説明

磁性膜の製造方法及び磁性膜

【課題】軟磁気特性を向上させながら、パルスめっきによるピンホールの発生を抑制することができる磁性膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】貴金属及び卑金属を含有する下地層2にパルスめっきを施して、下地層2上に、磁性材料からなるめっき層3を析出させる。貴金属としては、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、Pt、Auから選択された少なくとも一つを採用することができる。また、卑金属としては、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Moから選択された少なくとも一つを採用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、磁気ヘッドを構成するための、めっき法により形成される磁性膜の製造方法及び磁性膜に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドにおいては、下地層の上にFeCo、NiFe等の磁性材料からなる磁性層を積層した構造の磁性膜を、書き込みポールやヨーク、シールドとして用いる。この種の磁性膜では、下地層をRu等の貴金属から構成することで、保磁力を低下させると共に透磁率を向上させることができる。例えば、特許文献1の段落番号0016には、Ruからなる下地層の上に、FeCoからなる磁性層を積層した構造が開示されている。
【0003】
また、実際に磁性層を形成する際は、例えば0.2μm以上と厚く形成するのが一般的である。磁性層を形成するための手法としては、めっき液中に下地層を浸漬し、電流を印加することで磁性層を下地層上に析出させるめっき法が有効である。特に、パルス波形の電流を印加するパルスめっき法が好ましい。パルスめっき法によれば、パルス状の電流波形でめっきを断続的に行うので、磁性層の厚さを確保しながら結晶粒の成長を抑えることができ、厚く且つ緻密な磁性層が得られると期待される。
【特許文献1】特開2005−25890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上述べた点を考慮し、発明者らは、貴金属からなる下地層にパルスめっき法を適用して磁性層を析出させてみたが、磁性層に気泡が取り込まれてピンホールが発生するといった問題や、電位差による腐食といった問題が生じた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、軟磁気特性を向上させながら、パルスめっきによるピンホールの発生を抑制することができる磁性膜の製造方法及び磁性膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、貴金属元素及び卑金属元素を含有する下地層にパルスめっきを施して、前記下地層上に、磁性材料からなるめっき層を析出させる磁性膜の製造方法を提供する。
【0007】
発明者らは、パルスめっきによるピンホールの発生について研究を行い、そのメカニズムを、必ずしも明確ではないが次のように推測した。
【0008】
即ち、パルスめっきでは、めっき層を成長させる第1の期間と、めっき層の成長を停止、またはめっき層をエッチングする第2の期間とを、極めて短い時間の単位で交互に繰り返す。仮に、下地層が貴金属のみから構成されたことで下地層の標準電極電位が高い場合、第2の期間では、下地層に印加される電圧に、下地層自体が持つ高い標準電極電位が加算されるので、下地層の電位は、本来よりも高い正の値となる。このため、下地層周囲のめっき液が分解されて、酸素ガス等の気泡が発生する。そして、その後の第1の期間でめっき層を成長させる際、めっき層に気泡が取り込まれてピンホールが発生するというものである。
【0009】
また、一般的に、磁性層は、卑な電位を有する金属であるため、貴金属との電位差によって電池効果による腐食が生じることが知られている。
【0010】
そこで、本発明では、貴金属元素及び卑金属元素を含有する下地層を採用する。かかる下地層は、貴金属元素のみからなる下地層と比較して標準電極電位が低くなるので、パルスめっきを施しても、めっき層のピンホール発生や腐食を抑制することができる。
【0011】
また、上述した下地層は貴金属元素を含有しているから、下地層上に形成され且つ磁性材料からなるめっき層に、優れた軟磁気特性を与えることができる。
【0012】
更に、本発明は、貴金属元素及び卑金属元素を含有する下地層と、前記下地層上に形成され、磁性材料からなるめっき層とを備えた磁性膜を提供する。
【0013】
上述した本発明に係る磁性膜において、下地層は貴金属元素及び卑金属元素を含有しているから、標準電極電位が低い。よって、下地層上にめっき層を形成するため、パルスめっきを施してめっき層を析出させても、めっき層のピンホール発生を抑制することができる。
【0014】
また、下地層は貴金属元素を含有してるから、磁気材料からなるめっき層の軟磁気特性を向上させることができる。
【0015】
本発明は、更に、上述した磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッドについても開示する。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明によれば、軟磁気特性を向上させながら、パルスめっきによるピンホールの発生を抑制することができる磁性膜の製造方法及び磁性膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明に係る磁性膜の一実施形態を示す断面図である。図示の磁性膜5は、下地層2と、めっき層3とを含み、基板1上に形成されている。基板1は、例えばアルティック(Al・TiC)等のセラミック材料からなる。
【0018】
下地層2は、基板1の上面に、厚みZ2が例えば20nm〜100nm程度で形成されている。下地層2は、貴金属及び卑金属を含む合金材料からなる。合金材料を構成するための貴金属としては、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、Pt及びAuからなる群から選択された一つまたは複数の元素を採用することができる。また、卑金属としては、非磁性の卑金属を用いることが好ましく、例えば、Ti、V、Cr、Zr、Nb及びMoからなる群から選択された一つまたは複数の元素を採用することができる。貴金属及び卑金属の組み合わせは任意ではあるが、一例としては、Ru及びCrの組み合わせを挙げることができる。また、貴金属に対する卑金属の添加量は、5at%以上50at%以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは5at%以上20at%以下の範囲とする。
【0019】
下地層2の標準電極電位は、−1.00V以上0.70V以下の範囲にあることが好ましい。下地層2の標準電極電位は、合金材料を構成する貴金属元素及び卑金属元素の種類を変更したり、または、貴金属に対する卑金属の添加量を変化させることにより調整することができる。
【0020】
めっき層3は、下地層2の上面に形成されている。詳しくは、めっき層3は、下地層2の上面に直接に付着され、厚みZ3が例えば0.3μm〜3.0μm程度である。めっき層3は、磁性材料からなる。磁性材料としては、FeCo、NiFeなどを採用することができる。めっき層3は、他の方法で形成された層、例えば、真空蒸着法やスパッタ法で形成された層と、めっき液中の硫黄や硼素などの不純物を含有している点で区別することができる。
【0021】
別の実施形態として、めっき層3上に、磁性材料からなる第2のめっき層が形成されていてもよい。例えば、めっき層3の磁性材料としてFeCoを採用した場合、第2のめっき層の磁性材料としてNiFeを採用することができる。
【0022】
上述した磁性膜5は、エッチングなどの必要な工程を経ることにより、磁気ヘッドの書き込みポール、ヨークまたはシールドとして用いることができる。
【0023】
次に、このような磁性膜5の製造方法について、図2及び図3を参照し、説明する。
まず、図2に示すように、基板1の上面に下地層2を形成する。下地層2が、貴金属及び卑金属を含む合金材料から構成されることは前述した通りである。このような下地層2は、真空蒸着法、スパッタ法、めっき法などによって形成することができる。
【0024】
次に、下地層2の上面にめっき層を形成すべく、めっきを行う。めっき工程を図3に示す。図3を参照すると、めっき槽41の中にめっき液42が入れられている。めっき液42の成分は、形成すべきめっき層の組成に応じて定まる。例えば、CoFeのめっき層を形成したい場合、めっき液42は、Coイオン及びFeイオンを含有するように調製される。Coイオンの供給源としては、硫酸コバルトや塩化コバルトなどが、Feイオンの供給源としては、硫酸鉄や、塩化鉄などが用いられる。電極板43は、電源44に接続されている。
【0025】
そして、下地層2が形成された基板1をめっき液42に浸漬し、下地層2にパルスめっきを施す。パルスめっきの具体的手法としては、下地層2をめっき液中に浸漬した状態で、電極板43を電源44の正極、下地層2を電源44の負極に接続し、電極板43に、パルス状の波形を有する電圧V1を印加する。
【0026】
電圧V1の波形の例を図4に示す。但し、図4では横軸に時間を、縦軸に電圧をとってある。図3及び図4を参照すると、まず、第1の期間T1で、電極板43に一定の正電圧Vaを印加する。下地層2からみると、一定の負電圧が印加されることになるので、下地層2上でめっき層3を成長させることができる。第1の期間T1の長さは、例えば5ms〜1000ms程度に設定される。また、正電圧Vaを印加するときのめっき電流の値は、形成すべきめっき層の組成にも依るが、例えば0.01A/cm〜0.1A/cm程度に設定される。
【0027】
次に、第2の期間T2で、電極板に一定の負電圧Vbを印加する。下地層2からみると、印加される電圧が負となるので、めっき層3がエッチングされる。負電圧Vbの大きさは、正電圧Vaの大きさよりも小さい。第2の期間T2の長さの、第1の期間T1の長さに対する比T2/T1は、例えば1〜200程度に設定される。また、負電圧Vbを印加するときのめっき電流の値は、正電圧Vaを印加するときのめっき電流の値にも依るが、例えば0〜0.03A/cm程度に設定される。
【0028】
そして、めっき層3の厚さを確保しながら結晶粒の成長を抑えるため、所定時間T0の間に、第1、第2の期間T1、T2を交互に繰り返す。
【0029】
図4に示された波形において、仮に、下地層2が貴金属のみから構成されたことで下地層2の標準電極電位が高い場合を考える。この場合、第2の期間T2で、下地層2に印加される正の電圧に、下地層自体が持つ高い標準電極電位が加算されるので、下地層2の電位は、本来よりも高い正の値となる。このため、下地層2の周囲のめっき液42が分解されて、酸素ガス等の気泡が発生する。そして、その後の第1の期間T1でめっき層3を成長させる際、めっき層3に気泡が取り込まれてピンホールが発生するという問題が生じる。
【0030】
電圧V1の波形の別の例を図5に示す。まず、第1の期間T1で、電極板43に一定の正電圧Vaを印加する点については、図4に示された波形と同様である。
【0031】
次に、第2の期間T2で、電極板43に対する印加電圧をゼロとする。下地層2からみると、印加される電圧がゼロとなるので、めっき層3の成長が停止する。第1、第2の期間T1、T2を交互に繰り返す点については、図4に示された波形と同様である。
【0032】
図5に示された波形でも、めっき層3にピンホールが発生するという問題が生じる。すなわち、下地層2の標準電極電位が高い場合、第2の期間T2で、下地層2に印加される電圧がゼロであっても、下地層自体が持つ高い標準電極電位が加算される。このため、下地層2の電位は、本来よりも高い正の値となり、めっき層3にピンホールが発生する。
【0033】
図6は、貴金属のみから構成された下地層にパルスめっきを適用した場合のめっき層の状態を示す断面写真である。図6に示すように、下地層61の上に析出されためっき層62には、ピンホール63が発生しており、ピンホール63よりも上側ではめっき層62が成長していないことがわかる。なお、線64は、ピンホール63がFIB加工(集束イオンビーム加工)に影響したために生じた線であり、ピンホールや腐食ではない。
【0034】
再び図3を参照すると、発明者らは、パルスめっきによるピンホール発生を抑制するための手段として、貴金属及び卑金属を含有する合金材料から構成された下地層2を採用した。かかる下地層2は、貴金属のみからなる下地層と比較して標準電極電位が低くなる。よって、下地層2にパルスめっきを施しても、めっき層3のピンホール発生を抑制することができるので、めっき層3を、厚くかつ緻密に形成することができる。
【0035】
また、下地層2は貴金属を含有しているから、磁気材料からなるめっき層3の軟磁気特性を向上させることができる。
【0036】
更に発明者が検討したところ、下地層2の標準電極電位が高い場合、腐食という別の問題も生じる。即ち、下地層2の標準電極電位が高い場合、下地層2の標準電極電位と、めっき層3の標準電極電位との差が大きくなる。このため、図3に示した工程の後の段階で、下地層2及びめっき層3がめっき液またはエッチング液にさらされると、下地層2とめっき層3との間に、電池効果による腐食が発生するという問題がある。
【0037】
図7は、貴金属のみから構成された下地層にパルスめっきを適用した後の、下地層及びめっき層の状態を示す断面写真である。図7に示すように、パルスめっきを行った後、下地層71とめっき層72との間に腐食73が生じる。
【0038】
この腐食の問題に関し、本発明では、図3を参照して説明したように、下地層2の標準電極電位を下げることができるので、下地層2の標準電極電位と、めっき層3の標準電極電位との差を縮めることができる。よって、電池効果による腐食を回避することができる。
【0039】
また、別の実施形態として、下地層2上にめっき層3を析出させた後(図3)、めっき層3にめっきを施して、めっき層3上に、磁性材料からなる第2のめっき層を析出させてもよい。第2のめっき層を析出させるためのめっきとしては、上述したパルスめっき法のほか、一定の電圧もしくは電流を印加する通常のめっき法を採用することもできる。
【0040】
以下、ピンホールや腐食の発生を防止する点、及び、軟磁気特性を向上させる点について、実験データを挙げて説明する。
【0041】
<実験1>
まず、アルティックからなる基板上に、スパッタ法で下地層を形成した。下地層の組成としては、RhをベースとしCrを添加した組成を用いた。Cr添加量は、Rhに対して0at%〜100at%とした。また、下地層の層厚は20nmとした。
【0042】
次に、下地層にパルスめっきを施し、下地層上に直接にめっき層を形成した。めっき層の組成としては、Fe75Co25を用い、めっき層の層厚は1.0μmとした。これにより、下地層及びめっき層を積層した構造の磁性膜を得た。
【0043】
次に、得られた磁性膜の軟磁気特性を調べた。具体的には、容易軸方向保磁力Hc(Oe)及び10MHzにおける透磁率u'を調べた。
【0044】
更に、下地層の結晶構造及びめっき層の不純物量(wt%)も調べた。めっき層の不純物量については、グロー放電質量分析法(GD−MS)にてめっき膜中の元素の定量を行い、不純物とみなされる元素(塩素、硫黄及び酸素)の合計量を求めることで、めっき層の不純物量とした。
【0045】
更に、ピンホールまたは腐食の有無についても調べた。実験結果を、下記の表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1に含まれる項目「下地層の結晶構造」について、hcpは六方最密構造、bccは体心立方構造、hcp-bccは六方最密構造と体心立方構造とが混在していることを表す。
【0048】
まず、ピンホールや腐食の発生について検討する。ピンホールや腐食の発生は、下地層の標準電極電位だけでなく、めっき層に取り込まれる不純物の量によっても影響を受ける。すなわち、めっき液中には、塩素、硫黄及び酸素等のガスが含まれている。そして、Cr添加量を少なくした下地層にパルスめっきを適用すると、ガスの発生が多くなり、めっき層中に不純物として多く取り込まれる。このめっき層中の不純物が、ピンホールや腐食の発生を招く。
【0049】
Cr添加量を5at%未満とした場合、下地層の標準電極電位が高くなるとともに、めっき層の不純物量が多くなった。このため、ピンホールまたは腐食の何れかが発生した(サンプル1、2)。
【0050】
これに対し、Cr添加量を5at%以上とした場合、下地層の標準電極電位が低くなるとともに、めっき層の不純物量が少なくなった。よって、ピンホールまたは腐食の何れも抑制することができた(サンプル3〜15)。
【0051】
従って、ピンホールまたは腐食を防止する観点からは、Cr添加量を5at%以上とすればよいことがわかる。
【0052】
次に、容易軸方向保磁力や透磁率などの軟磁気特性について検討する。Cr添加量を50at%以下とした場合、下地層の結晶構造は、貴金属Rhの結晶構造である六方最密構造(hcp)が支配的となった。このため、容易軸方向保磁力が40(Oe)以下、かつ、透磁率が600以上といった優れた軟磁気特性を確保することができた(サンプル1〜11)。
【0053】
これに対し、Cr添加量を50at%よりも大きくした場合、下地層の結晶構造は、卑金属Crの結晶構造である体心立方構造(bcc)が支配的となった。このため、容易軸方向保磁力が40(Oe)を超え、透磁率が600未満となるといった、軟磁気特性の劣化が生じた(サンプル12〜15)。
【0054】
従って、優れた軟磁気特性を確保する観点からは、Cr添加量を50at%以下とすればよいことがわかる。
【0055】
以上の結果から、ピンホールまたは腐食を防止すると同時に、優れた軟磁気特性を確保するには、Cr添加量を5at%以上50at%以下とすればよい。より好ましくは、軟磁気特性を更に向上させるため、Cr添加量を5at%以上20at%以下とする。
【0056】
<実験2>
実験2において、先の実験1と重複する点については以下説明を省略することがある。実験2では、下地層の組成として、PdをベースとしTiを添加した組成を用いた。Ti添加量は、Pdに対して0at%〜100at%とした。また、めっき層の組成としては、先の実験1と同様、Fe75Co25を用いた。
【0057】
実験結果を、下記の表2に示す。但し、実験2では、めっき層の不純物量(wt%)については調べなかった。
【0058】
【表2】

【0059】
表2の項目「下地層の結晶構造」について、fccは面心立方構造、hcpは六方最密構造、fcc-hcpは面心立方構造と六方最密構造とが混在していることを表す。
【0060】
まず、ピンホールや腐食の発生について検討する。Ti添加量を5at%未満とした場合、ピンホールまたは腐食の何れかが発生した。これは、下地層の標準電極電位が高くなるとともに、めっき層の不純物量が多くなったためと考えられる(サンプル16、17)。
【0061】
これに対し、Ti添加量を5at%以上とした場合、ピンホールまたは腐食の何れも抑制することができた。これは、下地層の標準電極電位が低くなるとともに、めっき層の不純物量が少なくなったためと考えられる(サンプル18〜30)。
【0062】
従って、ピンホールまたは腐食を防止する観点からは、Ti添加量を5at%以上とすればよいことがわかる。
【0063】
次に、容易軸方向保磁力や透磁率などの軟磁気特性について検討する。Ti添加量を50at%以下とした場合、下地層の結晶構造は、貴金属Pdの結晶構造である面心立方構造が支配的となった。このため、容易軸方向保磁力が40(Oe)以下、かつ、透磁率が600以上といった優れた軟磁気特性を確保することができた(サンプル16〜26)。
【0064】
これに対し、Ti添加量を50at%よりも大きくした場合、下地層の結晶構造は、卑金属Tiの結晶構造である六方最密構造が支配的となった。このため、容易軸方向保磁力が40(Oe)を超え、透磁率が600未満となるといった、軟磁気特性の劣化が生じた(サンプル27〜30)。
【0065】
従って、優れた軟磁気特性を確保する観点からは、Ti添加量を50at%以下とすればよいことがわかる。
【0066】
以上の結果から、ピンホールまたは腐食を防止すると同時に、優れた軟磁気特性を確保するには、Ti添加量を5at%以上50at%以下とすればよい。より好ましくは、軟磁気特性を更に向上させるため、Ti添加量を5at%以上20at%以下とする。
【0067】
<実験3>
実験3において、先の実験2と重複する点については以下説明を省略することがある。実験3では、下地層の組成として、RuをベースとしCrを添加した組成を用いた。Cr添加量は、Ruに対して0at%〜100at%とした。また、めっき層の組成としては、先の実験2と同様、Fe75Co25を用いた。実験結果を、下記の表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
表3の項目「下地層の結晶構造」について、hcpは六方最密構造、bccは体心立方構造、hcp-bccは六方最密構造と体心立方構造とが混在していることを表すことは表1と同様である。
【0070】
まず、ピンホールや腐食の発生について検討する。Cr添加量を5at%未満とした場合、ピンホールまたは腐食の何れかが発生した。これは、下地層の標準電極電位が高くなるとともに、めっき層の不純物量が多くなったためと考えられる(サンプル31、32)。
【0071】
これに対し、Cr添加量を5at%以上とした場合、ピンホールまたは腐食の何れも抑制することができた。これは、下地層の標準電極電位が低くなるとともに、めっき層の不純物量が少なくなったためと考えられる(サンプル33〜41)。
【0072】
従って、ピンホールまたは腐食を防止する観点からは、Cr添加量を5at%以上とすればよいことがわかる。
【0073】
次に、容易軸方向保磁力や透磁率などの軟磁気特性について検討する。Cr添加量を55at%以下とした場合、下地層の結晶構造は、貴金属Ruの結晶構造である六方最密構造(hcp)が支配的となる。従って、Cr添加量の余裕分を考慮して、Cr添加量を50at%以下とすれば、容易軸方向保磁力が40(Oe)以下、かつ、透磁率が600以上といった優れた軟磁気特性を確保することができる(サンプル31〜38)。
【0074】
これに対し、Cr添加量を50at%よりも大きくした場合、下地層の結晶構造は、卑金属Crの結晶構造である体心立方構造(bcc)が支配的となった。このため、容易軸方向保磁力が40(Oe)を超え、透磁率が600未満となるといった、軟磁気特性の劣化が生じた(サンプル39〜41)。
【0075】
従って、優れた軟磁気特性を確保する観点からは、Cr添加量を50at%以下とすればよいことがわかる。
【0076】
以上の結果から、ピンホールまたは腐食を防止すると同時に、優れた軟磁気特性を確保するには、Cr添加量を5at%以上50at%以下とすればよい。より好ましくは、軟磁気特性を更に向上させるため、Cr添加量を5at%以上20at%以下とする。
【0077】
<実験4>
実験4において、先の実験2と重複する点については以下説明を省略することがある。実験4では、下地層の組成として、PtをベースとしCrを添加した組成を用いた。Cr添加量は、Ptに対して0at%〜100at%とした。また、めっき層の組成としては、先の実験2と同様、Fe75Co25を用いた。実験結果を、下記の表4に示す。
【0078】
【表4】

【0079】
表4の項目「下地層の結晶構造」について、fccは面心立方構造、bccは体心立方構造、fcc-bccは面心立方構造と体心立方構造とが混在していることを表す。
【0080】
まず、ピンホールや腐食の発生について検討する。Cr添加量を5at%未満とした場合、ピンホールまたは腐食の何れかが発生した。これは、下地層の標準電極電位が高くなるとともに、めっき層の不純物量が多くなったためと考えられる(サンプル42、43)。
【0081】
これに対し、Cr添加量を5at%以上とした場合、ピンホールまたは腐食の何れも抑制することができた。これは、下地層の標準電極電位が低くなるとともに、めっき層の不純物量が少なくなったためと考えられる(サンプル44〜52)。
【0082】
従って、ピンホールまたは腐食を防止する観点からは、Cr添加量を5at%以上とすればよいことがわかる。
【0083】
次に、容易軸方向保磁力や透磁率などの軟磁気特性について検討する。Cr添加量を55at%以下とした場合、下地層の結晶構造は、貴金属Ruの結晶構造である六方最密構造(hcp)が支配的となる。従って、Cr添加量の余裕分を考慮して、Cr添加量を50at%以下とすれば、容易軸方向保磁力が40(Oe)以下、かつ、透磁率が600以上といった優れた軟磁気特性を確保することができる(サンプル31〜38)。
【0084】
従って、優れた軟磁気特性を確保する観点からは、Cr添加量を50at%以下とすればよいことがわかる。
【0085】
以上の結果から、ピンホールまたは腐食を防止すると同時に、優れた軟磁気特性を確保するには、Cr添加量を5at%以上50at%以下とすればよい。より好ましくは、軟磁気特性を更に向上させるため、Cr添加量を5at%以上20at%以下とする。
【0086】
<実験5>
実験5において、先の実験2と重複する点については以下説明を省略することがある。実験5では、下地層の組成として、PtをベースとしTiを添加した組成を用いた。Ti添加量は、Ptに対して0at%〜100at%とした。また、めっき層の組成としては、先の実験2と同様、Fe75Co25を用いた。実験結果を、下記の表5に示す。
【0087】
【表5】

【0088】
表5の項目「下地層の結晶構造」について、hcpは六方最密構造、fccは面心立方構造、bccは体心立方構造、fcc-bccは面心立方構造と体心立方構造とが混在していることを表す。
【0089】
まず、ピンホールや腐食の発生について検討する。Ti添加量を5at%未満とした場合、ピンホールまたは腐食の何れかが発生した。これは、下地層の標準電極電位が高くなるとともに、めっき層の不純物量が多くなったためと考えられる(サンプル53、54)。
【0090】
これに対し、Ti添加量を5at%以上とした場合、ピンホールまたは腐食の何れも抑制することができた。これは、下地層の標準電極電位が低くなるとともに、めっき層の不純物量が少なくなったためと考えられる(サンプル55〜63)。
【0091】
従って、ピンホールまたは腐食を防止する観点からは、Ti添加量を5at%以上とすればよいことがわかる。
【0092】
次に、容易軸方向保磁力や透磁率などの軟磁気特性について検討する。Ti添加量を50at%以下とした場合、容易軸方向保磁力が40(Oe)以下、かつ、透磁率が600以上といった優れた軟磁気特性を確保することができた(サンプル53〜60)。
【0093】
これに対し、Ti添加量を50at%よりも大きくした場合、容易軸方向保磁力が40(Oe)を超え、透磁率が600未満となるといった、軟磁気特性の劣化が生じた(サンプル61〜63)。
【0094】
従って、優れた軟磁気特性を確保する観点からは、Cr添加量を50at%以下とすればよいことがわかる。
【0095】
以上の結果から、ピンホールまたは腐食を防止すると同時に、優れた軟磁気特性を確保するには、Ti添加量を5at%以上50at%以下とすればよい。より好ましくは、軟磁気特性を更に向上させるため、Ti添加量を5at%以上20at%以下とする。
【0096】
<実験6>
実験6において、先の実験2と重複する点については以下説明を省略することがある。実験6では、下地層の組成として、RuをベースとしTiを添加した組成を用いた。Ti添加量は、Ruに対して0at%〜100at%とした。また、めっき層の組成としては、先の実験2と同様、Fe75Co25を用いた。実験結果を、下記の表6に示す。
【0097】
【表6】

まず、ピンホールや腐食の発生について検討する。Ti添加量を5at%未満とした場合、ピンホールまたは腐食の何れかが発生した。これは、下地層の標準電極電位が高くなるとともに、めっき層の不純物量が多くなったためと考えられる(サンプル64、65)。
【0098】
これに対し、Ti添加量を5at%以上とした場合、ピンホールまたは腐食の何れも抑制することができた。これは、下地層の標準電極電位が低くなるとともに、めっき層の不純物量が少なくなったためと考えられる(サンプル66〜74)。
【0099】
従って、ピンホールまたは腐食を防止する観点からは、Ti添加量を5at%以上とすればよいことがわかる。
【0100】
次に、容易軸方向保磁力や透磁率などの軟磁気特性について検討する。Ti添加量を50at%以下とした場合、容易軸方向保磁力が40(Oe)以下、かつ、透磁率が600以上といった優れた軟磁気特性を確保することができた(サンプル64〜71)。
【0101】
これに対し、Ti添加量を50at%よりも大きくした場合、容易軸方向保磁力が40(Oe)を超え、透磁率が600未満となるといった、軟磁気特性の劣化が生じた(サンプル72〜74)。
【0102】
従って、優れた軟磁気特性を確保する観点からは、Cr添加量を50at%以下とすればよいことがわかる。
【0103】
以上の結果から、ピンホールまたは腐食を防止すると同時に、優れた軟磁気特性を確保するには、Ti添加量を5at%以上50at%以下とすればよい。より好ましくは、軟磁気特性を更に向上させるため、Ti添加量を5at%以上20at%以下とする。
【0104】
図8は本発明に係る薄膜磁気ヘッドの一実施形態を示す媒体対向面側の平面図、図9は図8に示した薄膜磁気ヘッドの正面断面図、図10は図8及び図9に示した薄膜磁気ヘッドの素子部分の拡大断面図である。何れの図面においても、寸法、プロポーション等は、図示の都合上、誇張されまたは省略されている。
【0105】
まず、図8及び図9を参照すると、スライダ基体100は、例えば、アルティック(Al−TiC)等のセラミック材料からなり、媒体対向面に浮上特性制御用の幾何学的形状を有している。そのような幾何学的形状の代表例として、実施例では、スライダ基体100の基底面10に、第1の段部11、第2の段部12、第3の段部13、第4の段部14、及び、第5の段部15を備える例を示してある。基底面10は、矢印Aで示す空気の流れ方向に対する負圧発生部となり、第2の段部12及び第3の段部13は、第1の段部11から立ち上がるステップ状の空気軸受けを構成する。第2の段部12及び第3の段部13の表面はABSとなる。
【0106】
第4の段部14は、基底面10からステップ状に立ち上がり、第5の段部15は第4の段部14からステップ状に立ちあがっている。書込み素子200及び読取素子300は第5の段部15に設けられている。
【0107】
次に、図10を参照すると、読取素子300は、MR素子30と、下部シールド膜31と、上部シールド膜33とを含む。図示実施形態の場合、MR素子30は、CIPタイプのGMR素子でなる。CIPタイプのGMR素子でなるMR素子30は、MR素子の下面と下部シールド膜31との間に絶縁ギャップを生じ、かつ、MR素子の上面と上部シールド膜33との間に絶縁ギャップを生じるように、絶縁ギャップ膜32の内部に配置されている。
【0108】
図示実施形態と異なり、MR素子30が、CPPタイプのTMR素子またはGMR素子でなってもよい。CPPタイプのTMR素子またはGMR素子でなるMR素子30は、MR素子の下面と下部シールド膜31との間に絶縁ギャップを介さず、かつ、MR素子の上面と上部シールド膜33との間に絶縁ギャップを介さない態様で配置される。
【0109】
書込み素子200は、下部磁性膜21と、上部磁性膜22と、薄膜コイル231、232と、書込みギャップ膜24とを含む。下部磁性膜21は、下部ヨーク部210と、下部ポール部211とを有する。下部ポール部211は、記録媒体に対向する側、即ち、ABS12、13の側において下部ヨーク部210の端部に突出して備えられている。そして、下部ポール部211は、上部シールド膜33に隣接させた絶縁膜34の上に、下地膜215を介して設けられている。参照符号213は、下部ヨーク部210に設けられた凹部、参照符号270は、凹部213を埋めるように設けられた絶縁膜である。
【0110】
上部磁性膜22は、上部ヨーク部221と、上部ポール部(222、223)とを有している。ヨーク部とポール部の区別は、磁気回路上、必ずしも明確ではないが、面積の大小によって区別することができる。すなわち、広い面積を有する部分をヨーク部と称し、この広い面積の部分から絞り込まれた結果、小面積となった部分を、ポール部と称する。上部磁性膜22は、アルミナなどの絶縁膜274によって覆われている。
【0111】
上部ヨーク部221は、下部ヨーク部210から間隔を隔て、記録媒体に対向するABS12、13の側から見て後方に位置する後方結合部26により、下部ヨーク部210と磁気的に結合されている。薄膜コイル231、232は、下部ヨーク部210及び上部ヨーク部221の間に存在する絶縁膜25、271、272、275、276によって、電気的に絶縁されている。絶縁膜25、271、272、275、276は、有機絶縁膜、無機絶縁膜又はそれらの組み合わせによって構成される。
【0112】
上部ポール部(222、223)は、上部ポール端部223と、上部ポール後部222とを含み、下地膜225及び書込みギャップ膜24を挟んで下部ポール部211と向き合っている。
【0113】
上述した薄膜磁気ヘッドにおいて、書込み素子200の下部ポール部211または上部ポール端部223は、図1の磁性膜5に示された構成を採用することができる。例えば、下部ポール部211及び下地膜215が、それぞれ、図1に示した磁性膜5のめっき層3及び下地層2に相当する構成となる。また、上部ポール端部223及び下地膜225が、それぞれ、図1に示した磁性膜5のめっき層3及び下地層2に相当する構成となる。このように、書込み素子200の下部ポール部211または上部ポール端部223として、図1の磁性膜5に示された構成を採用することにより、書込み素子の性能を向上させることができる。
【0114】
また、読取素子300の下部シールド膜31または上部シールド膜33は、図1の磁性膜5に示された構成を採用することができる。例えば、下部シールド膜31及びその下地膜310が、それぞれ、図1に示した磁性膜5のめっき層3及び下地層2に相当する構成となる。また、上部シールド膜33及びその下地膜330が、それぞれ、図1に示した磁性膜5のめっき層3及び下地層2に相当する構成となる。このように、読取素子300の下部シールド膜31または上部シールド膜33として、図1の磁性膜5に示された構成を採用し、透磁率を上げることにより、読取素子の性能を向上させることができる。
【0115】
また、図示の薄膜磁気ヘッドは、面内磁気記録用の薄膜磁気ヘッドであるが、これに限らず、垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドでも、図1に示した磁性膜5を採用することができる。
【0116】
以上、実施の形態を参照して説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々の変形、変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係る磁性膜の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る磁性膜の製造方法の一実施形態を説明する図である。
【図3】図2に示した工程の後の工程を示す図である。
【図4】パルスめっきにおける電圧波形の例を示す図である。
【図5】パルスめっきにおける電圧波形の別の例を示す図である。
【図6】貴金属のみから構成された下地層にパルスめっきを適用した場合のめっき層の状態を示す断面写真である。
【図7】貴金属のみから構成された下地層にパルスめっきを適用した後の、下地層及びめっき層の状態を示す断面写真である。
【図8】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの一実施形態を示す媒体対向面側の平面図である。
【図9】図8に示した薄膜磁気ヘッドの正面断面図である。
【図10】図8及び図9に示した薄膜磁気ヘッドの素子部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0118】
1 基板
2 下地層
3 めっき層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属元素及び卑金属元素を含有する下地層にパルスめっきを施して、前記下地層上に、磁性材料からなるめっき層を析出させる
磁性膜の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された磁性膜の製造方法であって、
前記貴金属元素は、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、Pt、Auから選択された少なくとも一つでなり、
前記卑金属元素は、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Moから選択された少なくとも一つでなる、
磁性膜の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された磁性膜の製造方法であって、
前記下地層の、前記貴金属元素に対する前記卑金属元素の添加量が、5at%以上50at%以下の範囲にある、
磁性膜の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された磁性膜の製造方法であって、
前記下地層の標準電極電位は、−1.00V以上0.70V以下の範囲にある、
磁性膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された磁性膜の製造方法であって、
前記下地層上に磁性材料からなる前記めっき層を析出させた後、前記めっき層にめっきを施して、前記めっき層上に、磁性材料からなる第2のめっき層を析出させる
磁性膜の製造方法。
【請求項6】
貴金属元素及び卑金属元素を含有する下地層と、前記下地層上に形成され、磁性材料からなるめっき層とを備えた磁性膜。
【請求項7】
請求項6に記載された磁性膜であって、
前記貴金属元素は、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、Pt、Auから選択された少なくとも一つでなり、
前記卑金属元素は、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Moから選択された少なくとも一つでなる、
磁性膜。
【請求項8】
請求項6または7に記載された磁性膜であって、
前記下地層の、前記貴金属元素に対する前記卑金属元素の添加量が、5at%以上50at%以下の範囲にある、
磁性膜。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れかに記載された磁性膜であって、
前記下地層の標準電極電位は、−1.00V以上0.70V以下の範囲にある、
磁性膜。
【請求項10】
請求項6乃至9の何れかに記載された磁性膜であって、前記めっき層上に形成され、磁性材料からなる第2のめっき層を備えた磁性膜。
【請求項11】
書込み素子と、読取素子と、スライダとを含む薄膜磁気ヘッドであって、
前記書込み素子または前記読取素子は、請求項6乃至10の何れかに記載された磁性膜を含み、
前記スライダは、前記書込み素子及び前記読取素子を支持する、
薄膜磁気ヘッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−72055(P2008−72055A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251390(P2006−251390)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】