説明

粉体の微量フィーダ装置

【課題】 粉体の微量フィーダにあって、最も有効なテーブルフィーダで、最終的に供給盤の計量溝から確実に精巧に粉体を排出部分に落下させ、計量溝に粉体が残ってしまうという事態を解決する技術が無かったという点である。
【解決手段】 粉体の収容容器を有し、その収容容器の下部に設置された駆動部と、その駆動部から前記収容容器内に突出された主軸と、その主軸に取り付けられた攪拌羽根と、その攪拌羽根の下方で主軸に取り付けられた供給羽根と、前記駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、周縁に粉体の計量溝を適宜ピッチで形成した供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートとより構成され、前記排出シュート上には供給盤の計量溝の粉体を排出シュートに対して強制的に落下させる手段を備えていることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体の微量フィーダ装置に関し、特に、物性の異なる種々の粉体に対応して、1時間あたりで1ccから1000cc程度の間の微量域で精度よく定量を搬送供給するための粉体の微量フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動性が特に優れた粉体の場合を除き、粉体を微量域で精度よく定量供給していくことはその粉体の物性、例えば比重の相違、粒子、粒度の相違、水分や静電気に起因する付着性や凝集性等に影響を受けるため、非常に困難な作業となっている。
【0003】
従来、粉体の微量フィーダとして振動フィーダ、スクリューフィーダ、テーブルフィーダが知られているが、このうち、振動フィーダは流動性の良い粉体には使用が可能であるが、適用できる粉体が限られてしまい、また、人手をもって流れを制御してやることが微量域で要求され十分なコントロールができず、ムラが生じて精度が悪くなってしまう。人手に頼らなければならないという点も大きなネックとなっている。
【0004】
また、スクリューフィーダの場合は、横型でもオーガタイプのものであっても搬送する粉体の量が微量となると、螺旋状のスクリューの溝が幅、深さとも必然的に小さくなり、その溝に粉体の付着、固着を起こし易くなり、溝が埋まって棒状となってしまったり、逆に粉体の量が少ないため粒子同士の摩擦力が不足し、スリップしてしまい排出不能となってしまうケースが多くなる。
【0005】
さらに、テーブルフィーダの場合は、最も有効、効果的である事が実験により解ったが、時として供給盤の計量溝に粉体が残ったまま排出しない事態や、再びそのまま容器内に戻ってきてしまうという事態が生じてしまう。ここで、エアの吹き付けで払い落とす方法も考えられるが、こうすると粉体が周囲に飛散して雰囲気を悪化させたり、機械構成部に粉体が混入して故障を生じてしまう原因となることもある。
【特許文献1】出願人は本件発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に類似し、あるいは関連すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、粉体の微量フィーダにあって、最も有効なテーブルフィーダで、最終的に供給盤の計量溝から確実に精巧に粉体を排出部分に落下させ、計量溝に粉体が残ってしまうという事態を解決する技術が無かったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題点を解決するために、本発明に係る粉体の微量フィーダ装置は粉体の収容容器を有し、その収容容器の下部に設置された駆動部と、その駆動部から前記収容容器内に突出された主軸と、その主軸に取り付けられた攪拌羽根と、その攪拌羽根の下方で主軸に取り付けられた供給羽根と、前記駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、周縁に粉体の計量溝を適宜ピッチで形成した供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートとより構成され、前記排出シュート上には供給盤の計量溝の粉体を排出シュートに対して強制的に落下させる手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る粉体の微量フィーダ装置は、より具体的に前記した強制的に落下させる手段は、前記した供給盤の計量溝と噛合する突歯を周縁に備え、その供給盤と直交方向に回転するスクレーパとしたことを特徴とし、前記したスクレーパは供給盤の回転力を駆動源とし、供給盤と同期して回転するものであることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係る粉体の微量フィーダ装置は、別の具体例として前記した強制的に落下させる手段は、筒体の下方開口に一部を露呈して嵌合された円弧体物とし、その円弧体物をスプリングで下方に向けて附勢したものであることを特徴とし、前記した円弧体物はボール体であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る粉体の微量フィーダ装置は上記のように構成されている。そのため供給盤の計量溝に入って搬送されてくる粉体を回転スクレーパの突歯で押し落としたり、あるいはスプリングで附勢されている円弧体物による加振動によって精巧に排出シュート内に落下させ、排出させる事ができることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面として示し、実施例で説明したように構成することで実現した。
【実施例1】
【0012】
次に、本発明の好ましい第一の実施例を図1乃至図6を参照して説明し、図7によって第二実施例を説明する。図1は本発明の第一実施例の機構を示す正面図、図2は同じく平面図、図3は同じく右側面図、図4は同じく要部の拡大正面図、図5は同じく拡大平面図、図6は同じく拡大右側面図である。
【0013】
これらの図にあって1はモータを示しており、このモータ1の下方に連接された減速機1aの軸には回転力伝達用のギア1bが設けられている。一方3は対象物となる粉体の収容容器であり、この収容容器3は粉体のブリッジ防止を目的としてストレートな円筒形となっているが、逆円錐状のものとすることも可能であり、ディスクフレーム12に取り付けられた構成となっている。
【0014】
この収容容器3の下部には駆動部2が設けられており、この駆動部2は上端を収容容器3内に突出する攪拌軸4を有し、その攪拌軸4の下方で前記したギア1bから回転力を伝達されこの攪拌軸4を回転させるギア4aを備えており、このギア4aはギア1bとの間に伝達ギア1cを介して連動されるようになっている。
【0015】
この攪拌軸4の上方で、収容容器3内には矩形枠状をした攪拌羽根15が取り付けられており、この攪拌羽根15が攪拌軸4と同期して回転することで、収容容器3内にあって、粉体がブリッジや付着の現象を生じる事が無いよう常時粉体を攪拌するようになっている。さらに、攪拌羽根15の下方には仕切板20が取り付けられ、この仕切板20の存在によって、一層ブリッジや付着を防止する事ができる。
【0016】
また、攪拌軸4には後述する供給盤の計量溝内に定量の粉体を送り、供給するための供給羽根5、5‥が、攪拌軸4の接線方向に沿って複数取り付けられたものとなっている。
【0017】
さらに、攪拌軸4には前記したギア4aの下方に、伝動ギア4bが取り付けられ、この伝動ギア4bが上端に供給盤6を設けた回転軸16のギア16aと噛合され、この回転軸16を回転させるものとしている。
【0018】
前記した供給盤6は円板で形成されたものとなっており、その周縁には等ピッチで計量溝6a、6a‥が形成された略平歯車状の形態をしている。前記した供給羽根5、5‥は一部がこの供給盤6の上面と摺接する構成となっており、この供給羽根5、5‥で送られた粉体が逐次供給盤6の計量溝6a、6a‥内に送られ、この計量溝6a、6a‥を粉体で埋めていくこととなる。
【0019】
一方、図中11は排出シュートを示し、供給盤6の計量溝6a、6a‥に入れられた粉体は順次この排出シュート11の上方から落下させられて排出される。即ち、供給盤6の計量溝6a、6a‥のうち、一つがこの排出シュート11の上面開口上を摺接して通過していくものとなっている。
【0020】
また、この排出シュート11の上方にはディスクフレーム12にホルダー17がネジで固着され、そのホルダー17に周縁に突歯を等ピッチで形成した略歯車状の回転スクレーパ8が回転自在に軸支されている。この回転スクレーパ8は前記した供給盤6と直交方向に配置され、前記した突歯のピッチは供給盤6の計量溝6a、6a‥のピッチと同等のものとなっている。
【0021】
この回転スクレーパ8は供給盤6の計量溝6a、6a‥とその突歯を噛合させることで供給盤6と同期回転するものとなっており、その突歯が計量溝6a、6a‥との噛合の際に、計量溝6a内に残存する粉体を排出シュート11内へ強制的に掻き落とすこととなる。この作用によって計量溝6a内には粉体が残ってしまう事がなく精巧に定量を排出する事が持続できる。この作用は粉体の有する物性にかかわりなくなされるため、粉体の種類にその使用を限定されてしまうことは無くなる。
【実施例2】
【0022】
次に、図7を参照して本願発明の第二の実施例を説明する。図7は本願発明の第二実施例を示す要部拡大正面図である。尚、この第二実施例は第一実施例と共通する部分は同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0023】
この第二実施例にあっては、排出シュート11の上方で供給盤6の計量溝6aが通過する位置の上部にホルダー18がディスクフレーム12に設けられており、このホルダー18には少なくとも下方を開口させた筒体19が一体に形成されている。この筒体19の下方開口には内方へのフランジ19aが形成されており、このフランジ19aによって金属製のボール13がその一部を外方へ露呈するようにセットされ、このボール13は筒体19内にあってコイルスプリング14により、常に下方へ附勢されたものとなっている。
【0024】
このボール13は供給盤6の回転によって、計量溝6aと対応するときはコイルスプリング14の附勢力で突出され、また供給盤6の計量溝6aを形成する突片部分ではその肉厚分がコイルスプリング14の附勢力に抗して持ち上げられる。この動作の繰り返しによってボール13は間欠的に計量溝6aのパートを叩打することとなり、この衝撃と振動によって計量溝6a内の粉体は強制的に排出シュート11へ落下させられることとなる。
【0025】
なお、この第二実施例におけるボール13はそれに代えて円柱体や円筒体を横配置にしても同様の効果が得られ、その効果は円柱体や円筒体を軸方向に沿って半割した部材によっても同様に得る事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る粉体の微量フィーダ装置は上記のように構成されている。そのため、対象物が物性にとらわれない粉体となるが、必要に応じて粘性を有する土やクリーム状の液体等にも幅広く応用実施していくことも可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施例の機構を示す正面図である。
【図2】平面図である。
【図3】右側面図である。
【図4】要部の拡大正面図である。
【図5】拡大平面図である。
【図6】拡大右側面図である。
【図7】本願発明の第二実施例を示す要部拡大正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 モータ
1a 減速機
1b ギア
1c ギア
2 駆動部
3 収容容器
4 攪拌軸
4a ギア
4b ギア
5 供給羽根
6 供給盤
6a 計量溝
8 回転スクレーパ
11 排出シュート
12 ディスクフレーム
13 ボール
14 コイルスプリング
15 攪拌羽根
16 回転軸
16a ギア
17 ホルダー
18 ホルダー
19 筒体
19a フランジ
20 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の収容容器を有し、その収容容器の下部に設置された駆動部と、その駆動部から前記収容容器内に突出された主軸と、その主軸に取り付けられた攪拌羽根と、その攪拌羽根の下方で主軸に取り付けられた供給羽根と、前記駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、周縁に粉体の計量溝を適宜ピッチで形成した供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートとより構成され、前記排出シュート上には供給盤の計量溝の粉体を排出シュートに対して強制的に落下させる手段を備えていることを特徴とする粉体の微量フィーダ装置。
【請求項2】
前記した強制的に落下させる手段は、前記した供給盤の計量溝と噛合する突歯を周縁に備え、その供給盤と直交方向に回転するスクレーパとしたことを特徴とする請求項1に記載の粉体の微量フィーダ装置。
【請求項3】
前記したスクレーパは供給盤の回転力を駆動源とし、供給盤と同期して回転するものであることを特徴とする請求項2に記載の粉体の微量フィーダ装置。
【請求項4】
前記した強制的に落下させる手段は、筒体の下方開口に一部を露呈して嵌合された円弧体物とし、その円弧体物をスプリングで下方に向けて附勢したものであることを特徴とする請求項1に記載の粉体の微量フィーダ装置。
【請求項5】
前記した円弧体物はボール体であることを特徴とする請求項4に記載の粉体の微量フィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−184778(P2009−184778A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26044(P2008−26044)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(508038806)株式会社アイシンナノテクノロジーズ (11)
【Fターム(参考)】