説明

画像形成装置

【課題】カラー現像剤の消費を高い精度で所望の消費量以下に制限することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ガンマ補正情報に基づいて画像データにガンマ補正を施すガンマ補正処理部451から出力されたガンマ補正後の画像データに基づいてモノクロ印刷又はカラー印刷を実行する際、トナーカウンター47によりカラー印刷時のカラートナーの消費量をガンマ補正処理部451によるガンマ補正前の画像データに基づいて算出し、その算出された前記カラートナーの消費量が予め設定された上限値以上である場合に、前記カラー印刷の実行を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいてモノクロ印刷又はカラー印刷を実行する画像形成装置に関し、特に、カラー現像剤の消費を制限するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、ファクシミリー装置、複合機などの画像形成装置では、入力された画像データに基づいてモノクロ印刷又はカラー印刷が実行される。この画像形成装置において、モノクロ印刷では黒色トナーにより画像が形成され、カラー印刷では複数色のカラートナーにより画像が形成される。ここで、複数色のカラートナーを用いるカラー印刷はモノクロ印刷よりも印刷コストが高い。そのため、経費削減の観点からはカラー印刷の実行を抑制することが望ましい。この点について、例えば特許文献1には、カラー原稿の印刷枚数を累積してカウントし、その印刷枚数が上限枚数を超えないようにカラー印刷を制限することにより経費削減を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−240836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置においてカラー印刷により実際に消費されるカラートナーの量はカラー原稿の内容によって大きく異なる。そのため、前記特許文献1に係る技術のように上限枚数でカラー印刷を制限すると以下の問題が生じる。
具体的に、カラー画像の形成領域が少ないカラー原稿ばかりを印刷する場合には、実際のカラートナーの消費が少ない。そのため、上限枚数でカラー印刷を制限すると、カラー印刷が無駄に制限されるという問題が生じる。一方、カラー画像の形成領域が多いカラー原稿ばかりを印刷する場合には、実際のカラートナーの消費が多くなる。そのため、上限枚数でカラー印刷を制限すると、カラートナーが想定していた以上に消費されるという問題が生じる。
そこで、画像データにおけるCMYK各々のドット数をドットカウンターによりカウントした後、そのカウント値に応じてカラートナーの消費量を算出し、その算出されたカラートナーの消費量に応じてカラー印刷の制限の有無を判断することが考えられる。ここで、従来のドットカウンターは、ガンマ補正などの階調補正を施した後の画像データにおけるCMYKのドット数をカウントするものであった。しかしながら、ガンマ補正などの階調補正を施した後の画像データは、その階調補正の内容によって変化する。具体的に、入力された画像データが同じであっても、階調補正で用いられるガンマ補正テーブルなどの補正データの内容によってドットカウンターによるカウンター値は異なる。例えば、画像形成部の経時変化後や異なる使用環境下ではその画像形成部の階調特性が変化するため、画像形成装置では、同じ画像データに対応する印字濃度が常に一定に保たれるように実施されるキャリブレーションの結果に応じてガンマ補正の内容が変更されることがある。そのため、従来は、ドットカウンターによるカウンター値から実際のカラートナーの消費量を正確に算出することができず、カラートナーの消費を高い精度で所望の消費量以下に制限することができなかった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カラー現像剤の消費を高い精度で所望の消費量以下に制限することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、以下の(1)〜(4)を備えてなる画像形成装置として構成される。
(1)入力された画像データを補正する画像データ補正手段。
(2)前記画像データ補正手段による補正後の前記画像データに基づいて黒色現像剤により画像を形成するモノクロ印刷又は前記画像データに基づいてカラー現像剤により画像を形成するカラー印刷を実行する画像形成手段。
(3)前記画像形成手段によるカラー印刷時のカラー現像剤の消費量を前記画像データ補正手段による補正前の前記画像データに基づいて算出する消費量算出手段。
(4)前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が予め設定された上限値以上である場合に、前記カラー印刷の実行を制限する印刷制限手段。
本発明によれば、前記画像データ補正手段による補正前の前記画像データに基づいて実際のカラー現像剤の消費量が正確に算出される。具体的に、前記画像データ補正手段による補正内容(ガンマ補正曲線など)が変化する場合であっても、入力された画像データが同じであれば、前記消費量算出手段で算出されるカラー現像剤の消費量も常に一定となる。そのため、前記上限値を所望の消費量に設定しておくことにより、前記画像形成装置におけるカラー現像剤の消費を高い精度でその所望の消費量以下に制限することができる。
例えば、前記画像データ補正手段が、同じ画像データが入力された場合に前記画像形成手段による印字濃度が常に一定となるように前記画像データを補正する場合には、前記画像データ補正手段による補正後の画像データが適宜変化するため、本発明が好適である。
【0006】
ここで、前記印刷制限手段は、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である場合に、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、及び2色の現像剤を用いて画像形成を行う2色印刷のうち一つ又は複数を選択候補として表示させ、前記表示に従った操作入力により選択された前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、又は前記2色印刷により前記画像データの印刷を前記画像形成手段に実行させるものであることが考えられる。さらに、前記印刷制限手段は、複数の原稿に対応する複数の画像データが入力され、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である画像データが複数存在する場合、その画像データ各々を表示させると共に、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、及び前記2色印刷のうち一つ又は複数を選択候補として表示させ、前記表示に従った操作入力により前記画像データごとに選択された前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、又は前記2色印刷により前記画像データ各々の印刷を前記画像形成手段に実行させるものであることも考えられる。これらの構成によれば、前記カラー印刷が選択された場合にのみ前記カラー印刷が実行され、前記モノクロ印刷や前記2色印刷が選択された場合には前記カラー印刷に代えて前記モノクロ印刷や前記2色印刷が実行される。そのため、前記カラー現像剤の消費量が多くなりそうな場合に、前記カラー印刷の実行と前記カラー現像剤の消費量の制限とのいずれを優先させるかをユーザの意思により選択させることができる。
一方、前記印刷制限手段は、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である場合に、前記カラー印刷の実行を禁止するものであってもよい。さらに、前記印刷制限手段は、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である場合に、前記モノクロ印刷又は2色の現像剤を用いて画像形成を行う2色印刷を実行するものであることが考えられる。これにより、ユーザの意思にかかわらず自動的に前記カラー印刷の実行を禁止することや前記モノクロ印刷又は前記2色印刷を代用することにより、前記カラー現像剤の消費を制限することができる。
ところで、本発明は、原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段により読み取られた原稿がモノクロ原稿又はカラー原稿のいずれであるかを自動判定する原稿判定手段と、を更に備えてなり、前記画像形成手段が、前記原稿判定手段による判定結果に応じて前記モノクロ印刷又は前記カラー印刷を実行するものである構成に好適である。即ち、本発明によれば、前記原稿判定手段によりカラー印刷が自動的に選択される構成においても、前記カラー現像剤の消費量が多すぎる場合にはそのカラー印刷を制限することが可能であるため、ユーザは前記原稿判定手段の機能を気兼ねなく使用することができる。
なお、前記画像データ補正手段は、例えばガンマ補正情報(ガンマ補正曲線など)に基づいて前記画像データのガンマ補正を行うものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カラー現像剤の消費量を正確に算出し、カラー現像剤の消費量を高い精度で所望の消費量以下に制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る複写機Xの概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係る複写機Xにおける制御部4の概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る複写機Xで実行される画像形成処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係る複写機Xで実行される画像形成処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る複写機X(画像形成装置の一例)の概略構成について説明する。なお、本発明は複写機に限らず、画像データに基づいて画像形成を実行するプリンター装置、ファクシミリー装置、複合機などの画像形成装置にも適用可能である。
図1に示すように、前記複写機Xは、画像形成部1(画像形成手段に相当)、画像読取部2(画像読取装置に相当)、ADF3、制御部4などを備えている。なお、前記複写機Xは、各種の操作入力及び情報表示が行われる操作表示部など(不図示)も備えている。
【0010】
<画像形成部1>
前記画像形成部1は、2つの光走査装置10、4つの画像形成ユニット11、中間転写ベルト12、二次転写装置13、給紙装置14、定着装置15、及び排紙部16などを備えて構成されている。
4つの前記画像形成ユニット11は、図1の左から順にブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)の4色に対応する一般的な電子写真方式の画像形成ユニットである。前記画像形成ユニット11各々は、感光体ドラム111、帯電装置112、現像装置113、一次転写ローラー114、クリーニング装置115などを備えている。
このように構成された前記画像形成ユニット11では、前記帯電装置112により前記感光体ドラム111が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記感光体ドラム111の表面に前記光走査装置10により画像データに基づく光が照射され、その表面に静電潜像が形成される。そして、前記現像装置113により前記感光体ドラム111上の静電潜像がトナー像として現像(可視像化)される。続いて、前記一次転写ローラー114により、図示する矢印方向に走行する前記中間転写ベルト12に、前記感光体ドラム111上のトナー像が転写される。なお、前記中間転写ベルト12にトナー像が転写された後、前記感光体ドラム111は前記クリーニング装置115によりクリーニングされる。そして、前記中間転写ベルト12上のトナー像は、前記二次転写装置13により前記給紙装置14で供給される記録紙に転写される。その後、前記定着装置15により記録紙上のトナー像が溶融定着され、その記録紙は前記排紙部16に排出される。
【0011】
<画像読取部2>
前記画像読取部2は、コンタクトガラス21、光源ユニット23、ミラー26、27、光学レンズ28、CCD(Charge Coupled Device)29などを備えており、前記コンタクトガラス21又は前記ADF3にセットされた原稿から画像データを読み取る。
前記コンタクトガラス21は、前記画像読取部2の上面に設けられており画像読取対象となる原稿Pが載置される透明な原稿台である。
前記読取ユニット23は、LED光源24及びミラー25を備えており、不図示のモーターによって図1における左右方向(副走査方向)へ移動可能に構成されている。前記LED光源24は、図1において奥行き方向(主走査方向)に沿って配列された多数の白色LEDを備えており、前記コンタクトガラス21上の読取位置22に1ライン分の白色光を照射する。前記ミラー25は、前記読取位置22にある原稿P又は後述の原稿押さえ33で反射した後の光を前記ミラー26に向けて反射させる。そして、前記ミラー25で反射した光は、前記ミラー26、27によって前記光学レンズ28に導かれる。前記光学レンズ28は、入射した光を集光して前記CCD29に入射させる。前記CCD29は、前記光学レンズ45から入射される光の受光量に応じた画像信号を前記原稿Pの1ライン分の画像データとして前記制御部4に入力する。
このように構成された前記画像読取部2によるカラー画像データの読取処理などについては従来と異なるところがないためその説明を省略する。なお、本実施の形態では、撮像素子として前記CCD29を用いた例について説明するが、前記CCD29よりも焦点距離の短い密着型のイメージセンサー(CIS:Contact Image Sensor)を用いてもよい。
【0012】
<ADF3>
一方、前記ADF3は、原稿セット部31、複数の搬送ローラー32、原稿押さえ33、排紙部34などを備えている。前記ADF3は、前記搬送ローラー32各々を不図示のモーターで駆動させることにより、前記原稿セット部31にセットされた1枚又は複数枚の原稿Pを順に、前記コンタクトガラス21上の読取位置22を通過させて前記排紙部34まで搬送させる。
前記原稿押さえ33は、前記コンタクトガラス21上の読取位置22の上方に原稿Pが通過できる間隔を隔てた位置に設けられている。前記原稿押さえ33は、図1における左右方向に長尺状を成しており、その下面(コンタクトガラス21側の面)には白色のシートが貼り付けられている。なお、前記シートは、前記画像読取部2における白基準データを算出する際に用いられる。
【0013】
<制御部4>
続いて、図2のブロック図を参照しつつ、前記制御部4について説明する。
図2に示すように、前記制御部4は、CDS41、AGC42、ADC43、DSP44、ASIC45、画像メモリー46、トナーカウンター47、CPU48、ROM49、及びRAM50などを備えている。なお、前記制御部4全体が集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
前記CDS41は、前記CCD29から入力される画像データについて、相関二重サンプリング法などに基づくノイズ除去処理を実行する電気回路である。前記CDS41でノイズが除去された画像データは、前記AGC42に入力される。
前記AGC42は、前記CDS41から入力された画像データを予め設定された増幅率(ゲイン)に従って増幅させるゲインコントロールアンプである。前記AGC42による増幅後の画像データは前記ADC43に入力される。
前記ADC43は、前記AGC42から入力されたアナログ信号の画像データをデジタル信号に変換するADコンバーターである。前記ADC43でデジタル化された画像データは前記DSP44に入力する。
前記DSP44は、前記ADC43から入力されたRGB形式の画像データをCMYK形式の画像データに変換する信号変換処理などを実行する。前記DSP44で信号変換処理が施された後の画像データは、前記ASIC45に入力される。
【0014】
前記ASIC45は、前記DSP44から入力された画像データに対して各種の画像処理を施す信号処理プロセッサーである。具体的に、前記ASIC45は、ガンマ補正を行うガンマ補正処理部451(画像データ補正手段の一例)及びスクリーン処理を行うスクリーン処理部452などを有している。
前記ガンマ補正処理部451は、予め設定されたガンマ補正曲線又はガンマ補正テーブルなどのガンマ補正情報に基づいて画像データのガンマ補正を実行するものである。前記ガンマ補正は、前記画像データの入出力特性を補正して前記画像形成部1における階調特性を一定に維持するための処理である。このガンマ補正により、前記画像形成部1では、入力される画像データが同じであれば常に同じ印刷濃度で画像が形成される。なお、前記ガンマ補正情報は、例えば前記複写機Xの機種ごとや前記複写機Xの固有のガンマ特性に従って予め設定される。但し、前記画像形成部1の経時変化後や異なる使用環境下では前記複写機Xの画像形成部1の階調特性が変化する。そのため、前記複写機Xでは、前記CPU48によって、同じ画像データが入力された場合の前記画像形成部1による印字濃度が常に一定に保たれるようにキャリブレーションが適時実施され、そのキャリブレーションの結果に応じて前記ガンマ補正情報が変更される。このように、前記ガンマ補正情報は前記キャリブレーションの結果に応じて適宜変更されるものであるため、同じ画像データが入力された場合でも前記ガンマ補正処理部451による補正後の画像データは前記ガンマ補正情報の変化に伴って変化することになる。なお、本実施の形態では前記ガンマ補正処理部451により画像データに対してガンマ補正が施される場合を例に挙げて説明するが、ガンマ補正に限らず画像データに対して各種の補正処理が施される構成にも本発明は適用可能である。
そして、前記ガンマ補正後の画像データは、前記スクリーン処理部452に入力される。
【0015】
前記スクリーン処理部452は、予め設定されたスクリーンパターン等に基づいて網点により階調表現を実現するスクリーン処理が実行される。なお、前記スクリーン処理部452では、ディザ法、誤差拡散法などのハーフトーン処理が実行されてもよい。前記スクリーン処理部452で前記スクリーン処理が施された後の画像データは、前記画像メモリー46に入力される。
前記画像メモリー46は、前記複写機Xで読み取られる画像データを蓄積記憶するハードディスクや半導体メモリーなどの記憶手段である。そして、前記複写機Xでは、前記画像メモリー46に記憶された画像データに基づく画像形成処理が前記画像形成部1において実行される。
具体的に、前記画像形成部1では、前記画像読取部2で読み取られ、前記制御部4において前記ガンマ補正処理部451でガンマ補正が施された後の画像データに基づいて、ブラックのトナーを用いて画像を形成するモノクロ印刷、ブラックに加えてイエロー、シアン、マゼンダのカラートナーを用いて画像を形成するカラー印刷、及び2色のトナーのみを用いて画像を形成する2色印刷のいずれかが選択的に実行される。
【0016】
前記トナーカウンター47は、前記画像形成部1によるカラー印刷時のCMYK各色のトナーの消費量を、前記ガンマ補正処理部451に入力される前の画像データ、即ちガンマ補正前の画像データに基づいて算出する。ここに、少なくともCMY各色のカラートナーの消費量を算出するときの前記トナーカウンター47が消費量算出手段に相当する。
このように、前記トナーカウンター47では、前記ガンマ補正処理部451によりガンマ補正が施される前の画像データに基づいてカラートナーの消費量が算出される。そのため、前述したように同じ画像データに対応する印字濃度を一定に維持するべく前記キャリブレーションの結果に応じて前記ガンマ補正情報が変更された場合でも、前記トナーカウンター47では高い精度でトナー消費量を算出することができる。具体的に、前記ガンマ補正後の画像データに基づいてカラートナーの消費量を算出する場合に比べて高い精度で実際のカラートナーの消費量を算出することができる。
【0017】
具体的に、前記トナーカウンター47は、前記画像データに含まれた全画素におけるCMYK各々の階調値の合計をそれぞれ算出する。そして、前記トナーカウンター47は、前記CMYK各々の階調値の合計に応じて、CMYK各々に対応する前記画像形成ユニット11各々で消費されるトナーの消費量を算出する。例えば、前記トナーカウンター47は、CMYK各々の階調値の合計に、予め設定されたトナー消費量定数を乗じることによってトナーの消費量を算出する。前記トナー消費量定数は、予め行った実験やシミュレーションの結果に応じて、前記複写機Xごとに設定された値である。例えば、Kに対応するトナー消費量定数が1.5、CMY各々に対応するトナー消費量定数が1.35に設定される。もちろん、前記トナー消費量定数がCMYKごとに個別に設定されていてもよい。
また、例えば前記画像データのうち文字部分とその他の部分とについて個別に前記トナー消費量定数を設定することや、印刷モードが通常モード及び写真モードのいずれであるかに応じて前記トナー消費量定数を変更することも考えられる。具体的に、文字部分についてはKのトナー消費量定数が1.5、CMY各々のトナー消費量定数が1.35であり、その他の部分についてはCMYK各々のトナー消費量定数が1.0であることが考えられる。また、印刷モードが通常モードであれば、CMYK各々のトナー消費量定数が1.0であり、写真モードであればCMYK各々のトナー消費量定数が1.5であることが考えられる。さらに、前記トナーカウンター47において、前記ガンマ補正処理部451で使用されるガンマ補正情報の内容(ガンマ補正テーブルやガンマ補正曲線の種別など)と前記トナー消費量定数との関係を予め定めたテーブル情報又は換算式に基づいて前記トナー消費量定数がその都度設定されることも他の実施例として考えられる。
【0018】
前記ROM49には、所定の制御プログラム及び各種パラメーターが記憶されている。前記CPU48は、前記ROM49に格納された所定の制御プログラムに従った処理を実行することにより前記複写機Xを統括的に制御する。
具体的に、前記CPU48は、前記複写機Xの各構成要素を制御することにより原稿Pからカラー又はモノクロの画像データを読み取ると共に、その画像データに基づいて画像を形成する画像形成処理(図3のフローチャート参照)を前記複写機Xで実行させる。前記RAM50は、前記CPU48で実行される各種の処理の一次記憶領域(作業領域)として利用される。
【0019】
<画像形成処理>
以下、図3のフローチャートを参照しつつ、前記複写機Xにおいて前記CPU48により実行される画像形成処理の手順の一例について説明する。ここに、図3に示すステップS11、S12・・・は処理手順番号を示すものである。
【0020】
(ステップS11〜S12)
まず、ステップS11において、前記CPU48は、複写処理の開始要求を待ち受ける(S11のNo側)。例えば、複写処理の要求操作が不図示の操作表示部に対してなされた場合、前記CPU48は、複写処理の開始要求があったと判断し(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させる。
ステップS12において、前記CPU48は、前記画像読取部2による画像読取処理を実行する。これにより、前記CCD29で読み取られた画像データが前記CDS41、前記AGC42、前記ADC43、前記DSP44、及び前記ASIC45を順に経て前記画像メモリー46に入力される。
このとき、前記トナーカウンター47では、前述したように前記DSP44から前記ASIC45に入力される画像データに基づいて、CMYK各々のトナーの消費量が算出され、その算出結果は前記CPU48に入力される。
なお、ここでは、前記ステップS12において前記画像読取部2で読み取られた画像データに基づいて画像形成処理が実行される場合について説明するが、プリンター装置やファクシミリー装置などの画像形成装置において外部から入力される画像データに基づいて実行される画像形成処理についても同様である。
【0021】
(ステップS13〜S14)
ステップS13において、前記CPU48は、前記ステップS12で読み取られた原稿がモノクロ原稿又はカラー原稿のいずれであるかを自動判定するACS判定を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU48が原稿判定手段に相当する。なお、前記ACS判定の手法は従来周知の技術を用いればよい。例えば、記CPU48は、画像データに含まれるモノクロ画素やカラー画素の画素数をカウントした値やその割合などに応じて、原稿がカラー原稿又はモノクロ原稿のいずれであるかを判定することが考えられる。
そして、続くステップS14において、前記CPU48は、前記ACS判定の結果がカラー原稿であるか否かに応じて処理を分岐する。具体的に、前記ACS判定の結果がカラー原稿である場合には(S14のYes側)、カラー印刷を実行するため処理はステップS15に移行する。また、前記ACS判定の結果がカラー原稿でない場合(モノクロ原稿である場合)には(S14のNo側)、モノクロ印刷を実行するため処理はステップS141に移行する。但し、後述するように、前記ACS判定の結果がカラー原稿である場合であっても(S14のYes側)、前記カラートナーの消費量が前記上限値以上である場合には(S15のYes側)、カラー印刷の実行は制限される。
【0022】
(ステップS141)
ステップS141では、前記CPU48は、前記ステップS12で読み取られた画像データに基づくモノクロ印刷を前記画像形成部1に実行させる。このように、前記ステップS14においてカラー原稿ではないと判断された場合には、前記ACS判定(S13)による判定結果通り前記モノクロ印刷が実行される。
【0023】
(ステップS15)
一方、前記ACS判定の結果がカラー原稿である場合(S14のYes側)、続くステップS15において、前記CPU48は、前記トナーカウンター47で算出されたCMYのカラートナーの消費量の合計が予め設定された上限値以上であるか否かを判断する。前記上限値は、カラー印刷において消費されるカラートナーの上限量を定めるために予め設定された値である。そして、前記複写機Xでは、後述するように前記カラートナーの消費量が前記上限値以上となるカラー印刷が制限される。
具体的に、前記カウント値の合計が前記上限値以上であると判断されると(S15のYes側)、処理はステップS16に移行し、前記カウント値の合計が前記上限値以上でないと判断されると(S15のNo側)、処理はステップS151に移行する。
なお、前記トナーカウンター47により算出されるカラートナーの消費量が一度の複写処理ごとにリセットされることも他の実施例として考えられる。例えば、一度に10枚の原稿を前記ADF3にセットして複写処理を実行する場合、前記ステップS15において、その10枚の原稿各々について算出されたカラートナーの消費量の累積値が予め定められた上限値以上であるか否かを判断することが考えられる。また、このとき前記CPU48が、複写対象となる原稿の枚数が多いほど前記上限値が高くなり原稿の枚数が少ないほど前記上限値が低くなるように前記上限値を変更することも考えられる。その他、前記CPU48が、例えば1日ごと、1月ごと、ユーザごと、部門ごとに前記カラートナーの消費量の累積値を算出し、その累積値が前記上限値以上に達したか否かを判断することも考えられる。
【0024】
(ステップS151)
ステップS151において、前記CPU48は、前記ステップS12で読み取られた画像データに基づくカラー印刷を前記画像形成部1で実行させる。このように、前記ステップS15において前記カラートナーの消費量が前記上限値以上でないと判断された場合には、前記カラートナーの過剰に消費されないため、前記ACS判定(S13)による判定結果通り前記カラー印刷が実行される。
【0025】
(ステップS16)
一方、前記ステップS15において前記カラートナーの消費量が前記上限値以上であると判断された場合には、前記カラートナーの過剰に消費されるおそれがある。そのため、続くステップS16において、前記CPU48は、前記ステップS12で読み取られた画像データに基づくカラー印刷を制限するための印刷制限処理を実行する。ここに、係る印刷制限処理を実行するときの前記CPU48が印刷制限手段に相当する。
具体的に、前記印刷制限処理では、前記画像データに基づくカラー印刷を禁止することが考えられる。また、前記CPU48が、前記画像データに基づくカラー印刷を禁止した上で、前記モノクロ印刷又は前記2色印刷のいずれかを自動的に実行することも考えられる。この場合、前記CPU48は、前記画像データをカラー画像からモノクロ画像又は2色画像に変換し、その変換後の画像データに基づく印刷処理を前記画像形成部1に実行させる。
さらに、前記印刷制限処理の他の例として、前記CPU48が、不図示の操作表示部に前記画像データのプレビュー画面を表示させると共に、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、及び前記2色印刷の3つを選択候補として表示させることが考えられる。そして、前記CPU48は、その表示に従ったユーザによる前記操作表示部(不図示)への操作入力により選択された前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、又は前記2色印刷を前記画像形成部1に実行させることが考えられる。なお、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、前記2色印刷のいずれか2つが選択候補として表示されてもよい。また、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、前記2色印刷のいずれか1つのみを選択候補として表示させること、即ち予め設定された印刷種別による印刷の実行をユーザに承認させることも他の実施例として考えられる。
【0026】
(ステップS17)
その後、前記ステップS17において、前記CPU48は、前記ステップS1で要求された複写処理について全ての原稿の画像読取処理が終了したと判断すると(S17のYes側)、当該一連の複写処理を終了して前記ステップS11に処理を戻す。
一方、前記CPU48は、全ての原稿についての画像読取処理が終了していないと判断すると(S17のNo側)、処理を前記ステップS12に移行させ、次の原稿について同様の処理を実行する。これにより、複数の原稿についての複写処理が要求され、その複数の原稿に対応する複数の画像データが入力された場合であって、その複数の画像データの中にカラートナーの消費量が前記上限値以上となる画像データが複数存在する場合には、その複数の画像データ各々についてカラー印刷の実行が制限される(S16)。
【0027】
以上、説明したように、前記複写機Xでは、前記ガンマ補正処理451でガンマ補正が施される前の画像データに基づいて、前記トナーカウンター47によりカラートナーの消費量が算出される。即ち、前記ガンマ補正処理部451による補正内容(ガンマ補正曲線など)が変化する場合であっても、入力された画像データが同じであれば、前記トナーカウンター47により算出されるカラートナーの消費量は常に一定になる。従って、実際のカラートナーの消費量を正確に算出することができるため、その消費量に応じてカラー印刷を制限することにより、カラートナーの消費量を高い精度で前記上限値以下に制限することができる。なお、カラートナーの消費量が前記上限値未満である場合には前記ACS判定結果の通りカラー印刷が実行されるため、カラー画像の少ないカラー原稿についてのカラー印刷が無駄に制限されることもない。
【0028】
<画像形成処理の他の例>
ところで、前記複写機Xにおいて、前記画像読取部2で複数枚の原稿が連続して読み取られる場合には、前記CPU48が、その複数枚の原稿の画像データを全て読み取った後に、カラートナーの消費量が多い画像データ各々についての印刷種別(モノクロ印刷、カラー印刷、2色印刷など)を個別に設定することが考えられる。以下、図4を参照しつつ係る構成について説明する。
ここに、図4は、前記複写機Xで実行される画像形成処理の手順の他の例を説明するためのフローチャートである。なお、図3に示した画像形成処理と同様の処理手順については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、前記ステップS14でカラー原稿ではないと判断された場合(S14のNo側)、続くステップS142では、前記CPU48は、その原稿の画像データの印刷種別としてモノクロ印刷を設定する。
一方、前記ステップS15でカラートナーの消費量が前記上限値以上ではないと判断された場合(S15のNo側)、続くステップS152では、前記CPU48は、その原稿の画像データの印刷種別としてカラー印刷を設定する。
これらに対し、前記ステップS14でカラー原稿であると判断され(S14のYes側)、前記ステップS15でカラートナーの消費量が前記上限値以上であると判断された場合(S15のYes側)、処理はステップS16に移行する。そして、ステップS161では、前記CPU48は、その原稿の画像データの印刷種別(モノクロ印刷、カラー印刷、2色印刷など)の設定を保留する。
【0030】
そして、全原稿についての画像読取処理が終了すると(S17のYes側)、処理はステップS18に移行する。ステップS18において、前記CPU48は、前記ステップS161で印刷種別が保留された画像データ各々を前記操作表示部(不図示)に一覧表示(サムネイル表示)させると共に、その画像データの印刷種別の選択候補としてカラー印刷、モノクロ印刷、2色印刷を表示させる。そして、前記CPU48は、その表示に従ったユーザによる前記操作表示部(不図示)への操作入力に応じてその画像データ各々の印刷種別を個別に設定する。
その後、ステップS19において、前記CPU48は、前記画像データ各々の印刷処理を、前記ステップS142、S152、S161のいずれかにより前記画像データごとに設定された印刷種別(カラー印刷、モノクロ印刷、又は2色印刷)で前記画像形成部1に実行させる。
このような構成によれば、ユーザは、前記操作表示部(不図示)に表示された画像データの一覧を参照しながら、該画像データ各々についてカラー印刷、モノクロ印刷、2色印刷のいずれで印刷を実行するかを任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 :画像形成部(画像形成手段に相当)
10:光走査装置
11:画像形成ユニット
12:中間転写ベルト
13:二次転写装置
14:給紙装置
15:定着装置
16:排紙部
2 :画像読取部(画像読取手段に相当)
21:コンタクトガラス
22:読取位置
23:読取ユニット
24:LED光源
25〜27:ミラー
28:光学レンズ
29:CCD
3 :ADF
31:原稿セット部
32:搬送ローラー
33:原稿押さえ
34:排紙部
4 :制御部
41:CDS
42:AGC
43:ADC
44:DSP
45:ASIC
46:画像メモリー
47:トナーカウンター
48:CPU
49:ROM
50:RAM
X :複写機(画像形成装置の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データを補正する画像データ補正手段と、
前記画像データ補正手段による補正後の前記画像データに基づいて黒色現像剤により画像を形成するモノクロ印刷又は前記画像データに基づいてカラー現像剤により画像を形成するカラー印刷を実行する画像形成手段と、
前記画像形成手段によるカラー印刷時のカラー現像剤の消費量を前記画像データ補正手段による補正前の前記画像データに基づいて算出する消費量算出手段と、
前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が予め設定された上限値以上である場合に、前記カラー印刷の実行を制限する印刷制限手段と、
を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像データ補正手段は、同じ画像データが入力された場合に前記画像形成手段による印字濃度が常に一定となるように前記画像データを補正するものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷制限手段は、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である場合に、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、及び2色の現像剤を用いて画像形成を行う2色印刷のうち一つ又は複数を選択候補として表示させ、前記表示に従った操作入力により選択された前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、又は前記2色印刷により前記画像データの印刷を前記画像形成手段に実行させるものである請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷制限手段は、複数の原稿に対応する複数の画像データが入力され、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である画像データが複数存在する場合、その画像データ各々を表示させると共に、前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、及び前記2色印刷のうち一つ又は複数を選択候補として表示させ、前記表示に従った操作入力により前記画像データごとに選択された前記モノクロ印刷、前記カラー印刷、又は前記2色印刷により前記画像データ各々の印刷を前記画像形成手段に実行させるものである請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷制限手段は、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である場合に、前記カラー印刷の実行を禁止するものである請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷制限手段は、前記消費量算出手段により算出された前記カラー現像剤の消費量が前記上限値以上である場合に、前記モノクロ印刷又は2色の現像剤を用いて画像形成を行う2色印刷を実行するものである請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段により読み取られた原稿がモノクロ原稿又はカラー原稿のいずれであるかを自動判定する原稿判定手段と、を更に備えてなり、
前記画像形成手段が、前記原稿判定手段による判定結果に応じて前記モノクロ印刷又は前記カラー印刷を実行するものである請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像データ補正手段は、ガンマ補正情報に基づいて前記画像データのガンマ補正を行うものである請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−105106(P2013−105106A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250040(P2011−250040)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】