説明

置換されたN−アミノメチレンスルホンアミド、その製造および医薬としてのその使用

本発明は一般式(I)
【化1】


(式中、置換基のR1〜R5、AおよびXの定義は明細書中に記載されている)の化合物および生理学的に許容し得るその塩に関する。本発明はまた、該化合物の製造方法および医薬としてのそれらの使用にも関する。これらの本発明化合物はホルモン感受性リパーゼ(HSL)阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般式(I)
【化1】

(式中、置換基R1〜R5、AおよびXの定義は以下の本文に詳記されているとおりである)の化合物、およびそれらの生理学的に許容し得る塩、これらの化合物の製造方法ならびに医薬としてのそれらの使用に関する。これらの化合物はホルモン感受性リパーゼ(HSL)の阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
HSLの阻害剤として適した化合物が糖尿病の治療に用いることができるということは、文献に開示されている。すなわち、ベンゾトリアゾール誘導体はWO2004/035550においてこの目的のために用いられている。WO03/105860ではホウ酸およびホウ酸エステルの誘導体、およびWO03/051842ではとりわけ、加水分解性基を有するアミドがHSL阻害剤として使用されている。しかし、アミノメチレンスルホンアミドがHSL阻害剤として適していることは以前に記載されたことはない。
【0003】
スルホンアミド化合物が文献に開示されたことは事実だが、しかし、それらは異なる置換パターンおよびその他の用途(適応症)で本発明とは相違する。
R.Neidlein et al.,Monatshefte fur Chemie 116 (1985),pages 651 to 660には、アルキルメルカプトアルキルアミノメチレンスルホンアミドの合成および分光学的性質が記載されている。これらの化合物は必須的に2個のアミノメチレンスルホンアミド置換基をベンゼン部分のメタ位に有するが、一方本発明化合物はそのような置換基をたった1個有するだけである。R.Neidlein et al.に記載の化合物と医薬としてのいずれかの用途の間には何の関係もない。
【0004】
US3,009,910には、2,4−ジスルファミルアニリン誘導体および利尿作用を有する医薬としてのそれらの使用が記載されている。メチレンスルホンアミド置換基が、本発明化合物ではR1(例えばハロゲン)に対してオルト位に、そしてR2(例えば−NH2)に対してパラ位に存在するのに対して、この置換パターンはUS3,009,910に開示された化合物では全く逆転している。該メチレンスルホンアミド置換基は、中央のベンゼン部分においてアミノ置換基に対してオルト位に、そしてハロゲン置換基に対してパラ位に存在している。しかし、US3,009,910に記載の化合物と糖尿病の治療またはHSLの阻害剤としてのこれらの化合物の使用との関係は、この文献には全く開示されていない。
【0005】
EP−A0008433は、スルファモイルベンゼン誘導体ならびに利尿剤および塩分排泄剤としてのそれらの使用に関する。そこに記載の化合物は、中央のベンゼン部分が未置換スルファモイル置換基をハロゲン置換基に対してオルト位に有する点で、本発明のスルホンアミドと相違している。EP−A0008433に記載の化合物の合成にはいくつかの経路が示されており、用いられる出発物質はとりわけ、下記の式A およびB:
【化2】

で表される化合物である。
【0006】
式Aの化合物中のラジカルR1〜R4は、互いに独立して、水素または1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルとして定義され、ラジカルR1〜R4の1つはまた、カルボキシ、ヒドロキシメチルまたは最高5個の炭素原子を有するアルキルオキシカルボニル基であるか、またはラジカルR1〜R4の1つもしくは2つはイソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、フェニルまたは5〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルであることが可能であり、Xはハロゲンとして定義され、Zは脱離基(ハロゲン、ヒドロキシ、トリアルキルアンモニウム、メシレートまたはトシレート)として定義され、そしてBは2個の水素原子または式 =CR5NR67(ここでラジカルR5〜R7は互いに独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であってよく、そしてR5はまた場合により水素であってもよい)で表される保護基のいずれかとして定義される。式AおよびBの化合物はまた、それぞれの場合において、ハロゲン置換基に対してパラ位に存在する置換基が−C(O)−O−CR34−CR12−NH2として定義される中間体化合物に転移され得る。EP−A0008433にそれ自体として開示されそして医薬としての使用が全く記載されていない前記中間体化合物は、本発明の態様ではない。
【0007】
DE−A2518999は、同様に利尿剤または塩分排泄剤として使用され得るさらに別のスルファミル安息香酸誘導体に関する。EP−A0008433に対応するが、DE−A2518999に記載の一般式Iの薬学的に活性な化合物もまた、中央のベンゼン部分の置換パターンで相違する。それは1個のアミノ置換基を、ハロゲン置換基に対してオルト位に有するが、一方、本発明化合物はこの位置で未置換である。DE−A2518999に記載の化合物は、(−COOR)(ここでRは水素、6個までの炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキルラジカルである)置換基を、ハロゲン置換基Yに対してパラ位で中央のベンゼン部分に有する一般式IIIで表されるスルファミル安息香酸誘導体から出発して製造される。DE−A2518999の一般式IIIで表されるこれらの前記中間体化合物は、それ自体としてそこに開示されそして医薬としての使用は全く記載されておらず、本発明の態様ではない。
【0008】
EP−A0324988およびEP−A0324184には、中央のベンゼン部分の塩素置換基に対してオルト位に未置換スルファミル置換基を有する(それぞれの場合において)一般式Iで表される、利尿および塩分排泄作用を有するさらなる別の医薬生成物が記載されている。さらに、EP−A0324988に記載の式Iの化合物はアミド置換基を有し、それはまた、未置換のまたは少なくともモノ置換されたベンゾイミダゾリルにより、塩素置換基に対してパラ位で置換されている。EP−A0324184におけるアミド置換基は、未置換のまたは少なくともモノ置換された(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)により置換されている。EP−A0008433と類似して、前記2つのEP出願に述べられた活性医薬成分は、未置換スルファミル置換基の代わりにジアルキルアミノメチレンスルファミル置換基を有するプレカーサから合成される。EPA0324988およびEP−A0324184に記載の中間体化合物は、それ自体開示されそして医薬としての使用は全く記載されておらず、本発明の態様ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
HSLの阻害により治療され得る糖尿病のような疾患は、ヒトおよび他の哺乳類の健康にとって重大な危険を示すので、該疾患の治療に有利な治療プロフィルを有する新規医薬に対する大きな必要性が存在する。すなわち、本出願は、HSLに阻害効果を有する新規化合物を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、式(I):
【化3】

で表される置換されたN−アミノメチレンスルホンアミドまたはその生理学的に許容し得る塩により成就される。
【0011】
上記式中、
R1は、水素、ハロゲンまたは−CF3であり;
R2は、水素、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはC1−C3−アルコキシであり、そしてR1およびR2は同時に水素ではあり得ず;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、
ここで前記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリル−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル部分はまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシにより少なくともモノ置換されてよく;
【0012】
R4およびR5は、互いに独立して、未置換または少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキルまたはアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル部分はまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシにより少なくともモノ置換されてよく;または
R4およびR5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって未置換または少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フェニル、オキソ、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−OCF3、−CF3またはヒドロキシからなる群より選択され;
【0013】
R6は、水素、−SO2(C1−C3−アルキル)、未置換または少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニルまたはアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フェニル、オキソ、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−OCF3、−CF3またはヒドロキシから選択され、または
R6は、XがNの場合には、R3およびXと一緒になって未置換または少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル部分はまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシにより少なくともモノ置換されてよく;
R7は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはフェニルであり、
そしてR7のフェニル部分はまた、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシにより少なくともモノ置換されてよく、
【0014】
Aは、SO2、COまたはCH2であり;
Xは、NR6またはOであり;
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する5〜10員の、芳香族の単環式または二環式複素環であり;
アリールは、5〜10員の、芳香族の単環式または二環式系であり;
ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する5〜10員の、非芳香族の単環式または二環式複素環であるが、
【0015】
但し、R2が水素であり、そしてR1がハロゲンである場合には、−A−X−R3は、i)−C(O)−O−CH2−CH2−NH2、ii)−C(O)−NH−CH2−CH=CH2、iii)−C(O)−NH−CH2−CH2−Z(ここでZはハロゲン、ヒドロキシ、トリアルキルアンモニウム、メシレートまたはトシレートである)、iv)−C(O)−O−(C1−C6−アルキル)、v)−C(O)−NH−ベンゾイミダゾリルまたは、vi)−C(O)−NH−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)ではなく、ここでi)およびiii)における−CH2−CH2−部分は、それぞれ1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルR1〜R4を1〜4個有していてもよく、ここでラジカルR1〜R4の1つはまた、カルボキシ、ヒドロキシメチルまたは5個より多くはない炭素原子を有するアルキルオキシカルボニル基であってもよいか、またはラジカルR1〜R4の1つまたは2つは、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、フェニルまたは 5〜6個炭素原子を有するシクロアルキルであってもよく、そしてここでv)およびvi)におけるベンゾイミダゾリルおよび(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)の部分は、未置換であってもまたは少なくともモノ置換されていてもよい。
【0016】
例えばアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルコキシ等のような基、部分、ラジカルまたは置換基が、式(I)の化合物中に1回より多く存在する場合には、それらは全て、互いに独立して、前記で挙げた意味を有し、したがってそれぞれ(個々の)場合に同一の意味または相互に独立した意味のいずれかを有する。(例えば)アリールの基、置換基、部分またはラジカルと称されるかに関係なく、以下の記述は、アリールおよびその他のあらゆるラジカルに適用される。
さらに別の例は、−N(C1−C3−アルキル)2基であり、ここで2個のアルキル置換基は同一または相異なっていてもよい(例えば2つのエチルまたは1つのプロピルおよび1つのメチル)。
【0017】
式(I)の化合物の前記定義における置換基、例えばアリールが未置換であるか、またはさらに別の置換基、例えばC1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン等の基によって少なくともモノ置換されていもよい場合、アリールが多数置換される場合の一連のさらなる別の置換基からの選択は、互いに独立して行われる。すなわち、例えばアリールが二置換される場合、さらに別の置換基のすべての組み合わせが包含される。すなわち、アリールは、例えば、エチルによって二置換されてもよいし、アリールは それぞれの場合、メチルおよびエトキシにより一置換されてもよく、アリールはそれぞれの場合、エチルおよびフッ素により一置換されてもよく、アリールはメトキシ等により二置換されてもよい。
【0018】
アルキルラジカルは、線状または分枝状の非環式または環式であってよい。これはまた、それらが、例えば、アルコキシ基(C1−C10−アルキル−O−)、アルコキシカルボニル基またはアミノ基のような別の基の一部分である場合、またはそれらが置換されている場合にも適用される。
【0019】
アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルがある。そこにはこれらの基のn−異性体およびイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチル等が包含される。特記しない限り、アルキルの用語はさらに、未置換であるかまたは1個またはそれ以上のさらなる別の基、例えば、1、2、3または4個の同一または相異なる、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルコキシまたはハロゲンのようなラジカルによって場合により置換されているアルキルラジカルを包含する。さらに、それらの追加置換基は、該アルキルラジカルの任意の位置に存在することが可能である。アルキルの用語はまた、シクロアルキルおよびシクロアルキルアルキル(また、シクロアルキルによって置換されているアルキル)を包含し、ここでシクロアルキルは少なくとも3個の炭素原子を有する。シクロアルキルは、また、1個またはそれ以上のアルキルラジカルによって置換されることができる。シクロアルキルラジカルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルおよびシクロデシルがある。多環式環系もまた、適切な場合には可能であり、例えばデカリニル、ノルボルナニル、ボルナニルまたはアダマンタニルを挙げることができる。シクロアルキルラジカルは、未置換であってもよいし、またはアルキルラジカルについての例により前記で挙げた1個またはそれ以上のさらに別のラジカルによって場合により置換されていてもよい。
【0020】
アルケニル基およびアルキニル基の例としては、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、2−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、2−ブチニルまたは3−ブチニルがある。アルケニルの用語は、ここでは明示的に、少なくとも3個の炭素原子を含有するシクロアルケニルラジカルおよびシクロアルケニルアルキルラジカル(シクロアルケニルで置換されたアルキル)を包含する。シクロアルケニルの例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルがある。
【0021】
アルケニルラジカルは、線状または分枝鎖状の1〜3個の共役または非共役二重結合(すなわち、さらにアルカ−ジエニルおよびアルカ−トリエニルラジカル)、好ましくは1個の二重結合を有していてよく、そしてこのことはアルキニルラジカルに関する三重結合にも適用する。これらのアルケニルおよびアルキニルラジカルは、未置換であるか、またはアルキルラジカルについて例により前述したような1個またはそれ以上のさらなるラジカルによって場合により置換されていてもよい。
【0022】
特記しない限り、前記のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルラジカルは、未置換であってもよいし、また1個もしくはそれ以上の、例えば1、2、3または4個の、前記置換基をいずれかの位置に有していてもよい。例えば、一置換されたフェニルラジカル中の置換基は、2、3または4位にあってもよいし、そして二置換されたフェニルラジカル中の置換基は、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位または3,5位にあってもよい。三置換されたフェニルラジカル中の置換基は、2,3,4位、2,3,5位、2,3,6位、2,4,5位、2,4,6位または3,4,5位にあってもよい。四置換されたフェニルラジカル中の置換基は、2,3,4,5位、2,3,4,6位または2,3,5,6位にあってもよい。
【0023】
一価ラジカルに関する前記および後記の定義は、フェニレン、ナフチレンまたはヘテロアリーレンのような二価ラジカルにも同様に適用される。これらの二価ラジカル(部分)は、いずれかの環炭素原子の隣接基と連結してもよい。フェニレンラジカルの場合、これは1,2位(オルト−フェニレン)、1,3位(メタ−フェニレン)または1,4位(パラ−フェニレン)にあってよい。1個のヘテロ原子を含有する5員の芳香族系、例えばチオフェンまたはフランの場合、2個の遊離結合は2,3位、2,4位、2,5位または3,4位にあってもよい。1個のヘテロ原子を有する6員の芳香族系例えばピリジンから誘導される二価ラジカルは、2,3、2,4、2,5、2,6、3,4または3,5−ピリジンジイル基であるのがよい。非対称二価ラジカルの場合には、本発明はさらに、全ての位置異性体を包含する。すなわち、2,3−ピリジンジイル基の例の場合、一方の隣接基が2位にあり、そして他方の隣接基が3位にある化合物は、一方の隣接基が3位にあり、そして他方の隣接基が2位にある化合物と全く同じように包含される。
【0024】
特記しない限り、ヘテロアリールラジカル、ヘテロアリーレンラジカル、ヘテロシクリルラジカルおよびヘテロシクリレンラジカル、ならびに窒素に結合した2個の基によって形成された環は、完全に飽和の、部分的にまたは全体的に不飽和の複素環(すなわち、ヘテロシクロアルカン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロ芳香族化合物)から誘導されるのが好ましく、そしてそれらは 同一でも、異なっていてもよい1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する。それらは、同一または異なっていてもよいヘテロ原子を1、2または3個、好ましくは1または2個含有する複素環から誘導されるのが好ましい。特記しない限り、これらの複素環は単環式または多環式、例えば単環式、二環式または三環式である。それらは、単環式または二環式であるのが好ましい。5員、6員および7員の環が好ましいが、特に5員および6員の環が好ましい。2個またはそれ以上のヘテロ原子を有する多環式複素環の場合、これらは、全て同一の環に存在してもよいし、または多数の環に分散されていてもよい。
【0025】
本発明でヘテロアリールと称されるラジカルは、単環式、二環式または三環式の芳香族複素環から誘導されるものである。ヘテロアリールの例としては、ピロリル、フラニル(=フリル)、チオフェニル(=チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3−オキサゾリル(=オキサゾリル)、1,2−オキサゾリル(=イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル、1,3−チアゾリル(=チアゾリル)、1,2−チアゾリル(=イソチアゾリル)、テトラゾリル、ピリジニル(=ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4,5−テトラジニル、インダゾリル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、チエノチオフェニル、1,8−ナフチリジニル、その他のナフチリジニル類、プテリジニルまたはチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−トリアゾリルがある。上記系が単環式でない場合には、第2環のための上記ヘテロアリールのそれぞれには、飽和された形態(ペルヒドロ形態)または 部分的に不飽和の形態(例えばジヒドロ形態またはテトラヒドロ形態)または最高に不飽和(非芳香族)の形態も包含され、ここで各形態は知られておりそして安定である。すなわち、本発明ではヘテロアリールの用語は、例えば、2つの環の両方が芳香族である二環式ラジカルおよび1個の環だけが芳香族である二環式ラジカルを包含する。ヘテロアリールのこのような例としては、3H−インドリニル、2(1H)−キノリノニル、4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニル、2H−1−オキソイソキノリル、1,2−ジヒドロキノリニル、3,4−ジヒドロキノリニル、1,2−ジヒドロイソキノリニル、3,4−ジヒドロイソキノリニル、クロモニル、クロマニル、1,3−ベンゾジオキソリル、オキシインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、5,6−ジヒドロキノリル、5,6−ジヒドロイソキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニルまたは5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリルを挙げることができる。
【0026】
本発明でヘテロシクリルと称されるラジカルは、単環式または二環式の非芳香族複素環から誘導されるものである。非芳香族複素環は、以後特に、ヘテロシクロアルカン(完全に飽和された複素環)およびヘテロシクロアルケン(部分的に不飽和の複素環)を意味する。ヘテロシクロアルケンの場合には、適切な場合に、一緒に共役されることもある2個またはそれ以上の二重結合を有する化合物もまた包含される。ヘテロシクリルの例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキシニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロ−1,2−オキサジニル、テトラヒドロ−1,3−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、アゼピニル、1,2−ジアゼピニル、1,3−ジアゼピニル、1,4−ジアゼピニル、1,3−オキサゼピニル、1,3−チアゼピニル、アゼパニル、2−オキソ−アゼパニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、4(3H)−ピリミドニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、ジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ジヒドロチオフェニルおよびジヒドロチオピラニルを挙げることができる。複素環式基の飽和度は、それぞれの場合その定義に示されている。
【0027】
これらの複素環から誘導される置換基は、いずれか適当な炭素原子を介して連結され、そしてさらなる置換基を付与されていてもよい。窒素含有複素環から誘導されるラジカルは、適当な窒素原子上に水素または別の置換基を有していてもよい。例としてはピロール、イミダゾール、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン残基等を挙げることができる。これらの窒素含有複素環式ラジカルもまた、特に、関連する複素環式ラジカルが炭素 原子に結合している場合には、環窒素原子を介して結合していてもよい。例えばチエニルラジカルは、2−チエニルまたは3−チエニルの形態であってよく、そしてピペリジニルラジカルは、1−ピペリジニル(ピペリジノ)、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルまたは4−ピペリジニルの形態であってよい。適当な窒素含有複素環はまた、N−オキシドまたは生理学的に許容し得る酸から誘導される対イオンを有する第4級塩の形態であってもよい。例えば、ピリジルラジカルはピリジンN−オキシドの形態であってもよい。適当な硫黄含有複素環もまた、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドの形態であってもよい。
【0028】
本発明でアリールと称されるラジカルは、環ヘテロ原子を含有しない単環式または二環式の芳香族系から誘導されるものである。それらの系が単環式でない場合、第2の環のアリールの用語はまた、飽和形態(ペルヒドロ形態)または部分不飽和形態(例えばジヒドロ形態もしくはテトラヒドロ形態)を包含し、そこではそれぞれの形態は知られておりそして安定である。本発明においてアリールの用語はまた、例えば、2つの環が両方とも芳香族である二環式ラジカルおよび1つの環だけが芳香族である二環式ラジカルを包含する。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、インダニル、1,2−ジヒドロナフテニル、1,4−ジヒドロナフテニル、インデニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフチルを挙げることができる。
【0029】
アリールアルキル(例えばアリール−(C1−C6−アルキル)−)は、アルキルラジカル(例えばC1−C6−アルキル)が次いで、アリールラジカルによって置換されているということを意味する。ヘテロアリールアルキル(例えばヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−)は、アルキルラジカル(例えばC1−C6−アルキル)が次いで、ヘテロアリールラジカルによって置換されているということを意味する。ヘテロシクリルアルキル(例えばヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−)は、アルキルラジカル(例えばC1−C6−アルキル)が次いで、ヘテロシクリルラジカルによって置換されているということを意味する。アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびアリールの定義および可能な置換については、前記定義に述べたとおりである。
【0030】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であるが、好ましいのはフッ素、塩素または臭素であり、そして特に好ましいのはフッ素または塩素である。
【0031】
本発明は、式(I)の化合物の全ての立体異性体を包含する。式(I)の化合物中の不斉炭素原子は、互いに独立して、S配置またはR配置を有していてよい。本発明は、全ての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーならびに2つまたはそれ以上の立体異性体の混合物、例えば、全ての量および割合におけるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物を包含する。すなわち、エナンチオマーとして存在する本発明化合物は、右旋性対掌体および左旋性対掌体双方のようなエナンチオピュアの形態(enantiopure form)、ラセミ形態および全ての割合の2つのエナンチオマーの混合物形態であってよい。シス/トランス異性体の場合には、本発明は、シス形態およびトランス形態の双方ならびに全ての割合のこれらの形態の混合物を包含する。本発明はまた、全てのこれらの形態に関する。個々の立体異性体は、所望により、慣用方法、例えばクロマトグラフィーまたは結晶化により混合物を分離することにより、合成のために立体化学的に純粋な出発物質を使用することにより、または立体選択的合成により製造することができる。別法として、誘導化を実施してから立体異性体を分離することも可能である。立体異性体の混合物の分離は、式(I)の化合物を用いて、または合成中の適当な中間体を用いて実施することができる。本発明はさらに、式(I)の化合物のすべての互変異性体、特にケト/エノール互変異性を包含する。すなわち、対応する化合物は、それらのケト形態もしくはエノール形態のいずれかまたは全ての割合のそれらの混合物で存在することがある。
【0032】
式(I)の化合物が1個またはそれ以上の酸性基または塩基性基を含有する場合には、本発明はまた、対応する生理学的にまたは毒物学的に許容し得る塩も包含する。
【0033】
生理学的に許容し得る塩は、水中でのそれらの溶解度が最初の、または塩基性の化合物の溶解度よりも大きいために、特に、医薬用に適している。これらの塩は、生理学的に許容し得る陰イオンまたは陽イオンを有していなければならない。該発明の生理学的に許容し得る適当な酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタ燐酸、硝酸、スルホン酸および硫酸のような無機酸の塩、ならびに例えば、酢酸、テオフィリン酢酸、メチレンビス−b−オキシナフトニック酸、べンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、サリチル酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸およびトリフルオロ酢酸のような有機酸の塩である。医薬的に許容し得る適当な塩基性塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩およびカリウム塩)およびアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩およびカルシウム塩)である。
【0034】
医薬的に許容し得ない陰イオンによる塩も同様に、医薬的に許容し得る塩を製造するかまたは精製するためおよび/または非治療的、例えばインビトロ適用に使用するための有用な中間体として、本発明の枠組みに入る。
【0035】
式(I)の化合物が同一分子中に酸性基と塩基性基の両方を含有する場合には、本発明は、前記で詳述した塩形態の外に、分子内塩またはベタイン(双性イオン)もさらに包含する。式(I)の化合物の対応する塩は、当業者に知られた慣用方法で、例えば、溶媒または分散剤中で有機または無機の酸または塩基と反応させることにより、または他の塩による陰イオンまたは陽イオン交換により得ることができる。
【0036】
本発明はさらに、式(I)の化合物の全ての溶媒和物、例えば水和物またはアルコールとの付加物、式(I)の化合物の活性代謝産物、および除去され得る生理学的に許容し得る基、例えばエステルまたはアミドを含有する誘導体も包含する。
【0037】
本願明細書中の「生理学的に官能性の誘導体」の用語は、式Iの本発明化合物の生理学的に許容し得るいずれかの誘導体を指す。例えば、哺乳類例えばヒトに投与すると式Iの化合物またはその活性代謝産物を(直接的にまたは間接的に)形成することができるエステルを指す。
【0038】
その生理学的に官能性の誘導体はまた、本発明化合物のプロドラッグも包含する。このようなプロドラッグは、インビボで代謝されて該発明化合物になり得る。これらのプロドラッグは、それ自体活性または不活性であることがあり、そして本発明は同様にそれらにも関する。
【0039】
本発明の化合物はまた、種々の多形形態、例えば無定形ないし結晶多形形態として存在しうる。本発明化合物の全ての多形形態は、本発明の枠組み内に包含され、そして本発明のさらなる態様である。
【0040】
下記の意味を有する式(I)の化合物または生理学的に許容し得るその塩は好ましいものである:
R1は、水素、ハロゲンまたは−CF3であり;
R2は、水素、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはC1−C3−アルコキシであり、そしてR1およびR2は同時に水素ではあり得ず;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニル、アリールまたはヘテロシクリルであり、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、 塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
【0041】
R4およびR5は、互いに独立して、水素、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキルであり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され;または
R4およびR5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され;
【0042】
R6は、水素、−SO2(C1−C3−アルキル)、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニルまたはアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され;または
R6は、XがNならば、R3およびXと一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
R7は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはフェニルであり、
そしてR7のフェニル部分は、また、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
【0043】
Aは、SO2、COまたはCH2であり;
Xは、NR6またはOであり;
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する5〜10員の芳香族の単環式または二環式複素環であり;ヘテロアリールは好ましくは、ピリジル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニルまたは4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;ヘテロアリールは特に好ましくは、ピリジニル、チエニル、ピラゾリル、フラニルまたはベンゾイミダゾリルであり;
【0044】
アリールは、5〜10員の芳香族の単環式または二環式系であり;アリールは好ましくは、フェニル、インダニルまたはナフチルであり;アリールは特に好ましくは、フェニルであり;
ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する5〜10員の非芳香族の単環式または二環式複素環であり;ヘテロシクリルは好ましくは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、 ピペラジニルまたはテトラヒドロフラニルであり;ヘテロシクリルは特に好ましくは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルである。
【0045】
式(I)のより好ましい化合物または生理学的に許容し得るその塩は、下記の意味を有する:
R1は、水素、ハロゲンまたは−CF3であり;
R2は、水素、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはC1−C3−アルコキシであり、そしてR1およびR2は同時に水素ではあり得ず;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、アリールまたはヘテロシクリルであり、
ここで上記置換基は、アリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−C(O)O−(C1−C3−アルキル)、−C(O)O−フェニル、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
【0046】
R4およびR5は、互いに独立して、水素、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキルであり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルコキシ、−CF3およびヒドロキシから選択され、または
R4およびR5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され;
【0047】
R6は、水素、−SO2(C1−C3−アルキル)、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキルまたはC2−C6−アルケニルであり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルコキシまたは−CF3から選択され;または
R6は、XがNならば、R3およびXと一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、アリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−C(O)O−(C1−C3−アルキル)、−C(O)O−フェニル
、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
【0048】
Aは、SO2、COまたはCH2であり;
Xは、NR6またはOであり;
アリールは、フェニル、インダニルまたはナフチルであり;アリールは特に好ましくはフェニルであり;
ヘテロシクリルは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニルまたはテトラヒドロフラニルであり;ヘテロシクリルは特に好ましくは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルである。
【0049】
式(I)のさらにより好ましい化合物または生理学的に許容し得るその塩は、下記の意味を有する:
R1は、塩素、フッ素または−CF3であり;
R2は、水素、−NH2またはC1−C3−アルコキシであり;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、
ここで上記置換基は、フェニル、フェニル−(C1−C6−アルキル)−、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−C(O)O−(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のフェニル部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
【0050】
R4およびR5は、互いに独立して、C1−C6−アルキルであり、または
R4およびR5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され;
【0051】
R6は、水素、−SO2(C1−C3−アルキル)、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C6−アルキルまたはC2−C3−アルケニルであり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルコキシまたは−CF3から選択され、または
R6は、XがNならば、R3およびXと一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、フェニル、フェニル−(C1−C6−アルキル)−、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−C(O)O−(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のフェニル部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
【0052】
Aは、SO2、COまたはCH2であり;
Xは、NR6またはOであり;
ヘテロシクリルは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルである。
【0053】
式(I)のなおさらにより好ましい化合物または生理学的に許容し得るその塩は、下記の意味を有する:
R1は、塩素または−CF3であり;
R2は、水素または−NH2であり;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C6−アルキル、C2−C3−アルケニルまたはフェニルであり、
ここで上記置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、塩素、フッ素またはヒドロキシから選択され;
R4およびR5は、それぞれメチルであり;
R6は、水素、−SO2CH3またはC1−C6−アルキルであり;
Aは、SO2またはCH2であり;
Xは、NR6またはOである。
【0054】
式(I)の特に好ましい化合物は下記の群:
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(3,5−ジメチルフェノキシ)メチル]ベンゼンスルホンアミド;6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)−N−メチルスルホニルアミノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド;6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル)ベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ジブチルベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ジイソブチルベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)ベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシル−N−アリル−ベンゼンスルホンアミドおよび2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシルベンゼンスルホンアミド
より選択される。
【0055】
式Iの化合物は、同様に本発明の一部を形成する種々の化学的方法によって製造することができる。いくつかの典型的な経路を下記に詳述する。すべての置換基(R、AおよびX)は、以下に特記しない限りは前記に示した定義のとおりである。出発化合物および中間体は、商業的に入手し得るかまたは当業者に知られた方法により製造することができる。
【0056】
式IのN−アミノメチレン化合物を製造するための慣用方法は、スルホンアミドIIをジアルキルホルムアミドアセタールと適当な溶媒、例えばDMF、トルエンまたはクロロベンゼン中で反応させることからなる。この反応はまた、式(II)の−A−X−R3部分が後記式(III)の−A−Z部分によって置き換えられている場合に、同様に実施することもできる。この方法で得られた中間体は後記式(III)の化合物に対応する。
【0057】
【化4】

【0058】
さらなる可能な方法は、適当な不活性溶媒例えばトルエン、クロロベンゼン、エタノール、イソプロパノール、ブタノールを用い、または用いずに、R4およびR5がメチルである一般構造1の化合物を一般構造R4R5NHのアミンとともに加熱することによりR4R5N基を導入(交換)することからなる。
【0059】
上記のラジカルA−X−R3はSO2−NR3R6であってよく、そしてクロロスルホニル化合物から出発して、一般式HNR3R6のアミンとの反応により得ることができる。式IIIのハロゲン化合物は、極めて一般的には、吸核性HXR3との反応により式Iの化合物に変換することができる。この反応はまた、式(III)の−SO2−N=CH−NR4R5部分が−SO2−NH2部分によって置き換えられている場合には同じように実施することができる。この方法で得られた中間体は式(II)の化合物に対応する。
【0060】
【化5】

【0061】
この場合、A−Zは、例えばCOCl、SO2Cl、SO2F、CH2ClまたはCH2Brであり、そしてHX−R3は例えば第1級アミンおよび第2級アミン、アルコールまたはフェノールである。
これらの反応は、知られた方法で、不活性溶媒中0−100℃において、好ましくは、生成するハロゲン化水素を結合することができる補助塩基の存在下で行われる。
【0062】
式IIIの化合物は、それ自体知られた方法で、例えばJ.Med.Chem.29,1814−20(1986)またはDE2109339に記載されているような知られたプレカーサから出発して、対応するカルボン酸(−COOH)、アルコール(−CH2OH)またはスルホン酸(−SO3H)のハロゲン化、またはクロロスルホン酸によるスルホ塩素化により得ることができる。
【0063】
全ての前記方法において分子中の官能基は、ある種のプロトコールで一時的に保護するのが適切であることがある。そのような保護基は当業者によく知られている。考慮される基のための保護基の選択、およびそれらの導入および除去のための方法は、文献に記載されており、そして所望により、個々の場合に困難なく適用され得る。
【0064】
本発明はまた、製剤または医薬としての一般式(I)の化合物の使用に関する。置換基R1〜R5(および前記置換基により定義されるその他の置換基)、AおよびXの定義に関しては、その化合物それ自体に関する記述に示されている。
また、製剤としての式(I)の化合物(ここで該化合物は前述した好ましい、より好ましい、さらにより好ましい、なおさらに好ましい、なおさらにより好ましいまたは特に好ましい意味を有する)の使用も本発明の態様である。
【0065】
式(I)の本発明化合物は、ホルモン感受性リパーゼ、HSL、すなわち、インスリンにより阻害され、そして脂肪細胞中の脂肪の破壊そしてそれ故に脂肪成分を血流中に移動させる原因である脂肪細胞中のアロステリック酵素に驚くべき阻害作用を有する。すなわち、この酵素の阻害は、本発明化合物のインスリン様作用に対応し、そして最終的に血中の遊離脂肪酸および血中グルコースを減少させる。従って、それらは代謝異常例えばインスリン非依存性糖尿病(II型糖尿病)、糖尿病性症候群および肥満症に用いることができる。好ましいのはII型糖尿病の治療である。式(I)の化合物はさらに、モノアシルグリセリドリパーゼの阻害剤として適している。
【0066】
上の記述における治療の用語はまた、前記疾患の予防、療法または治癒を包含する。
「式(I)の化合物」についてのすべての言及は、以下、前記式(I)の化合物、およびそれらの塩、溶媒和物ならびに本願明細書に記載の生理学的に官能的な誘導体を意味する。
【0067】
式(I)の化合物は、動物およびヒト、好ましくは哺乳類およびヒト、特に好ましくはヒトに投与することができる。これに関して、式(I)の化合物はそれ自体製剤として、互いの混合物でもしくはその他の製剤との混合物でまたは医薬組成物の形態で投与することができる。従って、前記疾患の予防および/または治療用の1つまたはそれ以上の医薬を製造するための式(I)の化合物の使用、少なくとも1つの式(I)の化合物の有効量を含有する医薬組成物、および少なくとも1つの式(I)の化合物の有効量を含有する前記疾患の予防および/または治療のための医薬組成物も同様に本発明の態様である。
【0068】
所望の生物学的効果を達成するのに必要な式(I)の化合物の量は、多数の因子、例えば選択する特定の化合物、意図する用途、投与方法および患者の臨床状態の如何によって決まる。日用量は、1日当たり体重1kgにつき一般的には0.3mg〜100mg(典型的には3mg〜50mg)、例えば3〜10mg/kg/日である。静脈内用量は、例えば0.3mg〜1.0mg/kgであるのがよく、これは1分当たり1kgにつき10ng〜100ngの注入として適当に投与することができる。これらのために適当な注入溶液は、1mlにつき例えば0.1ng〜10mg、典型的には1ng〜10mgを含有するのがよい。単回用量は、例えば1mg〜10gの活性成分を含有するのがよい。すなわち、注射用アンプルは、例えば1mg〜100mgを含有するのがよく、そして経口投与され得る単回用量製剤、例えば錠剤またはカプセル剤は、例えば1.0〜1000mg、典型的には10〜600mgを含有するのがよい。医薬的に許容し得る塩の場合、前記質量データは、その塩が誘導される遊離化合物の質量を示す。前記状態の予防または療法のために、式(I)の化合物は、化合物としてそれ自体で使用することが可能で、それらは許容し得る担体と一緒になって医薬組成物の形態で存在するのが好ましい。該担体は、勿論、その組成物の他の成分と適合性があり、そして患者の健康に有害ではない(生理学的に許容し得る)という意味で許容されなければならない。該担体は、固形物もしくは液体または双方であってよく、そして該化合物と一緒に単回用量、例えば0.05〜95質量%の活性成分を含有し得る錠剤として処方されるのが好ましい。さらなる医薬活性物質もまた、さらに別の式(I)の化合物を包含して、存在してもよい。本発明の医薬組成物は、本質的には各成分を薬理学的に許容し得る担体および/または賦形剤と混合することからなる知られた製薬方法の1つによって製造することができる。
【0069】
少なくとも1つの式(I)の化合物および1つまたはそれ以上の担体の外に、本発明の医薬組成物はまた賦形剤を含有してもよい。適当な賦形剤または添加剤の例としては、充填剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、防腐剤、甘味剤、着色剤、矯味矯臭剤、芳香化物質、濃化剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポ効果を達成することができる剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤または抗酸化剤を挙げることができる。
【0070】
該発明の医薬組成物は、例えば丸剤、錠剤、コーティング錠剤、吸い込み可能な錠剤、顆粒、カプセル剤、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤、水性溶液、アルコール性溶液、油性溶液、シロップ、エマルション、懸濁液、坐剤、パステル剤、注射または注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、紛剤、スプレー、経皮治療システム、スプレー式点鼻薬、エアゾール、エアゾール混合物、マイクロカプセル剤、インプラント、ロッドまたはパッチの形態で存在するのがよい。
【0071】
最も適した投与方法は、それぞれ個々の場合における治療すべき状態の性質および重篤度ならびに各場合に使用する式(I)の化合物の性質によるが、本発明の医薬組成物は経口、直腸、局所、経口(例えば舌下)および非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈内)投与に適したものである。コーティングされた製剤およびコーティングされた徐放性製剤もまた、本発明の枠組みに入る。好ましいのは、耐酸性製剤および耐胃液性製剤である。胃液に抵抗する適当なコーティングは、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートならびにメタクリル酸およびメタクリル酸メチルのアニオン性ポリマーを含有する。
【0072】
経口投与用に適当な医薬化合物は、例えばカプセル剤、カシェ、吸い込み可能な錠剤または錠剤のような個別単位の形態で存在するのがよい。それらの各々は、一定量の式(I)の化合物を、粉末(例えばゼラチンカプセル剤またはサック)または顆粒の形態で、水性もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水のエマルション形態で含有する。既述したように、これらの組成物は、活性成分および担体(これは1つまたはそれ以上の追加成分からなっていてもよい)が接触するようになる工程を含むいずれか適当な製薬方法によって製造され得る。これらの組成物は、一般的には、活性成分を液体および/または微紛化固形担体と一緒に均一および均質に混合することにより製造され、その後必要により生成物は成形される。すなわち、例えば、錠剤は、適切な場合には1つまたはそれ以上の追加成分を用いて、該化合物の粉末または顆粒を圧縮するかまたは型込めすることによって製造することができる。圧縮錠剤は、適当な機械中で、適切な場合には結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤および/または1つ(またはそれ以上の)界面活性剤/分散剤と混合して、例えば、粉末または顆粒のような自由流動性形態の該化合物を錠剤化することにより製造することができる。型込め成形錠剤は、適当な機械中で、粉末形態でありそして不活性液体希釈剤で湿らされている該化合物を型込め成形することによって製造することができる。適当な希釈剤の例としてはデンプン、セルロース、スクロース、ラクトースまたはシリカゲルがある。本発明の医薬組成物は、さらに、希釈剤ではない物質、例えば1つまたはそれ以上の滑沢剤例えばステアリン酸マグネシウムもしくはタルク、着色剤、コーティング(コーティング錠剤)またはラッカーを含有してもよい。
【0073】
経口(舌下)投与に適した医薬組成物は、式(I)の化合物を、通常はスクロースのような矯味矯臭剤およびアラビアゴムまたはトラガカントとともに含有するサッカブルな錠剤、および該化合物をゼラチンのような不活性基剤およびグリセロールまたはスクロースおよびアラビアゴム中に含有するパステル剤を含む。
【0074】
非経口投与に適した医薬組成物は、式(I)の化合物の滅菌性水性製剤からなるのが好ましく、それは意図するレシピエントの血液と等張性であるの好ましい。これらの製剤は、皮下、筋肉内または皮内注射によっても投与を行うことができるけれども、静脈内に投与するのが好ましい。これらの製剤は、好ましくは、該化合物を水と混合し、得られた溶液を滅菌性とし、そして血液と等張性にすることにより製造され得る。本発明の注射用組成物は、一般的に、0.1〜5質量%の活性化合物を含有する。
【0075】
非経口用滅菌性組成物は、好ましくは水性もしくは非水性の溶液、懸濁液または乳液であるのがよい。使用できる溶剤またはビヒクルは、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび植物油、特にオリーブ油、注射用有機エステル例えばオレイン酸エチル、またはその他の適当な有機溶剤である。これらの組成物はまた、補助剤、特に湿潤剤、等張性の調整剤、乳化剤、分散剤および安定剤を含有してもよい。滅菌は、いくつかの方法で、例えば無菌ろ過、組成物中への滅菌剤の導入、照射または加熱により行うことができる。該組成物はまた、使用時に滅菌水または別の滅菌注射溶剤中に溶解される滅菌性固形組成物の形態で製造することもできる。
【0076】
直腸投与用に適当な医薬組成物は、単回投与用座薬の形態であるのが好ましい。これらは、式(I)の化合物を1種またはそれ以上の慣用固形担体例えばココアバターと一緒に混合し、そして得られた混合物を成形することにより製造することができる。
【0077】
皮膚への局所使用に適当な医薬組成物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、スプレー、エアゾールまたは油状物の形態であるのが好ましい。使用できる担体は、ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコールおよびこれらの物質の2種またはそれ以上の組合せであるのが好ましい。活性成分は、一般的には、組成物の0.1〜15質量%、例えば0.5〜2質量%の濃度で存在する。
【0078】
経皮投与もまた可能である。経皮用に適した医薬組成物は、患者の表皮と長期にわたって緊密に接触するのに適した単回用パッチの形態であることができる。このようなパッチは、場合により緩衝された水溶液中に入れた活性成分を、接着剤に溶解および/もしくは分散させるかまたはポリマー中に分散させて含有するのが適切である。適当な活性成分濃度は、約1%〜35%、好ましくは約3%〜15%である。特に好ましい可能性としては、例えばPharmaceutical Research,2(6):318(1986)に記載されているようなエレクトロトランスポート法またはイオン泳動によって活性成分が放出されることである。
【0079】
他の医薬との組合せ
本発明化合物は、単独で投与することができるか、または例えば、代謝障害またはそれに関連することの多い疾患に有利な効果を有する1種またはそれ以上の薬理学的に活性なさらに別の物質と組合わせて投与することができる。このような医薬の例は下記のとおりである。
1. 血中グルコースを下げる医薬、抗糖尿病薬、
2. 異常脂血症の治療のための活性成分、
3. 抗アテローム性動脈硬化性医薬、
4. 抗肥満薬、
5. 抗炎症性活性成分、
6. 悪性腫瘍の治療のための活性成分、
7. 抗血栓性活性成分、
8. 高血圧治療のための活性成分、
9. 心不全治療のための活性成分および
10.糖尿病により惹起されるかまたは糖尿病に関与する合併症の治療および/または予防のための活性成分。
【0080】
それらは、特に効果の相乗的改善のために式(I)の本発明化合物と一緒に組合わせることができる。活性成分組合せの投与は、患者に各活性成分を別個に投与するか、または複数の活性成分が1つの製剤中に存在する配合製剤の形態で投与することによって行うことができる。
【0081】
例として挙げられるのは下記のとおりである:
抗糖尿病薬
適当な抗糖尿病薬は、例えばRote Liste 2001,chapter12またはUSP Dictionary of USAN and International Drug Names、US Pharmacopeia(薬局方),Rockville 2003に開示されている。抗糖尿病薬の例としては、全てのインスリンおよびインスリン誘導体例えば、Lantus(R)(登録商標)(www.lantus.com参照)またはApidra(R)(登録商標)、および他の速効性インスリン(US6,221,633参照)、WO01/04146等に記載のGLP1レセプターモジュレータ、例えばNovo Nordisk A/SのWO98/08871に開示されているものを挙げることができる。
【0082】
経口的に有効な低血糖性活性成分の例としては、好ましくは、スルホニル尿素、ビグアナイド、メグリチナイド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、経口用GLP1アゴニスト、DPP−IV阻害剤、カリウムチャンネルオープナー例えばWO97/26265およびWO99/03861に開示されているもの、インスリンセンシタイザー、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取り込みのモジュレータ、脂質代謝を変えそして血中脂質組成を変化させる化合物、食物摂取または食物吸収を減少させる化合物、PPARおよびPXRのモジュレータならびにβ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する活性成分を挙げることができる。
【0083】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はインスリンとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物は肝臓グルコース産生に影響を及ぼす物質、例えばグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(WO01/94300、WO02/096864、WO03/084923、WO03/084922、WO03/104188参照)との組合せで投与される。
【0084】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はスルホニル尿素例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジドまたはグリメピリドとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はβ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する活性成分、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリドまたはレパグリニドとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はビグアナイド、例えばメトホルミンとの組合せで投与される。
【0085】
さらに別の態様において、式(I)の化合物はメグリチナイド、例えばレパグリニドとの組合せで投与される。
1つの態様において、式(I)の化合物はチアゾリジンジオン例えばシグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、またはDr.Reddy's Research FoundationのWO97/41097に開示されている化合物、特に5−[[4−[(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソ−2−キナゾリニルメトキシ)フェニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオンとの組合せで投与される。
【0086】
1つの態様において、式(I)の化合物は、例えばWO98/19998、WO99/61431、WO99/67278、WO99/67279、WO01/72290、WO02/38541、WO03/040174に記載のDPPIV阻害剤、特にP−93/01(1−シクロペンチル−3メチル−1−オキソ−2−ペンタンアンモニウムクロライド)、P−31/98、LAF237(1−[2−[3−ヒドロキシアダマンタ−1−イルアミノ]アセチル]ピロリジン−2−(S)−カルボニトリル)、TS021((2S,4S)−4−フルオロ−1−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]アセチル]ピロリジン−2−カルボニトリルモノベンゼンスルホネート)との組合せで投与される。
【0087】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はPPARガンマーアゴニスト例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾンとの組合せで投与される。
1つの態様において、式(I)の化合物は、例えばPCT/EP03/06841、PCT/EP03/13454およびPCT/EP03/13455に直接または間接的に開示されるようなSGLT−1および/または2に阻害作用を有する化合物との組合せで投与される。
1つの態様において、式(I)の化合物は、α−グルコシダーゼ阻害剤例えばミグリトールまたはアカルボースとの組合せで投与される。
【0088】
1つの態様において、式(I)の化合物は、1つより多くの前記化合物の組合せ、例えば、スルホニル尿素とメトホルミン、スルホニル尿素とアカルボース、レパグリニドとメトホルミン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン、等との組合せで投与される。
【0089】
脂質モジュレータ
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はHMGCoAレダクターゼ阻害剤例えばロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、イバスタチン、イタバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物は胆汁酸吸収阻害剤(例えばUS6,245,744、US6,221,897、US6,277,831、EP0683773、EP0683774参照)との組合せで投与される。
【0090】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物は高分子胆汁酸吸着剤例えばコレスチラミン、コレセベラムとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物は、例えばWO0250027に記載のコレステロール吸収阻害剤、またはエゼチミベ、チケシド、パマクエシドとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はLDLレセプター誘導物質(例えばUS6,342,512参照)との組合せで投与される。
【0091】
1つの態様において、式(I)の化合物は、充填剤、好ましくは不溶性充填剤例えば(carob/Caromax(R)(登録商標)、(Zunft H J;et al.,Carob pulp preparation for treatment of hypercholesterolemia,ADVANCES IN THERAPY(2001 Sep−Oct),18(5),230−6). カロマックス(Caromax)は、Nutrinova,Nutrition Specialties & Food Ingredients GmbH,Industriepark Hoechst,65926 Frankfurt/Main製のカロブ含有製品である)参照)との組合せで投与される。Caromax(R)との組合せは、1つの製剤中で、または式(I)の化合物およびCaromax(R)の個別投与により可能である。これに関して、Caromax(R)はまた、食品の形態、例えばベーカリー製品またはムースリバー中で投与することもできる。
【0092】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はPPARアルファーアゴニストとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物は、フィブラート例えばフェノフィブラート、ジェムフィブロジル、クロフィブラート、ベンザフィブラートとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はニコチン酸またはナイアシンとの組合せで投与される。
【0093】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はCETP阻害剤例えばCP−529,414(トルセトラピブ)との組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はACAT阻害剤との組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はMTP阻害剤例えばインプリタピドとの組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物は抗酸化剤との組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はリポ蛋白リパーゼ阻害剤との組合せで投与される。
【0094】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はATPクエン酸リアーゼ阻害剤との組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はスクアレンシンセターゼ阻害剤との組合せで投与される。
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はリポ蛋白(a)アンタゴニストとの組合せで投与される。
【0095】
抗肥満薬
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物はリパーゼ阻害剤例えばオルリスタットとの組合せで投与される。
1つの態様において、さらに別の活性成分はフェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンである。
別の態様において、さらに別の活性成分はシブトラミンである。
【0096】
さらに別の態様において、式(I)の化合物はCARTモジュレータ(“Cocaine−amphetamine−regulated transcript influences energy metabolism,anxiety and gastric emptying in mice”Asakawa,A,et al.,M.: Hormone and Metabolic Research(2001),33(9),554−558参照)、NPYアンタゴニスト(例えば ナフタレン−1−スルホン酸{4−[(4−アミノキナゾリン−2−イルアミノ)メチル]シクロヘキシルメチル}アミド塩酸塩(CGP 71683A))、MC4アゴニスト(例えば1−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸[2−(3a−ベンジル−2−メチル−3−オキソ−2,3,3a,4,6,7−ヘキサヒドロピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]アミド;(WO01/91752))、オレキシンアンタゴニスト(例えば1−(2−メチルベンゾオキサゾール−6−イル)−3−[1,5]ナフチリジン−4−イル尿素塩酸塩(SB−334867−A))、H3アゴニスト(3−シクロヘキシル−1−(4,4−ジメチル−1,4,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5c]ピリジン−5−イル)プロパン−1−オンシュウ酸塩(WO00/63208))、TNFアゴニスト、CRFアンタゴニスト(例えば[2−メチル−9−(2,4,6−トリメチルフェニル)−9H−1,3,9−トリアザフルオレン−4−イル]ジプロピルアミン(WO00/66585))、CRF BPアンタゴニスト(例えばウロコルチン)、ウロコルチンアンタゴニスト、β3アゴニスト(例えば1−(4−クロロ−3−メタンスルホニルメチルフェニル)−2−[2−(2,3−ジメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)エチルアミノ]エタノール塩酸塩(WO01/83451))、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、CCK−Aアゴニスト(例えば{2−[4−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−5−(2−シクロヘキシルエチル)チアゾール−2−イルカルバモイル]−5,7−ジメチルインドール−1−イル}酢酸トリフルオロ酢酸塩(WO99/15525))、セロトニン再取り込み阻害剤(例えばデクスフェンフルラミン)、セロトニン作用とノルアドレナリン作用が混合された化合物(例えばWO00/71549)、5HTアゴニスト例えば1−(3−エチルベンゾフラン−7−イル)ピペラジンシュウ酸塩(WO01/09111)、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン(例えばヒト成長ホルンモン)、成長ホルモン放出化合物(6−ベンジルオキシ−1−(2−ジイソプロピルアミノエチルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸第三級ブチルエステル(WO01/85695))、TRHアゴニスト(例えばEP 0 462 884参照)、非結合性蛋白2または3モジュレータ、レプチンアゴニスト(例えばLee,DanielW.;Leinung,Matthew C.;Rozhavskaya−Arena,Marina;Grasso,Patricia.Leptin agonists as a potential approach to the treatment of obesity.Drugs of the Future(2001),26(9),873−881参照)、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤(例えばWO00/40569)、PPARモジュレータ(例えばWO00/78312)、RXRモジュレータまたはTR−βアゴニストとの組合わせで投与される。
【0097】
本発明の1つの態様において、さらに別の活性成分はレプチンである。
1つの態様において、さらに別の活性成分はデクスアンフェタミン、アンフェタミン、マジンドールまたはフェンテルミンである。
1つの態様において、式(I)の化合物は、冠循環および血管系に効果を有する医薬、例えばACE阻害剤(例えばラミプリル)、アンジオテンシン−レニン系に作用する医薬、カルシウムアンタゴニスト、ベータブロッカー等との組合せで投与される。
1つの態様において、式(I)の化合物は抗炎症作用を有する医薬との組合せで投与される。
1つの態様において、式(I)の化合物は、癌治療および癌予防のために用いられる医薬との組合せで投与される。
【0098】
本発明化合物と1種またはそれ以上の前記化合物および場合により1種またはそれ以上の他の薬理学的に活性な物質との全ての適当な組合せが、本発明によって付与される保護範囲にあるとみなされることは認識されよう。
【0099】
実験部分
以下に、本発明を実施例により詳記するが、それは本発明を限定するものではない。
実施例1
4−メトキシ−3−ヒドロキシメチル−N−ジメチルアミノメチレンフェニルスルホンアミド
4−メトキシ−3−ヒドロキシメチルフェニルスルホンアミド1g、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.66gおよびジメチルホルムアミド5mlからなる混合物を80℃で1時間攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物は、徐々に固化する油状物であり、そしてそれをさらに精製せずに次の塩素化のために使用した。
【0100】
実施例2
4−メトキシ−3−クロロメチル−N−ジメチルアミノメチレンフェニルスルホンアミド
前記生成物をトルエン5ml中でチオニルクロライド0.4mlと混合し、そして60℃で3時間攪拌した。揮発物を真空中で留去した後に、残留物を酢酸エチル中において1N水酸化ナトリウム溶液で抽出し、そして有機相を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し次いで真空中で濃縮した。
【0101】
実施例3
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−[(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
4−メトキシ−3−クロロメチル−N−ジメチルアミノメチレンフェニルスルホンアミド0.2g、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン0.37mlおよびメチレンクロライド5mlの混合物をRTで24時間攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物を酢酸エチル中に取り入れ、そして水で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し次いで濃縮した。
融点:油状物
特記しない限り、以下の実施例は、実施例1〜3と類似の方法で製造された。
【0102】
実施例4
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−[(3,5−ジメチルフェノキシ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例5
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−[(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノ)メチル]−N−メチルスルフォニルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例6
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−ジブチルアミノメチルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例7
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−(4−ベンジルピペラジノメチル)ベンゼンスルホンアミド
融点: 油状物
実施例8
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−[(3,5−ジメチルピペリジノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
融点:89℃
【0103】
実施例9
N−ジメチルアミノメチレン−4−メトキシ−3−[(2−ベンジルフェノキシ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
この化合物は、実施例3と同様にして、テトラヒドロフラン中において2−ベンジルフェノール、水素化ナトリウムおよび4−メトキシ−3−クロロメチル−N−ジメチルアミノメチレンフェニルスルホンアミドから出発して、油状物として得られた。
【0104】
実施例10
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)ベンズアミド
融点:180℃
実施例11
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)−N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ベンズアミド
融点:192℃
実施例12
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)ベンズアミド
融点:216℃
【0105】
実施例13
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)安息香酸(シス−2,6−ジメチル−モルホリド)
融点:油状物
実施例14
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)安息香酸(3,3−ジメチル−ピペリジド)
融点:油状物
実施例15
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)−N−(2,2−ジメチルプロピル)ベンズアミド
融点:樹脂
実施例16
4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)−N−(2−クロロフェニルメチル)ベンズアミド
融点:167℃
【0106】
実施例17
4−クロロ−3−(N−メチルピペラジノメチレンスルファモイル)−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)ベンズアミド
この生成物は、4−クロロ−3−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)ベンズアミドをN−メチルピペラジンとともにN−メチルピロリドン中で100℃に加熱し、次いでカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロライド:メタノール=95:5)で後処理することにより黄色油状物として得られた。
【0107】
実施例18
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(3,3−ジメチルピペリジノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例19
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(3,5−ジメチルフェノキシ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
融点:137℃
実施例20
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
【0108】
実施例21
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)−N−メチルスルホニルアミノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド
この化合物は、6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノ)メチル]ベンゼンスルホンアミドをメタンスルホニルクロライドとメチレンクロライド中で、補助塩基としてのピリジンの存在下で反応させ、次いでカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロライド:メタノール=95:5)で精製することにより油状物として得られた。
【0109】
実施例22
6−クロロ−3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(中間体)
6−クロロ−3−クロロスルホニルベンゼンスルホンアミド2.9g、トリメチルアミン1.4ml、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン1.7mlおよびテトラヒドロフラン30mlからなる混合物をRTで24時間攪拌した。真空中で濃縮後、残留物をイソプロパノールとともに攪拌し、次いで固形物を吸引ろ去し、水洗しそして真空中40℃で乾燥した。
融点:111℃
【0110】
実施例23
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル)ベンゼンスルホンアミド
これは、6−クロロ−3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル)ベンゼンスルホンアミドをジメチルホルムアミドジメチルアセタールとDMF中で80℃において反応させることにより得られた。
融点: 100℃
【0111】
実施例24
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−(3,3−ジメチルピペリジノスルホニル)ベンゼンスルホンアミド
これは、実施例22および23と同様にして得られた。
融点123℃
実施例25
4−クロロ−N−ブチルアミノメチレン−3−[3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル]ベンゼンスルホンアミド
これは、6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル)ベンゼンスルホンアミドをブチルアミンとN−メチルピロリドン中で反応させることにより得られた。
融点:油状物
【0112】
実施例26
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)ベンゼンスルホンアミド
融点:>165℃(分解)
実施例27
2−アミノ−4−クロロ−5−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)ベンゼンスルホニルクロライド(中間体)
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン1,1−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−5,6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−スルホンアミド4gをクロロスルホ
ン酸(15mL)に70℃で加え、そして混合物を80℃で1.5時間攪拌し、次いで氷水に滴加しそして15分攪拌した。固形物をろ去し、乾燥し、そしてさらなる精製なしで次の反応に使用した。
【0113】
実施例28
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ジブチルベンゼンスルホンアミド
アセトン(1mL)中に溶解した2−アミノ−4−クロロ−5−(ジメチルアミノメチレンスルファモイル)ベンゼンスルホニルクロライド(120mg,0.33mmol)をジブチルアミンと混合し、そしてRTで1.5時間攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、n−ヘプタンで摩砕し、次いで吸引ろ去した。
融点:145℃(分解)
【0114】
実施例29
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ジイソブチルベンゼンスルホンアミド
融点:126℃
実施例30
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイルベンゼンスルホニルピペリジン
融点:103℃
実施例31
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイルベンゼンスルホニルピペラジン
融点:96℃
実施例32
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルベンゼンスルホンアミド
融点:100℃
実施例33
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシル−N−アリルベンゼンスルホンアミド
融点:90℃
実施例34
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシル−N−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
融点:122℃(分解)
【0115】
実施例35
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシル−N−エチルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例36
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−(2−メチルヘプチル)ベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例37
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ヘキシルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例38
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−オクチルベンゼンスルホンアミド
融点.:110℃
実施例39
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ノニルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
【0116】
実施例40
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−デシルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例41
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−デシルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例42
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ノニルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例43
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−オクチルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例44
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ヘキシルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
【0117】
実施例45
2−アミノ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシルベンゼンスルホンアミド
融点:156℃
実施例46
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロペンチルベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例47
2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−(エトキシカルボニルメチル)ベンゼンスルホンアミド
融点:油状物
実施例48
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシルベンゼンスルホンアミド
融点:>185℃(分解)
【0118】
生化学的検査
式Iの本発明化合物の効果を以下の酵素アッセイ系で試験した。
酵素の調製:
部分的に精製されたHSLの調製:
単離したラット脂肪細胞を、未処置雄性ラット(Wistar,220−250g)由来の副睾丸脂肪組織から、公開された方法(例えばS.Nilsson et al., Anal.Biochem.158,1986,399−407;G.Fredrikson et al.,J.Biol.Chem.256,1981,6311−6320;H.Tornquist et al.,J.Biol.Chem.251,1976,813−819)に従ってコラゲナーゼ処理することにより得た。ラット10匹からの脂肪細胞を、それぞれ50mlずつの均質化緩衝液(25ml Tris/HCl,pH7.4,0.25Mスクロース,1mM EDTA,1mM DTT,10μg/ml ロイペプチン,10μg/ml アンチパイン,20μg/ml ペプスタチン)で浮遊により3回洗浄し、そして最後に均質化緩衝液10ml中に取り入れた。脂肪細胞をテフロン(登録商標)内張りガラス(Teflon−in−glass)ホモジナイザー(Braun−Melsungen)中で、1500rpmおよび15℃でのストローク10回により均質化した。ホモジネートを遠心分離(Sorvall SM24管,5000rpm,10分,4℃)した。頂上の脂肪層とペレットとの間のサブネイタント(subnatant)を除去し、そして遠心分離を繰り返した。これより得られたサブネイタントを再び遠心分離(Sorvall SM24管,20000rpm,45分,4℃)した。サブネイタントを除去し、そして1gのヘパリン−セファロース(Pharmacia−Biotech,CL−6B,25mM Tris/HCl,pH7.4,150mM
NaClで5回洗浄したもの)を加えた。4℃で60分インキュベーション(15分間隔で振とう)した後に、混合物を遠心分離(Sorvall SM24管,3000rpm,10分,4℃)した。上澄み液を、氷酢酸を加えることによりpH5.2に調整し、そして4℃で30分インキュベートした。沈澱を遠心分離(Sorvall SS34,12000rpm,10分、4℃)により集め、そして2.5mlの20mM Tris/HCl,pH7.0,1mM EDTA,65mM NaCl,13%スクロース,1mM DTT,10μg/ml ロイペプチン/ペプスタチン/アンチパイン中に懸濁した。上澄み液を25mM Tris/HCl,pH7.4,50%グリセロール,1mM DTT,10μg/ml ロイペプチン、ペプスタチン、アンチパインに対して4℃で一夜透析し、次いでハイドロキシアパタイトカラム(1mlの懸濁液当たり0.1g、10mMリン酸カリウム,pH7.0で平衡化された,30%グリセロール,1mM DTT)に装填した。カラムを20〜30ml/時間の流速において4容量の平衡化緩衝液で洗浄した。HSLを0.5Mリン酸カリウム含有平衡化緩衝液1容量で溶出し、次いで透析し(前記参照)そして4℃での限外ろ過(Amicon Diaflo PM 10フィルター)により5倍〜10倍に濃縮した。部分的に精製されたHSLは、−70℃で4〜6週間貯蔵することができた。
【0119】
基質の調製:
NAG(NBDモノアシルグルセリド)基質の調製:
ホスファチジルコリン6mgおよびホスファチジルイノシトール6mgをそれぞれクロロホルム1mlに溶解した。NAG10mgをクロロホルム1mlに溶解した。2部のホスファチジルイノシトール溶液(例えば83.5μl)および1部のホスファチジルコリン溶液(例えば41.5μl)および100μlのNAG溶液をピペットで一緒にプラスチックシンチレーション容器に入れた(アッセイでの最終濃度:0.0375mgのリン脂質/ml;0.05mg/NAG/ml)。クロロホルム(225μl全容量)を、その上にN2流を通過させることにより完全に除去した。乾燥した基質は4℃で3日間まで貯蔵することができた。NAGの挿入されたリン脂質小胞/ミセルを調製するために(アッセイの日に)、乾燥した基質を20mlのアッセイ緩衝液(25mM Tris/HCl,pH7.4;150mM NaCl)に取り入れ、そして超音波プローブ(Branson Sonifier Type II,標準マイクロチップ)を用いて2回の超音波処理:すなわち、第1処理セッティング2,2×1分,氷上でそれぞれ1分ずつの間に;
第2処理セッティング4,2×1分,氷上でそれぞれ1分ずつの間に;を実施した。この操作中、基質溶液の色は、小胞/ミセル中のリン脂質分子間にNAGが挿入されたために黄色(最大吸光度481nm)から赤色(最大吸光度550nm)に変化した。基質として使用する前に(次の2時間内に)、その溶液を氷上で15分インキュベートした。
【0120】
間接的NAGアッセイ:
このアッセイを1.5mlエッペンドルフ(Eppendorf社製)容器または96−ウェルプレート中において30℃で60分実施した。HSL阻害剤を検出するために、10μlの試験物質を16.6%DMSOの存在下でアッセイ緩衝液(25mM Tris/HCl,pH7.4;150mM NaCl)中に導入した。180μlの基質溶液(アッセイ緩衝液中20μg/ml ホスファチジルコリン,10μg/ml ホスファチジルイノシトール,50μg/ml NAG)を加えた。30℃で15分間の前インキュベーションの後に、アッセイ緩衝液に溶解した20μlの酵素溶液(1〜4倍に希釈された)をピペットで入れ、そして480nmでの吸光度を、キュベット光度計(0.5mlキュベット)またはマイクロタイタープレートリーダー中で直ちに測定した。
30℃で60分間インキュベーションした後に、吸光度を再び測定した。480nmでの吸光度の増加は、酵素活性の測定値であった。標準状態下で、20μgの部分的に精製したHSLは0.4=4000arb.単位の吸光度変化をもたらした。
【0121】
直接的NAGアッセイ:
基質溶液の吸光度変化の測定に対する別法として、HSL反応の各生成物を相分離/薄層クロマトグラフィーにより調査した。このために、2mlエッペンドルフ(Eppendorf社製)容器中でインキュベーション混合物(200μl全容量,間接的NAGアッセイ参照)に1.3mlのメタノール/クロロホルム/ヘプタン(10:9:7)そして次に0.4mlの0.1M NaOHを加えた。激しい混合(10秒)の後に、相分離を遠心分離(800×g,20分,室温)により開始した。等価容量(例えば0.4ml)を上部水性相から採り、そして481nmでの吸光度を光度計で測定した。薄層クロマトグラフィーのためには、水性相を乾燥し(SpeedVac)そして次に50μlのテトラヒドロフラン中に取り入れた。5μl試料をシリカゲルSi−60プレート(Merck社製)上に充填した。クロマトグラフィーは、78mlのジエチルエーテル/22mlの石油エーテル/1mlの氷酢酸を移動相として用いて実施した。遊離された蛍光NBD−脂肪酸の量は、460nmの励起波長および540〜560nmの発光波長でPhosphorimaging(Molecular Dynamics,Storm 840 and ImageQuant Software)により測定した。
【0122】
評価:
物質は通常、4つの独立した混合物中で試験した。試験物質によるHSL酵素活性の阻害は、非阻害対照反応との比較により測定した。IC50は、分(min.)−試験物質の10個の濃度の阻害プロットから計算した。データの分析にGRAPHIT,Elsevier−BIOSOFTソフトウエアパッケージを使用した。
このアッセイでこれらの化合物が示した効果は下記のとおりであった。
【0123】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で表される化合物または生理学的に許容し得るその塩。
上記式において、
R1は、水素、ハロゲンまたは−CF3であり;
R2は、水素、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはC1−C3−アルコキシであり、そしてR1およびR2は同時に水素ではあり得ず;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
R4およびR5は、互いに独立して、水素、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキルまたはアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;または
R4およびR5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フェニル、オキソ、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−OCF3、−CF3またはヒドロキシから選択され;
R6は、水素、−SO2(C1−C3−アルキル)、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C10−アルケニルまたはアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フェニル、オキソ、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−OCF3、−CF3またはヒドロキシから選択され;または
R6は、XがNならば、R3およびXと一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−、ヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R7、ヒドロキシ、C1−C6−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
R7は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはフェニルであり、
そしてR7のフェニル部分は、また、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
Aは、SO2、COまたはCH2であり;
Xは、NR6またはOであり;
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する5〜10員の芳香族の単環式または二環式複素環であり;
アリールは、5〜10員の芳香族の単環式またはニ環式系であり;
ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する5〜10員の非芳香族の単環式または二環式複素環であり;
但し、R2が水素であり、そしてR1がハロゲンである場合には、−A−X−R3は、i)−C(O)−O−CH2−CH2−NH2、ii)−C(O)−NH−CH2−CH=CH2、iii)−C(O)−NH−CH2−CH2−Z(ここでZはハロゲン、ヒドロキシ、トリアルキルアンモニウム、メシレートまたはトシレートである)、iv)−C(O)−O−(C1−C6−アルキル)、v)−C(O)−NH−ベンゾイミダゾリルまたはvi)−C(O)−NH−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)ではなく、ここでi)およびiii)の−CH2−CH2−部分は、それぞれ1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルR1〜R4を1〜4個有していてもよく、ここでラジカルR1〜R4の1つはまた、カルボキシ、ヒドロキシメチルまたは5個より多くない炭素原子を有するアルキルオキシカルボニル基であってもよいか、またはラジカルR1〜R4の1つまたは2つは、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、フェニルまたは5〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルであってもよく、そしてここでv)およびvi)のベンゾイミダゾリルおよび(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)の部分は、未置換であってもまたは少なくともモノ置換されていてもよい。
【請求項2】
式(I)において、
R1は、水素、ハロゲンまたは−CF3であり;
R2は、水素、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2またはC1−C3−アルコキシであり、そしてR1およびR2は同時に水素ではあり得ず;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、アリールまたはヘテロシクリルであり、
ここで上記置換基は、アリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−C(O)O−(C1−C3−アルキル)、−C(O)O−フェニル、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され;
R4およびR5は、互いに独立して、水素、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C10−アルキルであり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され、または
R4およびR5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3またはヒドロキシから選択され;
R6は、水素、−SO2(C1−C3−アルキル)、未置換のまたは少なくともモノ置換された C1−C10−アルキルまたはC2−C6−アルケニルであり、
ここで上記置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルコキシまたは−CF3から選択され;または
R6は、XがNならば、R3およびXと一緒になって、未置換のまたは少なくともモノ置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで上記置換基は、アリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−C(O)O−(C1−C3−アルキル)、−C(O)O−フェニル、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルおよびC1−C3−アルコキシからなる群より選択され、
そしてこれらの置換基のアリール部分は、また、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、ヒドロキシ、C1−C3−アルキルまたはC1−C3−アルコキシによって少なくともモノ置換されていてもよく;
Aは、SO2、COまたはCH2であり;
Xは、NR6またはOであり;
アリールは、フェニル、インダニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニルまたはテトラヒドロフラニルである、
請求項1に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩。
【請求項3】
式(I)において、
R1は、塩素または−CF3であり;
R2は、水素または−NH2であり;
R3は、未置換のまたは少なくともモノ置換されたC1−C6−アルキル、C2−C3−アルケニルまたはフェニルであり、
ここで上記置換基は、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、塩素、フッ素またはヒドロキシから選択され;
R4およびR5は、それぞれメチルであり;
R6は、水素、−SO2CH3またはC1−C6−アルキルであり;
Aは、SO2またはCH2であり;
Xは、NR6またはOである、
請求項1または2に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩。
【請求項4】
6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(3,5−ジメチルフェノキシ)メチル]ベンゼンスルホンアミド;6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−[(N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)−N−メチルスルホニルアミノ)メチル]ベンゼンスルホンアミド;6−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミノスルホニル)ベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ジブチルベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−ジイソブチルベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)ベンゼンスルホンアミド;2−アミノ−4−クロロ−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシル−N−アリル−ベンゼンスルホンアミドおよび2−アミノ−4−トリフルオロメチル−5−ジメチルアミノメチレンスルファモイル−N−シクロヘキシルベンゼンスルホンアミドからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩。
【請求項6】
モノアシルグリセリドリパーゼおよび/またはホルモン感受性リパーゼ(HSL)の阻害剤である医薬の製造のための請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩の使用。
【請求項7】
インスリン非依存性糖尿病、糖尿病性症候群または肥満症の予防および/または治療のための医薬の製造における請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩の使用。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物または生理学的に許容し得るその塩の少なくとも1つの有効量ならびに生理学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物が、丸剤、錠剤、被覆錠剤、サッカブル錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤、水性溶液、アルコール性溶液、油性溶液、シロップ、エマルション、懸濁液、パステル剤、注射または注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、粉剤、スプレー、経皮治療システム、スプレー式点鼻薬、エアゾール、エアゾール混合物、マイクロカプセル剤、インプラント、ロッドまたはパッチの形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
【化2】

a)溶媒中で式(II)の化合物をR4R5NCH(OCH32と反応させる、またはここで式(II)の−A−X−R3部分が、−A−Z(ここでA−Zは、COCl、SO2Cl、SO2F、CH2ClまたはCH2Brである)部分で場合により置き換えられ得る場合には、それにより得られた中間体を下記変法b)に従って反応させる、または、
【化3】

b)不活性溶媒中で式(III)の化合物をHX−R3と反応させる または、ここで式(III)の−SO2−N=CH−NR4R5部分が、−SO2−NH2部分で場合により置き換えられ得る場合には、それにより得られた中間体を上記方法a)に従って反応させる
ことからなる、上記製造方法。

【公表番号】特表2008−526914(P2008−526914A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550767(P2007−550767)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000313
【国際公開番号】WO2006/074957
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】