説明

立体映像表示装置及び立体映像表示方法

【課題】簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることが可能な立体映像表示装置及び立体映像表示方法を提供する。
【解決手段】要素画像表示部に対向して配置され、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、電圧印加に応じて入射光の偏光方向を切り替えることで、何れか一方のレンズアレイのレンズ効果を有効化する媒質を有し、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記偏光方向を制御することで、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替えるとともに、飛び出し/奥行き方向の異なる画像を要素画像表示部に交互に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置及び立体映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画表示が可能な立体視画像表示装置、所謂、3次元ディスプレイには、種々の方式が知られている。特にフラットパネルタイプで、且つ、専用の眼鏡等を必要としない方式への要望が近年高くなっている。このタイプの立体動画表示装置のうち、ホログラフィの原理を利用する方式ではフルカラー動画の実現が難しいが、直視型或いは投射型の液晶表示装置やプラズマ表示装置など画素位置が固定されている表示パネル(表示装置)の直前に表示パネルからの光線を制御して観察者に向ける光線制御素子を設置する方式を用いることで比較的容易に実現することが可能である。
【0003】
光線制御素子は、一般的にはパララクスバリア或いは視差バリアとも称せられ、光線制御素子上の同一位置でも角度により異なる画像が見えるように光線を制御している。具体的には、左右視差(水平視差)のみを与える場合には、スリット或いはレンチキュラーシート(シリンドリカルレンズアレイ)が用いられ、上下視差(垂直視差)も含める場合には、ピンホールアレイ或いはレンズアレイが用いられる。視差バリアを用いる方式にも、さらに2眼式、多眼式、超多眼式(多眼式の超多眼条件)、インテグラルフォトグラフィー(以下、IPとも云う)に分類される。これらの基本的な原理は、100年程度前に発明され立体写真に用いられてきたものと実質上同一である。
【0004】
IP方式では、視点位置の自由度が高く、容易に立体視できるという特徴がある。水平視差のみで垂直視差のない1次元IP方式では、非特許文献1に記載されているように、解像度の高い表示装置の実現も比較的容易である。これに対し、2眼方式や多眼方式では、立体視できる視点位置の範囲、すなわち視域が狭く、見にくいという問題があるが、立体画像表示装置としての構成としては最も単純であり、表示画像も簡単に作成できる。
【0005】
このようなレンチキュラーシートを用いた多視差を有するIP方式や多眼方式の直視型裸眼立体表示装置においては、各レンズに対応する要素画像を表示する表示部(要素画像表示部)の解像度が同一の条件の下、立体映像の解像度、飛び出し奥行きレンジ、視域角の3つがトレードオフの関係にある。これら3つの基本性能の積が、立体表示の総合性能といえる。立体表示の総合性能を倍増させる手段として、時分割多重技術が知られており、解像度多重型、飛び出し奥行き多重型、視域角多重型の3つに分類される様々な方法や構成が知られている。しかしながら、飛び出し奥行き多重型については、フラットパネル型に適用できる簡易な構成のものは知られておらず、立体表示の総合性能を向上させるための種々の技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、偏光選択性2焦点レンズによるDFDパネル1枚化の技術が開示されている。また、特許文献2には、機械的にレンズ画素間距離を変えることにより飛び出し奥行き範囲を変える方法が開示されている。また、屈折率異方性材によるレンズを用い、偏光方向によりレンズ効果の有無を切り替えるものが特許文献3、4及び5に開示されている。
【0007】
【非特許文献1】SID04 Digest 1438 (2004)
【特許文献1】特開2005−129983号公報
【特許文献2】特開2005−340957号公報
【特許文献3】WO2003/015424
【特許文献4】特開2004−258631号公報
【特許文献5】特開2006−276466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、多視差の立体表示に対し満足できる性能を得ることができず、立体表示の総合性能を向上させることはできない。また、特許文献2に記載の技術では、機械的にレンズ画素間距離を変えるため、構成が複雑化し、時分割多重に十分な切り替え速度を得ることができない。また、特許文献3、4及び5に記載の技術では、2つの凸レンズ面は独立に機能するものではなく、1つのレンズとしての機能にとどまるため、上記同様に立体表示の総合性能を向上させることはできない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることが可能な立体映像表示装置及び立体映像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、前記要素画像表示部に対向して配置され、電圧印加に応じて自己の偏光方向を切り替える偏光切替セルと、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、前記偏光切替セルによって切り替えられた偏光方向に応じて、何れか一方のレンズアレイのレンズ効果を有効化する屈折率異方性の媒質を有するレンズアレイ積層部と、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記変更切替セルへの電圧印加を制御し、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動手段と、前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御手段と、を備え、前記2つのレンズアレイの焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、
前記要素画像表示部に対向して配置され、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、電圧印加に応じて自己の屈折率を切り替える少なくとも2層の第1の媒質と、前記2層の媒質の間に設けられ等方性を有する第2の媒質と、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記第1の媒質への電圧印加を制御し、有効化する第1の媒質を前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動手段と、前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御手段と、を備え、前記2層の第1の媒質の焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、前記要素画像表示部に対向して配置され、電圧印加に応じて自己の偏光方向を切り替える偏光切替セルと、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、前記偏光切替セルによって切り替えられた偏光方向に応じて、何れか一方のレンズアレイのレンズ効果を有効化する屈折率異方性の媒質を有するレンズアレイ積層部と、を備え、前記2つのレンズアレイの焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にある立体映像表示装置において、同期駆動手段が、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記偏光切替セルへの電圧印加を制御し、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動工程と、表示制御手段が、前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、前記要素画像表示部に対向して配置され、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、電圧印加に応じて自己の屈折率を切り替える少なくとも2層の第1の媒質と、前記2層の媒質の間に設けられ等方性を有する第2の媒質と、を備え、前記2つのレンズアレイの焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にある立体映像表示装置において、同期駆動手段が、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記第1の媒質への電圧印加を制御し、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動工程と、表示制御手段が、前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、屈折率異方性の媒質を用いて焦点面の異なる2つのレンズアレイを実現し、当該レンズアレイの切り替えタイミングと同期した時分割多重により、飛び出し側/奥行き側の画像を要素画像表示部に交互に表示することで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる立体映像表示装置及び立体映像表示方法について詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して立体映像表示装置100の構成について説明する。図1は、立体映像表示装置100を模式的に示した図である。同図に示したように、立体映像表示装置100は、要素画像表示部10と、レンズアレイユニット20と、同期駆動部30と、表示制御部40とを備えている。
【0017】
要素画像表示部10は、後述するサブ画素が縦方向及び横方向にマトリクス状に配列された高精細液晶パネルモジュールである。カラーフィルター配列は、縦ストライプ、横ストライプなどであってもよい。なお、要素画像表示部10は、サブ画素開口部形状及びカラー配列が前述の条件を満たすものであれば、プラズマ表示パネル、有機EL表示パネル、電界放出型表示パネルなどであってもよく、その種別は問わないものとする。
【0018】
レンズアレイユニット20は、要素画像表示部10と対向する位置に設けられ、要素画像表示部10からの光線に指向性をつけて、観察者へと向ける光透過性の光線制御素子である。同図において、想定される観察者位置は、レンズアレイユニット20の中心から光線方向(Z軸方向)に向けて所定位置離間した位置O近傍の視域幅Wの範囲である。この視域幅Wの範囲内から観察を行うことで、水平方向(図中X軸方向)の画角θH、垂直方向(図中Y軸方向)の画角θVの範囲で、レンズアレイユニット20の前面及び背面近傍に立体映像を観察できる。なお、ここで視域幅Wは、位置Oからレンズアレイユニット20を見たときの、右方向の視域境界角度θRと、左方向の視域境界角度θLとで表される。なお、ここで視域境界角度とは、レンズアレイユニット20の中心に対する、位置Oと立体映像を認識することが可能な境界位置とのなす角度である。
【0019】
以下、要素画像表示部10及びレンズアレイユニット20(以下、総称して表示ユニットという)の構成について詳細に説明する。図2は、第1の実施形態にかかる表示ユニットの水平方向(図1のX軸方向)の断面を模式的に示した図である。同図に示したように、要素画像表示部10は、ガラス基板111、112と、このガラス基板111と112との間に設けられた液晶パネルの画素面113と、ガラス基板111、112の外面に設けられた偏光板114、115とを備えている。ここで、画素面113を構成する各画素は、後述するように水平方向及び/又は垂直方向に3つの色成分(Red、Green、Blue)を持つサブ画素から構成されている。
【0020】
レンズアレイユニット20は、偏光切替セル210と、レンズアレイ積層部220とを備えている。偏光切替セル210には液晶セルを用いる事ができ、同期駆動部30の制御の下、所定の電圧を印加することで、レンズアレイ積層部220への出射光の2つの偏光方向を交互に切り替える。
【0021】
ここで、レンズアレイ積層部220は、基板221、222と、当該基板221と基板222との間に充填された媒質223とから構成される。
【0022】
基板221、222は、レンズアレイ状の曲面形状を有し、媒質223の屈折率に応じた互いに異なる屈折率を有している。なお、基板221の曲面形状は、フライアイレンズ状であってもよいし、シリンドリカルレンズ状(レンチキュラーシート状)であってもよい。媒質223は、入射光の偏光方向によって2つの屈折率を切り替えることが可能な屈折率異方性の媒質であって、基板221と基板222との間に挟持されている。
【0023】
図3は、レンズアレイ積層部220の部分拡大図である。ここで、媒質223は、直交する2つの偏光方向に対する屈折率n1、n2(但し、n2>n1)を光学特性として有する。また、基板221、222は、媒質223が示す2つの屈折率n1、n2の夫々と略同一の屈折率を有し、図3の構成では、基板221の屈折率が屈折率n2に略等しく、基板222の屈折率が屈折率n1に略等しく構成されている。このように、両基板の屈折率は、媒質223が示す2つの屈折率の夫々と略同一としている。なお、基板221、222の形状及び屈折率は、レンズアレイ積層部220によるレンズ効果の焦点方向に応じて定められる。
【0024】
このような構成により、レンズアレイ積層部220では、偏光切替セル210からの入射光の方向に応じて媒質223の屈折率が切り替わることで、基板221側のレンズアレイ、又は、基板222側のレンズアレイの一方のレンズ効果が有効となる。ここで、屈折率n1、n2が、n2>n1の関係にあるため、図2に示したように、レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は、要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は画素面113近傍の互いに異なる位置にあるものとする。具体的には、一方のレンズアレイ(基板221側)の焦点面が画素面113のガラス基板111側近傍(表面近傍)、他方のレンズアレイ(基板222側)の焦点面が画素面113のガラス基板112側近傍(裏面近傍)となるよう構成されている。
【0025】
以下、レンズアレイ積層部220と要素画像表示部10との関係について説明する。まず、図4を参照して、レンズアレイ積層部220のレンズアレイについて説明する。図4は、レンズアレイ積層部220の一形態を模式的に示した斜視図である。ここでは、基板221及び基板222の曲面形状をシリンドリカルレンズ状とした例を示している。この構成の場合、基板221、222により表される2つのレンズアレイは、水平方向(図中X軸方向)に光学的作用を有することになる。また、図中“Ps”は、両レンズアレイ(シリンドリカルレンズ)の水平ピッチであって、要素画像表示部10の画素方向と一致するよう構成されているものとする。
【0026】
また、図5は、表示ユニットの一部分の構成を模式的に示した斜視図であって、図4に示したレンズアレイ積層部220を用いた例を示している。なお、同図ではガラス基板111、112、偏光板114、115及び偏光切替セル210については図示を省略している。
【0027】
図5に示したように、レンズアレイ積層部220は、要素画像表示部10に対向して配置されており、当該レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズアレイの焦点面が画素面113近傍(画素面113の表裏面)となるよう形成されている。画素面113には、縦横比が3:1(Pp:3Pp)のサブ画素1131が要素画像表示部10の縦方向及び横方向にマトリクス状に配置され、水平方向(図中X軸方向)及び垂直方向(図中Y軸方向)に赤(R)、緑(G)、青(B)が交互に並ぶように配列されている。なお、この色配列は、一般にモザイク配列と呼ばれるものであるが、この例に限らず、横ストライプ配列等の他の配列であってもよい。
【0028】
レンズアレイ積層部220が示すレンズアレイの水平ピッチPsに対応するサブ画素群により、立体映像を表示する際の画素単位となる実効画素1132(黒枠で示されている)が構成される。なお、図5では、9列3行のサブ画素1131で実効画素1132を構成した例を示しているが、この場合、実効画素が計27個のサブ画素で構成されることから、水平方向に9視差を与える立体映像を表示することが可能である。以下、図6、図7を参照して、表示ユニットにより表される立体映像の見え方について説明する。
【0029】
図6は、図1、図5に示した表示ユニットを基準にして垂直面内及び水平面内における光線再生範囲を模式的に示した展開図である。同図において、(a)は表示ユニット(要素画像表示部10、レンズアレイユニット20)の正面図、(b)は表示ユニットの画像配置状態を示す平面図、(c)は表示ユニットの側面図を示している。
【0030】
図6において、レンズアレイユニット20と、位置Oが存在する視距離面Pとの間の視距離Lと、レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズアレイのうち、基準とする一方のレンズアレイの水平ピッチPsと、このレンズアレイと要素画像表示部10(画素面113)とのギャップdとが定まると、画素面113の表示される要素画像の水平ピッチPeが、視距離面P上の視点からアパーチャ(またはレンズ主点)中心を表示ユニット上に投影した間隔(視距離L)により決定される。
【0031】
また、図中符号Bは、視距離面P上の視点位置と各アパーチャ中心とを結ぶ線を示しており、視域幅Wの値は、表示ユニット面上で要素画像同士が重なり合わないという条件から決定される。平行光線の組を持つ条件の1次元IP方式の場合は、要素画像の水平ピッチPeの平均値がサブ画素1131の水平ピッチPpの整数倍よりわずかに大きく、かつレンズアレイの水平ピッチPsがサブ画素1131の水平ピッチPpの整数倍に等しい。多眼方式の場合は、要素画像の水平ピッチPeがサブ画素1131の水平ピッチPpの整数倍に等しく、かつレンズアレイの水平ピッチPsがサブ画素1131の水平ピッチPpの整数倍よりわずかに小さい。
【0032】
なお、本実施形態では、媒質223での屈折率(偏光方向)の切り替えにより、レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズアレイを用いることになるが、視域がそれぞれほぼ一致するように、各レンズアレイの水平ピッチPsを調整することが好ましい。例えば、基板221、222のうち、飛び出し側(観察者側)の水平ピッチ幅を、奥行き側の水平ピッチ幅より僅かに短くすることで、両レンズアレイの視域をほぼ一致させることができる。また、図4,5、6では、レンズアレイ積層部220でのレンズ方向を垂直方向(図中Y軸方向)としたが、これに限らず、斜め方向としてもよい。
【0033】
ここで、図7を参照して、上述したレンズアレイ積層部220での立体映像の見え方を説明する。図7は、表示ユニットでの立体映像の飛び出し/奥行き方向にかかる表示範囲を模式的に示した図である。同図において、図中上図は、表示ユニット(要素画像表示部10、レンズアレイユニット20)により表される立体映像の飛び出し/奥行き表示位置による解像度の変化を示している。また、図中下図は、上述した視距離面Pと表示ユニットとの関係を示しており、表示ユニットの配置位置を基準に、上図の飛び出し方向(視距離面P方向)と奥行き方向(視距離面Pと対向する方向)とに対応する。
【0034】
単一のレンズアレイを用いた場合、立体表示される物体の飛び出し/奥行き表示位置による解像度の変化を表す特性曲線はT1のようになる。この場合、飛び出し/奥行き表示位置について、立体物であることを認識することが可能となる最低の解像度R1を充足する範囲を求めると、立体映像表示装置100の前後に存在する範囲TR1となる。
【0035】
一方、本実施形態の構成では、焦点面の異なる2つのレンズアレイを用いることになるため、一方のレンズアレイの焦点面が要素画像表示部10の画素面113近傍の視距離面P側、即ち画素面113の表側にあるとすると、立体表示される物体の飛び出し/奥行き表示位置による解像度の変化を表す特性曲線はT21のように表される。また、他方のレンズアレイに切り替わることで、画素面113の裏面側に焦点面がシフトすると、立体表示される物体の飛び出し/奥行き表示位置による解像度の変化を表す特性曲線はT22のように表される。つまり、本実施形態の構成の場合、飛び出し/奥行き表示位置について解像度R1を充足する範囲は、夫々範囲TR21と範囲TR22となる。なお、解像度R1以外の解像度(例えば、解像度R2)についても同様である。
【0036】
図1に戻り、同期駆動部30は、立体表示用の画像(以下、立体表示用画像という)の表示タイミングと同期して、偏光切替セル210を制御する。
【0037】
具体的に、同期駆動部30は、立体表示用画像の1フレームを2分割した各フィールドと同期して、偏光切替セル210へ印加する電圧の値を交互に切り替えることで、媒質223への入射光の偏光方向を交互に切り替え、レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズ状態(レンズアレイ)を、1/2フレーム期間(1フィールド期間)毎に切り替える。なお、本実施形態では、1フィールド毎に有効化するレンズアレイを切り替える態様としたが、これに限らず、例えば1フレーム期間毎としてもよい。
【0038】
表示制御部40は、同期駆動部30での電圧切り替えタイミング、即ち、1/2フレーム期間(1フィールド期間)と同期して、飛び出し/奥行き範囲の異なる立体表示用画像を時分割多重により要素画像表示部10に交互に表示させる。なお、各フィールドにおいて表示する立体表示用画像の飛び出し/奥行き範囲は、飛び出し側のレンズアレイが有効なフィールド(TR21)においては飛び出し側の範囲を、奥行き側のレンズアレイが有効なフィールド(TR22)においては奥行き側の範囲とする。
【0039】
図8は、偏光切替セル210に印加される電圧波形と、要素画像表示部10に表示される立体表示用画像の表示タイミングとの関係を示した図である。同図において、横軸は時間を意味し、縦軸は電圧値を意味している。また、同図では、偏光切替セル210に印加される電圧波形を実線で表しており、表示制御部40による画像の表示タイミングを破線で表している。
【0040】
同期駆動部30は、要素画像表示部に表示される立体表示用画像の1フレームを2分割した2つのフィールドと同期して、図8に示した電圧波形を偏光切替セル210に印加することで、当該レンズアレイ積層部220が示す2つのレンズアレイのレンズ効果をフィールド毎に交互に切り替える。また、表示制御部40では、飛び出し/奥行き範囲の異なる立体表示用画像をフィールド毎に交互に表示させる。
【0041】
このように、有効化するレンズアレイの切り替えを要素画像表示部10への表示タイミングに同期して行うため、解像度R1を充足する範囲は実質、図7で示した範囲TR21と範囲TR22との両者でカバーされる範囲、即ち、範囲TR2相当とすることができる。即ち、単一のレンズアレイを用いた場合と比較し、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができる。
【0042】
以上のように、第1の実施形態では、屈折率異方性の媒質を用いて焦点面の異なる2つのレンズアレイを実現し、当該レンズアレイの切り替えタイミングと同期した時分割多重により、飛び出し側/奥行き側の画像を要素画像表示部に交互に表示することで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、図2、図3に示したように、基板221及び基板222のレンズ曲面が要素画像表示部10に対して凸となるよう配置した例を示したが、これに限らないものとする。
【0044】
例えば、図9に示したように、上述した基板221、222に相当する基板231、232を、そのレンズ曲面が要素画像表示部10に対して凹となるよう配置する構成としてもよい。ここで、媒質233は、上述した媒質223に相当する屈折率異方性の媒質であって、レンズアレイ状の曲面形状を有した基板231と基板232との間に挟持されている。レンズアレイ積層部230は、これら基板231、232と、媒質233とを備え、上述した偏光切替セル210とともに、レンズアレイユニット20に相当するレンズアレイユニット21を構成している。このような構成により、レンズアレイ積層部230では、レンズアレイ積層部220と同様、偏光切替セル210への電圧印加に応じ、基板231側のレンズアレイ、又は、基板232側のレンズアレイの一方のレンズ効果が有効となる。
【0045】
ここで、媒質233の2状態の屈折率がn1/n2(n2>n1)であり、上記同様媒質233に応じて、基板231の屈折率がn1、基板232の屈折率がn2であるとすると、図9に示したように、レンズアレイ積層部230が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部230が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は上記同様、画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0046】
このように、表示ユニットを構成し、上記第1の実施形態と同様、同期駆動部30及び表示制御部40により、有効化するレンズアレイの切り替えと、立体表示用画像の表示を行うことで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0047】
また、図10は、第1の実施形態にかかる他の変形例を示した図である。図10に示したように、レンズアレイユニット20に相当するレンズアレイユニット22は、偏光切替セル210と、レンズアレイ積層部240とを備え、レンズアレイ積層部240は、上述した基板221、222に相当する基板241、242と、媒質223に相当する屈折率異方性の媒質243とから構成されている。レンズアレイ積層部240では、レンズアレイ積層部220と同様、偏光切替セル210への電圧印加に応じ、基板241側のレンズアレイ、又は、基板242側のレンズアレイのレンズ効果が有効となる。
【0048】
本変形例では、図2、図9に示した構成との相違点として、基板241、242の位相を、レンズの面内方向に所定量(例えば、レンズの半径分)ずらした状態で配置している。なお、図11は、レンズアレイ積層部240の部分拡大図である。
【0049】
ここで、媒質243の2状態の屈折率がn1/n2(n2>n1)であり、上記同様媒質243に応じて、基板241の屈折率がn1、基板242の屈折率がn2であるとすると、図10に示したように、レンズアレイ積層部240が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部240が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は上記同様、画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0050】
図10、11の構成とした場合、上記した第1の実施形態と同様、同期駆動部30及び表示制御部40により、有効化するレンズアレイの切り替えと、立体表示用画像の表示を行うと、表示範囲が範囲TR2と広がるばかりでなく、その解像度は図7のT3で表した解像度曲線を描くことになる。このように、本構成を採用することで、飛び出し/奥行き方向のオーバーラップ部分の解像度を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、1つの屈折率異方性媒質を用いることで焦点面の異なる2つのレンズアレイを実現する構成を説明した。第2の実施形態では、2つの屈折率異方性媒質を用いて2つのレンズアレイを実現する構成例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付与し、その説明を適宜省略する。
【0052】
図12は、第2の実施形態にかかる表示ユニットの水平方向の断面を模式的に示した図である。同図に示したように、レンズアレイユニット50は、偏光切替セル210と、レンズアレイ積層部510とを備える。ここで、レンズアレイ積層部510は、基板511、512と、この基板間に充填され、レンズ曲面をなす2つの界面で接する3層の媒質513、514、515とから構成される。なお、レンズ曲面の曲面形状は、フライアイレンズ状であってもよいし、シリンドリカルレンズ状(レンチキュラーシート状)であってもよい。
【0053】
図13は、レンズアレイ積層部510の部分拡大図である。同図に示したように、媒質513、515は、凹状のレンズ曲面が対向するよう配置され、媒質513と515との間に媒質514が狭持されている。ここで、媒質513、515は、入射光の偏光方向に応じて屈折率が変化する屈折率異方性媒質である。また、媒質514は媒質513、515の界面(レンズ曲面)をなすレンズアレイ状の曲面形状を有した、屈折率が固定の等方性媒質である。
【0054】
媒質513及び515は、直交する2つの偏光方向に対する屈折率n1、n2を光学特性として有し、同じ偏光方向に対して互いに異なる屈折率を示す。すなわち、媒質513及び媒質515は、屈折率異方性の軸が互いに直交する関係にある。また、媒質514は、2つの媒質513、515間で共通する屈折率の一つと略同一の屈折率を有し、図13の構成では屈折率n2であるものとする。このように、媒質514の屈折率は、2つの媒質513、515間で共通する屈折率の一つと略同一としている。なお、媒質514の形状及び屈折率は、レンズアレイ積層部510によるレンズ効果の焦点方向に応じて定められる。
【0055】
これにより、図12に示したように、レンズアレイ積層部510が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は、要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部510が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は上記同様、画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0056】
このような構成により、レンズアレイ積層部510では、偏光切替セル210への電圧印加に応じて媒質513、515への入射光の偏光方向が切り替わることで、媒質513側のレンズアレイ、又は、媒質515側のレンズアレイの一方のレンズ効果が有効となる。なお、基板511、512は平坦形状であるため、屈折率を考慮する必要は無いものとする。
【0057】
本実施形態において、同期駆動部30は、上述した第1の実施形態と同様、偏光切替セル210に印加する電圧を、要素画像表示部に表示される立体表示用画像の1フレームを2分割した各フィールドに同期して交互に切り替えることで、レンズアレイ積層部510のレンズ状態、即ち、有効化するレンズアレイを交互に切り替える。また、表示制御部40では、上述した第1の実施形態と同様、各フィールドにおいて、飛び出し/奥行き範囲の異なる立体表示用画像を時分割多重により要素画像表示部10に表示する。なお、各フィールドにおいて表示する立体表示用画像の飛び出し奥行き範囲は、飛び出し側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては飛び出し側の範囲、奥行き側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては奥行き側の範囲とする。
【0058】
以上のように、第2の実施形態では、屈折率異方性の媒質を用いて焦点面の異なる2つのレンズアレイを実現し、当該レンズアレイの切り替えタイミングと同期した時分割多重により、飛び出し側/奥行き側の画像を要素画像表示部に交互に表示することで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、図12、図13に示したように、媒質513及び媒質515の凹面が対向するよう配置した例を示したが、これに限らないものとする。
【0060】
例えば、図14、15に示したように、片凸レンズ形状の媒質521、523を、その凸面が対向するよう配置する構成としてもよい。なお、図14は、第2の実施形態の変形例にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図であり、図15は図14に示したレンズアレイ積層部520の部分拡大図である。
【0061】
ここで、媒質521、523は、上述した媒質513、515に相当する屈折率異方性の媒質であって、この媒質521と媒質523との間に、レンズアレイ状の曲面形状を有した等方性の媒質522が挟持されている。レンズアレイ積層部520は、基板512、512と、これら媒質521、522、523とを備え、上述した偏光切替セル210とともに、レンズアレイユニット50に相当するレンズアレイユニット51を構成している。
【0062】
ここで、図15に示したように、媒質521及び523は、互いに直交する偏光方向に対する屈折率がn1及びn2(但し、n2>n1)であり、同じ偏光方向に対して互いに異なる屈折率を示す。すなわち、媒質521及び媒質523は、屈折率異方性の軸が互いに直交する関係にある。また、媒質522の屈折率が、上記同様媒質521、523に応じてn1であるとすると、図14に示したように、レンズアレイ積層部520が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は、要素画像表示部10の方向となる。なお、基板511、512は平坦形状であるため、屈折率を考慮する必要は無いものとする。
【0063】
このような構成により、レンズアレイ積層部520は、レンズアレイ積層部510と同様、偏光切替セル210への電圧印加に応じ、媒質521側のレンズアレイ、又は、媒質523側のレンズアレイの一方のみがレンズ効果を示すことになる。なお、レンズアレイ積層部230が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は上記同様、画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0064】
このように、表示ユニットを構成し、上記第2の実施形態と同様、同期駆動部30及び表示制御部40により、有効化するレンズアレイの切り替えと、立体表示用画像の表示を行うことで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させた状態で立体映像を表すことができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0065】
なお、図14、15の構成では、屈折率異方性媒質(媒質521、522)が有する屈折率の組をn1、n2と同値したが、これに限らず、各屈折率異方性媒質が有する屈折率の組を異なる値としてもよい。以下、第2の実施形態にかかる他の変形例として、各屈折率異方性媒質が有する屈折率の組を異なる値とした場合のレンズアレイ積層部の構成例について説明する。
【0066】
図16は、各屈折率異方性媒質が有する屈折率の組を異なる値とした場合のレンズアレイ積層部530の部分拡大図である。ここで、レンズアレイ積層部530は、上述したレンズアレイ積層部520に相当し、基板511、512と、その間に充填されレンズ曲面をなす2つの界面で接する3層の媒質531、532、533とを備えている。ここで、媒質531、533は、入射光の偏光方向に応じて屈折率が変化する屈折率異方性媒質であり、媒質532は屈折率の変化しない等方性媒質である。
【0067】
媒質531、533は、図14、図15の構成と同様、レンズアレイ状の曲面形状を有した媒質532が狭持し、当該媒質532と界面をなす凸状のレンズ曲面が対向するよう配置されている。ここで、図14、15の構成との相違点として、媒質531は、直交する2つの偏光方向に対する屈折率n1、n2(n2>n1)を光学特性として有し、媒質533は、直交する2つの偏光方向に対する屈折率n3、n1(n3>n1)を光学特性として有している。これら媒質531、533は、同じ偏光方向に対して互いに異なる屈折率を示す。また、媒質532の屈折率は、上記同様2つの媒質531、533間で共通する屈折率の一つと略同一の屈折率を有し、図15の構成では屈折率n1であるものとすると、図14と同様に、レンズアレイ積層部530が示す2つのレンズアレイの焦点方向は、要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部530が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は上記同様、画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0068】
このように、表示ユニットを構成し、上記第2の実施形態と同様、同期駆動部30及び表示制御部40により、有効化するレンズアレイの切り替えと、立体表示用画像の表示を行うことで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させた状態で立体映像を表すことができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0069】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。上記第2の実施形態では、3層の媒質からなるレンズアレイ積層部を用いて2つのレンズアレイを実現する構成を説明した。第3の実施形態では、2層の媒質とともに、所定の屈折率を有した2枚の基板を用いることで、2つのレンズアレイを実現する構成例について説明する。なお、上述した実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付与し、その説明を適宜省略する。
【0070】
図17は、第3の実施形態にかかる表示ユニットの水平方向の断面を模式的に示した図である。同図に示したように、レンズアレイユニット60は、偏光切替セル210と、レンズアレイ積層部610とを備える。ここで、レンズアレイ積層部610は、平面状の基板611と、レンズアレイ状の曲面形状を有した2枚の基板612、613と、これら基板間に夫々充填された2層の媒質614、615とから構成される。なお、基板612、613の曲面形状は、フライアイレンズ状であってもよいし、シリンドリカルレンズ状(レンチキュラーシート状)であってもよい。
【0071】
図18は、レンズアレイ積層部610の部分拡大図である。ここで、媒質614は、屈折率異方性媒質であって、直交する2つの偏光方向に対して屈折率n1、n2を光学特性として有する。また、媒質614は、当該媒質614の屈折率n1と略同一で、且つ、当該媒質614の界面をなすレンズアレイ形状の基板612とともに、全体として平坦なレンズ層を形成している。ここで、基板612、613は、屈折率が固定の等方性基板である。
【0072】
媒質615は、屈折率異方性媒質であって、直交する2つの偏光方向に対して屈折率n2、n1を光学特性として有する。また、媒質615は、当該媒質615の屈折率n1と略同一で、且つ、当該媒質615の界面をなすレンズアレイ形状の基板613とともに、全体として平坦なレンズ層を形成している。
【0073】
なお、上記レンズ層の各々において、媒質614と媒質615とは同一偏光方向の屈折率が互いに異なる。また、基板612、613の屈折率は、自己のレンズ層に対応する媒質614、媒質615について、互いに異なる偏光方向の屈折率と略同一となっている。ここで、基板612、基板613の形状及び屈折率は、自己のレンズ層によるレンズ効果の焦点方向に応じて定められる。なお、基板611は平坦形状であるため、屈折率を考慮する必要は無いものとする。
【0074】
このような構成により、レンズアレイ積層部610では、偏光切替セル210への電圧印加に応じ、媒質614側のレンズアレイ、又は、媒質615側のレンズアレイの一方のみがレンズ効果を示し、各レンズアレイの焦点方向F1、F2は、図17に示したように要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部610が示す2つレンズアレイは夫々異なる位置に主平面を持つが、上記実施形態と同様、各レンズアレイの焦点距離がほぼ同じになるよう構成されているものとし、その焦点面は要素画像表示部10の画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0075】
図18の構成において、同期駆動部30は、上述した第1の実施形態と同様、偏光切替セル210に印加する電圧値を、要素画像表示部に表示される立体表示用画像の1フレームを2分割した各フィールドに同期して交互に切り替えることで、レンズアレイ積層部610のレンズ状態、即ち、有効化するレンズアレイを交互に切り替える。また、表示制御部40では、上記実施形態と同様、各フィールドにおいて、飛び出し/奥行き範囲の異なる立体表示用画像を時分割多重により要素画像表示部10に交互に表示する。なお、各フィールドにおいて表示する立体表示用画像の飛び出し奥行き範囲は、飛び出し側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては飛び出し側の範囲、奥行き側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては奥行き側の範囲とする。
【0076】
以上のように、第3の実施形態によれば、上記実施形態と同様、有効化するレンズアレイの切り替えを要素画像表示部10への表示タイミングに同期して行うため、解像度R1を充足する範囲は実質、図7で示した範囲TR21と範囲TR22との両者でカバーされる範囲、即ち、範囲TR2相当とすることができる。即ち、単一のレンズアレイを用いた場合と比較し、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、図18に示したように、屈折率異方性媒質(媒質614、615)が有する屈折率の組をn1、n2と同値したが、これに限らず、各屈折率異方性媒質が有する屈折率の組を異なる値としてもよい。以下、第3の実施形態にかかる他の変形例として、各屈折率異方性媒質が有する屈折率の組を異なる値とした場合のレンズアレイ積層部の構成例について説明する。
【0078】
図19は、各屈折率異方性媒質が有する屈折率の組を異なる値とした場合のレンズアレイ積層部620の部分拡大図である。ここで、レンズアレイ積層部620は、上述したレンズアレイ積層部610に相当し、基板611、612、621と、これら基板間に夫々充填された2層の媒質614、622とを備えている。ここで、媒質614、622は、印加される電圧に応じて屈折率が変化する屈折率異方性媒質であり、基板612、621は、上記同様屈折率の変化しない等方性基板である。
【0079】
同図において、媒質614及び基板612、媒質622及び基板621の組みは、夫々全体として平坦なレンズ層を形成している。ここで、図17、18の構成との相違点として、媒質622は、直交する2つの偏光方向に対する屈折率n3、n4(但し、n3>n4)を有し、基板621は屈折率n4を有している。そのため、媒質614、622は、同じ偏光方向に対して媒質614がn1、媒質622がn3、或いは、媒質614がn2、媒質622がn4の屈折率を夫々示す。
【0080】
このような構成により、レンズアレイ積層部620では、偏光切替セル210からの入射光の偏光方向に応じて媒質614、622の屈折率が切り替わることで、媒質613側のレンズアレイ、又は、媒質622側のレンズアレイの一方のレンズ効果が有効となり、各レンズアレイの焦点方向は、図17に示した焦点方向と同様に、要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイ積層部620が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0081】
上記のように表示ユニットを構成し、上記第3の実施形態と同様、同期駆動部30及び表示制御部40により、有効化するレンズアレイの切り替えと、立体表示用画像の表示を行うことで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0082】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、媒質として屈折率異方性と屈折率分布を併せ持つ屈折率異方性GRINレンズを用いた構成例について説明する。なお、上述した実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付与し、その説明を適宜省略する。
【0083】
図20は、第4の実施形態にかかる表示ユニットの水平方向の断面を模式的に示した図である。同図に示したように、表示ユニットは、要素画像表示部10とレンズアレイユニット70とを備えている。レンズアレイユニット70は、基板711、712と、その間に充填され平坦形状をとる屈折率異方性のGRIN(屈折率分布)レンズ層713、714と、これらGRINレンズ層713、714を分離する中間分離層715とから構成されるレンズアレイ積層部710と、偏光切替セル210とを備えている。なお、GRINレンズ層713、714の屈折率分布は、レンズアレイ状の屈折率分布を有するものとするが、この分布形状は、フライアイレンズ状であってもよく、シリンドリカルレンズ状(レンチキュラーシート状)であってもよい。
【0084】
GRINレンズ層713及び714は、例えば、図21に示すような配向状態の液晶材料Cからなり、この液晶材料Cの配向方向に応じた屈折率分布を持つ構造となっている。GRINレンズ層713及び714は、屈折率分布を有する方向が互いに同じであり、屈折率分布を示す偏光方向が互いに直交している。すなわち、一方のGRINレンズ層は図21のように液晶分子が紙面内に寝ている方向で、紙面横方向で向きが変わっていくが、他方のGRINレンズ層は図21の液晶分子が紙面に垂直な垂直面内に寝ている方向で、紙面横方向で向きが(垂直面内で回転するように)変化する。GRINレンズ層713及び714は、入射光の偏光方向に応じて屈折率分布によるレンズ効果、即ち、レンズアレイの有効化/無効化を切り替える。ここで、図20に示したように、GRINレンズ層713、714の屈折率分布による焦点方向F1、F2は、要素画像表示部10の方向となるよう構成されているものとする。なお、基板711、712、中間分離層715は平坦形状であるため、屈折率を考慮する必要は無いものとする。
【0085】
図20、21の構成において、同期駆動部30は、偏光切替セル210に印加する電圧を、電圧波形の位相を互いに1フィールド分ずらした状態で印加する。このような構成により、レンズアレイ積層部710では、偏光切替セル210への電圧印加に応じてGRINレンズ層713、714の屈折率が切り替わることで、GRINレンズ層713側のレンズアレイ、又は、GRINレンズ層714側のレンズアレイの一方のレンズ効果が有効となる。なお、レンズアレイ積層部710が示す2つのレンズアレイは異なる位置に夫々主平面を持つが、焦点距離がほぼ同じになるよう構成され、その焦点面は要素画像表示部10の画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。
【0086】
また、表示制御部40では、上述した第1の実施形態と同様、各フィールドにおいて、飛び出し/奥行き範囲の異なる立体表示用画像を時分割多重により要素画像表示部10に表示する。なお、各フィールドにおいて表示する立体表示用画像の飛び出し奥行き範囲は、飛び出し側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては飛び出し側の範囲、奥行き側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては奥行き側の範囲とする。
【0087】
このように、有効化するレンズアレイの切り替えを要素画像表示部10への表示タイミングに同期して行うため、第1の実施形態と同様に、単一のレンズアレイを用いた場合と比較し、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加した状態で立体映像を表示させることができる。
【0088】
以上のように、第4の実施形態では、屈折率異方性GRINレンズを用いて焦点面の異なる2つのレンズアレイを実現し、当該レンズアレイの切り替えタイミングと同期した時分割多重により、飛び出し/奥行き方向の異なる画像を要素画像表示部に交互に表示することで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0089】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態について説明する。上記実施形態では、偏光切替セル210への電圧印加によりレンズアレイ積層部への入射光の偏光状態を切り替えることで、2つのレンズアレイを実現する構成について説明した。第5の実施形態では、偏光切替セル210以外の手段を用いてレンズアレイ積層部のレンズ効果の切り替えを行う構成例について説明する。
【0090】
図22は、第5の実施形態にかかる表示ユニットの水平方向の断面を模式的に示した図である。同図に示したように、表示ユニットは、要素画像表示部10と、レンズアレイユニット80とを備えている。ここで、レンズアレイユニット80は、基板811、812と、当該基板間に充填され、レンズ曲面をなす2つの界面で接する3層の媒質813、814、815とを備えている。なお、レンズ曲面の形状は、フライアイレンズ状であってもよく、シリンドリカルレンズ状(レンチキュラーシート状)であってもよい。
【0091】
図23は、レンズアレイユニット80の部分拡大図である。同図に示したように、媒質813、815は、凸状のレンズ曲面が対向するよう配置されており、媒質813と媒質815との間に媒質814が保持されている。ここで、媒質813、815は液晶レンズであって、基板811〜基板812の4つの界面にそれぞれパターニングされた電極(図示せず)からの電圧印加に応じ、自己の液晶配列を変化させる。なお、電極は一部又は全てが透明電極により構成されるものとする。また、媒質814は、等方性の中間分離層である。
【0092】
具体的に、媒質813及び815は、電極からの電圧印加に応じ、図23に示すような2つの状態、即ち屈折率n1、n2(但しn2>n1)の2状態に液晶配列を変化させる。また、媒質814は、2つの媒質813、815間で共通する屈折率の一つと略同一の屈折率を有し、図23の構成では屈折率n1であるものとする。このように、媒質514は、2つの媒質513、515間で共通する屈折率の一つと略同一の屈折率を有する。媒質514の形状及び屈折率は、レンズアレイ積層部510によるレンズ効果の焦点方向に応じて定められる。なお、基板711、712、中間分離層715は平坦形状であるため、屈折率を考慮する必要は無いものとする。
【0093】
上記の構成において、同期駆動部30は、レンズアレイユニット80の電極を介して媒質813、815の夫々に印加する電圧を、電圧波形の位相を互いに1フィールド分ずらした状態で印加する。このような構成により、レンズアレイユニット80では、同期駆動部30からの電圧印加に応じて、媒質813側のレンズアレイ、又は、媒質815側のレンズアレイの一方のレンズ効果が有効となる。
【0094】
これにより、図22に示したように、レンズアレイユニット80が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は、要素画像表示部10の方向となる。なお、レンズアレイユニット80が示す2つのレンズアレイは異なる位置に主平面を持つが、上記実施形態と同様、焦点距離がほぼ同じになるよう構成されているものとし、その焦点面は画素面113の表裏面近傍に夫々あるものとする。また、同期駆動部30が、レンズアレイユニット80の電極に直接電圧を印加する態様としてもよいし、電圧印加装置等の他の装置を制御することで、他の装置から電極に電圧を印加させる態様としてもよい。
【0095】
表示制御部40では、上述した第1の実施形態と同様、各フィールドにおいて、飛び出し/奥行き範囲の異なる立体表示用画像を時分割多重により要素画像表示部10に表示する。なお、各フィールドにおいて表示する立体表示用画像の飛び出し奥行き範囲は、飛び出し側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては飛び出し側の範囲、奥行き側のレンズアレイが有効なフィールドにおいては奥行き側の範囲とする。
【0096】
以上のように、第5の実施形態では、液晶レンズを用いて焦点面の異なる2つのレンズアレイを実現し、当該レンズアレイの切り替えタイミングと同期した時分割多重により、飛び出し側/奥行き側の画像を要素画像表示部に交互に表示することで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させることができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、図22、図23に示したように、片凸レンズ状からなる液晶の媒質813、815を、その凸面が対向するよう配置した例を示したが、これに限らないものとする。
【0098】
例えば、図24に示したように、媒質813及び媒質815に相当する片凸形状からなる液晶の媒質823、825を、その凹面が要素画像表示部10と反対方向(図中上方)を向くよう配置する態様としてもよい。なお、図24は、第5の実施形態の変形例にかかる表示ユニットの水平方向の断面を模式的に示した図である。
【0099】
図24において、レンズアレイユニット81は、上述したレンズアレイユニット80に対応する光線制御子であって、基板821、822と、媒質823、824、825とを備えている。ここで、媒質824は、上述した媒質814に相当する等方性の中間分離層であって、媒質823と媒質825との間に挟持されている。
【0100】
ここで、媒質823、825の2状態の屈折率がn1/n2(但しn2>n1)であり、中間分離層にあたる媒質824の屈折率がn1であるものとする。また、図24に示したように、レンズアレイユニット81が示す2つのレンズアレイの焦点方向F1、F2は要素画像表示部10に向けられているものとし、その焦点面が画素面113の表裏面近傍となるよう夫々構成されているものとする。
【0101】
このような、表示ユニットを構成し、上記第5の実施形態と同様、同期駆動部30及び表示制御部40により、有効化するレンズアレイの切り替えと、立体表示用画像の表示を行うことで、飛び出し方向及び奥行き方向の表示範囲を増加させた状態で立体映像を表すことができるため、簡易な構成で立体映像の総合性能を向上させることができる。
【0102】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加などが可能である。また、上記実施形態で示した構成要素の組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】立体映像表示装置を模式的に示した図である。
【図2】第1の実施形態にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図3】図2に示したレンズアレイ積層部の部分拡大図である。
【図4】レンズアレイ積層部の一形態を模式的に示した斜視図である。
【図5】表示ユニットの一部分の構成を模式的に示した斜視図である。
【図6】図5に示した表示ユニットを基準にして垂直面内及び水平面内における光線軌跡を模式的に示した展開図である。
【図7】表示ユニットでの立体映像の飛び出し/奥行き方向にかかる表示範囲を模式的に示した図である。
【図8】偏光切替セルに印加される電圧波形と、立体表示用画像の表示タイミングとの関係を示した図である。
【図9】第1の実施形態の変形例にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図10】第1の実施形態の他の変形例にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図11】図10に示したレンズアレイ積層部の部分拡大図である。
【図12】第2の実施形態にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図13】図12に示したレンズアレイ積層部の部分拡大図である。
【図14】第2の実施形態の変形例にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図15】図14に示したレンズアレイ積層部の部分拡大図である。
【図16】第2の実施形態の他の変形例にかかるレンズアレイ積層部の構成を示した図である。
【図17】第3の実施形態にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図18】図18に示したレンズアレイ積層部の部分拡大図である。
【図19】第3の実施形態の変形例にかかるレンズアレイ積層部レンズアレイ積層部の構成を示した図である。
【図20】第4の実施形態にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図21】図20に示したレンズアレイ積層部の部分拡大図である。
【図22】第5の実施形態にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【図23】図22に示したレンズアレイユニットの部分拡大図である。
【図24】第5の実施形態の変形例にかかる表示ユニットの断面を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0104】
100 立体映像表示装置
10 要素画像表示部
111 ガラス基板
112 ガラス基板
113 画素面
1131 サブ画素
1132 実効画素
114 偏光板
115 偏光板
20 レンズアレイユニット
210 偏光切替セル
220 レンズアレイ積層部
221 基板
222 基板
223 媒質
21 レンズアレイユニット
230 レンズアレイ積層部
231 基板
232 基板
233 媒質
22 レンズアレイユニット
240 レンズアレイ積層部
241 基板
242 基板
243 媒質
30 同期駆動部
40 表示制御部
50 レンズアレイユニット
510 レンズアレイ積層部
511 基板
512 基板
513 媒質
514 媒質
515 媒質
51 レンズアレイユニット
520 レンズアレイ積層部
521 媒質
522 媒質
523 媒質
530 レンズアレイ積層部
531 媒質
532 媒質
533 媒質
60 レンズアレイユニット
610 レンズアレイ積層部
611 基板
612 基板
613 基板
614 媒質
615 媒質
620 レンズアレイ積層部
621 基板
622 媒質
70 レンズアレイユニット
710 レンズアレイ積層部
711 基板
712 基板
713 GRINレンズ層
714 GRINレンズ層
715 中間分離層
80 レンズアレイユニット
811 基板
812 基板
813 媒質
814 媒質
815 媒質
81 レンズアレイユニット
821 基板
822 基板
823 媒質
824 媒質
825 媒質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、
前記要素画像表示部に対向して配置され、電圧印加に応じて自己の偏光方向を切り替える偏光切替セルと、
基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、前記偏光切替セルによって切り替えられた偏光方向に応じて、何れか一方のレンズアレイのレンズ効果を有効化する屈折率異方性の媒質を有するレンズアレイ積層部と、
前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記変更切替セルへの電圧印加を制御し、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動手段と、
前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御手段と、
を備え、
前記2つのレンズアレイの焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にあることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
前記2つのレンズアレイのうち、一方のレンズアレイの焦点面が前記画素面の表面近傍に位置し、他方のレンズアレイの焦点面が前記画素面の裏面近傍に位置することを特徴とする請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記同期駆動手段は、前記要素画像表示部に表示される画像の1フレームを2分割した各フィールドと同期して前記偏光切替セルへの電圧印加を制御し、
前記表示制御手段は、前記各フィールドと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記レンズアレイ積層部は、
2つの異なる偏光方向に対して互いに異なる屈折率を有した前記媒質と、
前記媒質を挟持し、当該媒質が示す2つの屈折率の夫々と略同一の屈折率を有したレンズアレイ形状からなる2つの前記基材と、
を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記レンズアレイ積層部は、
2つの異なる偏光方向に対して互いに異なる屈折率を各々有し、少なくとも一方の屈折率が略同一で、且つ、同一の偏光方向に対して互いに異なる屈折率を有した2つの前記媒質と、
前記2つの媒質間に挟持され、当該2つの媒質間で共通する屈折率の一つと略同一の屈折率を有したレンズアレイ形状からなる前記基材と、
を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
前記レンズ積層部は、
2つの異なる偏光方向に対して互いに異なる屈折率を有する媒質と、当該媒質の界面をなすレンズアレイ形状の基材とからなる、全体として平坦なレンズ層を2つ有し、
前記レンズ層の各々において、前記媒質の各々は同一偏光方向の屈折率が互いに異なり、前記基材の各々は自己のレンズ層に対応する媒質について、互いに異なる偏光方向の屈折率と略同一の屈折率を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の立体映像表示装置。
【請求項7】
前記レンズアレイ積層部は、
偏光方向に対して互いに異なる屈折率分布を有する第1の屈折率異方性GRINレンズと、
偏光方向に対して互いに異なる屈折率分布を有し、屈折率分布を示す偏光方向が第1の屈折率異方性GRINレンズと異なる第2の屈折率異方性GRINレンズと、
第1の屈折率異方性GRINレンズと第2の屈折率異方性GRINレンズとの間に設けられた中間分離層とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の立体映像表示装置。
【請求項8】
画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、
前記要素画像表示部に対向して配置され、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、電圧印加に応じて自己の屈折率を切り替える少なくとも2層の第1の媒質と、
前記2層の媒質の間に設けられ等方性を有する第2の媒質と、
前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記第1の媒質への電圧印加を制御し、有効化する第1の媒質を前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動手段と、
前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御手段と、
を備え、
前記2層の第1の媒質の焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にあることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項9】
画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、
前記要素画像表示部に対向して配置され、電圧印加に応じて自己の偏光方向を切り替える偏光切替セルと、
基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、前記偏光切替セルによって切り替えられた偏光方向に応じて、何れか一方のレンズアレイのレンズ効果を有効化する屈折率異方性の媒質を有するレンズアレイ積層部と、
を備え、
前記2つのレンズアレイの焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にある立体映像表示装置において、
同期駆動手段が、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記偏光切替セルへの電圧印加を制御し、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動工程と、
表示制御手段が、前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御工程と、
を含むことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項10】
画素がマトリクス状に配列された画素面を有する要素画像表示部と、
前記要素画像表示部に対向して配置され、基材とともに主平面の異なる2つのレンズアレイを構成し、電圧印加に応じて自己の屈折率を切り替える少なくとも2層の第1の媒質と、
前記2層の媒質の間に設けられ等方性を有する第2の媒質と、
を備え、
前記2つのレンズアレイの焦点面が、前記画素面近傍の互いに異なる位置にある立体映像表示装置において、
同期駆動手段が、前記要素画像表示部に表示される画像の表示タイミングと同期して前記第1の媒質への電圧印加を制御し、有効化するレンズアレイを前記表示タイミング毎に切り替える同期駆動工程と、
表示制御手段が、前記表示タイミングと同期して、飛び出し側/奥行き側の前記画像を時分割多重により前記要素画像表示部に交互に表示する表示制御工程と、
を含むことを特徴とする立体映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−237461(P2009−237461A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86254(P2008−86254)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】