画像形成装置
【課題】現像性能直線を精度良く検出しつつ、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図る。
【解決手段】絶対湿度を検知する図示しない絶対湿度センサを設けた。そして、出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、パッチ作像条件決定処理を実施するように、制御部500を構成した。このパッチ作像条件決定処理において、前回よりも高い絶対湿度を検知したら、前回からの差分に応じて個々のパッチ状トナー像にそれぞれ対応する現像ポテンシャルをより小さくする。この逆に、前回よりも低い絶対湿度を検知したら、前回からの差分に応じて個々のパッチ状トナー像にそれぞれ対応する現像ポテンシャルをより大きくする。
【解決手段】絶対湿度を検知する図示しない絶対湿度センサを設けた。そして、出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、パッチ作像条件決定処理を実施するように、制御部500を構成した。このパッチ作像条件決定処理において、前回よりも高い絶対湿度を検知したら、前回からの差分に応じて個々のパッチ状トナー像にそれぞれ対応する現像ポテンシャルをより小さくする。この逆に、前回よりも低い絶対湿度を検知したら、前回からの差分に応じて個々のパッチ状トナー像にそれぞれ対応する現像ポテンシャルをより大きくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のパッチパターン像に対するトナー付着量を検知した結果に基づいて現像性能直線を把握した後、その結果に基づいて出力画像の作像条件を決定する作像条件決定処理を実施する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像剤や潜像担持体などの特性が環境(温湿度等)や経時劣化などによって変化すると、作像能力が変化する。すると、その作像能力の変化によって画質を変化させてしまうおそれがある。具体的には、環境変動や経時使用に伴って現像剤や潜像担持体の特性が変化すると、画像形成装置の現像性能直線が変化する。この現像性能直線とは、潜像担持体の潜像電位と、現像装置の現像剤担持体に対する現像バイアスとの電位差である現像ポテンシャルと、トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量との関係を示す直線のことである。現像性能直線が変化すると、目標の画像濃度が得られる現像ポテンシャルが変化する。にもかかわらず、作像条件としての現像ポテンシャルを一定値のままにしておくと、画像濃度不足や画像濃度過多を引き起こしてしまうのである。
【0003】
そこで、従来より、次のような出力画像作像条件決定処理を実施する画像形成装置が知られている。即ち、まず、互いに異なる現像ポテンシャルで現像した複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像を形成する。次いで、このパッチパターン像における個々のパッチ状トナー像に対するトナー付着量を反射型フォトセンサ等でそれぞれ検知する。そして、検知結果に基づいて、現像ポテンシャルとトナー付着量との関係を示す近似直線を現像性能直線として求めた後、その結果に基づいて、目標の画像濃度が得られる現像ポテンシャルを特定する。以降、作像時における現像ポテンシャル条件を特定値に設定する。このような出力画像作像条件決定処理を定期的に実行することで、環境変動や経時使用にかかわらず、安定した画像濃度を得ることが可能になる。
【0004】
しかしながら、一般的な出力画像作像条件決定処理では、環境変動量によっては現像性能直線を精度良く検出することができなかった。これは次に説明する理由による。即ち、一般的な出力画像作像条件決定処理では、個々のパッチ状トナー像をそれぞれ形成するときの現像ポテンシャルとして、それぞれ固定値を採用している。例えば、1番目、2番目、3番目・・・10番目のパッチ状トナー像を、固定値である現像ポテンシャルP1、P2、P3・・・P10(P1<P2<P3・・・<P10)で現像するといった具合である。このような条件により、パッチ状トナー像に対するトナー付着量を、1番目、2番目、3番目・・・10番目と徐々に増加させていく。しかし、反射型フォトセンサ等でトナー付着量を検知する場合、トナー付着量の検知可能範囲が限られることから、その増加を正しく検知できるとは限らない。例えば、現像性能直線の傾きである現像γが比較的大きいと、10番目よりも小さいα番目のパッチ状トナー像に対するトナー付着量が検知可能範囲のほぼ上限に達して、α番目〜10番目でトナー付着量の検知結果がほぼ同じになってしまうこともある。加えて、1番目〜β番目(β<α)のパッチ状トナー像において、像担持体表面上の傷をトナーであると誤検知してしまうほどの低トナー付着量(下限値未満)しか得られないこともある。このような場合、β番目とα番目との間におけるごく少数のパッチ状トナー像のトナー付着量だけに基づいて直線の近似処理を行うしかないため、現像性能直線を精度良く求めることができなくなる。現像γが比較的大きくなった場合について説明したが、比較的小さくなった場合には、番号の大きなごく少数のパッチ状トナー像しか、トナー付着量が検知可能範囲の下限を上回らないことにより、現像性能直線を精度良く求めることができなくなることもある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の画像形成装置においては、次のようにして現像性能直線の検知精度を高める工夫がなされている。即ち、まず、一般的な出力画像作像条件決定処理と同様に、個々のパッチ状トナー像をそれぞれ固定値の現像ポテンシャルで現像してそれぞれに対するトナー付着量を検知する。そして、検知結果に基づいて、検知可能範囲の下限あたりのトナー付着量が得られる現像ポテンシャルと、上限あたりのトナー付着量が得られる現像ポテンシャルとを特定する。次いで、現像ポテンシャルを前述の2つの現像ポテンシャルの間で段階的に変化させながらパッチ状トナー像を形成することで、互いにトナー付着量の異なるパッチ状トナー像を検知可能範囲内で所望数得る。これにより、検知可能範囲内で所望のサンプリング数を得て直線の近似処理を行うことで、現像性能直線を精度良く検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この画像形成装置では、パッチパターン像の形成と、トナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを2回繰り返さなければならないことから、出力画像作像条件決定処理に長時間を要してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像性能直線を精度良く検出しつつ、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に静電潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持した現像剤によって該静電潜像を現像してトナー像を得る現像手段と、該潜像担持体の表面上のトナー像、あるいは該潜像担持体から転写体に転写されたトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知する付着量検知手段と、互いに異なる作像条件で現像した複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像を形成し、それら複数のパッチ状トナー像に対するトナー付着量を該付着量検知手段によって検知した結果に基づいて、作像条件とトナー付着量との関係を示す現像性能直線を把握した後、該現像性能直線に基づいて、ユーザーの命令に基づく画像を形成する際の作像条件を決定する出力画像作像条件決定処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、環境状況を把握するする環境把握手段を設けるとともに、上記出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、上記出力画像作像条件決定処理を前回実施したときからの環境変動量と、前回の上記出力画像作像条件決定処理における個々のパッチ状トナー像の作像条件とに基づいて、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像の作像条件をそれぞれ決定するパッチ作像条件決定処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記パッチ作像条件決定処理にて、前回の上記出力画像作像条件決定処理を実施したときの複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件を、上記環境変動量に基づいて補正して、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件とする処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が正の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を低くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成装置において、上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が負の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を高くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量に基づいて、現状の作像能力について比較的高いと判断した場合には、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成するパッチパターン像内の個々のパッチ状トナー像における相互の現像ポテンシャル差を、低ポテンシャル側よりも高ポテンシャル側で小さくする一方で、現状の作像能力について比較的低いと判断した場合には、該現像ポテンシャル差を、高ポテンシャル側よりも低ポテンシャル側で小さくする所定を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明においては、次に説明する理由により、現像性能直線を精度良く検出しつつ、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図ることができる。即ち、環境変動量と、現像性能直線の傾きの変化量とには、ある程度の相関関係があり、環境が高温高湿側に変化すると、現像性能直線の傾きがより大きくなる。この場合、現像性能直線において、所定のトナー付着量検知可能範囲内に収まる線分の長さがより短くなる。すると、互いに異なる現像ポテンシャルで複数のパッチ状トナー像を形成する際のポテンシャルピッチなど、作像条件の変化ピッチを一定にした条件では、トナー付着量を検知可能範囲内に収め得るパッチ状トナー像の数(以下、検知可能パッチ数という)が減少してしまう。一方、環境が低温低湿側に変化すると、現像性能直線の傾きがより小さくなる。すると、基本的には、現像性能直線における前述の線分の長さがより長くなって検知可能パッチ数が増加するが、そうならない場合もある。具体的には、現像性能直線の傾きが小さくなり過ぎると、殆どのパッチ状トナー像に対するトナー付着量が検知可能範囲の下限を下回ってしまうことから、検知可能パッチ数が逆に減少してしまうこともある。このように、環境が低温低湿側に変化した場合、高温多湿側に変化した場合の何れにおいても、その変化量によっては、検知可能パッチ数が減少してしまうが、変化量と、変化前の作像条件とに基づけば、目標の検知可能パッチ数が得られる新たな作像条件を特定することが可能である。例えば、環境が高温高湿側に変化して現像性能直線の傾きがより大きくなった場合、環境の変化量に応じて、個々のパッチ状トナー像を形成する際の現像ポテンシャルをそれぞれより小さくすれば(作像能力を小さくすれば)、環境変化前と同じ検知可能パッチ数を得ることが可能になる。また、環境が低温低湿側に変化して現像性能直線の傾きがより小さくなった場合、環境の変化量に応じて、個々のパッチ状トナー像を形成する際の現像ポテンシャルをそれぞれより大きくすれば(作像能力を大きくすれば)、環境変化前と同じ検知可能パッチ数を得ることが可能になる。請求項1に係る発明では、出力画像作像条件決定処理に先立って実施するパッチ作像条件決定処理において、環境変動量と、前回の出力画像条件決定処理で決定した個々のパッチ状トナー像の作像条件とに基づいて、環境変化前と同じ検知可能パッチ数が得られるように個々のパッチ状トナー像の作像条件を決定することが可能である。このようにして作像条件を決定すると、パッチパターン像の形成と、トナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを1回実施するだけで、所望の検知可能パッチ数を得て現像性能直線を把握することができるので、現像性能直線を精度良く検出しつつ、プロセスコントロール処理の短縮化を図ることができる。
【0010】
なお、請求項5の発明においては、環境変化前と同じ検知可能パッチ数が得られるように個々のパッチ状トナー像の作像条件を決定するのではなく、次のように作像条件を決定することで、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図っている。即ち、環境により、作像能力が比較的高くなっている場合には、複数のパッチ状トナー像のうち、比較的低い現像ポテンシャルで現像したパッチ状トナー像に対するトナー付着量が、付着量検知手段による検知可能範囲に入る。そこで、このような場合には、比較的低い現像ポテンシャルの領域にて、比較的高い現像ポテンシャルの領域に比べて、パッチ状トナー像間の現像ポテンシャル差を小さくする。これにより、付着量検知手段による検知可能範囲内で所望数のパッチ状トナー像を形成する。この一方で、環境により、作像能力が比較的低くなっている場合には、比較的高い現像ポテンシャルで現像したパッチ状トナー像に対するトナー付着量が、付着量検知手段による検知可能範囲に入る。そこで、このような場合には、比較的高い現像ポテンシャルの領域にて、比較的低い現像ポテンシャルの領域に比べて、パッチ状トナー像間の現像ポテンシャル差を小さくする。これにより、付着量検知手段による検知可能範囲内で所望数のパッチ状トナー像を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。
【図3】同複写機におけるY,C用のプロセスユニットを中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図4】同複写機の電気回路の一部を示すブロック図。
【図5】トナー付着量と、拡散反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフ。
【図6】トナー付着量と、正反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフ。
【図7】同複写機の制御部によって実施される出力画像作像条件決定処理における制御フローを示すフローチャート。
【図8】中間転写ベルトとその表面に形成されたKパッチパターン像とを示す平面図。
【図9】Mのパッチパターン像PpMと、Kのパッチパターン像PpKとを順に形成した中間転写ベルト上を横から示す模式図。
【図10】各色のプロセスユニットにおける現像性能直線を示すグラフ。
【図11】現像γと絶対湿度との関係を示すグラフ。
【図12】「前回処理」よりも「今回処理」における絶対湿度が高くなった場合における「前回処理」の作像電位条件と、「今回処理」の作像電位条件とを示すチャート。
【図13】「前回処理」よりも「今回処理」における絶対湿度が高くなった場合における「前回処理」の現像性能直線と、「今回処理」の現像性能直線とを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式の複写機の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、記録紙に画像を形成するプリンタ部1、このプリンタ部1に対して記録紙Pを供給する給紙装置200、原稿画像を読み取るスキャナ300、このスキャナ300に原稿を自動給紙する原稿自動搬送装置(以下、ADFという)400等を備えている。
【0013】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第1走行体303と、複数の反射ミラーを搭載した第2走行体304とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス301上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第2走行体304から送り出される走査光は、結像レンズ305によってその後方に設置されている読取センサ306の結像面に集光せしめられた後、読取センサ306によって画像信号として読込まれる。
【0014】
プリンタ部1の筺体の側面には、筺体内に給紙する記録紙Pを手差しで載置する手差しトレイ2や、筐体内から排出された画像形成済みの記録紙Pをスタックする排紙トレイ3が設けられている。
【0015】
図2は、プリンタ部(1)の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部(1)の筐体内には、転写体たる無端状の中間転写ベルト51を複数の張架ローラによって張架している転写手段たる転写ユニット50が配設されている。中間転写ベルト51は、伸びの少ないポリイミド樹脂に、電気抵抗を調整するためのカーボン粉末を分散せしめた材料からなっている。そして、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ52、2次転写バックアップローラ53、従動ローラ54、4つの1次転写ローラ55Y,C,M,Kによって張架されながら、駆動ローラ52の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。なお、1次転写ローラの符号の末端に付しているY,C,M,Kという添字は、イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の部材であることを示している。以下、符号の末端に付しているY,C,M,Kという添字は、同様である。
【0016】
中間転写ベルト51は、駆動ローラ52、2次転写バックアップローラ53、従動ローラ54に対する掛け回し箇所でそれぞれ大きく湾曲していることで、底辺を鉛直方向上側に向ける逆三角形状の姿勢で張架されている。この逆三角形状の底辺にあたるベルト上部張架面は水平方向に延在しており、かかるベルト上部張架面の上方には、4つのプロセスユニット10Y,C,M,Kが上部張架面の延在方向に沿って水平方向に並ぶように配設されている。
【0017】
先に示した図1において、4つのプロセスユニット10Y,C,M,Kの上方には、光書込ユニット60が配設されている。光書込ユニット60は、スキャナ300によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、図示しないレーザー制御部によって4つの半導体レーザー(図示せず)を駆動して4つの書込光Lを出射する。そして、プロセスユニット10Y,C,M,Kの潜像担持体たるドラム状の感光体11Y,C,M,Kをそれぞれ書込光Lによって暗中にて走査して、感光体11Y,C,M,Kの表面にY,C,M,K用の静電潜像を書き込む。
【0018】
本第1実施形態では、光書込ユニット60として、半導体レーザーから出射したレーザー光を図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで光走査を行うものを用いている。かかる構成のものに代えて、LEDアレイによって光走査を行うものを用いてもよい。
【0019】
図3は、Y,C用のプロセスユニット10Y,Cを中間転写ベルト51とともに示す拡大構成図である。Y用のプロセスユニット10Yは、ドラム状の感光体11Yの周囲に、帯電部材12Y、除電装置13Y、ドラムクリーニング装置14Y、現像手段たる現像装置20Y、電位センサ49Y等を有している。そして、これらを共通の保持体たるケーシングで保持しながらプリンタ部に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるようになっている。
【0020】
帯電部材12Yは、感光体11Yに当接しながら、図示しない軸受けによって回転自在に支持されるローラ状の部材である。図示しないバイアス供給手段によって帯電バイアスが印加されながら感光体11Yに対して接触回転することで、感光体11Yの表面を例えばYトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめる。これにより、感光体11Yの表面は、例えば−700[V]に一様に帯電する。なお、帯電部材12Yに代えて、感光体11Yに対して非接触で一様帯電処理を施すスコロトロンチャージャなどを採用することもできる。
【0021】
図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有するY現像剤をケーシング21Yに内包している現像装置20Yは、現像剤搬送装置22Yと現像部23Yとを有している。現像部23Yでは、図示しない駆動手段によって回転駆動されることで表面を無端移動させる現像剤担持体としての現像スリーブ24Yがその周面の一部をケーシング21Yに設けられた開口から外部に露出させている。これにより、感光体11Yと現像スリーブ24Yとが所定の間隙を介して対向する現像領域が形成されている。
【0022】
非磁性の中空パイプ状の部材からなる現像スリーブ24Yの内部には、周方向に並ぶ複数の磁極を具備する図示しないマグネットローラが現像スリーブ24Yに連れ回らないように固定されている。現像スリーブ24Yは、後述する現像剤搬送装置22Y内のY現像剤をこのマグネットローラの発する磁力によって表面に吸着させながら回転駆動することで、Y現像剤を現像剤搬送装置22Y内から汲み上げる。そして、現像スリーブ24Yの回転に伴って上記現像領域に向けて搬送されるY現像剤は、現像スリーブ24Yの表面に対して所定の間隙を介して先端を対向させているドクタブレード25Yと、スリーブ表面との間に形成されているドクタギャップに進入する。この際、スリーブ上における層厚が規制される。そして、現像スリーブ24Yの回転に伴って感光体11Yと対向する現像領域の付近まで搬送されると、上記マグネットローラの図示しない現像磁極の磁力を受けてスリーブ上で穂立ちして磁気ブラシとなる。
【0023】
現像スリーブ24Yには、図示しないバイアス供給手段によって例えばトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加されている。これにより、現像領域では、現像スリーブ24Y表面と感光体11Yの非画像部(一様帯電部位=地肌部)との間に、Yトナーを非画像部側からスリーブ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブ24Y表面と感光体11Y上の静電潜像との間に、Yトナーをスリーブ側から静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。この現像ポテンシャルの作用によってY現像剤中のYトナーが静電潜像に転移することで、感光体11Y上の静電潜像がYトナー像に現像される。
【0024】
現像スリーブ24Yの回転に伴って上記現像領域を通過したY現像剤は、図示しないマグネットローラに具備される反発磁極間によって形成される反発磁界の影響を受けて、現像スリーブ24Y上から離脱して現像剤搬送装置22Y内に戻る。
【0025】
現像剤搬送装置22Yは、2本の第1スクリュウ部材26Y、第2スクリュウ部材32Y、両スクリュウ部材間に介在する仕切壁、透磁率センサからなるトナー濃度検知センサ45Yなどを有している。仕切壁は、第1スクリュウ部材26Yが収容される現像剤搬送部たる第1搬送室と、第2スクリュウ部材32Yが収容される現像剤搬送部たる第2搬送室とを仕切っているが、両スクリュウ部材の軸線方向における両端部に対向する領域では、それぞれ図示しない開口を通じて両搬送室を連通させている。
【0026】
撹拌搬送部材としての第1スクリュウ部材26Y、第2スクリュウ部材32Yは、それぞれ図示しない軸受けによって両端部が回転自在に支持される棒状の回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを有している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられるのに伴って、Y現像剤を螺旋羽根によって回転軸線方向に搬送する。
【0027】
第1スクリュウ部材26Yが収容されている第1搬送室内では、第1スクリュウ部材26Yの回転駆動に伴って、Y現像剤が図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送される。そして、ケーシング21Yの奥側の端部付近まで搬送されると、仕切壁に設けられた図示しない開口を経由して第2搬送室内に進入する。
【0028】
第2スクリュウ部材32Yが収容されている第2搬送室の上方には、上述した現像部23Yが形成されており、第2搬送室と現像部23Yとは互いの対向部の全領域において連通している。これにより、第2スクリュウ部材32Yと、これの斜め上方に配設された現像スリーブ24Yとが、互いに平行な関係を維持しながら対向している。第2搬送室内では、第2スクリュウ部材32Yの回転駆動に伴って、Y現像剤が図紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送される。この搬送の過程において、第2スクリュウ部材32Yの回転方向周囲のY現像剤が現像スリーブ24Yに適宜汲み上げられたり、現像スリーブ24Yから現像後のY現像剤が適宜回収されたりする。そして、第2搬送室の図中手前側の端部付近まで搬送されたY現像剤は、仕切壁に設けられた図示しない開口を通って、第1搬送室内に戻る。
【0029】
第1搬送室の下壁には、透磁率センサからなるトナー濃度検知手段としてのトナー濃度検知センサ45Yが固定されており、第1スクリュウ部材26Yによって搬送されているY現像剤のトナー濃度を下方から検知して検知結果に応じた電圧を出力する。図示しない制御部は、トナー濃度検知センサ45Yからの出力電圧値に基づいて、必要に応じて図示しないYトナー補給装置を駆動することで、適量のYトナーを第1搬送室内に補給する。これにより、現像に伴ってトナー濃度を低下させたY現像剤のトナー濃度が回復する。
【0030】
感光体11Y上に形成されたYトナー像は、後述するY用の1次転写ニップで中間転写ベルト51上に1次転写される。この1次転写工程を経由した後の感光体11Y表面には、中間転写ベルト51上に1次転写されなかった転写残トナーが付着している。
【0031】
ドラムクリーニング装置14Yは、例えばポリウレタンゴム等からなるクリーニングブレード15Yを片持ち支持しており、その自由端側を感光体11Y表面に当接させている。また、図示しない駆動手段によって回転駆動される回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた無数の導電性起毛とを具備するブラシローラ16Yのブラシ先端側を感光体11Yに接触させている。そして、上述の転写残トナーをこのクリーニングブレード15Yやブラシローラ16Yによって感光体11Y表面から掻き取る。ブラシローラ16Yには、これに当接する金属製の電界ローラ17Yを介してクリーニングバイアスが印加されており、電界ローラ17Yにはスクレーパ18Yの先端が押し当てられている。クリーニングブレード15Yやブラシローラ16Yによって感光体11Yから掻き取られた転写残トナーは、ブラシローラ16Yと電界ローラ17Yとを経た後、スクレーパ18Yによって電界ローラ17Yから掻き取られて、回収スクリュウ19Y上に落下する。そして、回収スクリュウ19Yの回転駆動に伴って、ケーシング外に排出された後、図示しないトナーリサイクル搬送手段を介して現像剤搬送装置22Y内に戻される。
【0032】
ドラムクリーニング装置14Yによって転写残トナーがクリーニングされた感光体11Y表面は、除電ランプ等からなる除電装置13Yによって除電された後、帯電部材14Yによって再び一様帯電せしめられる。
【0033】
また、書込光Lによる光書込位置を通過した感光体11Yの非画像部の電位は、電位センサ49Yによって検知されて、その検知結果が図示しない制御部に送られる。
【0034】
なお、感光体11Yの一様帯電電位は例えば−700[V]であり、静電潜像の電位は、−120[V]である。更には、現像バイアスの電圧は例えば−470[V]であり、350[V]の現像ポテンシャルが確保されている。
【0035】
Y用のプロセスユニット10Yについて詳述したが、他色のプロセスユニット(10C,M,K)は、使用するトナーの色が異なる点の他は、Y用のものと同様の構成になっている。
【0036】
先に示した図2において、プロセスユニット10Y,C,M,Kの感光体11Y,C,M,Kは、時計回り方向に無端移動せしめられる中間転写ベルト51の上部張架面に当接しながら回転してY,C,M,K用の1次転写ニップを形成している。中間転写ベルト51の材料には、ベルト伸びによる転写位置ずれの発生を抑えるために、機械的強度に優れたポリイミドが採用されている。このポリイミドには、温湿度環境に依存せずに安定した転写性能を発揮することができるベルト抵抗値を実現する狙いから、電気抵抗調整剤としてのカーボンを分散させている。このため、中間転写ベルト51の表面は黒色を呈している。
【0037】
Y,C,M,K用の1次転写ニップの裏側では、上述した1次転写ローラ55Y,C,M,Kが中間転写ベルト51の裏面に当接している。そして、これら1次転写ローラ55Y,C,M,Kには、それぞれ図示しないバイアス供給手段によってトナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加されている。この1次転写バイアスにより、Y,C,M,K用の1次転写ニップには、トナーを感光体側からベルト側に静電移動させる1次転写電界が形成される。感光体11Y,C,M,K上に形成されたY,C,M,Kトナー像は、感光体11Y,C,M,Kの回転に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップに進入すると、この1次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト51のおもて面(ループ外周面)には、4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。なお、1次転写ローラ55Y,C,M,Kに代えて、1次転写バイアスが印加される導電性ブラシや、非接触方式のコロナチャージャなどを採用してもよい。
【0038】
K用のプロセスユニット10Kの図中右側方には、トナー付着量センサ61が中間転写ベルト51のおもて面に対して所定の間隙を介して対向するように配設されている。このトナー付着量センサ61は、反射型フォトセンサからなり、図示しない発光素子から発した光を中間転写ベルト51のおもて面やベルト上のトナー像で反射させ、その反射光量を図示しない受光素子によって検知する。受光素子としては、正反射光を受光するものと、拡散反射光を受光するものとの両方を備えている。図示しない制御部は、正反射型の受光素子による受光に基づく出力電圧や、拡散反射型の受光素子による受光に基づく出力電圧に基づいて、中間転写ベルト51上のトナー像を検知したり、その画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)を検知したりすることができる。正反射光と拡散反射光との両方を検知することで、Kトナーのみならず、C,M,Kトナーについても、付着量を検知することが可能になっている。
【0039】
中間転写ベルト51の下方には2次転写ローラ56が配設されており、これは図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられながら、中間転写ベルトのおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。そして、この2次転写ニップの裏側では、電気的に接地された2次転写バックアップローラ53が中間転写ベルト51を掛け回している。
【0040】
2次転写ローラ56には、図示しないバイアス供給手段によってトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加されており、これにより、接地された2次転写バックアップローラ53との間に2次転写電界を形成する。中間転写ベルト51のおもて面に形成された4色トナー像は、中間転写ベルト51の無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。
【0041】
先に示した図1において、給紙装置200は、記録紙Pを収納する給紙カセット201、これらの給紙カセット201に収納された記録紙Pをカセット外に送り出す給紙ローラ202、送り出された記録紙Pを一枚ずつ分離する分離ローラ対203、分離後の記録紙Pを送り出し路204に沿って搬送する搬送ローラ対205などがそれぞれ複数配設されている。給紙装置200は、図示のようにプリンタ部1の直下に配設されている。そして、給紙装置200の送り出し路204は、プリンタ部1の給紙路70に連結している。これにより、給紙装置200の給紙カセット201から送り出された記録紙Pは、送り出し路204を経由してプリンタ部1の給紙路70内に送られる。
【0042】
プリンタ部1の給紙路70の末端付近には、レジストローラ対71が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト51上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。そして、2次転写ニップ内では、中間転写ベルト51上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップから排出されると中間転写ベルト51から離間する。
【0043】
2次転写ニップの図中左側方には、無端状の紙搬送ベルト76を複数の張架ローラによって張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる搬送ベルトユニット75が配設されている。中間転写ベルト51から分離した記録紙Pは、この紙搬送ベルト76の上部張架面に受け渡されて、定着装置80に向けて搬送される。
【0044】
定着装置80内に送られた記録紙Pは、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ81と、これに向けて押圧される加圧ローラ82とによる定着ニップ内に挟み込まれる。そして、加圧されつつ加熱されるともでフルカラー画像が表面に定着させしめられながら、定着装置80外に向けて送られる。
【0045】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト51表面には、記録紙Pに転写されなかった若干量の2次転写残トナーが付着している。この2次転写残トナーは、中間転写ベルト51のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置57によってベルトから除去される。
【0046】
定着装置80の下方には、スイッチバック装置85が配設されている。定着装置80から排出された記録紙Pは、揺動可能な切替爪86による搬送路切替位置までくると、切替爪86の揺動停止位置に応じて、排紙ローラ対87、あるいはスイッチバック装置85に向けて送られる。そして、排紙ローラ対87に向けて送られた場合には、機外へと排出された後に、排紙トレイ3状にスタックされる。
【0047】
一方、スイッチバック装置85に向けて送られた場合には、スイッチバック装置85によるスイッチバック搬送によって上下反転せしめられた後、再びレジストローラ対71に向けて搬送される。そして、2次転写ニップに再び進入して、もう片面にもフルカラー画像が形成される。
【0048】
なお、プリンタ部1の筺体の側面に設けられた手差しトレイ2上に手差しされた記録紙Pは、手差し供給ローラ72と、手差し分離ローラ対73とを経由した後、レジストローラ対71に向けて送られる。レジストローラ対71については、接地してもよいし、記録紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加してもよい。
【0049】
本第1実施形態に係る複写機によって原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台401に原稿をセットする。あるいは、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じて押さえる。その後、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス301内に送られる。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体303及び第2走行体304による読取走査が開始する。これとほぼ同時に、転写ユニット50や各色プロセスユニット10Y,C,M,Kの駆動が開始する。更には、給紙装置200からの記録紙Pの送り出しも開始する。なお、給紙カセット201にセットされていない記録紙Pを使用する場合には、手差しトレイ2にセットされた記録紙Pの送り出しが行われる。
【0050】
図4は本第1実施形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。同図に示すように、本複写機は各種の機器の制御を司る制御手段としての制御部500を備えている。この制御部500は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU(Central Processing Unit)501にバスラインを介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)503と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)502とが接続されて構成されている。ROM503には、上述したトナー付着量センサ61からの出力電圧値と、それに対応するトナー付着量との関係を示す付着量換算アルゴリズムが格納されている。図5は、トナー付着量と、拡散反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフである。また、図6は、トナー付着量と、正反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフである。上述したトナー付着量センサ61は、拡散反射型の受光素子による受光量に基づく電圧を出力する出力端子と、正反射型の受光素子による受光量に基づく電圧を出力する出力端子とを有している。そして、制御部は、図5のグラフを示すアルゴリズムと、図6のグラフを示すアルゴリズムとの両方を、付着量換算アルゴリズムとしてデータ記憶手段に記憶している。
【0051】
制御部500には、プリンタ部1、給紙装置200、スキャナ300、ADFが接続されている。同図では、便宜上、プリンタ部1内の機器として、各種のセンサ及び光書込ユニット60しか示していないが、これらの他の機器(例えば転写ユニットや各色プロセスユニット)も、制御部500によって駆動が制御される。プリンタ部1の各種のセンサからの出力信号は、制御部500に送られる。
【0052】
図7は、制御部500によって実施される出力画像作像条件決定処理における制御フローを示すフローチャートである。この出力画像作像条件決定処理は、複写機の起動時、予め定められたコピー枚数の複写毎(連続プリント動作においては先行するプリンと動作と後続のプリント動作との間)、一定時間毎などといった所定のタイミングで実施されるが、図7は起動時における処理フローを示している。出力画像作像条件決定処理がスタートすると、まず、電源オン時のタイミングをジャム等の異常処理時と区別するために、処理フローの実行条件として定着装置(80)における加熱ローラ表面温度(以下、定着温度という)が検知される。そして、定着温度について100[℃]を超えているか否かが判断され、100[℃]を超えている場合には(ステップ1でN:以下、ステップをSと記す)、電源オン時でないとみなされて、処理フローが終了する。
【0053】
定着温度が100[℃]を超えていない場合には(S1でY)には、電位センサチェックが行われる(S2)。この電位センサチェックでは、各色のプロセスユニット(10Y〜K)において、所定条件で一様帯電せしめ感光体(11Y〜K)の表面電位をそれぞれ電位センサ(例えば図3の49Y)によって検知する。その後、トナー付着量センサ(図4の61)のVsg調整を行う(S3)。このVsg調整では、トナー付着量センサについて、中間転写ベルト(51)の非画像部領域に対する反射光を検知した受光素子からの出力電圧(Vsg)が一定の値になるように、発光素子からの発光量を調整する。より詳しくは、トナー付着量センサ61の発光光量を順次変化させて、検知電圧が4.0[V]±0.2[V]となる発光光量を求め、以降、その発光量で発光素子を発光させる。なお、S2〜S3の工程においては、各色についての電位チェックやVsg調整が並行して行われる。
【0054】
Vsg調整が終わると、次に、電位センサチェック(S2)やVsg調整(S3)におけるエラーの発生の有無が判定される(S4)。そして、エラーがあった場合には(S4でN)、そのエラーに対応するエラーコードがセットされた後(S11)、一連の制御フローが終了する。一方、エラーがなかった場合には(S4でY)、後述するS5〜S10のフローが実行される。
【0055】
S5の工程では、中間転写ベルト51のおもて面に、図8に示すような複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像が各色についてそれぞれ形成される。同図では、Y,C,M,K用のパッチパターン像のうち、Y用のパッチパターン像PpYを示している。このパッチパターン像PpYは、図示のように、互いにベルト移動方向(図中矢印方向)に所定の間隔をおいて並ぶ第1パッチ状Yトナー像Py1,第2パッチ状Yトナー像Py2・・・・・第nパッチ状Yトナー像Pynというn個のパッチ状Yトナー像からなる。これらは、互いに画像濃度が異なるが、中間転写ベルト51上における形状や姿勢は互いに同じになっている。ベルト幅方向に幅方向を沿わせつつ、ベルト移動方向に長さ方向を沿わせる矩形状の形状であり、長さ(ベルト移動方向)=13[mm]、幅(ベルト幅方向)L1=15[mm]になっている。パッチ間の間隔Gは13[mm]である。第1実施形態では、10個のパッチ状パターン像からなるパッチパターン像を形成するので、パッチパターン像の長さは247[mm]となる。このようなパッチパターン像として、Y,C,M,Kトナーによるものを、ベルト移動方向に並べて4つ形成する。4つのパッチパターン像の総延長は、少なくとも「247×4+13×3=1027mm」となり、これは中間転写ベルト51の周長よりも長い。よって、中間転写ベルト51を1周以上周回移動さえて4つのパッチパターン像を形成する。4つのパッチパターン像の形成順序は、プロセスユニットの並び順と同様に、Y,C,M,Kの順序である。図9は、Mのパッチパターン像PpMと、Kのパッチパターン像PpKとを順に形成した中間転写ベルト51上を横から示す模式図である。
【0056】
各色のパッチパターン像(PpY,PpC,PpM,PpK)における各パッチ状トナー像は、各色プロセスユニット(10Y,C,M,K)の感光体(11Y,C,M,K)上に形成されたものが、中間転写ベルト51上に転写されたものである。そして、それらは中間転写ベルト51の無端移動に伴ってトナー付着量センサ61の直下を通過する際に、センサから発せられた光を自らの表面で反射させる。この反射光量は、パッチ状トナー像の画像濃度に相関した値になる。上述の制御部(500)は、各色毎に、各パッチ状トナー像についてのセンサ出力電圧値をVpi(i=1〜N)としてRAM(502)に記憶していく(図7のS7)。そして、センサ出力電圧値と、ROM(503)に予め記憶している上述の付着量換算アルゴリズムとに基づいて、各パッチ状トナー像に対する単位面積当りのトナー付着量を算出した後、算出結果をRAM(502)に記憶する(図7のS8)。なお、各色のパッチ状トナー像が各色の感光体上で現像されるのに先立って、それらのパッチ状トナー像の前駆体である各パッチ状潜像の電位が上述の電位センサ(例えば49Y)によって検知され、その検知結果がRAM(502)に順次記憶されていく(図7のS6)。
【0057】
各パッチ状トナー像に対するトナー付着量を算出したら、次に、各色の現像装置について、それぞれ適切な現像ポテンシャルを求める(図7のS9)。具体的には、各色についてそれぞれ次のような処理を実施する。即ち、各パッチ状トナー像についてそれぞれ、上記S6で得られた潜像の電位と、現像バイアスとから、両者の差である現像ポテンシャルを算出する。次いで、10個のパッチ状トナー像にそれぞれ対応する、潜像の電位とトナー付着量とからなる10個のデータ組のうち、現像ポテンシャルとトナー付着量との関係が2次元平面上で直線になる区間のデータ組合せだけを選別する。そして、この区間のデータに対して最小自乗法を適用することによって現像特性直線の近似直線を得る。そして、その近似直線に基づいて、トナー付着量が最大となる現像ポテンシャルを特定して(図7のS9)、その現像ポテンシャルが得られる現像バイアスVb、レーザー書込強度VDを設定する(図7のS10)。
【0058】
図10は、各色のプロセスユニットにおける現像性能直線(トナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示す直線)を示すグラフである。同図において、直線Laは、現像γ(直線の傾きであり、現像能力を示している)が比較的大きくなった場合の現像性能直線の一例を示している。また、直線Lbは、現像γが比較的小さくなった場合の現像性能直線の一例を示している。トナー付着量センサ61には、その特性上、トナー付着量について、図示のような検知可能範囲が存在する。この検知可能範囲の上限を超えた付着量範囲では、実際のトナー付着量が直線的に増加しても、センサ出力は直線的に増加しなくなるので、検知可能範囲外では、図示のような直線の関係を検知することができない。また、検知可能範囲の下限を下回る付着量範囲においても、同様に、図示のような直線の関係を検知することができない。このため、上述した近似直線については、トナー付着量の検知結果が検知可能範囲内に収まったデータ(トナー付着量と現像ポテンシャルとの組合せ)だけに基づいて、直線近似処理を行うようになっている。
【0059】
このような直線近似処理では、直線Laのように、現像γが比較的大きくなると、検知可能範囲内のトナー付着量となるパッチ数が著しく少なくなることから、直線近似処理の精度が低下してしまう。また、直線Lbのように、現像γが比較的小さくなった場合にも、番号の大きいパッチ状トナー像しかトナー付着量が検知可能範囲に入らなくなるので、検知可能範囲内のトナー付着量となるパッチ数が著しく少なくなる。
【0060】
特許文献1に記載の画像形成装置のように、パッチパターン像を形成して現像γを把握した後、その現像γに基づいてもう一度パッチパターン像を形成して検知可能範囲内で所望数のパッチを得るようにすれば、現像性能直性の精度良く検出することは可能である。しかしながら、このようにすると、パッチパターン像の形成と、トナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを2回繰り返さなければならないことから、出力画像作像条件決定処理に長時間を要してしまう。
【0061】
次に、第1実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
第1実施形態に係る複写機においては、プリンタ部(1)の筐体内に、図示しない絶対湿度センサを備えており、その絶対湿度センサによって絶対湿度を検知することができる。プロセスユニットの現像γは、図11に示すように、絶対湿度と良好な相関関係を示す。具体的には、図示のように、現像γは、絶対湿度が大きくなるほど大きくなり、絶対湿度が小さくなるほど小さくなる。
【0062】
ここで、前回の出力画像作像条件決定処理の実行時には、検知可能範囲内で十分な検知可能パッチ数が得られたとする。そして、その後、絶対湿度の変動に伴って、現像γが変化したとする。この場合、パッチパターン像における各パッチ状トナー像を、それぞれ前回の出力画像作像条件決定処理のときと同じ現像ポテンシャルで現像すれば、所望の検知可能パッチ数が得られなくなる可能性がある。しかし、絶対湿度の変化量と、現像γの変化量とには相関関係が成立するため、絶対湿度の変化量から、変化後の現像γを予測し、その結果に基づいて、各パッチ状トナー像の現像ポテンシャルをそれぞれ補正すれば、絶対湿度の変化後においても所望の検知可能パッチ数を得ることが可能である。
【0063】
そこで、第1実施形態に係る複写機の制御部は、出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、出力画像作像条件決定処理を前回実施したときからの絶対湿度変動量と、前回の出力画像作像条件決定処理における各パッチ状トナー像の現像ポテンシャルとに基づいて、これから実施する出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの現像ポテンシャルを決定するパッチ作像条件決定処理を実施するようになっている。
【0064】
このパッチ作像条件決定処理では、各色についてそれぞれ、パッチパターン像内における10個のパッチ状トナー像の現像バイアスをそれぞれ次のようにして決定する。即ち、前回実施時よりも絶対湿度が高くなった場合には(正の環境変動)、それぞれのパッチ状トナー像について前回よりも小さい現像ポテンシャルを決定する(作像能力たる現像能力を低くする)。この一方で、前回実施時よりも絶対湿度が低くなった場合には(負の環境変動)、それぞれのパッチ状トナー像について前回よりも高い現像ポテンシャルを決定する(現像能力を高くする)。
【0065】
図12は、先行する出力画像作像条件決定処理よりも、後の出力画像条件決定処理時における絶対湿度が高くなった場合における前者の出力画像作像条件決定処理の作像電位条件と、後者の出力画像作像条件決定処理の作像電位条件とを示すチャートである。また、図13は、前者の出力画像作像条件決定処理における現像特性直線を示すグラフと、後者の出力画像作像条件決定処理における現像特性直線を示すグラフとの関係を示すチャートである。以下、前者の出力作像条件決定処理を、「前回処理」という。また、後者の出力画像作像条件決定処理を「今回処理」という。ここで、「前回処理」時の作像電位条件が、感光体表面電位Vd=Vd1、現像バイアスVb=Vb1、レーザーパワー(レーザー書込強度)LD=LD1であったとする。10個のパッチ状トナー像の現像ポテンシャルVb11、Vb12・・・・Vb110は、感光体表面電位Vd1と現像バイアスVb1とレーザーパワーLD1とを基準としたレーザーパワーLD11、LD12、・・・、LD110で光書込された潜像電位VL1、VL2、・・・VL10に基づいて、次のように求められる。即ち、(Vb1−VL1)、(Vb1−VL2)、・・・、(Vb1−VL10)という計算で求められる。LD11=LD1×e1、LD12=LD1×e2、・・・、LD110=LD1×e10(0<e1<e2<e10=1.5)であり、e1〜e10の値は予め実験等で決められる。
【0066】
「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも高くなった場合には、感光体表面電位をVd1にセットするとともに、現像バイアスをVb1にセットし、レーザーパワーとして、LD1’(LD1’=LD1×α(0<α<1))を基準とした前回よりも小さなレーザーパワーLD1’1、LD1’2、・・・、LD1’10で光書込を行うことによって、「前回処理」時よりも小さい現像ポテンシャルでパッチ状トナー像を形成する。係数αの大きさについては、予めの実験により求めた、絶対湿度の増加量と、αの適正値との関係を示すグラフ、に基づいて算出する。これにより、現像γがより大きくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、前回と同数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0067】
また、「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも低くなった場合には、感光体表面電位をVd1にセットするとともに、現像バイアスをVb1にセットし、レーザーパワーとして、LD1’(LD1’=LD1×β(1<β)を基準とした前回よりも大きなレーザーパワーLD1’1、LD1’2、・・・、LD1’10で光書込を行うことによって、「前回処理」時よりも大きい現像ポテンシャルでパッチ状トナー像を形成する。係数βの大きさについては、予めの実験により求めた、絶対湿度の低下量と、βの適正値との関係を示すグラフ、に基づいて算出する。これにより、現像γがより大きくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、前回と同数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0068】
かかる構成においては、パッチパターン像の形成と、パッチ状トナー像に対するトナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを1回実施するだけで、所望の検知可能パッチ数を得て現像性能直線を把握することが可能である。よって、現像性能直線を精度良く検出しつつ、前述の組合せを2回実施していた特許文献1に記載の画像形成装置に比べて、プロセスコントロール処理の短縮化を図ることができる。
【0069】
なお、環境把握手段として、絶対湿度を検知する絶対湿度センサを設けた例について説明したが、相対湿度や温度を検知するものを用いた場合にも、本発明の適用が可能である。この場合、絶対湿度を検知する場合に比べて、精度は劣るものの、相対湿度の変動量や、温度の変動量に基づいて、現像γの増減を把握して、その後の出力画像作像条件決定処理で形成する各パッチ状トナー像における現像ポテンシャルをそれぞれ適切に決定することが可能である。また、相対湿度と温度との検知結果に基づいて、絶対湿度を把握させるようにしてもよい。
【0070】
次に、本発明を適用した第2実施形態に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第2実施形態に係る複写機の構成は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態に係る複写機の制御部500は、次のようなパッチ作像条件決定処理を実施するようになっている。即ち、「前回処理」からの絶対湿度の変動量と、「前回処理」で形成した1つのパッチパターン像内におけるパッチ状トナー像の形成数とに基づいて、「今回処理」で形成するパッチパターン像内におけるパッチ状トナー像の形成数と、個々のパッチ状トナー像におけるポテンシャル差であるポテンシャルピッチとを決定する。より詳しくは、「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも高くなった場合には、「前回処理」時の10個のパッチ状トナー像に、「前回処理」時の低現像ポテンシャル部のパッチ状トナー像が増えるように、パッチ作像条件を追加する。即ち、「前回処理」時の感光体表面電位Vd1、現像バイアスVb1、レーザーパワーLD1(LD11、LD12、・・・、LD110)をセットするとともに、低現像ポテンシャル部のパッチパターンLD11H、LD12H、LD13H(LD11H=LD11×α、LD12H=LD12×α、LD13H=LD13×α(0<α<1))を追加する。今回の説明においてはLD1Nより小さいレーザーパワーを1つ追加しているが、複数のレーザーパワーを追加しても良く、追加する数や係数αは、予め実験により求めて算出する。これにより、現像γがより大きくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、十分な数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0071】
また、「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも低くなった場合には、「前回処理」時の10個のパッチ状トナー像に、「前回処理」時の高現像ポテンシャル部のパッチ状トナー像が増えるように、パッチ作像条件を追加する。即ち、「前回処理」時の感光体表面電位Vd1、現像バイアスVb1、レーザーパワーLD1(LD11、LD12、・・・、LD110)をセットするとともに、高現像ポテンシャル部のパッチパターンLD18L、LD19L、LD110L(LD18L=LD18×β、LD19L=LD19×β、LD110L=LD110×β(1<β))を追加する。今回の説明においてはLD1Nより大きいレーザーパワーを1つ追加しているが、複数のレーザーパワーを追加しても良く、追加する数や係数βは、予め実験により求めて算出する。これにより、現像γがより小さくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、十分な数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0072】
かかる構成においても、パッチパターン像の形成と、パッチ状トナー像に対するトナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを1回実施するだけで、所望の検知可能パッチ数を得て現像性能直線を把握することが可能である。よって、現像性能直線を精度良く検出しつつ、前述の組合せを2回実施していた特許文献1に記載の画像形成装置に比べて、プロセスコントロール処理の短縮化を図ることができる。
【0073】
以上、第1実施形態に係る複写機においては、パッチ作像条件決定処理にて、「前回処理」実施時の各パッチ状トナー像におけるそれぞれの現像ポテンシャルを、絶対湿度の変動量に基づいて補正して、「今回処理」(実施予定の出力画像作像条件決定処理)で形成する個々のパッチ状トナー像におけるそれぞれの現像ポテンシャルとする処理を実施するように、制御手段たる制御部500を構成している。かかる構成では、パッチ作像条件決定処理で形成するパッチパターン像内のパッチ形成数が、現像γの大きさにかかわらず毎回一定であるので、比較的大きい現像γの場合でも、パッチ形成数を過剰に増やすことなく、所望の検知可能パッチ数を得る。これにより、比較的大きい現像γの場合にパッチ形成数を過剰に増やしてしまうことによる出力画像作像条件決定処理の長期化を回避することができる。
【0074】
また、第1実施形態に係る複写機においては、環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握する絶対湿度センサを用いている。そして、パッチ作像条件決定処理にて、環境変動量が正の絶対湿度変動量である場合に、「今回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルとして、「前回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルよりも小さくしたもの(現像能力を低くするもの)、を決定する処理を実施するように、制御部500を構成している。かかる構成では、絶対湿度の増加によって現像γが「前回処理」のときよりも大きくなった場合に、個々のパッチ状トナー像における現像ポテンシャルをより小さくすることで、現像γの増大による検知可能パッチ数の減少を回避することができる。
【0075】
また、第1実施形態に係る複写機においては、パッチ作像条件決定処理にて、環境変動量が負の絶対湿度変動量である場合に、「今回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルとして、「前回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルよりも大きくしたもの(現像能力を高くするもの)、を決定する処理を実施するように、制御部500を構成している。かかる構成では、絶対湿度の減少によって現像γが「前回処理」のときよりも小さくなった場合に、個々のパッチ状トナー像における現像ポテンシャルをより大きくすることで、現像γの減少による検知可能パッチ数の減少を回避することができる。
【0076】
また、第2実施形態に係る複写機においては、パッチ作像条件決定処理にて、絶対湿度変動量が多くなるほど、ポテンシャル差を小さくし且つパッチパターン像内のパッチ形成数を多くする処理を実施するように、制御部500を構成している。かかる構成では、ポテンシャルピッチを現像γに見合った値にして、絶対湿度にかかわらず、検知可能パッチ数をほぼ一定にすることができる。
【符号の説明】
【0077】
11Y,C,M,K:感光体(潜像担持体)
20Y,C,M,K:現像装置(現像手段)
24Y:現像スリーブ(現像剤担持体)
50:転写ユニット(転写手段)
60:光書込ユニット(潜像書込手段)
61:トナー付着量センサ(付着量検知手段)
500:制御部(制御手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開平10−90961号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のパッチパターン像に対するトナー付着量を検知した結果に基づいて現像性能直線を把握した後、その結果に基づいて出力画像の作像条件を決定する作像条件決定処理を実施する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像剤や潜像担持体などの特性が環境(温湿度等)や経時劣化などによって変化すると、作像能力が変化する。すると、その作像能力の変化によって画質を変化させてしまうおそれがある。具体的には、環境変動や経時使用に伴って現像剤や潜像担持体の特性が変化すると、画像形成装置の現像性能直線が変化する。この現像性能直線とは、潜像担持体の潜像電位と、現像装置の現像剤担持体に対する現像バイアスとの電位差である現像ポテンシャルと、トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量との関係を示す直線のことである。現像性能直線が変化すると、目標の画像濃度が得られる現像ポテンシャルが変化する。にもかかわらず、作像条件としての現像ポテンシャルを一定値のままにしておくと、画像濃度不足や画像濃度過多を引き起こしてしまうのである。
【0003】
そこで、従来より、次のような出力画像作像条件決定処理を実施する画像形成装置が知られている。即ち、まず、互いに異なる現像ポテンシャルで現像した複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像を形成する。次いで、このパッチパターン像における個々のパッチ状トナー像に対するトナー付着量を反射型フォトセンサ等でそれぞれ検知する。そして、検知結果に基づいて、現像ポテンシャルとトナー付着量との関係を示す近似直線を現像性能直線として求めた後、その結果に基づいて、目標の画像濃度が得られる現像ポテンシャルを特定する。以降、作像時における現像ポテンシャル条件を特定値に設定する。このような出力画像作像条件決定処理を定期的に実行することで、環境変動や経時使用にかかわらず、安定した画像濃度を得ることが可能になる。
【0004】
しかしながら、一般的な出力画像作像条件決定処理では、環境変動量によっては現像性能直線を精度良く検出することができなかった。これは次に説明する理由による。即ち、一般的な出力画像作像条件決定処理では、個々のパッチ状トナー像をそれぞれ形成するときの現像ポテンシャルとして、それぞれ固定値を採用している。例えば、1番目、2番目、3番目・・・10番目のパッチ状トナー像を、固定値である現像ポテンシャルP1、P2、P3・・・P10(P1<P2<P3・・・<P10)で現像するといった具合である。このような条件により、パッチ状トナー像に対するトナー付着量を、1番目、2番目、3番目・・・10番目と徐々に増加させていく。しかし、反射型フォトセンサ等でトナー付着量を検知する場合、トナー付着量の検知可能範囲が限られることから、その増加を正しく検知できるとは限らない。例えば、現像性能直線の傾きである現像γが比較的大きいと、10番目よりも小さいα番目のパッチ状トナー像に対するトナー付着量が検知可能範囲のほぼ上限に達して、α番目〜10番目でトナー付着量の検知結果がほぼ同じになってしまうこともある。加えて、1番目〜β番目(β<α)のパッチ状トナー像において、像担持体表面上の傷をトナーであると誤検知してしまうほどの低トナー付着量(下限値未満)しか得られないこともある。このような場合、β番目とα番目との間におけるごく少数のパッチ状トナー像のトナー付着量だけに基づいて直線の近似処理を行うしかないため、現像性能直線を精度良く求めることができなくなる。現像γが比較的大きくなった場合について説明したが、比較的小さくなった場合には、番号の大きなごく少数のパッチ状トナー像しか、トナー付着量が検知可能範囲の下限を上回らないことにより、現像性能直線を精度良く求めることができなくなることもある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の画像形成装置においては、次のようにして現像性能直線の検知精度を高める工夫がなされている。即ち、まず、一般的な出力画像作像条件決定処理と同様に、個々のパッチ状トナー像をそれぞれ固定値の現像ポテンシャルで現像してそれぞれに対するトナー付着量を検知する。そして、検知結果に基づいて、検知可能範囲の下限あたりのトナー付着量が得られる現像ポテンシャルと、上限あたりのトナー付着量が得られる現像ポテンシャルとを特定する。次いで、現像ポテンシャルを前述の2つの現像ポテンシャルの間で段階的に変化させながらパッチ状トナー像を形成することで、互いにトナー付着量の異なるパッチ状トナー像を検知可能範囲内で所望数得る。これにより、検知可能範囲内で所望のサンプリング数を得て直線の近似処理を行うことで、現像性能直線を精度良く検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この画像形成装置では、パッチパターン像の形成と、トナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを2回繰り返さなければならないことから、出力画像作像条件決定処理に長時間を要してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像性能直線を精度良く検出しつつ、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に静電潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持した現像剤によって該静電潜像を現像してトナー像を得る現像手段と、該潜像担持体の表面上のトナー像、あるいは該潜像担持体から転写体に転写されたトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知する付着量検知手段と、互いに異なる作像条件で現像した複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像を形成し、それら複数のパッチ状トナー像に対するトナー付着量を該付着量検知手段によって検知した結果に基づいて、作像条件とトナー付着量との関係を示す現像性能直線を把握した後、該現像性能直線に基づいて、ユーザーの命令に基づく画像を形成する際の作像条件を決定する出力画像作像条件決定処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、環境状況を把握するする環境把握手段を設けるとともに、上記出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、上記出力画像作像条件決定処理を前回実施したときからの環境変動量と、前回の上記出力画像作像条件決定処理における個々のパッチ状トナー像の作像条件とに基づいて、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像の作像条件をそれぞれ決定するパッチ作像条件決定処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記パッチ作像条件決定処理にて、前回の上記出力画像作像条件決定処理を実施したときの複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件を、上記環境変動量に基づいて補正して、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件とする処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が正の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を低くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成装置において、上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が負の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を高くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量に基づいて、現状の作像能力について比較的高いと判断した場合には、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成するパッチパターン像内の個々のパッチ状トナー像における相互の現像ポテンシャル差を、低ポテンシャル側よりも高ポテンシャル側で小さくする一方で、現状の作像能力について比較的低いと判断した場合には、該現像ポテンシャル差を、高ポテンシャル側よりも低ポテンシャル側で小さくする所定を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明においては、次に説明する理由により、現像性能直線を精度良く検出しつつ、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図ることができる。即ち、環境変動量と、現像性能直線の傾きの変化量とには、ある程度の相関関係があり、環境が高温高湿側に変化すると、現像性能直線の傾きがより大きくなる。この場合、現像性能直線において、所定のトナー付着量検知可能範囲内に収まる線分の長さがより短くなる。すると、互いに異なる現像ポテンシャルで複数のパッチ状トナー像を形成する際のポテンシャルピッチなど、作像条件の変化ピッチを一定にした条件では、トナー付着量を検知可能範囲内に収め得るパッチ状トナー像の数(以下、検知可能パッチ数という)が減少してしまう。一方、環境が低温低湿側に変化すると、現像性能直線の傾きがより小さくなる。すると、基本的には、現像性能直線における前述の線分の長さがより長くなって検知可能パッチ数が増加するが、そうならない場合もある。具体的には、現像性能直線の傾きが小さくなり過ぎると、殆どのパッチ状トナー像に対するトナー付着量が検知可能範囲の下限を下回ってしまうことから、検知可能パッチ数が逆に減少してしまうこともある。このように、環境が低温低湿側に変化した場合、高温多湿側に変化した場合の何れにおいても、その変化量によっては、検知可能パッチ数が減少してしまうが、変化量と、変化前の作像条件とに基づけば、目標の検知可能パッチ数が得られる新たな作像条件を特定することが可能である。例えば、環境が高温高湿側に変化して現像性能直線の傾きがより大きくなった場合、環境の変化量に応じて、個々のパッチ状トナー像を形成する際の現像ポテンシャルをそれぞれより小さくすれば(作像能力を小さくすれば)、環境変化前と同じ検知可能パッチ数を得ることが可能になる。また、環境が低温低湿側に変化して現像性能直線の傾きがより小さくなった場合、環境の変化量に応じて、個々のパッチ状トナー像を形成する際の現像ポテンシャルをそれぞれより大きくすれば(作像能力を大きくすれば)、環境変化前と同じ検知可能パッチ数を得ることが可能になる。請求項1に係る発明では、出力画像作像条件決定処理に先立って実施するパッチ作像条件決定処理において、環境変動量と、前回の出力画像条件決定処理で決定した個々のパッチ状トナー像の作像条件とに基づいて、環境変化前と同じ検知可能パッチ数が得られるように個々のパッチ状トナー像の作像条件を決定することが可能である。このようにして作像条件を決定すると、パッチパターン像の形成と、トナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを1回実施するだけで、所望の検知可能パッチ数を得て現像性能直線を把握することができるので、現像性能直線を精度良く検出しつつ、プロセスコントロール処理の短縮化を図ることができる。
【0010】
なお、請求項5の発明においては、環境変化前と同じ検知可能パッチ数が得られるように個々のパッチ状トナー像の作像条件を決定するのではなく、次のように作像条件を決定することで、出力画像作像条件決定処理の短縮化を図っている。即ち、環境により、作像能力が比較的高くなっている場合には、複数のパッチ状トナー像のうち、比較的低い現像ポテンシャルで現像したパッチ状トナー像に対するトナー付着量が、付着量検知手段による検知可能範囲に入る。そこで、このような場合には、比較的低い現像ポテンシャルの領域にて、比較的高い現像ポテンシャルの領域に比べて、パッチ状トナー像間の現像ポテンシャル差を小さくする。これにより、付着量検知手段による検知可能範囲内で所望数のパッチ状トナー像を形成する。この一方で、環境により、作像能力が比較的低くなっている場合には、比較的高い現像ポテンシャルで現像したパッチ状トナー像に対するトナー付着量が、付着量検知手段による検知可能範囲に入る。そこで、このような場合には、比較的高い現像ポテンシャルの領域にて、比較的低い現像ポテンシャルの領域に比べて、パッチ状トナー像間の現像ポテンシャル差を小さくする。これにより、付着量検知手段による検知可能範囲内で所望数のパッチ状トナー像を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。
【図3】同複写機におけるY,C用のプロセスユニットを中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図4】同複写機の電気回路の一部を示すブロック図。
【図5】トナー付着量と、拡散反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフ。
【図6】トナー付着量と、正反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフ。
【図7】同複写機の制御部によって実施される出力画像作像条件決定処理における制御フローを示すフローチャート。
【図8】中間転写ベルトとその表面に形成されたKパッチパターン像とを示す平面図。
【図9】Mのパッチパターン像PpMと、Kのパッチパターン像PpKとを順に形成した中間転写ベルト上を横から示す模式図。
【図10】各色のプロセスユニットにおける現像性能直線を示すグラフ。
【図11】現像γと絶対湿度との関係を示すグラフ。
【図12】「前回処理」よりも「今回処理」における絶対湿度が高くなった場合における「前回処理」の作像電位条件と、「今回処理」の作像電位条件とを示すチャート。
【図13】「前回処理」よりも「今回処理」における絶対湿度が高くなった場合における「前回処理」の現像性能直線と、「今回処理」の現像性能直線とを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式の複写機の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、記録紙に画像を形成するプリンタ部1、このプリンタ部1に対して記録紙Pを供給する給紙装置200、原稿画像を読み取るスキャナ300、このスキャナ300に原稿を自動給紙する原稿自動搬送装置(以下、ADFという)400等を備えている。
【0013】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第1走行体303と、複数の反射ミラーを搭載した第2走行体304とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス301上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第2走行体304から送り出される走査光は、結像レンズ305によってその後方に設置されている読取センサ306の結像面に集光せしめられた後、読取センサ306によって画像信号として読込まれる。
【0014】
プリンタ部1の筺体の側面には、筺体内に給紙する記録紙Pを手差しで載置する手差しトレイ2や、筐体内から排出された画像形成済みの記録紙Pをスタックする排紙トレイ3が設けられている。
【0015】
図2は、プリンタ部(1)の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部(1)の筐体内には、転写体たる無端状の中間転写ベルト51を複数の張架ローラによって張架している転写手段たる転写ユニット50が配設されている。中間転写ベルト51は、伸びの少ないポリイミド樹脂に、電気抵抗を調整するためのカーボン粉末を分散せしめた材料からなっている。そして、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ52、2次転写バックアップローラ53、従動ローラ54、4つの1次転写ローラ55Y,C,M,Kによって張架されながら、駆動ローラ52の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。なお、1次転写ローラの符号の末端に付しているY,C,M,Kという添字は、イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の部材であることを示している。以下、符号の末端に付しているY,C,M,Kという添字は、同様である。
【0016】
中間転写ベルト51は、駆動ローラ52、2次転写バックアップローラ53、従動ローラ54に対する掛け回し箇所でそれぞれ大きく湾曲していることで、底辺を鉛直方向上側に向ける逆三角形状の姿勢で張架されている。この逆三角形状の底辺にあたるベルト上部張架面は水平方向に延在しており、かかるベルト上部張架面の上方には、4つのプロセスユニット10Y,C,M,Kが上部張架面の延在方向に沿って水平方向に並ぶように配設されている。
【0017】
先に示した図1において、4つのプロセスユニット10Y,C,M,Kの上方には、光書込ユニット60が配設されている。光書込ユニット60は、スキャナ300によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、図示しないレーザー制御部によって4つの半導体レーザー(図示せず)を駆動して4つの書込光Lを出射する。そして、プロセスユニット10Y,C,M,Kの潜像担持体たるドラム状の感光体11Y,C,M,Kをそれぞれ書込光Lによって暗中にて走査して、感光体11Y,C,M,Kの表面にY,C,M,K用の静電潜像を書き込む。
【0018】
本第1実施形態では、光書込ユニット60として、半導体レーザーから出射したレーザー光を図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで光走査を行うものを用いている。かかる構成のものに代えて、LEDアレイによって光走査を行うものを用いてもよい。
【0019】
図3は、Y,C用のプロセスユニット10Y,Cを中間転写ベルト51とともに示す拡大構成図である。Y用のプロセスユニット10Yは、ドラム状の感光体11Yの周囲に、帯電部材12Y、除電装置13Y、ドラムクリーニング装置14Y、現像手段たる現像装置20Y、電位センサ49Y等を有している。そして、これらを共通の保持体たるケーシングで保持しながらプリンタ部に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるようになっている。
【0020】
帯電部材12Yは、感光体11Yに当接しながら、図示しない軸受けによって回転自在に支持されるローラ状の部材である。図示しないバイアス供給手段によって帯電バイアスが印加されながら感光体11Yに対して接触回転することで、感光体11Yの表面を例えばYトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめる。これにより、感光体11Yの表面は、例えば−700[V]に一様に帯電する。なお、帯電部材12Yに代えて、感光体11Yに対して非接触で一様帯電処理を施すスコロトロンチャージャなどを採用することもできる。
【0021】
図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有するY現像剤をケーシング21Yに内包している現像装置20Yは、現像剤搬送装置22Yと現像部23Yとを有している。現像部23Yでは、図示しない駆動手段によって回転駆動されることで表面を無端移動させる現像剤担持体としての現像スリーブ24Yがその周面の一部をケーシング21Yに設けられた開口から外部に露出させている。これにより、感光体11Yと現像スリーブ24Yとが所定の間隙を介して対向する現像領域が形成されている。
【0022】
非磁性の中空パイプ状の部材からなる現像スリーブ24Yの内部には、周方向に並ぶ複数の磁極を具備する図示しないマグネットローラが現像スリーブ24Yに連れ回らないように固定されている。現像スリーブ24Yは、後述する現像剤搬送装置22Y内のY現像剤をこのマグネットローラの発する磁力によって表面に吸着させながら回転駆動することで、Y現像剤を現像剤搬送装置22Y内から汲み上げる。そして、現像スリーブ24Yの回転に伴って上記現像領域に向けて搬送されるY現像剤は、現像スリーブ24Yの表面に対して所定の間隙を介して先端を対向させているドクタブレード25Yと、スリーブ表面との間に形成されているドクタギャップに進入する。この際、スリーブ上における層厚が規制される。そして、現像スリーブ24Yの回転に伴って感光体11Yと対向する現像領域の付近まで搬送されると、上記マグネットローラの図示しない現像磁極の磁力を受けてスリーブ上で穂立ちして磁気ブラシとなる。
【0023】
現像スリーブ24Yには、図示しないバイアス供給手段によって例えばトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加されている。これにより、現像領域では、現像スリーブ24Y表面と感光体11Yの非画像部(一様帯電部位=地肌部)との間に、Yトナーを非画像部側からスリーブ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブ24Y表面と感光体11Y上の静電潜像との間に、Yトナーをスリーブ側から静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。この現像ポテンシャルの作用によってY現像剤中のYトナーが静電潜像に転移することで、感光体11Y上の静電潜像がYトナー像に現像される。
【0024】
現像スリーブ24Yの回転に伴って上記現像領域を通過したY現像剤は、図示しないマグネットローラに具備される反発磁極間によって形成される反発磁界の影響を受けて、現像スリーブ24Y上から離脱して現像剤搬送装置22Y内に戻る。
【0025】
現像剤搬送装置22Yは、2本の第1スクリュウ部材26Y、第2スクリュウ部材32Y、両スクリュウ部材間に介在する仕切壁、透磁率センサからなるトナー濃度検知センサ45Yなどを有している。仕切壁は、第1スクリュウ部材26Yが収容される現像剤搬送部たる第1搬送室と、第2スクリュウ部材32Yが収容される現像剤搬送部たる第2搬送室とを仕切っているが、両スクリュウ部材の軸線方向における両端部に対向する領域では、それぞれ図示しない開口を通じて両搬送室を連通させている。
【0026】
撹拌搬送部材としての第1スクリュウ部材26Y、第2スクリュウ部材32Yは、それぞれ図示しない軸受けによって両端部が回転自在に支持される棒状の回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを有している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられるのに伴って、Y現像剤を螺旋羽根によって回転軸線方向に搬送する。
【0027】
第1スクリュウ部材26Yが収容されている第1搬送室内では、第1スクリュウ部材26Yの回転駆動に伴って、Y現像剤が図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送される。そして、ケーシング21Yの奥側の端部付近まで搬送されると、仕切壁に設けられた図示しない開口を経由して第2搬送室内に進入する。
【0028】
第2スクリュウ部材32Yが収容されている第2搬送室の上方には、上述した現像部23Yが形成されており、第2搬送室と現像部23Yとは互いの対向部の全領域において連通している。これにより、第2スクリュウ部材32Yと、これの斜め上方に配設された現像スリーブ24Yとが、互いに平行な関係を維持しながら対向している。第2搬送室内では、第2スクリュウ部材32Yの回転駆動に伴って、Y現像剤が図紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送される。この搬送の過程において、第2スクリュウ部材32Yの回転方向周囲のY現像剤が現像スリーブ24Yに適宜汲み上げられたり、現像スリーブ24Yから現像後のY現像剤が適宜回収されたりする。そして、第2搬送室の図中手前側の端部付近まで搬送されたY現像剤は、仕切壁に設けられた図示しない開口を通って、第1搬送室内に戻る。
【0029】
第1搬送室の下壁には、透磁率センサからなるトナー濃度検知手段としてのトナー濃度検知センサ45Yが固定されており、第1スクリュウ部材26Yによって搬送されているY現像剤のトナー濃度を下方から検知して検知結果に応じた電圧を出力する。図示しない制御部は、トナー濃度検知センサ45Yからの出力電圧値に基づいて、必要に応じて図示しないYトナー補給装置を駆動することで、適量のYトナーを第1搬送室内に補給する。これにより、現像に伴ってトナー濃度を低下させたY現像剤のトナー濃度が回復する。
【0030】
感光体11Y上に形成されたYトナー像は、後述するY用の1次転写ニップで中間転写ベルト51上に1次転写される。この1次転写工程を経由した後の感光体11Y表面には、中間転写ベルト51上に1次転写されなかった転写残トナーが付着している。
【0031】
ドラムクリーニング装置14Yは、例えばポリウレタンゴム等からなるクリーニングブレード15Yを片持ち支持しており、その自由端側を感光体11Y表面に当接させている。また、図示しない駆動手段によって回転駆動される回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた無数の導電性起毛とを具備するブラシローラ16Yのブラシ先端側を感光体11Yに接触させている。そして、上述の転写残トナーをこのクリーニングブレード15Yやブラシローラ16Yによって感光体11Y表面から掻き取る。ブラシローラ16Yには、これに当接する金属製の電界ローラ17Yを介してクリーニングバイアスが印加されており、電界ローラ17Yにはスクレーパ18Yの先端が押し当てられている。クリーニングブレード15Yやブラシローラ16Yによって感光体11Yから掻き取られた転写残トナーは、ブラシローラ16Yと電界ローラ17Yとを経た後、スクレーパ18Yによって電界ローラ17Yから掻き取られて、回収スクリュウ19Y上に落下する。そして、回収スクリュウ19Yの回転駆動に伴って、ケーシング外に排出された後、図示しないトナーリサイクル搬送手段を介して現像剤搬送装置22Y内に戻される。
【0032】
ドラムクリーニング装置14Yによって転写残トナーがクリーニングされた感光体11Y表面は、除電ランプ等からなる除電装置13Yによって除電された後、帯電部材14Yによって再び一様帯電せしめられる。
【0033】
また、書込光Lによる光書込位置を通過した感光体11Yの非画像部の電位は、電位センサ49Yによって検知されて、その検知結果が図示しない制御部に送られる。
【0034】
なお、感光体11Yの一様帯電電位は例えば−700[V]であり、静電潜像の電位は、−120[V]である。更には、現像バイアスの電圧は例えば−470[V]であり、350[V]の現像ポテンシャルが確保されている。
【0035】
Y用のプロセスユニット10Yについて詳述したが、他色のプロセスユニット(10C,M,K)は、使用するトナーの色が異なる点の他は、Y用のものと同様の構成になっている。
【0036】
先に示した図2において、プロセスユニット10Y,C,M,Kの感光体11Y,C,M,Kは、時計回り方向に無端移動せしめられる中間転写ベルト51の上部張架面に当接しながら回転してY,C,M,K用の1次転写ニップを形成している。中間転写ベルト51の材料には、ベルト伸びによる転写位置ずれの発生を抑えるために、機械的強度に優れたポリイミドが採用されている。このポリイミドには、温湿度環境に依存せずに安定した転写性能を発揮することができるベルト抵抗値を実現する狙いから、電気抵抗調整剤としてのカーボンを分散させている。このため、中間転写ベルト51の表面は黒色を呈している。
【0037】
Y,C,M,K用の1次転写ニップの裏側では、上述した1次転写ローラ55Y,C,M,Kが中間転写ベルト51の裏面に当接している。そして、これら1次転写ローラ55Y,C,M,Kには、それぞれ図示しないバイアス供給手段によってトナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加されている。この1次転写バイアスにより、Y,C,M,K用の1次転写ニップには、トナーを感光体側からベルト側に静電移動させる1次転写電界が形成される。感光体11Y,C,M,K上に形成されたY,C,M,Kトナー像は、感光体11Y,C,M,Kの回転に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップに進入すると、この1次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト51のおもて面(ループ外周面)には、4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。なお、1次転写ローラ55Y,C,M,Kに代えて、1次転写バイアスが印加される導電性ブラシや、非接触方式のコロナチャージャなどを採用してもよい。
【0038】
K用のプロセスユニット10Kの図中右側方には、トナー付着量センサ61が中間転写ベルト51のおもて面に対して所定の間隙を介して対向するように配設されている。このトナー付着量センサ61は、反射型フォトセンサからなり、図示しない発光素子から発した光を中間転写ベルト51のおもて面やベルト上のトナー像で反射させ、その反射光量を図示しない受光素子によって検知する。受光素子としては、正反射光を受光するものと、拡散反射光を受光するものとの両方を備えている。図示しない制御部は、正反射型の受光素子による受光に基づく出力電圧や、拡散反射型の受光素子による受光に基づく出力電圧に基づいて、中間転写ベルト51上のトナー像を検知したり、その画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)を検知したりすることができる。正反射光と拡散反射光との両方を検知することで、Kトナーのみならず、C,M,Kトナーについても、付着量を検知することが可能になっている。
【0039】
中間転写ベルト51の下方には2次転写ローラ56が配設されており、これは図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられながら、中間転写ベルトのおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。そして、この2次転写ニップの裏側では、電気的に接地された2次転写バックアップローラ53が中間転写ベルト51を掛け回している。
【0040】
2次転写ローラ56には、図示しないバイアス供給手段によってトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加されており、これにより、接地された2次転写バックアップローラ53との間に2次転写電界を形成する。中間転写ベルト51のおもて面に形成された4色トナー像は、中間転写ベルト51の無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。
【0041】
先に示した図1において、給紙装置200は、記録紙Pを収納する給紙カセット201、これらの給紙カセット201に収納された記録紙Pをカセット外に送り出す給紙ローラ202、送り出された記録紙Pを一枚ずつ分離する分離ローラ対203、分離後の記録紙Pを送り出し路204に沿って搬送する搬送ローラ対205などがそれぞれ複数配設されている。給紙装置200は、図示のようにプリンタ部1の直下に配設されている。そして、給紙装置200の送り出し路204は、プリンタ部1の給紙路70に連結している。これにより、給紙装置200の給紙カセット201から送り出された記録紙Pは、送り出し路204を経由してプリンタ部1の給紙路70内に送られる。
【0042】
プリンタ部1の給紙路70の末端付近には、レジストローラ対71が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト51上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。そして、2次転写ニップ内では、中間転写ベルト51上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップから排出されると中間転写ベルト51から離間する。
【0043】
2次転写ニップの図中左側方には、無端状の紙搬送ベルト76を複数の張架ローラによって張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる搬送ベルトユニット75が配設されている。中間転写ベルト51から分離した記録紙Pは、この紙搬送ベルト76の上部張架面に受け渡されて、定着装置80に向けて搬送される。
【0044】
定着装置80内に送られた記録紙Pは、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ81と、これに向けて押圧される加圧ローラ82とによる定着ニップ内に挟み込まれる。そして、加圧されつつ加熱されるともでフルカラー画像が表面に定着させしめられながら、定着装置80外に向けて送られる。
【0045】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト51表面には、記録紙Pに転写されなかった若干量の2次転写残トナーが付着している。この2次転写残トナーは、中間転写ベルト51のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置57によってベルトから除去される。
【0046】
定着装置80の下方には、スイッチバック装置85が配設されている。定着装置80から排出された記録紙Pは、揺動可能な切替爪86による搬送路切替位置までくると、切替爪86の揺動停止位置に応じて、排紙ローラ対87、あるいはスイッチバック装置85に向けて送られる。そして、排紙ローラ対87に向けて送られた場合には、機外へと排出された後に、排紙トレイ3状にスタックされる。
【0047】
一方、スイッチバック装置85に向けて送られた場合には、スイッチバック装置85によるスイッチバック搬送によって上下反転せしめられた後、再びレジストローラ対71に向けて搬送される。そして、2次転写ニップに再び進入して、もう片面にもフルカラー画像が形成される。
【0048】
なお、プリンタ部1の筺体の側面に設けられた手差しトレイ2上に手差しされた記録紙Pは、手差し供給ローラ72と、手差し分離ローラ対73とを経由した後、レジストローラ対71に向けて送られる。レジストローラ対71については、接地してもよいし、記録紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加してもよい。
【0049】
本第1実施形態に係る複写機によって原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台401に原稿をセットする。あるいは、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じて押さえる。その後、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス301内に送られる。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体303及び第2走行体304による読取走査が開始する。これとほぼ同時に、転写ユニット50や各色プロセスユニット10Y,C,M,Kの駆動が開始する。更には、給紙装置200からの記録紙Pの送り出しも開始する。なお、給紙カセット201にセットされていない記録紙Pを使用する場合には、手差しトレイ2にセットされた記録紙Pの送り出しが行われる。
【0050】
図4は本第1実施形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。同図に示すように、本複写機は各種の機器の制御を司る制御手段としての制御部500を備えている。この制御部500は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU(Central Processing Unit)501にバスラインを介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)503と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)502とが接続されて構成されている。ROM503には、上述したトナー付着量センサ61からの出力電圧値と、それに対応するトナー付着量との関係を示す付着量換算アルゴリズムが格納されている。図5は、トナー付着量と、拡散反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフである。また、図6は、トナー付着量と、正反射型の受光素子による受光量に基づくセンサ出力との関係を示すグラフである。上述したトナー付着量センサ61は、拡散反射型の受光素子による受光量に基づく電圧を出力する出力端子と、正反射型の受光素子による受光量に基づく電圧を出力する出力端子とを有している。そして、制御部は、図5のグラフを示すアルゴリズムと、図6のグラフを示すアルゴリズムとの両方を、付着量換算アルゴリズムとしてデータ記憶手段に記憶している。
【0051】
制御部500には、プリンタ部1、給紙装置200、スキャナ300、ADFが接続されている。同図では、便宜上、プリンタ部1内の機器として、各種のセンサ及び光書込ユニット60しか示していないが、これらの他の機器(例えば転写ユニットや各色プロセスユニット)も、制御部500によって駆動が制御される。プリンタ部1の各種のセンサからの出力信号は、制御部500に送られる。
【0052】
図7は、制御部500によって実施される出力画像作像条件決定処理における制御フローを示すフローチャートである。この出力画像作像条件決定処理は、複写機の起動時、予め定められたコピー枚数の複写毎(連続プリント動作においては先行するプリンと動作と後続のプリント動作との間)、一定時間毎などといった所定のタイミングで実施されるが、図7は起動時における処理フローを示している。出力画像作像条件決定処理がスタートすると、まず、電源オン時のタイミングをジャム等の異常処理時と区別するために、処理フローの実行条件として定着装置(80)における加熱ローラ表面温度(以下、定着温度という)が検知される。そして、定着温度について100[℃]を超えているか否かが判断され、100[℃]を超えている場合には(ステップ1でN:以下、ステップをSと記す)、電源オン時でないとみなされて、処理フローが終了する。
【0053】
定着温度が100[℃]を超えていない場合には(S1でY)には、電位センサチェックが行われる(S2)。この電位センサチェックでは、各色のプロセスユニット(10Y〜K)において、所定条件で一様帯電せしめ感光体(11Y〜K)の表面電位をそれぞれ電位センサ(例えば図3の49Y)によって検知する。その後、トナー付着量センサ(図4の61)のVsg調整を行う(S3)。このVsg調整では、トナー付着量センサについて、中間転写ベルト(51)の非画像部領域に対する反射光を検知した受光素子からの出力電圧(Vsg)が一定の値になるように、発光素子からの発光量を調整する。より詳しくは、トナー付着量センサ61の発光光量を順次変化させて、検知電圧が4.0[V]±0.2[V]となる発光光量を求め、以降、その発光量で発光素子を発光させる。なお、S2〜S3の工程においては、各色についての電位チェックやVsg調整が並行して行われる。
【0054】
Vsg調整が終わると、次に、電位センサチェック(S2)やVsg調整(S3)におけるエラーの発生の有無が判定される(S4)。そして、エラーがあった場合には(S4でN)、そのエラーに対応するエラーコードがセットされた後(S11)、一連の制御フローが終了する。一方、エラーがなかった場合には(S4でY)、後述するS5〜S10のフローが実行される。
【0055】
S5の工程では、中間転写ベルト51のおもて面に、図8に示すような複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像が各色についてそれぞれ形成される。同図では、Y,C,M,K用のパッチパターン像のうち、Y用のパッチパターン像PpYを示している。このパッチパターン像PpYは、図示のように、互いにベルト移動方向(図中矢印方向)に所定の間隔をおいて並ぶ第1パッチ状Yトナー像Py1,第2パッチ状Yトナー像Py2・・・・・第nパッチ状Yトナー像Pynというn個のパッチ状Yトナー像からなる。これらは、互いに画像濃度が異なるが、中間転写ベルト51上における形状や姿勢は互いに同じになっている。ベルト幅方向に幅方向を沿わせつつ、ベルト移動方向に長さ方向を沿わせる矩形状の形状であり、長さ(ベルト移動方向)=13[mm]、幅(ベルト幅方向)L1=15[mm]になっている。パッチ間の間隔Gは13[mm]である。第1実施形態では、10個のパッチ状パターン像からなるパッチパターン像を形成するので、パッチパターン像の長さは247[mm]となる。このようなパッチパターン像として、Y,C,M,Kトナーによるものを、ベルト移動方向に並べて4つ形成する。4つのパッチパターン像の総延長は、少なくとも「247×4+13×3=1027mm」となり、これは中間転写ベルト51の周長よりも長い。よって、中間転写ベルト51を1周以上周回移動さえて4つのパッチパターン像を形成する。4つのパッチパターン像の形成順序は、プロセスユニットの並び順と同様に、Y,C,M,Kの順序である。図9は、Mのパッチパターン像PpMと、Kのパッチパターン像PpKとを順に形成した中間転写ベルト51上を横から示す模式図である。
【0056】
各色のパッチパターン像(PpY,PpC,PpM,PpK)における各パッチ状トナー像は、各色プロセスユニット(10Y,C,M,K)の感光体(11Y,C,M,K)上に形成されたものが、中間転写ベルト51上に転写されたものである。そして、それらは中間転写ベルト51の無端移動に伴ってトナー付着量センサ61の直下を通過する際に、センサから発せられた光を自らの表面で反射させる。この反射光量は、パッチ状トナー像の画像濃度に相関した値になる。上述の制御部(500)は、各色毎に、各パッチ状トナー像についてのセンサ出力電圧値をVpi(i=1〜N)としてRAM(502)に記憶していく(図7のS7)。そして、センサ出力電圧値と、ROM(503)に予め記憶している上述の付着量換算アルゴリズムとに基づいて、各パッチ状トナー像に対する単位面積当りのトナー付着量を算出した後、算出結果をRAM(502)に記憶する(図7のS8)。なお、各色のパッチ状トナー像が各色の感光体上で現像されるのに先立って、それらのパッチ状トナー像の前駆体である各パッチ状潜像の電位が上述の電位センサ(例えば49Y)によって検知され、その検知結果がRAM(502)に順次記憶されていく(図7のS6)。
【0057】
各パッチ状トナー像に対するトナー付着量を算出したら、次に、各色の現像装置について、それぞれ適切な現像ポテンシャルを求める(図7のS9)。具体的には、各色についてそれぞれ次のような処理を実施する。即ち、各パッチ状トナー像についてそれぞれ、上記S6で得られた潜像の電位と、現像バイアスとから、両者の差である現像ポテンシャルを算出する。次いで、10個のパッチ状トナー像にそれぞれ対応する、潜像の電位とトナー付着量とからなる10個のデータ組のうち、現像ポテンシャルとトナー付着量との関係が2次元平面上で直線になる区間のデータ組合せだけを選別する。そして、この区間のデータに対して最小自乗法を適用することによって現像特性直線の近似直線を得る。そして、その近似直線に基づいて、トナー付着量が最大となる現像ポテンシャルを特定して(図7のS9)、その現像ポテンシャルが得られる現像バイアスVb、レーザー書込強度VDを設定する(図7のS10)。
【0058】
図10は、各色のプロセスユニットにおける現像性能直線(トナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示す直線)を示すグラフである。同図において、直線Laは、現像γ(直線の傾きであり、現像能力を示している)が比較的大きくなった場合の現像性能直線の一例を示している。また、直線Lbは、現像γが比較的小さくなった場合の現像性能直線の一例を示している。トナー付着量センサ61には、その特性上、トナー付着量について、図示のような検知可能範囲が存在する。この検知可能範囲の上限を超えた付着量範囲では、実際のトナー付着量が直線的に増加しても、センサ出力は直線的に増加しなくなるので、検知可能範囲外では、図示のような直線の関係を検知することができない。また、検知可能範囲の下限を下回る付着量範囲においても、同様に、図示のような直線の関係を検知することができない。このため、上述した近似直線については、トナー付着量の検知結果が検知可能範囲内に収まったデータ(トナー付着量と現像ポテンシャルとの組合せ)だけに基づいて、直線近似処理を行うようになっている。
【0059】
このような直線近似処理では、直線Laのように、現像γが比較的大きくなると、検知可能範囲内のトナー付着量となるパッチ数が著しく少なくなることから、直線近似処理の精度が低下してしまう。また、直線Lbのように、現像γが比較的小さくなった場合にも、番号の大きいパッチ状トナー像しかトナー付着量が検知可能範囲に入らなくなるので、検知可能範囲内のトナー付着量となるパッチ数が著しく少なくなる。
【0060】
特許文献1に記載の画像形成装置のように、パッチパターン像を形成して現像γを把握した後、その現像γに基づいてもう一度パッチパターン像を形成して検知可能範囲内で所望数のパッチを得るようにすれば、現像性能直性の精度良く検出することは可能である。しかしながら、このようにすると、パッチパターン像の形成と、トナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを2回繰り返さなければならないことから、出力画像作像条件決定処理に長時間を要してしまう。
【0061】
次に、第1実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
第1実施形態に係る複写機においては、プリンタ部(1)の筐体内に、図示しない絶対湿度センサを備えており、その絶対湿度センサによって絶対湿度を検知することができる。プロセスユニットの現像γは、図11に示すように、絶対湿度と良好な相関関係を示す。具体的には、図示のように、現像γは、絶対湿度が大きくなるほど大きくなり、絶対湿度が小さくなるほど小さくなる。
【0062】
ここで、前回の出力画像作像条件決定処理の実行時には、検知可能範囲内で十分な検知可能パッチ数が得られたとする。そして、その後、絶対湿度の変動に伴って、現像γが変化したとする。この場合、パッチパターン像における各パッチ状トナー像を、それぞれ前回の出力画像作像条件決定処理のときと同じ現像ポテンシャルで現像すれば、所望の検知可能パッチ数が得られなくなる可能性がある。しかし、絶対湿度の変化量と、現像γの変化量とには相関関係が成立するため、絶対湿度の変化量から、変化後の現像γを予測し、その結果に基づいて、各パッチ状トナー像の現像ポテンシャルをそれぞれ補正すれば、絶対湿度の変化後においても所望の検知可能パッチ数を得ることが可能である。
【0063】
そこで、第1実施形態に係る複写機の制御部は、出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、出力画像作像条件決定処理を前回実施したときからの絶対湿度変動量と、前回の出力画像作像条件決定処理における各パッチ状トナー像の現像ポテンシャルとに基づいて、これから実施する出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの現像ポテンシャルを決定するパッチ作像条件決定処理を実施するようになっている。
【0064】
このパッチ作像条件決定処理では、各色についてそれぞれ、パッチパターン像内における10個のパッチ状トナー像の現像バイアスをそれぞれ次のようにして決定する。即ち、前回実施時よりも絶対湿度が高くなった場合には(正の環境変動)、それぞれのパッチ状トナー像について前回よりも小さい現像ポテンシャルを決定する(作像能力たる現像能力を低くする)。この一方で、前回実施時よりも絶対湿度が低くなった場合には(負の環境変動)、それぞれのパッチ状トナー像について前回よりも高い現像ポテンシャルを決定する(現像能力を高くする)。
【0065】
図12は、先行する出力画像作像条件決定処理よりも、後の出力画像条件決定処理時における絶対湿度が高くなった場合における前者の出力画像作像条件決定処理の作像電位条件と、後者の出力画像作像条件決定処理の作像電位条件とを示すチャートである。また、図13は、前者の出力画像作像条件決定処理における現像特性直線を示すグラフと、後者の出力画像作像条件決定処理における現像特性直線を示すグラフとの関係を示すチャートである。以下、前者の出力作像条件決定処理を、「前回処理」という。また、後者の出力画像作像条件決定処理を「今回処理」という。ここで、「前回処理」時の作像電位条件が、感光体表面電位Vd=Vd1、現像バイアスVb=Vb1、レーザーパワー(レーザー書込強度)LD=LD1であったとする。10個のパッチ状トナー像の現像ポテンシャルVb11、Vb12・・・・Vb110は、感光体表面電位Vd1と現像バイアスVb1とレーザーパワーLD1とを基準としたレーザーパワーLD11、LD12、・・・、LD110で光書込された潜像電位VL1、VL2、・・・VL10に基づいて、次のように求められる。即ち、(Vb1−VL1)、(Vb1−VL2)、・・・、(Vb1−VL10)という計算で求められる。LD11=LD1×e1、LD12=LD1×e2、・・・、LD110=LD1×e10(0<e1<e2<e10=1.5)であり、e1〜e10の値は予め実験等で決められる。
【0066】
「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも高くなった場合には、感光体表面電位をVd1にセットするとともに、現像バイアスをVb1にセットし、レーザーパワーとして、LD1’(LD1’=LD1×α(0<α<1))を基準とした前回よりも小さなレーザーパワーLD1’1、LD1’2、・・・、LD1’10で光書込を行うことによって、「前回処理」時よりも小さい現像ポテンシャルでパッチ状トナー像を形成する。係数αの大きさについては、予めの実験により求めた、絶対湿度の増加量と、αの適正値との関係を示すグラフ、に基づいて算出する。これにより、現像γがより大きくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、前回と同数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0067】
また、「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも低くなった場合には、感光体表面電位をVd1にセットするとともに、現像バイアスをVb1にセットし、レーザーパワーとして、LD1’(LD1’=LD1×β(1<β)を基準とした前回よりも大きなレーザーパワーLD1’1、LD1’2、・・・、LD1’10で光書込を行うことによって、「前回処理」時よりも大きい現像ポテンシャルでパッチ状トナー像を形成する。係数βの大きさについては、予めの実験により求めた、絶対湿度の低下量と、βの適正値との関係を示すグラフ、に基づいて算出する。これにより、現像γがより大きくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、前回と同数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0068】
かかる構成においては、パッチパターン像の形成と、パッチ状トナー像に対するトナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを1回実施するだけで、所望の検知可能パッチ数を得て現像性能直線を把握することが可能である。よって、現像性能直線を精度良く検出しつつ、前述の組合せを2回実施していた特許文献1に記載の画像形成装置に比べて、プロセスコントロール処理の短縮化を図ることができる。
【0069】
なお、環境把握手段として、絶対湿度を検知する絶対湿度センサを設けた例について説明したが、相対湿度や温度を検知するものを用いた場合にも、本発明の適用が可能である。この場合、絶対湿度を検知する場合に比べて、精度は劣るものの、相対湿度の変動量や、温度の変動量に基づいて、現像γの増減を把握して、その後の出力画像作像条件決定処理で形成する各パッチ状トナー像における現像ポテンシャルをそれぞれ適切に決定することが可能である。また、相対湿度と温度との検知結果に基づいて、絶対湿度を把握させるようにしてもよい。
【0070】
次に、本発明を適用した第2実施形態に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第2実施形態に係る複写機の構成は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態に係る複写機の制御部500は、次のようなパッチ作像条件決定処理を実施するようになっている。即ち、「前回処理」からの絶対湿度の変動量と、「前回処理」で形成した1つのパッチパターン像内におけるパッチ状トナー像の形成数とに基づいて、「今回処理」で形成するパッチパターン像内におけるパッチ状トナー像の形成数と、個々のパッチ状トナー像におけるポテンシャル差であるポテンシャルピッチとを決定する。より詳しくは、「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも高くなった場合には、「前回処理」時の10個のパッチ状トナー像に、「前回処理」時の低現像ポテンシャル部のパッチ状トナー像が増えるように、パッチ作像条件を追加する。即ち、「前回処理」時の感光体表面電位Vd1、現像バイアスVb1、レーザーパワーLD1(LD11、LD12、・・・、LD110)をセットするとともに、低現像ポテンシャル部のパッチパターンLD11H、LD12H、LD13H(LD11H=LD11×α、LD12H=LD12×α、LD13H=LD13×α(0<α<1))を追加する。今回の説明においてはLD1Nより小さいレーザーパワーを1つ追加しているが、複数のレーザーパワーを追加しても良く、追加する数や係数αは、予め実験により求めて算出する。これにより、現像γがより大きくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、十分な数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0071】
また、「今回処理」における絶対湿度が「前回処理」時よりも低くなった場合には、「前回処理」時の10個のパッチ状トナー像に、「前回処理」時の高現像ポテンシャル部のパッチ状トナー像が増えるように、パッチ作像条件を追加する。即ち、「前回処理」時の感光体表面電位Vd1、現像バイアスVb1、レーザーパワーLD1(LD11、LD12、・・・、LD110)をセットするとともに、高現像ポテンシャル部のパッチパターンLD18L、LD19L、LD110L(LD18L=LD18×β、LD19L=LD19×β、LD110L=LD110×β(1<β))を追加する。今回の説明においてはLD1Nより大きいレーザーパワーを1つ追加しているが、複数のレーザーパワーを追加しても良く、追加する数や係数βは、予め実験により求めて算出する。これにより、現像γがより小さくなった「今回処理」において、検知可能範囲内に、十分な数の検知可能パッチ数を得ることが可能になる。
【0072】
かかる構成においても、パッチパターン像の形成と、パッチ状トナー像に対するトナー付着量の検知結果に基づく計算処理との組合せを1回実施するだけで、所望の検知可能パッチ数を得て現像性能直線を把握することが可能である。よって、現像性能直線を精度良く検出しつつ、前述の組合せを2回実施していた特許文献1に記載の画像形成装置に比べて、プロセスコントロール処理の短縮化を図ることができる。
【0073】
以上、第1実施形態に係る複写機においては、パッチ作像条件決定処理にて、「前回処理」実施時の各パッチ状トナー像におけるそれぞれの現像ポテンシャルを、絶対湿度の変動量に基づいて補正して、「今回処理」(実施予定の出力画像作像条件決定処理)で形成する個々のパッチ状トナー像におけるそれぞれの現像ポテンシャルとする処理を実施するように、制御手段たる制御部500を構成している。かかる構成では、パッチ作像条件決定処理で形成するパッチパターン像内のパッチ形成数が、現像γの大きさにかかわらず毎回一定であるので、比較的大きい現像γの場合でも、パッチ形成数を過剰に増やすことなく、所望の検知可能パッチ数を得る。これにより、比較的大きい現像γの場合にパッチ形成数を過剰に増やしてしまうことによる出力画像作像条件決定処理の長期化を回避することができる。
【0074】
また、第1実施形態に係る複写機においては、環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握する絶対湿度センサを用いている。そして、パッチ作像条件決定処理にて、環境変動量が正の絶対湿度変動量である場合に、「今回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルとして、「前回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルよりも小さくしたもの(現像能力を低くするもの)、を決定する処理を実施するように、制御部500を構成している。かかる構成では、絶対湿度の増加によって現像γが「前回処理」のときよりも大きくなった場合に、個々のパッチ状トナー像における現像ポテンシャルをより小さくすることで、現像γの増大による検知可能パッチ数の減少を回避することができる。
【0075】
また、第1実施形態に係る複写機においては、パッチ作像条件決定処理にて、環境変動量が負の絶対湿度変動量である場合に、「今回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルとして、「前回処理」における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの現像ポテンシャルよりも大きくしたもの(現像能力を高くするもの)、を決定する処理を実施するように、制御部500を構成している。かかる構成では、絶対湿度の減少によって現像γが「前回処理」のときよりも小さくなった場合に、個々のパッチ状トナー像における現像ポテンシャルをより大きくすることで、現像γの減少による検知可能パッチ数の減少を回避することができる。
【0076】
また、第2実施形態に係る複写機においては、パッチ作像条件決定処理にて、絶対湿度変動量が多くなるほど、ポテンシャル差を小さくし且つパッチパターン像内のパッチ形成数を多くする処理を実施するように、制御部500を構成している。かかる構成では、ポテンシャルピッチを現像γに見合った値にして、絶対湿度にかかわらず、検知可能パッチ数をほぼ一定にすることができる。
【符号の説明】
【0077】
11Y,C,M,K:感光体(潜像担持体)
20Y,C,M,K:現像装置(現像手段)
24Y:現像スリーブ(現像剤担持体)
50:転写ユニット(転写手段)
60:光書込ユニット(潜像書込手段)
61:トナー付着量センサ(付着量検知手段)
500:制御部(制御手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開平10−90961号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に静電潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持した現像剤によって該静電潜像を現像してトナー像を得る現像手段と、該潜像担持体の表面上のトナー像、あるいは該潜像担持体から転写体に転写されたトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知する付着量検知手段と、互いに異なる作像条件で現像した複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像を形成し、それら複数のパッチ状トナー像に対するトナー付着量を該付着量検知手段によって検知した結果に基づいて、作像条件とトナー付着量との関係を示す現像性能直線を把握した後、該現像性能直線に基づいて、ユーザーの命令に基づく画像を形成する際の作像条件を決定する出力画像作像条件決定処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、
環境状況を把握するする環境把握手段を設けるとともに、
上記出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、上記出力画像作像条件決定処理を前回実施したときからの環境変動量と、前回の上記出力画像作像条件決定処理における個々のパッチ状トナー像の作像条件とに基づいて、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像の作像条件をそれぞれ決定するパッチ作像条件決定処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記パッチ作像条件決定処理にて、前回の上記出力画像作像条件決定処理を実施したときの複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件を、上記環境変動量に基づいて補正して、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件とする処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、
上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が正の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を低くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3の画像形成装置において、
上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、
上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が負の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を高くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2の画像形成装置において、
上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量に基づいて、現状の作像能力について比較的高いと判断した場合には、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成するパッチパターン像内の個々のパッチ状トナー像における相互の現像ポテンシャル差を、低ポテンシャル側よりも高ポテンシャル側で小さくする一方で、現状の作像能力について比較的低いと判断した場合には、該現像ポテンシャル差を、高ポテンシャル側よりも低ポテンシャル側で小さくする所定を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に静電潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持した現像剤によって該静電潜像を現像してトナー像を得る現像手段と、該潜像担持体の表面上のトナー像、あるいは該潜像担持体から転写体に転写されたトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を検知する付着量検知手段と、互いに異なる作像条件で現像した複数のパッチ状トナー像からなるパッチパターン像を形成し、それら複数のパッチ状トナー像に対するトナー付着量を該付着量検知手段によって検知した結果に基づいて、作像条件とトナー付着量との関係を示す現像性能直線を把握した後、該現像性能直線に基づいて、ユーザーの命令に基づく画像を形成する際の作像条件を決定する出力画像作像条件決定処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、
環境状況を把握するする環境把握手段を設けるとともに、
上記出力画像作像条件決定処理を実施するのに先立ち、上記出力画像作像条件決定処理を前回実施したときからの環境変動量と、前回の上記出力画像作像条件決定処理における個々のパッチ状トナー像の作像条件とに基づいて、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像の作像条件をそれぞれ決定するパッチ作像条件決定処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記パッチ作像条件決定処理にて、前回の上記出力画像作像条件決定処理を実施したときの複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件を、上記環境変動量に基づいて補正して、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成する複数のパッチ状トナー像におけるそれぞれの作像条件とする処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、
上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が正の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を低くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3の画像形成装置において、
上記環境把握手段として、絶対湿度の状況を把握するものを用いるとともに、
上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量が負の絶対湿度変動量である場合に、実施予定の上記出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件として、前回の出力画像作像条件決定処理における複数のパッチ状トナー像に対するそれぞれの作像条件よりも作像能力を高くするもの、を決定する処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2の画像形成装置において、
上記パッチ作像条件決定処理にて、上記環境変動量に基づいて、現状の作像能力について比較的高いと判断した場合には、後に実施予定の上記出力画像作像条件決定処理で形成するパッチパターン像内の個々のパッチ状トナー像における相互の現像ポテンシャル差を、低ポテンシャル側よりも高ポテンシャル側で小さくする一方で、現状の作像能力について比較的低いと判断した場合には、該現像ポテンシャル差を、高ポテンシャル側よりも低ポテンシャル側で小さくする所定を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−204455(P2010−204455A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50748(P2009−50748)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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