窒化物半導体発光ダイオード素子およびその製造方法
【課題】高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供する。
【解決手段】n型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層との間に設置された窒化物半導体活性層とを含み、窒化物半導体活性層に対してp型窒化物半導体層側に、酸化インジウム錫を含有する第1の透明電極層と、酸化錫を含有する第2の透明電極層とを有する窒化物半導体発光ダイオード素子とその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法である。
【解決手段】n型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層との間に設置された窒化物半導体活性層とを含み、窒化物半導体活性層に対してp型窒化物半導体層側に、酸化インジウム錫を含有する第1の透明電極層と、酸化錫を含有する第2の透明電極層とを有する窒化物半導体発光ダイオード素子とその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光ダイオード素子およびその製造方法に関し、特に、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許第3786898号公報(特許文献1)には、光ディスプレイ装置、信号機、データ記憶機器、通信装置、照明装置および医療機器を含む様々な用途に使用される窒化物半導体発光ダイオード素子が開示されている(たとえば特許文献1の図1および段落[0008]等参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子は、図14に示すように、サファイア絶縁基板110上に、GaNバッファ層111、n+型GaNコンタクト層112、n型AlGaNクラッド層113、多重量子井戸(MQW)を有するInGaN発光層114、p型AlGaNクラッド層115、p型GaNコンタクト層116およびn+型InGaN逆方向トンネリング層120が順次積層された構成を有している。
【0004】
そして、n+型InGaN逆方向トンネリング層120の表面に接するようにして形成されているp側オーミック電極117およびn+型GaNコンタクト層112の表面に接するようにして形成されているn側オーミック電極119のそれぞれに酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide;ITO)が用いられている。
【0005】
特許文献1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、ITOからなるp側オーミック電極117でn+型InGaN逆方向トンネリング層120とのオーミック接触を実現したことにより、従来からp側オーミック電極に用いられていた厚さ5〜10nm程度のNiやPdなどからなる半透明金属電極に比べて、高い透過率を確保することができるとともに、光取り出し効率が向上し、結果として発光効率の向上につながっている。
【特許文献1】特許第3786898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ITOからなるp側オーミック電極は、上記の特許文献1に記載のように、n型窒化物半導体層だけでなく、p型窒化物半導体層ともオーミック接触をとることができるとともに、可視光の透過率も高いため、窒化物半導体発光ダイオード素子の電極としては有用である。
【0007】
しかしながら、ITOからなるp側オーミック電極を用いた窒化物半導体発光ダイオード素子に高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合には、ITOからなるp側オーミック電極が黒色化する問題があった。
【0008】
高い電流密度で電流を注入して窒化物半導体発光ダイオード素子を駆動させることによって、発光面積あたりの光量を増やすことができ、その結果として窒化物半導体発光ダイオード素子を小型化することができる。また、窒化物半導体発光ダイオード素子の単価も下げることができる。
【0009】
したがって、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法が要望されている。
【0010】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、n型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層との間に設置された窒化物半導体活性層とを含み、窒化物半導体活性層に対してp型窒化物半導体層側に、酸化インジウム錫を含有する第1の透明電極層と、酸化錫を含有する第2の透明電極層とを有する窒化物半導体発光ダイオード素子である。
【0012】
ここで、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第1の透明電極層は、第2の透明電極層よりもp型窒化物半導体層側に設置されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第1の透明電極層の厚さは40nm以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第2の透明電極層は、アンチモンを含有することが好ましい。
【0015】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第2の透明電極層は、フッ素を含有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第2の透明電極層の厚さは、第1の透明電極層の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、上記のいずれかの窒化物半導体発光ダイオード素子を製造する方法であって、第1の透明電極層を200℃以上の雰囲気で形成する工程を含む窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法である。
【0018】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法は、第2の透明電極層を300℃以上の雰囲気で形成する工程を含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法は、第1の透明電極層を形成した後に、第1の透明電極層を300℃以上の酸素雰囲気で熱処理する工程を含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法においては、上記の熱処理後に第1の透明電極層を300℃以上の窒素雰囲気でさらに熱処理する工程が含まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0023】
図1に、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す窒化物半導体発光ダイオード素子は、基板1と、基板1上に形成されたn型窒化物半導体層2と、n型窒化物半導体層2上に形成された窒化物半導体活性層3と、窒化物半導体活性層3上に形成されたp型窒化物半導体層4と、p型窒化物半導体層4上に形成された第1の透明電極層5と、第1の透明電極層5上に形成された第2の透明電極層6とを有している。
【0024】
また、窒化物半導体発光ダイオード素子のn型窒化物半導体層2の表面上にはn側パッド電極7が形成されており、第2の透明電極層6の表面上にはp側パッド電極8が形成されている。
【0025】
ここで、基板1としては、たとえば従来から公知のサファイア基板、炭化ケイ素基板または窒化ガリウム基板などを用いることができる。
【0026】
また、n型窒化物半導体層2としては、たとえば従来から公知のn型窒化物半導体を用いることができ、たとえば、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶にn型不純物をドーピングして形成された層の単層または複数層などを用いることができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、x1はAlの組成比を示し、y1はInの組成比を示し、z1はGaの組成比を示す。また、n型不純物としては、たとえばシリコンおよび/またはゲルマニウムなどを用いることができる。
【0027】
また、窒化物半導体活性層3としては、たとえば従来から公知の窒化物半導体を用いることができ、たとえば、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされるアンドープの窒化物半導体結晶またはこの式で表わされる窒化物半導体結晶にp型不純物およびn型不純物の少なくとも一方をドーピングして形成された層の単層または複数層などを用いることができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、x2はAlの組成比を示し、y2はInの組成比を示し、z2はGaの組成比を示す。また、窒化物半導体活性層3は、従来から公知の単一量子井戸(SQW)構造または多重量子井戸(MQW)構造を有する構成であってもよい。
【0028】
また、p型窒化物半導体層4としては、たとえば従来から公知のp型窒化物半導体を用いることができ、たとえば、Alx3Iny3Gaz3N(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、x3+y3+z3≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶にp型不純物をドーピングして形成された層の単層または複数層などを用いることができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、x3はAlの組成比を示し、y3はInの組成比を示し、z3はGaの組成比を示す。また、p型不純物としては、たとえばマグネシウムおよび/または亜鉛などを用いることができる。
【0029】
また、第1の透明電極層5としては、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide;ITO)を含有する透明電極層が用いられる。第1の透明電極層5としてITOを含有する透明電極層を用いることにより、第1の透明電極層5とp型窒化物半導体層4との接触抵抗を小さくすることができる。
【0030】
また、第1の透明電極層5の厚さh1は40nm以下であることが窒化物半導体発光ダイオード素子の信頼性および発光効率を向上させる点で好ましい。なお、第1の透明電極層5の厚さh1の下限は特には限定されないが、たとえば5nmとすることができる(すなわち、第1の透明電極層5の厚さh1を5nm以上とすることができる。)。また、第1の透明電極層5とp型窒化物半導体層4との間にはp型窒化物半導体層4とトンネル接合を形成することができるn型窒化物半導体層が形成されていてもよい。
【0031】
また、第2の透明電極層6としては、酸化錫を含有する透明電極層が用いられる。これは、本発明者が、酸化錫がITOよりも熱的安定性および窒化物半導体活性層3から発光した光の透過性に優れることを見いだしたことによるものである。さらに、これは、本発明者が、ITOを含有する第1の透明電極層5でp型窒化物半導体層4とのオーミック接触を担保しつつ、酸化錫を含有する第2の透明電極層6で熱的安定性および光透過性を向上させることによって、窒化物半導体発光ダイオード素子に高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも従来の特許文献1に記載のITOのみからなるp側オーミック電極ほど熱による黒色化などの問題が生じずに高い信頼性が得られるとともに、発光効率も向上させることができることを見いだしたことによるものである。
【0032】
ここで、酸化錫を含有する第2透明電極層6は、アンチモンおよびフッ素の少なくとも一方をさらに含有していることが好ましい。酸化錫を含有する第2透明電極層6がアンチモン、フッ素またはこれらの双方を含有している場合には、第2透明電極層6の抵抗率をさらに小さくすることができ、窒化物半導体発光ダイオード素子の電力効率をさらに向上させることができる傾向にある。
【0033】
また、第2の透明電極層6の厚さh2は、第1の透明電極層5の厚さh1よりも厚くすることが好ましい。第2の透明電極層6の厚さh2を第1の透明電極層5の厚さh1よりも厚くすることによって、p型窒化物半導体層4の表面上に形成されたp側オーミック電極(第1の透明電極層5と第2の透明電極層6との積層体)中の酸化錫を含有する第2の透明電極層6の含有率を向上させることができるため、窒化物半導体発光ダイオード素子に高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合の信頼性をより高くすることができるとともに、発光効率もより高くすることができる傾向にある。
【0034】
また、上記の観点からは、第2の透明電極層6中におけるアンチモンの含有量は、第2の透明電極層6全体の1×10-2質量%以上であることが好ましく、1×10-1質量%以上であることがより好ましい。
【0035】
また、上記の観点からは、第2の透明電極層6中におけるフッ素の含有量は、第2の透明電極層6全体の1×10-2質量%以上であることが好ましく、1×10-1質量%以上であることがより好ましい。
【0036】
また、n側パッド電極7およびp側パッド電極8としては、たとえば、従来から窒化物半導体発光ダイオード素子のn側パッド電極およびp側パッド電極にそれぞれ用いられている金属などを用いることができる。
【0037】
以下に、図1に示す構成の本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子は製造方法の一例について説明する。
【0038】
まず、基板1の表面上に、たとえば従来から公知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、n型窒化物半導体層2、窒化物半導体活性層3およびp型窒化物半導体層4をこの順序で結晶成長させる。
【0039】
次に、p型窒化物半導体層4の表面上に、たとえば従来から公知のEB(Electron Beam)蒸着法などによって、ITOを含有する第1の透明電極層5を形成する。
【0040】
次に、第1の透明電極層5の表面上に、たとえば従来から公知のEB蒸着法などによって、酸化錫を含有する第2の透明電極層6を形成する。
【0041】
その後、第2の透明電極層6の表面上にp側パッド電極8を形成した後のウエハの一部を第2の透明電極層6側からn型窒化物半導体層2の表面が露出するまでエッチングする。
【0042】
そのエッチングにより露出したn型窒化物半導体層2の表面上にn側パッド電極7を形成した後のウエハを複数に分割することによって、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子とすることができる。
【0043】
ここで、上記において、ITOを含有する第1の透明電極層5は、200℃以上の雰囲気で形成されることが好ましい。ITOを含有する第1の透明電極層5を200℃以上の雰囲気で形成した場合には、窒化物半導体活性層3から発光した光に対する第1の透明電極層5の透過率がさらに向上して窒化物半導体発光ダイオード素子の発光効率がさらに向上する傾向にある。なお、本発明において、温度は、基板1の温度を意味するものとする。
【0044】
また、上記において、酸化錫を含有する第2の透明電極層6は、300℃以上の雰囲気で形成されることが好ましい。酸化錫を含有する第2の透明電極層6を300℃以上の雰囲気で形成した場合には、酸化錫を含有する第2の透明電極層6の抵抗率をさらに低くすることができるとともに、窒化物半導体発光ダイオード素子の電力効率をさらに向上させることができる傾向にある。
【0045】
また、上記において、第1の透明電極層5の形成後、若しくは第1の透明電極層5および第2の透明電極層6の形成後に、第1の透明電極層5を300℃以上の酸素雰囲気で熱処理することが好ましい。これにより、ITOを含有する第1の透明電極層5とp型窒化物半導体層4との接触抵抗をさらに低減することができる傾向にある。
【0046】
さらに、上記の酸素雰囲気での熱処理後に、第1の透明電極層5を300℃以上の窒素雰囲気でさらに熱処理することが好ましい。これにより、第1の透明電極層5の抵抗率をさらに低減することができるため、窒化物半導体発光ダイオード素子の電力効率をさらに向上させることができる傾向にある。
【0047】
図2に、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の他の一例の模式的な断面図を示す。図2に示す窒化物半導体発光ダイオード素子においては、基板1に導電性基板を用いており、基板1の裏面にn側パッド電極7を形成している点に特徴がある。
【0048】
図2に示す上下電極構造の構成とすることにより、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子を小型化することができる。また、このような構成とすることにより、1枚のウエハから得られる窒化物半導体発光ダイオード素子の数を増加させることができるとともに、上記で説明したようなn型窒化物半導体層3の表面の一部を露出させるエッチング工程が必要なくなるため、窒化物半導体発光ダイオード素子の製造効率を向上させることができる。その他の説明は上記と同様である。
【0049】
以上のように、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、ITOを含有する第1の透明電極層5と酸化錫を含有する第2透明電極層6との積層体をp型窒化物半導体層4に接するp側オーミック電極とすることによって、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有するとともに高い発光効率を有する窒化物半導体発光ダイオード素子を得ることができる。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
まず、図3の模式的断面図に示すような構成のサファイア基板11を用意し、サファイア基板11をMOCVD装置の反応炉内にセットする。
【0051】
次に、その反応炉内に水素を流しながらサファイア基板11の温度を1050℃まで上昇させることによってサファイア基板11の表面(C面)のクリーニングを行なう。
【0052】
次に、サファイア基板11の温度を510℃まで低下させ、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアおよびTMG(トリメチルガリウム)を反応炉内に流すことによって、図4の模式的断面図に示すように、GaNからなるバッファ層41をMOCVD法によりサファイア基板11の表面(C面)上に約20nmの厚さで形成する。
【0053】
次に、サファイア基板11の温度を1050℃まで上昇させて、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアおよびTMG、不純物ガスとしてシランを反応炉内に流すことによって、図5の模式的断面図に示すように、Si(シリコン)がドーピングされたGaNからなるn型窒化物半導体下地層12a(キャリア濃度:1×1018/cm3)をMOCVD法によりバッファ層41上に6μmの厚さで形成する。
【0054】
次に、図6の模式的断面図に示すように、キャリア濃度が5×1018/cm3となるようにSiをドーピングすること以外はn型窒化物半導体下地層12aと同様にして、GaNからなるn型窒化物半導体コンタクト層12bをMOCVD法によりn型窒化物半導体下地層12a上に0.5μmの厚さで形成する。
【0055】
以上により、n型窒化物半導体下地層12aとn型窒化物半導体コンタクト層12bとの積層体からなるn型窒化物半導体層12を形成する。
【0056】
次に、サファイア基板11の温度を700℃に低下し、キャリアガスとして窒素、原料ガスとしてアンモニア、TMGおよびTMI(トリメチルインジウム)を反応炉内に流すことによって、図7の模式的断面図に示すように、n型窒化物半導体コンタクト層12b上に、2.5nmの厚さのIn0.15Ga0.85Nからなる井戸層13aと10nmの厚さのGaNからなる障壁層13bとをそれぞれ交互に6周期成長させ、多重量子井戸構造を有する窒化物半導体活性層13を形成する。ここで、窒化物半導体活性層13の形成時において、GaNからなる障壁層13bを形成する際にはTMIを反応炉内に流していないことは言うまでもない。
【0057】
次に、サファイア基板11の温度を950℃に上昇させ、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニア、TMGおよびTMA(トリメチルアルミニウム)、不純物ガスとしてCP2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を反応炉内に流すことによって、図8の模式的断面図に示すように、Mgが1×1020/cm3の濃度でドーピングされたAl0.20Ga0.80Nからなるp型窒化物半導体クラッド層14aを、MOCVD法により、窒化物半導体活性層13上に約20nmの厚さで形成する。
【0058】
次に、サファイア基板11の温度を950℃に保持し、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアおよびTMG、不純物ガスとしてCP2Mgを反応炉内に流すことによって、図9の模式的断面図に示すように、Mgが1×1020/cm3の濃度でドーピングされたGaNからなるp型窒化物半導体コンタクト層14bをMOCVD法によりp型窒化物半導体クラッド層14a上に80nmの厚さで形成する。
【0059】
以上により、p型窒化物半導体クラッド層14aとp型窒化物半導体コンタクト層14bとの積層体からなるp型窒化物半導体層14を形成する。
【0060】
次に、p型窒化物半導体層14の形成後のウエハを反応炉内から取り出し、図10の模式的断面図に示すように、そのウエハの最上層を構成しているp型窒化物半導体層14上にEB蒸着により300℃の酸素雰囲気でITOからなる第1の透明電極層15を20nmの厚さに形成する。
【0061】
次に、図11の模式的断面図に示すように、第1の透明電極層15の表面上にEB蒸着により550℃で酸化錫からなる第2の透明電極層16を250nmの厚さに形成する。
【0062】
次に、第2の透明電極層16の形成後のウエハを600℃の酸素雰囲気で10分間熱処理を行ない、その後、600℃の窒素雰囲気下で1分間熱処理を行なうことによって、第1の透明電極層15を加熱する。
【0063】
次に、第2の透明電極層16の表面上に所定の形状に開口部を有するようにパターニングされたマスクを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)装置で、第2の透明電極層16側からウエハのエッチングを行ない、図12の模式的断面図に示すように、n型窒化物半導体コンタクト層12bの表面の一部を露出させる。
【0064】
次に、図13の模式的断面図に示すように、第2の透明電極層16の表面上およびn型窒化物半導体コンタクト層12bの表面上の所定の位置にそれぞれ、TiとAlとを含むn側パッド電極17およびp側パッド電極18をそれぞれ形成する。その後、n側パッド電極17およびp側パッド電極18の形成後のウエハを分割することにより、実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子を得る。
【0065】
この実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子は、たとえば50A/cm2以上の高い電流密度の電流を注入して連続駆動させる場合においても、第1の透明電極層15と第2の透明電極層16との積層体からなるp側オーミック電極が熱により劣化することがなく、高い信頼性を有する。
【0066】
さらに、後述する比較例1の窒化物半導体発光ダイオード素子よりも、第1の透明電極層15と第2の透明電極層16との積層体からなるp側オーミック電極は、窒化物半導体活性層13から発光する光の透過率が高くなっているため、光取り出し効率を向上させることができ、ひいては発光効率を向上させることができる。
【0067】
(実施例2)
実施例2においては、第2の透明電極層16の形成条件を変更すること以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光ダイオード素子を作製する。すなわち、実施例2においては、第1の透明電極層15を形成し、その後、反応蒸着により350℃で錫とアンチモンとの合金を蒸着源とし、250nmの厚さで、アンチモンと酸化錫とからなる第2の透明電極層16を形成することによって、実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子としている。
【0068】
この実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子は、実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子と同様に、高い電流密度で電流を注入して連続駆動させる場合でも、第1の透明電極層15と第2の透明電極層16との積層体からなるp側オーミック電極が熱により劣化することがなく、高い信頼性を有する。
【0069】
さらに、実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子よりも第2の透明電極層16の抵抗率を低下させることができるため、動作電圧を小さくすることができるとともに、電力効率を向上させることができる。
【0070】
なお、実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子の第2の透明電極層16を酸化錫とフッ素とからなる第2の透明電極層16および酸化錫とアンチモンとフッ素とからなる第2の透明電極層16にそれぞれ変更する場合でも、実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子と同様の効果が得られる。
【0071】
(実施例3)
実施例3においては、第1の透明電極層15の形成条件を変更すること以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光ダイオード素子を作製する。すなわち、実施例3においては、p型窒化物半導体層14の表面上に、EB蒸着により室温から300℃まで任意の温度(サファイア基板11の温度)の雰囲気でITOからなる第1の透明電極層15を20nmの厚さで形成することによって、実施例3の窒化物半導体発光ダイオード素子とする。
【0072】
この実施例3の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、サファイア基板11の温度が200℃以上の雰囲気で第1の透明電極層15を形成する場合に、ITOからなる第1の透明電極層15の透過率が高くなり、高い発光効率を実現できる。
【0073】
(実施例4)
実施例4においては、第2の透明電極層16の形成条件を変更すること以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光ダイオード素子を作製する。すなわち、実施例4においては、第1の透明電極層15の表面上に、EB蒸着により室温から550℃まで任意の温度(サファイア基板11の温度)の雰囲気で酸化錫からなる第2の透明電極層16を250nmの厚さで形成する。
【0074】
この実施例4の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、サファイア基板11の温度が300℃以上の雰囲気で第2の透明電極層16を形成する場合に、酸化錫からなる第2の透明電極層16の抵抗率が低くなり、高い電力効率を実現できる。
【0075】
(比較例1)
比較例1においては、p型窒化物半導体層14の表面上に、EB蒸着により、サファイア基板11の温度が300℃となる雰囲気でITOからなる第1の透明電極層15を250nmの厚さで形成し、その後、第2の透明電極層16を形成していないこと以外は実施例1と同様にして比較例1の窒化物半導体発光ダイオード素子を作製している。
【0076】
したがって、比較例1の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、p型窒化物半導体層14の表面上の透明導電膜としてITOからなる第1の透明電極層15のみからなる構成とされる。
【0077】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の一例の模式的な断面図である。
【図2】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の他の一例の模式的な断面図である。
【図3】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図12】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図13】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図14】従来の窒化物半導体発光ダイオード素子の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 基板、2,12 n型窒化物半導体層、3,13 窒化物半導体活性層、4,14 p型窒化物半導体層、5,15 第1の透明電極層、6,16 第2の透明電極層、7,17 n側パッド電極、8,18 p側パッド電極、11 サファイア基板、41 バッファ層、12a n型窒化物半導体下地層、12b n型窒化物半導体コンタクト層、13a 井戸層、13b 障壁層、14a p型窒化物半導体クラッド層、14b p型窒化物半導体コンタクト層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光ダイオード素子およびその製造方法に関し、特に、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許第3786898号公報(特許文献1)には、光ディスプレイ装置、信号機、データ記憶機器、通信装置、照明装置および医療機器を含む様々な用途に使用される窒化物半導体発光ダイオード素子が開示されている(たとえば特許文献1の図1および段落[0008]等参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子は、図14に示すように、サファイア絶縁基板110上に、GaNバッファ層111、n+型GaNコンタクト層112、n型AlGaNクラッド層113、多重量子井戸(MQW)を有するInGaN発光層114、p型AlGaNクラッド層115、p型GaNコンタクト層116およびn+型InGaN逆方向トンネリング層120が順次積層された構成を有している。
【0004】
そして、n+型InGaN逆方向トンネリング層120の表面に接するようにして形成されているp側オーミック電極117およびn+型GaNコンタクト層112の表面に接するようにして形成されているn側オーミック電極119のそれぞれに酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide;ITO)が用いられている。
【0005】
特許文献1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、ITOからなるp側オーミック電極117でn+型InGaN逆方向トンネリング層120とのオーミック接触を実現したことにより、従来からp側オーミック電極に用いられていた厚さ5〜10nm程度のNiやPdなどからなる半透明金属電極に比べて、高い透過率を確保することができるとともに、光取り出し効率が向上し、結果として発光効率の向上につながっている。
【特許文献1】特許第3786898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ITOからなるp側オーミック電極は、上記の特許文献1に記載のように、n型窒化物半導体層だけでなく、p型窒化物半導体層ともオーミック接触をとることができるとともに、可視光の透過率も高いため、窒化物半導体発光ダイオード素子の電極としては有用である。
【0007】
しかしながら、ITOからなるp側オーミック電極を用いた窒化物半導体発光ダイオード素子に高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合には、ITOからなるp側オーミック電極が黒色化する問題があった。
【0008】
高い電流密度で電流を注入して窒化物半導体発光ダイオード素子を駆動させることによって、発光面積あたりの光量を増やすことができ、その結果として窒化物半導体発光ダイオード素子を小型化することができる。また、窒化物半導体発光ダイオード素子の単価も下げることができる。
【0009】
したがって、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法が要望されている。
【0010】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、n型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層との間に設置された窒化物半導体活性層とを含み、窒化物半導体活性層に対してp型窒化物半導体層側に、酸化インジウム錫を含有する第1の透明電極層と、酸化錫を含有する第2の透明電極層とを有する窒化物半導体発光ダイオード素子である。
【0012】
ここで、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第1の透明電極層は、第2の透明電極層よりもp型窒化物半導体層側に設置されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第1の透明電極層の厚さは40nm以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第2の透明電極層は、アンチモンを含有することが好ましい。
【0015】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第2の透明電極層は、フッ素を含有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子において、第2の透明電極層の厚さは、第1の透明電極層の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、上記のいずれかの窒化物半導体発光ダイオード素子を製造する方法であって、第1の透明電極層を200℃以上の雰囲気で形成する工程を含む窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法である。
【0018】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法は、第2の透明電極層を300℃以上の雰囲気で形成する工程を含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法は、第1の透明電極層を形成した後に、第1の透明電極層を300℃以上の酸素雰囲気で熱処理する工程を含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法においては、上記の熱処理後に第1の透明電極層を300℃以上の窒素雰囲気でさらに熱処理する工程が含まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0023】
図1に、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す窒化物半導体発光ダイオード素子は、基板1と、基板1上に形成されたn型窒化物半導体層2と、n型窒化物半導体層2上に形成された窒化物半導体活性層3と、窒化物半導体活性層3上に形成されたp型窒化物半導体層4と、p型窒化物半導体層4上に形成された第1の透明電極層5と、第1の透明電極層5上に形成された第2の透明電極層6とを有している。
【0024】
また、窒化物半導体発光ダイオード素子のn型窒化物半導体層2の表面上にはn側パッド電極7が形成されており、第2の透明電極層6の表面上にはp側パッド電極8が形成されている。
【0025】
ここで、基板1としては、たとえば従来から公知のサファイア基板、炭化ケイ素基板または窒化ガリウム基板などを用いることができる。
【0026】
また、n型窒化物半導体層2としては、たとえば従来から公知のn型窒化物半導体を用いることができ、たとえば、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶にn型不純物をドーピングして形成された層の単層または複数層などを用いることができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、x1はAlの組成比を示し、y1はInの組成比を示し、z1はGaの組成比を示す。また、n型不純物としては、たとえばシリコンおよび/またはゲルマニウムなどを用いることができる。
【0027】
また、窒化物半導体活性層3としては、たとえば従来から公知の窒化物半導体を用いることができ、たとえば、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされるアンドープの窒化物半導体結晶またはこの式で表わされる窒化物半導体結晶にp型不純物およびn型不純物の少なくとも一方をドーピングして形成された層の単層または複数層などを用いることができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、x2はAlの組成比を示し、y2はInの組成比を示し、z2はGaの組成比を示す。また、窒化物半導体活性層3は、従来から公知の単一量子井戸(SQW)構造または多重量子井戸(MQW)構造を有する構成であってもよい。
【0028】
また、p型窒化物半導体層4としては、たとえば従来から公知のp型窒化物半導体を用いることができ、たとえば、Alx3Iny3Gaz3N(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、x3+y3+z3≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶にp型不純物をドーピングして形成された層の単層または複数層などを用いることができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、x3はAlの組成比を示し、y3はInの組成比を示し、z3はGaの組成比を示す。また、p型不純物としては、たとえばマグネシウムおよび/または亜鉛などを用いることができる。
【0029】
また、第1の透明電極層5としては、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide;ITO)を含有する透明電極層が用いられる。第1の透明電極層5としてITOを含有する透明電極層を用いることにより、第1の透明電極層5とp型窒化物半導体層4との接触抵抗を小さくすることができる。
【0030】
また、第1の透明電極層5の厚さh1は40nm以下であることが窒化物半導体発光ダイオード素子の信頼性および発光効率を向上させる点で好ましい。なお、第1の透明電極層5の厚さh1の下限は特には限定されないが、たとえば5nmとすることができる(すなわち、第1の透明電極層5の厚さh1を5nm以上とすることができる。)。また、第1の透明電極層5とp型窒化物半導体層4との間にはp型窒化物半導体層4とトンネル接合を形成することができるn型窒化物半導体層が形成されていてもよい。
【0031】
また、第2の透明電極層6としては、酸化錫を含有する透明電極層が用いられる。これは、本発明者が、酸化錫がITOよりも熱的安定性および窒化物半導体活性層3から発光した光の透過性に優れることを見いだしたことによるものである。さらに、これは、本発明者が、ITOを含有する第1の透明電極層5でp型窒化物半導体層4とのオーミック接触を担保しつつ、酸化錫を含有する第2の透明電極層6で熱的安定性および光透過性を向上させることによって、窒化物半導体発光ダイオード素子に高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも従来の特許文献1に記載のITOのみからなるp側オーミック電極ほど熱による黒色化などの問題が生じずに高い信頼性が得られるとともに、発光効率も向上させることができることを見いだしたことによるものである。
【0032】
ここで、酸化錫を含有する第2透明電極層6は、アンチモンおよびフッ素の少なくとも一方をさらに含有していることが好ましい。酸化錫を含有する第2透明電極層6がアンチモン、フッ素またはこれらの双方を含有している場合には、第2透明電極層6の抵抗率をさらに小さくすることができ、窒化物半導体発光ダイオード素子の電力効率をさらに向上させることができる傾向にある。
【0033】
また、第2の透明電極層6の厚さh2は、第1の透明電極層5の厚さh1よりも厚くすることが好ましい。第2の透明電極層6の厚さh2を第1の透明電極層5の厚さh1よりも厚くすることによって、p型窒化物半導体層4の表面上に形成されたp側オーミック電極(第1の透明電極層5と第2の透明電極層6との積層体)中の酸化錫を含有する第2の透明電極層6の含有率を向上させることができるため、窒化物半導体発光ダイオード素子に高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合の信頼性をより高くすることができるとともに、発光効率もより高くすることができる傾向にある。
【0034】
また、上記の観点からは、第2の透明電極層6中におけるアンチモンの含有量は、第2の透明電極層6全体の1×10-2質量%以上であることが好ましく、1×10-1質量%以上であることがより好ましい。
【0035】
また、上記の観点からは、第2の透明電極層6中におけるフッ素の含有量は、第2の透明電極層6全体の1×10-2質量%以上であることが好ましく、1×10-1質量%以上であることがより好ましい。
【0036】
また、n側パッド電極7およびp側パッド電極8としては、たとえば、従来から窒化物半導体発光ダイオード素子のn側パッド電極およびp側パッド電極にそれぞれ用いられている金属などを用いることができる。
【0037】
以下に、図1に示す構成の本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子は製造方法の一例について説明する。
【0038】
まず、基板1の表面上に、たとえば従来から公知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、n型窒化物半導体層2、窒化物半導体活性層3およびp型窒化物半導体層4をこの順序で結晶成長させる。
【0039】
次に、p型窒化物半導体層4の表面上に、たとえば従来から公知のEB(Electron Beam)蒸着法などによって、ITOを含有する第1の透明電極層5を形成する。
【0040】
次に、第1の透明電極層5の表面上に、たとえば従来から公知のEB蒸着法などによって、酸化錫を含有する第2の透明電極層6を形成する。
【0041】
その後、第2の透明電極層6の表面上にp側パッド電極8を形成した後のウエハの一部を第2の透明電極層6側からn型窒化物半導体層2の表面が露出するまでエッチングする。
【0042】
そのエッチングにより露出したn型窒化物半導体層2の表面上にn側パッド電極7を形成した後のウエハを複数に分割することによって、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子とすることができる。
【0043】
ここで、上記において、ITOを含有する第1の透明電極層5は、200℃以上の雰囲気で形成されることが好ましい。ITOを含有する第1の透明電極層5を200℃以上の雰囲気で形成した場合には、窒化物半導体活性層3から発光した光に対する第1の透明電極層5の透過率がさらに向上して窒化物半導体発光ダイオード素子の発光効率がさらに向上する傾向にある。なお、本発明において、温度は、基板1の温度を意味するものとする。
【0044】
また、上記において、酸化錫を含有する第2の透明電極層6は、300℃以上の雰囲気で形成されることが好ましい。酸化錫を含有する第2の透明電極層6を300℃以上の雰囲気で形成した場合には、酸化錫を含有する第2の透明電極層6の抵抗率をさらに低くすることができるとともに、窒化物半導体発光ダイオード素子の電力効率をさらに向上させることができる傾向にある。
【0045】
また、上記において、第1の透明電極層5の形成後、若しくは第1の透明電極層5および第2の透明電極層6の形成後に、第1の透明電極層5を300℃以上の酸素雰囲気で熱処理することが好ましい。これにより、ITOを含有する第1の透明電極層5とp型窒化物半導体層4との接触抵抗をさらに低減することができる傾向にある。
【0046】
さらに、上記の酸素雰囲気での熱処理後に、第1の透明電極層5を300℃以上の窒素雰囲気でさらに熱処理することが好ましい。これにより、第1の透明電極層5の抵抗率をさらに低減することができるため、窒化物半導体発光ダイオード素子の電力効率をさらに向上させることができる傾向にある。
【0047】
図2に、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の他の一例の模式的な断面図を示す。図2に示す窒化物半導体発光ダイオード素子においては、基板1に導電性基板を用いており、基板1の裏面にn側パッド電極7を形成している点に特徴がある。
【0048】
図2に示す上下電極構造の構成とすることにより、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子を小型化することができる。また、このような構成とすることにより、1枚のウエハから得られる窒化物半導体発光ダイオード素子の数を増加させることができるとともに、上記で説明したようなn型窒化物半導体層3の表面の一部を露出させるエッチング工程が必要なくなるため、窒化物半導体発光ダイオード素子の製造効率を向上させることができる。その他の説明は上記と同様である。
【0049】
以上のように、本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、ITOを含有する第1の透明電極層5と酸化錫を含有する第2透明電極層6との積層体をp型窒化物半導体層4に接するp側オーミック電極とすることによって、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有するとともに高い発光効率を有する窒化物半導体発光ダイオード素子を得ることができる。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
まず、図3の模式的断面図に示すような構成のサファイア基板11を用意し、サファイア基板11をMOCVD装置の反応炉内にセットする。
【0051】
次に、その反応炉内に水素を流しながらサファイア基板11の温度を1050℃まで上昇させることによってサファイア基板11の表面(C面)のクリーニングを行なう。
【0052】
次に、サファイア基板11の温度を510℃まで低下させ、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアおよびTMG(トリメチルガリウム)を反応炉内に流すことによって、図4の模式的断面図に示すように、GaNからなるバッファ層41をMOCVD法によりサファイア基板11の表面(C面)上に約20nmの厚さで形成する。
【0053】
次に、サファイア基板11の温度を1050℃まで上昇させて、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアおよびTMG、不純物ガスとしてシランを反応炉内に流すことによって、図5の模式的断面図に示すように、Si(シリコン)がドーピングされたGaNからなるn型窒化物半導体下地層12a(キャリア濃度:1×1018/cm3)をMOCVD法によりバッファ層41上に6μmの厚さで形成する。
【0054】
次に、図6の模式的断面図に示すように、キャリア濃度が5×1018/cm3となるようにSiをドーピングすること以外はn型窒化物半導体下地層12aと同様にして、GaNからなるn型窒化物半導体コンタクト層12bをMOCVD法によりn型窒化物半導体下地層12a上に0.5μmの厚さで形成する。
【0055】
以上により、n型窒化物半導体下地層12aとn型窒化物半導体コンタクト層12bとの積層体からなるn型窒化物半導体層12を形成する。
【0056】
次に、サファイア基板11の温度を700℃に低下し、キャリアガスとして窒素、原料ガスとしてアンモニア、TMGおよびTMI(トリメチルインジウム)を反応炉内に流すことによって、図7の模式的断面図に示すように、n型窒化物半導体コンタクト層12b上に、2.5nmの厚さのIn0.15Ga0.85Nからなる井戸層13aと10nmの厚さのGaNからなる障壁層13bとをそれぞれ交互に6周期成長させ、多重量子井戸構造を有する窒化物半導体活性層13を形成する。ここで、窒化物半導体活性層13の形成時において、GaNからなる障壁層13bを形成する際にはTMIを反応炉内に流していないことは言うまでもない。
【0057】
次に、サファイア基板11の温度を950℃に上昇させ、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニア、TMGおよびTMA(トリメチルアルミニウム)、不純物ガスとしてCP2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を反応炉内に流すことによって、図8の模式的断面図に示すように、Mgが1×1020/cm3の濃度でドーピングされたAl0.20Ga0.80Nからなるp型窒化物半導体クラッド層14aを、MOCVD法により、窒化物半導体活性層13上に約20nmの厚さで形成する。
【0058】
次に、サファイア基板11の温度を950℃に保持し、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニアおよびTMG、不純物ガスとしてCP2Mgを反応炉内に流すことによって、図9の模式的断面図に示すように、Mgが1×1020/cm3の濃度でドーピングされたGaNからなるp型窒化物半導体コンタクト層14bをMOCVD法によりp型窒化物半導体クラッド層14a上に80nmの厚さで形成する。
【0059】
以上により、p型窒化物半導体クラッド層14aとp型窒化物半導体コンタクト層14bとの積層体からなるp型窒化物半導体層14を形成する。
【0060】
次に、p型窒化物半導体層14の形成後のウエハを反応炉内から取り出し、図10の模式的断面図に示すように、そのウエハの最上層を構成しているp型窒化物半導体層14上にEB蒸着により300℃の酸素雰囲気でITOからなる第1の透明電極層15を20nmの厚さに形成する。
【0061】
次に、図11の模式的断面図に示すように、第1の透明電極層15の表面上にEB蒸着により550℃で酸化錫からなる第2の透明電極層16を250nmの厚さに形成する。
【0062】
次に、第2の透明電極層16の形成後のウエハを600℃の酸素雰囲気で10分間熱処理を行ない、その後、600℃の窒素雰囲気下で1分間熱処理を行なうことによって、第1の透明電極層15を加熱する。
【0063】
次に、第2の透明電極層16の表面上に所定の形状に開口部を有するようにパターニングされたマスクを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)装置で、第2の透明電極層16側からウエハのエッチングを行ない、図12の模式的断面図に示すように、n型窒化物半導体コンタクト層12bの表面の一部を露出させる。
【0064】
次に、図13の模式的断面図に示すように、第2の透明電極層16の表面上およびn型窒化物半導体コンタクト層12bの表面上の所定の位置にそれぞれ、TiとAlとを含むn側パッド電極17およびp側パッド電極18をそれぞれ形成する。その後、n側パッド電極17およびp側パッド電極18の形成後のウエハを分割することにより、実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子を得る。
【0065】
この実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子は、たとえば50A/cm2以上の高い電流密度の電流を注入して連続駆動させる場合においても、第1の透明電極層15と第2の透明電極層16との積層体からなるp側オーミック電極が熱により劣化することがなく、高い信頼性を有する。
【0066】
さらに、後述する比較例1の窒化物半導体発光ダイオード素子よりも、第1の透明電極層15と第2の透明電極層16との積層体からなるp側オーミック電極は、窒化物半導体活性層13から発光する光の透過率が高くなっているため、光取り出し効率を向上させることができ、ひいては発光効率を向上させることができる。
【0067】
(実施例2)
実施例2においては、第2の透明電極層16の形成条件を変更すること以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光ダイオード素子を作製する。すなわち、実施例2においては、第1の透明電極層15を形成し、その後、反応蒸着により350℃で錫とアンチモンとの合金を蒸着源とし、250nmの厚さで、アンチモンと酸化錫とからなる第2の透明電極層16を形成することによって、実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子としている。
【0068】
この実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子は、実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子と同様に、高い電流密度で電流を注入して連続駆動させる場合でも、第1の透明電極層15と第2の透明電極層16との積層体からなるp側オーミック電極が熱により劣化することがなく、高い信頼性を有する。
【0069】
さらに、実施例1の窒化物半導体発光ダイオード素子よりも第2の透明電極層16の抵抗率を低下させることができるため、動作電圧を小さくすることができるとともに、電力効率を向上させることができる。
【0070】
なお、実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子の第2の透明電極層16を酸化錫とフッ素とからなる第2の透明電極層16および酸化錫とアンチモンとフッ素とからなる第2の透明電極層16にそれぞれ変更する場合でも、実施例2の窒化物半導体発光ダイオード素子と同様の効果が得られる。
【0071】
(実施例3)
実施例3においては、第1の透明電極層15の形成条件を変更すること以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光ダイオード素子を作製する。すなわち、実施例3においては、p型窒化物半導体層14の表面上に、EB蒸着により室温から300℃まで任意の温度(サファイア基板11の温度)の雰囲気でITOからなる第1の透明電極層15を20nmの厚さで形成することによって、実施例3の窒化物半導体発光ダイオード素子とする。
【0072】
この実施例3の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、サファイア基板11の温度が200℃以上の雰囲気で第1の透明電極層15を形成する場合に、ITOからなる第1の透明電極層15の透過率が高くなり、高い発光効率を実現できる。
【0073】
(実施例4)
実施例4においては、第2の透明電極層16の形成条件を変更すること以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光ダイオード素子を作製する。すなわち、実施例4においては、第1の透明電極層15の表面上に、EB蒸着により室温から550℃まで任意の温度(サファイア基板11の温度)の雰囲気で酸化錫からなる第2の透明電極層16を250nmの厚さで形成する。
【0074】
この実施例4の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、サファイア基板11の温度が300℃以上の雰囲気で第2の透明電極層16を形成する場合に、酸化錫からなる第2の透明電極層16の抵抗率が低くなり、高い電力効率を実現できる。
【0075】
(比較例1)
比較例1においては、p型窒化物半導体層14の表面上に、EB蒸着により、サファイア基板11の温度が300℃となる雰囲気でITOからなる第1の透明電極層15を250nmの厚さで形成し、その後、第2の透明電極層16を形成していないこと以外は実施例1と同様にして比較例1の窒化物半導体発光ダイオード素子を作製している。
【0076】
したがって、比較例1の窒化物半導体発光ダイオード素子においては、p型窒化物半導体層14の表面上の透明導電膜としてITOからなる第1の透明電極層15のみからなる構成とされる。
【0077】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、高い電流密度の電流を注入して連続駆動させた場合でも高い信頼性を有する窒化物半導体発光ダイオード素子およびその窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の一例の模式的な断面図である。
【図2】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の他の一例の模式的な断面図である。
【図3】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図12】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図13】本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図14】従来の窒化物半導体発光ダイオード素子の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 基板、2,12 n型窒化物半導体層、3,13 窒化物半導体活性層、4,14 p型窒化物半導体層、5,15 第1の透明電極層、6,16 第2の透明電極層、7,17 n側パッド電極、8,18 p側パッド電極、11 サファイア基板、41 バッファ層、12a n型窒化物半導体下地層、12b n型窒化物半導体コンタクト層、13a 井戸層、13b 障壁層、14a p型窒化物半導体クラッド層、14b p型窒化物半導体コンタクト層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型窒化物半導体層と、
p型窒化物半導体層と、
前記n型窒化物半導体層と前記p型窒化物半導体層との間に設置された窒化物半導体活性層とを含み、
前記窒化物半導体活性層に対して前記p型窒化物半導体層側に、
酸化インジウム錫を含有する第1の透明電極層と、
酸化錫を含有する第2の透明電極層とを有する、窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項2】
前記第1の透明電極層は、前記第2の透明電極層よりも前記p型窒化物半導体層側に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項3】
前記第1の透明電極層の厚さは40nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項4】
前記第2の透明電極層は、アンチモンを含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項5】
前記第2の透明電極層は、フッ素を含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項6】
前記第2の透明電極層の厚さは、前記第1の透明電極層の厚さよりも厚いことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子を製造する方法であって、
前記第1の透明電極層を200℃以上の雰囲気で形成する工程を含む、窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の透明電極層を300℃以上の雰囲気で形成する工程を含む、請求項7に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項9】
前記第1の透明電極層を形成した後に、前記第1の透明電極層を300℃以上の酸素雰囲気で熱処理する工程を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項10】
前記熱処理後に、前記第1の透明電極層を300℃以上の窒素雰囲気でさらに熱処理する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項1】
n型窒化物半導体層と、
p型窒化物半導体層と、
前記n型窒化物半導体層と前記p型窒化物半導体層との間に設置された窒化物半導体活性層とを含み、
前記窒化物半導体活性層に対して前記p型窒化物半導体層側に、
酸化インジウム錫を含有する第1の透明電極層と、
酸化錫を含有する第2の透明電極層とを有する、窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項2】
前記第1の透明電極層は、前記第2の透明電極層よりも前記p型窒化物半導体層側に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項3】
前記第1の透明電極層の厚さは40nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項4】
前記第2の透明電極層は、アンチモンを含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項5】
前記第2の透明電極層は、フッ素を含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項6】
前記第2の透明電極層の厚さは、前記第1の透明電極層の厚さよりも厚いことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子を製造する方法であって、
前記第1の透明電極層を200℃以上の雰囲気で形成する工程を含む、窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の透明電極層を300℃以上の雰囲気で形成する工程を含む、請求項7に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項9】
前記第1の透明電極層を形成した後に、前記第1の透明電極層を300℃以上の酸素雰囲気で熱処理する工程を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【請求項10】
前記熱処理後に、前記第1の透明電極層を300℃以上の窒素雰囲気でさらに熱処理する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−3804(P2010−3804A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160304(P2008−160304)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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