説明

自動車用電気油圧式ブレーキ装置

本発明は、「ブレーキバイワイヤ」タイプの自動車用電気油圧式ブレーキ装置に関する。ブレーキ装置は、特に、ブレーキマスターシリンダ(2)と協働する行程シミュレータ(3)と、油圧ポンプ(23)と高圧アキュムレータ(21)とから形成される圧力源とを備える。本発明の目的は、車両運転者の身体的強さによってブレーキマスターシリンダ内で予め決定される圧力よりも大きなブレーキ圧を使用して、ブレーキ装置の電気油圧式構成要素の故障中に車両の制動を容易にすることである。このことを達成するために、装置には、圧力源(20および21)と車輪ブレーキ(7、8、9、10)との間の動作連鎖機構内に、弁装置(13)と、少なくとも1つのシリンダ・ピストン装置(17、18)とが装備される。本発明によれば、弁装置(13)は、ブレーキマスターシリンダ(2)によって供給される圧力によって油圧的に、かつ電気的に制御されることができ、またシリンダ・ピストン装置(17、18)は、弁装置(13)によって供給される圧力によって、またはブレーキマスターシリンダ(2)によって供給される圧力によって作動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「ブレーキバイワイヤ」タイプの自動車用電気油圧式ブレーキ装置であって、
ブレーキペダルによって操作可能でありかつ少なくとも1つの圧力室を有するマスターブレーキシリンダと、
無圧の圧力媒体供給タンクと、
マスターブレーキシリンダと相互作用して、ブレーキペダルにおける通常の感覚(ブレーキペダルの予め選択された降伏度)を「ブレーキバイワイヤ」モードで運転者に付与するトラベルシミュレータと、
電子制御兼調整ユニットによって駆動可能な油圧式圧力源であって、油圧ポンプと、油圧ポンプによって充填可能な高圧アキュムレータとから構成され、油圧式圧力源の圧力を自動車の車輪ブレーキに印加でき、車輪ブレーキに、電子制御兼調整ユニットによって駆動可能である圧力制御弁(入口弁、出口弁)が付設される油圧式圧力源と
を備える自動車用電気油圧式ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの電気油圧式ブレーキ装置が、国際公開第03/047936号パンフレットに開示されている。従来技術のブレーキ装置は、電気油圧式構成要素の故障によって特徴づけられる緊急またはフォールバック運転モードで高圧アキュムレータで支配する油圧を使用して、普通運転時にブレーキ液供給タンクに接続されるトラベルシミュレータの油圧室に油圧弁で制御して高圧アキュムレータの圧力を供給することによって、マスターシリンダに接続されるトラベルシミュレータの油圧室からマスターブレーキシリンダおよびそれに接続された補助ブレーキ回路内に圧力媒体が変位させられることにより、「ブレーキバイワイヤ」モードで以前の普通のブレーキング操作中にマスターシリンダからトラベルシミュレータ内に変位させられたブレーキ液を、機械油圧式のアシストブレーキング操作のために利用可能にする油圧式手段を含み、その結果、車輪ブレーキは、ブレーキペダルを適用するときに運転者が使用する筋肉の力によって予め規定される油圧によって作動される。「ブレーキバイワイヤ」タイプの自動車用の電気油圧式ブレーキ装置内の人間工学的な力の比率は、周知のように、普通のブレーキ操作時に車輪ブレーキの圧力がマスターシリンダ圧力の数倍になるブレーキ装置の配置を必要とする。
【0003】
従来技術のブレーキ装置で不都合と考えられるのは、電気油圧式構成要素の故障の際に、作動力が同一であるという状態で、「ブレーキバイワイヤ」モードで達成される値をはるかに下まわるブレーキング圧のみで、車両のブレーキングが可能であるという事実である。運転者がブレーキペダルを使用してマスターブレーキシリンダ内に導入する圧力を上回る車輪ブレーキ圧力を有するブレーキ力ブースタは、完全動作の電気油圧式構成要素なしには達成できない。さらに不都合と考えられるのは、上述のように圧力媒体をトラベルシミュレータからマスターブレーキシリンダ内に突然供給して戻すことにより、ブレーキ力ブースタの損失に加えて、運転者を苛立たせる可能性があるブレーキペダルへの反応が引き起こされることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のことに鑑みて、本発明の目的は、確実に機能する上述のタイプのブレーキ装置を提供すること、すなわち、電気油圧式構成要素の故障の際に、運転者の筋肉の力によって予め規定されるマスターブレーキシリンダ内の圧力よりも高いブレーキング圧力で車両のブレーキングを可能にする他のフォールバック運転モードを提供するブレーキ装置を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、弁装置ならびに少なくとも1つのシリンダ・ピストン装置が、圧力源と車輪ブレーキとの間の動作連鎖機構内に配置され、弁装置は、マスターブレーキシリンダによって供給される圧力によって油圧的に制御可能であるように、かつ電気的に制御可能であるように設計され、かつシリンダ・ピストン装置は、弁装置によって供給される圧力によって、またはマスターブレーキシリンダによって供給される圧力によって操作可能であることによって達成される。
【0006】
有利には、弁装置は、シリンダ・ピストン装置への油圧接続部を介して搬送されるアナログ制御可能な独立アシスト油圧力を提供する。
【0007】
本発明の構想を具体化するために、シリンダ・ピストン装置が、円筒状孔を有するハウジングと、マスターブレーキシリンダの操作によって導入される油圧作動圧によって作用されることができる第1のピストンまたは反応ピストンと、第1のピストンまたは反応ピストンの反対側のハウジング内に配置され、かつ一方で、車輪ブレーキが接続されるブレーキ圧力室をハウジング内で画成し、他方で、反応ピストンと機械的に接触するように移動可能である第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストンとを含むことが提案される。
【0008】
本発明の他の有利な実施形態では、ブレーキ圧力室は、ハウジングに対する第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストンの相対運動によって遮断されることができる遮断可能な油圧接続部によって圧力媒体供給タンクに接続する。
【0009】
本発明の目的の有利な実施形態では、第1のピストンまたは反応ピストンおよび第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストンは、弁装置によって提供される圧力によって作用されることができる空間を画成する。
【0010】
本発明の他の有利な実施形態では、第1のピストンまたは反応ピストンの内部は、シミュレータばねを収容しかつ第1のピストンまたは反応ピストン内を案内されるシミュレータピストンによって画成される油圧式シミュレータ室を形成する。
【0011】
シミュレータばねは、線形ばねと、プログレッシブスプリング、有利にはエラストマばねとを平行配置することによって形成されることが有利であり、この場合、プログレッシブスプリングは、線形ばねが所定の変形行程を経た後にのみ有効になることが有利である。
【0012】
本発明の主題の他の設計では、シミュレータ室は、ハウジングに対する第1のピストンまたは反応ピストンの相対運動によって遮断されることができる遮断可能な油圧接続部によって圧力媒体供給タンクに接続される。
【0013】
本発明の主題のなお他の設計では、力アクチュエータは、弁装置によって供給される独立のアシスト圧力を電気制御するために設けられる。
【0014】
本発明の目的の他の有利な設計変形では、弁装置によって供給される独立のアシスト圧力を電気制御するために、電気的にアナログ制御可能な圧力を供給する電気油圧式手段が設けられる。このことは、弁装置を電気制御するための設定エネルギが実質的に高圧アキュムレータから得られ、これによって、電子制御兼調整ユニットの電力消費が低減されるので、有利である。
【0015】
本発明の主題の有利な実施形態では、電気油圧式手段は、圧力源と、圧力媒体供給タンクとに油圧的に接続されるアナログ制御可能な電磁弁である。これらの制御可能な電磁弁は、ブレーキ装置構成要素としてすでに試験を受けていた。それらは、別の場所にまた異なる機能であっても、従来技術のブレーキ装置にも含まれる。
【0016】
本発明の主題の他の有利な実施形態は、弁装置の作動が、弁装置の弁部材と力伝達接続している作動要素によって行われることを意図している。作動要素の油圧的に作用する断面表面は、マスターブレーキシリンダの圧力と伝達された弁作動力との間の比例係数を規定する。
【0017】
弁装置は、本発明の他の有利な実施形態では、スライド弁として構成される。その一体設計のため、スライド弁は、この点で同様に容易な使用に向いている、弁座を有するおよび弁座とスライド構造の種類の制御エッジとの組み合わせを有する他の種類の弁構造よりも有利である。
【0018】
上述の作動要素は、マスターブレーキシリンダによって供給される圧力によって、および電気制御可能な圧力によって作用されることができる本発明の目的の他の実施形態の油圧ピストンとして設計される。油圧ピストンは有利には、利用可能な圧力の任意の1つを印加できる油圧室を画成する。電気的にアナログ制御可能な圧力が供給されるとき、ブレーキ装置は「ブレーキバイワイヤ」運転モードで作動し、一方、説明したフォールバック運転モードでマスターシリンダ圧力が供給されるとき、ブレーキ装置は、純粋に油圧式のブースタ装置を有するブレーキ装置として作動する。
【0019】
本発明の他の適切な実施形態では、シャトル弁は、マスターブレーキシリンダと油圧室との間の、ならびに電気油圧式手段と油圧室との間の接続部に挿入され、シャトル弁は、マスターブレーキシリンダによって提供される圧力と、電気制御可能な圧力との圧力差によって作動される。
【0020】
この構成では、シャトル弁油圧作動は、それぞれより高い圧力が油圧室に印加されるように実施される。このように、「ブレーキバイワイヤ」運転モードと油圧式ブースタ運転モードとの間の自動切替は、それぞれより高いブレーキ圧力要件が支配するように行われる。
【0021】
本発明の目的の他の有利な設計変形では、油圧ピストンが段付きピストンとして設計され、段付きピストンの一方の表面が、マスターブレーキシリンダによって提供される圧力によって作用されることができ、一方、電気的にアナログ制御可能な圧力が他方のピストン面に作用できる。この変形例では、それぞれより高い車輪ブレーキング圧要件を選択するためのシャトル弁の必要性が省略される。有利には、段付きピストンの環状面はマスターシリンダの圧力に設けられ、一方、小さな直径のピストン面は電気的にアナログ制御可能な圧力に設けられる。
【0022】
なお他の設計変形例では、上述の油圧室は、他方で、ばねによって付勢される追加のピストンによって画成され、ばねの力と対抗するピストンの移動により、電気油圧式手段によって供給される圧力媒体の量を吸収することが可能である。このような量の吸収により、「ブレーキバイワイヤ」運転モードにおける電気油圧式圧力制御の制御品質が改善される。
【0023】
本発明のさらなる詳細、特徴および利点は、添付図面を参照する4つの実施形態の次の説明から理解できる。図面では、同様の部分には、同様の参照番号が割り当てられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面に概略的にのみ示した電気油圧式ブレーキ装置は、基本的に、ブレーキペダル1によって操作可能である二系統の油圧発生器またはタンデム構造のマスターブレーキシリンダ2と、タンデムマスターシリンダ2と協働するトラベルシミュレータ3と、圧力媒体タンク4と、概略的に示した油圧モジュール5と、車輪と関連する車輪ブレーキ7、8、9、10が接続される油圧制御ユニットHCU6と、電子制御兼調整ユニット16とから構成される。油圧モジュール5内には、圧力源、参照番号13によって示した弁装置、およびその目的について以下に説明する2つのシリンダ・ピストン装置17、18が一体化される。油圧制御ユニットHCU6は、少なくとも1つのリターンポンプと圧力制御弁とから実質的に構成される車輪個々の圧力制御操作のために必要なすべての構成要素を含む。
【0025】
単に示唆し、詳細に示していない車輪センサが、車輪の回転速度を決定するために使用される。それ自体公知のタンデムマスターシリンダ2は、互いに分離されかつ2つのピストン11、12によって画成された圧力室14、15を含み、圧力室は、一方で、圧力媒体供給タンク4に接続され、また導管26を介して、シリンダ・ピストン装置17、18の入口ポートに接続される。上述の圧力源は、電気モータ22と電気モータ22によって駆動されるポンプ23とから成るモータおよびポンプユニット20と、ポンプ23と並列に接続された圧力制限弁24と、ポンプ23によって充填可能な高圧アキュムレータ21とから構成される。圧力センサ25は、高圧アキュムレータ21で支配する油圧を監視する。
【0026】
図示した例ではスライド弁として設計される上述の弁装置13は、圧力源20、21と、シリンダ・ピストン装置17、18のそれぞれ1つの追加の入口ポートとの間に作用的に間挿され、一方で、電気機械式アクチュエータ28によって作動され、他方で、マスターブレーキシリンダ2の第1の圧力室14に導入される油圧によって作動される。
【0027】
同様に図面から理解できるように、車輪ブレーキ7、8、9、10は、各々の場合に、図2に関連して詳細に説明するシリンダ・ピストン装置17、18の圧力区画に接続する。上述の導管26からシリンダ・ピストン装置17の前に、弁装置13に通じかつ弁装置13の油圧作動に使用される他の導管27が分岐している。圧力センサ19を使用して、第1の圧力室14に導入される圧力が監視され、一方、圧力センサ29を使用して、弁装置13によって供給される圧力が感知される。したがって、上記の説明は、第2の圧力室15、第2のシリンダ・ピストン装置18、および第2のシリンダ・ピストン装置18の圧力区画に接続された車輪ブレーキ9、10にも当てはまる。
【0028】
以前に参照し、また圧力センサ19、25、29の出力信号が送られる車輪回転速度センサの電子制御兼調整ユニット16、およびマスターブレーキシリンダ2と関連する有利には冗長設計のブレーキング要求検出デバイス35は、モータおよびポンプユニット20、アクチュエータ28および油圧制御ユニットHCU6の電気構成要素を駆動するために使用される。
【0029】
シリンダ・ピストン装置17、18の次の説明に関し、それらの装置の設計は同一であるので、1つのみの装置(17)について詳細に説明することが指摘される。特に図2から理解できるように、シリンダ・ピストン装置17は、基本的に、円筒状孔46を有するハウジング45と、第1のピストンまたは反応ピストン47と、第1のピストンまたは反応ピストン47の反対側に配置される第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストン48と、ハウジング45で反応ピストン47によって画成された作動圧力区画49と、ハウジング45でブレーキ圧力ピストン48によって画成されたブレーキ圧力区画50と、反応ピストン47によってまたはブレーキ圧力ピストン48によって画成された空間51とから構成される。マスターブレーキシリンダ2の第1の圧力室14に導入された油圧は、導管26を介して作動圧力区画49に印加することができ、一方、車輪ブレーキ7、8は、上に説明したように、ブレーキ圧力区画50に接続する。さらに、ブレーキ圧力区画50は、ハウジング45に対するブレーキ圧力ピストン48の相対運動によって遮断されることができる油圧接続部52を通して圧力媒体供給タンク4(図1)に連通する。導管34を通して、空間51は、弁装置13によって供給される圧力によって作用されることができる。さらに、反応ピストン47は、シミュレータピストン54に支持されるシミュレータばね56を収納する反応ピストン47の内部のシミュレータ室55を画成するシミュレータピストン54を収容する。反応ピストン47とハウジング45の通路(図示せず)を介して、シミュレータ室55は、接続部52から分岐しかつハウジング45に対する反応ピストン47の相対運動によって遮断されることができる他の接続部57に接続される。構成要素54、55、56は、図1に関して述べたシミュレータ3を構成する。
【0030】
特に図3から推測できるように、弁装置13は、図示した切換え位置で、導管34を介して空間51(図2)に接続される出力室31と、圧力媒体供給タンク4と連通している油圧区画32との間の油圧接続を可能にする弁部材30を含む。区画32は油圧ピストン33によって画成され、この油圧ピストンには、一方で、すでに上に説明したように、マスターブレーキシリンダ2に導入される圧力が導管27を通して負荷され、他方で、この油圧ピストンは電気機械式アクチュエータ28と力伝達接続している。
【0031】
図4から図7に示した設計では、図1と図3に関し述べた弁装置13は、マスターブレーキシリンダ2による油圧作動に加えて、図示した例では電気的に駆動可能なアナログ制御可能な2方向/2位置の方向制御弁35、36から形成される電気油圧式手段によって駆動される。圧力源20または21の出口に接続された2方向/2位置の方向制御弁35は、通常閉(NC)弁として構成され、一方、他方の2方向/2位置の方向制御弁36は、通常開(NO)弁として構成される。最初に挙げた弁35の出口側および2番目に挙げた弁36の入口側は、一方で、ピストン33によって、他方で、追加のピストン38によって画成される油圧室37(図5)と連通する。追加の圧力センサ39は、弁35、36によって電気的にアナログ制御可能な室37内の圧力を監視する。特に図5から理解できるように、ピストン33は、段付きピストンとして設計され、その環状面40はマスターブレーキシリンダ2によって提供される圧力によって作用され、一方、2方向/2位置の方向制御弁35、36によって電気的にアナログ制御可能な圧力は、小さな直径のピストンの表面41に作用する。他方のピストン38は、圧縮ばね42によって付勢され、ばね42の力と対抗するその運動により、油圧室37の拡大、したがって、弁35、36によって用意される圧力媒体量の取り込みが可能になる。
【0032】
図6と図7に示した実施形態では、シャトル弁43は、アナログ制御可能な2方向/2位置の方向制御バルブ35、36と、弁装置13のハウジング内のピストン33によって画成された室37aとの間の導管に挿入され、シャトル弁は、マスターブレーキシリンダ2によって提供される圧力と、油圧式手段35、36によって出力される電気的にアナログ制御可能な油圧との圧力差によって操作可能である。
【0033】
シャトル弁43の作動は、それぞれより高い圧力がピストン33に印加されるように行われる。さらに、媒体量取り込み要素44が上述の導管に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】非作動および非通電状態の本発明のブレーキ装置の第1の実施形態の配置の図面である。
【図2】図1に示したシリンダ・ピストン装置の大幅に拡大した図面である。
【図3】図1に示した弁装置の大幅に拡大した図面である。
【図4】非作動および非通電状態の本発明のブレーキ装置の第2の実施形態の配置の図面である。
【図5】図4に示した弁装置の大幅に拡大した図面である。
【図6】非作動および非通電状態の本発明のブレーキ装置の第3の実施形態の配置の図面である。
【図7】図6に示した弁装置の大幅に拡大した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
「ブレーキバイワイヤ」タイプの自動車用電気油圧式ブレーキ装置であって、
ブレーキペダルによって操作可能でありかつ少なくとも1つの圧力室を有するマスターブレーキシリンダと、
無圧の圧力媒体供給タンクと、
前記マスターブレーキシリンダと相互作用して、前記ブレーキペダルにおける通常の感覚(前記ブレーキペダルの予め選択された降伏度)を「ブレーキバイワイヤ」モードで運転者に付与するトラベルシミュレータと、
電子制御兼調整ユニットによって駆動可能な油圧式圧力源であって、油圧ポンプと、前記油圧ポンプによって充填可能な高圧アキュムレータとから構成され、前記油圧式圧力源の圧力を自動車の車輪ブレーキに印加でき、車輪ブレーキに、前記電子制御兼調整ユニットによって駆動可能である圧力制御弁(入口弁、出口弁)が付設される油圧式圧力源と、
を備える自動車用電気油圧式ブレーキ装置において、
弁装置(13)ならびに少なくとも1つのシリンダ・ピストン装置(17、18)が、前記圧力源(それぞれ20および21)と前記車輪ブレーキ(7、8、9、10)との間の動作連鎖機構内に配置され、前記弁装置(13)は、前記マスターブレーキシリンダ(2)によって供給される圧力によって油圧的に制御可能であるように、かつ電気的に制御可能であるように設計され、そして前記シリンダ・ピストン装置(17、18)は、前記弁装置(13)によって供給される圧力によって、または前記マスターブレーキシリンダ(2)によって供給される圧力によって操作可能であることを特徴とする電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項2】
前記シリンダ・ピストン装置(17、18)が、円筒状孔(46)を有するハウジング(45)と、前記マスターブレーキシリンダ(2)に導入された油圧によって作用されることができる第1のピストンまたは反応ピストン(47)と、前記第1のピストンまたは反応ピストン(47)の反対側の前記ハウジング(45)内に配置され、かつ一方で、前記車輪ブレーキ(7、8)が接続されるブレーキ圧力室(50)を前記ハウジング(45)内で画成し、他方で、前記弁装置(13)によって提供される圧力によって作用されることができる第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストン(48)と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項3】
前記第1のピストンまたは反応ピストン(47)および前記第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストン(48)が、前記弁装置(13)によって提供される圧力によって作用されることができる空間(51)を画成することを特徴とする、請求項2記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項4】
前記第1のピストンまたは反応ピストン(47)の内部が油圧式シミュレータ室(55)を形成し、前記油圧式シミュレータ室が、シミュレータばね(56)を収容し、また前記第1のピストンまたは反応ピストン(47)内を案内されるシミュレータピストン(54)によって画成されることを特徴とする、請求項2記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項5】
前記シミュレータばね(56)が、線形ばねと、プログレッシブスプリング、有利にはエラストマばねとを平行配置することによって形成されることを特徴とする、請求項4記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項6】
前記ブレーキ圧力室(50)が、遮断可能な油圧接続部(52)によって前記圧力媒体供給タンク(4)に接続することを特徴とする、請求項2、3、4または5記載の装置。
【請求項7】
前記油圧接続部(52)が、前記ハウジング(45)に対する前記第2のピストンまたはブレーキ圧力ピストン(48)の相対運動によって遮断されることができることを特徴とする、請求項6記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項8】
前記シミュレータ室(55)が、遮断可能な油圧接続部(57)によって前記圧力媒体供給タンク(4)に接続されることを特徴とする、請求項4から7までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項9】
前記油圧接続部(57)が、前記ハウジング(45)に対する前記第1のピストンまたは反応ピストン(47)の相対運動によって遮断されることができることを特徴とする、請求項8記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項10】
前記弁装置(13)が、アナログ制御可能な油圧ブレーキ圧力を出力することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項11】
電気アクチュエータ(28)が、前記弁装置によって供給されるブレーキ圧力を電気制御するために設けられることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項12】
電気的にアナログ制御可能な圧力を供給する電気油圧式手段(35、36)が、前記弁装置によって供給されるブレーキ圧力を電気制御するために設けられることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項13】
前記電気油圧式手段が、前記圧力源(それぞれ20および21)と、前記圧力媒体供給タンク(4)とに油圧式に接続されるアナログ制御可能な電磁弁(35、36)であることを特徴とする、請求項12記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項14】
前記弁装置(13)の作動が、前記弁装置(13)の弁部材(30)と力伝達接続している作動要素(33)によって行われることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項15】
前記弁装置(13)がスライド弁として構成されることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項16】
前記作動要素(33)は、前記マスターブレーキシリンダ(2)によって供給される圧力によって、および電気的にアナログ制御可能な圧力によって作用されることができる油圧ピストンとして設計されることを特徴とする、請求項14または15記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項17】
前記油圧ピストンが、利用可能な圧力の任意の1つを印加できる油圧室(37)を画成することを特徴とする、請求項16記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項18】
シャトル弁(43)が、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記油圧室(37)との間の、ならびに前記圧力源(それぞれ20および21)と前記油圧室(37a)との間の接続部に挿入され、前記シャトル弁が、前記マスターブレーキシリンダ(2)によって提供される圧力と、電気的にアナログ制御可能な圧力との圧力差によって作動されることを特徴とする、請求項17記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項19】
それぞれより高い圧力が前記油圧室(37a)に印加されるように、前記シャトル弁(43)の作動が実施されることを特徴とする、請求項18記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項20】
前記油圧ピストン(33)が段付きピストンとして設計され、前記段付きピストンの一方の表面(40)が、前記マスターブレーキシリンダ(2)によって提供される圧力によって作用されることができ、一方、電気的にアナログ制御可能な圧力が他方のピストン面(41)に作用することを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。
【請求項21】
前記油圧室(37)が、他方で、ばね(42)によって付勢される追加のピストン(38)によって画成され、前記ばね(42)の力と対抗する前記ピストンの移動により、前記電気油圧式手段(35、36)によって供給される圧力媒体の量を吸収することが可能であることを特徴とする、請求項10から13までのいずれか1項記載の電気油圧式ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−511315(P2009−511315A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534005(P2008−534005)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067015
【国際公開番号】WO2007/042432
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(399023800)コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト (162)
【Fターム(参考)】