発振回路および高周波発振型近接スイッチ
【課題】温度特性の良好な発振回路およびこの発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチを提供する。
【解決手段】LCタンク回路と負性抵抗回路のトランスコンダクタンス値を可変制御するトランスコンダクタンス設定回路を備え、負性抵抗回路は、第1のトランスコンダクタンスアンプの出力に接続されて所定レベルに出力信号の振幅を制限する非線形回路と、この非線形回路の出力を第1のトランスコンダクタンスアンプの入力にフィードバックする。またトランスコンダクタンス設定回路は、そのトランスコンダクタンス値を可変自在な第2のトランスコンダクタンスアンプと、このアンプの出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路を備え、第1および第2のトランスコンダクタンスアンプは、それぞれ積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御される。
【解決手段】LCタンク回路と負性抵抗回路のトランスコンダクタンス値を可変制御するトランスコンダクタンス設定回路を備え、負性抵抗回路は、第1のトランスコンダクタンスアンプの出力に接続されて所定レベルに出力信号の振幅を制限する非線形回路と、この非線形回路の出力を第1のトランスコンダクタンスアンプの入力にフィードバックする。またトランスコンダクタンス設定回路は、そのトランスコンダクタンス値を可変自在な第2のトランスコンダクタンスアンプと、このアンプの出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路を備え、第1および第2のトランスコンダクタンスアンプは、それぞれ積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路および高周波発振型近接スイッチに係り、特にLC共振回路を用いた発振回路およびこの発振回路を用いて近接磁界や近接磁性体の有無に応じた出力電圧の変化を検出する高周波発振型近接スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタLおよびコンデンサCによるLCタンク回路を用いた発振回路は、例えば図10に示すように構成されている。この図においてRsは、インダクタLに含まれる寄生抵抗である。発振回路には、この寄生抵抗Rsによるエネルギー損失を補い、発振を継続させる能動素子を用いて構成された負性抵抗回路2が必要である。つまり発振回路は、負性抵抗回路2によってLCタンク回路1内で消費されるエネルギーが補償され、LCタンク回路1の共振インピーダンスの実数部が零になるようにして発振させる。
【0003】
この種の発振回路は、具体的には例えば図11のブロック図に示すように電圧レベルの信号を電流レベルの信号に変換するトランスコンダクタンスアンプ3およびこのトランスコンダクタンスアンプ3から出力される信号の振幅を所定振幅のレベルに抑える非線形回路4を備え、非線形回路4の出力にLCタンク回路1が接続された構成をとる。また非線形回路4が出力する信号は、トランスコンダクタンスアンプ3の正入力端子に接続され、このトランスコンダクタンスアンプ3の負入力端子に接続された基準電圧源Vrefと比較されて所謂、正帰還回路を構成している。そしてトランスコンダクタンスアンプ3のコンダクタンスを調整するトリミング信号がトランスコンダクタンスアンプ3に与えられている。このように構成された発振回路は、ネガティブGm回路と呼ばれ、一般によく知られている(例えば、非特許文献1、2を参照)。
【0004】
この発振回路は、正帰還回路で構成されているため、発振開始時からLCタンク回路1の振幅電圧が上昇し続けるものの、非線形回路4によってトランスコンダクタンスアンプ3から出力される振幅電圧の上昇が抑えられるため一定振幅で発振を継続する。ちなみに非線形回路4は、一般的に発振回路を構成するトランジスタの非線形性や、非線形性をもたせた負帰還回路等から構成される。
【0005】
ところで、このような発振回路を用いて近接磁界や近接磁性体の有無に応じた出力電圧の変化を検出する高周波発振型近接スイッチがある(例えば、特許文献1を参照)。この高周波発振型近接スイッチは、LCタンク回路を用いた発振回路から構成され、LCタンク回路によって生じる高周波磁界中に金属などの検出対象物が近づくことで検出対象物にうず電流を発生させる。近接スイッチは、このうず電流によってLCタンク回路の損失抵抗が増加することによって生じる発振振幅の減少を検出して対象物の近接を検知する。
【非特許文献1】D.R.ウェランド他(D.R.Welland,et al.)、「ア ディジタル リード/ライト チャネル ウィズ EEPR4 ディテクション」("A Digital Read/Write Channel with EEPR4 Detection,")、IEEEイント ソリッド・ステート サーキット カンファレンス(IEEE Int. Solid-State Circuits Conf.),サンフランシスコ(San Francisco),1994年、p.276−277
【非特許文献2】T.R.ヴィスワナサン他(T.R.Viswanathan,et al.)、「スイッチト・キャパシタ フリクエンシ コントロール ループ」("Switched-Capacitor Frequency Control Loop,")、IEEEジャーナル オブ ソリッド・ステート サーキッツ(IEEE Journal of Solid-State Circuits)、1982年8月、第17巻、p.775−778
【特許文献1】特許第2550620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したネガティブGm回路は、周囲温度の変化に伴って回路のトランスコンダクタンス値に変化が生じ、また非線形回路を構成するフィードバック抵抗器の温度変化による抵抗値の変動が著しく、それ故、発振回路の性能を劣化させるという問題があった。このため、この種の発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチは、温度変化による回路特性の変動によってLCタンク回路の発振振幅に変化が生じ、それ故、物体の近接による振幅変化であるのか、温度変化による振幅変化であるのかの判定が困難となっていた。或いはまた高周波発振型近接スイッチは、発振回路の振幅を決定するトランスコンダクタンス値が温度変化によって変動すると、検出対象物による振幅変化であるのか、トランスコンダクタンス値の温度変化による振幅変化であるのかを区別することが困難になるという問題もあった。
【0007】
勿論、このような問題を解決するために温度変化によるトランスコンダクタンス値の変動分を加味し、明らかに検出対象物による振幅変化であると判断できるまでの大きな振幅変化になるまでのマージンをとり、検出対象物の有無を判断するという解決方法をとることが考えられる。しかしながらこの解決方法は、振幅変化が十分大きくなるまで検出対象物の有無を判定することができず、それ故、近接スイッチと検出対象物との距離を大きくとることができないという問題が新たに生じる。
【0008】
また高周波発振型近接スイッチは、検出精度を向上させるため発振回路の温度特性を補償するだけでなく、この発振回路の出力信号の振幅変化を取り出す検波回路も同時に補償して温度変化に対して安定した出力が得られるように構成する必要がある。
本発明は、このような従来の問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、温度特性の良好な発振回路およびこの発振回路を用いて温度変化の影響を低減し、安定した検出精度を得ることが可能な高周波発振型近接スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成すべく本発明の発振回路は、LCタンク回路と、このLCタンク回路2含まれる直流抵抗成分によるエネルギー損失を補償して該LCタンク回路を共振させる負性抵抗回路と、この負性抵抗回路のトランスコンダクタンス値を可変制御するトランスコンダクタンス設定回路とを具備し、
前記負性抵抗回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第1のトランスコンダクタンスアンプと、この第1のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて所定レベルに該第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を制限する非線形回路とを有し、この非線形回路の出力信号を前記第1のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にフィードバックして構成され、前記トランスコンダクタンス設定回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第2のトランスコンダクタンスアンプと、この第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を受けて、その出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路とを備え、
前記第1および第2のトランスコンダクタンスアンプは、それぞれ前記積分回路から出力される制御信号を受けて、この制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることを特徴としている。
【0010】
また前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にその出力信号をフィードバックする可変抵抗器を備え、この可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴としている。
あるいは前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの出力に接続された電流源を備え、この電流源の電流値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴としている。
【0011】
また前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子に接続された基準電圧源を備え、この基準電圧源の電圧値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴としている。
上述の発振回路は、発振回路で用いるトランスコンダクタンス値が任意の一定値を保持するように第2のトランスコンダクタンス回路で発振回路の温度特性や素子のバラツキを補償する。したがって上述の発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑える。
【0012】
また上述の発振回路を用いた本発明の高周波発振型近接スイッチは、前記発振回路から出力される出力信号の振幅電圧を検波してその振幅に応じた直流電圧を出力する検波回路と、この検波回路が出力した直流電圧を受けて、この直流電圧と所定の電圧値とを比較して前記LCタンク回路に近接した物体を検出する比較回路と、この比較回路が前記LCタンク回路に近接した物体があると検出したときに物体検出信号を出力する出力回路とを備えることを特徴としている。
【0013】
上述の高周波発振型近接スイッチは、周囲温度が変化しても回路のトランスコンダクタンス値を所望の値に維持することができ、発振振幅の変化から回路の温度特性を除去する。
好ましくは前記検波回路は、前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電流を出力する第3のトランスコンダクタンスアンプと、この第3のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて該第3のトランスコンダクタンスアンプから出力される電流を蓄えて前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧を得る蓄電素子と
を備え、
前記第3のトランスコンダクタンスアンプは、前記トランスコンダクタンス値設定回路の前記積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることが望ましい。
【0014】
上述の高周波発振型近接スイッチは、検波回路に温度補償されたトランスコンダクタンス回路とコンデンサを用いたGm−Cフィルタを形成し、このGm−Cフィルタによる積分回路によって発振振幅に応じた積分電圧を作り、温度変化の少ない検波回路が構成される。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明の発振回路は、非線形回路を負性抵抗回路に設けて所定レベルに第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を制限するとともに、トランスコンダクタンス設定回路が第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路を備え、この積分回路から出力される制御信号によって第1および第2のトランスコンダクタンスアンプの温度特性や素子のバラツキを補償しているので、周囲温度の変化によってトランスコンダクタンス回路を構成する回路素子のパラメータが変化したとしても安定した所望の発振出力信号を得ることができる。したがって本発明の発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を効果的に抑えることが可能である。
【0016】
特にトランスコンダクタンス設定回路は、第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を入力端子にフィードバックする可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を自由に可変することもできる。
あるいはトランスコンダクタンス設定回路は、第2のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続された電流源の電流値を調整し、または第2のトランスコンダクタンスアンプの入力に接続された基準電圧源の電圧値を調整するようにしてトランスコンダクタンス値を可変することも可能である。
【0017】
また上述の発振回路を用いた本発明の高周波発振型近接スイッチは、発振回路を構成するトランスコンダクタンスアンプの温度特性や素子のバラツキによって生じるトランスコンダクタンス値の変化を積分回路から出力される制御信号によって補償している。このため、本発明の高周波発振型近接スイッチは、周囲温度が変化しても回路のトランスコンダクタンス値を所望の値に維持することができ、発振回路の温度依存性を低減することができる。
【0018】
更に本発明の高周波発振型近接スイッチを構成する検波回路は、温度補償されたトランスコンダクタンス回路を検波回路に適用するとともに、積分回路となるコンデンサを用いたGm−Cフィルタを用いているので、このGm−Cフィルタ(積分回路)によって発振振幅に応じた電圧信号を出力することができる。このため本発明の高周波発振型近接スイッチは、温度変化による影響を極力抑えた検波回路が構成できるので、温度特性の良好な高周波発振型近接スイッチを構成することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態に係る発振回路について図面を参照しながら説明する。尚、図1〜図5は、本発明を実施する形態の一例であって、これらの図中、図10および図11と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は図10および図11に示す従来のものと同様である。
さて、図1において1は、インダクタLおよびコンデンサCから構成されたLCタンク回路である。このLCタンク回路1には、詳細は後述するがインダクタLの寄生抵抗Rs(図1には図示せず)における損失を補償してLCタンク回路1を共振させる負性抵抗回路の役割を担う負性非線形抵抗回路10が接続される。この負性非線形抵抗回路10は、この回路が備えるトランスコンダクタンスアンプのトランスコンダクタンス値を制御するGm(トランスコンダクタンス)設定回路20によって制御される。このGm設定回路20は、負性非線形抵抗回路10のトランスコンダクタンス値が任意の一定値を保持するように作用し、発振回路を構成するトランスコンダクタンスアンプの温度特性や素子のバラツキを補償することでトランスコンダクタンス回路を構成する回路素子のパラメータが温度変化によって変化しても一定値を維持するよう作用する。
【0020】
具体的に負性非線形抵抗回路10は、第1のトランスコンダクタンスアンプ11と、この第1のトランスコンダクタンスアンプ11の出力端子に接続されて、第1のトランスコンダクタンスアンプ11から出力される出力信号の振幅を所定レベルに制限する可変非線形回路12を備える。この可変非線形回路12の出力信号は、第1のトランスコンダクタンスアンプ11の正入力端子にフィードバックされている。また第1のトランスコンダクタンスアンプ11の負入力端子は、基準電位であるシグナルグランドSGNDに接続される。したがって第1のトランスコンダクタンスアンプ11は、シグナルグランドSGNDと可変非線形回路12の出力電圧値との差分電圧値に応じた電流を出力する正帰還回路を構成する。
【0021】
一方、Gm設定回路20は、トランスコンダクタンス値を可変可能な第2のトランスコンダクタンスアンプ21と、この第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力信号を受けて、その出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路22を備えて構成される。また第2のトランスコンダクタンスアンプ21の正入力端子は、基準電位であるシグナルグランドSGNDに接続される一方、負入力端子は、陰極がシグナルグランドSGNDに接続された基準電圧源Vrefの正極に接続される。そして、第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子と負入力端子との間には、抵抗値を可変することができる可変抵抗器VRが介挿される。尚、この可変抵抗器VRは、温度特性の優れたデバイス、例えば金属皮膜可変抵抗器等を用いる。
【0022】
ところで、この可変抵抗器VRに加わる電圧は、トランスコンダクタンスアンプ21のフィードバックによって基準電圧源Vrefの電圧値に維持される。つまり第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値が所望の値より大きな値となった場合を想定すると積分回路22には、この可変抵抗器VRに流れる電流に加えて第2のトランスコンダクタンスアンプ21から出力される電流が流れ込むことになる。この電流は、積分回路22によって電圧値の変化として出力されて制御信号となる。この制御信号は、第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値を抑えるよう作用する。
【0023】
逆に第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値が所望の値より小さな値となった場合を想定すると、このときは積分回路22に流れ込む電流が減少し、積分回路22から出力される制御信号が第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値を増加させるように作用する。
このようにGm設定回路20は、可変抵抗器VRの設定値に応じた所望のトランスコンダクタンス値を得ることができるように作用する。
【0024】
尚、前述した制御信号は、負性非線形回路を構成する第1のトランスコンダクタンスアンプ11にも与えられてトランスコンダクタンス値が所望の値になるように維持制御される。
概略的には上述したように構成された本発明の一実施形態に係る発振回路について、図2および図3に示す回路図を参照しながら、より詳細にトランスコンダクタンスアンプ11,21および可変非線形回路12について説明する。
【0025】
トランスコンダクタンスアンプは、例えば図2に示すように9個のMOSFET(M0〜M8)と2つの電流源I1,I2とから構成される。そしてトランスコンダクタンスアンプの負入力端子から入力される信号を、そのゲートで受けるMOSFET(M1)は、ドレインがカレントミラー回路を形成するMOSFET(M3)のドレインおよびゲートに接続される。一方、MOSFET(M1)のソースは、一端が基準電位VSSに接続された電流源I1の他端に接続される。またトランスコンダクタンスアンプの正入力端子から入力される信号を、そのゲートで受けるMOSFET(M2)のドレインは、カレントミラー回路を形成するMOSFET(M5)のドレインおよびゲートに接続され、MOSFET(M2)のソースは、一端が基準電位VSSに接続された電流源I2の他端に接続される。
【0026】
また負入力端子および正入力端子にそれぞれ接続されたMOSFET(M1,M2)のソース間には、Gm設定回路20から出力された制御信号を、そのゲートに入力されるMOSFET(M0)のドレインおよびソースがそれぞれ接続される。このMOSFET(M0)は、Gm設定回路20から与えられる制御信号に応じてトランスコンダクタンスアンプのトランスコンダクタンス値を変化させる役割を担う。
【0027】
そしてカレントミラーを構成する2組のMOSFET(M3,M4)のゲートは、負入力端子に接続されたMOSFET(M1)のドレインがそれぞれ接続される一方、各々のソースは、作動電源VDDに接続される。また、このカレントミラー回路を構成するMOSFET(M4)のドレインは、ソースが接地されたMOSFET(M7)のゲートおよびドレインに接続される。
【0028】
もう一方のカレントミラーを構成する2組のMOSFET(M5,M6)のゲートは、正入力端子に接続されたMOSFET(M2)のドレインにそれぞれ接続されて、各々のソースは、作動電源VDDに接続される。また、このカレントミラー回路を構成するMOSFET(M6)のドレインは、ソースが接地されたMOSFET(M8)のドレインが接続されるとともに、この信号ラインがトランスコンダクタンスアンプの出力端子VOUTとなる。ちなみにMOSFET(M8)のゲートには、他方のカレントミラー回路に接続されたMOSFET(M7)のゲートが接続される。
【0029】
このように構成されたトランスコンダクタンスアンプは、差動増幅器を構成する。そして負入力端子と正入力端子にそれぞれ接続されたMOSFET(M1,M2)のソース間に挿入したMOSFET(M0)のゲート電圧を調整することによって変化するMOSFET(M0)のドレイン・ソース間抵抗に応じてトランスコンダクタンス値を可変することができる可変トランスコンダクタンスアンプが構成される。
【0030】
このように構成された可変トランスコンダクタンスアンプのMOSFET(M0)を例えばNチャネルとした場合、ゲート・ソース間の電圧を高くするとドレイン・ソース間のインピーダンスが低下する。つまりMOSFETを線形領域で作動させた場合の電流(ドレイン電流;ID)・電圧特性およびトランスコンダクタンス値(Gm)は、それぞれ次式で求めることができる。
【0031】
ID=μ0COX(W/L)・(VGS−VTH)VDS
Gm=ID/VDS=μ0COX(W/L)・(VGS−VTH)
ここにμ0;移動度、COX;単位当たりのゲートキャパシタ、W;ゲート幅、L;ゲート長、VGS;ゲート・ソース間電圧、VDS;ドレイン・ソース間電圧、VTH;スレッショルド電圧である。
【0032】
この式が示すようにVGSの上昇に伴ってトランスコンダクタンス値が変化する。この変化を図示すると図3に示すようにGmの値が大きくなり、その傾きが増加するグラフを得ることができる。
次に上述した可変トランスコンダクタンスアンプの次段に接続された可変非線形回路12について図4を用いて説明する。この図において二点鎖線の左側に示した箇所が可変トランスコンダクタンスアンプであり、二点鎖線の右側に示した箇所が可変非線形回路12である。この可変非線形回路12は、可変トランスコンダクタンスアンプの出力段に設けられたMOSFET(M8)のドレイン・ソース間に所定の電流を流す電流源IBR1、カレントミラー回路を構成するMOSFET(M6)のゲートと共通にそのゲートが接続されるMOSFET(M9)を有している。このMOSFET(M9)は、作動電源VDDにそのソースが接続される一方、ドレインは、基準電位VSSにそのソースが接続されたMOSFET(M10)にそれぞれ接続される。またMOSFET(M10)のゲートは、可変トランスコンダクタンスアンプの出力段に設けられたMOSFET(M8)のゲートに接続される。
【0033】
尚、MOSEFET(M9)のソース・ドレイン間には一定の電流を流す電流源IBR2が接続され、更に別のカレントミラー回路を構成するMOSFET(M11)のソースとドレインとが並列に接続される。このMOSFET(M11)のゲートは、このMOSFET(M11)のドレインおよびカレントミラー回路を構成するもう一つのMOSFET(M12)のゲートに接続される。そしてカレントミラー回路を構成する2つのMOSFET(M11,M12)のソースは、それぞれ作動電源VDDに接続される。
【0034】
一方、可変トランスコンダクタンスアンプの出力段のMOSFET(M8)のドレインは、別のカレントミラー回路を構成する2つもMOSFET(M13,M14)のゲートにそれぞれ接続される。このうち一方のMOSFET(M13)には、更にこのゲートとドレインが接続される。そしてこのカレントミラー回路を構成する2つのMOSFET(M13,M14)のソースは、それぞれ基準電位VSSに接続される。
【0035】
また可変非線形回路12は、2つのMOSFET(M15,M16)のドレインがそれぞれ接続されて一方のMOSFET(M15)のソースが作動電源VDDに接続される一方、他方のMOSFET(M16)のソースが基準電位VSSに接続される。そしてMOSFET(M15,M16)のゲートは、それぞれ可変トランスコンダクタンスアンプの出力段を構成するMOSFET(M6,M8)のゲートにそれぞれ接続される。
【0036】
更に可変非線形回路12に設けられた2つのカレントミラー回路を構成するMOSFET(M12)およびMOSFET(M14)のそれぞれのドレインは、MOSFET(M15)およびMOSFET(M16)のドレインが接続されたラインに接続されて制御信号であるVCOUTを出力する。
このように構成された可変非線形回路12の作動について説明する。この可変非線形回路12は、図5のグラフに示すように可変トランスコンダクタンスアンプへ入力された入力電圧に比例する出力電流(回路Aの特性)に対して、図5の回路Bの特性および回路Cの特性にそれぞれ示したように回路Aの特性とは異なるトランスコンダクタンス特性を得ることができるよう構成されている。
【0037】
このグラフにおいて回路Bおよび回路Cの特性は、図4の回路における一点鎖線Bで示したMOSFET(M6,M8)と電流源IBR1(以下、回路Bと称する)および一点鎖線Cで示したMOSFET(M9,M10)と電流源IBR2(以下、回路Cと称する)によって生成される。ちなみに2つの電流源IBR1,IBR2は、図5のグラフに示した回路Aの特性から回路Bまたは回路Cの特性に変化する点の閾値電流を設定するものである。つまり閾値電流よりも前段の可変トランスコンダクタンスアンプから吐き出される出力電流が大きくなったとき、あるいは吸い込まれる電流が大きくなったとき、閾値電流を超えた分の電流が減少してVCOUTから出力されてLCタンク回路1に与えられ、その結果、発振回路から出力される出力電流は、可変非線形回路12によって減少する。
【0038】
一方、寄生抵抗Rsを含むLCタンク回路1の電圧・電流特性は、図5の一点鎖線に示す特性であり、回路Bおよび回路Cの特性をそれぞれ示す実線との交点までの電流値を出力振幅とする特性を得ることができる。そして2つの電流源IBR1,IBR2のそれぞれの電流源の電流値を可変することで図5のグラフの破線で示す回路Bまたは回路Cのそれぞれの特性を得ることができる。つまり本回路は、発振回路の出力振幅を任意に可変することができる。
【0039】
かくして本発明の第1の実施形態に係る発振回路は、負性非線形抵抗回路10に非線形回路を設けて第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を所定レベルに制限するとともに、トランスコンダクタンス設定回路が備える第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路を有するトランスコンダクタンス設定回路を備え、積分回路22から出力される制御信号によって第1および第2のトランスコンダクタンスアンプのトランスコンダクタンス値を制御し、発振回路の温度特性や素子のバラツキを補償しているので、温度変化によって回路素子のパラメータが変化しても一定値を維持することができる。したがって本発明の発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑えることが可能となる。
【0040】
特にトランスコンダクタンス設定回路は、第2のトランスコンダクタンスアンプの入力に出力をフィードバックする可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を自由に可変することができる。このため本発明は、発振回路から出力される振幅を自由に可変することが可能である。
次に本発明の第2の実施形態に係る発振回路ついて図6を参照しながら説明する。この第2の実施形態が前述した第1の実施形態と異なるところは、Gm設定回路20を構成する第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子と負入力端子に接続された可変抵抗器VRを廃し、その代わりに第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子に可変電流源23を設けた点にある。
【0041】
このように構成された本発明の第2の実施形態に係る発振回路は、Gm設定回路20が可変電流源23に設定した電流値を発生させるトランスコンダクタンス値となるよう作動する。したがって本発明の第2の実施形態に係る発振回路は、前述した第1の実施形態と同様にトランスコンダクタンス値を任意に設定することができる。このため、前述した第1の実施形態に係る発振回路と同様に本発明の第2の実施形態に係る発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑えることができるとともに発振回路から出力される振幅を自由に可変して調整することが可能である。
【0042】
次に本発明の第3の実施形態に係る発振回路ついて図7を参照しながら説明する。この第3の実施形態が前述した第1および第2の実施形態と異なるところは、Gm設定回路20を構成する第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子と負入力端子に接続された可変抵抗器VRを廃し、その代わりに固定抵抗Rを設けた点、および基準電圧源Vrefの代わりに可変電圧源24を設けた点にある。
【0043】
このように構成された本発明の第3の実施形態に係る発振回路は、可変電圧源24に設定した電圧値に応じた電流値を発生するようなトランスコンダクタンス値となるようGm設定回路20が作動する。したがって本発明の第3の実施形態に係る発振回路は、前述した第1および第2の実施形態に係る発振回路と同様にトランスコンダクタンス値を任意に設定することができる。このため、本発明の第3の実施形態に係る発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑えることができるとともに発振回路から出力される振幅を自由に可変して調整することが可能である。
【0044】
次に上述した発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチについて図8を参照しながら説明する。この図において上述した第1〜第3の実施形態を示す図1〜図7並びに従来の構成を示す図10および図11と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は、これらの図に示すものと同様であるのでその説明を省略する。
図8においてLCタンク回路1および発振部25は、前述した第1〜第3の実施形態で説明した発振回路であって、前述した負性非線形抵抗回路10およびGm設定回路20をまとめて一つの回路ブロックとしたものであり、その構成内容は前述したとおりである。
【0045】
さて、この高周波発振型近接スイッチは、発振部25を形成する負性非線形抵抗回路10から出力される出力信号の振幅電圧を検波してその振幅に応じた直流電圧を出力する検波回路30、この検波回路30が出力した直流電圧を受けて、この直流電圧と所定の電圧値とを比較してLCタンク回路1に近接した物体を検出する比較回路40およびこの比較回路40がLCタンク回路1に近接した物体があると検出したとき、物体検出信号を出力する出力回路50とを備えて構成される。
【0046】
このように構成された本発明の一実施形態に係る高周波発振型近接スイッチは、前述したように発振部25を構成する負性抵抗回路が回路のバラツキや温度特性を補償した可変トランスコンダクタンスアンプで構成されているので物体の近接によるLCタンク回路1に生ずる損失抵抗の変化分を高い精度で検出することができる。それ故、温度変化によるトランスコンダクタンス値の変動分によるマージンをとる必要が無く、また検出対象物までの距離を十分大きくとることができる。
【0047】
尚、より好ましくは前述した高周波発振型近接スイッチを構成する検波回路についても同様に回路のバラツキや温度特性を補償することが望ましい。具体的には、図9のブロック図に示したように前述した検波回路30は、負性非線形抵抗回路10から出力される出力電圧の振幅に応じた電流を出力する第3のトランスコンダクタンスアンプ31、この第3のトランスコンダクタンスアンプ31の出力端子に接続されて、第3のトランスコンダクタンスアンプ31から出力される出力電流を整流するダイオードD、このダイオードDから出力される電流を蓄えて負性非線形抵抗回路10から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧を得る蓄電素子(コンデンサ)Ciを備えて構成される。そして第3のトランスコンダクタンスアンプ31は、Gm設定回路20の積分回路22から出力される制御信号を受けて、この制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御する。
【0048】
詳しくは負性非線形抵抗回路10の可変非線形回路12の出力に接続されたLCタンク回路1は、負入力端子がシグナルグランドSGNDに接続された第3のトランスコンダクタンスアンプ31の正入力端子に接続される。この第3のトランスコンダクタンスアンプ31は、前述したGm設定回路20の積分回路22から出力される制御信号によって、第1および第2のトランスコンダクタンスアンプ11,21とともにトランスコンダクタンス値が補償される。
【0049】
そして第3のトランスコンダクタンスアンプ31の出力端子は、この出力端子から出力される信号を整流して出力するダイオードDのアノードに接続され、そのカソードは、一端が接地されたコンデンサCiの他端に接続される。つまりダイオードDとコンデンサCiとで構成された回路によって、第3のトランスコンダクタンスアンプ31から出力される電流を蓄えて負性非線形抵抗回路10から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧をコンデンサCiの両端から得ることができる。そして、このコンデンサCiの出力は、図9に図示しない次段の比較回路に与えられる。
【0050】
このように構成された本発明の高周波発振型近接スイッチは、検波回路30についてもその回路のバラツキや温度特性を発振回路と同時に補償しているのでより高精度にLCタンク回路1に近接する物体を検出することができる。
ところで発明者は、このような特徴を備えた発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチの効果を確認するため従来の発振回路と比較する比較実験並びに回路シミュレーションを行った。この比較実験並びに回路シミュレーションは、LCタンク回路を構成するインダクタLのインダクタンスを200μH、その寄生抵抗Rsの抵抗値を3Ω、コンデンサCの静電容量を1.68nFとした。
【0051】
つまりLCタンク回路の共振インピーダンスZは、Z=L/(RC)=39.68kΩとなる。したがって、上述した第1の実施形態に係る発振回路に適用する場合、Gm設定回路のトランスコンダクタンス値が約1/40kΩとなるように可変抵抗器VRの値を調整すればよい。一方、従来の発振回路も、これと同様にトランスコンダクタンス値が上述の値になるようにトリミングを行って調整する。
【0052】
ちなみにこのLCパラメータにおける発振周波数(共振周波数)は、約300kHzであるが、実際にはインダクタLを構成するコイルコア(磁性体)の材質、特性によってその発振周波数が変化するのでコンデンサCの静電容量を調整して発振周波数を所望の周波数になるよう設定する。そして発振回路の周囲温度を−40℃〜+85℃と変化させて比較実験並びに回路シミュレーションを行った。
【0053】
その結果、従来の発振回路では±20%以上の変動が観測され、一方、本発明の発振回路は、±3%程度の変動に収まることが確かめられた。したがって本発明の発振回路およびこの発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチは、温度変化による発振振幅の変化を効果的に抑えることが検証できた。
尚、本発明の発振回路および高周波発振型近接スイッチは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発振回路の要部構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す可変トランスコンダクタンスアンプを構成する回路の一例を示す回路図。
【図3】図1に示す可変トランスコンダクタンスアンプの入力電圧・出力電流の特性を示すグラフ。
【図4】図1に示す可変トランスコンダクタンスアンプおよびGm設定回路の一例を示す回路図。
【図5】図1に示す可変非線形抵抗回路の入力電圧・出力電流の特性を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る発振回路の要部構成を示すブロック図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る発振回路の要部構成を示すブロック図。
【図8】本発明の発振回路を適用した高周波発振型近接スイッチの要部構成を示すブロック図。
【図9】図8に示す発振回路を適用した高周波発振型近接スイッチの要部構成を示すブロック図。
【図10】従来の発振回路を示す概略ブロック図。
【図11】図10に示す発振回路の要部構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0055】
1 タンク回路
10 負性非線形抵抗回路
11 第1のトランスコンダクタンスアンプ
12 可変非線形回路
20 Gm設定回路
21 第2のトランスコンダクタンスアンプ
22 積分回路
VR 可変抵抗器
Vref 基準電圧源
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路および高周波発振型近接スイッチに係り、特にLC共振回路を用いた発振回路およびこの発振回路を用いて近接磁界や近接磁性体の有無に応じた出力電圧の変化を検出する高周波発振型近接スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタLおよびコンデンサCによるLCタンク回路を用いた発振回路は、例えば図10に示すように構成されている。この図においてRsは、インダクタLに含まれる寄生抵抗である。発振回路には、この寄生抵抗Rsによるエネルギー損失を補い、発振を継続させる能動素子を用いて構成された負性抵抗回路2が必要である。つまり発振回路は、負性抵抗回路2によってLCタンク回路1内で消費されるエネルギーが補償され、LCタンク回路1の共振インピーダンスの実数部が零になるようにして発振させる。
【0003】
この種の発振回路は、具体的には例えば図11のブロック図に示すように電圧レベルの信号を電流レベルの信号に変換するトランスコンダクタンスアンプ3およびこのトランスコンダクタンスアンプ3から出力される信号の振幅を所定振幅のレベルに抑える非線形回路4を備え、非線形回路4の出力にLCタンク回路1が接続された構成をとる。また非線形回路4が出力する信号は、トランスコンダクタンスアンプ3の正入力端子に接続され、このトランスコンダクタンスアンプ3の負入力端子に接続された基準電圧源Vrefと比較されて所謂、正帰還回路を構成している。そしてトランスコンダクタンスアンプ3のコンダクタンスを調整するトリミング信号がトランスコンダクタンスアンプ3に与えられている。このように構成された発振回路は、ネガティブGm回路と呼ばれ、一般によく知られている(例えば、非特許文献1、2を参照)。
【0004】
この発振回路は、正帰還回路で構成されているため、発振開始時からLCタンク回路1の振幅電圧が上昇し続けるものの、非線形回路4によってトランスコンダクタンスアンプ3から出力される振幅電圧の上昇が抑えられるため一定振幅で発振を継続する。ちなみに非線形回路4は、一般的に発振回路を構成するトランジスタの非線形性や、非線形性をもたせた負帰還回路等から構成される。
【0005】
ところで、このような発振回路を用いて近接磁界や近接磁性体の有無に応じた出力電圧の変化を検出する高周波発振型近接スイッチがある(例えば、特許文献1を参照)。この高周波発振型近接スイッチは、LCタンク回路を用いた発振回路から構成され、LCタンク回路によって生じる高周波磁界中に金属などの検出対象物が近づくことで検出対象物にうず電流を発生させる。近接スイッチは、このうず電流によってLCタンク回路の損失抵抗が増加することによって生じる発振振幅の減少を検出して対象物の近接を検知する。
【非特許文献1】D.R.ウェランド他(D.R.Welland,et al.)、「ア ディジタル リード/ライト チャネル ウィズ EEPR4 ディテクション」("A Digital Read/Write Channel with EEPR4 Detection,")、IEEEイント ソリッド・ステート サーキット カンファレンス(IEEE Int. Solid-State Circuits Conf.),サンフランシスコ(San Francisco),1994年、p.276−277
【非特許文献2】T.R.ヴィスワナサン他(T.R.Viswanathan,et al.)、「スイッチト・キャパシタ フリクエンシ コントロール ループ」("Switched-Capacitor Frequency Control Loop,")、IEEEジャーナル オブ ソリッド・ステート サーキッツ(IEEE Journal of Solid-State Circuits)、1982年8月、第17巻、p.775−778
【特許文献1】特許第2550620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したネガティブGm回路は、周囲温度の変化に伴って回路のトランスコンダクタンス値に変化が生じ、また非線形回路を構成するフィードバック抵抗器の温度変化による抵抗値の変動が著しく、それ故、発振回路の性能を劣化させるという問題があった。このため、この種の発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチは、温度変化による回路特性の変動によってLCタンク回路の発振振幅に変化が生じ、それ故、物体の近接による振幅変化であるのか、温度変化による振幅変化であるのかの判定が困難となっていた。或いはまた高周波発振型近接スイッチは、発振回路の振幅を決定するトランスコンダクタンス値が温度変化によって変動すると、検出対象物による振幅変化であるのか、トランスコンダクタンス値の温度変化による振幅変化であるのかを区別することが困難になるという問題もあった。
【0007】
勿論、このような問題を解決するために温度変化によるトランスコンダクタンス値の変動分を加味し、明らかに検出対象物による振幅変化であると判断できるまでの大きな振幅変化になるまでのマージンをとり、検出対象物の有無を判断するという解決方法をとることが考えられる。しかしながらこの解決方法は、振幅変化が十分大きくなるまで検出対象物の有無を判定することができず、それ故、近接スイッチと検出対象物との距離を大きくとることができないという問題が新たに生じる。
【0008】
また高周波発振型近接スイッチは、検出精度を向上させるため発振回路の温度特性を補償するだけでなく、この発振回路の出力信号の振幅変化を取り出す検波回路も同時に補償して温度変化に対して安定した出力が得られるように構成する必要がある。
本発明は、このような従来の問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、温度特性の良好な発振回路およびこの発振回路を用いて温度変化の影響を低減し、安定した検出精度を得ることが可能な高周波発振型近接スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成すべく本発明の発振回路は、LCタンク回路と、このLCタンク回路2含まれる直流抵抗成分によるエネルギー損失を補償して該LCタンク回路を共振させる負性抵抗回路と、この負性抵抗回路のトランスコンダクタンス値を可変制御するトランスコンダクタンス設定回路とを具備し、
前記負性抵抗回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第1のトランスコンダクタンスアンプと、この第1のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて所定レベルに該第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を制限する非線形回路とを有し、この非線形回路の出力信号を前記第1のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にフィードバックして構成され、前記トランスコンダクタンス設定回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第2のトランスコンダクタンスアンプと、この第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を受けて、その出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路とを備え、
前記第1および第2のトランスコンダクタンスアンプは、それぞれ前記積分回路から出力される制御信号を受けて、この制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることを特徴としている。
【0010】
また前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にその出力信号をフィードバックする可変抵抗器を備え、この可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴としている。
あるいは前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの出力に接続された電流源を備え、この電流源の電流値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴としている。
【0011】
また前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子に接続された基準電圧源を備え、この基準電圧源の電圧値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴としている。
上述の発振回路は、発振回路で用いるトランスコンダクタンス値が任意の一定値を保持するように第2のトランスコンダクタンス回路で発振回路の温度特性や素子のバラツキを補償する。したがって上述の発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑える。
【0012】
また上述の発振回路を用いた本発明の高周波発振型近接スイッチは、前記発振回路から出力される出力信号の振幅電圧を検波してその振幅に応じた直流電圧を出力する検波回路と、この検波回路が出力した直流電圧を受けて、この直流電圧と所定の電圧値とを比較して前記LCタンク回路に近接した物体を検出する比較回路と、この比較回路が前記LCタンク回路に近接した物体があると検出したときに物体検出信号を出力する出力回路とを備えることを特徴としている。
【0013】
上述の高周波発振型近接スイッチは、周囲温度が変化しても回路のトランスコンダクタンス値を所望の値に維持することができ、発振振幅の変化から回路の温度特性を除去する。
好ましくは前記検波回路は、前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電流を出力する第3のトランスコンダクタンスアンプと、この第3のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて該第3のトランスコンダクタンスアンプから出力される電流を蓄えて前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧を得る蓄電素子と
を備え、
前記第3のトランスコンダクタンスアンプは、前記トランスコンダクタンス値設定回路の前記積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることが望ましい。
【0014】
上述の高周波発振型近接スイッチは、検波回路に温度補償されたトランスコンダクタンス回路とコンデンサを用いたGm−Cフィルタを形成し、このGm−Cフィルタによる積分回路によって発振振幅に応じた積分電圧を作り、温度変化の少ない検波回路が構成される。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明の発振回路は、非線形回路を負性抵抗回路に設けて所定レベルに第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を制限するとともに、トランスコンダクタンス設定回路が第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路を備え、この積分回路から出力される制御信号によって第1および第2のトランスコンダクタンスアンプの温度特性や素子のバラツキを補償しているので、周囲温度の変化によってトランスコンダクタンス回路を構成する回路素子のパラメータが変化したとしても安定した所望の発振出力信号を得ることができる。したがって本発明の発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を効果的に抑えることが可能である。
【0016】
特にトランスコンダクタンス設定回路は、第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を入力端子にフィードバックする可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を自由に可変することもできる。
あるいはトランスコンダクタンス設定回路は、第2のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続された電流源の電流値を調整し、または第2のトランスコンダクタンスアンプの入力に接続された基準電圧源の電圧値を調整するようにしてトランスコンダクタンス値を可変することも可能である。
【0017】
また上述の発振回路を用いた本発明の高周波発振型近接スイッチは、発振回路を構成するトランスコンダクタンスアンプの温度特性や素子のバラツキによって生じるトランスコンダクタンス値の変化を積分回路から出力される制御信号によって補償している。このため、本発明の高周波発振型近接スイッチは、周囲温度が変化しても回路のトランスコンダクタンス値を所望の値に維持することができ、発振回路の温度依存性を低減することができる。
【0018】
更に本発明の高周波発振型近接スイッチを構成する検波回路は、温度補償されたトランスコンダクタンス回路を検波回路に適用するとともに、積分回路となるコンデンサを用いたGm−Cフィルタを用いているので、このGm−Cフィルタ(積分回路)によって発振振幅に応じた電圧信号を出力することができる。このため本発明の高周波発振型近接スイッチは、温度変化による影響を極力抑えた検波回路が構成できるので、温度特性の良好な高周波発振型近接スイッチを構成することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態に係る発振回路について図面を参照しながら説明する。尚、図1〜図5は、本発明を実施する形態の一例であって、これらの図中、図10および図11と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は図10および図11に示す従来のものと同様である。
さて、図1において1は、インダクタLおよびコンデンサCから構成されたLCタンク回路である。このLCタンク回路1には、詳細は後述するがインダクタLの寄生抵抗Rs(図1には図示せず)における損失を補償してLCタンク回路1を共振させる負性抵抗回路の役割を担う負性非線形抵抗回路10が接続される。この負性非線形抵抗回路10は、この回路が備えるトランスコンダクタンスアンプのトランスコンダクタンス値を制御するGm(トランスコンダクタンス)設定回路20によって制御される。このGm設定回路20は、負性非線形抵抗回路10のトランスコンダクタンス値が任意の一定値を保持するように作用し、発振回路を構成するトランスコンダクタンスアンプの温度特性や素子のバラツキを補償することでトランスコンダクタンス回路を構成する回路素子のパラメータが温度変化によって変化しても一定値を維持するよう作用する。
【0020】
具体的に負性非線形抵抗回路10は、第1のトランスコンダクタンスアンプ11と、この第1のトランスコンダクタンスアンプ11の出力端子に接続されて、第1のトランスコンダクタンスアンプ11から出力される出力信号の振幅を所定レベルに制限する可変非線形回路12を備える。この可変非線形回路12の出力信号は、第1のトランスコンダクタンスアンプ11の正入力端子にフィードバックされている。また第1のトランスコンダクタンスアンプ11の負入力端子は、基準電位であるシグナルグランドSGNDに接続される。したがって第1のトランスコンダクタンスアンプ11は、シグナルグランドSGNDと可変非線形回路12の出力電圧値との差分電圧値に応じた電流を出力する正帰還回路を構成する。
【0021】
一方、Gm設定回路20は、トランスコンダクタンス値を可変可能な第2のトランスコンダクタンスアンプ21と、この第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力信号を受けて、その出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路22を備えて構成される。また第2のトランスコンダクタンスアンプ21の正入力端子は、基準電位であるシグナルグランドSGNDに接続される一方、負入力端子は、陰極がシグナルグランドSGNDに接続された基準電圧源Vrefの正極に接続される。そして、第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子と負入力端子との間には、抵抗値を可変することができる可変抵抗器VRが介挿される。尚、この可変抵抗器VRは、温度特性の優れたデバイス、例えば金属皮膜可変抵抗器等を用いる。
【0022】
ところで、この可変抵抗器VRに加わる電圧は、トランスコンダクタンスアンプ21のフィードバックによって基準電圧源Vrefの電圧値に維持される。つまり第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値が所望の値より大きな値となった場合を想定すると積分回路22には、この可変抵抗器VRに流れる電流に加えて第2のトランスコンダクタンスアンプ21から出力される電流が流れ込むことになる。この電流は、積分回路22によって電圧値の変化として出力されて制御信号となる。この制御信号は、第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値を抑えるよう作用する。
【0023】
逆に第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値が所望の値より小さな値となった場合を想定すると、このときは積分回路22に流れ込む電流が減少し、積分回路22から出力される制御信号が第2のトランスコンダクタンスアンプ21のトランスコンダクタンス値を増加させるように作用する。
このようにGm設定回路20は、可変抵抗器VRの設定値に応じた所望のトランスコンダクタンス値を得ることができるように作用する。
【0024】
尚、前述した制御信号は、負性非線形回路を構成する第1のトランスコンダクタンスアンプ11にも与えられてトランスコンダクタンス値が所望の値になるように維持制御される。
概略的には上述したように構成された本発明の一実施形態に係る発振回路について、図2および図3に示す回路図を参照しながら、より詳細にトランスコンダクタンスアンプ11,21および可変非線形回路12について説明する。
【0025】
トランスコンダクタンスアンプは、例えば図2に示すように9個のMOSFET(M0〜M8)と2つの電流源I1,I2とから構成される。そしてトランスコンダクタンスアンプの負入力端子から入力される信号を、そのゲートで受けるMOSFET(M1)は、ドレインがカレントミラー回路を形成するMOSFET(M3)のドレインおよびゲートに接続される。一方、MOSFET(M1)のソースは、一端が基準電位VSSに接続された電流源I1の他端に接続される。またトランスコンダクタンスアンプの正入力端子から入力される信号を、そのゲートで受けるMOSFET(M2)のドレインは、カレントミラー回路を形成するMOSFET(M5)のドレインおよびゲートに接続され、MOSFET(M2)のソースは、一端が基準電位VSSに接続された電流源I2の他端に接続される。
【0026】
また負入力端子および正入力端子にそれぞれ接続されたMOSFET(M1,M2)のソース間には、Gm設定回路20から出力された制御信号を、そのゲートに入力されるMOSFET(M0)のドレインおよびソースがそれぞれ接続される。このMOSFET(M0)は、Gm設定回路20から与えられる制御信号に応じてトランスコンダクタンスアンプのトランスコンダクタンス値を変化させる役割を担う。
【0027】
そしてカレントミラーを構成する2組のMOSFET(M3,M4)のゲートは、負入力端子に接続されたMOSFET(M1)のドレインがそれぞれ接続される一方、各々のソースは、作動電源VDDに接続される。また、このカレントミラー回路を構成するMOSFET(M4)のドレインは、ソースが接地されたMOSFET(M7)のゲートおよびドレインに接続される。
【0028】
もう一方のカレントミラーを構成する2組のMOSFET(M5,M6)のゲートは、正入力端子に接続されたMOSFET(M2)のドレインにそれぞれ接続されて、各々のソースは、作動電源VDDに接続される。また、このカレントミラー回路を構成するMOSFET(M6)のドレインは、ソースが接地されたMOSFET(M8)のドレインが接続されるとともに、この信号ラインがトランスコンダクタンスアンプの出力端子VOUTとなる。ちなみにMOSFET(M8)のゲートには、他方のカレントミラー回路に接続されたMOSFET(M7)のゲートが接続される。
【0029】
このように構成されたトランスコンダクタンスアンプは、差動増幅器を構成する。そして負入力端子と正入力端子にそれぞれ接続されたMOSFET(M1,M2)のソース間に挿入したMOSFET(M0)のゲート電圧を調整することによって変化するMOSFET(M0)のドレイン・ソース間抵抗に応じてトランスコンダクタンス値を可変することができる可変トランスコンダクタンスアンプが構成される。
【0030】
このように構成された可変トランスコンダクタンスアンプのMOSFET(M0)を例えばNチャネルとした場合、ゲート・ソース間の電圧を高くするとドレイン・ソース間のインピーダンスが低下する。つまりMOSFETを線形領域で作動させた場合の電流(ドレイン電流;ID)・電圧特性およびトランスコンダクタンス値(Gm)は、それぞれ次式で求めることができる。
【0031】
ID=μ0COX(W/L)・(VGS−VTH)VDS
Gm=ID/VDS=μ0COX(W/L)・(VGS−VTH)
ここにμ0;移動度、COX;単位当たりのゲートキャパシタ、W;ゲート幅、L;ゲート長、VGS;ゲート・ソース間電圧、VDS;ドレイン・ソース間電圧、VTH;スレッショルド電圧である。
【0032】
この式が示すようにVGSの上昇に伴ってトランスコンダクタンス値が変化する。この変化を図示すると図3に示すようにGmの値が大きくなり、その傾きが増加するグラフを得ることができる。
次に上述した可変トランスコンダクタンスアンプの次段に接続された可変非線形回路12について図4を用いて説明する。この図において二点鎖線の左側に示した箇所が可変トランスコンダクタンスアンプであり、二点鎖線の右側に示した箇所が可変非線形回路12である。この可変非線形回路12は、可変トランスコンダクタンスアンプの出力段に設けられたMOSFET(M8)のドレイン・ソース間に所定の電流を流す電流源IBR1、カレントミラー回路を構成するMOSFET(M6)のゲートと共通にそのゲートが接続されるMOSFET(M9)を有している。このMOSFET(M9)は、作動電源VDDにそのソースが接続される一方、ドレインは、基準電位VSSにそのソースが接続されたMOSFET(M10)にそれぞれ接続される。またMOSFET(M10)のゲートは、可変トランスコンダクタンスアンプの出力段に設けられたMOSFET(M8)のゲートに接続される。
【0033】
尚、MOSEFET(M9)のソース・ドレイン間には一定の電流を流す電流源IBR2が接続され、更に別のカレントミラー回路を構成するMOSFET(M11)のソースとドレインとが並列に接続される。このMOSFET(M11)のゲートは、このMOSFET(M11)のドレインおよびカレントミラー回路を構成するもう一つのMOSFET(M12)のゲートに接続される。そしてカレントミラー回路を構成する2つのMOSFET(M11,M12)のソースは、それぞれ作動電源VDDに接続される。
【0034】
一方、可変トランスコンダクタンスアンプの出力段のMOSFET(M8)のドレインは、別のカレントミラー回路を構成する2つもMOSFET(M13,M14)のゲートにそれぞれ接続される。このうち一方のMOSFET(M13)には、更にこのゲートとドレインが接続される。そしてこのカレントミラー回路を構成する2つのMOSFET(M13,M14)のソースは、それぞれ基準電位VSSに接続される。
【0035】
また可変非線形回路12は、2つのMOSFET(M15,M16)のドレインがそれぞれ接続されて一方のMOSFET(M15)のソースが作動電源VDDに接続される一方、他方のMOSFET(M16)のソースが基準電位VSSに接続される。そしてMOSFET(M15,M16)のゲートは、それぞれ可変トランスコンダクタンスアンプの出力段を構成するMOSFET(M6,M8)のゲートにそれぞれ接続される。
【0036】
更に可変非線形回路12に設けられた2つのカレントミラー回路を構成するMOSFET(M12)およびMOSFET(M14)のそれぞれのドレインは、MOSFET(M15)およびMOSFET(M16)のドレインが接続されたラインに接続されて制御信号であるVCOUTを出力する。
このように構成された可変非線形回路12の作動について説明する。この可変非線形回路12は、図5のグラフに示すように可変トランスコンダクタンスアンプへ入力された入力電圧に比例する出力電流(回路Aの特性)に対して、図5の回路Bの特性および回路Cの特性にそれぞれ示したように回路Aの特性とは異なるトランスコンダクタンス特性を得ることができるよう構成されている。
【0037】
このグラフにおいて回路Bおよび回路Cの特性は、図4の回路における一点鎖線Bで示したMOSFET(M6,M8)と電流源IBR1(以下、回路Bと称する)および一点鎖線Cで示したMOSFET(M9,M10)と電流源IBR2(以下、回路Cと称する)によって生成される。ちなみに2つの電流源IBR1,IBR2は、図5のグラフに示した回路Aの特性から回路Bまたは回路Cの特性に変化する点の閾値電流を設定するものである。つまり閾値電流よりも前段の可変トランスコンダクタンスアンプから吐き出される出力電流が大きくなったとき、あるいは吸い込まれる電流が大きくなったとき、閾値電流を超えた分の電流が減少してVCOUTから出力されてLCタンク回路1に与えられ、その結果、発振回路から出力される出力電流は、可変非線形回路12によって減少する。
【0038】
一方、寄生抵抗Rsを含むLCタンク回路1の電圧・電流特性は、図5の一点鎖線に示す特性であり、回路Bおよび回路Cの特性をそれぞれ示す実線との交点までの電流値を出力振幅とする特性を得ることができる。そして2つの電流源IBR1,IBR2のそれぞれの電流源の電流値を可変することで図5のグラフの破線で示す回路Bまたは回路Cのそれぞれの特性を得ることができる。つまり本回路は、発振回路の出力振幅を任意に可変することができる。
【0039】
かくして本発明の第1の実施形態に係る発振回路は、負性非線形抵抗回路10に非線形回路を設けて第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を所定レベルに制限するとともに、トランスコンダクタンス設定回路が備える第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路を有するトランスコンダクタンス設定回路を備え、積分回路22から出力される制御信号によって第1および第2のトランスコンダクタンスアンプのトランスコンダクタンス値を制御し、発振回路の温度特性や素子のバラツキを補償しているので、温度変化によって回路素子のパラメータが変化しても一定値を維持することができる。したがって本発明の発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑えることが可能となる。
【0040】
特にトランスコンダクタンス設定回路は、第2のトランスコンダクタンスアンプの入力に出力をフィードバックする可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を自由に可変することができる。このため本発明は、発振回路から出力される振幅を自由に可変することが可能である。
次に本発明の第2の実施形態に係る発振回路ついて図6を参照しながら説明する。この第2の実施形態が前述した第1の実施形態と異なるところは、Gm設定回路20を構成する第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子と負入力端子に接続された可変抵抗器VRを廃し、その代わりに第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子に可変電流源23を設けた点にある。
【0041】
このように構成された本発明の第2の実施形態に係る発振回路は、Gm設定回路20が可変電流源23に設定した電流値を発生させるトランスコンダクタンス値となるよう作動する。したがって本発明の第2の実施形態に係る発振回路は、前述した第1の実施形態と同様にトランスコンダクタンス値を任意に設定することができる。このため、前述した第1の実施形態に係る発振回路と同様に本発明の第2の実施形態に係る発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑えることができるとともに発振回路から出力される振幅を自由に可変して調整することが可能である。
【0042】
次に本発明の第3の実施形態に係る発振回路ついて図7を参照しながら説明する。この第3の実施形態が前述した第1および第2の実施形態と異なるところは、Gm設定回路20を構成する第2のトランスコンダクタンスアンプ21の出力端子と負入力端子に接続された可変抵抗器VRを廃し、その代わりに固定抵抗Rを設けた点、および基準電圧源Vrefの代わりに可変電圧源24を設けた点にある。
【0043】
このように構成された本発明の第3の実施形態に係る発振回路は、可変電圧源24に設定した電圧値に応じた電流値を発生するようなトランスコンダクタンス値となるようGm設定回路20が作動する。したがって本発明の第3の実施形態に係る発振回路は、前述した第1および第2の実施形態に係る発振回路と同様にトランスコンダクタンス値を任意に設定することができる。このため、本発明の第3の実施形態に係る発振回路は、温度変化による発振振幅の変化を抑えることができるとともに発振回路から出力される振幅を自由に可変して調整することが可能である。
【0044】
次に上述した発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチについて図8を参照しながら説明する。この図において上述した第1〜第3の実施形態を示す図1〜図7並びに従来の構成を示す図10および図11と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は、これらの図に示すものと同様であるのでその説明を省略する。
図8においてLCタンク回路1および発振部25は、前述した第1〜第3の実施形態で説明した発振回路であって、前述した負性非線形抵抗回路10およびGm設定回路20をまとめて一つの回路ブロックとしたものであり、その構成内容は前述したとおりである。
【0045】
さて、この高周波発振型近接スイッチは、発振部25を形成する負性非線形抵抗回路10から出力される出力信号の振幅電圧を検波してその振幅に応じた直流電圧を出力する検波回路30、この検波回路30が出力した直流電圧を受けて、この直流電圧と所定の電圧値とを比較してLCタンク回路1に近接した物体を検出する比較回路40およびこの比較回路40がLCタンク回路1に近接した物体があると検出したとき、物体検出信号を出力する出力回路50とを備えて構成される。
【0046】
このように構成された本発明の一実施形態に係る高周波発振型近接スイッチは、前述したように発振部25を構成する負性抵抗回路が回路のバラツキや温度特性を補償した可変トランスコンダクタンスアンプで構成されているので物体の近接によるLCタンク回路1に生ずる損失抵抗の変化分を高い精度で検出することができる。それ故、温度変化によるトランスコンダクタンス値の変動分によるマージンをとる必要が無く、また検出対象物までの距離を十分大きくとることができる。
【0047】
尚、より好ましくは前述した高周波発振型近接スイッチを構成する検波回路についても同様に回路のバラツキや温度特性を補償することが望ましい。具体的には、図9のブロック図に示したように前述した検波回路30は、負性非線形抵抗回路10から出力される出力電圧の振幅に応じた電流を出力する第3のトランスコンダクタンスアンプ31、この第3のトランスコンダクタンスアンプ31の出力端子に接続されて、第3のトランスコンダクタンスアンプ31から出力される出力電流を整流するダイオードD、このダイオードDから出力される電流を蓄えて負性非線形抵抗回路10から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧を得る蓄電素子(コンデンサ)Ciを備えて構成される。そして第3のトランスコンダクタンスアンプ31は、Gm設定回路20の積分回路22から出力される制御信号を受けて、この制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御する。
【0048】
詳しくは負性非線形抵抗回路10の可変非線形回路12の出力に接続されたLCタンク回路1は、負入力端子がシグナルグランドSGNDに接続された第3のトランスコンダクタンスアンプ31の正入力端子に接続される。この第3のトランスコンダクタンスアンプ31は、前述したGm設定回路20の積分回路22から出力される制御信号によって、第1および第2のトランスコンダクタンスアンプ11,21とともにトランスコンダクタンス値が補償される。
【0049】
そして第3のトランスコンダクタンスアンプ31の出力端子は、この出力端子から出力される信号を整流して出力するダイオードDのアノードに接続され、そのカソードは、一端が接地されたコンデンサCiの他端に接続される。つまりダイオードDとコンデンサCiとで構成された回路によって、第3のトランスコンダクタンスアンプ31から出力される電流を蓄えて負性非線形抵抗回路10から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧をコンデンサCiの両端から得ることができる。そして、このコンデンサCiの出力は、図9に図示しない次段の比較回路に与えられる。
【0050】
このように構成された本発明の高周波発振型近接スイッチは、検波回路30についてもその回路のバラツキや温度特性を発振回路と同時に補償しているのでより高精度にLCタンク回路1に近接する物体を検出することができる。
ところで発明者は、このような特徴を備えた発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチの効果を確認するため従来の発振回路と比較する比較実験並びに回路シミュレーションを行った。この比較実験並びに回路シミュレーションは、LCタンク回路を構成するインダクタLのインダクタンスを200μH、その寄生抵抗Rsの抵抗値を3Ω、コンデンサCの静電容量を1.68nFとした。
【0051】
つまりLCタンク回路の共振インピーダンスZは、Z=L/(RC)=39.68kΩとなる。したがって、上述した第1の実施形態に係る発振回路に適用する場合、Gm設定回路のトランスコンダクタンス値が約1/40kΩとなるように可変抵抗器VRの値を調整すればよい。一方、従来の発振回路も、これと同様にトランスコンダクタンス値が上述の値になるようにトリミングを行って調整する。
【0052】
ちなみにこのLCパラメータにおける発振周波数(共振周波数)は、約300kHzであるが、実際にはインダクタLを構成するコイルコア(磁性体)の材質、特性によってその発振周波数が変化するのでコンデンサCの静電容量を調整して発振周波数を所望の周波数になるよう設定する。そして発振回路の周囲温度を−40℃〜+85℃と変化させて比較実験並びに回路シミュレーションを行った。
【0053】
その結果、従来の発振回路では±20%以上の変動が観測され、一方、本発明の発振回路は、±3%程度の変動に収まることが確かめられた。したがって本発明の発振回路およびこの発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチは、温度変化による発振振幅の変化を効果的に抑えることが検証できた。
尚、本発明の発振回路および高周波発振型近接スイッチは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発振回路の要部構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す可変トランスコンダクタンスアンプを構成する回路の一例を示す回路図。
【図3】図1に示す可変トランスコンダクタンスアンプの入力電圧・出力電流の特性を示すグラフ。
【図4】図1に示す可変トランスコンダクタンスアンプおよびGm設定回路の一例を示す回路図。
【図5】図1に示す可変非線形抵抗回路の入力電圧・出力電流の特性を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る発振回路の要部構成を示すブロック図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る発振回路の要部構成を示すブロック図。
【図8】本発明の発振回路を適用した高周波発振型近接スイッチの要部構成を示すブロック図。
【図9】図8に示す発振回路を適用した高周波発振型近接スイッチの要部構成を示すブロック図。
【図10】従来の発振回路を示す概略ブロック図。
【図11】図10に示す発振回路の要部構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0055】
1 タンク回路
10 負性非線形抵抗回路
11 第1のトランスコンダクタンスアンプ
12 可変非線形回路
20 Gm設定回路
21 第2のトランスコンダクタンスアンプ
22 積分回路
VR 可変抵抗器
Vref 基準電圧源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCタンク回路と、
このLCタンク回路に含まれる直流抵抗成分によるエネルギー損失を補償して該LCタンク回路を共振させる負性抵抗回路と、
この負性抵抗回路のトランスコンダクタンス値を可変制御するトランスコンダクタンス設定回路と
を具備し、
前記負性抵抗回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第1のトランスコンダクタンスアンプと、
この第1のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて所定レベルに該第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を制限する非線形回路とを有し、この非線形回路の出力信号を前記第1のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にフィードバックしてなり、
前記トランスコンダクタンス設定回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第2のトランスコンダクタンスアンプと、
この第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を受けてその出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路と
を備え、
前記第1および第2のトランスコンダクタンスアンプは、それぞれ前記積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にその出力信号をフィードバックする可変抵抗器を備え、
この可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続された電流源を備え、
この電流源の電流値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項4】
前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子に接続された基準電圧源を備え、
この基準電圧源の電圧値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチであって、
前記発振回路から出力される出力信号の振幅電圧を検波してその振幅に応じた直流電圧を出力する検波回路と、
この検波回路が出力した直流電圧を受けてこの直流電圧と所定の電圧値とを比較して前記LCタンク回路に近接した物体を検出する比較回路と、
この比較回路が前記LCタンク回路に近接した物体があると検出したときに物体検出信号を出力する出力回路と
を備えることを特徴とする高周波発振型近接スイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載の高周波発振型近接スイッチであって、
前記検波回路は、前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電流を出力する第3のトランスコンダクタンスアンプと、
この第3のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて該第3のトランスコンダクタンスアンプから出力される電流を蓄えて前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧を得る蓄電素子と
を備え、
前記第3のトランスコンダクタンスアンプは、前記トランスコンダクタンス値設定回路の前記積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることを特徴とする高周波発振型近接スイッチ。
【請求項1】
LCタンク回路と、
このLCタンク回路に含まれる直流抵抗成分によるエネルギー損失を補償して該LCタンク回路を共振させる負性抵抗回路と、
この負性抵抗回路のトランスコンダクタンス値を可変制御するトランスコンダクタンス設定回路と
を具備し、
前記負性抵抗回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第1のトランスコンダクタンスアンプと、
この第1のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて所定レベルに該第1のトランスコンダクタンスアンプから出力される出力信号の振幅を制限する非線形回路とを有し、この非線形回路の出力信号を前記第1のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にフィードバックしてなり、
前記トランスコンダクタンス設定回路は、そのトランスコンダクタンス値が可変制御される第2のトランスコンダクタンスアンプと、
この第2のトランスコンダクタンスアンプの出力信号を受けてその出力信号を積分した制御信号を出力する積分回路と
を備え、
前記第1および第2のトランスコンダクタンスアンプは、それぞれ前記積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子にその出力信号をフィードバックする可変抵抗器を備え、
この可変抵抗器の抵抗器を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続された電流源を備え、
この電流源の電流値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項4】
前記トランスコンダクタンス設定回路は、前記第2のトランスコンダクタンスアンプの入力端子に接続された基準電圧源を備え、
この基準電圧源の電圧値を調整してトランスコンダクタンス値を可変することを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発振回路を用いた高周波発振型近接スイッチであって、
前記発振回路から出力される出力信号の振幅電圧を検波してその振幅に応じた直流電圧を出力する検波回路と、
この検波回路が出力した直流電圧を受けてこの直流電圧と所定の電圧値とを比較して前記LCタンク回路に近接した物体を検出する比較回路と、
この比較回路が前記LCタンク回路に近接した物体があると検出したときに物体検出信号を出力する出力回路と
を備えることを特徴とする高周波発振型近接スイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載の高周波発振型近接スイッチであって、
前記検波回路は、前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電流を出力する第3のトランスコンダクタンスアンプと、
この第3のトランスコンダクタンスアンプの出力端子に接続されて該第3のトランスコンダクタンスアンプから出力される電流を蓄えて前記発振回路から出力される出力電圧の振幅に応じた電圧を得る蓄電素子と
を備え、
前記第3のトランスコンダクタンスアンプは、前記トランスコンダクタンス値設定回路の前記積分回路から出力される制御信号を受けてこの制御信号に応じたトランスコンダクタンス値に制御されることを特徴とする高周波発振型近接スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−66955(P2008−66955A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241428(P2006−241428)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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