説明

筍エキスの抽出方法

【課題】竹のエキスを大規模な装置を必要とせずに抽出する方法を提供する。
【解決手段】洗浄した皮付きの筍を所定の槽に投入し、当該筍が隠れる程度にひたひたに水を入れると共に、醗酵促進剤として適宜の糖質を添加した後3年から5年自然醗酵させる。二次工程として、醗酵させた筍を圧搾してエキスを抽出し、残された溶液に当該エキスを加えてこれを濾過し、筍エキスを抽出する。竹の伐採及び運び出しに要する労力を軽減し、比較的に採取及び運び出しに容易な筍のエキスを自然に、しかも安価に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筍を自然発酵させてエキスを抽出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竹の大半を占める孟宗竹は、九州を中心に西日本で広く栽培されてきた。北限は宮城県から岩手県南部。それより北でも育つが、生育はよくない。笛、竿、箸等、竹かんむりの字の多さからも分かるように、かつては日用品など生活資材のほか、傾斜地が崩壊するのを防ぐことや堤防の補強などに使われてきた。だが近年、生活用品は化学製品に、堤防はコンクリートに替わり、筍も輸入品が大半を占め、日本の竹はほとんど顧みられなくなった。竹の利用価値がなくなったことに加え、高齢化と人口減で、竹林は管理されなくなる一方だ。林野庁によると、全国の竹林は約15万6000ヘクタールだが、これは山林にあって一応管理されている竹林であり、自然に増えたものや家屋、田畑の周辺にあるものを加えると、この倍以上はあると推測される。竹に侵入された杉やヒノキの幼木林は、見るも無残な状態になる。成木林でも林内が竹で覆われているところが散見され、放置すると生態系への悪影響も予想される。もともと竹は、何かに利用するため人の手で広がったものであり、里山を中心に栽培されてきた。従って、竹林の荒廃は里山の管理ができなくなったということでもあり、里山荒廃のバロメーターともいえる。里山の荒廃は、農地の荒廃などと重なると集落の崩壊につながる。竹林を管理し、素材として利用することは、竹林だけでなく里山・集落の再生にもなる。
【0003】
竹は、日用品のほかに竹酢液や竹炭として土壌改良、水質浄化材になるなど、環境や健康問題に関連して新しい使い道が注目されているが、効能の割には竹酢液とか竹炭が一般には知られていないのが実情である。
【0004】
このように竹酢液、竹炭等、木炭よりはるかに強力な殺菌、消臭効果が注目されているのであるが、竹材を切り出し、それを所定の長さに切り揃えて釜にいれ、炭焼きをするというのも、たいへんな労力が必要とされるものであり、また春ともなると筍はイノシシの絶好の餌となるため、イノシシが里へ下りてくる要因ともなるので、竹を伐採して竹酢液、竹炭等を生産するのも良いが、筍を採取して、当該筍のエキスを抽出するようにすれば、竹林の管理にもよく、また竹の伐採に比して労力は大いに軽減される。
【0005】
竹エキスを抽出するには、亜臨界水抽出法とか爆砕竹製法等種々の装置が開発されているが、いずれも高価な装置であり、個人とか小企業で購入し使用するには費用面から難があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
竹のエキスを大規模な装置を必要とせずに抽出する方法を開発することが、発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
竹の伐採及び運び出しに要する労力を軽減し、比較的に採取及び運び出しに容易な筍のエキスを自然に、しかも安価に抽出する方法の開発が課題を解決するための手段である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、一次工程として、洗浄した皮付きの筍を所定の槽に投入し、当該筍が隠れる程度にひたひたに水を入れると共に、醗酵促進剤として適宜の糖質を添加した後3年から5年自然醗酵させる。二次工程として、醗酵させた筍を圧搾してエキスを抽出し、残された溶液に当該エキスを加えてこれを濾過し、エキスを抽出すべくなしたる筍エキスの抽出方法であり、更には、抽出された筍エキスに適量の竹炭酢等を加え、当該筍エキスに殺菌力を付加すると共に、防腐効果を付与してなる筍エキスの抽出方法るから、抽出する装置に多額の費用を要せず、しかも筍エキスを自然に抽出できるものである。しかも、竹炭を焼く過程で採取される竹炭酢も優れたエキスであるが、採取の過程でタール等の有害物質も含まれるが、筍を自然発酵させて抽出したエキスにはこのような有害物質は一切含まれない。また当該筍エキスには、カリウム、チロシン、マンガンが多量に含有しており、このカリウムは、ガン、痴呆症、ストレス、精神安定、便秘、利尿作用、糖尿病、高血圧等に効果があるといわれ、またチロシンは、老化(アンチエイジング)、痴呆症、うつ病等に効果があるといわれ、更にはマンガンは、肝機能、糖尿病、骨、骨粗しょう症(骨粗鬆症)等に効果があると言われているし、しかも、生ゴミ容器・排水口・靴に撒布等、除菌、消臭作用があり、ムカデ・ネズミ・犬・猫などの忌避という防虫獣、忌避効果が得られ、また入浴剤として、弱酸性の滑らかな水とすることが出来、また、園芸関係では、地力増進・土壌の消毒等の土壌改良効果、発根、発芽促進等の植物の成長促進効果、更には有用微生物の増殖促進等、微生物の活性化を図ることが出来る等、筍エキスの効果は極めて大きいものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、一次工程として、洗浄した皮付きの筍を所定の槽に投入し、当該筍が隠れる程度にひたひたに水を入れると共に、醗酵促進剤として適宜の糖質を添加した後3年から5年自然醗酵させる。二次工程として、醗酵させた筍を圧搾してエキスを抽出し、残された溶液に当該エキスを加えてこれを濾過し、エキスを抽出すべくなしたる筍エキスの抽出方法を呈せんとするものである。
【実施例1】
【0010】
筍を洗浄し、当該洗浄した皮付きの筍を所定の水槽に投入する。本発明実施例においては700kg.の皮付き筍とした。水槽中に水を入れる。水の量は投入されている筍が隠れる程度、即ち、ひたひたの状態としている。
【0011】
次に醗酵促進剤として糖質を投入する。本実施例においては3〜5kg.の白砂糖を入れているが、糖質については白砂糖に限定されるものではなく、黒糖溶液等を用いてもよい。また醗酵促進剤として糖質と共に酵母を入れても効果は上がるものである。
【0012】
3年から5年この状態で自然発酵させた筍を圧搾してエキスを抽出し、当該エキスを残された溶液を加えて濾過し、精製して筍エキスを抽出する。
【0013】
抽出された筍エキスに適量の竹炭酢等を加え、当該筍エキスに殺菌力を付加すると共に、防腐効果を付与する。当該殺菌力と防腐効果を得るためにニンニクエキスを加えることもある。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、一次工程として、洗浄した皮付きの筍を所定の槽に投入し、当該筍が隠れる程度にひたひたに水を入れると共に、醗酵促進剤として適宜の糖質を添加した後3年から5年自然醗酵させる。二次工程として、醗酵させた筍を圧搾してエキスを抽出し、残された溶液に当該エキスを加えてこれを濾過し、筍エキスを抽出すべくなしたる筍エキスの抽出方法であり、更には、抽出された筍エキスに適量の竹炭酢等を加え、当該筍エキスに殺菌力を付加すると共に、防腐効果を付与してなる筍エキスの抽出方法であるから、抽出する装置に多額の費用を要せず、しかも筍エキスを自然に抽出できるものである。しかも、竹炭を焼く過程で採取される竹炭酢も優れたエキスであるが、採取の過程でタール等の有害物質も含まれるが、筍を自然発酵させて抽出したエキスにはこのような有害物質は一切含まれない。また、当該筍エキスには、カリウム、チロシン、マンガンが多量に含有しており、このカリウムは、ガン、痴呆症、ストレス、精神安定、便秘、利尿作用、糖尿病、高血圧等に効果があるといわれ、またチロシンは、老化(アンチエイジング)、痴呆症、うつ病等に効果があるといわれ、更にはマンガンは、肝機能、糖尿病、骨、骨粗しょう症(骨粗鬆症)等に効果があると言われているし、しかも、生ゴミ容器・排水口・靴に撒布等、除菌、消臭作用があり、ムカデ・ネズミ・犬・猫などの忌避という防虫獣、忌避効果が得られ、また入浴剤として、弱酸性の滑らかな水とすることが出来、また、園芸関係では、地力増進・土壌の消毒等の土壌改良効果、発根、発芽促進等の植物の成長促進効果、更には有用微生物の増殖促進等、微生物の活性化を図ることが出来る等、筍エキスの効果は極めて大きいものがあり、しかも、筍を採取することで竹林の管理上からも効果は大であり、竹林の荒廃を防ぐことが出来る等、効果は極めて大きく利用可能性は極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次工程として、洗浄した皮付きの筍を所定の槽に投入し、当該筍が隠れる程度にひたひたに水を入れると共に、醗酵促進剤として適宜の糖質を添加した後3年から5年自然醗酵させる。二次工程として、醗酵させた筍を圧搾してエキスを抽出し、残された溶液に当該エキスを加えてこれを濾過し、筍エキスを抽出すべくなしたる筍エキスの抽出方法。
【請求項2】
抽出された筍エキスに適量の竹炭酢等を加え、当該筍エキスに殺菌力を付加すると共に、防腐効果を付与してなる請求項1の筍エキスの抽出方法。

【公開番号】特開2010−22350(P2010−22350A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209349(P2008−209349)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(508248520)
【Fターム(参考)】