説明

紫外線吸収組成物の調製法

【課題】紫外線吸収剤を含有するパーソナルケア配合物の貯蔵安定性の改良法の提供。
【解決手段】(a)組成物が少なくとも1種の紫外線吸収剤を含み;(b)ラテックスポリマー粒子がボイドを有し、粒子サイズが50〜1000ナノメートルであり;(c)ラテックスポリマー粒子が、(i)シェル部分の全重量に基づいて4〜80%の多エチレン性不飽和モノマーのモノマー単位を組み込むための重合;および(ii)シェル部分の全重量に基づいて4〜80%の、少なくとも1個のビニル共重合可能な官能基、および重合後架橋を生じるのに有効な反応性分子と反応できる少なくとも1個の官能基を有する1またはそれ以上の多官能価モノマーのモノマー単位を組み込むための重合、から選択される1またはそれ以上の工程により調製されるシェル部分を有することを特徴とする、不揮発性物質の全重量に基づいて5〜70%のラテックスポリマー粒子を該組成物に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイドを有するラテックスポリマー粒子を少なくとも1種の紫外線吸収剤を含むパーソナルケア組成物に添加する、サンスクリーン組成物などのパーソナルケア配合物の紫外線(UV)吸収を向上させる公知の方法における改良に関する。この改良はラテックスポリマー粒子にとして選択された組成物を使用し、その結果、SPF(日焼け止め指数:sun protection factor)向上性の保持により測定される安定性が延長され、貯蔵および使用条件下での有効性が得られる。
【背景技術】
【0002】
地球表面に到達する太陽エネルギーの6%は波長が290〜400ナノメートル(nm)の紫外線(UV)である。この紫外線には2種類あり:5.5%は波長が320〜400nmのUVAであり、0.5%は波長が290〜320nmのUVBである。太陽エネルギーのUV部分は比較的少ないが、太陽光のすべての副作用のほぼ99%を誘発する。UVBは、例えば日焼け(sunburn)、老化および皮膚ガンの原因となる。UVAは、たとえば直接的な日焼けおよび紅斑(異常な赤み)を起こし、皮膚の老化の一因である。
【0003】
太陽光への暴露を避けることにより、UV照射により引き起こされる有害な影響を避けることができる。しかしながら、仕事の性質上、太陽への暴露を避けられない人もいる。加えて、すすんで皮膚を太陽に暴露して、時には極端に日焼けする人もいる。従って、太陽の有害な影響に対する防御が重要である。
【0004】
少なくとも1種の物理的ブロッカー、または少なくとも1種の化学的吸収剤、あるいはその組み合わせを含む配合物を局所的に塗布することでこれらの紫外線暴露の有害な影響から防御することができる。物理的ブロッカーとしては、赤色ワセリン、二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの活性成分があげられる。化学吸収剤は、パラ−アミノ安息香酸(より一般的には、PABAと称する)などの活性成分があげられ、これは塗布時に一般に透明であり、UV光を吸収することにより作用し、特定のUV波長バンドに対して選択的防御を提供する。
【0005】
サンスクリーン配合物の有効性は一般に、サンスクリーンで保護された皮膚上に極微の紅斑を起こすのに必要なエネルギー量と保護されていない皮膚に同じ程度の紅斑を起こすのに必要なエネルギー量の比と定義される日焼け止め指数(SPF)により、皮膚を防御する程度として評価される。
【0006】
多くの化学的吸収剤および物理的ブロッカー(以下「紫外線吸収剤」と称する)は典型的にはサンスクリーン配合物において用いられるが、有害な毒性を有する。従って、防御の程度を減少させることなくサンスクリーン配合物中に存在する紫外線吸収剤の量を減少させるのが望ましい。
【0007】
欧州特許出願第669124号および第761201号および米国特許第5663213号は1またはそれ以上の紫外線吸収剤を含む組成物における紫外線の吸収を向上させるために、選択された粒子サイズを有するボイドを有するラテックスポリマー粒子を使用することを開示する。米国特許第4427836号は、コーティング組成物において不透明剤として使用するのに適したボイドを含むコア−シェルポリマーの調製法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願第669124号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第761201号明細書
【特許文献3】米国特許第5663213号明細書
【特許文献4】米国特許第4427836号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
パーソナルケア配合物における紫外線吸収剤の量を低減する従来法は初期SPF性能を向上させるが、耐用期間および向上効果の耐久性が延長された改良された配合物が必要とされる。本発明により意図される問題は、粒子および紫外線活性成分を含むパーソナルケア配合物のSPF(日焼け止め指数)の向上性保持ならびに貯蔵および使用条件下での有効性の保持により評価される安定性の向上を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紫外線吸収組成物の貯蔵安定性を提供する方法であって、該組成物に不揮発性物質の全重量に基づいて5〜70%のラテックスポリマー粒子を添加して該組成物の紫外線吸収を増加させることを含み、(a)該組成物が少なくとも1種の紫外線吸収剤を含み;(b)ラテックスポリマー粒子がボイドを有し、粒子サイズが50〜1000ナノメートルであり;(c)ラテックスポリマー粒子が、(i)シェル部分の全重量に基づいて4〜80%の1またはそれ以上の多エチレン性不飽和モノマーのモノマー単位を組み込むための重合;および(ii)シェル部分の全重量に基づいて4〜80%の、少なくとも1個のビニル共重合可能な官能基と、重合後架橋の生成に有効な反応性分子と反応できる少なくとも1個の官能基を有する1またはそれ以上の多官能性モノマーのモノマー単位を組み込むための重合から選択される1またはそれ以上の工程により調製されるシェル部分を有する方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、(a)少なくとも1種の紫外線吸収剤;および(b)シェル部分の全重量に基づいて4〜80%の少なくとも1個のビニル共重合可能な官能基と、重合後架橋の生成に有効な反応性分子と反応できる少なくとも1個の官能基を有する1またはそれ以上の多官能性モノマーのモノマー単位を組み込むための重合により調製されるシェル部分を有する、不揮発性物質の全重量に基づいて5〜70%のラテックスポリマー粒子を含み;少なくとも40のSPF向上性保持値(SPF Enhancement Retention value)を有するパーソナルケア組成物を提供する。
【0012】
本発明の組成物は、少なくとも1種の紫外線吸収剤およびラテックスポリマー粒子を含有するパーソナルケア配合物の貯蔵安定性を改善するのに有用である。本発明者らはラテックスポリマー粒子のシェル部分において用いられる選択されたクロスリンカー量がこの目的について特に有効であり、従来技術のポリマー粒子のシェル部分に架橋がほとんどまたは全くないラテックスポリマー粒子を使用した場合に比べてパーソナルケア配合物の貯蔵安定性(SPF向上の保持により測定)と有効性が予想外に向上されることを見いだした。これらの選択された架橋シェル組成物は、(1)多エチレン性不飽和モノマーを含有するモノマー組成物、(2)少なくとも1個のビニル共重合可能な官能基、および重合後架橋を生成するのに適当な反応性分子と反応できる少なくとも1個の官能基を有する多官能性モノマーを含有するモノマー組成物、または(3)その組み合わせに基づく。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において用いる場合、「(メタ)アクリル」とは、対応するアクリルまたはメタクリル酸および誘導体を意味し;同様に、「アルキル(メタ)アクリレート」とは、対応するアクリレートまたはメタクリレートエステルを意味する。本発明において用いる場合、すべてのパーセントは特記しないかぎりそれらが含まれるポリマーまたは組成物の全重量に基づいた重量パーセント(%)を意味する。本発明において用いる場合、「コポリマー」または「コポリマー材料」とは、2またはそれ以上の異なるモノマーの単位を含むポリマー組成物を意味する。本発明において用いる場合、「不揮発性物質」とは、その蒸気圧のために周囲温度では容易に蒸発しないパーソナルケア配合物の固体または液体成分(例えば、ポリマー粒子、紫外線吸収剤および公知のアジュバントなど)を意味する。
【0014】
本発明の目的について、「シース」および「シェル」は、同義とみなされ、一段または多段重合から調製される全シェルポリマー組成物(コア部分を含まない)を意味する。
【0015】
本発明の目的について、「SPF向上保持性」(SER)とは、ラテックスポリマー粒子を含まない対照配合物と比較したラテックス粒子を含むサンプルのSPF向上性(%)(%SE)の保持性(貯蔵時間の関数として)を意味する(%で表す)。
【0016】
本発明の方法は、パーソナルケア組成物中の不揮発性物質の全重量に基づいて5〜70%、好ましくは10〜50%、より好ましくは20〜40%のラテックスポリマー粒子を、少なくとも1種の紫外線(UV)吸収剤を含む組成物中に組み込むことを含み;パーソナルケア組成物の全重量に基づいたラテックスポリマー粒子の量は、0.5〜10%、好ましくは1〜7%、より好ましくは2〜5%である。本発明において用いる場合、「紫外線」とは、UVAとUVBのいずれも意味する。
【0017】
本発明の方法において有用なラテックスポリマー粒子の粒子サイズは、Brookhaven BI−90光子相関分光計で測定して、50〜1000ナノメートル(nm)[または0.05〜1ミクロン(μ)]、典型的には100〜600nm(0.1〜0.6μ)、好ましくは200〜500nm(0.2〜0.5μ)、より好ましくは300〜400nm(0.3〜0.4μ)である。
【0018】
一定の粒子サイズについて、現行の加工技術および粒子一体性が許容するかぎりの最大ボイド率を有するラテックスポリマー粒子を製造するのが望ましい。典型的には、ラテックスポリマー粒子は、1〜70%、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは20〜35%のボイド率でボイドを含む。ボイド率は、遠心分離器中で希薄分散液から圧縮された後のラテックスポリマー粒子が占める体積を同じ組成のボイドを含まない粒子の体積と比較することにより決定される。
【0019】
本発明において有用なラテックスポリマー粒子は、公知の重合技術、例えば、米国特許第4427836号、第4469825号、第4594363号、第4677003号、第4920160号、および第4970241号に開示された方法をはじめとするシーケンシャル乳化重合により調製することができる。ラテックスポリマー粒子はさらに例えば欧州特許出願第267726号、第331421号または第915108号あるいは米国特許第4910229号および第5157084号に開示されている重合技術によっても調製できる。
【0020】
本発明の方法において有用なラテックスポリマー粒子は、少なくとも1種のコアポリマーおよび少なくとも1種のシェルポリマーを含む多段粒子から形成することができる。コアポリマーおよびシェルポリマーは、それぞれ単一重合段階または一連の重合段階において製造されることができる。コアは連続重合の1つの段階で製造されることができ、シェルはコア段階に続く1つの連続した段階の生産物であることができるが、コア成分の調製は、連続した複数の段階を含むことができ、続いてシェルを調製するが、これも一連の連続した段階を含むことができる。シェル部分またはシェルポリマーを形成するためのポリマーの量は、一般に最終多段ポリマー粒子の全体のサイズが0.05〜1ミクロンになるようなものである。コア重量と全ポリマー粒子重量の比は、典型的には1/4(25%コア)〜1/100(1%コア)であり、好ましくは1/8(12%コア)から1/50(2%コア)である。
【0021】
ラテックスポリマー粒子の「コア」(または「シード」)ポリマーの乳化重合において用いられるモノマーは、好ましくはコアの全モノマー重量に基づいて少なくとも5%の少なくとも1個のカルボン酸基を含む1またはそれ以上のモノエチレン性不飽和モノマーを含む。コアポリマーは、例えば少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーの乳化単独重合、または少なくとも1個のカルボン酸基を含む2またはそれ以上のモノエチレン性不飽和モノマーの共重合により得ることができる。好ましくは、少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーは1またはそれ以上の非イオン性(すなわち、イオン化可能な基を含まない)エチレン性不飽和モノマーと共重合される。イオン化可能な酸基の存在によりコアは塩基を含む水性または気体状メディアなどの膨潤剤の作用により膨潤可能になり、部分的に酸コアポリマーが中和され、水和により膨潤される。
【0022】
コアポリマーは任意にコアの全モノマー重量に基づいて1〜20%、好ましくは2〜10%の多エチレン性不飽和モノマー、たとえばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびジビニルベンゼンを含むことができる。別法として、コアポリマーは任意にコアの全モノマー重量に基づいて0.1〜60%のブタジエンを含むことができる。
【0023】
「コア」ポリマーの調製において有用な少なくとも1個のカルボン酸基を含む適当なモノエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、モノメチルマレエート、モノメチルフマレートおよびモノメチルイタコネートがあげられる。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましいカルボン酸基含有モノマーである。
【0024】
「コア」ポリマーの調製において有用な適当な非イオン性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の(C−C22)アルキルおよび(C−C20)アルケニルエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートがあげられる。
【0025】
ラテックスポリマー粒子の「シェル」(または「シース」)ポリマーの乳化重合において用いられるモノマーは好ましくは1またはそれ以上の非イオン性エチレン性不飽和モノマーを含む。任意に、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、クロトン酸、マレイン酸(ならびに対応する酸無水物、アミドおよびエステルなどの誘導体)、フマル酸(および対応するアミドおよびエステルなどの誘導体)、イタコン酸およびシトラコン酸(および対応する酸無水物、アミドおよびエステルなどの誘導体)などの少なくとも1個のカルボン酸基を含む1またはそれ以上のモノエチレン性不飽和モノマーをシェル中で重合することができ;アクリル酸およびメタクリル酸が好ましいカルボン酸基含有モノマーである。シェルポリマー中に存在する場合、カルボン酸含有モノマー単位の量は、ポリマー粒子のシェル部分の全重量に基づいて0.1〜10%、より好ましくは0.5〜5%である。
【0026】
任意に、例えば、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸[このモノマーについてacryonym「AMPS」はLubrizol Corporation(Wickliffe、Ohio、USA)の登録商標である]、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、イソプロペニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ならびにそのアルカリ金属およびアンモニウム塩などの少なくとも1個の「非カルボン」酸基を含有する1またはそれ以上のモノエチレン性不飽和モノマーをシェルにおいて重合することができる。好ましい不飽和「非カルボン」酸モノマーは、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸およびスチレンスルホン酸である。シェルポリマー中に存在する場合、不飽和「非カルボン」酸モノマー単位は、ポリマー粒子のシェル部分の全重量に基づいて0.5〜10%、より好ましくは1〜5%である。
【0027】
シェルポリマーの調製において有用な適当な非イオン性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、窒素含有環状化合物不飽和モノマー、ビニル芳香族モノマー、エチレン列モノマー(ethylenic monomer)および選択された(メタ)アクリル酸誘導体があげられる。好ましくは、ラテックスポリマー粒子のシェル部分は、重合した単位としてシェル部分の全重量に基づいて0〜95%の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーおよび0〜80%のビニル芳香族モノマーを含む。
【0028】
好ましい(メタ)アクリル酸誘導体は、(C−C22)アルキル(メタ)アクリレート、置換(メタ)アクリレートおよび置換(メタ)アクリルアミドモノマーがその代表である。モノマーのそれぞれは、単一のモノマーでも、異なる数の炭素原子をアルキル部分中に有する混合物であっても良い。好ましくは、モノマーは、1またはそれ以上の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレート)、ジアルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート)およびジアルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)から選択される。各モノマーのアルキル部分は直鎖でも分枝でも良い。
【0029】
アルキル基が1〜4個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メチルメタクリレート(MMA)、メチルおよびエチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート(BMA)、ブチルアクリレート(BA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)およびその組み合わせがあげられる。
【0030】
アルキル基が10個またはそれ以上の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートモノマーの例としては、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレートとも称する)、テトラデシルメタクリレート(ミリスチルメタクリレートとも称する)、ペンタデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート(セチルメタクリレートとも称する)、オクタデシルメタクリレート(ステアリルメタクリレートとも称する)、エイコシルメタクリレート、ベヘニルメタクリレートおよびその組み合わせがあげられる。
【0031】
好ましくは、ラテックスポリマー粒子のシェル部分は、重合単位としてシェル部分の全重量に基づいて5〜95%、より好ましくは10〜80%、最も好ましくは20〜70%の、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジメチルアミノプロピルメタクリレートから選択される1またはそれ以上の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを含む。
【0032】
適当なビニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキル置換スチレン(例えばt−ブチルスチレンおよびエチルビニルベンゼン)、ハロゲン化スチレン[例えばクロロスチレンおよび3,5−ビス(トリフルオロメチル)スチレン]があげられ;スチレン、エチルビニルベンゼンおよびt−ブチルスチレンが好ましいビニル芳香族モノマーである。シェルポリマー中に存在する場合、ビニル芳香族モノマー単位の量は、ポリマー粒子のシェル部分の全重量に基づいて1〜80%、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。
【0033】
窒素含有不飽和環状化合物モノマーの例としては、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−3−エチル−5−ビニルピリジン、メチル置換キノリンおよびイソキノリン、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタムおよびN−ビニルピロリドンがあげられる。
【0034】
さらなる適当なモノマーとしては、エチレン列モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、長鎖アルキルα−オレフィン[例えば、(C10−C20)アルキルα−オレフィン]、ハロゲン化ビニル(例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル)、ハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン)、部分的にハロゲン化された(メタ)アクリレート[例えば、2−(パーフルオロドデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロドデシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレートおよび2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート]、および部分的にハロゲン化されたアルケン(例えば、1,1,1−トリフルオロ−2,2−(トリフルオロメチル)−ブテン]があげられる。
【0035】
シェルを構成するモノマーは、少なくとも1つのシェルにおけるガラス転移温度(Tg)がラテックス粒子内のボイドを支持するのに十分なほど高くなるように選択される。好ましくは、少なくとも1つのシェルのTgは示差走査熱量法(DSC)により測定して50℃より高く、より好ましくは60℃より高く、最も好ましくは70℃より高い。
【0036】
ラテックスポリマー粒子のシェル部分がコアポリマー上に一段重合により提供される場合、形成されるシェル部分全体はシース、シェルまたは「最外層」シェルと称する。しかしながら、シェル部分が多段重合プロセスにより提供される場合、「最外層」シェルはラテックス粒子を調製するために用いられる最終重合段階の組成物として定義される。典型的には、「最外層」シェルは、多段重合プロセスにより提供される場合は、ラテックスポリマー粒子のシェル部分全体の少なくとも約25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも約75%を構成する。好ましくは、本発明の有用な効果を達成するために用いられる架橋はラテックス粒子の「最外層」シェルに主として組み込まれる。クロスリンカー量は特記しないかぎり、ラテックス粒子を調製するために用いられる段階の数に関係なく、ラテックスポリマー粒子の全シェル部分に基づく。
【0037】
ラテックスポリマー粒子のボイドは、好ましくは、シェルに浸透し、コアを膨張させる水性塩基性膨潤剤で酸コアを膨潤させることにより生成する。この膨張は、コアの外表面のシェルの内表面の孔との部分的な合体、およびシェルおよび粒子全体の部分的な拡大または膨張を含む。膨張剤を乾燥により除去すると、コアの収縮によりミクロボイドが形成され、その程度はシェルの以前のサイズに戻ることに対する抵抗性に依存する。コアの適当な膨張剤としては、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)、および揮発性低級脂肪族アミン(例えば、トリメチルアミンおよびトリエチルアミン)があげられる。膨張工程は、任意の多段シェル重合段階中、任意の段階的重合段階の間、または多段重合プロセスの最後に起こすことができる。
【0038】
紫外線吸収組成物の貯蔵安定性を向上させるためにラテックス粒子のシェル部分の架橋が必要とされる。架橋レベルは、ラテックス粒子のシェルポリマー部分の全重量に基づいて4〜80%、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜60%、最も好ましくは20〜50%である。多段重合のラテックス粒子について、架橋がラテックス粒子の「最外層」において主として起こるのが好ましく;架橋レベルはラテックス粒子の「最外層」シェルポリマー部分に基づいて10〜100%、好ましくは15〜70%、より好ましくは20〜60%であり、架橋は1またはそれ以上の多エチレン性不飽和モノマーおよび多官能性モノマーの重合したモノマー単位に基づく。全シェル架橋レベルが約4%未満の場合には、架橋レベルはラテックス粒子を含有する配合されたパーソナルケア配合物に満足できるSPF向上保持性を提供するのに十分でない。
【0039】
シェルにおける架橋は1またはそれ以上のポリエチレン不飽和モノマーの使用により得ることができる。適当な多エチレン性不飽和架橋剤としては、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ポリアリルモノマー、ポリビニルモノマーおよび混合エチレン性官能性を有する(メタ)アクリルモノマーがあげられる。
【0040】
本発明において有用なジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビス(1−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フタレート、ビス(1−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フタレート、ビス(2−アクリルオキシエチル)ホスフェート、ビス(2−メタクリルオキシエチル)ホスフェート、ビス(アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ジエチレングリコール、ビス(メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ジエチレングリコール、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAジ(3−アクリルオキシエチル)エーテル、ビスフェノールAジ(3−メタクリルオキシエチル)エーテル、ビスフェノールAジ(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノールAジ(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ブタンジオールジ(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールビス(アクリルオキシプロピオネート)、1,3−ブタンジオールビス(メタクリルオキシプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(アクリルオキシプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(メタクリルオキシプロピオネート、2−ブテン−1,4−ジーオールジアクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールエーテルアクリレート、ジペンタエリスリトールエーテルメタクリレート、ジフェノール酸ジ(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ジフェノール酸ジ(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、7,7,9−トリメチル−3,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオールジアクリレート]、7,7,9−トリメチル−3,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオールジメタクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,2−エタンジオールジメタクリレート、1,2−エタンジオールビス(アクリルオキシプロピオネート)、1,2−エタンジオールビス(メタクリルオキシプロピオネート)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−フェニレンジアクリレート、1,4−フェニレンジメタクリレート、1−フェニル−1,2−エタンジオールジアクリレート、1−フェニル−1,2−エタンジオールジメタクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、プロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAジ(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロビスフェノールAジ(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロビスフェノールAジ(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、トリプロプロピレングリコールジアクリレート、およびトリプロピレングリコールジメタクリレートがあげられる。さらなる適当なジ(メタクリレート)としては、例えば芳香族フッ素化ジアクリレート(さらなる一般的および専門的詳細については米国特許第5380901号参照)、構造式:1,3−[CH=CHCOCHCHOHCHOC(CF(式中、R=C−C30である)を有するフッ素化ジアクリレート(さらなる一般的および専門的詳細については米国特許第4914171号参照)、フッ素化ジアクリレート(さらなる一般的および専門的詳細については欧州特許出願第529895号参照)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)ベンゼンジアクリレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)ベンゼンジメタクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシパーフルオロアルキル)ベンゼンジアクリレートおよびビスフェノールA(メタ)アクリレートのトリフルオロメチル類似体があげられる。
【0041】
本発明において有用なトリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、グリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリメタクリレート、シリコントリアクリレート、シリコントリメタクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリメタクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,2,3−トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,3−トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリス(アクリルオキシプロピオネート)、1,1,1−トリメチロールプロパントリス(メタクリルオキシプロピオネート)、1,2,3−トリメチロールプロパントリス(アクリルオキシプロピオネート)、1,2,3−トリメチロールプロパントリス(メタクリルオキシプロピオネート)、トリス−(2−アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス−(2−メタクリルオキシエチル)イソシアヌレートがあげられる。
【0042】
本発明において有用なテトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(アクリルオキシプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メタクリルオキシプロピオネート)があげられる。
【0043】
本発明において有用なポリアリルモノマーとしては、例えば、ジアリルカーボネート、ジアリルフマレート、ジアリルグルタレート、ジアリルイタコネート、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、ジアリルスクシネート、ジイソプロペニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、および1,3,5−トリイソプロペニルベンゼンがあげられる。
【0044】
本発明において有用なポリビニルモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルケトン、ジビニルピリジン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、グリセロールトリビニルエーテル、トリビニルベンゼン、および1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、部分的にフッ素化されたα,ω−ジエン、例えばCF=CFCFCFCHCH=CH(さらなる一般的および専門的詳細についてはPCT特許出願WO96/10047号参照)、トリフルオロアルカジエン(さらなる一般的および専門的詳細については米国特許第5043490号参照)、トリフルオロジビニルベンゼン(さらなる一般的および専門的詳細については米国特許第5043490号参照)、およびフッ素化1,2−エタンジオールのフッ素化ジビニルエーテル(さらなる一般的および専門的詳細については米国特許第5589557号参照)があげられる。好ましくは、ポリビニルモノマーはジビニルベンゼンである。
【0045】
本発明においてクロスリンカーとして有用な混合エチレン性官能性を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコールモノジシクロペンテニルエーテルのアクリレートエステル、アリルアクリルオキシプロピオネート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、クロチルアクリレート、クロチルメタクリレート、3−シクロヘキセニルメチレンオキシエチルアクリレート、3−シクロヘキセニルメチレンオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールモノジシクロペンテニルエーテルのメタクリレートエステル、メタアリルアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテルモノアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテルモノメタクリレートおよびN−アリルアクリルアミドがあげられる。好ましくは、混合エチレン性官能性を有する(メタ)アクリルモノマーはアリルメタクリレートである。
【0046】
ラテックスポリマーのシェル部分を架橋するのに有用なさらなる経路は1またはそれ以上の多官能性モノマー(MFM)の使用に基づいて、重合後架橋およびシースを強化するものである。MFMは少なくとも1個のビニル共重合可能な官能基および適当な反応性分子と反応できる少なくとも1個の官能基を含む。ポリマーシースの重合後架橋に適した官能基および反応性分子としては、例えば、シースにおけるポリオール官能基と酸およびアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)反応性分子との反応;シースにおけるシロキサン官能基と第一アミンまたはアミド反応性分子との反応;Zn(II)のシースにおけるポリ酸官能基への添加;照射;シースにおける官能基のさらなる開始剤を用いるかまたは用いない熱硬化;無水物、イソシアネート、エポキシシロキサン、ジエポキシド(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)およびヒドロキシ酸反応性分子の、シースマトリックスを構成するアミン、アルコールおよびカルボキシレート官能基への添加を含む。
【0047】
重合後架橋に適したMFMとしては、例えば、ビニルシロキサン、アクリロイルシロキサン、メタクリロイルシロキサン、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、アセトアセトキシエチルメタクリレートまたはAAEM)、N−アルキロール(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、グリシジルメタクリレート)、アクリロイルイソシアネートおよびメタクリロイルイソシアネートがあげられる。適当なビニルシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリオキシプロピルシラン、アクリルアミドプロピルトリメトキシシラン、メタクリルアミドプロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシランおよびSilquestシラン(Whitco Corp.、Tarrytown、NY、USA)として公知のモノマーがあげられる。適当なアクリロイルシロキサンおよびメタクリロイルシランとしては、例えば、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシトリメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)メチルジアルコキシシランおよびSilquestシランがあげられる。適当なN−アルキロール(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミドおよびメチルアクリルアミドグリコレートメチルエーテルがあげられる。好ましくは、MFMはアセトアセトキシエチルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミドおよびグリシジルメタクリレートから選択される。
【0048】
前記のようなMWFをベースとするシェルポリマーは、アミン、ジアミン、アミノ酸およびアミノアルキルトリアルコキシシランから選択される反応性分子と反応することができ;任意に続いて他の反応性分子:アルデヒド(例えばホルムアルデヒド)、ジアルデヒド(例えばグルタル酸ジアルデヒド)、ヒドラジドおよびジヒドラジド(例えばコハク酸ジヒドラジド)を添加して重合後架橋したゾル−ゲルが形成される。
【0049】
ラテックスポリマー粒子に加えて、本発明の方法により改良される配合組成物は少なくとも1種の紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は所望の日焼け止め指数を得る量で配合組成物中に組み込むことができる。例えば、紫外線吸収剤は組成物中の不揮発性物質の全重量に基づいて一般に1〜50%、好ましくは10〜40%、より好ましくは20〜35%の量で添加することができる。配合組成物の全重量に基づいて、紫外線吸収剤の量は一般に0.5〜25%、好ましくは2〜20%、より好ましくは5〜15%である。
【0050】
本発明の方法において用いられる紫外線吸収剤は公知物質である。適当な紫外線吸収剤としては、たとえば、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、スルイソベンゾン(sulisobenzone)、メチルアントラニレート、パラアミノ安息香酸、アミルパラジメチルアミノ安息香酸、オクチルパラジメチルアミノベンゾエート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)パラアミノベンゾエート、ポリエチレングリコール(PEG−25)パラアミノベンゾエート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、ジエタノールアミンパラメトキシシンナメート、2−エトキシエチルパラメトキシシンナメート、エチルヘキシルパラメトキシシンナメート、オクチルパラメトキシシンナメート、イソアミルパラメトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、グリセリルアミノベンゾエート、トリエタノールアミンサリチレート、ジガロイルトリオレエート、ラウソンとジヒドロキシアセトン、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、4−メチルベンジリジンカンファー、アボベンゾン(avobenzone)、二酸化チタンおよび酸化亜鉛があげられる。別法として、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ビニル基含有アミド、桂皮酸アミドおよびスルホン化ベンズイミダゾールなどの紫外線吸収剤も用いることができる。欧州特許出願第893119号はこれらの紫外線吸収剤についてのさらなる一般的および専門的詳細について参照できる。
【0051】
本発明の方法により改良される組成物は、さらに紫外線吸収組成物において用いられる他の公知のアジュバント(任意に配合組成物に添加することができるが、水および揮発性アルコールおよび炭化水素成分はこの範疇に含まれない)を含むことができる。例えば、組成物がサンスクリーンとして使用される場合、これはさらにフィルム形成性物質、乳化剤、皮膚軟化薬、防水剤、油、安定剤、増粘剤、保存料、香料、着色剤、駆虫剤、セルフタンニング剤(self−tanning agents)、湿潤剤およびその組み合わせを含むことができる。組成物が化粧品として用いられる場合、これはさらに、例えば、フィルム形成性物質、乳化剤、軟化剤、セルフタンニング剤、湿潤剤、皮膚軟化薬、油、安定剤、増粘剤、保存料、香料、着色剤、顔料およびその組み合わせを含むことができる。典型的には、公知のアジュバント(使用される場合)の量は一般に組成物中の不揮発性物質の全重量に基づいて、1〜70%、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%であり;配合組成物の全重量に基づいて、公知のアジュバントの量は一般に0〜25%、好ましくは1〜15%、より好ましくは3〜12%である。
【0052】
本発明の方法により改良される組成物は、紫外線からの保護が有用である任意の用途において用いることができる。例えば、改良された組成物を人間の皮膚および毛髪に、例えば化粧品、サンスクリーン、およびヘアケア製品をはじめとするパーソナルケア製品として用いることができる。加えて、本発明の方法はさらに植物、プラスチック、木材上のコーティング、例えば透明ワニスの形態の組成物の紫外線吸収貯蔵安定性の向上において有用である。
【0053】
本発明の方法は、透明または着色された配合物の紫外線吸収貯蔵安定性を向上させるために用いることができる。粒子サイズが500nm未満、好ましくは450nm未満、より好ましくは350nm未満であるラテックスポリマー粒子を添加することは白色度にあまり寄与しないので、本発明方法はサンスクリーン配合物などの透明配合物が望ましい場合に特に有用である。本発明の方法は長期間所定の紫外線吸収性を維持しながら、所定の配合物の紫外線吸収を増加させるかまたは配合物中に存在する紫外線吸収剤の量を減少させることができる。
【0054】
理論に限定されることを望まないが、本発明者らは、本発明の場合においてラテックスポリマー粒子のシェルの架橋性は配合組成物中に存在する油溶性添加物のシェルの侵入、シェルによる取り込み、またはそのいずれも抑制する(向上された化学物質耐性)ことにより紫外線吸収組成物の貯蔵安定性を向上させると考える。粒子のシェル部分が架橋されていないかまたは少しだけ架橋されているラテックスポリマー粒子が、サンスクリーン配合物中に組み込まれる場合、初期SPF向上効果(%SE)は明らかであるが;公知のアジュバント(例えば、パーソナルケア配合物中に存在する油、皮膚軟化薬または紫外線吸収剤など)とラテックスポリマー粒子間の相互作用のため、粒子の完全性が損なわれるので、向上効果の耐久性は時間とともに急速に減少する。しかしながら、(本発明におけるように)シェルがシェルポリマーの全重量に基づいて少なくとも4%、好ましくは少なくとも10%の程度まで架橋している場合、本発明者らは紫外線吸収の向上に対するパーソナルケア組成物の有害な影響は著しく減少すると信じている。
【0055】
本発明により改良された組成物は、例えば約0.5マイクロリットル/平方センチメートル(μl/cm)〜約4μl/cmのコーティング体積で皮膚に塗布できる。
【実施例】
【0056】
本発明のいくつかの態様を以下の実施例に詳細に記載する。すべての比、部およびパーセントは特記しないかぎり重量で表し、使用したすべての試薬は特記しないかぎり良好な商業的品質のものであった。実施例において以下の略号を用いる:
MMA=メチルメタクリレート
BMA=ブチルメタクリレート
ALMA=アリルメタクリレート
MAA=メタクリル酸
DVB=ジビニルベンゼン(80%活性、20%エチルビニルベンゼン)
Sty=スチレン
SSS=スチレンスルホン酸ナトリウム
AAEM=アセトアセトキシエチルメタクリレート
SDBS=ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
TMPTA=トリメチロールプロパントリアクリレート
TEGDA=テトラエチレングリコールジアクリレート
PBW=重量部
XL=クロスリンカー
NA=分析せず
MFM=多官能性モノマー
【0057】
実施例1および2に記載するラテックスポリマー粒子およびコアポリマー分散液(ポリマー#1〜37に対応)を米国特許第4427836号に記載された方法と同様にして調製した;コアポリマーは典型的には平均粒子径が90から150nm(または0.09から0.15μ)であり、ポリマー#1は対照(比較)ポリマーであり、米国特許第5663213号に記載されているポリマー粒子の代表例である。以下に列挙するすべてのポリマー粒子組成物は、ポリ(MMA/MAA//60/40)に相当する1pbwコアポリマーに基づく。ポリマー#1〜24および#33〜37を実施例1に記載した一般法により調製し;ポリマー#25〜32を実施例2に記載した一般法により調製した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
実施例1(多エチレン性不飽和モノマーでの架橋)
オーバーヘッドスターラー、熱電対、加熱マントル、アダプターインレット、水コンデンサーおよび窒素導入口を取り付けたクライゼンヘッド、およびインレットアダプターを備えた3リットルの四ツ口丸底フラスコに630.50グラム(g)の脱イオン水を添加し、窒素雰囲気下で86℃に加熱した。加熱された水に、6.88gの脱イオン水中0.96gの過硫酸ナトリウムを添加し、続いて平均粒子径が約110から150nmである31%ポリ(MMA/MAA//60/40)アクリルシード(コア)ポリマーの水性分散液を添加した。この82℃で加熱された混合物に23.75gの脱イオン水、1.62gの23%SDBSの水溶液、66.72gのMMA、6.34gのBMAおよび2.20gのMAAを含有するモノマーエマルジョンを90分かけて計量投入し、続いて脱イオン水でリンスして入れた。次に、18.51gの脱イオン水中0.51gの過硫酸ナトリウムの溶液を90分かけて添加し、反応温度を90℃に上げ、同時に37.12gの脱イオン水、1.02の23%SDBSの水溶液、83.30gのSty、4.99gのDVB(80%)および0.48gのアマニ油脂肪酸を含む第二モノマーエマルジョンを30分かけて添加した。第二モノマーエマルジョン添加完了時に7.06gの28%水性水酸化アンモニウムを添加した。90℃の反応混合物に60分かけて、66.03gの脱イオン水、3.43gの23%SDBS水溶液、77.44gのStyおよび81.13gのDVB(80%)を含む第三モノマーエマルジョンを添加し、続いて脱イオン水でリンスした。反応器内容物を90℃に30分間維持し、8.14gの脱イオン水中0.24gの過硫酸ナトリウムを添加し、反応混合物を該温度にさらに30分間維持し、次に85℃に冷却した。次に、0.25gの1%versene溶液を含む2.45gの0.15%FeSO・7HO水溶液を添加し、同時に60分かけて14.51gの脱イオン水中2.41gのt−ブチル水素過酸化物(70%)と14.73gの脱イオン水中1.22gのイソアスコルビン酸を80℃に維持した反応器に添加した。ラテックスを冷却し、次に濾過した。この記載はポリマー#7の調製に対応する。
【0062】
実施例2(MFMでの重合後架橋)
前記実施例に記載した装置を用いて、630.80gの脱イオン水を反応器に供給し、窒素雰囲気下で86℃に加熱した。加熱した水に6.86gの脱イオン水中0.96gの過硫酸ナトリウムを添加し、続いて平均粒子径が約110から150nmである31%のポリ(MMA/MAA//60/40)アクリルシード(コア)ポリマーの水性分散液を添加した。この82℃で加熱された混合物に、23.66gの脱イオン水、1.98gの23%SDBSの水溶液、65.12gのMMA、6.33gのBMA、2.21gのMAAおよび0.77gのALMAを90分かけて計量投入し、続いて脱イオン水でリンスした。次に、20.07gの脱イオン水中0.52gの過硫酸ナトリウムの溶液を90分かけて添加し、反応温度を88℃に上げ、同時に90分かけて112.11gの脱イオン水、11.32gの23%SDBSの水溶液、156.39gのMMA、2.72gのALMA、105.93gのAAEMおよび1.32gのアマニ油脂肪酸を含む第二のモノマーエマルジョンを添加し、続いて水でリンスした。第二のモノマーエマルジョンの添加の中間時点で、40.00gの水性28%水酸化アンモニウムを5分かけて添加した。第二のモノマーエマルジョンの添加完了後に、反応器内容物を88℃に10分間維持し、次に85℃に冷却した。次に、0.24gの1%versene溶液を含む2.42gの0.15%FeSO・7HO水溶液を添加し、続いて同時に60分かけて14.59gの脱イオン水中2.41gのt−ブチル水素過酸化物(70%)と14.65gの脱イオン水中1.22gのイソアスコルビン酸を80℃に維持した反応器に添加した。103.82gの脱イオン水中42.00gの37%ホルムアルデヒドの水溶液を30分かけて添加した。この添加後、反応混合物を75〜80℃に30分間維持し、室温に冷却し、濾過した。この記載はポリマー#30の調製に対応する。
【0063】
実施例3(ラテックス粒子の貯蔵安定性の評価)
本発明において有用なラテックスポリマー粒子を含有する組成物を紫外線吸収における効果について評価して、人間の皮膚上での異なる程度のサンスクリーンをシミュレーションした。ラテックス粒子を配合組成物の全重量に基づいて5%(ポリマー固形分)の量でサンスクリーンエマルジョン配合物に添加することにより配合組成物を調製した。エマルジョン配合物は表1に示す以下の成分を含有し、以下のようにして調製した:
【0064】
【表4】

【0065】
A相成分を混合し、75℃に加熱した。別の容器中で、B相成分を混合し、75℃に加熱した。適切に撹拌しながら、B相をA相中に混合した。完全に混合した後、C相をA/B混合物に添加し、次に混合物を撹拌しながら40℃に冷却した。混合物が40℃以下になったら、乳化重合により調製しておいたD相(ラテックスポリマー)を分散液として添加した。
【0066】
対照組成物(以下「対照」と記載)もラテックスポリマー粒子を添加しない以外は表1に示すような組成にしたがって調製した。アクリレートコポリマー(Rohm & Haas Company、Philadelphia、PAからのAculyn33増粘剤)を組成物に添加して、増粘し;グリセリンを湿潤剤として添加し;EDTA(エチレンジアミン四酢酸)4ナトリウムを無機イオンを調節するために添加し;オクチルメトキシシンナメートおよびベンゾフェノン−3(それぞれInternational Specialty Products(ISP)からのEscalol557およびEscalol567)を紫外線吸収剤として添加し;(C12−C15)アルキルラクテート(ISPからのCeraphyl41)を皮膚軟化薬および賦形剤として添加し;PVP/エイコセンコポリマー(ISPからのGanex V−220)を防水剤およびフィルム形成剤として添加し;シクロメチコン(Dow CorningからのDow Corning345 Fluid)を皮膚軟化薬および賦形剤として添加し;ステアリン酸を乳化剤として添加し;トリエタノールアミンをステアリン酸とアクリレートコポリマーのいずれもの中和剤として添加した。
【0067】
試験組成物の紫外線吸収能力を試験化合物の日焼け止め指数(SPF)を測定することにより評価した。SPFを、積分球を用いたSPF290分析器およびOptometrics Group(Ayer、Massachusetts、USA)により供給されるSPF操作ソフトウェアを用いて測定した。SPF290分析器は紫外線波長(各サンプルについて290〜400nm)にわたって紫外線吸収を測定し、この紫外線吸収スペクトルに基づいてSPFを計算した。SPFを測定するための以下の手順を用いた。
【0068】
調製された組成物を0.038ミリメートル(mm)または1.5ミルの量で石英プレート上にキャリブレーションしたバード(bird)でコートした。これにより、FDAの試験法(64Federal Register、21CFR、parts310、352、700、740;27666〜27693ページ(1999年5月21日)にしたがって人間の皮膚上のSPF値を測定するためのフィルム厚(2μl/cm)にほぼ等しい非常に均質なフィルムが得られた。
【0069】
SPF値を初期サンプル、45℃(±1℃)で1週間貯蔵した後のサンプル、45℃で2週間貯蔵した後のサンプルについて測定し;いくつかのサンプルについては4週間および3ヶ月後にも評価した。「対照」も同様にして測定し、貯蔵した。SER値を以下のようにして計算した:
[ある時間のSPFs]−[初期SPFc]=ある時間のΔSPFs
[初期SPFs]−[初期SPFc]=初期ΔSPFs
SER=100×[ある時間のΔSPFs/初期ΔSPFs]
式中、ΔSPF=ラテックス粒子を含まない対照配合物に対するSPFにおける向上(%);SPFs、ΔSPFs、SPFc、ΔSPFc=それぞれ「サンプル」および「対照」についての値;*貯蔵時間(例えば、1週間、2週間、4週間)。
【0070】
本発明において記載する促進されたエージング試験は、周囲温度で貯蔵された市販の配合物(本発明のラテックスポリマー粒子を含有する)についての予想される保存性を近似するものと考えられる。例えば、45℃で2週間は3ヶ月後の保存性の推定値であり;45℃で4週間は1年後の保存性の推定値であり;45℃で3ヶ月は、3年後の保存性の推定値である。
【0071】
本発明の目的について、架橋シェルポリマー組成物により得られるSPF向上保持性(SER)における改良は、45℃で2週間後に測定して、少なくとも40、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも75、最も好ましくは少なくとも90のSER値により表される。好ましくは、配合組成物も45℃で4週間後に測定して前記のようなSER値を有する。表2、3、4および5はラテックスポリマー粒子のシェル部分におけるクロスリンカー量の貯蔵時間の関数としてのSER値に対する影響をまとめる。追加データ:表2において、ポリマー#7は45℃で3ヶ月後のSER値が114であり;表5において、ポリマー#31は45℃で3ヶ月後のSER値が100である。
【0072】
【表5】

【0073】
全シェル部分におけるクロスリンカー(%)[最外層シェルのみにおけるクロスリンカー(%)]。
**100%より大きなSER値は(ラテックス粒子の影響に加えて)エージングサンプル中の紫外線吸収剤の初期対照におけるより均質な分布のためと考えられる。
【0074】
【表6】

【0075】
および**(表2脚注参照)
【0076】
【表7】

【0077】
および**(表2脚注参照);全シェル部分における%XL値はポリマー#20〜24については0.6〜1%ALMAおよびポリマー#19については0.2%ALMAを含む。
【0078】
(重合後架橋、AAEM)
【0079】
【表8】

【0080】
および**(表2脚注参照)全シェル部分における%XL値はポリマー#25−32については1%ALMA含む。
【0081】
実施例4(粒子サイズのSPF向上および不透明性に対する影響)
本発明において有用なラテックスポリマー粒子を含有する組成物を紫外線吸収における有効性について評価した。配合組成物の全重量に基づいて2〜5%(ポリマー固形分)の量でラテックスポリマー粒子をサンスクリーンエマルジョン配合物に添加することにより配合組成物を調製した。エマルジョン配合物は表6に示す以下の成分を含有し、実施例3において記載する方法と同様にして調製した。
【0082】
【表9】

【0083】
実施例3に記載した手順を用いてSPFを測定し、SPF向上率(%)(%SE)を決定した。
%SPF向上率(%SE)=[SPF(サンプル)SPF(対照)/SPF(対照)]×100
【0084】
(%SE対ポリマー粒子の粒子サイズ/配合量)
【0085】
【表10】

【0086】
配合物中の不揮発性物質の重量に基づいたポリマー粒子(%)(配合物の全重量に基づいてそれぞれ2、3.5および5%に相当)。
【0087】
データ(表7)は、所定のラテックスポリマー配合量について、SE(%)は粒子サイズが増加するにつれて増加し、一定の粒子サイズについて、SE(%)は乾燥ポリマーの配合量が増加するにつれて増加することを示す。
【0088】
サンプルをさらにヘリウムネオンレーザーを用いた全光後方散乱により不透明度について測定した。サンプルを標準サンスクリーンNeutrogena敏感肌サンブロック(Neutrogena Corp)(SPF17、二酸化チタン含有)と比較した。この製品の成分は:活性成分(二酸化チタン);不活性成分(精製水、オクチルパルミテート、ステアリルジメチコン、ジメチコン、オクチルドデシルネオペンタノエート、シクロメチコン、イソエイコサン、ポリグリセリル−4イソステアレート、セチルジメチコンコポリオール、ヘキシルラウレート、セチルリシノレエート、イソドデカン、大豆タンパク加水分解物、シア脂不鹸化物、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ステアリン酸、塩化ナトリウム、ジアゾリジニル尿素(diazolidinyl urea)、メチルパラベン、エチルパラベンおよびプロピルパラベン)である。不透明度1.0を与える標準に対する種々の配合量でのポリマーサンプルのそれぞれについての不透明度を表8に列挙する。
【0089】
(相対的不透明度とポリマー粒子の粒子サイズ/配合量)
【0090】
【表11】

【0091】
配合物中の不揮発性物質の全重量に基づくポリマー粒子(%)(配合物の全重量に基づいてそれぞれ2、3.5および5に相当する)。
【0092】
ラテックス粒子の粒子サイズにおける増加、または配合量における増加は標準に比較しての配合物の不透明度を増加させる。パーソナルケア配合物における使用について典型的に許容される最大相対不透明度は1.3未満であり;透明配合物については、相対的不透明性についての所望の範囲は0.6未満である。相対的不透明度が約1.0未満に維持される場合、SE(%)は最大になり、粒子の最大サイズは約400nm(配合量23%)であり、少なくとも50のSE(%)を与える粒子についての最少サイズの範囲は約300nmである。「透明」配合物について、すなわち相対不透明度が0.6未満のものについて、最大粒子サイズは14〜30%の配合量について約320nmまでである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収組成物において不揮発性物質の全重量に基づいて5〜70%のラテックスポリマー粒子を用いて該組成物の紫外線吸収を増大させることを含み、
(a)前記組成物が少なくとも1種の紫外線吸収剤及びラテックスポリマー粒子を含み;
(b)ラテックスポリマー粒子がボイドを有し、粒子サイズが50〜1000ナノメートルであり;
(c)ラテックスポリマー粒子が、
(i)シェル部分の全重量に基づいて10〜80%の、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ポリアリルモノマー、ポリビニルモノマーおよび混合エチレン官能性を有する(メタ)アクリルモノマーから選択される1以上の多エチレン性不飽和モノマーのモノマー単位を組み込むための重合;および
(ii)シェル部分の全重量に基づいて10〜80%の、ビニルシロキサン、アクリロイルシロキサン、メタクリロイルシロキサン、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキロール(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート、アクリロイルイソシアネートおよびメタクリロイルイソシアネートから選択される1またはそれ以上の多官能性モノマーのモノマー単位を組み込むための重合、
から選択される1またはそれ以上の工程により調製されるシェル部分を含み、
45℃で2週間貯蔵された前記組成物のSPF向上保持値が少なくとも40であるように紫外線吸収性組成物の貯蔵安定性を提供する方法:
ここで、前記SPF向上保持値は以下のように計算される:
SPF向上保持値=100×[2週間でのΔSPFs/初期ΔSPFs];
[2週間でのSPFs]−[初期SPFc]=2週間でのΔSPFs;
[初期SPFs]−[初期SPFc]=初期ΔSPFs;
[初期SPFs]は当初に測定された前記組成物のSPF値であり、
[2週間でのSPFs]は、45℃で2週間貯蔵した後に測定された前記組成物のSPF値であり、
[初期SPFc]は、前記ラテックスポリマー粒子が存在しないことを除き前記組成物と同じ組成物の当初に測定されたSPF値である。
【請求項2】
ラテックスポリマー粒子のシェル部分がさらに、重合単位としてシェル部分の全重量に基づいて20〜90%の、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジメチルアミノプロピルメタクリルアミドから選択される1またはそれ以上の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
ラテックスポリマー粒子のシェル部分が重合単位としてさらにポリマー粒子のシェル部分の重量に基づいて1〜80%のビニル芳香族モノマーを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
ラテックスポリマー粒子が最外層シェルを含み、最外層シェルが最外層シェルの重量に基づいて10〜100%の、工程(c)(i)の多エチレン性不飽和モノマー及び工程(c)(ii)の多官能性モノマーの1またはそれ以上の重合したモノマー単位を含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
紫外線吸収剤がオキシベンゾン、ジオキシベンゾン、スルイソベンゾン、メンチルアントラニレート、パラアミノ安息香酸、アミルパラジメチルアミノ安息香酸、オクチルパラジメチルアミノベンゾエート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)パラアミノベンゾエート、ポリエチレングリコール(PEG−25)パラアミノベンゾエート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、ジエタノールアミンパラメトキシシンナメート、2−エトキシエチルパラメトキシシンナメート、エチルヘキシルパラメトキシシンナメート、オクチルパラメトキシシンナメート、イソアミルパラメトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル−アクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、グリセリルアミノベンゾエート、トリエタノールアミンサリチレート、ジガロイルトリオレエート、ラウソンとジヒドロキシアセトン、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、4−メチルベンジリジンカンファー、アボベンゾン、二酸化チタン、酸化亜鉛、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ビニル基含有アミド、桂皮酸アミドおよびスルホン化ベンズイミダゾールから選択される化学物質の1種以上である請求項1記載の方法。
【請求項6】
工程(c)(i)の多エチレン性不飽和モノマーがジビニルベンゼン、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリルメタクリレートから選択される請求項1記載の方法。
【請求項7】
工程(c)(ii)の多官能性モノマーがアセトアセトキシエチルメタクリレートである請求項1記載の方法。
【請求項8】
(a)少なくとも1種の紫外線吸収剤;および
(b)5〜70%の請求項1記載のラテックスポリマー粒子
を含むパーソナルケア組成物。

【公開番号】特開2012−122074(P2012−122074A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10068(P2012−10068)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2000−315732(P2000−315732)の分割
【原出願日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】