説明

穿孔機械の補助装置および補助装置の制御方法

【課題】穿孔機械の測定値を表示するための補助装置において安全かつ快適な作業が実現される補助装置を得る。
【解決手段】穿孔機械と連結可能な補助装置において、穿孔機械の作業平面に対する傾き、および/または、穿孔機械の作業平面までの距離を含む測定データを求めるための測定装置と、求められた前記測定データに応じて作業平面上にシンボルを投影するプロジェクタと、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔機械の測定値を表示するための補助装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、使用者が、穿孔作業中、安全かつ快適な作業が行える補助装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明にしたがう補助装置は、穿孔機械に連結されるか、または穿孔機械に取外し可能に固定された状態で使用されるものである。補助装置を穿孔機械に固定するための手段としては、止め輪、スリーブ、クランプや、ねじなどの、取外し可能な、またはそうでない手段が挙げられる。また、第一光点および第二光点を作業対象物に投影するためのプロジェクタが設けられる。プロジェクタは、作業対象物上もしくは作業対象面上へと、作業方向に光を放射する。さらに、第一光点および第二光点を画像上に描写するために、カメラが設けられる。評価装置は、画像上に描写された第一光点から参照点までの第一距離と、画像上に描写された第二光点から参照点までの第二距離とに基づき、穿孔機械の作業対象物に対する傾きを算出するように構成される。表示装置は評価装置と接続され、算出された傾きを表示する。これら光点は、点状として構成されても平たく構成されても良い。これら距離は、実用的には、光点の中央もしくは重心点から参照点までにおいて算出される。光点が、特徴のある角や頂点を有する場合、距離は、これらから参照点において算出され得る。
【0004】
穿孔機械を作業平面に対して配向するための補助装置の制御方法は、以下のステップを有する。すなわち、プロジェクタにより、第一光点および第二光点を作業平面上に投影するステップ、カメラにより、第一光点および第二光点を画像上に描写するステップ、評価装置により、画像上に描写された第一光点から参照点までの第一距離と、画像上に描写された第二光点から参照点までの第二距離とを求めるステップ(ここで第一距離および第二距離は、作業平面上の光点と仮想軸(例えばカメラの光軸)との間の仮想画像上の距離である)、穿孔機械の作業平面に対する傾きを、第一距離および第二距離に基づき求めステップ、および、表示装置により表示するステップを有する。
【0005】
一実施形態例において、前記第一光点(26)を生成するため第一方向に向かう第一光線(31)と、前記第二光点(27)を生成するため第二方向に向かう第二光線(31)と、第三光点を生成するため第三方向に向かう第三光線(83)とを出力する。このとき、カメラの光軸に対する第一光線の方位角と、カメラの光軸に対する第二光線の方位角とは異なり、光軸に対する第一光線の極角と、光軸に対する第三光線の極角とは異なる。3つの光線を、異なる方向および傾きで出力することで、画像上に描写された光点から、距離および光軸の傾きが算出され得る。これら3つの光線により、傾きおよび距離を絶対値にて提示することができる。求められた値は、例えば数字などで使用者に提示されるものとする。
【0006】
一実施形態例において、第一光線は、光軸に対して10度より大きい極角を有するように傾けられ、第三光線は、光軸に対して5度より小さい極角を有するように傾けられる。光点の画像上への描写は、投影に起因した情報の喪失を伴う。しかし、双方の光線を光軸に対してもしくは画像の画像平面上にて異なる極角で配置することで、上記喪失された情報は元通りに算出することができる。
【0007】
一実施形態例において、カメラおよびプロジェクタは、穿孔機械の作業軸に対して旋回可能であるプラットフォーム上に配置される。特には、作業軸とカメラの光軸とが成す極角は、調節可能であるものとする。補助装置は、光軸を作業平面に垂直に案内するように使用者を誘導し、結果として上記調節した極角に応じて穿孔具が把持される。
【0008】
一実施形態例において、表示装置は、作業対象物上に表示内容を投影するプロジェクタを有する。表示装置のプロジェクタは、カメラと同じ方向に向けられる。プロジェクタによる、情報提示のための光の出力は、作業方向、すなわち工具方向に成される。
【0009】
以下図面に基づき、本発明の実施形態例を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の補助装置を有する穿孔機械を模式的に示す図である。
【図2】補助装置により得られる画像の一例である。
【図3】補助装置の光学測定装置の詳細を模式的に示す図である。
【図4】他の形態の、補助装置の光学測定装置の詳細を模式的に示す図である。
【図5】補助装置の表示装置のモニタを模式的に示す図である。
【図6】補助装置の表示装置のプロジェクタを模式的に示す図である。
【図7】他の形態の、補助装置の表示装置のプロジェクタを模式的に示す図である。
【0011】
同等または機能的に同等の素子は、図中、同じ符号番号にて参照される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施形態における本発明補助装置を備える穿孔機械1を示す。穿孔機械1は、作業軸3を軸として穿孔具2を回転駆動する。使用者は、作業対象物6の対象作業平面5に、穿孔具2を作業方向4へと押し付ける。これに際し、回転する穿孔具2は、作業対象物6内に穿孔7を形成する。穿孔具2は、超硬合金、例えば焼結タングステンカーバイドおよび/またはダイアモンドから成る切削素子を有し、この切削素子が、回転によって作業対象物6の材料を開削する。穿屑は、螺旋状の軸部または中空の軸部によって運び出される。切削素子は、鉢状の穿孔具の円状前頭面に沿って取り付けられるものとしても良い。
【0013】
駆動装置は、モータ8(例えば電気モータ)、伝動ギア9、および駆動スピンドル10を備え得る。駆動スピンドル10は、穿孔具2が嵌め込まれる穿孔具ホルダ11に回転トルクを伝達する。使用者は、ハンドグリップ12で穿孔機械1を持ち、これを案内することができる。このハンドグリップ12は、機械ハウジング13の穿孔具ホルダ11と離れた方の端部に取り付けられると好適である。
【0014】
補助装置20は、使用者が、穿孔機械1の作業軸3を、対象作業面5に対して所望の角度、好適には直角に配向させ、配向させたまま案内することを補助する。光学測定装置21は、その光軸22の作業対象物6に対する向きを算出することができる。表示装置23は使用者にその時点における向きを視覚提示する。加えて、補助装置20は、その時点における穿削深さを算出し、表示装置23によって視覚提示することもできる。
【0015】
補助装置20の光学測定装置21は、プロジェクタ24およびカメラ25を備える。これらを図3に詳細に示す。プロジェクタ24は、作業平面5上に少なくとも1つの第一光点26および第二光点27をそれぞれ生成する。カメラ25は好適には光軸22上に取り付けられ、作業平面5とそこに生成された光点26,27を画像28上に描写する(図2)。評価装置29は、画像28およびそこに描写された光点26,27に基づいて、光軸22の作業平面5に対する向きを求める。
【0016】
プロジェクタ24は、一例としては、2つのレーザ光源30(例えばレーザダイオード)とすることができ、これらが、第一光線31および第二光線32を生成する。第一光線31は第一方向に、第二光線32は第一方向とは違う第二方向に放射される。
【0017】
光線31,32の方向は、以下の説明において、光軸22に関する角座標として与えられる。極角は、光線および光軸22上に広がる平面における、光軸22に対する光線の傾きを表す。方位角は、光軸22を軸とした回転方向への光線の向きを表し、光軸22に直交する平面に投射して求められる(図2参照)。
【0018】
好適には、第一光線31の第一方位角33と第二光線32の第二方位角34は異なる。第一方位角33は第二方位角34と180度異なるものとしてもよく、このとき、光線31,32の双方が光軸22と同じ平面に存在する。第一光線31の第一極角35と、第二光線32の第二極角36は等しくても良い。極角35,36は好適には、10度から60度の間の値をとるものとする。プロジェクタ24は光線31,32を光軸22に交差するように放射するものとしてもよい。
【0019】
作業平面5上において、第一光線31は第一光点26に、第二光線32は第二光点27に到達する。第一および第二光点の光軸22に対する相対的な位置と距離から光軸22の作業対象物6に対する相対的向きが求められる。プロジェクタ24から出力された光線31,32の断面は、円形としても、他の形状としてもよい。直径の小さい光点は、その位置決めのし易さから好ましいが、無論、例えば円形でなく、矢印や×印など他種の光点を作業対象物6に投影するものとしても良い。
【0020】
カメラ25は、作業平面5と作業対象物6上の光点26,27と描写する。カメラ25は、投影光学系37を有し、この投影光学系37は作業平面5を空間分解能を有するフォトセンサ38に描写する。フォトセンサ38は、受光した光を画像28に変換し、この画像は画像平面39において空間的に分解され、光の強度を提示する。光点26,27は、合目的には、画像28上に描写された状態で最も強度を有するような明るさとする。コントラストを高めるために。光点26,27の色に同調させた色フィルタ40を、フォトセンサ38の前に取り付けてもよい。
【0021】
投影光学系37は、1または複数のレンズ42から成る対物レンズ系41を有し得る。レンズ42は、好適には、光軸22に対し同心および垂直に設けられるものとする。対物レンズ系41の替わり、またはこれに加えて、絞りが設けられていてもよい。プロジェクタ24およびカメラ25は、カメラ25が、第一光点26を第一方向とは違う方向において、第二光点27を第二方向とは違う方向において捉えるように、ずらして設けられる。
【0022】
評価装置29は、カメラ25、特に空間分解能を有するフォトセンサ38から、画像28を読み出す。画像上、最も明るい点が、仮想光点26,27として認識される。評価装置29は、画像28上または画像平面39上における、これら描写された光点26,27の参照点43に対する相対位置を算出する。画像28において、第一光点26から参照点43までの第一距離44と、第二光点27の参照点43までの第二距離45が測定される。これら測定された距離は仮想のものである。測定には、画像中の光点26,27の座標を求めるステップも含まれるものとしても良い。距離44,45を算出するに際しては、例えば、参照テーブルにおいて、当該座標に該当する距離を、評価装置29の例えばRAMやFlash‐RAMなどのデータ保存素子46に保存するものとしても良い。参照点43は任意に決定されるが、好適には参照点43は、画像平面39と光軸22の交差点、または画像28の中心とされる。
【0023】
ある作業モードにおいて、補助装置20は、使用者が穿孔機械1を作業対象物6に対して垂直に配向するのを助ける。補助装置20は、光軸22が作業軸3に対して平行となるように穿孔機械1に固定される。評価装置29は、第一距離44が第二距離45と異なる場合に、光軸22が作業対象物6に対して傾いていることを知らせる制御信号を伝達する。制御信号は、距離44,45のうち大きい方が、どちらの方向を向いているのかを示す。表示装置23は制御信号を使用者に視覚提示する。例えば、表示装置23はその方向を指示す矢印を示す。この表示は、距離44,45が等しくなり、光軸22が作業対象物6に直交するまで、ハンドグリップ12をその方向へと穿孔を中心として旋回させるように使用者に促す。
【0024】
光学測定装置21は、作業軸3に対し旋回可能なプラットフォーム47上に取り付けられるものとしても良い。特に、光軸22と作業軸3との極角は調節可能とする。プラットフォームは、例えば、ボールジョイント48または旋回継ぎ手によって穿孔機械1のハウジングに固定されるものとしても良い。使用者は、光軸22の作業軸3に対する向きを所望のとおり、例えば平行でない向きにセットする。評価装置29および表示装置23は、穿孔機械1を、その光軸22が作業対象物6に対して直交になるように案内するよう、使用者に指示を出す。結果として、穿削された穿孔は、セットされた作業軸3の光軸22に対する傾きに相応する傾きを、作業平面5に対して有することとなる。
【0025】
他の作業モードにおいて、補助装置20は、光軸22の作業平面5に対する角度を絶対的に求めることが出来る。プロジェクタ24は、好適には光軸22に平行であり、光軸22に重ならない第三光線49を生成する。第三光線49は、平行とされる替わりに、光軸22に対して、第一光線31と比較して小さい極角、例えば0度〜5度の極角を有するものとしてもよい。第三光線49により生成される第三光点50は、カメラ25により認識される。画像28上の、参照点43から描写された光点50までの仮想第三距離51が算出される。この第三距離51に基づいて、作業対象物6からカメラ25までの隔たり52が求められる。第三距離51は、画像28中、隔たり52が小さくなるにつれ、大きくなる。光軸22の作業平面5に対する傾きは、隔たり52と、第一距離44および第二距離45と、第一光線31の極角35および第二光線32の極角36とに基づいて、絶対的かつ定量的に算出される。好適には、データ保存素子46には、様々な隔たり52における、第一および第二距離に対応する極角35,36が保存されるものとする。表示装置23は、絶対角度を、好適には数字により提示する。
【0026】
また他の実施例において、第一光線31および第二光線32は、光軸22に対し異なる極角35,36を有する。双方の光線31,32は、一平面上、例えば光軸22を含む平面上に延在するものとしても良い。好適には、第一光線31は光軸22に平行に、第二光線は光軸22に対して傾けて配向させる。この場合、光軸22が参照点43として機能することから、第一距離44および第二距離45から、光軸22の作業平面5に対する絶対傾き53が直接求められる。
【0027】
フォトセンサ38は、ラスタ上に配置された複数の感光セルを有するものとしても良い。光点の座標は、光点26,27が照明するセルの、行および場合によっては列に対応する。また、任意の1セルを参照点43とすると良い。フォトセンサ38は、例えばCCDチップまたはAPSセンサを有する。
【0028】
カメラ25は、画像28上に、作業平面5の穿孔7と穿孔具2とを描写する。評価装置29は、穿孔7を同定し、その座標を画像28中にて求める画像認識部54を備える。
画像認識部54は、例えば、まず穿孔具2を同定する。この際同定は、画像28中、例えばその長細形状から、および/または、既知である穿孔具2の向きに基づいて行われ、該向きは、固定の、または既知である、穿孔具2に対するカメラ25の相対的配置から導き出される。穿孔具2の視認可能部分の端部55の座標は、穿孔7の座標に対応する。画像28中において、参照点43から穿孔7までの距離56が求められる。距離56は、穿孔7、すなわち作業平面5からカメラ25までの隔たり52に依存するので隔たり52を表す尺度となる。 評価装置29は、穿孔機械1までの距離を、該尺度に基づいて求め、表示装置23に伝達し視覚提示を促す。また、絶対角度53を求めるにあたり、隔たり52を考慮に入れることもできる。
【0029】
以上に記した実施形態においては、垂線に対するずれ傾きを、または作業対象物6に対する光軸22の絶対角度53を、第一平面上において算出することができる。他の実施形態において、更に別の、第一および第二光線31,32に対して90度異なる方位角を有する光線が用いられる。この光線の光点57の評価は、第一および第二光線31,32の場合と同様に行われる。これにより、第一平面に直交する第二平面における傾きが算出される。絶対角度53を求めるにあたり、光軸22に対して他の光線31,32とは異なる極角を有する第三光線49を考慮に入れることもできる。一実施形態において、向きの異なる3つの光線が用いられ、これら3つのうち、2つは少なくとも方位角において異なり、2つが少なくとも極角において異なる。第三光線49に加え、またはこれの替わりに、画像28中の光軸22から穿孔7までの距離56の測定を、隔たり52の確定に用いることができる。
【0030】
プロジェクタ24は、複数の個々の、互いに独立したレーザ光源30から構成され得る。レーザダイオード30はハウジング58内に、レーザ光線32の事前に付与された方向に応じて配向配置され得る。プロジェクタ24は、1つの光線を2つの光線31,49にスプリットさせるために、光線スプリッタ59を備えるものとしても良い。光線スプリッタ59は、例えば、ガラス小板やガラス繊維の束を有し得る。
【0031】
一実施形態において、プロジェクタ24は、代替として、または付加的に、自ら光を放射する光放射パネル60および投影光学系61を有する(図4)。光放射パネル60は、例えば、バックライト式液晶画面や、発光ダイオードから成るマトリックスなどとする。光放射パネル60上には、複数の画像点62から構成されるシンボルを提示し得る。投影光学系61は、光放射パネル60上に提示された画像を作業平面5に投影する。投影光学系61は、1または複数のレンズを備えるものとしても良く、これらレンズは、投影光学系61の光軸63に沿って配設される。好適には、光軸63は、光放射パネル60と、その中心で交差する。光軸63付近の画像点は、光軸22に対しほぼ平行な光線を案内し、一方で、光放射パネルの縁付近の画像点は、光軸63に対して傾いた光線31,32を介して作業平面5上に投影される。光線の傾きは、投影光学系61の焦点距離によって調整し得る。
【0032】
表示装置23は、補助装置20の支持体65に固定されるモニタ64を有する。モニタ64は、その読取面66をもって使用者に対面する、すなわち、作業方向4と反対を向いている。使用者は、穿孔機械1を作業方向4に案内するに際して、モニタ64上の情報を読み取ることができる。複数の電子−光セグメント67は、互いに独立に、その明暗が切り替えられるものとする(図5)。セグメント67は、自ら光を放射するもの、例えば発光ダイオードのセルやマトリックス、または、バックライトシャドウ式、例えば複数の液晶セルとすることができる。セグメント67は、90度間隔で放射状に配置された矢印形状として構成しても良い。光軸22が作業平面5に対して傾いている場合において、評価装置29の制御信号に応じて、セグメント67のいずれか1つがアクティヴェートされる。セグメント67は、矢印、数字、文字などを提示する、ラスタ上の複数の画像点として構成されるものとしても良い。図5に示す例において、暗く切替えられたセグメント67グループは、右への傾きを知らせ、使用者に穿孔機械1を左へと旋回させるよう誘導する。セグメント67は、補助装置20の工具2とは反対側の面に配設される。使用者は、提示された方向を補助装置20から直接読み取ることができる。
【0033】
表示装置23は、表示装置23により提示すべき情報を作業平面5上に投影する、例えばプロジェクタ68を有する(図6)。プロジェクタ68は、作業方向4を向いている。プロジェクタ68は、自ら光を放射する光放射パネル69および投影光学系70を備えるものとすることができる。
【0034】
光放射パネル69は、複数の個別に制御可能な電子‐光照射素子71から構成される。各電子‐光照射素子71は、ある切り替え状態においては光を発し、他の切り替え状態においては光を発しない。電子‐光照射素子71は、例えばバックライト式液晶画面、点状または他の形状を有する発光ダイオード、ランプにより照らされたマイクロミラーの照野などを有するものとしても良い。例えば、光放射パネル69は、ラスタ上に配設された複数の電子‐光照射素子71により提示が成される。画像点は、個々に、またはグループとして点灯し、1または複数の所望のシンボルを提示する。これらシンボルとしては、矢印や数字、文字などが挙げられる。測定装置21は、プロジェクタ68を制御する。このとき、測定装置21から伝達されるデータに応じて、異なる電子‐光照射素子71グループが点灯するように切り替えられる。これらグループは、一方のグループにおいては点灯するように切り替えられ、他方のグループにおいては非点灯となるように切り替えられる少なくとも1つの素子71において、互いに区別される。
【0035】
投影光学系70は、光放射パネル69上に提示されたシンボルを作業平面5に描写する。投影光学系70は、1または複数のレンズから成る対物レンズ系72を備える。対物レンズ系72の焦点距離および焦点は、調整可能とされても良い。例えば、対物レンズ系72をその光軸73に沿って、キャリッジ74によって動かせるものとすることができる。代替として、対物レンズ系72は、電場の付与によってその焦点距離が調整可能である液状レンズを有するものとしても良い。
【0036】
他の実施形態におけるプロジェクタ68は、光線76を生成する光源75(好適にはレーザ)、および偏向装置77を有する(図7)。偏向装置77は、例えば、2つの軸線79 を軸として回転もしくは旋回可能に懸架された鏡78を備える。この鏡78は、励起子80により、例えば圧電的、磁気的または静電気的に、双方の軸線79を軸とした旋回または回転するよう励起され得る。この鏡78は、1または双方の軸線79を軸として回転するものとしてもよい。光線76を2方向に転向させたい場合には、2つの旋回または回転する鏡を設けるものとしても良い。光線76は、例えばリサージュ曲線のラスタに沿って、作業平面5上方にて偏向させられる。
【0037】
シンボルを作業平面5に投影するため、制御装置81は、偏向装置77の位置に応じて光線76の強度を切り替える。必要とされる様々なシンボル、例えば矢印、数字などのために、切替え模様を制御装置81のデータ保存素子に保存しておくものとしても良い。切替え模様の光線強度は、鏡78の角度位置に関連付けて決定される。光線76がシンボルの領域以外にあるとき、光線76の強度は弱められる。強度の切り替えは、光源75への電力供給を制御装置81によって切り替えることで達成される。さらに、強度変調器82によって切替えが成され得る。この強度変調器82は、偏光を変更するための例えばポッケルセル83と続いて切替えられる偏光フィルタ84との組み合わせ、および/または、光線の拡散方向を変更するための音響‐光学変調器85と続いて切替えられる絞り86との組み合わせを備える。
【0038】
一実施形態において、測定結果を提示するための表示装置23のプロジェクタ68は、測定装置21による測定において作業平面5上に光点26,27を生成する目的にも用いられる。この構成により、測定装置21のプロジェクタ24を省略することができる。
【0039】
補助装置20は、穿孔機械1の首部またはグリップ周囲に敷設される締付ベルト90を備えるものとする。締付機構91は締付ベルトを穿孔機械1にクランプして固定する。締付ベルトの替わりに、ブラケットをクランプ機構91により穿孔機械1にクランプさせることもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 穿孔機械
2 穿孔具
3 作業軸
4 作業方向
5 作業平面
6 作業対象物
7 穿孔
8 モータ
9 伝動ギア
10 駆動スピンドル
11 穿孔具ホルダ
12 ハンドグリップ
13 機械ハウジング
20 補助装置
21 光学測定装置
22 光軸
23 表示装置
24 プロジェクタ
25 カメラ
26 第一光点
27 第二光点
28 画像
29 評価装置
30 レーザ光源
31 第一光線
32 第二光線
33 第一方位角
34 第二方位角
35 第一極角
36 第二極角
37 投影光学系
38 フォトセンサ
39 画像平面
40 色フィルタ
41 対物レンズ系
42 レンズ
43 参照点
44 第一距離
45 第二距離
46 データ保存素子
47 プラットフォーム
48 玉継ぎ手
49 第三光線
50 第三光点
51 第三距離
52 距離
53 絶対傾き
54 画像認識部
55 端部
56 距離
58 ハウジング
59 光線スプリッタ
60 光放射パネル
61 投影光学系
63 光軸
64 モニタ
65 支持体
66 読取面
67 セグメント
68 プロジェクタ
69 光放射パネル
70 投影光学系
71 電子‐光照射素子
72 対物レンズ系
73 光軸
74 キャリッジ
75 光源
76 光線
77 転向装置
78 鏡
79 軸線
81 制御装置
82 強度変調器
83 ポッケルセル
84 偏光フィルタ
85 音響‐光学変調器
86 絞り
90 締付ベルト
91 クランプ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔機械(1)と連結可能な補助装置(20)であって、
第一光点(26)および第二光点(27)を作業対象物(6)に投影するプロジェクタ(24)、前記第一光点(26)および前記第二光点(27)を画像(28)上に描写するカメラ(25)、前記画像(28)上に描写された第一光点(26)から参照点(43)までの第一距離と、前記画像(28)上に描写された第二光点(27)から前記参照点(43)までの第二距離(45)とに基づいて前記穿孔機械(1)の前記作業対象物(6)に対する傾き(53)を算出する評価装置(29)、および、前記算出された傾き(53)を表示する表示装置(23)を備える補助装置。
【請求項2】
前記プロジェクタ(24)は、前記第一光点(26)を生成するため第一方向に向かう第一光線(31)と、前記第二光点(27)を生成するため第二方向に向かう第二光線(31)と、第三光点を生成するため第三方向に向かう第三光線(83)とを出力し、前記第一光線(31)および前記第二光線(32)の、前記カメラ(25)の光軸(22)に関する方位角(33,34)は異なり、前記第一光線(31)および前記第三光線(57)の、前記光軸(22)に関する極角(35,36)は異なるものとしたことを特徴とする請求項1記載の補助装置。
【請求項3】
前記第一光線(31)は、前記光軸(22)に対して10度より大きい極角を有するように傾けられ、前記第三光線(57)は、前記光軸(22)に対して5度より小さい極角を有するように傾けられるものとしたことを特徴とする請求項2記載の補助装置。
【請求項4】
前記カメラ(25)および前記プロジェクタ(24)は、前記穿孔機械(1)の作業軸(3)に対して旋回可能であるプラットフォーム上に配置されるものとしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の補助装置。
【請求項5】
前記プロジェクタ(24)は、レーザ光源(30)を有するものとしたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の補助装置。
【請求項6】
前記レーザ光源(30)の、1つの光線を複数の光線に分けるための光線スプリッタ(59)が配設されていること特徴とする請求項5記載の補助装置。
【請求項7】
前記プロジェクタ(24)は、光放射パネル(60)および投影光学系(61)を有するものとしたことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項記載の補助装置。
【請求項8】
前記表示装置(23)は、前記作業対象物(6)に表示内容を投影するプロジェクタ(68)を有するものとしたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の補助装置。
【請求項9】
前記プロジェクタ(68)は前記カメラ(25)と同じ方向に向けられることを特徴とする請求項8記載の補助装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか1項記載の穿孔機械(1)を作業平面(5)に対して配向させる制御方法であって、
第一光点(26)および第二光点(27)を前記作業平面(5)にプロジェクタ(24)によって投影するステップ、
前記第一光点および前記第二光点を画像(28)上に描写するステップ、
前記画像(28)上に描写された第一光点(26)から参照点(43)までの第一距離(44)と、前記画像(28)上に描写された第二光点(27)から前記参照点(43)までの第二距離(45)と、を求めるステップ、
前記穿孔機械(1)の前記作業平面(5)に対する傾き(53)を、前記第一距離(44)および前記第二距離(45)に基づいて算出するステップ、および
求められた前記傾き(53)を表示装置(23)により表示するステップ、
を有する制御方法。
【請求項11】
前記第一光点(26)を生成する第一光線(31)を第一方向に、前記第二光点(27)を生成する第二光線(32)を第二方向に、第三光点を生成する第三光線(83)を第三方向にそれぞれ出力し、このとき、前記カメラ(25)の光軸(22)に関する方位角を、前記第一光線(31)と前記第二光線(32)とで異ならせ、前記光軸(22) に関する極角を、前記第一光線(31)と前記第三光線(57)とで異ならせることを特徴とする請求項10記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−132913(P2012−132913A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277311(P2011−277311)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【出願人】(591010170)ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト (339)
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
【Fターム(参考)】