説明

目的地案内方法および目的地案内を実行するための装置、ならびに相応のコンピュータプログラムと相応のコンピュータ読出し可能記憶媒体

本発明は、目的地案内方法および目的地案内を実行するための装置、ならびに相応のコンピュータプログラムと相応のコンピュータ読出し可能記憶媒体に関するものである。
ここでは、所要の走行操作に従うと最高の安全性が得られる走行ルートが選択される。ここでは、車両周囲の現在の交通状況に関する情報が評価され、計算された走行ルートから得られる走行戦術の危険性が、少なくとも1つのコンピュータプログラムによる評価結果を使用して評価され、走行指示が評価の関数として出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地案内方法および目的地案内を実行するための装置、ならびに相応のコンピュータプログラムと相応のコンピュータ読出し可能記憶媒体に関するものである。
これらは車両ナビゲーションシステムを使用する適応的目的地案内のために使用することができ、走行安全性と走行快適性を向上させる。
【背景技術】
【0002】
すでに交通密度を推定し、渋滞を警告ないしは道路交通の障害を検知するためのアルゴリズムは公知である。これらのアルゴリズムは、静的および/または動的な交通データを処理する。これらの交通データは例えば走行路に設置された測定ループを介して、または個別の車両での測定によって得られる。個別の車両では先行車両または後続車両までの間隔データが、インテリジェント型車間クルーズコントロールないしはいわゆるACCシステム(ACC=Adaptive Cruise Control)の測定装置によって求められる。または車両の固有速度が記録される、等々。交通状況を評価するためのこの種のアルゴリズムは通常は交通センターで使用される。しかし車両の搭載コンピュータで離散的に、これらのデータの処理のために使用することもできる。現在開発中の車両−車両通信により、この種の計算のために必要なデータを交換することができる。
【0003】
交通状況を検出するためのこのような中央システムの他に、例えばUS 5 291 412 Aから車両ナビゲーションシステムが公知である。この車両ナビゲーションシステムは通常は衛星によりサポートされ、車両の現在地を高精度で検出することができる。現在の車両ナビゲーションシステムは、車両現在地から所望の目的地までの最短ルート、最速ルート、または最適ルート(通常は前記2つの基準の混合)を計算する。ここでも目下の交通情報ニュースが考慮される。したがって相応のTMC接続を備えるこのシステムは、回避ルートがより有利であれば渋滞を迂回することができる。
【0004】
さらにいわゆる車線アシスタントと称される解決手段も公知である。この車線アシスタントは、センサによって車両の軌跡特性を監視し、車両が一度使用した車線を去ることを運転者に通知する。これにより車両が不所望に車線から逸脱することが阻止される。
【0005】
しかし公知のシステムはこれまで目的地案内ないしは交通監視のためにだけ使用され、計画された走行操作の安全性を評価するためには使用されていない。車両コンセプトでは安全性のテーマがますます重要な役割を果たすようになっている。できるだけ迅速に目的地案内することだけが重要なのではなく、できるだけ安全に案内することも重要である。このことは現在では、走行指示を早期に出力することによって保証されている。それでもなお不利な交通状況では、運転者が例えば高速度路を出るという指示に適時に従うことができないことがあり得る。なぜなら、運転者がおそらくは最外の追越し車線にいて、運転者が横切らなければならない他の車線が比較的混んでいる場合である。走行指示に従うことは運転者および他の道路使用者にとって、場合により危険にさらされることを意味するであろう。これまで車両ナビゲーションシステムは、このような危険状況を識別することができなかった。したがって公知のシステムを、この観点で拡張することが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記の欠点を回避し、とりわけ走行安全性を向上させる目的地案内方法および目的地案内を実行するための装置、ならびに相応のコンピュータプログラムと相応のコンピュータ読出し可能記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明により請求項1,19,22,23に記載の特徴によって解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の構成を備える本発明の方法は、本発明の目的地案内方法のユーザ、例えば車両運転手、自転車運転手、インラインスケーター、歩行者に走行推奨を提供するという利点を有する。この走行推奨は、択一的目的地案内に対して高い安全性を行路進行時に保証する。このことは、走行目的地および出発地に関する指示に基づいて、少なくとも1つのルートを計算し、走行推奨を計算されたルートの危険性の関数として出力することにより行われる。本発明の目的地案内方法の有利な実施形態では、ルートが静的および/または動的な危険性に関して評価される。ここで有利には、静的危険性は初期ルート計算の際にすでに考慮される。これに対して動的危険性は有利には短期間、ルート計算に導入される。
【0009】
本発明の目的地案内方法の別の有利な実施形態では、危険性がルート評価の際に、目的地案内方法のユーザに依存して考慮される。例えば歩行者が目的地案内方法を使用する場合、急峻な区間または通り、人気の少ない区間または通り、滑りやすい区間または通り、夜の公園または広場が比較的に高い危険性により評価され、自転車運転手が目的地案内方法を使用する場合、自転車用区間を特別に評価することができ、車両運転手が目的地案内方法を使用する場合、所定の領域、例えばラッシュアワー中の市街地、または終業後の出口道路を評価の際に特別に考慮することができる。
【0010】
本発明の目的地案内方法の別の有利な実施形態では、目的地案内方法のユーザ周囲の現在の交通状況に関する情報が評価される。とりわけ目的地案内方法のユーザが車両運転手の場合、車両周囲の情報が評価される。運動行動ないしは得られた走行操作の危険性は、評価結果を使用して少なくとも1つのコンピュータプログラムによって評価される。そして走行推奨がこの評価に依存して出力される。ここで運動行動、とりわけ走行操作とは、右左折、車線変更等、または歩行者の方向変更、さらに提案されたルートに追従するために必要なすべての行動であると理解されたい。例えば、現在走行中のルートでさらなる区間経過に対して複数の選択肢が生じる場合、例えば交差点または高速道路出口でルートが評価される。この場合、出発点は車両または歩行者のそれぞれの現在地である。
【0011】
危険性評価は有利には、
・それぞれの(走行)ルートに従うために必要な右左折過程に対して、および/または
・それぞれの(走行)ルートに従うために必要な車線変更に対して行われる。および/または危険性評価は、
・道路使用者、例えば自動車の周囲の交通密度、
・自動車の速度、および/または
・択一的(走行)ルートを考慮する。
【0012】
本発明の方法の有利な実施形態では、コンピュータプログラムがナビゲーションシステムへの少なくとも1つのインタフェースを有する。ここでナビゲーションシステムは例えば車両ナビゲーションシステム、または携帯電話またはPDAにインストールされたナビゲーションシステムである。またはコンピュータプログラムはこのようなナビゲーションシステムに組み込まれており、走行推奨がナビゲーションシステムによって危険性評価に依存して出力される。
【0013】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、走行ルートの計算が、走行時間および走行ルート距離に関しての走行ルートの評価を含む。走行ルートから生じた走行操作は危険性および代替走行ルートに対する走行時間差および/または走行ルート距離差に関して評価される。これにより、比較的に安全な代替走行ルートによる迂回路の距離ないしは走行時間延長と安全性利得との間の不均衡が回避される。まったく同じように歩行者のルートも、ルートを進むのに必要な時間およびルート距離に関して評価される。ルートから得られた歩行者の運動行動は同様に危険性および代替ルートに対する時間差および/またはルート距離差に関して評価される。
【0014】
このことは、走行操作の危険性の評価に依存して走行指示の出力時点が決定される場合には、走行安全性の向上にも用いられる。走行操作の危険性が高い場合には、時間および/または距離に関して最適化された走行ルートに対する走行指示の出力が、危険性が低い場合よりも早期に行われる。この場合、最適走行ルートに対する走行指示が出力される。しかし最適走行ルートに対する走行操作の危険性が高い場合、走行時間および走行ルート距離に関して次善の走行ルートに対する走行指示を出力する。歩行者に対しては出力時点が異なることはさほど意味がない。なぜなら歩行者には通常、選択すべきルートに関して判断するだけの時間があるからである。歩行者は目的地案内に専念することができる。したがって他の実施形態では、どのルートにはどのような危険性があるかについて多数の情報が出力され、ユーザは自分にとって快適な経路を自分で決定することができる。
【0015】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、ナビゲーション指示ないしは走行推奨が複数の代替(走行)ルートに対して出力される。ここではナビゲーション指示ないしは走行指示の出力順序が、それぞれの(走行)ルートの評価によって決定されると有利である。さらに本発明の別の有利な実施形態では、それぞれのルートを走行するのに必要な予想時間および/または(走行)ルートの距離についての情報が付加的に出力される。この場合、ユーザ、すなわち車両運転者、サイクリスト、インラインスケーター、または歩行者には走行指示の判断に重要なすべての情報が出力される。
【0016】
カー・ツー・カー通信システムが存在する場合、本発明の方法の別の有利な実施形態では、走行ルートが、同様にカー・ツー・カー通信システムを有する隣接する車両との自動的同調によって決定される。この場合は危険性が低く評価される。なぜなら協調走行行動が可能だからである。
【0017】
ナビゲーション指示ないし走行指示は、音響的および/または視覚的に出力することができる。とりわけ車両の運転者(自動車、オートバイ、自転車等)にとって、視覚的出力の場合はナビゲーション指示ないし走行指示を、評価に依存して種々異なる色および/または種々異なる明度段階で出力すると有利であることが判明した。なぜならこれによって車両運転者は一目で走行状況を理解するからである。
【0018】
本発明の方法の有利な実施形態では、現在の交通状況に関する情報が、
レーダセンサ、
ビデオセンサ、
カー・ツー・カー通信システム、
車両周囲通信システム、
(カー・ツー・インフラストラクチャ通信システム)
TMCシステム(TMC = Traffic Message Channel)、
交通センター、および/または
交通案内装置
を介して得られる。以下、概念「通信システム」の代わりに簡単な概念「センサ」を使用する。なぜならこのシステムは、受信機によりセンサデータと同じように見なすことのできるデータを受信するからである。ここでは車両ナビゲーションシステムを外部のセンサ、例えばレーダセンサ、ビデオセンサ、カー・ツー・カーセンサおよび/またはカー・ツー・インフラストラクチャセンサに、バスシステムまたはエアインタフェースを介して接続することができる。
【0019】
本発明の装置は少なくとも1つのチップおよび/またはプロセッサを有する。このチップおよび/またはプロセッサは、目的地案内方法を実行するように構成されており、計算されたルートの危険性の関数として走行推奨が出力される。
【0020】
本発明の別の装置は少なくとも1つのチップおよび/またはプロセッサを有する。このチップおよび/またはプロセッサは、自動車を案内するための方法を実行するように構成されている。
ここでは、車両周囲の現在の交通状況に関する情報が評価され、計算された走行ルートから得られる走行操作の危険性が、少なくとも1つのコンピュータプログラムによる評価結果を使用して評価され、走行指示が評価の関数として出力される。
【0021】
本発明の装置の有利な実施形態では、ナビゲーションシステム、とりわけ車両ナビゲーションシステムを有する。
【0022】
本発明の別の有利な実施形態では、装置が少なくとも1つの
レーダセンサ、
ビデオセンサ、
生物測定センサ(運転行動を検出するため)、
車両周囲センサ(温度、明るさ、湿度等)、
カー・ツー・カーセンサ、および/または
車両周囲センサ(カー・ツー・インフラストラクチャセンサ)を有する。この種のセンサが装備された車両は、現在の交通イベントを観察し、推定することができる。この場合、車両ナビゲーションシステムにこれらの情報を、インタフェースを介して提供することができる。これらの情報は車両ナビゲーションシステムにより、運転者に代替走行指示または新たな走行指示を出力するために使用することができる。この走行指示は運転者にとって、場合によっては多少の回り道かもしれないが、ストレスおよび危険性のより少ない走行指示である。
【0023】
本発明のコンピュータプログラムにより、これがデータ処理装置のメモリにロードされるとデータ処理装置は目的地案内方法を実行することができ、走行推奨は計算されたルートの危険性の関数として出力される。
【0024】
本発明のコンピュータプログラにより、これがデータ処理装置のメモリにロードされると、自動車の案内方法が実行される。
ここでは、車両周囲の現在の交通状況に関する情報が評価され、計算された走行ルートから得られる走行操作の危険性が、少なくとも1つのコンピュータプログラムによる評価結果を使用して評価され、走行指示が評価の関数として出力される。
【0025】
このようなコンピュータプログラムは例えば(有料または無料で、自由にまたはパスワード保護して)データまたは通信ネットワークでダウンロードできるよう提供することができる。このようにして提供されるコンピュータプログラムは、請求項22によるコンピュータプログラムが電子的データネットワーク、例えばインターネットから、このデータネットワークに接続されたデータ処理装置にダウンロードされると本発明の方法によって使用することができる。
【0026】
自動車を本発明により案内することができるようにするため、データ処理装置のメモリにロードされると目的地案内方法を実行することができるプログラムの記憶された、コンピュータにより読出し可能な記憶媒体が使用される。ここで走行推奨は計算されたルートの危険性の関数として出力される。
【0027】
本発明のコンピュータにより読出し可能な記憶媒体は、これに記憶されたプログラムがデータ処理装置のメモリにロードされると、データ処理装置に自動車の案内方法を実行させる。
ここでは、車両周囲の現在の交通状況に関する情報が評価され、計算された走行ルートから得られる走行操作の危険性が、少なくとも1つのコンピュータプログラムによる評価結果を使用して評価され、走行指示が評価の関数として出力される。
【0028】
本発明の格別の利点は、安全性に依存する走行指示である。この指示は場合により、目的地までの距離および走行時間に関しては次善のものかもしれないが、その代わりに事故の危険性は低減されている。この危険性は、外部のセンサ情報を供給して評価され、迂回路に対して重み付けされる。これにより安全性利得に対して不均衡に大きな迂回路または長い走行時間が回避される。
【0029】
本発明を以下では付属の図面の実施例を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の装置の個々のコンポーネントの作用を概略的に示す図である。
【図2】次善の走行指示をもたらす交通状況を示す図である。
【図3】光学的な走行指示の例を示す図である。
【図4】ルート評価に対する危険性関連イベントの群分けを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を種々の実施例について説明する。
【0032】
本発明では区間推奨が危険性の関数として出力されるから、種々の危険性形態について詳細に説明する(図4も参照)。
【0033】
本発明の実施形態では、危険性が静的危険性と動的危険性に分けられる。ここで動的危険性はさらに弱動的と強動的に分けることができる。
静的危険性:
静的危険性は、恒久的に、ハイドログラフモードで、および/または季節的に発生することがある。
【0034】
恒久的危険性は例えば所定の市街地領域(例えばブロンクス)または所定の区間に対して設定することができる。所定の区間の静的かつ恒久的危険性は、この区間が見通しが悪い場合、トンネルまたは地下道を通過する場合、または勾配がきつい、人気がない、または滑りやすい場合に設定することができる。
【0035】
このために別の有利な実施形態では、ユーザが個別の危険性を前もって自分のシステム制御部で理想的に評価ないし重み付けすることができる。これにより、老人は例えば勾配のきつい区間を完全に回避することができ、若者は危険性をわずか10%にセットすることができる。同様に地下道に対する評価を女性と男性とで異なる強さにすることができる。個々の条件はすべてのユーザに対して均等に(場合により異なって重み付けされた)危険である。例えばブロンクスのような市街地領域は歩行者、サイクリスト、インラインスケーターにとっても、オートバイ運転者または自動車運転者にとっても常にある程度の危険性である。同じくルートの所定の条件、例えば踏切はすべてのユーザにとっていつでも危険であり、恒久的危険性にランク付けられる。他の恒久的危険性は個別のユーザ、例えばオートバイ運転者または歩行者/サイクリストに関連する。例えば多数の右左折過程または車線変更のある区間は、車両03に対して高められた危険性により評価することができる。相応にして、自転車用道路のある区間はサイクリストに対して優先されるであろう。すなわち自転車用道路のないルートよりも低い危険性により評価される。サイクリストおよび歩行者に対しては、見通しが悪い、勾配が急である、人気がない、または滑りやすいのような通常のルート特性の評価の他に、ルートが地下道を有しているか、多数の信号のない横断が必要であるか、ルートを横断しなければならないときに横断歩道のない広い道路であるか否かも意味があろう。
【0036】
所定の領域または所定の区間、例えば都心部または出口道路、ラッシュアワー中、または夜の道路、公園、広場はハイドログラフモードでは、異なる高さの危険性により評価すべきである。この場合も、車両03に対する危険性の推定は、歩行者ないしはサイクリストに対する危険性推定とは異なって評価すべきであろう。車両03に対しては、通勤ラッシュ中の領域または区間を比較的高い危険性により評価すべきであろう。一方、歩行者およびサイクリストに対しては「夜の道路、公園、広場」の基準が重要である。
【0037】
すべての道路使用者に対する静的な、季節による危険性は、例えば冬の峠道である。
【0038】
その他に、静的な季節による危険性および治安上の危険性をルート計算の際に考慮することができる。これは例えば、交尾期間中の薄明時での野生動物の道路横断である。これは本発明の実施形態では、車両03に対するルート計算の際に考慮される。
【0039】
静的危険性の別のサブグループとして、本発明の実施形態では、静的擬似恒久的危険性がルート計算ないしルート評価の際に考慮される。これは例えば相応に道路が狭くなる工事現場であり、すべての道路使用者に対して危険であるとランク付けられる。
【0040】
本発明の別の有利な実施形態では、危険グループ「弱動的」が設けられている。天候はこのような弱動的危険性である。天候は場合によりすべての道路使用者に対してルート計算の際に異なる重み付けで影響する。したがって多数のカーブのある区間、舗装状態に悪い区間、海抜の高い位置にある区間、雪解け時の砂利舗装道路等が相応の天候の際に相応に高い危険性により評価される。
【0041】
他の弱動的危険性は例えば特別の走行行動、短時間の工事現場、デモ行進、デモンストレーションないしはスポーツ開催である。これらは、左折時、車線変更時、市街地での運転または降雪時(特別の運転行動)、道路が狭くなるとき(短時間の工事現場)、ないしはフーリガンの出現時(デモンストレーション、デモ行進、ないしはスポーツ開催)に不確定性について相応に評価される。
【0042】
ルートの評価に対して重要なさらなる危険性グループは強動的な危険性である。この強動的危険性は、とりわけ車両03の現在の走行状況から生じる。例えば車両03の周囲情報を考慮すれば、これは車両03の固有速度および/または可能な代替ルートである。車両03の周囲情報は、例えばレーダセンサ、ビデオセンサ、カー・ツー・カーセンサ、カー・ツー・インフラストラクチャセンサ等によって検出される。これらのパラメータは既存の走行ルートの走行操作、例えば所要の車線変更または右左折操作の際に考慮される。
【0043】
本発明の実施形態では、静的な影響と、場合により弱動的影響がルート計算の際に考慮され、強動的影響は短期間だけ計算に影響を与える。危険性の形態に応じて、走行推奨を種々異なるやり方で出力することができる。例えば静的危険性の場合、最適ルートに対する指示を早期に出力することができ、これにより危険な状況においてこの指示によって注意が逸らされないようにする。強動的影響の場合は危険な状況において次善の指示を出力することができ、これにより危険に満ちた走行操作を回避する。危険の少ない状況では複数の代替指示を出力することができよう。この代替指示の順序および/または代替指示についての付加情報の順序は、ナビゲーションシステムのユーザに、それぞれのルートと結び付いた利点および欠点を指摘する。
【0044】
歩行者には目的地案内に専念する時間があるから、本発明の別の実施形態では、どのルートにはどのような危険性があるかについての付加的情報が出力される。これによりユーザはどの道が自分にとってより快適であるかを自分で決定することができる。
【0045】
別の実施形態で本発明は、従来の車両ナビゲーションシステム01の拡張として構成することができる。車両ナビゲーションシステム01は外部のセンサ02、例えばレーダセンサ、ビデオセンサ、カー・ツー・カーセンサおよび/またはカー・ツー・インフラストラクチャセンサに、バスシステムまたはエアインタフェースを介して接続することができる。これらのセンサ02は、車両03の周囲における現在の交通事象についての情報を送出する。これらの情報によって、車両ナビゲーションシステム01は危険性を評価することができ、時間および距離について最適な走行操作を実行することができる。すなわち最短距離ルート、最短時間ルートないしは最適なルートを辿る走行操作を実行することができる。このために有利な実施形態では、車両ナビゲーションシステム01は、最適の走行指示に従う際の危険性を評価する手段04と、可能な迂回路を考慮して安全性に関して最適の走行指示を決定するための手段05を有する。安全性に関して最適の走行指示を決定するための手段05は、有利な実施形態では危険性を、可能な迂回路または時間損失に対して重み付けする。この危険性が小さければ、例えば直進走行または一車線道路への右左折の場合、最適走行指示が出力される。この危険性が比較的に高ければ、例えば交通密度が高いときに車線変更が必要となるような複数の車線06を有する道路への右左折の場合、場合によっては次善の走行指示が出力される。図2にはこのような状況が示されている。車両03は、現在の時点で一番左側の車線にいる。運転者は、最適の走行ルートによれば本来、右折しなければならない。しかしそのためには交通が密であっても2つの車線変更を実行しなければならない。したがって、生じる迂回路が過度に大きなものでなければ「直進」が推奨されることとなる。
【0046】
このような状況では次の選択肢を設けることができる。
・最適の走行指示が通常よりも早期に出力される。これにより運転者は、正しく順応し、走行操作を確実かつストレスなしで実行するのにより多くの時間が得られる。この構成の拡張バージョンでは、この最適の走行指示に従うことが重要であると運転者に明示的に通知される。なぜならそうでないと例えば20km以内に高速道路出口がなく、x kmの迂回路を取ることになり、相応に時間を損失することになるからである。
・次善の走行指示が出力される。例えば運転者には、本来、高速道路を出るべきであるが、右に留まって直進走行することが推奨される。しかしここでの迂回路は、最適の走行指示に従うことが意味する危険性と合理的な関係にある。運転者はこの場合、自分が本来、高速道路を出るべきであったが、ストレスなしで目的地に到着することにまったく気が付かないこともある。なぜなら運転者は走行指示に、「伸るか反るかの覚悟で」従うことを試みないからである。次の出口で、運転者に出ることが要請される。
・複数の択一的走行指示が出力される。例えば運転者には直進するか、または右折することが推奨される。ここで指示の順序により、最適の指示と次善の指示を区別することができる。別の拡張バージョンでは、選択肢に対する距離および/または時間を出力することができる。
・別の変形実施例、とりわけカー・ツー・カーセンサが存在する場合では、自車03が自分の右左折予定を他の道路使用者07と協調し、協同して問題なしに最適の経路を走行することができる。
・別の実施形態では、交差点のすべての可能な出口経路に対してルートを計算し、運転者にこれらの択一的時間情報および距離情報を提供する。
【0047】
運転者に択一的走行ルートについての概観を情報通知するために、車両ナビゲーションシステム01には安全性に最適の走行指示を出力するための手段08が設けられている。これは例えばヒューマン・マシンインタフェース(HMI)である。有利には、安全性に関して最適の走行指示を出力するためのこの手段08は、走行指示を音響的および視覚的に出力することができる。光学的出力のためには、種々異なる区間に色標識を付すことができる(図3参照)(暗い区間が例えば優先され、明るい区間は不利である。グレー値に応じて運転者は、どの手段が実際に議論に値するのか一目で分かる)。択一的に、色、線の太さ、実線/破線表示等により動作することもできよう。同様に音響的には、指示の音量または順序により動作することができる。
【0048】
しかし前記の回転表示は2D表示または3D表示に転用することができる。すなわち表示は、2次元マップまたは3次元マップの任意の縮尺で使用することができる。このことは所定の状況では有利である。すなわち運転者が種々の区間経過に関して比較的に大きな概観を得る場合に有利である(例えばルートとピクトグラムの3D表示、またはビデオ画像/フォト画像)。
【0049】
これらすべてのシナリオでセンサ系02の他に、車線06の数と個々の車線06での右左折の可能性を識別することが重要である。したがって本発明の方法を実施する際には相応の地図資料にアクセスする。
車両ナビゲーションシステム01に対する前記の視点は、歩行者、サイクリスト、インラインスケーター、他の趣味スポーツマン、または低速で移動する他の使用者により使用されるナビゲーションシステムに対しても当てはまる。この種のナビゲーションシステムは通例、移動端末機、例えばPDA、電子旅行ガイドまたは携帯電話に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地および出発地についての指示に基づいてナビゲーションシステムにより少なくとも1つのルートが計算される目的地案内方法において、
走行推奨が、計算されたルートの危険性の関数として出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項2】
請求項1記載の目的地案内方法において、
ルートは静的および/または動的危険性に関して評価される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項3】
請求項2記載の目的地案内方法において、
静的危険性はすでに最初のルート計算の際に考慮される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項4】
請求項2記載の目的地案内方法において、
動的危険性は短期間、ルート計算に影響する、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
危険性はルートの評価の際に、目的地案内方法のユーザに依存して考慮される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
目的地案内方法のユーザの周囲の現在の交通状況に関する情報が評価され、計算された走行ルートから得られる運動行動の危険性が、少なくとも1つのコンピュータプログラムによる評価結果を使用して評価され、走行推奨が評価の関数として出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項7】
請求項6記載の目的地案内方法において、
コンピュータプログラムはナビゲーションシステムへの少なくとも1つのインタフェースを有し、またはコンピュータプログラムはナビゲーションシステムに組み込まれており、
走行推奨はナビゲーションシステムによって危険性評価の関数として出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
ルートの計算は、ルートを走行するのに必要な時間およびルート距離に関するルートの評価を含んでおり、
ルートから生じた運動特性は、危険性および時間差および/またはルート距離差に関して代替ルートに対して評価される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
運動特性の危険性の評価に依存して、走行推奨の出力時点が決定される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項10】
請求項9記載の目的地案内方法において、
運動行動の危険性が高い場合、時間および/または距離に関して最適化されたルートに対する走行推奨の出力が、危険性が低い場合よりも早期に行われる、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
最適ルートに対する運動行動の危険性が高い場合、時間およびルート距離に関して次善のルートに対する走行推奨が出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
複数の代替ルートに対する走行推奨が出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項13】
請求項12記載の目的地案内方法において、
走行推奨の出力順序はそれぞれのルートの評価によって決定される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項14】
請求項12または13記載の目的地案内方法において、
ルートの時間および/または距離についての情報が付加的に出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
目的地案内方法が車両運転者により使用される場合、走行ルートは隣接する車両と自動的に協調して決定される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
走行推奨が視覚的に出力される場合、走行推奨は評価に依存して種々異なる色またはグレー値で、および/または種々異なる明るさ段階で出力される、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
現在の交通状況に関する情報は、
レーダセンサ、
ビデオセンサ、
生物測定センサ、
車両周囲状況センサ、
カー・ツー・カーセンサ、
車両周囲センサ(カー・ツー・インフラストラクチャセンサ)、
TMCシステム(TMC = Traffic Message Channel)、
交通センター、および/または
交通案内装置
を介して得られる、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか一項記載の目的地案内方法において、
危険性評価は、
・それぞれのートに従うために必要な右左折過程に対して、および/または
・それぞれのルートに従うために必要な車線変更に対して行われ、および/または危険性評価は、
・自車(03)の周囲における交通密度、
・自車(03)の速度、および/または代替ルートを考慮する、ことを特徴とする目的地案内方法。
【請求項19】
少なくとも1つのチップおよび/またはプロセッサを有する装置であって、該チップおよび/またはプロセッサは、目的地案内方法が実行可能であるように構成されており、
走行推奨が、計算されたルートの危険性の関数として出力される装置。
【請求項20】
請求項19記載の装置において、
前記装置はナビゲーションシステムを含む、ことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項19または20記載の装置において、
該装置は少なくとも1つの
レーダセンサ、
ビデオセンサ、
生物測定センサ、
車両周囲状況センサ、
カー・ツー・カーセンサ、および/または
車両周囲センサ(カー・ツー・インフラストラクチャセンサ)を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項22】
データ処理装置のメモリにロードされるとデータ処理装置に対して目的地案内方法を実行させ、走行推奨を計算されたルートの危険性の関数として出力させるコンピュータプログラム。
【請求項23】
データ処理装置のメモリにロードされるとデータ処理装置に対して目的地案内方法を実行させ、走行推奨を計算されたルートの危険性の関数として出力させるコンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項22によるコンピュータプログラムが電子的データネットワーク、例えばインターネットから、このデータネットワークに接続されたデータ処理装置にダウンロードされる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−511879(P2010−511879A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539676(P2009−539676)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060861
【国際公開番号】WO2008/068090
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】