説明

移動体端末および情報通信方法

【課題】他の移動体端末の現在位置を示す情報を所定のタイミングで受信する移動体端末を提供する。
【解決手段】移動体端末であるナビゲーション端末101は、情報センタ20との通信のタイミングを規定するタイミング情報を設定し、当該タイミング情報で規定される所定のタイミングで情報センタ20との回線を接続し、当該所定のタイミングにおける他の移動体端末であるナビゲーション端末102の現在位置を示す情報を情報センタ20から受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体端末との間で情報の送受信をおこなう情報センタと通信をおこなう移動体端末に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な移動体である車両に搭載されているカーナビゲーションシステムは、測位された車両の現在位置に基づき、地図を表示手段上に表示し、その地図上に自車両の現在位置を示すマークを重畳表示する構成とされている(特許文献1)。
【0003】
当該カーナビゲーションシステムにおいて、車両の現在位置を測位する測位手段は、GPS(グローバルポジショニングシステム)受信機や車両の走行距離と進行方向から現在位置を演算する自立航法センサ類から構成されている。また、表示手段上に地図を表示するための地図情報、その地図情報に付随する付随情報、及び、各種の機能的サービスは、車両に搭載された通信手段を利用して車両の外にある情報センタから提供を受ける仕組みとされている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−88614
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の機能的サービスの一例として位置確認サービスを説明する。複数台の車両にそれぞれ搭載された移動体端末から、情報センタにそれぞれの現在位置を示す情報を送信し、情報センタでは受信した各車両の現在位置を示す情報を各車両を識別する識別情報と共に記憶する。そして、情報センタは、ある1の車両の移動体端末からの要求信号に基づき、他の車両の現在位置を示す情報を、その1の車両の移動体端末に送信する。このようにして、1の車両の移動体端末では、他の車両の現在位置を確認することができる。
【0006】
このような、サービスでは必ず通信を伴うため、他の車両の位置を確認するために、その通信コストを抑える必要がある。
【0007】
また、確認した他の車両の位置が、確認した時点よりも古い時点での位置では好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の移動体端末は、複数の移動体端末との間で情報を送受信する情報センタと通信を行う通信手段を備える移動体端末であって、前記情報センタとの通信のタイミングを規定するタイミング情報を設定する設定手段と、前記タイミング情報によって規定される所定のタイミングで前記情報センタとの回線を接続し、当該所定のタイミングにおける他の移動体端末の現在位置を示す情報を前記情報センタから受信するように前記通信手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の情報通信方法は、複数の移動体端末との間で情報を送受信する情報センタと通信を行う移動体端末における情報通信方法であって、前記情報センタとの通信のタイミングを規定するタイミング情報を設定する設定工程と、前記タイミング情報によって規定される所定のタイミングで前記情報センタとの回線を接続し、当該所定のタイミングにおける他の移動体端末の現在位置を示す情報を前記情報センタから受信する通信工程と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る実施の形態について図1を基に説明する。ここに示される形態は、ナビゲーションシステムに本発明の移動体端末を採用した場合の形態である。
【0011】
図1において、10は移動体である、1台の車両側に搭載されるナビゲーション端末である。ナビゲーション端末10は、表示手段11と、通信手段12と、表示手段11を制御する表示制御手段として機能し、また通信手段12の送受信のタイミングなどを制御する接続制御手段として機能する制御手段13と、車両の現在位置を測位する測位手段14、使用者が目的地の指定や経路探索の実行指令を入力するための操作手段18から構成されている。また、通信手段12は送受信するデータの処理を行うデータ処理部15と、データを送受信する送受信部16から構成されている。
【0012】
20は情報センタ側の構成を示しており、情報センタ20は、車両側に搭載されている通信手段12と通信を行うためのセンタ通信手段21と、地図情報や施設情報、更には、道路の渋滞情報や規制情報や事故情報を含む交通情報、各地域の現在の天気や天気予報を含む天気情報、各地域で現時点や将来に催されるイベント情報等のリアルタイムな各種情報が蓄積されるように記憶されている記憶手段23と、センタ通信手段21による通信を制御するセンタ通信手段制御部として機能し、また記憶手段23から各種情報の読み出しを制御する読出制御部として機能し、更にまた、車両の走行経路を演算する演算部等として機能するセンタ制御手段22から構成されている。
【0013】
以上のように、ナビゲーション端末10を搭載した複数台の車両と情報センタ20から構成されたナビゲーションシステムにおいては、複数台の車両に搭載されている各々の通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線を経由して、ナビゲーション端末10から情報センタ20に向けて各種の要求指令や情報が送信され、また、情報センタ20からは要求指令に応じた各種の情報が各ナビゲーション端末10に向けて送信される。
【0014】
この通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線として利用できる仕組みとして、携帯電話サービスシステム、PHS電話サービスシステムが利用できる。また、上記のナビゲーション端末10から情報センタ20に向けて発信される要求指令の一例としては、地図情報を取得するための地図要求指令、他の車両の位置を確認するための位置確認要求指令、また、その他にも施設や地点のを検索させるための検索要求指令、交通情報等の各種情報を取得するための情報要求指令など、従来のナビゲーションシステムに搭載されている、各種情報取得指令、や機能指令があげられる。
【0015】
ここで、地図要求指令について詳述すると、制御手段13は測位手段14によって測位された車両の現在位置に基づく現在位置情報と地図縮尺情報などからなる地図要求情報をデータ処理部15に出力する。データ処理部15において各情報が所定の形式への変換処理が為された後、送受信部16を介して情報センタ20に向けて地図要求指令として送信される。
【0016】
情報センタ20では、通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線を経由して取得した地図要求指令に基づき、センタ制御手段22が記憶手段23から地図情報を読出し、この読み出した地図情報を上記回線を介してナビゲーション端末10に向けて送信する。
【0017】
そして、ナビゲーション端末10では、上記回線を介して通信手段12が取得した地図情報に基づき、表示手段11上に地図が表示される。なお、制御部13には、情報を記憶する一時記憶手段17を備え、上記の地図情報等も含め、後述する情報センタ20から取得した各種情報が、使用者による指示などによる積極的に消去処理がなされない限り、記憶保持される構成とされている。
【0018】
次に、他の車両の位置を確認するための位置確認要求指令について詳述する。この要求指令は、位置確認サービスの提供を受ける際に送信されるものである。ナビゲーション端末10では、使用者の操作と制御手段13の制御のもと、使用者が希望するタイミングが決定する。
【0019】
このタイミングは、情報センタ20との情報の送受信を行うタイミングであり、このタイミングを規定するタイミング情報がデータ処理部15において所定の形式への変換処理が為された後、送受信部16を介して情報センタ20に向けてタイミング指令として発せられる。
【0020】
また、このタイミング指令として送信されるタイミング情報の中には、タイミングを規定する時間規定情報と、自己のナビゲーション端末10の識別情報が含まれている。この時間規定情報は、「毎時、5分」、「毎時、10分」を意味する情報である。「毎時、5分」情報は、毎時の5分毎、すなわち、*時5分、*時10分、*時15分、・・を意味する。また、「毎時、10分」情報は、毎時の10分毎、すなわち、*時10分、*時20分、*時30分、・・を意味する。
【0021】
この時、制御手段13は、通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線が確立しているか否かを検出する。そして、確立している場合には、ナビゲーション端末10から情報センタ20に向けて、上記のタイミング指令が直ちに送信される。
【0022】
一方、制御手段13が、通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線が確立していないことを検出した場合には、まず、制御手段13は通信手段12を制御する接続制御手段として機能が発揮され、通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線の接続処理を開始する。そして、その後に回線の接続が確立した際に、改めてタイミング指令を送信する。
【0023】
情報センタ20では、通信手段12とセンタ通信手段21とを結ぶ回線を経由して取得したタイミング指令に基づき、このタイミング指令によりタイミングが調整される他のナビゲーション端末10を特定する。この特定処理は、タイミング指令に含まれていたナビゲーション端末10の識別情報と、予めセンタ制御手段22の記憶手段23に記憶されている、複数のナビゲーション端末10の識別情報及びグループ情報によって実行される。すなわち、情報センタ20では、予め1つのグループ情報と複数の識別情報が対応付けられており、複数のナビゲーション端末10がグループ化されている。
【0024】
したがって、センタ制御手段20では、タイミング指令に含まれていたナビゲーション端末10の識別情報に基づき、そのナビゲーション端末10とグループ化されている、1ないし複数台の他のナビゲーション端末10を特定することができる。
【0025】
センタ制御手段20では、特定した、1ないし複数台の他のナビゲーション端末10との回線を接続し、上記、各ナビゲーション端末10に対してタイミング情報を送信する。
【0026】
以上のようにして、1の各ナビゲーション端末10によって決定した、タイミングを、グループ化されている1ないし複数台の他のナビゲーション端末10で共有することができる。
【0027】
そして、このタイミングに基づき、各ナビゲーション端末10が、情報センタ20との回線を接続し、情報の送受信を行う。この一回の送受信処理では、まず、各ナビゲーション端末10からその時点での車両の現在位置を示す情報が情報センタ20に送信され、続いて、情報センタ20からその時に受信した1ないし複数台の他のナビゲーション端末10が搭載された車両の現在位置を示す情報が、各ナビゲーション端末10に送信される。
【0028】
このように、各車両に搭載された各ナビゲーション端末10と情報センタ20との回線を接続して情報の送受信を行うタイミングを一致させることにより、確認した他の車両の位置が、確認した時点よりも古い時点での位置となることを防止することができる。
【実施例】
【0029】
次に、上述した実施の形態に係る、実施例を図2を利用し詳述する。当該図2は、車両側に搭載されるナビゲーション端末10と情報センタ20との情報の送信工程を示すタイミングチャートである。
【0030】
同図において、101はタイミング指令を送信したナビゲーション端末10を示し、102は情報センタ20からタイミング情報を受信したナビゲーション端末10を示している。
【0031】
したがつて、ナビゲーション端末101によって規定されたタイミングに、ナビゲーション端末102のタイミングが調整される例を示したものである。
【0032】
まず、ナビゲーション端末101によってタイミングが決定され、これに基づきタイミングを規定する時間規定情報と、自己のナビゲーション端末10の識別情報がタイミング指令として情報センタ20に送信される(ステップS2)。
【0033】
タイミング指令を受信した情報センタ20では、センタ制御手段22が受信した識別情報と、予め記憶手段23に記憶されているグループ情報とに基づきタイミングを調整すべき1ないし複数台の他のナビゲーション端末を特定する(ステップS3)。
【0034】
当実施例では、タイミングを調整すべき他のナビゲーション端末として、一台のナビゲーション端末102が特定された場合について説明するが、これに限らず、同時に複数台のナビゲーション端末を調整対象としても良いことは言うまでもない。
【0035】
情報センタ20は特定したナビゲーション端末102に対してタイミング情報を送信する(ステップS4)。このタイミング情報を受信したナビゲーション端末102では、それ自身が情報センタ20と回線を接続するタイミングが規定される。
【0036】
このようにして、各ナビゲーション端末101と102において、情報センタ20と回線を接続するタイミングがほぼ同じタイミングとされる。それ以降は、ナビゲーション端末101と102では以下に説明する処理がほぼ同じタイミングで実行されることとなる。
【0037】
まず、タイミング情報によるタイミングに基いて、その時点での現在位置を示す情報を測位手段14から取得する(ステップS51)。続いて、各ナビゲーション端末101と102では、情報センタ20との間で情報を送受信するための回線を接続するための処理を開始し、回線接続を確立させる。
【0038】
そして、各ナビゲーション端末101と102からは、ステップS51で取得されていた各々自身の現在位置を示す情報を接続された回線を介して情報センタ20に送信する。この時、現在位置を示す情報と共に、自己を識別するための識別情報も併せて送信する(ステップS52)。
【0039】
情報センタ20では、受信した現在位置を示す情報と識別情報とを併せて記憶する(ステップS53)。これにより、情報センタ20には、所定タイミング(時間)における、複数台のナビゲーション端末10の現在位置を示す情報を取得することができるのである。
【0040】
続いて、情報センタ20では、各ナビゲーション端末101と102に対して、他車の現在位置を示す情報を送信する(ステップS54)。すなわち、ナビゲーション端末101に対しては、ステップS52で受信したナビゲーション端末102の現在位置を示す情報を送信し、一方、ナビゲーション端末102に対しては、ステップS52で受信したナビゲーション端末101の現在位置を示す情報を送信する。
【0041】
このようにして、各ナビゲーション端末101と102では、ほぼ同じタイミングで、それぞれの現在位置を示す情報を送信し、且つ、お互いの現在位置を示す情報を受信することができる。
【0042】
以降、タイミング情報によって規定されたタイミングの度に同様の処理が繰り返される(ステップS61〜ステップS64)。
【0043】
以上の実施例においては、グループ情報を利用して、現在位置を示す情報を交換するナビゲーション端末を情報センタが特定したが、これに限らず、最初にタイミング指令を送信するナビゲーション端末の使用者が特定のナビゲーション端末を指定しても良い。この場合には、タイミング指令中に、指定したいナビゲーション端末の識別情報を併せて送信することによって実現できる。
【0044】
また、以上の実施例においては、このタイミング指令として送信されるタイミング情報を「毎時、5分」という形態としたが、これに限らず、「5分毎」、「10分毎」といった、間隔をあらわす時間情報の形態でもよい。このような形態の場合は、間隔を刻むための基準となる開始時刻を決定する必要がある。この開始時刻は、タイミング指令を送信する際に使用者によって定義されてもよい。また、他の方法としては、情報センタ20が、グループ情報に基づいて現在位置を示す情報を交換するナビゲーション端末10を特定する作業が完了した時点で、情報センタ20の制御手段22が自動的に決定することが好ましい。この場合、制御手段22が決定した開始時刻を示す開始時刻情報とタイミング情報とが併せて各ナビゲーション端末10に送信される。
【0045】
また、以上の実施例においては、車両に搭載されたナビゲーション端末10同士で、情報センタ20を介して現在位置を示す情報を交換する例について説明したが、本発明の位置確認システムは、携帯電話端末同士で情報センタ20を介して現在位置を示す情報を交換したり、車両に搭載されたナビゲーション端末と携帯電話端末とで情報センタ20を介して現在位置を示す情報を交換したりする場合にも適用可能であり、移動体同士の情報交換に利用できる。また、全ての端末が移動端末である必要もなく、一方の端末が家庭内に設置されたコンピュータの如く、移動をしないものであってもよい。その場合は、コンピュータによって、複数の移動体の位置を確認できる監視システムとして構築できる。
【0046】
以上説明した実施の形態ならびに実施例の全てについて、ある移動体が取得した他の移動体の現在位置を示す情報の利用方法は以下のとおりである。例えば、ある移動体の表示手段上(ナビゲーション端末10の表示手段11上)に表示された地図に、1ないし複数台の他の移動体の位置を示すマークを表示することによって、他の移動体の位置を確認することができる。また、各移動体の現在位置を示す情報から、相互の距離を演算し、その距離を各端末の表示手段に表示してもよい。
【0047】
以上説明した実施の形態ならびに実施例の全てについては、コンピュータプログラムを構築し、そのコンピュータプログラムによってコンピュータを同様の機能として実現させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係わるブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係わる工程を示すタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0049】
10・・・ナビゲーション端末
11・・・表示手段
12・・・通信手段
13・・・制御手段
16・・・送受信部
20・・・情報センタ
21・・・センタ通信手段
22・・・センタ制御手段
23・・・記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体端末との間で情報を送受信する情報センタと通信を行う通信手段を備える移動体端末であって、
前記情報センタとの通信のタイミングを規定するタイミング情報を設定する設定手段と、
前記タイミング情報によって規定される所定のタイミングで前記情報センタとの回線を接続し、当該所定のタイミングにおける他の移動体端末の現在位置を示す情報を前記情報センタから受信するように前記通信手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする移動体端末。
【請求項2】
前記設定手段は、開始時刻を示す情報および間隔を示す情報を前記タイミング情報として設定することを特徴とする請求項1に記載の移動体端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定のタイミングで前記情報センタとの回線を接続し、前記他の移動体端末が前記所定のタイミングで前記情報センタに送信した前記所定のタイミングにおける現在位置を示す情報を前記情報センタから受信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の移動体端末。
【請求項4】
複数の移動体端末との間で情報を送受信する情報センタと通信を行う移動体端末における情報通信方法であって、
前記情報センタとの通信のタイミングを規定するタイミング情報を設定する設定工程と、
前記タイミング情報によって規定される所定のタイミングで前記情報センタとの回線を接続し、当該所定のタイミングにおける他の移動体端末の現在位置を示す情報を前記情報センタから受信する通信工程と、
を有することを特徴とする情報通信方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動体端末として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−261862(P2008−261862A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110538(P2008−110538)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【分割の表示】特願2002−269169(P2002−269169)の分割
【原出願日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】