補正データに基づいて入力画像信号を変換する画像処理手段と、像担持体と、前記像担持体を回転駆動する駆動手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に対向するように設けられ、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段を有し前記現像バイアスと前記静電潜像の電位との電位差に応じた濃度で前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段とを有する前記第1色のトナーを用いて画像形成する第1の画像形成部と前記第2色のトナーを用いて画像形成する第2の画像形成部と備える画像形成手段であって、前記画像処理手段から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成手段と、前記複数の画像形成部に前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に濃度が均一な第1のトナーパターン及び階調性を有する第2のトナーパターンをそれぞれ形成させる制御手段と、前記第1及び第2のトナーパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られる前記第1のトナーパターンの読取結果に基づいて前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に生じる画像濃度差を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果と前記第2のトナーパターンの読取結果とに基づいて第2のトナーパターンの濃度情報を算出する算出手段と、前記濃度情報に基づいて階調補正データを作成する階調補正データ作成手段とを有し、前記階調補正データ作成手段は、前記第1色及び前記第2色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報と前記検出手段によって検出される前記第2色のトナーで形成される第1のトナーパターンの画像濃度差とに基づいて、前記第2のトナーパターンの濃度情報とに基づいて第2色のトナーに対応する入力画像信号を変換する階調補正データを作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、色相が同一でかつ濃度の異なる第1色と第2色から成る2次色パッチ内に含まれるデバイス起因の色変動の影響を除去することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第一の実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の断面模式図である。
【0024】
本実施の形態では、画像形成装置が、複写機、プリンタ、FAX等の複数の機能を有するデジタル複合機である場合を例にとって説明する。
【0025】
この画像形成装置は、画像読取部211と画像形成部212とで構成されている。画像形成部212のスタートキーが押されると、感光ドラム204(像担持体)が帯電器208により所定の電位になるように帯電される。
【0026】
一方、原稿照射用ランプ、短焦点レンズアレイ、及びCCDセンサ304から成る読取ユニット209が、原稿台213上の原稿Gに対して光を照射しながら走査する。これによって、その走査光の原稿面反射光が、短焦点レンズアレイによって結像されてCCDセンサ304に入射される。CCDセンサ304では、光信号が電気信号(アナログ信号)に変えられる。
【0027】
得られたアナログ信号は、後述する画像処理部300において画像処理が施され、デジタル信号に変換されて、プリンタ制御部350を介して画像形成部212に送られる。プリンタ制御部350においては、上記の画像信号を受けてオン/オフ信号を生成する。
【0028】
画像形成部212は、感光ドラム204、回転式現像器203、中間転写体205、及び定着器207、感光ドラムおよび中間転写体を回転駆動する駆動装置214を備えている。回転式現像器203は、トナー粒子とキャリア粒子を有するいわゆる2成分現像剤を収容した複数の現像器を保持している。
【0029】
画像形成部212においては、上記のオン/オフ信号を受けてオン/オフ発光される固体レーザ素子の光を回転多面鏡によって走査するレーザ露光部210により、感光ドラム204面上に、原稿画像に対応した1色目の静電潜像を形成する。次に、この静電潜像を、回転式現像器203の内の1色目である現像器203Yで現像し、感光ドラム204上(像担持体上)にトナー像を得る。各色の現像器にはトナーを担持させるための現像スリーブ(トナー担持体)と現像スリーブに現像バイアスを印加するための現像バイアス印加装置が備えられている。現像スリーブは、感光ドラムの回転軸方向と同一の方向に長さを有する回転体であり、感光ドラムに対向するように設けられている。感光ドラム上の静電潜像は、現像バイアスと静電潜像の電位との電位差に応じた濃度でトナー像として現像される。
【0030】
感光ドラム204上に形成されたトナー像は、中間転写体205上に転写され、以降、現像器203M〜203Sまで順次感光ドラム204上に各色のトナー像を形成し、中間転写体205上に転写されて積層された後に、転写材206上に一括して転写される。その後、転写材は定着器207へと搬送され、熱定着されて排出される。
【0031】
なお、本実施の形態において、回転式現像器203に内包された現像器203Y、203M、203C、203Kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックトナーで現像する。現像器203Sは、前記4色以外の色材として、ブラックトナー(第2色のトナー)と同一色相で濃度の異なるグレートナー(第1色のトナー)で現像する。
【0032】
次に、本実施の形態に係る画像処理部300について、図2等を参照して説明する。図2は、画像処理部300の構成を示すブロック図である。また、図3は、図2中の分版処理部312の機能を示すブロック図である。
【0033】
図2において、CPU301は、ROM302に保持された制御プログラムに基づき、RAM303をワークメモリに使用して、画像処理部の各構成を統括的に制御している。画像読取部211によって読み込まれた画像は、CCDセンサ304により電気信号に変換される。このCCDセンサ304は、RGB3ラインのカラーセンサであり、R(Red)、G(Green)、B(Blue)それぞれの画像データとしてA/D変換部305に入力される。
【0034】
A/D変換部305では、ゲイン調整、オフセット調整がなされた後、色信号毎に8ビットのデジタル画像データに変換される。シェーディング補正部306で基準白色板の読み取り信号を用いて、CCDセンサ304の各画素の感度のばらつきや原稿照明ランプの光量のばらつきなどを色毎に補正する。
【0035】
入力ガンマ補正部307は、RGBの各入力に対し、露光量と輝度が線形関係になるように補正を行う1次元のLUTである。入力ダイレクトマッピング部308は、色空間を統一するため、入力されたRGB信号からデバイス内のRGB信号に変換する3次元のLUTである。
【0036】
BE(下地除去:Background Erase)サンプリング部309では、下地を検出するため、指定された矩形領域の画素を離散的にサンプリングし、輝度のヒストグラムを作成し、これをプリント時の下地除去に利用する。
【0037】
下地除去部310では、画像読取部211で読み取ったRGB画像データに対してBEサンプリング部309の結果に基づき下地部を除去するための非線形変換を行う。次に出力ダイレクトマッピング部311において、RGB画像データからCMYK画像データに変換される。変換においては、RGBそれぞれの値をルックアップテーブルに入力し、その出力値の総和からC(Cyan)成分を作る。同様に、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(blacK)それぞれの成分もルックアップテーブルとその加算演算で形成している。
【0038】
分版処理部312は、CPU301からの命令に応じて、図3に示すように、ラスタライズ処理を行うRIP部313及び出力ダイレクトマッピング部311からのCMYK画像データの内、K(blacK)画像データを複製する(図3のA1)。なお、RIPは、Raster Image Processorの略語である。そして、複製されたそれぞれの画像データに対し各色の分版ルックアップテーブルを適用し(A2)、G(Gray)画像データとK(black)画像データを作成する(A3)。分版ルックアップテーブルは、図4(a),4(b)に示すような、分版処理部312に入力されるブラックの画像信号(入力画像信号)に対する分版後各色(グレー・ブラック)の出力信号特性である。本実施形態の画像形性装置は、所定濃度以下の画像をグレートナー(淡トナー)のみで画像形成し、所定濃度以上の画像をグレートナーとブラックトナー(濃トナー)を用いて画像形成する。なお、所定濃度は光学濃度ゼロでもよく、その場合、全ての画像はグレートナーとブラックトナーによって画像形成される。これは黒の色相に限らず他の色相でも同様である。
【0039】
分版処理部312が受信するCPU301からの命令は、分版処理部312が分版を行うか行わないかを決定するものである。本実施の形態では、ユーザーが画像出力の際、プリンタドライバ内のプロパティ画面で後述「画像出力モード」を選択し、その選択結果に応じてCPU301が分版処理部312に命令を送る。
【0040】
「画像出力モード」はユーザーが選択可能なモードであり、「2次色モード」或いは「1次色モード」がある。ユーザーが「2次色モード」を選択した場合、CPU301は分版処理部312に「分版実行」の命令を送信する。分版処理部312はCPU301からの命令を受けて分版を実行し、画像形成部212はCMYKGトナーを用いて画像形成を行う。
【0041】
ユーザーが「1次色モード」を選択した場合、CPU301は分版処理部312に「分版を実行しない」命令を送信する。分版処理部312はCPU301からの命令を受け、分版を行わず、入力されたCMYK画像データをそのまま出力する。その結果、画像形成部212は通常のCMYKトナーを用いて画像形成を行う(つまりグレートナーを用いない)。
【0042】
分版処理部312は、予め2次色ベタ濃度及びグレーベタ濃度について規定濃度値を記憶している。本実施の形態では2次色ベタ濃度は1.8、グレーベタ濃度は0.6である。ここで濃度とはステータスA、フィルタがvisualのものを指し、測定濃度から下地となる紙の濃度を差し引いたものである。分版処理部312は、CPU301から「分版実行」の命令を受けると、これら規定濃度値を用いて入力画像信号(ブラックの画像信号)に対する、グレー・ブラックの出力信号特性を決定する。
【0043】
図5は、グレー及びブラックトナーで形成する2次色濃度と入力画像信号の関係を示すグラフである。図5に示すように、分版処理部312は、2次色ベタ濃度(S1)を、最大入力画像信号値に対応づけ(S2)、グレーベタ濃度(S3)と2次色ベタ濃度の比から、グレー単色で表現する最大入力画像信号値を決定する(S4)。これにより、入力画像信号に対するグレー・ブラックの出力信号特性が図4(a),4(b)のように定まり、分版が完了する。
【0044】
LUT作成部314(階調補正データ作成手段)は、予め各色について、階調特性のターゲット及び輝度濃度変換テーブルを記憶している。また、画像読取部211より読み込まれたRGB情報に基づき、本実施の形態の画像形成装置における階調補正方法で各色の階調補正テーブル(LUT)を作成し、出力ガンマ補正部315へアップロードする。
【0045】
図6(a),6(b)は、LUT作成部314が記憶している、グレートナー・ブラックトナーに係る階調特性のターゲットを示すグラフである。このグラフでは、前述の規定濃度値(グレーベタ濃度0.6、2次色ベタ濃度1.8)に基づき、出力信号に対し、グレートナーは濃度0.0から0.6まで画像形成が可能である。また、ブラックトナーは2次色形成時の濃度を対象としているため、グレートナーと混ぜた場合、濃度0.6から1.8まで出力できるようになっている。
【0046】
出力ガンマ補正部315は、画像形成装置に対応した出力画像の濃度補正を行っている。出力ガンマ補正部315は、予め記憶してあるCMYKG(或いはCMYK)の1次元ルックアップテーブルか、LUT作成部314から送られてくる新たなルックアップテーブルに基づき、画像形成毎に異なる出力画像データのリニアリティを保つ役割をもつ。
【0047】
ハーフトーン処理部316は、機能に応じて異なる種類のスクリーニングを択一的に適用することができる。一般に、複写動作などでは、モアレの起きにくい誤差拡散系のスクリーニングを利用し、プリント動作では、文字や細線の再現性を考えてディザマトリクスなどを利用した多値スクリーン系のスクリーニングを用いることが多い。前者は注目画素とその周辺画素に対して誤差フィルタで重み付けし、階調数を保ちながら多値化の誤差を配分して補正していく方法である。一方後者は、ディザマトリクスの閾値を多値に設定し擬似的に中間調を表現する方法で、本実施の形態ではCMYKG独立に変換し、入力画像データによって低線数と高線数とを切り替えて再現する。
【0048】
ここで、2次色パッチを形成する際の課題について説明する。上述したように、デバイス起因の面内ムラとしては、例えば、現像器内スリーブの感光体に対する傾きによるムラ、帯電器の感光体に対する傾きによるムラ、中間転写体の感光体に対する傾きによるムラ、感光体における感度のムラ、レーザ光量のムラ等がある。濃トナーと淡トナーとを混ぜることによって形成された2次色パッチの濃度には、濃トナーの画像形成部に起因する面内ムラ及び淡トナーの画像形成部に起因する面内ムラの影響が含まれる。そのため、本発明は、これらの2次色パッチの濃度検出結果から面内ムラの影響を除去して、面内ムラの影響を除去した後における2次色パッチの濃度検出結果に基づいて精度の高いLUT(階調補正データ)を作成することを目的とする。
【0049】
次に、本実施の形態におけるLUTの作成方法について説明する。下記において、ブラックトナー・グレートナーによる階調表現を例に説明する。
【0050】
前述のように、本実施の形態の画像形成装置は、ブラックトナー・グレートナーを用いた2次色モノクロ階調表現が可能である。グレートナー(淡トナー)・ブラックトナー(濃トナー)を用いた画像形成は、ユーザーが画像出力の際に「2次色モード」を選択した場合に実行される。
【0051】
ユーザーが「2次色モード」を選択すると、分版処理部312は入力される画像信号(CMYK)の内K(blacK)画像信号をグレー画像信号とブラック画像信号に分版する。そして、図4(a),4(b)のように、入力画像信号に対し、ある閾値までグレーのみで階調表現を行い、閾値以上はグレートナーの使用量を最大にし(グレーをベタ画像とし)、グレーのベタ画像にブラックトナー混ぜることによって階調表現を行う。
【0052】
出力ガンマ補正部315は、次のような処理を行う。即ち、分版処理部312からのグレートナー、ブラックトナーに対応する出力信号に対し、形成される2次色の階調特性曲線が所望の濃度カーブを描くように、形成されたグレートナー・ブラックトナーに対応するLUTによって出力画像の濃度階調特性がリニアになるように補正を行う。そして、ハーフトーン処理部316へ画像信号を送信する。
【0053】
本実施の形態の画像形性装置では、上記のグレートナー用のLUT及びブラックトナー用のLUTを作成する際に、トナーパッチの検出結果からそれぞれの画像形成部の面内ムラの影響を除去し、それぞれのLUTを作成する。これらのLUTの作成は、LUT作成部314が行う。以下、図7等を参照して、第1の実施の形態に係る画像形成装置で使用するグレートナー用のLUT及びブラックトナー用のLUTの作成方法を説明する。
【0054】
図7は、第1の実施の形態に係る画像形成装置によるLUT作成処理のフローチャートである。このLUT作成処理は、主としてCPU301がROM303から制御プログラムを読み出して実行することによって実行される。
【0055】
まずS101において、ユーザーが階調補正実行を選択した後、S102で、グレートナーのみにより形成されるベタ画像の濃度が規定値となるように画像形成部212を調整する。画像形成部212の調整は、例えば、次のような方法で行う。最大濃度に対応する信号によってテストパターンが画像形成装置の設計上の最大濃度(例えば、光学濃度で1.8)で形成されるように次のような制御を行う。即ち、露光量を一定にした露光装置により感光ドラムに複数の静電潜像を形成させる。その複数の静電潜像を異なる現像バイアスによりトナー像として現像する。そして、異なる現像バイアスで現像された複数のトナー像を中間転写ベルト近傍に備えられる濃度センサに読み取らせ、読取結果から各トナー像の濃度を検出する。そして、各トナー像の中から所定の濃度で形成されているトナー像を形成した現像バイアスを、画像形成時に使用する現像バイアスとして設定する。本実施形態では、露光量(レーザ光量)を最大にして複数の静電潜像を形成し、それらを異なる現像バイアスで現像する。そして、異なる現像バイアスによって現像されたトナー像の濃度が濃度レベル(前述の光学濃度1.8)となるトナー像を形成した現像バイアスを画像形成時に使用する現像バイアスとして設定する。
【0056】
S103で、前述画像形成装置は、グレートナーにブラックトナーを重ねて画像形成する際の2次色最大濃度が規定値となるように画像形成部212で調整する。画像形成部212の調整方法は、例えば、前記S102の方法を用いる。
【0057】
S104では、画像形成部212は、LUTがオフ状態、即ち階調パッチを形成する画像データに対して階調補正を行わずに画像形成を行う。図8に示すように、グレー単色の20階調パッチをA4紙上、長辺方向に出力する。紙の長辺方向は紙の搬送方向と垂直な方向である。なお、階調数は精度や画像形成部212の特性を考慮し、より多くしても構わない。またトナー消費量の観点からパッチ数を少なくしても本発明の範疇であることは言うまでもない。
【0058】
S105では、ユーザーは、パッチが出力された原稿を画像読取部(リーダ部)211に置き、画像読取部211は、グレー階調パッチの輝度を読み取る。LUT作成部314は、読み取ったRGB輝度情報の内のGreenの輝度を、記憶済み輝度濃度変換テーブルを用いて濃度情報に変換し、グレー階調パッチの濃度情報を得る。ここでは、読み取ったRGB輝度情報の内のGreenの輝度を用いたが、使用する輝度は階調補正対象色によって変える。シアンはRedの輝度、マゼンタはGreenの輝度、イエローはBlueの輝度、ブラックはGreenの輝度を選択する。また、上記輝度濃度変換テーブルは、図9に示すような単色用輝度濃度変換テーブルである。
【0059】
S106では、LUT作成部314は、記憶済みグレートナー用ターゲットと上記変換済み濃度情報とから、グレートナーの階調補正テーブル即ちLUTを作成する。LUTは、例えばグレートナー用ターゲット濃度に関して変換済み濃度情報を線対称に変換することによって得られる。その結果、作成されたLUT、元のLUTオフ時の階調特性、及びターゲットの関係は図10に示すようになる。
【0060】
このようにS104からS106で行ったグレートナーのみにより画像形成を行う濃度領域の出力画像の階調性を補正するためのLUT作成方法は、従来の単色1次元のLUTの作成方法と同一である。そこで、次ステップの2次色のLUT作成における精度向上の観点から、特開2001−260407号公報に示されるような、単色を対象とした面内ムラの影響を除去した階調補正を行う。
【0061】
S107では、図11のように、グレーベタパッチ(グレートナーパターン:第1のパッチ群)と、グレーベタにLUTオフのブラック階調レベルを加えた2次色パッチ(ブラックトナーパターン:第2のパッチ群)とが互いに隣接し合うフォーマットのパッチ画像信号を生成する。グレーベタパッチは感光ドラムの回転軸方向に生じる画像の濃度ムラを検知するために形成されるパッチ群である。2次色パッチは、ブラックトナー用のLUTを作成するために形成されるパッチ群である。これらのパッチ群は、パッチ画像信号に対応した2次色LUT作成用チャートをA4紙上の長辺方向に出力される。第1のパッチは、感光ドラムの回転軸方向(感光ドラム及び中間転写ベルトの駆動方向と垂直方向)に均一な濃度のパッチである。このパッチの濃度を検出することによって、感光ドラムの回転軸方向に生じる画像濃度差を検出する。
【0062】
S108において、ユーザーによって画像読取部211に置かれた上記2次色LUT作成用チャートを読み取らせる。画像読取部211は、当該チャートから2次色パッチ及びグレーベタパッチの輝度情報の内のGreenの輝度を読み取る。
【0063】
S109では、LUT作成部314は、グレーベタパッチの輝度(以下、Iと表現する)情報より、感光ドラムの軸方向において生じる面内ムラを補正するための補正値Xを算出する。また、2次色パッチの輝度情報からIブラック(i)を算出する。この算出処理は次のようなものである。
【0064】
読み取った2次色パッチの輝度I2次色(i)はグレーの輝度とブラックの輝度で構成される。ここで、上記添字iはパッチ番号を表し、i=1〜Nで、Nは2次色パッチ総数である。LUT作成部314は、上記2次色パッチ内グレーの輝度が、2次色パッチに隣接するグレーベタパッチの輝度Iグレーベタ(i)とほぼ等しいとみなす。そして、これら輝度情報より、2次色パッチ内におけるブラックの輝度Iブラック(i)を、次式によって算出する。つまり、2次色パッチ内における第2色の読み取り情報を補正する。
[数1]
Iブラック(i)=I2次色(i)−Iグレーベタ(i)−補正値X…(1)
上式で得られる輝度は、2次色パッチの輝度から、面内ムラを含んだグレーの輝度及び補正値Xを差し引き、2次色パッチ中に含まれるブラックの輝度を抽出ものである。そのため、ブラックの輝度には、グレーのもつ面内ムラ(第1色の変動分)の影響が含まれない。
【0065】
S110では、LUT作成部314は、算出した輝度情報を、輝度濃度変換テーブルを用いて濃度情報に変換し、得られた濃度情報と出力信号より、2次色を加味したブラックトナーのLUTを作成する。その結果、作成されたLUT、ブラックトナーのLUTオフ時の階調特性とターゲットの関係は、図12に示すようになる。
【0066】
ブラックトナーの階調補正は、2次色形成時の濃度を対象としているため、図12において、グラフ縦軸の濃度は0.6から始まり、1.8まで出力される。また上記S110で用いる輝度濃度変換テーブルは、図13のように、2次色パッチ濃度と、上式で算出した2次色パッチ内のブラックの輝度を対応づけた2次色用輝度濃度変換テーブルである。
【0067】
S110では、LUT作成部314は、決定されたグレー・ブラックのLUTを出力ガンマ補正部315にアップロードして、LUTの作成処理が完了する。
【0068】
本実施の形態の画像形成装置によるLUT作成方法は、濃淡トナーによって形成する2次色の階調特性を維持するとともに、検知対象の2次色パッチに含まれるグレーの画像形成部に起因する面内ムラの影響を受けないLUTを作成することができる。これによって、濃トナーに対応するLUTをより高精度に作成することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
上記第1の実施の形態では、2次色パッチ内の下層色(グレー)に含まれる面内ムラの影響を除去した上でのLUTの作成方法を説明した。第2の実施の形態では、下層色に加えて、2次色パッチ内の上層色(ブラック)に含まれる面内ムラ(第2色の変動分)の影響も除去することで、補正精度を向上させたLUTの作成方法を説明する。本実施の形態の構成は、第1の実施の形態で説明した画像形成装置と同じものを用いる。
【0070】
以下、第2の実施の形態に係る画像形成装置によるLUTの作成方法を説明する。第1の実施の形態における画像形成装置による2次色のLUT作成方法は、2次色パッチの輝度からグレーパッチの輝度を差し引くことで、2次色パッチ内のブラックの輝度を算出した。上記輝度は、グレーのもつ面内ムラの影響を含まない。しかし、ブラックトナーの画像形成部にも面内ムラが生じるため、第1の実施の形態は面内ムラの影響を除去したLUTの作成を精度良く行えない。本実施の形態では、ブラックの画像形成部のもつ面内ムラの影響も除去するLUTの作成方法について説明する。
【0071】
LUTを作成するにあたり、予めLUT作成部314は、グレー・ブラックについて、以下に説明するような階調特性のターゲットを記憶している。
【0072】
図14(a),14(b),14(c)は、LUT作成部314が記憶している、グレー及びブラックトナーの階調特性のターゲットを示すグラフである。
【0073】
グレートナーについては、出力信号に対し、ベタ濃度の規定値(本実施の形態は0.6)に基づき、濃度0.0から0.6まで出力するようになっている。
【0074】
一方、ブラックトナーについては、出力信号に対し、2次色用ターゲットと、単色用ターゲットの2種類を記憶している。2次色用ターゲットは、2次色ベタ濃度の規定値(本実施の形態は1.8)に基づいて濃度0.6から1.8まで出力するターゲットである。また、単色用ターゲットは、単色時の濃度を対象として濃度0.0から1.8まで出力するターゲットである。
【0075】
上記単色用ターゲットの最大濃度値(1.8)は、規定濃度値のグレーベタにブラックベタを混色して形成される2次色ベタの濃度が規定値となるように、ブラックベタの濃度を画像形成部212側で調整後、紙上に出力した、単色ブラックベタの濃度値である。
【0076】
次に、本実施の形態係る画像形成装置による階調補正処理について説明する。
【0077】
図15は、第2の実施の形態に係る画像形成装置による階調補正処理のフローチャートである。この階調処理は、主としてCPU301がROM303から制御プログラムを読み出して実行することによって実行される。
【0078】
S200からS206までの処理は、図7で示したS100からS106までの処理(第1の実施の形態の画像形成装置によるLUT作成方法)と同じであるので説明を省略する。なお、S106は第1の算出手段に相当する。
【0079】
S207では、LUTがオフ、即ち階調補正を行っていない元の画像形成部212状態で、図16に示すように、ブラック単色の20階調パッチ(第3のパッチ群)をA4紙上、長辺方向に出力する。ここで、階調数は精度や画像形成部212特性を考慮し、より多くしても構わない。またトナー消費量の観点からパッチ数を少なくしても本発明の範疇であることは言うまでもない。
【0080】
S208では、ユーザーによって、画像読取部211に置かれた上記ブラックの階調パッチが描かれた紙を読取らせる。画像読取部211はブラック階調パッチの輝度を読み取る。LUT作成部314は、読み取ったRGB輝度情報の内のGreenの輝度を、輝度濃度変換テーブルを用いて濃度情報に変換し、ブラック階調パッチの濃度情報を得る。ここで、上記輝度濃度変換テーブルは、図17に示すような単色用輝度濃度変換テーブルである。
【0081】
S209で、LUT作成部314は、ターゲットと上記濃度情報から、ブラックの階調補正テーブル即ちLUTを作成する(第2の算出手段)。但し、ここで用いるターゲットは図14(c)に示した単色用ターゲットである。その結果、作成されたLUTと、元のLUTオフ時の階調特性と、ターゲットとの関係は図18に示すようになる。
【0082】
次に、S210では、図19に示すように、グレーベタパッチと、グレーベタにLUTがオン状態でのブラック階調を加えた2次色パッチと、LUTがオン状態でのブラック階調パッチが隣接し合う2次色階調補正用チャートをA4紙上、長辺方向に出力する。
【0083】
S211では、ユーザーによって画像読取部211に置かれた上記チャートが印刷された紙を読み取る。画像読取部211は、2次色パッチ、グレーベタパッチ、ブラック階調パッチの輝度情報を読み取る。
【0084】
S212では、LUT作成部314は、これら輝度情報より2次色パッチ内におけるブラックの輝度Iブラック(i)を、前述した式(1)によって算出する。
【0085】
この輝度はグレーの面内ムラを含まないが、ブラックが面内ムラをもっていたとすると、その面内ムラを含んでしまう。そこで本実施の形態では、S213で、次のような処理を行う。
【0086】
S213では、LUT作成部314が、前記読み込んだ図19中の、LUTがオンの状態で出力したブラック階調パッチの輝度情報から、ブラックの面内ムラを把握し、2次色パッチ内ブラックの出力信号値を補正する。
【0087】
図20は、2次色パッチ内ブラックの出力信号値を補正する過程を説明する説明図であり、LUT作成部314が、ブラック階調パッチの濃度情報から面内ムラを把握し、それに基づき、2次色パッチ内ブラックの出力信号値を補正する過程を表している。
【0088】
画像読取部211で読み取られたブラック階調パッチの輝度を、図17に示す単色用輝度濃度変換テーブルを用いて濃度情報に変換し、パッチの濃度を得る(図20のS11)。
【0089】
次にこのパッチの濃度に対応する出力信号値をターゲットから参照する(図20のS12)。ここで、上記ターゲットは図14(c)に示す単色用ターゲットである。このターゲットから得られた出力信号値と元の出力信号値との差を面内ムラによるものとし、2次色パッチ内のブラックの出力信号値を(図20のS13)、ターゲットから得られた出力信号値に変更する(補正する)(図20のS14)。この補正により、LUTがオフ時における階調特性は図21のように変化する。上記処理を、すべての2次色パッチについて行う。
【0090】
こうして得られた2次色パッチ内ブラックの輝度及び補正済み出力信号値の組み合わせは、グレー及びブラックの面内ムラの影響を含まない。これらの情報に基づきLUT作成を行うことで、第1の実施の形態のLUT作成処理と比べ、より面内ムラの影響を受けないLUTの作成を行うことができる。
【0091】
S214で、LUT作成部314は、S212で算出した2次色パッチ内ブラックの輝度を、図13に示す2次色用輝度濃度変換テーブルを用いて濃度に変換し、得られた濃度と、S213で補正済みの出力信号値とにより、ブラックのLUTを作成する。ここで、用いるターゲットは、図14(a),に示す2次色用ターゲットである。その結果、作成されたLUTと、ブラックトナーのLUTオフ時の階調特性と、ターゲットとの関係は図12のようになる。
【0092】
S215では、LUT作成部314は、決定されたグレートナー用のLUT及びブラックトナー用のLUTを出力ガンマ補正部315にアップロードして、LUTの作成が完了する。
【0093】
本実施の形態では、第1の実施の形態で挙げた階調補正方法に対し、2次色パッチ内の下層色(グレー)の面内ムラだけでなく上層色(ブラック)の面内ムラも把握し、上層色の出力信号値に補正を行う。これにより、より面内ムラの影響を除去した、つまり精度を向上させたLUTの作成を行うことができる。即ち、グレーの面内ムラだけでなく、ブラックの面内ムラも回避し階調補正を行うことで、より高精度のLUTを作成することができる。
【0094】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で、面内ムラの影響を受けない濃トナー及び淡トナーのLUTの作成方法について説明した。但し、色の組み合わせは、本実施の形態のグレー・ブラック以外に、シアン・ライトシアンやマゼンタ・ライトマゼンタであっても本発明の範疇であることは言うまでもない。また第1の実施の形態及び第2の実施の形態は、パッチ濃度を画像形成装置内画像読取部211から読み取った輝度より求めたが、濃度計や分光測定器を用いて直接濃度を求めても構わない。
【0095】
なお、本発明は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても実現できる。
【0096】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0097】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては次のようなものが挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWなどの光ディスクである。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等も用いることができる。または、プログラムコードを、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0098】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0099】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す断面模式図である。
【図2】画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2中の分版処理部の機能を示すブロック図である。
【図4】分版処理における入力画像信号と出力信号との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、グレー及びブラックトナーで形成する2次色濃度と入力画像信号の関係を示すグラフである。
【図6】グレートナー・ブラックトナーに係る階調特性のターゲットを示すグラフである。
【図7】第1の実施の形態に係る階調補正方法を示す処理のフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に係る階調補正に用いるグレー単色階調パッチを示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係る単色用輝度濃度変換テーブルを示すグラフである。
【図10】LUT、LUTオフ時の階調特性、グレーのターゲットの関係を示すグラフである。
【図11】第1の実施の形態に係る2次色階調補正用チャートを示す図である。
【図12】LUT、LUTオフ時の階調特性とブラックのターゲットの関係を示すグラフである。
【図13】2次色用輝度濃度変換テーブルを示すグラフである。
【図14】LUT作成部314が記憶している、グレー及びブラックの階調特性のターゲットを示すグラフである。
【図15】第2の実施の形態に係る階調補正方法を示す処理のフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係る階調補正に用いるブラック単色階調パッチを示す図である。
【図17】第2の実施の形態に係る単色用輝度濃度変換テーブルを示すグラフである。
【図18】LUT、LUTオフ時の階調特性、ブラックのターゲットの関係を示すグラフである。
【図19】第2の実施の形態に係る2次色階調補正用チャートを示す図である。
【図20】2次色パッチ内ブラックの出力信号値を補正する過程を説明する説明図である。
【図21】出力信号値補正後のブラックのLUTオフ時階調特性を示すグラフである。
【図22】濃トナー・淡トナーを用いた階調表現において階調段差が生ずる様子を示したグラフである。
【符号の説明】
【0101】
212 画像形成部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
211 画像読取部
300 画像処理部
304 CCDセンサ
312 分版処理部
314 LUT作成部
315 出力ガンマ補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定濃度未満の画像を第1色のトナーのみを用いて画像を形成し、前記所定濃度以上の画像を前記第1色のトナーと前記第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行う画像形成装置において、
出力画像の階調性を調整するために階調補正データに基づいて入力画像信号を変換する画像処理手段と、
像担持体と、前記像担持体を回転駆動する駆動手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に対向するように設けられ、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段を有し前記現像バイアスと前記静電潜像の電位との電位差に応じた濃度で前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段とを有する前記第1色のトナーを用いて画像形成する第1の画像形成部と前記第2色のトナーを用いて画像形成する第2の画像形成部と備える画像形成手段であって、前記画像処理手段から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成手段と、
前記複数の画像形成部に前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に濃度が均一な第1のトナーパターン及び階調性を有する第2のトナーパターンをそれぞれ形成させる制御手段と、
前記第1及び第2のトナーパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られる前記第1のトナーパターンの読取結果に基づいて前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に生じる画像濃度差を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果と前記第2のトナーパターンの読取結果とに基づいて第2のトナーパターンの濃度情報を算出する算出手段と、
前記濃度情報に基づいて階調補正データを作成する階調補正データ作成手段とを有し、
前記階調補正データ作成手段は、前記第1色及び前記第2色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報と前記第1色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報とに基づいて第2色のトナーに対応する入力画像信号を変換する階調補正データを作成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
所定濃度未満の画像を第1色のトナーのみを用いて画像を形成し、前記所定濃度以上の画像を前記第1色のトナーと前記第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行う画像形成装置において、
出力画像の階調性を調整するために階調補正データに基づいて入力画像信号を変換する画像処理手段と、
像担持体と、前記像担持体を回転駆動する駆動手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に対向するように設けられ、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段を有し前記現像バイアスと前記静電潜像の電位との電位差に応じた濃度で前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段とを有する前記第1色のトナーを用いて画像形成する第1の画像形成部と前記第2色のトナーを用いて画像形成する第2の画像形成部と備える画像形成手段であって、前記画像処理手段から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成手段と、
前記複数の画像形成部に前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に濃度が均一な第1のトナーパターン及び階調性を有する第2のトナーパターンをそれぞれ形成させる制御手段と、
前記第1及び第2のトナーパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られる前記第1のトナーパターンの読取結果に基づいて前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に生じる画像濃度差を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果と前記第2のトナーパターンの読取結果とに基づいて第2のトナーパターンの濃度情報を算出する算出手段と、
前記濃度情報に基づいて階調補正データを作成する階調補正データ作成手段と、
前記階調補正データ作成手段は、前記第1色及び前記第2色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報と前記検出手段によって検出される前記第1色のトナーで形成される第1のトナーパターンの画像濃度差とに基づいて、前記第2のトナーパターンの濃度情報とに基づいて第2色に対応する入力画像信号を変換する階調補正データを作成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
所定濃度未満の画像を第1色のトナーのみを用いて画像を形成し、前記所定濃度以上の画像を前記第1色のトナーと前記第1色と同一色相でかつ濃度が高い第2色のトナーとを重ねて画像形成を行う画像形成装置において、
出力画像の階調性を調整するために階調補正データに基づいて入力画像信号を変換する画像処理手段と、
像担持体と、前記像担持体を回転駆動する駆動手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に対向するように設けられ、トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段を有し前記現像バイアスと前記静電潜像の電位との電位差に応じた濃度で前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段とを有する前記第1色のトナーを用いて画像形成する第1の画像形成部と前記第2色のトナーを用いて画像形成する第2の画像形成部と備える画像形成手段であって、前記画像処理手段から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成手段と、
前記複数の画像形成部に前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に濃度が均一な第1のトナーパターン及び階調性を有する第2のトナーパターンをそれぞれ形成させる制御手段と、
前記第1及び第2のトナーパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られる前記第1のトナーパターンの読取結果に基づいて前記像担持体の駆動方向に対して垂直な方向に生じる画像濃度差を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果と前記第2のトナーパターンの読取結果とに基づいて第2のトナーパターンの濃度情報を算出する算出手段と、
前記濃度情報に基づいて階調補正データを作成する階調補正データ作成手段とを有し、
前記階調補正データ作成手段は、前記第1色及び前記第2色のトナーによって形成される前記第2のトナーパターンの濃度情報と前記検出手段によって検出される前記第2色のトナーで形成される第1のトナーパターンの画像濃度差とに基づいて、前記第2のトナーパターンの濃度情報とに基づいて第2色のトナーに対応する入力画像信号を変換する階調補正データを作成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図21】
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【図22】
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【図8】
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【図11】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−157369(P2009−157369A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311141(P2008−311141)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】