説明

終減速装置

【課題】二段階の終減速を行う終減速装置の小型化を図る。
【解決手段】ドライブ・ピニオン・シャフト9からの駆動力を減速して出力する第1の減速ギヤ組11と、第1の減速ギヤ組11から出力された駆動力を受ける中間軸13と、中間軸13に同心上に配置連動構成されて中間軸13からの駆動力を分配出力する差動ギヤ組15と、差動ギヤ組15から分配出力された駆動力を一対の後輪車軸21,23に減速して出力する一対の第2の減速ギヤ組17,19とを備えことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に供される終減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の終減速装置としては、例えば特許文献1のようにデファレンシャル装置の入力側に第1の減速ギヤ組を設けると共に同出力側に第2の減速ギヤ組を設け、二段階の終減速を行うものがある。
【0003】
この終減速装置は、デファレンシャル装置のデフ・ケースに第1の減速ギヤ組を介して駆動力が減速して入力される。デフ・ケースに入力された駆動力は、内部の差動ギヤ組から第2の減速ギヤ組を介して減速して出力されるようになっている。
【0004】
かかる終減速装置では、第1の減速ギヤ組の小型化を図ることができ、結果として終減速装置全体としての小型化をも図ることができる。
【0005】
しかしながら、従来の構造では、デファレンシャル装置がデフ・ケース内に差動ギヤ組を収容連動構成したものであるため、小型化には限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−344103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、二段階の終減速を行う終減速装置において小型化に限界があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、二段階の終減速を行う終減速装置の小型化を図るため、入力側回転部材からの駆動力を減速して出力する第1の減速ギヤ組と、該第1の減速ギヤ組から出力された駆動力を受ける中間軸と、該中間軸に同心上に配置連動構成されて前記中間軸からの駆動力を分配出力する差動ギヤ組と、該差動ギヤ組から分配出力された駆動力を一対の出力側回転部材に減速して出力する一対の第2の減速ギヤ組とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の終減速装置は、第1の減速ギヤ組から出力された駆動力を受ける中間軸の外周に、差動ギヤ組を配置連動構成したため、確実に軸方向及び径方向の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】終減速装置を適用した四輪駆動車の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例1)。
【図2】図1の四輪駆動車に適用された終減速装置の断面図である(実施例1)。
【図3】終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例2)。
【図4】終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例3)。
【図5】終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例4)。
【図6】終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例5)。
【図7】終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例6)。
【図8】終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である(実施例7)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
二段階の終減速を行う終減速装置の小型化を図るという目的を、デフ・ケースを省略することによって実現した。
【実施例1】
【0012】
[四輪駆動車の概要]
図1は、本発明の実施例1に係る終減速装置を適用した四輪駆動車の概略構成を示すスケルトン平面図である。
図1のように、本実施例の終減速装置1は、いわゆるハイブリッド自動車として構成された四輪駆動車3の後輪5,7側に適用されたものである。この終減速装置1は、入力側回転部材であるドライブ・ピニオン・シャフト9から駆動入力されるようになっている。入力された駆動力は、第1の減速ギヤ組11、中間軸13、差動ギヤ組15、一対の第2の減速ギヤ組17,19を介して一対の出力側回転部材である左右の後輪車軸21,23から出力されるようになっている。左右の後輪車軸21,23には、左右の後輪5,7が連動連結されている。
【0013】
前記ドライブ・ピニオン・シャフト9には、ユニバーサル・ジョイント25を介してプロペラ・シャフト27が結合されている。プロペラ・シャフト27には、ユニバーサル・ジョイント29を介して、動力分配機構であるトランスファ31の後輪側出力軸33が結合されている。後輪側出力軸33にはベベル・ギヤ35が設けられ、このベベル・ギヤ35がトランスファ31の入力軸である連結中空軸37に設けられたベベル・ギヤ39に噛み合っている。連結中空軸37は、フロント・デファレンシャル装置41のデフ・ケース43に一体的に結合連動構成されている。
【0014】
フロント・デファレンシャル装置41は、変速機構であるトランスミッション45のミッション・ケース47内に配置され、駆動源である内燃機関からなるエンジン49及び電動モータ51の何れか一方又は双方からトランスミッション45を介して駆動入力を受ける。この駆動入力は、トランスミッション45の出力軸53に設けられた出力ギヤ55からリング・ギヤ57を介しデフ・ケース43に対して行われる。
【0015】
デフ・ケース43内には、ピニオン・シャフト59を介してピニオン・ギヤ61,61が回転自在に支持されている。ピニオン・ギヤ61,61には、相対回転自在な左右のサイド・ギヤ63,65が噛み合っている。左右のサイド・ギヤ63,65には、左右の車軸中間軸67,69がそれぞれ結合されている。
【0016】
左右の車軸中間軸67,69は、ミッション・ケース47外に延設されている。右車軸中間軸69は、トランスファ31の連結中空軸37内を通ってトランスファ・ケース71外に延設されている。この右車軸中間軸69は、トランスファ・ケース71外で車体側に支持されている。左右の車軸中間軸67,69は、左右の前輪車軸73,75を介して左右の前輪77,79に連動連結されている。
【0017】
従って、エンジン49及び電動モータ51の何れか一方又は双方からトランスミッション45を介してフロント・デファレンシャル装置41に駆動入力されると、一方では前輪車軸73,75を介して左右の前輪77,79へ駆動力伝達が行われる。他方では、フロント・デファレンシャル装置41のデフ・ケース43、トランスファ31の連結中空軸37、ベベル・ギヤ39,35を介して後輪側出力軸33へ駆動力伝達が行われる。
【0018】
後輪側出力軸33からは、ユニバーサル・ジョイント29、プロペラ・シャフト27、ユニバーサル・ジョイント25、ドライブ・ピニオン・シャフト9を介して終減速装置1へ駆動入力される。終減速装置1からは、後輪車軸21,23を介して、左右の後輪5,7へ駆動力伝達が行われる。
【0019】
こうして、四輪駆動車3では、前後輪77,79,5,7によって、四輪駆動走行を行うことができる。
【0020】
[終減速装置]
図2は、図1の四輪駆動車に適用された終減速装置の断面図である。
【0021】
図2のように、終減速装置1は、静止側部材のキャリヤ・ケース81内に、第1の減速ギヤ組11と、中間軸13と、差動ギヤ組15と、一対の第2の減速ギヤ組17,19とを備えている。
【0022】
キャリヤ・ケース81は、本体部85及び蓋体部87の左右方向の合わせ構造で形成されている。本体部85及び蓋体部87は、ボルト(図示外)によって締結結合されている。キャリヤ・ケース81の入力側には前後方向の支持ボス部89が設けられ、同出力側には左右方向の支持ボス部91,93が設けられている。
【0023】
前記第1の減速ギヤ組11は、キャリヤ・ケース81の入力側に配置されている。この第1の減速ギヤ組11は、入力側ギヤであるドライブ・ピニオン・ギヤ95と出力側ギヤであるリング・ギヤ97とが直交噛み合いして構成されている。第1の減速ギヤ組11は、ドライブ・ピニオン・ギヤ95とリング・ギヤとの減速比に応じて、ドライブ・ピニオン・シャフト9の駆動力をリング・ギヤ97から減速して出力する。
【0024】
ドライブ・ピニオン・ギヤ95は、ドライブ・ピニオン・シャフト9の一端に一体に設けられている。従って、ドライブ・ピニオン・ギヤ95は、ドライブ・ピニオン・シャフト9と一体回転する。
【0025】
このドライブ・ピニオン・シャフト9の一端は、キャリヤ・ケース81内に配置され、同他端は、キャリヤ・ケース81外に配置されてプロペラ・シャフト27側に連結されている。ドライブ・ピニオン・シャフト9は、中間部がキャリヤ・ケース81の支持ボス部89にユニット・ベアリング99を介して回転自在に支持されている。
【0026】
ユニット・ベアリング99は、一対のアンギュラ・ベアリング101,103を一体に設けたものである。ユニット・ベアリング99のインナー・レース105,107は、ドライブ・ピニオン・シャフト9の中間部外周に嵌合し、一体のアウター・レース109は、支持ボス部89内周に嵌合している。
【0027】
前記ユニット・ベアリング99のインナー・レース105,107は、ドライブ・ピニオン・シャフト9他端側のナット111により、ドライブ・ピニオン・ギヤ95の背面側に対して締結固定されている。インナー・レース107とナット111との間には、カラー113が介設されている。カラー113とキャリヤ・ケース81の支持ボス部89端部との間には、密閉用のシール115が介設されている。
【0028】
ユニット・ベアリング99のアウター・レース109は、取付フランジ部117が一体に設けられ、この取付フランジ部117がキャリヤ・ケース81の本体部85に対してボルト119によって締結固定されている。
【0029】
前記リング・ギヤ97は、ドライブ・ピニオン・ギヤ95よりも大径のリング状に形成されている。このリング・ギヤ97は、中間軸13に係合支持されている。
【0030】
中間軸13は、キャリヤ・ケース81内に左右方向に沿って配置されている。中間軸13の一端は、キャリヤ・ケース81の本体部85に設けられた支持ボス部121に、アンギュラ・ベアリング123を介して回転自在に支持されている。支持ボス部121には、中間軸13を締結するためのキャップ125が螺合されている。キャップ125とアンギュラ・ベアリング123との間には、シム127が介設されている。
【0031】
中間軸13の他端は、キャリヤ・ケース81の蓋体部87に設けられた支持ボス部129に、アンギュラ・ベアリング131を介して回転自在に支持されている。蓋体部87とアンギュラ・ベアリング131との間には、シム133が介設されている。
【0032】
従って、中間軸13は、アンギュラ・ベアリング123,131及びシム127,133を介して、キャリヤ・ケース81の支持ボス部121,129間に位置決め支持されている。かかる位置決め支持を通じて、リング・ギヤ97の位置決め支持も行われている。このため、シム127,133の板厚調整により、リング・ギヤ97の噛み合い位置を調整できるようになっている。なお、シム127,133の板圧調整は、キャップ125の螺合位置調整によって吸収される。
【0033】
前記中間軸13の一端側には、雄スプライン135が設けられ、リング・ギヤ97内周の雌スプライン137がスプライン係合している。雄スプライン135の一側には、フランジ部139が設けられている。フランジ部139には、リング・ギヤ97が軸方向で突き当てられ位置決められている。雄スプライン135の他側には、ナット141が螺合されている。このナット141により、リング・ギヤ97は、フランジ部139に対して締結されている。
【0034】
従って、リング・ギヤ97は、中間軸13に同心上に結合され、中間軸13と一体回転する。このため、中間軸13は、リング・ギヤ97を介して第1の減速ギヤ組11から出力された駆動力を受けるようになっている。なお、中間軸13とリング・ギヤ97との間の結合手段としては、他に圧入や溶接があり、この場合には、構造をさらに簡素化できると共に軸方向の小型化も可能である。
【0035】
中間軸13の中間部には、ピニオン・シャフト143が一体的に設けられている。ピニオン・シャフト143は、シャフト本体145が中間軸13の径方向に貫通形成された嵌合孔147に軽圧入されている。シャフト本体145は、嵌合孔147内に突出するピン又はボルトの係止部材149が係合し、嵌合孔147に対する回り止め及び抜け止めが行われている。このピニオン・シャフト143は、シャフト端部151,151が中間軸13外周から径方向に突出している。
【0036】
差動ギヤ組15は、中間軸13に同心上に配置されると共に中間軸13に連動構成され、中間軸13からの駆動力を分配出力する。差動ギヤ組15は、入力ギヤであるピニオン・ギヤ153,153と、一対の出力ギヤである左右のサイド・ギヤ155,157とからなっている。
【0037】
各ピニオン・ギヤ153は、中間軸13の外周で、ピニオン・シャフト143のシャフト端部151周りに回転自在に支持されている。このピニオン・ギヤ153の背面側には、背面部として凸状球面からなる凸背面部159が設けられている。
左右のサイド・ギヤ155,157は、中間軸13外周に相対回転自転に遊嵌支持されている。このサイド・ギヤ155,157は、ピニオン・ギヤ153,153に対して軸方向両側から直交噛み合いしている。従って、サイド・ギヤ155,157は、ピニオン・ギヤ153,153の回転によって差動回転が許容されるようになっている。
【0038】
各サイド・ギヤ155(157)の一側には、周回状の支持部161が設けられている。支持部161は、ピニオン・ギヤ153の背面側に延設されている。支持部161の内周には、凹支持面部163が設けられている。凹支持面部163は、ピニオン・ギヤ153の凸背面部159とほぼ同一の曲率を有した同心の凹状球面からなり、凸背面部159に摺接している。従って、サイド・ギヤ155,157の支持部161,161により、ピニオン・ギヤ153,153は、ピニオン・シャフト143に対して中間軸13の径方向外側への抜け止めが行われている。
【0039】
サイド・ギヤ155,157他側の背面は、当接部材であるワッシャ165,167に軸方向で当接し、ワッシャ165,167を介してアンギュラ・ベアリング131及び中間軸13のフランジ部139に突き当てられている。これにより、サイド・ギヤ155,157は、ピニオン・ギヤ153,153とのギヤ反力が、ワッシャ165,167を介してアンギュラ・ベアリング131及び中間軸13のフランジ部139で受けられるようになっている。
【0040】
前記一対の第2の減速ギヤ組17,19は、キャリヤ・ケース81の出力側に配置されている。この第2の減速ギヤ組17,19は、伝達ギヤ169,171と伝達出力ギヤ173,175とが併設されて噛み合っている。第2の減速ギヤ組17,19は、伝達ギヤ169,171と伝達出力ギヤ173,175との減速比に応じ、差動ギヤ組15から分配出力された駆動力を伝達出力ギヤ173,175から減速して出力する。
【0041】
伝達ギヤ169,171は、差動ギヤ組15のサイド・ギヤ155,157の他側外周に一体に設けられて小型化が図られている。伝達出力ギヤ173,175は、伝達ギヤ169,171よりも大径のリング状に形成され、キャリヤ・ケース81の支持ボス部91,93外周に配置されている。
【0042】
伝達出力ギヤ173,175の内周側には、縦壁部177,179が設けられている。縦壁部177,179は、屈曲部181,183を介して軸方向で相互に近接して対向している。この縦壁部177,179は、対向面185,187間にニードル・ベアリング189が介設されて相対回転自在に突き当てられている。縦壁部177,179の対向面185,187には、周回状の突部191,193が設けられている。突部191,193は、相互に嵌合して伝達出力ギヤ173,175相互のセンタリングを行っている。縦壁部177,179の内周側には、ボス部195,197が設けられている。なお、対向面185,187との間には、金属又は樹脂材の摺動ブッシュを設けても良く、又は何れかの対向面185,187に平滑なコーティングを施しても良い。
【0043】
ボス部195,197は、筒状に形成されキャリヤ・ケース81の支持ボス部91,93内周側に配置されている。ボス部195,197の外周は、アンギュラ・ベアリング199,201を介してキャリヤ・ケース81の支持ボス部91,93内周に回転自在に支持されている。従って、伝達出力ギヤ173,175は、相互の突き当て、及びボス部195,197のキャリヤ・ケース81側への支持によって、軸方向の位置決めがなされている。なお、アンギュラ・ベアリング199,201は、キャリヤ・ケース81の本体部85及び蓋体部87の締結によって噛み合いガタ防止がなされている。かかる構造に代えて、通常のボール・ベアリングを用い、その背面に皿ばねを設けることで予圧を付与して、ガタ防止を行っても良い。また、上述した全てのベアリングは、アンギュラ・ベアリングに限るものではなく、通常のボール・ベアリングやテーパ・ローラ・ベアリングを用いても良い。
【0044】
ボス部195,197の内周には、雌スプライン203,205が形成されている。雌スプライン203,205には、左右の後輪車軸21,23の端部を構成する等速ジョイント207,209の連結軸部211,213がスプライン係合している。従って、伝達出力ギヤ173,175は、左右の後輪車軸21,23に同心上に結合される。連結軸部211,213の先端は、ボス部195,197を貫通し、外周にCクリップ215,217が取り付けられている。
【0045】
雌スプライン203,205の軸方向外側には、センタリング部219,221が設けられている。センタリング部219,221は、連結軸部211,213の外周に摺接してセンタリングを行うようになっている。このセンタリング部211,213の端面には、突当部223,225が形成されている。突当部223,225には、連結軸部211,213の拡径形状の基部227,229が軸方向で突き当てられている。
【0046】
従って、突当部223,225は、Cクリップ215,217と共に等速ジョイント207,209の軸方向の位置決めを行っている。なお、等速ジョイント207,209は、連結軸部211,213と別体に構成され、固定手段により一体化されても良い。
【0047】
基部227,229とキャリヤ・ケース81の支持ボス部91,93との間には、密閉用のシール230,232が介設されている。シール230,232は、それぞれが基部227,229の外周に圧入して固定されたダストカバー234,236の壁面に対してリップを摺接させて外部からの粉塵の侵入を防止している。
【0048】
[終減速装置の動作]
本実施例の終減速装置1では、ドライブ・ピニオン・シャフト9を介して駆動入力を受けると、第1の減速ギヤ組11のドライブ・ピニオン・ギヤ95からリング・ギヤ97に駆動出力が行われる。このとき、第1の減速ギヤ組11は、ドライブ・ピニオン・ギヤ95とリング・ギヤ97との減速比に応じた減速を行う。
【0049】
リング・ギヤ97からは、一体回転する中間軸13に対して駆動入力が行われる。中間軸13からは、ピニオン・シャフト143を介してピニオン・ギヤ153,153へ駆動力伝達が行われる。ピニオン・ギヤ153,153は、中間軸13と共に一体に中間軸13の軸心周りを公転するように回転し、両サイド・ギヤ155,157へ駆動力伝達する。このため、両サイド・ギヤ155,157は、中間軸13と共に一体に回転する。
【0050】
サイド・ギヤ155,157からは、一対の第2の減速ギヤ組17,19の伝達ギヤ169,171を介して伝達出力ギヤ173,175に駆動出力が行われる。このとき、第2の減速ギヤ組17,19は、伝達ギヤ169,171と伝達出力ギヤ173,175との減速比に応じた駆動力の減速を行う。従って、終減速装置1の減速比は、第1及び第2の減速ギヤ組の減速比を合わせた減速比として設定されている。
【0051】
伝達出力ギヤ173,175からは、左右の等速ジョイント207,209、後輪車軸21,23を介して左右の後輪5,7に駆動力伝達することができる。
【0052】
左右の後輪5,7が差動回転しているときは、該差動回転が左右の後輪車軸21,23、等速ジョイント207,209、第2の減速ギヤ組17,19の伝達出力ギヤ173,175、伝達ギヤ169,171を介してサイド・ギヤ155,157へ伝達される。これにより、サイド・ギヤ155,157間が差動回転する。かかる差動回転は、ピニオン・ギヤ153,153が軸周り回転することで許容される。
【0053】
このように、終減速装置1は、差動ギヤ組15の入力側の第1の減速ギヤ組11及び同出力側の第2の減速ギヤ組17,19によって二段階の減速を行わせながら、左右の後輪5,7に駆動力伝達を行うことができる。
【0054】
従って、終減速装置1では、第1及び第2の減速ギヤ組17,19の組み合わせによって終減速比を設定することができ、一段階の終減速を行わせる場合に比較して小型化を図ることができる。
【0055】
この結果、終減速装置1では、車両の最低地上高の確保、車両のフレーム、シャシー、燃料タンク等の上下、左右、及び前後周辺部材との干渉防止も図ることができる。
【0056】
[実施例1の効果]
本実施例の終減速装置1は、ドライブ・ピニオン・シャフト9の駆動力を減速して出力する第1の減速ギヤ組11と、第1の減速ギヤ組11から出力された駆動力を受ける中間軸13と、中間軸13に同心上に配置連動構成されて中間軸13からの駆動力を分配出力する差動ギヤ組15と、差動ギヤ組15から分配出力された駆動力を一対の後輪車軸21,23に減速して出力する一対の第2の減速ギヤ組17,19とを備えている。
【0057】
このため、終減速装置1では、差動ギヤ組を収容するデフ・ケースを廃止することができ、確実に軸方向及び径方向の小型化と共に軽量化を図ることができる。この結果、第1の減速ギヤ組11の小型化及び軽量化をも図ることができ、より確実に小型化及び軽量化を図ることができる。
【0058】
また、終減速装置1では、デフ・ケースの廃止によって、差動ギヤ組15をキャリヤ・ケース81内に露出させることができるため、差動ギヤ組15の潤滑性を向上することができる。結果として、キャリヤ・ケース81内に封入されている潤滑オイル量を減らすことで、各ギヤなどの回転部材の回転時のオイルの撹拌抵抗を抑制して駆動ロスを低減できるので、エネルギーロスを抑えることができる。
【0059】
また、終減速装置では、中間軸13の支持構造を簡素化することができ、キャリヤ・ケース81の構造も簡素化することができる。
【0060】
差動ギヤ組15は、中間軸13の外周に回転自在に支持されたピニオン・ギヤ153,153と、中間軸13外周に遊嵌しピニオン・ギヤ153,153に対して軸方向両側から噛み合う一対のサイド・ギヤ155,157からなるため、より確実に全体としての小型化及び軽量化を図ることができる。
【0061】
サイド・ギヤ155,157には、ピニオン・ギヤ153,153の凸背面部159,159を支持する支持部161,161を延設されている。従って、ピニオン・ギヤ153,153の抜け止めを部品点数を増すことなく確実に防止することができ、デフ・ケースの廃止を確実に実現することができる。
【0062】
また、サイド・ギヤ155,157の背面は、ワッシャ165,167に当接して位置決め及びピニオン・ギヤ153,153とのギヤ反力が受けられるようになっている。従って、より確実にデフ・ケースの廃止を実現することができる。
第1の減速ギヤ組11は、ドライブ・ピニオン・シャフト9に一体に設けられたドライブ・ピニオン・ギヤ95と、中間軸13に同心上に結合されドライブ・ピニオン・ギヤ95に噛み合うリング・ギヤ97とからなる。
【0063】
従って、終減速装置1では、より確実に第1の減速ギヤ組11の小型化及び軽量化を図ることができる。特に、リング・ギヤ97を中間軸13と同心上に結合したことで、従来のデフ・ケース外周にリング・ギヤが設けられる構造と比較して、大幅な小型化・軽量化を図ることができる。
【0064】
第2の減速ギヤ組17,19は、差動ギヤ組15の一対のサイド・ギヤ155,157に一体に設けられた伝達ギヤ169,171と、左右の後輪車軸21,23に同心上に結合される伝達出力ギヤ173,175とからなっている。このため、終減速装置1では、第2の減速ギヤ組17,19の小型化及び軽量化を図ることができ、より確実に全体として小型化及び軽量化を図ることができる。
【0065】
また、第2の減速ギヤ組17,19は、伝達出力ギヤ173,175が軸方向で相互に近接して対向しているため、確実に軸方向の小型化を図ることができる。
【実施例2】
【0066】
図3は、本発明の実施例2に係る終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分は、同符号又は同符号にAを付して詳細な説明を省略する。
【0067】
本実施例の終減速装置1Aは、図3のように、中間軸13Aと差動ギヤ組15Aとの間に差動制限機構231を設けたものである。
【0068】
差動制限機構231は、中間軸13Aと差動ギヤ組15Aの一対のサイド・ギヤ155A,157Aとの各間に配置された摩擦クラッチ233,235を備えている。摩擦クラッチ233,235は、例えばピニオン・ギヤ153或いはサイド・ギヤ155A,157Aの噛み合い反力で押圧されるか、付属させたカム機構のスラスト力で押圧させるか或いはビスカス・カップリングのように回転抵抗を用いて締結させるか、さらには油圧式や電磁式等のアクチュエータによって駆動され、中間軸13Aと一対のサイド・ギヤ155A,157Aとの間を締結するものである。
【0069】
かかる締結により、一対のサイド・ギヤ155A,157Aは、摩擦クラッチ233,235の締結力に応じて差動回転が制限される。この結果、第2の減速ギヤ組17,19の伝達ギヤ169,171、伝達出力ギヤ173,175及び左右の後輪車軸21,23を介して左右の後輪5,7の差動回転が制限される。
【0070】
なお、差動制限機構としては、摩擦クラッチ以外、例えばドグ・クラッチ等を用いることも可能である。
【0071】
本実施例の終減速装置1Aでは、上記実施例と同様の作用効果を奏することができるのに加え、差動制限機能を持たせることができる。
【実施例3】
【0072】
図4は、本発明の実施例3に係る終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分は、同符号又は同符号にBを付して詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施例の終減速装置1Bは、図4のように、差動ギヤ組15Bに遊星ギヤ機構を採用したものである。すなわち、差動ギヤ組15Bは、遊星ギヤ237,237と、外歯ギヤ239及び内歯ギヤ241とを備えている。
【0074】
遊星ギヤ237,237は、中間軸13Bに一体に設けられた遊星キャリヤ243に対し、キャリア・ピン245,245によって軸周り回転自在に支持されている。
【0075】
外歯ギヤ239は、中間軸13Bの外周に相対回転自在に遊嵌支持され、内歯ギヤ241は、外歯ギヤ239の外周に遊嵌支持されている。外歯ギヤ239及び内歯ギヤ241は、入力側である軸方向一側のギヤ部247,249間に遊星ギヤ237,237が配置されている。ギヤ部247,249は、内外周側から遊星ギヤ237,237に噛み合っている。
【0076】
外歯ギヤ239の出力側である軸方向他側は、内歯ギヤ241を貫通して該内歯ギヤ241の出力側である軸方向他側に対して外側に配置されている。これにより、外歯ギヤ239及び内歯ギヤ241の軸方向他側は、相互に隣接して配置されている。
【0077】
この外歯ギヤ239及び内歯ギヤ241の軸方向他側外周には、第2の減速ギヤ組17B,19Bの伝達ギヤ169B,171Bが一体に設けられている。
【0078】
本実施例の終減速装置1Bは、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができるのに加え、差動ギヤ組15Bが遊星ギヤ237,237と外歯ギヤ239及び内歯ギヤ241とからなるため、より確実に軸方向の小型化を図ることができる。
【0079】
さらに、終減速装置1Bでは、差動ギヤ組15の外歯ギヤ239及び内歯ギヤ241の出力側を軸方向隣接配置することで、第2の減速ギヤ組17B,19Bの伝達ギヤ169B,171B、伝達出力ギヤ173B,175Bも軸方向隣接配置することができる。
【0080】
従って、終減速装置1Bでは、より確実に軸方向の小型化を図ることができる。
【実施例4】
【0081】
図5は、本発明の実施例4に係る終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分は、同符号又は同符号にCを付して詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施例の終減速装置1Cは、図5のように、左右の後輪車軸21C,23Cの端部の軸方向間に差動制限機構231Cを設けたものである。差動制限機構231Cは、一対のハブ251,253と、スリーブ255とを備えている。
【0083】
一対のハブ251,253は、左右の後輪車軸21C,23Cの端部に設けられ、外周面にハブ・スプライン257,259が形成されている。
【0084】
スリーブ255は、一方のハブ253の外周側に軸方向移動自在に支持されている。スリーブ255の内周面には、スリーブ・スプライン261が形成されている。スリーブ・スプライン261は、一方のハブ253のハブ・スプライン259にスプライン係合している。このスリーブ255は、アクチュエータ263によって軸方向移動するようになっている。
【0085】
前記差動制限機構231Cは、スリーブ255が軸方向移動によって一対のハブ251,253間に配置されると、スリーブ255のスリーブ・スプライン261が双方のハブ251,253のハブ・スプライン257,259にスプライン係合する。これにより、ハブ251,253の差動回転をロックして、左右の後輪車軸21C,23Cを介して左右の後輪5,7の差動制限として差動回転をロックすることができる。なお、差動制限機構としては、締結力に応じた差動制限を行う摩擦クラッチ等を用いることも可能である。
本実施例では、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができるのに加え、左右の後輪車軸21C,23Cの端部間に差動制限機構231Cを設けたため、差動制限機能を持たせることができながら、スペースの拡大を抑制することができる。
【実施例5】
【0086】
図6は、本発明の実施例5に係る終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分は、同符号又は同符号にDを付して詳細な説明を省略する。
【0087】
図6の終減速装置1Dは、補助駆動源としての電動モータ265を一体的に備えたものである。
【0088】
電動モータ265は、キャリヤ・ケース81Dの蓋体部87に取り付けられたハウジング部267内に収容支持されている。電動モータ265は、ハウジング部267側に固定されたステータ269の内周側に、モータ出力軸271外周のロータ273が回転自在に配置されている。電動モータ265のモータ出力軸271は、中間軸13Dと同心上に配置されている。このモータ出力軸271には、第3の減速ギヤ組275が結合されている。
【0089】
第3の減速ギヤ組275は、遊星ギヤ機構からなり、遊星ギヤ277,277と、外歯ギヤ(サン・ギヤ)279と、内歯ギヤ(インターナル・ギヤ)281とを備えている。
【0090】
遊星ギヤ277,277は、電動モータ265のモータ出力軸271に設けられた遊星キャリヤ283に対し、キャリア・ピン285,285によって軸周り回転自在に支持されている。
【0091】
内歯ギヤ281は、ハウジング部267側に固定され、遊星ギヤ277,277に対して外周側から噛み合っている。
【0092】
外歯ギヤ279は、第3の減速ギヤ組275の出力軸287を介して回転自在に支持され、遊星ギヤ277,277に対して内周側から噛み合っている。出力軸287は、中間軸13Dと同心上に配置され、端部が中間軸13Dの端部にスプライン係合している。従って、出力軸287は、中間軸13Dと一体回転するように連動連結されている。
【0093】
かかる終減速装置1Dでは、電動モータ265の駆動力を第3の減速ギヤ組275及び出力軸287を介して中間軸13Dに減速して入力することができる。従って、終減速装置1Dでは、電動モータ265によって左右の後輪5,7をアシスト駆動することができる。
【0094】
本実施例の終減速装置1Dでは、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができるのに加え、電動モータ265と第3の減速ギヤ組275とでコンパクトなハイブリッドシステムを構成することができる。
【0095】
しかも、終減速装置1Dでは、電動モータ265、第3の減速ギヤ組275、中間軸13Dを同心上に配置したため、左右の後輪車軸21,23との干渉を防止することができる。
【実施例6】
【0096】
図7は、本発明の実施例6に係る終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分は、同符号又は同符号にEを付して詳細な説明を省略する。
【0097】
本実施例の終減速装置1Eは、四輪駆動車3の前輪77,79側に適用されたものである。
【0098】
終減速装置1Eは、トランスミッション45Eのミッション・ケース47E内に配置され、駆動源としてのエンジン49Eからトランスミッション45Eを介して駆動入力を受ける。なお、駆動源としては、エンジン49Eに加えて、電動モータを備えていてもよい。
【0099】
トランスミッション45Eは、ベルト式無段変速機構からなり、回転自在な駆動プーリ289及び従動プーリ291間に、伝達ベルト293が巻き掛けられて構成されている。このトランスミッション45Eは、エンジン49からの駆動力が入力軸295から駆動プーリ289に入力されると、伝達ベルト293を介して従動プーリ291に駆動力を伝達する。従動プーリ291からは、入力側回転部材である出力軸297を介して駆動出力が行われる。このとき、トランスミッション45Eは、駆動プーリ289及び従動プーリ291の溝幅変更によって無段変速を行うようになっている。
【0100】
トランスミッション45Eからは、出力軸297に設けられた出力ギヤ299、リング・ギヤ97Eを介して中間軸13Eに対して駆動入力が行われる。従って、出力ギヤ299及びリング・ギヤ97Eは、第1の減速ギヤ組11Eを構成している。
【0101】
前記中間軸13Eには、一方で差動ギヤ組15E、一対の第2の減速ギヤ組17E,19E、一対の出力側回転部材である左右の前輪車軸73,75を介して左右の前輪77,79が連動連結されている。他方で、中間軸13Eは、その一端に後輪5,7側へ駆動力を分配する動力分配機構としてのトランスファ31Eが連動連結されている。
【0102】
トランスファ31Eは、トランスミッション45Eのミッション・ケース47Eに取り付けられたトランスファ・ケース71Eを備えている。トランスファ・ケース71Eは、ミッション・ケース47Eのカバーとして機能している。
【0103】
トランスファ・ケース71E内には、直交噛み合いするベベル・ギヤ39E,35Eが収容されている。一方のベベル・ギヤ39Eは、入力軸295の一端に設けられている。入力軸295の他端は、終減速装置1Eの中間軸13E一端にスプライン係合している。従って、トランスファ31Eの入力軸295は、終減速装置1Eの中間軸13Eと一体回転自在に連動連結されている。
【0104】
他方のベベル・ギヤ35Eは、トランスファ31の後輪側出力軸33の一端に設けられている。
【0105】
本実施例の終減速装置1Eでは、上記実施例と同様の作用効果を奏することができるのに加え、トランスミッション45Eと一体型の終減速装置1Eを構成することができる。
【0106】
しかも、終減速装置1Eでは、中間軸13Eにトランスファ31Eの入力軸295を連動連結することで、容易に四輪駆動システムを構成することができる。
【実施例7】
【0107】
図8は、本発明の実施例7に係る終減速装置の概略構成を示すスケルトン平面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分は、同符号又は同符号にFを付して詳細な説明を省略する。
【0108】
本実施例の終減速装置1Fは、実施例6と同様に四輪駆動車3の前輪77,79側に適用されたものであり、センター・デファレンシャル装置として用いられる。
【0109】
すなわち、終減速装置1Fは、第2の減速ギヤ組17F,19Fが、差動ギヤ組15Fとフロント・デファレンシャル装置41F及びトランスファ31Fとの各間に設けられている。第2の減速ギヤ組17F,19Fは、伝達ギヤ169F,171Fと、伝達出力ギヤ173F,175Fとを備えている。
第2の減速ギヤ組17F,19Fの伝達ギヤ169F,171Fは、差動ギヤ組15Fの一対のサイド・ギヤ155F,157Fに一体に設けられている。
【0110】
一方の第2の減速ギヤ組17Fの伝達出力ギヤ173Fは、一対の出力側回転部材の一方であるフロント・デファレンシャル装置41Fのデフ・ケース43F外周に設けられ、リング・ギヤを構成している。デフ・ケース43Fは、ピニオン・ギヤ61F,61F、サイド・ギヤ63F,65Fを介して左右の前輪車軸73,75に連動連結されている。
【0111】
他方の第2の減速ギヤ組19Fの伝達出力ギヤ175Fは、一対の出力側回転部材の他方であるトランスファ31Fの連結中空軸(入力軸)37Fの一端に設けられている。連結中空軸37の他端は、ベベル・ギヤ39F、ベベル・ギヤ35Fを介してトランスファ31Fの後輪側出力軸33Fに連動連結されている。
【0112】
かかる終減速装置1Fでは、第1の減速ギヤ組11F及び第2の減速ギヤ組17F,19Fによって二段階の終減速を行わせながら、差動ギヤ組15Fによって前後輪77,79,21,23間の差動回転を許容することができる。
【0113】
本実施例の終減速装置1Fは、二段階の終減速を行わせながら軸方向及び径方向の小型化と共に軽量化を図ることが可能なセンター・デファレンシャル装置を実現することができる。
[その他]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【0114】
例えば、上記実施例では、差動ギヤ組としてピニオン・ギヤとサイド・ギヤ又は遊星ギヤと外歯ギヤ及び内歯ギヤを用いていたが、これら以外のものであってもよい。
【0115】
また、後輪側の終減速装置にのみ適用した差動制限機構、遊星ギヤ機構からなる差動ギヤ組、補助駆動源としての電動モータを一体に備えた構成は、前輪側の終減速装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 終減速装置
9 ドライブ・ピニオン・シャフト(入力側回転部材)
11 第1の減速ギヤ組
13 中間軸
15 差動ギヤ組
17,19 第2の減速ギヤ組
21,23 後輪車軸(出力側回転部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側回転部材からの駆動力を減速して出力する第1の減速ギヤ組と、
該第1の減速ギヤ組から出力された駆動力を受ける中間軸と、
該中間軸に同心上に配置連動構成されて前記中間軸からの駆動力を分配出力する差動ギヤ組と、
該差動ギヤ組から分配出力された駆動力を一対の出力側回転部材に減速して出力する一対の第2の減速ギヤ組とを備えた、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項2】
請求項1記載の終減速装置であって、
前記差動ギヤ組は、前記中間軸の外周に回転自在に支持されたピニオン・ギヤと、前記中間軸外周に遊嵌し前記ピニオン・ギヤに対して軸方向両側から噛み合う一対のサイド・ギヤとからなる、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項3】
請求項2記載の終減速装置であって、
前記一対の各サイド・ギヤに、前記ピニオン・ギヤの背面部を支持する支持部を延設し、
前記サイド・ギヤの背面を、軸方向で当接部材に当接させた、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項4】
請求項1記載の終減速装置であって、
前記差動ギヤ組は、前記中間軸の外周に回転自在に支持された遊星ギヤと、該遊星ギヤに対して内外周側から噛み合い前記中間軸外周に遊嵌する外歯ギヤ及び該外歯ギヤ外周に遊嵌する内歯ギヤとからなる、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項5】
請求項4記載の終減速装置であって、
前記外歯ギヤ及び内歯ギヤの出力側を、軸方向隣接配置した、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の終減速装置であって、
前記中間軸と前記差動ギヤ組との間又は前記一対の出力側回転部材の端部間に、差動制限機構を設けた、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の終減速装置であって、
前記第1の減速ギヤ組は、前記入力側回転部材に一体に設けられた入力側ギヤと、前記中間軸に同心上に結合され前記入力側ギヤに噛み合う出力側ギヤとからなる、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項8】
請求項2〜7の何れかに記載の終減速装置であって、
前記第2の減速ギヤ組は、前記一対のサイド・ギヤ又は前記外歯ギヤ及び内歯ギヤに一体に設けられた伝達ギヤと、前記出力側回転部材に同心上に結合され前記伝達ギヤに噛み合う伝達出力ギヤとからなる、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の終減速装置であって、
前記一対の出力側回転部材は、一対の前輪車軸であり、
前記中間軸に、後輪側へ駆動力分配を行う動力分配機構の入力軸を連動連結した、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項10】
請求項1〜8記載の終減速装置であって、
前記一対の出力側回転部材の一方は、フロント・デファレンシャル装置のデフ・ケースであり、同他方は、後輪側へ駆動力分配を行う動力分配機構の入力軸である、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の終減速装置であって、
前記入力側回転部材は、駆動源からの駆動力を変速して出力する変速機構の出力軸である、
ことを特徴とする終減速装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の終減速装置であって、
補助駆動源としての電動モータと、
該電動モータの駆動力を減速して出力軸から出力する第3の減速ギヤ組と、
前記第3の減速ギヤ組の出力軸を、前記差動ギヤ組の中間軸に連動連結した、
ことを特徴とする終減速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−242894(P2010−242894A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93365(P2009−93365)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000225050)GKNドライブラインジャパン株式会社 (409)
【Fターム(参考)】