説明

破砕選別装置

【課題】可燃ごみを停滞させずに、選別ドラムの全長に亘って破砕又は破袋及び破砕機能を果たし、発酵不適物を排出口に向けて搬送排出できる破砕選別装置の提供。
【解決手段】回転軸20の回転方向に対して同一方向に取り付けられたブレード21を有し、回転軸20の回転により投入口11から投入された可燃ごみを投入部10Aから選別ドラム16の一端に送り込み、ブレード21と選別ドラム16との間で破砕又は破袋及び破砕し、ブレード21により選別ドラム16の他端の排出口19に向けて風力を発生させ、選別孔16aと風力とにより選別を行う破砕選別装置1Aにおいて、回転軸20及びブレード21を、投入部10A内から選別ドラム16内に亘って連続して延びるように形成し、投入口11の直下を除く投入部10Aの内面に、投入口11から投入された可燃ごみをブレード21の回転により選別ドラム16の一端に送り込むための案内羽根15を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破砕選別装置に関し、詳しくは可燃ごみを破砕又は破袋及び破砕してバイオマス資源となる発酵好適物を高効率で選別することのできる破砕選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可燃ごみから発酵好適物を選別してメタン発酵に適したバイオマス資源を回収するシステムでは、回収された可燃ごみを破砕又は破袋及び破砕して細かくし、所定の粒度選別を行うことにより、効率良く発酵好適物を選別することが重要である。
【0003】
特許文献1の図2には、可燃ごみから発酵好適物を選別して回収するバイオマス資源の回収システムに使用される破砕選別装置として、1台で可燃ごみの破砕機能又は破袋及び破砕機能と粒度選別機能と風力選別機能とを有する破砕選別装置が開示されている。
【0004】
この破砕選別装置の概要を図6に示す。
【0005】
破砕選別装置は、投入部100と選別部200とが横向きに連設されている。投入部100には、可燃ごみを投入するための投入口101が上方に向けて開口しており、その内部には、搬送用のスクリュー102が横架されている。このスクリュー102は、駆動源103からの駆動力が伝達されることによって回転し、投入口101から投入された可燃ごみを選択部200に向けて搬送するようになっている。
【0006】
一方、選別部200には、一端が投入部100に臨むように円筒状の選別ドラム201が横向きに配設されている。選別ドラム201の周壁には、回収すべき発酵好適物を選別するための所定の孔径を有する多数の選別孔201Aが全周に亘って形成されている。
【0007】
選別ドラム201の内部には、回転軸202が回転可能に軸支されていると共に、この回転軸202の外周に複数枚のブレード203が放射状に設けられ、モータ204の駆動によってスクリュー102とは独立して回転するようになっている。
【0008】
この破砕選別装置によると、投入口101から投入された可燃ごみは、スクリュー102の回転によって選別ドラム201の一端に該選別ドラム201の軸方向に沿って押し込まれる。選別ドラム201内に達した可燃ごみは、回転するブレード203の遠心力によって選別ドラム201の内周面に押し付けられると共に選別ドラム201との間で挟み付けられ、多数の選別孔201Aに擦り付けられることで、破砕される。
【0009】
破砕されたごみのうち、選別孔201Aを通過し得る発酵好適物を含むごみは、選別ドラム201の下方の収集口204に落下して回収されると共に、選別孔201Aより大きいごみは、ブレード203の回転によって発生する風力によって排出口に向けて押しやられ、発酵不適物として排出される。
【0010】
この破砕選別装置によれば、可燃ごみの破砕又は破袋及び破砕と選別孔による粒度選別とブレードの回転により発生する風力による風力選別との各機能を1台で賄うことができるため、システムの簡素化を図ることができるものである。
【0011】
しかも、投入口101から投入された可燃ごみは、選別ドラム201の一端に該選別ドラム201の軸方向に沿って押し込まれるようになっているため、選別ドラム201の一端から排出口を有する他端に至る全長に亘って可燃ごみの破砕又は破袋及び破砕を行うことができ、選別ドラム201を効率的に利用できるようになっている。
【0012】
一方、特許文献2の図1には、内部にブレードを有する選別ドラムに対してその一端から軸方向に沿って廃棄物を投入する構造に代えて、選別ドラムのほぼ径方向からブレードの回転向きに廃棄物を投入する構造とすることで、長尺物の絡み付きの問題を解決することが開示されている。
【0013】
また、特許文献3には、選別ドラムの内面の上半分に、整流板を回転軸の回転方向に対して角度を持って斜めに配置することにより、廃棄物を排出口の方向に案内することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−99566号公報
【特許文献2】特開2002−177888号公報
【特許文献3】特開2008−302343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、図6のような特許文献1に開示される破砕選別装置について、バイオマス資源回収の更なる効率化を図る目的で更に検討したところ、次のような課題を見出した。
【0016】
すなわち、この図6に開示される破砕選別装置によると、スクリュー102によって選別ドラム201に押し込まれた可燃ごみは、スクリュー102から離脱して選別ドラム201内に到達した直後に、回転するブレード203の軸方向の端部と接触することになる。このとき、スクリュー102とブレード203との境界部位において、可燃ごみ中の長尺物、例えばビデオテープ、ストッキング、紐類等が回転するブレード203によって引きちぎられて回転軸202に絡み付いてしまい、これが次第に成長することで風力を低下させると共に可燃ごみの停滞を発生させ、ついには過負荷を起こして装置が停止するという事態を発生させてしまう。
【0017】
このような長尺物の絡み付きの問題は、特許文献2の図1に開示のように、選別ドラムのほぼ径方向からブレードの回転向きに廃棄物を投入する構造とすることで解決できると思われる。
【0018】
しかしながら、この構造では選別ドラムの中途部からブレードの回転向きに可燃ごみを投入することになるため、選別ドラムの一端から他端に至る全長に亘って可燃ごみの破砕又は破袋及び破砕を行うことができなくなり、特許文献1の図2に開示の破砕選別装置のように選別ドラムを有効に利用した破砕又は破袋及び破砕機能を果たすことができなくなってしまう。
【0019】
しかも、特許文献2の図1に開示の破砕選別装置では、可燃ごみの投入時は選別ドラムのほぼ径方向に沿って投入されるが、投入後は、これとは直交する選別ドラムの軸方向に沿って可燃ごみを移動させなくてはならない。しかし、一旦選別ドラム内に可燃ごみが投入されると、ブレードは可燃ごみを回転させるだけであり、投入された可燃ごみに対して軸方向に移動させる力を作用させることができないため、投入口の直下において可燃ごみが大量に滞留してしまう問題がある。
【0020】
この特許文献2の図1に開示の破砕選別装置では、選別ドラムの上半分に複数枚の導風板を設けて選別ドラム内の気流を排出口に向けて案内するようにしているが、可燃ごみが破袋又は破砕されて導風板による気流によって搬送できる程度に細かくされるまでの間は、可燃ごみを軸方向に移動させることができない。このため、可燃ごみは細かく破砕されるまで、投入口の直下で長時間滞留してしまう。
【0021】
選別ドラム内の可燃ごみを軸方向に搬送するため、選別ドラムの内面に特許文献3に開示のように軸方向への搬送を案内する整流板を設けることが考えられる。
【0022】
しかし、選別ドラム内では、ブレードの外端縁と選別ドラムの内周面との間で、固形物の噛み込みを防止しつつ可燃ごみを効果的に摺擦して破砕又は破袋及び破砕する関係上、ブレードの外端縁と選別ドラムの内周面との間は所定の間隙が形成される必要がある。この選別ドラム内に特許文献3に開示のような整流板を設けると、ブレードの外端縁とこの整流板の内端縁との間で固形物の噛み込みが生じるおそれがあるため、このブレードの外端縁と整流板の内端縁とが所定の間隙を保たなくてはならない。その場合、ブレードの外端縁と選別ドラムの内周面との間の距離が大きく空きすぎてしまい、可燃ごみを効率的に破砕又は破袋及び破砕することができず、所定の粒度選別を行なうことができず、可燃ごみから発酵好適物を効率よく選別することができなくなってしまう問題がある。
【0023】
そこで、本発明は、長尺物の絡み付きのおそれがなく可燃ごみを選別ドラムの軸方向の一端に対して送り込むことができるようにすることにより、可燃ごみを停滞させることなく、選別ドラムの一端から他端に至る全長に亘って破砕又は破袋及び破砕機能を果たすことができると共に、破砕された可燃ごみ中の発酵不適物を十分な風力によって排出口に向けて円滑に搬送排出することができる破砕選別装置を提供することを課題とする。
【0024】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題は以下の発明によって解決される。
【0026】
(請求項1)
上方に向けて開口する可燃ごみの投入口を有する投入部と、
一端が前記投入部に横向きに連設され、外周面に多数の選別孔が形成された円筒状の選別ドラムと、
前記選別ドラム内に回転可能に設けられた回転軸と、
前記回転軸の外周に放射状に延びると共に該回転軸の回転方向に対してそれぞれ同一方向に傾斜状に取り付けられた複数枚のブレードとを有し、
前記回転軸の回転によって前記投入口から投入された可燃ごみを前記投入部から前記選別ドラムの一端に送り込み、前記ブレードと前記選別ドラムとの間で破砕又は破袋及び破砕すると共に、前記ブレードによって前記選別ドラムの他端に配置された排出口に向けて風力を発生させることにより、前記選別孔と風力とによって選別を行う破砕選別装置において、
前記回転軸及び前記ブレードを、それぞれ前記投入部内から前記選別ドラム内に亘って連続して延びるように形成し、
前記投入口の直下を除く前記投入部の内面に、前記投入口から投入された可燃ごみを前記ブレードの回転によって前記選別ドラムの一端に送り込むための案内羽根を配設したことを特徴とする破砕選別装置。
【0027】
(請求項2)
前記ブレードの外端縁と前記案内羽根の内端縁及び前記選別ドラムの内周面との間隙が、いずれも30mm〜100mmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の破砕選別装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、長尺物の絡み付きのおそれがなく可燃ごみを選別ドラムの軸方向の一端に対して送り込むことができ、可燃ごみを停滞させることなく、選別ドラムの一端から他端に至る全長に亘って破砕又は破袋及び破砕機能を果たすことができると共に、破砕された可燃ごみ中の発酵不適物を十分な風力によって排出口に向けて円滑に搬送排出することができる破砕選別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る破砕選別装置の一例を示す断面図
【図2】図1の(ii)-(ii)線に沿う断面図
【図3】破砕選別装置の他の一例を、投入部側から回転軸の軸方向に沿って見た状態を一部断面で示した図
【図4】破砕選別装置の更に他の一例を、排出部側から回転軸の軸方向に沿って見た状態を示した図
【図5】本発明に係る破砕選別装置を用いたバイオマス資源の回収システムの一例を示すフロー図
【図6】従来の破砕選別装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0031】
本発明において、可燃ごみとは、一般家庭や事業所(ホテルや料理店、食品工場など)等から排出されるごみであり、例えば、厨芥類、紙片類、草木類、プラスチック・ビニール片類、繊維片(布)類、不燃物類の1種又は2種以上が含まれるごみが例示できる。
【0032】
これらの可燃ごみは、通常ビニール袋などのごみ収集袋に入れられて収集されるが、ごみ収集袋に収納されないで収集される可燃ごみも含む。
【0033】
これら可燃ごみのうち、厨芥類、紙片類、草木類はメタン発酵に適した発酵好適物としては分類でき、プラスチック・ビニール片類、繊維片(布)類、不燃物類は発酵不適物として分類できる。
【0034】
図1は、本発明に係る破砕選別装置の一例を示す断面図、図2は、図1の(ii)-(ii)線に沿う断面図である。
【0035】
破砕選別装置1Aは、図1中の左側から横向きに延びる軸方向に沿って、可燃ごみが投入される投入部10Aと、可燃ごみ中から発酵好適物を選別するための選別部10Bと、選別部10Bによって発酵好適物が選別された後の発酵不適物を排出する排出部10Cとを順次有している。
【0036】
投入部10Aは、破砕選別装置1Aにおいて可燃ごみが取り込まれる部位であり、上方に向けて可燃ごみが投入される投入口11が開口している。投入口11の下方は、下半部が横向きの半円筒状で、且つ、上半部が上方の投入口11に向けて拡大する形状を呈し、投入口11から投入された可燃ごみの導入空間12が形成されている。
【0037】
この投入部10Aの一側壁部は、開閉軸13aを中心にして側方に向けて開閉可能な開閉カバー13を有している。投入部10Aは、この開閉カバー13を開放することにより、内部の点検作業等を行うことができるようになっている。
【0038】
また、投入口11の側方には、後述する選別のための風力を発生させる際の風を取り込むための選別風量取り込み口14が上方に向けて開口形成されている。
【0039】
この投入部10Aにおける導入空間12の内面には、複数条の案内羽根15が突出形成されている。この案内羽根15は、投入口11から導入空間12内に投入された可燃ごみを、後述するブレードの回転によって、後段に連設された選別部10Bに向けて送り込むためのガイドをなす。その形状は、案内羽根15の内端縁15aが円筒の外周面に沿う形状をなし、投入部10Aの一端から選別部10Bに向かって反時計回りに螺旋を描くように形成される。
【0040】
但し、可燃ごみが投入される投入口11の直下の部位には、案内羽根15が部分的に省かれており、この部位において案内羽根15の螺旋形状は不連続となっている。投入口11の直下とは、投入口11の開口が導入空間12と接する境界部分である。すなわち、案内羽根15は、図2に示すように、投入口11の直下に位置し該投入口11に臨む上部の円弧部分が、可燃ごみの投入を可能とするために切断された状態となっている。これにより、案内羽根15は、導入空間12内面の円弧状の下半部から投入口11の部位を除く上半部の一部に亘って、選別部10Bに向かうに従って反時計回りに螺旋を描くように形成されている。
【0041】
選別部10Bは、投入部10Aに横向きに連設されており、その内部には、円筒形状の選別ドラム16が横向きに配設されている。選別ドラム16の軸方向の一端は、投入部10Aの導入空間12内に臨んでおり、該導入空間12から送り込まれる可燃ごみの受け入れを可能としている。
【0042】
選別ドラム16の周壁には、破砕された可燃ごみを粒度選別して発酵好適物と発酵不適物とに選別するための多数の選別孔16aが全周に亘って開設されている。
【0043】
この選別孔16aの孔径によって、選別して回収すべき発酵好適物の大きさが決まる。その孔径(選別粒度)は30〜50mmが好ましく、35〜45mmがより好ましい。
【0044】
選別ドラム16の外周囲には、ドラムカバー17が設けられており、選別孔16aを通り抜けた発酵好適物を飛散させずに装置下部の収集口18に落下させて回収されるようにしている。ドラムカバー17は、一部が開閉可能に形成されており(図示せず)、開放することによって選別部10Bの内部の点検作業を行うことができるようになっている。
【0045】
この選別ドラム16は、不図示の電動機からの駆動力が伝達されることにより、周方向に回転可能に設けられている。
【0046】
排出部10Cは、選別部10Bに連設された空間によって構成されており、その上側部には、選別部10Bの選別ドラム16によって選別されずに残留する発酵不適物を受け入れ、選別ドラム16の軸方向と直交する方向に風力によって排出するための排出口19が開口形成されている。
【0047】
また、これら投入部10A内、選別部10Bの選別ドラム16内及び排出部10C内に亘り、1本の回転軸20が横向きに配設されている。回転軸20の一端は投入部10Aから外部に突出し、軸受20aによって回転可能に軸支されていると共に、他端は排出部10Cから外部に突出し、軸受け20bによって回転可能に軸支されている。従って、回転軸20は、投入部10Aから排出部10Cに亘って回転可能に横架されている。
【0048】
投入部10Aから外部に突出した回転軸20の一端部にはプーリ20cが設けられている。回転軸20は、電動機30からの駆動力がベルト30aを介してプーリ20cに伝達されることによって、図2中の反時計回りに回転するようになっている。
【0049】
回転軸20の外周には、放射状に延びる複数枚(図示例では4枚)のブレード21が取り付けられている。各ブレード21は、投入部10A内の一端から選別部10B内を通り排出部10C内の他端に至る回転軸20の全長に亘って延びると共に、回転軸20の回転方向に対してそれぞれ同一方向に傾斜状に取り付けられている。
【0050】
ここでは各ブレード21は、投入部10Aから排出部10Cに行くに従って、回転軸20の回転方向と反対方向に徐々に位置ずれするように取り付けられることで、回転軸20の回転方向に対して傾斜している。このため、回転軸20が図2中の反時計回りに回転すると、回転軸20の回転方向に対して傾斜している各ブレード21は、投入部10Aから排出部10Cに向かう風力を発生させるようになっている。
【0051】
各ブレード21の外端縁21aは、投入部10A内の案内羽根15の内端縁15a及び選別部10B内の選別ドラム16の内周面と接触しない程度に近接している。このため、回転軸20に伴って各ブレード21が回転すると、各ブレード21は、案内羽根15の内端縁15a及び選別ドラム16の内周面との間に若干の間隙を置いて接触することなく回転する。
【0052】
この間隙は、投入された可燃ごみ中に含まれる破砕しきれない固形物、例えばバスタオル等のような大きな布や靴等が噛み込まれてしまうことを防止するため、30mm〜100mmの範囲の範囲であることが好ましい。30mmを下回ると、可燃ごみ中に固形物が含まれている場合に噛み込みが発生し易くなり、100mmを超えると、ブレード21の回転によって可燃ごみを選別孔16aに対して摺擦する効果が劣るようになり、特に長尺物が破砕(剪断)されにくくなる。より好ましい間隙量は50mm〜70mmとすることである。
【0053】
この間隙量の選定は、可燃ごみの組成によって、効率良く発酵好適物の選別を行える粒度となるように30mm〜100mmの範囲で最適な間隙に選択することができる。間隙量は、30mm〜100mmの範囲内であれば、案内羽根15の内端縁15aと選別ドラム16の内周面とで、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
この破砕選別装置1Aでは、注水を行いながら破砕又は破袋及び破砕と選別とを行うために、投入部10A又は選別部10Bの適宜の部位に注水用のスプレーノズル(図示せず)を設けることが好ましい。注水は、可燃ごみの含水率にもよるが、可燃ごみの投入トン当たり1〜10000Lが好ましい。
【0055】
注水により、発酵不適物に付着した発酵好適物を洗い落とすことができ、発酵好適物の選別精度が向上する。また、注水によって細かなごみの飛散を更に防止することもできる。更に、回収される発酵好適物の含水を調整することで、メタン発酵に最適な発酵好適物スラリーを得ることができ、後段のメタン発酵設備への移送をスクリューコンベアやポンプ等によって容易に行うことができるようになる。
【0056】
また、1日の処理工程の最後に、制御装置やタイマー制御によって、装置内を注水によって自動洗浄することもできる。
【0057】
次に、かかる破砕選別装置1Aの作用について説明する。
【0058】
電動機30が駆動されることにより回転軸20が回転してブレード21が回転し、更に不図示の電動機が駆動されることにより選別ドラム16がブレード21の回転方向と反対方向となるように、回転軸20を中心に回転した状態で、可燃ごみが投入口11から導入空間12内に投入されると、導入空間12内の可燃ごみは回転するブレード21によって導入空間12の内面に押し付けられると共に、螺旋を描くように突出する案内羽根15によって、図1中に矢印で示すように、回転しながら選別部10Bに向けて徐々に送り込まれる。
【0059】
この送り込みの間中、可燃ごみは回転するブレード21による遠心力によって導入空間12の内壁面及び案内羽根15に回転しながら押し付けられ、摺擦されることにより、破砕又は破袋及び破砕される。特に、案内羽根15の内端縁15aの部分でも摺擦が行われる。可燃ごみは回転するブレード21に対して回転軸20の径方向から接触するため、特許文献1の図2のスクリュー102、ブレード203との境界部分がなく、従来のように長尺物を回転軸に絡み付けてしまう現象は起こらない。
【0060】
投入口11から可燃ごみが連続して投入されても、導入空間12内の可燃ごみは、回転するブレード21によって回転し、更に螺旋状の案内羽根15によって案内されながら選別部10B側に移動させられるため、投入口11の直下からはすぐに退避する。しかも、投入部10Aにもブレード21が延長されていることにより、この投入部10A内でもブレード21の回転による風力を発生させることができるため、投入部10A内で破砕されたごみは、風力によって速やかに選別部10B側に移送される。これらのことにより、可燃ごみが投入口11で停滞し、堆積してブリッジ化してしまうことが防止される。
【0061】
投入部10A内には螺旋状の案内羽根15が設けられているため、細かく破砕されたごみが風力によって飛び散ることはなく、この案内羽根15に沿い且つブレード21の回転によって発生する風力によって、選別部10Bに向けて回転軸20の回りを回転しながらスムーズに移送される。
【0062】
このように、回転するブレード21及び螺旋状の案内羽根15によって選別部10Bに向けて破砕又は破袋及び破砕されながら移送されたごみは、選別ドラム16の軸方向の一端から該選別ドラム16の内部に送り込まれる。
【0063】
選別ドラム16内に送り込まれたごみは、回転するブレード21によって選別ドラム16の内周面に押し付けられ、回転するブレード21の外端縁21Aと、このブレード21の回転方向と反対方向に回転する選別ドラム16の内周面との間で摺擦され続けることで、更に破砕又は破袋及び破砕されることによって細かくされる。
【0064】
細かく破砕されたごみのうち、選別孔16aを通過し得る発酵好適物を含むごみは、そのまま或いは選別ドラムカバー17の内壁面に沿って選別ドラム16の下方の収集口18に落下して回収される。また、選別孔16aより大きいごみは、ブレード21の回転によって発生する風力によって排出部10Cに向けて押しやられ、発酵不適物として排出口19から排出される。
【0065】
選別ドラム16内のごみは、投入部10Aから軸方向に沿って新たなごみが送り込まれてくることと、投入部10Aまで延長されたブレード21の回転によって投入部10Aから排出部10Cに向けて発生する十分な風力とによって、選別ドラム16内で回転しながらも、図1中に矢印で示すように、排出部10Cに向けてスムーズに移送される。
【0066】
この選別部10Bでは、投入部10Aから移送されるごみが、選別ドラム16の軸方向の一端から送り込まれるため、投入部10Aに接する選別ドラム16の一端から選別ドラム16による破砕及び選別を行うことができる。このため、選別ドラム16の一端から排出部10Cに接する他端に至る全長に亘って、破砕又は破袋及び破砕機能を果たすことができ、選別ドラム16を有効に機能させることができる。
【0067】
案内羽根15が設けられている領域は投入部10A内だけであり、選別ドラム16内には設けられていないため、選別ドラム16内では、ブレード21の外端縁21Aを固形物の噛み込みが生じない程度に選別ドラム16の内周面に近接させることができることにより、可燃ごみの破砕又は破袋及び破砕と選別孔16aによる粒度選別とを効果的に行うことができる。
【0068】
また、投入部10Aにおける可燃ごみの移送と選別部10Bにおける可燃ごみの選別とを同一の電動機30の駆動によって行うことができるので、従来に比べて電動機数を削減でき、動力コストも抑えることができる。
【0069】
更に、投入部10A内まで延長されたブレード21によって、投入部10Aから排出部10Cに至る全長に亘って、ごみを移送させるに十分な風力を発生させることができるので、投入部10A内で可燃ごみが停滞することがない効果と相俟って、破砕された発酵不適物を排出口19に向けてスムーズに移送することができるようになり、排出口19において詰まりが発生するといったトラブルもなくなる。
【0070】
ブレード21の回転によって発生させる風力(風速)は、可燃ごみ中から発酵不適物を効果的に選別できるようにする観点から、3〜25m/sが好ましく、より好ましくは40〜10m/sとすることである。
【0071】
また、可燃ごみから30〜50mm径の選別孔16aによって発酵好適物の選別を効果的に行うため、ブレード21の回転速度は、500〜2000rpmが好ましく、より好ましくは750〜1000rpmとすることである。
【0072】
ところで、選別ドラム16とブレード21とによる可燃ごみの摺擦及び粒度選別の効果を大きくするためにブレード21の回転速度を大きくしすぎると、風力が大きくなりすぎてしまい、可燃ごみが選別ドラム16によって十分に選別されないまま排出口19から排出されてしまうおそれがある。
【0073】
しかし、この破砕選別装置1Aによれば、長尺物の絡み付きを防止するために従来のように選別ドラム16の中途部に投入口を設ける必要がないため、選別ドラム16をブレード21の回転方向と反対方向に回転させることができる。このため、ブレード21の回転速度を大きくしすぎることなく、選別ドラム16とブレード21との相対的な回転速度を大きくすることができる。これにより、ブレード21の回転速度を可燃ごみの摺擦による粒度選別と風力選別とを行うのに適した速度に設定できるようになり、効率的な発酵好適物の回収を行うことができる。
【0074】
図3は、破砕選別装置の他の一例を、投入部10A側から回転軸20の軸方向に沿って見た状態を一部断面で示した図である。図1及び図2に示す破砕選別装置1Aと同一符号の部位は同一構成の部位を示しているため説明は省略する。
【0075】
この破砕選別装置1Bは、投入口11に、可燃ごみを予め破砕又は破袋及び破砕するための破砕装置22を連設している。
【0076】
この破砕装置22は、ここでは不図示の電動機の駆動力によって回転することにより可燃ごみを破砕又は破袋及び破砕する2つの破砕用のローター22aが並設された二軸破砕装置を用いているが、特に限定されない。この破砕装置22を投入口11の上部に連設することで、投入口11を通して導入空間12に投入される可燃ごみを、回転するローター22a、22aによって予め破砕又は破袋及び破砕し、可燃ごみの細断・平均化を行うことができる。このため、投入直後の負荷をより低減させることができると共に、布団等の処理困難物をこの破砕装置2において投入口11に投入される前に除去することができるようになり、過負荷停止のトラブルの発生回数を低減することができる。
【0077】
図4は、破砕選別装置の更に他の一例を、排出部10C側から回転軸20の軸方向に沿って見た状態を示した図である。図1及び図2に示す破砕選別装置1A及び図3に示す破砕選別装置1Bと同一符号の部位は同一構成の部位を示しているため説明は省略する。
【0078】
この破砕選別装置1Cは、排出口19に、該排出口19から排出される発酵不適物を回収するためのサイクロン23が連設されている。
【0079】
サイクロン23の内部はダクト23aによって排出口19と連通しており、排出口19から風力によって排出されてくる粒度選別後の発酵不適物を受け入れ、サイクロン効果によって固形物と気体とに分離する。分離された固形物(発酵不適物)は、サイクロン23下部のホッパー23bに落下して収集され、更にロータリーダンパー23cによって風力の影響を低減させて外部に切り出される。切り出された発酵不適物は、コンベア23dによって搬送される。
【0080】
このようにサイクロン23を設けることにより、排出口19から排出される発酵不適物の飛散を防止することができると共に、発酵不適物を破砕選別装置本体内に滞留させることなくよりスムーズに排出させることができる。これにより、排出口19等に発酵不適物が閉塞してしまうトラブルの解消をより確実にすることができる。
【0081】
また、サイクロン23によって分離された気体は、サイクロン23上部の排気筒23eから外部に排出されるが、その一部を、配管23f(循環路)を介して投入部10Aの選別風量取り込み口14に返送することが好ましい。これによりサイクロン23から排出される排気の一部を風力選別用の風力として再利用することができ、風力の発生をよりスムーズにすることができる。
【0082】
この破砕選別装置1Cは投入口11に破砕装置22を連設しているが、破砕装置22は必須ではない。
【0083】
なお、本発明において、排出口19から排出される発酵不適物は、このようなサイクロン23を用いて回収するものに限らず、例えば不適物ピット等(図示せず)に直接排出されるようにしてもよい。
【0084】
図5は、本発明に係る破砕選別装置を用いたバイオマス資源の回収システムの一例を示すフロー図である。ここでは、図4に示した破砕選別装置1Cを使用したシステムを例示しているが、他の破砕選別装置1A又は1Bを使用してもよいことはもちろんである。
【0085】
同図に示すように、収集車40によって収集された可燃ごみは、一旦ピット41に貯留される。ピット41内の可燃ごみは、クレーン42によってコンベア43のバンカー投入口43aに搬送されて投下され、コンベア43の搬送によって破砕選別装置1Cの破砕装置22に投入される。
【0086】
または、収集車40が直接バンカー投入口43aに可燃ごみを投入してもよい。
【0087】
破砕装置22では、可燃ごみを予め破砕又は破袋及び破砕し、ここで破砕しきれない大型のごみは処理困難物として除去され、指定ピット44へ移送される。
【0088】
破砕装置22から落下した破砕又は破袋及び破砕後の可燃ごみは、破砕選別装置1Cによって、上述したように可燃ごみの破砕又は破袋及び破砕が行われ、粒度選別と風力選別とが行われることによって発酵好適物と発酵不適物とに分離される。
【0089】
発酵好適物は収集口18から落下回収され、コンベア45によって搬送されてメタン発酵工程46へと移送される。
【0090】
一方、発酵不適物は、風力によって排出口19からダクト23aを介してサイクロン23に送り込まれ、サイクロン効果によって固形の発酵不適物と排気とに分離される。発酵不適物はコンベア23dによって指定ピット47へ移送され、排気は、排気筒23eから指定ピット48へと移送されると共に、一部が配管23fを介して破砕選別装置1Cの選別風量取り込み口14に返送されて再利用される。
【0091】
この破砕選別装置1Cにおける可燃ごみの破砕又は破袋及び破砕処理時、注水ライン49によって注水が行われる。注水ライン49には水量調整弁49aが設けられており、破砕選別装置1Cへの注水量が調整されることによって発酵好適物の含水率が調整される。
【符号の説明】
【0092】
1A、1B、1C:破砕選別装置
10A:投入部
10B:選別部
10C:排出部
11:投入口
12:導入空間
13:開閉カバー
13a:開閉軸
14:選別風量取り込み口
15:案内羽根
15a:案内羽根の内端縁
16:選別ドラム
16a:選別孔
17:ドラムカバー
18:収集口
19:排出口
20:回転軸
20a:軸受
20b:軸受け
20c:プーリ
21:ブレード
21a:ブレードの外端縁
22:破砕装置
22a:ローター
23:サイクロン
23a:ダクト
23b:ホッパー
23c:ロータリーダンパー
23d:コンベア
23e:排気筒
23f:配管(循環路)
30:電動機
30a:ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口する可燃ごみの投入口を有する投入部と、
一端が前記投入部に横向きに連設され、外周面に多数の選別孔が形成された円筒状の選別ドラムと、
前記選別ドラム内に回転可能に設けられた回転軸と、
前記回転軸の外周に放射状に延びると共に該回転軸の回転方向に対してそれぞれ同一方向に傾斜状に取り付けられた複数枚のブレードとを有し、
前記回転軸の回転によって前記投入口から投入された可燃ごみを前記投入部から前記選別ドラムの一端に送り込み、前記ブレードと前記選別ドラムとの間で破砕又は破袋及び破砕すると共に、前記ブレードによって前記選別ドラムの他端に配置された排出口に向けて風力を発生させることにより、前記選別孔と風力とによって選別を行う破砕選別装置において、
前記回転軸及び前記ブレードを、それぞれ前記投入部内から前記選別ドラム内に亘って連続して延びるように形成し、
前記投入口の直下を除く前記投入部の内面に、前記投入口から投入された可燃ごみを前記ブレードの回転によって前記選別ドラムの一端に送り込むための案内羽根を配設したことを特徴とする破砕選別装置。
【請求項2】
前記ブレードの外端縁と前記案内羽根の内端縁及び前記選別ドラムの内周面との間隙が、いずれも30mm〜100mmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の破砕選別装置。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−120998(P2012−120998A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275057(P2010−275057)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(392004417)株式会社タジリ (5)
【Fターム(参考)】