説明

監視カメラシステム

【課題】多数の被看護者を対象にする時に、容体の急変した被看護者を抽出でき、その様子を見ながら看護者が適切に処置をできることを目的とする。
【解決手段】各被看護者に対してカメラ4a〜4dを備え、そのカメラ出力信号は映像処理装置3を介して、モニタ6に入力される。各被看護者は、脈拍、体温等の生体情報を測定できるセンサ1a〜1dを装着し、その生体情報は制御装置2が受信しており、被看護者に異常がないかどうか判断する。ある被看護者に異常が発生した場合には、制御装置2の指示信号により、映像処理装置3はその被看護者のカメラ信号のみをモニタ6に出力すると同時に、警告を発生し看護者に注意を促す。また、その指示信号に連動して記録装置5は、異常発生より一定時間前までのその被看護者の映像を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各病室などを監視して、被看護者の異常状態の発生を迅速に検知して報知する監視カメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば病院等における入院患者の緊急監視は、急な状況変化に対して、その患者本人がナースコールのボタンを押すことで、ナースステーション内に緊急事態を報知され、主にインターホンにより、音声により状況把握して、被看護者に対して適切な処置が行われている。
【0003】
このボタン操作を必要としない、緊急通報システムの一つの方法として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この従来の監視システムでは、被検者の人体に装着可能なライフセンサと、構内に設置されるライフコントローラとを備え、上記のライフセンサは、人体の脈拍、動き、音、体温等の生体情報(人体から得られる情報)を測定するセンサと、このセンサからの情報をライフコントローラに送る送信手段とを備えたものである。
【0004】
また、上記のライフコントローラは、ライフセンサからの情報を受信する受信手段と、この情報に基づき介護者に通報する通報手段とを備え、上記ライフセンサと上記ライフコントローラとの少なくとも何れか一方に、生体情報の正常、異常を判断する判定手段を有し、異常状態と判定された際に通報手段が介護者に通報を行う。
【0005】
また、この監視通報システムにおいて、監視センターは通報を受けた際、被検者に呼び返すための通信手段を有し、この通信手段がライフコントローラの設けられた構内に設置されたカメラからの映像情報を受信できるものであり、且つ、ライフセンサ或いはカメラに設けられたマイク及びスピーカによって音声情報を送受信できるものである。
【0006】
これによって、被検者自身がボタン等を操作を行わなくとも、自動的に被検者の健康状態を監視して適切な救護措置を取ることができるようになったものである。
【特許文献1】特開平10−155749号公報(第3−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記のような技術においては、特に多数の被看護者を対象にする時に、その操作が煩雑であり対処しにくい。また、異常状態になった以前の状態が不明のため、判断の参考にすることができない。
【0008】
本発明は、上述の従来の課題を解決するもので、特に多数の被看護者を対象にする時に、容体の急変した被看護者を抽出でき、その様子を見ながら看護者が適切に処置をできることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明は、被看護者の人体に装着し脈拍、体温等の生体情報を測定するセンサと、前記センサの出力情報を受信する制御手段と、被看護者を撮影するカメラと、前記カメラの出力映像信号を入力とする映像処理手段と、前記映像処理手段の出力映像信号を映すモニタとを備え、前記制御手段は前記センサからの生体情報の正常、異常を判定し、異常と判定した際には、前記カメラの映像をモニタに出力することを特徴とする監視カメラシステムである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、複数の被看護者の人体に装着し脈拍、体温等の生体情報を測定する複数のセンサと、前記各センサの出力情報を受信する制御手段と、各被看護者を撮影する複数のカメラと、前記各カメラの出力映像信号を入力とする映像処理手段と、前記映像処理手段の出力映像信号を映すモニタを備え、前記制御手段は前記センサからの生体情報の正常、異常を判定し、異常と判定した際には、その異常と判定した前記センサを装着している被看護者を撮影する前記カメラの映像を選択してモニタに出力することを特徴とする監視カメラシステムである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段が正常と判定した際には、前記モニタへ映像を供給しないことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の監視カメラシステムである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記制御手段が正常と判定した際には、前記モニタに前記複数のカメラ映像を分割して表示することを特徴とする請求項2記載の監視カメラシステムである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記制御手段が正常と判定した際には、前記モニタに前記複数のカメラ映像を所定の時間間隔で時分割で表示することを特徴とする請求項1及び請求項2記載の監視カメラシステムである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、夜間において前記制御手段が異常と判定した際には、その異常と判定した前記センサを装着している被看護者を撮影する前記カメラの感度を上げることを特徴とする請求項1および2記載の監視カメラシステムである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記映像処理手段に接続する記録手段を備えることを特徴とする請求項1および2記載の監視カメラシステムである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記制御手段が正常と判定した際には、前記記録手段は判定した時刻から一定時間前までの信号を除いて消去し、前記制御手段が異常と判定した際には、その異常と判定した前記センサを装着している被看護者を撮影する前記カメラの映像信号を消去しないことを特徴とする請求項6記載の監視カメラシステムである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記制御手段が異常と判定した際には、前記記録手段の映像信号を前記モニタに出力することを特徴とする請求項7記載の監視カメラシステムである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、特に多数の被看護者を対象にする時に、容体の急変した被看護者を抽出でき、その様子を見ながら看護者が適切に処置をできるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における監視カメラシステムの構成を示すブロック図である。このシステムでは、たとえば4人の被看護者を対象とし、各被看護者がそれぞれ装着するセンサ1a,1b、1c、1dと、そのデータを受信する制御装置2とを備えている。また、各被看護者を撮影するカメラ4a,4b、4c、4dと、映像処理装置3と、記録装置5と、モニタ6を備えている。以上のように構成された実施の形態1による監視カメラシステムの動作について、以下に図1を適宜参照し説明する。
【0021】
この監視カメラシステムでは、被看護者である例えば入院患者がそれぞれセンサ1a,1b、1c、1dを装着しており、脈拍、体温といった生体情報を感知し、その情報を制御装置2へと送信する。制御装置2では、各センサからの生体情報を受信し、あらかじめ登録された正常範囲の数値と比較し、各被看護者に異常がないかどうかを逐次判断する。
【0022】
また、各被看護者毎に、カメラ4a、4b、4c、4dを設置し、その撮影した映像信号は映像処理装置3へと接続され、記録装置5とモニタ6へと映像信号が供給される。
【0023】
通常時には、つまり制御装置2が正常と判定した際には例えば4分割した画面に4つのカメラ映像が映し出されるものとする。あるいは、モニタ6へ映像を供給しない、またはモニタ6に複数のカメラ4a〜4dの映像を所定の時間間隔で時分割表示してもよい。
【0024】
ここで、ある被看護者Aに急変が発生した場合を以下に説明する。このとき、被看護者Aが装着しているセンサ1aにより、脈拍、体温といった生体情報を感知しているが、その数値が設定していた範囲を越えているとき、被看護者Aに異常が発生したものと判断する。そして、制御装置2は映像処理装置3に対して、被看護者Aに異常が発生したことを知らせる制御信号を発生する。この制御信号を受けて、映像処理装置3は、異常の発生した被看護者Aを撮影しているカメラ4aの映像信号を選択し、モニタ6に出力する。
【0025】
この場合、その異常と判定したセンサ1aを装着している被看護者を撮影するカメラ4aの感度を上げてもよい。
【0026】
また、映像処理装置3には記録装置5が接続されているが、これは例えばハード・ディスク等から構成されており、常に各カメラの映像が現在の状態より直前の一定時間の間の信号が記録されているものとする。例えば常に各カメラ毎に直前5分間の映像信号が記録され、5分前以前の信号は消去される。ただし、被看護者に異常が発生したときには、その時点で記録されていたその被看護者の映像は消去されずに、保護されると共に、その後の信号も記録され続ける。そして制御装置2が異常と判定した際には、記録装置5の映像信号をモニタ6に出力するか、または、看護者の要請に従って、異常の起きる前の映像も再生し、見ることができる。
【0027】
なお、以上の説明では4人の被看護者の場合としたが、被看護者の人数は4人に限定するものではなく、モニタも1台と限定するものではない。
【0028】
ところで、カメラによる常時監視という行為が、被看護者にとってプライバシーの点で異議がある場合もあるので、モニタの映像を通常時には無画面とし、異常の発生した時のみ被看護者を映すという処理を行ってもよい。
【0029】
また、病院等での看護士による入院患者の監視においては、当然夜間の消灯時における監視もあるが、当然患者は睡眠中であるので、明るくすることはできない。そこで、夜間にはカメラを高感度モードにして撮影することとする。
【0030】
高感度モードにする方法としては、単純に信号のゲインを大きくするとノイズも増えてしまうので、例えば露光時間を通常より長くとって信号電荷を増やす方法がある。また、CCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子において、画素を互いに加算して信号電荷を増やす方法もある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明にかかる監視カメラシステムは、被看護者を監視して異常の起こった際に自動的にその被看護者の映像をモニタに映し出して看護者に警告するという特徴を有し、多数の入院患者を監視する監視カメラシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1における監視カメラシステムの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0033】
1a、1b、1c、1d センサ
2 制御装置
3 映像処理装置
4a、4b、4c、4d カメラ
5 記録装置
6 モニタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被看護者の人体に装着し脈拍、体温等の生体情報を測定するセンサと、
前記センサの出力情報を受信する制御手段と、
前記被看護者を撮影するカメラと、
前記カメラの出力映像信号を入力とする映像処理手段と、
前記映像処理手段の出力映像信号を映すモニタとを備え、
前記制御手段は前記センサからの生体情報の正常、異常を判定し、
異常と判定した際には、前記カメラの映像をモニタに出力することを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項2】
複数の被看護者の人体に装着し脈拍、体温等の生体情報を測定する複数のセンサと、
前記各センサの出力情報を受信する制御手段と、
前記各被看護者を撮影する複数のカメラと、
前記各カメラの出力映像信号を入力とする映像処理手段と、
前記映像処理手段の出力映像信号を映すモニタとを備え、
前記制御手段は前記センサからの生体情報の正常、異常を判定し、
異常と判定した際には、その異常と判定した前記センサを装着している被看護者を撮影する前記カメラの映像を選択してモニタに出力することを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項3】
前記制御手段が正常と判定した際には、前記モニタへ映像を供給しないことを特徴とする請求項1および請求項2記載の監視カメラシステム。
【請求項4】
前記制御手段が正常と判定した際には、前記モニタに前記複数のカメラ映像を分割して表示することを特徴とする請求項2記載の監視カメラシステム。
【請求項5】
前記制御手段が正常と判定した際には、前記モニタに前記複数のカメラ映像を所定の時間間隔で時分割で表示することを特徴とする請求項2記載の監視カメラシステム。
【請求項6】
夜間において前記制御手段が異常と判定した際には、その異常と判定した前記センサを装着している被看護者を撮影する前記カメラの感度を上げることを特徴とする請求項1および2記載の監視カメラシステム。
【請求項7】
前記映像処理手段に接続する記録手段を備えることを特徴とする請求項1および2記載の監視カメラシステム。
【請求項8】
前記制御手段が正常と判定した際には、前記記録手段は判定した時刻から一定時間前までの信号を除いて消去し、
前記制御手段が異常と判定した際には、その異常と判定した前記センサを装着している被看護者を撮影する前記カメラの映像信号を消去しないことを特徴とする請求項6記載の監視カメラシステム。
【請求項9】
前記制御手段が異常と判定した際には、前記記録手段の映像信号を前記モニタに出力することを特徴とする請求項7記載の監視カメラシステム。


【図1】
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【公開番号】特開2006−247014(P2006−247014A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65247(P2005−65247)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】