説明

硬化物製造用キット及び硬化物製造用組成物、並びにその使用

【課題】硬化物製造用キット、及び硬化物製造用組成物、硬化物、及び触媒組成物、並びに半導体発光デバイス封止物の製造用キット、半導体発光デバイス封止物の製造用組成物、及び半導体発光デバイスの提供。
【解決手段】硬化物製造用キットは、混合して使用する硬化物製造用キットであり、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを含むA液と、金属錯体化合物とフッ素系アルコールとを含むB液と、を有する。また、本発明の硬化物製造用組成物は、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートと、金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物製造用キット、硬化物製造用組成物、硬化物、及び触媒組成物、並びに半導体発光デバイス封止物の製造用キット、半導体発光デバイス封止物の製造用組成物、及び半導体発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、LEDと称することがある)を光源として用いた半導体発光デバイスにおいては、耐衝撃及び防汚などの目的から、封止物を備えることが知られている。
【0003】
前記封止物は、使用環境、用途等に応じて、様々な樹脂が用いられる。耐光性、耐熱性などの観点から、シリコーン樹脂などの硬化物が用いられているが、触媒との関係で、実用化に際し、様々な問題がある。例えば、ゾルゲル法を利用したシリコーン樹脂の製造方法として、金属アルコキシド系触媒を用い、オルガノポリシロキサンとアルキルシリケートを縮合させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案では、金属アルコキシド系触媒は、水により不活性化しやすく、硬化安定性が保てないという問題がある。これを解決する手段として、ジルコニウム及びアルミニウム系キレート触媒を用いる方法が提案されているが(例えば、特許文献2、3参照)、この提案によっても、触媒の種類によっては溶液安定性が悪く、黄変してしまうという問題がある。
【0004】
フッ素系アルコールを溶媒に用い、シリコーン樹脂を形成するという手法は既に提案されているが(例えば、特許文献4参照)、この提案は、シリコーン樹脂の中でもフッ化シロキサンの製造を目的とし、フッ化アルキル基含有アルコキシシランとシラン化合物とを反応させる際に、フッ化アルコール溶媒を用いることが有効であることを提案したものである。そのため、フッ化アルコールを用いることで触媒の溶解度が向上するという効果については、想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−231402号公報
【特許文献2】特開2008−274272号公報
【特許文献3】特開2010−065200号公報
【特許文献4】特開2007−009216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、溶液安定性を向上させ黄変を防止するために、各種の触媒を検討した。しかし、配位子が1種のキレート化合物のような黄変防止に有効な触媒は、触媒の溶解度が低いために、必要な活性を確保できるほど触媒を溶解させることが難しいという問題があることがわかった。
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、黄変による着色劣化のない硬化物製造用キット、及び硬化物製造用組成物を提供することを目的とする。本発明の硬化物製造用キット、及び硬化物製造用組成物を用いることで、透明性に優れる硬化物を提供でき、この硬化物は半導体発光デバイスの封止物として好適であり、光学特性に優れる半導体発光デバイスを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、硬化物製造用キット、硬化物製造用組成物の触媒を溶解する溶媒としてフッ素系アルコールを使用することで、必要な活性を確保できる量の触媒を溶解させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 混合して使用する硬化物製造用キットであり、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを含むA液と、金属錯体化合物とフッ素系アルコールとを含むB液と、を有することを特徴とする硬化物製造用キットである。
<2> 金属錯体化合物のB液における含有量が、7質量%〜30質量%である前記<1>に記載の硬化物製造用キットである。
<3> 金属錯体化合物の中心金属が、ジルコニウム及びアルミニウムの少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<4> 金属錯体化合物の配位子が、1種のみの配位子である前記<1>から<3>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<5> 金属錯体化合物の配位子が、アセチルアセトナートである前記<1>から<4>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<6> 金属錯体化合物が、アルミニウムアセチルアセトナート及びジルコニウムアセチルアセトナートの少なくともいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<7> フッ素系アルコールが、沸点が150℃以下のアルキルフルオロアルコールである前記<1>から<6>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<8> フッ素系アルコールが、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールである前記<1>から<7>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<9> フッ素系アルコールが、炭素数(n)とフッ素数(x)とが下記式(I)を満たすアルキルフルオロアルコールである前記<1>から<8>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
x≧(n−1)×2・・・式(I)
<10> フッ素系アルコールが、炭素数4又は5のアルキルフルオロアルコールである前記<1>から<9>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<11> フッ素系アルコールが、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、及び1H,1H,7H−ドデカフルオロへプタノールの少なくともいずれかである前記<1>から<10>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<12> ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(I)で表される前記<1>から<11>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
【化1】

ただし、前記一般式(I)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、フッ素を含まない有機基を表す。また、nは、1以上の整数を表す。
<13> ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量が、300〜1,000,000である前記<1>から<12>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
<14> アルキルシリケートが、下記一般式(II)で表される前記<1>から<13>のいずれかに記載の硬化物製造用キットである。
【化2】

ただし、前記一般式(II)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、アルコキシ基、又はフッ素を含まない1価の有機基を示す。ただし、4つのRのうちの少なくとも1つはアルコキシ基である。
<15> シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを含むA液と混合して使用する触媒組成物であり、ジルコニウム錯体化合物及びアルミニウム錯体化合物の少なくとも1種の金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを含むことを特徴とする触媒組成物である。
<16> 金属錯体化合物の含有量が、7質量%〜30質量%である前記<15>に記載の触媒組成物である。
<17> シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートと、金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを含むことを特徴とする硬化物製造用組成物である。
<18> 金属錯体化合物の含有量が、0.2質量%〜2質量%である前記<17>に記載の硬化物製造用組成物である。
<19> 金属錯体化合物の中心金属が、ジルコニウム及びアルミニウムの少なくとも1種である前記<17>から<18>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<20> 金属錯体化合物の配位子が、1種のみの配位子である前記<17>から<19>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<21> 金属錯体化合物の配位子が、アセチルアセトナートである前記<17>から<20>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<22> 金属錯体化合物が、アルミニウムアセチルアセトナート及びジルコニウムアセチルアセトナートの少なくともいずれかである前記<17>から<21>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<23> フッ素系アルコールが、沸点が150℃以下のアルキルフルオロアルコールである前記<17>から<22>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<24> フッ素系アルコールが、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールである前記<17>から<23>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<25> フッ素系アルコールが、炭素数(n)とフッ素数(x)とが下記式(I)を満たすアルキルフルオロアルコールである前記<17>から<24>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
x≧(n−1)×2・・・式(I)
<26> フッ素系アルコールが、炭素数4又は5のアルキルフルオロアルコールである前記<17>から<25>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<27> フッ素系アルコールが、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、及び1H,1H,7H−ドデカフルオロへプタノールの少なくともいずれかである前記<17>から<26>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<28> ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(I)で表される前記<17>から<27>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
【化3】

ただし、前記一般式(I)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、フッ素を含まない有機基を表す。また、nは、1以上の整数を表す。
<29> ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量が、300〜1,000,000である前記<17>から<28>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
<30> アルキルシリケートが、下記一般式(II)で表される前記<17>から<29>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物である。
【化4】

ただし、前記一般式(II)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、アルコキシ基、又はフッ素を含まない1価の有機基を示す。ただし、4つのRのうちの少なくとも1つはアルコキシ基である。
<31> シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを反応させて得られる硬化物からなり、該硬化物におけるフッ素系アルコールの含有量が、50ppm以下であることを特徴とする硬化物である。
<32> 更に、アルミニウム及びジルコニウムの少なくともいずれかが含有されており、当該含有量が1質量%以下である前記<31>に記載の硬化物である。
<33> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の硬化物製造用キット、又は前記<17>から<30>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物を用いて形成される前記<31>から<32>に記載の硬化物である。
<34> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の硬化物製造用キットを半導体発光デバイスの封止物の形成に使用することを特徴とする半導体発光デバイス封止物の製造用キットである。
<35> 前記<17>から<30>のいずれかに記載の硬化物製造用組成物を半導体発光デバイスの封止物の形成に使用することを特徴とする半導体発光デバイス封止物の製造用組成物である。
<36> 半導体発光デバイスの封止物として前記<33>に記載の硬化物を備えることを特徴とする半導体発光デバイスである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、黄変による着色劣化のない硬化物製造用キット、及び硬化物製造用組成物を提供することができる。また、本発明の硬化物製造用キット、及び硬化物製造用組成物を用いることで、透明性に優れる硬化物を提供でき、この硬化物は半導体発光デバイスの封止物として好適であり、光学特性に優れる半導体発光デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の半導体発光デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1における硬化物の表面の一例を示す顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の実施例3における硬化物の表面の一例を示す顕微鏡写真である。
【図4】図4は、本発明の実施例10における硬化物の表面の一例を示す顕微鏡写真である。
【図5】図5は、本発明の実施例11における硬化物の表面の一例を示す顕微鏡写真である。
【図6】図6は、本発明の実施例12における硬化物の表面の一例を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(硬化物製造用キット及び硬化物製造用組成物)
本発明は、まず、硬化物製造用キット、硬化物製造用組成物に関する。硬化物を形成する際には、加水分解・縮合反応する材料を含むA液と触媒を含むB液とを有するいわゆる2液型組成物、加水分解・縮合反応する材料と触媒を1つの液中に含むいわゆる1液型の組成物を用いる場合がある。以下、本明細書では、2液型組成物を硬化物製造用キットといい、1液型組成物を硬化物製造用組成物という。また、本発明の硬化物は、硬化物製造用キット、硬化物製造用組成物を用いて形成されるものであり、半導体発光デバイス封止物として好適である。
【0012】
本発明の硬化物製造用キットは、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサン(以下、単にポリオルガノシロキサンという。)と、フッ素を含まないアルキルシリケートとを含むA液と、金属錯体化合物とフッ素系アルコールとを含むB液とを有する二液型の組成物であり、使用時に混合して使用する。なお、本発明の硬化物製造用キットは、更に必要に応じてその他の成分を含む液を添加してもよい。また、本発明の触媒組成物は、前記B液であり、前記B液における金属錯体化合物としてジルコニウム錯体化合物及びアルミニウム錯体化合物の少なくとも1種と、フッ素系アルコールとを含む組成物であり、更に必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
【0013】
本発明の硬化物製造用組成物は、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサン(以下、単にポリオルガノシロキサンという。)と、アルキルシリケートと、金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとからなる一液型の組成物であり、更に必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
【0014】
<ポリオルガノシロキサン>
前記ポリオルガノシロキサンとしては、その分子の主鎖及び/又は側鎖に、少なくとも2つ以上の、シラノール基及びアルコキシシリル基のいずれかの官能基、及びシロキサン結合(Si−O−Si)を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(I)で表されるものが好ましい。
【化5】

ただし、前記一般式(I)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、フッ素を含まない有機基を表す。また、nは、1以上の整数を表す。
【0015】
前記ポリオルガノシロキサンが有する有機基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくともいずれかを含んでもよい炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などが挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基などが挙げられる。前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられる。前記アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基が、耐熱性、及び耐熱着色安定性により優れる点で、好ましい。
【0016】
前記ポリオルガノシロキサンが有する有機基又はシロキサン結合の平均数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ケイ素1原子当たり1個以上2個以下であることが好ましく、構造制御の観点より、ケイ素1原子当たり2個の割合であることがより好ましい。
【0017】
前記ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、直鎖型であってもよいし、スター型、櫛形などの分岐構造を有するものであってもよい。これらの中でも、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が、透明性を有する点で、好ましい。
【0018】
前記ポリオルガノシロキサンとしては、適宜合成したものを使用してもよく、前記合成する方法としては、例えば、ジメチルジアルコキシシランを加水分解及び縮合させることにより合成する方法、ジメチルジクロロシランを加水分解及び縮合させることにより合成する方法、環状オルガノシロキサンを開環縮合させることにより合成する方法などが挙げられる。
【0019】
前記ポリオルガノシロキサンを合成する際に用いられるジメチルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ポリオルガノシロキサンを合成する際に用いられる環状オルガノシロキサンとしては、例えば、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記ポリオルガノシロキサンとしては、市販品を使用してもよく、前記市販品としては、例えば、XC96−723、XF−3905、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3807、YF−3897(いずれも末端シラノール基ポリジメチルシロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、YF3804(末端シラノール基メチルフェニルポリシロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、DMS−S12、DMS−S14、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、DMS−S32、DMS−S33、DMS−S35、DMS−S42、DMS−S45、DMS−S51(いずれも両末端シラノール基ポリジメチルシロキサン、Gelest社製)、PDS−0338、PDS−1615(両末端シラノール基ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、Gelest社製)、PDS−9931(両末端シラノール基ポリジフェニルシロキサン、Gelest社製)、SR−21(両末端シラノール基ポリフェニルシルセスキオキサン、小西化学工業製)、SR−23(両末端アルコキシシリル基ポリフェニルシルセスキオキサン、小西化学工業製)、SR−13(両末端アルコキシシリル基ポリメチルシルセスキオキサン、小西化学工業製)、SR−33(両末端アルコキシシリル基ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、小西化学工業製)などが挙げられる。
【0022】
前記ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で、300〜1,000,000が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、3,000〜50,000が特に好ましい。前記質量平均分子量が、300未満であると、光学素子用樹脂組成物で、低分子シロキサンの発生が多くなり、その結果電気接点の絶縁不良を招き易くなることがあり、1,000,000を超えると、液の粘度が高くなり過ぎて作業性が悪くなることがある。なお、前記質量平均分子量の測定としては、例えば、LC/PDA装置(Waters製 Alliance2695)により、測定することができる。
【0023】
前記オルガノポリシロキサンの硬化物製造用キットのA液における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30質量%〜99質量%が好ましく、50質量%〜95質量%がより好ましく、70質量%〜90質量%が特に好ましい。前記含有量が、30%未満であると、硬化物が脆くなることがあり、99%を超えると、架橋密度が低くなり硬度が不十分になることがある。
【0024】
前記オルガノポリシロキサンの硬化物製造用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25質量%〜90質量%が好ましく、40質量%〜87質量%がより好ましく、60質量%〜85質量%が特に好ましい。前記含有量が、25質量%未満であると、硬化物が脆くなることがあり、90質量%を超えると、架橋密度が低くなり硬度が不十分になることがある。
【0025】
<アルキルシリケート>
前記アルキルシリケートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素を含まず、ケイ素とそれに結合するアルコキシ基を有し、前記ポリオルガノシロキサンと脱水縮合反応でき、下記一般式(II)で表されるものが好ましい。また、前記アルキルシリケートは、目的に応じて適宜1種類又は複数種類を混合することができる。
【化7】

ただし、前記一般式(II)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、アルコキシ基、又はフッ素を含まない1価の有機基を示す。ただし、4つのRのうちの少なくとも1つはアルコキシ基である。
【0026】
前記アルキルシリケートが有するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
【0027】
前記アルキルシリケートが有するフッ素を含まない1価の有機基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくともいずれかを含んでもよい炭化水素基などが挙げられる。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などが挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基などが挙げられる。前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられる。前記アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基が、耐熱性、及び耐熱着色安定性により優れる点で、好ましい。
【0028】
前記アルキルシリケートが有するアルコキシ基又はシロキサン結合の平均数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ケイ素1原子当たり、3個以上4個以下が好ましく、3.5個以上4個以下がより好ましい。
【0029】
前記アルキルシリケートとしては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリn−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリn−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、γ−アシノプロピルトリエトキシシラン、4−アシノブチルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、テトラエトキシシラン、エチルシリケートオリゴマー、メチルシリケートオリゴマーが、硬化性と硬化後の架橋密度の点で、好ましい。
【0030】
前記アルキルシリケートとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、テトラエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)、シリケート40、シリケート45(いずれもエチルシリケートオリゴマー、多摩化学工業株式会社製)、Mシリケート51(メチルシリケートオリゴマー、多摩化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0031】
前記アルキルシリケートの質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化時間、可使時間が適切な長さとなり、硬化性及び相溶性に優れるという観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で、160〜100,000が好ましく、200〜2,000がより好ましい。
【0032】
前記アルキルシリケートの硬化物製造用キットのA液における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐クラック性、相溶性に優れるという観点から、1質量%〜70質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、架橋密度が低くなり、硬化物の硬度が不十分になることがあり、70質量%を超えると、硬化物が脆くなることがある。
【0033】
前記アルキルシリケートの硬化物製造用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐クラック性、相溶性に優れるという観点から、0.5質量%〜65質量%が好ましく、4.5質量%〜45質量%がより好ましく、9質量%〜28質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、架橋密度が低くなり、硬化物の硬度が不十分になることがあり、65質量%を超えると、硬化物が脆くなることがある。
【0034】
<金属錯体化合物>
前記金属錯体化合物は、前記ポリオルガノシロキサンと前記アルキルシリケートとにおける脱水縮合反応の触媒として前記反応を促進するものである。このような金属錯体化合物は溶媒に溶けにくいことがあるが、本発明ではフッ素系アルコールを溶媒に使用することで、触媒として活性を十分に発揮できる量を溶液中に溶解させることができる。
【0035】
前記金属錯体化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液安定性が高く、溶液の黄変が生じ難い点で、金属錯体化合物の中心金属がジルコニウム及びアルミニウムの少なくとも1種である金属錯体化合物が好ましく、前記金属錯体化合物の配位子が1種のみの配位子であり、その配位子がアセチルアセトナートである金属錯体化合物がより好ましい。このような金属錯体化合物は、溶液安定性が高く、溶液の黄変が生じ難いが、溶解性が非常に悪いという傾向がある。しかしながら、本発明の硬化物製造用キット及び硬化物製造用組成物では、溶媒としてフッ素系アルコールを使用するため、前記金属錯体化合物を触媒として用いても、活性を十分に発揮できる量を溶液中に溶解させることができる。また、前記金属錯体化合物を使用することにより、可使時間、硬化時間が適切な長さとなり、硬化性、硬化安定性、貯蔵安定性、透明性、耐熱クラック性、及び平滑性に優れる。
【0036】
前記金属錯体化合物としては、金属原子とそれに配位する配位子を含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−iso−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−iso−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−iso−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−iso−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−iso−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−iso−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、ジ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−iso−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−iso−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、モノ(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記ポリオルガノシロキサンと前記アルキルシリケートとを脱水縮合する際に、高い歩留まりで硬化物形成液を合成することができる点、可使時間、硬化時間が適切な長さとなる点、硬化安定性、貯蔵安定性、透明性に優れる点から、中心金属がジルコニウム及びアルミニウムの少なくとも1種である金属錯体化合物が好ましく、配位子が1種のみの配位子である金属錯体化合物がより好ましく、配位子がアセチルアセトナートである金属錯体化合物が更に好ましく、アルミニウムアセチルアセトナート、及びジルコニウムアセチルアセトナートのいずれかであることが特に好ましい。
【0037】
前記金属錯体化合物の配位子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、βジケトン化合物に由来する配位子、ケトエステル化合物に由来する配位子などが挙げられる。
前記βジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、4,6−ノナンジオン、2,8−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどが挙げられる。
前記ケトエステル化合物としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert−ブチルなどが挙げられる。
これらの中でも、アセチルアセトンに由来する配位子、アセト酢酸エチルに由来する配位子が、反応性と貯蔵安定性との両立ができる点で、好ましい。
【0038】
前記金属錯体化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、前記市販品としては、アルミニウムアセチルアセトナート(株式会社同仁化学研究所製)、アルミニウムアセチルアセトナート,99%(Strem Chemicals,Inc)、2,4−ペンタジオン酸アルミニウム(Chempur Feinchemikalien und Forschungsbedarf GmbH)、2,4−ペンタジオン酸アルミニウム(Alfa Aesar)、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム、76%ビス(エチルアセトアセタト)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム 2−プロパノール溶液(株式会社ワコーケミカル製)、ALCH、ALCH−TR、AIPD、アルミキレートM、アルミキレートD、アルミキレートA(川研ファインケミカル株式会社製)、ジルコニウムアセチルアセトナート(オルガチックスZC−150、マツモトファインケミカル株式会社製)、チタンイソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)などが挙げられる。
【0039】
前記金属錯体化合物の硬化物製造用キットのB液における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7質量%〜30質量%が好ましく、7質量%〜25質量%がより好ましく、10質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、7質量%未満であると、硬化が不均一化若しくは硬化が不十分となることがあり、30質量%を超えると、アルミニウム錯体の溶解度を越えてしまう、若しくはA液との混合時に析出が生じることがある。なお、本発明では、フッ素系アルコールを使用することで、他の溶媒を使用するよりも、金属錯体化合物の含有量を多くすることができ、これにより含有量の調節が容易になる。また、前記含有量が前記特に好ましい範囲であると、均一な硬化物が得られるという点で、有利である。
【0040】
前記金属錯体化合物の硬化物製造用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2質量%〜2質量%が好ましく、0.6質量%〜2質量%がより好ましく、0.9質量%〜1.8質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.2質量%未満であると、硬化が不均一化若しくは硬化が不十分となることがあり、2質量%を超えると、アルミニウム錯体の溶解度を超えることがある。一方、前記含有量が前記特に好ましい範囲であると、均一な硬化物が得られるという点で、有利である。
【0041】
<フッ素系アルコール>
前記フッ素系アルコールとしては、前記金属錯体化合物(触媒)を必要な活性を確保できるほどの量を溶解させることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱硬化時に揮発除去できる点で、沸点が150℃以下のアルキルフルオロアルコールが好ましく、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールがより好ましく、フッ素系アルコールの炭素数(n)とフッ素数(x)とが下記式(I)を満たすアルキルフルオロアルコールが更に好ましく、炭素数4又は5のアルキルフルオロアルコールが特に好ましい。
なお、前記沸点が150℃以下のフッ素系アルコールを加熱前に長時間放置すると、前記金属錯体化合物が析出して表面形状が悪くなることがあるが、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールを用いることにより、前記金属錯体化合物の析出を防ぐことができ、硬化時は揮発除去され、前記金属錯体化合物を十分に溶解することができる。
また、炭素数3未満のアルキルフルオロアルコールを用いると、前記金属錯体化合物が析出して表面形状が悪くなることがあり、炭素数7を超えるアルキルフルオロアルコールを用いると、溶解性が悪くなるだけでなく、水の取り込み量が多くなるため、硬化物の劣化が生じることがある。
x≧(n−1)×2・・・式(I)
【0042】
前記フッ素系アルコールとしては、例えば、下記一般式(III)で表される化合物が挙げられ、具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロへプタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、ノナフルオロ−tert−ブタノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H−ノナフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロ−1−ヘキサノール、1H,1H−トリデカフルオロ−1−ヘプタノール、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−1−n−オクタノール、1H,1H−ペンタデカフルオロ−1−オクタノール、1H,1H−ヘプタデカフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−ノナデカフルオロ−1−デカノール、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルミニウム錯体化合物の溶解に優れる点で、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノールが好ましく、前記金属錯体化合物の析出を防ぐことができる点で、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロへプタノールがより好ましい。
【化8】

ただし、Aは、炭化水素基の少なくとも1つの水素がフッ素で置換されたものであり、直鎖でも分岐していてもよい。また、炭化水素鎖の間に酸素を含んでもよい。
【0043】
前記フッ素系アルコールとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、前記市販品としては、A−1110、A−1210、A−1420、A−1430、A−1620、A−1630、A−5210、A−5410、A−5610、A−7210、A−7310、A−7412、A−7612(いずれも、ダイキン工業株式会社製)、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(いずれも、株式会社ワコーケミカル製)、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H−ペンタデカフルオロ−1−オクタノール、パーフルオロ−t−ブタノール、6−(パーフルオロエチル)ヘキサノール、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール(Fluorochem Ltd製)、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール(いずれも、ユニマテック株式会社製)などが挙げられる。
【0044】
前記フッ素系アルコールの硬化物製造用キットのB液における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70質量%〜95質量%が好ましく、75質量%〜93質量%がより好ましく、80質量%〜90質量%が特に好ましい。前記含有量が、70質量%以下であると、アルミニウム錯体化合物が溶解しなくなることがあり、95質量%を超えると、フッ素系アルコールの揮発により、泡が発生し易くなり、表面の凹凸が生じることがある。一方、前記含有量が前記好ましい範囲であると、前記アルミニウム錯体化合物の溶解性、揮発性、泡の発生を抑制できる点で、有利である。
【0045】
前記フッ素系アルコールの硬化物製造用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、6質量%〜9質量%が好ましく、6.5質量%〜8.5質量%がより好ましく、7質量%〜8.2質量%が特に好ましい。前記含有量が、6質量%未満であると、アルミニウム錯体化合物が溶解しなくなることがあり、9質量%を超えると、フッ素系アルコールの揮発により、泡が発生し易くなり、表面の凹凸が生じることがある。一方、前記含有量が前記特に好ましい範囲であると、前記アルミニウム錯体化合物の溶解性、揮発性、泡の発生を抑制できる点で、有利である。
【0046】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、無機フィラー、無機蛍光体、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、防腐剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記無機フィラーとしては、光学特性を低下させない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、平板状雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0048】
前記無機蛍光体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LEDに広く利用されている、イットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系蛍光体、ZnS系蛍光体、YS系蛍光体、赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体、CdSe系やInP系のナノ粒子で形成される量子ドット系蛍光体などが挙げられる。
【0049】
<使用形態>
前記硬化物製造用キットの使用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有するポリオルガノシロキサン(以下、単にポリオルガノシロキサンという。)とアルキルシリケートとを含むA液と、金属錯体化合物とフッ素系アルコールとを含むB液を、混合機により混合した後、4時間以内に使用(塗布)することが好ましい。
【0050】
前記硬化物製造用組成物の使用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有するポリオルガノシロキサンと、アルキルシリケートと、金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを、混合機により混合した後、4時間以内に使用(塗布)することが好ましい。
【0051】
<用途>
本発明の硬化物製造用キットは、硬化ムラがなく、泡の発生(泡不良)がない硬化物を製造することができ、半導体発光デバイス封止物の製造用キットとして好適に用いられ、前記硬化物製造用キットにおけるB液が、アルミニウム錯体化合物及びジルコニウム錯体化合物の少なくとも1種とフッ素系アルコールとを含むことにより、触媒組成物として好適に用いられる。また、本発明の硬化物製造用組成物は、触媒の溶け残り、触媒の不均一な分散、硬化ムラ、及び泡の発生がない硬化物を製造することができ、半導体発光デバイス封止物の製造用組成物として好適に用いられる。
【0052】
(硬化物)
本発明の硬化物は、シリコーン樹脂の硬化物からなり、前記硬化物製造用キット、又は前記硬化物製造用組成物を混合して得られた脱水縮合物を、目的とする形状の型に入れて成形した後に、これを加熱(乾燥)することで得られるものである。また、本発明の硬化物は、前記脱水縮合物を目的とする部位に塗布した状態で加熱(乾燥)することにより、目的とする部位に直接、形成することもできる。
【0053】
前記硬化物は、前記オルガノポリシロキサンと前記アルキルシリケートとを触媒存在下で反応させることにより得られる。以下、前記反応について具体的に説明する。
まず、前記アルキルシリケートが有するアルコキシ基は、加水分解により、脱アルコールされて水酸基となる。次に、前記水酸基が、オルガノポリメチルシロキサンのシラノール基と脱水縮合反応を起こし、安定なシロキサン結合が形成される。前記オルガノポリシロキサンがアルコキシシロキサン基を有する場合、アルキルシリケートと同様に脱アルコールを経てシロキサン結合を形成する。また、これらの脱アルコールによるシラノール化の経路を経ずにジルコニウム及び/又はアルミニウム原子が脱アルコールと同時に金属−酸素−ケイ素結合(Zr−O−Si及び/又はAl−O−Si)を形成し、そこから金属原子とケイ素原子の置換によってシロキサン結合を形成することもある。
【0054】
前記硬化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、末端シラノール基ポリジメチルシロキサン(PDMS)とテトラエトキシシラン(TEOS)との組み合わせが、反応性、及び脆性の点で好ましい。以下に、前記末端シラノール基PDMSと前記TEOSとを触媒存在下で反応させた概略として式(1)及び式(2)を示す。ここで、前記式(1)は前記TEOSの加水分解を示すものであり、前記式(2)は前記TEOSの加水分解により合成されたオルトケイ酸と前記末端シラノール基PDMSとの脱水縮合反応を示すものである。また式(2)の縮合物は簡略化して記載しているが、3次元的に縮合している場合もある。
【0055】
【化9】

【0056】
なお、前記反応に用いた溶媒、及び前記脱水縮合反応により生成した水などは、前記加熱(乾燥)により気化し、除去されると考えられるが、必ずしも前記溶媒や前記水が気化しない場合についても、流動性を有する脱水縮合物が流動性を失うという点で、硬化する現象に含まれるものとする。
【0057】
前記硬化物は、フッ素系アルコール(溶媒)及び金属錯体化合物(触媒)の金属原子が微量残存しており、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製、GCMS−QP1100EX)、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、3070E)等を用いることにより、硬化物中のフッ素系アルコール(溶媒)及び金属錯体化合物(触媒)の含有量を特定することができる。なお、フッ素系アルコール(溶媒)は、製造工程中で略なくなるが、50ppm以下、より正確には1ppm〜50ppm程度残存することがあり、硬化物製造用キットまたは硬化物製造用組成物でフッ素系アルコールを使用したことが、硬化物から確認できる。また、金属錯体化合物(触媒)の金属原子は、硬化物中で換算すると1質量%以下、より正確には0.001質量%〜1質量%程度残存している。硬化物中に含まれる金属原子は、金属錯体化合物がアルミニウム錯体の場合にはアルミニウム原子であり、金属錯体化合物がジルコニウム錯体の場合にはジルコニウム原子となる。
【0058】
本発明の硬化物は、黄変による着色劣化がなく、短波長での透明性に優れるため、半導体発光デバイス封止物に好適に用いられる。
【0059】
(硬化物の製造方法)
本発明の硬化物の製造方法は、前記硬化物製造用キット、又は前記硬化物製造用組成物を、50℃以上100℃未満の領域で加熱する第1工程と、100℃以上180℃以下の領域で加熱する第2工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0060】
<第1工程>
前記第1工程は、前記硬化物製造用キット、又は前記硬化物製造用組成物を、50℃以上100℃未満の領域で加熱する工程であり、前記加水分解により生成されたアルコールを気化し、残留溶媒、溶存水蒸気による発泡を防ぐための工程である。なお、前記第1工程により、前記脱水縮合反応を一部進めてもよい。
【0061】
前記第1工程において、硬化物製造用キットを用いて加熱する方法としては、例えば、前記A液と前記B液とを反応容器に一括で仕込んで混合し加熱する方法、一方の液に他方の液を間欠的に又は連続的に添加しながら混合し加熱する方法などが挙げられる。
【0062】
前記第1工程において、硬化物製造用組成物を用いて加熱する方法としては、例えば、前記ポリオルガノシロキサンと、アルキルシリケートと、金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを反応容器に一括で仕込んで混合し加熱する方法が挙げられる。なお、前記混合する方法としては、例えば、ミキサー(株式会社シンキー製 あわとり練太郎)により混合する方法が挙げられ、前記混合した直後から、混合後25℃の条件下での24時間後における、前記硬化物製造用キット又は前記硬化物製造用組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可使時間の長さを適切にするという観点から、5mPa・s〜10,000mPa・sが好ましく、100mPa・s〜5,000mPa・sがより好ましい。前記粘度の測定は、振動式粘度計を用い、25℃、湿度35%の条件下で行われるものとする。
【0063】
前記第1工程における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上100℃未満が好ましく、60℃以上95℃未満がより好ましく、70℃以上95℃未満が特に好ましい。前記加熱温度が、50℃未満であると、溶媒等が十分蒸発せず、硬化が不十分になることがあり、100℃以上であると、硬化物の形状が悪くなりやすく、また、加熱に要する熱エネルギーが大きく、省エネの観点から好ましくなく、コストアップを招くことがある。一方、前記加熱温度が前記特に好ましい範囲であると、溶媒を十分蒸発させる点で、有利である。
【0064】
前記第1工程における加熱時間としては、前記塗布乃至注入した脱水縮合物の厚みなどにより一概には決まらないが、10分間〜24時間が好ましく、30分間〜12時間がより好ましく、1時間〜6時間が特に好ましい。前記加熱時間が、1時間未満であると、溶媒等が十分蒸発せず、硬度、耐熱性が得られないことがあり、24時間を超えると、加熱に要する熱エネルギーが大であり、省エネの観点で好ましくなく、コストアップを招くことがある。一方、前記加熱時間が前記特に好ましい範囲であると、溶媒を十分蒸発させる点で、有利である。
【0065】
<第2工程>
前記第2工程は、100℃以上180℃以下の領域で加熱する工程であり、脱水縮合物を硬化させるための工程であり、前記第1工程において低温で硬化させた後、第2工程において高温で追硬化するため、得られる硬化物中に内部応力が発生しにくく、クラックや剥離を防ぐための工程である。
【0066】
前記第2工程における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上170℃以下がより好ましく、140℃以上160℃以下が特に好ましい。前記加熱温度が、100℃未満であると、溶媒の蒸発が不十分になることがあり、180℃を超えると、硬化する際に硬化組成物と共に加熱される部材(例えば、LEDチップ等)が熱により劣化する恐れがあることがある。一方、前記加熱温度が前記特に好ましい範囲であると、得られる硬化物中に内部応力が発生しにくく、クラックや剥離を防ぐことができる点で、有利である。
【0067】
前記第2工程における加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜24時間が好ましく、30分間〜12時間がより好ましく、1時間〜6時間が特に好ましい。前記加熱時間が、1時間未満であると、硬化ムラが生じることがあり、24時間を超えると、硬化物がもろくなることがある。一方、前記加熱時間が前記特に好ましい範囲であると、得られる硬化物中に内部応力が発生しにくく、クラックや剥離を防ぐことができる点で、有利である。
【0068】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、上述の加熱工程の前に、前記脱水縮合物を適応させる発光素子の形状に応じて塗布及び/又は注入などを行って成型する工程、上述の加熱工程の後に、得られた半導体発光デバイス用封止物に対し必要に応じて各種の後処理する工程などが挙げられる。
【0069】
前記成型する工程における塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。
前記成型する工程における注入方法としては、例えば、圧力注入法、インクジェット法などが挙げられる。
【0070】
前記後処理する工程としては、例えば、モールド部との密着性の改善のための表面処理する工程、反射防止膜の作製する工程、光取り出し効率向上のための微細凹凸面の作製する工程などが挙げられる。
【0071】
(半導体発光デバイス)
本発明の半導体発光デバイスは、半導体発光デバイス封止物として、前記硬化物を含み、更に必要に応じてその他の構成を含む。
【0072】
ここで、図1を参照して、本発明の半導体発光デバイスの一例について説明する。
図1に示すように、本発明の半導体発光デバイスは、発光素子を実装するためのパッケージ4と、LEDチップからなる発光素子2と、ボンディングワイヤ1と、発光素子2を熱乃至ガスから保護するための硬化物(封止物)3とを備えている。
【0073】
前記パッケージ4としては、発光素子2を実装できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、材質が、セラミックス製のもの、形状が、円形の凹み部を有するものなどが挙げられ、更にパッケージの内側にヒートシンクがはめ込まれていてもよい。前記パッケージとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、KD−LA6F70、KD−V93B95−B(京セラ株式会社製)などが挙げられる。
【0074】
前記発光素子2としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、紫外から赤外域までどのような波長の光を発するものを用いてもよく、例えば、窒化ガリウム系のLEDチップが挙げられる。前記LEDチップとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、サファイア及び窒化ガリウム(GaN)系の青色LEDチップ(Genelite社製)が挙げられる。前記発光素子2の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記パッケージ4に、シリコーン系ダイボンド材で固定され、金製のボンディングワイヤ(不図示)で接続された形態を有してもよい。
【0075】
前記硬化物3としては、例えば、前記脱水縮合物を注射針、マイクロピペットなどを用いて封止部内に滴下して成型を行い、次いで、前述の第1工程及び第2工程により前記脱水縮合物を硬化させることによって作製する。前記脱水縮合物の滴下量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記パッケージ4を水平方向から見た時に液面がパッケージ4の上縁と同等の高さとなる量が好ましい。
【0076】
本発明の半導体発光デバイスは、硬化物3を備えているため、発光装置の光耐久性、熱耐久性を向上させることができる。また、硬化物3にクラックや剥離が起きにくく、黄変による着色劣化もなく、短波長においても優れた透明性を有することが可能となる。更に、硬化物3中に泡が入ること(泡不良)がないため、光色の均一性に優れ、半導体発光デバイス間の光色ばらつきもほとんどなく、発光素子2の光の外部への取り出し効率を従来に比べて高めることができる。
【実施例】
【0077】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例1〜12及び比較例1〜5)
<硬化物製造用キットの調製>
硬化物製造用キットは、表1に示す各材料を混合してA液を調製し、表2に示す各材料を混合してB液を調製することで得た。ここで、A液におけるポリオルガノシロキサンとアルキルシリケートとの混合は、10分間振とうさせて十分に混ざり合わせることで調製した。また、B液における触媒と溶媒との混合は、ガラスバイアルに撹拌子を入れてスターラーで撹拌しながら室温で60分間行い調製した。なお、前記触媒の溶解状態は、30分間静置後に前記ガラスバイアルの底に触媒が目視で確認できた場合に非溶解と判断し、確認できなかった場合に溶解と判断した。また、表1及び表2に示す各材料は、表7に記載の市販品を用いた。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
<硬化物の製造>
まず、ガラスバイアルに、前記A液(主剤)と前記B液(触媒溶液)とをこの順に添加し、前記ガラスバイアルをよく振とうさせた後、ミックスローター(アズワン社製、MR−5)を用いて15分間混合し、混合液を調製した。次に、前記混合液を四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合樹脂(PFA)製シャーレ(アズワン製、PFAシャーレ)に液の厚みが0.4mm程度になるように分注し、加熱炉(ヤマト科学株式会社製、DK340S)にて、第1工程の条件により加熱した後に、第2工程の条件にて加熱することにより、硬化物を製造した。なお、実施例6では、第1工程を経ることなく、第2工程の条件により加熱を行い、硬化物を製造した。また、前記第1工程及び前記第2工程における加熱条件を表3に示す。
【0082】
【表3】

【0083】
<硬化物における溶媒の揮発除去性>
実施例1で作製した硬化物における溶媒(テトラフルオロプロパノール)残留量を以下の手法で解析した。まず、硬化物150mgを切り出し、1mLのメタノール中に一晩浸漬させてメタノール抽出液を作製した。ガスクロマトグラフィー質量分析を用いて、メタノール抽出液に含まれるモニターイオン(m/z)112に由来する成分を測定した。次に、テトラフルオロプロパノール標準品にて検量線を作成し、それに基づいてメタノール抽出液中に含まれるテトラフルオロプロパノール量を計算して硬化膜残留量を定量した。
表4に示す結果により、前記硬化物中には前記溶媒が50ppm以下含まれていることがわかった。また、実施例10〜12についても実施例1と同様に硬化物における溶媒の揮発除去性を確認したところ、99%以上の揮発除去率であることがわかった。なお、硬化物における溶媒の揮発除去性については、同様の操作を浸漬時間3日間で行い定量化したところ、1晩浸漬でも十分に抽出されることが確認された。
【0084】
【表4】

【0085】
(実施例13、実施例14、及び比較例6)
<硬化物製造用組成物の調製>
硬化物製造用組成物は、表5に示す各材料を混合することにより得た。
まず、ガラスバイアルに、ポリオルガノシロキサン、アルキルシリケート、触媒、及び溶媒を添加し、前記ガラスバイアルをよく振とうさせた後、ミックスローター(アズワン社製、MR−5)を用いて15分間混合し、混合液を調製した。なお、前記触媒の溶解状態は、30分間静置後に前記ガラスバイアルの底に触媒が目視で確認できた場合に非溶解と判断し、確認できなかった場合に溶解と判断した。また、表5に示す各材料は、表7に記載の市販品を用いた。
【0086】
【表5】

【0087】
<硬化物の製造>
硬化物は、前記硬化物製造用組成物を四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合樹脂(PFA)製シャーレ(アズワン社製、PFAシャーレ)に液の厚みが0.4mm程度になるように分注し、加熱炉(ヤマト科学株式会社製、DK340S)にて、第1工程の条件により加熱した後に、第2工程の条件にて加熱することにより、硬化物を製造した。また、前記第1工程及び前記第2工程における加熱条件を表6に示す。
【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
(評価)
実施例1〜14及び比較例1〜6で用いた、硬化物製造用キット、硬化物製造用組成物、及び硬化物について、以下のように評価した。なお、各種評価の結果を表8及び表9に示す。
【0091】
<溶液安定性(黄変)>
前記硬化物製造用キットにおけるB液について、24時間大気開放した後の黄変の有無により、溶液安定性について評価した。なお、評価は、以下の基準により行った。結果を表8に示す。
[評価基準]
○:黄変が認められないもの
×:黄変が認められるもの
【0092】
<活性安定性>
前記硬化物製造用キットにおけるB液について、24時間大気開放した後、A液と混合・加熱後の硬化状況により、B液の触媒としての活性安定性を評価した。なお、評価は、以下の基準により行った。結果を表8に示す。
[評価基準]
○:支持膜を形成するもの
△:支持膜の一部が硬化されていない、又は
同処方同条件で支持膜を形成させても、
支持膜を形成できる場合と形成できない場合があるもの
×:全く硬化せずゾル液のままのもの
【0093】
<相溶性>
前記硬化物製造用キットにおけるA液とB液とを混合することにより、相溶性について評価した。なお、評価は、以下の基準により行った。結果を表8に示す。
[評価基準]
○:きれいに混合し透明なゲル液が得られるもの
×:白濁や分離を起こすもの
【0094】
<硬化性>
前記硬化物製造用キットの加熱後の硬化状況により、硬化性について評価した。なお、評価は、以下の基準により行った。結果を表8に示す。
[評価基準]
○:支持膜を形成するもの
△:支持膜の一部が硬化されていない、又は
同処方同条件で支持膜を形成させても、
支持膜を形成できる場合と形成できない場合があるもの
×:全く硬化せずゾル液のままのもの
【0095】
<透明性>
前記硬化物の硬化性の評価が「○」になったサンプル(厚み:0.4mm)のみを、紫外可視分光装置(日本分光社製、V−560)の波長350nmにおける光の透過率を測定することにより、透明性について評価した。なお、評価は、以下の基準により行った。結果を表8に示す。
【0096】
[評価基準]
○:透過率が85%以上100%以下のもの
△:透過率が70%以上85%未満のもの
×:透過率が70%未満のもの
【0097】
【表8】

【0098】
以上より、実施例における硬化物製造用キット及び硬化物製造用組成物、並びにそれを用いてなる硬化物は、触媒として必要な活性を確保できるほどの量を溶解させることができ、黄変による着色劣化もなく、短波長での透明性に優れることがわかった。
【0099】
<析出性>
実施例1、実施例3、及び実施例10〜12における硬化物製造用キットにおけるA液とB液とを混合して直径5cmの円形PFAシャーレに分注した後、30分間開放状態で静置しておいた後に加熱硬化を行った。硬化後に硬化物表面を観察し、表面に針状に析出している点(長さが50μm以上)の数を数えることにより、析出性について評価した。なお、評価は、以下の基準により行った。結果を表9に示す。また、実施例1における硬化物の表面の顕微鏡写真を図2に示し、実施例3における硬化物の表面の顕微鏡写真を図3に示し、実施例10における硬化物の表面の顕微鏡写真を図4に示し、実施例11における硬化物の表面の顕微鏡写真を図5に示し、実施例12における硬化物の表面の顕微鏡写真を図6に示す。なお、図2〜図6で示した硬化物の表面の顕微鏡写真で確認されている程度の金属錯体化合物の析出は、実用上問題ない。
[評価基準]
◎:シャーレ5枚の平均の数が、1枚当たり3個以下
○:シャーレ5枚の平均の数が、1枚当たり4個以上20個以下
□:シャーレ5枚の平均の数が、1枚当たり21個以上40個以下
△:シャーレ5枚の平均の数が、1枚当たり41個以上300個以下
×:シャーレ5枚の平均の数が、1枚当たり301個以上
【0100】
【表9】

【0101】
以上より、フッ素系アルコールが、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールを用いると、前記金属錯体化合物の析出を防ぐことができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の硬化物製造用キット及び硬化物製造用組成物を用いてなる硬化物は、特にLED素子等を封止するための部材(封止物)として有用であり、短波長においても優れた透明性を有することから、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の用途にも、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 ボンディングワイヤ
2 発光素子(LEDチップ)
3 硬化物(封止材)
4 パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合して使用する硬化物製造用キットであり、
シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを含むA液と、
金属錯体化合物とフッ素系アルコールとを含むB液と、を有することを特徴とする硬化物製造用キット。
【請求項2】
金属錯体化合物のB液における含有量が、7質量%〜30質量%である請求項1に記載の硬化物製造用キット。
【請求項3】
金属錯体化合物の中心金属が、ジルコニウム及びアルミニウムの少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項4】
金属錯体化合物の配位子が、1種のみの配位子である請求項1から3のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項5】
金属錯体化合物の配位子が、アセチルアセトナートである請求項1から4のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項6】
金属錯体化合物が、アルミニウムアセチルアセトナート及びジルコニウムアセチルアセトナートの少なくともいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項7】
フッ素系アルコールが、沸点が150℃以下のアルキルフルオロアルコールである請求項1から6のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項8】
フッ素系アルコールが、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールである請求項1から7のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項9】
フッ素系アルコールが、炭素数(n)とフッ素数(x)とが下記式(I)を満たすアルキルフルオロアルコールである請求項1から8のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
x≧(n−1)×2・・・式(I)
【請求項10】
フッ素系アルコールが、炭素数4又は5のアルキルフルオロアルコールである請求項1から9のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項11】
フッ素系アルコールが、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、及び1H,1H,7H−ドデカフルオロへプタノールの少なくともいずれかである請求項1から10のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項12】
ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(I)で表される請求項1から11のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【化1】

ただし、前記一般式(I)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、フッ素を含まない有機基を表す。また、nは、1以上の整数を表す。
【請求項13】
ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量が、300〜1,000,000である請求項1から12のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【請求項14】
アルキルシリケートが、下記一般式(II)で表される請求項1から13のいずれかに記載の硬化物製造用キット。
【化2】

ただし、前記一般式(II)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、アルコキシ基、又はフッ素を含まない1価の有機基を示す。ただし、4つのRのうちの少なくとも1つはアルコキシ基である。
【請求項15】
シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを含むA液と混合して使用する触媒組成物であり、
ジルコニウム錯体化合物及びアルミニウム錯体化合物の少なくとも1種の金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを含むことを特徴とする触媒組成物。
【請求項16】
金属錯体化合物の含有量が、7質量%〜30質量%である請求項15に記載の触媒組成物。
【請求項17】
シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートと、金属錯体化合物と、フッ素系アルコールとを含むことを特徴とする硬化物製造用組成物。
【請求項18】
金属錯体化合物の含有量が、0.2質量%〜2質量%である請求項17に記載の硬化物製造用組成物。
【請求項19】
金属錯体化合物の中心金属が、ジルコニウム及びアルミニウムの少なくとも1種である請求項17から18のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項20】
金属錯体化合物の配位子が、1種のみの配位子である請求項17から19のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項21】
金属錯体化合物の配位子が、アセチルアセトナートである請求項17から20のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項22】
金属錯体化合物が、アルミニウムアセチルアセトナート及びジルコニウムアセチルアセトナートの少なくともいずれかである請求項17から21のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項23】
フッ素系アルコールが、沸点が150℃以下のアルキルフルオロアルコールである請求項17から22のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項24】
フッ素系アルコールが、炭素数3〜7のアルキルフルオロアルコールである請求項17から23のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項25】
フッ素系アルコールが、炭素数(n)とフッ素数(x)とが下記式(I)を満たすアルキルフルオロアルコールである請求項17から24のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
x≧(n−1)×2・・・式(I)
【請求項26】
フッ素系アルコールが、炭素数4又は5のアルキルフルオロアルコールである請求項17から25のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項27】
フッ素系アルコールが、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、及び1H,1H,7H−ドデカフルオロへプタノールの少なくともいずれかである請求項17から26のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項28】
ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(I)で表される請求項17から27のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【化3】

ただし、前記一般式(I)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、フッ素を含まない有機基を表す。また、nは、1以上の整数を表す。
【請求項29】
ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量が、300〜1,000,000である請求項17から28のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【請求項30】
アルキルシリケートが、下記一般式(II)で表される請求項17から29のいずれかに記載の硬化物製造用組成物。
【化4】

ただし、前記一般式(II)におけるRは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、アルコキシ基、又はフッ素を含まない1価の有機基を示す。ただし、4つのRのうちの少なくとも1つはアルコキシ基である。
【請求項31】
シラノール基及びアルコキシシリル基の少なくともいずれかを有し、フッ素を含まないポリオルガノシロキサンと、フッ素を含まないアルキルシリケートとを反応させて得られる硬化物からなり、該硬化物におけるフッ素系アルコールの含有量が、50ppm以下であることを特徴とする硬化物。
【請求項32】
更に、アルミニウム及びジルコニウムの少なくともいずれかが含有されており、当該含有量が1質量%以下である請求項31に記載の硬化物。
【請求項33】
請求項1から14のいずれかに記載の硬化物製造用キット、又は請求項17から30のいずれかに記載の硬化物製造用組成物を用いて形成される請求項31から32に記載の硬化物。
【請求項34】
請求項1から14のいずれかに記載の硬化物製造用キットを半導体発光デバイスの封止物の形成に使用することを特徴とする半導体発光デバイス封止物の製造用キット。
【請求項35】
請求項17から30のいずれかに記載の硬化物製造用組成物を半導体発光デバイスの封止物の形成に使用することを特徴とする半導体発光デバイス封止物の製造用組成物。
【請求項36】
半導体発光デバイスの封止物として請求項33に記載の硬化物を備えることを特徴とする半導体発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−131985(P2012−131985A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258824(P2011−258824)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】