説明

耐衝撃性改良エポキシ樹脂系組成物

一成分または二成分接着剤、マトリックス樹脂、または構造フォーム用の樹脂成分であって、(C1)1分子あたり平均1を越えるエポキシ基を有し、成分(C2)の定義に該当しない少なくとも1種のエポキシ樹脂;(C2)少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を含んでなる樹脂成分。前記樹脂成分を含んでなる一成分または二成分エポキシ接着剤、構造フォームまたは複合材用のマトリックス材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い弾性率、高い強靱性、および高い破断点伸びを有するエポキシ樹脂系に関する。このエポキシ樹脂系は接着剤、複合材のマトリックスにおいて使用することができ、また構造フォームにおいて発泡剤(=膨張剤)とともに使用することができる。前記特性の改良は、経済的に製造できるウレタン基非含有ポリエーテル化合物の添加に基づいて達成される。
【背景技術】
【0002】
しばらくの間、エポキシに基づく樹脂系は、接着剤、封止剤または表面コーティング剤として、または複合材製造用の複数の異なる材料を含む樹脂系として、航空産業、自動車産業または電気産業において使用されてきた。エポキシ/硬化剤混合物を含有する硬化性調製物は、特に構造接着剤として、または複合材用のマトリックス樹脂として適当である。中でもこの硬化性調製物の重要な物性は、破壊靱性、亀裂強度、ノッチ衝撃靱性、衝撃剥離強度、弾性率、破断点伸び、引張強度およびガラス転移温度である。高い破断点伸びは、高い弾性率、引張加重下の高い臨界応力拡大係数(=K1C)および低材料費とともに構造接着剤および複合材用のマトリックス樹脂にとって特に望ましい。
【0003】
国際特許出願第2007/004184号は、下記成分を含有する熱発泡性材を記載する:(a)実質的に液体または半固体エポキシ樹脂を含まない固体エポキシ樹脂、(b)耐衝撃性改質剤、(c)硬化剤、および(d)熱活性化発泡剤。この発明における耐衝撃性改質剤は、典型的な熱可塑性物質であり得る。例えば、下記化合物が記載されている:エポキシポリウレタンハイブリッドおよび1000〜10,000g/モルの範囲のモル質量を有するイソシアネートプレポリマー(例えばイソシアネート末端ポリエーテルポリオール)。
【0004】
国際特許出願第2007/025007号は、下記成分を含有する組成物を開示する:(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、(b)コア−シェル構造を有するゴム粒子、(c)さらなる耐衝撃性改質剤または強化剤、および(d)熱活性化潜在性硬化剤。成分(c)としては、例えばヒドロキシ末端ポリオキシアルキレン、例えばポリプロピレングリコールまたはポリテトラヒドロフランジオールなど由来のポリウレタンが例示されている。これらは熱可塑性挙動を示すといわれている。また、成分(c)として、アミン末端ポリエーテルとエポキシ樹脂の反応生成物(アミン末端ポリエーテルは二官能性または三官能性であり得る)も例示されている。アミン末端ポリエーテルは、好ましくは1分子中に少なくとも2個のアミノ基を含有する。
【0005】
独国特許出願第2829236号は、グリシジル基およびヒドロキシ基を含む直鎖ポリエーテル樹脂、ならびに硬化性混合物におけるアミノ樹脂硬化剤またはフェノール樹脂硬化剤とのそれらの併用を開示する。ポリエーテル樹脂は、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルと2価のフェノールとの反応により製造される。
【0006】
欧州特許第1648950号は、低温衝撃強度を改善するために、モノヒドロキシエポキシ化合物とイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーとの反応により得ることができるウレタン基含有ポリマーを含む、エポキシ樹脂系熱硬化性組成物を記載する。同様の原理は、欧州特許第1578838号にも開示されている。
【0007】
国際特許出願第83/04415号は、ジエポキシドと1分子中に2個の芳香族ヒドロキシ基を有する化合物との反応により得られるポリエーテル鎖を有するエポキシ樹脂を開示する。エポキシ樹脂(例えばアミノプラスト樹脂、他のアミノ基含有樹脂)用の硬化剤またはジイソシアネートと反応させることにより、この樹脂からコーティング材を得ることができる。コーティング材に必要な粘度を確保するために、相当量の有機溶剤が含まれている。コーティング材は、構造接着剤、構造フォームまたは複合材用のマトリックス材に適用される必要条件を満たしていない。
【0008】
米国特許第3,346,532号には、ゴム様生成物の製造用の出発生成物となる、2価のフェノールおよび有機ジエポキシドから構成される弾性コポリマーが記載されている。これらは、構造接着剤、構造フォームまたは複合材用のマトリックス材に適用される必要条件を満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許出願第2007/004184号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願第2007/025007号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願第2829236号明細書
【特許文献4】欧州特許第1648950号明細書
【特許文献5】国際特許出願第83/04415号パンフレット
【特許文献6】米国特許第3,346,532号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高弾性率、高強靱性、および高破断点伸びを有するエポキシ樹脂系を提供する。このエポキシ樹脂は、接着剤、複合剤のマトリックスにおいて使用することができ、あるいは発泡剤を添加して構造フォームにおいても使用することができる。前記特性の改善は、経済的に製造できるウレタン基非含有ポリエーテル化合物の添加より達成される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様において、本発明は、一成分または二成分接着剤または構造フォーム用の樹脂成分であって、
(C1)1分子あたり平均1を越えるエポキシ基を有し、成分(C2)の定義に該当しない少なくとも1種のエポキシ樹脂;
(C2)一般式(I):
【化1】

〔式中、nは5〜10,000の数であり;各繰り返し単位における各基Rは、互いに独立して、1〜100個の炭素原子を有する2価の連結基を表し;各繰り返し単位における各基Aは、互いに独立して、KまたはLから選択され、Kは2個のヒドロキシ基を取り除いた後の芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の基であり、Lは2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後のポリエーテルの2価の基である(ただし、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の全ての基Aの総数に基づいて、全基Aの20〜80%はKであり、全基Aの20〜80%はLである)〕
で示される1つ以上の構造要素を含む、少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物
を含んでなる樹脂成分に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「エポキシ樹脂」は、エポキシ化合物またはエポキシ含有化合物に基づき形成される樹脂組成物であると理解される。本発明にとって、成分(C2)の全てのオリゴマーまたはポリマーポリウレタン基非含有ポリマー化合物は、それらが末端オキシラン基を含有していたとしても、定義「エポキシ樹脂」から明確に除外される。
【0013】
本発明の特に好ましい実施態様において、重合性調製物のエポキシ樹脂系のエポキシ化合物またはエポキシ含有化合物は、オリゴマーエポキシ化合物およびモノマーエポキシ化合物ならびにポリマー型のエポキシのいずれをも包含することができ、一般に脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環化合物であり得る。本発明における適当な樹脂は、例えば、好ましくはビスフェノールA型のエポキシ樹脂、ビスフェノールS型のエポキシ樹脂、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンと多数のフェノールとの反応によって得られる多くのジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシド生成物、2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノールのエポキシド生成物、芳香族エポキシ樹脂、例えばナフタレン基本構造を有するエポキシ樹脂およびフルオレン基本構造を有するエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、およびヘテロ環を有するエポキシ樹脂、例えばトリグリシジルイソシアヌレートから選択される。エポキシ樹脂は、特に、オクタデシレンオキシド、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジペンテンジオキシド、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、SartomerのKrasol製品)、エポキシド官能性を含むシリコーン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、「DER−580」)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドおよび2−エポキシヘキサデカンを包含する。
【0014】
本発明にとって特に好ましいエポキシ樹脂は、例えば、商品名CY179(Huntsman)、ACHWL CER 4221(Achiewell, LLC)、またはCyracure 6105/6110(Dow Chemical)のもと市販されている脂環式エポキシ樹脂である。
【0015】
さらにエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)とエピクロロヒドリンの反応生成物、グリシジルエステル、およびエピクロロヒドリンとp−アミノフェノールの反応生成物を包含する。
【0016】
エピクロロヒドリン(またはエピブロモヒドリン)との反応により適当なエポキシ樹脂プレポリマーを生成する別のポリフェノールは、レゾルシノール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブテン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、および1,5−ヒドロキシナフタレンである。
【0017】
別の適当なエポキシプレポリマーは、ポリアルコールまたはジアミンのポリグリシジルエーテルである。この種のポリグリシジルエーテルは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはトリメチロールプロパンなどのポリアルコールに由来する。
【0018】
市販されているさらなる好ましいエポキシ樹脂としては、特に、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル[例えば、市販名称「Epon 828」、「Epon 825」、「Epon 1004」および「Epon 1010」(Hexion Specialty Chemicals社)、「DER−331」、「DER−332」、「DER−334」、「DER−732」および「DER−736」(Dow Chemical社)のもとで入手可能]、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ポリプロピレングリコールで修飾した脂肪族エポキシド、ジペンテンジオキシド、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、SartomerのKrasol製品)、エポキシド官能性を含むシリコーン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、「DER−580」、Dow Chemical社から入手可能なビスフェノール型の臭素化エポキシ樹脂)、フェノール/ホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、Dow Chemical社の「DEN−431」および「DEN−438」)、ならびに、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、Koppers社の「Kopoxite」)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、1,2−エポキシヘキサデカン、アルキルグリシジルエーテル、例えば、C8〜C10アルキルグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 7」)、C12〜C14アルキルグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 8」)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 61」)、クレシルグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 62」)、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 65」)、多官能グリシジルエーテル、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 67」)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 68」)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 107」)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 44」)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 48」)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 84」)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「HELOXY Modifier 32」)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、Huntsman Int.LLCの「EPN−1138」または「GY−281」)、9,9−ビス−4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニルフルオレノン(例えば、Hexion Specialty Chemicals社の「Epon 1079」)が挙げられる。
【0019】
さらなる好ましい市販化合物は、例えば、以下のものから選択される:Araldite(登録商標)6010、Araldite(登録商標)GY−281、Araldite(登録商標)ECN−1273、Araldite(登録商標)ECN−1280、Araldite(登録商標)MY−720、RD−2(Huntsman Int.LLC);DEN(登録商標)432、DEN(登録商標)438、DEN(登録商標)485(Dow Chemical社)、Epon(登録商標)812、826、830、834、836、871、872、1001、1031など(Hexion Specialty Chemicals社)、およびHPT(登録商標)1071、HPT(登録商標)1079(Hexion Specialty Chemicals社)、ノボラック樹脂としてさらに、例えば、Epi−Rez(登録商標)5132(Hexion Specialty Chemicals社)、ESCN−001(住友化学)、Quatrex 5010(Dow Chemical社)、RE 305S(日本化薬)、Epiclon(登録商標)N673(大日本インク株式会社)、またはEpicote(登録商標)152(Hexion Specialty Chemicals社)。
【0020】
好ましい実施態様において、本発明の重合性調製物は、いくつかの前記エポキシ樹脂の混合物を含む。
【0021】
重合性調製物の総重量に対するエポキシ樹脂またはいくつかのエポキシ樹脂混合物の割合は、好ましくは2〜98重量%であり、特に好ましくは10〜90重量%であり、とりわけ好ましくは30〜85重量%である。
【0022】
硬化生成物の効果的な耐衝撃性の改質は、重合性調製物におけるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル成分(C2)の使用により達成される。
【0023】
本明細書における「ポリエーテル化合物」は、4個以上のエーテル結合を有する化合物を意味するものと理解される。オリゴマーのポリエーテル化合物は4〜20個のエーテル結合を含み、一方ポリマーのポリエーテル化合物は20個を越えるエーテル結合を含む。
【0024】
本明細書において、用語「ウレタン基非含有ポリエーテル化合物」は、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物のポリマー鎖が実質的にウレタン基(−NH−CO−O)を含有しないオリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物を意味するものと理解される。「実質的に含有しない」とは、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物の1分子の分子量に対するウレタン基の割合が、0.5%未満、好ましくは0.25%未満、特に好ましくは0.1%未満であることを意味する。本発明の好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物は、全くウレタン基を含有しないため、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物の1分子の分子量に対するウレタン基の割合は0%である。
【0025】
一般的に、ポリマー鎖中のウレタン基は、アルコールとイソシアネートの反応により形成される。本発明のウレタン基非含有ポリエーテル化合物を耐衝撃性改質剤として使用することにより、その製造において実質的にイソシアネート含有化合物の使用を省くことが可能になる。さらに、ウレタン基非含有ポリエーテル化合物を強化剤として含有する本発明の重合性調製物は、ウレタン基含有ポリエーテル化合物を含む比較組成物に対して非常に低い粘度を示す。
【0026】
それ故に、耐衝撃性改質剤として多量のウレタン基非含有ポリエーテル化合物を使用した場合であっても、本発明の重合性調製物の粘度は低いままである。
【0027】
成分(C2)は、例えば、少なくとも1つの成分Xと少なくとも1つの成分Yを反応させることにより製造することができる。ここで、成分Xは、
(X−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族化合物、および
(X−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル
からなる群から選択され、成分Yは、
(Y−1)少なくとも2個の末端オキシラン基を有するポリエーテル、および
(Y−2)一般式(II):
【化2】

〔式中、各基RおよびRは、互いに独立して、1〜100個の炭素原子を有する2価の連結基を表し、基Dは少なくとも1つの芳香族基を包含する〕
から選択される。ただし、(X−1)の定義に適合する1種以上の成分間のみの反応、(Y−2)の定義に適合する1種以上の成分間のみの反応、および成分(X−2)の定義に適合する1種以上の成分と(Y−1)の定義に適合する成分間のみでの反応を除く。
【0028】
好ましい実施態様において、本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、少なくとも1つの末端ヒドロキシ基および/または少なくとも1つの末端オキシラン基を含有する。特に、本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の全ての末端基は、ヒドロキシ基および/またはオキシラン基から選択される。
【0029】
好ましいオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、1000〜100,000g/モルの、好ましくは2000〜8000g/モルの、特に好ましくは3000〜5000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0030】
1000g/モル未満の重量平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、樹脂マトリックス中で可塑剤として機能し得る。それ故に、その破壊力学特性およびその比較的低い曲げ弾性率のために多くの用途、特に複合材において不適当な重合生成物を生じる。
【0031】
100,000g/モルを越える重量平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、非常に高い粘性を示す。したがって、このポリエーテル化合物は、樹脂マトリックスとの比較的低い親和性を示す可能性がある。
【0032】
本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物(C2)は、上述した一般式(I)で示される1つ以上の構造要素を含む。2価の基Kは、形式上、芳香族ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を取り除くことによって得られる。本明細書において、「芳香族ジヒドロキシ化合物」とは、2個のヒドロキシ基(各ヒドロキシ基は芳香環系またはヘテロ環系の炭素原子に共有結合している)を包含する全ての化合物であると理解される。2個のヒドロキシ基は、両方が同じ芳香環系またはヘテロ環系に結合していてもよく、また、異なる芳香環系またはヘテロ環系に結合していてもよい。
【0033】
2価の基Lは、形式上、ポリエーテルから2個の末端ヒドロキシ基を取り除くことによって得られる。このため、基Lは、前述した化学構造を有する全ての2価の基を包含する。基Lの化学構造が、他の多くの方法、例えばアミノ末端ポリエーテルからの2個の末端基の除去によっても形式上達成され得ることは明らかである。そのような基も、当然上述した基Lの定義に含まれる。
【0034】
2価の基Lは、好ましくは「非芳香族ポリエーテル」から2個の末端ヒドロキシ基を除去することにより形式上得られる。ここで、用語「非芳香族ポリエーテル」とは、本発明においては芳香族構造要素を包含しないポリエーテルを意味するものと理解される。
【0035】
本発明の好ましい実施態様において、2価の基Lは、ポリアルキレンオキシド(非芳香族ポリアルキレンオキシドが特に好ましい)から2個の末端ヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。
【0036】
基Lとして、非芳香族ポリエーテルおよび/またはポリアルキレンオキシドに由来する構造単位を包含するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、耐衝撃性改質剤として特に良好な有効性を示す。
【0037】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、一般式(I)で示される複数の構造要素を包含する場合において、その構造要素は同じであっても異なっていてもよく、1つ以上の任意の接続基により互いに接続され得る。これに関して、それぞれの接続基は、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、共有結合ならびに、1〜100個の炭素原子を有する直鎖または分枝の2価の、3価の、4価の、5価のまたは多価の基から選択される。前記の連結基は、好ましくはC1〜22アルキル基(特にC6〜22アルキル基)、C2〜22アルケニル基(特にC6〜22アルケニル基)、C2〜22アルキニル基(特にC6〜22アルキニル基)、C5〜8シクロアルキル基、C3〜22ヘテロアルキル基、C4〜22ヘテロシクロアルキル基、C6〜14アリール基およびC6〜14ヘテロアリール基から選択される。
【0038】
全ての前記連結基は、それぞれ互いに独立して、一置換または多置換であってよく、特に、一置換、二置換、または三置換であってよく、好ましくは一置換であり、特に、ハロゲン(特に塩素、臭素またはフッ素)、トリフルオロメチル、C1〜18アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C1〜18アルコキシ基、C1〜18アルキルスルファニル基、C1〜18アルキルスルホニル基、C1〜18アルキルスルホキシジル基、C1〜18アルカノイル基、C1〜18アルカノイルオキシ基、C1〜18アルコキシカルボニル基、C1〜18アルキルアミノカルボニル基、C1〜18アルキルスルファニルカルボニル基、スルファニル基、シアノ基、アミノ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール−C1〜12アルキル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールアミノ基、ヘテロアリールスルファニル基、ヘテロアリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホキシジル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニルオキシ基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールアミノカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、C1〜18アルコキシスルホニル基、C1〜18アルコキシカルビノール基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ホルミル基、チオホルミル基から選択される置換基により置換され、好ましくは、ハロゲン、C1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、およびC1〜18アルコキシ基により置換され得る。
【0039】
好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基Aの総数に対する基Kの割合は、30〜70%であり、好ましくは40〜60%であり、特に45〜55%である。前記割合の基Kを含むオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、エポキシ樹脂マトリックスとの特に良好な親和性を示す。
【0040】
好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基Aの総数に対する基Lの割合は、30〜70%であり、好ましくは40〜60%であり、特に45〜55%である。前記割合の基Lを含むオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、比較的低いガラス転移温度Tgおよび低い粘度を有し、それにより特に良好な加工性を有する重合性組成物を生じる。
【0041】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の親和性、粘度およびガラス転移温度は、基KとLの割合の適正な選択により正確に調節することができる。
【0042】
衝撃靱性、曲げ特性、および本発明の重合生成物の硬化後に形成される微細構造は、使用するエポキシ樹脂または種々のエポキシ樹脂の混合物に応じて、オリゴーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基KおよびLの比率によって、さらに特異的に調節することができる。
【0043】
オリゴマーまたはポリマーウレタン基非含有ポリエーテル化合物の重量平均分子量において、式(I)の全構造要素の割合が40〜99.99%、好ましくは70〜99%、特に85〜98%であるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、本発明において特に好ましい。
【0044】
式(I)の構造要素を前記割合で有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、本発明の硬化重合性組成物の特に効果的な耐衝撃性の改善を可能にする。
【0045】
本発明において、一般式(I)の個々の構造要素は、それらが本発明の直鎖状オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を形成するよう、および/またはそのような化合物の成分となるよう配置または結合することができる。
【0046】
これに代えて、本発明において、一般式(I)の個々の構造要素は、それらが本発明の分枝状オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を形成するよう、および/またはそのような化合物の成分となるよう配置または結合することもできる。
【0047】
本発明において、好ましいオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、一般式(III):
【化3】

で示される化合物から選択される。式中、Eは水素および一般式(IV):
【化4】

で示される基から選択され、Fは水素および一般式(V):
【化5】

で示される基から選択され、式(III)のnは5〜10,000の数であり、各繰り返し単位および式(III)、(IV)および(V)中の基Rは、互いに独立して、1〜100個の炭素原子を有する2価の連結基を表し、各繰り返し単位および式(V)中の基Aは、互いに独立して、KまたはLから選択される(Kは、2個のヒドロキシ基を取り除いた後の芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の基であり、Lは2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後のポリエーテルの2価の基であり、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基Aの総数に基づいて、20〜80%の基AがKであり、20〜80%の基AがLである)。
【0048】
ウレタン基非含有ポリエーテル化合物の特性は、繰り返し単位の総数により改質することができ、それにより前記ポリエーテルを制御された方法で特定のエポキシマトリックスに適合させることができる。したがって、式(I)および(III)において、nは、より好ましくは3〜20の数であり、特に好ましくは5〜15の数であり、とりわけ好ましくは7〜10の数である。
【0049】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、(III)、(IV)および/または(V)中の基Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。特にRは、1〜6個、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基(例えばメチレン基およびエチレン基)から選択され、前記式におけるRは、好ましくはメチレン基である。
【0050】
式(I)、(III)および/または(V)で示される本発明のウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、特に、少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族物質および/または少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有するポリエーテルから製造することができる。前記物質の使用は、それらを経済的に製造することができ、種々の構造のものが市販されているため有利である。
【0051】
本発明のウレタン基非含有ポリエーテル化合物の製造において末端オキシラン基を有する物質を使用することは特に有利である。前記物質の使用は、それらを経済的に製造することができ、種々の構造のものが市販されているため有利である。
【0052】
2価の基Kは芳香族ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。各繰り返し単位および各式(I)、(III)および場合により式(V)中の好ましい基Kは、互いに独立して、一般式(VI)および/または式(VII):
【化6】

〔式中、Qはアルキレン、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホンおよび共有結合から選択され、iおよびjは、互いに独立して、0〜4の数、特に0または1を表す〕
で示される2価の基から選択される。
【0053】
存在する場合、(それぞれ芳香環系の水素原子を置換する)RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン(特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C1〜40アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル)、C2〜40アルケニル基、C1〜40アルコキシ基、およびC7〜13アラルキル基から選択される。式(V)中の基Rは、フェニル基が対応するナフチル基に代わった2価の基であってもよい。本発明の特定の実施態様において、存在する場合、基RおよびRは、少なくとも1つのさらなる一般式(I)の構造要素を包含し得る。
【0054】
本発明において、「アルキレン基Q」は、2価のアルキル基、すなわち両末端で結合に未だ関与し得るアルキルを意味するものと理解される。好ましいアルキレン基は、例えば、置換または非置換の、飽和または不飽和の炭素数1〜40のアルキレン基である。好ましい化合物は、例えば、−CH−(メチレン)、−CH−CH−(エチレン)、−CH−CH−CH−(プロピレン)、−CH−CH−CH−CH−(ブチレン)、−CH−CH−CH−CH−CH−(ヘキシレン)、−CH−CH−CH−CH−CH−CH−(へプチレン)、−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−(オクチレン)から、またそれらの分枝誘導体、例えばイソプロピレン、tert−ブチレンなどから選択される。
【0055】
アルキレン基Qは、一置換または多置換の形態で存在し得る。適当な置換基は、例えばハロゲン(特に塩素、臭素またはフッ素)、トリフルオロメチル、C1〜18アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C1〜18アルコキシ基、C1〜18アルキルスルファニル基、C1〜18アルキルスルホニル基、C1〜18アルキルスルホキシジル基、C1〜18アルカノイル基、C1〜18アルカノイルオキシ基、C1〜18アルコキシカルボニル基、C1〜18アルキルアミノカルボニル基、C1〜18アルキルスルファニルカルボニル基、スルファニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール−C1〜12アルキル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールアミノ基、ヘテロアリールスルファニル基、ヘテロアリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホキシジル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニルオキシ基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールアミノカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、C1〜18アルコキシスルホニル基、C1〜18アルコキシカルビノール基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ホルミル基、チオホルミル基から選択され得る。好ましくは、ハロゲン、C1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、およびC1〜18アルコキシ基から選択され得る。
【0056】
2個の芳香族ヒドロキシ基を取り除くことにより2価の基Kを得ることができる芳香族ジヒドロキシ化合物の適当な市販品は、例えば以下の通りである:ヒドロキノン、ナフタレンジオール、例えば1,2−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)硫化物、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、および1,1,3,4,6−ペンタメチル−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)インダン−5−オール、特に好ましくは、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノール TMC、とりわけ好ましくは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン。
【0057】
2価の基Lは、ポリエーテルから2個の末端ヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。各繰り返し単位中および下記式(I)、(III)および場合により式(V)中の好ましい基Lは、互いに独立して、一般式(VIII):
【化7】

〔式中、lは0〜5000の数であり、式(VIII)および各繰り返し単位中のl’は、互いに独立して、1〜10の数であり、式(VIII)および各繰り返し単位中のRは、互いに独立して、水素、直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、Rは特に水素またはメチルである〕
で示される2価の基から選択される。
【0058】
一般式(VIII)の好ましい2価の基において、lは1〜200の数であり、好ましくは3〜50、特に好ましくは5〜20の数であり、および/または式(VIII)および各繰り返し単位中のl’は、互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、特に1または3である。
【0059】
効果的な耐衝撃性の改質を達成するために、2個の末端ヒドロキシ基を取り除く前の各基Lが、200〜10,000g/モルの、好ましくは300〜5000g/モルの、特に500〜2000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有することが有利である。さらに、2個の末端ヒドロキシ基を取り除く前の各基Lが、20℃未満の、好ましくは10℃未満の、特に好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することが有利である。
【0060】
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準として用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、動的機械熱分析(DMTA)により測定することができ、各ガラス転移温度は、損失係数/温度線図の最大値から得られる。
【0061】
先に示したように、成分(C2)は、少なくとも1つの成分Xと少なくとも1つの成分Yを反応させることにより製造することができる。ここで、成分Xは、
(X−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族化合物、および
(X−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル
からなる群から選択され、成分Yは、
(Y−1)少なくとも2個の末端オキシラン基を有するポリエーテル、および
(Y−2)上述した一般式(II)で示される芳香族化合物
からなる群から選択される。
【0062】
したがって、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の製造においては、1つ以上の成分Xを1つ以上の成分Yと反応させる(使用される全ての成分は異なる化学構造を有する)。
【0063】
本発明において、表現「もっぱら〜間のみの反応」は、本発明の反応において、2つの成分の反応が前記成分の定義のいずれにも当てはまらない少なくとも1つの成分も存在することなしに行われることを意味する。
【0064】
したがって、本発明において、(X−1)の定義に当てはまる1つ以上の成分と(Y−2)の定義にあてはまる1つ以上の成分の反応は、本発明の反応中に(X−1)および(Y−2)の各定義にあてはまらない成分が全く存在しない場合においてのみ排除される。
【0065】
さらに、本発明において、(X−2)の定義に当てはまる1つ以上の成分と(Y−1)の定義にあてはまる1つ以上の成分の反応は、本発明の反応中に(X−2)および(Y−1)の各定義にあてはまらない成分が全く存在しない場合においてのみ排除される。
【0066】
本発明において、前記単独反応は、得られる反応生成物が硬化した重合性組成物の破壊力学的特性の不十分な改質をもたらすだけであるため排除される。したがって、本発明において、硬化したエポキシ樹脂マトリックスにおいて強化剤として作用させるために、オリゴマーまたはポリマーウレタン基非含有ポリエーテル化合物に、芳香族に基づく構造要素およびポリエーテルに基づく構造要素の両方が含まれる必要があることは明らかである。
【0067】
個々の成分の互いの反応において、特に一方の成分のヒドロキシ基が他方の成分の末端オキシラン基と反応して、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を形成する。
【0068】
個々の成分の反応性に応じて、好ましくは20〜250℃、例えば100〜180℃の温度で上記反応を行う。同様に、反応時間は使用する成分の反応性に応じて、好ましくは10分〜12時間であり、特に1〜6時間である。この反応は、適当な溶媒(例えばトルエン)中で行ってもよく、または溶媒なしで行ってもよい。
【0069】
本発明の好ましい実施態様において、個々の成分の反応は少なくとも1種の適当な触媒の存在下で行われる。適当な触媒は、ヒドロキシ基と末端オキシラン基の反応を促進する。本発明において、適当な触媒は、特にテトラアルキルアンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、tert−アミン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、アリール/アルキルホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、または尿素、例えばVersamin EH−50から選択される。
【0070】
本発明の別の好ましい実施態様において、個々の成分の反応は少なくとも1種の架橋剤の存在下で行われる。適当な架橋剤は、例えば、ジオール、トリオール、テトラオールおよび少なくとも5個のヒドロキシ基を含むポリオールから選択される。
【0071】
本発明において、好ましい成分(X−1)は、一般式(VIIa):
【化8】

で示される化合物から選択される。式(VII)において示した定義が適用され得る。
【0072】
さらに、好ましい成分(X−1)は、一般式(Vla):
【化9】

で示される化合物から選択され得る。式中、iは0〜4の数であり、Rは、ハロゲン(特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C1〜40アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル)、C2〜40アルケニル基、C1〜40アルコキシ基、およびC7〜13アラルキル基から選択される。式(VIa)中の基Rは、フェニル基が対応するナフチル基に代わった2価の基であってもよい。本発明の特定の実施態様において、存在する場合、基RおよびRは、少なくとも1つの一般式(I)の別の構造要素を含むことができる。
【0073】
本発明において、2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族化合物から成分(X−1)を選択することが特に有利である。2個の芳香族ヒドロキシ基を有する適当な芳香族化合物は、例えば、ヒドロキノン、ナフタレンジオール、例えば1,2−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)硫化物、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、および1,1,3,4,6−ペンタメチル−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)インダン−5−オール、特に好ましくは、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノール TMC、とりわけ好ましくは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0074】
成分(X−2)は少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリエーテルを意味する。
【0075】
本発明の好ましい実施態様において、成分(X−2)は、少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有する非芳香族ポリエーテルから選択される。本発明において、用語「非芳香族ポリエーテル」は芳香族構造要素を包含しないポリエーテルを意味するものと理解される。
【0076】
好ましい成分(X−2)は、一般式(IX):
【化10】

で示される化合物から選択される。式中、mは、2〜100の数であり、Pはm価のポリアルキレンオキシド基、例えばm価の非芳香族ポリアルキレンオキシド基を意味する。好ましくは、mは2〜50の数であり、特に好ましくは2〜10の数であり、とりわけ好ましくは2〜4の数であり、mは、特に2である。m価のポリアルキレンオキシド基Pは、直鎖構造または分枝構造のいずれを有していてもよい。
【0077】
成分(X−2)として、2個の末端ヒドロキシ基を有するポリエーテルを使用することにより、直鎖構造を有し、エポキシ樹脂マトリックスとの良好な親和性を示すオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を構成することができる。
【0078】
成分(X−2)として、2個より多い末端ヒドロキシ基を有するポリエーテルを使用することにより、分枝構造を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を構成することができる。
【0079】
適当な成分(A−2)は、例えば、一般式(VIIIa):
【化11】

で示される化合物から選択され得る。式中、記号*はOH基に置き換わり、式(VIII)に関して先に示した定義が適用される。
【0080】
成分(Y−1)は少なくとも2個の末端オキシラン基を有するポリエーテルを意味する。本発明の好ましい実施態様において、成分(Y−1)は、少なくとも2個の末端オキシラン基を有する非芳香族ポリエーテルから選択される。用語「非芳香族ポリエーテル」は上記と同じ意味を有する。
【0081】
成分(Y−1)は、好ましくは一般式(X):
【化12】

で示される化合物から選択される。式中、uは2〜5000の数であり、各繰り返し単位中のu’は、互いに独立して、1〜10の数であり、各基RおよびRは、互いに独立して、炭素数1〜100の2価の連結基を意味し、式(X)および各繰り返し単位中のRは、互いに独立して、水素、直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、Rは特に水素またはメチルである。
【0082】
特に、式(X)中のuは1〜200の数であり、好ましくは3〜50、特に好ましくは5〜20の数であり、および/または式(X)および各繰り返し単位中のu’は、互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、特に1または3である。
【0083】
本発明の好ましい実施態様において、式(X)中の基RおよびRは、互いに独立して、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。特に、式(X)中のRおよびRは、互いに独立して、1〜6個の、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基(例えばメチレン基およびエチレン基)から選択され、RおよびRは、メチレン基(−CH−)であることが特に好ましい。
【0084】
成分(Y−1)として適当なポリエーテルのジグリシジルエーテルは、例えば、商品名DER−732、DER−736(Dow Chemical社)またはAdeka ED−506(Adeka corporation)のもと入手可能であり、または、当業者に既知の方法を使用して、ポリエーテルポリオールとエピクロロヒドリンの反応により製造することもできる。
【0085】
上述したように、成分(Y−2)は、一般式(II)の芳香族化合物である。本発明の好ましい実施態様において、成分(Y−2)は、一般式(XI):
【化13】

で示される化合物から選択される。式中、rは0〜10の数であり、式(XI)および各繰り返し単位中のRは、互いに独立して、炭素数1〜10のアルキレン基から選択され、式(XI)および各繰り返し単位中のKは、互いに独立して、2個のヒドロキシ基を取り除いた後の芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の基を表す。
【0086】
本発明の好ましい実施態様において、rは0〜2の数であり、特に0〜1の数、例えば0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1である。
【0087】
特に、Rは1〜6個の炭素原子、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基(例えばメチレン基およびエチレン基)から選択され、Rがメチレン基(−CH−)であることが特に好ましい。
【0088】
2価の基Kは、芳香族ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。好ましい基Kは、式(VI)および(VII)で先に特定している。
【0089】
成分(Y−2)として適当なものは、特にビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルであり、それらは、例えば商品名Epon 825、Epon 826、Epon 828、Epon 830、Epon 862、Epon 1001(Hexion Specialty Chemicals社)またはDER−331、DER−332、DER−334(Dow Chemical社)のもと入手可能である。
【0090】
前記化合物は、1種以上の適当なビスフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応により製造することもできる。
【0091】
成分(Y−2)は、さらに、式(II)中の基Dが、下記式で示される少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1個の芳香族基を含有する化合物から選択される。
【化14】

〔式中、Rは、1〜100個の炭素原子を有する2価の接続基を意味する。〕特に、Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、例えばメチレン基またはエチレン基を意味する。
【0092】
式(II)における適当な基Dは、例えば、下記芳香族基:
【化15】

〔式中、Rは上記と同じ意味を有し、tは1〜100,000、特に1〜10,000、特に好ましくは1〜1000の数である〕
から選択することができる。
【0093】
対応する成分(Y−2)は、例えば、フェノール樹脂のグリシジルエーテル、例えばノボラック樹脂のグリシジルエーテルである。
【0094】
本発明の好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、少なくとも1種の成分(Y−2)の存在下、少なくとも1種の成分(X−1)を少なくとも1種の成分(Y−1)と反応させることにより得られる。
【0095】
それにより得られるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、少なくとも1種の成分(X−1)と少なくとも1種の成分(Y−1)間のみの反応により得られた比較生成物と比較して、耐衝撃性改質剤としてより高い有効性を有する。
【0096】
本発明において、上述した個々の成分のモル比は、好ましくは、得られるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、もっぱら末端オキシラン基を含んでなるよう選択される。
【0097】
少なくとも1つのオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、少なくとも1つの成分Aと少なくとも1つの成分Bを反応させることにより製造されることが、本発明にとって有利である。ここで、成分Aは、
(X−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族化合物、および
(X−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有する非芳香族ポリエーテル
からなる群から選択され、成分Bは、
(Y−1)少なくとも2個の末端オキシラン基を有する非芳香族ポリエーテル、および
(Y−2)一般式(II):
【化16】

で示される芳香族化合物からなる群から選択される。式中、各基RおよびRは、互いに独立して、1〜100個の炭素原子を有する2価の連結基を表し、基Dは少なくとも1つの芳香族基を包含する。ただし、(X−1)の定義に当てはまる1種以上の成分間のみの反応、(Y−2)の定義に当てはまる1種以上の成分間のみの反応、および成分(X−2)の定義に当てはまる1種以上の成分と(Y−1)の定義に当てはまる成分間のみの反応を除く。
【0098】
上述したように、用語「非芳香族ポリエーテル」は、本発明においては芳香族構造要素を包含しないポリエーテルを意味するものと理解される。
【0099】
前記のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、硬化した状態において特に良好な破壊力学特性を示す重合性組成物の製造を可能にする。
【0100】
一般式(XIa):
【化17】

〔式中、rは0〜10の数であり、式(XIa)および各繰り返し単位中のKは、互いに独立して、2個のヒドロキシ基を取り除いた後の芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の基を表す〕
で示される化合物から選択される少なくとも1つの成分(Y−2)の存在下、一般式(VIIb):
【化18】

〔式中、jは0〜4の数であり;Qは、アルキレン、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホンおよび直接共有結合からなる群から選択され、各基Rは、互いに独立して、ハロゲン(特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C1〜40アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル)、C2〜40アルケニル基、C1〜40アルコキシ基、およびC7〜13アラルキル基から選択される〕
で示される化合物から選択される少なくとも1つの成分(X−1)を、一般式(Xa):
【化19】

〔式中、uは2〜5000の数であり、各繰り返し単位中のu’は、互いに独立して、1〜10の数であり、式(Xa)および各繰り返し単位中のRは、互いに独立して、水素、直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、Rは特に水素またはメチルである〕
で示される少なくとも1つの成分(Y−1)と反応させることが、本発明にとって特に有利である。
【0101】
成分(X−1)に対する成分Y(Y−1+Y−2)のモル比は、特に1:1.01〜1:1.6、好ましくは1:1.1〜1:1.3である。
【0102】
成分(Y)として、末端エポキシ基を有し、1000〜3000g/モルのエポキシ当量を有し、5〜18個のCO繰り返し単位の連続的ポリプロピレンオキシドブロックと少なくとも1つのフェニレン構造単位を含む芳香族ブロックを含むポリエーテルを使用することが好ましい。
【0103】
さらに、成分(Y)が170〜400g/モルのエポキシ当量を有するポリプロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、および156〜550g/モルのエポキシ当量を有するビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルの、1000〜3000g/モルの反応生成物のエポキシ当量の反応生成物であることが好ましい。
【0104】
本発明の樹脂成分は、1種以上の前記オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物(C2)を、樹脂成分の総重量に基づいて、2〜60重量%の量で、好ましくは5〜40重量%の量で、より好ましくは10〜30重量%の量で含有することができる。
【0105】
別の好ましい実施態様は、樹脂成分ならびにそれを用いて調製された最終接着剤、複合材用のマトリックス材または構造フォームが、ベンゾオキサジン化合物を含有しないことを特徴とする。ベンゾオキサジン化合物を含有する調製物と比較して、ベンゾオキサジン化合物を含有しない生成物は未硬化の状態で低粘度であり、硬化した状態で優れた破断点伸びを有する。硬化をより低い温度で行うことができる。
【0106】
別の好ましい実施態様において、樹脂成分は、コア−シェル構造を有するエラストマー粒子をさらに含有する。その例は、コア−シェル構造を有するゴム粒子である。本発明において、コア−シェル構造を有するゴム粒子は、0℃以下のガラス転移温度を有するポリマー材でできたコアと、25℃以上のガラス転移温度を有するポリマー材でできた外皮を備えることが好ましい。特に適当なコア−シェル構造を有するゴム粒子は、ジエンホモポリマー、ジエンコポリマーまたはポリシロキサンエラストマーでできたコア、および/またはアルキル(メタ)アクリレートホモポリマーまたはコポリマーでできたシェルを含む。
【0107】
これらのコア−シェル粒子のコアは、例えば、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンと1つ以上のエチレン性不飽和モノマー、例えばビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレートもしくは同様のモノマーとのコポリマーから選択されるジエンホモポリマーまたはジエンコポリマーを含有し得る。シェルのポリマーまたはコポリマーは、例えば、(メタ)アクリレート、例えば特にメチルメタクリレートなど、ビニル芳香族モノマー(例えばスチレン)、ビニルシアニド(例えばアクリロニトリル)、不飽和酸または無水物(例えばアクリル酸)、(メタ)アクリルアミド、および適度に高いガラス転移温度を有するポリマーをもたらす同様のモノマーなどをモノマーとして含有できる。他のゴム様ポリマー、例えばポリ(ブチルアクリレート)、またはポリシロキサンエラストマー、例えばポリジメチルシロキサン、特に架橋したポリジメチルシロキサンもコアとして使用できる。
【0108】
一般的に、これらのコア−シェル粒子は、コアがコア−シェル粒子の50〜95重量%を占め、シェルがこの粒子の5〜50重量%を占めるように構成される。
【0109】
好ましくは、これらのゴム粒子は比較的小さい。例えば、平均粒径(例えば光散乱法を用いて決定される)は、約0.03〜約2μm、特に約0.05〜約1μmの範囲である。しかしながら、より小さなコア−シェル粒子、例えば、平均粒径が約500nm未満、特に約200nm未満の粒子も使用できる。例えば、平均粒径は約25〜約200nmの範囲であってもよい。
【0110】
このようなコア−シェル粒子の製造は、当該技術分野において既知であり、例えば国際特許出願公開第2007/025007号の第6頁、第16〜21行に記載される。コア−シェル粒子の製造方法は、米国特許7,485,680号にも記載されており、それを使用することもできる。
【0111】
有機ポリマー製の外皮を含有する無機粒子は、コア−シェル構造を有する上述のゴム粒子と同様の機能をもたらすことができる。したがって、本発明の別の好ましい実施態様は、本発明の樹脂成分が、好ましくはアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマーから選択され、少なくとも30重量%がアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルで重合したポリマーにより構成される有機ポリマー製の外皮を含む無機粒子を付加的な成分として含むことを特徴とする。
【0112】
エラストマー粒子の割合(エラストマー粒子を含む他の原料成分を含まない)は、重合性調製物の総量に対して、好ましくは0〜30重量%であり、特に好ましくは0〜20重量%であり、とりわけ好ましくは5〜15重量%である。
【0113】
上述したエラストマー粒子に加えて、またはエラストマー粒子に代えて、本発明の樹脂成分は、少なくとも1種のさらなる耐衝撃性改質剤/強化剤を含有することができる。例えば、上記の文献中にこの目的のために記載されたポリマーを使用することができる。その例およびさらなる例は、以下の通りである。
【0114】
反応性または非反応性であり得る熱可塑性ポリウレタン。好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンは、さらに架橋することができないという意味で非反応性である。このことは、特にポリエステル鎖を含むポリウレタンに対していうことができる。用語「熱可塑性ポリウレタン」(「TPU」と略す場合がある)は、この分野の当業者に既知である。適当な熱可塑性ポリウレタンは市販されており、またこの明細書に基づいて、例えばスペインのMerquinsa社またはドイツのDanquinsa GmbHから入手することもできる。
【0115】
反応性(架橋性)または非反応性(非架橋性)熱可塑性ポリウレタンに代えて、またはそれとともに、樹脂成分は、熱可塑性ポリマーブロックを有するブロックコポリマーを含有することができる。好ましくは、これらは、15℃以下、特に0℃以下のガラス転移温度を有する第1ポリマーブロックと、25℃以上、特に50℃以上のガラス転移温度を有する第2ポリマーブロックを含むものから選択される。特に適当なものは、第1ポリマーブロックがポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックから選択され、第2ポリマーブロックがポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートブロックから選択されるものから選択されるブロックコポリマーである。
【0116】
例えば、ブロックコポリマーは、以下のブロック構造を有するコポリマーから選択される:スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリレート、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−グリシジル(メタ)アクリル酸エステル、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステル−ブチルアクリレート−(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはメチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート。
【0117】
上述したブロックコポリマーは、国際特許出願第2007/025007号において使用できるコポリマーに対応する。これらに関するより詳細な情報、および本発明との関連において適当なさらなるブロックコポリマーは、上記明細書の第25頁第21行〜第26頁第9行に集約されている。
【0118】
さらなる耐衝撃性改質剤/強化剤は、本発明により樹脂成分のエポキシ樹脂(C1)とソフトセグメントであるまたはソフトセグメントを含むポリマーとの反応生成物であってもよい。したがって、好ましい実施態様は、さらなる耐衝撃性改質剤が、ブタジエン−アクリロニトリルに基づくカルボキシル基含有コポリマーと化学量論的に過剰な成分(C1)のエポキシ樹脂との反応生成物であるという事実にある。さらなる有利な実施態様には、さらなる耐衝撃性改質剤が、アミノ基含有ポリエーテルと化学量論的に過剰な成分(C1)のエポキシ樹脂との反応生成物であるような態様である。これに関する詳細については、上述した国際特許出願第2007/025007号が参照される。
【0119】
さらなる耐衝撃性改質剤の割合は、重合性調製物の総量に対して、好ましくは0〜30重量%であり、特に好ましくは0〜20重量%であり、とりわけ好ましくは5〜15重量%である。
【0120】
本発明の樹脂成分は、第2成分がエポキシ樹脂用硬化剤であるまたはエポキシ樹脂用硬化剤を含む二成分接着剤の一成分としてはたらく。したがって、別の実施態様において、本発明は、第1成分が上述した本発明による樹脂成分であるまたは本発明による樹脂成分を含み、第2成分が少なくとも1つのアミノ基含有化合物若しくは少なくとも1つのチオール基含有化合物であるまたは少なくとも1つのアミノ基含有化合物若しくは少なくとも1つのチオール基含有化合物を含む硬化剤成分である二成分接着剤に関する。一般的にこのために、二成分エポキシ接着剤用の硬化成分として当業者に既知のアミンまたはチオール硬化剤を使用することができる。その例は、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドに基づく、「Jeffamine(登録商標)D」または「Jeffamine(登録商標)T」として既知の二官能アミノ末端ポリアルキレングリコールまたは三官能アミノ末端ポリアルキレングリコールである。さらなる例は、ポリアミノアミド(好ましくは種々の等級のVersamid(登録商標)、Aradur(登録商標)、またはAncamide(登録商標))、ポリアミン(好ましくは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサミン、Aradur(登録商標)、Ancamin(登録商標)、Lauromin(登録商標))、脂環式ポリアミン(好ましくは、Ancamine(登録商標)、Lauromine(登録商標))、ポリアミノイミダゾリン(好ましくは、Versamid(登録商標))、アラルキルアミン(好ましくは、MXDA)、芳香族アミン(好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、MDA)、ポリメルカプタン(好ましくは、Capcure(登録商標)3−800)、カルボン酸無水物(好ましくは、ポリセバシン酸ポリ無水物、ポリアゼライン酸ポリ無水物、無水コハク酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニル置換コハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、トリカルバリル酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、無水マレイン酸によるリノール酸付加物、アルキル化末端アルキレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメリット酸無水物、無水フタル酸、テトラクロロフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、クロロナド酸無水物、およびクロレンド酸無水物、ならびに無水マレイン酸−グラフト化ポリブタジエン;特に好ましくはメチルナド酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物およびテトラヒドロフタル酸無水物)である。
【0121】
しかしながら、本発明の樹脂成分は、熱硬化性一成分組成物を製造するために、これに加えてエポキシド用の潜在性硬化剤を含有することもできる。したがって、別の態様において本発明は、上述した本発明の樹脂成分と(C3)成分(C1)用の少なくとも1種の潜在性硬化剤を含有する熱硬化性組成物に関する。
【0122】
エポキシ樹脂用のこの種の潜在性硬化剤は当業者に既知である。これらは、例えば、下記成分から選択することができる:、グアニジン、置換グアニジン、置換尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、環式三級アミン、芳香族アミンおよび/またはそれらの混合物である。硬化剤は、硬化反応に化学量論量で含むことができるが、触媒活性であってもよい。置換グアニジンの例は、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジンおよび、最も好適にはシアノグアニジン(ジシアンジアミド)である。アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂またはメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンが、好適なグアナミン誘導体の例示である。ジシアンジアミドが好適である。
【0123】
上記硬化剤に加えて、または上記硬化剤に代えて、触媒活性置換尿素を使用することができる。置換尿素は、特に、p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Monuron)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(Fenuron)または3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Diuron)である。一般に、触媒活性三級アリールまたはアルキルアミン、例えばベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)フェノール、ピペリジンまたはピペリジン誘導体を使用することもできる。特に種々の(好ましくは固体のイミダゾール誘導体を、触媒活性促進剤として使用することができる。2−エチル−2−メチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、ベンズイミダゾールおよびN−C〜C12−アルキルイミダゾールまたはN−アリールイミダゾールをこのような促進剤の代表例として挙げ得る。アミノ化合物とエポキシ樹脂の付加物も、前記硬化剤に対する促進添加剤として適当である。
【0124】
好適なアミノ化合物は、第3級脂肪族アミン、芳香族アミンまたは環式アミンである。好適なエポキシ化合物は、例えば、ビスフェノールA若しくはFまたはレゾルシノールのグリシジルエーテルに基づくポリエポキシドである。このような付加物の具体例は、第3級アミン、例えば2−ジメチルアミノエタノール、N−置換ピペラジン、N−置換ホモピペラジン、N−置換アミノフェノールと、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFまたはレゾルシノールのジ−またはポリグリシジルエーテルとの付加物である。
【0125】
本発明の熱硬化性組成物は、最終組成物に基づいて、好ましくは88〜99重量%の、特に93〜97重量%の本発明の樹脂成分と、1〜12重量%、特に3〜7重量%の前記潜在性硬化剤を含有する。
【0126】
カルボン酸またはカルボン酸無水物も、エポキシ樹脂用の潜在性硬化剤として使用することができる。適当なカルボン酸硬化剤は以下の通りである:脂肪族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、3,6,9−トリオキサウンデカン二酸、または二量体化若しくは三量体化リノール酸;脂環式ポリカルボン酸、例えば、テトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸および4−メチルヘキサヒドロフタル酸;芳香族ジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはナフタル酸;例えばグリコール(例えばポリプロピレングリコール)を2当量のジカルボン酸無水物(例えばテトラヒドロフタル酸無水物)と反応させることにより得ることができるジカルボン酸ジエステル。
【0127】
特に適当な無水物硬化剤は、二官能若しくは多官能カルボン酸の全ての無水物、例えば、直鎖脂肪族ポリマー無水物および環状カルボン酸無水物である。適当な無水物硬化剤は、例えば以下の通りである:ポリセバシン酸ポリ無水物、ポリアゼライン酸ポリ無水物、無水コハク酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニル置換コハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、トリカルバリル酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、無水マレイン酸によるリノール酸付加物、アルキル化末端アルキレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメリット酸無水物、無水フタル酸、テトラクロロフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、クロロナド酸無水物、およびクロレンド酸無水物。
【0128】
22℃で液体である、または易溶解性(すなわち60℃以下の溶解性)のジカルボン酸無水物をエポキシ樹脂用硬化剤として使用することが好ましい。特に好ましい無水物硬化剤は、メチルナド酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、およびメチルテトラヒドロフタル酸無水物であり、メチルナド酸無水物およびメチルテトラヒドロフタル酸無水物は、好ましくは異性体混合物として使用される。
【0129】
本発明の熱硬化性組成物は、最終組成物に基づいて、好ましくは35〜96重量%の、特に45〜75重量%の本発明の樹脂成分と、4〜65重量%、特に25〜55重量%のカルボン酸またはカルボン酸無水物を潜在性硬化剤として含有する。
【0130】
二成分接着剤および熱硬化性組成物はいずれも、構造接着剤としてまたは複合材のマトリックスとして使用することができ、この態様は本発明の別の実施態様に含まれる。構造接着剤は、特に造船、航空機構造、および特に車両構造において利用することができる。一方で高い強度に優れ、他方で高い靱性および破断点伸びに優れている(すなわち、一般的に望まれる有利な破壊特性に優れている)。
【0131】
上述した熱硬化性組成物に発泡剤(「膨張剤」とも称する)をさらに添加する場合、強化部材(特に中空部材)用の構造フォームとして役立つ発泡性硬化性調製物が得られる。これは車両構造、特に自動車構造における強化部材として利用することができる。したがって、本発明の別の実施態様は、組成物がさらに(C4)物理的または化学的発泡剤を含有する態様にある。
【0132】
一般的に発泡剤として、例えば、分解により気体を放出する「化学的発泡剤」、または「物理的発泡剤」すなわち膨張性中空球などの全ての既知の発泡剤が適当である。前者の発泡剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、p−トルエンスルホニル−セミカルバミドである。ポリビニリデンクロリドコポリマーまたはアクリロニトリル/(メタ)アクリレートコポリマーに基づく発泡性のプラスチック中空微小球が特に好ましい。これらは、例えばPierce & Stevens社またはCasco Nobel社から、それぞれ商品名「Dualite(登録商標)」および「Expancel(登録商標)」のもと市販されている。
【0133】
発泡剤の量は、活性化温度(または発泡温度)まで加熱する際に、化合物の体積が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に少なくとも50%不可逆的に増加するような量で好ましく選択される。このことは、その熱膨張率による通常の可逆性熱膨張に加えて、活性化温度まで物質を加熱した際に、その体積が、室温(22℃)での初期体積に比べて不可逆的に増加することにより、室温まで冷却した後の体積が前記範囲まで増加することを意味する。したがって、上記の膨張率は、活性化温度への一時的な加熱の前後における、室温での接着剤の体積に関する。1000%までの膨張率、最大でも2000%までの膨張率となるように発泡剤の量を選択することにより膨張率の上限を設定することができる。しかしながら、多くの用途にとっては、膨張率の上限が300%未満、特に200%未満となるような量の発泡剤を使用すれば十分である。
【0134】
この実施態様において、熱発泡性硬化性組成物は、最終組成物に基づいて、好ましくは以下を含有する:
76〜98.9重量%、特に89〜96重量%の本発明の樹脂成分、
1〜12重量%、特に3〜7重量%の潜在性硬化剤、および
0.1〜12重量%、特に1〜4重量%の発泡剤。
【0135】
熱硬化性組成物が発泡剤を含有するか否かにかかわらず、活性温度は、好ましくは120〜220℃の範囲、特に100〜200℃の範囲である。この温度を5〜150分間維持することが好ましい。
【0136】
この熱硬化性発泡性組成物は構造フォームとして使用することができ、この態様は本発明の別の実施態様に含まれる。空洞、特に金属構造における空洞を補強および/または封止するために使用することができる。このため、例えば、造船、航空機構造、および特に車両構造において利用することができる。この用途においても、一方で高い強度に優れ、他方で高い靱性および破断点伸びに優れている(すなわち、一般的に望まれる有利な破壊特性に優れている)。
【0137】
通常、本発明の組成物は、前記オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物とともに、例えば、粉砕または沈降チョーク、カーボンブラック、炭酸カルシウム−マグネシウム、バライト、および特にケイ酸アルミニウム−マグネシウム−カルシウム型のケイ酸塩フィラー(例えば、珪灰石、緑泥石)などの添加剤をさらに含有する。
【0138】
さらに本発明の組成物は、例えば可塑剤、反応性希釈剤、さらなる耐衝撃性改質剤、レオロジー調整剤、湿潤剤、老化防止剤、安定化剤および/または着色顔料などの他の添加剤を含有することができる。しかしながら、本発明の組成物は、好ましくは可塑剤を含有しない。
【0139】
一成分若しくは二成分構造接着剤として、複合材用のマトリックス材として、または構造フォームとして利用可能となるように、即用硬化組成物(すなわち、硬化反応が起こる直前の組成物)は、できる限り有機溶剤を含有しない。これは、22℃で液体であり、標準気圧で300℃未満の沸点を有し、硬化反応の過程で得られるポリマー網目中に化学的に取り込まれない物質を意味するものと理解される。したがって、即用硬化組成物の有機溶剤の含有量は、最終組成物に基づいて、20重量%未満の、好ましくは10重量%未満の、特に5重量%未満の、とりわけ好ましくは1重量%未満である。
【0140】
本発明の別の主題は、通常、本発明による樹脂成分の重合生成物である。この生成物は、高い弾性率および高い曲げ弾性率、ならびに高い引張強度および衝撃靱性を有する。したがって、本発明は、上述した二成分接着剤若しくは上述した熱硬化性組成物により接着接合された少なくとも2つの構造部材を含有する物品を包含する。さらに本発明は、上述したような発泡硬化部材を含む物品も包含する。
【実施例】
【0141】
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準として用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、動的機械熱分析(DMTA)により測定することができ、各ガラス転移温度は、損失係数/温度線図の最大値から得られる。
【0142】
曲げ強度および曲げ弾性率は、ASTM D790に従って測定した(それぞれ、90mm×12.7mm×3.2mmの大きさの試験片を用い、スパン=50.8mmおよび速度1.27mm/分で測定した)。
【0143】
臨界応力拡大係数K1CおよびG1C値(破壊エネルギー)は、いわゆるシングルエッジノッチベンディング(SENB)を用い、ASTM D5045−96に従って測定した(それぞれ、56mm×12.7mm×3.2mmの大きさの試験片を使用した)。
【0144】
弾性率、破断点伸び、および引張強度は、10TH2A引張試験機、WN:139315クロスヘッド移動エンコーダ、ビデオ伸び幅計およびID:0 WN:139316 10kN力センサー、タイプI(ASTM D683)試験片をそれぞれ用いて、ASTM D683に従って測定した。
【0145】
引張剪断強度は、Zwick tensile tenserを使用し、室温下、引き抜き速度10mm/分でDIN EN 1465に従い確認した。
【0146】
使用した原料:
DER 732(DOW Chemical社):ポリオキシプロピレンジグリシジルエーテル
DER 736(DOW Chemical社):ポリオキシプロピレンジグリシジルエーテル
DER 331(DOW Chemical社): ビスフェノールAエポキシ樹脂
ビスフェノールA
テトラブチルアンモニウムブロミド(「TBAB」)
Cardolite 2513 HP(Cardolite社):カシュー油/エピクロロヒドリンポリマー
DYCY:Dyhard 100 SH(Evonik):ジシアンジアミド
フェヌロン:Dyhard UR 300(Evonik):1,1−ジメチル−3−フェニル尿素
Kane Ace MX−153(カネカ):ブタジエン−アクリル酸コアシェルポリマー/エポキシ樹脂
Jeffamine D−2000(Huntsman):ポリオキシプロピレンジアミン、分子量=2000
Adeka QR 9466(Adeka):熱可塑性ポリウレタン
Cabosil TS 720(Cabot): 発熱性ケイ酸
Capcure LOF(Cognis):ポリメルカプタンエポキシ硬化剤
Versamine EH−30(Cognis):トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
【0147】
「エポキシ当量」はEEWと略す。
【0148】
以下、成分(C2)の一般的な製造方法をTEPOと称する:
攪拌器を備えた反応容器に、相当する量のDER 732、DER 736、DER 331、ビスフェノールAおよび触媒テトラブチルアンモニウムブロミドを投入する。反応容器を攪拌しながら150℃まで加熱する。反応時間は3〜5時間である。
【0149】
一般的な接着剤の製造方法:
全ての液体成分を、真空下、90℃で60分間混合し、DICYおよびフェヌロンを添加して、さらに30分間混合する。
【0150】
比較例1〜7および接着剤1〜21の試験片の一般的な製造方法:
離型剤により処理したアルミニウム板上のテフロンフレーム(大きさ:15cm×20cm、深さ3mm)中に、泡を含まないようにして加熱調製物を注ぎ、離型剤で処理した第2のアルミニウム板で覆い、2つの鋼鉄板間に機械的に固定して、180℃で60分間硬化させた。金属板およびテフロンフレームを取り除いた後、硬化したエポキシシートから試験片を切り出した。
【0151】
比較例1:
175.0g DER 331, 7.4g Cardolite 2513 HP、20.5g DICY、1.0g フェヌロン。
曲げ弾性率:2424+/−95MPa;K1C:1.01+/−0.05MPa。
【0152】
TEPO 1:
75.0g DER 732、46.8g DER 331、28.5g ビスフェノールA、0.75g TBAB; EEW: 611。
【0153】
接着剤1:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、16.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 1。
曲げ弾性率:2837+/−469MPa、K1C:1.30+/−0.02 MPa。
【0154】
TEPO 2:
72.0g DER 732、44.9g DER 331、36.5g ビスフェノールA、0.46g TBAB。EEW:1000。
【0155】
接着剤2:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、16.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 2。
曲げ弾性率:2541+/−365MPa、K1C:1.69+/−0.16MPa。
【0156】
TEPO 3:
69.0g DER 732、43.0g DER 331、39.3g ビスフェノールA、0.45g TBAB。EEW:1497。
【0157】
接着剤3:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、6.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 3。
曲げ弾性率:2162+/−465MPa、K1C:2.72+/−0.16MPa。
【0158】
TEPO 4:
66.0g DER 732、41.1g DER 331、40.1g ビスフェノールA、0.44g TBAB。EEW:1902。
【0159】
接着剤4:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、16.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 4。
曲げ弾性率:2737+/−319MPa、K1C:2.99+/−0.09MPa。
【0160】
TEPO 5:
66.0g DER 732、41.1g DER 331、41.7g ビスフェノールA、0.45g TBAB。EEW:2240。
【0161】
接着剤5:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、16.6g DICY、1.0g フェヌロン、5.0g TEPO 5。
曲げ弾性率:2652+/−332 MPa、K1C:2.82+/−0.11MPa。
【0162】
TEPO 6:
63.0g DER 732、39.3g DER 331、2.6g ビスフェノールA、0.43g TBAB。EEW:2952。
【0163】
接着剤6:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、16.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 6。
曲げ弾性率:2260+/−386MPa、K1C:3.11+/−0.06MPa。
【0164】
TEPO 7:
114.0g DER 732、33.3g ビスフェノールA、0.44g TBAB。 EEW:1613。
【0165】
接着剤7:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.4g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 7。
曲げ弾性率:1790+/−23MPa、K1C:1.76+/−0.09MPa。
【0166】
TEPO 8:
114.0g DER 732、36.1g ビスフェノールA、0.45g TBAB。 EEW:2277。
【0167】
接着剤8:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.4g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 8。
曲げ弾性率:1714+/−28MPa、K1C:1.47+/−0.09 MPa。
【0168】
TEPO 9:
108.8g DER 732、21.3g DER 331、36.8g ビスフェノールA、0.5g TBAB。EEW:1236。
【0169】
接着剤9:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.8g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 9。
曲げ弾性率:2629+/−96MPa、K1C:2.51+/−0.15MPa。
【0170】
TEPO 10:
102.4g DER 732、19.8g DER 331、37.2g ビスフェノールA、0.48g TBAB。EEW:1416。
【0171】
接着剤10:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 10。
曲げ弾性率:2375+/−38MPa、K1C:2.57+/−0.16MPa。
【0172】
TEPO 11:
96.0g DER 732、18.7g DER 331、37.8g ビスフェノールA、0.46g TBAB。EEW:1749。
【0173】
接着剤11:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.5g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 11。
曲げ弾性率:1889+/−56MPa、K1C:2.05+/−0.21MPa。
【0174】
TEPO 12:
96.0g DER 732、28.0g DER 331、37.0g ビスフェノールA、0.46g TBAB。EEW:1201。
【0175】
接着剤12:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.8g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 12。
曲げ弾性率:2340+/−75MPa、K1C:2.47+/−0.17MPa。
【0176】
TEPO 13:
89.6g DER 732、26.2g DER 331、37.2g ビスフェノールA、0.46g TBAB。EEW:1564。
【0177】
接着剤13:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 13。
曲げ弾性率:2560+/−60 MPa、K1C:2.42+/−0.24MPa。
【0178】
TEPO 14:
89.6g DER 732、26.2g DER 331、40.3g ビスフェノールA、0.47g TBAB。EEW:1818。
【0179】
接着剤14:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.5g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 14。
曲げ弾性率:2328+/−62MPa、K1C:2.25+/−0.18MPa。
【0180】
TEPO 15:
48.0g DER 732、56.1g DER 331、41.0g ビスフェノールA、0.44g TBAB。EEW:1774。
【0181】
接着剤15:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、15.5g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 15。
曲げ弾性率:3312+/−163MPa、K1C:2.73+/−0.57MPa。
【0182】
接着剤16:
48.0g DER 331、52.0g Kane Ace MX−153、5.9g Cardolite 2513 HP、10.6g DICY、0.8g フェヌロン、40.0g TEPO 4。
曲げ弾性率:2586+/−109MPa、K1C:2.69+/−0.18MPa。
【0183】
接着剤17:
65.0g DER 331、60.0g Kane Ace MX−153、7.4g Cardolite 2513 HP、13.4g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 15。
曲げ弾性率:2839+/−104MPa、K1C:2.84+/−0.21MPa。
【0184】
接着剤18:
55.0g DER 331、40.0g Kane Ace MX−153、7.4g Cardolite 2513 HP、11.0g DICY、1.0g フェヌロン、80.0g TEPO 4。
曲げ弾性率:2580+/−111MPa、K1C:2.88+/−0.13MPa。
【0185】
接着剤19:
125.0g DER 331、7.4g Cardolite 2513 HP、16.6g DICY、1.0g フェヌロン、50.0g TEPO 4。
曲げ弾性率:2737+/−319MPa、K1C:2.99+/−0.09MPa。
【0186】
比較例2: Prepo 2000
平底フラスコに、ポリエーテルジアミンおよびエポキシ樹脂を量り取り、120℃で3時間攪拌する。
40.0g Jeffamine 2000、60.0g DER 331。
【0187】
比較例3:
59.5g DER 331、3.5g Cardolite 2513 HP、8.0g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720、25.0g Prepo 2000(10.0gのソフトセグメント含量に相当)。
曲げ弾性率:2410+/−55MPa、K1C:2.07+/−0.05MPa、Tg:113+/−0.7℃、弾性率:2322+/−47N/mm、破断点伸び:7.6+/−1.5%、引張強度:53.8+/−0.8MPa。
【0188】
比較例4:
54.0g DER 331、3.5g Cardolite 2513 HP、8.5g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720、30.0g Kane Ace MX−153(10.0gのソフトセグメント含量に相当)。
曲げ弾性率:2938+/−36MPa、K1C:2.71+/−0.05MPa、Tg:120+/−0.3℃、弾性率:3069+/−76N/mm、破断点伸び:3.2+/−1.2%、引張強度:59.0+/−9.3MPa。
【0189】
比較例5:
74.1g DER 331、3,5g Cardolite 2513 HP、8.4g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720、10.0g Adeka QR−9466(10.0gのソフトセグメント含量に相当)。
曲げ弾性率:2910+/−116MPa、K1C:2.43+/−0.04MPa、Tg:117+/−0.0℃、弾性率:2953+/−74N/mm、破断点伸び:4.2+/−1.5%、引張強度:62.1+/−4.9MPa。
【0190】
接着剤20:
63.2g DER 331、3.5g Cardolite 2513 HP、7.3g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720、22.0g TEPO 4(10.0gのソフトセグメント含量に相当)。
曲げ弾性率:3287+/−54MPa、K1C:2.68+/−0.25MPa、Tg:109+/−1.4℃、弾性率:3263+/−98N/mm、破断点伸び:13.0+/−1.4%、引張強度:64.3+/−0.6MPa。
【0191】
比較例6:
45.2g DER 331、3.5g Cardolite 2513 HP、7.5g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720、10.0g Adeka QR−9466*、30.0g Kane Ace MX−153*
*20.0gのソフトセグメント含量に相当
曲げ弾性率:2255+/−38MPa、K1C:2.25+/−0.08MPa、Tg:114+/−0.7℃、弾性率:2218+/−42N/mm、破断点伸び:10.4+/−0.8%、引張強度:49.1+/−0.5MPa。
【0192】
比較例7:
30.5g DER 331、3.5g Cardolite 2513 HP、7.0g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720, 25.0g Prepo 2000*、30.0g Kane Ace MX−153*
*20.0gのソフトセグメント含量に相当
曲げ弾性率:1919 +/−33 MPa、K1C:1.77+/−0.08MPa、Tg:117+/−0.4℃、弾性率:1805+/−44N/mm
【0193】
接着剤21:
34.1g DER 331、3.5g Cardolite 2513 HP、6.4g DICY、0.5g フェヌロン、3.5g Cabosil TS 720、30.0g Kane Ace MX−153*、22.0g TEPO 4*
*20.0gのソフトセグメント含量に相当
曲げ弾性率:2855+/−21MPa、K1C:2.95+/−0.18MPa、Tg:108+/−0.2℃、弾性率:2451+/−216N/mm、破断点伸び:13.4+/−2.9%、引張強度:51.2+/−0.8MPa
【0194】
比較例8:
成分A:
42.40g DER 354、4.99g Cardolite Lite 2513 HP、3.00g Cabosil TS−720。
成分B:
44.16g Capcure LOF、5.46g Versamine EH−30。
硬化条件:100℃で60分間、その後室温で3日間
引張剪断強度(DC05 CRS 1.5mm):10.84+/−1.47MPa
引張剪断強度(AIu 6016 1.25mm):10.32+/−1.96MPa
【0195】
接着剤21:
成分A:
37.19g DER 354、5.00g Cardolite Lite 2513 HP、10.0g TEPO 4、3.02g Cabosil TS−720。
成分B:
42.01g Capcure LOF、5.19g Versamine EH−30。
硬化条件:100℃で60分間、その後室温で3日間
引張剪断強度(DC05 CRS 1.5mm):14.53+/−0.98MPa
引張剪断強度(AIu 6016 1.25mm):14.94+/−0.23MPa
【0196】
接着剤22:
成分A:
29.38g DER 354、5.00g Cardolite Lite 2513 HP、25.0g TEPO 4、3.00g Cabosil TS−720。
成分B:
37.74g Capcure LOF、4.66g Versamine EH−30。
硬化条件:100℃で60分間、その後室温で3日間
引張剪断強度(DC05 CRS 1.5mm):18.93+/−0.27MPa
引張剪断強度(AIu 6016 1.25mm):16.51+/−0.40MPa

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一成分または二成分接着剤または構造フォーム用の樹脂成分であって、
(C1)1分子あたり平均1を越えるエポキシ基を有し、成分(C2)の定義に該当しない少なくとも1種のエポキシ樹脂;
(C2)一般式(I):
【化1】

〔式中、nは5〜10,000の数であり;各繰り返し単位における各基Rは、互いに独立して、1〜100個の炭素原子を有する2価の連結基を表し;各繰り返し単位における各基Aは、互いに独立して、KまたはLから選択され、Kは2個のヒドロキシ基を取り除いた後の芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の基であり、Lは2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後のポリエーテルの2価の基である(ただし、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の全ての基Aの総数に基づいて、全基Aの20〜80%はKであり、全基Aの20〜80%はLである)〕
で示される1つ以上の構造要素を含む、少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物
を含んでなる樹脂成分。
【請求項2】
成分(C2)は、末端エポキシ基を有し、1000〜3000g/モルのエポキシ当量を有し、連続的に連結した5〜18個のCOの繰り返し単位のポリプロピレンオキシドブロックと少なくとも1つのフェニレン構造単位を含む芳香族ブロックを含むポリエーテルである、請求項1に記載の樹脂成分。
【請求項3】
成分(C2)は、170〜400g/モルのエポキシ当量を有するポリプロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、および156〜550g/モルのエポキシ当量を有するビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルの、1000〜3000g/モルの反応生成物のエポキシ当量である反応生成物である、請求項1に記載の樹脂成分。
【請求項4】
ベンゾオキサジン化合物を含有しない請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成分。
【請求項5】
さらに、コア−シェル構造を有するエラストマー粒子を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂成分。
【請求項6】
さらなる耐衝撃性改質剤または強化剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂成分。
【請求項7】
さらなる耐衝撃性改質剤または強化剤は、ブタジエン−アクリロニトリルに基づくカルボキシル基含有コポリマーと化学量論的に過剰な(C1)のエポキシ樹脂の反応生成物である請求項6に記載の樹脂成分。
【請求項8】
さらなる耐衝撃性改質剤または強化剤は、アミノ基含有ポリエーテルと化学量論的に過剰な(C1)のエポキシ樹脂の反応生成物である請求項6に記載の樹脂成分。
【請求項9】
第1成分が、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂成分である、または、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂成分を含み、第2成分が、少なくとも1種のアミノ基含有化合物若しくは少なくとも1種のチオール基含有化合物である、または少なくとも1種のアミノ基含有化合物若しくは少なくとも1種のチオール基含有化合物を含む二成分接着剤。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂成分および
(C3)成分(C1)に対する少なくとも1種の硬化剤
を含む熱硬化性組成物。
【請求項11】
(C4)物理的または化学的発泡剤
をさらに含有する請求項10に記載の熱硬化性組成物。
【請求項12】
構造接着剤としての若しくは複合材のマトリックスとしての、請求項9に記載の二成分接着剤の使用または請求項10に記載の熱硬化性組成物の使用。
【請求項13】
空洞、特に金属構造における空洞を補強および/または封止するための構造フォームとしての請求項11に記載の熱硬化性組成物の使用。
【請求項14】
請求項9に記載の二成分系接着剤により、または請求項10若しくは11に記載の熱硬化性組成物により接着結合された少なくとも2つの構造部品を含む物品。
【請求項15】
発泡し、硬化した請求項11に記載の組成物を含む物品。

【公表番号】特表2013−500371(P2013−500371A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522164(P2012−522164)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060958
【国際公開番号】WO2011/012647
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】