説明

積層構造体及び積層構造体の製造方法

【課題】耐マイグレーションに強い積層構造体を提供する。
【解決手段】基板と、基板上において、エネルギーを付与することにより臨界表面張力が変化し、低表面エネルギー状態から高表面エネルギー状態へと変化する材料を含むものであって、エネルギーの付与により、第1の高表面エネルギー領域及び第2の高表面エネルギー領域と、低表面エネルギー領域とが形成されている濡れ性変化層と、第1の高表面エネルギー領域上に導電性材料により形成された第1の導電層と、第2の高表面エネルギー領域上及び第1の導電層上に形成された第2の導電層を有し、第1の導電層を第2の導電層により覆われた積層構造の導電層が形成されているものであることを特徴とする積層構造体を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層構造体及び積層構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路等における電極、絶縁体、半導体などの形成方法として、これらの材料を含む溶液を基板上の所定位置に供給するインクジェット法がある。
【0003】
インクジェット法は、露光装置を用いるフォトリソグラフィー法に比べて、高価な装置や設備を必要とすることなく、工程数も少なく、材料効率が高いといった利点を有している。
【0004】
特許文献1には、被パターン形成面に低表面エネルギー部と高表面エネルギー部からなる表面エネルギーによるコントラストを設ける方法により、微細配線を形成する方法が開示されている。
【0005】
また、インクジェット法による微細配線形成技術が進展する一方で、配線パターンの信頼性、とりわけマイグレーションが大きな課題となっている。ここでいう、マイグレーションとは、高湿度環境下において電極間に電圧が印加された場合、電極間に金属の析出物が発生して短絡へと繋がる現象である。インクジェット法での配線パターン形成に用いられる機能液の代表的なものとして、ナノサイズの金属微粒子を溶液中に分散させたナノメタルインクがあり、低価格で、かつ、導電性が高いAgやCu等の金属材料が用いられている。しかしながら、AgやCuはマイグレーションが生じやすいという性質を併せ持っており、マイグレーションを防止するための技術が必要不可欠となる。
【0006】
マイグレーション現象のメカニズムに関しては、例えば、Agにおいては、水分の存在により陽極のAgがイオンとなり溶け出し、これが酸化物や水酸化物の生成や分解過程を伴いながら、印加される電圧に従って陰極に到達し、陰極においてAgが還元析出される。このような現象が繰り返され、これにより短絡に繋がることが知られている。従って、マイグレーションを防止するためには、陽極における金属の溶出過程や、陽極から陰極へのイオンの拡散過程を防止することが重要である。
【0007】
このようなマイグレーションを防止するための技術の多くは、封止技術や無機バリア層を形成するといった防湿技術であった。また防湿技術に頼らないマイグレーション防止技術として、合金等によるマイグレーション耐性に優れる金属材料を用いる方法も考えられる。しかしながら、防湿技術や配線金属の変更等は、コスト上昇等を招くことから、実用的には不向きな場合が多い。
【0008】
一方、上記の方法等は異なり、マイグレーションしやすい導電性材料からなる配線の上に、別の導電性材料からなる配線を形成した積層配線を形成し、このような積層配線構造によりマイグレーションを抑制するというマイグレーション防止技術がある。
【0009】
特許文献2には、フォトリソグラフィー法を用いた積層配線形成技術として、基板上にバンクを形成する工程と、バンクで区画された開口部に第1膜パターンを形成する工程と、第1膜パターンの側部と対向するバンクを除去する工程と、第1膜パターンの側部及び上部を被覆する第2膜パターンをメッキにより形成する工程からなる膜パターンの形成方法が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、Agを導電体として用いた薄膜で形成された電極上をインジウム酸化物またはインジウム錫酸化物薄膜で被覆するマイグレーション防止方法が開示されている。
【0011】
また、非特許文献1には、フォトリソグラフィー法を用いない積層配線成型技術として、Ag電極上にスクリーン印刷法を用いてカーボンを含む導電性樹脂層を形成する方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献4には、基板上に配線パターンの形成領域に応じた被機能液配置領域とこの被機能液配置領域を囲む撥液領域とを形成する工程と、前記被機能液配置領域上に導電性微粒子を含む第1の機能液を配置する工程と、配置された第1の機能液からなる層の上に、第1の機能液が含む導電性微粒子と異なる導電性微粒子を含む第2の機能液を配置する工程と、被機能液配置領域上に積層した第1の機能液からなる層と第2の機能液とに対して所定の処理を施すことによって、異なる導電性材料からなる層が複数積層されてなる配線パターンを形成する工程を有する配線パターン形成方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−310962号公報
【特許文献2】特開2006−303275号公報
【特許文献3】特開2001−274535号公報
【特許文献4】特許第3823981号公報
【非特許文献1】唐沢範之、外6名、「0.5mmピッチ仕様耐マイグレーションコネクタ回路」、フジクラ技報、2005年4月、第108巻、p.39−43
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献2、3に開示されているようなフォトリソグラフィー法を用いる積層配線形成に関する技術は、マイグレーションし易い配線層を完全に覆うためには、フォトリソグラフィー法を多用するため、工程が複雑であった。
【0014】
また、非特許文献1、特許文献4に開示されているようなフォトリソグラフィー法を用いない積層配線形成に関しては、Ag等のマイグレーションし易い配線層の一部が微細化に伴い露出される可能性が高くなり、マイグレーションを防ぐのが困難であった。特に、特許文献4に記載されている配線パターンの形成方法では、マイグレーションし易い配線層の一部が露出してしまうという問題がある。また、被機能液配置領域の一部でも導電性材料機能液が行き渡らない部分があった場合には、この露出された領域に水分が付着してしまい、この領域を起点にマイグレーションの発生が促進される等の問題を有していた。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、低コストで、かつ、導電性に優れ、マイグレーションの防止効果を有する積層配線パターンを形成した積層構造体及び積層構造体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基板と、前記基板上において、エネルギーを付与することにより臨界表面張力が変化し、低表面エネルギー状態から高表面エネルギー状態へと変化する材料を含むものであって、前記エネルギーの付与により、第1の高表面エネルギー領域及び第2の高表面エネルギー領域と、低表面エネルギー領域とが形成されている濡れ性変化層と、前記第1の高表面エネルギー領域上に導電性材料により形成された第1の導電層と、前記第2の高表面エネルギー領域上及び前記第1の導電層上に形成された第2の導電層と、を有し、前記第1の導電層を前記第2の導電層により覆われた積層構造の導電層が形成されているものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記第2の高表面エネルギー領域は、前記第1の高表面エネルギー領域の外側に隣接して形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記第1の高表面エネルギー領域と前記第2の高表面エネルギー領域との間には、低表面エネルギー領域が形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記第1の高表面エネルギー領域よりも、前記第2の高表面エネルギー領域の前記基板面上の高さが、相対的に低いものであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記エネルギーの付与は紫外線照射により行なわれるものであって、前記第1の高表面エネルギー領域を形成する際に照射される紫外線照射量よりも、前記第2の高表面エネルギー領域を形成する際に照射される紫外線照射量の方が多いことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前記第1の導電層を形成する導電性材料は、AgまたはCuであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記第2の導電層を形成する導電性材料は、Sn、Au、Pd、Pt、Fe、Ni又はAlを含む合金、導電性ポリマー、カーボン、ITOであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記第2の導電層を形成する導電性材料は、前記第1の導電層を形成する導電性材料よりも、イオン化傾向が高いものであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、基板上にエネルギーの付与により表面エネルギーが変化する濡れ性変化材料を含む濡れ性変化層を形成する工程と、前記濡れ性変化層に前記エネルギーを付与することにより、第1の高表面エネルギー領域を形成する工程と、前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、前記第1の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電層を形成する工程と、前記濡れ性変化層の前記第1の導電層に隣接している部分又は近傍における部分に前記エネルギーを付与することにより、第2の高表面エネルギー領域を形成する工程と、前記第2の高表面エネルギー領域上及び前記第1の導電層上に第2の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、前記第2の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第2の高表面エネルギー領域上及び第1の導電層上に第2の導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、基板上にエネルギーの付与により表面エネルギーが変化する濡れ性変化材料を含む濡れ性変化層を形成する工程と、前記濡れ性変化層に前記エネルギーを付与することにより、第1の高表面エネルギー領域及び、前記第1の高表面エネルギー領域の近傍部分に第2の表面エネルギー領域を形成する工程と、前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、前記第1の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電層を形成する工程と、前記第2の高表面エネルギー領域上、前記第1の導電層上及び前記第2の高表面エネルギー領域と前記第1の導電層との間の低表面エネルギー領域上に第2の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、前記第2の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第2の高表面エネルギー領域上、第1の導電層上及び前記第2の高表面エネルギー領域と前記第1の導電層との間の低表面エネルギー領域上に第2の導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、前記エネルギーの付与は紫外線照射により行なわれるものであって、前記第1の高表面エネルギー領域を形成するための紫外線照射量よりも、前記第2の高表面エネルギー領域を形成するための紫外線照射量の方が高いものであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記第1の導電性材料を含む溶液は、インクジェット法により供給されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、低コストで、かつ、導電性に優れ、マイグレーションの防止効果を有する積層配線パターンを形成した積層構造体及び積層構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態について、以下に説明する。
【0030】
(積層構造体)
図1に、本実施の形態における積層構造体の構造を示す。図1(a)は、この積層構造体の上面図であり、図1(b)は、図1(a)における破線1A−1Bにおいて切断した断面図である。
【0031】
本実施の形態における積層構造体は、基板20上に濡れ性変化層30を形成したものである。濡れ性変化層30は、エネルギーの付与により、表面エネルギーが変化する濡れ性変化材料を含むものであり、表面には、表面エネルギーの高い高表面エネルギー領域40と、表面エネルギーの低い低表面エネルギー領域50とが形成されている。
【0032】
高表面エネルギー領域40では、後述するように、機能性材料を含む溶液と接触することにより、表面エネルギーを下げようとするので、機能性材料を含む溶液に対する濡れ性がよく、低表面エネルギー領域50では、機能性材料を含む溶液に対する濡れ性が悪い。従って、高表面エネルギー領域40上に導電性材料を含む溶液を選択的に付着させることができ、これにより、高表面エネルギー領域40上に導電層70を形成することができる。なお、導電層70は、第1の導電層71が第2の導電層72により覆われた構造となっており、第1の導電層71と第2の導電層72とが積層された導電層70を形成している。
【0033】
基板20は、ガラス基板、シリコン基板、ステンレス基板、フィルム基板等の基板を用いることができる。フィルム基板では、ポリイミド(PI)基板、ポリエーテルサルホン(PES)基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板等が挙げられる。
【0034】
濡れ性変化層30は、熱、電子線、紫外線、プラズマ等のエネルギーの付与により表面エネルギー(臨界表面張力)が変化する濡れ性変化材料を含む材料により構成されている。この濡れ性変化材料としては、側鎖に疎水基を有する高分子材料を用いることができる。このような高分子材料は、紫外線等のエネルギーの付与により、疎水基の結合が切断されることで、当初の低エネルギー表面(疎水性)から高エネルギー表面(親水性)へと変化する。具体的には、後述するように、所定のパターンの形成されたフォトマスクを用いて、紫外線を濡れ性変化層30の表面を露光することにより、露光された領域が高表面エネルギー領域40となり、濡れ性変化層30の表面には、高表面エネルギー領域40と低表面エネルギー領域50とが形成される。
【0035】
濡れ性変化材料に含まれる高分子材料としては、具体的には、ポリイミドや(メタ)アクリルレート等の骨子を有する主鎖に直接又は結合基を介して疎水基を有する側鎖が結合しているものが挙げられる。このような高分子材料のうち、ポリイミドは耐溶剤性、耐熱性、絶縁性に優れていることから、特に好適である。耐溶剤性に優れていることから、機能性材料を含む溶液の溶媒の選択肢を広げることができ、耐熱性に優れていることから、機能性材料を含む溶液を乾燥させる際の熱処理プロセス等にも十分耐えうる。また、絶縁性に優れているため、導電層70を形成した際に、導電層70同士が短絡するおそれもない。
【0036】
上述の疎水基としては、フッ素を含むフルオロアルキル基やフッ素を含まない炭化水素基が挙げられる。
【0037】
濡れ性変化層30の表面では、高表面エネルギー領域40と、低表面エネルギー領域50との表面エネルギーの異なる2つの領域を備えており、導電性材料を含む溶液を高表面エネルギー領域40上に選択的に配置することができる。
【0038】
また、濡れ性変化層30は、紫外線等のエネルギーの付与により表面エネルギーが変化するだけでなく、同時にエネルギーが付与された部分の膜減りが生じる。後述するように、この膜減りを利用することにより、第1の導電層71を第2の導電層72により確実に覆うことが可能である。
【0039】
第1の導電層71に用いられる導電性材料としては、低コストで、かつ、高導電率が得られるAgやCu等の材料が好ましい。第2の導電層72に用いられる導電性材料としては、第1の導電層71に用いられる導電性材料よりもマイグレーション耐性の高い材料であるSn、Au、Pd、Pt、Fe、Ni、Al等の他、AgやCuを含めた合金、または、導電性ポリマー等を用いることができる。また、第2の導電層72に用いる導電性材料としてカーボン又はITO等の材料を用いることもできる。更に、第2の導電層72に用いる導電性材料として、第1の導電層71に用いる金属材料の溶出を防ぐ目的で、第1の導電層71に用いる金属材料よりもイオン化傾向の高い金属材料を用いても良い。
【0040】
(積層構造体の製造方法)
次に、本実施の形態における積層構造体の製造方法について説明する。
【0041】
最初に、図2に示すように基板20上に濡れ性変化層30を形成する。尚、図2(a)は、この状態の上面図であり、図2(b)は、図2(a)における破線2A−2Bにおいて切断した断面図である。
【0042】
具体的には、基板20上に濡れ性変化材料を含む溶液を、スピンコーター等を用いて塗布し、この後乾燥させることにより、濡れ性変化層30を形成する。濡れ性変化層30を形成するために用いる濡れ性変化材料として、側鎖に疎水基を有する構造の高分子材料を用いた場合では、基板20上に形成された濡れ性変化層30の表面は、低表面エネルギー状態(表面が低表面エネルギー領域50により覆われた状態)となっている。
【0043】
次に、図3に示すように濡れ性変化層30の表面に紫外光等を照射し、高表面エネルギー領域40と低表面エネルギー領域50を形成する。尚、図3(a)は、この状態の上面図であり、図3(b)は、図3(a)における破線3A−3Bにおいて切断した断面図である。
【0044】
具体的には、フォトマスク80を用いて矢印で示すように紫外線による露光を行うことにより高表面エネルギー領域40と低表面エネルギー領域50とを形成する。フォトマスク80には、紫外光を透過しないCr等のパターンが形成されており、Cr等のパターンの形成された領域においては、紫外光は透過することなく、濡れ性変化層30の表面に紫外光は照射されない。一方、Cr等のパターンの形成されていない領域においては紫外光がフォトマスク80を透過し、濡れ性変化層30の表面に照射される。これにより、紫外光の照射された濡れ性変化層30においては、疎水基の結合が切断され低表面エネルギー状態から高表面エネルギー状態へと変化する。これにより、紫外光の照射された領域の濡れ性変化層30の表面は高表面エネルギー領域40となる。一方、紫外光の照射されていない領域は、濡れ性変化層30の表面は低表面エネルギー状態のままであるため、この領域の表面は低表面エネルギー領域50となる。このようにして、濡れ性変化層30の表面に高表面エネルギー領域40と低表面エネルギー領域50が形成される。
【0045】
次に、図4に示すように、液滴吐出ノズル90より、高表面エネルギー領域40条に第1の導電性材料を含む溶液71aの液滴を供給する。尚、図4(a)は、この状態の上面図であり、図4(b)は、図4(a)における破線4A−4Bにおいて切断した断面図である。
【0046】
導電性材料を含む溶液の供給手段としては、インクジェット法、ディスペンサ法が挙げられるが、低粘度の微小液滴を非接触で高い精度で供給することが可能な上述の液滴吐出ノズル90を用いたインクジェット法がより好適である。尚、本実施の形態では、後述する液滴吐出装置により、第1の導電性材料を含む溶液71aを供給している。
【0047】
第1の導電性材料を含む溶液71aに含まれる導電性材料としては、AgやCu等の金属微粒子を溶液中に分散させたいわゆるナノメタルインクや、有機金属化合物を溶解させた溶液を用いることができる。インクジェット法により形成する際には、第1の導電性材料を含む溶液71aの表面張力は、20mN/m以上、50mN/m以下であることが好ましく、また、粘度は、2mPa・s以上、50mPa・s以下であることが好ましい。
【0048】
次に、図5に示すように、高表面エネルギー領域40上の第1の導電性材料を含む溶液71aを乾燥させて、固化させることにより第1の導電層71を形成する。尚、図5(a)は、この状態の上面図であり、図5(b)は、図5(a)における破線5A−5Bにおいて切断した断面図である。
【0049】
第1の導電性材料を含む溶液71aを乾燥させるための乾燥方法は、オーブン等を利用した対流電熱方式、ホットプレート等を利用した伝導伝熱方式、遠赤外線やマイクロ波を利用した輻射伝熱方式等が挙げられる。また、必ずしも大気圧で行う必要はなく、必要に応じて減圧した状態で行ってもよい。また、乾燥させ固化させて形成された第1の導電層71は、更に追加で熱処理等を加えてもよい。特に、第1の導電性材料を含む溶液71aとしてナノメタルインクを用いた場合では、乾燥させ固化させただけでは、十分な導電性を得ることが困難である場合があり、更に熱処理を行うことにより、導電性材料の微粒子同士を溶融させて、より高い導電性を得ることが可能となる。
【0050】
次に、図6に示すように、第1の導電性材料を含む溶液71aとは異なる導電性材料を含む第2の導電性材料を含む溶液72aを供給する。尚、図6(a)は、この状態の上面図であり、図6(b)は、図6(a)における破線6A−6Bにおいて切断した断面図である。
【0051】
第2の導電性材料を含む溶液72aは、第1の導電層71を覆うように供給される。第2の導電性材料を含む溶液72aは、インク又はペーストであり、インクジェット法、ディスペンサ法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法又はスクリーン印刷法等の各種印刷法により、第1の導電層71を覆うように、第2の導電性材料を含む溶液72aのパターンを形成する。
【0052】
次に、図7に示すように、第2の導電性材料を含む溶液72aを乾燥させて、固化させることにより第2の導電層72を形成する。尚、図7(a)は、この状態の上面図であり、図7(b)は、図7(a)における破線7A−7Bにおいて切断した断面図である。
【0053】
第2の導電性材料を含む溶液72aを乾燥ための乾燥方法は、第1の導電性材料を含む溶液71aを乾燥させるための乾燥方法と同様である。第2の導電層72を形成した後に熱処理を行なう場合、第1の導電層71を形成した後に、熱処理を行なうことなく、第1の導電層71及び第2の導電層72を一括して熱処理を行なうことにより、第1の導電層71と第2の導電層72は同時に熱処理することができ、製造工程を短縮することが可能である。これにより、第1の導電層71を覆うように第2の導電層72が積層された構造の導電層70を有する積層構造体が形成される。
【0054】
(液滴吐出装置)
次に、導電性材料を含む溶液の液滴を供給するための液滴吐出装置であるインクジェット装置について説明する。
【0055】
図8は、本実施の形態に用いたインクジェット装置の斜視図である。このインクジェット装置100は、定盤101と、ステージ102と、液滴吐出ヘッド103と、液滴吐出ヘッド103に接続されたX軸方向移動機構104と、ステージ102に接続されたY軸方向移動機構105と、制御装置106とを備えている。
【0056】
ステージ102は、基板20を支持する目的で備えられており、基板20を吸着する吸着機構(図示せず)等の固定機構を備えている。また、基板20上に配置された導電性材料を含む溶液を乾燥させるための熱処理機構を備えて良い。
【0057】
液滴吐出ヘッド103は、複数の吐出ノズルを備えたヘッドであり、複数の吐出ノズルが液滴吐出ヘッド103の下面に、X軸方向に沿って一定間隔で並んでいる。この吐出ノズルからステージ102に支持されている基板20に対して、導電性材料を含む溶液(第1の導電性材料を含む溶液71a又は、第2の導電性材料を含む溶液72a)が吐出される。液滴吐出ヘッド103の液滴吐出機構には、例えばピエゾ方式を用いることができ、この場合、液滴吐出ヘッド103内のピエゾ素子に電圧を印加することで液滴が吐出する。
【0058】
X軸方向移動機構104はX軸方向駆動軸107、及びX軸方向駆動モータ108で構成される。X軸方向駆動モータ108はステッピングモータ等であり、制御装置106からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸駆動軸107を動作させ、液滴吐出ヘッド103がX軸方向に移動する。
【0059】
Y軸方向移動機構105はY軸方向駆動軸109およびY軸方向駆動モータ110で構成される。制御装置106からX軸方向の駆動信号が供給されるとステージ102がY軸方向に移動する。
【0060】
制御装置106は液滴吐出ヘッド103に吐出制御用の信号を供給する。またX軸方向駆動モータ108にX軸方向の駆動信号を、またY軸方向駆動モータ110にY軸方向の駆動信号をそれぞれ供給する。なお制御装置106は、液滴吐出ヘッド103、X軸方向駆動モータ108、Y軸方向駆動モータ110とそれぞれつながっているが、その配線は図示していない。
【0061】
インクジェット装置100は、液滴吐出ヘッド103とステージ102とを相対的に走査させながらステージ102上に固定された基板20に対して導電性材料を含む溶液の液滴を吐出する。なお液滴吐出ヘッド103とX軸方向移動機構104の間には、X軸方向移動機構104と独立動作する回転機構を備え付けても良い。回転機構を動作させて液滴吐出ヘッド103とステージ102との相対角度を変化させることで、吐出ノズル間ピッチを調節できる。また液滴吐出ヘッド103とX軸方向移動機構104の間には、X軸方向移動機構104と独立動作するZ軸方向移動機構を備え付けても良い。Z軸方向に液滴吐出ヘッド103を移動させることで、基板20とノズル面との距離を任意に調節可能である。またステージ102とY軸方向移動機構105の間には、Y軸方向移動機構105と独立動作する回転機構を備え付けても良い。回転機構を動作させることで、ステージ102上に固定された基板20を任意の角度に回転させた状態で、基板20に対して液滴を吐出できる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、実施例に種々の変形や置換を加えることが可能である。
【0063】
(実施例1)
本実施例は、図9に示す積層構造体の作製に関するものである。具体的に、本実施例の積層構造体の作製方法について説明する。尚、図9(a)は、この状態の上面図であり、図9(b)は、図9(a)における破線9A−9Bにおいて切断した断面図である。
【0064】
最初に、基板20上に濡れ性変化層30を形成する。具体的には、基板20となるガラス基板上に、濡れ性変化材料を含むNMP溶液をスピンコーターにより塗布する。この濡れ性変化材料には、紫外線の照射により表面自由エネルギーが変化する側鎖にアルキル基を有するポリイミド材料を用いている。この後、100℃のオーブンにより前焼成を行った後、300℃で溶媒を揮発させることにより除去し、濡れ性変化層30を形成する。
【0065】
次に、第1の高表面エネルギー領域41と低表面エネルギー領域50を形成する。具体的には、波長300nm以下の紫外光(超高圧水銀ランプ)を用いて、線幅50μmの線状の開口パターンが形成されているフォトマスクを介し、濡れ性変化層30の表面を露光する。これにより、濡れ性変化層30の表面において紫外光の照射された領域は、第1の高表面エネルギー領域41となり、紫外光の照射されていない領域は低表面エネルギー領域50となり、第1の高表面エネルギー領域41と低表面エネルギー領域50からなるパターンが形成される。尚、この際照射される紫外線照射量は、10J/cmである。
【0066】
次に、インクジェット法により第1の導電性材料を含む溶液の液滴を第1の高表面エネルギー領域41上に供給し選択的に配置する。この第1の導電性材料を含む溶液は、Agの微粒子を含有するナノメタルインクであり、特性は、表面張力が約30mN/m、粘度が約10mPa・sである。また、インクジェット装置より吐出される第1の導電性材料を含む溶液の液滴の体積は、8pLである。また、液適法を用いて測定した第1の高表面エネルギー領域41における接触角は5°、低表面エネルギー領域50における接触角は30°である。
【0067】
次に、第1の高表面エネルギー領域41上に供給された第1の導電性材料を含む溶液を100℃のオーブンで乾燥・固化させた後、200℃のオーブンにより熱処理を加えて、平均膜厚約100nmの第1の導電層71を形成する。
【0068】
次に、線幅75μmの線状の開口パターンが形成されているフォトマスクを介し、波長300nm以下の紫外光(超高圧水銀ランプ)を用いて、濡れ性変化層30の表面を露光する。この際、開口パターンにおける露光される領域の中心と、第1の導電層71の中心とが一致するよう位置合せをした後、露光を行なう。
これにより、濡れ性変化層30の表面に第2の高表面エネルギー領域42を形成する。尚、この際照射される紫外線照射量は、10J/cmである。
【0069】
次に、インクジェット法により第2の導電性材料を含む溶液の液滴を第2の高表面エネルギー領域42及び第1の導電層71上に供給し選択的に配置する。この第2の導電性材料を含む溶液は、Niの微粒子を含有するナノメタルインクであり、特性は、表面張力が約30mN/m、粘度が約10mPa・sである。また、インクジェット装置より吐出される第2の導電性材料を含む溶液の液滴の体積は、8pLである。
【0070】
次に、第2の高表面エネルギー領域42及び第1の導電層71上に供給された第2の導電性材料を含む溶液を100℃のオーブンで乾燥・固化させた後、300℃のオーブンにより熱処理を加えて、平均膜厚約300nmの第2の導電層72を形成した。
【0071】
以上、本実施例では、2度の紫外線照射と2度のインクジェット法による印刷により、第1の導電層71と第2の導電層72が積層された構造の導電層70が形成された積層構造体を容易に得ることができた。
【0072】
(実施例2)
本実施例は、図10に示す積層構造体の作製に関するものである。本実施例では、第2の高表面エネルギー領域42を形成するために照射する紫外線照射量を40J/cmとし、これ以外の条件は実施例1と同じ条件により積層構造体を作製したものである。尚、図10(a)は、この状態の上面図であり、図10(b)は、図10(a)における破線10A−10Bにおいて切断した断面図である。
【0073】
図に示すように、濡れ性変化層30は、紫外線照射量が増加するに従い、膜厚が薄くなる膜減りが生じる。従って、第2の高表面エネルギー領域42を形成する際の紫外線照射量を第1の高表面エネルギー領域41を形成する際の紫外線照射量よりも増やすことにより、第1の高表面エネルギー領域41よりも第2の高表面エネルギー領域42は50nm程度多く膜減りが生じ段差が発生する。よって、第1の導電層71が接する第1の高表面エネルギー領域41よりも第2の導電層72が接する第2の高表面エネルギー領域42の高さが相対的に低くなる。これにより、より一層確実に第1の導電層71を第2の導電層72により覆った積層構造体を得ることができる。
(実施例3)
本実施例は、図11に示す積層構造体の作製に関するものである。尚、図11(a)は、この状態の上面図であり、図11(b)は、図11(a)における破線11A−11Bにおいて切断した断面図である。
【0074】
最初に、実施例1と同様の方法により濡れ性変化層30を形成し、次に、所定の開口パターンを有するフォトマスクを用いて、波長300nm以下の紫外光(超高圧水銀ランプ)を用いて、濡れ性変化層30の表面を露光する。これにより、濡れ性変化層30の表面に、第1の高表面エネルギー領域41、第2の高表面エネルギー領域42、第1の低表面エネルギー領域51、第1の低表面エネルギー領域52からなるパターンを形成する。この際、形成される第1の高表面エネルギー領域41の幅WH1は50μmであり、第2の高表面エネルギー領域42の幅WH2は5μmであり、第1の低表面エネルギー領域51の幅WL1は2.5μmである。尚、照射される紫外線照射量は、10J/cmである。
【0075】
次に、インクジェット法により第1の導電性材料を含む溶液の液滴を第1の高表面エネルギー領域41上に供給し選択的に配置する。この第1の導電性材料を含む溶液は、Agの微粒子を含有するナノメタルインクであり、実施例1で用いたものと同様のものである。
【0076】
次に、第1の高表面エネルギー領域41上に供給された第1の導電性材料を含む溶液を100℃のオーブンで乾燥・固化させた後、200℃のオーブンにより熱処理を加えて、平均膜厚約100nmの第1の導電層71を形成する。
【0077】
次に、インクジェット法により第2の導電性材料を含む溶液の液滴を第2の高表面エネルギー領域42、第1の低表面エネルギー領域51及び第1の導電層71上に供給し選択的に配置する。この第2の導電性材料を含む溶液は、Niの微粒子を含有するナノメタルインクであり、実施例1で用いたものと同様のものである。
【0078】
次に、第2の高表面エネルギー領域42、第1の低表面エネルギー領域51及び第1の導電層71上に供給された第2の導電性材料を含む溶液を100℃のオーブンで乾燥・固化させた後、300℃のオーブンにより熱処理を加えて、平均膜厚約300nmの第2の導電層72を形成する。
【0079】
以上、本実施例では、1度の紫外線照射と2度のインクジェット法による印刷により、第1の導電層71と第2の導電層72が積層された構造の導電層70が形成された積層構造体を容易に得ることができた。
【0080】
(実施例4)
実施例4として、図12に示す積層構造体を作製し、マイグレーション試験を行なった。尚、図12(a)は、この状態の上面図であり、図12(b)は、図12(a)における破線12A−12Bにおいて切断した断面図である。
【0081】
この積層構造体は、基板20上に濡れ性変化層30が形成されており、この濡れ性変化層30上に長さLが10mmの40本の櫛形電極が交互に形成されているパターンからなるものである。このパターンは、第1の高表面エネルギー領域41の幅WH1は50μmであり、第2の高表面エネルギー領域42の幅WH2は5μmであり、また、第1の低表面エネルギー領域51の幅WL1は2.5μmである。第1の高表面エネルギー領域41上に第1の導電層71が形成され、第2の高表面エネルギー領域42、第1の低表面エネルギー領域51及び第1の導電層71上に第2の導電層72が形成される。第1の導電層71の平均膜厚、第2の導電層72の平均膜厚については実施例3と同様である。
【0082】
この条件において、マイグレーション試験を行うため、隣接する導電層70間のスペースとなる領域が異なるものを作製した。具体的には、第2の低表面エネルギー領域52の幅WL2を変化させ、10μm、20μm、50μmとなる3種類のパターンの櫛形導電を形成した積層構造体を各々作製した。
【0083】
(比較例1)
比較例1として、図13に示す積層構造体を作製し、マイグレーション試験を行なった。尚、図13(a)は、この状態の上面図であり、図13(b)は、図13(a)における破線13A−13Bにおいて切断した断面図である。
【0084】
この積層構造体は、基板220上に濡れ性変化層230が形成されており、この濡れ性変化層230上に長さLRが10mmの40本の櫛形電極が交互に形成されているパターンからなるものである。このパターンは、高表面エネルギー領域240の幅WRHが50μmであり、Agナノ粒子を含む溶液を用いて、厚さ100nmの導電層270を形成したものである。
【0085】
この条件において、マイグレーション試験を行うため、隣接する導電層270間のスペースとなる領域が異なるものを作製した。具体的には、低表面エネルギー領域250の幅WRLが、10μm、20μm、50μmとなる3種類のパターンの櫛形導電を形成した積層構造体を各々作製した。
【0086】
【表1】

作製した実施例4と比較例1の積層構造体について、25℃、85%RHの環境下
において、櫛形電極間に20Vの電圧を印加し、マイグレーション試験を行なった結
果を表1に示す。表1より、比較例1における積層構造体では、すべて100時間に達する前に櫛形電極間における絶縁抵抗が1MΩ以下となり、マイグレーションが発生した。一方、実施例4における積層構造体では、すべての積層構造体において、100時間を経過しても、櫛形電極間における絶縁抵抗が1MΩ以下となることはなかった。これにより、実施例4の積層構造体の耐マイグレーション性が確認された。
【0087】
尚、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施の形態に係る積層構造体の構成図
【図2】本実施の形態に係る積層構造体の製造方法における工程図(1)
【図3】本実施の形態に係る積層構造体の製造方法における工程図(2)
【図4】本実施の形態に係る積層構造体の製造方法における工程図(3)
【図5】本実施の形態に係る積層構造体の製造方法における工程図(4)
【図6】本実施の形態に係る積層構造体の製造方法における工程図(5)
【図7】本実施の形態に係る積層構造体の製造方法における工程図(6)
【図8】本実施の形態に係る積層構造体の製造に用いられる液滴吐出装置の斜視図
【図9】実施例1における積層構造体の構成図
【図10】実施例2における積層構造体の構成図
【図11】実施例3における積層構造体の構成図
【図12】実施例4における積層構造体の構成図
【図13】比較例1における積層構造体の構成図
【符号の説明】
【0089】
20 基板
30 濡れ性変化層
40 高表面エネルギー領域
41 第1の高表面エネルギー領域
42 第2の高表面エネルギー領域
50 低表面エネルギー領域
51 第1の低表面エネルギー領域
52 第2の低表面エネルギー領域
70 導電層
80 フォトマスク
90 液滴吐出ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上において、エネルギーを付与することにより臨界表面張力が変化し、低表面エネルギー状態から高表面エネルギー状態へと変化する材料を含むものであって、前記エネルギーの付与により、第1の高表面エネルギー領域及び第2の高表面エネルギー領域と、低表面エネルギー領域とが形成されている濡れ性変化層と、
前記第1の高表面エネルギー領域上に導電性材料により形成された第1の導電層と、
前記第2の高表面エネルギー領域上及び前記第1の導電層上に形成された第2の導電層と、
を有し、
前記第1の導電層を前記第2の導電層により覆われた積層構造の導電層が形成されているものであることを特徴とする積層構造体。
【請求項2】
前記第2の高表面エネルギー領域は、前記第1の高表面エネルギー領域の外側に隣接して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
【請求項3】
前記第1の高表面エネルギー領域と前記第2の高表面エネルギー領域との間には、低表面エネルギー領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
【請求項4】
前記第1の高表面エネルギー領域よりも、前記第2の高表面エネルギー領域の前記基板面上の高さが、相対的に低いものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項5】
前記エネルギーの付与は紫外線照射により行なわれるものであって、前記第1の高表面エネルギー領域を形成する際に照射される紫外線照射量よりも、前記第2の高表面エネルギー領域を形成する際に照射される紫外線照射量の方が多いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項6】
前記第1の導電層を形成する導電性材料は、AgまたはCuであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項7】
前記第2の導電層を形成する導電性材料は、Sn、Au、Pd、Pt、Fe、Ni又はAlを含む合金、導電性ポリマー、カーボン、ITOであることを特徴とする請求項6に記載の積層構造体。
【請求項8】
前記第2の導電層を形成する導電性材料は、前記第1の導電層を形成する導電性材料よりも、イオン化傾向が高いものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項9】
基板上にエネルギーの付与により表面エネルギーが変化する濡れ性変化材料を含む濡れ性変化層を形成する工程と、
前記濡れ性変化層に前記エネルギーを付与することにより、第1の高表面エネルギー領域を形成する工程と、
前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、
前記第1の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電層を形成する工程と、
前記濡れ性変化層の前記第1の導電層に隣接している部分又は近傍における部分に前記エネルギーを付与することにより、第2の高表面エネルギー領域を形成する工程と、
前記第2の高表面エネルギー領域上及び前記第1の導電層上に第2の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、
前記第2の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第2の高表面エネルギー領域上及び第1の導電層上に第2の導電層を形成する工程と、
を有することを特徴とする積層構造体の製造方法。
【請求項10】
基板上にエネルギーの付与により表面エネルギーが変化する濡れ性変化材料を含む濡れ性変化層を形成する工程と、
前記濡れ性変化層に前記エネルギーを付与することにより、第1の高表面エネルギー領域及び、前記第1の高表面エネルギー領域の近傍部分に第2の表面エネルギー領域を形成する工程と、
前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、
前記第1の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第1の高表面エネルギー領域上に第1の導電層を形成する工程と、
前記第2の高表面エネルギー領域上、前記第1の導電層上及び前記第2の高表面エネルギー領域と前記第1の導電層との間の低表面エネルギー領域上に第2の導電性材料を含む溶液を供給する工程と、
前記第2の導電性材料を含む溶液を乾燥させることにより、前記第2の高表面エネルギー領域上、第1の導電層上及び前記第2の高表面エネルギー領域と前記第1の導電層との間の低表面エネルギー領域上に第2の導電層を形成する工程と、
を有することを特徴とする積層構造体の製造方法。
【請求項11】
前記エネルギーの付与は紫外線照射により行なわれるものであって、前記第1の高表面エネルギー領域を形成するための紫外線照射量よりも、前記第2の高表面エネルギー領域を形成するための紫外線照射量の方が高いものであることを特徴とする請求項9又は10に記載の積層構造体の製造方法。
【請求項12】
前記第1の導電性材料を含む溶液は、インクジェット法により供給されるものであることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の積層構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−171148(P2010−171148A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11364(P2009−11364)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】