説明

発光装置の製造方法

【課題】発光装置を製造するときに生じ得る静電気に起因した素子の損傷を低減することのできる発光装置の製造方法について提供することを課題とする。また、静電気に起因した素子の損傷による不良が低減された発光装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を駆動するためのプレーナ型のトランジスタを作製する工程を有する。そして、トランジスタを作製する工程において、活性層として機能する半導体層を形成するときに、行方向及び列方向に延びた格子状の第1の半導体層を基板上に形成すると共に、前記第1の半導体層の間に、島状に分離した第2の半導体層を複数形成することを特徴としている。ここで、第2の半導体層は、トランジスタの活性層として機能する層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型基板を用いて製造する発光装置およびその発光装置の製造方法に関する

【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス素子(発光素子)からの発光を利用した発光装置は、高視野
角、低消費電力の表示用装置として注目されている装置であり、近年、発光装置の量産化
を目的とした開発が進められている。
【0003】
発光装置の量産化における課題のひとつに、大型基板を用いた発光装置の製造技術の開
発がある。大型基板を用いることによって、大型テレビ受像機等の生産が可能になる他、
携帯電話機等の小型の電子機器に実装される小型の発光装置を一基板で大量に生産するこ
とが可能になる。
【0004】
しかし、大型基板を用いた発光装置の製造には、大型の処理装置を用いて基板を処理す
る必要があり、その為、基板全面に対し均一な条件で処理することが困難である。ところ
が、例えばガラスのような帯電しやすい材料から成る基板を用いる場合、基板全面に対し
て均一な条件で処理しないと、プラズマ処理を行ったときに基板の一部に電荷が溜まり易
い。溜まった電荷が作製中の素子を介して移動すると、移動経路となった部分に大電流が
流れ、結果として素子の損傷が生じることがある。
【0005】
以上のような静電気に起因した損傷を低減するために、例えば、表示部へ信号を送るた
めの入力端子を導電膜によって接続して成るショートリングを設ける等の工夫がされてい
る。また、特許文献1では、静電気に起因した損傷を低減するために、配線層の膜からな
る静電気吸収パターンや静電容量を設ける方法が提案されている。
【0006】
しかし、ショートリングを用いる場合、ショートリングが形成される迄の工程において
生じ得る静電気による素子の損傷を抑制することが困難である。また、特許文献1に開示
されている方法では素子作製後不要となる部分が生じ、基板面を有効に活用することがで
きない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−75246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、発光装置を製造するときに生じ得る静電気に起因した素子の損傷を低減する
ことのできる発光装置の製造方法について提供することを課題とする。また、静電気に起
因した素子の損傷による不良が低減された発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を駆動するためのプレーナ型のトランジスタ
、特にトップゲート型のトランジスタを作製する工程を有する。そして、トランジスタを
作製する工程において、活性層として機能する半導体層を形成するときに、行方向及び列
方向に延びた格子状の第1の半導体層を基板上に形成すると共に、前記第1の半導体層の
間に、島状に分離した第2の半導体層を複数形成することを特徴としている。ここで、第
2の半導体層は、トランジスタの活性層として機能する層である。
【0010】
本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を駆動するためのトランジスタを作製する工
程を有する。ここで、トランジスタは、半導体層と、絶縁層と、導電層とが順に積層して
成る。そして、トランジスタを作製する工程において、活性層として機能する半導体層を
形成するときに、行方向及び列方向に延びた格子状の第1の半導体層を基板上に形成する
と共に、前記第1の半導体層の間に、島状に分離した第2の半導体層を複数形成すること
を特徴としている。ここで、第2の半導体層は、トランジスタの活性層として機能する層
である。
【0011】
本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を駆動するためのプレーナ型のトランジスタ
、特にトップゲート型のトランジスタを作製する工程を有する。そして、トランジスタを
作製する工程において、活性層として機能する半導体層を形成するときに、島状に分離し
た複数の第1の半導体層から成る群を一基板上に複数形成すると共に、前記群のそれぞれ
を囲むように行方向及び列方向に延びた格子状の第2の半導体層を形成することを特徴と
している。ここで、第1の半導体層は、トランジスタの活性層として機能する層である。
【0012】
本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を駆動するためのトランジスタを作製する工
程を有する。ここで、トランジスタは、半導体層と、絶縁層と、導電層とが順に積層して
成る。そして、トランジスタを作製する工程において、活性層として機能する半導体層を
形成するときに、島状に分離した複数の第1の半導体層から成る群を一基板上に複数作製
すると共に、前記群のそれぞれを囲むように行方向及び列方向に延びた格子状の第2の半
導体層を形成することを特徴としている。ここで、第2の半導体層は、トランジスタの活
性層として機能する層である。
【0013】
以上に示した本発明の発光装置の製造方法において、トップゲート型のトランジスタと
はトランジスタの活性層を形成した後にゲート電極が形成されるように作製されたトラン
ジスタをいう。また、以上に示した本発明の発光装置の製造方法において、前記第1の半
導体層に不純物を添加する工程をさらに含んでいてもよい。なお、n型またはp型のいず
れか一または両方を添加してもよい。
【0014】
本発明の発光装置は、発光素子とトランジスタとを含んで成る素子群を有する第1の基
板と、前記素子群を封じ込めるように、シール材によって前記第1の基板と貼り合わせら
れた第2の基板とを有する。前記第1の基板において、前記素子群は、開口部を有する絶
縁層によって覆われ、前記開口部は、前記素子群を囲む半導体層の上方に設けられ、前記
シール材は前記開口部を埋めるように設けられていることを特徴としている。
【0015】
本発明の発光装置は、発光素子とトランジスタとを含んで成る素子群を有する第1の基
板と、前記素子群を封じ込めるように、シール材によって前記第1の基板と貼り合わせら
れた第2の基板とを有する。前記第1の基板において、前記素子群は、前記素子群を囲む
半導体層の上方に、前記半導体層と重畳する導電層が露出するように設けられた開口部を
有する絶縁層によって覆われ、前記シール材は前記開口部を埋めるように設けられている
ことを特徴としている。
【0016】
本発明の発光装置は、発光素子とトランジスタとを含んで成る素子群を有する第1の基
板と、前記素子群を封じ込めるように、シール材によって前記第1の基板と貼り合わせら
れた第2の基板とを有する。前記第1の基板において、前記素子群は、半導体層に囲まれ
ると共に、絶縁層によって覆われ、前記絶縁層の端部から、前記半導体層と重畳する導電
層が露出し、前記シール材は前記導電層と前記絶縁層の端部とを覆うように設けられてい
ることを特徴としている。
【0017】
以上に示した本発明の発光装置において、前記半導体層にはn型またはp型のいずれか
一または両方の不純物が添加されていることが好ましい。また、前記絶縁層は、表面が平
坦な層、例えばアクリル、シロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構
造が構成され、有機基に少なくとも水素を含む物質)またはポリイミド等の自己平坦性を
有する物質からなる層、または酸化珪素等から成る層を形成後CMP(Chemical and Mec
hanical Polishing)法等によって平坦化して形成した層であることが好ましい。また、
前記シール材は、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロム
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂
、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ
樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性
エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等の透湿性の低い物質を含むものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、静電気に起因した不良を低減し、さらに基板面を有効に活用できるよ
うな発光装置の製造技術を得ることができる。また、本発明によって、静電気に起因した
不良が低減された良品の発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の発光装置の製造方法について説明するための上面図。
【図2】本発明の発光装置の製造方法について説明するための断面図。
【図3】本発明の発光装置の製造方法について説明するための断面図。
【図4】本発明の発光装置の製造方法について説明するための断面図。
【図5】本発明の発光装置の製造方法について説明するための断面図。
【図6】本発明の発光装置に含まれる画素を動作するための回路図。
【図7】本発明の発光装置の画素部の上面図。
【図8】本発明の発光装置の画素部の上面図。
【図9】本発明の発光装置の上面図。
【図10】本発明を適用した電子機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施する
ことが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から 逸脱することなくその形態及び詳細
を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本形態の記載内容
に限定して解釈されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態では、一つの基板上に複数の発光装置をまとめて作製した後、当該基板を
切り分け(つまり分断し、)、個々の発光装置とする発光装置の作製方法について説明す
る。
【0022】
図1(A)は、本発明の発光装置について説明するための上面図、図2、3は、本発明
の発光装置の作製方法について説明するための断面図である。図2(A)は、図1(A)
における破線A−A’における断面図である。
【0023】
先ず、図1(A)に示すように、基板101上に、行方向及び列方向に延びた格子状の
第1の半導体層102を形成する。第1の半導体層102が形成すると共に、第1の半導
体層102に囲まれた領域130内には、図2(A)に示すように島状に分離した第2の
半導体層103が複数形成する。ここで、第2の半導体層103は、トランジスタを作製
するために形成される層である。そして、後述の工程を経ることにより、第1の半導体層
102に囲まれた領域130を一単位とした発光装置が基板201上に複数形成される。
なお、本形態では、領域130内に画素部131、駆動回路部132a、132b等を作
製するため、図2、3の断面図では、各々の部分について模式的に表している。
【0024】
ここで、基板101について特に限定はないが、ガラスや石英等から成る基板を用いる
ことができる。また、基板101上には、基板101を覆う絶縁層104が形成されてい
てもよい。絶縁層104は単層または複数の層のいずれから成るものであってもよい。な
お、絶縁層104に窒化珪素(数%の酸素を含んでいてもよい)から成る層を含むことに
より、基板101から後の工程で作製するトランジスタへの不純物の拡散を阻止すること
ができる。
【0025】
また、第1の半導体層102及び第2の半導体層103は、基板101を覆う半導体層
を形成した後、当該半導体層をエッチングによって加工して形成すればよい。ここで、半
導体層について特に限定はなく、珪素等を用いて形成することができる。また半導体層の
結晶性についても特に限定はなく、結晶質成分を含む半導体層を用いることができる。
【0026】
次に、第1の半導体層102及び第2の半導体層103を覆う絶縁層105を形成する
。なお絶縁層105は単層又は複数の層のいずれから成るものであってもよく、例えば酸
化珪素、または窒化珪素を用いて形成することができる。
【0027】
なお、絶縁層105の形成前または形成後に、トランジスタの閾値を調節するために、
第2の半導体層103にn型又はp型の不純物の添加をしてもよい。n型不純物としては
、例えば燐等を用いることができ、p型不純物としては、例えばボロン等を用いることが
できる。また、第2の半導体層103に不純物を添加するとき、第1の半導体層102に
も不純物を添加してもよい。
【0028】
次に、絶縁層105上であって、第2の半導体層103と絶縁層105とが重畳する部
分の上方に、ゲート電極として機能する導電層106を形成する。導電層106は、先ず
絶縁層105を覆うように導電層を形成した後、当該導電層をエッチングによって加工し
、形成すればよい。このとき、基板101は、第1の半導体層102が形成されているこ
とによって基板全体がほぼ等電位に保たれている。従って、ドライエッチング等のプラズ
マ励起を利用したエッチング方法を用いたときでも、基板内での電位の偏りが生じにくく
、静電気に起因した素子の破壊が生じにくい。ここで、導電層106は単層又は複数の層
のいずれから成るものであってもよく、例えば、絶縁層105と密着性のよい導電層を絶
縁層105と接するように設け、その導電層上に抵抗の低い導電層が積層されたようなも
のであってもよい。導電層106の形状についても特に限定はなく、例えば側壁に傾斜を
有する形状であってもよい。
【0029】
次に、導電層106をマスクとして、第2の半導体層103に不純物を添加する。ここ
で、n型のトランジスタを作製するときは燐等のn型を付与する不純物を添加すればよく
、p型のトランジスタを作製するときは、ボロン等のp型を付与する不純物を添加すれば
よい。また、n型の不純物を添加するとき、p型のトランジスタの構成要素となる半導体
層については、レジスト等のマスクを用いて不純物が添加されないように保護すればよい
。p型の不純物を添加するときも、n型のトランジスタの構成要素となる半導体層につい
ては、レジスト等のマスクを用いて不純物が添加されないように保護すればよい。また、
例えば、レジスト等のマスクを用いずに基板101上の半導体層全てにn型不純物を添加
した後、n型を打ち消してp型を付与できるように添加量を調節して、p型のトランジス
タの構成要素である半導体層に対してp型の不純物を添加してもよい。
【0030】
ここで、不純物の添加法について特に限定はなく、例えばドーピング法等を用いること
ができる。また、第2の半導体層103に不純物を添加すると共に、第1の半導体層10
2にも不純物を添加しても構わない。第1の半導体層102にも不純物を添加することに
よって、基板101の全面を等電位となるように保つ効果がより高まる。
【0031】
以上のような工程によって、半導体層と絶縁層と導電層とが積層して成るトランジスタ
121a、121b、121c、121dを作製することができる。ここで、トランジス
タ121a、121bは、画素部131に含まれ、発光素子と接続している。また、トラ
ンジスタ121cは駆動回路部132aに含まれ、トランジスタ121dは駆動回路部1
32bに含まれる。また、画素部131、駆動回路部132a、132bにはそれぞれ、
トランジスタ121a、121b、121c、121d以外のトランジスタが含まれてい
てもよい。なお、トランジスタ121a、121b、121c、121dの構造について
特に限定はなく、シングルドレイン構造またはLDD構造、またはLDDとゲート電極と
して機能する導電層とがオーバーラップしたLDD構造等、いずれの構造のものであって
もよい。また、第1の半導体層102が設けられた状態で作製するのであれば、トランジ
スタ121a、121b、121c、121dを作製する工程について特に限定はなく、
所望の構造のトランジスタ121a、121b、121c、121dが形成できるように
、適宜工程を決めればよい。また、発光装置に設けられる全てのトランジスタを同じ構造
で作製する必要はなく、トランジスタの用途によって適宜作り分ければよい。
【0032】
次に、導電層106等を覆う絶縁層107を形成する。絶縁層107は単層又は複数の
層のいずれから成るものであってもよい。本形態では、絶縁層107は絶縁層107aと
絶縁層107bの二層から成る。まず、絶縁層107aを形成した後、熱処理をし、さら
に絶縁層107aを覆う絶縁層107bを形成する。絶縁層107aについて特に限定は
ないが、350℃以上の耐熱性を有するような物質、例えば酸化珪素、窒化珪素、数%の
酸素を含む窒化珪素、または数%の窒素を含む酸化珪素等の無機物から成ることが好まし
い。また、絶縁層107bについて特に限定はないが、表面が平坦な層、例えばアクリル
、シロキサンまたはポリイミド等の自己平坦性を有する物質からなる層、または酸化珪素
等から成る層を形成後CMP(Chemical and Mechanical Polishing)法等によって平坦
化して形成した層であることが好ましい。なお、熱処理の処理条件について特に限定はな
いが、350〜600℃の温度下で、窒素または水素等のガスが充填された雰囲気で行う
ことが好ましい。また、熱処理の工程部位についても特に限定はなく、本形態のように一
層目の絶縁層107aの形成後でもよいし、または二層目の絶縁層107bの形成後、ま
たは絶縁層107aの形成後及び絶縁層107bの形成後でもよい。
【0033】
次に、絶縁層107を貫通して第2の半導体層に至るコンタクトホールを形成する。コ
ンタクトホールは、絶縁層107をエッチングして形成すればよい。このとき、エッチン
グとしては、ドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれの方法を用いてもよい
し、両方を組み合わせて用いてもよい。例えば、絶縁層107bをドライエッチングして
開孔した後、絶縁層107aをウェットエッチングして開孔し、コンタクトホールを形成
してもよい。また、絶縁層107a、107bのいずれもドライエッチングによって開孔
してもよい。
【0034】
なお、コンタクトホールの形成時、基板101は、第1の半導体層102が形成されて
いることによって基板全体がほぼ等電位に保たれている。従って、ドライエッチング等の
プラズマ励起を利用したエッチング方法を用いてコンタクトホールを開孔するときでも、
基板内での電位の偏りが生じにくく、静電気に起因した素子の破壊が生じにくい。
【0035】
次に、配線108、109等を形成する。配線108、109は、導電層を形成した後
、当該導電層をエッチングによって加工し、形成すればよい。なお、導電層について特に
限定はなく、単層または複数の層のいずれから成るものでもよい。但し、アルミニウムの
ような低抵抗な物質から成る層を含むように形成することが好ましい。なお、配線108
,109を窒化チタン等から成る層によってアルミニウムから成る層を挟むような積層構
造にすると、第2の半導体層103と接する部分において第2の半導体層103とアルミ
ニウムから成る層とが接触することを防止でき、また後の工程において発光素子の電極を
形成するために酸性の溶液を用いるときにアルミニウムから成る層が腐食されるのを防止
できる。本形態のように、配線108と第1の半導体層102とは重畳し、さらに配線1
08と第1の半導体層102とが接しているとき、配線108をエッチングする工程にお
いて、第1の半導体層102もエッチングすればよい。なお、配線108は発光素子に電
流を供給するための配線である。本形態のように、第1の半導体層102の上方は、配線
109を引き回すための領域として有効に活用することができる。なお、配線108と第
1の半導体層102とは必ずしも本形態のように接している必要はなく、間に絶縁層を挟
んでいてもよい。また、配線108は、第1の半導体層102に囲まれた領域130内に
おいて、各トランジスタに信号を伝達するための配線である。配線108は、先に形成し
たコンタクトホールを通って、第2の半導体層103に接続している。
【0036】
また、絶縁層107が透湿性の高い物質で形成されているときは、配線108,109
を形成すると共に、絶縁層107の側壁を覆う導電層を設けることが好ましい。これによ
って、絶縁層107を通って発光装置外部から発光素子への水分混入を阻止することがで
きる。
【0037】
次に、発光素子の電極110を形成する。このとき、発光素子の電極110の一部が、
配線109の少なくとも一部と重畳するように形成することによって、発光素子の電極1
10と配線109とを電気的に接続することができる。発光素子の電極110について特
に限定はなく、例えば、可視光を透過できる導電物によって導電層を形成した後、当該導
電層をエッチングして加工し、形成することができる。また、可視光を透過できる導電物
について特に限定はないが、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含有するITO
、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合して成るIZO(Indiu
m Zinc Oxide)等を用いることができる。なお、エッチングはウェットエッ
チングまたはドライエッチングのいずれの方法を用いて行ってもよく、例えばITO等の
エッチングには弱酸性の溶液を用いことができる。また、可視光を透過できる導電物の他
、アルミニウム等を用いて形成することもできる。なお、アルミニウムにはリチウム(L
i)等のアルカリ金属またはマグネシウム等のアルカリ土類金属が含まれていてもよい。
【0038】
次に、開口部を有する隔壁層111を形成する。隔壁層111は、曲率半径が連続的に
変化する形状となるように形成することが好ましい。また、開口部からは発光素子の電極
110が露出するようにする。なお、隔壁層111を構成する物質について特に限定はな
く、例えば、アクリル、ポリイミド、シロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結
合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む有機物)、レジスト等を用いる
ことができる。ここで、アクリル、ポリイミド、レジストは、感光性を有するものであっ
てもよい。なお、隔壁層111は絶縁層107の側壁を必ずしも覆わなくてもよい。
【0039】
次に、発光素子の電極110を覆うように発光層112を形成する。発光層112につ
いて特に限定はなく、発光物質を含んで成る層であればよい。例えば、発光性が高くキャ
リア輸送性が高い物質から成る単層のものでもよいし、または発光性が高い物質とキャリ
ア輸送性が高い物質とを含む単層または複数の層から成るものであってもよい。発光層1
12を構成する物質についても特に限定はなく、有機物または無機物のいずれか一方若し
くは両方を用いることができる。
【0040】
次に、発光素子の電極113を形成する。発光素子の電極113について特に限定はな
く、アルミニウムまたは先に記載したような可視光を透過できる導電物を用いて形成する
ことができる。なお、アルミニウムにはリチウム(Li)やマグネシウム等のアルカリ金
属またはアルカリ土類金属が含まれていてもよい。
【0041】
なお、発光素子の電極110、113の少なくとも一方は可視光を透過できるように膜
厚、材料、積層構造等を調節することが好ましい。
【0042】
以上のような工程によって、発光素子の電極110と発光素子の電極113との間に発
光層112を挟んで成る発光素子114が作製される。
【0043】
発光素子114を作製した後、発光素子に水分等が混入するのを阻止するための保護層
115を設けてもよい。保護層115は、単層又は複数の層のいずれから成るものであっ
てもよく、窒化珪素等によって形成することができる。
【0044】
以上の工程を経ることによって、図1(B)に表されるように、画素部131、駆動回
路部132a、132b、133、画素部および駆動回路部の周辺に設けられた配線10
9、接続端子134等を含んで成る発光装置が、基板101上に複数作製される。画素部
131には、トランジスタと発光素子とを含んで成る画素が行方向及び列方向に複数配列
している。なお、図1(B)では、発光装置に含まれる構成要素(画素部131、駆動回
路部132a、132b、133、画素部および駆動回路部の周辺に設けられた配線10
8、接続端子134等)と、第1の半導体層102との位置関係を示すために、第1の半
導体層102についても図示している。また、図1(B)には、二つのトランジスタと発
光素子とを含んで成る一つの画素について示されているが、画素の構成は、これに限定さ
れるものではない。
【0045】
なお、以上のような発光装置の製造方法において、配線108、109形成後に生じ得
る静電気に起因した素子の損傷を低減するために、ショートリングを利用してもよい。
【0046】
次に、基板101を発光装置ごとに切り分ける(つまり分断する。)。このとき、切り
込みが入る部分の基板上には、層が積層されていないことが好ましく、特に導電層、有機
物から成る層等が積層されていないことが好ましい。
【0047】
次に、発光層が内側に閉じこめられるように、分断後の基板101と基板140とをシ
ール材141を用いて貼り合わせて封止する。このとき、絶縁層107を覆う配線108
をさらにシール材141が覆うようにすることが好ましい。また、シール材141は、例
えばビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂
、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール
型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシ
ジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂
等のエポキシ樹脂等の透湿性の低い物質を含むものであることが好ましい。これによって
、絶縁層107または隔壁層111が透湿性の高い物質で形成されているときに、絶縁層
107を介して発光素子に水分が拡散することを防止できる。なお、封止後の発光装置内
部、つまり基板101と基板140とシール材141とに囲まれた内部は、窒素等の不活
性気体、または透湿性の低い樹脂材料等で充填されていてもよいし、または真空になって
いてもよい。また、封止後の発光装置内部に吸湿性を有する物質を固定して当該内部に混
入した水分などを吸収できるようにし、発光素子が水分等によって劣化するのを防止して
もよい。吸湿性を有する物質について特に限定はないが、例えば酸化カルシウムを用いる
ことができる。また当該物質の固定法についても特に限定はなく、例えば基板140の一
部に凹部を設け、粒状の酸化カルシウムと固定剤とを含む組成物を当該凹部に注入した後
、当該組成物を固化することによって固定することができる。なお固定剤についても特に
限定はなく、例えばエステルアクリレート等を用いることができる。また、基板140に
ついて特に限定はなく、ガラスや石英、またはプラスチック等から成る基板を用いること
ができる。
【0048】
以上のようにして作製した発光装置は、トランジスタ121a、121b、121c、
121dの作製時から配線108、109を形成するに至るまでの間、基板101上に行
方向及び列方向に延びた格子状の第1の半導体層102を有し、基板101が等電位とな
るように保たれ状態で作製されている。従って、当該発光装置では、プラズマ励起を利用
した処理等で生じやすい静電気に起因した素子の損傷が低減される。なお、本発明は、大
型の基板、特に600mm×720mm以上である大型の基板を用いて一基板から複数の
発光装置を形成するときに非常に有効である。
【0049】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した製造方法と本発明の態様について、図4、
5を用いて説明する。
【0050】
先ず、基板201上に、実施の形態1で示した第1の半導体層102と同様にして、行
方向及び列方向に延びた格子状の第1の半導体層202を形成する。第1の半導体層20
2を形成すると共に、第1の半導体層202に囲まれた領域230内には、実施の形態1
で示した第2の半導体層103と同様にして、島状に分離した第2の半導体層203が複
数形成される。ここで、第2の半導体層203は、トランジスタを作製するために形成さ
れる層である。そして、後述の工程を経ることにより、第1の半導体層202に囲まれた
領域230を一単位とした発光装置が基板201上に複数形成される。なお、本形態では
、領域230内に画素部231、駆動回路部232a、232b等を作製するため、図4
、5の断面図では、各々の部分について模式的に表している。
【0051】
ここで、基板201について特に限定はなく、実施の形態1で示した基板101と同様
のものを用いることができる。また、基板201上には、基板201を覆う絶縁層204
が形成されていてもよい。絶縁層204についても、特に限定はなく、実施の形態1で示
した絶縁層104と同様のものを用いればよい。
【0052】
また、第1の半導体層202及び第2の半導体層203は、基板201を覆う半導体層
を形成した後、当該半導体層をエッチングによって加工し、形成すればよい。半導体層に
ついて特に限定はなく、珪素等を用いて形成することができる。また半導体層の結晶性に
ついても特に限定はなく、結晶質成分を含む半導体層を用いることができる。
【0053】
次に、第1の半導体層202及び第2の半導体層203を覆う絶縁層205を形成する
。絶縁層205について特に限定はなく、実施の形態1で示した絶縁層105と同様にし
て形成すればよい。
【0054】
なお、絶縁層205の形成前または形成後に、トランジスタの閾値を調節するために、
第2の半導体層203にn型又はp型の不純物の添加をしてもよい。n型不純物としては
、例えば燐等を用いることができ、p型不純物としては、例えばボロン等を用いることが
できる。また、第2の半導体層203に不純物を添加するとき、第1の半導体層202に
も不純物を添加してもよい。
【0055】
次に、絶縁層205上であって、第2の半導体層203と絶縁層205とが重畳する部
分の上方に、ゲート電極として機能する導電層206を形成する。導電層206は、先ず
絶縁層205を覆うように導電層を形成した後、当該導電層をエッチングによって加工し
、形成すればよい。このとき、基板201は、第1の半導体層202が形成されているこ
とによって基板面全体がほぼ等電位に保たれている。従って、ドライエッチング等のプラ
ズマ励起を利用したエッチング方法を用いたときでも、基板内での電位の偏りが生じにく
く、静電気に起因した素子の破壊が生じにくい。ここで、導電層206は単層又は複数の
層のいずれから成るものであってもよく、例えば、絶縁層205と密着性のよい導電層を
絶縁層205と接するように設け、その導電層上に抵抗の低い導電層が積層されたような
ものであってもよい。導電層206の形状についても特に限定はなく、例えば側壁に傾斜
を有する形状であってもよい。
【0056】
次に、導電層206をマスクとして、第2の半導体層203に不純物を添加する。ここ
で、n型のトランジスタを作製するときは燐等のn型を付与する不純物を添加すればよく
、p型のトランジスタを作製するときは、ボロン等のp型を付与する不純物を添加すれば
よい。また、n型の不純物を添加するとき、p型のトランジスタの構成要素となる半導体
層については、レジスト等のマスクを用いて不純物が添加されないように保護すればよい
。p型の不純物を添加するときも、n型のトランジスタの構成要素となる半導体層につい
ては、レジスト等のマスクを用いて不純物が添加されないように保護すればよい。また、
例えば、レジスト等のマスクを用いずに基板201上の半導体層全てにn型不純物を添加
した後、n型を打ち消してp型を付与できるように添加量を調節して、p型のトランジス
タの構成要素である半導体層に対してp型の不純物を添加してもよい。
【0057】
ここで、不純物の添加法について特に限定はなく、例えばドーピング法等を用いること
ができる。また、第2の半導体層203に不純物を添加すると共に、第1の半導体層20
2にも不純物を添加しても構わない。第1の半導体層202にも不純物を添加することに
よって、基板201を等電位となるように保つ効果がより高まる。
【0058】
以上のような工程によって、半導体層と絶縁層と導電層とが積層して成るトランジスタ
221a、221b、221c、221dを作製することができる。ここで、トランジス
タ221a、221bは、画素部231に含まれ、発光素子と接続している。また、トラ
ンジスタ221cは駆動回路部232aに含まれ、トランジスタ221dは駆動回路部2
32bに含まれる。また、画素部231、駆動回路部232a、232bにはそれぞれ、
トランジスタ221a、221b、221c、221d以外のトランジスタが含まれてい
てもよい。なお、トランジスタ221a、221b、221c、221dの構造について
特に限定はなく、シングルドレイン構造またはLDD構造、またはLDDとゲート電極と
して機能する導電層とがオーバーラップしたLDD構造等、いずれの構造のものであって
もよい。また、第1の半導体層202が設けられた状態で作製するのであれば、トランジ
スタ221a、221b、221c、221dを作製する工程について特に限定はなく、
所望の構造のトランジスタ221a、221b、221c、221dが形成できるように
、適宜工程を決めればよい。また、発光装置に設けられる全てのトランジスタを同じ構造
で作製する必要はなく、トランジスタの用途によって適宜作り分ければよい。
【0059】
次に、導電層206等を覆う絶縁層207を形成する。絶縁層207は単層又は複数の
層のいずれから成るものであってもよい。本形態では、絶縁層207は絶縁層207aと
絶縁層207bの二層から成るものを形成する。まず、絶縁層207aを形成した後、さ
らに絶縁層207aを覆う絶縁層207bを形成した後、熱処理する。絶縁層207a、
207bについて特に限定はないが、350℃以上の耐熱性を有するような物質、例えば
酸化珪素、窒化珪素、数%の酸素を含む窒化珪素、または数%の窒素を含む酸化珪素等の
無機物から成ることが好ましい。なお、熱処理の処理条件について特に限定はないが、3
50〜600℃の温度下で、窒素または水素等のガスが充填された雰囲気で行うことが好
ましい。また、熱処理の工程部位についても特に限定はなく、本形態のように一層目の絶
縁層207aの形成後でもよいし、または二層目の絶縁層207bの形成後、または絶縁
層207aの形成後及び絶縁層207bの形成後でもよい。
【0060】
次に、絶縁層207を貫通して第2の半導体層203に至るコンタクトホールを形成す
る。コンタクトホールは、絶縁層207をエッチングして形成すればよい。このとき、エ
ッチングとしては、ドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれの方法を用いて
もよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。例えば、絶縁層207bをウエットエッチ
ングして開孔した後、絶縁層207aをドライエッチングして開孔し、コンタクトホール
を形成してもよい。また、絶縁層207a、207bのいずれもドライエッチングによっ
て開孔してもよい。
【0061】
なお、コンタクトホールの形成時、基板201は、第1の半導体層202が形成されて
いることによって基板面全体がほぼ等電位に保たれている。従って、ドライエッチング等
のプラズマ励起を利用したエッチング方法を用いてコンタクトホールを開孔するときでも
、基板面内での電位の偏りが生じにくく、静電気に起因した素子の破壊が生じにくい。
【0062】
次に、配線208、209等を形成する。配線208、209は、導電層を形成した後
、当該導電層をエッチングによって加工し、形成すればよい。なお、導電層形成後に、熱
処理を行い、シンタリングしてもよい。導電層について特に限定はなく、単層または複数
の層のいずれから成るものでもよい。但し、アルミニウムのような低抵抗な物質から成る
層を含むように形成することが好ましい。なお、配線208,209を窒化チタン等から
成る層によってアルミニウムから成る層を挟むような積層構造にすると、第2の半導体層
203と接する部分において第2の半導体層203とアルミニウムから成る層とが接触す
ることを防止でき、また後の工程において発光素子の電極を形成するために酸性の溶液を
用いるときにアルミニウムから成る層が腐食されるのを防止できる。なお、配線208は
発光素子に電流を供給するための配線である。配線208と第1の半導体層202とは重
畳している。このように、第1の半導体層202の上方は配線208を引き回すための領
域として有効に活用することができる。なお、配線209は、第1の半導体層202に囲
まれた領域230内において、各トランジスタに信号を伝達するための配線である。配線
209は、先に形成したコンタクトホールを通って、第2の半導体層203に接続してい
る。
【0063】
次に、配線209を覆う絶縁層210を形成する。絶縁層210について特に限定はな
いが、表面が平坦な層、例えばアクリル、シロキサンまたはポリイミド等の自己平坦性を
有する物質からなる層、または酸化珪素等から成る層を形成後CMP(Chemical and Mec
hanical Polishing)法等によって平坦化して形成した層であることが好ましい。また、
絶縁層210がシロキサンから成る場合は、絶縁層210を焼成するための熱処理を行っ
てもよい。
【0064】
次に、絶縁層210を貫通して配線209に至るコンタクトホールを形成する。また、
コンタクトホールを形成すると共に、配線208の一部が露出するように開口部を形成す
る。コンタクトホール等は、絶縁層210をエッチングして形成すればよい。このとき、
エッチングとしては、ドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれの方法を用い
てもよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
なお、コンタクトホールの形成時、基板201は、第1の半導体層202が形成されて
いることによって基板全体がほぼ等電位に保たれる。従って、ドライエッチング等のプラ
ズマ励起を利用したエッチング方法を用いてコンタクトホールを開孔するときでも、基板
内での電位の偏りが生じにくく、静電気に起因した素子の破壊が生じにくい。
【0066】
次に、絶縁層210を貫通するコンタクトホールを通って配線209に至る発光素子の
電極211を形成する。発光素子の電極211について特に限定はなく、例えば、可視光
を透過できる導電物によって導電層を形成した後、当該導電層をエッチングして加工し、
形成することができる。また、可視光を透過できる導電物について特に限定はないが、イ
ンジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含有するITO、酸化インジウムに2〜20%
の酸化亜鉛(ZnO)を混合して成るIZO(Indium Zinc Oxide)等
を用いることができる。なお、エッチングはウェットエッチングまたはドライエッチング
のいずれの方法を用いて行ってもよく、例えばITO等のエッチングには弱酸性の溶液を
用いことができる。また、可視光を透過できる導電物の他、アルミニウム等を用いて形成
することもできる。なお、アルミニウムにはリチウム(Li)等のアルカリ金属またはマ
グネシウム等のアルカリ土類金属が含まれていてもよい。
【0067】
次に、開口部を有する隔壁層212を形成する。隔壁層212は、曲率半径が連続的に
変化する形状となるように形成することが好ましい。また、開口部からは発光素子の電極
211が露出するようにする。なお、隔壁層212を構成する物質について特に限定はな
く、例えば、アクリル、ポリイミド、シロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結
合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む物質)、レジスト等を用いるこ
とができる。ここで、アクリル、ポリイミド、レジストは、感光性を有するものであって
もよい。なお、図3(B)と同様に隔壁層212は、絶縁層210の側壁を覆っていても
よい。
【0068】
次に、発光素子の電極211を覆うように発光層213を形成する。発光層213につ
いて特に限定はなく、実施の形態1で示した発光層112と同様のものでよい。
【0069】
次に、発光素子の電極214を形成する。発光素子の電極214について特に限定はな
く、アルミニウムまたは先に記載したような可視光を透過できる導電物を用いて形成する
ことができる。なお、アルミニウムにはリチウム(Li)やマグネシウム等のアルカリ金
属またはアルカリ土類金属が含まれていてもよい。
【0070】
なお、発光素子の電極211、214の少なくとも一方は可視光を透過できるように膜
厚、材料、積層構造等を調節することが好ましい。
【0071】
以上のような工程によって、発光素子の電極211と発光素子の電極214との間に発
光層213を挟んで成る発光素子215が作製される。
【0072】
発光素子215を作製した後、発光素子に水分等が混入するのを阻止するための保護層
216を設けてもよい。保護層216は、単層又は複数の層のいずれから成るものであっ
てもよく、窒化珪素等によって形成することができる。
【0073】
以上の工程を経ることによって、画素部231、駆動回路部232a、232b、画素
部および駆動回路部の周辺に設けられた配線208、接続端子等を含んで成る発光装置が
、基板201上に複数作製される。画素部231には、トランジスタと発光素子とを含ん
で成る画素が行方向及び列方向に複数配列している。なお、発光装置に含まれる構成要素
(画素部231、駆動回路部232a、232b、画素部および駆動回路部の周辺に設け
られた配線208、接続端子等)と、第1の半導体層202との位置関係は、実施の形態
1において図1(B)に示したものと同様である。但し、発光装置の構成は、図1(B)
に示したものには限定されない。
【0074】
次に、基板201を発光装置ごとに切り分ける(つまり分断する。)。このとき、基板
上の分断部には、層が積層されていないことが好ましく、特に導電層、有機物から成る層
等が積層されていないことが好ましい。
【0075】
次に、発光層が内側に閉じこめられるように、分断後の基板201と基板240とをシ
ール材241を用いて貼り合わせて封止する。このとき、絶縁層210に形成された開口
部がシール材241によって埋め込まれるようにすることが好ましい。また、シール材2
41は、例えばビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエ
ポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、
クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹
脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エ
ポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等の透湿性の低い物質を含むものであることが好ましい。こ
れによって、絶縁層210または隔壁層212が透湿性の高い物質で形成されているとき
に、絶縁層210を介して発光素子215へ水分が拡散することを防止できる。なお、封
止後の発光装置内部、つまり基板201と基板240とシール材241とに囲まれた内部
は、窒素等の不活性気体、または透湿性の低い樹脂材料等で充填されていてもよいし、ま
たは真空になっていてもよい。また、封止後の発光装置内部に吸湿性を有する物質を固定
して当該内部に混入した水分などを吸収できるようにし、発光素子が水分等によって劣化
するのを防止してもよい。吸湿性を有する物質について特に限定はないが、例えば酸化カ
ルシウムを用いることができる。また当該物質の固定法についても特に限定はなく、例え
ば基板240の一部に凹部を設け、粒状の酸化カルシウムと固定剤とを含む組成物を当該
凹部に注入した後、当該組成物を固化することによって固定することができる。なお固定
剤についても特に限定はなく、例えばエステルアクリレート等を用いることができる。ま
た、基板240について特に限定はなく、ガラスや石英、またはプラスチック等から成る
基板を用いることができる。
【0076】
以上のようにして作製した発光装置は、発光装置を製造する間、基板201上に行方向
及び列方向に延びた格子状の第1の半導体層202を有し、基板201が等電位となるよ
うに保たれ状態で作製されている。従って、当該発光装置では、プラズマ励起を利用した
処理等で生じやすい静電気に起因した素子の損傷が低減される。なお、本発明は、大型の
基板、特に600mm×720mm以上である大型の基板を用いて一基板から複数の発光
装置を形成するときに非常に有効である。
【0077】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1、2に示したような本発明を適用して製造した発光装
置について説明する。
【0078】
本形態では、本発明を適用した発光装置の態様について説明する。但し、本発明の発光
装置の構造および発光装置を構成する物質等は、本形態に示すものに限定されない。
【0079】
図3(c)または図5(C)で表されるような発光装置において、発光素子114の構
成要素である発光層112、および発光素子215の構成要素である発光層213は、複
数の層から成る。複数の層は、キャリア輸送性の高い物質とキャリア注入性の高い物質と
から選ばれた物質から成る層を組み合わせて構成されたものであり、一部に発光性の高い
物質を含むものである。発光層112を構成する物質は無機物でも有機物でも構わない。
また、有機物の場合、低分子でも高分子でも構わない。
【0080】
ここで、発光物質としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,
7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル] −4H−ピラン(略称:DC
JT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テト
ラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル ]−4H−ピラン(略称:DCJTB)、ペ
リフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テ
トラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリド
ン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アル
ミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセ
ン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を
用いることができる。また、この他の物質でもよい。
【0081】
なお、以上のような一重項励起発光物質の他、金属錯体などを含む三重項励起物質を用
いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素
のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光物質で形成し、
他を一重項励起発光物質で形成する。三重項励起発光物質は発光効率が良いので、同じ輝
度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した
場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低
消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光物質で
形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光物質で形成しても良い。人間の視感度が高
い緑色の発光素子も三重項励起発光物質で形成することで、より低消費電力化を図ること
ができる。
【0082】
三重項励起発光物質の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、
第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金
属錯体などが知られている。三重項励起発光物質としては、これらの化合物に限られるこ
とはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化
合物を用いることも可能である。
【0083】
キャリア輸送性の高い物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス
(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キ
ノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−
4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベ
ンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては
、例えば4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル
(略称:α−NPD)や4,4'−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−
アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル
−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4',4''−トリス[N−
(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTD
ATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙
げられる。また、キャリア注入性の高い物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては
、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2
)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、
Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金
属との混合物であってもよい。また、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデ
ン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、
タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられ
る。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)
等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。また、正孔注入性が高く正孔輸送性も高い
物質であるポリスチレンスルフォン酸(PSS)とポリエチレンジオキシチオフェン(P
EDOT)とを混合した高分子材料等を用いてもよい。
【0084】
なお、高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高
い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。
【0085】
また、第2の半導体層103または第2の半導体層203として用いることのできる結
晶質成分を含む半導体層の具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコ
ンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザ結晶化によって形成された
ものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成された
ものでもよい。また、レーザ結晶化と固相成長法とを組み合わせて形成されたものでもよ
い。この他、セミアモルファス半導体も、第2の半導体層203として用いることができ
る。
【0086】
なお、セミアモルファスな半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単
結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有
する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるもの
である。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。
L−Oフォノンに由来するラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトして
いる。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピー
クが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端するために水素またはハロゲン
を少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリス
タル半導体)とも言われている。珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形
成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHC
3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体をH2、又は、H2
とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い
。希釈率は2〜1000倍の範囲。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波
数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz。基板加熱温度は30
0℃以下でよく、好ましくは100〜250℃、膜中の不純物元素として、酸素、窒素、
炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm3以下とすることが望ましく、特
に、酸素濃度は5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3
下とする。なお、セミアモルファスなものを有する半導体を用いたTFT(薄膜トランジ
スタ)の移動度はおよそ1〜10m2/Vsecとなる。
【0087】
また、発光素子114、215は、発光素子の電極110、211が陽極として機能し
、発光素子の電極113、214が陰極として機能する構成であってもよいし、或いは発
光素子の電極110、211が陰極として機能し、発光素子の電極113、214が陽極
として機能する構成であってもよい。但し、前者の場合、発光素子と接続しているトラン
ジスタはPチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタはNチャネル型ト
ランジスタである。
【0088】
本発明の発光装置の画素部は、以上に述べたような発光素子114、215とそれを駆
動するためのトランジスタとが含まれる画素が複数、マトリクス状に配列して成る。なお
、発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成とし
ても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成す
る。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層
)を設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図
ることができる。フィルター(着色層)を設けることで、従来必要であるとされていた円
偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことが
できる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を一層低減
することができる。
【0089】
また、上記のように各色に対応した発光層を設けて、カラー表示を行う以外に、発光層
は単色、例えば白色の発光を呈する構成とすることもできる。白色発光材料を用いる場合
には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成と
してカラー表示を可能にすることができる。
【0090】
なお、 白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的にナイルレ
ッドをドープしたAlq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により
順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法により
発光層を形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、
ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT
/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1
,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチル
アミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドー
プしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
【0091】
発光層は上記のように多層から成るもの以外に単層で形成することもできる。この場合
、ポリビニルカルバゾール(PVK)に1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)
を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを分散し、4種類の色素(TPB、クマリ
ン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。
【0092】
本発明の発光装置の構成要素である発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する
。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、アクティブマトリクス方式で駆動するこ
とができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを
印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光
時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。
発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大
して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加す
る交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の信頼性を向
上させることができる。
【0093】
なお、以上に述べたような構成は、図3(C)または図5(C)に示したような本発明
の発光装置に限らず、その他の本発明の発光装置に適用しても構わない。
【0094】
(実施の形態4)
本実施例では、本発明の発光装置において発光素子を駆動するために画素部に設けられ
ている回路について説明する。但し、発光装置を駆動するための回路は、本実施例で示す
ものには限定されない。
【0095】
図6(A)に示すように、発光素子301には、各々の発光素子を駆動するための回路
が接続されている。当該回路は、それぞれ、映像信号によって発光素子301の発光・非
発光を決定する駆動用トランジスタ321と、前記映像信号の入力を制御するスイッチン
グ用トランジスタ322と、前記映像信号に関わらず発光素子301を非発光状態にする
消去用トランジスタ323とを有する。ここで、スイッチング用トランジスタ322のソ
ース(又はドレイン)はソース信号線331と接続し、駆動用トランジスタ321のソー
ス及び消去用トランジスタ323のソースはソース信号線331と並列するように延びた
電流供給線332と接続し、スイッチング用トランジスタ322のゲートは第1の走査線
333と接続し消去用トランジスタ323のゲートは、第1の走査線333と並列に延び
た第2の走査線334と接続している。また、駆動用トランジスタ321と発光素子30
1とは直列に接続している。
【0096】
発光素子301が発光するときの駆動方法について説明する。書き込み期間において第
1の走査線333が選択されると、第1の走査線333にゲートが接続されているスイッ
チング用トランジスタ322がオンになる。そして、ソース信号線331に入力された映
像信号が、スイッチング用トランジスタ322を介して駆動用トランジスタ321のゲー
トに入力さることによって電流供給線332から発光素子301へ電流が流れ発光する。
この時、発光素子301へ流れる電流の大きさによって発光の輝度が決まる。
【0097】
図9は、図6(A)に示すような回路を有する発光装置の画素部の上面図である。図9
に付した数値は、それぞれ図6(A)と同じものを表す。また、図9では、発光素子30
1の電極84を図示している。
【0098】
また、各々の発光素子に接続する回路の構成は、ここで述べたものに限定されず、例え
ば後述する図6(B)、または図6(C)等と同様の構成であっても構わない。
【0099】
次に、図6(B)で表される回路について説明する。図6(B)に示すように、発光素
子801には、各々の発光素子を駆動するための回路が接続されている。当該回路は、映
像信号によって発光素子801の発光・非発光を決定する駆動用トランジスタ821と、
前記映像信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ822と、前記映像信号に関
わらず発光素子801を非発光状態にする消去用トランジスタ823と、発光素子801
に供給される電流の大きさを制御するための電流制御用トランジスタ824とを有する。
ここで、スイッチング用トランジスタ822のソース(又はドレイン)はソース信号線8
31と接続し、駆動用トランジスタ821のソース及び消去用トランジスタ823のソー
スはソース信号線831と並列するように延びた電流供給線832と接続し、スイッチン
グ用トランジスタ822のゲートは第1の走査線833と接続し、消去用トランジスタ8
23のゲートは第1の走査線833と並列に延びた第2の走査線834と接続している。
また、駆動用トランジスタ821と発光素子801と間に電流制御用トランジスタ824
を挟み、直列に接続している。電流制御用トランジスタ824のゲートは、電源線835
に接続している。なお、電流制御用トランジスタ824は、電圧−電流(Vd−Id)特
性における飽和領域において電流が流れるように構成、制御されたものであり、これによ
って、電流制御用トランジスタ824に流れる電流値の大きさを決定することができる。
【0100】
発光素子801が発光するときの駆動方法について説明する。書き込み期間において第
1の走査線833が選択されると、第1の走査線833にゲートが接続されているスイッ
チング用トランジスタ822がオンになる。そして、ソース信号線831に入力された映
像信号が、スイッチング用トランジスタ822を介して駆動用トランジスタ821のゲー
トに入力される。さらに、駆動用トランジスタ821と、電源線835からの信号を受け
てオン状態になった電流制御用トランジスタ824とを介して電流供給線832から発光
素子801へ電流が流れ、発光に至る。このとき、発光素子801へ流れる電流の大きさ
は、電流制御用トランジスタ824によって決まる。
【0101】
図8は、図6(B)に示すような回路を有する発光装置の画素部の上面図である。図8
に付した数値は、それぞれ図6(B)と同じものを表す。また、図8では、発光素子80
1は図示しておらず、発光素子801の電極94を図示している。
【0102】
次に、図6(C)で表される回路について説明する。発光素子401には、各々の発光
素子を駆動するための回路が接続されている。当該回路は、それぞれ、映像信号によって
発光素子401の発光・非発光を決定する駆動用トランジスタ421と、前記映像信号の
入力を制御するスイッチング用トランジスタ422とを有する。ここで、スイッチング用
トランジスタ422のソース(又はドレイン)はソース信号線431と接続し、駆動用ト
ランジスタ421のソースはソース信号線431と並列するように延びた電流供給線43
2と接続し、スイッチング用トランジスタ422のゲートは走査線433と接続している
。また、駆動用トランジスタ421と発光素子401とは直列に接続している。
【0103】
発光素子401が発光するときの駆動方法について説明する。書き込み期間において走
査線433が選択されると、走査線433にゲートが接続されているスイッチング用トラ
ンジスタ422がオンになる。そして、ソース信号線431に入力された映像信号が、ス
イッチング用トランジスタ422を介して駆動用トランジスタ421のゲートに入力さる
ことによって電流供給線432から発光素子401へ電流が流れ発光する。この時、発光
素子401へ流れる電流の大きさによって発光の輝度が決まる。
【0104】
(実施の形態5)
図9は、本発明の発光装置の製造方法を適用して製造した発光装置を封止し、さらに外
部入力端子を装着したときの発光装置の上面図である。
【0105】
第1の基板1001と第2の基板1021とは、対向するように貼り合わせられており
、重畳している。第1の基板1001には画素部1011、第1の走査線を駆動するため
の駆動回路部1012、第2の走査線を駆動するための駆動回路部1013、ソース信号
線を駆動するための駆動回路部1014、接続配線群1015(点線で囲まれている。)
が設けられている。駆動回路部1012,1013、1014には、シフトレジスタやバ
ッファ、スイッチ等が設けられている。また接続配線群1015と外部入力端子であるF
PC(フレキシブルプリントサーキット)1031とは、異方導電性接着剤によって接続
している。また、画素部1011には、発光素子とそれを駆動するための回路とを含んで
成る画素が複数配列されている。FPC1031を介してコントローラから駆動回路部1
012,1013、1014、電流供給線1016等へビデオ信号、クロック信号、スタ
ート信号、リセット信号等の信号が送られる。そして、駆動回路部1012,1013、
1014、電流供給線1016から画素部に信号が送られる。
【0106】
なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部1011と同一基板上に設けられて
いる必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したも
の(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
【0107】
以上のような発光装置は、静電気に起因した不良を低減し、さらに基板面を有効に活用
できるような製造方法によって製造されたものである。つまり、一基板上により多くの発
光装置をまとめて製造されたものであり、低い製造コストで製造された発光装置である。
【0108】
図10に、本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施例を示す。図10は
、本発明を適用して作製した携帯電話機であり、本体5552には表示部5551と、音
声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5
553等によって構成されている。本発明の発光装置を表示部として組み込むことで、製
造工程中に生じる静電気に起因した表示不良が低減され、良好な画像を提供できる携帯電
話機を完成できる。また、携帯電話機の他、デジタル式の写真機、カーナビゲーション装
置または表示装置等に本発明の発光装置を表示部として組み込むことで、製造工程中に生
じる静電気に起因した表示不良が低減され、良好な画像を提供できるデジタル式の写真機
、カーナビゲーション装置、または表示装置等を完成できる。
【0109】
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適し
ている。
【符号の説明】
【0110】
94 電極
101 基板
102 第1の半導体層
103 第2の半導体層
104 絶縁層
105 絶縁層
106 導電層
107 絶縁層
107a 絶縁層
107b 絶縁層
108 配線
109 配線
110 電極
111 隔壁層
112 発光層
113 電極
114 発光素子
115 保護層
121a トランジスタ
121b トランジスタ
121c トランジスタ
121d トランジスタ
130 領域
131 画素部
132a 駆動回路部
132b 駆動回路部
133 駆動回路部
134 接続端子
140 基板
141 シール材
150 発光装置
201 基板
202 第1の半導体層
203 第2の半導体層
204 絶縁層
205 絶縁層
206 導電層
207 絶縁層
207a 絶縁層
207b 絶縁層
208 配線
209 配線
210 絶縁層
211 電極
212 隔壁層
213 発光層
214 電極
215 発光素子
216 保護層
221a トランジスタ
221b トランジスタ
221c トランジスタ
221d トランジスタ
230 領域
231 画素部
232a 駆動回路部
232b 駆動回路部
240 基板
241 シール材
301 発光素子
321 駆動用トランジスタ
322 スイッチング用トランジスタ
323 消去用トランジスタ
331 ソース信号線
332 電流供給線
333 第1の走査線
334 第2の走査線
401 発光素子
421 駆動用トランジスタ
422 スイッチング用トランジスタ
431 ソース信号線
432 電流供給線
433 走査線
801 発光素子
821 駆動用トランジスタ
822 スイッチング用トランジスタ
823 消去用トランジスタ
824 電流制御用トランジスタ
831 ソース信号線
832 電流供給線
833 第1の走査線
834 電流供給線
835 電源線
1001 第1の基板
1011 画素部
1012a
1013 駆動回路部
1014 駆動回路部
1015 接続配線群
1021 第2の基板
1031 FPC
5551 表示部
5552 本体
5553 アンテナ
5554 音声出力部
5555 音声入力部
5556 操作スイッチ
5557 操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に発光装置を複数形成する発光装置の製造方法において、
第1の半導体層を形成する第1の工程と、
層間絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記層間絶縁膜にコンタクトホールを開口する第3の工程と、
前記層間絶縁膜上の配線層を形成する第4の工程と、を有し、
前記第1の工程において、島状に分離した前記第1の半導体層を有する素子群を複数形成すると共に、前記複数の素子群をそれぞれ囲むように一続きの第2の半導体層を形成し、
前記第3の工程、または前記第4の工程において、プラズマ励起を利用したエッチング方法を用い、
前記第3の工程において、前記コンタクトホールを開口するエッチングと同時に、前記複数の素子群をそれぞれ囲むように前記層間絶縁膜に前記第2の半導体層上で格子状の開口部を形成し、
前記第4の工程において、前記配線層を形成するエッチングと同時に、前記第2の半導体層を前記格子状の開口部において前記複数の素子群をそれぞれ囲むように分離し、
前記基板を、前記格子状の開口部で、且つ前記第2の半導体層が分離された領域で分断することで、前記素子群の一から前記発光装置の一つを形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に発光装置を複数形成する発光装置の製造方法において、
第1の半導体層を形成する第1の工程と、
層間絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記層間絶縁膜にコンタクトホールを開口する第3の工程と、
前記層間絶縁膜上の配線層を形成する第4の工程と、を有し、
前記第1の工程において、格子状の第2の半導体層を形成すると共に、前記第2の半導体層に囲まれた領域それぞれに、島状に分離した前記第1の半導体層を複数形成し、
前記第3の工程、または前記第4の工程において、プラズマ励起を利用したエッチング方法を用い、
前記第3の工程において、コンタクトホールを開口するエッチングと同時に、前記層間絶縁膜に前記第2の半導体層上で格子状の開口部を形成し、
前記第4の工程において、前記配線層を形成するエッチングと同時に、前記第2の半導体層を前記格子状の開口部において枠状に分離し、
前記基板を、前記格子状の開口部で、且つ前記第2の半導体層が分離された領域で分断することで、前記第2の半導体層に囲まれた領域の一から前記発光装置の一つを形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第4の工程において、前記第2の半導体層の上方に前記発光素子に電流を供給するための引き回し配線を形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第2の半導体層に不純物を添加する工程を有することを特徴とする発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−190802(P2012−190802A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88650(P2012−88650)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2005−81271(P2005−81271)の分割
【原出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】