説明

画像形成装置

【課題】像担持体の破損やクリーニングブレードのめくれ等の不具合を生じさせることなく、比較的簡易な構成・操作で現像部から現像剤の自動回収がおこなわれる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像部から現像剤を回収する場合に、像担持体の駆動を開始して(ステップS3)、その後に現像部の駆動を開始するとともに現像剤回収手段による現像剤の回収を開始して(ステップS4)、検知手段によって現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態が検知されたときに像担持体の駆動を停止する(ステップS5〜S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、メンテナンス時に現像部内で長時間使用された現像剤を新品のものに入れ替えるために現像部内の現像剤を自動で回収する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、現像剤交換時(メンテナンス時)に、現像部(現像装置)に収容された、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含むものとする。)を自動回収する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
詳しくは、現像剤交換時に、現像部を画像形成装置本体にセットしたままの状態で稼動して、現像部から既設の現像剤(寿命に達して劣化した現像剤である。)を自動で取出(回収)する。そして、その後に、空となった現像部に新品の現像剤を充填する。
【0003】
特許文献1等には、現像剤回収時に、現像スリーブ(現像剤担持体)に取り込み規制部材を当接させて、現像スリーブ上に担持された現像剤を掻き取って、回収容器内に落下させて回収する技術が開示されている。
特許文献2等には、現像部における現像剤の循環経路中に、シャッタによって開閉自在な排出口を設けて、現像剤回収時にシャッタを開放して排出口から現像剤を現像部外に排出する技術が開示されている。
特許文献3等には、現像部における現像剤の循環経路の近傍に排出口を設けて、現像剤回収時にスクリュを逆回転・正回転させながら排出口から現像剤を現像部外に排出する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−117365号公報
【特許文献2】特開平11−272062号公報
【特許文献3】特開平6−230668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の画像形成装置は、現像剤の自動回収時に、感光体ドラム、感光体ベルト等の像担持体の表面に傷がついてしまったり、像担持体に当接するクリーニングブレードがめくれてしまう不具合が生じていた。
【0006】
詳しくは、現像剤の自動回収時に、像担持体の駆動を停止した状態で現像部を稼動してしまうと、回収が進まない段階で現像ローラ(現像剤担持体)に担持された現像剤が像担持体上の一部に集中的に摺接してしまい、その箇所が横帯状に傷ついてしまう。このような場合には、現像剤交換後に出力される出力画像上に、横帯状のスジ画像が生じてしまうことになる。
これに対して、現像剤の自動回収時に、現像部とともに像担持体を駆動してしまうと、回収が進んだ段階で現像ローラ(現像剤担持体)に現像剤がほとんど担持されていない状態になって、像担持体上にトナーがまったく供給されない状態となるために、像担持体に当接するクリーニングブレード(像担持体上に付着する未転写トナー等の付着物を除去するためのものである。)のエッジ部にトナーが充分に供給されずに、クリーニングブレードがめくれてしまう。なお、クリーニングブレードのめくれが生じると、クリーニングブレードや像担持体の破損、クリーニング不良、異常音等の2次的な不具合が生じることになる。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、像担持体の破損やクリーニングブレードのめくれ等の不具合を生じさせることなく、比較的簡易な構成・操作で現像部から現像剤の自動回収がおこなわれる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に対向するとともに現像剤を担持する現像剤担持体を具備し、前記像担持体上に形成される潜像を現像する現像部と、前記現像部を駆動しながら該現像部から現像剤を回収する現像剤回収手段と、前記現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態を検知する検知手段と、を備え、前記現像部から現像剤を回収する場合に、前記像担持体の駆動を開始して、その後に前記現像部の駆動を開始するとともに前記現像剤回収手段による現像剤の回収を開始して、前記検知手段によって前記現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態が検知されたときに前記像担持体の駆動を停止するものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記検知手段を、前記現像部に収容された現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段としたものである。
【0010】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記検知手段を、前記現像部の駆動トルクを検知するトルク検知手段としたものである。
【0011】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記検知手段を、前記像担持体上に形成されたトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段としたものである。
【0012】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記検知手段を、前記現像剤回収手段によって現像剤の回収を開始してからの時間を検知するタイマーとしたものである。
【0013】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記像担持体に対して接離可能に当接する当接部材と、前記当接部材が前記像担持体に対して離間していることを検知する第2検知手段と、を備え、前記現像剤回収手段は、前記第2検知手段によって前記当接部材が前記像担持体に対して離間している状態を検知したときにのみ稼動されるものである。
【0014】
また、請求項7記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項6に記載の発明において、前記第2検知手段を、前記当接部材の接離動作をおこなうカムの回転位置を検知する回転位置センサとしたものである。
【0015】
また、請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項6に記載の発明において、前記第2検知手段を、前記像担持体の駆動トルクを検知する第2トルク検知手段としたものである。
【0016】
また、請求項9記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項6に記載の発明において、前記第2検知手段を、前記当接部材の位置を検知する位置センサとしたものである。
【0017】
また、請求項10記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項6〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記当接部材を中間転写ベルトとしたものである。
【0018】
また、請求項11記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項10のいずれかに記載の発明において、前記像担持体に当接して当該像担持体に付着する未転写トナーを除去するクリーニングブレードを備えたものである。
【0019】
また、請求項12記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の発明において、前記現像剤回収手段は、前記現像部における現像剤の循環経路中に配設された排出口から現像剤を回収するものである。
【0020】
なお、本願において、「現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態」とは、現像剤担持体上に現像剤が僅かに残存する状態も含むものと定義する。したがって、通常の現像工程時において現像剤担持体上に担持される現像剤の量に比べて、明らかに少ない量であって長手方向にわたって不均一に現像剤が現像剤担持体上に担持された状態等も「現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態」とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、現像部から現像剤を回収する場合に、まず、像担持体の駆動を開始して、その後に現像部の駆動を開始するとともに現像剤の回収を開始して、現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態が検知されたときに像担持体の駆動を停止している。これにより、像担持体の破損やクリーニングブレードのめくれ等の不具合を生じさせることなく、比較的簡易な構成・操作で現像部から現像剤の自動回収がおこなわれる、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0023】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部(現像装置)、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
【0024】
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される当接部材としての中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
なお、図示は省略するが、各感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKの上方には、各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)を現像部13に補給する各色のトナー容器がそれぞれ設置されている。
【0025】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0026】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0027】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0028】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK(像担持体)は、それぞれ、図1の時計方向に回転している。なお、図2を参照して、感光体ドラム11を回転駆動するドラム駆動モータ91は、現像部13を駆動する現像駆動モータ92とは独立した駆動系であって、帯電部12(帯電ローラ)も回転駆動する。
そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0029】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0030】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0031】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0032】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。詳しくは、図2を参照して、感光体ドラム11に当接するクリーニングブレード15aによって、感光体ドラム11上に付着した未転写トナーが機械的に掻き取られて、クリーニング部15内に回収される。また、図示は省略するが、クリーニング部15内に回収されたトナーは、クリーニング駆動モータによって回転駆動されるオーガスクリュによってクリーニング部15の外部に向けて搬送されて廃トナーボトルに回収される。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電ランプ(除電部)を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0033】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17(当接部材)は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0034】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0035】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
次に、図2〜図4にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2は、作像部及びトナー容器28を示す構成図である。図3(A)は現像部13の上部(第1搬送スクリュ13b1の位置である。)を長手方向にみた概略断面図であって、図3(B)は現像部13の下部(第2搬送スクリュ13b2及び第3搬送スクリュ13b3の位置である。)を長手方向にみた概略断面図である。図4は、現像部13の端部(第3中継部13hの位置である。)を示す断面図である。
なお、各作像部はほぼ同一構造であって、各トナー容器もほぼ同一構造であるために、図2〜図4にて作像部及びトナー容器は符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0037】
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像部13(現像装置)、クリーニング部15、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電の有機感光体であって、ドラム駆動モータ91によって反時計方向に回転駆動される。
【0038】
帯電部12は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部12の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。なお、帯電部12は、感光体ドラム11に対して接触させてもよいし、所定のギャップをあけて対向させてもよい。
クリーニング部15は、感光体ドラム11に摺接するクリーニングブレード15aが設置されていて、感光体ドラム11上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。クリーニングブレード15aは、ウレタン、EPDM、NBR、シリコーン、イソプレン等のゴム材料で形成されている。なお、本実施の形態では、感光体ドラム11に対するクリーニングブレード15aの当接方向をカウンター方向としたが、感光体ドラム11に対するクリーニングブレード15aの当接方向をトレーディング方向とすることもできる。
【0039】
現像部13は、現像剤担持体としての現像ローラ13aが感光体ドラム11に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム11と磁気ブラシとが接触する現像領域が形成される。現像部13内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像部13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像部13の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0040】
図2を参照して、トナー容器28は、現像工程によって現像部13で消費されたトナーを補給するための、トナーTを収容している。そして、トナー容器28から現像部13内に向けて、適宜に新品のトナーTが供給される。具体的に、現像部13に設置されたトナー濃度検知手段としての磁気センサ86(第3搬送スクリュ13b3の搬送経路中に設置されている。)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報や、感光体ドラム11に対向する画像濃度検知手段としての光学センサ40によって検知される画像濃度(感光体ドラム11上に所定のタイミングで形成されるパッチパターンの画像濃度である。)の情報に基いて、シャッタ駆動部81によってシャッタ機構80の開閉動作をおこなって、トナー容器28から供給管29、補給口13eを経て現像部13内に向けてトナーTを適宜に補給する。
【0041】
以下、画像形成装置における現像部13(現像装置)について詳述する。
図2〜図4を参照して、現像部13は、現像剤担持体としての現像ローラ13a、3つの搬送スクリュ13b1〜13b3(オーガスクリュ)、ドクターブレード13c、等で構成されている。
現像ローラ13aは、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブが現像駆動モータ92によって時計方向に回転されるように構成されている。図3を参照して、現像ローラ13aのスリーブ13a2内には、スリーブの周面に現像剤Gの穂立ちを生じるように磁界を形成するマグネット13a1が固設されている。マグネット13a1から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤G中のキャリアCがスリーブ13a2上にチェーン状に穂立ちする。このチェーン状に穂立ちしたキャリアCに帯電したトナーTが付着されて、磁気ブラシが形成される。磁気ブラシは、スリーブ13a2の回転によってスリーブ13a2と同方向(時計方向)に移送される。
【0042】
図2を参照して、ドクターブレード13cは、現像領域の上流側に設置されていて、現像ローラ13a上の現像剤Gを適量に規制する。
3つの搬送スクリュ13b1〜13b3は、現像部13内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送スクリュ13b1は、現像ローラ13aに対向する位置に配設されていて、現像剤Gを水平方向に搬送する(図3(A)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)とともに、現像ローラ13a上に現像剤Gを供給(図3(A)の白矢印方向の供給である。)する。
【0043】
第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1の下方であって現像ローラ13aに対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ13aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ極によって現像ローラ13a上から強制的に離脱された現像剤Gであって、図3(B)の白矢印方向に離脱するものある。)を水平方向に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)。
【0044】
第3搬送スクリュ13b3は、第2搬送スクリュ13b2に隣接する位置であって、第1搬送部材13b1の斜め下方に配設されている。そして、第3搬送スクリュ13b3は、第2搬送スクリュ13b2によって搬送された現像剤Gを第1搬送部材13b1による搬送経路の上流側に搬送するとともに、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側から第1中継部13fを介して循環される現像剤Gを第1搬送部材13b1による搬送経路の上流側に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す左方向の搬送である。)。
3つの搬送スクリュ13b1〜13b3は、現像ローラ13aや感光体ドラム11と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、現像ローラ13aと3つの搬送スクリュ13b1〜13b3とは、図示せぬギア列を介して、現像駆動モータ92によって回転駆動される。
【0045】
なお、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路と、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路と、は壁部によって隔絶されている。
図3(B)を参照して、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の下流側と、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路の上流側と、は第2中継部13gを介して連通している。また、図3(A)及び図3(B)を参照して、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側と、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路の上流側と、は第1中継部13fを介して連通している。また、図3(A)及び図3(B)、図4を参照して、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路の下流側と、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の上流側と、は第3中継部13hを介して連通している。図4を参照して、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路において第3中継部13hの近傍に滞留して盛り上がった現像剤Gが、第3中継部13hを介して第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の上流側に搬送(供給)されることになる。
【0046】
このような構成により、3つの搬送スクリュ13b1〜13b3によって、現像部13において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。すなわち、現像駆動モータ92によって現像部13が駆動されると、現像ローラ13aと3つの搬送スクリュ13b1〜13b3とが回転して、装置内に収容された現像剤Gは図3中の破線矢印の方向に流動する。そして、このように、現像ローラ13aに対する現像剤Gの供給経路(第1搬送スクリュ13a1による搬送経路である。)と、現像ローラ13aから離脱する現像剤Gの回収経路(第2搬送スクリュ13a2による搬送経路である。)と、を分離することで、感光体ドラム11上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
なお、図3(B)を参照して、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路中には、装置内を循環する現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段としての磁気センサ86が設置されている。そして、磁気センサ86によって検知されるトナー濃度の情報(又は、光学センサ40によって検知される画像濃度の情報)に基いて、トナー容器28から補給経路(供給管29、補給口13e)を介して現像部13内に向けて所定量のトナーTが供給される。
【0047】
ここで、図2及び図3(B)を参照して、第3搬送スクリュ13b3による搬送経路の底部には、現像剤交換時に現像部13内に収容された現像剤Gを外部に排出して剤貯溜容器70に回収するための排出口13dと、排出口13dを開閉するシャッタ88と、が設けられている。現像剤回収時以外には、シャッタ88は排出口13dを閉鎖している(図2の状態である。)。
現像剤回収時には、シャッタ88が移動して排出口13dが開放される。そして、現像駆動モータ92によって現像部13(現像ローラ13a、搬送スクリュ13a1〜13a3)を駆動して現像剤の循環をおこないながら、排出口13dの位置に達した現像剤を順次に排出経路を経由して剤貯留容器70に向けて自重落下させる。このように、本実施の形態では、排出口13dやシャッタ88が、現像部13(現像ローラ13a、搬送スクリュ13a1〜13a3)を駆動しながら現像部13から現像剤を回収する現像剤回収手段として機能することになる。したがって、比較的簡易な構成・操作で、劣化して寿命に達した現像剤Gが自動的に現像部13の外部に排出・回収されることになる。
なお、本実施の形態では、補給口13eを第1搬送スクリュ13a1による搬送経路中に配設して、排出口13dを第3搬送スクリュ13a3による搬送経路中に配設したが、補給口13eや排出口13dの位置はこれに限定されるものではない。
【0048】
次に、図5及び図6にて、画像形成装置における中間転写ベルト17の接離機構について詳述する。
図5及び図6を参照して、本実施の形態における中間転写ベルト17は、感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して接離可能に当接するように構成されている。詳しくは、当接部材としての中間転写ベルト17に内接する4つの転写バイアスローラ14は、保持部95に回転自在に保持されている。また、保持部95は、カム96を介して、中間転写ベルト17を保持する筐体に上下動可能に保持されている。このような構成により、不図示のモータによってカム96が所定角度回転されることで、感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して中間転写ベルト17が接離されることになる。
具体的に、通常の画像形成時には、カム96の回転位置が図5に示す位置に制御されて、感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して中間転写ベルト17が当接される。これに対して、後述する現像剤回収時等には、カム96の回転位置が図6に示す位置に制御されて、感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して中間転写ベルト17が離間される。
【0049】
ここで、本実施の形態では、当接部材としての中間転写ベルト17が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して離間していることを検知する第2検知手段としての回転位置センサ98が設置されている。回転位置センサ98は、発光素子と受光素子とが隙間を空けて配設されたフォトセンサであって、カム96の回転位置を検知する。
具体的に、カム96に設置された被検知板97が回転位置センサ98の発光素子と受光素子との間にあるとき(図5の状態である。)には、発光素子から発せられた光が受光素子に達せずに、そのときの受光素子の出力値から中間転写ベルト17が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに当接しているものと判断される。これに対して、カム96に設置された被検知板97が回転位置センサ98の発光素子と受光素子との間にないとき(図6の状態である。)には、発光素子から発せられた光が受光素子に達して、そのときの受光素子の出力値から中間転写ベルト17が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して離間しているものと判断される。
【0050】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像剤回収時におこなわれる制御について詳述する。
図7は、現像剤回収時の制御を示すタイミングチャートであって、以下の説明において適宜に参照する。
本実施の形態において、現像部13への現像剤の回収は、手動でおこなうのではなく、自動でおこなわれる。以下、その手順について詳述する。
まず、装置本体1に現像部13を設置した状態で、サービスマン(又はユーザー)が装置本体1の操作部のボタン(現像剤回収をおこなうための操作ボタンであって、不図示である。)を操作すると、制御部87によってドラム駆動モータ91が制御されて、感光体ドラム11(及び帯電部12)の回転駆動が開始される。さらに、これと同時に、クリーニング駆動モータの稼動と除電ランプの点灯が開始され、感光体ドラム11の回転が安定するまでこの状態が維持される。その後、感光体ドラム11の回転が安定したら帯電ACバイアスと帯電DCバイアスとが印加される。そして、帯電された感光体ドラム11の表面が現像ローラ13aとの対向位置に達した時点で、現像駆動モータ92を制御して現像部13(現像ローラ13a、搬送スクリュ13a1〜13a3)の回転駆動を開始するとともに、現像ローラ13aへの現像バイアスの印加を開始する。さらに、これと同時に、シャッタ88を開放して、現像装置13内を循環する現像剤を排出口13dから順次に排出する。
このように、本実施の形態では、現像剤の自動回収初期時であって、回収の程度が進んでおらず現像ローラ13a上に現像剤が充分に担持された状態のときに、感光体ドラム11を回転駆動させながら現像部13を駆動しているために、現像ローラ13aに担持された現像剤が感光体ドラム11上の一部に集中的に摺接してしまうことがなく、感光体ドラム11上に横帯状の傷がつく不具合が抑止される。
【0051】
その後、排出口13dからの現像剤の排出(回収)の程度が進んでいくと、現像装置13内の現像剤量が徐々に減少して、やがて現像ローラ13a上に現像剤がほとんど担持されない状態になる。具体的には、第1搬送スクリュ13a1の下流側から徐々に現像剤の高さがゼロに近づいていき、それに対応した位置から現像ローラ13a上に現像剤が供給されなくなっていく。そして、最終的に、現像ローラ13aの長手方向にわたって現像剤が供給されなくなる。
本実施の形態では、このように現像ローラ13a上に現像剤が担持されなくなった状態を検知して、その時点で感光体ドラム11の回転駆動を停止する。このような制御をおこなうことで、現像ローラ13a上に現像剤が担持されないことにより感光体ドラム11上にトナーがまったく供給されない状態となって、クリーニングブレード15aのエッジ部(当接部)にトナーが介在しない状態で感光体ドラム11が長時間駆動される不具合が抑止される。したがって、クリーニングブレード15aがめくれる不具合が抑止されて、クリーニングブレード15aや感光体ドラム11の破損、クリーニング不良、異常音等の2次的な不具合も抑止される。
なお、感光体ドラム11を回転停止するタイミングは、帯電DCバイアスの印加を停止してから感光体ドラム11が1回転以上して感光体ドラム11が全周にわたって除電されるタイミングである。そして、この間に、現像バイアスや帯電ACバイアスの印加や除電ランプが停止される。
感光体ドラム11の回転駆動を停止した後は、現像剤の排出が完全に終了するまで現像部13の駆動が続けられる。
【0052】
このように、本実施の形態では、現像部13から現像剤Gを回収する場合に、まず、感光体ドラム11の駆動を開始して、その後に現像部13の駆動を開始するとともに現像剤の回収を開始して、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態が検知されたときに感光体ドラム11の駆動を停止している。これにより、感光体ドラム11の破損やクリーニングブレード15aのめくれ等の不具合を確実に抑止することができる。
【0053】
ここで、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する検知手段としては、現像剤の回収を開始してからの時間を検知するタイマー85を用いることができる。具体的に、現像剤回収モード(感光体ドラム11の駆動)が開始されてからの時間がタイマー85によって検知(カウント)されて、所定時間が経過したときに現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止する。なお、上述した所定時間は、装置の開発時に実験やシュミレーションにより定められる固定値である。
なお、タイマー85は、画像形成装置1の種々の制御でも用いられるものであるため、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態だけを検知する検知手段を別に設置する必要がない。したがって、装置を高コスト化、大型化することなく上述した効果を達成することができる。
【0054】
これに対して、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する検知手段として、磁気センサ86(トナー濃度検知手段)を用いることもできる。磁気センサ86は、通常時に、現像剤の透磁率の変化から現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段として機能している。そして、現像剤回収時には、現像剤の透磁率の変化からその周囲の現像剤量の変化を検知することで、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する。具体的に、現像剤回収が開始されて、磁気センサ86(トナー濃度検知手段)の検知結果が所定値に達したときに、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止する。なお、上述した所定値は、装置の開発時に実験やシュミレーションにより定められる値である。
または、現像剤回収が開始されて、磁気センサ86(トナー濃度検知手段)の検知結果が所定値に達してから所定時間が経過したときに、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止することもできる。
なお、磁気センサ86は、現像部13内の現像剤のトナー濃度を検知するためにもともと設置されているものであるため、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態だけを検知する検知手段を別に設置する必要がない。したがって、装置を高コスト化、大型化することなく上述した効果を達成することができる。
【0055】
また、図2を参照して、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する検知手段として、現像部13の駆動トルクを検知するトルク検知手段としてのトルク検知センサ84を用いることもできる。トルク検知センサ84は、通常時に、現像部13に異常が生じて駆動トルクの上昇がないかを検知する異常検知センサとして機能している。トルク検知センサ84としては、現像駆動モータ92に供給される電流値の変動を検知するセンサを用いることができる。そして、現像剤回収時には、現像剤の排出にともない現像部13の駆動トルクが減少していくことから、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する。具体的に、現像剤回収が開始されて、トルク検知センサ84(トルク検知手段)の検知結果が所定値に達したときに、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止する。なお、上述した所定値は、装置の開発時に実験やシュミレーションにより定められる値である。
または、現像剤回収が開始されて、トルク検知センサ84(トルク検知手段)の検知結果が所定値に達してから所定時間が経過したときに、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止することもできる。
なお、トルク検知センサ84は、現像部13の異常を検知するためにもともと設置されているものであるため、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態だけを検知する検知手段を別に設置する必要がない。したがって、装置を高コスト化、大型化することなく上述した効果を達成することができる。
【0056】
さらに、図2を参照して、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する検知手段として、感光体ドラム11上に形成されたトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段としての光学センサ40を用いることもできる。光学センサ40は、通常時に、感光体ドラム11上に形成したトナー像(パッチパターン)の画像濃度を光学的に検知する画像濃度検知手段として機能している。光学センサ40は、感光体ドラム11上のトナー像に光を照射する発光素子と、感光体ドラム11上のトナー像から反射した光を受光する受光素子と、からなる。そして、現像剤回収時には、感光体ドラム11上に形成したトナー像(パッチパターン)の画像濃度が低下していくことから、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態を検知する。具体的に、現像剤回収が開始されて、光学センサ40(画像濃度検知手段)の検知結果が所定値に達したときに、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止する。なお、上述した所定値は、装置の開発時に実験やシュミレーションにより定められる値である。
または、現像剤回収が開始されて、光学センサ40(画像濃度検知手段)の検知結果が所定値に達してから所定時間が経過したときに、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態になっているものとして、感光体ドラム11の回転駆動を停止することもできる。
なお、光学センサ40は、パッチパターンの画像濃度を検知するためにもともと設置されているものであるため、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されていない状態だけを検知する検知手段を別に設置する必要がない。したがって、装置を高コスト化、大型化することなく上述した効果を達成することができる。
【0057】
ここで、本実施の形態では、上述した現像剤回収制御は、先に図5及び図6で説明した中間転写ベルト17の離間動作がおこなわれているときにのみ実施される。すなわち、現像剤回収手段13d、88は、第2検知手段としての回転位置センサ98によって中間転写ベルト17(当接部材)が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して離間している状態(図6の状態である。)を検知したときにのみ稼動される。
これにより、現像剤回収時に感光体ドラム11が回転駆動されて、停止状態にある中間転写ベルト17の一部に集中的に摺接して中間転写ベルト17に横帯状の傷がつく不具合を抑止することができる。特に、中間転写ベルト17は高価な部品であるために、上述のような制御をおこなうことは有用である。
【0058】
なお、中間転写ベルト17(当接部材)が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して離間している状態を検知する第2検知手段としては、感光体ドラム11の駆動トルクを検知する第2トルク検知手段としての第2トルク検知センサを用いることもできる。第2トルク検知センサとしては、ドラム駆動モータ91に供給される電流値の変動を検知するセンサであって、中間転写ベルト17が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して離間しているときはドラム駆動モータ91に供給される電流値が低下するために第2検知手段として機能するものである。
また、中間転写ベルト17(当接部材)が感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して離間している状態を検知する第2検知手段として、中間転写ベルト17の位置を検知する位置センサを用いることもできる。位置センサは、中間転写ベルト17の上下動を光学的に検知するフォトセンサである。
【0059】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して接離される中間転写ベルト17が離間されていることを条件として現像剤回収制御をおこなったが、感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKに対して接離される他の当接部材がある場合には、その当接部材が離間されていることを条件として現像剤回収制御をおこなうこともできる。その場合にも、現像剤回収時に当接部材に傷がつく不具合を抑止することができる。
【0060】
以下、図8を用いて、上述した現像剤回収制御の一例をさらに具体的に述べる。
まず、現像剤回収をおこなうための操作ボタンがおされると、現像剤回収モードが開始される(ステップS1)。その後、中間転写ベルト17の離間動作がおこなわれているかが判別される(ステップS2)。具体的には、回転位置センサ98(第2検知手段)による検知信号の有無が判別される。
その結果、中間転写ベルト17の離間動作がおこなわれていないものと判別された場合には、現像剤回収制御はおこなわずに、ステップS2以降のフローが繰り返される。
【0061】
これに対して、中間転写ベルト17の離間動作がおこなわれているものと判別された場合には、現像剤回収制御をおこなっても中間転写ベルト17に傷が生じないものとして、感光体ドラム11の回転駆動が開始される(ステップS3)。
その後、現像剤の回収がおこなわれる(ステップS4)。具体的には、現像部13の駆動が開始されるとともに、シャッタ88が開放されて排出口13dからの現像剤の排出がおこなわれる。
【0062】
そして、現像剤回収が開始された直後から、検知手段によって現像ローラ13a上に現像剤が担持されている状態であるかが判別される(ステップS5)。その結果、現像ローラ13a上に現像剤が担持されている状態であると判別された場合には、ステップS5以降のフローが繰り返される。すなわち、感光体ドラム11及び現像部13の駆動が続けられる。
これに対して、現像ローラ13a上に現像剤が担持されていない状態であると判別された場合には、感光体ドラム11の回転駆動を停止する(ステップS6)。
その後、所定時間が経過した後に、現像部13の回転駆動も停止して(ステップS7)、排出口13dをシャッタ88で閉鎖して現像剤回収を終了する(ステップS8)。こうして、現像剤回収モードを終了する(ステップS9)。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態では、現像部13から現像剤Gを回収する場合に、まず、感光体ドラム11(像担持体)の駆動を開始して、その後に現像部13の駆動を開始するとともに現像剤Gの回収を開始して、現像ローラ13a(現像剤担持体)上に現像剤Gが担持されていない状態が検知されたときに感光体ドラム11の駆動を停止している。これにより、感光体ドラム11の破損やクリーニングブレード15aのめくれ等の不具合を生じさせることなく、比較的簡易な構成・操作で現像部13から現像剤を自動回収することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、搬送スクリュ13b1〜13b3が3つ設置された現像部13に対して本発明を適用したが、搬送スクリュが2つ又は4つ以上設置された現像部に対しても本発明を適用することができる。また、本実施の形態では、第3搬送スクリュ13b3を水平に配設したが、第3搬送スクリュ13b3を水平方向に対して斜めに配設することもできる。
【0065】
また、本実施の形態においては、現像部13が単体で画像形成装置本体に着脱されるユニットして構成されている画像形成装置に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、作像部がプロセスカートリッジ化されている画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。なお、プロセスカートリッジとは、帯電部12、現像部13、クリーニング部15のうち少なくとも1つと、像担持体11とが、一体化されて、画像形成装置本体1に対して着脱自在に設置されるユニットである。
【0066】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】(A)現像部の上部を長手方向にみた概略断面図と、(B)現像部の下部を長手方向にみた概略断面図と、である。
【図4】現像部の端部を示す断面図である。
【図5】中間転写ベルトの近傍を示す概略図である。
【図6】感光体ドラムに対して中間転写ベルトが離間した状態を示す概略図である。
【図7】現像剤回収時の制御を示すタイミングチャートである。
【図8】現像剤回収時の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11C、11M、11BK 感光体ドラム(像担持体)、
13 現像部(現像装置)、
13a 現像ローラ(現像剤担持体)、
13d 排出口(現像剤回収手段)、
15a クリーニングブレード、
28 トナー容器、
40 光学センサ(画像濃度検知手段)、
84 トルク検知センサ(トルク検知手段)、
85 タイマー(検知手段)、
86 磁気センサ(トナー濃度検知手段)、
88 シャッタ(現像剤回収手段)、
96 カム、
98 回転位置センサ(第2検知手段)、
G 現像剤(2成分現像剤)、 T トナー、 C キャリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に対向するとともに現像剤を担持する現像剤担持体を具備し、前記像担持体上に形成される潜像を現像する現像部と、
前記現像部を駆動しながら該現像部から現像剤を回収する現像剤回収手段と、
前記現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態を検知する検知手段と、
を備え、
前記現像部から現像剤を回収する場合に、前記像担持体の駆動を開始して、その後に前記現像部の駆動を開始するとともに前記現像剤回収手段による現像剤の回収を開始して、前記検知手段によって前記現像剤担持体上に現像剤が担持されていない状態が検知されたときに前記像担持体の駆動を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記現像部に収容された現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記現像部の駆動トルクを検知するトルク検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記像担持体上に形成されたトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記現像剤回収手段によって現像剤の回収を開始してからの時間を検知するタイマーであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体に対して接離可能に当接する当接部材と、
前記当接部材が前記像担持体に対して離間していることを検知する第2検知手段と、
を備え、
前記現像剤回収手段は、前記第2検知手段によって前記当接部材が前記像担持体に対して離間している状態を検知したときにのみ稼動されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2検知手段は、前記当接部材の接離動作をおこなうカムの回転位置を検知する回転位置センサであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2検知手段は、前記像担持体の駆動トルクを検知する第2トルク検知手段であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2検知手段は、前記当接部材の位置を検知する位置センサであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記当接部材は中間転写ベルトであることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体に当接して当該像担持体に付着する未転写トナーを除去するクリーニングブレードを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像剤回収手段は、前記現像部における現像剤の循環経路中に配設された排出口から現像剤を回収することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−198841(P2009−198841A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40804(P2008−40804)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】